JP2005019475A - 塗布膜形成装置及び塗布膜形成方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】塗布ユニットから次工程のユニットに表面に塗布液が塗布された基板を搬送する際に、前記基板表面の塗布液からの溶媒の揮発を抑制すること。
【解決手段】基板搬送手段23は、3段構成の保持アーム41a〜41cと、最下段の第3の保持アーム41cが前記搬送位置にあるときの当該アーム41cの上方側に、基板より大きい乾燥防止プレート5とを備えており、ウエハの表面に対し塗布膜の成分と溶媒とを含む塗布液を塗布する処理を行う塗布ユニット24から、ウエハ表面の塗布液から溶剤を蒸発させて除去する減圧乾燥ユニット25にウエハの搬送を行うにあたり、第3の保持アーム41cの上にウエハを搭載し、このウエハの表面全体を乾燥防止プレート5により間隔を介して覆いながら、前記搬送を行う。これにより搬送中のウエハ表面の塗布膜からの溶媒の揮発が抑えられ、得られる塗布膜の膜厚の均一性を向上させることができる。
【選択図】 図6
【解決手段】基板搬送手段23は、3段構成の保持アーム41a〜41cと、最下段の第3の保持アーム41cが前記搬送位置にあるときの当該アーム41cの上方側に、基板より大きい乾燥防止プレート5とを備えており、ウエハの表面に対し塗布膜の成分と溶媒とを含む塗布液を塗布する処理を行う塗布ユニット24から、ウエハ表面の塗布液から溶剤を蒸発させて除去する減圧乾燥ユニット25にウエハの搬送を行うにあたり、第3の保持アーム41cの上にウエハを搭載し、このウエハの表面全体を乾燥防止プレート5により間隔を介して覆いながら、前記搬送を行う。これにより搬送中のウエハ表面の塗布膜からの溶媒の揮発が抑えられ、得られる塗布膜の膜厚の均一性を向上させることができる。
【選択図】 図6
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば半導体ウエハやFPD基板(フラットパネルディスプレイ用基板)等の基板に層間絶縁膜等の塗布膜を形成するための塗布膜形成装置及び塗布膜形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体デバイスの製造工程において、半導体ウエハ(以下「ウエハ」という)等の基板の表面に例えば層間絶縁膜等の塗布膜を形成する工程は多岐に亘るため、例えば各工程毎に使用する処理装置をユニット化すると共に、これら処理ユニットの間を基板が移動できるように搬送手段を組み合わせて、塗布膜形成装置を構成している。
【0003】
具体的には、例えば図14に示すように、ウエハを収納するキャリア10を搬出入するためのキャリアブロック1Aと、絶縁膜の成分を溶媒成分に溶解してなる塗布液をウエハに塗布するための塗布ユニット11や、この塗布処理の前後にウエハの加熱や冷却を行うための加熱、冷却系ユニットを多段に積み重ねた棚ユニット12A,12B,12C等を備えた処理ブロック1Bとにより構成され、受け渡しアーム13によりキャリア10と処理ブロック1Bとの間でウエハWの受け渡しが行われ、処理ブロック1Bの内部では例えば3本のアームを備えた搬送手段14により、各処理ユニット同士の間でウエハの受け渡しが行われるようになっている。
【0004】
また、絶縁膜の形成工程においては、処理状態例えば膜厚の面内均一性の状態などが温度や湿度に影響を受けるために、処理ブロック1B内に温湿度調整された空気のダウンフロ−を形成して、処理ブロック1Bの内部雰囲気を所定の温湿度雰囲気に調整している。
【0005】
ところで、前記絶縁膜を形成する処理の手法として、塗布ノズルから前記塗布液をウエハの表面に吐出させながら、ウエハと塗布ノズルとを、ウエハ面内全体に亘って相対的に移動させることにより、前記塗布液を一筆書きの要領でウエハ表面に塗布していく方法が提案されている。
【0006】
この手法では、例えば粘度が10cp以下程度の低粘度の塗布液が用いられる。このため塗布液の溶媒成分が比較的揮発しやすく、塗布ユニットから次工程の処理ユニットにウエハを搬送手段により搬送する際に、塗布液が塗布されたウエハがダウンフロ−に晒されると、この気流により前記溶媒成分が揮発してしまう。ここで、ウエハの搬送中には、ダウンフロ−による気流の乱れが大きくなり、ウエハ面内において前記気流が均一に供給されないので、この搬送中にウエハ表面がダウンフローに晒されると、前記溶媒成分の揮発の程度がウエハ面内において異なってしまう。この際、塗布液の溶媒成分の揮発状態は、膜厚の面内均一性に大きく影響を与えるので、前記搬送中の溶媒成分の蒸発の程度がウエハ面内において不均一になると、結果として得られる塗布膜の膜厚の面内均一性が悪化してしまうという課題がある。
【0007】
このため、本発明者らは、塗布液が塗布されたウエハを次工程に搬送する際、ウエハ表面の塗布液からの溶媒の揮発を防ぐ手法を検討している。このような手法としては、塗布液が塗布されたウエハを容器7の内部に収納して、容器7内を密閉し、当該容器7内に塗布液の溶剤であるエチレングリコールの蒸気を供給して、当該容器7内をエチレングリコール雰囲気に設定した状態で次工程の処理ユニットに搬送する構成が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0008】
【特許文献1】
特開平11−233589号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1の構成では、ウエハを溶媒雰囲気に設定された容器内に収納した状態で搬送するので、容器内に溶媒を供給する機構や容器内を排気する機構が必要であり、搬送手段自体が大がかりなものになってしまう。このため複数のアームを備える搬送手段にこれらの機構を組み合わせることは困難である。またこれらの機構を備えながら移動するので、移動の際のスペースも確保する必要があり、装置全体が大型化してしまう。
【0010】
本発明はこのような事情に基づいてなされたものであり、その目的は、表面に塗布液が塗布された基板を基板搬送手段の保持アームに保持させて、塗布ユニットから次工程の処理ユニットに搬送するにあたり、塗布膜からの溶媒の揮発を抑えて、塗布膜の膜厚の高い面内均一性を確保する技術を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の塗布膜形成装置は、基板の表面に対し塗布膜の成分と溶媒とを含む塗布液を塗布する処理を行う塗布ユニットと、この塗布ユニットで行われる塗布処理の次工程の処理を行う処理ユニットと、前記塗布ユニットと処理ユニットとの間で基板の搬送を行う基板搬送手段と、を備えた塗布膜形成装置において、
前記基板搬送手段は、移動自在な搬送基体と、
前記塗布ユニットにて表面に塗布液が塗布された基板を保持し、塗布ユニットとの間で基板の受け渡しを行う受け渡し位置と、この受け渡し位置から後退する搬送位置との間で、進退自在に前記搬送基体に設けられた保持アームと、
前記保持アームが少なくとも前記搬送位置にあるときに、前記塗布膜からの溶媒の揮発を抑えるために、前記保持アームに保持された基板の表面全体を間隔を介して覆う乾燥防止プレートと、を備えることを特徴とする。
【0012】
このような構成では、塗布ユニットから次工程のユニットに基板を搬送する際、基板表面全体を乾燥防止プレートにより所定の間隔を介して覆った状態で搬送するので、処理領域に温湿度調整された空気のダウンフロ−が形成されている場合であっても、基板表面が前記ダウンフロ−に晒されることが抑えられる。これにより、前記基板表面が前記ダウンフロ−に晒されることにより発生する前記塗布液中の溶媒の揮発が抑制され、結果として膜厚の高い面内均一性を確保することができる。
【0013】
ここで、前記乾燥防止プレートは、その周縁が基板の周縁よりも25mm以上外側に位置していることが好ましく、また、前記乾燥防止プレートは、断熱材により構成されていることが好ましい。さらに、前記乾燥防止プレートは、昇降機構により昇降自在に構成され、前記乾燥防止プレートの裏面と保持アームに保持されて搬送位置にあるときの基板表面との距離が変更できるように構成するようにしてもよい。さらに前記基板搬送手段は、前記乾燥防止プレートの上段側に保持アームを備え、前記保持アームは、塗布ユニットの他の処理ユニットとの間で基板の受け渡しを行う受け渡し位置と、この受け渡し位置から後退する搬送位置との間で、基体の長さ方向に移動できるように前記搬送基体に設けられるように構成してもよい。
【0014】
また、本発明の他の発明は、基板の表面に対し塗布膜の成分と溶媒とを含む塗布液を塗布する処理を行う塗布ユニットと、この塗布ユニットで行われる塗布処理の次工程の処理を行う処理ユニットと、前記塗布ユニットと処理ユニットとの間で基板の搬送を行う基板搬送手段と、を備えた塗布膜形成装置において、
前記基板搬送手段は、移動自在な搬送基体と、
前記塗布ユニットにて表面に塗布液が塗布された基板を保持し、塗布ユニットとの間で基板の受け渡しを行う受け渡し位置と、この受け渡し位置から後退する搬送位置との間で、進退自在に前記搬送基体に設けられた保持アームと、
前記保持アームが搬送位置にあるときに、前記塗布膜からの溶媒の揮発を抑えるために、前記保持アームに保持された基板の近傍に溶媒雰囲気を形成する溶媒雰囲気形成機構と、を備え、
前記溶媒雰囲気形成機構は、保持アームに保持された基板の表面と対向するように配置され、前記基板表面と対向する面に多数の開口部が形成された容器と、この容器の内部に設けられた溶媒吸収体と、前記溶媒吸収体に溶媒を供給するための溶媒供給手段と、を備え、溶媒吸収体に溶剤を染み込ませて、この溶媒を自然揮発させ、当該蒸気を前記開口部から通気させることにより、前記保持アームに保持され、搬送位置にある基板近傍に溶媒雰囲気を形成することを特徴とする。このような構成では、塗布ユニットから次工程のユニットに基板を搬送する際、基板表面全体近傍に溶媒雰囲気が形成されているので、基板を搬送する際に、基板表面の塗布液からの溶媒の揮発をより確実に抑制することができる。
【0015】
ここで、前記基板搬送手段は、前記溶媒雰囲気形成機構の上段側に保持アームを備え、前記保持アームは、塗布ユニットと他の処理ユニットとの間で基板の受け渡しを行う受け渡し位置と、この受け渡し位置から後退する搬送位置との間で基体の長さ方向に移動できるように、前記搬送基体に設けられている構成であってもよいし、前記塗布膜形成装置の処理領域に、温度調整された空気のダウンフロ−を形成するようにしてもよい。また、前記塗布ユニットの次工程の処理ユニットは、例えば基板を加熱して塗布液に含まれる溶媒を蒸発させる処理を行う溶媒蒸発ユニットとして構成される。
上述の塗布膜形成装置では、塗布ユニットにおいて基板の表面に対し塗布膜の成分と溶媒とを含む塗布液を塗布する塗布処理工程と、
前記基板表面に塗布された塗布液の乾燥を抑制するために、乾燥防止プレート又は溶媒雰囲気形成機構にて前記基板を上面側から覆った状態で、前記塗布ユニットから次工程の処理ユニットに前記基板を搬送する工程と、を含むことを特徴とする塗布膜形成方法が実施される。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の塗布膜形成装置の一実施の形態について、塗布膜として絶縁膜を形成する場合を例にして、図1〜図3を参照しながら説明する。ここで、図1は本発明の塗布膜形成装置の一実施の形態に係る全体構成を示す平面図であって、図2はその概略斜視図、図3はその縦断側面図である。
【0017】
図中B1は、例えば25枚の基板であるウエハWが収納された基板キャリアC(以下[キャリア]という)を搬入出するためのキャリアブロックであり、このキャリアブロックB1は、前記キャリアCを載置するキャリア載置部21と、受け渡し手段22と、を備えている。前記受け渡し手段22は、キャリアCからウエハWを取り出し、この取り出したウエハWをキャリアブロックB1に隣接して設けられている処理ブロックB2へと受け渡すように、左右、前後に移動自在、昇降自在、鉛直軸まわりに回転自在に構成されている。
【0018】
処理ブロックB2は筐体20にて周囲を囲まれており、この処理ブロックB2の中央には基板搬送手段23が設けられていて、これを取り囲むように例えば奥を見て右側には複数の塗布ユニット24が、左側、手前側、奥側には加熱・冷却系のユニット等を多段に積み重ねた棚ユニットU1,U2,U3が夫々配置されている。
【0019】
前記棚ユニットU1,U2は、塗布ユニット24における処理の前処理及び後処理を行うためのユニット等を各種組み合わせて構成されるものであり、その組み合わせは、例えば図3に示すように、塗布ユニット24にて表面に塗布液が塗られたウエハWを減圧雰囲気下で乾燥し、該塗布液中に含まれる溶剤を揮発させる減圧乾燥ユニット25、ウエハを所定温度に加熱(ベーク)するための加熱ユニット26、ウエハを所定温度に温調するための温調ユニット27等が含まれる。また棚ユニットU2,U3については、ウエハWを受け渡すための受け渡し台を備えた受け渡しユニット28も組み込まれる。
【0020】
図3に示す棚ユニットU2,U3の構成は一例であり、これら棚ユニットU1〜U3には、ウエハWに施される処理に応じて、既述の処理ユニット以外の処理ユニットを配設してもよいし、処理ユニットの個数やレイアウトは任意に選択できる。上述した基板搬送手段23は、例えば昇降及び前後に移動自在で且つ鉛直軸周りに回転自在に構成されており、塗布ユニット24及び棚ユニットU1,U2,U3を構成する各ユニット間でウエハWの受け渡しを行うことが可能となっている。
【0021】
また処理ブロックB1は、処理領域Sの下部側に処理ブロックB1内の雰囲気を外部に排出するための排気路31が接続されると共に、処理領域Sの上部には例えば清浄化フィルタ32を備えており、このフィルタ32には、気体供給路33を介してファン34、調整部35が接続されている。前記調整部35は例えば工場内の空気(外部空気)を取り込み、これを温湿度調整するためのものであり、調整部35により調整された空気はファン34により送気され、清浄化フィルタ32にてパーティクルが除去されて処理ブロックB1内の下方側に供給されるようになっている。これにより処理ブロックB1内部の処理領域Sには、図3に点線で示すように、温調された空気のダウンフロ−が形成されるようになっている。
【0022】
前記塗布ユニット24はウエハの表面に塗布液を塗布する処理を行なうものであり、ここでこのユニット24において、例えば乾燥後に塗布膜を形成する絶縁膜例えばSiO2膜の成分を溶媒に溶解してなる塗布液をウエハW表面に塗布する塗布手法の一例について図4を用いて簡単に説明する。この塗布手法は、いわゆる一筆書き型の塗布手法であり、当該ユニット24の基板処理領域内において、図示しない基板保持部によりウエハWを略水平に保持し、このウエハWの表面側と対向するように設けられた塗布液Rの供給ノズル36を一方向(図中X方向)に往復させながら塗布液をウエハWに供給する。この場合予定とする塗布領域37の外に塗布液Rが供給されないようにプレート38が設けられている。また供給ノズル36がウエハの一端面から他端面に移動すると、そのタイミングに合わせて図示しない移動機構によりウエハWがそれに交差する方向に間欠送りされる。このような動作を繰り返すことにより、いわゆる一筆書きの要領で塗布液RがウエハWに塗布されるようになっている。
【0023】
また、塗布ユニットの次工程の処理ユニットである減圧乾燥ユニット25は、本発明の溶媒蒸発ユニットに相当するものであり、密閉容器内にて、所定の真空度に減圧しながらウエハWを所定温度に加熱することにより、塗布膜中の溶媒を蒸発させ、この減圧乾燥処理により塗布膜が形成される。
【0024】
このような塗布膜形成装置におけるウエハの流れについて説明すると、自動搬送ロボット(あるいは作業者)により例えば25枚のウエハWを収納したキャリアCが、外部からキャリアブロックB1のキャリア載置部21に搬入される。次いで受け渡し手段22によりこれらキャリアC内からウエハWが取り出され、処理ブロックB2の棚ユニットU2の受け渡しユニット28を介して基板搬送手段23に受け渡される。
【0025】
そして、ウエハWは基板搬送手段23により棚ユニットU1〜U3の一の温調ユニット27に搬送され、ここで所定の温度例えば23℃に調整された後、塗布ユニット24に搬送され、当該ユニット24にて、処理温度例えば23℃の下、例えば塗布膜の成分が溶媒に溶解されてなる塗布液が上記の一筆書きの手法で塗布される。ここでこの手法で用いられる塗布液の粘度は、固形分である塗布膜の成分の濃度が10cp以下程度であることが好ましい。
【0026】
その後、ウエハWは減圧乾燥ユニット25に搬送され、減圧乾燥処理により例えば塗布膜中の溶剤が除去される。続いて、塗布膜が形成されたウエハは加熱ユニット26にて、加熱処理であるベーク処理が行われる。このベーク処理とは、低酸素雰囲気にてウエハを加熱して縮重合反応を起こさせ、化学的に塗布膜を硬化させるための低酸素加熱処理である。具体的には、図示しない処理室内に窒素ガス等の不活性ガスを導入し、所定の低酸素状態例えば許容酸素濃度100ppm以下の雰囲気に設定して、ウエハを例えば約400℃程度の温度で加熱することにより行われる。この後、ウエハは例えば温調ユニット27にて所定温度に温調され、次いで例えばキャリア載置部21の元のキャリアC内に戻される。
【0027】
この後、例えば塗布膜形成装置の外部に設けられたキュア装置にて、キュア処理が行われ、こうしてSiO2膜よりなる絶縁膜(塗布膜)が形成される。ここでキュア処理とは塗布膜を焼成するための加熱処理であり、塗布膜を加熱することにより、架橋またはポロジエンの離脱を行ない塗布膜の硬化を図る処理である。具体的には、例えば図示しない処理室内を所定の低酸素状態例えば許容酸素濃度100ppm以下の雰囲気に設定し、ウエハを例えば約400℃程度の温度にて加熱することにより行なわれる。
【0028】
ここで、塗布膜形成装置内における基板搬送手段23によるウエハの搬送や、塗布ユニット24等の各処理ユニットにおけるウエハの処理は図示しない制御部内のプログラムに基づいて行われる。つまり制御部は、塗布液ユニット24にてウエハWに塗布液の塗布処理を行い、次いで減圧乾燥ユニット25にて減圧乾燥処理を行い、この後加熱ユニット26による処理と温調ユニット27による処理とを順次行うためのプログラムを備えている。
【0029】
続いて、本実施の形態の主要部である基板搬送手段23について図を参照して詳細に説明する。先ず基板搬送手段23の全体構成について図5に基づいて説明すると、前記基板搬送手段23は、ウエハWを保持する例えば3段に構成された保持アーム41(41a,41b,41c)と、この保持アーム41を進退自在に支持する搬送基体をなす基台42と、この基台42を昇降自在に支持する一対の案内レール43,44と、これら案内レール43,44の上端及び下端を夫々連結する連結部材45,46と、案内レール43,44及び連結部材45,46よりなる枠体を鉛直軸周りに回転自在に駆動するために案内レール下端の連結部材46に一体的に取り付けられた回転駆動部47と、案内レ−ル上端の連結部材45に設けられた回転軸部48と、を備えている。
【0030】
前記保持アーム41は、例えば図5〜図7に示すように、夫々基板Gを保持し得るように第1の保持アーム41a、第2の保持アーム41b、第3の保持アーム41cの3段構成になっており、これら保持アーム41a〜41cは内縁の複数箇所例えば3箇所に設けられた爪部40a〜40cにウエハの周縁部を載置することにより、ウエハを保持するようになっている。
【0031】
これらアーム41a〜41cの基端部は基台42の長手方向に設けられた案内溝42aに沿って処理ユニットとの間でウエハの受け渡しを行う受け渡し位置と、この受け渡し位置から後退し、搬送時にウエハを保持する搬送位置との間でスライド移動できるようになっている。そのスライド移動による保持アーム41a〜41cの進退移動や基台42の昇降移動は、夫々別個の図示しない駆動部により駆動される。従ってそれら図示しない2つの駆動部、案内溝42a、前記案内レール43,44及び前記回転駆動部47は、保持アーム41a〜41cを略鉛直軸まわりに回転自在、かつ昇降自在、かつ進退自在に駆動する駆動機構を構成しており、この駆動機構は図示しない制御部により搬送プログラムに基づいて駆動制御される。
【0032】
そして、前記保持アーム41a〜41cの中段の第2の保持アーム41bと最下段の第3の保持アーム41cとの間には、前記第3の保持アーム41cが前記搬送位置にあるときに、前記保持アーム41cに保持されたウエハの表面全体を間隔を介して覆うように、ウエハよりサイズが大きい乾燥防止プレート5が設けられている。この乾燥防止プレート5は例えばポリプロピレンやポリテトラフルオロエチレン樹脂等の断熱材により構成され、例えば図7(b)に示すように、ウエハWの周縁と、乾燥防止プレート5の周縁との差Aが25mm以上例えば30mm程度の大きさに形成される。
【0033】
このような乾燥防止プレート5は、例えば図7(a)に示すように、支持部材51を介して基台42の後端側に設けられた昇降機構52により昇降可能に構成されている。この昇降機構52としてはボールネジ機構やエアシリンダ機構等が用いられ、図示しない制御部により例えば所望の高さ位置を入力すると、この入力値に基づいて例えば第3の保持アーム41cに保持されたウエハWの表面と、乾燥防止プレート5の下面との距離が、例えば2mm以上10mm以下の範囲で変化できるように構成されている。このような範囲に設定するのは、前記距離が2mm以下では、ウエハWを第3の保持アーム41cに保持させて前記搬送位置まで後退させたときに、ウエハ表面の塗布膜と乾燥防止プレート5とが接近しすぎて膜が乱れる場合があり、10mm以上の間隔を空けると、3段の保持アーム41のトータルの高さが大きくなって、基板搬送手段23が大型化し、スペース的に問題がある上、乾燥防止プレート5と第3の保持アーム41c上のウエハとの間の隙間が大きくなるので、処理領域Sのダウンフロ−が入り込み、膜質の悪化の原因となる可能性があるからである。
【0034】
このような基板搬送手段23では、例えば前記第3の保持アーム41cは、塗布ユニット24から次工程の減圧乾燥ユニット25にウエハWを搬送する際の専用アームとして用いられる。ここで前記保持アーム41a〜41cは、前記処理ユニット同士の間でウエハの受け渡しを行う受け渡し位置に進行したときに、各処理ユニットの基板保持部に設けられた昇降ピン等の受け渡し部材との間でウエハの受け渡しを行うことができるように、前記保持アーム41a〜41cと前記基板保持部の受け渡し部材とが互いに干渉しない形状に設定され、この例では前記受け渡し部材が保持アーム41a〜41cの内縁よりも内側の領域を昇降できるように構成されている。
【0035】
例えば塗布ユニット24から減圧乾燥ユニット25までウエハWを搬送するときには、例えば予め乾燥防止プレート5と第3の保持アーム41cとの間隔を処理に応じて塗布膜の膜厚の面内均一性を向上させるための適切な距離に設定しておき、先ず図8(a)に示すように、第3の保持アーム41cを塗布ユニット24との間でウエハの受け渡しを行う受け渡し位置まで進行させる。そして図示しない受け渡し部材との協働作業により前記保持アーム41cにウエハを受け渡し、この後図8(b)に示すように、前記保持アーム41cを搬送位置まで後退させる。
【0036】
これにより、前記搬送位置では、第3の保持アーム41cに保持されたウエハWの表面全体が所定距離の隙間を介して乾燥防止プレート5により覆われることになる。こうしてウエハを第3の保持アーム41cの搬送位置に保持させた状態(図8(b)に示す状態)で、ウエハを次工程の減圧乾燥ユニット25に搬送し、当該ユニットに受け渡す。つまり、第3の保持アーム41cを受け渡し位置に進行させ、減圧乾燥ユニット25の受け渡し部材との協働作業により当該ユニットの基板保持部にウエハを受け渡した後、保持アーム41cを搬送位置まで退行させる。
【0037】
このような構成では、塗布ユニット24から次工程の減圧乾燥ユニット25にウエハWを搬送する際に、ウエハの表面を隙間を介して乾燥防止プレート5により覆った状態で搬送しているので、処理領域Sの搬送中にウエハ表面の塗布液がダウンフロ−に晒されることがない。このため、前記ダウンフロ−が塗布液に供給されることにより、前記ウエハ表面の塗布液中の溶媒の揮発の程度がウエハ面内において不均一になることが抑えられ、次工程の減圧乾燥ユニット25にて、ウエハ表面の塗布液中の溶媒をウエハ面内において均一な状態で揮発させることができて、減圧乾燥ユニット25にて得られる塗布膜の膜厚の面内均一性を向上させることができる。
【0038】
ここで粘度が1cp以上10cp以下程度と低く、溶媒が揮発しやすいメチル含有ポリシロキサンや水素含有ポリシロキサン等の塗布液を用いて塗布膜を形成する場合や、塗布ユニット24の次工程の減圧乾燥ユニット25にて塗布液中の溶媒成分の蒸発させることにより塗布膜の膜厚が制御される処理では、乾燥防止プレート5により搬送中の塗布液の溶剤の揮発を防ぐことは、形成される塗布膜の膜厚の高い均一性を確保するために有効な手法である。
【0039】
この際、本発明では、ウエハを乾燥防止プレート5を覆いながら搬送するという手法で、搬送中のウエハ表面の塗布液の溶媒成分の揮発を抑えているので、基板搬送手段23の大型化や、これに伴う基板搬送手段23の搬送領域や装置全体の大型化、装置の複雑化等を抑えた簡易な手法で大きな効果を確保することができる。
【0040】
また、上述の実施の形態では、乾燥防止プレート5は昇降機構52により高さ位置が移動可能に構成され、例えば制御部にて入力データに基づいて高さ位置が変更できるようになっているので、この乾燥防止プレート5の高さ位置を調整することにより塗布液からの溶媒の揮発の状態を制御することができる。さらに、一筆書きの手法にて形成される絶縁膜のような粘度の低い塗布液を用いる場合と、レジスト膜等のように粘度の高い塗布液を用いる場合には、塗布膜の膜厚の均一性を確保するために乾燥防止プレート5の適切な高さ位置が異なる場合や、目的とする処理に応じて塗布液の厚さが異なる場合に、前記高さ位置を制御でき、有効である。
【0041】
さらにまた、乾燥防止用プレート5を断熱材により構成した場合には、この乾燥防止用プレート5により例えば当該乾燥防止用プレートの上方側からの熱が遮断されるので、第3の保持アーム41cに保持されたウエハ表面の塗布液への熱影響を抑えることができ、熱による膜質の悪化を抑えることができる。
【0042】
さらにまた、乾燥防止プレート5は最下段の保持アーム41cの上部側に設けられているので、温湿度調整された空気のダウンフロ−が遮断されるのは、乾燥防止プレート5の下方側の領域のみであり、当該乾燥防止プレート5の上方側の第1及び第2の保持アーム41a,41bには、前記空気のダウンフロ−が供給される。このため、前記第1及び第2の保持保持アーム41a,41bにて搬送されるウエハに対しては、温湿度調整された空気が供給される状態で搬送が行われ、温湿度調整された雰囲気でウエハの搬送を行うことができる。
【0043】
なお、上述の実施の形態では、第3の保持アーム41cはウエハを塗布ユニットから次工程の処理ユニットへの搬送を行うための専用アームとして説明したが、搬送中にウエハ表面に温湿度調整された空気のダウンフロ−が供給される必要がない場合には、他の処理ユニット同士の間でのウエハの搬送に第3の保持アーム41cを用いるようにしてもよい。
【0044】
以上において、乾燥防止プレート5を、図9に示すように、第3の保持アーム41cに支持部材53を介して取り付け、第3の保持アーム41cと共に受け渡し位置と搬送位置との間で進退自在に構成してもよい。この場合、図9に示すように、支持部材53を昇降機構54により昇降自在に構成してもよいし、昇降機構54を設けない構成としてもよい。
【0045】
この場合、塗布ユニット24や減圧乾燥ユニット25との間でウエハの受け渡しを行うときには、塗布ユニット24などの受け渡し部材55により第3の保持アーム41cと乾燥防止プレート5との間にウエハWが位置する高さ位置にウエハWを上昇させてから、例えば図10(a)に示すように、第3の保持アーム41cと乾燥防止プレート5とを塗布ユニット24内の受け渡し位置まで進入させる。次いで、受け渡し部材55を下降させて第3の保持アーム41cにウエハWを受け渡し、この後、第3の保持アーム41cと乾燥防止プレート5とを搬送位置まで退行させる(図10(c)参照)。なお、図中55は基板保持部である。
【0046】
一方、減圧乾燥ユニット25の基板保持部にウエハを受け渡すときには、ウエハを搭載した第3の保持アーム41cと乾燥防止プレート5とを、減圧乾燥ユニット25の基板保持部の上方側の受け渡し位置まで進入させ、次いで、受け渡し部材55を上昇させることにより、保持アーム41cから前記受け渡し部材にウエハWを受け渡し、この後、第3の保持アーム41cと乾燥防止プレート5とを溶媒乾燥25ユニットから退出させる。
【0047】
このような構成においては、塗布ユニット24や減圧乾燥ユニット25の内部にまで乾燥防止用プレート5が入り込み、乾燥防止プレート5によりウエハ表面が覆われた状態で塗布ユニット24や減圧乾燥ユニット25に対してウエハWの搬入出を行っているので、処理ユニットに対してウエハを搬入出する際に形成される気流の影響をウエハ表面が受けにくくなり、より確実に搬送中の塗布液からの溶媒の揮発を抑えることができる。
【0048】
この際、乾燥防止プレート5を昇降自在に構成した場合には、処理ユニットとの間でウエハの受け渡しを行う場合に、予め第3の保持アーム41cと乾燥防止プレート5との間隔を広げておき、第3の保持アーム41cにウエハを受け渡した後、前記間隔を適切な間隔に狭めてから次工程の処理ユニットに搬送することにより、前記受け渡しを容易にしながら、ウエハの搬送時には塗布膜の膜厚の均一性を良好にする好ましい間隔に設定できるという利点がある。
【0049】
続いて、本発明の他の実施の形態について説明する。この実施の形態は、前記乾燥防止プレート5の代わりに、第3の保持アーム41cが前記搬送位置にあるときに、塗布膜の溶媒を自然蒸発させて、前記保持アーム41cに保持されたウエハの表面近傍に溶媒雰囲気を形成する溶媒雰囲気形成機構6を設ける構成である。この溶媒雰囲気形成機構6は、例えば第3の保持アーム41cに保持されたウエハの表面と対向するように配置された、例えば平面形状が円形であって内部が空洞の扁平な容器61を備えている。この容器61は例えばアルミニウム板により構成され、下面(ウエハと対向する面)には口径が3mm程度の大きさの多数の開口部62が形成されており、例えば開口部62の形成領域がウエハよりも大きい領域になるように設定されている。このような容器61は支持部材60により基台42の後端側に取り付けられている。
【0050】
前記容器61の内部には、例えば当該内部を上下に2分割するように、多数の孔部63aが形成された、例えばアルミニウム板より形成された円板状の通流板63が設けられており、この通流板63の下方側の空間には例えばスポンジよりなる溶媒吸収体64が設けられている。前記溶媒吸収体64は例えば厚さが3mm程度に設定されている。
【0051】
前記容器61の上部のほぼ中央には当該容器61内部に塗布液の溶媒を供給するための溶媒供給路65が接続されており、この溶媒供給路65の他端側は溶媒タンク66に接続されている。前記溶媒タンク66から溶媒供給路65を介して容器61内部に供給された溶媒は、通流板63の孔部63aを通って、この孔部63aにより拡散された状態で溶媒吸収体64に向けて、ほぼ均一に広がりながら流れて行き、溶媒吸収体64が十分に溶媒を吸収し、溶媒吸収体64から溶媒が滴り落ちる前の状態で溶媒吸収体64への溶媒の供給を停止する。ここで溶媒吸収体64の面内において均一に溶媒が供給されるように、前記孔部63aの口径は、例えば溶媒の流量が多い中央部では口径が小さく、溶媒の流量が少ない周縁部では口径が大きくなるように、中央部から周縁部に向けて徐々に大きくなるように設定されている。
【0052】
この溶媒吸収体64への溶媒の供給や停止のタイミングは、例えば制御部により溶媒供給路65の流量制御バルブVの開度を調整することにより行われる。前記流量調整バルブVは開閉バルブと流量調整部とを組み合わせてなるものである。この例では溶媒タンク66、溶媒供給路65、流量制御バルブV、通流板63が本発明の溶媒供給手段に相当する。このように溶媒が十分に染み込んだ溶媒吸収体64からは、溶媒が自然蒸発していき、この溶媒の蒸気は開口部62を介して容器61の外部にゆっくりと拡散していく。
【0053】
この例では、例えば容器61の下方側に溶媒雰囲気を形成した状態で、第3の保持アーム41aをウエハの受け渡しを行うユニット例えば塗布ユニット24に進入させ、塗布ユニット24の基板保持部の受け渡し部材との間でウエハの受け渡しを行った後、アーム41cを前記搬送位置まで退行させる。これにより搬送位置にあるウエハ近傍に溶媒雰囲気が形成された状態となる。この状態でウエハWは次工程まで搬送されるが、ウエハWの上部側に設けられた容器61自体によりウエハ表面がダウンフロ−に晒されることが抑えられると共に、容器61の下方側空間では溶媒雰囲気が形成されていて、塗布液の溶媒が揮発しにくい状態であるので、前記塗布液からの溶媒の揮発がより確実に抑えられた状態でウエハを搬送することになり、搬送時の膜厚の乱れが効果的に抑えられ、結果として塗布膜の膜厚の高い面内均一性を確保することができる。
【0054】
さらに、溶媒雰囲気形成機構6では、溶媒を自然蒸発させることにより塗布膜の近傍にゆっくりと徐々に溶媒雰囲気を形成しているので、塗布膜に直接溶媒の蒸気を供給する場合に比べて、ウエハ搬送中の塗布液中の溶媒成分の揮発の程度をより確実にウエハ面内において揃えることができる。つまり、塗布膜に直接溶媒の蒸気を供給する場合には、溶媒蒸気の供給と共に気流が発生するので、この気流が塗布液の表面に当たる。ところで、前記ウエハの搬送中は処理領域Sの気流も乱されやすいので、前記溶媒蒸気の供給と共に発生した気流がウエハ面内において均一に供給されることは難しい。このため、塗布膜に直接溶媒の蒸気を供給する場合には、気流の影響により塗布液中の溶媒成分の揮発の程度がウエハ面内において異なってしまい、この結果膜厚の面内均一性が悪化してしまう。
【0055】
以上において、溶媒雰囲気形成機構6は昇降自在に構成してもよく、このように構成した場合、例えば第3の保持アーム41cと塗布ユニット24等との間でウエハの受け渡しを行うときには、第3の保持アーム41cと溶媒雰囲気形成機構6との間隔を広げ、第3の保持アーム41cにウエハを受け渡した後は、溶媒雰囲気を形成するために適切な位置に溶媒雰囲気形成機構6の高さを調整することにより、ウエハの受け渡しし易さを確保しながら、十分に塗布膜からの溶媒の揮発を抑えることができる。
【0056】
さらに、図12に示すように、前記容器61の下面の開口部62を開閉する蓋体67を設け、溶媒雰囲気を形成するときには前記開口部62を開き、それ以外の場合では蓋体67により前記開口部62を塞ぐことにより溶媒雰囲気形成機構6からの溶媒の蒸気の供給を停止するようにしてもよい。前記蓋体67は、例えば前記開口部62を塞ぐ位置(図12中点線で示す位置)と、前記開口部62を開く位置(図12中実線で示す位置)との間で基台42に沿ってスライド自在に構成されている。
【0057】
このような構成では、塗布ユニット24から次工程へのウエハの搬送を行うときには溶媒雰囲気を形成し、塗布ユニット24から次工程へのウエハの搬送がない場合には、溶媒雰囲気形成機構6からの溶媒の蒸気の供給を停止しているので、処理ブロックB内の処理領域Sへの不要な溶媒の供給が抑えられ、当該溶媒による他の処理ユニットの処理への悪影響を抑えることができる。
【0058】
さらに、本発明の基板搬送手段は、例えば図13に示すように、保持アームを4段に構成し、搬送位置にある最下段の第4のアーム41dの上方側に前記乾燥防止プレート5を設け、搬送位置にある最下段から2段目の第3のアーム41cの上方側にアーム41cから所定の間隔を介して遮熱プレート7を設けるように構成するようにしてもよい。前記遮熱プレート7は例えば中空のアルミニウム板等の断熱材によりウエハよりも大きいサイズに構成され、ダウンフローを通気させるための例えば口径が10mm程度の大きさの多数の開口部71を備えている。
【0059】
このような基板搬送手段では、塗布ユニット24から減圧乾燥ユニット25にウエハを搬送するときには第4の保持アーム41dを用い、温調ユニット27から塗布ユニット24にウエハを搬送するときには第3の保持アーム41cが用いられる。このようにすると、温調ユニット27にて温調されたウエハを搬送するときに、遮熱プレート7により当該プレート7の上方側からの熱が遮られ、ウエアーム41c上のウエハへの熱影響を抑えることができる。
【0060】
さらに、上述の実施の形態では半導体ウエハを処理する装置について説明したが、FPD(フラットパネルディスプレイ)やマスク等に使用されるガラス基板を処理する装置についても本発明は適用可能である。また、本発明が適用される塗布膜形成装置にて形成される塗布膜としては、SiO2膜よりなる絶縁膜のほか、レジスト膜や、ポリイミド膜やパッシベーション膜といった有機膜等であってもよい。さらに、塗布ユニットでは、上述の一筆書きの手法によりウエハに塗布液を塗布する構成以外に、例えばスピンコーティングによりウエハに塗布液を塗布する構成であってもよい。さらに、本発明の乾燥防止プレートは昇降しない構成としてもよい。
【0061】
【発明の効果】
本発明によれば、塗布ユニットから次工程に基板を搬送する際に、基板表面の塗布液からの溶媒成分の揮発を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる塗布膜形成装置の一実施の形態の全体構成を示す平面図である。
【図2】前記塗布膜形成装置の全体構成を示す概略斜視図である。
【図3】前記塗布膜形成装置の全体構成を示す側面図である。
【図4】前記塗布膜形成装置に設けられる塗布ユニットにて行われる塗布手法の一例を示す概略斜視図である。
【図5】前記塗布膜形成装置に設けられる基板搬送手段を示す斜視図である。
【図6】前記基板搬送手段の保持アームと乾燥防止プレートとを示す斜視図である。
【図7】前記基板搬送手段を示す側面図と平面図である。
【図8】前記基板搬送手段の作用を説明するための側面図である。
【図9】前記基板搬送手段の他の例を示す側面図である。
【図10】図9に示す基板搬送手段の作用を説明するための側面図である。
【図11】前記基板搬送手段のさらに他の例を示す側面図である。
【図12】前記基板搬送手段のさらに他の例を示す側面図である。
【図13】前記基板搬送手段のさらに他の例を示す側面図である。
【図14】従来の絶縁膜形成装置を示す平面図である。
【符号の説明】
W 半導体ウエハ
B1 キャリアブロック
B2 処理ブロック
23 基板搬送手段
24 塗布ユニット
25 減圧乾燥ユニット
36 塗布ノズル
41 保持アーム
42 基台
5 乾燥防止プレート
51 支持部材
52 昇降機構
6 溶媒雰囲気形成機構
61 容器
62 開口部
63 円板
64 溶媒吸収体
65 溶媒供給路
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば半導体ウエハやFPD基板(フラットパネルディスプレイ用基板)等の基板に層間絶縁膜等の塗布膜を形成するための塗布膜形成装置及び塗布膜形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体デバイスの製造工程において、半導体ウエハ(以下「ウエハ」という)等の基板の表面に例えば層間絶縁膜等の塗布膜を形成する工程は多岐に亘るため、例えば各工程毎に使用する処理装置をユニット化すると共に、これら処理ユニットの間を基板が移動できるように搬送手段を組み合わせて、塗布膜形成装置を構成している。
【0003】
具体的には、例えば図14に示すように、ウエハを収納するキャリア10を搬出入するためのキャリアブロック1Aと、絶縁膜の成分を溶媒成分に溶解してなる塗布液をウエハに塗布するための塗布ユニット11や、この塗布処理の前後にウエハの加熱や冷却を行うための加熱、冷却系ユニットを多段に積み重ねた棚ユニット12A,12B,12C等を備えた処理ブロック1Bとにより構成され、受け渡しアーム13によりキャリア10と処理ブロック1Bとの間でウエハWの受け渡しが行われ、処理ブロック1Bの内部では例えば3本のアームを備えた搬送手段14により、各処理ユニット同士の間でウエハの受け渡しが行われるようになっている。
【0004】
また、絶縁膜の形成工程においては、処理状態例えば膜厚の面内均一性の状態などが温度や湿度に影響を受けるために、処理ブロック1B内に温湿度調整された空気のダウンフロ−を形成して、処理ブロック1Bの内部雰囲気を所定の温湿度雰囲気に調整している。
【0005】
ところで、前記絶縁膜を形成する処理の手法として、塗布ノズルから前記塗布液をウエハの表面に吐出させながら、ウエハと塗布ノズルとを、ウエハ面内全体に亘って相対的に移動させることにより、前記塗布液を一筆書きの要領でウエハ表面に塗布していく方法が提案されている。
【0006】
この手法では、例えば粘度が10cp以下程度の低粘度の塗布液が用いられる。このため塗布液の溶媒成分が比較的揮発しやすく、塗布ユニットから次工程の処理ユニットにウエハを搬送手段により搬送する際に、塗布液が塗布されたウエハがダウンフロ−に晒されると、この気流により前記溶媒成分が揮発してしまう。ここで、ウエハの搬送中には、ダウンフロ−による気流の乱れが大きくなり、ウエハ面内において前記気流が均一に供給されないので、この搬送中にウエハ表面がダウンフローに晒されると、前記溶媒成分の揮発の程度がウエハ面内において異なってしまう。この際、塗布液の溶媒成分の揮発状態は、膜厚の面内均一性に大きく影響を与えるので、前記搬送中の溶媒成分の蒸発の程度がウエハ面内において不均一になると、結果として得られる塗布膜の膜厚の面内均一性が悪化してしまうという課題がある。
【0007】
このため、本発明者らは、塗布液が塗布されたウエハを次工程に搬送する際、ウエハ表面の塗布液からの溶媒の揮発を防ぐ手法を検討している。このような手法としては、塗布液が塗布されたウエハを容器7の内部に収納して、容器7内を密閉し、当該容器7内に塗布液の溶剤であるエチレングリコールの蒸気を供給して、当該容器7内をエチレングリコール雰囲気に設定した状態で次工程の処理ユニットに搬送する構成が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0008】
【特許文献1】
特開平11−233589号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1の構成では、ウエハを溶媒雰囲気に設定された容器内に収納した状態で搬送するので、容器内に溶媒を供給する機構や容器内を排気する機構が必要であり、搬送手段自体が大がかりなものになってしまう。このため複数のアームを備える搬送手段にこれらの機構を組み合わせることは困難である。またこれらの機構を備えながら移動するので、移動の際のスペースも確保する必要があり、装置全体が大型化してしまう。
【0010】
本発明はこのような事情に基づいてなされたものであり、その目的は、表面に塗布液が塗布された基板を基板搬送手段の保持アームに保持させて、塗布ユニットから次工程の処理ユニットに搬送するにあたり、塗布膜からの溶媒の揮発を抑えて、塗布膜の膜厚の高い面内均一性を確保する技術を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の塗布膜形成装置は、基板の表面に対し塗布膜の成分と溶媒とを含む塗布液を塗布する処理を行う塗布ユニットと、この塗布ユニットで行われる塗布処理の次工程の処理を行う処理ユニットと、前記塗布ユニットと処理ユニットとの間で基板の搬送を行う基板搬送手段と、を備えた塗布膜形成装置において、
前記基板搬送手段は、移動自在な搬送基体と、
前記塗布ユニットにて表面に塗布液が塗布された基板を保持し、塗布ユニットとの間で基板の受け渡しを行う受け渡し位置と、この受け渡し位置から後退する搬送位置との間で、進退自在に前記搬送基体に設けられた保持アームと、
前記保持アームが少なくとも前記搬送位置にあるときに、前記塗布膜からの溶媒の揮発を抑えるために、前記保持アームに保持された基板の表面全体を間隔を介して覆う乾燥防止プレートと、を備えることを特徴とする。
【0012】
このような構成では、塗布ユニットから次工程のユニットに基板を搬送する際、基板表面全体を乾燥防止プレートにより所定の間隔を介して覆った状態で搬送するので、処理領域に温湿度調整された空気のダウンフロ−が形成されている場合であっても、基板表面が前記ダウンフロ−に晒されることが抑えられる。これにより、前記基板表面が前記ダウンフロ−に晒されることにより発生する前記塗布液中の溶媒の揮発が抑制され、結果として膜厚の高い面内均一性を確保することができる。
【0013】
ここで、前記乾燥防止プレートは、その周縁が基板の周縁よりも25mm以上外側に位置していることが好ましく、また、前記乾燥防止プレートは、断熱材により構成されていることが好ましい。さらに、前記乾燥防止プレートは、昇降機構により昇降自在に構成され、前記乾燥防止プレートの裏面と保持アームに保持されて搬送位置にあるときの基板表面との距離が変更できるように構成するようにしてもよい。さらに前記基板搬送手段は、前記乾燥防止プレートの上段側に保持アームを備え、前記保持アームは、塗布ユニットの他の処理ユニットとの間で基板の受け渡しを行う受け渡し位置と、この受け渡し位置から後退する搬送位置との間で、基体の長さ方向に移動できるように前記搬送基体に設けられるように構成してもよい。
【0014】
また、本発明の他の発明は、基板の表面に対し塗布膜の成分と溶媒とを含む塗布液を塗布する処理を行う塗布ユニットと、この塗布ユニットで行われる塗布処理の次工程の処理を行う処理ユニットと、前記塗布ユニットと処理ユニットとの間で基板の搬送を行う基板搬送手段と、を備えた塗布膜形成装置において、
前記基板搬送手段は、移動自在な搬送基体と、
前記塗布ユニットにて表面に塗布液が塗布された基板を保持し、塗布ユニットとの間で基板の受け渡しを行う受け渡し位置と、この受け渡し位置から後退する搬送位置との間で、進退自在に前記搬送基体に設けられた保持アームと、
前記保持アームが搬送位置にあるときに、前記塗布膜からの溶媒の揮発を抑えるために、前記保持アームに保持された基板の近傍に溶媒雰囲気を形成する溶媒雰囲気形成機構と、を備え、
前記溶媒雰囲気形成機構は、保持アームに保持された基板の表面と対向するように配置され、前記基板表面と対向する面に多数の開口部が形成された容器と、この容器の内部に設けられた溶媒吸収体と、前記溶媒吸収体に溶媒を供給するための溶媒供給手段と、を備え、溶媒吸収体に溶剤を染み込ませて、この溶媒を自然揮発させ、当該蒸気を前記開口部から通気させることにより、前記保持アームに保持され、搬送位置にある基板近傍に溶媒雰囲気を形成することを特徴とする。このような構成では、塗布ユニットから次工程のユニットに基板を搬送する際、基板表面全体近傍に溶媒雰囲気が形成されているので、基板を搬送する際に、基板表面の塗布液からの溶媒の揮発をより確実に抑制することができる。
【0015】
ここで、前記基板搬送手段は、前記溶媒雰囲気形成機構の上段側に保持アームを備え、前記保持アームは、塗布ユニットと他の処理ユニットとの間で基板の受け渡しを行う受け渡し位置と、この受け渡し位置から後退する搬送位置との間で基体の長さ方向に移動できるように、前記搬送基体に設けられている構成であってもよいし、前記塗布膜形成装置の処理領域に、温度調整された空気のダウンフロ−を形成するようにしてもよい。また、前記塗布ユニットの次工程の処理ユニットは、例えば基板を加熱して塗布液に含まれる溶媒を蒸発させる処理を行う溶媒蒸発ユニットとして構成される。
上述の塗布膜形成装置では、塗布ユニットにおいて基板の表面に対し塗布膜の成分と溶媒とを含む塗布液を塗布する塗布処理工程と、
前記基板表面に塗布された塗布液の乾燥を抑制するために、乾燥防止プレート又は溶媒雰囲気形成機構にて前記基板を上面側から覆った状態で、前記塗布ユニットから次工程の処理ユニットに前記基板を搬送する工程と、を含むことを特徴とする塗布膜形成方法が実施される。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の塗布膜形成装置の一実施の形態について、塗布膜として絶縁膜を形成する場合を例にして、図1〜図3を参照しながら説明する。ここで、図1は本発明の塗布膜形成装置の一実施の形態に係る全体構成を示す平面図であって、図2はその概略斜視図、図3はその縦断側面図である。
【0017】
図中B1は、例えば25枚の基板であるウエハWが収納された基板キャリアC(以下[キャリア]という)を搬入出するためのキャリアブロックであり、このキャリアブロックB1は、前記キャリアCを載置するキャリア載置部21と、受け渡し手段22と、を備えている。前記受け渡し手段22は、キャリアCからウエハWを取り出し、この取り出したウエハWをキャリアブロックB1に隣接して設けられている処理ブロックB2へと受け渡すように、左右、前後に移動自在、昇降自在、鉛直軸まわりに回転自在に構成されている。
【0018】
処理ブロックB2は筐体20にて周囲を囲まれており、この処理ブロックB2の中央には基板搬送手段23が設けられていて、これを取り囲むように例えば奥を見て右側には複数の塗布ユニット24が、左側、手前側、奥側には加熱・冷却系のユニット等を多段に積み重ねた棚ユニットU1,U2,U3が夫々配置されている。
【0019】
前記棚ユニットU1,U2は、塗布ユニット24における処理の前処理及び後処理を行うためのユニット等を各種組み合わせて構成されるものであり、その組み合わせは、例えば図3に示すように、塗布ユニット24にて表面に塗布液が塗られたウエハWを減圧雰囲気下で乾燥し、該塗布液中に含まれる溶剤を揮発させる減圧乾燥ユニット25、ウエハを所定温度に加熱(ベーク)するための加熱ユニット26、ウエハを所定温度に温調するための温調ユニット27等が含まれる。また棚ユニットU2,U3については、ウエハWを受け渡すための受け渡し台を備えた受け渡しユニット28も組み込まれる。
【0020】
図3に示す棚ユニットU2,U3の構成は一例であり、これら棚ユニットU1〜U3には、ウエハWに施される処理に応じて、既述の処理ユニット以外の処理ユニットを配設してもよいし、処理ユニットの個数やレイアウトは任意に選択できる。上述した基板搬送手段23は、例えば昇降及び前後に移動自在で且つ鉛直軸周りに回転自在に構成されており、塗布ユニット24及び棚ユニットU1,U2,U3を構成する各ユニット間でウエハWの受け渡しを行うことが可能となっている。
【0021】
また処理ブロックB1は、処理領域Sの下部側に処理ブロックB1内の雰囲気を外部に排出するための排気路31が接続されると共に、処理領域Sの上部には例えば清浄化フィルタ32を備えており、このフィルタ32には、気体供給路33を介してファン34、調整部35が接続されている。前記調整部35は例えば工場内の空気(外部空気)を取り込み、これを温湿度調整するためのものであり、調整部35により調整された空気はファン34により送気され、清浄化フィルタ32にてパーティクルが除去されて処理ブロックB1内の下方側に供給されるようになっている。これにより処理ブロックB1内部の処理領域Sには、図3に点線で示すように、温調された空気のダウンフロ−が形成されるようになっている。
【0022】
前記塗布ユニット24はウエハの表面に塗布液を塗布する処理を行なうものであり、ここでこのユニット24において、例えば乾燥後に塗布膜を形成する絶縁膜例えばSiO2膜の成分を溶媒に溶解してなる塗布液をウエハW表面に塗布する塗布手法の一例について図4を用いて簡単に説明する。この塗布手法は、いわゆる一筆書き型の塗布手法であり、当該ユニット24の基板処理領域内において、図示しない基板保持部によりウエハWを略水平に保持し、このウエハWの表面側と対向するように設けられた塗布液Rの供給ノズル36を一方向(図中X方向)に往復させながら塗布液をウエハWに供給する。この場合予定とする塗布領域37の外に塗布液Rが供給されないようにプレート38が設けられている。また供給ノズル36がウエハの一端面から他端面に移動すると、そのタイミングに合わせて図示しない移動機構によりウエハWがそれに交差する方向に間欠送りされる。このような動作を繰り返すことにより、いわゆる一筆書きの要領で塗布液RがウエハWに塗布されるようになっている。
【0023】
また、塗布ユニットの次工程の処理ユニットである減圧乾燥ユニット25は、本発明の溶媒蒸発ユニットに相当するものであり、密閉容器内にて、所定の真空度に減圧しながらウエハWを所定温度に加熱することにより、塗布膜中の溶媒を蒸発させ、この減圧乾燥処理により塗布膜が形成される。
【0024】
このような塗布膜形成装置におけるウエハの流れについて説明すると、自動搬送ロボット(あるいは作業者)により例えば25枚のウエハWを収納したキャリアCが、外部からキャリアブロックB1のキャリア載置部21に搬入される。次いで受け渡し手段22によりこれらキャリアC内からウエハWが取り出され、処理ブロックB2の棚ユニットU2の受け渡しユニット28を介して基板搬送手段23に受け渡される。
【0025】
そして、ウエハWは基板搬送手段23により棚ユニットU1〜U3の一の温調ユニット27に搬送され、ここで所定の温度例えば23℃に調整された後、塗布ユニット24に搬送され、当該ユニット24にて、処理温度例えば23℃の下、例えば塗布膜の成分が溶媒に溶解されてなる塗布液が上記の一筆書きの手法で塗布される。ここでこの手法で用いられる塗布液の粘度は、固形分である塗布膜の成分の濃度が10cp以下程度であることが好ましい。
【0026】
その後、ウエハWは減圧乾燥ユニット25に搬送され、減圧乾燥処理により例えば塗布膜中の溶剤が除去される。続いて、塗布膜が形成されたウエハは加熱ユニット26にて、加熱処理であるベーク処理が行われる。このベーク処理とは、低酸素雰囲気にてウエハを加熱して縮重合反応を起こさせ、化学的に塗布膜を硬化させるための低酸素加熱処理である。具体的には、図示しない処理室内に窒素ガス等の不活性ガスを導入し、所定の低酸素状態例えば許容酸素濃度100ppm以下の雰囲気に設定して、ウエハを例えば約400℃程度の温度で加熱することにより行われる。この後、ウエハは例えば温調ユニット27にて所定温度に温調され、次いで例えばキャリア載置部21の元のキャリアC内に戻される。
【0027】
この後、例えば塗布膜形成装置の外部に設けられたキュア装置にて、キュア処理が行われ、こうしてSiO2膜よりなる絶縁膜(塗布膜)が形成される。ここでキュア処理とは塗布膜を焼成するための加熱処理であり、塗布膜を加熱することにより、架橋またはポロジエンの離脱を行ない塗布膜の硬化を図る処理である。具体的には、例えば図示しない処理室内を所定の低酸素状態例えば許容酸素濃度100ppm以下の雰囲気に設定し、ウエハを例えば約400℃程度の温度にて加熱することにより行なわれる。
【0028】
ここで、塗布膜形成装置内における基板搬送手段23によるウエハの搬送や、塗布ユニット24等の各処理ユニットにおけるウエハの処理は図示しない制御部内のプログラムに基づいて行われる。つまり制御部は、塗布液ユニット24にてウエハWに塗布液の塗布処理を行い、次いで減圧乾燥ユニット25にて減圧乾燥処理を行い、この後加熱ユニット26による処理と温調ユニット27による処理とを順次行うためのプログラムを備えている。
【0029】
続いて、本実施の形態の主要部である基板搬送手段23について図を参照して詳細に説明する。先ず基板搬送手段23の全体構成について図5に基づいて説明すると、前記基板搬送手段23は、ウエハWを保持する例えば3段に構成された保持アーム41(41a,41b,41c)と、この保持アーム41を進退自在に支持する搬送基体をなす基台42と、この基台42を昇降自在に支持する一対の案内レール43,44と、これら案内レール43,44の上端及び下端を夫々連結する連結部材45,46と、案内レール43,44及び連結部材45,46よりなる枠体を鉛直軸周りに回転自在に駆動するために案内レール下端の連結部材46に一体的に取り付けられた回転駆動部47と、案内レ−ル上端の連結部材45に設けられた回転軸部48と、を備えている。
【0030】
前記保持アーム41は、例えば図5〜図7に示すように、夫々基板Gを保持し得るように第1の保持アーム41a、第2の保持アーム41b、第3の保持アーム41cの3段構成になっており、これら保持アーム41a〜41cは内縁の複数箇所例えば3箇所に設けられた爪部40a〜40cにウエハの周縁部を載置することにより、ウエハを保持するようになっている。
【0031】
これらアーム41a〜41cの基端部は基台42の長手方向に設けられた案内溝42aに沿って処理ユニットとの間でウエハの受け渡しを行う受け渡し位置と、この受け渡し位置から後退し、搬送時にウエハを保持する搬送位置との間でスライド移動できるようになっている。そのスライド移動による保持アーム41a〜41cの進退移動や基台42の昇降移動は、夫々別個の図示しない駆動部により駆動される。従ってそれら図示しない2つの駆動部、案内溝42a、前記案内レール43,44及び前記回転駆動部47は、保持アーム41a〜41cを略鉛直軸まわりに回転自在、かつ昇降自在、かつ進退自在に駆動する駆動機構を構成しており、この駆動機構は図示しない制御部により搬送プログラムに基づいて駆動制御される。
【0032】
そして、前記保持アーム41a〜41cの中段の第2の保持アーム41bと最下段の第3の保持アーム41cとの間には、前記第3の保持アーム41cが前記搬送位置にあるときに、前記保持アーム41cに保持されたウエハの表面全体を間隔を介して覆うように、ウエハよりサイズが大きい乾燥防止プレート5が設けられている。この乾燥防止プレート5は例えばポリプロピレンやポリテトラフルオロエチレン樹脂等の断熱材により構成され、例えば図7(b)に示すように、ウエハWの周縁と、乾燥防止プレート5の周縁との差Aが25mm以上例えば30mm程度の大きさに形成される。
【0033】
このような乾燥防止プレート5は、例えば図7(a)に示すように、支持部材51を介して基台42の後端側に設けられた昇降機構52により昇降可能に構成されている。この昇降機構52としてはボールネジ機構やエアシリンダ機構等が用いられ、図示しない制御部により例えば所望の高さ位置を入力すると、この入力値に基づいて例えば第3の保持アーム41cに保持されたウエハWの表面と、乾燥防止プレート5の下面との距離が、例えば2mm以上10mm以下の範囲で変化できるように構成されている。このような範囲に設定するのは、前記距離が2mm以下では、ウエハWを第3の保持アーム41cに保持させて前記搬送位置まで後退させたときに、ウエハ表面の塗布膜と乾燥防止プレート5とが接近しすぎて膜が乱れる場合があり、10mm以上の間隔を空けると、3段の保持アーム41のトータルの高さが大きくなって、基板搬送手段23が大型化し、スペース的に問題がある上、乾燥防止プレート5と第3の保持アーム41c上のウエハとの間の隙間が大きくなるので、処理領域Sのダウンフロ−が入り込み、膜質の悪化の原因となる可能性があるからである。
【0034】
このような基板搬送手段23では、例えば前記第3の保持アーム41cは、塗布ユニット24から次工程の減圧乾燥ユニット25にウエハWを搬送する際の専用アームとして用いられる。ここで前記保持アーム41a〜41cは、前記処理ユニット同士の間でウエハの受け渡しを行う受け渡し位置に進行したときに、各処理ユニットの基板保持部に設けられた昇降ピン等の受け渡し部材との間でウエハの受け渡しを行うことができるように、前記保持アーム41a〜41cと前記基板保持部の受け渡し部材とが互いに干渉しない形状に設定され、この例では前記受け渡し部材が保持アーム41a〜41cの内縁よりも内側の領域を昇降できるように構成されている。
【0035】
例えば塗布ユニット24から減圧乾燥ユニット25までウエハWを搬送するときには、例えば予め乾燥防止プレート5と第3の保持アーム41cとの間隔を処理に応じて塗布膜の膜厚の面内均一性を向上させるための適切な距離に設定しておき、先ず図8(a)に示すように、第3の保持アーム41cを塗布ユニット24との間でウエハの受け渡しを行う受け渡し位置まで進行させる。そして図示しない受け渡し部材との協働作業により前記保持アーム41cにウエハを受け渡し、この後図8(b)に示すように、前記保持アーム41cを搬送位置まで後退させる。
【0036】
これにより、前記搬送位置では、第3の保持アーム41cに保持されたウエハWの表面全体が所定距離の隙間を介して乾燥防止プレート5により覆われることになる。こうしてウエハを第3の保持アーム41cの搬送位置に保持させた状態(図8(b)に示す状態)で、ウエハを次工程の減圧乾燥ユニット25に搬送し、当該ユニットに受け渡す。つまり、第3の保持アーム41cを受け渡し位置に進行させ、減圧乾燥ユニット25の受け渡し部材との協働作業により当該ユニットの基板保持部にウエハを受け渡した後、保持アーム41cを搬送位置まで退行させる。
【0037】
このような構成では、塗布ユニット24から次工程の減圧乾燥ユニット25にウエハWを搬送する際に、ウエハの表面を隙間を介して乾燥防止プレート5により覆った状態で搬送しているので、処理領域Sの搬送中にウエハ表面の塗布液がダウンフロ−に晒されることがない。このため、前記ダウンフロ−が塗布液に供給されることにより、前記ウエハ表面の塗布液中の溶媒の揮発の程度がウエハ面内において不均一になることが抑えられ、次工程の減圧乾燥ユニット25にて、ウエハ表面の塗布液中の溶媒をウエハ面内において均一な状態で揮発させることができて、減圧乾燥ユニット25にて得られる塗布膜の膜厚の面内均一性を向上させることができる。
【0038】
ここで粘度が1cp以上10cp以下程度と低く、溶媒が揮発しやすいメチル含有ポリシロキサンや水素含有ポリシロキサン等の塗布液を用いて塗布膜を形成する場合や、塗布ユニット24の次工程の減圧乾燥ユニット25にて塗布液中の溶媒成分の蒸発させることにより塗布膜の膜厚が制御される処理では、乾燥防止プレート5により搬送中の塗布液の溶剤の揮発を防ぐことは、形成される塗布膜の膜厚の高い均一性を確保するために有効な手法である。
【0039】
この際、本発明では、ウエハを乾燥防止プレート5を覆いながら搬送するという手法で、搬送中のウエハ表面の塗布液の溶媒成分の揮発を抑えているので、基板搬送手段23の大型化や、これに伴う基板搬送手段23の搬送領域や装置全体の大型化、装置の複雑化等を抑えた簡易な手法で大きな効果を確保することができる。
【0040】
また、上述の実施の形態では、乾燥防止プレート5は昇降機構52により高さ位置が移動可能に構成され、例えば制御部にて入力データに基づいて高さ位置が変更できるようになっているので、この乾燥防止プレート5の高さ位置を調整することにより塗布液からの溶媒の揮発の状態を制御することができる。さらに、一筆書きの手法にて形成される絶縁膜のような粘度の低い塗布液を用いる場合と、レジスト膜等のように粘度の高い塗布液を用いる場合には、塗布膜の膜厚の均一性を確保するために乾燥防止プレート5の適切な高さ位置が異なる場合や、目的とする処理に応じて塗布液の厚さが異なる場合に、前記高さ位置を制御でき、有効である。
【0041】
さらにまた、乾燥防止用プレート5を断熱材により構成した場合には、この乾燥防止用プレート5により例えば当該乾燥防止用プレートの上方側からの熱が遮断されるので、第3の保持アーム41cに保持されたウエハ表面の塗布液への熱影響を抑えることができ、熱による膜質の悪化を抑えることができる。
【0042】
さらにまた、乾燥防止プレート5は最下段の保持アーム41cの上部側に設けられているので、温湿度調整された空気のダウンフロ−が遮断されるのは、乾燥防止プレート5の下方側の領域のみであり、当該乾燥防止プレート5の上方側の第1及び第2の保持アーム41a,41bには、前記空気のダウンフロ−が供給される。このため、前記第1及び第2の保持保持アーム41a,41bにて搬送されるウエハに対しては、温湿度調整された空気が供給される状態で搬送が行われ、温湿度調整された雰囲気でウエハの搬送を行うことができる。
【0043】
なお、上述の実施の形態では、第3の保持アーム41cはウエハを塗布ユニットから次工程の処理ユニットへの搬送を行うための専用アームとして説明したが、搬送中にウエハ表面に温湿度調整された空気のダウンフロ−が供給される必要がない場合には、他の処理ユニット同士の間でのウエハの搬送に第3の保持アーム41cを用いるようにしてもよい。
【0044】
以上において、乾燥防止プレート5を、図9に示すように、第3の保持アーム41cに支持部材53を介して取り付け、第3の保持アーム41cと共に受け渡し位置と搬送位置との間で進退自在に構成してもよい。この場合、図9に示すように、支持部材53を昇降機構54により昇降自在に構成してもよいし、昇降機構54を設けない構成としてもよい。
【0045】
この場合、塗布ユニット24や減圧乾燥ユニット25との間でウエハの受け渡しを行うときには、塗布ユニット24などの受け渡し部材55により第3の保持アーム41cと乾燥防止プレート5との間にウエハWが位置する高さ位置にウエハWを上昇させてから、例えば図10(a)に示すように、第3の保持アーム41cと乾燥防止プレート5とを塗布ユニット24内の受け渡し位置まで進入させる。次いで、受け渡し部材55を下降させて第3の保持アーム41cにウエハWを受け渡し、この後、第3の保持アーム41cと乾燥防止プレート5とを搬送位置まで退行させる(図10(c)参照)。なお、図中55は基板保持部である。
【0046】
一方、減圧乾燥ユニット25の基板保持部にウエハを受け渡すときには、ウエハを搭載した第3の保持アーム41cと乾燥防止プレート5とを、減圧乾燥ユニット25の基板保持部の上方側の受け渡し位置まで進入させ、次いで、受け渡し部材55を上昇させることにより、保持アーム41cから前記受け渡し部材にウエハWを受け渡し、この後、第3の保持アーム41cと乾燥防止プレート5とを溶媒乾燥25ユニットから退出させる。
【0047】
このような構成においては、塗布ユニット24や減圧乾燥ユニット25の内部にまで乾燥防止用プレート5が入り込み、乾燥防止プレート5によりウエハ表面が覆われた状態で塗布ユニット24や減圧乾燥ユニット25に対してウエハWの搬入出を行っているので、処理ユニットに対してウエハを搬入出する際に形成される気流の影響をウエハ表面が受けにくくなり、より確実に搬送中の塗布液からの溶媒の揮発を抑えることができる。
【0048】
この際、乾燥防止プレート5を昇降自在に構成した場合には、処理ユニットとの間でウエハの受け渡しを行う場合に、予め第3の保持アーム41cと乾燥防止プレート5との間隔を広げておき、第3の保持アーム41cにウエハを受け渡した後、前記間隔を適切な間隔に狭めてから次工程の処理ユニットに搬送することにより、前記受け渡しを容易にしながら、ウエハの搬送時には塗布膜の膜厚の均一性を良好にする好ましい間隔に設定できるという利点がある。
【0049】
続いて、本発明の他の実施の形態について説明する。この実施の形態は、前記乾燥防止プレート5の代わりに、第3の保持アーム41cが前記搬送位置にあるときに、塗布膜の溶媒を自然蒸発させて、前記保持アーム41cに保持されたウエハの表面近傍に溶媒雰囲気を形成する溶媒雰囲気形成機構6を設ける構成である。この溶媒雰囲気形成機構6は、例えば第3の保持アーム41cに保持されたウエハの表面と対向するように配置された、例えば平面形状が円形であって内部が空洞の扁平な容器61を備えている。この容器61は例えばアルミニウム板により構成され、下面(ウエハと対向する面)には口径が3mm程度の大きさの多数の開口部62が形成されており、例えば開口部62の形成領域がウエハよりも大きい領域になるように設定されている。このような容器61は支持部材60により基台42の後端側に取り付けられている。
【0050】
前記容器61の内部には、例えば当該内部を上下に2分割するように、多数の孔部63aが形成された、例えばアルミニウム板より形成された円板状の通流板63が設けられており、この通流板63の下方側の空間には例えばスポンジよりなる溶媒吸収体64が設けられている。前記溶媒吸収体64は例えば厚さが3mm程度に設定されている。
【0051】
前記容器61の上部のほぼ中央には当該容器61内部に塗布液の溶媒を供給するための溶媒供給路65が接続されており、この溶媒供給路65の他端側は溶媒タンク66に接続されている。前記溶媒タンク66から溶媒供給路65を介して容器61内部に供給された溶媒は、通流板63の孔部63aを通って、この孔部63aにより拡散された状態で溶媒吸収体64に向けて、ほぼ均一に広がりながら流れて行き、溶媒吸収体64が十分に溶媒を吸収し、溶媒吸収体64から溶媒が滴り落ちる前の状態で溶媒吸収体64への溶媒の供給を停止する。ここで溶媒吸収体64の面内において均一に溶媒が供給されるように、前記孔部63aの口径は、例えば溶媒の流量が多い中央部では口径が小さく、溶媒の流量が少ない周縁部では口径が大きくなるように、中央部から周縁部に向けて徐々に大きくなるように設定されている。
【0052】
この溶媒吸収体64への溶媒の供給や停止のタイミングは、例えば制御部により溶媒供給路65の流量制御バルブVの開度を調整することにより行われる。前記流量調整バルブVは開閉バルブと流量調整部とを組み合わせてなるものである。この例では溶媒タンク66、溶媒供給路65、流量制御バルブV、通流板63が本発明の溶媒供給手段に相当する。このように溶媒が十分に染み込んだ溶媒吸収体64からは、溶媒が自然蒸発していき、この溶媒の蒸気は開口部62を介して容器61の外部にゆっくりと拡散していく。
【0053】
この例では、例えば容器61の下方側に溶媒雰囲気を形成した状態で、第3の保持アーム41aをウエハの受け渡しを行うユニット例えば塗布ユニット24に進入させ、塗布ユニット24の基板保持部の受け渡し部材との間でウエハの受け渡しを行った後、アーム41cを前記搬送位置まで退行させる。これにより搬送位置にあるウエハ近傍に溶媒雰囲気が形成された状態となる。この状態でウエハWは次工程まで搬送されるが、ウエハWの上部側に設けられた容器61自体によりウエハ表面がダウンフロ−に晒されることが抑えられると共に、容器61の下方側空間では溶媒雰囲気が形成されていて、塗布液の溶媒が揮発しにくい状態であるので、前記塗布液からの溶媒の揮発がより確実に抑えられた状態でウエハを搬送することになり、搬送時の膜厚の乱れが効果的に抑えられ、結果として塗布膜の膜厚の高い面内均一性を確保することができる。
【0054】
さらに、溶媒雰囲気形成機構6では、溶媒を自然蒸発させることにより塗布膜の近傍にゆっくりと徐々に溶媒雰囲気を形成しているので、塗布膜に直接溶媒の蒸気を供給する場合に比べて、ウエハ搬送中の塗布液中の溶媒成分の揮発の程度をより確実にウエハ面内において揃えることができる。つまり、塗布膜に直接溶媒の蒸気を供給する場合には、溶媒蒸気の供給と共に気流が発生するので、この気流が塗布液の表面に当たる。ところで、前記ウエハの搬送中は処理領域Sの気流も乱されやすいので、前記溶媒蒸気の供給と共に発生した気流がウエハ面内において均一に供給されることは難しい。このため、塗布膜に直接溶媒の蒸気を供給する場合には、気流の影響により塗布液中の溶媒成分の揮発の程度がウエハ面内において異なってしまい、この結果膜厚の面内均一性が悪化してしまう。
【0055】
以上において、溶媒雰囲気形成機構6は昇降自在に構成してもよく、このように構成した場合、例えば第3の保持アーム41cと塗布ユニット24等との間でウエハの受け渡しを行うときには、第3の保持アーム41cと溶媒雰囲気形成機構6との間隔を広げ、第3の保持アーム41cにウエハを受け渡した後は、溶媒雰囲気を形成するために適切な位置に溶媒雰囲気形成機構6の高さを調整することにより、ウエハの受け渡しし易さを確保しながら、十分に塗布膜からの溶媒の揮発を抑えることができる。
【0056】
さらに、図12に示すように、前記容器61の下面の開口部62を開閉する蓋体67を設け、溶媒雰囲気を形成するときには前記開口部62を開き、それ以外の場合では蓋体67により前記開口部62を塞ぐことにより溶媒雰囲気形成機構6からの溶媒の蒸気の供給を停止するようにしてもよい。前記蓋体67は、例えば前記開口部62を塞ぐ位置(図12中点線で示す位置)と、前記開口部62を開く位置(図12中実線で示す位置)との間で基台42に沿ってスライド自在に構成されている。
【0057】
このような構成では、塗布ユニット24から次工程へのウエハの搬送を行うときには溶媒雰囲気を形成し、塗布ユニット24から次工程へのウエハの搬送がない場合には、溶媒雰囲気形成機構6からの溶媒の蒸気の供給を停止しているので、処理ブロックB内の処理領域Sへの不要な溶媒の供給が抑えられ、当該溶媒による他の処理ユニットの処理への悪影響を抑えることができる。
【0058】
さらに、本発明の基板搬送手段は、例えば図13に示すように、保持アームを4段に構成し、搬送位置にある最下段の第4のアーム41dの上方側に前記乾燥防止プレート5を設け、搬送位置にある最下段から2段目の第3のアーム41cの上方側にアーム41cから所定の間隔を介して遮熱プレート7を設けるように構成するようにしてもよい。前記遮熱プレート7は例えば中空のアルミニウム板等の断熱材によりウエハよりも大きいサイズに構成され、ダウンフローを通気させるための例えば口径が10mm程度の大きさの多数の開口部71を備えている。
【0059】
このような基板搬送手段では、塗布ユニット24から減圧乾燥ユニット25にウエハを搬送するときには第4の保持アーム41dを用い、温調ユニット27から塗布ユニット24にウエハを搬送するときには第3の保持アーム41cが用いられる。このようにすると、温調ユニット27にて温調されたウエハを搬送するときに、遮熱プレート7により当該プレート7の上方側からの熱が遮られ、ウエアーム41c上のウエハへの熱影響を抑えることができる。
【0060】
さらに、上述の実施の形態では半導体ウエハを処理する装置について説明したが、FPD(フラットパネルディスプレイ)やマスク等に使用されるガラス基板を処理する装置についても本発明は適用可能である。また、本発明が適用される塗布膜形成装置にて形成される塗布膜としては、SiO2膜よりなる絶縁膜のほか、レジスト膜や、ポリイミド膜やパッシベーション膜といった有機膜等であってもよい。さらに、塗布ユニットでは、上述の一筆書きの手法によりウエハに塗布液を塗布する構成以外に、例えばスピンコーティングによりウエハに塗布液を塗布する構成であってもよい。さらに、本発明の乾燥防止プレートは昇降しない構成としてもよい。
【0061】
【発明の効果】
本発明によれば、塗布ユニットから次工程に基板を搬送する際に、基板表面の塗布液からの溶媒成分の揮発を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる塗布膜形成装置の一実施の形態の全体構成を示す平面図である。
【図2】前記塗布膜形成装置の全体構成を示す概略斜視図である。
【図3】前記塗布膜形成装置の全体構成を示す側面図である。
【図4】前記塗布膜形成装置に設けられる塗布ユニットにて行われる塗布手法の一例を示す概略斜視図である。
【図5】前記塗布膜形成装置に設けられる基板搬送手段を示す斜視図である。
【図6】前記基板搬送手段の保持アームと乾燥防止プレートとを示す斜視図である。
【図7】前記基板搬送手段を示す側面図と平面図である。
【図8】前記基板搬送手段の作用を説明するための側面図である。
【図9】前記基板搬送手段の他の例を示す側面図である。
【図10】図9に示す基板搬送手段の作用を説明するための側面図である。
【図11】前記基板搬送手段のさらに他の例を示す側面図である。
【図12】前記基板搬送手段のさらに他の例を示す側面図である。
【図13】前記基板搬送手段のさらに他の例を示す側面図である。
【図14】従来の絶縁膜形成装置を示す平面図である。
【符号の説明】
W 半導体ウエハ
B1 キャリアブロック
B2 処理ブロック
23 基板搬送手段
24 塗布ユニット
25 減圧乾燥ユニット
36 塗布ノズル
41 保持アーム
42 基台
5 乾燥防止プレート
51 支持部材
52 昇降機構
6 溶媒雰囲気形成機構
61 容器
62 開口部
63 円板
64 溶媒吸収体
65 溶媒供給路
Claims (10)
- 基板の表面に対し塗布膜の成分と溶媒とを含む塗布液を塗布する処理を行う塗布ユニットと、この塗布ユニットで行われる塗布処理の次工程の処理を行う処理ユニットと、前記塗布ユニットと処理ユニットとの間で基板の搬送を行う基板搬送手段と、を備えた塗布膜形成装置において、
前記基板搬送手段は、移動自在な搬送基体と、
前記塗布ユニットにて表面に塗布液が塗布された基板を保持し、塗布ユニットとの間で基板の受け渡しを行う受け渡し位置と、この受け渡し位置から後退する搬送位置との間で、進退自在に前記搬送基体に設けられた保持アームと、
前記保持アームが少なくとも前記搬送位置にあるときに、前記塗布膜からの溶媒の揮発を抑えるために、前記保持アームに保持された基板の表面全体を間隔を介して覆う乾燥防止プレートと、を備えることを特徴とする塗布膜形成装置。 - 前記乾燥防止プレートは、その周縁が基板の周縁よりも25mm以上外側に位置していることを特徴とする請求項1記載の塗布膜形成装置。
- 前記乾燥防止プレートは、断熱材により構成されていることを特徴とする請求項1または2記載の塗布膜形成装置。
- 前記乾燥防止プレートは、昇降機構により昇降自在に構成され、前記乾燥防止プレートの裏面と保持アームに保持されて搬送位置にあるときの基板表面との距離が変更できるように構成されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の塗布膜形成装置。
- 前記基板搬送手段は、前記乾燥防止プレートの上段側に保持アームを備え、前記保持アームは、塗布ユニットと他の処理ユニットとの間で基板の受け渡しを行う受け渡し位置と、この受け渡し位置から後退する搬送位置との間で、基体の長さ方向に移動できるように、前記搬送基体に設けられていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の塗布膜形成装置。
- 基板の表面に対し塗布膜の成分と溶媒とを含む塗布液を塗布する処理を行う塗布ユニットと、この塗布ユニットで行われる塗布処理の次工程の処理を行う処理ユニットと、前記塗布ユニットと処理ユニットとの間で基板の搬送を行う基板搬送手段と、を備えた塗布膜形成装置において、
前記基板搬送手段は、移動自在な搬送基体と、
前記塗布ユニットにて表面に塗布液が塗布された基板を保持し、塗布ユニットとの間で基板の受け渡しを行う受け渡し位置と、この受け渡し位置から後退する搬送位置との間で、進退自在に前記搬送基体に設けられた保持アームと、
前記保持アームが搬送位置にあるときに、前記塗布膜からの溶媒の揮発を抑えるために、前記保持アームに保持された基板の表面近傍に溶媒雰囲気を形成する溶媒雰囲気形成機構と、を備え、
前記溶媒雰囲気形成機構は、保持アームに保持された基板の表面と対向するように配置され、前記基板表面と対向する面に多数の開口部が形成された容器と、この容器の内部に設けられた溶媒吸収体と、前記溶媒吸収体に溶媒を供給するための溶媒供給手段と、を備え、溶媒吸収体に溶剤を染み込ませて、この溶媒を自然蒸発させ、当該蒸気を前記開口部から通気させることにより、前記保持アームに保持され、搬送位置にある基板近傍に溶媒雰囲気を形成することを特徴とする塗布膜形成装置。 - 前記基板搬送手段は、前記溶媒雰囲気形成機構の上段側に保持アームを備え、前記保持アームは、塗布ユニットと他の処理ユニットとの間で基板の受け渡しを行う受け渡し位置と、この受け渡し位置から後退する搬送位置との間で基体の長さ方向に移動できるように、前記搬送基体に設けられていることを特徴とする請求項6記載の塗布膜形成装置。
- 前記塗布膜形成装置の処理領域には、温度調整された空気のダウンフロ−が形成されていることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の塗布膜形成装置。
- 前記塗布ユニットの次工程の処理ユニットは、基板を加熱して塗布液に含まれる溶媒を蒸発させる処理を行う溶媒蒸発ユニットであることを特徴とする請求項1ないし8のいずれかに記載の塗布膜形成装置。
- 塗布ユニットにおいて基板の表面に対し塗布膜の成分と溶媒とを含む塗布液を塗布する塗布処理工程と、
前記基板表面に塗布された塗布液の乾燥を抑制するために、乾燥防止プレート又は溶媒雰囲気形成機構にて前記基板を上面側から覆った状態で、前記塗布ユニットから次工程の処理ユニットに前記基板を搬送する工程と、を含むことを特徴とする塗布膜形成方法。
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-
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- 2003-06-23 JP JP2003178625A patent/JP2005019475A/ja active Pending
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