JP2005022950A - 単層カーボンナノチューブの製造法方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 マグネトロンプラズマCVD法を用いることにより、600℃以下の低温で単独分離した単層カーボンナノチューブ及び/又は整列配向した単層カーボンナノチューブを製造可能にする単層カーボンナノチューブの製造方法を提供する。
【解決手段】 外部印加の高周波電場と定常磁場とが直交するマグネトロン型放電電極の直下に基板を設置すると共に、該基板上に担体に担持された金属触媒を固定し、該基板をヒーターで加熱しながら炭化水素ガスの共存下にマグネトロンプラズマを発生し、該基板の直流バイアス制御のもとに前記金属触媒上に単層カーボンナノチューブを生成する。
【選択図】 なし
【解決手段】 外部印加の高周波電場と定常磁場とが直交するマグネトロン型放電電極の直下に基板を設置すると共に、該基板上に担体に担持された金属触媒を固定し、該基板をヒーターで加熱しながら炭化水素ガスの共存下にマグネトロンプラズマを発生し、該基板の直流バイアス制御のもとに前記金属触媒上に単層カーボンナノチューブを生成する。
【選択図】 なし
Description
本発明は単層カーボンナノチューブの製造法に関し、さらに詳しくは、マグネトロンプラズマCVD法により600℃以下の低温で、1本づつ単独分離した単層カーボンナノチューブ及び/又は基板上に整列配向した単層カーボンナノチューブの製造を可能にする製造方法に関する。
カーボンナノチューブは、グラファイトの1枚面を巻いて筒状にした形状を有しており、1層に巻いたものを単層カーボンナノチューブ、2層以上に巻いたものを多層カーボンナノチューブという。これらのカーボンナノチューブは、高い機械的強度、高い導電性を有することから複合材料として、またナノサイズの空間を有することから吸着材料として、また先端が非常に細いことからフィールドエミッションの電子源として大いに期待されている。いずれの用途の場合にも、単層カーボンナノチューブのように太さの細いものの方が有利とされている。
このようなカーボンナノチューブの製造方法としては、アーク放電法及び化学蒸着法(化学気相成長法と呼ばれることもあり、以下、CVD法という)が知られている。
前者のアーク放電法は、真空中又は不活性気体雰囲気中で炭素棒を電極として、低電圧・高電流のアーク放電を行うことにより、カーボンナノチューブを製造するものであって、カーボンナノチューブは陰極堆積物または放電チャンバ−壁上の煤中にグラファイト、カーボンナノパーティクルなどと一緒に得られる。このアーク放電法は、電極に金属触媒を添加することで比較的容易に単層カーボンナノチューブを生成するとができる。しかし、アーク放電法で作られた単層カーボンナノチューブは、炭素六員環構造の欠陥の少ないナノチューブが得られるが、生成物中にアモルファスカーボンなどの不純物が多いという欠点がある。また、原料や装置コストが高く、安価に製造できないという欠点がある。
これに対して、後者のCVD法は、鉄、ニッケルなどの金属微粒子の存在下で原料ガスを1000℃以下の高温で反応させることによりカーボンナノチューブを製造するものである。原料ガスとして、メタン、ベンゼン、アセチレン、メタノール、エタノール等が用いられる。このCVD法によれば、安価にカーボンナノチューブを製造することができる利点があるが、単層カーボンナノチューブを生成しにくいという欠点があった。
このようなCVD法の問題を解決する方法として、H.Daiらは、炭素源としてメタンを、金属触媒に鉄を、触媒担体にアルミナやシリカを用いることで、炭素六員環構造の欠陥の少ない単層カーボンナノチューブを製造可能にすることを報告している(非特許文献1)。
また、C.M.Lieberらは、炭素源としてエチレンを、金属触媒に鉄を、触媒担体に表面を酸化させたシリコン基板を用いることで、単独で存在する単層カーボンナノチューブだけでなく、基板上に不完全に配向した単層カーボンナノチューブを製造可能にすることを報告している(非特許文献2)。
このように、酸化物などの基板上に金属触媒を担持し、600℃以上の高温下で単層カーボンナノチューブを製造することができることが、近年報告されている。しかし、いずれの方法も熱CVD法であるため、反応雰囲気を外部から電気炉などで600℃前後に加熱する必要があった。また、単層カーボンナノチューブを実質的に配向させて成長させることはできていなかった。
ケミカル・フィジックス・レターズ(Chemical Physics Letters) 292(1998) 567-574 ジャーナル・オブ・フィジカル・ケミストリー・B(Journal of Physical Chemistry B) 105(2001) 743-746
ケミカル・フィジックス・レターズ(Chemical Physics Letters) 292(1998) 567-574 ジャーナル・オブ・フィジカル・ケミストリー・B(Journal of Physical Chemistry B) 105(2001) 743-746
本発明の目的は、上述した従来の熱CVD法の問題を解消し、マグネトロンプラズマCVD法を用いることにより、600℃以下の低温で単独分離した単層カーボンナノチューブ及び/又は整列配向した単層カーボンナノチューブを製造可能にする単層カーボンナノチューブの製造方法を提供することにある。
上記目的を達成する本発明の単層カーボンナノチューブの製造方法は、外部印加の高周波電場と定常磁場とが直交するマグネトロン型放電電極の直下に基板を設置すると共に、該基板上に担体に担持された金属触媒を固定し、該基板をヒーターで加熱しながら炭化水素ガスの共存下にマグネトロンプラズマを発生し、該基板の直流バイアス制御のもとに前記金属触媒上に単層カーボンナノチューブを生成することを特徴とするものである。
このように本発明によれば、単層カーボンナノチューブを製造する際に、プラズマにより触媒を活性化することにより低温で単層カーボンナノチューブを製造可能にすることができる。特に、今までの熱CVDとは異なり、600℃以下の低温で単層カーボンナノチューブを製造することになる。また、反応場に一定方向の定常磁場及びプラズマシ−スを介しての直流電場をかけることにより、生成する単層カーボンナノチューブの成長方位を制御することができる。特に、担体に平板状にインターグロースしたゼオライトを用いた場合は、生成する単層カーボンナノチューブの配向性を高めることができ、今まで不可能とされていた実質的に単独分離かつ整列配向した単層カーボンナノチューブを製造することが可能になる。
本発明の上記方法で製造した単層カーボンナノチューブは、炭素六員環構造の欠陥が少なく、電子放出材料として良好な性能を有するものになる。
本発明による単層カーボンナノチューブの製造方法は、前述したように、外部印加の高周波電場と定常磁場とが直交するマグネトロン型放電電極の直下に基板を設置すると共に、該基板上に担体に担持された金属触媒を固定し、該基板をヒーターで加熱しながら炭化水素ガスの共存下にマグネトロンプラズマを発生し、該基板の直流バイアス制御のもとに金属触媒上に単層カーボンナノチューブを生成するものである。
図1は、本発明の製造方法で実施するマグネトロンプラズマCVD法のための装置を例示したものである。
反応容器1は二つの円筒型容器1A,1Bが各々の中心で互いに直交するように形成されている。二つの円筒型容器1A,1Bには、それぞれ磁場コイル2K,2Lが巻回され、これら磁場コイル2K,2Lにより容器1A,1B内に縦方向の定常磁場Cと横方向の定常磁場Dが図示のように印加可能になっている。円筒型容器1Aの上部側の中心に小直径円筒型の高周波電極3が上下方向に設置され、この高周波電極3に高周波電源4が整合器5及びブロッキングコンデンサー6を介して接続されている。また、高周波電極3の周囲には小直径の接地円筒7が狭隘な隙間を介するように設けられている。
一方、上記高周波電極3の直下に、ヒ−タ−8によって直接加熱されるようにした基板電極9が設置され、この基板電極9にバイアス電源10が接続されている。基板電極9の上に金属製の基板10が固定され、さらにその基板10上に、金属触媒が担持された担体12が据えられている。また、反応容器1の上部には炭素源である炭化水素ガスの導入口13が設けられ、下部に排気口14と排気ポンプ15が設けられている。
本発明による単層カーボンナノチューブの製造方法では、上記装置のように円筒型容器1Aの中心付近に小直径円筒型の高周波電極3を設置し、その長軸方向の直下に、ヒ−タ−加熱型の基板電極9を設置する。この基板電極9に固定された基板11上に、金属触媒が担持された担体12を設置するようにする。ヒーター8の温度は触媒活性に影響し、温度が高いほど触媒活性は高まるが、本発明の製造方法では触媒を後述のマグネトロンプラズマにより励起するため、通常の熱CVD法のような高温にすることを必要としない。ヒーター8の温度としては、室温以上、600℃以下であることが好ましく、さらに好ましくは500〜550℃の範囲にするのがよい。このような温度範囲にすることにより、単層カーボンナノチューブの合成を可能にする。
チャンバー(反応容器)内は、放電効率を高めるため真空ポンプで減圧するとよい。具体的には、チャンバー内の圧力は、500Pa以下にすることが好ましく、さらに好ましくは200Pa以下、最も好ましくは100Pa以下50Pa以上にするのがよい。
このように設定されたチャンバー内に、炭素源として炭化水素ガスを供給する。炭化水素ガスには、メタン、エタン、エチレン、アセチレン、メタノール、エタノール、ベンゼンから選ばれる少なくとも一つを含むことが好ましい。また、炭化水素以外に、反応性ガスである水素や窒素などを付加ガスとして混入してもよい。さらに、アルゴン、ヘリウムなどのキャリアーガスを導入するようにしてもよい。炭化水素と反応性付加ガス、及びキャリア−ガスの比率は特に限定されないが、炭化水素体積:反応性付加ガス体積は3:7から2:8が好ましい。
小直径円筒型高周波電極とチャンバー側面との間で高周波放電を起こすようにするが、高周波電極に印加する電力としては、100W以上にすることが好ましい。より好ましくは500W以上、最も好ましくは900W以上にするのがよい。この高周波電極の印加電力を変えることにより、発生するイオンの数や活性粒子の数(密度)を制御することが可能である。印加電力が低すぎるとプラズマ状態が発生しにくくなる。
このように高周波電極に電力を印加したチャンバーに、高周波電極の軸方向と平行に外部から定常磁場を印加すると、高周波電場と磁場とが直交しいわゆるマグネトロン型放電になる。このマグネトロン型放電では、電子の閉じ込めが改善されて電離効率が著しく改善される。マグネトロン型放電とするためには、50G以上の磁場にすることが好ましい。より好ましくは150G以上、最も好ましくは300G以上にするのがよい。
この高周波電極の表面近傍に発生するプラズマは、磁場に対して平行方向に容易に拡散することができ、ヒーター加熱型の基板電極上の基板に設置した触媒担持担体方向へ効果的に拡散することができる。そのため、チャンバー内の原料供給口側を上流とし、排気口側を下流とすると、高周波電極は基板に対し上流側に設置することが好ましい。その理由は、まず上流側の電極近傍で供給ガスがプラズマ化し、次いで下流側の基板上に達し触媒上で単層カーボンナノチューブが生成されるからである。ポンプの排気速度を変えることで触媒上に到達する原料の流速を制御することができる。
単層カーボンナノチューブの製造時間は、1分から1時間までの時間が好ましい。特に好ましくは5分から15分までの時間にするとよい。
本発明に用いる金属触媒は、鉄またはコバルトの少なくとも一つを含むことを特徴とする。これら金属触媒と担体の重量比は、1:100から10:100程度が好ましい。金属触媒の比率が低すぎると触媒活性が低く、金属触媒の比率が高すぎると、金属粒子の凝集が進行し触媒活性がむしろ低下する。鉄とコバルト以外の第三成分を添加するようにしてもよく、例えば、バナジウム、モリブデン、マンガン、ニッケル、パラジウムが特に好ましい。
担体への鉄やコバルトを含む金属の担持方法は、特に限定されない。例えば、金属の塩を溶解させた非水溶液中(例えばエタノール溶液)又は水溶液中に酸化物などの担体を含浸し、充分に分散混合した後に乾燥させ、窒素、水素、不活性ガスまたはその混合ガス中で高温(300〜900℃)で加熱することにより、担体に金属を担持させることができる(含浸法)。
ここで用いる金属原料は特に限定されないが、上述の方法で用いる金属塩溶液の調製のしやすさや価格から、硝酸塩、酢酸塩、硫酸塩等の無機酸塩、エチレンジアミン4酢酸錯体、アセチルアセトナート錯体等の錯塩、塩化物、臭化物、フッ化物等のハロゲン化物、およびシュウ酸塩、ステアリン酸塩等の有機酸塩が好ましい。
金属触媒の担体としては、金属微粒子を高分散担持できることが必要であり、その形態は平板状でも粒子状でも良い。粒子状である場合、その粒径は50nm以上かつ50μm以下であるものが好ましい。この条件を満たす担体であれば特に限定されないが、無機酸化物、特にゼオライトが好ましい。ゼオライトを用いた場合は、シリカアルミナ比が小さく極性が高いゼオライトより、USY型やシリカライトなど、極性が低いゼオライトが好ましい。
本発明においてゼオライトとは、分子サイズの細孔径を有した結晶性無機酸化物からなるものである。ここに分子サイズとは、世の中に存在する分子のサイズの範囲であり、一般的には、0.2nmから2nm程度の範囲を意味する。さらに具体的には、結晶性シリケート、結晶性アルミノシリケート、結晶性メタロシリケート、結晶性メタロアルミノシリケート、結晶性アルミノフォスフェート、あるいは結晶性メタロアルミノフォスフェート等で構成された結晶性マイクロポーラス物質のことである。
結晶性シリケート、結晶性アルミノシリケート、結晶性メタロシリケート、結晶性メタロアルミノシリケート、結晶性アルミノフォスフェート、結晶性メタロアルミノフォスフェートとしては、特に種類は制限されないが、例えば、アトラス オブ ゼオライト ストラクチュア タイプス(マイヤー、オルソン、バエロチャー、ゼオライツ、17(1/2)、1996)(Atlas of Zeolite Structure types(W. M. Meier, D. H. Olson, Ch. Baerlocher, Zeolites, 17(1/2),1996))に掲載されている構造をもつ結晶性無機多孔性物質が挙げられる。また、本発明に使用されるゼオライトは、本文献に掲載されているものに限定されるものではなく、近年次々と合成されている新規な構造を有するゼオライトも含まれる。好ましい構造は、入手が容易なFAU型、MFI型、MOR型、BEA型であるが、これに限定されない。
また、ゼオライトの形状は上述のように、個々の粒子が独立に存在しても良いし、お互いの粒子が解け合うように結合した、いわゆるインターグロースした形態でも良い。インターグロースした場合、個々の粒子がランダムに結合した巨大2次粒子を形成していても良いし、同一平面内でインターグロースし平板状を形成していても良い。平板状を形成するために、酸化物、シリコン、金属などの平板状支持体上にゼオライトを膜として形成しても良い。
このようにゼオライトを膜状で形成する場合、実質的に全ての粒子が結晶配向していることが好ましい。実質的に全ての粒子が結晶配向しているとは、薄膜X線回折を測定することで確認できる。ゼオライトは結晶であるため、各面に起因する回折現象を示すが、結晶配向したゼオライト膜では、特定の面に起因するピークのみが観察される(図2)。ゼオライト膜と同一構造のゼオライト粒子をX線回折測定し(図3)、ピーク強度比が10倍以上変化がある場合、ゼオライト膜は実質的に配向していると言って良い。例えば、図2の<101>面と<020>面の比率は約0.05であるが、図3では比率は2であり、そのピーク強度比は40倍異なるため、図2のゼオライト膜は配向していると言って良い。
本発明において、単層カーボンナノチューブが生成していることは、高分解能透過型電子顕微鏡および共鳴ラマン散乱測定によって確認することができる。
ここでいう高分解能電子顕微鏡による単層カーボンナノチューブの観察手法は、特に限定されるものではないが、例えば、単層カーボンナノチューブを含有する試料をエタノールなど揮発性の高い溶媒に添加し、単層カーボンナノチューブを溶媒中に分散させた後、単層カーボンナノチューブを含む溶媒数滴をマイクログリッド上に滴下し、溶媒を揮発させた後に、高分解能電子顕微鏡で観察する手法が好んで用いられる。単層カーボンナノチューブを観察するためには、倍率を10万倍以上、好ましくは20万倍以上に上げる手法が用いられる。観察されるカーボンナノチューブの壁を構成するグラフェンシートが1本で観察されるものが単層カーボンナノチューブである。
また、資料中に単層カーボンナノチューブが含まれることで、共鳴ラマン散乱測定により、150〜350cm-1の領域にRBM(Radial Breathing Mode)に起因するピークが観察される。
また、本発明によれば、平板状ゼオライト上に生成した単層カーボンナノチューブが実質的に1本づつ単独分離成長し、及び/又は、同一方向に整列配向している単層カーボンナノチューブを製造するとができる。上述の平板状ゼオライトと、その表面に金属触媒を担持したものを用いて、本発明によるマグネトロン型放電プラズマ中で単層カーボンナノチューブを製造すると、単層カーボンナノチューブが定常磁場と基板前面のプラズマシ−スによる直流電場の影響で基板から垂直方向に単独分離かつ整列配向して生成する。
ここで実質的に同一方向に整列配向していることについて、測定方法を以下に説明する。生成した単層カーボンナノチューブを基板の断面方向から走査型電視顕微鏡(SEM)で観察し、個々の単層カーボンナノチューブの基板から最遠端までの長さをaとし、形態的な幅をbとしたときに、a/bが10以上であるものを配向していると言い、観察視野内の90%以上の単層カーボンナノチューブが配向していれば、生成した単層カーボンナノチューブが実質的に同一方向に整列配向していると言って良い。
このように生成した単層カーボンナノチューブが実質的に同一方向に整列配向していることで、フィールドエミッションディスプレイ用の電子放出源として適した材料にすることができる。また、単層カーボンナノチューブが単独分離かつ整列配向することで、生成後の取り扱いが容易となり、STM,AFM用の短針や、ナノトランジスタなどへの応用も可能になる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、下記の実施例は例示のために示すものであって、いかなる意味においても、本発明を限定的に解釈するものとして使用してはならない。
実施例1
図1に示す装置を用いて単層カ−ボンナノチュ−ブの生成を行った。
図1に示す装置を用いて単層カ−ボンナノチュ−ブの生成を行った。
二つの円筒型容器はステンレス製とし、それぞれ容器の寸法は、縦方向の円筒型容器1A:直径140 、長さ600 mm、横方向の円筒型容器1B:直径100 、長さ480 mmである。
カ−ボンナノチュ−ブ生成の触媒として、鉄とコバルトをゼオライトに担持させたものを用いた。担持方法は、酢酸鉄(III) と酢酸コバルトをゼオライトに対して重量比 2.5:100 の割合でエタノ−ル中に溶解させ、超音波拡散を約10分間行ったのち、80℃の電気炉中で24時間乾燥させて行った。この際、粉末状ゼオライトは構造:フォ−ジャサイト型、組成:SiO2/Al2O3 =400 、細孔入り口径:7.4 Åのものを、使用前に80℃の電気炉中で24時間乾燥させてから用いた。
図1に示すようなヒ−タ−8によって直接加熱される厚さ3 mmの銅製の基板電極9の上に、厚さ0.2 mmのニッケル製基板11を固定した。さらにこの基板11上にゼオライト12を据え、高周波電極3の直下の位置に設置した。このとき高周波電極下部と基板上部との距離は5 mm程度となっている。円筒型チャンバ−内を5 Pa程度まで減圧した後、ヒ−タ−を550 ℃まで加熱した。
次いで、純度 99.999%以上のメタンと水素をガス導入口13から導入しチャンバ−内の圧力を60 Pa とした。このときのメタン水素の流量比はメタン:水素= 3:7 とした。
縦方向の円筒型容器1Aの中心に設置した、直径8 mm長さ300 mmの小直径円筒型高周波電極3に 13.56 MHz の高周波を印加した。このときの印加電力は900Wとし、さらに縦方向の磁場配位Cとなるような外部磁場を340 G 印加した。またこの際、接地された円筒型ステンレス板7が高周波電極3を同心円状に覆うように設置されており、電極と接地表面との距離が30 mm の構造になっている。
基板温度を一定に保ったまま、金属を担持させたゼオライトに対して10分間のプラズマ照射を行った。この時、基板バイアス10は-30 V に保たれていた。
プラズマ照射後、得られたゼオライトの分析を行ったところ、走査型電子顕微鏡(SEM) によってゼオライト間を架橋した単層カーボンナノチューブが観測された。
さらに高分解能電子顕微鏡による測定では、単独に成長した単層カーボンナノチューブが、あるいは数本からなる小さな束状の単層カーボンナノチューブが観測された(図4)。
また、共鳴ラマン散乱測定により、形成された単層カーボンナノチューブの直径を測定したところ、RBM(Radial Breathing Mode)に起因するピ−クが観察された。このピ‐クから解析された、単層カーボンナノチューブの直径はゼオライトの細孔入り口径と一致し、一様な直径を持っていることが確認された。
実施例2
本例では、基板温度の影響について調べた。
本例では、基板温度の影響について調べた。
基板温度を400 ℃、450 ℃、500 ℃、550 ℃、600 ℃、650 ℃、700 ℃、750 ℃、800 ℃、850 ℃、900 ℃と変化させて単層カーボンナノチューブの生成実験を試みた。他の実験条件は実施例1と同様で行った。
この結果、基板温度が550 ℃のときに、最も多く単層カーボンナノチューブが形成された。
実施例3
本例では、チャンバ−内の圧力の影響について調べた。
本例では、チャンバ−内の圧力の影響について調べた。
チャンバ−内の圧力を 40 Pa 、50 Pa 、60 Pa 、70 Pa 、80 Pa 、90 Pa 、100 Pa、150 Pa、200 Pa、250 Pa、300 Pa、350 Pa、400 Pa、450 Pa、500 Pa、550 Paと変化させて、単層カーボンナノチューブの生成実験を試みた。他の実験条件は実施例1と同様で行った。
この結果、チャンバ−内の圧力が 60 Paのとき最も多く単層カーボンナノチューブが形成された。
実施例4
本例では、外部印加定常磁場の影響について調べた。
本例では、外部印加定常磁場の影響について調べた。
外部印加定常磁場を 100 G 、150 G 、200 G 、250 G 、300 G 、340 G と変化させることにより単層カーボンナノチューブの生成実験を行った。他の実験条件は実施例1と同様で行った。
この結果、外部印加定常磁場が340 G の時最も単層カーボンナノチューブが多く形成された。
実施例5
本例では、単層カーボンナノチューブの製造時間、すなわちプラズマ照射時間の影響について調べた。
本例では、単層カーボンナノチューブの製造時間、すなわちプラズマ照射時間の影響について調べた。
プラズマ照射時間を1分、3分、5分、7分、10分、15分、20分、30分と変化させることにより、単層カーボンナノチューブの生成実験を行った。他の実験条件は実施例1と同様で行った。
この結果、プラズマ照射時間が10分の時最も多く単層カーボンナノチューブが形成された。
実施例6
本例では、金属触媒と酸化物担体の重量比の影響について調べた。
本例では、金属触媒と酸化物担体の重量比の影響について調べた。
金属触媒と酸化物担体の重量比を 0.5:100 、1.0 :100 、1.5 :100 、2.0 :100 、2.5 :100 、3.0 :100 、3.5 :100 、4.0 :100 、4.5 :100 、5.0 :100 、6.0 :100 、7.0 :100 、8.0 :100 、9.0 :100 、10:100 、15:100 、20:100 と変化させることにより単層カーボンナノチューブの生成実験を行った。他の実験条件は実施例1と同様で行った。
この結果、金属触媒と酸化物担体の重量比が 2.5:100 の時最も多く単層カーボンナノチューブが形成された。
実施例7
本例では、金属触媒の担体粒径の影響について調べた。
本例では、金属触媒の担体粒径の影響について調べた。
金属触媒の担体粒径を 25 nm 、50 nm 、75 nm 、100 nm、500 nm、1 mm、10 mm 、25 mm 、50 mm 、100 mm、200 mmと変化させて単層カーボンナノチューブの生成実験を行った。他の実験条件は実施例1と同様で行った。
この結果、金属触媒の担体粒径が 50 nm 以上かつ 50 mm以下の場合に単層カーボンナノチューブが多く形成された。
実施例8
本例では、金属触媒担体としてゼオライトを用いた場合の、ゼオライトの種類の影響について調べた。
本例では、金属触媒担体としてゼオライトを用いた場合の、ゼオライトの種類の影響について調べた。
この結果、シリカアルミナ比が極性が高いゼオライトを用いた場合に比べて、極性が低いゼオライトを用いた場合に単層カーボンナノチューブが多く形成された。
実施例9
本例では、インタ−グロ−スした平板状のゼオライトを用いた。
本例では、インタ−グロ−スした平板状のゼオライトを用いた。
得られたプラズマ照射後のゼオライト膜表面を測定したところ、数本の束状単層カーボンナノチューブが、あるいは単独に成長した単層カーボンナノチューブがゼオライト膜表面に対して垂直に配向して形成されている様子が観測された。
実施例10
本例では、異なる細孔入り口径を持つゼオライトを用いた。
本例では、異なる細孔入り口径を持つゼオライトを用いた。
得られたプラズマ照射後のゼオライトを測定したところ単独に成長した単層カーボンナノチューブが、あるいは数本の束状単層カーボンナノチューブが観測された。さらにこの単層カーボンナノチューブの直径を測定したところ、ゼオライトの細孔入り口径と一致していることが確認された。これらの電気的特性を測定したところ、用いたゼオライトの口径と対応して電気的特性が変化していることが確認された。
実施例11
本例では、メタンと水素のガス流量比の影響を調べた。
本例では、メタンと水素のガス流量比の影響を調べた。
メタンと水素のガス流量比を 1:9 、2 :8 、3 :7 、4 :6 、5 :5 、6 :4 、7 :3 、8 :2 、9 :1 、10:0 と変化させて単層カーボンナノチューブの生成実験を行った。他の実験条件は実施例1と同様で行った。
この結果、ガス流量比をメタン:水素 = 3:7 とした場合、最も多く単層カーボンナノチューブが形成された。
また、ガス流量比をメタン:水素 = 2:8 とした場合、単層カーボンナノチューブに比べ二層のグラフェンシ−トからなる二層カ−ボンナノチュ−ブが多く形成された。
実施例12
本例では、高周波電力と単層カーボンナノチューブの生成温度との関係を調べた。
本例では、高周波電力と単層カーボンナノチューブの生成温度との関係を調べた。
高周波電力を10 W、50 W、100 W 、500 W 、900 W 、1500 W、2000 W、2500 W、3000 Wと変化させて単層カーボンナノチューブの生成実験を行った。他の実験条件は実施例1と同様で行った。
この結果、高周波電力100 W より小さい場合には、単層カーボンナノチューブの形成は確認されなかった。
また、900 W 以上にした場合、高周波電力の増加に伴い単層カーボンナノチューブの生成温度の下限が低下することが確認された。
1 反応容器
1A,1B 円筒型容器
2K,2L 磁場コイル
3 高周波電極
4 高周波電源
5 整合器
6 ブロッキングコンデンサ−
7 接地円筒
8 ヒ−タ−
9 基板電極
10 基板電極バイアス用電源
11 基板
12 担体
13 ガス導入口
14 ガス排気口
15 排気ポンプ
C:定常磁場(縦方向)
D:定常磁場(横方向)
1A,1B 円筒型容器
2K,2L 磁場コイル
3 高周波電極
4 高周波電源
5 整合器
6 ブロッキングコンデンサ−
7 接地円筒
8 ヒ−タ−
9 基板電極
10 基板電極バイアス用電源
11 基板
12 担体
13 ガス導入口
14 ガス排気口
15 排気ポンプ
C:定常磁場(縦方向)
D:定常磁場(横方向)
Claims (13)
- 外部印加の高周波電場と定常磁場とが直交するマグネトロン型放電電極の直下に基板を設置すると共に、該基板上に担体に担持された金属触媒を固定し、該基板をヒーターで加熱しながら炭化水素ガスの共存下にマグネトロンプラズマを発生し、該基板の直流バイアス制御のもとに前記金属触媒上に単層カーボンナノチューブを生成する単層カーボンナノチューブの製造方法。
- 前記高周波電場の電力を100W以上に印加する請求項1に記載の単層カーボンナノチューブの製造方法。
- 前記定常磁場の磁力を50G以上にする請求項1又は2に記載の単層カーボンナノチューブの製造方法。
- 前記基板のヒーター加熱温度が600℃以下である請求項1,2又は3に記載の単層カーボンナノチューブの製造方法。
- 前記金属触媒が鉄及びコバルトの少なくとも一つを含む請求項1〜4のいずれかに記載の単層カーボンナノチューブの製造方法。
- 前記炭化水素がメタン、エタン、エチレン、アセチレン、メタノール、エタノール、ベンゼンから選ばれる少なくとも一つである請求項1〜5のいずれかに記載の単層カーボンナノチューブの製造方法。
- 前記担体が酸化物の粒子である請求項1〜6のいずれかに記載の単層カーボンナノチューブの製造方法。
- 前記酸化物の粒子の粒径が50nm以上50μm以下である請求項1〜7のいずれかに記載の単層カーボンナノチューブの製造方法。
- 前記酸化物がゼオライトである請求項7又は8に記載の単層カーボンナノチューブの製造方法。
- 前記ゼオライトの粒子同士がインターグロースして平板状になっている請求項9に記載の単層カーボンナノチューブの製造方法。
- 前記平板状になったゼオライトの実質的に全ての粒子が結晶配向している請求項10に記載の単層カーボンナノチューブの製造方法。
- 前記平板状になったゼオライト上に生成した単層カーボンナノチューブが実質的に1本づつ単独分離して成長し、及び/または同一方向に整列配向している請求項10または11に記載の単層カーボンナノチューブの製造方法。
- 請求項1〜12のいずれかに記載の方法で製造した単層カーボンナノチューブを含む電子放出材料。
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---|---|---|---|
JP2003270933A JP2005022950A (ja) | 2003-07-04 | 2003-07-04 | 単層カーボンナノチューブの製造法方法 |
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Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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US8883246B2 (en) | 2007-12-12 | 2014-11-11 | Plasmatrix Materials Ab | Plasma activated chemical vapour deposition method and apparatus therefor |
US10961618B2 (en) | 2014-07-16 | 2021-03-30 | Imperial College Innovations Limited | Process for producing carbon-nanotube grafted substrate |
-
2003
- 2003-07-04 JP JP2003270933A patent/JP2005022950A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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