JP2005017604A - 表示装置 - Google Patents

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Masahiro Tanaka
昌広 田中
Nobuhiro Takeda
伸宏 武田
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Hitachi Consumer Electronics Co Ltd
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Hitachi Device Engineering Co Ltd
Hitachi Consumer Electronics Co Ltd
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Abstract

【課題】黒挿入による動画特性の向上を行う表示装置における入力信号の異常に起因する表示輝度の変動を抑制する。
【解決手段】映像信号の走査中のゲートドライバへは黒挿入用の走査を開始させないようにし、逆に黒挿入用の走査中のゲートドライバへは映像信号用の走査を開始させないようにして、入力信号に異常があっても表示の輝度への影響を抑制する。 フレーム開始信号FLM発生回路は、フレームF1〜F4の総ライン数検出回路1001、黒挿入用フレーム開始信号生成回路1002、黒挿入用フレーム開始信号マスク制御回路1003、映像信号用フレーム開始信号マスクパルス生成回路1006、映像信号用フレーム開始信号テーブル1004、映像信号用フレーム開始信号生成回路1005、映像信号用フレーム開始信号マスク制御回路1008、黒挿入用フレーム開始信号マスクパルス生成回路1007、セレクタ1009、等を備える。
【選択図】図10

Description

本発明は、たとえばアクティブ・マトリクス型の液晶表示装置あるいはエレクトロルミネセンス・アレイ等の表示装置に関する。
【0001】
【従来の技術】
アクティブ・マトリクス型の表示装置は、たとえばx方向沿いに並ぶ複数の画素を夫々含む複数の画素行がy方向沿いに並設される画素アレイ、該複数の画素行の夫々を走査信号にて選択する走査駆動回路、該複数の画素行の該走査信号にて選択された少なくとも1行に含まれる該画素の各々に表示信号を供給する映像信号駆動回路を備えて構成される。
【0002】
このように構成される表示装置で動画像(Motion Picture )を鮮明に表示させるため、フレーム期間毎に表示信号を表示パネル(表示素子)に順次供給する映像信号駆動回路から、当該動画像に係る表示信号(画像信号)を出力した後、当該表示信号を受けた画素の輝度を該画素のそれ以下にする表示信号(所謂ブランキング信号、以下、黒信号と称する)を出力させる。このような動作をフレーム期間毎に順次繰り返すことで、画像が生成された表示パネルの画面はフレーム期間内に黒又はそれに近い暗い色に変わる。このため、複数のフレーム期間に亘る画像の変化で生成される動画像は、インパルス的に表示され、フレーム期間に亘る残像による動画像のボヤケが低減される。このようにフレーム期間毎に表示パネルに黒信号を書き込み、或るフレーム期間に表示される画像がその次のフレーム期間まで画面に残らないように表示パネルを動作させる手法は、黒挿入法とも呼ばれる。
【0003】
この場合、画素アレイへの表示信号の書込みの進行と黒信号の書込みの進行は時間経過に対して略同様に進行することから、前記表示信号の供給開始から黒信号の供給開始に至る時間を設定することにより、表示信号の表示期間と黒信号の表示期間の比率を任意に設定できるようになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述した表示装置において、表示信号の供給開始から黒信号の供給開始に至る時間は該表示装置に入力される映像信号に含まれる水平同期信号のパルス数(走査ライン数)に対応させたものであり、表示信号の表示期間と黒信号の表示期間の比率を設定した後において、映像信号をたとえばテレビジョン受像機等からのそれに変更させた場合にその水平同期信号の周期が変更されることになる。
【0005】
上記の黒表示すなわち黒挿入はTCON(タイミングコントローラ)−IC(集積回路チップ)で生成するが、黒挿入の比率(黒挿入率)は入力信号のフレームのライン数から演算により決定している。このため、1フレームが長い、または短いなどの異常信号が入力されると、黒挿入率の演算結果が異常値となり、表示の輝度に影響する。
【0006】
表示装置への入力信号のライン数、すなわち表示装置に入力される映像データに含まれる表示ライン数+帰線ライン数は、当該表示装置をテレビジョン装置やビデオ再生装置等に実装して製品を完成する顧客によって必ずしも同じとならない。この対策として、本出願人は先に、入力信号のライン数にかかわらず黒挿入率を一定にする技術を提案した(特願2003−53731)。
【0007】
しかし、上記映像データの表示条件(再生条件)に応じて、フレーム期間毎に宛がわれた表示ライン数や帰線ライン数が突発的に変わることもある。このような表示ライン数や帰線ライン数の急峻な変化は、これを受ける表示装置において言わば異常信号として認識される。表示装置に表示データが異常信号として入力されると、この表示データから生じる表示信号のタイミングと予め当該表示装置にて設定された映像信号と黒信号との走査(スキャン)タイミングとがずれ、表示パネルに黒信号が入力される前に次のフレーム期間の表示信号が入力されたり、1フレーム期間に対する表示パネルが黒信号に応じた輝度を示す期間(黒表示期間)の比率が所望の値以上に増加する。その結果、動画像自体の表示輝度も不安定となり、その表示画質が劣化する。
【0008】
本発明は、このような事情に基づいてなされたものであり、その目的は表示装置に入力される映像データの1フレーム期間の長さに応じ、表示パネルに映像信号を入力するスキャン中のゲートドライバによる黒信号の表示パネルへの入力スキャン開始を止め、逆に表示パネルに黒信号を入力するスキャン中のゲートドライバによる映像信号の表示パネルへの入力スキャン開始を止めて、液晶表示装置への信号入力に異常があっても表示の輝度への影響を抑制した表示装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明は、第1方向沿いに並ぶ複数の画素を夫々含む複数の画素行が該第1方向に交差する第2方向沿いに並設される画素アレイと、該複数の画素行の夫々を走査信号にて選択する走査駆動回路と該複数の画素行の該走査信号にて選択された少なくとも1行に含まれる該画素の各々に表示信号を供給する映像信号駆動回路及び該画素アレイの表示動作を制御する表示制御回路を備え、表示装置に入力する映像信号がその水平走査周期ごとにその1行ずつ入力される表示装置において、該表示信号の表示を次の構成で実行するようにした。
【0010】
前記映像信号駆動回路が、前記映像信号の1行毎にこれに対応する表示信号を順次一定期間毎に生成し且つ該表示信号を画素アレイにN回(Nは2以上の自然数)出力する第1工程と、前記画素の輝度を前記第1工程における該画素のそれ以下にする表示信号を前記一定期間に生成し且つ該表示信号を画素アレイにM回(MはNより小さい自然数)出力する第2工程とが交互に繰り返される。
【0011】
前記走査駆動回路は、前記第1工程において前記複数の画素行をY行(YはN/Mより小さい自然数)毎に前記画素アレイの一端から他端に向けて前記第2方向沿いに順次選択する第1選択工程と、前記第2の工程において前記複数の画素行の前記第1選択工程で選択された(Y×N)行以外をZ行(ZはN/M以上の自然数)毎に前記画素アレイの一端から他端に向けて前記第2方向沿いに順次選択する第2選択工程とが交互に繰り返され、1フレーム期間当りの前記第2工程による表示の比率を設定する手段を備える。
【0012】
前記映像信号に含まれる1フレーム期間の水平同期信号のパルス数を演算し、この演算結果に基づく前記比率に対応する前記水平同期信号のパルスによって前記第2工程による表示開始時を決定する手段を備える。
【0013】
前記第1工程での前記画素アレイへの表示信号の出力開始信号で前記第2工程の表示信号の出力開始信号を抑制するマスクパルスを生成する手段を備える。
【0014】
前記第2工程での前記画素アレイへの表示信号の出力開始信号で前記第1工程の表示信号の出力開始信号を抑制するマスクパルスを生成する手段とを備える。
【0015】
なお、本発明は以上の構成および後述する実施の形態に記載された構成に限定されるものではなく、本発明の技術思想を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明による表示装置の実施の形態を液晶表示装置に適用した実施例の図面を用いて説明をする。
【0017】
本発明による表示装置及びその駆動方法を図1乃至図5を参照して説明する。本実施例では、アクティブ・マトリクス型の液晶表示パネル(Active Matrix−type Liquid Crystal Display Panel)を画素アレイ(Pixels−Array)に用いた表示装置(液晶表示装置)を引き合いに出すが、その基本的な構造や駆動方法はエレクトロルミネセンス・アレイ(Electroluminescence Array)や発光ダイオード・アレイ(Light Emitting Diode Array )を画素アレイとして用いた表示装置にも適用され得る。
【0018】
図1は本発明の実施例が適用されるたとえば液晶表示装置の構成を概念的に示したブロック図である。
【0019】
この液晶表示装置は、液晶表示モジュール(Liquid Crystal Display Module)とも呼ばれ、図1に示す如く、液晶表示パネル(表示パネル)100を含む表示素子部、タイミング・コントローラ(Timing Controller)110と呼ばれる回路を含む表示制御部、及びバックライト・システム(又はフロントライト・システム)118を含む光源部という3つのセクションに分けられる。
【0020】
表示素子部は、表示パネル100の面に複数の画素を2次元的に配置してなる画素アレイを備え、この画素アレイに表示装置(表示モジュール)に入力された画像情報を表示する。液晶表示装置に代表されるフラット・パネル・ディスプレイ(Flat Panel Display)の多くでは、表示パネル100が画素アレイと等価であるとみなされる。表示装置の雰囲気から画素アレイに入射する光を各画素で反射させて画像表示する反射型の液晶表示装置や、画素アレイ内の各画素に発光領域を設け、その発光現象により画像表示するエレクトロルミネセンス・アレイ(Electroluminescence Display Array )や電界放射型表示素子(Field Emission−type Display Elem ent )では、この表示素子部(画素アレイ)で表示装置に入力された画像情報をそのユーザに見せる(可視化する)ことができる。しかし、本実施例の液晶表示装置は所謂「透過型」であるため、上記光源部からの光で画素アレイを照射しない限り、表示装置のユーザは画素アレイに表示される画像を見れない。
【0021】
本実施例による液晶表示装置では、その表示パネル100(ユーザから見た「画面」)が画素アレイA(画面の上側)101と画素アレイB(画面の下側)102とを含む。それぞれの画素アレイ101,102には、図1の横方向(第1の方向、x方向)沿いに延び且つ縦方向(第1の方向に交差する第2の方向、y方向)沿いに並ぶ複数の走査信号線と、縦方向沿いに延び且つ横方向沿いに並ぶ複数の映像信号線とが設けられている。これらの信号線の具体的な配置及び機能は、図2を参照して後述し、図1での表示は省略する。なお、走査信号線はゲート線またはゲートライン、映像信号線は映像線またはドレイン線とも称する。
【0022】
表示パネル100の画面(画像表示領域)は、2つの画素アレイ101,102を縦方向(走査信号線の並設方向、又は映像信号線の延伸方向)沿いに並べて形成される。例えば、画面の垂直解像度:M(Mは自然数)の表示パネル100では、画素アレイA(上側画素アレイ)101の画像表示領域に1番目からN番目(Nは上記のMより小さい自然数)までのN本の走査信号線が、画素アレイB(下側画素アレイ)102の画像表示領域に(N+1)番目からM番目までの(M−N)本の走査信号線が、夫々並設される。例えば、XGA級の精細度の表示パネル100(M=768)にて、1番目から400番目までの400本の走査信号線(画素行)を画素アレイ101の画像表示領域に、401番目から768番目までの368本の走査信号線(画素行)を画素アレイ102の画像表示領域に設ける。なお、ここに記した走査信号線の数は、夫々の画素アレイの画像表示領域周縁に配置した所謂ダミー走査信号線を含まない。
【0023】
画素アレイ101,102の夫々の画像表示領域には、映像信号線が例えば同じ本数で並設されるが、用途に応じてはいずれかの画素アレイの映像信号線数を他のそれより少なくしても、多くしてもよい。双方の画素アレイの画像表示領域に同数の映像信号線を設けた場合、画素アレイAの映像信号線と画素アレイBの映像信号線とは、譬え同じ番地(例えば、図1の左端を基準として)に位置しても電気的に分離されている。
【0024】
上述のように、本実施例の表示パネル100は、言わば個別に表示パネルの機能を備えた2つの画素アレイ101,102を備えるため、画素アレイ101,102の各々には上記映像信号線に画像信号を出力する映像信号駆動回路と、この画像信号が入力される画素行をこれに対応した上記走査信号線に走査信号を出力して選択する走査信号駆動回路とが個別に設けられる。画素アレイA(上側画素アレイ)101には、上記1番目からN番目の走査信号線に対応するN本の画素行を選択する(走査信号線に選択信号を入力する)走査信号駆動回路103と、これにより選択された画素行に含まれる画素の夫々に画像信号を供給する映像信号駆動回路105,106が設けられている。画素アレイB(下側画素アレイ)102には、上記(N+1)番目からM番目の走査信号線に対応する(M−N)本の画素行を選択する走査信号駆動回路104と、これにより選択された画素行に含まれる画素の夫々に画像信号を供給する映像信号駆動回路107,108が設けられている。なお、走査信号駆動回路はゲートドライバ、映像信号駆動回路はドレインドライバとも称する。
【0025】
表示制御部は、タイミング制御回路(タイミング・コントローラ)110とこれから上記走査信号駆動回路103,104及び上記映像信号駆動回路105〜108に到る信号供給バス(Signal Supply Bus Line )111〜116とを含む。本実施例の液晶表示装置では、例えばコンピュータのCPU(Central Processing Unit )、テレビジョン装置の受信機(テレビ受像機)、DVD(Digital Versatile Disc)のデコーダ(Decoder )等から転送される画像情報(映像情報)をタイミング制御回路110で受信し、これをタイミング制御回路110(又はその周辺回路)にて表示パネル100での画像表示に適した画像データ(映像データ)に変換して信号供給バス113〜116に通し、映像信号駆動回路105〜108へ転送する。タイミング制御回路110が液晶表示装置の外部から受ける上記画像情報には、画像データやこれを伝送するタイミング信号(表示装置から見て「外部クロック」とも呼ぶ)が含まれる。
【0026】
タイミング制御回路110は、これから出力される画像データを上記映像信号駆動回路105〜108の各々に設けられたラッチ回路にラッチするタイミングを制御するクロック(ラッチクロック)、映像信号駆動回路105〜108にてラッチされた画像データを画素アレイAや画素アレイBの画素(画素行)に供給するタイミングを制御するクロック(走査クロック)、及び画素アレイA及び画素アレイBにおける表示画像を更新するタイミングを制御するクロック(フレーム開始信号)というような表示制御信号も生成する。このため、タイミング制御回路110は、表示制御回路とも呼ばれる。上記走査クロック及び上記フレーム開始信号は信号供給バス111,112を通して走査信号駆動回路103,104へ転送され、上記ラッチクロックは信号供給バス113〜116を通して映像信号駆動回路105〜108へ転送される。走査クロックやフレーム開始信号は、必要に応じて映像信号駆動回路105〜108にも転送するとよい。
【0027】
本実施例では、画素アレイA(上側画素アレイ)101に設けた2つの映像信号駆動回路(A1,A2)105,106とタイミング制御回路110とを信号供給バス113,114で個別に接続し、画素アレイB(下側画素アレイ)102に設けた2つの映像信号駆動回路(B1,B2)107,108とタイミング制御回路110とを信号供給バス115,116で個別に接続する。このため、表示パネルに入力すべき画像データは、タイミング制御回路110から、その画像表示領域に含まれる全画素数の1/4毎に信号供給バス113〜116の夫々を通して、映像信号駆動回路105〜108の夫々に並行して転送される。また、上述のようにラッチクロックも信号供給バス113〜116を通して映像信号駆動回路105〜108に夫々転送される。従って、本実施例の表示装置では、表示パネル100の画面(画像表示領域)全体での画像形成に必要な画像データが、例えば1フレーム期間の1/4ほどの時間で表示制御部から表示素子部へ高速で転送できる。
【0028】
このようにして本実施例の画素アレイAに設けた2つの映像信号駆動回路A1,A2及び画素アレイBに設けた2つの映像信号駆動回路B1,B2に並行して取り込まれた画像データは、走査信号駆動回路A,B(103,104)から画素アレイA,B(101,102)への並行した走査信号入力に呼応して、それぞれの画素行に画像信号として順次供給される。走査信号の画素アレイA,B(101,102)への入力に応じて、画素アレイAに配置された画素行の少なくとも1本と画素アレイBに配置された画素行の少なくとも1本とが選択されるため、表示パネル100には4つの映像信号駆動回路A1,A2,B1,B2(105,106,107,108)から同時に画像信号が入力される。このため、表示制御部から表示素子部へ高速転送された画像データは、表示素子部にて即座に表示画像に変換される。従って、本実施例の液晶表示装置では、これに1フレーム期間で入力される画像情報を、その1/4の時間で液晶表示パネル100の全域に表示することもできる。
【0029】
光源部は、例えば冷陰極蛍光ランプCFL(Cold Cathode Fluorescent Lamp)を光源として備えた光源ユニット118、この光源を駆動する(点灯電力を生成する)インバータ回路109、及びこのインバータ回路109から光源ユニット118に駆動電力を供給する電源線119を含む。上記冷陰極蛍光ランプの如き光源は、表示パネル100に対向させて配置しても、導光板(図示せず)を通して表示パネル100に光を照射するように配置してもよい。
【0030】
本実施例では、この光源部における光源(例えば、冷陰極蛍光ランプ)を上記タイミング制御回路110にて生成される表示制御信号に応じて間欠的に駆動し、又はその点灯輝度を変調する。そのため、光源の点灯輝度を調整するインバータ回路109とタイミング制御回路110とは信号供給バス117にて接続され、タイミング制御回路110から供給される制御信号に応じて光源の輝度を制御する。タイミング制御回路110からインバータ回路109に送られる制御信号は、このインバータ回路109の制御のためにタイミング制御回路110で生成しても、又は既にタイミング制御回路110で生成された上述の走査クロックやフレーム開始信号に置き換えてもよい。従って、光源部の点灯タイミング又は点灯輝度の変調も表示制御部により制御される。
【0031】
図2は、本発明に係るアクティブ・マトリクス型の液晶表示装置の画像表示領域をなす画素アレイ101、102の内部等価回路を示す。画素アレイ101,102のいずれにも、薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor,以後TFTとも称する)201、液晶容量203、並びにこれに印加される電界を保持する容量成分(保持容量)202を備えた複数の画素が2次元的に配列される。
【0032】
画素アレイA,B(101,102)の夫々には、本実施例の表示装置における表示素子部の説明にて述べたように、表示画面の横方向(第1方向)沿いに延び且つ縦方向(第1の方向に交差する第2の方向)沿いに複数本の走査信号線205が並設される。本実施例では、図1に示す表示パネル100の画像表示領域にm本(mは2以上の偶数)の走査信号線が配置され、図2に示す如く、これらの走査信号線の(m/2)本が表示パネル100の画面上側の画像表示を担う画素アレイA(101)に、その残りの(m/2)本が表示パネル100の画面下側の画像表示を担う画素アレイB(102)に夫々設けられる。よって、表示パネル100の画像表示領域の上端に位置する1番目の走査信号線からその下端に位置するm番目の走査信号線205のうち、1番目から(m/2)番目に到る(m/2)本は画素アレイA(101)に並設され、その夫々はAG(1)からAG( m/2) に到るアドレスが順次付されて識別される。
【0033】
また、表示パネル100の画像表示領域の下半分に配置される(m/2+1)番目から画面下端のm番目は画素アレイB(102)に並設され、その夫々はBG(m/2)からBG(1)に到るアドレスが順次付されて識別される。画素アレイA(101)の走査信号線:AG(1)乃至AG(m/2)には図1の走査信号駆動回路A(103)から走査信号(電圧信号)が印加され、画素アレイB(102)の走査信号線:BG(m/2)乃至BG(1) には図10の走査信号駆動回路B(104)から走査信号(電圧信号)が印加される。
【0034】
一方、画素アレイA,B(101,102)の夫々には、本実施例の表示装置における表示素子部の説明にて述べたように、表示画面の縦方向(上記第2の方向)沿いに延び且つ横方向(上記第1の方向)沿いに複数本の映像信号線204が並設される。本実施例では、図1に示す表示パネル100の画像表示領域にn本(nは2以上の自然数)の映像信号線が配置され、図2に示す如く、これらの映像信号線は、画素アレイA(101)及び画素アレイB(102)に個別に設けられる。画素アレイA(101)に並設されるn本の映像信号線204には、図1に示す表示パネル100の画像表示領域左端からAD(1) からAD(n)に到るアドレスが順次付され、画素アレイB(102)に並設されるn本の映像信号線204にもこの画像表示領域左端からBD(1) からBD(n)に到るアドレスが順次付される。画素アレイAに設けられた映像信号線AD(x)(xは、1乃至nの範囲にある任意の自然数)と画素アレイBに設けられた映像信号線BD(x)とは、ともに表示パネルの画像表示領域の左端からx番目の映像信号線として機能するが、互いに電気的に分離される。
【0035】
従って、映像信号線AD(x)と映像信号線BD(x)とに異なる電圧を同時に印加することができる。画素アレイA(101)の映像信号線AD(1) 乃至AD(n)のうち、本実施例では図示せざるも映像信号線AD(1) 乃至AD(n/2)には図1の映像信号駆動回路A1(105)から、映像信号線AD(n/2+1)乃至AD(n)には図1の映像信号駆動回路A2(106)から、映像信号が夫々供給される。また、画素アレイB(101)の映像信号線BD(1) 乃至BD(n) のうち、本実施例では図示せざるも映像信号線BD(1) 乃至BD(n/2)には図1の映像信号駆動回路B1(107)から、映像信号線BD(n/2+1)乃至BD(n)には図1の映像信号駆動回路B2(108)から、画像信号が夫々供給される。
【0036】
図2にて、画素アレイ101,102に二次元的に設けられた画素は、映像信号線204を通して供給される画像信号を各々に設けられた上記薄膜トランジスタ201のドレイン領域で受け、この薄膜トランジスタ201のゲート電極に走査信号線205から選択電圧(例えば、ゲート選択パルスとも呼ばれる電圧パルス)が印加されることにより、この画像信号に応じた電圧を液晶容量203に印加する。このため、画素アレイ101,102にそれぞれ配置された画素群は、これに画像信号を供給する映像信号線204毎にn本の画素列(Pixels Column)を形成し、また、これを走査信号にて選択する走査信号線205毎に( m/2) 本の画素行(Pixels Row )を形成する。従って、図1に示す表示パネル100には、その縦方向(上記第2の方向)沿いにm本の画素行が並び、その横方向(上記第1の方向)沿いにn本の画素列が並ぶ、言わば「m×nのマトリクス・アレイ」が形成される。これらの画素行及び画素列に応じて各画素に設けられた液晶容量203は表示パネル100の面内に二次元的に配置され、表示パネル100面内の光透過率は液晶容量203のそれぞれへの印加電圧(画像信号)により画素毎に所定の値に設定される。
【0037】
薄膜トランジスタ201は、それぞれの画素の液晶容量203(換言すれば、この画素に対応する液晶層)が示す光透過率を制御する能動素子(Active Element )であり、この能動素子は表示パネル100’ に応じてダイオード等にも置き換えられる。この能動素子は、画素行の選択に関ることから、スイッチング素子とも呼ばれる。薄膜トランジスタ201は、そのソース領域とドレイン領域との間に設けられたチャネル(Channel )の電荷の移動を、ゲートからチャネルに電界を印加して制御する電界効果型トランジスタの構造を持つ。
【0038】
従って、薄膜トランジスタ201を備えた画素を二次元的に配置してなる表示装置において、そのドレイン領域に画素信号を供給する映像信号線をドレイン線、この映像信号線へ画像信号を出力する映像信号駆動回路をドレイン駆動回路(またはドレインドライバ)、そのゲート(ゲート電極)に走査信号を印加する走査信号線をゲート線、この走査信号線へ走査信号を出力する走査信号駆動回路をゲート駆動回路(またはゲートドライバ)とも呼ぶ。なお、図1において、映像信号駆動回路105,106,107,108はドレイン駆動回路A1,A2,B1,B2としても記され、走査信号駆動回路103,104はゲート駆動回路A,Bとしても記される。
【0039】
画像信号は、図1に示す映像信号駆動回路105〜108の各々において、これに転送された画像データに基づき、画素の各々の表示輝度に応じた階調電圧(Gray Scale Volta ge)を選択して各画素に対応した映像信号線に出力される。図2に示される液晶容量203の薄膜トランジスタ201とは反対側には、コモン線(Common Line)206が接続され、液晶容量203の一端に印加される階調電圧に対して基準電圧(Reference Voltage)をその他端に印加する。
【0040】
本実施例において、図2に示す等価回路を備えた画素アレイ101,102は、表示パネル100に備えられた一つの液晶層内に並設される。図2には、画素アレイ101の等価回路と画素アレイ102の等価回路とが個別に示されるが、これに応じて液晶層を画素アレイ毎に分割する必要はない。表示パネル100の製造工程を簡略にし、また表示パネルによる表示画像の品質を確保する上では、一つの液晶表示パネル内に画素アレイ101,102の夫々の等価回路に応じた2つの電極及び配線群を形成することが推奨される。本実施例にて、以下に述べる表示パネル100は、特に断わりのない限り画素アレイ101,102の夫々の等価回路が形成された一つの液晶表示パネルとして形成される。
【0041】
なお、図2に示す等価回路は、電界効果型トランジスタを能動素子として有する液晶表示装置であれば、IPS(In Plane Switching)、TN(Twisted Nematic)、MVA (Multi−domain Vertical Alignment )、OCB(Optical Compensated Birefringence )などのスイッチング・モードに関係なく適用され得る。また、図2に示す薄膜トランジスタ201は、そのチャネル層をa−Si(非晶質シリコン)、p−Si(多結晶シリコン)、及びシリコンの擬似単結晶(Pseudo Single Crystal )のいずれで形成してもよい。
【0042】
図3は、このような構成からなる液晶表示装置において、その画像表示タイミングを連続する2つのフレーム期間に亘り示すタイミング・ チャートである。図3には、画素アレイへの映像データ書込みの進行とブランキング・データの書込みの進行とをライン毎に示したデータによって示している。
【0043】
そして、適用された液晶表示装置は、前述したように、その表示パネル100の画面がそれぞれ独立に書込みを行なうことのできる画素アレイA(上側画素アレイ)と画素アレイB(下側画素アレイ)から構成されているために、ある時点における映像データ書込みとブランキング・データ書込みが同時に行なわれるようになっている。
【0044】
すなわち、図3(a)は、映像データの変更前であって、映像データの表示期間とブランキング・データの表示期間との調整が適切になされている場合を示す。まず、各フレーム期間の冒頭にて、画素アレイA側の1番目の走査線(1st Row )からの画素アレイへの映像データ書込みが図示しない走査開始信号FLMの第1パルスにより開始される。この際に、予め設定されている次のブランキング・データの書込みまでの時間に相当する水平同期信号HSyncのパルスがカウントされる。なお、1番目の走査線(1st Row )からの画素アレイへの映像データ書込みがなされる時点で、画素アレイB側におけるあるラインへのブランキング・データの書込みが前のフレーム期間から引き続きなされるようになっている。
【0045】
1番目の走査線(1st Row )からの画素アレイへの映像データ書込みから、予め設定されている次のブランキング・データの書込みまでの時間に相当する水平同期信号HSyncのパルス数は図3(a)の場合、便宜上たとえば24となっており、それまで映像データ書込みは24番目の走査線(24th Row )に至るまで順次なされる。そして、水平同期信号HSyncのパルスのカウント値が24となった次の時点でブランキング・データの書込みが開始される。そして、このブランキング・データの書込みはそのまま続行されるが当該フレーム期間においては水平同期信号HSyncのパルス数が前記の24からさらにカウントされた値35(説明の便宜上設定された値)に至るまでなされることになる。
【0046】
このことから、図3(a)に示す画像表示タイミングにおいて、映像データの表示期間とブランキング・データの表示期間の比は24:(35−24)となっており、ブランキング・データの表示期間は1フレーム期間において約35%に割り当てられていることになる。
【0047】
図3(b)は、入力される映像データの変更があって、図3(a)の場合よりも該映像データに含まれる水平同期信号HSyncの周期が短くなってしまった場合を示している。同様に、フレーム期間の冒頭にて、画素アレイA側の1番目の走査線(1st Row )からの画素アレイへの映像データ書込みは、次のブランキング・データの書込みまでの時間に相当する水平同期信号HSyncのパルスのカウント値(24)まで続行され、それに続く次の時点からブランキング・データの書込みが開始され、このブランキング・データの書込みは当該フレーム期間において、水平同期信号HSyncのパルス数が前記の24からさらにカウントされた値44(説明の便宜上設定された値)までなされることになる。このことは、映像データの表示期間とブランキング・データの表示期間の比は24:(44−24)となってしまい、1フレーム(Fとも呼ぶ)期間においてブランキング・データの表示期間は増加することになる。
【0048】
このような不都合に鑑み、たとえ映像データの水平同期信号HSyncの周期が変更されても、ブランキング・データの書込みの開始時期を的確に定めるようにし、これにより映像データの表示期間とブランキング・データの表示期間の比を設定された値どおりにするようにする。
【0049】
すなわち、入力される映像データの1フレーム期間の水平同期信号HSyncのパルス数を計測し、その計測数から予め設定された1フレーム期間当りのブランキング・データの表示期間の比率に前記計測数を乗算した値を引いて得られる値を、映像データ書込みからブランキング・データ書込みまでの前記水平同期信号HSyncのパルス数とするようにしている。
【0050】
図3(c)は、水平同期信号HSync図3(b)と同様な周期をもって入力されている場合を示す画像表示タイミングのタイミング・チャートである。該水平同期信号HSyncの1フレーム期間におけるパルス数は図3(b)の場合と同様に44である。そして、予め設定された1フレーム期間当りのブランキング・データの表示期間の比率は、図3(a)にて示したように(35−24)/35である。
【0051】
これから、次式(1)を得ることができ、この値は映像データ書込みからブランキング・データ書込みまでの前記水平同期信号HSyncのパルス数であり、30となる。
【0052】
44−44×{(35−24)/35}・・・・(1)
このように映像データ書込みから前記水平同期信号HSyncのパルス数が30になった時点以降からブランキング・データ書込みを行なうことにより、1フレーム期間当りのブランキング・データの表示期間の比率は、たとえ水平同期信号HSyncの周期が変わっても不変とすることができる。
【0053】
上述したように、1フレーム期間当りの水平同期信号HSYNCのパルス数と予め設定された1フレーム期間当りのブランキング・データの表示期間の比率に基づいて、ブランキング・データの書込み開始時点を演算する手段は電子回路で構成することができ、この電子回路はたとえば前記表示制御回路104に組み込まれて形成される。
【0054】
なお、上述した実施例では、ブランキング・データの書込み開始時点は予め設定された1フレーム期間当りのブランキング・データの表示期間の比率に基づいて算出したものであるが、必ずしもこれに限定されることはなく、予め設定された1フレーム期間当りの映像データの表示期間の比率に基づいて算出するようにしてもよいことはいうまでもない。
【0055】
上記した液晶表示装置は、その表示パネル100の画面がそれぞれ独立に書込みを行なうことのできる画素アレイA(上側画素アレイ)と画素アレイB(下側画素アレイ)から構成されたものである。
【0056】
しかし、このような構成でなくても、たとえば画素アレイが一つ、すなわち一個の表示パネルを持つ表示装置においても、上記の実施例に示した構成を適用できることはいうまでもない。
【0057】
図4はこのような表示装置に適用させた場合の画像表示タイミングのタイミング・チャートで、図4(a)、(b)、(c)はそれぞれ図3(a)、(b)、(c)に対応した図となっている。なお、表示パネルとその駆動回路の基本的構成は第1実施例と同様であるので、繰り返しの説明はしない。
【0058】
この表示装置は、ブランキング・データ書込みにおいて1水平期間にて選択するゲート線のライン数が複数(たとえば4個)であり、この場合には映像データ書込みがなされないように構成されている。図4(a)、(b)、(c)において図3(a)、(b)、(c)と異なる部分はこの部分のみで他は全く同様となっている。
【0059】
上記した構成において、入力信号のライン数、すなわち表示ライン数+帰線ライン数は、表示装置を実装して製品化する顧客によって必ずしも同じとならない。異常信号が入力されると、映像信号表示と黒挿入の走査(スキャン)が同一のゲートドライバ内で競合し、上記した表示の輝度への影響が生じ、画質を劣化させることがある。
【0060】
図5は、同一のゲートドライバ内で映像信号表示と黒挿入の走査に競合が発生する異常信号の発生原因の説明図である。ここでは、表示装置として液晶表示装置を用いたテレビ受像機を例として説明する。液晶表示装置の基本的な構成は前記実施例と同様なので、繰り返しの説明はしない。図5において、参照符号500はテレビ受像機であり、表示手段に液晶表示装置501を実装している。液晶表示装置は液晶パネルLCDの周辺にドレインドライバ502、ゲートドライバ503を有する。これらのドライバは黒挿入対応のタイミングコントローラTCON504から供給される制御信号507で制御される。このタイミングコントローラTCON504は前記した各実施例で説明した機能を備えている。
【0061】
また、テレビ受像機500は自動選局回路や手動チャンネル切換え回路などの顧客信号処理回路を有している。また、このテレビ受像機500の映像入力として、アンテナ、DVD、ビデオ(VIDEO)、パソコン(PC)などの外部入力端子を有している。
【0062】
このようなテレビ受像機において、顧客はアンテナ入力時の選局操作やDVD、ビデオ、パソコンなどからの映像信号を表示するための映像信号源の操作やそれを表示するためのチャンネル操作を行う。このとき、タイミングコントローラ(TCON)504の入力信号である垂直同期信号VSYNCやフレーム開始信号FLMのタイミングに異常が発生する場合がある。その結果、上記したような映像信号表示用と黒挿入用の走査(スキャン)が同一のゲートドライバ内で競合して表示の輝度への影響が生じ、画質を劣化させる場合がある。
【0063】
図6は、正常時と異常時の垂直同期信号のタイミングとフレーム開始信号の生成タイミングを比較して説明するタイミング・チャートである。図6(a)は正常時と異常時の垂直同期信号VSYNCのタイミング比較図、図6(b)は正常時と異常時のフレーム開始信号FLMのタイミング比較図である。
【0064】
図6(a)において、タイミングAは正常時の垂直同期信号VSYNCのタイミング、タイミングaは異常時の垂直同期信号VSYNCのタイミングである。タイミングaに示した異常時の垂直同期信号VSYNCは正常時の1フレーム期間に対して長い時や短いときがある。フレーム開始信号FLMは垂直同期信号VSYNCに基づいて生成さるゲートドライバの制御信号であり、液晶パネルのライン走査を開始したい位置で発生されるパルスである。図6(b)におけるタイミングBは正常時の垂直同期信号VSYNC、Cは正常時のフレーム開始信号FLMのタイミングを示す。また、図6(b)におけるタイミングbは異常時の垂直同期信号VSYNC、タイミングcは異常時のフレーム開始信号FLMのタイミングを示す。
【0065】
黒挿入用のフレーム開始信号FLMのタイミングは、4フレーム分(前記実施例と対応)の総ライン数を演算して決定し、次の4フレームに反映させている。すなわち、図6(b)のタイミングb、cに示したように、フレームF1からフレームF4の総ライン数から次のフレームF1からフレームF4の黒挿入用のフレーム開始信号FLMを決定する。このため、前のフレームF1からフレームF4に広い(間隔が長い)フレームがあると、総ライン数も正常時の総ライン数よりも多くなり、次のフレームF1からフレームF4の黒挿入用のフレーム開始信号FLMに間隔が狭く(周期が短い)ものが生じる。
【0066】
図7は、異常信号の発生時に生じる液晶パネル上での表示の不具合の説明図であり、図7(a)は液晶パネル上の任意の画素列の説明図、図7(b)は図7(a)に示した任意の画素列における走査とその表示信号の保持期間の説明図、図7(c)は映像信号の走査と黒挿入の走査が同一ゲートドライバで競合したときの表示不具合である表示輝度差の説明図である。なお、これらの図では、横軸に時間を、縦軸にライン数をとって示し、図7(b)と図7(c)には、3つのゲートドライバ(ゲートドライバ1、2、3)の各走査範囲を示してある。
【0067】
黒挿入用のフレーム開始信号FLMと映像信号表示用のフレーム開始信号FLMとの間隔が狭くなると、同時刻で同一のゲートドライバ内での映像信号の走査と黒挿入用の走査とが競合してしまう。その結果、図7(c)に示したように液晶パネル上の表示に明るい帯状の部分が発生する。
【0068】
図8は、異常発生時に同一のゲートドライバ内での映像信号の走査と黒挿入用の走査の競合を防止するための垂直同期信号とフレーム開始信号の本実施例による対策有りと対策なしを比較して説明するタイミング・チャートである。図8におけるタイミングaは異常時の垂直同期信号VSYNC、タイミングcは異常時のフレーム開始信号FLM、タイミングDは従来の対策無し走査タイミング、タイミングEは黒挿入用(図では黒用と表記)のフレーム開始信号FLMのマスクパネルのタイミング、タイミングFは映像信号用(図では映像用と表記)のフレーム開始信号FLMのマスクパネルのタイミング、タイミングGは対策有りのフレーム開始信号FLMタイミング、タイミングHは対策有り走査タイミングを示す。
【0069】
図8において、タイミングaに示した異常時の垂直同期信号VSYNCに起因してフレームF1〜F4のうちのフレームF2とフレームF3の間隔が正常時よりも長くなった場合、垂直同期信号VSYNCの総ライン数が異なってしまい次のフレームF1〜F4ではタイミングDに示したように同一のゲートドライバ内で映像信号と黒層挿入の走査が競合する。例えば次のフレームF2〜フレームF4および次の次のフレームF1〜F2で前記した図7(c)に示したような帯状の部分が発生する。また、次の次のフレームF1〜F4のフレームF3とF4の間隔が短くなった場合は、当該フレームF4と後続フレームF1で表示不具合すなわち帯状の部分が発生する。
【0070】
本実施例では、上記の表示不具合を解消するために、図8のタイミングEに示した黒挿入用フレーム開始信号FLMを抑制する黒挿入用フレーム開始信号マスクパルスと、タイミングFに示した映像信号表示用フレーム開始信号を抑制する映像信号表示用フレーム開始信号マスクパルスにより、競合が発生したゲートドライバのフレーム開始信号FLMを抑制する。その結果、ゲートドライバに供給される表示のためのフレーム開始信号FLMはタイミングGに示したようになり、競合が防止されてタイミングHに示したような帯状輝度差を有しない走査がなされる。
【0071】
図9は、図8のタイミングDに示した走査を行うためのフレーム開始信号FLM発生回路の構成を説明するブロック図である。また図10は、図9のタイミングHに示した走査を行うためのフレーム開始信号FLM発生回路の構成を説明するブロック図である。本実施例において、図9および図10の回路はタイミングコントローラ(TCON)の集積回路(IC)に内蔵されるが、表示装置の表示制御回路の構成に応じて、これらの回路をタイミングコントローラとは別の集積回路素子として用意してもよい。これらのフレーム開始信号発生回路は、表示装置にその外部(例えば、テレビジョン装置)から映像信号を入力する所謂インタフェースに設けることが望ましい。以下、図9および図10の動作を図6〜図8のタイミング図を参照して説明する。
【0072】
本実施例の基本的構成では、図6で説明したようにフレームF1〜F4の総ライン数から黒挿入用フレーム開始信号を生成する。例えば、これから表示装置に取り込まれる4フレームの画像表示条件は、これに先行する4フレームF1〜F4の表示データの取り込み情報が参照される。図9において、総ライン数検出回路901は、先行する4フレームF1〜F4の総ライン数を演算し、この演算結果に応じて黒挿入用フレーム開始信号生成回路902は、当該フレームF1〜F4に続く4フレームの画像表示動作における黒挿入用フレーム開始信号FLMを生成する。一方、映像信号については映像信号用フレーム開始信号テーブル903が設けられており、この映像信号用フレーム開始信号テーブル903を参照して映像信号用フレーム開始信号生成回路904で映像信号用フレーム開始信号FLMを生成する。
【0073】
映像信号用フレーム開始信号テーブル903には、表示装置にその外部から入力された表示データ及びそのタイミングデータ(表示データとして送られる画像に応じた垂直同期信号、水平同期信号、帰線期間等の情報を含む)がルックアップテーブルとして格納されている。これらの両フレーム開始信号をセレクタ905で選択し、選択された方のフレーム開始信号をゲートドライバに印加する。この場合、当該先行するフレームF1〜F4に続く4フレームのタイミングデータ(それに含まれる情報)は、黒挿入用フレーム開始信号生成回路902による黒挿入用フレーム開始信号FLM生成に反映されない。従って、先行4フレームF1〜F4におけるタイミングデータが、これに続く4フレームのタイミングデータと少しでも異なると、前述したように映像信号用フレーム開始信号FLMと黒挿入用フレーム開始信号とがゲートドライバで競合(Conflict)し、黒挿入なしのフレーム期間や画面が黒表示される期間の長いフレーム期間が生じる可能性も否めない。
【0074】
映像信号表示用と黒挿入用の走査が同一のゲートドライバ内で競合するのを回避する場合は、図10に示した回路構成でゲートドライバへのフレーム開始信号を生成する。図10において、上記先行するフレームF1〜F4の総ライン数検出回路1001で当該フレームF1〜F4の総ライン数を演算し、その結果を黒挿入用フレーム開始信号生成回路1002に与えて次の4フレームの画像表示に用いる黒挿入用フレーム開始信号FLMを生成する。黒挿入用フレーム開始信号FLMは、黒挿入用フレーム開始信号マスク制御回路1003及び映像信号用フレーム開始信号マスクパルス生成回路1006に夫々入力される。映像信号用フレーム開始信号マスクパルス生成回路1006は、黒挿入用フレーム開始信号FLMを受けて映像信号用フレーム開始信号マスクパルスを生成する。この映像信号用フレーム開始信号マスクパルスは、映像信号用フレーム開始信号マスク制御回路1008に入力される。
【0075】
一方、映像信号用フレーム開始信号は映像信号用フレーム開始信号テーブル1004を参照して映像信号用フレーム開始信号生成回路1005で生成され、映像信号用フレーム開始信号マスク制御回路1008に供給される。映像信号用フレーム開始信号テーブル1004には、映像信号用フレーム開始信号テーブル903と同様に、外部から表示装置に入力された表示データ及びそのタイミングデータがルックアップテーブルとして格納されている。
【0076】
また、映像信号用フレーム開始信号生成回路1005で生成された映像信号用フレーム開始信号は、黒挿入用フレーム開始信号マスクパルス生成回路1007及び映像信号用フレーム開始信号マスク制御回路1008に夫々入力される。黒挿入用フレーム開始信号マスクパルス生成回路1007は、映像信号用フレーム開始信号を受けて、黒挿入用フレーム開始信号マスクパルスを生成する。この黒挿入用フレーム開始信号マスクパルスは、黒挿入用フレーム開始信号マスク制御回路1003に入力される。
【0077】
先行する4フレーム期間がそれに続く4フレーム期間F1〜F4に対して長い場合、後者の4フレーム期間F1〜F4における画像表示用に黒挿入用フレーム開始信号生成回路1002で生成される黒挿入用フレーム開始信号FLMは、当該4フレーム期間の各々(例えば、F2)において、これに続く次のフレーム期間(例えば、F3)の映像信号用フレーム開始信号に近づく。
【0078】
後者の4フレーム期間F1〜F4に属するフレーム期間F2とこれに続くフレーム期間F3とで説明すれば、表示パネルの1番目のラインに入力されたフレーム期間F2の画像が黒信号で消されるや否や、このラインにフレーム期間F3の画像が入力される。従って、フレーム期間F2とフレーム期間F3との間では、実質的に黒挿入動作が行われなくなり、所謂動画像のボヤケが生じる。
【0079】
しかし、映像信号用フレーム開始信号マスクパルス生成回路1006からフレーム期間F2の黒挿入用フレーム開始信号FLMに呼応して所定期間に亘り出力される映像信号用フレーム開始信号マスクパルスを映像信号用フレーム開始信号マスク制御回路1008に入力することにより、フレーム期間F3の映像信号用フレーム開始信号FLMは無効となり、セレクタ1009からフレーム期間F2の黒挿入用フレーム開始信号FLMが出力された直後にゲートドライバへ供給されることは無くなる。このとき、前記4フレーム期間F1〜F4における表示パネルへの画像信号入力が休止することもあるが、この4フレーム期間F1〜F4で得た表示条件に基づいて、これに続く4フレーム期間の映像信号用フレーム開始信号FLMと黒挿入用フレーム開始信号FLMとを調整することにより、その影響は低減できる。
【0080】
一方、先行する4フレーム期間がそれに続く4フレーム期間F1〜F4に対して短い場合、後者の4フレーム期間F1〜F4における画像表示用に黒挿入用フレーム開始信号生成回路1002で生成される黒挿入用フレーム開始信号FLMは、当該4フレーム期間の各々において、表示パネル(これに備えられた各画素)が黒信号を保持する時間の比率が高まり、表示される動画像が暗くなる。この場合は、黒挿入用フレーム開始信号マスクパルス生成回路1007で生成される黒挿入用フレーム開始信号マスクパルス、及び黒挿入用フレーム開始信号生成回路1002で生成される黒挿入用フレーム開始信号FLMの夫々の時間幅を調整し、映像信号用フレーム開始信号FLMとともに立ち上がる黒挿入用フレーム開始信号マスクパルスと、黒挿入用フレーム開始信号マスクパルスより遅れて立ち上がる黒挿入用フレーム開始信号FLMのパルスとを時間軸上にて部分的に重複させて、黒挿入期間の開始を遅らせる。このとき、黒挿入用フレーム開始信号FLMは、黒挿入用フレーム開始信号マスクパルスが立ち下がるや否や、セレクタ1009からゲートドライバへと出力される。
【0081】
このように、映像信号の走査中のゲートドライバへは黒挿入用の走査を開始させないようにし、逆に黒挿入用の走査中のゲートドライバへは映像信号用の走査を開始させないようにして、入力信号に異常があっても表示の輝度への影響を抑制できるようにした。これにより、表示の輝度への影響が回避され、高画質の表示を得ることができる。
【0082】
上述した各実施例はそれぞれ単独に、あるいは組み合わせて用いても良い。それぞれの実施例での効果を単独であるいは相乗して奏することができるからである。
【0083】
【発明の効果】
以上説明したことから明らかとなるように、本発明による表示装置によれば、異常信号が入力されても、映像信号と黒挿入の走査(スキャン)が同一のゲートドライバ内で競合することがなく、表示の輝度への影響が防止されて高品質の表示を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用されるたとえば液晶表示装置の構成を概念的に示したブロック図である。
【図2】本発明に係るアクティブ・マトリクス型の液晶表示装置の画像表示領域をなす画素アレイの内部等価回路図である。
【図3】本発明に係るアクティブ・マトリクス型の液晶表示装置の画像表示タイミングを連続する2つのフレーム期間に亘り示すタイミング・ チャートである。
【図4】本発明に係るアクティブ・マトリクス型の液晶表示装置に適用させた場合の画像表示タイミングのタイミング・チャートである。
【図5】同一のゲートドライバ内で映像信号表示と黒挿入の走査に競合が発生する異常信号の発生原因の説明図である。
【図6】本発明に係るアクティブ・マトリクス型の液晶表示装置における正常時と異常時の垂直同期信号のタイミングとフレーム開始信号の生成タイミングを比較して説明するタイミング・チャートである。
【図7】本発明に係るアクティブ・マトリクス型の液晶表示装置における異常信号の発生時に生じる液晶パネル上での表示の不具合の説明図である。
【図8】異常発生時に同一のゲートドライバ内での映像信号の走査と黒挿入用の走査の競合を防止する対策有りと対策なしを比較して説明するタイミング・チャートである。
【図9】図8のタイミングDに示した走査を行うためのフレーム開始信号FLM発生回路の構成を説明するブロック図である。
【図10】図8のタイミングHに示した走査を行うためのフレーム開始信号FLM発生回路の構成を説明するブロック図である。
【符号の説明】
100・・・・表示装置(液晶表示装置)、101,102,501・・・・画素アレイ(TFT型液晶表示パネル)、103,104,503・・・・ゲートドライバ(走査ドライバ)、105,106,107,108,502・・・・ドレインドライバ、109・・・・インバータ、110,504・・・表示制御回路(タイミング・コントローラ:TCON)。

Claims (1)

  1. 第1方向沿いに並ぶ複数の画素を夫々含む複数の画素行が該第1方向に交差する第2方向沿いに並設される画素アレイ、該複数の画素行の夫々を走査信号にて選択する走査駆動回路、該複数の画素行の該走査信号にて選択された少なくとも1行に含まれる該画素の各々に表示信号を供給する映像信号駆動回路、及び該画素アレイの表示動作を制御する表示制御回路を備え、
    映像信号がその水平走査周期ごとにその1行ずつ入力され、前記映像信号駆動回路は、前記映像信号の1行毎にこれに対応する表示信号を順次一定期間毎に生成し且つ該表示信号を画素アレイにN回(Nは2以上の自然数)出力する第1工程と、
    前記画素の輝度を前記第1工程における該画素のそれ以下にする表示信号を前記一定期間に生成し且つ該表示信号を画素アレイにM回(MはNより小さい自然数)出力する第2工程とが交互に繰り返され、
    前記走査駆動回路は、前記第1工程において前記複数の画素行をY行(YはN/Mより小さい自然数)毎に前記画素アレイの一端から他端に向けて前記第2方向沿いに順次選択する第1選択工程と、
    前記第2の工程において前記複数の画素行の前記第1選択工程で選択された(Y×N)行以外をZ行(ZはN/M以上の自然数)毎に前記画素アレイの一端から他端に向けて前記第2方向沿いに順次選択する第2選択工程とが交互に繰り返され、1フレーム期間当りの前記第2工程による表示の比率を設定する手段を備えるとともに、
    前記映像信号に含まれる1フレーム期間の水平同期信号のパルス数を演算し、この演算結果に基づく前記比率に対応する前記水平同期信号のパルスによって前記第2工程による表示開始時を決定する手段と、
    前記第1工程での前記画素アレイへの表示信号の出力開始信号で前記第2工程の表示信号の出力開始信号を抑制するマスクパルスを生成する手段と、
    前記第2工程での前記画素アレイへの表示信号の出力開始信号で前記第1工程の表示信号の出力開始信号を抑制するマスクパルスを生成する手段とを具備することを特徴とする表示装置。
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