JP2005021384A - ゴルフ靴およびゴルフ靴の選択方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ゴルフクラブのヘッドスピードを向上することができ、しかも、安定したゴルフスウィングが実現でき、ゴルフボールの球筋を安定させることのできるゴルフ靴およびこのようなゴルフ靴の選択方法を提供する。
【解決手段】ゴルフ靴10aは、内足側の靴底12aにラウンドショルダー13aを有し、ゴルフ靴10bは、インソール中足骨具部18bから踵部16bに至るインソール面が水平を基準にして略同等または踵部が低くなるように傾斜している。ゴルフスウィングに最適なゴルフ靴の選択は、ゴルフ靴を履いた状態で、左足の荷重変動に対する左足または右足の荷重変動のインパルス応答、および、右足の荷重変動に対する左足または右足の荷重変動のインパルス応答を得、これらのインパルス応答に基づいて、行われる。
【選択図】図1
【解決手段】ゴルフ靴10aは、内足側の靴底12aにラウンドショルダー13aを有し、ゴルフ靴10bは、インソール中足骨具部18bから踵部16bに至るインソール面が水平を基準にして略同等または踵部が低くなるように傾斜している。ゴルフスウィングに最適なゴルフ靴の選択は、ゴルフ靴を履いた状態で、左足の荷重変動に対する左足または右足の荷重変動のインパルス応答、および、右足の荷重変動に対する左足または右足の荷重変動のインパルス応答を得、これらのインパルス応答に基づいて、行われる。
【選択図】図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ゴルフスウィングに最適なゴルフ靴およびこのゴルフ靴の選択方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ゴルフは、ゴルファーがゴルフボールを打って定められたホールに入れる、ゴルフ場で行われるスポーツである。ゴルフ場では、少なくと1ラウンド18ホールを回り、少なくと6〜7kmの長距離を歩行してプレーするので、ゴルフ靴は、ゴルフ場を長距離歩くのに疲れにくい靴であることが第一義的に求められている。そのため、ゴルフ靴はゴルフスウィングに適した靴であるとは言えないのが現状である。
【0003】
その結果、例えば、長い間使用したゴルフ靴はゴルフスウィング時の足の捻りや回転による急激な変形を受けるため靴底とゴルフ靴側面との剥離や縫糸の破絶等が生じ、歩行するだけでは問題のなかったゴルフ靴が、ゴルフスウィングに基づく変形等によって耐久性が低下するといった問題があった。
【0004】
このような背景の下、特許文献1では、ゴルフスウィングの際のゴルファーのアドレス時、意識をしなくても体の重心が自然に踵側にかかるように、インソール部の中足骨具部から踵部にかけてのインソール面が−7°〜+7°の傾きを有する、ゴルフスウィングを考慮したゴルフ靴が提案されている。これによって、ゴルファーは体の重心を意識せず、自然かつリラックスした姿勢でゴルフスウィングができるとされている。
【0005】
【特許文献1】
特許第3012617号
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、このようなゴルフ靴では、安定したゴルフスウィングが実現でき、飛翔するゴルフボールの球筋を安定させることはできても、ゴルフクラブのヘッドスピードを増加させることはできず、ゴルフボールを遠くに飛ばしたいといったゴルファーの希望に沿うことはできない。
【0007】
そこで、上記問題を解決するために、本発明は、ゴルフクラブのヘッドスピードを向上することができ、しかも、安定したゴルフスウィングが実現でき、ゴルフボールの球筋を安定させることのできるゴルフ靴およびこのようなゴルフ靴の選択方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を解決するために、第1のゴルフ靴と第2のゴルフ靴とからなり、左足用と右足用で形状の異なる左右非対称な1組のゴルフ靴であって、前記第1のゴルフ靴が、ゴルフ靴幅方向の靴底の断面形状に関し、前記ゴルフ靴幅方向における前記靴底の一方の端点位置からゴルフ靴の高さ方向に平行な第1の直線を引き、前記靴底の底面位置から前記ゴルフ靴幅方向に平行な第2の直線を引いた際にできる、前記第1の直線と前記第2の直線と前記靴底の外形線とによって囲まれた領域が存在し、この領域の面積が12mm2 以上となる部分を、内足側の靴底に有し、前記第2のゴルフ靴が、インソール部の中足骨具部から踵部に至るインソール面が水平を基準にして略同等または踵部が低くなるように傾斜していることを特徴とするゴルフ靴を提供する。
【0009】
ここで、前記第1のゴルフ靴の前記領域は、靴先端部分の靴底に形成されるのが好ましく、また、前記第2のゴルフ靴の前記インソール面が、水平を基準にして、7度以下傾斜しているのが好ましい。
また、前記第1のゴルフ靴が、ゴルフスウィングの際のゴルフボールの飛弾方向と反対方向の足用のゴルフ靴として用いられ、前記第2のゴルフ靴が、ゴルフスウィングの際のゴルフボールの飛弾方向の足用のゴルフ靴として用いられるのが好ましい。
【0010】
また、本発明は、左足用と右足用で形状の異なる左右非対称な1組のゴルフ靴を選択するためのゴルフ靴の選択方法であって、ゴルフ靴を履いた状態で、左足の荷重変動に対する左足または右足の荷重変動のインパルス応答を得るとともに、右足の荷重変動に対する左足または右足の荷重変動のインパルス応答を得、これらのインパルス応答に基づいて、足に適した左右非対称な1組のゴルフ靴が選択されることを特徴とするゴルフ靴の選択方法を提供する。
【0011】
ここで、インソール部の中足骨具部から踵部に至るインソール面が水平を基準にして略同等または踵部が低くなるように傾斜しているゴルフ靴が、ゴルフスウィングの際のゴルフボールの飛弾方向の足用のゴルフ靴として選択され、ゴルフ靴幅方向の靴底の断面形状に関し、このゴルフ靴幅方向における前記靴底の一方の端点位置からゴルフ靴の高さ方向に平行な第1の直線を引き、前記靴底の底面位置から前記ゴルフ靴幅方向に平行な第2の直線を引いた際にできる、前記第1の直線と前記第2の直線と前記靴底の外形線とでかこまれた領域が存在し、この領域の面積が12mm2 以上となる部分を、内足側の靴底に有するゴルフ靴が、ゴルフボールの飛弾方向と反対方向の足用のゴルフ靴として、選択されるのが好ましい。
【0012】
また、前記ゴルフ靴を履いて得られる前記インパルス応答において前記ゴルフボールの飛弾方向と反対方向の足のピーク値が、前記ゴルフボールの飛弾方向の足のピーク値に対して1.2倍以上となる1組のゴルフ靴が選択されるのが好ましい。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のゴルフ靴について、添付の図面に示される好適実施例を基に詳細に説明する。図1には、本発明のゴルフ靴の一例である、右足用のゴルフ靴10aと左足用のゴルフ靴10bとからなる形状が左右非対称な1組のゴルフ靴10を示している。なお、図中では、ゴルフ靴に装着されるスパイクピン等の滑り止め治具は省略されている。
【0014】
ゴルフ靴10は、形状が異なるゴルフ靴10aと10bからなる右打ちのゴルファー(ゴルファー自身から見てゴルフボールを右から左に撃打して飛弾させるゴルファー)の非対称のゴルフ靴である。ゴルフ靴10aは、右足用ゴルフ靴であり、ゴルフ靴10bは、左足用ゴルフ靴である。
ゴルフ靴10a、10bの各々は、靴底12a,12bと靴本体部14a、14bを有して構成される。
【0015】
ゴルフ靴10aは、靴底12aのうち、内足側の靴底12aが、靴本体部14aの側面までせり上がり、靴底12aの靴幅方向における断面形状が図2(a)に示すようにラウンドショルダー13aを形成している。すなわち、内足側の靴底12aの断面形状に関し、ゴルフ靴幅方向(踵部から爪先に伸びるゴルフ靴長さ方向と直交する方向)における靴底の一方の端点位置からゴルフ靴の高さ方向に平行な直線L1 を引き、靴底12aの底面位置からゴルフ靴幅方向に平行な直線L2 を引いた際にできる、直線L1 と直線L2 と靴底12aのラウンドショルダー13aの外形線でかこまれた領域Sが存在し、この領域Sの面積が12mm2 以上となっている。
領域Sの面積を12mm2 以上とすることで、以降で述べる靴底12aの接地面との接触面積が広がり、ゴルフ靴10aの摩擦特性を向上することができる。
【0016】
一方、ゴルフ靴10bは、靴底12bが内足側および外足側のいずれの側も、靴底12aのように靴本体部14bの側面にまでせり上がっていないが、図3に示すように、インソール部のインソール中足骨具部18bからインソール踵部(踵部ともいう)16bに至るインソール面が、ゴルフ靴長さ方向に関し、ゴルフ靴10bを置いた時の水平面の水平を基準にして略同等または踵部16bが低くなるように傾斜角度θで傾斜している。すなわち、踵部16bがインソール中足骨部18bに比べて同等のレベルあるいは低くなっている。傾斜角度θは、0°以上7度以下となっている。このようなインソール面の傾斜は、靴底12bの厚みによって調整され、あるいは、インソールの厚みによって調整されている。
一方、ゴルフ靴10aは、インソール部の踵部は中足骨具部に比べて高くなっている。
【0017】
本実施例のゴルフ靴10aは、図2(a)に示すように、靴底12aの内足側の幅方向端部において、靴底12aが上方にせり上がり、ラウンドショルダー13aを形成しているが、本発明は、このようなラウンドショルダー13aに限定されず、例えば図2(b)のように、靴底12aが靴本体部14aの側面にせり上がらないが、靴底の略直角を成すエッジ端部が曲面処理され曲面13a’が形成されてもよい。また、靴底12aのエッジ端が直線的に角落としされたエッジカットショルダー13a’’を形成してもよい。少なくとも、図2(b)や(c)に示す領域Sが12mm2 以上であればよい。
また、靴底端がラウンドショルダー13aや曲面13a’やエッジカットショルダー13a’’の形成される内足側の位置は、先端部Aや先端部Aから踵部Bにいたる内足側の全体であってもよいし、踵部Bのみに形成されてもよい。
【0018】
このように、図2(a)〜(c)に示す領域Sの面積やラウンドショルダー13aや曲面13a’やエッジカットショルダー13a’’の種類やラウンドショルダー13aや曲面13a’やエッジカットショルダー13a’’の形成位置等の各種パラメータが設定された種々のゴルフ靴10aが、また、図3に示すような傾斜角度θのパラメータが種々異なるゴルフ靴10bが複数用意され、後述するゴルフ靴の選択方法によって、ゴルファーに最適なゴルフ靴を正確に選択することができる。
勿論、後述するゴルフ靴の選択方法によってゴルフ靴を選択しなくても、予め設定されたパラメータを持つゴルフ靴10a、10bを、右打ちのゴルファーであれば右足にゴルフ靴10aを、左足にゴルフ靴10bを履けばよい。
【0019】
なお、ゴルフ靴10aは、靴底12aの先端部Aにラウンドショルダー13aを形成するのが好ましい。
ゴルフスウィングの際、ゴルフボールのインパクトからフォロースルー、さらにはフィニッシュにかけて、ゴルファーが地面に対して踏ん張ることができ、ゴルフクラブを力強くスウィングすることができ、ゴルフクラブのヘッドスピードを向上させることができるからである。
【0020】
すなわち、ゴルフスウィングの際、ゴルフ靴10aは、図4のような外力(剪断力)F1 を地面から受ける。すなわち、ラウンドショルダー13aの設けられた側から靴底12aは外力F1 を受けるため、靴底12aのラウンドショルダー13aは外力F1 によって地面と新たに接触し、地面と靴底12aの接触面が拡がる。従って、靴底12aと地面間の限界摩擦力は上昇して摩擦特性は向上し、ゴルフスウィングの際のフォロースルー、さらにはフィニッシュにかけてゴルフ靴10が地面に対して滑ることなく、力強くゴルフクラブをスウィングすることができる。また、ゴルフスウィング中、フォロースルーからフィニッシュにかけて踵部分は地面から浮き上がり、爪先を中心に滑らかに回転するが、先端部Aにラウンドショルダー13aが設けられているので、ゴルファーの足首がラウンドショルダー13aに沿って滑らかに傾いていく。従って、ゴルフ靴10aはラウンドショルダー13aに沿って地面から大きな外力F1 を受けるとともに、外力F1 の発生を滑らかにコントロールすることができる。
【0021】
このように、右打ちのゴルファーの、ゴルフスウィングの際の右足、すなわち、ゴルフボールの飛弾方向と反対方向(反飛弾方向)の足は、ゴルフボールのインパクトからフォロースルー、さらにはフィニッシュにかけて、ゴルフクラブのヘッドスピードを向上させるための外力F1 の発生とその外力F1 の大きさを調整する、いわゆる作用足としての機能を有する。そして、ゴルフ靴10aは、この機能をより効果的に発揮させる。
【0022】
一方、ゴルフ靴10bが、インソール中足骨具部18bから踵部16bに至るインソール面がゴルフ靴長さ方向に関し、水平を基準にして略同等または踵部16bが低くなるように傾斜しているのは、ゴルフスウィング中、左足にかかる荷重や外力に対して体を安定して維持するための安定維持機能を向上させるためである。
【0023】
すなわち、図5に示すようにゴルフスウィングの際、ダウンスウィングからゴルフボールのインパクトにかけて体重移動に伴って左足にかかる荷重や外力(剪断力)F2 が増大し、ゴルフクラブをスウィングさせるための回転モーメントMが増大するが、ゴルフ靴10bは、この荷重や外力F2 に対して安定して体を保持できるように、すなわち、ダウンスイング前から左足の踵部分に荷重がかかるようにインソール部を踵側に傾斜させ、体重移動に伴って左足にかかる荷重の徐々に発生し増大する外力F2 に対しても安定して体を保持できるように、ゴルフスウィングの始めから、踵部16bに荷重や外力F2 がかかるように作用する。
【0024】
すなわち、右打ちのゴルファーのゴルフスウィングの際の左足、すなわち、ゴルフボールの飛弾方向の足は、ダウンスウィング前からフォロースルーに至る荷重や外力F2 に対して、体を安定して保持しようとするいわゆる軸足としての機能を有するが、ゴルフ靴10bは、この軸足としての機能をより効果的に発揮させるものである。これによって、ゴルフスウィング時の回転を安定させて、ゴルフボールの打球方向を安定させることができる。
このようなゴルフ靴10a、10bを履くことによって、右足に履くゴルフ靴10aによって、ゴルフクラブのヘッドスピードを上昇させるとともに、左足に履くゴルフ靴10bによって、ゴルフボールの打球方向を安定させることができる。
なお、左打ちのゴルファー(ゴルフボールを左から右に撃打して飛弾させるゴルファー)は、右足が飛弾方向の足、左足が反飛弾方向の足となり、ゴルフ靴10aが左足用として作製され、ゴルフ靴10bが右足用として作製される。
【0025】
このようにゴルフスウィングの際の右足、左足は機能が異なるが、この機能の程度も、ゴルファーがそれぞれ体格や体重が異なるるように、ゴルファー個人個人によって異なっている。従って、ゴルフスウィングの際の右足、左足の機能を十分に発揮させるように、ゴルファー個人個人に適したゴルフ靴を選択することが望まれる。
以下に示す本発明のゴルフ靴の選択方法は、上記ゴルファー個人個人に適したゴルフ靴の選択を実現するものである。
以下、本発明のゴルフ靴の選択方法について説明する。
【0026】
図6は、右打ちのゴルファーがゴルフ靴10aおよび10bを履いて床反力計30a、30b上に載った状態を後方から見た様子を示している。床反力計30a、30bは、右足、左足にかかる荷重Wa 、荷重Wb を計測する計測装置であって、公知のものが用いられる。例えば、キスラー社製の床反力計が挙げられる。床反力計30a、30bより出力される信号は信号処理装置32で増幅され、サンプリングされて、コンピュータ34に供給される。
床反力計30a、30bでは、両目を開眼した状態で所定時間静止した状態の荷重Wa 、Wb の変動成分が計測され、コンピュータ34で、図7に示すような荷重Wa 、Wb の変動成分の波形が得られる。
【0027】
このような荷重Wa 、Wb の変動成分は、図8に示すような、ゴルファー個人個人の持つ体内の運動を司る制御系50によって制御されている。
この制御系50が荷重Wa 、Wb の変動成分ΔWa 、ΔWb を定めているので、制御系50を2変数からなるフィードバック系でモデル化し、すなわち、下記式(1)、(2)によって表すことができる。
そこで、床反力計30a、30bで測定された変動成分ΔWa 、ΔWb を用いて、制御系50がコンピュータ34によって同定される。すなわち、式(1)、(2)中の係数αk 、βk (K=1〜M:Mは自然数)が算出される。ここで、自然数Mは、制御系50の次数を示すもので、オペレータによって予め与えてもよいし、予め定めておいてもよく、最適な次数として、情報エントロピーを最小化する赤池の情報量基準に従って次数Mを決定してもよい。式(1)、(2)は、時間ti における荷重変動成分ΔWa 、ΔWb を、それ以前のti−1 ,ti−2 ,・・・,ti−M の荷重変動成分ΔWa 、ΔWb と係数αk 、βk とを用いて表す自己回帰モデルである。ea (ti )、およびeb (ti )は、残差ノイズ成分である。
【0028】
【数1】
【数2】
【0029】
係数αk 、βk の算出は、図7に示す計測データである荷重Wa 、Wb の変動成分を基に最小自乗法等を用いて、コンピュータ34において行われる。
次に、算出された係数αk 、βk を用いて、右足、左足の各々に単位インパルス荷重を与えた時の右足および左足の荷重変動、すなわち、図9(a)、(b)に示すようなインパルス応答、IRR、ILL、ILRおよびIRLがコンピュータ34において算出される。
ここで、IRRは、右足に単位インパルス荷重を与えた時の右足の荷重変動成分ΔWa 、および、ILLは、左足に単位インパルス荷重を与えた時の左足の荷重変動成分ΔWb であり、ILRは、左足に単位インパルス荷重を与えた時の右足の荷重変動成分ΔWa 、および、IRLは、右足に単位インパルス荷重を与えた時の左足の荷重変動成分ΔWb である。
【0030】
そして、インパルス応答IRR、ILL、IRL、ILRによって、上述したゴルフスウィング中の右足、左足の機能が十分に発揮されているか調べることができる。例えば、作用足としての機能が十分に発揮される場合、足に荷重が変動すると、荷重変動の応答ピークが大きく、作用足の調整機能に基づいて応答ピークが素早く減衰する。一方、軸足としての機能が十分に発揮される場合、足にかかる荷重が変動すると、軸足の保持機能によって荷重変動にもかかわらず応答ピークが小さく、その後の応答ピークは緩やかに減衰する。
このような作用足および軸足の特徴を用いて、ゴルフ靴10a、10bを履いた状態で作用足、軸足として機能が発揮されているか、機能の発揮の程度が調べられる。
右打ちのゴルファーの場合、右足のインパルス応答IRRのピーク値PRRが左足のインパルス応答ILLのピーク値PLLに比べて1.2倍以上となっているか、あるいは、インパルス応答IRLのピーク値PRLが左足のインパルス応答ILRのピーク値PLRに比べて1.2倍以上となっているか調べ、ゴルフ靴を履いてこのピーク値の比が1.2倍以上となるゴルフ靴を、種々のゴルフ靴10a、10bの中から選択する。なお、ピーク値PRR、PLLは、図9(a)に示すように、インパルス応答IRR、ILLが減衰を開始する最大ピーク値であり、ピーク値PRL、PLRは、図9(b)に示すように、インパルス応答IRL、ILRが減衰を開始する負の値を有する最小ピーク値である。
【0031】
このようなゴルフ靴の選択方法により、右足は、外力や荷重変動に対して敏感に応答し、荷重や外力の制御調整を行う作用足として、左足は外力や荷重変動に対して応答が鈍感で、荷重や外力の変動をなるべく抑えた応答を行う安定性維持のための軸足として機能を発揮する。
上記インパルス応答のピーク値の比率は1.2以上であるが、より好ましくは、上記比率は1.5以上であるのがよい。
【0032】
上記実施例では、ゴルフ靴10a、10bを用いて形状が非対称なゴルフ靴を選択する方法を説明したが、本発明のゴルフ靴の選択方法においては、ゴルフ靴10a、10bに限定されず、左足用ゴルフ靴と右足用ゴルフ靴で形状が異なる左右非対称な1組のゴルフ靴であればいずれであってもよい。
また、上記説明では、いずれもゴルフボールを右から左に撃打して飛翔させる右打ちのゴルファーを例にして説明したが、ゴルフボールを左から右に撃打して飛翔させる左打ちのゴルファーの場合、ゴルフ靴10aと10bおよび左右の足の機能を入れ替えて同様に説明することができる。
【0033】
以上、本発明のゴルフ靴およびゴルフ靴の選択方法について詳細に説明したが、本発明は上記実施例に限定はされず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良および変更を行ってもよいのはもちろんである。
【0034】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように、本発明によれば、ゴルフクラブのヘッドスピードを向上することができ、しかも、安定したゴルフスウィングが実現でき、ゴルフボールの球筋を安定させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のゴルフ靴の一例を示す斜視図である。
【図2】(a)〜(c)は、本発明のゴルフ靴の靴底の断面形状の例を示す断面図である。
【図3】本発明のゴルフ靴のインソール部の一例を説明する図である。
【図4】本発明のゴルフ靴のゴルフスウィング時の状態を説明する説明図である。
【図5】ゴルフスウィング時の足裏の外力の発生を説明する説明図である。
【図6】本発明のゴルフ靴の選択方法を説明する説明図である。
【図7】本発明のゴルフ靴の選択方法で得られる荷重変動の一例を示す図である。
【図8】本発明のゴルフ靴の選択方法を説明する図である。
【図9】(a)および(b)は、本発明のゴルフ靴の選択方法で得られるインパルス応答の一例を示す図である。
【符号の説明】
10,10a,10b ゴルフ靴
12a,12b 靴底
13a ラウンドショルダー
13a’曲面
13a’’エッジカットショルダー
14a,14b 靴本体部
16b インソール踵部
18b インソール中足骨具部
30a,30b 床反力計
32 信号処理装置
34 コンピュータ
【発明の属する技術分野】
本発明は、ゴルフスウィングに最適なゴルフ靴およびこのゴルフ靴の選択方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ゴルフは、ゴルファーがゴルフボールを打って定められたホールに入れる、ゴルフ場で行われるスポーツである。ゴルフ場では、少なくと1ラウンド18ホールを回り、少なくと6〜7kmの長距離を歩行してプレーするので、ゴルフ靴は、ゴルフ場を長距離歩くのに疲れにくい靴であることが第一義的に求められている。そのため、ゴルフ靴はゴルフスウィングに適した靴であるとは言えないのが現状である。
【0003】
その結果、例えば、長い間使用したゴルフ靴はゴルフスウィング時の足の捻りや回転による急激な変形を受けるため靴底とゴルフ靴側面との剥離や縫糸の破絶等が生じ、歩行するだけでは問題のなかったゴルフ靴が、ゴルフスウィングに基づく変形等によって耐久性が低下するといった問題があった。
【0004】
このような背景の下、特許文献1では、ゴルフスウィングの際のゴルファーのアドレス時、意識をしなくても体の重心が自然に踵側にかかるように、インソール部の中足骨具部から踵部にかけてのインソール面が−7°〜+7°の傾きを有する、ゴルフスウィングを考慮したゴルフ靴が提案されている。これによって、ゴルファーは体の重心を意識せず、自然かつリラックスした姿勢でゴルフスウィングができるとされている。
【0005】
【特許文献1】
特許第3012617号
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、このようなゴルフ靴では、安定したゴルフスウィングが実現でき、飛翔するゴルフボールの球筋を安定させることはできても、ゴルフクラブのヘッドスピードを増加させることはできず、ゴルフボールを遠くに飛ばしたいといったゴルファーの希望に沿うことはできない。
【0007】
そこで、上記問題を解決するために、本発明は、ゴルフクラブのヘッドスピードを向上することができ、しかも、安定したゴルフスウィングが実現でき、ゴルフボールの球筋を安定させることのできるゴルフ靴およびこのようなゴルフ靴の選択方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を解決するために、第1のゴルフ靴と第2のゴルフ靴とからなり、左足用と右足用で形状の異なる左右非対称な1組のゴルフ靴であって、前記第1のゴルフ靴が、ゴルフ靴幅方向の靴底の断面形状に関し、前記ゴルフ靴幅方向における前記靴底の一方の端点位置からゴルフ靴の高さ方向に平行な第1の直線を引き、前記靴底の底面位置から前記ゴルフ靴幅方向に平行な第2の直線を引いた際にできる、前記第1の直線と前記第2の直線と前記靴底の外形線とによって囲まれた領域が存在し、この領域の面積が12mm2 以上となる部分を、内足側の靴底に有し、前記第2のゴルフ靴が、インソール部の中足骨具部から踵部に至るインソール面が水平を基準にして略同等または踵部が低くなるように傾斜していることを特徴とするゴルフ靴を提供する。
【0009】
ここで、前記第1のゴルフ靴の前記領域は、靴先端部分の靴底に形成されるのが好ましく、また、前記第2のゴルフ靴の前記インソール面が、水平を基準にして、7度以下傾斜しているのが好ましい。
また、前記第1のゴルフ靴が、ゴルフスウィングの際のゴルフボールの飛弾方向と反対方向の足用のゴルフ靴として用いられ、前記第2のゴルフ靴が、ゴルフスウィングの際のゴルフボールの飛弾方向の足用のゴルフ靴として用いられるのが好ましい。
【0010】
また、本発明は、左足用と右足用で形状の異なる左右非対称な1組のゴルフ靴を選択するためのゴルフ靴の選択方法であって、ゴルフ靴を履いた状態で、左足の荷重変動に対する左足または右足の荷重変動のインパルス応答を得るとともに、右足の荷重変動に対する左足または右足の荷重変動のインパルス応答を得、これらのインパルス応答に基づいて、足に適した左右非対称な1組のゴルフ靴が選択されることを特徴とするゴルフ靴の選択方法を提供する。
【0011】
ここで、インソール部の中足骨具部から踵部に至るインソール面が水平を基準にして略同等または踵部が低くなるように傾斜しているゴルフ靴が、ゴルフスウィングの際のゴルフボールの飛弾方向の足用のゴルフ靴として選択され、ゴルフ靴幅方向の靴底の断面形状に関し、このゴルフ靴幅方向における前記靴底の一方の端点位置からゴルフ靴の高さ方向に平行な第1の直線を引き、前記靴底の底面位置から前記ゴルフ靴幅方向に平行な第2の直線を引いた際にできる、前記第1の直線と前記第2の直線と前記靴底の外形線とでかこまれた領域が存在し、この領域の面積が12mm2 以上となる部分を、内足側の靴底に有するゴルフ靴が、ゴルフボールの飛弾方向と反対方向の足用のゴルフ靴として、選択されるのが好ましい。
【0012】
また、前記ゴルフ靴を履いて得られる前記インパルス応答において前記ゴルフボールの飛弾方向と反対方向の足のピーク値が、前記ゴルフボールの飛弾方向の足のピーク値に対して1.2倍以上となる1組のゴルフ靴が選択されるのが好ましい。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のゴルフ靴について、添付の図面に示される好適実施例を基に詳細に説明する。図1には、本発明のゴルフ靴の一例である、右足用のゴルフ靴10aと左足用のゴルフ靴10bとからなる形状が左右非対称な1組のゴルフ靴10を示している。なお、図中では、ゴルフ靴に装着されるスパイクピン等の滑り止め治具は省略されている。
【0014】
ゴルフ靴10は、形状が異なるゴルフ靴10aと10bからなる右打ちのゴルファー(ゴルファー自身から見てゴルフボールを右から左に撃打して飛弾させるゴルファー)の非対称のゴルフ靴である。ゴルフ靴10aは、右足用ゴルフ靴であり、ゴルフ靴10bは、左足用ゴルフ靴である。
ゴルフ靴10a、10bの各々は、靴底12a,12bと靴本体部14a、14bを有して構成される。
【0015】
ゴルフ靴10aは、靴底12aのうち、内足側の靴底12aが、靴本体部14aの側面までせり上がり、靴底12aの靴幅方向における断面形状が図2(a)に示すようにラウンドショルダー13aを形成している。すなわち、内足側の靴底12aの断面形状に関し、ゴルフ靴幅方向(踵部から爪先に伸びるゴルフ靴長さ方向と直交する方向)における靴底の一方の端点位置からゴルフ靴の高さ方向に平行な直線L1 を引き、靴底12aの底面位置からゴルフ靴幅方向に平行な直線L2 を引いた際にできる、直線L1 と直線L2 と靴底12aのラウンドショルダー13aの外形線でかこまれた領域Sが存在し、この領域Sの面積が12mm2 以上となっている。
領域Sの面積を12mm2 以上とすることで、以降で述べる靴底12aの接地面との接触面積が広がり、ゴルフ靴10aの摩擦特性を向上することができる。
【0016】
一方、ゴルフ靴10bは、靴底12bが内足側および外足側のいずれの側も、靴底12aのように靴本体部14bの側面にまでせり上がっていないが、図3に示すように、インソール部のインソール中足骨具部18bからインソール踵部(踵部ともいう)16bに至るインソール面が、ゴルフ靴長さ方向に関し、ゴルフ靴10bを置いた時の水平面の水平を基準にして略同等または踵部16bが低くなるように傾斜角度θで傾斜している。すなわち、踵部16bがインソール中足骨部18bに比べて同等のレベルあるいは低くなっている。傾斜角度θは、0°以上7度以下となっている。このようなインソール面の傾斜は、靴底12bの厚みによって調整され、あるいは、インソールの厚みによって調整されている。
一方、ゴルフ靴10aは、インソール部の踵部は中足骨具部に比べて高くなっている。
【0017】
本実施例のゴルフ靴10aは、図2(a)に示すように、靴底12aの内足側の幅方向端部において、靴底12aが上方にせり上がり、ラウンドショルダー13aを形成しているが、本発明は、このようなラウンドショルダー13aに限定されず、例えば図2(b)のように、靴底12aが靴本体部14aの側面にせり上がらないが、靴底の略直角を成すエッジ端部が曲面処理され曲面13a’が形成されてもよい。また、靴底12aのエッジ端が直線的に角落としされたエッジカットショルダー13a’’を形成してもよい。少なくとも、図2(b)や(c)に示す領域Sが12mm2 以上であればよい。
また、靴底端がラウンドショルダー13aや曲面13a’やエッジカットショルダー13a’’の形成される内足側の位置は、先端部Aや先端部Aから踵部Bにいたる内足側の全体であってもよいし、踵部Bのみに形成されてもよい。
【0018】
このように、図2(a)〜(c)に示す領域Sの面積やラウンドショルダー13aや曲面13a’やエッジカットショルダー13a’’の種類やラウンドショルダー13aや曲面13a’やエッジカットショルダー13a’’の形成位置等の各種パラメータが設定された種々のゴルフ靴10aが、また、図3に示すような傾斜角度θのパラメータが種々異なるゴルフ靴10bが複数用意され、後述するゴルフ靴の選択方法によって、ゴルファーに最適なゴルフ靴を正確に選択することができる。
勿論、後述するゴルフ靴の選択方法によってゴルフ靴を選択しなくても、予め設定されたパラメータを持つゴルフ靴10a、10bを、右打ちのゴルファーであれば右足にゴルフ靴10aを、左足にゴルフ靴10bを履けばよい。
【0019】
なお、ゴルフ靴10aは、靴底12aの先端部Aにラウンドショルダー13aを形成するのが好ましい。
ゴルフスウィングの際、ゴルフボールのインパクトからフォロースルー、さらにはフィニッシュにかけて、ゴルファーが地面に対して踏ん張ることができ、ゴルフクラブを力強くスウィングすることができ、ゴルフクラブのヘッドスピードを向上させることができるからである。
【0020】
すなわち、ゴルフスウィングの際、ゴルフ靴10aは、図4のような外力(剪断力)F1 を地面から受ける。すなわち、ラウンドショルダー13aの設けられた側から靴底12aは外力F1 を受けるため、靴底12aのラウンドショルダー13aは外力F1 によって地面と新たに接触し、地面と靴底12aの接触面が拡がる。従って、靴底12aと地面間の限界摩擦力は上昇して摩擦特性は向上し、ゴルフスウィングの際のフォロースルー、さらにはフィニッシュにかけてゴルフ靴10が地面に対して滑ることなく、力強くゴルフクラブをスウィングすることができる。また、ゴルフスウィング中、フォロースルーからフィニッシュにかけて踵部分は地面から浮き上がり、爪先を中心に滑らかに回転するが、先端部Aにラウンドショルダー13aが設けられているので、ゴルファーの足首がラウンドショルダー13aに沿って滑らかに傾いていく。従って、ゴルフ靴10aはラウンドショルダー13aに沿って地面から大きな外力F1 を受けるとともに、外力F1 の発生を滑らかにコントロールすることができる。
【0021】
このように、右打ちのゴルファーの、ゴルフスウィングの際の右足、すなわち、ゴルフボールの飛弾方向と反対方向(反飛弾方向)の足は、ゴルフボールのインパクトからフォロースルー、さらにはフィニッシュにかけて、ゴルフクラブのヘッドスピードを向上させるための外力F1 の発生とその外力F1 の大きさを調整する、いわゆる作用足としての機能を有する。そして、ゴルフ靴10aは、この機能をより効果的に発揮させる。
【0022】
一方、ゴルフ靴10bが、インソール中足骨具部18bから踵部16bに至るインソール面がゴルフ靴長さ方向に関し、水平を基準にして略同等または踵部16bが低くなるように傾斜しているのは、ゴルフスウィング中、左足にかかる荷重や外力に対して体を安定して維持するための安定維持機能を向上させるためである。
【0023】
すなわち、図5に示すようにゴルフスウィングの際、ダウンスウィングからゴルフボールのインパクトにかけて体重移動に伴って左足にかかる荷重や外力(剪断力)F2 が増大し、ゴルフクラブをスウィングさせるための回転モーメントMが増大するが、ゴルフ靴10bは、この荷重や外力F2 に対して安定して体を保持できるように、すなわち、ダウンスイング前から左足の踵部分に荷重がかかるようにインソール部を踵側に傾斜させ、体重移動に伴って左足にかかる荷重の徐々に発生し増大する外力F2 に対しても安定して体を保持できるように、ゴルフスウィングの始めから、踵部16bに荷重や外力F2 がかかるように作用する。
【0024】
すなわち、右打ちのゴルファーのゴルフスウィングの際の左足、すなわち、ゴルフボールの飛弾方向の足は、ダウンスウィング前からフォロースルーに至る荷重や外力F2 に対して、体を安定して保持しようとするいわゆる軸足としての機能を有するが、ゴルフ靴10bは、この軸足としての機能をより効果的に発揮させるものである。これによって、ゴルフスウィング時の回転を安定させて、ゴルフボールの打球方向を安定させることができる。
このようなゴルフ靴10a、10bを履くことによって、右足に履くゴルフ靴10aによって、ゴルフクラブのヘッドスピードを上昇させるとともに、左足に履くゴルフ靴10bによって、ゴルフボールの打球方向を安定させることができる。
なお、左打ちのゴルファー(ゴルフボールを左から右に撃打して飛弾させるゴルファー)は、右足が飛弾方向の足、左足が反飛弾方向の足となり、ゴルフ靴10aが左足用として作製され、ゴルフ靴10bが右足用として作製される。
【0025】
このようにゴルフスウィングの際の右足、左足は機能が異なるが、この機能の程度も、ゴルファーがそれぞれ体格や体重が異なるるように、ゴルファー個人個人によって異なっている。従って、ゴルフスウィングの際の右足、左足の機能を十分に発揮させるように、ゴルファー個人個人に適したゴルフ靴を選択することが望まれる。
以下に示す本発明のゴルフ靴の選択方法は、上記ゴルファー個人個人に適したゴルフ靴の選択を実現するものである。
以下、本発明のゴルフ靴の選択方法について説明する。
【0026】
図6は、右打ちのゴルファーがゴルフ靴10aおよび10bを履いて床反力計30a、30b上に載った状態を後方から見た様子を示している。床反力計30a、30bは、右足、左足にかかる荷重Wa 、荷重Wb を計測する計測装置であって、公知のものが用いられる。例えば、キスラー社製の床反力計が挙げられる。床反力計30a、30bより出力される信号は信号処理装置32で増幅され、サンプリングされて、コンピュータ34に供給される。
床反力計30a、30bでは、両目を開眼した状態で所定時間静止した状態の荷重Wa 、Wb の変動成分が計測され、コンピュータ34で、図7に示すような荷重Wa 、Wb の変動成分の波形が得られる。
【0027】
このような荷重Wa 、Wb の変動成分は、図8に示すような、ゴルファー個人個人の持つ体内の運動を司る制御系50によって制御されている。
この制御系50が荷重Wa 、Wb の変動成分ΔWa 、ΔWb を定めているので、制御系50を2変数からなるフィードバック系でモデル化し、すなわち、下記式(1)、(2)によって表すことができる。
そこで、床反力計30a、30bで測定された変動成分ΔWa 、ΔWb を用いて、制御系50がコンピュータ34によって同定される。すなわち、式(1)、(2)中の係数αk 、βk (K=1〜M:Mは自然数)が算出される。ここで、自然数Mは、制御系50の次数を示すもので、オペレータによって予め与えてもよいし、予め定めておいてもよく、最適な次数として、情報エントロピーを最小化する赤池の情報量基準に従って次数Mを決定してもよい。式(1)、(2)は、時間ti における荷重変動成分ΔWa 、ΔWb を、それ以前のti−1 ,ti−2 ,・・・,ti−M の荷重変動成分ΔWa 、ΔWb と係数αk 、βk とを用いて表す自己回帰モデルである。ea (ti )、およびeb (ti )は、残差ノイズ成分である。
【0028】
【数1】
【数2】
【0029】
係数αk 、βk の算出は、図7に示す計測データである荷重Wa 、Wb の変動成分を基に最小自乗法等を用いて、コンピュータ34において行われる。
次に、算出された係数αk 、βk を用いて、右足、左足の各々に単位インパルス荷重を与えた時の右足および左足の荷重変動、すなわち、図9(a)、(b)に示すようなインパルス応答、IRR、ILL、ILRおよびIRLがコンピュータ34において算出される。
ここで、IRRは、右足に単位インパルス荷重を与えた時の右足の荷重変動成分ΔWa 、および、ILLは、左足に単位インパルス荷重を与えた時の左足の荷重変動成分ΔWb であり、ILRは、左足に単位インパルス荷重を与えた時の右足の荷重変動成分ΔWa 、および、IRLは、右足に単位インパルス荷重を与えた時の左足の荷重変動成分ΔWb である。
【0030】
そして、インパルス応答IRR、ILL、IRL、ILRによって、上述したゴルフスウィング中の右足、左足の機能が十分に発揮されているか調べることができる。例えば、作用足としての機能が十分に発揮される場合、足に荷重が変動すると、荷重変動の応答ピークが大きく、作用足の調整機能に基づいて応答ピークが素早く減衰する。一方、軸足としての機能が十分に発揮される場合、足にかかる荷重が変動すると、軸足の保持機能によって荷重変動にもかかわらず応答ピークが小さく、その後の応答ピークは緩やかに減衰する。
このような作用足および軸足の特徴を用いて、ゴルフ靴10a、10bを履いた状態で作用足、軸足として機能が発揮されているか、機能の発揮の程度が調べられる。
右打ちのゴルファーの場合、右足のインパルス応答IRRのピーク値PRRが左足のインパルス応答ILLのピーク値PLLに比べて1.2倍以上となっているか、あるいは、インパルス応答IRLのピーク値PRLが左足のインパルス応答ILRのピーク値PLRに比べて1.2倍以上となっているか調べ、ゴルフ靴を履いてこのピーク値の比が1.2倍以上となるゴルフ靴を、種々のゴルフ靴10a、10bの中から選択する。なお、ピーク値PRR、PLLは、図9(a)に示すように、インパルス応答IRR、ILLが減衰を開始する最大ピーク値であり、ピーク値PRL、PLRは、図9(b)に示すように、インパルス応答IRL、ILRが減衰を開始する負の値を有する最小ピーク値である。
【0031】
このようなゴルフ靴の選択方法により、右足は、外力や荷重変動に対して敏感に応答し、荷重や外力の制御調整を行う作用足として、左足は外力や荷重変動に対して応答が鈍感で、荷重や外力の変動をなるべく抑えた応答を行う安定性維持のための軸足として機能を発揮する。
上記インパルス応答のピーク値の比率は1.2以上であるが、より好ましくは、上記比率は1.5以上であるのがよい。
【0032】
上記実施例では、ゴルフ靴10a、10bを用いて形状が非対称なゴルフ靴を選択する方法を説明したが、本発明のゴルフ靴の選択方法においては、ゴルフ靴10a、10bに限定されず、左足用ゴルフ靴と右足用ゴルフ靴で形状が異なる左右非対称な1組のゴルフ靴であればいずれであってもよい。
また、上記説明では、いずれもゴルフボールを右から左に撃打して飛翔させる右打ちのゴルファーを例にして説明したが、ゴルフボールを左から右に撃打して飛翔させる左打ちのゴルファーの場合、ゴルフ靴10aと10bおよび左右の足の機能を入れ替えて同様に説明することができる。
【0033】
以上、本発明のゴルフ靴およびゴルフ靴の選択方法について詳細に説明したが、本発明は上記実施例に限定はされず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良および変更を行ってもよいのはもちろんである。
【0034】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように、本発明によれば、ゴルフクラブのヘッドスピードを向上することができ、しかも、安定したゴルフスウィングが実現でき、ゴルフボールの球筋を安定させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のゴルフ靴の一例を示す斜視図である。
【図2】(a)〜(c)は、本発明のゴルフ靴の靴底の断面形状の例を示す断面図である。
【図3】本発明のゴルフ靴のインソール部の一例を説明する図である。
【図4】本発明のゴルフ靴のゴルフスウィング時の状態を説明する説明図である。
【図5】ゴルフスウィング時の足裏の外力の発生を説明する説明図である。
【図6】本発明のゴルフ靴の選択方法を説明する説明図である。
【図7】本発明のゴルフ靴の選択方法で得られる荷重変動の一例を示す図である。
【図8】本発明のゴルフ靴の選択方法を説明する図である。
【図9】(a)および(b)は、本発明のゴルフ靴の選択方法で得られるインパルス応答の一例を示す図である。
【符号の説明】
10,10a,10b ゴルフ靴
12a,12b 靴底
13a ラウンドショルダー
13a’曲面
13a’’エッジカットショルダー
14a,14b 靴本体部
16b インソール踵部
18b インソール中足骨具部
30a,30b 床反力計
32 信号処理装置
34 コンピュータ
Claims (7)
- 第1のゴルフ靴と第2のゴルフ靴とからなり、左足用と右足用で形状の異なる左右非対称な1組のゴルフ靴であって、
前記第1のゴルフ靴が、
ゴルフ靴幅方向の靴底の断面形状に関し、
前記ゴルフ靴幅方向における前記靴底の一方の端点位置からゴルフ靴の高さ方向に平行な第1の直線を引き、前記靴底の底面位置から前記ゴルフ靴幅方向に平行な第2の直線を引いた際にできる、前記第1の直線と前記第2の直線と前記靴底の外形線とによって囲まれた領域が存在し、この領域の面積が12mm2 以上となる部分を、内足側の靴底に有し、
前記第2のゴルフ靴が、
インソール部の中足骨具部から踵部に至るインソール面が、ゴルフ靴長さ方向に関し、水平を基準にして略同等または踵部が低くなるように傾斜していることを特徴とするゴルフ靴。 - 前記第1のゴルフ靴の前記領域は、靴先端部分の靴底に形成されることを特徴とする請求項1に記載のゴルフ靴。
- 前記第2のゴルフ靴の前記インソール面が、水平を基準にして、7度以下傾斜していることを特徴とする請求項1または2に記載のゴルフ靴。
- 前記第1のゴルフ靴が、ゴルフスウィングの際のゴルフボールの飛弾方向と反対方向の足用のゴルフ靴として用いられ、
前記第2のゴルフ靴が、ゴルフスウィングの際のゴルフボールの飛弾方向の足用のゴルフ靴として用いられることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のゴルフ靴。 - 左足用と右足用で形状の異なる左右非対称な1組のゴルフ靴を選択するためのゴルフ靴の選択方法であって、
ゴルフ靴を履いた状態で、左足の荷重変動に対する左足または右足の荷重変動のインパルス応答を得るとともに、右足の荷重変動に対する左足または右足の荷重変動のインパルス応答を得、これらのインパルス応答に基づいて、足に適した左右非対称な1組のゴルフ靴が選択されることを特徴とするゴルフ靴の選択方法。 - インソール部の中足骨具部から踵部に至るインソール面が水平を基準にして略同等または踵部が低くなるように傾斜しているゴルフ靴が、ゴルフスウィングの際のゴルフボールの飛弾方向の足用のゴルフ靴として選択され、
ゴルフ靴幅方向の靴底の断面形状に関し、このゴルフ靴幅方向における前記靴底の一方の端点位置からゴルフ靴の高さ方向に平行な第1の直線を引き、前記靴底の底面位置から前記ゴルフ靴幅方向に平行な第2の直線を引いた際にできる、前記第1の直線と前記第2の直線と前記靴底の外形線とでかこまれた領域が存在し、この領域の面積が12mm2 以上となる部分を、内足側の靴底に有するゴルフ靴が、ゴルフボールの飛弾方向と反対方向の足用のゴルフ靴として選択されることを特徴とする請求項5に記載のゴルフ靴の選択方法。 - 前記ゴルフ靴を履いて得られる前記インパルス応答について前記ゴルフボールの飛弾方向と反対方向の足のピーク値が、前記ゴルフボールの飛弾方向の足のピーク値に対して1.2倍以上となる1組のゴルフ靴が選択されることを特徴とする請求項6に記載のゴルフ靴の選択方法。
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2010085160A1 (en) * | 2009-01-26 | 2010-07-29 | Edward Czerwiowski | Knee-protecting golf shoe |
EP2974613A1 (en) * | 2014-07-15 | 2016-01-20 | Taylor Made Golf Company, INC. | Asymmetric pair of shoes |
-
2003
- 2003-07-02 JP JP2003190468A patent/JP2005021384A/ja not_active Withdrawn
Cited By (3)
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US9713357B2 (en) | 2014-07-15 | 2017-07-25 | Taylor Made Golf Company, Inc. | Asymmetric shoes |
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