JP2005016445A - 内燃機関のバルブタイミング制御装置 - Google Patents

内燃機関のバルブタイミング制御装置 Download PDF

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計司 金子
Yoshito Moriya
嘉人 守谷
Tadao Hasegawa
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Abstract

【課題】ロック機構がロック解除状態にあるか否かの判定を速やかに且つ正確に行うことのできる内燃機関のバルブタイミング制御装置を提供する。
【解決手段】ロック機構30は、ハウジング11に対するベーン体12の相対回転位相を所定の位相にロック可能である。ロック機構30は、ロック穴32に対して近接離間する方向に往復動可能なロックピン31がロック穴32に挿入されベーン体12の相対回転位相をロックするロック状態と、ロックピン31がロック穴32から離脱され同ロックが解除されたロック解除状態とに切り換えられるようになっている。変位センサ40は、ロックピン31の往復動方向における位置を直接検出する。電子制御装置25は、その検出結果に基づいてロック機構30がロック解除状態にあるか否かを判定可能である。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、機関バルブのバルブタイミングを変更可能な内燃機関のバルブタイミング制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、こうした内燃機関のバルブタイミング制御装置としては、例えば、特許文献1に記載されたものがある。この構成においては、内燃機関のクランク軸と同期回転可能に駆動連結された第1回転体と、カム軸と一体回転可能に駆動連結された第2回転体とが設けられている。前記第2回転体は、前記第1回転体内において同第1回転体と相対回動可能に収容されており、同第1回転体内には、同第1回転体に対する前記第2回転体の相対回転位相を変更するための作動流体が供給される進角側圧力室及び遅角側圧力室が区画形成されている。
【0003】
また前記構成においては、前記第2回転体の相対回転位相を所定の位相にロック可能なロック機構が設けられている。このロック機構は、前記第1回転体に設けられたロック穴に対して近接離間する方向に往復動可能なロックピンを前記第2回転体に備えている。そして前記ロック機構は、前記ロックピンが前記ロック穴に挿入され前記第2回転体の相対回転位相をロックするロック状態と、前記ロックピンが前記ロック穴から離脱され同ロックが解除されたロック解除状態とに切り換えられるようになっている。
【0004】
このように構成されたバルブタイミング制御装置にあっては、前記バルブタイミングを変更すべく前記第2回転体の相対回転位相を制御する際に、前記ロック機構がロック解除状態にあるか否かを判定し、ロック解除状態にある場合にのみ前記第2回転体の相対回動のための流体供給を行うようにしている。これは、例えば前記ロックピンが前記ロック穴に挿入された状態で前述の流体供給が行われると、前記ロックピンと前記ロック穴の内壁とがかじって同ロックピンの変位が規制されて一時的に前記制御が不能になったり、同ロックピンや同ロック穴が損傷する虞があるためである。
【0005】
一般に、ロック機構がロック解除状態にあるか否かの判定は、同判定を行うために前記第2回転体を相対回動させるべく両圧力室の少なくとも一方に流体供給を行い、前記第1回転体に対する前記第2回転体の目標相対回転位相と実相対回転位相との偏差や、実相対回転位相の変化量を検出することで行われている。
【0006】
【特許文献1】
特開2001−159330号公報(第4−6頁、第1−7図)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら前述の構成では、前記ロック機構がロック解除状態にあるか否かの判定を行うために、前記第2回転体を相対回動させるべく前記両圧力室の少なくとも一方に作動流体を供給する必要がある。つまり、従来のバルブタイミング制御装置にあっては、前述の作動流体の供給が開始されてから前記第2回転体の相対回転位相の偏差や変化量が検出されるまでに時間が費やされることで応答遅れが生じ、判定時間が長くなりがちとなる。
【0008】
またこの場合には、例えば、作動流体が高温で粘度が低く漏れ易い状態である場合や、長期間機関停止され作動流体が前記圧力室から抜け出た状態での機関始動時など、流体圧の立上がりがゆっくりな場合であっても正確な判定が行えるように、これらの場合を想定して判定時間を長めに設定する必要がある。これは、判定時間の短縮を困難とする要因となる。仮にこうした判定時間を極力短く設定しておくと、前述したような流体圧の立上がりがゆっくりな場合に誤判定が生じる虞がある。
【0009】
本発明はこうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ロック機構がロック解除状態にあるか否かの判定を速やかに且つ正確に行うことのできる内燃機関のバルブタイミング制御装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について記載する。
先ず、請求項1に記載の発明は、クランク軸に同期回転可能に駆動連結された第1回転体と、カム軸に同期回転可能に駆動連結され前記第1回転体に対し相対回動することで内燃機関のバルブタイミングを変更可能な第2回転体と、前記第1回転体に対する前記第2回転体の相対回転位相を変更するための作動流体が供給される進角側圧力室及び遅角側圧力室と、前記第2回転体の相対回転位相を所定の位相にロック可能なロック機構とを備え、同ロック機構は前記両回転体の一方に設けられたロック穴に対して近接離間する方向に往復動可能なロックピンを他方に有し、同ロックピンが前記ロック穴に挿入され前記第2回転体の相対回転位相をロックするロック状態と前記ロックピンが前記ロック穴から離脱され同ロックが解除されたロック解除状態とに切り換えられる内燃機関のバルブタイミング制御装置において、前記ロックピンの往復動方向における位置を直接検出する検出手段と、その検出結果に基づいて前記ロック機構が前記ロック解除状態にあるか否かを判定可能なロック状態判定手段とを備えることをその要旨とする。
【0011】
同構成によれば、前記ロックピンの往復動方向における位置が直接的に検出されるため、例えば前記第1回転体に対する前記第2回転体の相対回転位相に基づくことなく、前記ロック機構が前記ロック解除状態にあるか否かが判定され得るようになる。従って例えば、前記第1回転体に対する前記第2回転体の目標相対回転位相と実相対回転位相との偏差や、実相対回転位相の変化量を検出することで間接的に前述の判定を行う従来の態様と異なり、同判定を行うために前記各圧力室に作動流体を供給する必要がない。すなわち、前述の作動流体の供給が開始されてから前記第2回転体の相対回転位相の偏差や変化量が検出されるまでに費やされる時間に起因した応答遅れの影響を受けることがない。また、前記判定を行うことを目的とした前記各圧力室への流体供給を行う必要がないため、例えば、流体圧の立上がりがゆっくりな場合等の誤判定を防止するために判定時間を長く確保するといったことが不要となる。従って、ロック機構がロック解除状態にあるか否かの判定を速やかに且つ正確に行うことができるようになる。
【0012】
なお本発明においては、前記ロックピンの往復動方向における位置を直接検出する態様として、例えば渦電流式や作動トランス式等の変位センサを用いた態様のみならず、例えば、前記ロックピンの変位に伴い圧力が変動する圧力室を上記遅角側圧力室及び進角側圧力室とは各別に設けるとともにその圧力室の圧力を検出し、この検出値をパラメータ変換することで前記ロックピンの位置を算出するようにした態様も含まれる。また、前記検出手段としては、前記ロックピンの位置を前記往復動方向において連続的に検出するもののみならず、例えば前記ロック機構がロック解除状態となる位置に前記ロックピンが配置されたことのみを検出する等、前記往復動方向において部分的に前記ロックピンの位置を検出するものも含まれる。
【0013】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記検出手段は、前記ロックピンの位置変化に対して遅れ要素を持たない物理量を検出するセンサであることをその要旨とする。
【0014】
例えば、前記第1回転体に対する前記第2回転体の目標相対回転位相と実相対回転位相との偏差や、実相対回転位相の変化量を検出することで前述の判定を行う従来の態様においては、前述したように、同判定を行うための前記作動流体の供給が開始されてから前記第2回転体の相対回転位相の偏差や変化量が検出されるまでに費やされる時間に起因した応答遅れが生じることとなる。
【0015】
本発明では、例えば前記ロックピンの位置に応じて変化する電気特性値等、前記ロックピンの位置変化に対して遅れ要素を持たない物理量を検出するようにしたため、前述の応答遅れ等の影響を受けることがなくなる。
【0016】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記センサは、前記ロックピンの往復動方向における位置に応じた渦電流の大きさを検出する渦電流式の変位センサであることをその要旨とする。
【0017】
同構成によれば、例えば、ロックピンの変位に伴い圧力が変動する圧力室を前記進角側圧力室及び遅角側圧力室とは各別に設けるとともに同圧力室の圧力を検出し、この検出値をパラメータ変換することで同ロックピンの位置を算出するようにした態様と比較して、前述のパラメータ変換処理の分だけ同ロックピンの位置把握のための処理負担が軽くなる。また、渦電流式の変位センサは、例えばホールIC式や静電容量式の変位センサと比較して、出力信号の直線性や、応答性等において優位であるため、前記ロックピンの位置の正確かつ迅速な検出が容易となる。また、渦電流式の変位センサは、例えば作動トランス式の変位センサと比較して、構成部材であるコイルの個数を減らすことが容易であるため、コストダウンを容易に図り得る。
【0018】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の発明において、前記クランク軸は、前記内燃機関とは各別に設けられて前記クランク軸を回転駆動する駆動源に駆動連結されるものである。そして本発明のバルブタイミング制御装置は、前記内燃機関が停止した状態で前記ロック状態判定手段により前記ロック機構がロック解除状態にある旨の判定がなされたときに、前記ロックピンと前記ロック穴との位置が対応するように前記第1回転体を第2回転体に対して相対回動させるべく前記駆動源により前記クランク軸を回転駆動する駆動源制御手段を備えることをその要旨とする。
【0019】
同構成によれば、仮に前記内燃機関が停止された時点において前記ロック機構がロック解除状態にあったとしても、前記駆動源制御手段によって前記ロック機構はロック状態に移行されることとなる。従って、例えば次の機関始動時において前記各圧力室から作動流体が抜け出ていたとしても、前記第2回転体の相対回動を抑制することができ、バルブタイミングを一定に維持することができるとともに、前記第2回転体が前記第1回転体の内壁に衝突することに起因した打音発生を抑制できる。
【0020】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載の発明において、前記両圧力室の圧力差を調節することで前記バルブタイミングの制御を行う圧力差制御手段を備え、前記ロック状態判定手段は前記バルブタイミングの制御の実行中において前記ロック機構がロック解除状態にあるか否かを判定するとともに、前記圧力差制御手段は前記ロック状態判定手段により前記ロック機構がロック解除状態にない旨の判定がなされたときに前記バルブタイミングの制御の実行を中断して前記両圧力室の圧力差を一定に保持することをその要旨とする。
【0021】
例えば、第1回転体に対する第2回転体の目標相対回転位相と実相対回転位相との偏差に基づいてロック機構がロック状態にあるか否かの判定を行う態様においては、ロックピンがロック穴に挿入されて同ロック穴の内壁と当接した状態とならない限り前記ロック状態にあることを判定できない。つまり前記態様においては、前記第2回転体の相対回動中に前記ロックピンが前記ロック穴に入り込んでしまった場合、前記ロックピンと前記ロック穴の内壁とが衝突した後に前記判定が可能となる。そしてこの場合、例えば、前記ロックピンが前記ロック穴に入り込んだ状態で前記圧力差制御手段により前記各圧力室の圧力が交互に増減されると、前記ロックピンは前記ロック穴の内壁に対して前記第2回転体の各回動方向に交互に衝突されることとなる。この態様においては、この交互の衝突が繰り返された場合、前述の応答遅れの影響によりその繰り返し時間が長くなって前述の衝突に起因する損傷等の不具合が大きくなりがちである。
【0022】
一方、本発明では、前記ロック機構がロック解除状態にない旨の判定がなされたときに、前記バルブタイミングの制御の実行が中断されて前記両圧力室の圧力差が一定に保持される。また前述の判定は、前記第2回転体の相対回転位相に基づくことなく、つまり前記ロックピンと前記ロック穴の内壁とが当接することに因らず行われる。
【0023】
そのため、前記第2回転体の相対回動中に前記ロックピンが前記ロック穴に入り込んだ場合には、同ロックピンが前記ロック穴の内壁に対して前記回動方向に交互に衝突されることなく、例えば前記回動方向の一方に押し付けられるのみとなり、ロックピンとロック穴の内壁との衝突やそれに起因する損傷等の不具合が比較的小さなものとなる。また、本発明においては前述の応答遅れの影響を受けることなく迅速に前記判定を行うことができるため、この点においても上記不具合を更に小さくすることができるようになる。
【0024】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の発明において、前記ロック機構をロック状態からロック解除状態に移行させるべく前記ロックピンに外力を付与可能なロック解除手段を備え、前記圧力差制御手段によって一定に保持される前記圧力差は、前記ロック解除手段の外力付与により前記ロック穴から離脱する方向へと前記ロックピンに作用する移動力が、前記離脱する方向における前記ロックピンと前記ロック穴との摩擦力に対して最大となる大きさに設定されていることをその要旨とする。
【0025】
前記両圧力室の圧力差が存在する状態で前記ロック機構をロック状態からロック解除状態に移行させる(前記ロックピンを前記ロック穴から離脱させる)場合、前記ロックピンと前記ロック穴との間には前述の離脱方向において摩擦力が生じ、この摩擦力は前記離脱に対する抵抗力となる。
【0026】
本発明では、前記バルブタイミングの制御の実行中において前記ロック解除状態にない旨の判定がなされると、前記バルブタイミングの制御が中断されて、前記圧力差は、前記ロック解除手段の外力付与により前記ロック穴から離脱する方向へと前記ロックピンに作用する移動力が前記摩擦力に対して最大となる大きさに保持される。従って、前記ロック機構を、より確実且つ迅速にロック状態からロック解除状態に移行させることができ、前記バルブタイミングの制御を速やかに再開させることが可能となる。
【0027】
請求項7に記載の発明は、請求項1〜6のいずれか一項に記載の発明において、前記両圧力室の圧力差を調節することで前記バルブタイミングの制御を行う圧力差制御手段を備え、前記ロック状態判定手段は前記バルブタイミングの制御の実行中において前記ロック機構がロック解除状態にあるか否かを判定するとともに、前記圧力差制御手段は前記ロック状態判定手段により前記ロック機構がロック解除状態にない旨の判定がなされたときに前記バルブタイミングの制御の実行を中断して前記両圧力室の圧力差を減少させることをその要旨とする。
【0028】
例えば、第1回転体に対する第2回転体の目標相対回転位相と実相対回転位相との偏差に基づいてロック機構がロック状態にあるか否かの判定を行う態様においては、ロックピンがロック穴に挿入されて同ロック穴の内壁と当接した状態とならない限り前記ロック状態にあることを判定できない。つまり前記態様においては、前記第2回転体の相対回動中に前記ロックピンが前記ロック穴に入り込んでしまった場合、前記ロックピンと前記ロック穴の内壁とが衝突した後に前記判定が可能となる。そして前記両圧力室の圧力差が大きく前記第2回転体の相対回転速度が大きい場合には、前述の衝突時の衝撃は大きなものとなる。
【0029】
一方、本発明では、前記ロック機構がロック解除状態にない旨の判定がなされたときに、前記バルブタイミングの制御の実行が中断されて前記両圧力室の圧力差が減少される。また前述の判定は、前記第2回転体の相対回転位相に基づくことなく、つまり前記ロックピンと前記ロック穴の内壁とが当接することに因らず行われる。
【0030】
そのため例えば、前記第2回転体の相対回動中に前記ロックピンが前記ロック穴に入り込んだ場合には、前記圧力差を減少させるための圧力調節を、前記ロックピンが前記ロック穴に入り込んだ時点から前記内壁に衝突する直前までの期間において開始することが可能になる。従って、前記圧力差を前述の衝突発生前に減少させることができ、この衝突における衝撃緩和が可能となる。
【0031】
また、請求項1〜7に記載されるロックピンについては、請求項8に記載の発明によるように、これを前記進角側圧力室及び前記遅角側圧力室の少なくとも一方の圧力に基づく外力により往復動する、といった構成とするのが望ましい。尚、この場合、例えば、進角側圧力室及び遅角側圧力室の双方の圧力に基づく外力により往復動する構成も採用できる。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図1〜図4に従って説明する。
図1及び図2に示すように、本実施形態のバルブタイミング制御装置は、第1回転体であって略円環形状のハウジング11と、その内部に収容された第2回転体であるベーン体12とを有している。ベーン体12は、内燃機関の吸気バルブを駆動するカム軸13に一体回転可能に駆動連結されている。カム軸13は、前記内燃機関のシリンダヘッド(図2において一部のみ示す)14において軸線L周りに回転可能に支持されている。また、ハウジング11は、同ハウジング11の外周に形成されたスプロケット15に巻装されたチェーンを介して、機関出力軸であるクランク軸(図1参照)16に同期回転可能に駆動連結されている。なお、クランク軸16には、機関始動時等において同クランク軸16を回転駆動するためのセルモータ(前記内燃機関とは各別の駆動源)19が駆動連結されている。本実施形態においてクランク軸16は、図1の時計回り方向に回転するものとする。
【0033】
前記ベーン体12の外周には、その径方向に延びる複数のベーン17が形成されている。また、ハウジング11の内周には、その周方向に延びる複数の凹部18が形成されており、ベーン17はこの凹部18内にそれぞれ配設されている。そして各凹部18内には、ベーン17によって区画されることで進角側圧力室21と遅角側圧力室22とがそれぞれ形成されている。なお、図1では、ベーン17並びに凹部18をそれぞれ2つずつ示すが、この数は適宜に変更してよい。
【0034】
図1に示すように、これら進角側圧力室21、及び、遅角側圧力室22はそれぞれ適宜の油通路を介して油圧制御弁23に接続されており、同油圧制御弁23には、クランク軸16に駆動連結されたオイルポンプ24から送られる作動流体である作動油が供給される。
【0035】
この油圧制御弁23は、同弁23に印加される電圧のデューティ比に応じて、進角側圧力室21あるいは遅角側圧力室22への作動油供給量を調整することのできる弁となっている。そして油圧制御弁23は、電子制御装置25の指令信号に基づいて動作し、作動油を進角側圧力室21や遅角側圧力室22内に供給、あるいは進角側圧力室21や遅角側圧力室22内から排出させる。そして、ベーン17は、その両側面に形成された進角側圧力室21内と遅角側圧力室22内との流体圧(油圧)の差により、前記凹部18内における相対回転位相が所望の位相に設定される。その結果、ハウジング11に対するベーン体12の相対回転位相が変更されることで、クランク軸16に対するカム軸13の相対回転位相が変更され、同カム軸13の回転に伴い開閉駆動される吸気バルブのバルブタイミングが変更される。
【0036】
なお、本実施形態におけるバルブタイミング制御は、具体的には次のように行われる。
前記電子制御装置25には、水温センサによって検出される冷却水温、クランク角センサによって検出される機関回転速度、及びスロットルセンサによって検出されるスロットル弁開度等の機関運転状態を表すパラメータが入力される。そして、電子制御装置25は、これらのパラメータを基に機関運転状態に応じた適切なバルブタイミングを演算し、それに応じたベーン体12の相対回転位相の目標値を算出する。この目標値が現在の実位相と異なる場合、電子制御装置25は、進角側圧力室21及び遅角側圧力室22のいずれか一方から作動油を排出するとともに、他方に対しては作動油を供給するように油圧制御弁23を作動制御する。その結果生じる進角側圧力室21と遅角側圧力室22との圧力差に応じてベーン体12はハウジング11に対して相対回動し、バルブタイミングが調整される。
【0037】
そして、こうした調整の結果、目標値が現在の実位相と一致した場合、電子制御装置25は、進角側圧力室21及び遅角側圧力室22に対する作動油の供給及び排出を停止するよう油圧制御弁23を作動制御する。その結果、進角側圧力室21内及び遅角側圧力室22内の圧力は均等に保持され、ベーン体12の相対回転位相も維持されるようになる。
【0038】
なお本実施形態では、前記指令信号におけるデューティ比が進角側の限界値(例えば100%)に設定されたとき、その時点でのオイルポンプ24の吐出圧状態において、進角側圧力室21の圧力が遅角側圧力室22の圧力に対して最も大きい状態となる。逆に、前記デューティ比が遅角側の限界値(例えば0%)に設定されたとき、その時点でのオイルポンプ24の吐出圧状態において、遅角側圧力室22の圧力が進角側圧力室21の圧力に対して最も大きい状態となる。また、前記デューティ比が前記両限界値の中間値(例えば50%)に設定されたとき、両圧力室21,22の圧力が均等に保持される。つまり前記デューティ比は、両圧力室21,22の圧力差を調節するためのパラメータとなっている。
【0039】
なお、このバルブタイミング制御装置では、ベーン体12は、ベーン17が凹部18の一方の側壁に当接する位相から同凹部18の反対側の側壁に当接する位相までの範囲で相対回動できるようになっている。すなわち、この相対回動可能な位相の範囲が、前記バルブタイミング制御装置における回転位相の制御範囲となる。
【0040】
以下では、前記ベーン体12が最も遅角方向(カム軸13の回転方向とは逆方向)に相対回動したときの位置を「最遅角位置」という。そしてこの位置は、油圧制御弁23が電子制御装置25によって作動制御されていないときの初期位置、すなわち機関停止時の位置として設定されている。一方、最も進角方向(カム軸13の回転方向)に相対回動したときの位置を「最進角位置」という。前記バルブタイミング制御装置では、進角側圧力室21内及び遅角側圧力室22内の圧力制御に基づき、ベーン体12を前記最遅角位置から前記最進角位置までの範囲で相対回動させている。
【0041】
また、前記バルブタイミング制御装置には、ベーン体12の相対回転位相を所定の位相にロックするためのロック機構30が設けられている。即ち図1及び図2に示すように、ロック機構30は、ベーン17の一つに設けられたロックピン31と、ハウジング11に形成され同ロックピン31を挿入可能なロック穴32とを備えている。
【0042】
図2〜図4に示すように、前記ロックピン31は、ベーン17に形成された段付きの収容孔33内において軸線L方向に往復摺動可能に配設されている。このロックピン31は、同ロックピン31の外周面が収容孔33の内周面に摺接した状態で、図2及び図3に示す位置(ロック位置)から図4に示す位置(ロック解除位置)までの間を往復動するようになっている。また、ロックピン31は、コイルばね34によって、ロック穴32が形成されたハウジング11の内壁面側(図面下方側)に向けて付勢されている。
【0043】
前記ロックピン31の後端側(図面上方側)には拡径された段部31aが形成されており、この段部31aと収容孔33の段部33aとの間には、環状の空間であるロック解除用圧力室35が区画形成されている。このロック解除用圧力室35は、ベーン17に形成された遅角側油通路(図3及び図4参照)36を通じて遅角側圧力室22に連通されており、同遅角側圧力室22内の圧力が伝達されるようになっている。
【0044】
一方、前記ロック穴32は、ハウジング11の前記内壁面において、ベーン体12が前記最遅角位置に位置するときにロックピン31が挿入可能となる位置に形成されている。図2及び図3に示すように、ロックピン31がコイルばね34の付勢力によってこのロック穴32内に挿入されることで、ベーン体12はハウジング11に対する相対回動が規制(ロック)されるようになる。以下、このロックピン31がロック穴32に挿入されてロック位置に配置された状態を、ロック機構30におけるロック状態ということとする。
【0045】
前記ロック穴32とロックピン31の先端部(図面下方側の端部)とで形成される空間はロック解除用圧力室37となっている。このロック解除用圧力室37は、ベーン17とハウジング11との摺接面に形成された進角側油通路(図3及び図4参照)38を通じて進角側圧力室21に連通されており、同進角側圧力室21内の圧力が伝達されるようになっている。
【0046】
前記ロック解除用圧力室35,37内の作動油の圧力は、ロックピン31をロック穴32から離脱させる方向に作用する。従って、両圧力室21,22の少なくとも一方の昇圧に伴いロック解除用圧力室35,37内の圧力が十分に高まると、図4に示すように、ロックピン31はロック穴32から離脱する方向に移動して、前記相対回動の規制が解除される。以下、ロックピン31がロック解除位置に配置された状態を、ロック機構30におけるロック解除状態ということとする。油圧制御弁23及びオイルポンプ24は、ロックピン31を前記ロック位置から前記ロック解除位置に移動させるべく同ロックピン31に外力を付与可能なロック解除手段を構成する。
【0047】
他方、前記油圧制御弁23が作動制御されていないときには、オイルポンプ24と遅角側圧力室22とが連通するように前記油回路は構成されている。従って、例えば機関始動時にあって油圧制御弁23が動作していないときには、オイルポンプ24から遅角側圧力室22に向けて作動油が供給される。
【0048】
こうして本実施形態のバルブタイミング制御装置では、機関始動直後の低圧時にはベーン体12の相対回動を前記最遅角位置で規制し、オイルポンプ24が十分な作動油を供給できるようになると前記相対回動の規制を解除して、バルブタイミング制御を行えるようにしている。
【0049】
次に、本実施形態の特徴的な構成について説明する。
本実施形態では、ロックピン31の位置変化に対して遅れ要素を持たない物理量(ロックピン31の往復動方向における位置に応じた渦電流の大きさ)を検出するセンサからなる検出手段である渦電流式の変位センサ40を用いて、ロックピン31の往復動方向における位置を直接検出するようにしている。即ち図2に示すように、ベーン17の収容孔33内においてロックピン31の後端側には、変位センサ40を構成する検知部41が固定されている。ロックピン31の後端には軸線L方向に延びるように凸部31bが一体形成されており、検知部41には、同凸部31bを取り囲むようにして環状に配置されたコイル42が、ベーン17及びロックピン31と絶縁された状態で設けられている。なお、本実施形態において凸部31b即ちロックピン31は、導電性金属材料からなっている。
【0050】
前記検知部41は、ロックピン31の凸部31bをターゲットとして同ロックピン31の位置を直接的に検出する。即ち、検知部41は、環状に配置されたコイル42に包囲された空間における凸部31bの位置に応じて変動する電圧信号を、変位センサ40を構成する処理回路装置43に出力する。このコイル42からの電圧信号は、ハウジング11に固定されたスリップリング44、及び、同スリップリング44と摺接された状態でシリンダヘッド14側に固定されたブラシ45を介して処理回路装置43に伝達される。前記電圧信号は処理回路装置43において増幅処理され、電子制御装置25に出力される。
【0051】
前記電子制御装置25は、処理回路装置43からの信号に基づき、ロックピン31の位置を把握するとともに、ロック機構30が前記ロック解除状態にあるか否かを判定する。
【0052】
本実施形態において電子制御装置25は、機関始動直後において、オイルポンプ24の吐出圧が前記バルブタイミング制御を行うために十分な状態にまで昇圧されているか否かに拘わらず、前述の判定を行う。そして変位センサ40からの信号に基づきロック機構30が前記ロック解除状態にあると判定すると電子制御装置25は、油圧制御弁23への指令信号において印加電圧のデューティ比を前記進角側の限界値(例えば100%)に設定する。この設定が保持されることによりベーン体12は、オイルポンプ24の吐出圧の上昇に伴い、同設定が開始された時点から可能な限り迅速に目標の前記相対回転位相に変位されることとなる。
【0053】
他方、電子制御装置25は、前記判定においてロック機構30が前記ロック解除状態にない、即ち前記ロック状態にあると判定すると、前記デューティ比を、前記進角側の限界値と遅角側の限界値との略中間値であってロックピン31を前記ロック解除位置に十分移動可能な値(例えば60%)に設定する。なお以下では、このデューティ比をロック解除デューティ比ということとする。このロック解除デューティ比での両圧力室21,22の圧力差は、両ロック解除用圧力室35,37への流体供給に基づく外力付与によりロック穴32から離間する方向へとロックピン31に作用する移動力が、同方向におけるロックピン31とロック穴32との摩擦力に対して最大となる大きさとされている。
【0054】
そして前記ロック解除デューティ比に保持されることでロックピン31が前記ロック解除位置に移動され、その後、変位センサ40からの信号に基づきロック機構30が前記ロック解除状態にあると判定すると電子制御装置25は、前記デューティ比を前記進角側の限界値に設定する。
【0055】
また、電子制御装置25は、前記バルブタイミング制御の実行中においても、変位センサ40からの信号に基づく前記判定を行う。この場合、ロック機構30が前記ロック解除状態にあると判定すると電子制御装置25は、前記バルブタイミング制御の実行を中断することなく継続する。
【0056】
例えば、内燃機関の回転速度が低下すること等に伴いオイルポンプ24の吐出圧が低下したり、ベーン体12が急激に相対回動されたりすると、各圧力室21,22において圧力低下が生じることがある。このような場合、前記圧力低下に伴いロックピン31がコイルばね34の付勢力によってロック穴32に挿入され、ロック機構30が前記ロック状態とされてしまうことがある。本実施形態では、例えばこのような場合に電子制御装置25によってロック機構30が前記ロック状態にあると判定されると、前記バルブタイミング制御の実行が中断されて前記デューティ比がロック解除デューティ比に設定される。そしてこの設定が保持されることでロックピン31が前記ロック解除位置に移動され、その後、変位センサ40からの信号に基づきロック機構30が前記ロック解除状態にある旨の判定がなされると、前記バルブタイミング制御の実行が再開される。
【0057】
また本実施形態において電子制御装置25は、内燃機関が停止されたとき、変位センサ40からの信号に基づき前述の判定を行う。そしてロック機構30が前記ロック解除状態にあると判定すると電子制御装置25は、停止状態にあるクランク軸16を回転駆動すべくセルモータ19に指令信号を出力する。この場合、電子制御装置25は、ロックピン31とロック穴32との位置が対応するように、内燃機関を始動させない程度の小さな回転角度範囲内で図1の時計回り方向にクランク軸16を回動させる。
【0058】
そして前記セルモータ19の駆動によりクランク軸16が回動されると、同回動に伴いハウジング11が回動される。このとき、吸気バルブの開閉に伴う反力がカム軸13に作用していることからベーン体12はハウジング11に対して前記遅角方向に相対回動される。そしてこの相対回動によってベーン17が前記最遅角位置に配置されると、コイルばね34の付勢力によってロックピン31がロック穴32に挿入され、ロック機構30が前記ロック状態となる。
【0059】
なお本実施形態において電子制御装置25は、ロック状態判定手段、圧力差制御手段、及び、駆動源制御手段を構成する。
以上説明したように、本実施形態では、ロックピン31の位置変化に対して遅れ要素を持たない物理量を検出する変位センサ40を用いてロックピン31の位置を直接的に検出することでロック機構30が前記ロック解除状態にあるか否かが判定される。つまり電子制御装置25は、ハウジング11に対するベーン体12の相対回転位相に基づくことなく、ロック機構30が前記ロック解除状態にあるか否かを判定する。
【0060】
従って例えば、ハウジング11に対するベーン体12の目標相対回転位相と実相対回転位相との偏差や、実相対回転位相の変化量を検出することで前述の判定を行う従来の態様と異なり、同判定を行うためにベーン体12を相対回動させるべく各圧力室21,22に作動油を供給する必要がない。つまり本実施形態においては、前述の作動油の供給が開始されてからベーン体12の相対回転位相の偏差や変化量が検出されるまでに費やされる時間に起因した応答遅れの影響を受けることがないため、判定時間を短くすることができる。
【0061】
また、前記判定を行うことを目的とした各圧力室21,22への作動油供給を行う必要がないため、例えば、油圧の立上がりがゆっくりな場合の誤判定を防止するために判定時間を長く確保するといったことが不要となる。従って、ロック機構30がロック解除状態にあるか否かの判定を速やかに且つ正確に行うことができるようになる。
【0062】
特に、変位センサとして渦電流式のものを採用している。従って例えば、ロックピン31の変位に伴い圧力が変動する圧力室を両室21,22とは各別に設け同圧力室の圧力を検出し、同検出値をパラメータ変換することでロックピン31の位置を算出するようにした態様と比較して、前述のパラメータ変換処理の分だけロックピン31の位置把握のための処理負担が軽くなる。
【0063】
一般に渦電流式の変位センサは、例えばホールIC式や静電容量式の変位センサと比較して、出力信号の直線性や、応答性等において優位であるため、ロックピン31の位置の正確かつ迅速な検出が容易となる。また、渦電流式の変位センサは、例えば作動トランス式の変位センサと比較して、構成部材であるコイルの個数を減らすことが容易であるため、コストダウンを容易に図り得る。
【0064】
また例えば、ハウジング11に対するベーン体12の目標相対回転位相と実相対回転位相との偏差に基づいてロック機構30がロック状態にあるか否かの判定を行う態様においては、ロックピン31がロック穴32に挿入されてその内壁と当接した状態とならない限り前記ロック状態にあることを判定できない。つまり前記態様においては、ベーン体12の相対回動中にロックピン31がロック穴32に入り込んでしまった場合、ロックピン31とロック穴32の内壁とが衝突した後に前記判定が可能となる。
【0065】
そしてこの場合、例えば、ロックピン31がロック穴32に入り込んだ状態で電子制御装置25により各圧力室21,22の圧力が交互に増減されると、ロックピン31はロック穴32の内壁に対してベーン体12の各回動方向に交互に衝突されることとなる。この態様においては、この交互の衝突が繰り返された場合、前述の応答遅れの影響によりその繰り返し時間が長くなって前述の衝突に起因する損傷等の不具合が大きくなりがちである。
【0066】
一方、本実施形態では、前記バルブタイミング制御の実行中においてロック機構30がロック解除状態にない旨の判定がなされたときに、前記バルブタイミング制御の実行が中断されて両圧力室21,22の圧力差が一定に保持される。また前述の判定は、ベーン体12の相対回転位相に基づくことなく、つまりロックピン31とロック穴32の内壁とが当接することに因らず行われる。
【0067】
そのため、ベーン体12の相対回動中にロックピン31がロック穴32に入り込んだ場合には、ロックピン31がロック穴32の内壁に対して前記回動方向に交互に衝突されることなく、例えば前記回動方向の一方に押し付けられるのみとなる。従って、ロックピン31とロック穴32の内壁との衝突やそれに起因する損傷等の不具合は比較的小さなものとなる。また、本実施形態では前述の応答遅れの影響を受けることなく迅速に前記判定を行うことができるため、この点においても前記不具合を更に小さくすることができるようになる。
【0068】
ところで、両圧力室21,22の圧力差が存在する状態でロック機構30をロック状態からロック解除状態に移行させる(ロックピン31をロック穴32から離脱させる)場合、ロックピン31とロック穴32との間には前述の離脱方向において摩擦力が生じ、この摩擦力は前記離脱に対する抵抗力となる。
【0069】
本実施形態では、前記一定に保持される両圧力室21,22の圧力差を、両ロック解除用圧力室35,37への流体供給に基づく外力付与により前記離脱方向へとロックピン31に作用する移動力が前記摩擦力に対して最大となる大きさに設定している。従って、ロック機構30を、より確実且つ迅速にロック状態からロック解除状態に移行させることができ、前記バルブタイミング制御を速やかに再開させることが可能となる。
【0070】
更に、本実施形態では、ロック機構30がロック解除状態にない旨の判定がなされ前記バルブタイミング制御の実行が中断されたときに、両圧力室21,22の圧力差が減少されるようになっている。また前述したように前記判定は、ベーン体12の相対回転位相に基づくことなく、つまりロックピン31とロック穴32の内壁とが当接することに因らず行われる。
【0071】
そのため例えば、ベーン体12の相対回動中にロックピン31がロック穴32に入り込んだ場合には、前記圧力差を減少させるための圧力調節を、ロックピン31がロック穴32に入り込んだ時点から前記内壁に衝突する直前までの期間において開始することが可能になる。従って、前記圧力差を前述の衝突発生前に減少させることができ、この衝突における衝撃緩和が可能となる。
【0072】
また、本実施形態では、前記内燃機関が停止した状態でロック機構30がロック解除状態にある旨の判定がなされたときに、ロックピン31とロック穴32との位置が対応するようにハウジング11をベーン体12に対して相対回動させるべくセルモータ19によりクランク軸16が回転駆動される。これによれば、仮に前記内燃機関が停止された時点においてロック機構30がロック解除状態にあったとしても、セルモータ19によるクランク軸16の回転駆動によってロック機構30はロック状態に移行されることとなる。従って、例えば次の機関始動時において各圧力室21,22から作動油が抜け出ていたとしても、ベーン体12の相対回動を抑制することができ、バルブタイミングを一定に維持することができるとともに、ベーン体12がハウジング11の内壁に衝突することに起因した打音発生を抑制できる。
【0073】
更に本実施形態では、ロックピン31が、両圧力室21,22の少なくとも一方の圧力に基づく外力によって往復動する構成とされている。従って例えば、ロックピン31を往復動させるための手段として電磁アクチェータを設けた態様と比較して、構成の簡素化を図り得るようになる。
【0074】
なお、実施の形態は前記に限定されるものではなく、例えば、以下の様態としてもよい。
・前記実施形態では、機関始動直後においてロック機構30がロック解除状態にある旨の判定がなされた場合に、前記デューティ比が前記進角側の限界値に設定されたが、これに限定されない。ベーン体12を相対回動可能な値であれば他の値であってもよい。
【0075】
・前記実施形態では、ベーン17が前記最遅角位置に配置された状態で前記ロック状態とされ得るようにロック穴32が配置されたが、例えば、ベーン17が前記最遅角位置と前記最進角位置との中間位置に配置された状態で前記ロック状態とされ得るようにロック穴32が配置されていてもよい。
【0076】
・前記ロックピン31をロック穴32から離脱させるための前記デューティ比は、前述の(例えば60%とした)ロック解除デューティ比に限定されない。前記離脱が可能であれば、他の値に設定されてもよい。
【0077】
・前記実施形態では、前記バルブタイミング制御の実行中においてロック機構30がロック解除状態にない旨の判定がなされたときに、前記バルブタイミング制御の実行が中断されて前記デューティ比が前述の(例えば60%とした)ロック解除デューティ比に設定されたが、これに限定されない。両圧力室21,22の圧力差がゼロとなるデューティ比(前記進角側の限界値と遅角側の限界値との中間値)に設定されてもよい。
【0078】
・前記実施形態では、前記バルブタイミング制御の実行中においてロック機構30がロック解除状態にない旨の判定がなされたときに、前記バルブタイミング制御の実行が中断されて両圧力室21,22の圧力差が減少されたが、これに限定されない。例えば、減少されることなく前記中断時の圧力差が一定に保持されるようにしてもよい。
【0079】
・前記実施形態では、前記バルブタイミング制御の実行中においてロック機構30がロック解除状態にない旨の判定がなされたときに、前記バルブタイミング制御の実行が中断されて両圧力室21,22の圧力差が一定に保持されたが、これに限定されない。例えば、前記圧力差が漸減されるようにしてもよい。
【0080】
・前記実施形態では、前記バルブタイミング制御の実行中においてロック機構30が前記ロック解除状態にあるか否かの判定が行われたが、この判定を行わないようにしてもよい。
【0081】
・前記実施形態では、前記内燃機関が停止した状態においてロック機構30がロック解除状態にある旨の判定がなされた場合に、セルモータ19によりクランク軸16を回転駆動するようにした。しかし前記内燃機関とは各別に例えば電動モータ等の走行駆動源を備えたハイブリッド車両においては、前記セルモータ19に代えて、前記走行駆動源によりクランク軸16を回転駆動するようにしてもよい。
【0082】
・前記実施形態では、前記内燃機関が停止した状態においてロック機構30が前記ロック解除状態にあるか否かの判定が行われたが、この判定を行わないようにしてもよい。
【0083】
・前記実施形態では、変位センサ40に渦電流式のものが採用されたが、これに限定されない。例えば、作動トランス式やホールIC式、静電容量式のものを採用してもよい。また、電気抵抗体と摺動体との接触位置がロックピン31の変位に伴って移動されることで変化する電気抵抗値によって同ロックピン31の位置を検出可能な変位センサを採用してもよい。更に、例えば図5に示すように、収容孔33内に接点スイッチ50を設けることでロックピン31の位置を検出するようにしてもよい。即ち、収容孔33内においてロックピン31の後端面(図5の上方側の端面)に臨むベーン体12の内壁面12aには、前述の接点スイッチ50が固定されている。接点スイッチ50は、ロックピン31が前記ロック解除位置に配置された状態においてロックピン31の後端面と接触するように配置されており、同後端面と接触された状態でのみ、同接触されたことを示す信号を電子制御装置25に出力するように構成されている。
【0084】
・例えば、ロックピン31の変位に伴い圧力が変動する圧力室を設けるとともに同圧力室の圧力を検出し、この検出値をパラメータ変換することで同ロックピン31の位置を算出するようにしてもよい。この場合、例えば図6に示すように構成する。即ち、ロックピン31の外周面には、段部31aよりも先端側(ロックピン31の先端側)に、フランジ31cが形成されている。また、前記ロックピン31の外周面と収容孔33の周壁との間には、フランジ31cを収容する収容室51が区画形成されている。収容室51は、フランジ31cによってロックピン31の先端側と後端側との二つの領域に区画されており、前記後端側の領域は、ロックピン31の変位に伴う体積変化によって同領域内の気体圧力が変動する圧力変動室51aとなっている。ベーン体12には、圧力変動室51aの気体圧力を検出するための圧力センサ52が埋設されている。圧力センサ52は、この検出結果を電子制御装置25に出力する。電子制御装置25は、圧力センサ52からの圧力情報をパラメータ変換することでロックピン31の位置を算出する。
【0085】
・前記実施形態では、ロックピン31が両圧力室21,22の圧力に基づいて変位され得るように構成されたが、これに限定されない。例えば、電磁アクチェータ等の専用のアクチェータを用いてロックピン31を変位させるようにしてもよい。
【0086】
・前記ベーン体12は、カム軸13に対して同期回転可能に駆動連結されていればよく、必ずしも一体回転可能に駆動連結されていなくてもよい。
・本発明を、排気バルブのバルブタイミングを変更するためのバルブタイミング制御装置に適用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施形態のバルブタイミング制御装置の概要を示す模式図。
【図2】同じくバルブタイミング制御装置の側部断面構造を示す図。
【図3】同じくロック機構の断面構造を示す図。
【図4】同じくロック機構の断面構造を示す図。
【図5】ロック機構の他の例の断面構造を示す図。
【図6】ロック機構の他の例の断面構造を示す図。
【符号の説明】
11…第1回転体としてのハウジング、12…第2回転体としてのベーン体、13…カム軸、16…クランク軸、19…内燃機関とは各別の駆動源としてのセルモータ、21…進角側圧力室、22…遅角側圧力室、23…ロック解除手段を構成する油圧制御弁、24…同じくオイルポンプ、25…ロック状態判定手段、圧力差制御手段及び駆動源制御手段を構成する電子制御装置、30…ロック機構、31…ロックピン、32…ロック穴、40…検出手段としての変位センサ。

Claims (8)

  1. クランク軸に同期回転可能に駆動連結された第1回転体と、カム軸に同期回転可能に駆動連結され前記第1回転体に対し相対回動することで内燃機関のバルブタイミングを変更可能な第2回転体と、前記第1回転体に対する前記第2回転体の相対回転位相を変更するための作動流体が供給される進角側圧力室及び遅角側圧力室と、前記第2回転体の相対回転位相を所定の位相にロック可能なロック機構とを備え、同ロック機構は前記両回転体の一方に設けられたロック穴に対して近接離間する方向に往復動可能なロックピンを他方に有し、同ロックピンが前記ロック穴に挿入され前記第2回転体の相対回転位相をロックするロック状態と前記ロックピンが前記ロック穴から離脱され同ロックが解除されたロック解除状態とに切り換えられる内燃機関のバルブタイミング制御装置において、
    前記ロックピンの往復動方向における位置を直接検出する検出手段と、
    その検出結果に基づいて前記ロック機構が前記ロック解除状態にあるか否かを判定可能なロック状態判定手段と
    を備えることを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。
  2. 前記検出手段は、前記ロックピンの位置変化に対して遅れ要素を持たない物理量を検出するセンサである
    請求項1に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置。
  3. 前記センサは、前記ロックピンの往復動方向における位置に応じた渦電流の大きさを検出する渦電流式の変位センサである
    請求項2に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置。
  4. 前記クランク軸は、前記内燃機関とは各別に設けられて前記クランク軸を回転駆動する駆動源に駆動連結されるものであり、
    前記内燃機関が停止した状態で前記ロック状態判定手段により前記ロック機構がロック解除状態にある旨の判定がなされたときに、前記ロックピンと前記ロック穴との位置が対応するように前記第1回転体を第2回転体に対して相対回動させるべく前記駆動源により前記クランク軸を回転駆動する駆動源制御手段を備える
    請求項1〜3のいずれか一項に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置。
  5. 前記両圧力室の圧力差を調節することで前記バルブタイミングの制御を行う圧力差制御手段を備え、前記ロック状態判定手段は前記バルブタイミングの制御の実行中において前記ロック機構がロック解除状態にあるか否かを判定するとともに、前記圧力差制御手段は前記ロック状態判定手段により前記ロック機構がロック解除状態にない旨の判定がなされたときに前記バルブタイミングの制御の実行を中断して前記両圧力室の圧力差を一定に保持する
    請求項1〜4のいずれか一項に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置。
  6. 前記ロック機構をロック状態からロック解除状態に移行させるべく前記ロックピンに外力を付与可能なロック解除手段を備え、前記圧力差制御手段によって一定に保持される前記圧力差は、前記ロック解除手段の外力付与により前記ロック穴から離脱する方向へと前記ロックピンに作用する移動力が、前記離脱する方向における前記ロックピンと前記ロック穴との摩擦力に対して最大となる大きさに設定されている
    請求項5に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置。
  7. 前記両圧力室の圧力差を調節することで前記バルブタイミングの制御を行う圧力差制御手段を備え、前記ロック状態判定手段は前記バルブタイミングの制御の実行中において前記ロック機構がロック解除状態にあるか否かを判定するとともに、前記圧力差制御手段は前記ロック状態判定手段により前記ロック機構がロック解除状態にない旨の判定がなされたときに前記バルブタイミングの制御の実行を中断して前記両圧力室の圧力差を減少させる
    請求項1〜6のいずれか一項に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置。
  8. 前記ロックピンは、前記進角側圧力室及び前記遅角側圧力室の少なくとも一方の圧力に基づく外力により往復動する請求項1〜7のいずれか一項に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置。
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