JP2005016163A - 最大せん断力制御型制振間柱と制振鉄骨構造物 - Google Patents

最大せん断力制御型制振間柱と制振鉄骨構造物 Download PDF

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Abstract

【課題】制振間柱に過大なせん断力が作用したときに、粘弾性間柱に直列に連結された塑性化部を塑性化させることで過大なせん断力のピークをカットし粘弾性間柱が破損しないようにする。
【解決手段】制振間柱2は、上下に分断された分割間柱部材10aと10bの櫛歯状に噛合った鋼板同士の間隙に粘弾性体22を装着した粘弾性間柱10と、これに直列に接続した鋼製塑性化部12とから構成されている。鋼製塑性化部12は、フランジ部25とウエブ部24からなる横断面H形であり、フランジ部25は、水平振動が発生した時、制振間柱2の曲げモーメントを負担するよう弾性状態を維持可能に構成され、ウエブ24は、せん断力を負担して塑性化するように低降伏点鋼で構成される。
【選択図】図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、建築構造の柱・梁フレーム内に設置する制振間柱、つまり、水平力等の入力振動エネルギーを吸収する制振ダンパーを組込んでなる制振間柱に係り、特に、最大せん断力を制御できるように構成した制振間柱と制振鉄骨構造物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
建築構造の柱・梁フレーム内に設置する制振ダンパーで、かつ最大せん断力を制御するように構成した従来例ついては、例えば、(1)特開平10−37515号、(2)特開平9−268802号に開示の技術が知られている。
【0003】
従来例(1)は、柱・梁の対向する隅部の間に配置する粘弾性ブレースの片端の接合部を先行降伏部材を介して接合する構造で、この先行降伏部材により過大なブレース荷重をカットするものである。従来例(2)は、上下2部材の間に第1、第2のオイルダンパーを配置して、常時は第1のオイルダンパーで建物の振動エネルギーを減衰すると共に、過大荷重に対しては第2のオイルダンパーで制御するものである。
【0004】
前記に関し、従来例(1)は振動による荷重は粘弾性ブレースと先行降伏部材の軸方向に作用して当該先行降伏部材が降伏することで粘弾性ブレースの損壊を回避しているが、本発明の制振間柱(詳細は後述する)とは発明の対象を異にすると共に、過大荷重カットのための構成が相異している。従来例(2)のオイルダンパーも本発明の制振間柱とは過大荷重のカットの原理・態様を異にしている。
【0005】
その他の関連する従来例(3)として、本出願人および本発明者に係る特開2003−295053号がある。この従来例(3)は、建築構造物の柱・梁フレーム内において、上下の梁と平行に設けられた剛性調整梁に制振ダンパー(振動エネルギー吸収部)を組み込んだ制振間柱を設置するものである。制振間柱は、上下側の分割間柱部材における鋼板を粘弾性体を介して櫛歯状に組み合わせて構成することで前記の振動エネルギー吸収部が構成されている。
【0006】
従来例(3)は、梁に水平力が作用したとき、剛性調整梁を介してその振動が制振間柱における振動エネルギー吸収部に伝達され、このとき鋼板が粘弾性体をせん断変形させながら水平移動して制振機能を発揮するもので、従来例(1)、(2)とは異なる制振間柱として制振作用を奏するものである。なお、制振間柱を取り付ける剛性調整梁の両端を柱に近接して設けることにより、本来剛性値が不明瞭な梁の影響を極力排除して、制振ダンパーが設計値通りに制振機能を発揮できるようにしている。
【0007】
【特許文献1】
特開平10−37515号公報
【特許文献2】
特開平9−268802号公報
【特許文献3】
特開2002−295053号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者は、従来例(3)に示す柱・梁フレーム内に配置する制振間柱において、大地震が発生した場合、制振ダンパー部のせん断変形により構造物本体に被害を及ぼさないことに加えて、制振ダンパー部にも被害を及ばさない構造に付き研究した。この点関し、制振ブレースについては従来例(1)があるが、制振間柱の改良についての提案はなされていない。
【0009】
本発明は前記に基づいて創案されたもので、粘弾性間柱に過大なせん断力が作用したときに、直列に連結された塑性化部を塑性化させることで過大なせん断力のピークをカットするようにした制振間柱とこれを組み込んだ制振鉄骨構造物を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前記の目的を達成するため、本発明は次のように構成する。
【0011】
第1の発明は、柱・梁フレーム内に設置される制振間柱であって、上下分割柱部材の鋼板同士を櫛歯状に噛み合せ、噛み合せ部の間隙に粘弾性体を装着して粘弾性間柱を構成すると共に、当該粘弾性間柱に鋼製塑性化部を直列に連結し、粘弾性間柱及び鋼製塑性化部には構造物との接合部をそれぞれ設けて構成したことを特徴とする。
【0012】
第2の発明は、第1の発明において、鋼製塑性化部は、横断面H形であって、水平振動が発生した時、そのフランジ部は制振間柱の曲げモーメントを負担するよう弾性状態を維持可能に構成し、そのウエブ部はせん断力を負担して塑性化する鋼材で構成したことを特徴とする。
【0013】
第3の発明は、第1の発明において、鋼製塑性化部を連結する側の前記分割柱部材は断面H形であり、該鋼製塑性化部は、前記分割柱部材のウエブに塑性化部を形成するスリットを設けて構成をしたことを特徴とする。
【0014】
第4の発明は、第1の発明において、鋼製塑性化部を連結する側の前記分割柱部材は断面H形であり、該鋼製塑性化部は、塑性化部を形成するスリットを有した制振鋼板を前記分割柱部材のウエブに脱着可能にボルト接合して構成したことを特徴とする。
【0015】
第5の発明は、第1の発明において、鋼製塑性化部を連結する側の前記分割柱部材は断面H形であり、前記鋼製塑性化部は、前記分割柱部材の一方のフランジと構造物への接合部とに跨って接合された鋼材よりなる塑性化スプライスプレートと、他方のフランジと構造物への接合部にと跨って接合され、水平振動で制振間柱が回転変形するとき屈曲してその屈曲部が回転中心となる弾性スプライスプレートとから構成したことを特徴とする。
【0016】
第6の発明は、第1の発明において、鋼製塑性化部を連結する側の前記分割柱部材は断面H形であり、前記鋼製塑性化部は、前記分割柱部材の一方のフランジと構造物への接合部とに跨って接合された鋼材よりなる塑性化スプライスプレートと、前記分割柱部材のウエブと構造物への接続部とに跨ってピン結合され、水平振動で制振間柱が回転変形するときウエブとのピン結合部が回転中心となるよう設けてなる弾性スプライスプレートとから構成したことを特徴とする。
【0017】
第7の発明は、第5または第6の発明において、前記塑性化スプライスプレートを座屈拘束部材で補剛することを特徴とする。
【0018】
第8の発明は、第2または第5または第6の発明において、鋼材を低降伏点鋼で構成することを特徴とする。
【0019】
第9の発明は、第1〜第8の何れかの発明における最大せん断力制御型制振間柱を構造物の各部位の柱・梁フレーム内に組み込むことで振動エネルギーを吸収するようにした制振鉄骨構造物を特徴とする。
【0020】
【作用】
本発明によると、粘弾性間柱に鋼製塑性化部を直列に接続して制振間柱を構成しているので、建物に作用する水平振動に対しては、粘弾性間柱によってその振動エネルギーを吸収できると共に、粘弾性間柱をせん断力破壊させるような過大な水平荷重が作用した時は、前記鋼製塑性化部が塑性変形することで、過大せん断力のピークをカットするので粘弾性間柱に過大なせん断変形を及ぼすことがなく、したがって粘弾性間柱の損傷を回避でき、構造物に作用する振動エネルギーを円滑に減衰できると共に、地震等が終った後は、塑性化部のみを簡潔な作業で容易に取り替えて再度制振間柱として復元することができる。
【0021】
また鋼製塑性化部を、第2発明のせん断パネルタイプとした場合は、製作が容易である。また、第3、第4発明のスリットタイプでは、ピークカット荷重を制振鋼板のスリット本数、幅、高さで容易に設定可能である。加えて、前記第4発明の制振鋼板を脱着可能とすることで塑性化後の取替えが可能である。さらに、第4〜第7発明の塑性化スプライスタイプでは、スプライスプレートの軸降伏に期待しており、軸降伏は、せん断降伏よりも制御が容易である。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図を参照して説明する。
【0023】
図1は、多層階マンション(RC造共同住宅)など居住者が住んでいる既設の建築構造物1の一つの階において、図2に示す実施形態1に係る制振間柱2を施工して耐震補強に改修された態様を示している。図のように簡易構造の耐震補強部材である制振間柱2を設置するにより、強度補強+水平振動の減衰効果により建築構造物1の改修効果を発揮させる。また制振間柱2を既設の建築構造物1に満遍なく配置することで、主体構造(構造物本体)への負荷を均等にし、建築構造物1の強度及び減衰効果を一層向上させるものである。
【0024】
さらに説明すると、図1において、上下階の天井部3(上階側固定部という)及び床部4(下階側固定部という)の間に壁5が設けられていると共に、壁5の内側(図の裏面側)には台所、居間その他の部屋が設けられ、かつ、壁5の所定部位には、部屋の内外に通じる入口を開閉するドア6や開閉窓7や光や風を取り入れる小窓8等が設けられている。
【0025】
既設の建築構造物1に設けられる実施形態1に係る制振間柱2の詳細は、図2に示されている。この制振間柱2を機能別に大別すると、粘弾性間柱10と、その下部に直列に接続される鋼製塑性化部12と、粘弾性間柱10の上部及び鋼製塑性化部12の下部に接続される構造物本体への上部接合部11と下部接合部13とから構成されている。
【0026】
粘弾性間柱10は、上下に分断された分割間柱部材10aと10bの櫛歯状に噛合った鋼板同士の間隙に粘弾性体22を装着して構成される。図示例では、下部分割間柱部材10aは、所定の高さの横断面H形状であり、ウエブ14の両端にフランジ15を有して構成されており、下端部には第1水平接合プレート16を設けて構成されている。上部分割間柱部材10bは、ウエブ17の両端にフランジ18を有した横断面H型の取付部19と、前記ウエブ17の両面に鋼板20の上部を当てがい、それぞれのボルト孔21に固定ボルト(図示せず)を挿通し、ナットを締結して構成される。
【0027】
前記鋼板20は、下部分割間柱部材10aのウエブ(鋼板)14の両面に若干の間隙を有して配置され、かつその間隙を満たすように粘弾性体22が装着される。粘弾性体22は感圧接着性を有しており、鋼板20およびウエブ14の側面に感圧接着されている。鋼板20の幅は、下部分割間柱部材10aの両フランジ15の間隔幅より小さく、鋼板20の両側縁と両フランジ15の間には、可動間隔23が形成されている。また、鋼板20の下端部20aは、下部分割間柱部材10aの下端部近くまで延びている。
【0028】
したがって、下部分割間柱部材10aと上部分割間柱部材10bは、鋼板20の両側縁が両フランジ15に当たる範囲において、粘弾性体22をせん断力変形させながら相対的に水平移動することで振動エネルギーの減衰作用が奏される。前記において、鋼板20とウエブ14の幅と長さ及び、粘弾性体22の面積や層の厚さを適切に設定することで、所期の地震規模に適応した粘弾性ダンパーを構成できる。
【0029】
図2に示すように、下部分割間柱部材10aには実施形態1に係る鋼製塑性化部12が直列に連結されている。鋼製塑性化部12は、横断面H形であって、所定巾、所定高さのウエブ部24の両側縁にフランジ部25とから構成されている。フランジ部25は、水平振動が発生した時、制振間柱2の曲げモーメントを負担するよう弾性状態を維持可能に構成され、ウエブ部24は、せん断力を負担して塑性化するように低降伏点鋼で構成される。
【0030】
鋼製塑性化部12の上端部は、第1水平接合プレート16を介して下部分割間柱部材10aの下端部に溶接接合され、下端部は、第2水平接合プレート26を介して構造物の下階側の梁、床など下階側固定部に固着するための下部接合部13に溶接接合されている。下部接合部13は、任意の構造でよいが、図では多数のボルト孔21を有した接合鋼板13aによって構成されている。
【0031】
上部分割間柱部材10bの上端部には第3水平接合プレート27を介して構造物の上階側の梁、天井など上階側固定部に固着するための上部接合部11が溶接接合されている。上部接合部11は、任意の構造でよいが、図では多数のボルト孔21を有した接合鋼板11aによって構成されている。
【0032】
実施形態1に係る制振間柱2が、柱28と梁29のフレームで囲まれた内側に設置される態様が図9にも示されている。図2、図9において、地震等により建物に作用する通常の水平振動に対しては、粘弾性間柱10における上下の分割柱部材10a、10bが粘弾性体22をせん断変形させながら相対的に左右に移動を繰り返すことで、振動エネルギーを吸収・減衰できる。さらに、粘弾性間柱10をせん断力破壊させるような過大な水平荷重が作用した時は、鋼製塑性化部12における低降伏点鋼のウエブ部24が塑性変形することで、過大せん断力のピークをカットするもので、これにより粘弾性間柱10に過大なせん断変形を及ぼすことがなく、その損傷を回避できる。また、このときの制振間柱2の曲げモーメントに対しては、弾性状態を維持可能に構成されたフランジ部25で負担することができる。
【0033】
地震等による水平振動がおさまった後は、鋼製塑性化部12のみを簡潔な作業で容易に取り替えて、新しい制振間柱として再度復元することができる。実施形態1に特長的な利点として、鋼製塑性化部12はせん断パネルタイプであるので製作が容易である。
【0034】
次に、実施形態2〜5を説明するが、これらが実施形態1と相異する主な点は、鋼製塑性化部12の構造であり、粘弾性間柱10の基本構造は各実施形態とも同じである。したがって、以下では相異する構成を中心に説明する。
【0035】
図3(a)、(b)に示す実施形態2の鋼製塑性化部12は、塑性化部を形成する上下に長いスリット30を複数形成した制振鋼板31を、断面H形の下部分割柱部材10aのウエブ14の下部の両側面に当接し、この制振鋼板31の上下をボルト孔21に挿通するボルト(図示省略)にてウエブ14に固定して構成する。さらに、制振鋼板31の上下方向の中間部位におけるウエブ14に両フランジ15に至る横長孔32を形成し、あたかも、この横長孔32の上下位置のウエブ14を分断するごとく構成している。
【0036】
実施形態2において、下部分割間柱部材10aと下部接合部13の横断面は共にH形断面であり、上下両部材のウエブ14、13bと両フランジ15、13cを挟むように接合プレート33を当てがい、その当接部をボルト接合することで下部接合部13を構成している。同じく、上部分割間柱部材10bと上部接合部11の横断面は共にH形断面であり、上下両部材のウエブ14、11cと両フランジ15、13cを挟むように接合プレート34を当てがい、その当接部を着脱自在にボルト接合することで上部接合部11を構成している。
【0037】
実施形態2において、制振間柱2における粘弾性間柱10をせん断力破壊させるような過大な水平荷重が作用した時は、鋼製塑性化部12のスリット30有した制振鋼板31が塑性変形することで、過大せん断力のピークをカットするもので、これにより粘弾性間柱10に過大なせん断変形を及ぼすことがなく、その損傷を回避できる。
【0038】
したがって、地震等による水平振動がおさまった後は、鋼製塑性化部12のみを簡潔な作業で容易に取り替えて、新しい制振間柱2として再度復元することができる。実施形態2の特長的な点は、制振鋼板31をスリットタイプとすることで、ピークカット荷重をスリット本数、幅、高さで容易に設定可能である。さらに、制振鋼板31を脱着可能なボルト接合とすることで塑性化後の取替えが可能である。
【0039】
図4(a)、(b)に示す実施形態3の鋼製塑性化部12は、実施形態2におけ制振鋼板31の代わりに、断面H形の下部分割柱部材10aのウエブ14に上下に長いスリット43を複数形成した例を示す。実施形態3では、鋼製塑性化部12のスリット43を有した部位が塑性変形することで、過大せん断力のピークをカットするもので、これにより粘弾性間柱10に過大なせん断変形を及ぼすことがない。その他の構成と作用は実施形態2と同じであるので、同一要素には同一符号を付して説明を省略する。
【0040】
図5、図6(a)、(b)に示す実施形態4においては、下部分割間柱部材10aと下部接合部13の横断面は共にH形断面であり、相互間が突き合わされている。そして、鋼製塑性化部12は、下部分割柱部材10aの一方のフランジ15aと、下部接合部13の一方のフランジ13dとに跨ってそれぞれの外側面に配置し、複数のボルト35にて接合される低降伏点鋼製の塑性化スプライスプレート36と、他方のフランジ15bと下部接合部13の他方のフランジ13eとに跨ってそれぞれの内外側面に配置し、かつ複数のボルト35にて接合し、水平振動で制振間柱2が回転変形するとき屈曲してその屈曲部が回転中心となる弾性スプライスプレート37とから構成される。
【0041】
塑性化スプライスプレート36には、くびれ部36aが形成されると共に、その外側面には必要に応じて座屈拘束材41が設けられる。また、くびれ部36aの横たわみ防止のために横拘束部材42が設けられている。また、フランジ13eの外側面に配置される外側弾性スプライスプレート37aの外側面には、立て方向にリブ38が設けられている。また、上部接合部11の構成は実施形態2と同じであるので、同一要素に同一符号を付して説明を省略する。
【0042】
実施形態4において、制振間柱2における粘弾性間柱10をせん断力破壊させるような過大な水平荷重が作用した時は、低降伏点鋼製の塑性化スプライスプレート36が塑性変形することで、過大せん断力のピークをカットし、これにより粘弾性間柱10に過大なせん断変形を及ぼすことがなく、その損傷を回避できる。またこのとき、水平振動で制振間柱2が回転変形するときは、弾性スプライスプレート37が屈曲してその屈曲部が回転中心となり、この点でも粘弾性間柱10に作用する過大せん断力のピークを円滑にカットすることに寄与できる。実施形態4の特徴的な点は、過大せん断力のピークカットを片側の塑性化スプライスプレート36の軸降伏に期待しており、軸降伏は、せん断降伏よりも制御が容易なことである。
【0043】
図7、図8(a)、(b)は実施形態5を示し、鋼製塑性化部12が、下部分割柱部材10aの一方のフランジ15aと下部接合部13の一方のフランジ13dとに跨ってその外側面に配置し、複数のボルト35にて接合される低降伏点鋼製の塑性化スプライスプレート36を設ける点は、実施形態4同じである。
【0044】
実施形態5の鋼製塑性化部12においては、下部分割柱部材10aのウエブ14と下部接合部13のウエブ13bに跨ってその両側面に弾性スプライスプレート37を配設し、弾性スプライスプレート37と下部分割柱部材10aのウエブ14は、水平振動で制振間柱2が回転変形するときの回転中心となるピン39で結合し、弾性スプライスプレート37と下部接合部13のウエブ13bとは、複数の連結ピンまたはボルト40で結合するもので、これらの構成が実施形態4と相異する。その他の構成は実施形態4と同じである。
【0045】
したがって、実施形態5において、制振間柱2における粘弾性間柱10をせん断破壊させるような過大な水平荷重が作用した時は、低降伏点鋼製の塑性化スプライスプレート36が塑性変形することで、過大せん断力のピークをカットし粘弾性間柱10の損傷を回避できる。制振間柱2が回転変形するときは、弾性スプライスプレート37とウエブ14とを接合するピン39が回転中心となり、この点でも粘弾性間柱10に作用する過大せん断力のピークを円滑にカットすることに寄与できる。実施形態5においても、過大せん断力のピークカットは実施形態4と同様に、片側の塑性化スプライスレート36の軸降伏に期待しており、軸降伏は、せん断降伏よりも制御が容易である。
【0046】
なお、各実施形態で示した構成を適宜設計変更して実施することは、本発明の範囲に含まれる。
【0047】
【発明の効果】
本発明によると、粘弾性間柱に塑性化部を直列に接続して制振間柱を構成しているので、建物に作用する水平振動に対しては、粘弾性間柱によってその振動エネルギーを吸収できると共に、粘弾性間柱をせん断力破壊させるような過大な水平荷重が作用した時は、前記塑性化部が塑性変形することで、過大せん断力のピークをカットするので粘弾性間柱に過大なせん断変形を及ぼすことがなく、したがって、粘弾性間柱の損傷を回避でき、構造物に作用する振動エネルギーを円滑に減衰できると共に、地震等が終った後は、塑性化部の簡潔な取替え作業で再度制振間柱として復元することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態1に係る制振間柱を既設多層階マンション(RC造共同住宅)などの建築構造物の一つの階に施工した正面図である。
【図2】(a)、(b)は、実施形態1に係る制振間柱の正面図と右側面図である。
【図3】(a)、(b)は、実施形態2に係る制振間柱の正面図と右側面図である。
【図4】(a)、(b)は、実施形態3に係る制振間柱の正面図と右側面図である。
【図5】実施形態4に係る制振間柱の正面図である。
【図6】(a)、(b)は、図5の実施形態4に係る制振間柱の右側面図と左側面図である。
【図7】実施形態5に係る制振間柱の正面図である。
【図8】(a)、(b)は、図7の実施形態5に係る制振間柱の右側面図と左側面図である。
【図9】実施形態1に係る制振間柱を柱・梁フレーム内に設置した態様の正面図である。
【符号の説明】
1 建築構造物
2 制振間柱
3 天井部(上階側固定部)
4 床(上階側固定部)
5 壁
6 ドア
7 開閉窓
8 小窓
10 粘弾性間柱
10a 下部分割間柱部材
10b 上部分割間柱部材
11 上部接合部
11a 接合鋼板
11b ウエブ
11c フランジ
12 鋼製塑性化部
13 下部接合部
13a 接合鋼板
13b ウエブ
13c フランジ
13d 一方フランジ
13e 他方フランジ
14 ウエブ
15 フランジ
15a 一方フランジ
15b 他方フランジ
16 第1水平接合プレート
17 ウエブ
18 フランジ
19 取付部
20 鋼板
20a 鋼板下端部
21 ボルト孔
22 粘弾性体
23 可動間隔
24 ウエブ部
25 フランジ部
26 第2水平接合プレート
27 第2水平接合プレート
28 柱
29 梁
30 スリット
31 制振鋼板
32 横長孔
33 接合プレート
34 接合プレート
35 ボルト
36 塑性化スプライスプレート
37 弾性スプライスプレート
38 リブ
39 ピン
40 ピン
41 座屈拘束材
42 横拘束部材
43 スリット

Claims (9)

  1. 柱・梁フレーム内に設置される制振間柱であって、上下分割柱部材の鋼板同士を櫛歯状に噛み合せ、噛み合せ部の間隙に粘弾性体を装着して粘弾性間柱を構成すると共に、当該粘弾性間柱に鋼製塑性化部を直列に連結し、粘弾性間柱及び鋼製塑性化部には構造物との接合部をそれぞれ設けて構成したことを特徴とする最大せん断力制御型制振間柱。
  2. 鋼製塑性化部は、横断面H形であって、水平振動が発生した時、そのフランジ部は制振間柱の曲げモーメントを負担するよう弾性状態を維持可能に構成し、そのウエブ部はせん断力を負担して塑性化する鋼材で構成したことを特徴とする請求項1記載の最大せん断力制御型制振間柱。
  3. 鋼製塑性化部を連結する側の前記分割柱部材は断面H形であり、該鋼製塑性化部は、前記分割柱部材のウエブに塑性化部を形成するスリットを設けて構成をしたことを特徴とする請求項1記載の最大せん断力制御型制振間柱。
  4. 鋼製塑性化部を連結する側の前記分割柱部材は断面H形であり、該鋼製塑性化部は、スリットを有した制振鋼板を前記分割柱部材のウエブに脱着可能にボルト接合して構成したことを特徴とする請求項1記載の最大せん断力制御型制振間柱。
  5. 鋼製塑性化部を連結する側の前記分割柱部材は断面H形であり、前記鋼製塑性化部は、前記分割柱部材の一方のフランジと構造物への接合部とに跨って接合された鋼材よりなる塑性化スプライスプレートと、他方のフランジと構造物への接合部とに跨って接合され、水平振動で制振間柱が回転変形するとき屈曲してその屈曲部が回転中心となる弾性スプライスプレートとから構成したことを特徴とする請求項1記載の最大せん断力制御型制振間柱。
  6. 鋼製塑性化部を連結する側の前記分割柱部材は断面H形であり、前記鋼製塑性化部は、前記分割柱部材の一方のフランジと構造物への接合部とに跨って接合された鋼材よりなる塑性化スプライスプレートと、前記分割柱部材のウエブと構造物への接続部とに跨ってピン結合され、水平振動で制振間柱が回転変形するときウエブとのピン結合部が回転中心となるよう設けてなる弾性スプライスプレートとから構成したことを特徴とする請求項1記載の最大せん断力制御型制振間柱。
  7. 前記塑性化スプライスプレートを座屈拘束部材で補剛することを特徴とする請求項5又は6記載の最大せん断力制御型制振間柱。
  8. 請求項2、5又は6記載の鋼材は低降伏点鋼であることを特徴とする最大せん断力制御型制振間柱。
  9. 請求項1〜8の何れか1項記載の最大せん断力制御型制振間柱を構造物の各部位の柱・梁フレーム内に組み込むことで振動エネルギーを吸収するようにした制振鉄骨構造物。
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