JP2005018581A - 車々間通信車両 - Google Patents
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Abstract
【課題】簡単なアンテナ配置で干渉波の受信電力を低減することができる車々間通信車両を提供する。
【解決手段】車々間通信車両は、その前方向に位置する前の車両及び車々間通信車両の後ろ方向に位置する後ろの車両と無線通信する無線通信装置を備え、第1のアンテナは路面からのアンテナ高h2で設けられ実質的に前方向に向かう主ビームを有し、第2のアンテナは路面からのアンテナ高h1で設けられ実質的に後ろ方向に向かう主ビームを有する。第1と第2のアンテナを互いに異なる高さ(h1≠h2)で設け、コントローラ100は、無線通信装置を用いて前の車両及び後ろの車両と無線通信して、前の車両のアンテナ高h1及び後ろの車両のアンテナ高h2の情報を受信し、前の車両と後ろの車両との間の間隔Rdを計算し、車々間通信車両と前の車両との間の第1の車間距離R1及び車々間通信車両と後ろ車両との間の第2の車間距離R2を制御する。
【選択図】 図1
【解決手段】車々間通信車両は、その前方向に位置する前の車両及び車々間通信車両の後ろ方向に位置する後ろの車両と無線通信する無線通信装置を備え、第1のアンテナは路面からのアンテナ高h2で設けられ実質的に前方向に向かう主ビームを有し、第2のアンテナは路面からのアンテナ高h1で設けられ実質的に後ろ方向に向かう主ビームを有する。第1と第2のアンテナを互いに異なる高さ(h1≠h2)で設け、コントローラ100は、無線通信装置を用いて前の車両及び後ろの車両と無線通信して、前の車両のアンテナ高h1及び後ろの車両のアンテナ高h2の情報を受信し、前の車両と後ろの車両との間の間隔Rdを計算し、車々間通信車両と前の車両との間の第1の車間距離R1及び車々間通信車両と後ろ車両との間の第2の車間距離R2を制御する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば自動車などの車両と車両との間(車々間、車両間又は車間という。)で無線通信を行う車両である車々間通信車両、及び、上記車々間通信車両のための車間距離の制御方法及び制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来技術の車々間無線通信システムにおいて、例えば自動車などの車両間における通信で考えるべき問題は、どのような段取りで通信するかという問題と同時に、通信そのものが安定しているか否かという問題もある。車両間の通信では情報の送信側も受信側も車両であるため、情報の無線伝送路には反射体としての路面が必ず想定される。路面反射がある場合、直接波と反射波が干渉を起こす。この後者の問題点を解決するために、路面反射による干渉が引き起こす受信電力の大きな減衰の影響を除去し、車間距離によらず受信電力の低下による瞬断、途絶のない安定した車両間の通信が可能となる車々間無線通信システムを提供するために、「車々間無線通信システムにおいて、車載送受信機に複数のアンテナを設置する際に、各々のアンテナを地面からの高さが互いに異なるように設置することを特徴とする車々間無線通信システム」(以下、従来例という。)が例えば、特許文献1において提案されている。
【0003】
図35は、特許文献1の図1において開示された、従来例に係る車々間無線通信のための車両100におけるアンテナ101,102の設置方法を示す側面図である。図35に示すように、車両100は進行方向100Aで進行し、当該車々間無線通信システムで用いるアンテナ101,102は、路面110からのアンテナ高h11,h12が互いに異なるように(h11≠h12)設置されている。この従来例において、他の車両のアンテナから送信された電波は当該車両100のアンテナ101,102で受信される。この場合において、上述のように、各アンテナ101,102は当該車両100に設置されるアンテナ高h11,h12が互いに異なっており、このアンテナ高h11,h12の差により、アンテナ101,102で受信される電力は異なる。従って、アンテナ101とアンテナ102の受信電力の大きい方を選択することにより、安定した受信電力が得られる。
【0004】
以上のように、従来例に係る車々間通信車両によれば、路面反射による干渉が引き起こす受信電力の大きな減衰の影響を除去することができ、車間距離によらず受信電力の低下による瞬断、途絶のない安定した車両間の通信が可能となる。
【0005】
【特許文献1】
特開2001−36444号公報(図1)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図35に示す従来例には、次のような問題があった。上述のように、車両間の無線通信はそれぞれ前後の車両間で行われる。ここで、各車両間の無線通信で使われる電波の周波数が等しい場合、ある車両間で行われる無線通信で使用される電波は、他の車両間で行われる無線通信に使用される電波に対して干渉波となる。この干渉波のために、無線信号の復調ができなくなるおそれがある。そこで、ある車両間で行われる無線通信で使用される電波の周波数が、他の無線通信に影響を及ぼさないように異なる周波数が用いられる。しかしながら、周波数間隔が小さい場合、送信された電波が受信機のフィルタの通過帯域内に漏れ込み、復調に影響を及ぼす。このように、ある車両間で行われる無線通信で使用される電波は、他の車両間で行われる無線通信に使用される電波に対して干渉波となるおそれがある。従って、ある車両間で行われる無線通信で使用される電波が、他の無線通信車両に届きにくいことが望まれる。
【0007】
しかしながら、従来例では、当該車両から2つ前に走行している車両からの電波が1つ前の車両の床下を通り抜けて到来する電波を抑えることができないという欠点があった。
【0008】
一般に、走行車両は、おおむね等間隔で走行する。さらに、車々間無線通信を利用して高速道路等で自動走行を行う場合、車両間隔が等間隔になることが推測される。従来の車々間通信車両では、通信車両が等間隔になる場合、ある車両間で行われる無線通信で使用された電波が他の車両の下の路面で反射して相手先の通信車両に届きやすく、通信品位が劣化するおそれがあった。
【0009】
走行中の車両間隔は20m〜100mであり、アンテナ間隔も20m〜100mとなる。アンテナ高は車両の高さにより決まるので、0.3〜2m程度となることが予想される。このとき、路面反射波21が路面110に入射する入射角は、仰角で84度以上となる。ここで、路面110の反射係数は、垂直偏波、水平偏波においてほぼ全反射の値となり、比較的強い路面反射波21が到来することになり干渉波として問題になる。
【0010】
図36は従来例に係る車々間無線通信のための車両100を挟む2つの車両のアンテナ111,112間の車々間無線通信において、路面110上の反射点24における入射波20と路面反射波21(図36において、いずれも点線で示す。)との関係を示す反射点24を含む縦断面での縦断面模式図である。図36に示すように、当該車両100が2つの車両間の概ね中間点に位置しているとき、他の車両のアンテナ111から送信された入射波20は車両100の床下を通り抜け、当該車両100の直下の路面110上の反射点24で反射する。一般に、例えば普通自動車である車両100の床下の隙間高ucは約30cmであり、車両100の長さlcは約5mである。ここで、車両100の床下の隙間高ucを30cmに設定し、車両100の長さlcを5mに設定すると、本発明者の計算によれば、路面110への入射波20の入射角φ(路面110上の反射点24を通過するように引いた、路面110に対する垂線24aと、入射波20とのなす角度を入射角φという。)が83.2度以上であるとき、入射波20は当該車両100の床下を通り、反射点24で反射して反射角φ(路面110に対する垂線24aと、反射波24とのなす角度を反射角φといい、ここで、入射角φ=反射角φである。)で反射した後、当該床下を通り抜けて、次の車両のアンテナ112に伝搬して受信される。
【0011】
図37は図36の従来技術に係る車々間無線通信において、反射通過領域113を示す、2つのアンテナ111,112のアンテナ高hとアンテナ間隔Rdとの関係を示すグラフである。すなわち、図37は、車両100の床下の隙間高ucを30cmとし、車両100の長さlcを5mとしたときの、アンテナ高hと、車100の床下を通り抜けて路面反射波21が到来することが可能な前後の車両の2つのアンテナ111,112間のアンテナ間隔Rdとの関係を示している。
【0012】
図37において、ハッチング部分の反射通過領域113で、路面反射波21が当該車両100の床下を通り抜けて他の車両のアンテナ(111又は112)に到来する。このとき、例えば、他の車両に搭載されたアンテナ111,112が、ダッシュボードとリアダッシュボードに装着されている場合を仮定して、各アンテナ高hが1mであるとすると、前後の車両のアンテナ間隔Rdが16.7m以上で、1つの車両のアンテナ111からの電波は、当該車両100の床下を通り抜け他の車両のアンテナ112に到来する。
【0013】
以上のように構成された車々間無線通信システムにおける無線機においては、車々間の干渉波が到来するために、より高い周波数分別性能が求められ、システム全体として高価にならざるを得なかった。しかしながら、この車々間無線通信システムはすべての車両にアンテナと無線機を備えないと当該車々間無線通信システムが成立しないため、高い性能と共に廉価であることが望まれている。そのため、従来例の車々間通信車両はさらに低価格化する必要があるという課題を有していた。
【0014】
本発明の第1の目的は以上の問題点を解決し、簡単なアンテナ配置で干渉波の受信電力を低減することができる車々間通信車両を提供することにある。
【0015】
また、本発明の第2の目的は上記の第1の目的に加えて、所定のアンテナ配置のアンテナを用いて、干渉波の受信電力を低減するように車間距離を制御することができる車々間通信車両のための車間距離の制御方法及び制御装置を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
第1の発明に係る車々間通信車両は、車々間通信車両の前方向に位置する前の車両及び当該車々間通信車両の後ろ方向に位置する後ろの車両と無線通信する無線通信装置を備えた車々間通信車両であって、
路面からのアンテナ高h2で設けられ、実質的に上記前方向に向かう主ビームを有する第1のアンテナと、
上記路面からのアンテナ高h1で設けられ、実質的に上記後ろ方向に向かう主ビームを有する第2のアンテナとを備え、
上記第1と第2のアンテナを互いに異なる高さ(h1≠h2)で設けたことを特徴とする。
【0017】
上記車々間通信車両において、上記無線通信装置を用いて上記前の車両及び上記後ろの車両と無線通信することによりそれぞれ、上記前の車両のアンテナ高h1の情報と、上記後ろの車両のアンテナ高h2の情報とを受信し、上記前の車両と上記後ろの車両との間の間隔Rdを計算し、上記各アンテナ高と上記間隔Rdと当該車々間通信車両の床下の隙間高ucとに基づいて、当該車々間通信車両と上記前の車両との間の第1の車間距離R1と、当該車々間通信車両と上記後ろ車両との間の第2の車間距離R2とを制御する制御手段をさらに備えたことを特徴とする。
【0018】
また、上記車々間通信車両において、上記制御手段は、上記第1の車間距離R1と上記第2の車間距離R2とが互いに実質的に等しくなるように制御し、
当該車々間通信車両の床下の隙間高をucとしたとき、実質的に次式を満たすように、
【数10】
|h1−h2|>2uc
上記第1と第2のアンテナを互いに異なる高さ(h1≠h2)で設けたことを特徴とする。
【0019】
さらに、上記車々間通信車両において、上記制御手段は、上記前の車両と上記後ろの車両との中間の位置する車間中間点から当該車々間通信車両の前面までの位置ずれ量dxが実質的に次式となるように、
【数11】
上記第1の車間距離R1と上記第2の車間距離R2とを制御することを特徴とする。
【0020】
第2の発明に係る車々間通信車両は、車々間通信車両の前方向に位置する前の車両及び当該車々間通信車両の後ろ方向に位置する後ろの車両と無線通信する無線通信装置を備えた車々間通信車両であって、
路面からのアンテナ高h2で設けられ、実質的に上記前方向に向かう主ビームを有する第1のアンテナと、
上記路面からのアンテナ高h1で設けられ、実質的に上記後ろ方向に向かう主ビームを有する第2のアンテナとを備え、
上記第1と第2のアンテナを互いに実質的に同一の高さh(=h1=h2)で設け、
上記車々間通信車両はさらに、
上記無線通信装置を用いて上記前の車両及び上記後ろの車両と無線通信することによりそれぞれ、上記前の車両のアンテナ高h1の情報と、上記後ろの車両のアンテナ高h2の情報とを受信し、上記前の車両と上記後ろの車両との間の間隔Rdを計算し、上記各アンテナ高と上記間隔Rdと当該車々間通信車両の床下の隙間高ucとに基づいて、当該車々間通信車両と上記前の車両との間の第1の車間距離R1と、当該車々間通信車両と上記後ろ車両との間の第2の車間距離R2とを制御する制御手段をさらに備えたことを特徴とする。
【0021】
上記車々間通信車両において、上記制御手段は、上記前の車両と上記後ろの車両との中間の位置する車間中間点から当該車々間通信車両の前面までの位置ずれ量dxが実質的に次式となるように、
【数12】
上記第1の車間距離R1と上記第2の車間距離R2とを制御することを特徴とする。
【0022】
上記第1と第2の発明に係る車々間通信車両において、当該車々間通信車両の上面に設けられた電波散乱体をさらに備えたことを特徴とする。また、上記車々間通信車両において、上記電波散乱体は当該車々間通信車両の上面から突出する形状を有することを特徴とする。さらに、上記車々間通信車両において、他の車々間通信車両からの電波を減衰させる電波減衰塗料を車両に塗布形成したことを特徴とする。またさらに、上記車々間通信車両において、他の車々間通信車両からの電波を減衰させる電波減衰薄膜を車両に形成したことを特徴とする。
【0023】
第3の発明に係る車間距離の制御方法は、車々間通信車両の前方向に位置する前の車両及び当該車々間通信車両の後ろ方向に位置する後ろの車両と無線通信する無線通信装置を備えた車々間通信車両のための車間距離の制御方法であって、
上記車々間通信車両は、
路面からのアンテナ高h2で設けられ、実質的に上記前方向に向かう主ビームを有する第1のアンテナと、
上記路面からのアンテナ高h1で設けられ、実質的に上記後ろ方向に向かう主ビームを有する第2のアンテナとを備え、
上記第1と第2のアンテナを互いに異なる高さ(h1≠h2)で設け、
上記制御方法は、
上記無線通信装置を用いて上記前の車両及び上記後ろの車両と無線通信することによりそれぞれ、上記前の車両のアンテナ高h1の情報と、上記後ろの車両のアンテナ高h2の情報とを受信し、上記前の車両と上記後ろの車両との間の間隔Rdを計算し、上記各アンテナ高と上記間隔Rdと当該車々間通信車両の床下の隙間高ucとに基づいて、当該車々間通信車両と上記前の車両との間の第1の車間距離R1と、当該車々間通信車両と上記後ろ車両との間の第2の車間距離R2とを制御する制御ステップを含むことを特徴とする。
【0024】
上記車間距離の制御方法において、当該車々間通信車両の床下の隙間高をucとしたとき、実質的に次式を満たすように、
【数13】
|h1−h2|>2uc
上記第1と第2のアンテナを互いに異なる高さ(h1≠h2)で設け、
上記制御ステップは、上記第1の車間距離R1と上記第2の車間距離R2とが互いに実質的に等しくなるように制御することを特徴とする。
【0025】
また、上記車間距離の制御方法において、上記制御ステップは、上記前の車両と上記後ろの車両との中間の位置する車間中間点から当該車々間通信車両の前面までの位置ずれ量dxが実質的に次式となるように、
【数14】
上記第1の車間距離R1と上記第2の車間距離R2とを制御することを特徴とする。
【0026】
第4の発明に係る車間距離の制御方法は、車々間通信車両の前方向に位置する前の車両及び当該車々間通信車両の後ろ方向に位置する後ろの車両と無線通信する無線通信装置を備えた車々間通信車両のための車間距離の制御方法であって、
上記車々間通信車両は、
路面からのアンテナ高h2で設けられ、実質的に上記前方向に向かう主ビームを有する第1のアンテナと、
上記路面からのアンテナ高h1で設けられ、実質的に上記後ろ方向に向かう主ビームを有する第2のアンテナとを備え、
上記第1と第2のアンテナを互いに実質的に同一の高さh(=h1=h2)で設け、
上記制御方法は、
上記無線通信装置を用いて上記前の車両及び上記後ろの車両と無線通信することによりそれぞれ、上記前の車両のアンテナ高h1の情報と、上記後ろの車両のアンテナ高h2の情報とを受信し、上記前の車両と上記後ろの車両との間の間隔Rdを計算し、上記各アンテナ高と上記間隔Rdと当該車々間通信車両の床下の隙間高ucとに基づいて、当該車々間通信車両と上記前の車両との間の第1の車間距離R1と、当該車々間通信車両と上記後ろ車両との間の第2の車間距離R2とを制御する制御ステップを含むことを特徴とする。
【0027】
上記車間距離の制御方法において、上記制御ステップは、上記前の車両と上記後ろの車両との中間の位置する車間中間点から当該車々間通信車両の前面までの位置ずれ量dxが実質的に次式となるように、
【数15】
上記第1の車間距離R1と上記第2の車間距離R2とを制御することを特徴とする。
【0028】
第5の発明に係る車間距離の制御装置は、車々間通信車両の前方向に位置する前の車両及び当該車々間通信車両の後ろ方向に位置する後ろの車両と無線通信する無線通信装置を備えた車々間通信車両のための車間距離の制御装置であって、
上記車々間通信車両は、
路面からのアンテナ高h2で設けられ、実質的に上記前方向に向かう主ビームを有する第1のアンテナと、
上記路面からのアンテナ高h1で設けられ、実質的に上記後ろ方向に向かう主ビームを有する第2のアンテナとを備え、
上記第1と第2のアンテナを互いに異なる高さ(h1≠h2)で設け、
上記制御装置は、
上記無線通信装置を用いて上記前の車両及び上記後ろの車両と無線通信することによりそれぞれ、上記前の車両のアンテナ高h1の情報と、上記後ろの車両のアンテナ高h2の情報とを受信し、上記前の車両と上記後ろの車両との間の間隔Rdを計算し、上記各アンテナ高と上記間隔Rdと当該車々間通信車両の床下の隙間高ucとに基づいて、当該車々間通信車両と上記前の車両との間の第1の車間距離R1と、当該車々間通信車両と上記後ろ車両との間の第2の車間距離R2とを制御する制御手段を備えたことを特徴とする。
【0029】
上記車間距離の制御装置において、当該車々間通信車両の床下の隙間高をucとしたとき、実質的に次式を満たすように、
【数16】
|h1−h2|>2uc
上記第1と第2のアンテナを互いに異なる高さ(h1≠h2)で設け、
上記制御手段は、上記第1の車間距離R1と上記第2の車間距離R2とが互いに実質的に等しくなるように制御することを特徴とする。
【0030】
また、上記車間距離の制御装置において、上記制御手段は、上記前の車両と上記後ろの車両との中間の位置する車間中間点から当該車々間通信車両の前面までの位置ずれ量dxが実質的に次式となるように、
【数17】
上記第1の車間距離R1と上記第2の車間距離R2とを制御することを特徴とする。
【0031】
第6の発明に係る車間距離の制御装置は、車々間通信車両の前方向に位置する前の車両及び当該車々間通信車両の後ろ方向に位置する後ろの車両と無線通信する無線通信装置を備えた車々間通信車両のための車間距離の制御装置であって、
上記車々間通信車両は、
路面からのアンテナ高h2で設けられ、実質的に上記前方向に向かう主ビームを有する第1のアンテナと、
上記路面からのアンテナ高h1で設けられ、実質的に上記後ろ方向に向かう主ビームを有する第2のアンテナとを備え、
上記第1と第2のアンテナを互いに実質的に同一の高さh(=h1=h2)で設け、
上記制御装置は、
上記無線通信装置を用いて上記前の車両及び上記後ろの車両と無線通信することによりそれぞれ、上記前の車両のアンテナ高h1の情報と、上記後ろの車両のアンテナ高h2の情報とを受信し、上記前の車両と上記後ろの車両との間の間隔Rdを計算し、上記各アンテナ高と上記間隔Rdと当該車々間通信車両の床下の隙間高ucとに基づいて、当該車々間通信車両と上記前の車両との間の第1の車間距離R1と、当該車々間通信車両と上記後ろ車両との間の第2の車間距離R2とを制御する制御手段を備えたことを特徴とする。
【0032】
上記車間距離の制御装置において、上記制御手段は、上記前の車両と上記後ろの車両との中間の位置する車間中間点から当該車々間通信車両の前面までの位置ずれ量dxが実質的に次式となるように、
【数18】
上記第1の車間距離R1と上記第2の車間距離R2とを制御することを特徴とする。
【0033】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明に係る実施形態について説明する。
【0034】
第1の実施形態.
図1は本発明に係る第1の実施形態である車々間無線通信のための車々間通信車両(以下、車両という。)11の一例を示す側面図である。
【0035】
図1において、例えば自動車である車両11は進行方向11A(進行方向11Aは車両11の前方向(前面に対して垂直な方向である車両進行方向である。)であり、その逆方向は車両11の後ろ方向である。)で進行し、その車両11の前面のバンパー中央部に、アンテナ12が路面10に平行な水平ライン12Lのアンテナ高h2で設けられる一方、その車両11の後面のボンネットの中央部に、アンテナ13が路面10に平行な水平ライン13L上のアンテナ高h1(アンテナ高h2とは異なり、h1≠h2である。)で設けられる。なお、図1において、水平ライン12L,13Lを一点鎖線で示している。また、本実施形態及びその他の実施形態において、各アンテナのアンテナ高は路面10からそのアンテナの中央部までの高さをいう。ここで、アンテナ12は、当該車両11の前側の次の車々間通信車両(図示せず。)と無線通信するために設けられ、給電ケーブル601を介して無線送受信機を内蔵する無線通信装置600に接続される。当該アンテナ12は、好ましくは、前方向に向かう、当該前方向に対して実質的に平行であって所定のビーム幅の主ビーム(信号強度が強い指向性)を有する。また、アンテナ13は、当該車両11の後ろ側の次の車々間通信車両(図示せず。)と無線通信するために設けられ、給電ケーブル602を介して無線送受信機を内蔵する無線通信装置600に接続される。当該アンテナ13は、好ましくは、後ろ方向に向かう、当該後ろ方向に対して実質的に平行であって所定のビーム幅の主ビーム(信号強度が強い指向性)を有する。なお、図1のアンテナ12,13の載置例では、h1>h2である。
【0036】
図2は第1の実施形態における3台の車々間通信車両11,14,17(以下、車々間通信車両14,17についても、車両11と同様に、車両14,17という。)の車両配置の一例を示す側面図である。図2では、3台の車両11,14,17が同一の車線の路面10上でそれぞれ隣接する車両(11と14間、14と17間)で無線通信している。ここで、車両11は、その前面に設けられ前方向に主ビームを有するアンテナ12と、その後面に設けられ後ろ方向に主ビームを有するアンテナ13とを備える。また、車両14は、その前面に設けられ前方向に主ビームを有するアンテナ15と、その後面に設けられ後ろ方向に主ビームを有するアンテナ16とを備える。さらに、車両17は、その前面に設けられ前方向に主ビームを有するアンテナ18と、その後面に設けられ後ろ方向に主ビームを有するアンテナ19とを備える。ここで、車両11の無線通信装置はアンテナ13を用いて車両14のアンテナ15を介して車両14の無線通信装置と無線通信し、車両14の無線通信装置はアンテナ16を用いて車両17のアンテナ18を介して車両17の無線通信装置と無線通信する。この場合において、車両11のアンテナ13から放射された電波のうち、路面10で反射する路面反射波と、車両17のアンテナ18との関係を図3に示す。
【0037】
次いで、路面反射波の伝搬の様子を図2と図3を参照して説明する。図2では、無線通信は互いに隣接する前後の車両間、つまり、車両11と車両14との間で、車両14と車両17との間で行われる。例えば、車両11から車両14に対して無線信号を送信する場合、車両11のアンテナ13から無線信号を送信し、車両14のアンテナ15で無線信号を受信する。逆に、車両14のアンテナ15から無線信号を送信する場合、車両11のアンテナ13で無線信号を受信する。このように、互いに隣接する前後の車両間で単方向又は双方向の車々間無線通信を行う。
【0038】
一例として、車両14と車両17間の車々間無線通信において、車両11から車両14に放射された電波が干渉波となる場合について考える。ここでは、車両11のアンテナ13から放射された電波のうち路面10で反射する波について考える。アンテナ13から放射された電波は、一般に、図3に示すように、路面10に対して入射角φで入射し、その反射点24で反射され、その路面反射波21は、入射波20と同一の反射角φで反射する。また、当該電波は最短経路を通過して到来する。従って、アンテナ13から放射された電波が路面10で反射してアンテナ18に到来する経路は図4において点線20,21で表されている。ここで、アンテナ13の高さをh1とし、アンテナ18の高さをh2とし、アンテナ13とアンテナ18間の距離(以下、アンテナ間隔という。)をRdとする。このとき、アンテナ13と、反射点24との間の距離(路面10に平行な路面上の距離)は、Rd×h1/(h1+h2)となる。アンテナ13の高さとアンテナ18の高さが等しい場合(h1=h2のとき)、反射点24はアンテナ13とアンテナ18との間の中間点に位置し、各アンテナ13,18から反射点24までの距離はRd/2となる。
【0039】
図5に示すように、2つのアンテナ13,18間の中間点(以下、車間中間点という。)10Mに車両14の長手方向の中間点がある場合を考える。この場合において、アンテナ13の高さh1と、アンテナ18の高さh2が等しい場合(h1=h2)には、従来例に示したように、車両14の床下を通り抜けて、路面10で反射する路面反射波21がアンテナ18に到来する可能性が高い。一方、アンテナ高h1とアンテナ高h2が異なる場合(h1≠h2)には、図5に示すように、反射点24が、車間中間点10Mからアンテナ18側に位置ずれ量Rs=(Rd×h1)/(h1+h2)−(Rd/2)だけずれるために、入射波20は車両14により遮蔽され、それにより路面反射波21が到来しない可能性がある。
【0040】
そこで、車両14において、車両14の床下の隙間高ucが30cmであり、車両14の長さlcが5mであるときのアンテナ間隔Rdと、入射波20が遮蔽されて路面反射波21が到来しないときのアンテナ高h1,h2との関係を図6及び図7に示す。図6にそれらのパラメータを示し、図7にその結果を示す。この前提条件は、図5を参照して上述したように、(a)アンテナ高h1,h2がh1>h2のときであり、(b)車両14がアンテナ13とアンテナ18との間の車間中間点10Mにあるときである。図7のグラフは、アンテナ18の高さh2が一定の高さであるとき、アンテナ間隔Rdに対して、入射波20が車両14により遮蔽されて路面反射波21が到来しない場合のアンテナ13の高さh1の最小値(以下、最小のアンテナ高という。)を示している。このとき、最小のアンテナ高h1は、次式の遮蔽条件式により決定できる。
【0041】
【数19】
【0042】
図8は図6の状況において図7のグラフを計算するときに用いる数19の導出方法を説明するための各パラメータを示す縦断面模式図であり、図9は図8の状況においてh1>h2のときの上記遮蔽条件式の導出方法を説明するための各パラメータを示す縦断面模式図である。ここで、まず、h1>h2のときの上記遮蔽条件式の導出方法を示すために、図8及び図9を参照して以下に説明する。
【0043】
図8において、路面反射波21及びアンテナ18を路面10を対称軸としたときのイメージをそれぞれ点線で、路面反射波21の写像21a及びアンテナ18の写像18aにより示している。また、図9において、入射波20を路面10を通過して直線で突きぬけてアンテナ18の位置まで延在させたときのポイント(アンテナ18の写像18aの最大高の位置)をAとし、アンテナ13のアンテナ高h1の最大高位置のポイントをCとし、ポイントAをアンテナ13方向に延在させたときのアンテナ13の位置(すなわち、アンテナ18の写像18aをアンテナ13の位置まで移動させたときのその最大高の位置)をBとする。ここで、直線BCと路面10との交点をGとする。また、図8及び図9において、車両14の前面の位置を路面10上で14fで示す。当該車両14の前面の位置14fは、アンテナ18から(Rd+lc)/2の距離にある。このとき、車両14の前面の位置14fの路面10上の点から直線ABに下ろした垂線と直線ABとの交点をDとし、当該位置14fにおける直線DFと直線ACとの交点をEとする。ここで、直線DEと路面10との交点をFとし、直線FEの高さをhxとする。この場合において、図9から明らかなように、三角形ABCと、三角形ADEは相似関係となるので、次式を得る。
【0044】
【数20】
【0045】
ここで、高さhxについて解くと次式を得る。
【0046】
【数21】
【0047】
ここで、高さhxが床下の隙間高ucより大きいとき、入射波20が車両14により遮断されるので、次式を得る。
【0048】
【数22】
【0049】
【数23】
(Rd+lc)(h1+h2)>2Rd(uc+h2)
【0050】
従って、これより、次式の上記遮蔽条件式を得る。
【0051】
【数24】
【0052】
次いで、h1<h2のときの、上記数19の遮蔽条件式(h1>h2)に対応する遮蔽条件式は、アンテナ高h1とアンテナ高h2とを入れ替えることにより、次式で表される。
【0053】
【数25】
【0054】
さらに、h1=h2のとき(これは、図36及び図37の場合に対応する。)の遮蔽条件式は以下のようにして導出できる。この場合における、各パラメータを示す縦断面模式図を図10に示す。図10において、車間中間点10Mにおける路面10上のポイントをMとし、その他の記号C,E,F,Gは図9と同様に付与している。図10から明らかなように、三角形MGCと、三角形MFEとは相似関係にあるので、次式を得る。
【0055】
【数26】
【0056】
上記式において、hxについて解くと、次式を得る。
【0057】
【数27】
【0058】
ここで、hx>ucのとき、入射波20は車両14により遮断されるので、次式を得る。
【0059】
【数28】
【0060】
【数29】
【0061】
この式が、上記数19の遮蔽条件式(h1>h2)に対応するh1=h2のときの遮蔽条件式であり、このグラフは図37に示されている。
【0062】
次いで、図7に戻って参照して、上記数19の遮蔽条件式に基づく計算機シミュレーション結果について以下に説明する。アンテナ18が例えば車両17の前面のバンパーに備えられている場合を想定して、アンテナ高h2=0.5mであるとし、アンテナ間隔Rdが105m(このとき、アンテナ13とアンテナ15との間の距離は50mである。)とすると、図7から明らかなように、アンテナ高h1が1.03mより大きければ、入射波20が車両14により遮蔽され、路面反射波21が到来しない。逆に、アンテナ高h2が0.5mのときは、アンテナ高h1が1.06mより高ければ、互いに隣接する2つの車両(11と14、14と17)間の車間距離が97.5m(Rd=200m)以内ではアンテナ13からの路面反射波21がアンテナ18に到来しないことがわかる。
【0063】
また、図7より、アンテナ間隔Rdが大きくなるにつれて、アンテナ13の高さh1の最小値は大きくなり、ある定数に漸近していることが分かる。従って、アンテナ間隔Rdを大きくしていくと、ここで、Rd≫lcとすると、Rd+lc≒Rdとなり、上記数19の遮蔽条件式は以下のように簡単化できる。
【0064】
【数30】
【0065】
【数31】
h1−h2>2uc,(h1>h2のとき)
【0066】
また、同様に、h1<h2のときは次式となる。
【0067】
【数32】
h2−h1>2uc,(h1<h2のとき)
【0068】
従って、上記数31と数32を合わせて表示すると、次式で表される。
【0069】
【数33】
|h1−h2|>2uc
【0070】
さらに、h1=h2のときは上記数29と同様に次式となる。
【0071】
【数34】
【0072】
以上説明したように、本実施形態においては、いかなる車間距離においても、上記数33を満たすようにアンテナ13,18を配置すれば、干渉波は車両14により遮断される。車両14の床下の隙間高ucはおよそ30cmであるから、上記数33より、アンテナ13とアンテナ18の高低差の絶対値|h1−h2|を60cm以上としてやれば干渉波は車両14により遮断される。
【0073】
このように、本実施形態に係る車々間通信車両によれば、例えば、図1に示すように、車両11の前方向に向かう主ビームを有するアンテナ12の高さh2と、車両11の後ろ方向に向かう主ビームを有するアンテナ13の高さh1を互いに異なるように構成にすることにより、路面反射波21による干渉波を低減することができる。
【0074】
特に、例えば、電波の伝搬損失が大きく、電波の直進性が強い準ミリ波やミリ波以上の周波数帯の電波を用いることにより、よりいっそうの干渉波低減の効果が望める。この干渉波の抑圧効果により、周波数の再利用の効率が上がるという効果がある。また、無線電波としてマイクロ波を用いることによっても、これに準ずる効果が得られる。
【0075】
なお、本実施形態においては、車両11の前方向に向かう主ビームを有するアンテナ12を、車両11の後ろ方向に向かう主ビームを有するアンテナ13よりも低くなるように配置している場合(h1>h2)を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限らず、車両11の前方向に向かう主ビームを有するアンテナ12を、車両11の後ろ方向に向かう主ビームを有するアンテナ13よりも高くなるように配置している場合(h1<h2)であってもよい。
【0076】
なお、本実施形態においては、前方向に向かう主ビームを有するアンテナ12を車両11の前面に配置し、後ろ方向に向かう主ビームを有するアンテナ13を車両11の後面に配置しているが、本発明はこれに限らず、アンテナの配置位置はこれに限定されない。例えば、第1の実施形態の第1の変形例を示す図11に示すように、後ろ方向に向かう主ビームを有するアンテナ13を車両11の屋根又は天井部に配置してもよい。このとき、前方向に向かう主ビームを有するアンテナ12を前面バンパー、前面ボンネット又は前面ダッシュボードに配置しているときに、これら2つのアンテナ12,13のアンテナ高差|h1−h2|を大きく取ることができ、干渉波となる2つ前の車両からの路面反射波21を効果的に遮蔽することが可能になる。また、例えば、第1の実施形態の第2の変形例を示す図12に示すように、車両11の前方向に向かう主ビームを有するアンテナ12を車両11の屋根又は天井部に配置してもよい。このとき、車両11の後ろ方向に向かう主ビームを有するアンテナ13を車両11の後面バンパー、後面トランク又は後面のリアダッシュボードに配置してもよい。これにより、干渉波となる2つ前の車両からの路面反射波21を効果的に遮蔽することが可能になる。
【0077】
なお、本実施形態においては、前方向又は後ろ方向に向かう主ビームを有するアンテナ12,13,15,16,18,19の一例として、図13、図14及び図15に示すような、垂直面に対して指向性が鋭く(主ビーム幅が狭い)ホーンアンテナ装置501やパッチアレーアンテナ装置502又はスロットアレーアンテナ装置503を用いることができる。これにより、指向性が鋭いことによるアンテナ利得の向上の効果のみならず、路面反射波21の方向に利得を低くすることにより、路面反射波21を弱くすることが可能になる。特に、波長の短い準ミリ波やミリ波ではアンテナの大きさが小さくなるために、このような指向性が鋭く波長に対して大きなアンテナも車載が可能となる。
【0078】
図13のホーンアンテナ装置501では、その開口部501aが、開口面に向かうにつれて広げられるようにテーパ形状で形成されている。また、図14のパッチアンテナ装置502では、誘電体基板510上に複数の円形パッチ導体511が所定の間隔で配置され、例えばスロット給電法など所定の給電法で給電励振される。さらに、図15のスロットアレーアンテナ装置503では、誘電体基板520上に複数の矩形スロット521が所定の間隔で形成され、これらの複数のスロット521が、誘電体基板520の裏面に形成された給電用ストリップ導体522を含むマイクロストリップ線路により給電励振される。これらのアンテナ装置501,502,503を他の実施形態において用いてもよい。また、図14のパッチアンテナ装置502では、誘電体基板510上に複数の円形パッチ導体511を形成しているが、円形パッチ導体511に代えて矩形パッチ導体を形成してもよい。
【0079】
以上の実施形態においては、1つの車両11において1つのアンテナ12と1つのアンテナ13を設けているが、各アンテナ12,13に代えてそれぞれ、アンテナダイバーシチを形成する複数のアンテナからなるアンテナシステム、もしくは、所定の適応制御方法を用いる適応制御コントローラと複数のアンテナとを備えたアンテナシステムを用いてもよい。これらのアンテナシステムを用いることにより、干渉波を低減する効果に加えて、1つ前又は1つ後ろの車両からの所望の電波を効率よく受信することが可能になる。これらのアンテナシステムは他の実施形態においても適用可能である。
【0080】
第2の実施形態.
図16は本発明に係る第2の実施形態である車々間無線通信のための車々間通信車両11の一例を示す側面図であり、図17は第2の実施形態における車々間通信車両11,14,17の車両配置の一例を示す側面図である。本実施形態は、第1の実施形態に比較して、図16及び図17に示すように、以下の特徴を有している。
【0081】
(1)各車両11,14,17において設けられる1対のアンテナ(12,13)(15,16)(18,19)のアンテナ高h1,h2を実質的に同一の高さ(h=h1=h2)に設定したことを特徴としている。すなわち、図16に示すように、アンテナ12のアンテナ高の水平ライン12Lと、アンテナ13のアンテナ高の水平ライン13Lとは一致している。
(2)図17に示すように、車両11と車両14との間の車間距離R1と、車両11と車両14との間の車間距離R2とが異なっている。
【0082】
なお、第2の実施形態における他の構成は第1の実施形態と同様であり、例えば、車々間通信のための無線通信は、第1の実施形態における無線通信と同様であり、互いに隣接する前後の車両(11,14)(14,17)間で単方向又は双方向で無線通信を行う。
【0083】
一例として、車両14と車両17との間の無線通信において、車両11から車両14に放射された電波が干渉波となる場合について考える。ここでは、車両11のアンテナ13から放射された電波のうち、路面10で反射する路面反射波21について考える。この路面反射波21は、上述の図3に示すように、入射波20の入射角φと同一の反射角φで反射する。また、電波は最短経路を通過して到来するので、アンテナ13とアンテナ18との間の距離をRdとすると、アンテナ13とアンテナ18のアンテナ高h2,h1が実質的に等しい場合(h1=h2)、反射点24は車間中間点10Mに一致し、各アンテナ13,18から距離Rd/2の位置となる。
【0084】
この場合、アンテナ13とアンテナ18の車間中間点10Mに車両14がある場合は、路面反射波21がアンテナ18に到来する可能性が高い。一方、図17において車間距離R1とR2が互いに異なる場合は、図18に示すように、車両14が車間中間点10Mから位置ずれ量dxだけずれると、入射波20は車両14により遮蔽され、路面反射波21が到来しない可能性がある。ここで、位置ずれ量dxは、車間中間点10Mから車両14の前面までの距離であり、前方向に対して正の値をとり、後ろ方向に対して負の値をとるものとする。
【0085】
第2の実施形態において、車両14の床下の隙間高ucが30cmであり、車両14の長さlcが5mであるときのアンテナ高hと、入射波20が車両14により遮断されるときの、車間中間点10Mからの車両14の位置ずれ量dxとの関係を図19及び図20に示す。図19に各パラメータを示し、図20にその関係のグラフを示す。ここで、アンテナ13の高さとアンテナ18の高さが実質的に等しい(h=h1=h2)ものとする。
【0086】
図20はアンテナ13,18の高さhが一定の高さであるとき、アンテナ間隔Rdに対して、入射波20が車両14により遮蔽される場合の、車間中間点10Mからの車両14の位置ずれ量dxの最小値を示している。このとき、位置ずれ量dxの最小値は次式の遮蔽条件式で計算できる。
【0087】
【数35】
【0088】
この式は以下のように導出できる。図21は図19の状況における数35の遮蔽条件式の導出方法を説明するための各パラメータを示す縦断面模式図である。図21において、記号C,E,F,G,Mは図10と同様に付与している。まず、アンテナ高さh=h1=h2より、反射点24は車間中間点10Mに一致し、三角形MGCと三角形MFEとの相似関係より、次式を得る。
【0089】
【数36】
【0090】
従って、高さhxについて解くと次式を得る。
【0091】
【数37】
【0092】
ここで、hx>ucとなれば、入射波20が車両14により遮蔽され、路面反射波21が到来しないので、次式を得る。
【0093】
【数38】
【0094】
従って、上記の式をdxについて解くと、遮蔽条件の次式を得る。
【0095】
【数39】
【0096】
また、図19において、車両14を車間中間点10Mから後ろ方向にずれたとき、すなわち、位置ずれ量dx<0のときにおいても、入射波20を遮蔽し、路面反射波21の到来を防止する遮蔽条件は同様である。
【0097】
図19において、例えば、各アンテナ13,18のアンテナ高hを1.0mとし、アンテナ間隔Rdが150mとすると、図20から明らかなように、位置ずれ量dxが22.5mより大きければ、入射波20が車両14により遮蔽され、路面反射波21が到来しない。すなわち、アンテナ13と車両14のアンテナ15との間の車間距離R1(=Rd/2−dx)が52.5m以下のときに入射波20が車両14により遮蔽され、路面反射波21の到来を防止できる。なお、車両11のアンテナ13と、車両14のアンテナ15との間の車間距離R1が52.5mのとき、車両14のアンテナ16と、車両17のアンテナ18間の車間距離R2(=Rd/2+dx−lc)は92.5mとなる。従って、アンテナ高hが1mのとき、車間距離R1を50mとし、車間距離R2を95mとすれば、入射波20を車両14により遮蔽して路面反射波21の到来を防止することができる。すなわち、例えば、アンテナ高hが1mのとき、車両14からの前後の車両11,17との車間距離R1,R2をそれぞれ、R1<50mでかつR2>95m、もしくはR1>95mでかつR2<50mに設定すれば、路面10からの干渉波の少ない優れた無線通信システムに設定できる。
【0098】
以上説明したように、本実施形態に係る車々間通信車両によれば、前方にある車両11との車間距離R1と、後方にある車両17の車間距離R2とが互いに異なるように構成にすることにより、路面反射波21による干渉波を低減することができる。ここで、車間距離R1,R2を制御する必要があるが、車間距離R1,R2を制御するための制御方法及び制御装置については、第5の実施形態において詳細後述する。
【0099】
特に、電波の伝搬損失が大きく、電波の直進性が強い準ミリ波やミリ波を用いることにより、よりいっそうの干渉波低減の効果が望める。この干渉波の抑圧効果により、周波数の再利用の効率が上がるという効果がある。また、無線の電波としてマイクロ波を用いることによっても、これに準ずる効果が得られる。
【0100】
図22は第2の実施形態の変形例に係る車々間通信車両11におけるアンテナ12,13の設置方法を示す側面図である。図22に示すように、アンテナ12,13をともに車両11の屋根上に実質的に同一の高さで設置してもよい。また、これらのアンテナ12,13を一体化して構成してもよい。
【0101】
第3の実施形態.
図23は本発明に係る第3の実施形態である車々間無線通信の状況における各パラメータを示す縦断面模式図である。この第3の実施形態は、第1の実施形態と第2の実施形態との組み合わせであり、(a)h1≠h2であり、(b)R1≠R2という条件でもとで、入射波20が車両14により遮蔽され、路面反射波21の到来を防止する遮蔽条件を求める。ここで、アンテナ13のアンテナ高をh1とし、アンテナ18のアンテナ高h2とすると、例えば、h1>h2のとき、車両14の車間中間点10Mからの位置ずれ量dxの最小値は次式の遮蔽条件式により計算できる。
【0102】
【数40】
【0103】
上記遮蔽条件の式は以下のようにして計算できる。図23の各パラメータの詳細を図25に示し、その縦断面模式図を図26に示す。図26において、三角形ABCと三角形ADEとの相似関係より、次式を得る。
【0104】
【数41】
【0105】
上記式を高さhxについて解くと、次式で表される。
【0106】
【数42】
【0107】
ここで、入射波20が車両14により遮蔽される条件はhx>ucであるので、遮蔽条件は次式で表される。
【0108】
【数43】
【0109】
上記式を位置ずれ量dxについて解くと、次式で表される。
【0110】
【数44】
【0111】
【数45】
【0112】
ここで、図25に示すように、車両14の中央点とアンテナ13との距離をd1とし、車両14の中央点とアンテナ18との距離をd2とする。このとき、次式が成立する。
【0113】
【数46】
Rd=d1+d2
【0114】
また、距離d2は図25より次式で表される。
【0115】
【数47】
【0116】
上記数45と上記数47より、次式を得る。
【0117】
【数48】
【0118】
上記式を整理すると、次式の距離d2の遮蔽条件式を得る。
【0119】
【数49】
【0120】
上記数46より、次式を得る。
【0121】
【数50】
d1=Rd−d2
【0122】
上記数49と上記数50より、距離d1の遮蔽条件式は次式で表される。
【0123】
【数51】
【0124】
【数52】
【0125】
以上により、h1>h2のときの位置ずれ量dx及び距離d1,d2の遮蔽条件式を得ることができる。一方、h1<h2のときの各パラメータを、遮蔽条件式の導出の簡単化のために、図27のように定義する。すなわち、位置ずれ量dxの向きを逆に定義し、上記遮蔽条件式を得るためには、d1とd2と入れ換えかつh1とh2を入れ換えることにより、h1<h2のときの位置ずれ量dx及び距離d1,d2の遮蔽条件式は次式で表される。
【0126】
【数53】
【数54】
【0127】
【数55】
【0128】
ここで、アンテナ高h1,h2の大小関係にかかわらず成立する位置ずれ量dxの遮蔽条件式は上記数45及び上記数53により、次式で表される。
【0129】
【数56】
【0130】
ここで、h1=h2とすれば、第2の実施形態で導出した上記数35又は上記数39に確かに一致している。
【0131】
図24に戻って参照し、遮蔽条件の計算結果について以下に説明する。図23及び図24のアンテナ高の条件(h1>h2)において、例えば、アンテナ高h1を1.2mとし、アンテナ高h2を0.8mとしたときのアンテナ高h1,h2と、入射波20が車両14により路面反射波21の到来が防止されるときの車間中間点10Mからの位置ずれ量dxの最小値との関係を図24に示している。ここで、車両14床下の隙間高ucを30cmとし、車両14の長さlcを5mとした。図24では、h1=h2=1.0mの場合の計算結果もあわせて示す。
【0132】
図24から明らかなように、アンテナ間隔Rdが150mのとき、アンテナ高h1=1.2mでアンテナ高h2=0.8mであるときの遮蔽時の位置ずれ量dxの最小値は7.5mであり、アンテナ高h1=h2=1.0mであるときの当該位置ずれ量dx=22.5mの計算結果よりも小さい。このとき、車間距離R1は67.5m以下のときに、入射波20が車両14により遮蔽され、路面反射波21の到来を防止できる。従って、車間距離R1を65mとし、車間距離R2を80mとすれば、入射波20を車両14により遮蔽することができ、路面反射波21の到来を防止できる。このように、第3の実施形態によれば、第1の実施形態に係るh1≠h2の条件を満たす構成と、第2の実施形態に係るR1≠R2を満たす構成とを組み合わせることにより、遮蔽条件における車間距離R1,R2の距離差|R1−R2|を小さくすることができる。この場合の計算例では、車間距離差|R1−R2|は第2の実施形態における45m(95m−50m)から、第3の実施形態における15m(80m−65m)となり小さくてすみ、車間距離R1、R2の条件は第2の実施形態よりも緩和できる。さらに、遮蔽条件における安定な13,18のアンテナ高差|h1−h2|を小さくすることができる。この場合の計算例では、アンテナ高差|h1−h2|は、第1の実施形態における60cm以上(uc=30cm)から、第3の実施形態における40cmとなって小さくてすみ、アンテナ13,18の設置条件は第1の実施形態よりも緩和できる。
【0133】
通常、各車両の運転手は安全と事故防止や回避のために、ほぼ一定の車間距離を保って走行する。また、効率よく車を移動させるには、車両間隔を安全が確保される距離で等間隔にすることが望まれる。すなわち、車両間隔の差は小さいことが望まれる。従って、第3の実施形態によれば、第1の実施形態に係るh1≠h2の条件を満たす構成と、第2の実施形態に係るR1≠R2を満たす構成とを組み合わせることにより、アンテナ高差|h1−h2|を小さくできるという特有の効果がある。逆に、R1=R2の条件のもとの第1の実施形態においては、車両の構造上、上記数33を満足するようにアンテナ13,18を配置できない場合があり得る。この場合も、第2の実施形態に示すごとく、車間距離R1,R2を異なるように構成することにより、アンテナ高差|h1−h2|を小さくできるという特有の効果がある。
【0134】
以上説明したように、本実施形態の車々間通信車両によれば、車両14から前方にある車両11との車間距離R1と、車両14から後方にある車両17との間の車間距離R2とを互いに異なるようにし、さらに、車両14の前方向に向かう主ビームを有するアンテナ15のアンテナ高h1と、車両14の後ろ方向に向かう主ビームを有するアンテナ16とのアンテナ高h2とを互いに異なるように設置することにより、路面反射波21による干渉波を低減することができる。
【0135】
本実施形態においては、車間距離R1,R2がR1<R2である場合について説明したが、R1>R2である場合(第3の実施形態の変形例)については以下のように解析できる。ここで、h1>h2のときを考え、図28に示すように各パラメータを設定し、このときの縦断面模式図を図29に示す。図29において、三角形ABCと、三角形ADEとの相似関係により、次式を得る。
【0136】
【数57】
【0137】
ここで、高さhxについて解くと、次式を得る。
【0138】
【数58】
【0139】
入射波20が車両14により遮蔽される遮蔽条件はhx>ucであるので、次式の遮蔽条件式を得る。
【0140】
【数59】
【0141】
ここで、高さdxについて解くと、次式を得る。
【0142】
【数60】
【0143】
【数61】
【0144】
【数62】
【0145】
上記式より、
【数63】
h1−h2>2uc,(h1>h2のとき)
のときのみ、入射波20を遮蔽して路面反射波21の到来を防止できる。
【0146】
例えば、車両14の床下の隙間高uc=0.3mのとき、次式で表される。
【0147】
【数64】
h1−h2>0.6m
【0148】
このことは、車間距離R1=R2のときの遮蔽条件式(上記数33)を満たさないと、位置ずれ量dxが存在しないことを示している。また、h1<h2のときは、同様に次式で表される。
【0149】
【数65】
h2−h1>2uc,(h2>h1のとき)
【0150】
従って、アンテナ高h1,h2の関係にかかわらず(ただし、h1≠h2)、次式を得る。
【0151】
【数66】
|h1−h2|>2uc
【0152】
第4の実施形態.
図30は本発明に係る第4の実施形態である車々間無線通信のための車々間通信車両11aにおけるアンテナ12,13の設置方法及び車々間通信車両11aの構造を示す側面図であり、図31は図30の車々間通信車両11aの正面図である。第4の実施形態に係る車両11aでは、以下の特徴を有している。なお、アンテナ12,13は他の実施形態の配置例と同様に配置される。
【0153】
(1)車両11aの水平屋根部上にそれから突出するように電波散乱体31を設けた。
(2)車両11aの車体表面(前面、後面、屋根部、ドアなどいずれの部分であってもよい。)上に電波減衰塗料32を形成した。
(3)車両11aの窓ガラス上に電波減衰薄膜33を形成した。
【0154】
当該車両以外からの干渉波としては、2つ前の車両又は2つ後ろの車両からの到来波が主要であり、その中でも、上述のように、路面10を反射して1つ前の車両又は1つ後ろの車両の下を通過して到来する路面反射波21の影響が大きい。しかしながら、アンテナの配置や車の形状によっては、車両の上面又は側面を回折して到来する干渉波や車両のガラスを透過して到来する干渉波が問題になることがある。第1乃至第3の実施形態に係る車々間通信車両では、2つ前の車両又は2つ後ろの車両からの干渉波となる路面反射波21を効果的に低減することは可能であるが、車両の上面又は側面を回折して到来する干渉波や車両のガラスを透過して到来する干渉波を効果的に低減させることはできない。
【0155】
そこで、本実施形態では、回折波による干渉波を低減するために、車両11aの表面上に電波を減衰させる電波減衰塗料32を塗布して形成する。ここで、電波減衰塗料32としては、例えばフェライトを含む塗料を用いることができる。また、車両11aの天井部や屋根部上には、車両11aの上面を回折して到来する回折波を電波散乱体31により散乱させることにより減衰することが可能になる。図30の電波散乱体31の例では、屋根上に半球形状に突出する電波散乱体を設置しているが、これに限らず、導体材料にてなり電波を散乱可能な、矩形柱形状など種々の形状を有する電波散乱体を設けてもよい。また、当該電波散乱体31を車両11aの床面を除くすべての表面に形成してもよい。さらに、車両11aのガラスを透過して到来する干渉波を減衰させるために、車両11aのガラスに電波を減衰させる金属製の電波減衰薄膜33を蒸着形成する。また、これに代えて、車両11aのガラスに電波を反射及び/又は散乱させる金属薄膜又は金属網(例えば、好ましくは、網のワイヤの直径は1mm以下であって、網の厚さは200Å以下である。)を張り付けて形成してもよい。
【0156】
以上のように構成することにより、車両11aの上面又は側面を回折して到来する干渉波や車両11aのガラスを透過して到来する干渉波を効果的に低減させることが可能になる。
【0157】
第5の実施形態.
図32は本発明に係る第5の実施形態における車々間無線通信のための車々間通信車両(以下、車両という。)201,202,203の車両配置の一例を示す側面図である。図32において、片側車線群200A,200Bを備えた1つの道路200において、片側車線群200Aは例えば3つの車線200a,200b,200cを含む。図32の車両配置例では、3つの車両201,202,203が順に車両進行方向205(図上右側方向)で車線200bの概ね中央部上を進行して走行している。ここで、車両長lc1を有する車両201の前方に、車間距離ds12だけ離れて、車両長lc2を有する車両202が走行しており、また、当該車両202の前方に、車間距離ds23だけ離れて、車両長lc3を有する車両203が走行している。また、各車両201,202,203はそれぞれ、第1乃至第3の実施形態に係る2つのアンテナ(例えば、図1のアンテナ12,13)を備えて、前後の車両と双方向に無線通信によりデータ通信を実行する。
【0158】
本実施形態において、これら車両201,202,203はそれぞれ図33に示す車間距離の制御装置を搭載し、各車間距離ds12,ds23を制御する。以下の例では、車両201が搭載する車間距離の制御装置により実行される車間距離の制御方法の一例について説明する。ここで、当該車両201の1つ前方の車両を前車両202と呼び、2つ前方の車両を前々車両203と呼ぶ。
【0159】
図33において、図34の車間距離制御処理を実行することにより車間距離を制御するコントローラ100は例えばマイクロコンピュータなどのディジタル計算機で構成され、コントローラ100には、その処理に必要なデータを格納するテーブルメモリ101が接続されている。ここで、テーブルメモリ101は、以下のデータを格納している。
(i)予め入力された自車両201の車両長lc1及び自車両の2つのアンテナのアンテナ高。
(ii)後述する公知の測距方法により測定された前車両202との間の車間距離ds12。
(iii)前車両202との無線通信によりデータ受信して捕捉できた前車両202及び前々車両203の各車両長lc2,lc3及び各アンテナ高、並びに、前車両202と前々車両203間の車間距離ds23。
【0160】
また、コントローラ100には、以下のハードウエア回路が接続される。
(1)無線送受信部102は、1つ前の車両202とアンテナ12を介して無線通信を行うとともに、1つ後ろの車両(図示せず。)とアンテナ13を介して無線通信を行う。
(2)測距部104は、自局のアンテナ104aを用いて前車両202に向けてビーム幅がきわめて狭い主ビームを有するマイクロ波の電波を放射して、前車両202で反射されて帰ってくる電波を受信し、その所要時間を計時することにより、自局から相手車両までの車間距離を計算してコントローラ100に出力して、そのデータをテーブルメモリ101に格納する。
(3)速度メータ105は、当該車両201の走行速度を計測してその速度データをコントローラ100に出力する。
(4)速度制御部106は、コントローラ100からの指示信号に基づいて当該車両201のモータ、エンジン及びブレーキ等を制御してその速度を制御することにより、前車両202との車間距離ds12を制御する。
(5)GPS部107は、測距部104の測距精度を向上させるためにオプションで設けられるものであって、当該車両201の現在位置データを、GPS(Global Positioning System)を用いて測定してコントローラ100に出力する。
【0161】
第3の実施形態では、例えば、測距部104を用いて前車両202との間の車間距離ds12を測距してもいいし、自車両201の進行速度と、前車両202の進行速度(無線データによるデータ受信される)とに基づいて、時間変動分を考慮して(例えば、進行速度に時間変動分を乗算する。)これらの速度差を計算し、これに基づき前車両202との車間距離ds12を測距してもよい。また、当該GPS部107は、測距部104又は速度差による測距による前車両202との車間距離ds12の測距精度が不十分であるときに、各車両201,202,203の現在位置データを用いて車間距離ds12,ds23を測距して測距精度を向上させてもよい。
【0162】
図34は、図33の車間距離の制御装置のコントローラ100によって実行される車両201の車間距離制御処理を示すフローチャートである。
【0163】
図34のステップS1において、測距部104を用いて前車両202との間の車間距離ds12を測定し、次いで、ステップS2において、前車両202と無線通信を行うことにより、前車両203と前々車両203の各車両長lc2,lc3及び各アンテナ高、並びに前車両202と前々車両203との間の車間距離ds23とを含むデータを受信する。そして、ステップS3において、受信したデータ及びテーブルメモリ101内のデータに基づいて、所定の遮蔽条件式(例えば、上記数56の式)を満たす前車両202との間の車間距離ds12を計算する。さらに、ステップS4において、計算された車間距離ds12及び速度メータ105からの速度データに基づいて、速度制御部106を制御して前車両202との間の車間距離が計算された車間距離ds12となるように制御する。そして、ステップS5において、ステップS1から所定の時間が経過したか否かについて判断し、NOであればYESとなるまで待機し、YESとなったとき、ステップS1に戻り、上述の処理を繰り返す。従って、ステップS1乃至S4の処理は好ましくは所定の周期で繰り返し実行される。以上の車間距離制御処理は、第1乃至第3の実施形態に適用できる。
【0164】
図34の車間距離の制御処理は、前車両202が図34の処理と同様の処理を実行することにより、前々車両203と無線通信して前々車両203との車間距離ds23を制御している前提において、車両201が図34の処理を実行することにより、前車両202と無線通信して前車両202との車間距離ds12を制御することができる。
【0165】
この場合において、図32において、中間に位置する車両202は、図34の処理と同様の処理を実行して前後の車両201,203(ここでは、前の車両203、後ろの車両201という。)と無線通信することにより、実質的に前後の車間距離ds12,ds23を制御することができる。なお、ステップS3において、例えば、上記数56の遮蔽条件式の右辺を計算するために、以下のパラメータを以下のようにして得ることができる。
(a)アンテナ間隔Rd(前後の車両201,203の間隔に対応する。):テーブルメモリ101に格納された自車両202の長さlcと、前後の車両201,203との車間距離との和で計算できる。ここで、前の車両201との車間距離はステップS1で計算しており、後ろの車両203との車間距離は後ろの車両203で計算され、後ろの車両203と無線通信を行うことにより受信できる。
(b)アンテナ13のアンテナ高h1:前の車両203のテーブルメモリ101に格納されており、前の車両203との無線通信により受信できる。
(c)アンテナ18のアンテナ高h2:後ろの車両201のテーブルメモリ101に格納されており、後ろの車両201との無線通信により受信できる。
(d)自車両202の床下の隙間高uc:自車両202のテーブルメモリ101に格納されている。
上記数56により位置ずれ量dxを計算できれば、設定すべき、前の車両203との車間距離の最小値を計算することができ、これに基づき、前の車両203との車間距離を制御すればよい。
【0166】
以上の実施形態においては、前の車両203との車間距離を測距部104を用いて測距し、後ろの車両201との車間距離を後ろの車両201と無線通信を行うことにより受信して得ているが、本発明はこれに限らず、後ろの車両203との車間距離も別の同様の測距部を用いて測距してもよい。
【0167】
以上の実施形態においては、アンテナ13から放射された電波がアンテナ18に到来する路面反射波21の遮蔽条件式について説明しているが、アンテナ18から放射された電波がアンテナ13に到来する路面反射波の遮蔽条件式について前後は逆になるが同様である。
【0168】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る車々間通信車両によれば、車々間通信車両の前方向に位置する前の車両及び当該車々間通信車両の後ろ方向に位置する後ろの車両と無線通信する無線通信装置を備えた車々間通信車両であって、路面からのアンテナ高h2で設けられ、実質的に上記前方向に向かう主ビームを有する第1のアンテナと、上記路面からのアンテナ高h1で設けられ、実質的に上記後ろ方向に向かう主ビームを有する第2のアンテナとを備え、上記第1と第2のアンテナを互いに異なる高さ(h1≠h2)で設ける。ここで、上記無線通信装置を用いて上記前の車両及び上記後ろの車両と無線通信することによりそれぞれ、上記前の車両のアンテナ高h1の情報と、上記後ろの車両のアンテナ高h2の情報とを受信し、上記前の車両と上記後ろの車両との間の間隔Rdを計算し、上記各アンテナ高と上記間隔Rdと当該車々間通信車両の床下の隙間高ucとに基づいて、当該車々間通信車両と上記前の車両との間の第1の車間距離R1と、当該車々間通信車両と上記後ろ車両との間の第2の車間距離R2とを制御する制御手段をさらに備える。
【0169】
従って、本発明によれば、車両の前方向に向かう主ビームを有する第1のアンテナの高さと、車両の後ろ方向に向かう主ビームを有する第2のアンテナの高さとを互いに異なる構成にすることにより、路面から反射して到来してくる干渉波を遮蔽することが可能な車々間通信車両を実現できる。また、上記のアンテナ配置のアンテナを用いて、干渉波の受信電力を低減するように車間距離を制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る第1の実施形態である車々間無線通信のための車々間通信車両11の一例を示す側面図である。
【図2】第1の実施形態における車々間通信車両11,14,17の車両配置の一例を示す側面図である。
【図3】一般的な路面10上の反射点24における入射波20と路面反射波21との関係を示す反射点24を含む縦断面での縦断面模式図である。
【図4】第1の実施形態において、路面10上の反射点24における入射波20と路面反射波21との関係を示す反射点24を含む縦断面での縦断面模式図である。
【図5】図4において車々間通信車両14により入射波20が遮蔽される状況を示す縦断面模式図である。
【図6】図5の状況における各パラメータを示す縦断面模式図である。
【図7】図6の状況において受信側のアンテナ18のアンテナ高h2をパラメータとしたときの、2つのアンテナ13,18間のアンテナ間隔Rdと、入射波20が車両14により遮蔽されるときの最小アンテナ高h1との関係を示すグラフである。
【図8】図6の状況において図7のグラフを計算するときに用いる遮蔽条件式(数19)の導出方法を説明するための各パラメータを示す縦断面模式図である。
【図9】図8の状況における各パラメータの詳細を示す縦断面模式図である。
【図10】図8の状況においてh1=h2のときの遮蔽条件式(数19に対応する数29)の導出方法を説明するための各パラメータを示す縦断面模式図である。
【図11】第1の実施形態の第1の変形例に係る車々間通信車両11におけるアンテナ12,13の設置方法を示す側面図である。
【図12】第1の実施形態の第2の変形例に係る車々間通信車両11におけるアンテナ12,13の設置方法を示す側面図である。
【図13】第1の実施形態に係るアンテナ12,13,15,16,18,19で用いるアンテナの一例であるホーンアンテナ501の外観を示す斜視図である。
【図14】第1の実施形態に係るアンテナ12,13,15,16,18,19で用いるアンテナの一例であるパッチアレーアンテナ装置502の外観を示す平面図である。
【図15】第1の実施形態に係るアンテナ12,13,15,16,18,19で用いるアンテナの一例であるスロットアレーアンテナ装置503の外観を示す平面図である。
【図16】本発明に係る第2の実施形態である車々間無線通信のための車々間通信車両11の一例を示す側面図である。
【図17】第2の実施形態における車々間通信車両11,14,17の車両配置の一例を示す側面図である。
【図18】図17において車々間通信車両14により入射波20が遮蔽される状況を示す縦断面模式図である。
【図19】図18の状況における各パラメータを示す縦断面模式図である。
【図20】図19の状況において車両14の長さlc=5mであり、車両14の隙間高uc=30cmのときに、アンテナ13,18のアンテナ高hをパラメータとしたときの、2つのアンテナ13,18間のアンテナ間隔Rdと、車間中間点10Mからの車両14の位置ずれ量dxとの関係を示すグラフである。
【図21】図19の状況における遮蔽条件式(数35)の導出方法を説明するための各パラメータを示す縦断面模式図である。
【図22】第2の実施形態の変形例に係る車々間通信車両11におけるアンテナ12,13の設置方法を示す側面図である。
【図23】本発明に係る第3の実施形態である車々間無線通信の状況における各パラメータを示す縦断面模式図である。
【図24】図23の状況において車両14の長さlc=5mであり、車両14の隙間高uc=30cmのときに、アンテナ13,18の各アンテナ高h1,h2をパラメータとしたときの、2つのアンテナ13,18間のアンテナ間隔Rdと、車間中間点10Mからの車両14の位置ずれ量dxとの関係を示すグラフである。
【図25】図21の状況における遮蔽条件式(数40)の導出方法を説明するための各パラメータを示す縦断面模式図である。
【図26】図25の詳細を示す縦断面模式図である。
【図27】図25の状況においてh1<h2のときの各パラメータを示す縦断面模式図である。
【図28】第3の実施形態の変形例においてh1>h2のときの各パラメータを示す縦断面模式図である。
【図29】図28の詳細を示す縦断面模式図である。
【図30】本発明に係る第4の実施形態である車々間無線通信のための車々間通信車両11aにおけるアンテナ12,13の設置方法及び車々間通信車両11aの構造を示す側面図である。
【図31】図30の車々間通信車両11aの構造を示す正面図である。
【図32】本発明に係る第5の実施形態における車々間無線通信のための車々間通信車両201,202,203の車両配置の一例を示す側面図である。
【図33】第5の実施形態に係る車間距離の制御装置の構成を示すブロック図である。
【図34】図33の車間距離の制御装置のコントローラ100によって実行される車両201の車間距離制御処理を示すフローチャートである。
【図35】従来技術に係る車々間無線通信のための車両100におけるアンテナ101,102の設置方法を示す側面図である。
【図36】従来例に係る車々間無線通信のための車両100を挟む2つの車両のアンテナ111,112間の車々間無線通信において、路面10上の反射点24における入射波20と路面反射波21との関係を示す反射点24を含む縦断面での縦断面模式図である。
【図37】図36の従来例に係る車々間無線通信において、反射通過領域113を示す2つのアンテナ111,112のアンテナ高hとアンテナ間隔Rdとの関係を示すグラフである。
【符号の説明】
10…路面、
10M…車間中間点、
11,11a,14,17…車々間通信車両(車両)、
11A…進行方向、
12,13,15,16,18,19…アンテナ、
18a…アンテナ18の写像、
20…入射波、
21…路面反射波、
21a…路面反射波21の写像、
24…反射点、
31…電波散乱体、
32…電波減衰塗料、
33…電波減衰薄膜、
100…コントローラ、
101…テーブルメモリ、
102…無線送受信部、
104…測距部、
104a…アンテナ、
105…速度メータ、
106…速度制御部、
107…GPS部、
107a…アンテナ、
200…道路、
200A,200B…片側車線群、
200a,200b,200c…車線、
201,202,203…車々間通信車両(車両)、
501…ホーンアンテナ装置、
502…パッチアレーアンテナ装置、
503…スロットアレーアンテナ装置、
510…誘電体基板、
511…円形パッチ導体、
520…誘電体基板、
521…矩形スロット、
522…給電用ストリップ導体、
600…無線通信装置、
601,602…給電ケーブル。
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば自動車などの車両と車両との間(車々間、車両間又は車間という。)で無線通信を行う車両である車々間通信車両、及び、上記車々間通信車両のための車間距離の制御方法及び制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来技術の車々間無線通信システムにおいて、例えば自動車などの車両間における通信で考えるべき問題は、どのような段取りで通信するかという問題と同時に、通信そのものが安定しているか否かという問題もある。車両間の通信では情報の送信側も受信側も車両であるため、情報の無線伝送路には反射体としての路面が必ず想定される。路面反射がある場合、直接波と反射波が干渉を起こす。この後者の問題点を解決するために、路面反射による干渉が引き起こす受信電力の大きな減衰の影響を除去し、車間距離によらず受信電力の低下による瞬断、途絶のない安定した車両間の通信が可能となる車々間無線通信システムを提供するために、「車々間無線通信システムにおいて、車載送受信機に複数のアンテナを設置する際に、各々のアンテナを地面からの高さが互いに異なるように設置することを特徴とする車々間無線通信システム」(以下、従来例という。)が例えば、特許文献1において提案されている。
【0003】
図35は、特許文献1の図1において開示された、従来例に係る車々間無線通信のための車両100におけるアンテナ101,102の設置方法を示す側面図である。図35に示すように、車両100は進行方向100Aで進行し、当該車々間無線通信システムで用いるアンテナ101,102は、路面110からのアンテナ高h11,h12が互いに異なるように(h11≠h12)設置されている。この従来例において、他の車両のアンテナから送信された電波は当該車両100のアンテナ101,102で受信される。この場合において、上述のように、各アンテナ101,102は当該車両100に設置されるアンテナ高h11,h12が互いに異なっており、このアンテナ高h11,h12の差により、アンテナ101,102で受信される電力は異なる。従って、アンテナ101とアンテナ102の受信電力の大きい方を選択することにより、安定した受信電力が得られる。
【0004】
以上のように、従来例に係る車々間通信車両によれば、路面反射による干渉が引き起こす受信電力の大きな減衰の影響を除去することができ、車間距離によらず受信電力の低下による瞬断、途絶のない安定した車両間の通信が可能となる。
【0005】
【特許文献1】
特開2001−36444号公報(図1)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図35に示す従来例には、次のような問題があった。上述のように、車両間の無線通信はそれぞれ前後の車両間で行われる。ここで、各車両間の無線通信で使われる電波の周波数が等しい場合、ある車両間で行われる無線通信で使用される電波は、他の車両間で行われる無線通信に使用される電波に対して干渉波となる。この干渉波のために、無線信号の復調ができなくなるおそれがある。そこで、ある車両間で行われる無線通信で使用される電波の周波数が、他の無線通信に影響を及ぼさないように異なる周波数が用いられる。しかしながら、周波数間隔が小さい場合、送信された電波が受信機のフィルタの通過帯域内に漏れ込み、復調に影響を及ぼす。このように、ある車両間で行われる無線通信で使用される電波は、他の車両間で行われる無線通信に使用される電波に対して干渉波となるおそれがある。従って、ある車両間で行われる無線通信で使用される電波が、他の無線通信車両に届きにくいことが望まれる。
【0007】
しかしながら、従来例では、当該車両から2つ前に走行している車両からの電波が1つ前の車両の床下を通り抜けて到来する電波を抑えることができないという欠点があった。
【0008】
一般に、走行車両は、おおむね等間隔で走行する。さらに、車々間無線通信を利用して高速道路等で自動走行を行う場合、車両間隔が等間隔になることが推測される。従来の車々間通信車両では、通信車両が等間隔になる場合、ある車両間で行われる無線通信で使用された電波が他の車両の下の路面で反射して相手先の通信車両に届きやすく、通信品位が劣化するおそれがあった。
【0009】
走行中の車両間隔は20m〜100mであり、アンテナ間隔も20m〜100mとなる。アンテナ高は車両の高さにより決まるので、0.3〜2m程度となることが予想される。このとき、路面反射波21が路面110に入射する入射角は、仰角で84度以上となる。ここで、路面110の反射係数は、垂直偏波、水平偏波においてほぼ全反射の値となり、比較的強い路面反射波21が到来することになり干渉波として問題になる。
【0010】
図36は従来例に係る車々間無線通信のための車両100を挟む2つの車両のアンテナ111,112間の車々間無線通信において、路面110上の反射点24における入射波20と路面反射波21(図36において、いずれも点線で示す。)との関係を示す反射点24を含む縦断面での縦断面模式図である。図36に示すように、当該車両100が2つの車両間の概ね中間点に位置しているとき、他の車両のアンテナ111から送信された入射波20は車両100の床下を通り抜け、当該車両100の直下の路面110上の反射点24で反射する。一般に、例えば普通自動車である車両100の床下の隙間高ucは約30cmであり、車両100の長さlcは約5mである。ここで、車両100の床下の隙間高ucを30cmに設定し、車両100の長さlcを5mに設定すると、本発明者の計算によれば、路面110への入射波20の入射角φ(路面110上の反射点24を通過するように引いた、路面110に対する垂線24aと、入射波20とのなす角度を入射角φという。)が83.2度以上であるとき、入射波20は当該車両100の床下を通り、反射点24で反射して反射角φ(路面110に対する垂線24aと、反射波24とのなす角度を反射角φといい、ここで、入射角φ=反射角φである。)で反射した後、当該床下を通り抜けて、次の車両のアンテナ112に伝搬して受信される。
【0011】
図37は図36の従来技術に係る車々間無線通信において、反射通過領域113を示す、2つのアンテナ111,112のアンテナ高hとアンテナ間隔Rdとの関係を示すグラフである。すなわち、図37は、車両100の床下の隙間高ucを30cmとし、車両100の長さlcを5mとしたときの、アンテナ高hと、車100の床下を通り抜けて路面反射波21が到来することが可能な前後の車両の2つのアンテナ111,112間のアンテナ間隔Rdとの関係を示している。
【0012】
図37において、ハッチング部分の反射通過領域113で、路面反射波21が当該車両100の床下を通り抜けて他の車両のアンテナ(111又は112)に到来する。このとき、例えば、他の車両に搭載されたアンテナ111,112が、ダッシュボードとリアダッシュボードに装着されている場合を仮定して、各アンテナ高hが1mであるとすると、前後の車両のアンテナ間隔Rdが16.7m以上で、1つの車両のアンテナ111からの電波は、当該車両100の床下を通り抜け他の車両のアンテナ112に到来する。
【0013】
以上のように構成された車々間無線通信システムにおける無線機においては、車々間の干渉波が到来するために、より高い周波数分別性能が求められ、システム全体として高価にならざるを得なかった。しかしながら、この車々間無線通信システムはすべての車両にアンテナと無線機を備えないと当該車々間無線通信システムが成立しないため、高い性能と共に廉価であることが望まれている。そのため、従来例の車々間通信車両はさらに低価格化する必要があるという課題を有していた。
【0014】
本発明の第1の目的は以上の問題点を解決し、簡単なアンテナ配置で干渉波の受信電力を低減することができる車々間通信車両を提供することにある。
【0015】
また、本発明の第2の目的は上記の第1の目的に加えて、所定のアンテナ配置のアンテナを用いて、干渉波の受信電力を低減するように車間距離を制御することができる車々間通信車両のための車間距離の制御方法及び制御装置を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
第1の発明に係る車々間通信車両は、車々間通信車両の前方向に位置する前の車両及び当該車々間通信車両の後ろ方向に位置する後ろの車両と無線通信する無線通信装置を備えた車々間通信車両であって、
路面からのアンテナ高h2で設けられ、実質的に上記前方向に向かう主ビームを有する第1のアンテナと、
上記路面からのアンテナ高h1で設けられ、実質的に上記後ろ方向に向かう主ビームを有する第2のアンテナとを備え、
上記第1と第2のアンテナを互いに異なる高さ(h1≠h2)で設けたことを特徴とする。
【0017】
上記車々間通信車両において、上記無線通信装置を用いて上記前の車両及び上記後ろの車両と無線通信することによりそれぞれ、上記前の車両のアンテナ高h1の情報と、上記後ろの車両のアンテナ高h2の情報とを受信し、上記前の車両と上記後ろの車両との間の間隔Rdを計算し、上記各アンテナ高と上記間隔Rdと当該車々間通信車両の床下の隙間高ucとに基づいて、当該車々間通信車両と上記前の車両との間の第1の車間距離R1と、当該車々間通信車両と上記後ろ車両との間の第2の車間距離R2とを制御する制御手段をさらに備えたことを特徴とする。
【0018】
また、上記車々間通信車両において、上記制御手段は、上記第1の車間距離R1と上記第2の車間距離R2とが互いに実質的に等しくなるように制御し、
当該車々間通信車両の床下の隙間高をucとしたとき、実質的に次式を満たすように、
【数10】
|h1−h2|>2uc
上記第1と第2のアンテナを互いに異なる高さ(h1≠h2)で設けたことを特徴とする。
【0019】
さらに、上記車々間通信車両において、上記制御手段は、上記前の車両と上記後ろの車両との中間の位置する車間中間点から当該車々間通信車両の前面までの位置ずれ量dxが実質的に次式となるように、
【数11】
上記第1の車間距離R1と上記第2の車間距離R2とを制御することを特徴とする。
【0020】
第2の発明に係る車々間通信車両は、車々間通信車両の前方向に位置する前の車両及び当該車々間通信車両の後ろ方向に位置する後ろの車両と無線通信する無線通信装置を備えた車々間通信車両であって、
路面からのアンテナ高h2で設けられ、実質的に上記前方向に向かう主ビームを有する第1のアンテナと、
上記路面からのアンテナ高h1で設けられ、実質的に上記後ろ方向に向かう主ビームを有する第2のアンテナとを備え、
上記第1と第2のアンテナを互いに実質的に同一の高さh(=h1=h2)で設け、
上記車々間通信車両はさらに、
上記無線通信装置を用いて上記前の車両及び上記後ろの車両と無線通信することによりそれぞれ、上記前の車両のアンテナ高h1の情報と、上記後ろの車両のアンテナ高h2の情報とを受信し、上記前の車両と上記後ろの車両との間の間隔Rdを計算し、上記各アンテナ高と上記間隔Rdと当該車々間通信車両の床下の隙間高ucとに基づいて、当該車々間通信車両と上記前の車両との間の第1の車間距離R1と、当該車々間通信車両と上記後ろ車両との間の第2の車間距離R2とを制御する制御手段をさらに備えたことを特徴とする。
【0021】
上記車々間通信車両において、上記制御手段は、上記前の車両と上記後ろの車両との中間の位置する車間中間点から当該車々間通信車両の前面までの位置ずれ量dxが実質的に次式となるように、
【数12】
上記第1の車間距離R1と上記第2の車間距離R2とを制御することを特徴とする。
【0022】
上記第1と第2の発明に係る車々間通信車両において、当該車々間通信車両の上面に設けられた電波散乱体をさらに備えたことを特徴とする。また、上記車々間通信車両において、上記電波散乱体は当該車々間通信車両の上面から突出する形状を有することを特徴とする。さらに、上記車々間通信車両において、他の車々間通信車両からの電波を減衰させる電波減衰塗料を車両に塗布形成したことを特徴とする。またさらに、上記車々間通信車両において、他の車々間通信車両からの電波を減衰させる電波減衰薄膜を車両に形成したことを特徴とする。
【0023】
第3の発明に係る車間距離の制御方法は、車々間通信車両の前方向に位置する前の車両及び当該車々間通信車両の後ろ方向に位置する後ろの車両と無線通信する無線通信装置を備えた車々間通信車両のための車間距離の制御方法であって、
上記車々間通信車両は、
路面からのアンテナ高h2で設けられ、実質的に上記前方向に向かう主ビームを有する第1のアンテナと、
上記路面からのアンテナ高h1で設けられ、実質的に上記後ろ方向に向かう主ビームを有する第2のアンテナとを備え、
上記第1と第2のアンテナを互いに異なる高さ(h1≠h2)で設け、
上記制御方法は、
上記無線通信装置を用いて上記前の車両及び上記後ろの車両と無線通信することによりそれぞれ、上記前の車両のアンテナ高h1の情報と、上記後ろの車両のアンテナ高h2の情報とを受信し、上記前の車両と上記後ろの車両との間の間隔Rdを計算し、上記各アンテナ高と上記間隔Rdと当該車々間通信車両の床下の隙間高ucとに基づいて、当該車々間通信車両と上記前の車両との間の第1の車間距離R1と、当該車々間通信車両と上記後ろ車両との間の第2の車間距離R2とを制御する制御ステップを含むことを特徴とする。
【0024】
上記車間距離の制御方法において、当該車々間通信車両の床下の隙間高をucとしたとき、実質的に次式を満たすように、
【数13】
|h1−h2|>2uc
上記第1と第2のアンテナを互いに異なる高さ(h1≠h2)で設け、
上記制御ステップは、上記第1の車間距離R1と上記第2の車間距離R2とが互いに実質的に等しくなるように制御することを特徴とする。
【0025】
また、上記車間距離の制御方法において、上記制御ステップは、上記前の車両と上記後ろの車両との中間の位置する車間中間点から当該車々間通信車両の前面までの位置ずれ量dxが実質的に次式となるように、
【数14】
上記第1の車間距離R1と上記第2の車間距離R2とを制御することを特徴とする。
【0026】
第4の発明に係る車間距離の制御方法は、車々間通信車両の前方向に位置する前の車両及び当該車々間通信車両の後ろ方向に位置する後ろの車両と無線通信する無線通信装置を備えた車々間通信車両のための車間距離の制御方法であって、
上記車々間通信車両は、
路面からのアンテナ高h2で設けられ、実質的に上記前方向に向かう主ビームを有する第1のアンテナと、
上記路面からのアンテナ高h1で設けられ、実質的に上記後ろ方向に向かう主ビームを有する第2のアンテナとを備え、
上記第1と第2のアンテナを互いに実質的に同一の高さh(=h1=h2)で設け、
上記制御方法は、
上記無線通信装置を用いて上記前の車両及び上記後ろの車両と無線通信することによりそれぞれ、上記前の車両のアンテナ高h1の情報と、上記後ろの車両のアンテナ高h2の情報とを受信し、上記前の車両と上記後ろの車両との間の間隔Rdを計算し、上記各アンテナ高と上記間隔Rdと当該車々間通信車両の床下の隙間高ucとに基づいて、当該車々間通信車両と上記前の車両との間の第1の車間距離R1と、当該車々間通信車両と上記後ろ車両との間の第2の車間距離R2とを制御する制御ステップを含むことを特徴とする。
【0027】
上記車間距離の制御方法において、上記制御ステップは、上記前の車両と上記後ろの車両との中間の位置する車間中間点から当該車々間通信車両の前面までの位置ずれ量dxが実質的に次式となるように、
【数15】
上記第1の車間距離R1と上記第2の車間距離R2とを制御することを特徴とする。
【0028】
第5の発明に係る車間距離の制御装置は、車々間通信車両の前方向に位置する前の車両及び当該車々間通信車両の後ろ方向に位置する後ろの車両と無線通信する無線通信装置を備えた車々間通信車両のための車間距離の制御装置であって、
上記車々間通信車両は、
路面からのアンテナ高h2で設けられ、実質的に上記前方向に向かう主ビームを有する第1のアンテナと、
上記路面からのアンテナ高h1で設けられ、実質的に上記後ろ方向に向かう主ビームを有する第2のアンテナとを備え、
上記第1と第2のアンテナを互いに異なる高さ(h1≠h2)で設け、
上記制御装置は、
上記無線通信装置を用いて上記前の車両及び上記後ろの車両と無線通信することによりそれぞれ、上記前の車両のアンテナ高h1の情報と、上記後ろの車両のアンテナ高h2の情報とを受信し、上記前の車両と上記後ろの車両との間の間隔Rdを計算し、上記各アンテナ高と上記間隔Rdと当該車々間通信車両の床下の隙間高ucとに基づいて、当該車々間通信車両と上記前の車両との間の第1の車間距離R1と、当該車々間通信車両と上記後ろ車両との間の第2の車間距離R2とを制御する制御手段を備えたことを特徴とする。
【0029】
上記車間距離の制御装置において、当該車々間通信車両の床下の隙間高をucとしたとき、実質的に次式を満たすように、
【数16】
|h1−h2|>2uc
上記第1と第2のアンテナを互いに異なる高さ(h1≠h2)で設け、
上記制御手段は、上記第1の車間距離R1と上記第2の車間距離R2とが互いに実質的に等しくなるように制御することを特徴とする。
【0030】
また、上記車間距離の制御装置において、上記制御手段は、上記前の車両と上記後ろの車両との中間の位置する車間中間点から当該車々間通信車両の前面までの位置ずれ量dxが実質的に次式となるように、
【数17】
上記第1の車間距離R1と上記第2の車間距離R2とを制御することを特徴とする。
【0031】
第6の発明に係る車間距離の制御装置は、車々間通信車両の前方向に位置する前の車両及び当該車々間通信車両の後ろ方向に位置する後ろの車両と無線通信する無線通信装置を備えた車々間通信車両のための車間距離の制御装置であって、
上記車々間通信車両は、
路面からのアンテナ高h2で設けられ、実質的に上記前方向に向かう主ビームを有する第1のアンテナと、
上記路面からのアンテナ高h1で設けられ、実質的に上記後ろ方向に向かう主ビームを有する第2のアンテナとを備え、
上記第1と第2のアンテナを互いに実質的に同一の高さh(=h1=h2)で設け、
上記制御装置は、
上記無線通信装置を用いて上記前の車両及び上記後ろの車両と無線通信することによりそれぞれ、上記前の車両のアンテナ高h1の情報と、上記後ろの車両のアンテナ高h2の情報とを受信し、上記前の車両と上記後ろの車両との間の間隔Rdを計算し、上記各アンテナ高と上記間隔Rdと当該車々間通信車両の床下の隙間高ucとに基づいて、当該車々間通信車両と上記前の車両との間の第1の車間距離R1と、当該車々間通信車両と上記後ろ車両との間の第2の車間距離R2とを制御する制御手段を備えたことを特徴とする。
【0032】
上記車間距離の制御装置において、上記制御手段は、上記前の車両と上記後ろの車両との中間の位置する車間中間点から当該車々間通信車両の前面までの位置ずれ量dxが実質的に次式となるように、
【数18】
上記第1の車間距離R1と上記第2の車間距離R2とを制御することを特徴とする。
【0033】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明に係る実施形態について説明する。
【0034】
第1の実施形態.
図1は本発明に係る第1の実施形態である車々間無線通信のための車々間通信車両(以下、車両という。)11の一例を示す側面図である。
【0035】
図1において、例えば自動車である車両11は進行方向11A(進行方向11Aは車両11の前方向(前面に対して垂直な方向である車両進行方向である。)であり、その逆方向は車両11の後ろ方向である。)で進行し、その車両11の前面のバンパー中央部に、アンテナ12が路面10に平行な水平ライン12Lのアンテナ高h2で設けられる一方、その車両11の後面のボンネットの中央部に、アンテナ13が路面10に平行な水平ライン13L上のアンテナ高h1(アンテナ高h2とは異なり、h1≠h2である。)で設けられる。なお、図1において、水平ライン12L,13Lを一点鎖線で示している。また、本実施形態及びその他の実施形態において、各アンテナのアンテナ高は路面10からそのアンテナの中央部までの高さをいう。ここで、アンテナ12は、当該車両11の前側の次の車々間通信車両(図示せず。)と無線通信するために設けられ、給電ケーブル601を介して無線送受信機を内蔵する無線通信装置600に接続される。当該アンテナ12は、好ましくは、前方向に向かう、当該前方向に対して実質的に平行であって所定のビーム幅の主ビーム(信号強度が強い指向性)を有する。また、アンテナ13は、当該車両11の後ろ側の次の車々間通信車両(図示せず。)と無線通信するために設けられ、給電ケーブル602を介して無線送受信機を内蔵する無線通信装置600に接続される。当該アンテナ13は、好ましくは、後ろ方向に向かう、当該後ろ方向に対して実質的に平行であって所定のビーム幅の主ビーム(信号強度が強い指向性)を有する。なお、図1のアンテナ12,13の載置例では、h1>h2である。
【0036】
図2は第1の実施形態における3台の車々間通信車両11,14,17(以下、車々間通信車両14,17についても、車両11と同様に、車両14,17という。)の車両配置の一例を示す側面図である。図2では、3台の車両11,14,17が同一の車線の路面10上でそれぞれ隣接する車両(11と14間、14と17間)で無線通信している。ここで、車両11は、その前面に設けられ前方向に主ビームを有するアンテナ12と、その後面に設けられ後ろ方向に主ビームを有するアンテナ13とを備える。また、車両14は、その前面に設けられ前方向に主ビームを有するアンテナ15と、その後面に設けられ後ろ方向に主ビームを有するアンテナ16とを備える。さらに、車両17は、その前面に設けられ前方向に主ビームを有するアンテナ18と、その後面に設けられ後ろ方向に主ビームを有するアンテナ19とを備える。ここで、車両11の無線通信装置はアンテナ13を用いて車両14のアンテナ15を介して車両14の無線通信装置と無線通信し、車両14の無線通信装置はアンテナ16を用いて車両17のアンテナ18を介して車両17の無線通信装置と無線通信する。この場合において、車両11のアンテナ13から放射された電波のうち、路面10で反射する路面反射波と、車両17のアンテナ18との関係を図3に示す。
【0037】
次いで、路面反射波の伝搬の様子を図2と図3を参照して説明する。図2では、無線通信は互いに隣接する前後の車両間、つまり、車両11と車両14との間で、車両14と車両17との間で行われる。例えば、車両11から車両14に対して無線信号を送信する場合、車両11のアンテナ13から無線信号を送信し、車両14のアンテナ15で無線信号を受信する。逆に、車両14のアンテナ15から無線信号を送信する場合、車両11のアンテナ13で無線信号を受信する。このように、互いに隣接する前後の車両間で単方向又は双方向の車々間無線通信を行う。
【0038】
一例として、車両14と車両17間の車々間無線通信において、車両11から車両14に放射された電波が干渉波となる場合について考える。ここでは、車両11のアンテナ13から放射された電波のうち路面10で反射する波について考える。アンテナ13から放射された電波は、一般に、図3に示すように、路面10に対して入射角φで入射し、その反射点24で反射され、その路面反射波21は、入射波20と同一の反射角φで反射する。また、当該電波は最短経路を通過して到来する。従って、アンテナ13から放射された電波が路面10で反射してアンテナ18に到来する経路は図4において点線20,21で表されている。ここで、アンテナ13の高さをh1とし、アンテナ18の高さをh2とし、アンテナ13とアンテナ18間の距離(以下、アンテナ間隔という。)をRdとする。このとき、アンテナ13と、反射点24との間の距離(路面10に平行な路面上の距離)は、Rd×h1/(h1+h2)となる。アンテナ13の高さとアンテナ18の高さが等しい場合(h1=h2のとき)、反射点24はアンテナ13とアンテナ18との間の中間点に位置し、各アンテナ13,18から反射点24までの距離はRd/2となる。
【0039】
図5に示すように、2つのアンテナ13,18間の中間点(以下、車間中間点という。)10Mに車両14の長手方向の中間点がある場合を考える。この場合において、アンテナ13の高さh1と、アンテナ18の高さh2が等しい場合(h1=h2)には、従来例に示したように、車両14の床下を通り抜けて、路面10で反射する路面反射波21がアンテナ18に到来する可能性が高い。一方、アンテナ高h1とアンテナ高h2が異なる場合(h1≠h2)には、図5に示すように、反射点24が、車間中間点10Mからアンテナ18側に位置ずれ量Rs=(Rd×h1)/(h1+h2)−(Rd/2)だけずれるために、入射波20は車両14により遮蔽され、それにより路面反射波21が到来しない可能性がある。
【0040】
そこで、車両14において、車両14の床下の隙間高ucが30cmであり、車両14の長さlcが5mであるときのアンテナ間隔Rdと、入射波20が遮蔽されて路面反射波21が到来しないときのアンテナ高h1,h2との関係を図6及び図7に示す。図6にそれらのパラメータを示し、図7にその結果を示す。この前提条件は、図5を参照して上述したように、(a)アンテナ高h1,h2がh1>h2のときであり、(b)車両14がアンテナ13とアンテナ18との間の車間中間点10Mにあるときである。図7のグラフは、アンテナ18の高さh2が一定の高さであるとき、アンテナ間隔Rdに対して、入射波20が車両14により遮蔽されて路面反射波21が到来しない場合のアンテナ13の高さh1の最小値(以下、最小のアンテナ高という。)を示している。このとき、最小のアンテナ高h1は、次式の遮蔽条件式により決定できる。
【0041】
【数19】
【0042】
図8は図6の状況において図7のグラフを計算するときに用いる数19の導出方法を説明するための各パラメータを示す縦断面模式図であり、図9は図8の状況においてh1>h2のときの上記遮蔽条件式の導出方法を説明するための各パラメータを示す縦断面模式図である。ここで、まず、h1>h2のときの上記遮蔽条件式の導出方法を示すために、図8及び図9を参照して以下に説明する。
【0043】
図8において、路面反射波21及びアンテナ18を路面10を対称軸としたときのイメージをそれぞれ点線で、路面反射波21の写像21a及びアンテナ18の写像18aにより示している。また、図9において、入射波20を路面10を通過して直線で突きぬけてアンテナ18の位置まで延在させたときのポイント(アンテナ18の写像18aの最大高の位置)をAとし、アンテナ13のアンテナ高h1の最大高位置のポイントをCとし、ポイントAをアンテナ13方向に延在させたときのアンテナ13の位置(すなわち、アンテナ18の写像18aをアンテナ13の位置まで移動させたときのその最大高の位置)をBとする。ここで、直線BCと路面10との交点をGとする。また、図8及び図9において、車両14の前面の位置を路面10上で14fで示す。当該車両14の前面の位置14fは、アンテナ18から(Rd+lc)/2の距離にある。このとき、車両14の前面の位置14fの路面10上の点から直線ABに下ろした垂線と直線ABとの交点をDとし、当該位置14fにおける直線DFと直線ACとの交点をEとする。ここで、直線DEと路面10との交点をFとし、直線FEの高さをhxとする。この場合において、図9から明らかなように、三角形ABCと、三角形ADEは相似関係となるので、次式を得る。
【0044】
【数20】
【0045】
ここで、高さhxについて解くと次式を得る。
【0046】
【数21】
【0047】
ここで、高さhxが床下の隙間高ucより大きいとき、入射波20が車両14により遮断されるので、次式を得る。
【0048】
【数22】
【0049】
【数23】
(Rd+lc)(h1+h2)>2Rd(uc+h2)
【0050】
従って、これより、次式の上記遮蔽条件式を得る。
【0051】
【数24】
【0052】
次いで、h1<h2のときの、上記数19の遮蔽条件式(h1>h2)に対応する遮蔽条件式は、アンテナ高h1とアンテナ高h2とを入れ替えることにより、次式で表される。
【0053】
【数25】
【0054】
さらに、h1=h2のとき(これは、図36及び図37の場合に対応する。)の遮蔽条件式は以下のようにして導出できる。この場合における、各パラメータを示す縦断面模式図を図10に示す。図10において、車間中間点10Mにおける路面10上のポイントをMとし、その他の記号C,E,F,Gは図9と同様に付与している。図10から明らかなように、三角形MGCと、三角形MFEとは相似関係にあるので、次式を得る。
【0055】
【数26】
【0056】
上記式において、hxについて解くと、次式を得る。
【0057】
【数27】
【0058】
ここで、hx>ucのとき、入射波20は車両14により遮断されるので、次式を得る。
【0059】
【数28】
【0060】
【数29】
【0061】
この式が、上記数19の遮蔽条件式(h1>h2)に対応するh1=h2のときの遮蔽条件式であり、このグラフは図37に示されている。
【0062】
次いで、図7に戻って参照して、上記数19の遮蔽条件式に基づく計算機シミュレーション結果について以下に説明する。アンテナ18が例えば車両17の前面のバンパーに備えられている場合を想定して、アンテナ高h2=0.5mであるとし、アンテナ間隔Rdが105m(このとき、アンテナ13とアンテナ15との間の距離は50mである。)とすると、図7から明らかなように、アンテナ高h1が1.03mより大きければ、入射波20が車両14により遮蔽され、路面反射波21が到来しない。逆に、アンテナ高h2が0.5mのときは、アンテナ高h1が1.06mより高ければ、互いに隣接する2つの車両(11と14、14と17)間の車間距離が97.5m(Rd=200m)以内ではアンテナ13からの路面反射波21がアンテナ18に到来しないことがわかる。
【0063】
また、図7より、アンテナ間隔Rdが大きくなるにつれて、アンテナ13の高さh1の最小値は大きくなり、ある定数に漸近していることが分かる。従って、アンテナ間隔Rdを大きくしていくと、ここで、Rd≫lcとすると、Rd+lc≒Rdとなり、上記数19の遮蔽条件式は以下のように簡単化できる。
【0064】
【数30】
【0065】
【数31】
h1−h2>2uc,(h1>h2のとき)
【0066】
また、同様に、h1<h2のときは次式となる。
【0067】
【数32】
h2−h1>2uc,(h1<h2のとき)
【0068】
従って、上記数31と数32を合わせて表示すると、次式で表される。
【0069】
【数33】
|h1−h2|>2uc
【0070】
さらに、h1=h2のときは上記数29と同様に次式となる。
【0071】
【数34】
【0072】
以上説明したように、本実施形態においては、いかなる車間距離においても、上記数33を満たすようにアンテナ13,18を配置すれば、干渉波は車両14により遮断される。車両14の床下の隙間高ucはおよそ30cmであるから、上記数33より、アンテナ13とアンテナ18の高低差の絶対値|h1−h2|を60cm以上としてやれば干渉波は車両14により遮断される。
【0073】
このように、本実施形態に係る車々間通信車両によれば、例えば、図1に示すように、車両11の前方向に向かう主ビームを有するアンテナ12の高さh2と、車両11の後ろ方向に向かう主ビームを有するアンテナ13の高さh1を互いに異なるように構成にすることにより、路面反射波21による干渉波を低減することができる。
【0074】
特に、例えば、電波の伝搬損失が大きく、電波の直進性が強い準ミリ波やミリ波以上の周波数帯の電波を用いることにより、よりいっそうの干渉波低減の効果が望める。この干渉波の抑圧効果により、周波数の再利用の効率が上がるという効果がある。また、無線電波としてマイクロ波を用いることによっても、これに準ずる効果が得られる。
【0075】
なお、本実施形態においては、車両11の前方向に向かう主ビームを有するアンテナ12を、車両11の後ろ方向に向かう主ビームを有するアンテナ13よりも低くなるように配置している場合(h1>h2)を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限らず、車両11の前方向に向かう主ビームを有するアンテナ12を、車両11の後ろ方向に向かう主ビームを有するアンテナ13よりも高くなるように配置している場合(h1<h2)であってもよい。
【0076】
なお、本実施形態においては、前方向に向かう主ビームを有するアンテナ12を車両11の前面に配置し、後ろ方向に向かう主ビームを有するアンテナ13を車両11の後面に配置しているが、本発明はこれに限らず、アンテナの配置位置はこれに限定されない。例えば、第1の実施形態の第1の変形例を示す図11に示すように、後ろ方向に向かう主ビームを有するアンテナ13を車両11の屋根又は天井部に配置してもよい。このとき、前方向に向かう主ビームを有するアンテナ12を前面バンパー、前面ボンネット又は前面ダッシュボードに配置しているときに、これら2つのアンテナ12,13のアンテナ高差|h1−h2|を大きく取ることができ、干渉波となる2つ前の車両からの路面反射波21を効果的に遮蔽することが可能になる。また、例えば、第1の実施形態の第2の変形例を示す図12に示すように、車両11の前方向に向かう主ビームを有するアンテナ12を車両11の屋根又は天井部に配置してもよい。このとき、車両11の後ろ方向に向かう主ビームを有するアンテナ13を車両11の後面バンパー、後面トランク又は後面のリアダッシュボードに配置してもよい。これにより、干渉波となる2つ前の車両からの路面反射波21を効果的に遮蔽することが可能になる。
【0077】
なお、本実施形態においては、前方向又は後ろ方向に向かう主ビームを有するアンテナ12,13,15,16,18,19の一例として、図13、図14及び図15に示すような、垂直面に対して指向性が鋭く(主ビーム幅が狭い)ホーンアンテナ装置501やパッチアレーアンテナ装置502又はスロットアレーアンテナ装置503を用いることができる。これにより、指向性が鋭いことによるアンテナ利得の向上の効果のみならず、路面反射波21の方向に利得を低くすることにより、路面反射波21を弱くすることが可能になる。特に、波長の短い準ミリ波やミリ波ではアンテナの大きさが小さくなるために、このような指向性が鋭く波長に対して大きなアンテナも車載が可能となる。
【0078】
図13のホーンアンテナ装置501では、その開口部501aが、開口面に向かうにつれて広げられるようにテーパ形状で形成されている。また、図14のパッチアンテナ装置502では、誘電体基板510上に複数の円形パッチ導体511が所定の間隔で配置され、例えばスロット給電法など所定の給電法で給電励振される。さらに、図15のスロットアレーアンテナ装置503では、誘電体基板520上に複数の矩形スロット521が所定の間隔で形成され、これらの複数のスロット521が、誘電体基板520の裏面に形成された給電用ストリップ導体522を含むマイクロストリップ線路により給電励振される。これらのアンテナ装置501,502,503を他の実施形態において用いてもよい。また、図14のパッチアンテナ装置502では、誘電体基板510上に複数の円形パッチ導体511を形成しているが、円形パッチ導体511に代えて矩形パッチ導体を形成してもよい。
【0079】
以上の実施形態においては、1つの車両11において1つのアンテナ12と1つのアンテナ13を設けているが、各アンテナ12,13に代えてそれぞれ、アンテナダイバーシチを形成する複数のアンテナからなるアンテナシステム、もしくは、所定の適応制御方法を用いる適応制御コントローラと複数のアンテナとを備えたアンテナシステムを用いてもよい。これらのアンテナシステムを用いることにより、干渉波を低減する効果に加えて、1つ前又は1つ後ろの車両からの所望の電波を効率よく受信することが可能になる。これらのアンテナシステムは他の実施形態においても適用可能である。
【0080】
第2の実施形態.
図16は本発明に係る第2の実施形態である車々間無線通信のための車々間通信車両11の一例を示す側面図であり、図17は第2の実施形態における車々間通信車両11,14,17の車両配置の一例を示す側面図である。本実施形態は、第1の実施形態に比較して、図16及び図17に示すように、以下の特徴を有している。
【0081】
(1)各車両11,14,17において設けられる1対のアンテナ(12,13)(15,16)(18,19)のアンテナ高h1,h2を実質的に同一の高さ(h=h1=h2)に設定したことを特徴としている。すなわち、図16に示すように、アンテナ12のアンテナ高の水平ライン12Lと、アンテナ13のアンテナ高の水平ライン13Lとは一致している。
(2)図17に示すように、車両11と車両14との間の車間距離R1と、車両11と車両14との間の車間距離R2とが異なっている。
【0082】
なお、第2の実施形態における他の構成は第1の実施形態と同様であり、例えば、車々間通信のための無線通信は、第1の実施形態における無線通信と同様であり、互いに隣接する前後の車両(11,14)(14,17)間で単方向又は双方向で無線通信を行う。
【0083】
一例として、車両14と車両17との間の無線通信において、車両11から車両14に放射された電波が干渉波となる場合について考える。ここでは、車両11のアンテナ13から放射された電波のうち、路面10で反射する路面反射波21について考える。この路面反射波21は、上述の図3に示すように、入射波20の入射角φと同一の反射角φで反射する。また、電波は最短経路を通過して到来するので、アンテナ13とアンテナ18との間の距離をRdとすると、アンテナ13とアンテナ18のアンテナ高h2,h1が実質的に等しい場合(h1=h2)、反射点24は車間中間点10Mに一致し、各アンテナ13,18から距離Rd/2の位置となる。
【0084】
この場合、アンテナ13とアンテナ18の車間中間点10Mに車両14がある場合は、路面反射波21がアンテナ18に到来する可能性が高い。一方、図17において車間距離R1とR2が互いに異なる場合は、図18に示すように、車両14が車間中間点10Mから位置ずれ量dxだけずれると、入射波20は車両14により遮蔽され、路面反射波21が到来しない可能性がある。ここで、位置ずれ量dxは、車間中間点10Mから車両14の前面までの距離であり、前方向に対して正の値をとり、後ろ方向に対して負の値をとるものとする。
【0085】
第2の実施形態において、車両14の床下の隙間高ucが30cmであり、車両14の長さlcが5mであるときのアンテナ高hと、入射波20が車両14により遮断されるときの、車間中間点10Mからの車両14の位置ずれ量dxとの関係を図19及び図20に示す。図19に各パラメータを示し、図20にその関係のグラフを示す。ここで、アンテナ13の高さとアンテナ18の高さが実質的に等しい(h=h1=h2)ものとする。
【0086】
図20はアンテナ13,18の高さhが一定の高さであるとき、アンテナ間隔Rdに対して、入射波20が車両14により遮蔽される場合の、車間中間点10Mからの車両14の位置ずれ量dxの最小値を示している。このとき、位置ずれ量dxの最小値は次式の遮蔽条件式で計算できる。
【0087】
【数35】
【0088】
この式は以下のように導出できる。図21は図19の状況における数35の遮蔽条件式の導出方法を説明するための各パラメータを示す縦断面模式図である。図21において、記号C,E,F,G,Mは図10と同様に付与している。まず、アンテナ高さh=h1=h2より、反射点24は車間中間点10Mに一致し、三角形MGCと三角形MFEとの相似関係より、次式を得る。
【0089】
【数36】
【0090】
従って、高さhxについて解くと次式を得る。
【0091】
【数37】
【0092】
ここで、hx>ucとなれば、入射波20が車両14により遮蔽され、路面反射波21が到来しないので、次式を得る。
【0093】
【数38】
【0094】
従って、上記の式をdxについて解くと、遮蔽条件の次式を得る。
【0095】
【数39】
【0096】
また、図19において、車両14を車間中間点10Mから後ろ方向にずれたとき、すなわち、位置ずれ量dx<0のときにおいても、入射波20を遮蔽し、路面反射波21の到来を防止する遮蔽条件は同様である。
【0097】
図19において、例えば、各アンテナ13,18のアンテナ高hを1.0mとし、アンテナ間隔Rdが150mとすると、図20から明らかなように、位置ずれ量dxが22.5mより大きければ、入射波20が車両14により遮蔽され、路面反射波21が到来しない。すなわち、アンテナ13と車両14のアンテナ15との間の車間距離R1(=Rd/2−dx)が52.5m以下のときに入射波20が車両14により遮蔽され、路面反射波21の到来を防止できる。なお、車両11のアンテナ13と、車両14のアンテナ15との間の車間距離R1が52.5mのとき、車両14のアンテナ16と、車両17のアンテナ18間の車間距離R2(=Rd/2+dx−lc)は92.5mとなる。従って、アンテナ高hが1mのとき、車間距離R1を50mとし、車間距離R2を95mとすれば、入射波20を車両14により遮蔽して路面反射波21の到来を防止することができる。すなわち、例えば、アンテナ高hが1mのとき、車両14からの前後の車両11,17との車間距離R1,R2をそれぞれ、R1<50mでかつR2>95m、もしくはR1>95mでかつR2<50mに設定すれば、路面10からの干渉波の少ない優れた無線通信システムに設定できる。
【0098】
以上説明したように、本実施形態に係る車々間通信車両によれば、前方にある車両11との車間距離R1と、後方にある車両17の車間距離R2とが互いに異なるように構成にすることにより、路面反射波21による干渉波を低減することができる。ここで、車間距離R1,R2を制御する必要があるが、車間距離R1,R2を制御するための制御方法及び制御装置については、第5の実施形態において詳細後述する。
【0099】
特に、電波の伝搬損失が大きく、電波の直進性が強い準ミリ波やミリ波を用いることにより、よりいっそうの干渉波低減の効果が望める。この干渉波の抑圧効果により、周波数の再利用の効率が上がるという効果がある。また、無線の電波としてマイクロ波を用いることによっても、これに準ずる効果が得られる。
【0100】
図22は第2の実施形態の変形例に係る車々間通信車両11におけるアンテナ12,13の設置方法を示す側面図である。図22に示すように、アンテナ12,13をともに車両11の屋根上に実質的に同一の高さで設置してもよい。また、これらのアンテナ12,13を一体化して構成してもよい。
【0101】
第3の実施形態.
図23は本発明に係る第3の実施形態である車々間無線通信の状況における各パラメータを示す縦断面模式図である。この第3の実施形態は、第1の実施形態と第2の実施形態との組み合わせであり、(a)h1≠h2であり、(b)R1≠R2という条件でもとで、入射波20が車両14により遮蔽され、路面反射波21の到来を防止する遮蔽条件を求める。ここで、アンテナ13のアンテナ高をh1とし、アンテナ18のアンテナ高h2とすると、例えば、h1>h2のとき、車両14の車間中間点10Mからの位置ずれ量dxの最小値は次式の遮蔽条件式により計算できる。
【0102】
【数40】
【0103】
上記遮蔽条件の式は以下のようにして計算できる。図23の各パラメータの詳細を図25に示し、その縦断面模式図を図26に示す。図26において、三角形ABCと三角形ADEとの相似関係より、次式を得る。
【0104】
【数41】
【0105】
上記式を高さhxについて解くと、次式で表される。
【0106】
【数42】
【0107】
ここで、入射波20が車両14により遮蔽される条件はhx>ucであるので、遮蔽条件は次式で表される。
【0108】
【数43】
【0109】
上記式を位置ずれ量dxについて解くと、次式で表される。
【0110】
【数44】
【0111】
【数45】
【0112】
ここで、図25に示すように、車両14の中央点とアンテナ13との距離をd1とし、車両14の中央点とアンテナ18との距離をd2とする。このとき、次式が成立する。
【0113】
【数46】
Rd=d1+d2
【0114】
また、距離d2は図25より次式で表される。
【0115】
【数47】
【0116】
上記数45と上記数47より、次式を得る。
【0117】
【数48】
【0118】
上記式を整理すると、次式の距離d2の遮蔽条件式を得る。
【0119】
【数49】
【0120】
上記数46より、次式を得る。
【0121】
【数50】
d1=Rd−d2
【0122】
上記数49と上記数50より、距離d1の遮蔽条件式は次式で表される。
【0123】
【数51】
【0124】
【数52】
【0125】
以上により、h1>h2のときの位置ずれ量dx及び距離d1,d2の遮蔽条件式を得ることができる。一方、h1<h2のときの各パラメータを、遮蔽条件式の導出の簡単化のために、図27のように定義する。すなわち、位置ずれ量dxの向きを逆に定義し、上記遮蔽条件式を得るためには、d1とd2と入れ換えかつh1とh2を入れ換えることにより、h1<h2のときの位置ずれ量dx及び距離d1,d2の遮蔽条件式は次式で表される。
【0126】
【数53】
【数54】
【0127】
【数55】
【0128】
ここで、アンテナ高h1,h2の大小関係にかかわらず成立する位置ずれ量dxの遮蔽条件式は上記数45及び上記数53により、次式で表される。
【0129】
【数56】
【0130】
ここで、h1=h2とすれば、第2の実施形態で導出した上記数35又は上記数39に確かに一致している。
【0131】
図24に戻って参照し、遮蔽条件の計算結果について以下に説明する。図23及び図24のアンテナ高の条件(h1>h2)において、例えば、アンテナ高h1を1.2mとし、アンテナ高h2を0.8mとしたときのアンテナ高h1,h2と、入射波20が車両14により路面反射波21の到来が防止されるときの車間中間点10Mからの位置ずれ量dxの最小値との関係を図24に示している。ここで、車両14床下の隙間高ucを30cmとし、車両14の長さlcを5mとした。図24では、h1=h2=1.0mの場合の計算結果もあわせて示す。
【0132】
図24から明らかなように、アンテナ間隔Rdが150mのとき、アンテナ高h1=1.2mでアンテナ高h2=0.8mであるときの遮蔽時の位置ずれ量dxの最小値は7.5mであり、アンテナ高h1=h2=1.0mであるときの当該位置ずれ量dx=22.5mの計算結果よりも小さい。このとき、車間距離R1は67.5m以下のときに、入射波20が車両14により遮蔽され、路面反射波21の到来を防止できる。従って、車間距離R1を65mとし、車間距離R2を80mとすれば、入射波20を車両14により遮蔽することができ、路面反射波21の到来を防止できる。このように、第3の実施形態によれば、第1の実施形態に係るh1≠h2の条件を満たす構成と、第2の実施形態に係るR1≠R2を満たす構成とを組み合わせることにより、遮蔽条件における車間距離R1,R2の距離差|R1−R2|を小さくすることができる。この場合の計算例では、車間距離差|R1−R2|は第2の実施形態における45m(95m−50m)から、第3の実施形態における15m(80m−65m)となり小さくてすみ、車間距離R1、R2の条件は第2の実施形態よりも緩和できる。さらに、遮蔽条件における安定な13,18のアンテナ高差|h1−h2|を小さくすることができる。この場合の計算例では、アンテナ高差|h1−h2|は、第1の実施形態における60cm以上(uc=30cm)から、第3の実施形態における40cmとなって小さくてすみ、アンテナ13,18の設置条件は第1の実施形態よりも緩和できる。
【0133】
通常、各車両の運転手は安全と事故防止や回避のために、ほぼ一定の車間距離を保って走行する。また、効率よく車を移動させるには、車両間隔を安全が確保される距離で等間隔にすることが望まれる。すなわち、車両間隔の差は小さいことが望まれる。従って、第3の実施形態によれば、第1の実施形態に係るh1≠h2の条件を満たす構成と、第2の実施形態に係るR1≠R2を満たす構成とを組み合わせることにより、アンテナ高差|h1−h2|を小さくできるという特有の効果がある。逆に、R1=R2の条件のもとの第1の実施形態においては、車両の構造上、上記数33を満足するようにアンテナ13,18を配置できない場合があり得る。この場合も、第2の実施形態に示すごとく、車間距離R1,R2を異なるように構成することにより、アンテナ高差|h1−h2|を小さくできるという特有の効果がある。
【0134】
以上説明したように、本実施形態の車々間通信車両によれば、車両14から前方にある車両11との車間距離R1と、車両14から後方にある車両17との間の車間距離R2とを互いに異なるようにし、さらに、車両14の前方向に向かう主ビームを有するアンテナ15のアンテナ高h1と、車両14の後ろ方向に向かう主ビームを有するアンテナ16とのアンテナ高h2とを互いに異なるように設置することにより、路面反射波21による干渉波を低減することができる。
【0135】
本実施形態においては、車間距離R1,R2がR1<R2である場合について説明したが、R1>R2である場合(第3の実施形態の変形例)については以下のように解析できる。ここで、h1>h2のときを考え、図28に示すように各パラメータを設定し、このときの縦断面模式図を図29に示す。図29において、三角形ABCと、三角形ADEとの相似関係により、次式を得る。
【0136】
【数57】
【0137】
ここで、高さhxについて解くと、次式を得る。
【0138】
【数58】
【0139】
入射波20が車両14により遮蔽される遮蔽条件はhx>ucであるので、次式の遮蔽条件式を得る。
【0140】
【数59】
【0141】
ここで、高さdxについて解くと、次式を得る。
【0142】
【数60】
【0143】
【数61】
【0144】
【数62】
【0145】
上記式より、
【数63】
h1−h2>2uc,(h1>h2のとき)
のときのみ、入射波20を遮蔽して路面反射波21の到来を防止できる。
【0146】
例えば、車両14の床下の隙間高uc=0.3mのとき、次式で表される。
【0147】
【数64】
h1−h2>0.6m
【0148】
このことは、車間距離R1=R2のときの遮蔽条件式(上記数33)を満たさないと、位置ずれ量dxが存在しないことを示している。また、h1<h2のときは、同様に次式で表される。
【0149】
【数65】
h2−h1>2uc,(h2>h1のとき)
【0150】
従って、アンテナ高h1,h2の関係にかかわらず(ただし、h1≠h2)、次式を得る。
【0151】
【数66】
|h1−h2|>2uc
【0152】
第4の実施形態.
図30は本発明に係る第4の実施形態である車々間無線通信のための車々間通信車両11aにおけるアンテナ12,13の設置方法及び車々間通信車両11aの構造を示す側面図であり、図31は図30の車々間通信車両11aの正面図である。第4の実施形態に係る車両11aでは、以下の特徴を有している。なお、アンテナ12,13は他の実施形態の配置例と同様に配置される。
【0153】
(1)車両11aの水平屋根部上にそれから突出するように電波散乱体31を設けた。
(2)車両11aの車体表面(前面、後面、屋根部、ドアなどいずれの部分であってもよい。)上に電波減衰塗料32を形成した。
(3)車両11aの窓ガラス上に電波減衰薄膜33を形成した。
【0154】
当該車両以外からの干渉波としては、2つ前の車両又は2つ後ろの車両からの到来波が主要であり、その中でも、上述のように、路面10を反射して1つ前の車両又は1つ後ろの車両の下を通過して到来する路面反射波21の影響が大きい。しかしながら、アンテナの配置や車の形状によっては、車両の上面又は側面を回折して到来する干渉波や車両のガラスを透過して到来する干渉波が問題になることがある。第1乃至第3の実施形態に係る車々間通信車両では、2つ前の車両又は2つ後ろの車両からの干渉波となる路面反射波21を効果的に低減することは可能であるが、車両の上面又は側面を回折して到来する干渉波や車両のガラスを透過して到来する干渉波を効果的に低減させることはできない。
【0155】
そこで、本実施形態では、回折波による干渉波を低減するために、車両11aの表面上に電波を減衰させる電波減衰塗料32を塗布して形成する。ここで、電波減衰塗料32としては、例えばフェライトを含む塗料を用いることができる。また、車両11aの天井部や屋根部上には、車両11aの上面を回折して到来する回折波を電波散乱体31により散乱させることにより減衰することが可能になる。図30の電波散乱体31の例では、屋根上に半球形状に突出する電波散乱体を設置しているが、これに限らず、導体材料にてなり電波を散乱可能な、矩形柱形状など種々の形状を有する電波散乱体を設けてもよい。また、当該電波散乱体31を車両11aの床面を除くすべての表面に形成してもよい。さらに、車両11aのガラスを透過して到来する干渉波を減衰させるために、車両11aのガラスに電波を減衰させる金属製の電波減衰薄膜33を蒸着形成する。また、これに代えて、車両11aのガラスに電波を反射及び/又は散乱させる金属薄膜又は金属網(例えば、好ましくは、網のワイヤの直径は1mm以下であって、網の厚さは200Å以下である。)を張り付けて形成してもよい。
【0156】
以上のように構成することにより、車両11aの上面又は側面を回折して到来する干渉波や車両11aのガラスを透過して到来する干渉波を効果的に低減させることが可能になる。
【0157】
第5の実施形態.
図32は本発明に係る第5の実施形態における車々間無線通信のための車々間通信車両(以下、車両という。)201,202,203の車両配置の一例を示す側面図である。図32において、片側車線群200A,200Bを備えた1つの道路200において、片側車線群200Aは例えば3つの車線200a,200b,200cを含む。図32の車両配置例では、3つの車両201,202,203が順に車両進行方向205(図上右側方向)で車線200bの概ね中央部上を進行して走行している。ここで、車両長lc1を有する車両201の前方に、車間距離ds12だけ離れて、車両長lc2を有する車両202が走行しており、また、当該車両202の前方に、車間距離ds23だけ離れて、車両長lc3を有する車両203が走行している。また、各車両201,202,203はそれぞれ、第1乃至第3の実施形態に係る2つのアンテナ(例えば、図1のアンテナ12,13)を備えて、前後の車両と双方向に無線通信によりデータ通信を実行する。
【0158】
本実施形態において、これら車両201,202,203はそれぞれ図33に示す車間距離の制御装置を搭載し、各車間距離ds12,ds23を制御する。以下の例では、車両201が搭載する車間距離の制御装置により実行される車間距離の制御方法の一例について説明する。ここで、当該車両201の1つ前方の車両を前車両202と呼び、2つ前方の車両を前々車両203と呼ぶ。
【0159】
図33において、図34の車間距離制御処理を実行することにより車間距離を制御するコントローラ100は例えばマイクロコンピュータなどのディジタル計算機で構成され、コントローラ100には、その処理に必要なデータを格納するテーブルメモリ101が接続されている。ここで、テーブルメモリ101は、以下のデータを格納している。
(i)予め入力された自車両201の車両長lc1及び自車両の2つのアンテナのアンテナ高。
(ii)後述する公知の測距方法により測定された前車両202との間の車間距離ds12。
(iii)前車両202との無線通信によりデータ受信して捕捉できた前車両202及び前々車両203の各車両長lc2,lc3及び各アンテナ高、並びに、前車両202と前々車両203間の車間距離ds23。
【0160】
また、コントローラ100には、以下のハードウエア回路が接続される。
(1)無線送受信部102は、1つ前の車両202とアンテナ12を介して無線通信を行うとともに、1つ後ろの車両(図示せず。)とアンテナ13を介して無線通信を行う。
(2)測距部104は、自局のアンテナ104aを用いて前車両202に向けてビーム幅がきわめて狭い主ビームを有するマイクロ波の電波を放射して、前車両202で反射されて帰ってくる電波を受信し、その所要時間を計時することにより、自局から相手車両までの車間距離を計算してコントローラ100に出力して、そのデータをテーブルメモリ101に格納する。
(3)速度メータ105は、当該車両201の走行速度を計測してその速度データをコントローラ100に出力する。
(4)速度制御部106は、コントローラ100からの指示信号に基づいて当該車両201のモータ、エンジン及びブレーキ等を制御してその速度を制御することにより、前車両202との車間距離ds12を制御する。
(5)GPS部107は、測距部104の測距精度を向上させるためにオプションで設けられるものであって、当該車両201の現在位置データを、GPS(Global Positioning System)を用いて測定してコントローラ100に出力する。
【0161】
第3の実施形態では、例えば、測距部104を用いて前車両202との間の車間距離ds12を測距してもいいし、自車両201の進行速度と、前車両202の進行速度(無線データによるデータ受信される)とに基づいて、時間変動分を考慮して(例えば、進行速度に時間変動分を乗算する。)これらの速度差を計算し、これに基づき前車両202との車間距離ds12を測距してもよい。また、当該GPS部107は、測距部104又は速度差による測距による前車両202との車間距離ds12の測距精度が不十分であるときに、各車両201,202,203の現在位置データを用いて車間距離ds12,ds23を測距して測距精度を向上させてもよい。
【0162】
図34は、図33の車間距離の制御装置のコントローラ100によって実行される車両201の車間距離制御処理を示すフローチャートである。
【0163】
図34のステップS1において、測距部104を用いて前車両202との間の車間距離ds12を測定し、次いで、ステップS2において、前車両202と無線通信を行うことにより、前車両203と前々車両203の各車両長lc2,lc3及び各アンテナ高、並びに前車両202と前々車両203との間の車間距離ds23とを含むデータを受信する。そして、ステップS3において、受信したデータ及びテーブルメモリ101内のデータに基づいて、所定の遮蔽条件式(例えば、上記数56の式)を満たす前車両202との間の車間距離ds12を計算する。さらに、ステップS4において、計算された車間距離ds12及び速度メータ105からの速度データに基づいて、速度制御部106を制御して前車両202との間の車間距離が計算された車間距離ds12となるように制御する。そして、ステップS5において、ステップS1から所定の時間が経過したか否かについて判断し、NOであればYESとなるまで待機し、YESとなったとき、ステップS1に戻り、上述の処理を繰り返す。従って、ステップS1乃至S4の処理は好ましくは所定の周期で繰り返し実行される。以上の車間距離制御処理は、第1乃至第3の実施形態に適用できる。
【0164】
図34の車間距離の制御処理は、前車両202が図34の処理と同様の処理を実行することにより、前々車両203と無線通信して前々車両203との車間距離ds23を制御している前提において、車両201が図34の処理を実行することにより、前車両202と無線通信して前車両202との車間距離ds12を制御することができる。
【0165】
この場合において、図32において、中間に位置する車両202は、図34の処理と同様の処理を実行して前後の車両201,203(ここでは、前の車両203、後ろの車両201という。)と無線通信することにより、実質的に前後の車間距離ds12,ds23を制御することができる。なお、ステップS3において、例えば、上記数56の遮蔽条件式の右辺を計算するために、以下のパラメータを以下のようにして得ることができる。
(a)アンテナ間隔Rd(前後の車両201,203の間隔に対応する。):テーブルメモリ101に格納された自車両202の長さlcと、前後の車両201,203との車間距離との和で計算できる。ここで、前の車両201との車間距離はステップS1で計算しており、後ろの車両203との車間距離は後ろの車両203で計算され、後ろの車両203と無線通信を行うことにより受信できる。
(b)アンテナ13のアンテナ高h1:前の車両203のテーブルメモリ101に格納されており、前の車両203との無線通信により受信できる。
(c)アンテナ18のアンテナ高h2:後ろの車両201のテーブルメモリ101に格納されており、後ろの車両201との無線通信により受信できる。
(d)自車両202の床下の隙間高uc:自車両202のテーブルメモリ101に格納されている。
上記数56により位置ずれ量dxを計算できれば、設定すべき、前の車両203との車間距離の最小値を計算することができ、これに基づき、前の車両203との車間距離を制御すればよい。
【0166】
以上の実施形態においては、前の車両203との車間距離を測距部104を用いて測距し、後ろの車両201との車間距離を後ろの車両201と無線通信を行うことにより受信して得ているが、本発明はこれに限らず、後ろの車両203との車間距離も別の同様の測距部を用いて測距してもよい。
【0167】
以上の実施形態においては、アンテナ13から放射された電波がアンテナ18に到来する路面反射波21の遮蔽条件式について説明しているが、アンテナ18から放射された電波がアンテナ13に到来する路面反射波の遮蔽条件式について前後は逆になるが同様である。
【0168】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る車々間通信車両によれば、車々間通信車両の前方向に位置する前の車両及び当該車々間通信車両の後ろ方向に位置する後ろの車両と無線通信する無線通信装置を備えた車々間通信車両であって、路面からのアンテナ高h2で設けられ、実質的に上記前方向に向かう主ビームを有する第1のアンテナと、上記路面からのアンテナ高h1で設けられ、実質的に上記後ろ方向に向かう主ビームを有する第2のアンテナとを備え、上記第1と第2のアンテナを互いに異なる高さ(h1≠h2)で設ける。ここで、上記無線通信装置を用いて上記前の車両及び上記後ろの車両と無線通信することによりそれぞれ、上記前の車両のアンテナ高h1の情報と、上記後ろの車両のアンテナ高h2の情報とを受信し、上記前の車両と上記後ろの車両との間の間隔Rdを計算し、上記各アンテナ高と上記間隔Rdと当該車々間通信車両の床下の隙間高ucとに基づいて、当該車々間通信車両と上記前の車両との間の第1の車間距離R1と、当該車々間通信車両と上記後ろ車両との間の第2の車間距離R2とを制御する制御手段をさらに備える。
【0169】
従って、本発明によれば、車両の前方向に向かう主ビームを有する第1のアンテナの高さと、車両の後ろ方向に向かう主ビームを有する第2のアンテナの高さとを互いに異なる構成にすることにより、路面から反射して到来してくる干渉波を遮蔽することが可能な車々間通信車両を実現できる。また、上記のアンテナ配置のアンテナを用いて、干渉波の受信電力を低減するように車間距離を制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る第1の実施形態である車々間無線通信のための車々間通信車両11の一例を示す側面図である。
【図2】第1の実施形態における車々間通信車両11,14,17の車両配置の一例を示す側面図である。
【図3】一般的な路面10上の反射点24における入射波20と路面反射波21との関係を示す反射点24を含む縦断面での縦断面模式図である。
【図4】第1の実施形態において、路面10上の反射点24における入射波20と路面反射波21との関係を示す反射点24を含む縦断面での縦断面模式図である。
【図5】図4において車々間通信車両14により入射波20が遮蔽される状況を示す縦断面模式図である。
【図6】図5の状況における各パラメータを示す縦断面模式図である。
【図7】図6の状況において受信側のアンテナ18のアンテナ高h2をパラメータとしたときの、2つのアンテナ13,18間のアンテナ間隔Rdと、入射波20が車両14により遮蔽されるときの最小アンテナ高h1との関係を示すグラフである。
【図8】図6の状況において図7のグラフを計算するときに用いる遮蔽条件式(数19)の導出方法を説明するための各パラメータを示す縦断面模式図である。
【図9】図8の状況における各パラメータの詳細を示す縦断面模式図である。
【図10】図8の状況においてh1=h2のときの遮蔽条件式(数19に対応する数29)の導出方法を説明するための各パラメータを示す縦断面模式図である。
【図11】第1の実施形態の第1の変形例に係る車々間通信車両11におけるアンテナ12,13の設置方法を示す側面図である。
【図12】第1の実施形態の第2の変形例に係る車々間通信車両11におけるアンテナ12,13の設置方法を示す側面図である。
【図13】第1の実施形態に係るアンテナ12,13,15,16,18,19で用いるアンテナの一例であるホーンアンテナ501の外観を示す斜視図である。
【図14】第1の実施形態に係るアンテナ12,13,15,16,18,19で用いるアンテナの一例であるパッチアレーアンテナ装置502の外観を示す平面図である。
【図15】第1の実施形態に係るアンテナ12,13,15,16,18,19で用いるアンテナの一例であるスロットアレーアンテナ装置503の外観を示す平面図である。
【図16】本発明に係る第2の実施形態である車々間無線通信のための車々間通信車両11の一例を示す側面図である。
【図17】第2の実施形態における車々間通信車両11,14,17の車両配置の一例を示す側面図である。
【図18】図17において車々間通信車両14により入射波20が遮蔽される状況を示す縦断面模式図である。
【図19】図18の状況における各パラメータを示す縦断面模式図である。
【図20】図19の状況において車両14の長さlc=5mであり、車両14の隙間高uc=30cmのときに、アンテナ13,18のアンテナ高hをパラメータとしたときの、2つのアンテナ13,18間のアンテナ間隔Rdと、車間中間点10Mからの車両14の位置ずれ量dxとの関係を示すグラフである。
【図21】図19の状況における遮蔽条件式(数35)の導出方法を説明するための各パラメータを示す縦断面模式図である。
【図22】第2の実施形態の変形例に係る車々間通信車両11におけるアンテナ12,13の設置方法を示す側面図である。
【図23】本発明に係る第3の実施形態である車々間無線通信の状況における各パラメータを示す縦断面模式図である。
【図24】図23の状況において車両14の長さlc=5mであり、車両14の隙間高uc=30cmのときに、アンテナ13,18の各アンテナ高h1,h2をパラメータとしたときの、2つのアンテナ13,18間のアンテナ間隔Rdと、車間中間点10Mからの車両14の位置ずれ量dxとの関係を示すグラフである。
【図25】図21の状況における遮蔽条件式(数40)の導出方法を説明するための各パラメータを示す縦断面模式図である。
【図26】図25の詳細を示す縦断面模式図である。
【図27】図25の状況においてh1<h2のときの各パラメータを示す縦断面模式図である。
【図28】第3の実施形態の変形例においてh1>h2のときの各パラメータを示す縦断面模式図である。
【図29】図28の詳細を示す縦断面模式図である。
【図30】本発明に係る第4の実施形態である車々間無線通信のための車々間通信車両11aにおけるアンテナ12,13の設置方法及び車々間通信車両11aの構造を示す側面図である。
【図31】図30の車々間通信車両11aの構造を示す正面図である。
【図32】本発明に係る第5の実施形態における車々間無線通信のための車々間通信車両201,202,203の車両配置の一例を示す側面図である。
【図33】第5の実施形態に係る車間距離の制御装置の構成を示すブロック図である。
【図34】図33の車間距離の制御装置のコントローラ100によって実行される車両201の車間距離制御処理を示すフローチャートである。
【図35】従来技術に係る車々間無線通信のための車両100におけるアンテナ101,102の設置方法を示す側面図である。
【図36】従来例に係る車々間無線通信のための車両100を挟む2つの車両のアンテナ111,112間の車々間無線通信において、路面10上の反射点24における入射波20と路面反射波21との関係を示す反射点24を含む縦断面での縦断面模式図である。
【図37】図36の従来例に係る車々間無線通信において、反射通過領域113を示す2つのアンテナ111,112のアンテナ高hとアンテナ間隔Rdとの関係を示すグラフである。
【符号の説明】
10…路面、
10M…車間中間点、
11,11a,14,17…車々間通信車両(車両)、
11A…進行方向、
12,13,15,16,18,19…アンテナ、
18a…アンテナ18の写像、
20…入射波、
21…路面反射波、
21a…路面反射波21の写像、
24…反射点、
31…電波散乱体、
32…電波減衰塗料、
33…電波減衰薄膜、
100…コントローラ、
101…テーブルメモリ、
102…無線送受信部、
104…測距部、
104a…アンテナ、
105…速度メータ、
106…速度制御部、
107…GPS部、
107a…アンテナ、
200…道路、
200A,200B…片側車線群、
200a,200b,200c…車線、
201,202,203…車々間通信車両(車両)、
501…ホーンアンテナ装置、
502…パッチアレーアンテナ装置、
503…スロットアレーアンテナ装置、
510…誘電体基板、
511…円形パッチ導体、
520…誘電体基板、
521…矩形スロット、
522…給電用ストリップ導体、
600…無線通信装置、
601,602…給電ケーブル。
Claims (20)
- 車々間通信車両の前方向に位置する前の車両及び当該車々間通信車両の後ろ方向に位置する後ろの車両と無線通信する無線通信装置を備えた車々間通信車両であって、
路面からのアンテナ高h2で設けられ、実質的に上記前方向に向かう主ビームを有する第1のアンテナと、
上記路面からのアンテナ高h1で設けられ、実質的に上記後ろ方向に向かう主ビームを有する第2のアンテナとを備え、
上記第1と第2のアンテナを互いに異なる高さ(h1≠h2)で設けたことを特徴とする車々間通信車両。 - 上記無線通信装置を用いて上記前の車両及び上記後ろの車両と無線通信することによりそれぞれ、上記前の車両のアンテナ高h1の情報と、上記後ろの車両のアンテナ高h2の情報とを受信し、上記前の車両と上記後ろの車両との間の間隔Rdを計算し、上記各アンテナ高と上記間隔Rdと当該車々間通信車両の床下の隙間高ucとに基づいて、当該車々間通信車両と上記前の車両との間の第1の車間距離R1と、当該車々間通信車両と上記後ろ車両との間の第2の車間距離R2とを制御する制御手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1記載の車々間通信車両。
- 車々間通信車両の前方向に位置する前の車両及び当該車々間通信車両の後ろ方向に位置する後ろの車両と無線通信する無線通信装置を備えた車々間通信車両であって、
路面からのアンテナ高h2で設けられ、実質的に上記前方向に向かう主ビームを有する第1のアンテナと、
上記路面からのアンテナ高h1で設けられ、実質的に上記後ろ方向に向かう主ビームを有する第2のアンテナとを備え、
上記第1と第2のアンテナを互いに実質的に同一の高さh(=h1=h2)で設け、
上記車々間通信車両はさらに、
上記無線通信装置を用いて上記前の車両及び上記後ろの車両と無線通信することによりそれぞれ、上記前の車両のアンテナ高h1の情報と、上記後ろの車両のアンテナ高h2の情報とを受信し、上記前の車両と上記後ろの車両との間の間隔Rdを計算し、上記各アンテナ高と上記間隔Rdと当該車々間通信車両の床下の隙間高ucとに基づいて、当該車々間通信車両と上記前の車両との間の第1の車間距離R1と、当該車々間通信車両と上記後ろ車両との間の第2の車間距離R2とを制御する制御手段をさらに備えたことを特徴とする車々間通信車両。 - 当該車々間通信車両の上面に設けられた電波散乱体をさらに備えたことを特徴とする請求項1乃至6のうちのいずれか1つに記載の車々間通信車両。
- 上記電波散乱体は当該車々間通信車両の上面から突出する形状を有することを特徴とする請求項7記載の車々間通信車両。
- 他の車々間通信車両からの電波を減衰させる電波減衰塗料を車両に塗布形成したことを特徴とする請求項1乃至8のうちのいずれか1つに記載の車々間通信車両。
- 他の車々間通信車両からの電波を減衰させる電波減衰薄膜を車両に形成したことを特徴とする請求項1乃至9のうちのいずれか1つに記載の車々間通信車両。
- 車々間通信車両の前方向に位置する前の車両及び当該車々間通信車両の後ろ方向に位置する後ろの車両と無線通信する無線通信装置を備えた車々間通信車両のための車間距離の制御方法であって、
上記車々間通信車両は、
路面からのアンテナ高h2で設けられ、実質的に上記前方向に向かう主ビームを有する第1のアンテナと、
上記路面からのアンテナ高h1で設けられ、実質的に上記後ろ方向に向かう主ビームを有する第2のアンテナとを備え、
上記第1と第2のアンテナを互いに異なる高さ(h1≠h2)で設け、
上記制御方法は、
上記無線通信装置を用いて上記前の車両及び上記後ろの車両と無線通信することによりそれぞれ、上記前の車両のアンテナ高h1の情報と、上記後ろの車両のアンテナ高h2の情報とを受信し、上記前の車両と上記後ろの車両との間の間隔Rdを計算し、上記各アンテナ高と上記間隔Rdと当該車々間通信車両の床下の隙間高ucとに基づいて、当該車々間通信車両と上記前の車両との間の第1の車間距離R1と、当該車々間通信車両と上記後ろ車両との間の第2の車間距離R2とを制御する制御ステップを含むことを特徴とする車間距離の制御方法。 - 車々間通信車両の前方向に位置する前の車両及び当該車々間通信車両の後ろ方向に位置する後ろの車両と無線通信する無線通信装置を備えた車々間通信車両のための車間距離の制御方法であって、
上記車々間通信車両は、
路面からのアンテナ高h2で設けられ、実質的に上記前方向に向かう主ビームを有する第1のアンテナと、
上記路面からのアンテナ高h1で設けられ、実質的に上記後ろ方向に向かう主ビームを有する第2のアンテナとを備え、
上記第1と第2のアンテナを互いに実質的に同一の高さh(=h1=h2)で設け、
上記制御方法は、
上記無線通信装置を用いて上記前の車両及び上記後ろの車両と無線通信することによりそれぞれ、上記前の車両のアンテナ高h1の情報と、上記後ろの車両のアンテナ高h2の情報とを受信し、上記前の車両と上記後ろの車両との間の間隔Rdを計算し、上記各アンテナ高と上記間隔Rdと当該車々間通信車両の床下の隙間高ucとに基づいて、当該車々間通信車両と上記前の車両との間の第1の車間距離R1と、当該車々間通信車両と上記後ろ車両との間の第2の車間距離R2とを制御する制御ステップを含むことを特徴とする車間距離の制御方法。 - 車々間通信車両の前方向に位置する前の車両及び当該車々間通信車両の後ろ方向に位置する後ろの車両と無線通信する無線通信装置を備えた車々間通信車両のための車間距離の制御装置であって、
上記車々間通信車両は、
路面からのアンテナ高h2で設けられ、実質的に上記前方向に向かう主ビームを有する第1のアンテナと、
上記路面からのアンテナ高h1で設けられ、実質的に上記後ろ方向に向かう主ビームを有する第2のアンテナとを備え、
上記第1と第2のアンテナを互いに異なる高さ(h1≠h2)で設け、
上記制御装置は、
上記無線通信装置を用いて上記前の車両及び上記後ろの車両と無線通信することによりそれぞれ、上記前の車両のアンテナ高h1の情報と、上記後ろの車両のアンテナ高h2の情報とを受信し、上記前の車両と上記後ろの車両との間の間隔Rdを計算し、上記各アンテナ高と上記間隔Rdと当該車々間通信車両の床下の隙間高ucとに基づいて、当該車々間通信車両と上記前の車両との間の第1の車間距離R1と、当該車々間通信車両と上記後ろ車両との間の第2の車間距離R2とを制御する制御手段を備えたことを特徴とする車間距離の制御装置。 - 車々間通信車両の前方向に位置する前の車両及び当該車々間通信車両の後ろ方向に位置する後ろの車両と無線通信する無線通信装置を備えた車々間通信車両のための車間距離の制御装置であって、
上記車々間通信車両は、
路面からのアンテナ高h2で設けられ、実質的に上記前方向に向かう主ビームを有する第1のアンテナと、
上記路面からのアンテナ高h1で設けられ、実質的に上記後ろ方向に向かう主ビームを有する第2のアンテナとを備え、
上記第1と第2のアンテナを互いに実質的に同一の高さh(=h1=h2)で設け、
上記制御装置は、
上記無線通信装置を用いて上記前の車両及び上記後ろの車両と無線通信することによりそれぞれ、上記前の車両のアンテナ高h1の情報と、上記後ろの車両のアンテナ高h2の情報とを受信し、上記前の車両と上記後ろの車両との間の間隔Rdを計算し、上記各アンテナ高と上記間隔Rdと当該車々間通信車両の床下の隙間高ucとに基づいて、当該車々間通信車両と上記前の車両との間の第1の車間距離R1と、当該車々間通信車両と上記後ろ車両との間の第2の車間距離R2とを制御する制御手段を備えたことを特徴とする車間距離の制御装置。
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2020080080A (ja) * | 2018-11-14 | 2020-05-28 | ソフトバンク株式会社 | 車両移動制御装置、車両移動制御方法、車両、システム及びプログラム |
FR3098077A1 (fr) | 2019-06-26 | 2021-01-01 | Commissariat A L'energie Atomique Et Aux Energies Alternatives | Procede et dispositif pour configurer une communication vehicule-a-vehicule |
-
2003
- 2003-06-27 JP JP2003184829A patent/JP2005018581A/ja not_active Withdrawn
Cited By (2)
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