JP2005021307A - 無耳組織の切り離し包帯およびガーゼ - Google Patents
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Abstract
【課題】幅広に織成した平織り地を経糸方向に裁断して大量生産可能であり、しかも、切り離し状態でありながら、経糸及び緯糸のほつれや脱落を防止することができる無耳組織の切り離し包帯およびガーゼを提供する。
【解決手段】平織り地10の織り幅10Aの左右端に、それぞれ経糸密度を高めた高経糸密度部11,11を設けるとともに、左右端の高経糸密度部11,11の中間に、所定の包帯幅A間隔またはガーゼ幅間隔毎に1対の切断高経糸密度部12,12を設け、1対の切断高経糸密度部12,12の間を経糸Y1に沿って切断する。
【選択図】 図1
【解決手段】平織り地10の織り幅10Aの左右端に、それぞれ経糸密度を高めた高経糸密度部11,11を設けるとともに、左右端の高経糸密度部11,11の中間に、所定の包帯幅A間隔またはガーゼ幅間隔毎に1対の切断高経糸密度部12,12を設け、1対の切断高経糸密度部12,12の間を経糸Y1に沿って切断する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、幅広に織成した平織り地を所定の包帯幅またはガーゼ幅に裁断することによって、低コストで大量生産することことができ、しかも、切り離した状態の無耳組織でありながら、経糸がほつれないように工夫した無耳組織の切り離し包帯および無耳組織の切り離しガーゼに関する。
【0002】
【従来の技術】
医療用、家庭用にかかわらず、包帯やガーゼにおいては、経糸および緯糸のほつれや脱落が嫌忌される。これは、ほつれたり脱落した糸が傷口に癒着したり、過って身体内に残される危険性を未然に防止するためである。
【0003】
このような危険性を排除するための手段として、従来の包帯やガーゼは、所定の包帯幅または所定のガーゼ幅に対応した細幅の織物として個々に織成されている。織成に際しての緯糸は、包帯幅またはガーゼ幅の左右の端で順次に折返すようにして経糸間に織り込まれ、織成された包帯等の左右端部には、折返した緯糸によって左右端の経糸を抱持し、経糸のほつれを防ぐようにした耳組織(以下「折返し耳組織」という。)が形成されている。
【0004】
したがって、緯糸は、包帯等の全長にわたって折返されながら連続しており、包帯等の幅方向の左右端の折返し耳組織による経糸のほつれ防止と、緯糸の連続による緯糸の脱落が防止される。また、使用に際して包帯等を切断した場合においては、切断端部において緯糸がほつれることは避けられないが、緯糸が連続していることによって、その脱落が防止されるのである。
【0005】
なお、経糸および緯糸の脱落やほつれを防止するための手段として、編成による編み地の採用も考えられるが、編み地は、編成の性質上、一種の立体構造を伴い、したがって、厚み方向の変形量が大きく、傷口に入り込んでしまうために、包帯またはガーゼ用途には、通常採用されず、厚み方向のクッション性を生かしたサポータ等として採用されている(例えば、特開昭62−268853号公報)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
折返し耳組織は、包帯等の幅方向の左右端部のほつれを阻止する技術手段として有効ではあるが、折返し耳組織を形成するためには、製織に際して、包帯等の幅毎に緯糸を折返すようにして緯入れをする必要があるところから、製織作業は、包帯等の幅相当の極めて狭い織り幅で実施せざるを得ないので、極めて生産効率が悪いという問題がある。また、この生産効率の悪さは、包帯等の価格を一定限度以下に押さえることができない原因ともなっている。
【0007】
本発明は、今日の医療現場における包帯等の使用形態が、衛生管理、感染防止の観点から使い捨て使用形態となっていることに鑑み、包帯等における経糸および緯糸のほつれまたは脱落防止期間を少なくとも1回使用の期間に設定することによって、低コストで効率よく大量生産することができる無耳組織の切り離し包帯および無耳組織の切り離しガーゼを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するための手段として本発明は、次のような構成を採用する。
【0009】
本発明に係る無耳組織の切り離し包帯は、高吸水性の素材糸からなる経糸と高吸水性の素材糸からなる緯糸とを無耳組織の平織りに織成し、織成された幅広の平織り地を経糸方向に沿って所定の包帯幅に裁断してなり、この際、経糸と緯糸は、織り幅の左右端にそれぞれ経糸密度を高めた高経糸密度部を設けるとともに、左右端の高経糸密度部の中間に、所定の包帯幅間隔毎に1対の切断高経糸密度部を設けて緯糸密度を一定にして織成し、1対の切断高経糸密度部の間には、経糸を切断することなくカッタの通過を許容する切断代が設定され、この切断代部分が裁断されていることを特徴とする。
【0010】
この構成によれば、包帯は、経糸と緯糸とを平織りに織成されているところから、表面が平坦であり、例えば、圧迫用途においては、創傷や裂傷の傷口に入り込むことなく傷口を圧迫することができる。また、経糸および緯糸に高吸水性の素材糸を使用していることにより、血液その他の体液、湿布薬剤等をよく吸収することができる。
【0011】
包帯は、幅広の平織り地を経糸方向に裁断することによって多数の包帯が同時に製造されるが、裁断は、1対の切断高経糸密度部間の切断代にカッタを通過させて切断することによって実施される。したがって、裁断された包帯の幅方向の左右端部は、切り離し状態となっているが、この部分には、いずれも切断高経糸密度部が存在する。切断高経糸密度部は、部分的に経糸密度が高められている結果、緯糸との摩擦係合力が高いので、包帯の使用中における経糸のほつれおよび緯糸の脱落を阻止することができる。
【0012】
本発明に係る無耳組織の切り離し包帯における経糸には、その一定本数毎に高吸水性の素材糸によってカバーリングしたゴム糸を経糸として織り込むことができる。
【0013】
ゴム糸を織り込むことによって包帯の長手方向に伸縮性を有し、この伸縮性によって身体の動きに追随することができるので、身体の可動部分の圧迫包帯、固定包帯、支持包帯としての適合性を高めることができる。
【0014】
本発明にかかる無耳組織の切り離しガーゼの構成は、上記包帯の構成と実質的に同じである。ただ、幅広に織成する平織り地において、各1対の切断高経糸密度部を設ける間隔がガーゼ幅に対応して設けられる点で相違する。そして、1対の切断高経糸密度部間の切断代を切断することによって、平織り地の織り幅を設定されたガーゼ幅で除した数のガーゼが同時に生産される。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、図面を引用しながら本発明の実施の形態を説明する。
【0016】
本発明に係る無耳組織の切り離し包帯20および無耳組織の切り離しガーゼ30(以下、単に「切り離し包帯」、「切り離しガーゼ」という。)は、経糸Y1および緯糸Y2に高吸水性の素材糸を使用して織成した平織り地10を経糸方向に沿って裁断することによって製造される(図1ないし図5)。
【0017】
経糸Y1および緯糸Y2には、綿、スフ、麻、絹等の短繊維を紡いだ高吸水性のスパン糸を用いる。なお、スパン糸は、長繊維を短く裁断して紡いだ合繊スパン糸であってもよい。合繊スパン糸であっても実用的なレベルの吸水性を示すからである。また、糸の太さは、通常の包帯またはガーゼに使用されるデニール値または番手数の範囲で選択することができる。
【0018】
本発明の切り離し包帯20および切り離しガーゼ30の2次材料としての平織り地10は、特別な耳組織を必要とすることなく無耳組織の平織り地10で足りるので、ウオータジェットルームまたはエアジェットルーム等の高速織機を利用して効率よく織成することができる。ただし、織機に対する経糸Y1の機掛け作業は、次のようにする。
【0019】
平織り地10の織り幅10Aには、制約理由が存在しないので、機幅全体を利用することができる(図1)。経糸Y1は、織り幅10Aの左右の端部の経糸密度を高めるとともに、織り幅10Aの中間部分には、予定する包帯幅Aの間隔毎に1対の経糸密度を高めた部分を設定する。また、この1対の経糸密度を高めた部分の間には、特に経糸間隔が開いた部分を設定する。なお、緯糸密度は、一定とする。
【0020】
上記設定で織成される平織り地10は、織り幅10A方向の左右端部にそれぞれ高経糸密度部11,11が形成されるとともに、織り幅10Aの中間部分には、包帯幅A間隔毎に1対の切断高経糸密度部12,12とその間の切断代13とが形成される(図1,図2)。なお、高経糸密度部11,11および切断高経糸密度部12…は、布目の織り地を形成し、その他の部分は織り目の織り地を形成している。そして、このような平織り地10は、織成の進行に伴い織機の巻き取りロールR1に巻き取られる。
【0021】
切り離し包帯20は、平織り地10を経糸Y1方向に裁断して得られる。裁断作業は、例えば、次のように実施することができる(図3)。
【0022】
織機から外された巻き取りロールR1の平織り地10は、別途に準備する切り離し包帯巻き取り用のボビンロールR4との間に所定の張力を付与した状態で仕掛けられる。ボビンロールR4には、切り離された切り離し包帯20の1本毎に対応する数のボビン53が取り付けられている。また、巻き取りロールR1とボビンロールR4との間には、2本のテンションロールR2,R3と、カッタ台52に取り付けられた多数のカッタ51…が設置されている。
【0023】
巻き取りロールR1から巻き解かれた平織り地10は、2本のテンションロールR2,R3に仕掛けられ、テンションロールR2,R3は、ブレーキ力によって平織り地10に張力を付与することができる。次いで、平織り地10は、カッタ51…上を通過する際に裁断され、平織り地10は、この時点で多数本の切り離し包帯20…となる。すなわち、多数のカッタ51…は、カッタ台52に包帯幅A間隔を保って立設され、各カッタ51の位置は、平織り地10の各切断代13に対応している。したがって、平織り地10がカッタ51…上を通過することによって、全ての切断代13…部分が同時に切断される。
【0024】
裁断された切り離し包帯20…は、ボビンロールR4の各ボビン53に巻き取られて完成する(図4)。完成状態の切り離し包帯20の包帯幅A方向の両端には、平織り地10に設定した切断高経糸密度部12,12が存在し、この部分で緯糸Y2との摩擦係合力が高められているので、切り離し包帯20は無耳組織でありながらも、少なくとも使い捨て用途に十分耐える耐久性を発揮することができるのである。
【0025】
本発明に係る切り離しガーゼ30は、平織り地10に対して包帯幅Aに替えて所定のガーゼ幅Bを設定することにより、切り離し包帯20と同一の素材を用いて、同一の段取りと同一の工程によって製造することができる(図5)。ただし、ガーゼ用途により適する軟らかい素材を選択することもできる。また、切り離しガーゼ30における切断高経糸密度部12を構成する経糸Y1の本数は、幅寸法に余裕があることにより、切り離し包帯20におけるよりも多数本に設定されている。高経糸密度部11および切断高経糸密度部12を構成する経糸Y1の本数は、切り離し包帯20の場合で3本ないし5本、切り離しガーゼ30においては、5本ないし10本程度が適切であり、3本を下回ると、緯糸Y1との係合力が不足し、経糸Y1がほつれ出る虞が生じる。
【0026】
なお、特に切り離し包帯20においては、経糸Y1の一定本数毎に高吸水性の素材糸によってカバーリングしたゴム糸を経糸Y1として織り込むことができるものとする。切り離し包帯20においては、圧迫、固定、支持というガーゼとは異なる機能が要求されるのであり、ゴム糸を経糸Y1として織り込み、長手方向に伸縮性をもたせることで、これらの機能をよりよく発揮することができるからである。
【0027】
また、切り離し包帯20、切り離しガーゼ30のいずれに関しても、平織り地10の裁断に際しては、必ずしも平織り地10に設定した隣接する切断代13を切断しなければならないものではない。例えば、切断代13を1個とばしに裁断することによって、簡単に2倍幅の切り離し包帯20または切り離しガーゼ30を製造することができ、使用上の不都合も生じない。
【0028】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明に係る無耳組織の切り離し包帯および無耳組織の切り離しガーゼは、幅広に織成した平織り地を経糸方向に裁断して多数同時に製造されるので、格段のコスト削減効果および高い生産効率を達成することができるとともに、平織り地の裁断は、所定の包帯幅間隔またはガーゼ幅間隔毎に設けられる1対の切断高経糸密度の間を切断することにより行われるので、切り離された包帯またはガーゼの幅方向の左右端には、他の部分より経糸密度が高い切断高経糸密度部が残存し、切り離し状態でありながらも経糸および緯糸のほつれや脱落を有効に阻止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る切り離し包帯の製造工程を示す平面図。
【図2】本発明に係る切り離し包帯の切り離し前の平織り地を示す拡大平面図。
【図3】本発明に係る切り離し包帯の製造工程を示す斜視図。
【図4】本発明に係る切り離し包帯の完成状態を示す斜視図。
【図5】本発明に係る切り離しガーゼの完成状態を示す斜視図。
【符号の説明】
A 包帯幅
B ガーゼ幅
Y1 経糸
Y2 緯糸
10 平織り地
11 高経糸密度部
12 切断高経糸密度部
13 切断代
51 カッタ
【発明の属する技術分野】
本発明は、幅広に織成した平織り地を所定の包帯幅またはガーゼ幅に裁断することによって、低コストで大量生産することことができ、しかも、切り離した状態の無耳組織でありながら、経糸がほつれないように工夫した無耳組織の切り離し包帯および無耳組織の切り離しガーゼに関する。
【0002】
【従来の技術】
医療用、家庭用にかかわらず、包帯やガーゼにおいては、経糸および緯糸のほつれや脱落が嫌忌される。これは、ほつれたり脱落した糸が傷口に癒着したり、過って身体内に残される危険性を未然に防止するためである。
【0003】
このような危険性を排除するための手段として、従来の包帯やガーゼは、所定の包帯幅または所定のガーゼ幅に対応した細幅の織物として個々に織成されている。織成に際しての緯糸は、包帯幅またはガーゼ幅の左右の端で順次に折返すようにして経糸間に織り込まれ、織成された包帯等の左右端部には、折返した緯糸によって左右端の経糸を抱持し、経糸のほつれを防ぐようにした耳組織(以下「折返し耳組織」という。)が形成されている。
【0004】
したがって、緯糸は、包帯等の全長にわたって折返されながら連続しており、包帯等の幅方向の左右端の折返し耳組織による経糸のほつれ防止と、緯糸の連続による緯糸の脱落が防止される。また、使用に際して包帯等を切断した場合においては、切断端部において緯糸がほつれることは避けられないが、緯糸が連続していることによって、その脱落が防止されるのである。
【0005】
なお、経糸および緯糸の脱落やほつれを防止するための手段として、編成による編み地の採用も考えられるが、編み地は、編成の性質上、一種の立体構造を伴い、したがって、厚み方向の変形量が大きく、傷口に入り込んでしまうために、包帯またはガーゼ用途には、通常採用されず、厚み方向のクッション性を生かしたサポータ等として採用されている(例えば、特開昭62−268853号公報)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
折返し耳組織は、包帯等の幅方向の左右端部のほつれを阻止する技術手段として有効ではあるが、折返し耳組織を形成するためには、製織に際して、包帯等の幅毎に緯糸を折返すようにして緯入れをする必要があるところから、製織作業は、包帯等の幅相当の極めて狭い織り幅で実施せざるを得ないので、極めて生産効率が悪いという問題がある。また、この生産効率の悪さは、包帯等の価格を一定限度以下に押さえることができない原因ともなっている。
【0007】
本発明は、今日の医療現場における包帯等の使用形態が、衛生管理、感染防止の観点から使い捨て使用形態となっていることに鑑み、包帯等における経糸および緯糸のほつれまたは脱落防止期間を少なくとも1回使用の期間に設定することによって、低コストで効率よく大量生産することができる無耳組織の切り離し包帯および無耳組織の切り離しガーゼを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するための手段として本発明は、次のような構成を採用する。
【0009】
本発明に係る無耳組織の切り離し包帯は、高吸水性の素材糸からなる経糸と高吸水性の素材糸からなる緯糸とを無耳組織の平織りに織成し、織成された幅広の平織り地を経糸方向に沿って所定の包帯幅に裁断してなり、この際、経糸と緯糸は、織り幅の左右端にそれぞれ経糸密度を高めた高経糸密度部を設けるとともに、左右端の高経糸密度部の中間に、所定の包帯幅間隔毎に1対の切断高経糸密度部を設けて緯糸密度を一定にして織成し、1対の切断高経糸密度部の間には、経糸を切断することなくカッタの通過を許容する切断代が設定され、この切断代部分が裁断されていることを特徴とする。
【0010】
この構成によれば、包帯は、経糸と緯糸とを平織りに織成されているところから、表面が平坦であり、例えば、圧迫用途においては、創傷や裂傷の傷口に入り込むことなく傷口を圧迫することができる。また、経糸および緯糸に高吸水性の素材糸を使用していることにより、血液その他の体液、湿布薬剤等をよく吸収することができる。
【0011】
包帯は、幅広の平織り地を経糸方向に裁断することによって多数の包帯が同時に製造されるが、裁断は、1対の切断高経糸密度部間の切断代にカッタを通過させて切断することによって実施される。したがって、裁断された包帯の幅方向の左右端部は、切り離し状態となっているが、この部分には、いずれも切断高経糸密度部が存在する。切断高経糸密度部は、部分的に経糸密度が高められている結果、緯糸との摩擦係合力が高いので、包帯の使用中における経糸のほつれおよび緯糸の脱落を阻止することができる。
【0012】
本発明に係る無耳組織の切り離し包帯における経糸には、その一定本数毎に高吸水性の素材糸によってカバーリングしたゴム糸を経糸として織り込むことができる。
【0013】
ゴム糸を織り込むことによって包帯の長手方向に伸縮性を有し、この伸縮性によって身体の動きに追随することができるので、身体の可動部分の圧迫包帯、固定包帯、支持包帯としての適合性を高めることができる。
【0014】
本発明にかかる無耳組織の切り離しガーゼの構成は、上記包帯の構成と実質的に同じである。ただ、幅広に織成する平織り地において、各1対の切断高経糸密度部を設ける間隔がガーゼ幅に対応して設けられる点で相違する。そして、1対の切断高経糸密度部間の切断代を切断することによって、平織り地の織り幅を設定されたガーゼ幅で除した数のガーゼが同時に生産される。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、図面を引用しながら本発明の実施の形態を説明する。
【0016】
本発明に係る無耳組織の切り離し包帯20および無耳組織の切り離しガーゼ30(以下、単に「切り離し包帯」、「切り離しガーゼ」という。)は、経糸Y1および緯糸Y2に高吸水性の素材糸を使用して織成した平織り地10を経糸方向に沿って裁断することによって製造される(図1ないし図5)。
【0017】
経糸Y1および緯糸Y2には、綿、スフ、麻、絹等の短繊維を紡いだ高吸水性のスパン糸を用いる。なお、スパン糸は、長繊維を短く裁断して紡いだ合繊スパン糸であってもよい。合繊スパン糸であっても実用的なレベルの吸水性を示すからである。また、糸の太さは、通常の包帯またはガーゼに使用されるデニール値または番手数の範囲で選択することができる。
【0018】
本発明の切り離し包帯20および切り離しガーゼ30の2次材料としての平織り地10は、特別な耳組織を必要とすることなく無耳組織の平織り地10で足りるので、ウオータジェットルームまたはエアジェットルーム等の高速織機を利用して効率よく織成することができる。ただし、織機に対する経糸Y1の機掛け作業は、次のようにする。
【0019】
平織り地10の織り幅10Aには、制約理由が存在しないので、機幅全体を利用することができる(図1)。経糸Y1は、織り幅10Aの左右の端部の経糸密度を高めるとともに、織り幅10Aの中間部分には、予定する包帯幅Aの間隔毎に1対の経糸密度を高めた部分を設定する。また、この1対の経糸密度を高めた部分の間には、特に経糸間隔が開いた部分を設定する。なお、緯糸密度は、一定とする。
【0020】
上記設定で織成される平織り地10は、織り幅10A方向の左右端部にそれぞれ高経糸密度部11,11が形成されるとともに、織り幅10Aの中間部分には、包帯幅A間隔毎に1対の切断高経糸密度部12,12とその間の切断代13とが形成される(図1,図2)。なお、高経糸密度部11,11および切断高経糸密度部12…は、布目の織り地を形成し、その他の部分は織り目の織り地を形成している。そして、このような平織り地10は、織成の進行に伴い織機の巻き取りロールR1に巻き取られる。
【0021】
切り離し包帯20は、平織り地10を経糸Y1方向に裁断して得られる。裁断作業は、例えば、次のように実施することができる(図3)。
【0022】
織機から外された巻き取りロールR1の平織り地10は、別途に準備する切り離し包帯巻き取り用のボビンロールR4との間に所定の張力を付与した状態で仕掛けられる。ボビンロールR4には、切り離された切り離し包帯20の1本毎に対応する数のボビン53が取り付けられている。また、巻き取りロールR1とボビンロールR4との間には、2本のテンションロールR2,R3と、カッタ台52に取り付けられた多数のカッタ51…が設置されている。
【0023】
巻き取りロールR1から巻き解かれた平織り地10は、2本のテンションロールR2,R3に仕掛けられ、テンションロールR2,R3は、ブレーキ力によって平織り地10に張力を付与することができる。次いで、平織り地10は、カッタ51…上を通過する際に裁断され、平織り地10は、この時点で多数本の切り離し包帯20…となる。すなわち、多数のカッタ51…は、カッタ台52に包帯幅A間隔を保って立設され、各カッタ51の位置は、平織り地10の各切断代13に対応している。したがって、平織り地10がカッタ51…上を通過することによって、全ての切断代13…部分が同時に切断される。
【0024】
裁断された切り離し包帯20…は、ボビンロールR4の各ボビン53に巻き取られて完成する(図4)。完成状態の切り離し包帯20の包帯幅A方向の両端には、平織り地10に設定した切断高経糸密度部12,12が存在し、この部分で緯糸Y2との摩擦係合力が高められているので、切り離し包帯20は無耳組織でありながらも、少なくとも使い捨て用途に十分耐える耐久性を発揮することができるのである。
【0025】
本発明に係る切り離しガーゼ30は、平織り地10に対して包帯幅Aに替えて所定のガーゼ幅Bを設定することにより、切り離し包帯20と同一の素材を用いて、同一の段取りと同一の工程によって製造することができる(図5)。ただし、ガーゼ用途により適する軟らかい素材を選択することもできる。また、切り離しガーゼ30における切断高経糸密度部12を構成する経糸Y1の本数は、幅寸法に余裕があることにより、切り離し包帯20におけるよりも多数本に設定されている。高経糸密度部11および切断高経糸密度部12を構成する経糸Y1の本数は、切り離し包帯20の場合で3本ないし5本、切り離しガーゼ30においては、5本ないし10本程度が適切であり、3本を下回ると、緯糸Y1との係合力が不足し、経糸Y1がほつれ出る虞が生じる。
【0026】
なお、特に切り離し包帯20においては、経糸Y1の一定本数毎に高吸水性の素材糸によってカバーリングしたゴム糸を経糸Y1として織り込むことができるものとする。切り離し包帯20においては、圧迫、固定、支持というガーゼとは異なる機能が要求されるのであり、ゴム糸を経糸Y1として織り込み、長手方向に伸縮性をもたせることで、これらの機能をよりよく発揮することができるからである。
【0027】
また、切り離し包帯20、切り離しガーゼ30のいずれに関しても、平織り地10の裁断に際しては、必ずしも平織り地10に設定した隣接する切断代13を切断しなければならないものではない。例えば、切断代13を1個とばしに裁断することによって、簡単に2倍幅の切り離し包帯20または切り離しガーゼ30を製造することができ、使用上の不都合も生じない。
【0028】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明に係る無耳組織の切り離し包帯および無耳組織の切り離しガーゼは、幅広に織成した平織り地を経糸方向に裁断して多数同時に製造されるので、格段のコスト削減効果および高い生産効率を達成することができるとともに、平織り地の裁断は、所定の包帯幅間隔またはガーゼ幅間隔毎に設けられる1対の切断高経糸密度の間を切断することにより行われるので、切り離された包帯またはガーゼの幅方向の左右端には、他の部分より経糸密度が高い切断高経糸密度部が残存し、切り離し状態でありながらも経糸および緯糸のほつれや脱落を有効に阻止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る切り離し包帯の製造工程を示す平面図。
【図2】本発明に係る切り離し包帯の切り離し前の平織り地を示す拡大平面図。
【図3】本発明に係る切り離し包帯の製造工程を示す斜視図。
【図4】本発明に係る切り離し包帯の完成状態を示す斜視図。
【図5】本発明に係る切り離しガーゼの完成状態を示す斜視図。
【符号の説明】
A 包帯幅
B ガーゼ幅
Y1 経糸
Y2 緯糸
10 平織り地
11 高経糸密度部
12 切断高経糸密度部
13 切断代
51 カッタ
Claims (3)
- 高吸水性の素材糸からなる経糸と高吸水性の素材糸からなる緯糸とを無耳組織の平織りに織成し、織成された幅広の平織り地を経糸方向に沿って所定の包帯幅に裁断してなり、
前記経糸と緯糸は、織り幅の左右端にそれぞれ経糸密度を高めた高経糸密度部を設けるとともに、左右端の高経糸密度部の中間に、所定の包帯幅間隔毎に1対の切断高経糸密度部を設けて緯糸密度を一定にして織成し、
1対の切断高経糸密度部の間には、経糸を切断することなくカッタの通過を許容する切断代が設定され、該切断代部分が裁断されていること、を特徴とする、
無耳組織の切り離し包帯。 - 経糸の一定本数毎に高吸水性の素材糸によってカバーリングしたゴム糸を経糸として織り込むこと、を特徴とする、
請求項1に記載の無耳組織の切り離し包帯。 - 高吸水性の素材糸からなる経糸と高吸水性の素材糸からなる緯糸とを無耳組織の平織りに織成し、織成された幅広の平織り地を経糸方向に沿って所定のガーゼ幅に裁断してなり、
前記経糸と緯糸は、織り幅の左右端にそれぞれ経糸密度を高めた高経糸密度部を設けるとともに、左右端の高経糸密度部の中間に、所定のガーゼ幅間隔毎に1対の切断高経糸密度部を設けて緯糸密度を一定にして織成し、
1対の切断高経糸密度部の間には、経糸を切断することなくカッタの通過を許容する切断代が設定され、該切断代部分が裁断されていること、を特徴とする、
無耳組織の切り離しガーゼ。
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JP2003189135A JP2005021307A (ja) | 2003-07-01 | 2003-07-01 | 無耳組織の切り離し包帯およびガーゼ |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2007023401A (ja) * | 2005-07-13 | 2007-02-01 | Hakujuji Co Ltd | ガーゼおよびその製造方法 |
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JP2015096135A (ja) * | 2013-11-15 | 2015-05-21 | 株式会社酒井商店 | 医療用ガーゼ |
CN110846785A (zh) * | 2019-12-03 | 2020-02-28 | 常州市武进永光机械有限公司 | 可局部加密的圆织机以及纬编遮阳网的制作方法 |
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2003
- 2003-07-01 JP JP2003189135A patent/JP2005021307A/ja active Pending
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