JP2005017363A - 眼鏡用蝶番及びそれを備えた眼鏡フレーム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】蝶番は、連結部材30a、30bをネジ39により締め付けて連結されて構成される。連結部材30aにはコマ33が一体に設けられており、連結部材30bにはコマ35,37が一体に設けられており、リン青銅からなるワッシャ40,41がコマ33の孔34に嵌め込まれている。コマ33をコマ35及び37の間に嵌合してネジ39で締め付ける。
【選択図】 図2
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ネジを用いた蝶番に関し、特にテンプル部の折り畳み操作が良好な眼鏡用蝶番及びそれを備えた眼鏡フレームに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より眼鏡では、耳に掛けるテンプル部を折り畳めるようにして、眼鏡をケースに保管する場合等に取扱いが容易になるようにしている。テンプル部の折り畳みをスムーズに行うために、テンプル部は蝶番を介して取り付けられている。蝶番は、テンプル部が折り畳まれた状態に保たれるように摺動部分にある程度の摩擦力が必要であるが、テンプル部の開閉動作は、スムーズに行われなければならない。
【0003】
テンプル部の開閉動作の滑らかさの程度を「アガキ」と称しているが、蝶番を構成する連結部材同士をネジにより締め付けてアガキを調整している。ネジを強く締め付けるとテンプル部が折り畳まれた状態を安定して保持することができるが、アガキが悪くなり、テンプル部の開閉操作を円滑に行うことが困難になる。また、ネジを緩めると、アガキが良くなり、テンプル部の開閉操作が円滑になるが、折り畳み状態を保持しづらくなる。したがって、ネジによるアガキの調整は折り畳み状態の保持についても念頭におきながら行う必要があり、また、左右のテンプル部を同じアガキの程度にすることも必要である。さらに、テンプル部の開閉操作を何回か繰り返すと、蝶番にネジの緩みや連結部材の摺動部分に削りカスが発生して一定のアガキを維持することが困難になることがある。
【0004】
そこで、例えば、特許文献1では、蝶番に用いるワッシャとして、表面に固体潤滑剤を含有した樹脂コーティング層を施した金属製ワッシャが記載されており、特許文献2には、潤滑剤を含むポリイミド樹脂粉末を圧縮プレスと焼成処理により成形された多孔性材料からなるワッシャが記載されている。いずれも潤滑剤によりアガキを円滑に行えると共に摩耗を抑えることを意図している。また、特許文献3には、導電性を有するフッ素樹脂からなる導電性ワッシャが記載されており、特許文献4には、金属製ワッシャ素材に潤滑性物質を適量配合したメッキ液中でメッキさせ、表面にメッキ層を形成したワッシャが記載されている。いずれも眼鏡フレーム全体のメッキに対応可能とすることを意図している。
【0005】
【特許文献1】
特開平6−130332号公報
【特許文献2】
特開平6−59219号公報
【特許文献3】
実開平7−34429号公報
【特許文献4】
特開平6−323325号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
以上の先行文献では、ワッシャの表面に樹脂層やメッキ層を形成するといった複雑な工程を必要とし、非常にコストがかかる。また、こうした層を形成すると、長年の使用により摩耗や剥離により層自体が消滅するおそれもある。
【0007】
近年眼鏡フレームの軽量化が進み、フレーム自体の材料として軽い材料が選択され、また、形状もより薄く幅の小さくなってきている。こうした眼鏡フレームの変化に対応して蝶番も全体の形状を小型化し幅についても小さくなってきている。したがって、ワッシャについても薄くする必要があり、また、蝶番の連結部材が小さくなるとネジの締め付けに対して弱くなり、締め付け程度のわずかな違いによりアガキが変化し、調整が難しくなってくる。
【0008】
そこで、本発明は、良いアガキの状態を確保できると共にその調整も容易で、長期間の使用に対しても設定したアガキを安定して維持することが可能な眼鏡用蝶番及びそれを備えた眼鏡フレームを提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る眼鏡用蝶番は、レンズを保持する枠体にテンプル部を折り畳み自在に連結する眼鏡用蝶番において、前記枠体に固着される第一連結部材と前記テンプル部に固着される第二連結部材を連結し、第一連結部材及び第二連結部材の互いに対向する摺動面の間にリン青銅からなるワッシャを装着していることを特徴とする。さらに、前記第一連結部材と前記第二連結部材とはネジにより連結されていることを特徴とする。さらに、ネジの挿着方向の幅が1.4mmから6mmであることを特徴とする。
【0010】
本発明に係る眼鏡フレームは、上記の眼鏡用蝶番を一体として備えていることを特徴とする。
【0011】
ワッシャをリン青銅から構成することで、耐摩耗性、耐疲労性が良くなり、第一連結部材及び第二連結部材の締め付けを強くしてもアガキを確保することでき、テンプル部の折り畳み状態を安定して維持すると共にアガキを良くすることが可能となる。そして、長期間の使用に対してもネジの緩みや連結部材との摺動面での摩耗の発生することがなく、設定されたアガキが安定して維持される。また、ネジの締め付けを強くしてもアガキが確保できるためアガキの調整が容易で、左右のテンプル部の同じアガキに設定することも容易にできる。
【0012】
そして、リン青銅の地金だけで構成されるので、展延性や被削性が良好なことからプレス加工や切削加工等により簡単に製造することができ、厚みを薄くすることが可能となる。また、メッキを行うこともでき、耐熱性や耐酸性も有していることから、眼鏡フレームへの取り付け加工の際にも容易に行うことができる。
【0013】
ネジの装着方向の幅が1.4mmから6mmの幅の小さい蝶番の場合には、上述したようにネジの締め付けに対して連結部材が弱くなり、締め付け程度のわずかな違いによりアガキが変化しやすいが、リン青銅からなるワッシャを用いることで締め付けが強くなってもアガキが確保できるようになり、またワッシャ自体の厚みが薄いので蝶番の小型化をさらに可能とする。特に、眼鏡フレーム自体の幅が小さくなってくると、フレーム自体の強度が弱くなるため、アガキが悪いとテンプル部を開閉操作する際にテンプル部が変形したり、最悪の場合は折れてしまうこともあるが、リン青銅からなるワッシャを用いることでこうした問題も防止できる。
【0014】
そして、蝶番が一体となった眼鏡フレームにも蝶番に上記のリン青銅からなるワッシャを用いたものを使用することでアガキが良く、またアガキの良い状態を安定して維持できる眼鏡フレームとすることが可能となる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基づいて詳しく説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明を実施するにあたって好ましい具体例であるから、技術的に種々の限定がなされているが、本発明は、以下の説明において特に本発明を限定する旨明記されていない限り、これらの形態に限定されるものではない。
【0016】
図1は、眼鏡に関する平面図である。図2は、図1に用いられる蝶番を分解した斜視図である。
【0017】
図1において、レンズ枠体1の左端部にはテンプル部2aが蝶番3aを介して取り付けられており、右端部にはテンプル部2bが蝶番3bを介して取り付けられている。レンズ枠体1は、左右2つのレンズ10a、10bを保持するリム11a、11bと、リム11a及び11bを連結するブリッジ12と、リム11a、11bに固着されたヨロイ部13a、13bとからなり、蝶番3a、3bは、それぞれヨロイ部13a、13bに固着されている。また、リム11a、11bには、鼻に係止するための鼻パッド14a、14bがそれぞれ取り付けられている。テンプル部2a、2bには、耳に掛けるためのモダン15a、15bがそれぞれ挿着されている。テンプル部及びレンズ枠体はチタン等の金属で成形されており、モダンはシリコン系の樹脂からなる。
【0018】
蝶番3a、3bは、図2に示すように、連結部材30a、30bをネジ39により締め付けて構成される。連結部材30a、30bは、チタン等の金属から成形されており、それぞれ台座31、32がテンプル部又はヨロイ部にロウ付けにより固着される。連結部材30aは、台座31にコマ33が一体となって設けられており、コマ33の中央部分には円形の孔34が形成されている。連結部材30bは、台座32にコマ35、37が一体となって設けられており、コマ35及び37にはそれぞれ円形の孔36及び38が形成されている。コマ35とコマ37の間にはコマ33が嵌合されるだけの間隙が空けられており、コマ33が嵌装された状態で、孔34、36及び38の中心軸は、同軸上に配列されるようになる。孔34の上下にはリン青銅からなるワッシャ40、41が嵌合される。ワッシャ40及び41は、ドーナツ状の円板の孔の周囲が折り曲げられて筒状に嵌合部42が突設されている。それぞれ嵌合部42を孔34にはめ込むことでワッシャ40、41を取り付けた後、コマ33をコマ35及び37の間に嵌装して同軸上に配列された孔34、36及び38にネジ39を挿着して締め付け、連結部材30a及び30bを連結する。この状態で、ワッシャ40はコマ33及びコマ35の互いに対向する摺動面の間に挟持され、ワッシャ41はコマ33及びコマ37の互いに対向する摺動面の間に挟持される。
【0019】
テンプル部を開閉操作すると、リン青銅からなるワッシャ40及び41を介して連結部材30a、30bが摺動するので、滑らかに回動し、削りカス等が発生することがない。また、蝶番のネジ39の挿着方向の幅が6mm以下になると、コマ35及び37の厚みが薄くなり、ネジの締め付けに対して弱くなるため、ネジの締め付け程度によりアガキが変化しやすいが、リン青銅からなるワッシャ40及び41により強く締め付けてもアガキを確保することができる。また、左右の蝶番でネジの締め付けの程度が異なっていても、一定のアガキが確保できるので、左右の調整が容易である。
【0020】
ワッシャに用いるリン青銅は、Cu−Sn−P系の合金で、その組成は、Sn3〜9%、P0.03〜0.35%、Cu91〜97%の範囲で設定される。展延性、耐疲労性、耐摩耗性に優れており、板材でのプレス加工や棒材での切削加工でワッシャに加工することが可能である。また、展延性に優れているため厚みを薄くすることも可能で0.05〜0.1mm程度の厚さにすることもできる。したがって、蝶番全体のネジの挿着方向の厚みを薄くすることができ、1.4mm程度に設定することが可能である。このように、蝶番を薄くできると、テンプル部やレンズ枠体を細幅にして軽量化しても十分対応することが可能となる。そして、リン青銅にはニッケル(Ni)が含まれていないので、眼鏡装着時等に問題となるニッケルアレルギーが生じることがない。
【0021】
図2の蝶番で連結部材30a、30bをチタンで成形し、ネジの挿着方向の厚みを1.6mmとし、0.1mmの厚みでリン青銅からなるワッシャを用いたものを眼鏡フレームに固着してテンプル部を5,000回開閉操作した。その結果ネジの緩みは生じることなく、当初設定したアガキが維持されていた。連結部材のコマには、摺動による削りカス等は発生していなかった。同様の蝶番にリン青銅のワッシャの代わりに洋白からなるワッシャを用いて潤滑油を予め注入させたものについてテンプル部を開閉操作させると、500回程度でネジの緩みが発生して、テンプル部の折り曲げ状態を保持できなくなった。また、ネジを緩まないように締め付けて行うと、摩耗して削りカスが詰まりテンプル部のアガキが悪くなった。このように、リン青銅からなるワッシャは、潤滑油等を注入しなくても良いアガキの状態を安定して維持することができる。
【0022】
以上のことから、リン青銅からなるワッシャを用いることで、従来のものに比べて格段に長い期間にわたって安定したアガキを維持するとともに潤滑油の注入等の作業も不要となる。
【0023】
また、上記の実施形態では、ネジを用いた蝶番について説明したが、蝶番が一体化した眼鏡フレームでも、リン青銅からなるワッシャを用いることができる。例えば、テンプル部の端部に蝶番の一方の連結部材を形成し、対応するヨロイ部の端部に蝶番の他方の連結部材を形成して、両者を連結する際に対向する摺動面の間にリン青銅からなるワッシャを装着すれば上述したようにアガキの良い状態を確保できる。
【0024】
【発明の効果】
以上に説明したとおり、本発明に係る眼鏡用蝶番は、耐摩耗性、耐疲労性が良くなり、第一連結部材及び第二連結部材の締め付けを強くしてもアガキを確保することでき、テンプル部の折り畳み状態を安定して維持すると共にアガキを良くすることが可能となる。そして、長期間の使用に対してもネジの緩みや連結部材との摺動面での摩耗の発生することがなく、設定されたアガキが安定して維持される。また、ネジの締め付けを強くしてもアガキが確保できるためアガキの調整が容易で、左右のテンプル部の同じアガキに設定することも容易にできる。
【0025】
そして、リン青銅の地金だけで構成されるので、展延性や被削性が良好なことからプレス加工や切削加工等により簡単に製造することができ、厚みを薄くすることが可能となる。また、メッキを行うこともでき、耐熱性や耐酸性も有していることから、眼鏡フレームへの取り付け加工の際にも容易に行うことができる。
【0026】
ネジの装着方向の幅が1.4mmから6mmの幅の小さい蝶番の場合には、上述したようにネジの締め付けに対して連結部材が弱くなり、締め付け程度のわずかな違いによりアガキが変化しやすいが、リン青銅からなるワッシャを用いることで締め付けが強くなってもアガキが確保できるようになり、またワッシャ自体の厚みが薄いので蝶番の小型化をさらに可能とする。特に、眼鏡フレーム自体の幅が小さくなってくると、フレーム自体の強度が弱くなるため、アガキが悪いとテンプル部を開閉操作する際にテンプル部が変形したり、最悪の場合は折れてしまうこともあるが、リン青銅からなるワッシャを用いることでこうした問題も防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る蝶番を備えた眼鏡フレームの平面図である。
【図2】図1の蝶番の分解斜視図である。
【符号の説明】
1 レンズ枠体
2 テンプル部
3 蝶番
30 連結部材
39 ネジ
40 ワッシャ
41 ワッシャ
Claims (5)
- レンズを保持する枠体にテンプル部を折り畳み自在に連結する眼鏡用蝶番において、前記枠体に固着される第一連結部材と前記テンプル部に固着される第二連結部材を連結し、第一連結部材及び第二連結部材の互いに対向する摺動面の間にリン青銅からなるワッシャを装着していることを特徴とする眼鏡用蝶番。
- 前記ワッシャは、薄板で形成されていることを特徴とする請求項1に記載の眼鏡用蝶番。
- 前記第一連結部材と前記第二連結部材とはネジにより連結されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の眼鏡用蝶番。
- ネジの挿着方向の幅が1.4mmから6mmであることを特徴とする請求項3に記載の眼鏡用蝶番。
- 請求項1から4のいずれかに記載の眼鏡用蝶番を一体として備えていることを特徴とする眼鏡フレーム。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003178200A JP3985738B2 (ja) | 2003-06-23 | 2003-06-23 | 眼鏡用蝶番及びそれを備えた眼鏡フレーム |
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JP2005017363A true JP2005017363A (ja) | 2005-01-20 |
JP3985738B2 JP3985738B2 (ja) | 2007-10-03 |
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Cited By (2)
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KR101440014B1 (ko) * | 2012-09-28 | 2014-09-12 | 주식회사 디케이 | 안경테와 안경다리의 체결구조 |
KR20210103713A (ko) * | 2020-02-14 | 2021-08-24 | 박찬영 | 금속제 전용 안경다리와 안경테의 힌지 연결을 위한 결합구조 |
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2003
- 2003-06-23 JP JP2003178200A patent/JP3985738B2/ja not_active Expired - Lifetime
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