JP2005022989A - 可溶化または分散化された難溶性化合物を含む組成物 - Google Patents
可溶化または分散化された難溶性化合物を含む組成物 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2005022989A JP2005022989A JP2003187861A JP2003187861A JP2005022989A JP 2005022989 A JP2005022989 A JP 2005022989A JP 2003187861 A JP2003187861 A JP 2003187861A JP 2003187861 A JP2003187861 A JP 2003187861A JP 2005022989 A JP2005022989 A JP 2005022989A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- cyclodextrin
- soluble compound
- emulsifier
- weight
- composition according
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Withdrawn
Links
Landscapes
- Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)
- Medicinal Preparation (AREA)
Abstract
【課題】可溶化または分散化された難溶性化合物を含む組成物を提供する。
【解決手段】可溶化または分散化された難溶性化合物を含む組成物であって、難溶性化合物0.002−10重量%、油性成分0.1−30重量%、乳化剤0.01−6重量%およびシクロデキストリン類0.01−50重量%を含み、脂肪乳剤形態であることを特徴とする組成物。
【選択図】なし
【解決手段】可溶化または分散化された難溶性化合物を含む組成物であって、難溶性化合物0.002−10重量%、油性成分0.1−30重量%、乳化剤0.01−6重量%およびシクロデキストリン類0.01−50重量%を含み、脂肪乳剤形態であることを特徴とする組成物。
【選択図】なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、可溶化または分散化された難溶性化合物を含む組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
医薬品、特に血管内投与される医薬品は、その投与が人体に悪影響を及ぼさない程度に、有効成分化合物(薬剤)が可溶化または分散されて該医薬品中に存在していることが必要である。しかるに、免疫抑制剤としてのタクロリムス水和剤、シクロスポリンなど、抗真菌剤としてのミコナゾールなど、サルファ剤としてのスルファジメトキシンなど、抗生剤としてのロキシスロマイシンなど、抗悪性腫瘍薬としてのエノシタビン、パクリタキセルなどは、水および他の各種の溶媒に対して難溶性であり、その製剤化に当たっては、何らかの可溶化剤または分散化剤の利用が必須である。
【0003】
従来、かかる可溶化剤または分散化剤としては、代表的にはポリオキシエチレンヒマシ油(「クレモホール−EL」、BASF社)が知られているが、該可溶化剤または分散化剤自体、例えばアナフィラキシーショックの出現などの副作用の一因となることが知られており、また、製剤化の面でも結晶析出などの問題を伴うことが知られている(特許文献1および非特許文献1参照)。
【0004】
他の可溶化剤または分散化剤としては、HP−β−CyD (2−ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン)、SBE7−β−CyD (ヘプタ置換スルホブチルエーテル−β−シクロデキストリン)、ある種の脂肪乳剤などが知られているが、これらは特定の難溶性化合物に対して、比較的多量乃至高濃度での配合によってしか可溶化または分散化効果を奏し得ず、その可溶化または分散化効果自体尚不十分である欠点を有している。
【0005】
以上のように、従来、各種難溶性化合物の可溶化または分散化に少量の利用で充分な効果を奏し得、それ故、副作用などによる疾患発症のおそれのない可溶化剤または分散化剤、およびそのような可溶化剤または分散化剤を利用した難溶性化合物の可溶化または分散化技術は、尚開発されていない現状にある。
【0006】
【特許文献1】
特表平10−502921号公報
【0007】
【非特許文献1】
Adam, J. D., et al., (1993), ”Journal of the national cancer institute monographs”, No. 15, p.141−147
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、難溶性化合物の有効な可溶化または分散化手段を提供すること、特に、その配合によって難溶性化合物を充分に可溶化または分散化でき、しかもその配合によっても、従来技術に見られるような副作用の出現などを伴わない、新しい可溶化剤または分散化剤乃至可溶化または分散化手段を確立、提供することにある。
【0009】
【問題点を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、所定量の油性成分、乳化剤およびシクロデキストリンの組合せ配合によって、上記目的を達成することができるという事実を発見した。本発明は、この知見を基礎として更に研究を重ねた結果、完成されたものである。本発明の要旨は、下記項1−11に記載されるとおりである。
【0010】
項1. 可溶化または分散化された難溶性化合物を含む組成物であって、難溶性化合物0.002−10重量%、油性成分0.1−30重量%、乳化剤0.01−6重量%およびシクロデキストリン類0.01−50重量%を含み、脂肪乳剤形態であることを特徴とする組成物。
【0011】
項2. 油性成分が乳化剤に対して重量比で0.5−50倍含有され且つシクロデキストリン類が乳化剤に対してモル比で1−3000倍含有される項1に記載の組成物。
【0012】
項3. 難溶性化合物0.01−2重量%、油性成分0.2−20重量%、乳化剤0.02−3重量%およびシクロデキストリン類0.02−40重量%を含む項1または2に記載の組成物。
【0013】
項4. 難溶性化合物がタキシン類である項1−3のいずれかに記載の組成物。
【0014】
項5. 難溶性化合物がパクリタキセルである項4に記載の組成物。
【0015】
項6. シクロデキストリン類が2−ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリンおよび/またはスルホブチルエーテル−β−シクロデキストリンである項1−3のいずれかに記載の組成物。
【0016】
項7. 油性成分が天然および/または合成のトリグリセリドであり且つ乳化剤が天然および/または合成のリン脂質である項1−3のいずれかに記載の組成物。
【0017】
項8. 油性成分が大豆油であり且つ乳化剤が卵黄レシチンである項7に記載の組成物。
【0018】
項9. 難溶性化合物がパクリタキセルであり、油性成分が大豆油であり、乳化剤が卵黄レシチンであり且つシクロデキストリン類が2−ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリンおよび/またはスルホブチルエーテル−β−シクロデキストリンである項1−3のいずれかに記載の組成物。
【0019】
項10. 難溶性化合物、油性成分および乳化剤を含む油状物を水中に乳化後、得られる乳化液にシクロデキストリン類を加えることを特徴とする項1−3のいずれかに記載の組成物の製造方法。
【0020】
項11.難溶性化合物、油性成分および乳化剤を含む油状物を混合し、シクロデキストリン類を水に溶解させた液中に該混合物を乳化することを特徴とする請求項1−3のいずれかに記載の組成物の製造方法。
【0021】
本発明は、油性成分、乳化剤およびシクロデキストリン類を所定量併用する時には、これらの各成分が相乗的に作用しあって難溶性化合物を充分に可溶化または分散化できるという事実の発見を基礎として完成されたものである。本発明組成物に認められる難溶性化合物の優れた可溶化または分散化効果(各成分の併用による相乗効果)の詳細は、後記実施例に示されるとおりである。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明組成物につき詳述する。
【0023】
難溶性化合物
本発明において難溶性化合物とは、医薬品分野で利用できることの知られている化合物であって、水および各種溶媒に対する溶解性がその有効投与量との関連において低い化合物をいう。具体的には、第十四改正日本薬局方、通則に記載の溶解性において「溶けにくい」、「極めて溶けにくい」および「ほとんど溶けない」の用語が用いられる化合物をいう。換言すれば、溶質1gまたは1mLを溶かすに要する溶媒量が100mL以上(濃度1%以下)、好ましくは1000mL以上(濃度0.1%以下)、より好ましくは10,000mL以上(濃度0.01%以下)である化合物がこれに包含される。
【0024】
難溶性化合物の具体例としては、免疫抑制剤としてのタクロリムス水和剤、シクロスポリンなど、抗真菌剤としてのミコナゾールなど、サルファ剤としてのスルファジメトキシンなど、抗生剤としてのロキシスロマイシンなど、抗悪性腫瘍薬としてのエノシタビン、パクリタキセルなどを挙げることができる。これらの中でも、パクリタキセルおよびこれを含むタキシン類は、本発明によって可溶化または分散化される最も好ましい難溶性化合物の一種である。例えばパクリタキセルの水に対する溶解度は0.01%以下であり、大豆油に対する溶解度は約0.05%である。
【0025】
油性成分および乳化剤
本発明組成物において、油性成分(脂肪)としては、通常植物油を使用することができる。その具体例としては、例えば大豆油、綿実油、菜種油、胡麻油、サフラワー油、コーン油、落花生油、オリーブ油、ヤシ油、シソ油、ヒマシ油などを挙げることができる。また、該油性成分は、例えば2−リノレオイル−1,3−ジオクタノイルグリセロールなどの化学合成トリグリセリドであってもよく、中鎖トリグリセリド(MCT)、例えば炭素数8−10のトリグリセリド(これらを主成分とする市販品としては、商品名:「ココナード」(花王社製)、「ODO」(日清製油社製)、「ミグリオール」(SASOL社)、「パナセート」(日本油脂社製)などを例示できる)であってもよい。更に、油性成分は動物油、鉱油などのであってもよい。これらはその1種を単独で利用することもでき、2種以上を併用することもできる。
【0026】
乳化剤としては、代表的には、天然のリン脂質である卵黄レシチン、大豆レシチン、それらを水素添加した水添卵黄レシチン、水添大豆レシチンを挙げることができる。また、乳化剤は化学合成したリン脂質でもよい。該化学合成したリン脂質には、ホスファチジルコリン(ジパルミトイルホスファチジルコリン、ジミリストイルホスファチジルコリン、ジステアロイルホスファチジルコリン、ジオレオイルホスファチジルコリンなど)、ホスファチジルグリセロール(ジパルミトイルホスファチジルグリセロール、ジミリストイルホスファチジルグリセロール、ジステアロイルホスファチジルグリセロール、ジオレオイルホスファチジルグリセロールなど)、ホスファチジルエタノールアミン(ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン、ジミリストイルホスファチジルエタノールアミン、ジステアロイルホスファチジルエタノールアミン、ジオレオイルホスファチジルエタノールアミンなど)などが含まれる。これら乳化剤は1種単独でまたは2種以上混合して利用される。好ましい乳化剤は卵黄レシチンおよび大豆レシチンである。
【0027】
上記油性成分および乳化剤は予めこれらを混合し、水中に乳化した脂肪乳剤の形態であってもよい。該脂肪乳剤の調製方法(乳化分散方法)は当業界でよく知られている。例えば両者の混合物に注射用水を加えて粗乳化後、得られる粗乳化液を適当な高圧乳化機などを利用して乳化(精乳化)する方法によることができる。粗乳化は、より詳しくは、例えば特殊機化工業社製T.K.ホモミクサーなどのホモミキサーを用いて、通常5000回転/分以上で5分間以上を要して実施できる。精乳化は、例えばマントンゴウリンホモジナイザー(ゴウリン社製)などの高圧ホモジナイザーまたは超音波ホモジナイザーを用いて実施できる。高圧ホモジナイザーを用いる場合、一般には約200kg/cm2以上の圧力条件下に、2−50回程度、好ましくは5−20回程度通過させることにより実施することができる。これらの混合乳化操作は、常温下に実施してもよく、若干の加温操作(通常55−80℃程度)を採用して実施してもよい。
【0028】
油性成分および乳化剤の配合割合は、脂肪乳剤が得られる限り特に限定されるものではない。通常、油性成分および乳化剤は、これらを用いて調製した脂肪乳剤を利用して得られる本発明組成物中に、油性成分が0.1−30重量%、好ましくは0.2−20重量%程度、および乳化剤が0.01−6重量%程度、好ましくは0.02−3重量%程度配合される範囲から選ばれるのがよい。また、本発明組成物を構成する油性成分と乳化剤との割合は、乳化剤1に対して油性成分が0.5−50重量倍となる割合から選択されるのが望ましい。
【0029】
上記で調製される脂肪乳剤(乳化液)には、特に必要ではないが、所望により、この種脂肪乳剤中に添加配合できることの知られている各種の添加剤の適当量を更に添加配合することもできる。該添加剤としては、例えば酸化防止剤、抗菌剤、pH調節剤、等張化剤などを挙げることができる。酸化防止剤の具体例としては、メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸カリウム、亜硫酸カリウム、チオ硫酸ナトリウムなどを例示することができる。抗菌剤としては、例えばカプリル酸ナトリウム、安息香酸メチル、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム(EDTA)、亜硫酸水素ナトリウムなどが挙げられる。pH調節剤としては、塩酸、酢酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、水酸化ナトリウム、塩酸などを使用できる。等張化剤としてはグリセリン;ブドウ糖、果糖、マルトースなどの糖類;ソルビトール、キシリトールなどの糖アルコール類などを使用できる。これらの内、油溶性材料は、乳化液を構成する油性成分などに予め混合して利用することができる。水溶性材料は、注射用水に混合するか、または得られる乳化液の水相中に添加配合することができる。これらの添加配合量は、当業者にとり自明であり、従来知られているそれらの添加配合量と特に異ならない。
【0030】
かくして得られる脂肪乳剤は、通常pH5.0−8.5程度、好ましくは5.5−8.0程度に調整することができる。
【0031】
シクロデキストリン類
シクロデキストリン類には、シクロデキストリン、その誘導体およびそれらの薬理的に許容される塩類が包含される。ここでシクロデキストリンとは、6−12個のグルコース単位からなる環状オリゴ糖をいう。該シクロデキストリンの誘導体とは、シクロデキストリンを構成するグルコースの2,3,6位の水酸基の一部または全てが他の官能基で置換された化合物をいう。シクロデキストリンおよびその誘導体の具体例としては、下記一般式(1)で表される化合物を挙げることができる。
【0032】
【化1】
【0033】
(式中、nは6−12の整数、R11、R12およびR13は個々の繰り返し単位中で同一または異なって、それぞれ水素原子、アルキル基、モノヒドロキシアルキル基、ジヒドロキシアルキル基、スルホアルキル基、カルボキシアルキル基または糖残基を示す。)
上記においてアルキル基としては、例えばメチル、エチル、プロピルなどのC1−4−アルキル基を例示することができる。モノヒドロキシアルキル基としては、例えばヒドロキシメチル、2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピルなどのモノヒドロキシ−C1−4−アルキル基を例示することができる。ジヒドロキシアルキル基としては、例えばジヒドロキシメチル、2,2−ジヒドロキシエチル、ジヒドロキシプロピルなどのジヒドロキシ−C1−4−アルキル基を例示することができる。スルホアルキル基としては、例えばスルホメチル、2−スルホエチル、スルホブチルなどのスルホ−C1−4−アルキル基を例示することができる。カルボキシアルキル基としては、例えばカルボキシメチル、2−カルボキシエチルなどのカルボキシ−C1−4−アルキル基を例示することができる。また、糖残基としては、例えばグルコシル基、マルトシル基、パノシル基などを例示することができる。
【0034】
本発明に利用される好ましいシクロデキストリン類には、一般式(1)において、n=6であるα−シクロデキストリンもしくはその誘導体、n=7であるβ−シクロデキストリンもしくはその誘導体、n=8であるγ−シクロデキストリンもしくはその誘導体およびn=9であるδ−シクロデキストリンもしくはその誘導体が包含される。これらの好ましいシクロデキストリン誘導体の具体例としては、シクロデキストリンのアルキル誘導体、ヒドロキシアルキル誘導体、スルホアルキルエーテル誘導体または糖結合誘導体などを挙げることができる。このシクロデキストリンのアルキル誘導体には、ジメチル−α−シクロデキストリン、ジメチル−β−シクロデキストリン、ジメチル−γ−シクロデキストリンなどが含まれる。シクロデキストリンのヒドロキシアルキル誘導体には、2−ヒドロキシプロピル−α−シクロデキストリン、2−ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン、2−ヒドロキシプロピル−γ−シクロデキストリンなどが含まれる。シクロデキストリンのスルホアルキルエーテル誘導体には、スルホブチルエーテル−α−シクロデキストリン、スルホブチルエーテル−β−シクロデキストリン、スルホブチルエーテル−γ−シクロデキストリンなどが含まれる。シクロデキストリンの糖結合誘導体には、グルコシル−α−シクロデキストリン、グルコシル−β−シクロデキストリン、グルコシル−γ−シクロデキストリン、マルトシル−α−シクロデキストリン、マルトシル−β−シクロデキストリン、マルトシル−γ−シクロデキストリンなどが含まれる。
【0035】
またシクロデキストリンおよびその誘導体の薬理的に許容される塩類としては、例えばナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩などを例示することができる。
【0036】
本発明組成物中へのシクロデキストリン類の配合量は、0.01−50重量%程度、好ましくは0.02−40重量%程度の範囲から適宜選択することができる。この範囲内でのシクロデキストリン類の配合によって、本発明所期の効果を奏し得る。また、該シクロデキストリン類の配合量は、本発明組成物を構成する乳化剤成分に対して、等モル量程度〜3000倍モル量程度の範囲となるように選ばれるのが好ましい。
【0037】
本発明組成物
本発明組成物は、前記難溶性化合物、油性成分、乳化剤およびシクロデキストリン類の所定量を混合することにより調製される。各成分の混合割合は、難溶性化合物0.002−10重量%、好ましくは0.01−2重量%、油性成分0.1−30重量%、好ましくは0.2−20重量%、乳化剤0.01−6重量%、好ましくは0.02−3重量%およびシクロデキストリン類0.01−50重量%、好ましくは0.02−40重量%の範囲から選択されるのがよい。
【0038】
各成分の混合方法は、混合物が乳化液形態となる限り特に制限されず、一般的方法に従って実施することができる。例えば、難溶性化合物、油性成分および乳化剤を予め混合し、混合物を水中に乳化し、得られる脂肪乳剤にシクロデキストリンを添加する方法によって、本発明の所望の組成物を得ることができる。また、例えば、難溶性化合物、油性成分および乳化剤を予め混合し、シクロデキストリンを水に溶解させた液中に該混合物を乳化する方法によっても、本発明の所望の組成物を得ることができる。更に、予め油性成分と乳化剤とを含む脂肪乳剤を調製した後、この脂肪乳剤に難溶性化合物とシクロデキストリン類とを添加して乳化することによっても本発明の所望の組成物を得ることができる。
【0039】
以上の各方法(乳化分散方法)において採用できる乳化液を得る手段は、当業界でよく知られている。例えば特殊機化工業社製T.K.ホモミクサーなどのホモミキサーを用いて、通常5000回転/分以上で5分間以上を要する粗乳化手段および例えばマントンゴウリンホモジナイザー(ゴウリン社製)などの高圧ホモジナイザーまたは超音波ホモジナイザーを用い他精乳化手段を採用することができる。高圧ホモジナイザーを用いる精乳化は、一般には約200kg/cm2以上の圧力条件下に、2−50回程度、好ましくは5−20回程度通過させることにより実施できる。また、各乳化操作は、常温下に実施してもよく、若干の加温操作(通常55−80℃程度)を採用して実施してもよい。
【0040】
かくして得られる本発明組成物は、常法に従って、濾過、滅菌して製品とすることができる。濾過は通常のメンブランフィルターを使用して実施することができる。滅菌は、例えば高圧蒸気滅菌、熱水浸漬滅菌、シャワー滅菌などにより行ない得る。
【0041】
本発明組成物は、その有効成分とする難溶性化合物が利用される用途、例えば、免疫抑制剤、抗真菌剤、抗悪性腫瘍薬などとして有用である。
【0042】
【実施例】
以下、本発明を更に詳しく説明するため実施例を挙げる。
【0043】
【実施例1−9】
(1) 下記表1および表2に示す各成分からなる本発明脂肪乳剤組成物を、以下の通り調製した。
【0044】
【表1】
【0045】
【表2】
【0046】
尚、表中の各成分としては次のものを使用した。
【0047】
大豆油(精製大豆油;日清製油株式会社製)
レシチン(精製卵黄レシチン;キューピー株式会社製)
SBE7−β−CyD(ヘプタ置換スルホブチルエーテル−β−シクロデキストリンナトリウム塩、「Captisol」, CyDex社製)
HP−β−CyD(2−ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン、「Cavitron82003」, Cargill社製)
即ち、表1および表2に記載の各成分中、パクリタキセルおよび大豆油を混合し、次いで混合物にレシチンを添加した後、このものに最終濃度が2.21%となる量のグリセリンを注射用水に溶解した液を加え、ポリトロンホモジナイザー(KINEMATICA社製)を用いて窒素気流下、加温下に、25000回転/分で10分間を要して粗乳化した。
【0048】
次いで、得られた粗乳化液をpH8.2−8.3に調製後、APVゴウリンホモジナイザー(APVゴウリン社)を用いて、平均粒子径が0.3μm以下となるまで、窒素気流下、乳化温度40−80℃、乳化圧550kg/cm2で精乳化した。
【0049】
得られた乳化液に、表1および表2に記載のSBE7−β−CyDあるいはHP−β−CyDを添加し、60分攪拌後、10mL容のガラスバイアルに10mL充填し、密封して、本発明脂肪乳剤試料を得た。
【0050】
得られた試料4mLを13,000gで2時間遠心し、沈殿をエタノールで溶解し、高速液体クロマトグラフにより薬物量を測定し、試料1mLあたりの沈殿した薬物量を算出した。得られた結果を表1および2に併記する。
【0051】
【比較例1−6】
実施例1−4においてSBE7−β−CyDを添加しない以外は同様にして、表3に比較例1−4として示す各組成の比較脂肪乳剤試料を調製した。
【0052】
また、実施例1および5において、大豆油およびレシチンを添加しない以外は同様にして、表3に比較例5および6として記載の比較製剤試料を調製した。
【0053】
【表3】
【0054】
得られた試料1mLあたりの沈殿した薬物量を、実施例1と同様にして求めた結果を表3に併記する。
【0055】
【実施例10】
表4に記載の各成分中、パクリタキセルおよび大豆油を混合し、次いで混合物にレシチンを添加した後、このものに最終濃度が2.21%となる量のグリセリンと最終濃度が20%となる量のHP−β−CyDを注射用水に溶解した液を加えて、ポリトロンホモジナイザー(KINEMATICA社製)を用いて窒素気流下、加温して,25000回転/分で10分間粗乳化した。次いで、得られた粗乳化液をpH8.2−8.3に調整後、APVゴウリンホモジナイザー(APVゴウリン社)を用いて、平均粒子径が0.3μm以下となるまで、窒素気流下、乳化温度40−80℃、乳化圧550kg/cm2で精乳化した。
【0056】
得られた乳化液を10mL容のガラスバイアルに10mL充填し、密封して、本発明脂肪乳剤試料を得た。
【0057】
得られた試料を13,000gで2時間遠心し、沈殿をエタノールで溶解し、高速液体クロマトグラフにより薬物量を測定し、試料1mLあたりの沈殿した薬物量を算出した。結果を表4に併記する。
【0058】
【表4】
【0059】
【比較例7】
表5に記載の各成分中、パクリタキセルとレシチンとを、最終濃度が2.21%となる量のグリセリンと最終濃度が20%となる量のHP−β−CyDを注射用水に溶解した液を加え、混合液をポリトロンホモジナイザー(KINEMATICA社製)を用いて窒素気流下、加温下に、25000回転/分で10分間粗乳化した。以後、実施例10と同様の方法で、比較乳剤試料を調製し、その試料1mLあたりの沈殿した薬物量を実施例10と同様にして求めた。結果を表5に併記する。
【0060】
【表5】
【0061】
【実施例11および12】
実施例9と同様にして表6に記載の各成分の10倍濃度を含有する脂肪乳剤を調製し、これに生理食塩液を加えて10倍に希釈して、本発明脂肪乳剤試料を調製した。それら試料1mLあたりの沈殿した薬物量を実施例9と同様にして求めた。得られた結果を表6に併記する。
【0062】
【表6】
【0063】
【実施例13−15】
表7に記載の各成分中、パクリタキセル(実施例13),スルファジメトキシン(実施例14)またはロキシスロマイシン(実施例15)のそれぞれに大豆油を混合し、次いで混合物にレシチンを添加した後、このものに最終濃度が2.21%となる量のグリセリンと最終濃度が20%となる量のHP−β−CyDを注射用水に溶解した液を加えて、ポリトロンホモジナイザー(KINEMATICA社製)を用いて窒素気流下、加温して、25000回転/分で10分間粗乳化した。次いで、得られた粗乳化液をpH8.2−8.3に調整後、APVゴウリンホモジナイザー(APVゴウリン社)を用いて、平均粒子径が0.3μm以下となるまで、窒素気流下、乳化温度40−80℃、乳化圧550kg/cm2で精乳化した。
【0064】
得られた乳化液を10mL容のガラスバイアルに10mL充填し、密封して、本発明脂肪乳剤試料を得た。本試料につき,高速液体クロマトグラフにより薬物量を測定し、試料1mLあたりの薬物量を算出して製剤濃度とした。
【0065】
得られた試料を13,000gで2時間遠心し、沈殿をエタノールで溶解し、高速液体クロマトグラフにより薬物量を測定し、試料1mLあたりの沈殿した薬物量を算出して沈澱量とした。製剤濃度から沈澱量を差し引いた値を溶解度(mg/mL)として得られた結果を表7に併記する。
【0066】
【比較例8−13】
実施例13(パクリタキセル)、実施例14(スルファジメトキシン)および実施例15(ロキシスロマイシン)においてHP−β−CyDを添加しない以外は同様にして、表7に比較例8(パクリタキセル)、比較例10(スルファジメトキシン)および比較例12(ロキシスロマイシン)として記載の比較脂肪乳剤試料を調製した。
【0067】
また、実施例13(パクリタキセル)、実施例14(スルファジメトキシン)および実施例15(ロキシスロマイシン)において大豆油およびレシチンを添加しない以外は同様にして、表7に比較例9(パクリタキセル)、比較例11(スルファジメトキシン)および比較例13(ロキシスロマイシン)として記載の比較製剤試料を調製した。得られた試料につき、実施例13−15と同様にして求めた溶解度の結果を表7に併記する。
【0068】
【表7】
【0069】
以上の通り、本発明組成物は脂肪乳剤およびシクロデキストリン類を併用したことに基づいて、脂肪乳剤およびシクロデキストリン類をそれぞれ単独で用いた場合と比較して、これらが相乗的に作用しあって難溶性化合物を可溶化または分散化することができ、従来技術では困難であった難溶性化合物の製剤化が行い得ることが判る。また、本発明によれば、該難溶性化合物の相対的に高濃度の製剤化が可能となる。従って該製剤は、これを人体に投与する場合、投与量の減少が可能となり、投与の負担軽減にも有効である。更に、本発明組成物は、従来難溶性薬物の可溶化に用いられてきたポリオキシエチレンヒマシ油などを用いていないため、これに起因するアナフィラキシーショックの危険性もなく、人体に安全に投与可能である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、可溶化または分散化された難溶性化合物を含む組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
医薬品、特に血管内投与される医薬品は、その投与が人体に悪影響を及ぼさない程度に、有効成分化合物(薬剤)が可溶化または分散されて該医薬品中に存在していることが必要である。しかるに、免疫抑制剤としてのタクロリムス水和剤、シクロスポリンなど、抗真菌剤としてのミコナゾールなど、サルファ剤としてのスルファジメトキシンなど、抗生剤としてのロキシスロマイシンなど、抗悪性腫瘍薬としてのエノシタビン、パクリタキセルなどは、水および他の各種の溶媒に対して難溶性であり、その製剤化に当たっては、何らかの可溶化剤または分散化剤の利用が必須である。
【0003】
従来、かかる可溶化剤または分散化剤としては、代表的にはポリオキシエチレンヒマシ油(「クレモホール−EL」、BASF社)が知られているが、該可溶化剤または分散化剤自体、例えばアナフィラキシーショックの出現などの副作用の一因となることが知られており、また、製剤化の面でも結晶析出などの問題を伴うことが知られている(特許文献1および非特許文献1参照)。
【0004】
他の可溶化剤または分散化剤としては、HP−β−CyD (2−ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン)、SBE7−β−CyD (ヘプタ置換スルホブチルエーテル−β−シクロデキストリン)、ある種の脂肪乳剤などが知られているが、これらは特定の難溶性化合物に対して、比較的多量乃至高濃度での配合によってしか可溶化または分散化効果を奏し得ず、その可溶化または分散化効果自体尚不十分である欠点を有している。
【0005】
以上のように、従来、各種難溶性化合物の可溶化または分散化に少量の利用で充分な効果を奏し得、それ故、副作用などによる疾患発症のおそれのない可溶化剤または分散化剤、およびそのような可溶化剤または分散化剤を利用した難溶性化合物の可溶化または分散化技術は、尚開発されていない現状にある。
【0006】
【特許文献1】
特表平10−502921号公報
【0007】
【非特許文献1】
Adam, J. D., et al., (1993), ”Journal of the national cancer institute monographs”, No. 15, p.141−147
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、難溶性化合物の有効な可溶化または分散化手段を提供すること、特に、その配合によって難溶性化合物を充分に可溶化または分散化でき、しかもその配合によっても、従来技術に見られるような副作用の出現などを伴わない、新しい可溶化剤または分散化剤乃至可溶化または分散化手段を確立、提供することにある。
【0009】
【問題点を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、所定量の油性成分、乳化剤およびシクロデキストリンの組合せ配合によって、上記目的を達成することができるという事実を発見した。本発明は、この知見を基礎として更に研究を重ねた結果、完成されたものである。本発明の要旨は、下記項1−11に記載されるとおりである。
【0010】
項1. 可溶化または分散化された難溶性化合物を含む組成物であって、難溶性化合物0.002−10重量%、油性成分0.1−30重量%、乳化剤0.01−6重量%およびシクロデキストリン類0.01−50重量%を含み、脂肪乳剤形態であることを特徴とする組成物。
【0011】
項2. 油性成分が乳化剤に対して重量比で0.5−50倍含有され且つシクロデキストリン類が乳化剤に対してモル比で1−3000倍含有される項1に記載の組成物。
【0012】
項3. 難溶性化合物0.01−2重量%、油性成分0.2−20重量%、乳化剤0.02−3重量%およびシクロデキストリン類0.02−40重量%を含む項1または2に記載の組成物。
【0013】
項4. 難溶性化合物がタキシン類である項1−3のいずれかに記載の組成物。
【0014】
項5. 難溶性化合物がパクリタキセルである項4に記載の組成物。
【0015】
項6. シクロデキストリン類が2−ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリンおよび/またはスルホブチルエーテル−β−シクロデキストリンである項1−3のいずれかに記載の組成物。
【0016】
項7. 油性成分が天然および/または合成のトリグリセリドであり且つ乳化剤が天然および/または合成のリン脂質である項1−3のいずれかに記載の組成物。
【0017】
項8. 油性成分が大豆油であり且つ乳化剤が卵黄レシチンである項7に記載の組成物。
【0018】
項9. 難溶性化合物がパクリタキセルであり、油性成分が大豆油であり、乳化剤が卵黄レシチンであり且つシクロデキストリン類が2−ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリンおよび/またはスルホブチルエーテル−β−シクロデキストリンである項1−3のいずれかに記載の組成物。
【0019】
項10. 難溶性化合物、油性成分および乳化剤を含む油状物を水中に乳化後、得られる乳化液にシクロデキストリン類を加えることを特徴とする項1−3のいずれかに記載の組成物の製造方法。
【0020】
項11.難溶性化合物、油性成分および乳化剤を含む油状物を混合し、シクロデキストリン類を水に溶解させた液中に該混合物を乳化することを特徴とする請求項1−3のいずれかに記載の組成物の製造方法。
【0021】
本発明は、油性成分、乳化剤およびシクロデキストリン類を所定量併用する時には、これらの各成分が相乗的に作用しあって難溶性化合物を充分に可溶化または分散化できるという事実の発見を基礎として完成されたものである。本発明組成物に認められる難溶性化合物の優れた可溶化または分散化効果(各成分の併用による相乗効果)の詳細は、後記実施例に示されるとおりである。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明組成物につき詳述する。
【0023】
難溶性化合物
本発明において難溶性化合物とは、医薬品分野で利用できることの知られている化合物であって、水および各種溶媒に対する溶解性がその有効投与量との関連において低い化合物をいう。具体的には、第十四改正日本薬局方、通則に記載の溶解性において「溶けにくい」、「極めて溶けにくい」および「ほとんど溶けない」の用語が用いられる化合物をいう。換言すれば、溶質1gまたは1mLを溶かすに要する溶媒量が100mL以上(濃度1%以下)、好ましくは1000mL以上(濃度0.1%以下)、より好ましくは10,000mL以上(濃度0.01%以下)である化合物がこれに包含される。
【0024】
難溶性化合物の具体例としては、免疫抑制剤としてのタクロリムス水和剤、シクロスポリンなど、抗真菌剤としてのミコナゾールなど、サルファ剤としてのスルファジメトキシンなど、抗生剤としてのロキシスロマイシンなど、抗悪性腫瘍薬としてのエノシタビン、パクリタキセルなどを挙げることができる。これらの中でも、パクリタキセルおよびこれを含むタキシン類は、本発明によって可溶化または分散化される最も好ましい難溶性化合物の一種である。例えばパクリタキセルの水に対する溶解度は0.01%以下であり、大豆油に対する溶解度は約0.05%である。
【0025】
油性成分および乳化剤
本発明組成物において、油性成分(脂肪)としては、通常植物油を使用することができる。その具体例としては、例えば大豆油、綿実油、菜種油、胡麻油、サフラワー油、コーン油、落花生油、オリーブ油、ヤシ油、シソ油、ヒマシ油などを挙げることができる。また、該油性成分は、例えば2−リノレオイル−1,3−ジオクタノイルグリセロールなどの化学合成トリグリセリドであってもよく、中鎖トリグリセリド(MCT)、例えば炭素数8−10のトリグリセリド(これらを主成分とする市販品としては、商品名:「ココナード」(花王社製)、「ODO」(日清製油社製)、「ミグリオール」(SASOL社)、「パナセート」(日本油脂社製)などを例示できる)であってもよい。更に、油性成分は動物油、鉱油などのであってもよい。これらはその1種を単独で利用することもでき、2種以上を併用することもできる。
【0026】
乳化剤としては、代表的には、天然のリン脂質である卵黄レシチン、大豆レシチン、それらを水素添加した水添卵黄レシチン、水添大豆レシチンを挙げることができる。また、乳化剤は化学合成したリン脂質でもよい。該化学合成したリン脂質には、ホスファチジルコリン(ジパルミトイルホスファチジルコリン、ジミリストイルホスファチジルコリン、ジステアロイルホスファチジルコリン、ジオレオイルホスファチジルコリンなど)、ホスファチジルグリセロール(ジパルミトイルホスファチジルグリセロール、ジミリストイルホスファチジルグリセロール、ジステアロイルホスファチジルグリセロール、ジオレオイルホスファチジルグリセロールなど)、ホスファチジルエタノールアミン(ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン、ジミリストイルホスファチジルエタノールアミン、ジステアロイルホスファチジルエタノールアミン、ジオレオイルホスファチジルエタノールアミンなど)などが含まれる。これら乳化剤は1種単独でまたは2種以上混合して利用される。好ましい乳化剤は卵黄レシチンおよび大豆レシチンである。
【0027】
上記油性成分および乳化剤は予めこれらを混合し、水中に乳化した脂肪乳剤の形態であってもよい。該脂肪乳剤の調製方法(乳化分散方法)は当業界でよく知られている。例えば両者の混合物に注射用水を加えて粗乳化後、得られる粗乳化液を適当な高圧乳化機などを利用して乳化(精乳化)する方法によることができる。粗乳化は、より詳しくは、例えば特殊機化工業社製T.K.ホモミクサーなどのホモミキサーを用いて、通常5000回転/分以上で5分間以上を要して実施できる。精乳化は、例えばマントンゴウリンホモジナイザー(ゴウリン社製)などの高圧ホモジナイザーまたは超音波ホモジナイザーを用いて実施できる。高圧ホモジナイザーを用いる場合、一般には約200kg/cm2以上の圧力条件下に、2−50回程度、好ましくは5−20回程度通過させることにより実施することができる。これらの混合乳化操作は、常温下に実施してもよく、若干の加温操作(通常55−80℃程度)を採用して実施してもよい。
【0028】
油性成分および乳化剤の配合割合は、脂肪乳剤が得られる限り特に限定されるものではない。通常、油性成分および乳化剤は、これらを用いて調製した脂肪乳剤を利用して得られる本発明組成物中に、油性成分が0.1−30重量%、好ましくは0.2−20重量%程度、および乳化剤が0.01−6重量%程度、好ましくは0.02−3重量%程度配合される範囲から選ばれるのがよい。また、本発明組成物を構成する油性成分と乳化剤との割合は、乳化剤1に対して油性成分が0.5−50重量倍となる割合から選択されるのが望ましい。
【0029】
上記で調製される脂肪乳剤(乳化液)には、特に必要ではないが、所望により、この種脂肪乳剤中に添加配合できることの知られている各種の添加剤の適当量を更に添加配合することもできる。該添加剤としては、例えば酸化防止剤、抗菌剤、pH調節剤、等張化剤などを挙げることができる。酸化防止剤の具体例としては、メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸カリウム、亜硫酸カリウム、チオ硫酸ナトリウムなどを例示することができる。抗菌剤としては、例えばカプリル酸ナトリウム、安息香酸メチル、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム(EDTA)、亜硫酸水素ナトリウムなどが挙げられる。pH調節剤としては、塩酸、酢酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、水酸化ナトリウム、塩酸などを使用できる。等張化剤としてはグリセリン;ブドウ糖、果糖、マルトースなどの糖類;ソルビトール、キシリトールなどの糖アルコール類などを使用できる。これらの内、油溶性材料は、乳化液を構成する油性成分などに予め混合して利用することができる。水溶性材料は、注射用水に混合するか、または得られる乳化液の水相中に添加配合することができる。これらの添加配合量は、当業者にとり自明であり、従来知られているそれらの添加配合量と特に異ならない。
【0030】
かくして得られる脂肪乳剤は、通常pH5.0−8.5程度、好ましくは5.5−8.0程度に調整することができる。
【0031】
シクロデキストリン類
シクロデキストリン類には、シクロデキストリン、その誘導体およびそれらの薬理的に許容される塩類が包含される。ここでシクロデキストリンとは、6−12個のグルコース単位からなる環状オリゴ糖をいう。該シクロデキストリンの誘導体とは、シクロデキストリンを構成するグルコースの2,3,6位の水酸基の一部または全てが他の官能基で置換された化合物をいう。シクロデキストリンおよびその誘導体の具体例としては、下記一般式(1)で表される化合物を挙げることができる。
【0032】
【化1】
【0033】
(式中、nは6−12の整数、R11、R12およびR13は個々の繰り返し単位中で同一または異なって、それぞれ水素原子、アルキル基、モノヒドロキシアルキル基、ジヒドロキシアルキル基、スルホアルキル基、カルボキシアルキル基または糖残基を示す。)
上記においてアルキル基としては、例えばメチル、エチル、プロピルなどのC1−4−アルキル基を例示することができる。モノヒドロキシアルキル基としては、例えばヒドロキシメチル、2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピルなどのモノヒドロキシ−C1−4−アルキル基を例示することができる。ジヒドロキシアルキル基としては、例えばジヒドロキシメチル、2,2−ジヒドロキシエチル、ジヒドロキシプロピルなどのジヒドロキシ−C1−4−アルキル基を例示することができる。スルホアルキル基としては、例えばスルホメチル、2−スルホエチル、スルホブチルなどのスルホ−C1−4−アルキル基を例示することができる。カルボキシアルキル基としては、例えばカルボキシメチル、2−カルボキシエチルなどのカルボキシ−C1−4−アルキル基を例示することができる。また、糖残基としては、例えばグルコシル基、マルトシル基、パノシル基などを例示することができる。
【0034】
本発明に利用される好ましいシクロデキストリン類には、一般式(1)において、n=6であるα−シクロデキストリンもしくはその誘導体、n=7であるβ−シクロデキストリンもしくはその誘導体、n=8であるγ−シクロデキストリンもしくはその誘導体およびn=9であるδ−シクロデキストリンもしくはその誘導体が包含される。これらの好ましいシクロデキストリン誘導体の具体例としては、シクロデキストリンのアルキル誘導体、ヒドロキシアルキル誘導体、スルホアルキルエーテル誘導体または糖結合誘導体などを挙げることができる。このシクロデキストリンのアルキル誘導体には、ジメチル−α−シクロデキストリン、ジメチル−β−シクロデキストリン、ジメチル−γ−シクロデキストリンなどが含まれる。シクロデキストリンのヒドロキシアルキル誘導体には、2−ヒドロキシプロピル−α−シクロデキストリン、2−ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン、2−ヒドロキシプロピル−γ−シクロデキストリンなどが含まれる。シクロデキストリンのスルホアルキルエーテル誘導体には、スルホブチルエーテル−α−シクロデキストリン、スルホブチルエーテル−β−シクロデキストリン、スルホブチルエーテル−γ−シクロデキストリンなどが含まれる。シクロデキストリンの糖結合誘導体には、グルコシル−α−シクロデキストリン、グルコシル−β−シクロデキストリン、グルコシル−γ−シクロデキストリン、マルトシル−α−シクロデキストリン、マルトシル−β−シクロデキストリン、マルトシル−γ−シクロデキストリンなどが含まれる。
【0035】
またシクロデキストリンおよびその誘導体の薬理的に許容される塩類としては、例えばナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩などを例示することができる。
【0036】
本発明組成物中へのシクロデキストリン類の配合量は、0.01−50重量%程度、好ましくは0.02−40重量%程度の範囲から適宜選択することができる。この範囲内でのシクロデキストリン類の配合によって、本発明所期の効果を奏し得る。また、該シクロデキストリン類の配合量は、本発明組成物を構成する乳化剤成分に対して、等モル量程度〜3000倍モル量程度の範囲となるように選ばれるのが好ましい。
【0037】
本発明組成物
本発明組成物は、前記難溶性化合物、油性成分、乳化剤およびシクロデキストリン類の所定量を混合することにより調製される。各成分の混合割合は、難溶性化合物0.002−10重量%、好ましくは0.01−2重量%、油性成分0.1−30重量%、好ましくは0.2−20重量%、乳化剤0.01−6重量%、好ましくは0.02−3重量%およびシクロデキストリン類0.01−50重量%、好ましくは0.02−40重量%の範囲から選択されるのがよい。
【0038】
各成分の混合方法は、混合物が乳化液形態となる限り特に制限されず、一般的方法に従って実施することができる。例えば、難溶性化合物、油性成分および乳化剤を予め混合し、混合物を水中に乳化し、得られる脂肪乳剤にシクロデキストリンを添加する方法によって、本発明の所望の組成物を得ることができる。また、例えば、難溶性化合物、油性成分および乳化剤を予め混合し、シクロデキストリンを水に溶解させた液中に該混合物を乳化する方法によっても、本発明の所望の組成物を得ることができる。更に、予め油性成分と乳化剤とを含む脂肪乳剤を調製した後、この脂肪乳剤に難溶性化合物とシクロデキストリン類とを添加して乳化することによっても本発明の所望の組成物を得ることができる。
【0039】
以上の各方法(乳化分散方法)において採用できる乳化液を得る手段は、当業界でよく知られている。例えば特殊機化工業社製T.K.ホモミクサーなどのホモミキサーを用いて、通常5000回転/分以上で5分間以上を要する粗乳化手段および例えばマントンゴウリンホモジナイザー(ゴウリン社製)などの高圧ホモジナイザーまたは超音波ホモジナイザーを用い他精乳化手段を採用することができる。高圧ホモジナイザーを用いる精乳化は、一般には約200kg/cm2以上の圧力条件下に、2−50回程度、好ましくは5−20回程度通過させることにより実施できる。また、各乳化操作は、常温下に実施してもよく、若干の加温操作(通常55−80℃程度)を採用して実施してもよい。
【0040】
かくして得られる本発明組成物は、常法に従って、濾過、滅菌して製品とすることができる。濾過は通常のメンブランフィルターを使用して実施することができる。滅菌は、例えば高圧蒸気滅菌、熱水浸漬滅菌、シャワー滅菌などにより行ない得る。
【0041】
本発明組成物は、その有効成分とする難溶性化合物が利用される用途、例えば、免疫抑制剤、抗真菌剤、抗悪性腫瘍薬などとして有用である。
【0042】
【実施例】
以下、本発明を更に詳しく説明するため実施例を挙げる。
【0043】
【実施例1−9】
(1) 下記表1および表2に示す各成分からなる本発明脂肪乳剤組成物を、以下の通り調製した。
【0044】
【表1】
【0045】
【表2】
【0046】
尚、表中の各成分としては次のものを使用した。
【0047】
大豆油(精製大豆油;日清製油株式会社製)
レシチン(精製卵黄レシチン;キューピー株式会社製)
SBE7−β−CyD(ヘプタ置換スルホブチルエーテル−β−シクロデキストリンナトリウム塩、「Captisol」, CyDex社製)
HP−β−CyD(2−ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン、「Cavitron82003」, Cargill社製)
即ち、表1および表2に記載の各成分中、パクリタキセルおよび大豆油を混合し、次いで混合物にレシチンを添加した後、このものに最終濃度が2.21%となる量のグリセリンを注射用水に溶解した液を加え、ポリトロンホモジナイザー(KINEMATICA社製)を用いて窒素気流下、加温下に、25000回転/分で10分間を要して粗乳化した。
【0048】
次いで、得られた粗乳化液をpH8.2−8.3に調製後、APVゴウリンホモジナイザー(APVゴウリン社)を用いて、平均粒子径が0.3μm以下となるまで、窒素気流下、乳化温度40−80℃、乳化圧550kg/cm2で精乳化した。
【0049】
得られた乳化液に、表1および表2に記載のSBE7−β−CyDあるいはHP−β−CyDを添加し、60分攪拌後、10mL容のガラスバイアルに10mL充填し、密封して、本発明脂肪乳剤試料を得た。
【0050】
得られた試料4mLを13,000gで2時間遠心し、沈殿をエタノールで溶解し、高速液体クロマトグラフにより薬物量を測定し、試料1mLあたりの沈殿した薬物量を算出した。得られた結果を表1および2に併記する。
【0051】
【比較例1−6】
実施例1−4においてSBE7−β−CyDを添加しない以外は同様にして、表3に比較例1−4として示す各組成の比較脂肪乳剤試料を調製した。
【0052】
また、実施例1および5において、大豆油およびレシチンを添加しない以外は同様にして、表3に比較例5および6として記載の比較製剤試料を調製した。
【0053】
【表3】
【0054】
得られた試料1mLあたりの沈殿した薬物量を、実施例1と同様にして求めた結果を表3に併記する。
【0055】
【実施例10】
表4に記載の各成分中、パクリタキセルおよび大豆油を混合し、次いで混合物にレシチンを添加した後、このものに最終濃度が2.21%となる量のグリセリンと最終濃度が20%となる量のHP−β−CyDを注射用水に溶解した液を加えて、ポリトロンホモジナイザー(KINEMATICA社製)を用いて窒素気流下、加温して,25000回転/分で10分間粗乳化した。次いで、得られた粗乳化液をpH8.2−8.3に調整後、APVゴウリンホモジナイザー(APVゴウリン社)を用いて、平均粒子径が0.3μm以下となるまで、窒素気流下、乳化温度40−80℃、乳化圧550kg/cm2で精乳化した。
【0056】
得られた乳化液を10mL容のガラスバイアルに10mL充填し、密封して、本発明脂肪乳剤試料を得た。
【0057】
得られた試料を13,000gで2時間遠心し、沈殿をエタノールで溶解し、高速液体クロマトグラフにより薬物量を測定し、試料1mLあたりの沈殿した薬物量を算出した。結果を表4に併記する。
【0058】
【表4】
【0059】
【比較例7】
表5に記載の各成分中、パクリタキセルとレシチンとを、最終濃度が2.21%となる量のグリセリンと最終濃度が20%となる量のHP−β−CyDを注射用水に溶解した液を加え、混合液をポリトロンホモジナイザー(KINEMATICA社製)を用いて窒素気流下、加温下に、25000回転/分で10分間粗乳化した。以後、実施例10と同様の方法で、比較乳剤試料を調製し、その試料1mLあたりの沈殿した薬物量を実施例10と同様にして求めた。結果を表5に併記する。
【0060】
【表5】
【0061】
【実施例11および12】
実施例9と同様にして表6に記載の各成分の10倍濃度を含有する脂肪乳剤を調製し、これに生理食塩液を加えて10倍に希釈して、本発明脂肪乳剤試料を調製した。それら試料1mLあたりの沈殿した薬物量を実施例9と同様にして求めた。得られた結果を表6に併記する。
【0062】
【表6】
【0063】
【実施例13−15】
表7に記載の各成分中、パクリタキセル(実施例13),スルファジメトキシン(実施例14)またはロキシスロマイシン(実施例15)のそれぞれに大豆油を混合し、次いで混合物にレシチンを添加した後、このものに最終濃度が2.21%となる量のグリセリンと最終濃度が20%となる量のHP−β−CyDを注射用水に溶解した液を加えて、ポリトロンホモジナイザー(KINEMATICA社製)を用いて窒素気流下、加温して、25000回転/分で10分間粗乳化した。次いで、得られた粗乳化液をpH8.2−8.3に調整後、APVゴウリンホモジナイザー(APVゴウリン社)を用いて、平均粒子径が0.3μm以下となるまで、窒素気流下、乳化温度40−80℃、乳化圧550kg/cm2で精乳化した。
【0064】
得られた乳化液を10mL容のガラスバイアルに10mL充填し、密封して、本発明脂肪乳剤試料を得た。本試料につき,高速液体クロマトグラフにより薬物量を測定し、試料1mLあたりの薬物量を算出して製剤濃度とした。
【0065】
得られた試料を13,000gで2時間遠心し、沈殿をエタノールで溶解し、高速液体クロマトグラフにより薬物量を測定し、試料1mLあたりの沈殿した薬物量を算出して沈澱量とした。製剤濃度から沈澱量を差し引いた値を溶解度(mg/mL)として得られた結果を表7に併記する。
【0066】
【比較例8−13】
実施例13(パクリタキセル)、実施例14(スルファジメトキシン)および実施例15(ロキシスロマイシン)においてHP−β−CyDを添加しない以外は同様にして、表7に比較例8(パクリタキセル)、比較例10(スルファジメトキシン)および比較例12(ロキシスロマイシン)として記載の比較脂肪乳剤試料を調製した。
【0067】
また、実施例13(パクリタキセル)、実施例14(スルファジメトキシン)および実施例15(ロキシスロマイシン)において大豆油およびレシチンを添加しない以外は同様にして、表7に比較例9(パクリタキセル)、比較例11(スルファジメトキシン)および比較例13(ロキシスロマイシン)として記載の比較製剤試料を調製した。得られた試料につき、実施例13−15と同様にして求めた溶解度の結果を表7に併記する。
【0068】
【表7】
【0069】
以上の通り、本発明組成物は脂肪乳剤およびシクロデキストリン類を併用したことに基づいて、脂肪乳剤およびシクロデキストリン類をそれぞれ単独で用いた場合と比較して、これらが相乗的に作用しあって難溶性化合物を可溶化または分散化することができ、従来技術では困難であった難溶性化合物の製剤化が行い得ることが判る。また、本発明によれば、該難溶性化合物の相対的に高濃度の製剤化が可能となる。従って該製剤は、これを人体に投与する場合、投与量の減少が可能となり、投与の負担軽減にも有効である。更に、本発明組成物は、従来難溶性薬物の可溶化に用いられてきたポリオキシエチレンヒマシ油などを用いていないため、これに起因するアナフィラキシーショックの危険性もなく、人体に安全に投与可能である。
Claims (11)
- 可溶化または分散化された難溶性化合物を含む組成物であって、難溶性化合物0.002−10重量%、油性成分0.1−30重量%、乳化剤0.01−6重量%およびシクロデキストリン類0.01−50重量%を含み、脂肪乳剤形態であることを特徴とする組成物。
- 油性成分が乳化剤に対して重量比で0.5−50倍含有され且つシクロデキストリン類が乳化剤に対してモル比で1−3000倍含有される請求項1に記載の組成物。
- 難溶性化合物0.01−2重量%、油性成分0.2−20重量%、乳化剤0.02−3重量%およびシクロデキストリン類0.02−40重量%を含む請求項1または2に記載の組成物。
- 難溶性化合物がタキシン類である請求項1−3のいずれかに記載の組成物。
- 難溶性化合物がパクリタキセルである請求項4に記載の組成物。
- シクロデキストリン類が2−ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリンおよび/またはスルホブチルエーテル−β−シクロデキストリンである請求項1−3のいずれかに記載の組成物。
- 油性成分が天然および/または合成のトリグリセリドであり且つ乳化剤が天然および/または合成のリン脂質である請求項1−3のいずれかに記載の組成物。
- 油性成分が大豆油であり且つ乳化剤が卵黄レシチンである請求項7に記載の組成物。
- 難溶性化合物がパクリタキセルであり、油性成分が大豆油であり、乳化剤が卵黄レシチンであり且つシクロデキストリン類が2−ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリンおよび/またはスルホブチルエーテル−β−シクロデキストリンである請求項1−3のいずれかに記載の組成物。
- 難溶性化合物、油性成分および乳化剤を含む油状物を水中に乳化後、得られる乳化液にシクロデキストリン類を加えることを特徴とする請求項1−3のいずれかに記載の組成物の製造方法。
- 難溶性化合物、油性成分および乳化剤を含む油状物を混合し、シクロデキストリン類を水に溶解させた液中に該混合物を乳化することを特徴とする請求項1−3のいずれかに記載の組成物の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003187861A JP2005022989A (ja) | 2003-06-30 | 2003-06-30 | 可溶化または分散化された難溶性化合物を含む組成物 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003187861A JP2005022989A (ja) | 2003-06-30 | 2003-06-30 | 可溶化または分散化された難溶性化合物を含む組成物 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2005022989A true JP2005022989A (ja) | 2005-01-27 |
Family
ID=34186571
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003187861A Withdrawn JP2005022989A (ja) | 2003-06-30 | 2003-06-30 | 可溶化または分散化された難溶性化合物を含む組成物 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2005022989A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2005067905A1 (ja) * | 2004-01-14 | 2005-07-28 | Otsuka Pharmaceutical Factory, Inc. | プロポフォール含有脂肪乳剤 |
WO2009017250A1 (en) | 2007-07-31 | 2009-02-05 | Otsuka Pharmaceutical Co., Ltd. | Methods for producing aripiprazole suspension and freeze-dried formulation |
JP2016508138A (ja) * | 2012-12-24 | 2016-03-17 | スプラテック ファーマ インコーポレイテッド | カバジタキセル組成物 |
-
2003
- 2003-06-30 JP JP2003187861A patent/JP2005022989A/ja not_active Withdrawn
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2005067905A1 (ja) * | 2004-01-14 | 2005-07-28 | Otsuka Pharmaceutical Factory, Inc. | プロポフォール含有脂肪乳剤 |
JPWO2005067905A1 (ja) * | 2004-01-14 | 2007-12-27 | 株式会社大塚製薬工場 | プロポフォール含有脂肪乳剤 |
WO2009017250A1 (en) | 2007-07-31 | 2009-02-05 | Otsuka Pharmaceutical Co., Ltd. | Methods for producing aripiprazole suspension and freeze-dried formulation |
US9457026B2 (en) | 2007-07-31 | 2016-10-04 | Otsuka Pharmaceutical Co., Ltd. | Methods for producing aripiprazole suspension and freeze-dried formulation |
JP2016508138A (ja) * | 2012-12-24 | 2016-03-17 | スプラテック ファーマ インコーポレイテッド | カバジタキセル組成物 |
US9919053B2 (en) | 2012-12-24 | 2018-03-20 | Softkemo Pharma Corp. | Cabazitaxel composition |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP4643641B2 (ja) | 高水溶性薬物を送達するための組成物 | |
JPWO2005067905A1 (ja) | プロポフォール含有脂肪乳剤 | |
JP4929158B2 (ja) | 難水溶性薬物を含有する医薬組成物 | |
JP5021305B2 (ja) | 水溶性ジテルペンの調製方法およびその適用 | |
EP1225872A1 (en) | New and improved formulation for paclitaxel | |
JP2013511516A (ja) | ゲムシタビン誘導体の非経口製剤 | |
JP2010013461A (ja) | 低い水溶性を有する生物学的に活性な化合物を可溶化するための方法および組成物 | |
MX2011000795A (es) | Nanoemulsion estable inyectable de docetaxel de aceite en agua. | |
JP2007332157A (ja) | 溶解性に劣る薬物のためのエマルジョンビヒクル | |
JP5847722B2 (ja) | pH調節剤を含むタキサンの医薬溶液、およびその作製方法 | |
AU775158B2 (en) | Water-miscible pharmaceutical compositions of paclitaxel | |
CN108289832B (zh) | 用于以输注或注射形式进行静脉给药的左西孟旦以及输注浓缩液的改善配方 | |
JP5574965B2 (ja) | 新規タキソイドに基づく組成物 | |
JP5021887B2 (ja) | アゼチジン誘導体に基づく医薬組成物 | |
CN111867562A (zh) | 不溶性药物的水性制剂 | |
JP2005225818A (ja) | パクリタキセル又はドセタキセルの医薬組成物 | |
JP5116306B2 (ja) | タキソイドの経口投与用半固体製剤 | |
JP2005075783A (ja) | 難溶性化合物の可溶化または分散化用組成物 | |
CN115297857A (zh) | 多西他赛制剂 | |
JP2005022989A (ja) | 可溶化または分散化された難溶性化合物を含む組成物 | |
WO2005065676A1 (ja) | パクリタキセルまたはドセタキセルを含む脂肪乳剤 | |
JP4719355B2 (ja) | パルトリシン誘導体の注射可能な薬学的処方物 | |
JP2013001700A (ja) | プロポフォール含有水中油型エマルション組成物 | |
JP2013018737A (ja) | 凍結乾燥製剤及びその製造方法 | |
JPH10265375A (ja) | 高級脂肪族アルコール製剤 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20051031 |
|
A761 | Written withdrawal of application |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A761 Effective date: 20070704 |