JP2005016618A - A/t車両の自動変速装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】車両停止時のニュートラル制御中に車両の後退を効果的に防止すると共に円滑且つ迅速な発進を可能とするA/T車両の自動変速装置を提供する。
【解決手段】トルクコンバータ2とエンジン回転軸7との間に設けられたクラッチ18と、トルクコンバータのタービン13とスタータモータ18とを係合させる係合手段9、14、15、17と、車両走行中はクラッチ18を係合状態とし、車両停止時にはクラッチを解放すると共にトルクコンバータをロックアップし、且つ係合手段を係合させる制御手段6とを備えた構成としている。
【選択図】 図1
【解決手段】トルクコンバータ2とエンジン回転軸7との間に設けられたクラッチ18と、トルクコンバータのタービン13とスタータモータ18とを係合させる係合手段9、14、15、17と、車両走行中はクラッチ18を係合状態とし、車両停止時にはクラッチを解放すると共にトルクコンバータをロックアップし、且つ係合手段を係合させる制御手段6とを備えた構成としている。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、停止時にトルクコンバータの損失を低減して燃料消費を低減するニュートラル制御を実施している際に発進時における車両の後退を防止すると共に円滑且つ迅速な発進を可能とするA/T車両の自動変速装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動変速装置を搭載した車両(以下「A/T車両」という)においては、走行レンジにおいて車両が停止したときに自動変速装置のフォワードクラッチを次の発進に備えて係合寸前の状態まで解放(半解放)させて動力遮断状態としたニュートラル制御を行い、トルクコンバータの動力損失を低減させてエンジンの燃料消費量を低減するようにしている。このニュートラル制御を実行している時は、トルクコンバータによるクリープ力を期待することができないために登坂路で停車した場合、ニュートラル制御を中止する制御や、自動変速装置のリバースブレーキを作動させて車両の後退を防止するヒルホールド制御が行われている(例えば、特許文献1に参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特許第2876110号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ニュートラル制御を中止すると燃料消費の低減効果が減少してしまう。また、リバースブレーキを作動させてヒルホールド制御を行うためには油圧を確保する必要がある。
本発明は、上述の点に鑑みてなされたもので、車両停止時のニュートラル制御中に車両の後退を効果的に防止すると共に円滑且つ迅速な発進を可能とするA/T車両の自動変速装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1の発明では、自動変速装置は、トルクコンバータとエンジン回転軸との間に設けられたクラッチと、前記トルクコンバータのタービンとスタータモータとを係合させる係合手段と、車両走行中は前記クラッチを係合状態とし、車両停止時には前記クラッチを解放すると共に前記トルクコンバータをロックアップし、且つ前記係合手段を係合させる制御手段とを備えた構成としている。
【0006】
車両走行中は、クラッチが係合されてエンジンの回転軸とトルクコンバータとが連結され、エンジンの駆動力が車輪に伝達される。制御手段は、車両が停止したと判断すると、クラッチの係合を解除してエンジン回転軸とトルクコンバータとを遮断する。次いで、トルクコンバータをロックアップし、係合手段により前記トルクコンバータとスタータモータとを連結する。エンジン回転軸とトルクコンバータとを遮断することによりニュートラル制御が行われる。エンジン回転軸とトルクコンバータとが完全に遮断されることで、エンジン負荷が大幅に軽減され、燃料消費量が低減される。また、スタータモータは、トルクコンバータに対してブレーキとして働く。
【0007】
請求項2の発明では、前記制御手段は、係合手段の係合時にスタータモータを短絡させる構成としている。スタータモータの両端を短絡することで外部から加えられる駆動負荷に対する回転抵抗が大きくなり、車両停止時に車両が後退するときにブレーキとして働く。
請求項3の発明では、前記制御手段は、車両が後退する場合に前記スタータモータを作動させる構成としている。スタータモータを作動させて駆動力を発生させることで、車両停止時に車両が後退するときに更なるブレーキ力を付与することができる。
【0008】
請求項4の発明では、前記制御手段は、車両の発進時に前記スタータモータを作動させる構成としている。車両の発進時にスタータモータを作動させることで、発進時のクラッチ係合までのタイムラグ中にクリープ状態を実現することができ、急激にクラッチを係合させてもショックの発生を回避することができ、ショック防止のための複雑なクラッチ制御を簡素化することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施例を例示的に詳しく説明する。
図1は、本発明に係るA/T車両の自動変速装置の実施の形態を示す骨子図である。図1に示すように自動変速装置1は、トルクコンバータ2、プラネタリギヤユニット3、無段変速機4、終減速装置5、及び油圧制御装置6等により構成されている。
【0010】
トルクコンバータ2は、ポンプカバー11、ポンプカバー11と一体に設けられたポンプ12、ポンプカバー11内にポンプ12と対向して相対回転可能に収納されたタービン13、ポンプ12とタービン13との間に介装されたステータ14、ポンプカバー11とタービン13との間に介在されたロックアップクラッチ15、ポンプカバー11のエンジン側の外周に設けられたスタータリングギヤ17、スタータリングギヤ17に設けられたニュートラル制御用クラッチ18等により構成されている。
【0011】
ポンプ12は、ニュートラル制御用クラッチ18を介してエンジンの回転軸7に接続されている。ニュートラル制御用クラッチ18は、通常状態において係合されてエンジンの回転軸7とポンプ12とを接続しており、ニュートラル制御時に係合を解放されてエンジンの回転軸7とポンプ12とを遮断する。トルクコンバータ2のスタータリングギヤ17は、スタータモータ8のピニオン9と噛合可能とされている。尚、スタータモータ8は、エンジン始動時にピニオン9がスタータリングギヤ17と噛合するタイプでもよく、或いは常時噛合しているタイプでもよい。そして、トルクコンバータ2のロックアップクラッチ15、スタータリングギヤ17、及びスタータモータ8のピニオン9により、トルクコンバータ2のタービン13とスタータモータ8とを係合させる係合手段が構成されている。
【0012】
プラネタリギヤユニット3は、ハウジング30、サンギヤ31、インターナルギヤ32、サンギヤ31とインターナルギヤ32との間に配置されてこれらと噛合する複数のピニオンギヤ33、及びピニオンギヤ33を支持するピニオンキャリア34から成る。トルクコンバータ2の出力軸16は、サンギヤ31に固定されている。プラネタリギヤユニット3の出力軸35は、ピニオンキャリア34に固定されている。トルクコンバータ2の出力軸16とピニオンキャリア34との間にフォワードクラッチ36が介装されており、インターナルギヤ32とハウジング30との間にリバースブレーキ37が介装されている。
【0013】
無段変速機4は、プライマリプーリ(入力軸プーリ)41、セカンダリプーリ(出力軸プーリ)42、及びこれらの間に掛回されたスチールベルト43から成り、プライマリプーリ41の回転軸(入力軸)がプラネタリギヤユニット3の出力軸35に連結され、セカンダリプーリ42の回転軸(出力軸)が減速ギヤ45、46、47、48から成る減速ギヤ機構49を介して終減速装置5に結合されている。終減速装置5の差動ギヤ51は、車輪軸55に連結されている。
【0014】
油圧制御装置6は、ロックアップクラッチ15、ニュートラル制御用クラッチ18、フォワードクラッチ36、リバースブレーキ37、プライマリプーリ41、セカンダリプーリ42等を制御する。電子制御装置(ECU)10は、セレクトレバーの位置を検出するセンサ、車速センサ、ブレーキペダルの作動を検出するセンサ(何れも図示せず)等からの信号に基づいて油圧制御装置6、スタータモータ8等を制御して自動変速装置1を制御する。
【0015】
以下に作用を説明する。
走行時においてニュートラル制御用クラッチ18が係合しており、エンジンの回転軸7とポンプ12とが結合されている。また、フォワードクラッチ36が係合され、リバースブレーキ37が解放されている。フォワードクラッチ36が係合されていることで、トルクコンバータ2の出力軸16とピニオンキャリア34とが連結され、リバースブレーキ37が解放されていることで、インターナルギヤ32が回転自在となる。従って、この状態においてプラネタリギヤユニット3は、トルクコンバータの出力軸16と出力軸35とを直結するカップリングとして機能し、プラネタリギヤ機構として機能しない。スタータモータ8のピニオン9は、スタータリングギヤ17との噛合を解除されている。この状態において、エンジンの出力は、回転軸7、トルクコンバータ2、プラネタリギヤユニット3、無段変速機4、減速ギヤ機構49を通して終減速装置5に伝達され、車輪軸55が回転駆動されて、駆動輪(図示せず)が回転駆動される。
【0016】
電子制御装置10は、走行時にブレーキペダルが操作されて車両が停止したと判断すると、ニュートラル制御用クラッチ18の係合を解除(以下「解放」という)する。ニュートラル制御用クラッチ18が解放されるとエンジン回転軸7とトルクコンバータ2のポンプ12とが遮断される。これにより、ニュートラル制御が行われる。エンジン回転軸7とトルクコンバータ2とが完全に遮断されることで、エンジンの動力損失がなくなり、エンジン負荷が大幅に軽減され、燃料消費量が低減される。
【0017】
次いで、トルクコンバータ2のロックアップクラッチ15が係合されてポンプカバー11とタービン13とが固定されると共に、スタータモータ8のピニオン9がスタータリングギヤ17に噛合され、スタータモータ8の両端子が短絡される。スタータモータ8は、両端子が短絡されることで駆動負荷が増大し、スタータリングギヤ17の回転に対して負荷を付与することとなる。即ち、スタータモータ8は、トルクコンバータ2に対してブレーキとして作動する。そして、トルクコンバータ2は、停止している。
【0018】
車両が登坂路で停止した場合、発進時にブレーキペダルが解放され、車輪のブレーキが解放されると車両に後退する力が作用し、車輪から終減速装置5、減速ギヤ機構49、無段変速機4を経てプラネタリギヤユニット3の出力軸35に車両後退方向の回転力(以下「後退トルク」という)が伝達される。この後退トルクは、ピニオンキャリア34、ピニオンギヤ33、インターナルギヤ32を通してサンギヤ31に伝達される間に減衰されてトルクコンバータ2の出力軸16に伝達される。トルクコンバータ2は、スタータモータ8によりブレーキ力が付与されており、前記後退トルクによる回転が阻止される。即ち、スタータモータ8は、ニュートラル制御を実行している状態において車両が後退するときにブレーキとして作動する。
【0019】
スタータモータ8の回転は、電流―電圧の関係から判断される。そこで、登坂路の勾配が強く、ブレーキが解放されたときに電子制御装置10が車両後退と判断した場合には、スタータモータ8に電圧を印加して駆動力を発生させ、トルクコンバータ2に車両前進方向のトルクを付与する。これにより、トルクコンバータ2に更なるブレーキ力を付与することができる。このようにして、ヒルホールド制御を行う。
【0020】
また、スタータモータ8に通電して駆動力を発生させることにより、車両発進時にニュートラル制御用クラッチ18が係合されるまでのタイムラグの間トルクコンバータ2にクリープ状態を実現することができる。これにより、ニュートラル制御用クラッチ18を急激に係合させてもショックの発生を回避することができ、ショック防止のための複雑なクラッチ制御を簡素化することができる。尚、スタータモータ8に通電してトルクコンバータ2にクリープを発生させる制御は、登坂路における発進に限るものではなく、通常の発進時に適用してもよい。
【0021】
【発明の効果】
請求項1の発明では、車両停止時にエンジン回転軸と自動変速装置のトルクコンバータとを遮断してニュートラル制御を行うことにより、エンジン負荷が大幅に軽減され、燃料消費量が低減される。また、ニュートラル制御中の車両の後退を効果的に防止することができる。
【0022】
請求項2の発明では、スタータモータの両端を短絡することで外部から加えられる駆動負荷に対する回転抵抗が大きくなり、車両停止時に車両が後退するときにブレーキとして働き、ニュートラル制御中の車両の後退を効果的に防止することができる。
請求項3の発明では、スタータモータを作動させて駆動力を発生させることで、車両停止時に車両が後退するときに更なるブレーキ力を付与することができる。
【0023】
請求項4の発明では、車両の発進時にスタータモータを作動させることで、発進時のクラッチ係合までのタイムラグ中にクリープ状態を実現することができ、急激にクラッチを係合させてもショックの発生を回避することができ、ショック防止のための複雑なクラッチ制御を簡素化することができると共に、迅速な発進が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るA/T車両の自動変速装置の実施形態を示す骨子図である。
【符号の説明】
1 自動変速装置
2 トルクコンバータ
3 プラネタリギヤユニット
4 無段変速機
5 終減速機
6 油圧制御装置
7 エンジン回転軸
8 スタータモータ
9 ピニオン
10 電子制御装置(ECU)
12 ポンプ
13 タービン
17 スタータリングギヤ
18 ニュートラル制御用クラッチ
36 フォワードクラッチ
37 リバースブレーキ
【発明の属する技術分野】
本発明は、停止時にトルクコンバータの損失を低減して燃料消費を低減するニュートラル制御を実施している際に発進時における車両の後退を防止すると共に円滑且つ迅速な発進を可能とするA/T車両の自動変速装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動変速装置を搭載した車両(以下「A/T車両」という)においては、走行レンジにおいて車両が停止したときに自動変速装置のフォワードクラッチを次の発進に備えて係合寸前の状態まで解放(半解放)させて動力遮断状態としたニュートラル制御を行い、トルクコンバータの動力損失を低減させてエンジンの燃料消費量を低減するようにしている。このニュートラル制御を実行している時は、トルクコンバータによるクリープ力を期待することができないために登坂路で停車した場合、ニュートラル制御を中止する制御や、自動変速装置のリバースブレーキを作動させて車両の後退を防止するヒルホールド制御が行われている(例えば、特許文献1に参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特許第2876110号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ニュートラル制御を中止すると燃料消費の低減効果が減少してしまう。また、リバースブレーキを作動させてヒルホールド制御を行うためには油圧を確保する必要がある。
本発明は、上述の点に鑑みてなされたもので、車両停止時のニュートラル制御中に車両の後退を効果的に防止すると共に円滑且つ迅速な発進を可能とするA/T車両の自動変速装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1の発明では、自動変速装置は、トルクコンバータとエンジン回転軸との間に設けられたクラッチと、前記トルクコンバータのタービンとスタータモータとを係合させる係合手段と、車両走行中は前記クラッチを係合状態とし、車両停止時には前記クラッチを解放すると共に前記トルクコンバータをロックアップし、且つ前記係合手段を係合させる制御手段とを備えた構成としている。
【0006】
車両走行中は、クラッチが係合されてエンジンの回転軸とトルクコンバータとが連結され、エンジンの駆動力が車輪に伝達される。制御手段は、車両が停止したと判断すると、クラッチの係合を解除してエンジン回転軸とトルクコンバータとを遮断する。次いで、トルクコンバータをロックアップし、係合手段により前記トルクコンバータとスタータモータとを連結する。エンジン回転軸とトルクコンバータとを遮断することによりニュートラル制御が行われる。エンジン回転軸とトルクコンバータとが完全に遮断されることで、エンジン負荷が大幅に軽減され、燃料消費量が低減される。また、スタータモータは、トルクコンバータに対してブレーキとして働く。
【0007】
請求項2の発明では、前記制御手段は、係合手段の係合時にスタータモータを短絡させる構成としている。スタータモータの両端を短絡することで外部から加えられる駆動負荷に対する回転抵抗が大きくなり、車両停止時に車両が後退するときにブレーキとして働く。
請求項3の発明では、前記制御手段は、車両が後退する場合に前記スタータモータを作動させる構成としている。スタータモータを作動させて駆動力を発生させることで、車両停止時に車両が後退するときに更なるブレーキ力を付与することができる。
【0008】
請求項4の発明では、前記制御手段は、車両の発進時に前記スタータモータを作動させる構成としている。車両の発進時にスタータモータを作動させることで、発進時のクラッチ係合までのタイムラグ中にクリープ状態を実現することができ、急激にクラッチを係合させてもショックの発生を回避することができ、ショック防止のための複雑なクラッチ制御を簡素化することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施例を例示的に詳しく説明する。
図1は、本発明に係るA/T車両の自動変速装置の実施の形態を示す骨子図である。図1に示すように自動変速装置1は、トルクコンバータ2、プラネタリギヤユニット3、無段変速機4、終減速装置5、及び油圧制御装置6等により構成されている。
【0010】
トルクコンバータ2は、ポンプカバー11、ポンプカバー11と一体に設けられたポンプ12、ポンプカバー11内にポンプ12と対向して相対回転可能に収納されたタービン13、ポンプ12とタービン13との間に介装されたステータ14、ポンプカバー11とタービン13との間に介在されたロックアップクラッチ15、ポンプカバー11のエンジン側の外周に設けられたスタータリングギヤ17、スタータリングギヤ17に設けられたニュートラル制御用クラッチ18等により構成されている。
【0011】
ポンプ12は、ニュートラル制御用クラッチ18を介してエンジンの回転軸7に接続されている。ニュートラル制御用クラッチ18は、通常状態において係合されてエンジンの回転軸7とポンプ12とを接続しており、ニュートラル制御時に係合を解放されてエンジンの回転軸7とポンプ12とを遮断する。トルクコンバータ2のスタータリングギヤ17は、スタータモータ8のピニオン9と噛合可能とされている。尚、スタータモータ8は、エンジン始動時にピニオン9がスタータリングギヤ17と噛合するタイプでもよく、或いは常時噛合しているタイプでもよい。そして、トルクコンバータ2のロックアップクラッチ15、スタータリングギヤ17、及びスタータモータ8のピニオン9により、トルクコンバータ2のタービン13とスタータモータ8とを係合させる係合手段が構成されている。
【0012】
プラネタリギヤユニット3は、ハウジング30、サンギヤ31、インターナルギヤ32、サンギヤ31とインターナルギヤ32との間に配置されてこれらと噛合する複数のピニオンギヤ33、及びピニオンギヤ33を支持するピニオンキャリア34から成る。トルクコンバータ2の出力軸16は、サンギヤ31に固定されている。プラネタリギヤユニット3の出力軸35は、ピニオンキャリア34に固定されている。トルクコンバータ2の出力軸16とピニオンキャリア34との間にフォワードクラッチ36が介装されており、インターナルギヤ32とハウジング30との間にリバースブレーキ37が介装されている。
【0013】
無段変速機4は、プライマリプーリ(入力軸プーリ)41、セカンダリプーリ(出力軸プーリ)42、及びこれらの間に掛回されたスチールベルト43から成り、プライマリプーリ41の回転軸(入力軸)がプラネタリギヤユニット3の出力軸35に連結され、セカンダリプーリ42の回転軸(出力軸)が減速ギヤ45、46、47、48から成る減速ギヤ機構49を介して終減速装置5に結合されている。終減速装置5の差動ギヤ51は、車輪軸55に連結されている。
【0014】
油圧制御装置6は、ロックアップクラッチ15、ニュートラル制御用クラッチ18、フォワードクラッチ36、リバースブレーキ37、プライマリプーリ41、セカンダリプーリ42等を制御する。電子制御装置(ECU)10は、セレクトレバーの位置を検出するセンサ、車速センサ、ブレーキペダルの作動を検出するセンサ(何れも図示せず)等からの信号に基づいて油圧制御装置6、スタータモータ8等を制御して自動変速装置1を制御する。
【0015】
以下に作用を説明する。
走行時においてニュートラル制御用クラッチ18が係合しており、エンジンの回転軸7とポンプ12とが結合されている。また、フォワードクラッチ36が係合され、リバースブレーキ37が解放されている。フォワードクラッチ36が係合されていることで、トルクコンバータ2の出力軸16とピニオンキャリア34とが連結され、リバースブレーキ37が解放されていることで、インターナルギヤ32が回転自在となる。従って、この状態においてプラネタリギヤユニット3は、トルクコンバータの出力軸16と出力軸35とを直結するカップリングとして機能し、プラネタリギヤ機構として機能しない。スタータモータ8のピニオン9は、スタータリングギヤ17との噛合を解除されている。この状態において、エンジンの出力は、回転軸7、トルクコンバータ2、プラネタリギヤユニット3、無段変速機4、減速ギヤ機構49を通して終減速装置5に伝達され、車輪軸55が回転駆動されて、駆動輪(図示せず)が回転駆動される。
【0016】
電子制御装置10は、走行時にブレーキペダルが操作されて車両が停止したと判断すると、ニュートラル制御用クラッチ18の係合を解除(以下「解放」という)する。ニュートラル制御用クラッチ18が解放されるとエンジン回転軸7とトルクコンバータ2のポンプ12とが遮断される。これにより、ニュートラル制御が行われる。エンジン回転軸7とトルクコンバータ2とが完全に遮断されることで、エンジンの動力損失がなくなり、エンジン負荷が大幅に軽減され、燃料消費量が低減される。
【0017】
次いで、トルクコンバータ2のロックアップクラッチ15が係合されてポンプカバー11とタービン13とが固定されると共に、スタータモータ8のピニオン9がスタータリングギヤ17に噛合され、スタータモータ8の両端子が短絡される。スタータモータ8は、両端子が短絡されることで駆動負荷が増大し、スタータリングギヤ17の回転に対して負荷を付与することとなる。即ち、スタータモータ8は、トルクコンバータ2に対してブレーキとして作動する。そして、トルクコンバータ2は、停止している。
【0018】
車両が登坂路で停止した場合、発進時にブレーキペダルが解放され、車輪のブレーキが解放されると車両に後退する力が作用し、車輪から終減速装置5、減速ギヤ機構49、無段変速機4を経てプラネタリギヤユニット3の出力軸35に車両後退方向の回転力(以下「後退トルク」という)が伝達される。この後退トルクは、ピニオンキャリア34、ピニオンギヤ33、インターナルギヤ32を通してサンギヤ31に伝達される間に減衰されてトルクコンバータ2の出力軸16に伝達される。トルクコンバータ2は、スタータモータ8によりブレーキ力が付与されており、前記後退トルクによる回転が阻止される。即ち、スタータモータ8は、ニュートラル制御を実行している状態において車両が後退するときにブレーキとして作動する。
【0019】
スタータモータ8の回転は、電流―電圧の関係から判断される。そこで、登坂路の勾配が強く、ブレーキが解放されたときに電子制御装置10が車両後退と判断した場合には、スタータモータ8に電圧を印加して駆動力を発生させ、トルクコンバータ2に車両前進方向のトルクを付与する。これにより、トルクコンバータ2に更なるブレーキ力を付与することができる。このようにして、ヒルホールド制御を行う。
【0020】
また、スタータモータ8に通電して駆動力を発生させることにより、車両発進時にニュートラル制御用クラッチ18が係合されるまでのタイムラグの間トルクコンバータ2にクリープ状態を実現することができる。これにより、ニュートラル制御用クラッチ18を急激に係合させてもショックの発生を回避することができ、ショック防止のための複雑なクラッチ制御を簡素化することができる。尚、スタータモータ8に通電してトルクコンバータ2にクリープを発生させる制御は、登坂路における発進に限るものではなく、通常の発進時に適用してもよい。
【0021】
【発明の効果】
請求項1の発明では、車両停止時にエンジン回転軸と自動変速装置のトルクコンバータとを遮断してニュートラル制御を行うことにより、エンジン負荷が大幅に軽減され、燃料消費量が低減される。また、ニュートラル制御中の車両の後退を効果的に防止することができる。
【0022】
請求項2の発明では、スタータモータの両端を短絡することで外部から加えられる駆動負荷に対する回転抵抗が大きくなり、車両停止時に車両が後退するときにブレーキとして働き、ニュートラル制御中の車両の後退を効果的に防止することができる。
請求項3の発明では、スタータモータを作動させて駆動力を発生させることで、車両停止時に車両が後退するときに更なるブレーキ力を付与することができる。
【0023】
請求項4の発明では、車両の発進時にスタータモータを作動させることで、発進時のクラッチ係合までのタイムラグ中にクリープ状態を実現することができ、急激にクラッチを係合させてもショックの発生を回避することができ、ショック防止のための複雑なクラッチ制御を簡素化することができると共に、迅速な発進が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るA/T車両の自動変速装置の実施形態を示す骨子図である。
【符号の説明】
1 自動変速装置
2 トルクコンバータ
3 プラネタリギヤユニット
4 無段変速機
5 終減速機
6 油圧制御装置
7 エンジン回転軸
8 スタータモータ
9 ピニオン
10 電子制御装置(ECU)
12 ポンプ
13 タービン
17 スタータリングギヤ
18 ニュートラル制御用クラッチ
36 フォワードクラッチ
37 リバースブレーキ
Claims (4)
- A/T車両の自動変速装置において、
トルクコンバータとエンジン回転軸との間に設けられたクラッチと、
前記トルクコンバータのタービンとスタータモータとを係合させる係合手段と、
車両走行中は前記クラッチを係合状態とし、車両停止時には前記クラッチを解放すると共に前記トルクコンバータをロックアップし、且つ前記係合手段を係合させる制御手段と
を備えたことを特徴とするA/T車両の自動変速装置。 - 前記制御手段は、係合手段の係合時にスタータモータを短絡させることを特徴とする請求項1記載のA/T車両の自動変速装置。
- 前記制御手段は、車両が後退する場合に前記スタータモータを作動させることを特徴とする請求項2記載のA/T車両の自動変速装置。
- 前記制御手段は、車両の発進時に前記スタータモータを作動させることを特徴とする請求項2記載のA/T車両の自動変速装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003181550A JP2005016618A (ja) | 2003-06-25 | 2003-06-25 | A/t車両の自動変速装置 |
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Cited By (2)
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JP2013522544A (ja) * | 2010-02-23 | 2013-06-13 | イートン コーポレーション | 車両用のトルクコンバータ制御 |
CN111942171A (zh) * | 2019-05-14 | 2020-11-17 | 株式会社艾科赛迪 | 驱动单元 |
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2003
- 2003-06-25 JP JP2003181550A patent/JP2005016618A/ja not_active Withdrawn
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CN111942171A (zh) * | 2019-05-14 | 2020-11-17 | 株式会社艾科赛迪 | 驱动单元 |
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