JP2005015651A - 含フッ素ポリマーおよびレジスト組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】250nm以下の紫外線を使用するフォトリソグラフィー用レジスト組成物および該組成物用ポリマーを与えること。
【解決手段】式(1)で表される含フッ素ジエンが環化重合してなるモノマー単位及びフッ素原子を有するアクリル系単量体が重合してなるモノマー単位を有する含フッ素ポリマー(A)および該含フッ素ポリマーを含むレジスト組成物。
CF2=CFCF2−C(CF3)OR1−CH2CH=CH2・・・(1)
(ただし、R1は水素原子または酸により水素原子または酸性基を有する基に変換しうるブロック化基を表す。)
【選択図】なし
【解決手段】式(1)で表される含フッ素ジエンが環化重合してなるモノマー単位及びフッ素原子を有するアクリル系単量体が重合してなるモノマー単位を有する含フッ素ポリマー(A)および該含フッ素ポリマーを含むレジスト組成物。
CF2=CFCF2−C(CF3)OR1−CH2CH=CH2・・・(1)
(ただし、R1は水素原子または酸により水素原子または酸性基を有する基に変換しうるブロック化基を表す。)
【選択図】なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規な含フッ素レジスト用ポリマーおよびレジスト組成物に関する。さらに詳しくはKrF、ArFエキシマレーザー等の遠紫外線やF2エキシマレーザー等の真空紫外線を用いる微細加工に有用な化学増幅型レジスト用含フッ素ポリマーおよびレジスト組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、半導体集積回路の製造工程において、回路パターンの細密化に伴い高解像度でしかも高感度の光レジスト材料が求められている。回路パターンが微細になればなるほど露光装置の光源の短波長化が必須である。250nm以下のエキシマレーザーを用いるリソグラフィー用途にポリビニルフェノール系樹脂、脂環式アクリル系樹脂、ポリノルボルネン系樹脂(例えば、特許文献1参照)、フッ素系樹脂(例えば、特許文献2参照)等が提案されているが、十分なる解像度、感度を有するに至っていないのが現状である。
【0003】
【特許文献1】
WO01/63362号明細書
【特許文献2】
WO00/17712号明細書
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、化学増幅型レジストとして、特にKrF、ArFエキシマレーザー等の遠紫外線やF2エキシマレーザー等の真空紫外線に対する透明性、ドライエッチング性に優れ、さらに感度、解像度、溶解速度、平坦性、耐熱性等に優れたレジストパターンを与えるレジスト組成物を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は前述の課題を解決すべくなされた以下の発明である。
【0006】
すなわち本願第1の発明は、式(1)で表される含フッ素ジエンが環化重合してなるモノマー単位および式(2)で表されるアクリル系単量体が重合してなるモノマー単位を有する含フッ素ポリマー(A)。
CF2=CFCF2−C(CF3)OR1−CH2CH=CH2・・・(1)
(ただし、R1は水素原子または酸により水素原子または酸性基を有する基に変換しうるブロック化基を表す。)
CH2=CR2−CO2CR3R4R5・・・(2)
(ただし、R2は水素原子、フッ素原子、メチル基またはトリフルオロメチル基を表し、R3は水素原子またはメチル基またはトリフルオロメチル基を表し、R4、R5は相互に独立してメチル基またはトリフルオロメチル基を表す。また、R2、R3、R4、R5のうち少なくとも1つはフッ素原子またはトリフルオロメチル基である。)。
【0007】
さらに本願第2の発明は、前記含フッ素ポリマー(A)、光照射を受けて酸を発生する酸発生化合物(B)および有機溶媒(C)を含むことを特徴とするレジスト組成物を提供する。
【0008】
【発明の実施の形態】
式(1)で表される含フッ素ジエン(以下、含フッ素ジエン(1)という)の環化重合により、以下の(a)、(b)、(c)のモノマー単位が生成すると考えられ、分光学的分析の結果等より含フッ素ジエン(1)の環化重合体は、モノマー単位(a)、モノマー単位(b)、モノマー単位(c)、またはモノマー単位(a)、モノマー単位(b)、モノマー単位(c)から選ばれるいずれか2者もしくは3者を主たるモノマー単位として含む構造を有する重合体と考えられる。なお、この環化重合体の主鎖とは重合性不飽和結合を構成する炭素原子(含フッ素ジエン(1)の場合は重合性不飽和結合を構成する4個の炭素原子)から構成される炭素連鎖をいう。
【0009】
【化1】
【0010】
本願第1の発明における含フッ素ジエン(1)のR1は水素原子または酸により水素原子または酸性基を有する基に変換しうるブロック化基を表す。
【0011】
本願第1の発明におけるブロック化基は、酸により脱離して、水素原子または酸性基を有する基に変換しうるものであれば、どのような基でもかまわない。ここで酸性基とは酸性を呈する基を表し、酸性水酸基、カルボン酸基、スルホン酸基などがある。特に酸性水酸基とカルボン酸基が好ましい。酸性水酸基とは、酸性を示す水酸基であり、例えばアリール基の環に直接結合した水酸基(フェノール性水酸基)、パーフルオロアルキル基が結合した炭素原子に結合した水酸基、第3級炭素原子に結合した水酸基などがある。
【0012】
好ましいブロック化基としては、アルキル基、アルキルカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アルキルアルコキシカルボニル基、アシル基、エーテル基、環状エーテル基などが挙げられる。
【0013】
アルキル基としては、置換基(アリール基、アルコキシ基など)を有していてもよいアルキル基が挙げられる。これらのアルキル基の具体例としては、炭素数6以下のアルキル基(tert−ブチル基(t−C4H9)など)、全炭素数7〜20のアリール基置換アルキル基(ベンジル基、トリフェニルメチル基、p−メトキシベンジル基、3,4−ジメトキシベンジル基など)、全炭素数8以下のアルコキシアルキル基(メトキシメチル基、エトキシメチル基、(2−メトキシエトキシ)メチル基、ベンジルオキシメチル基など)が挙げられる。
【0014】
アルキルカルボニル基としては、全炭素数8以下のアルキルカルボニル基があり、tert−ブチルカルボニル基(−CO(tert−C4H9))などが挙げられる。
【0015】
アルコキシカルボニル基としては、全炭素数8以下のアルコキシカルボニル基があり、tert−ブトキシカルボニル基(−COO(tert−C4H9))などが挙げられる。
【0016】
アルキルアルコキシカルボニル基としては、全炭素数20以下のアルキルアルコキシカルボニル基があり、tert−ブトキシカルボニルメチル基(−CH2COO(tert−C4H9))、2−メチル−2−アダマンチルオキシカルボニルメチル基などが挙げられる。
【0017】
アシル基としては、全炭素数8以下のアシル基があり、ピバロイル基、ベンゾイル基、アセチル基などが挙げられる。環状エーテル基としてはテトラヒドロピラニル基(THP)などが挙げられる。
【0018】
本発明におけるブロック化基としては、置換基を有していてもよいアルキル基、アルキルアルコキシカルボニル基または環状エーテル基が好ましい。特に全炭素数8以下のアルコキシアルキル基、全炭素数20以下のアルキルアルコキシカルボニル基が好ましい。
【0019】
本願第1の発明におけるブロック化基は、水酸基をブロック化することにより導入する。すなわち、水酸基にカルボン酸またはこれらの活性誘導体などのブロック化剤を反応させて導入することができる。これらの活性誘導体としては、アルキルハライド、酸塩化物、酸無水物、クロル炭酸エステル類、ブロモ炭酸エステル類、ブロモ酢酸エステル類、ジアルキルジカーボネート(ジ−tert−ブチルジカーボネートなど)、3,4−ジヒドロ−2H−ピランなどが挙げられる。水酸基をブロック化するのに有用なブロック化剤の具体例は、A. J. PearsonおよびW. R. Roush編、Handbook of Reagents for Organic Synthesis: Activating Agents and Protecting Groups, John Wiley & Sons (1999)に記載されている。ブロック化基はモノマーの段階で導入してもよいし、重合後ポリマー反応により導入してもよい。
【0020】
かかるブロック化基は、酸により脱離して水素原子に変換せしめることができるか、酸によりブロック化基の中にあるより分解しやすい部分が先に分解して、酸性基を有する基に変換せしめることができる。例えば、ブロック化基がアルキル基の場合は、酸によりブロック化基が脱離し、水素原子に変換される。また、ブロック化基が、−CH2COO(tert−C4H9)のようなアルキルアルコキシカルボニル基の場合は、酸の種類、条件などによっては、水素原子に変換されず、−CH2COOHに変換される場合がある。
【0021】
本願第1の発明におけるアクリル系単量体は下式(2)で表わされる。
CH2=CR3−CO2CR3R4R5 ・・・(2)
ただし、R2は水素原子、フッ素原子、メチル基またはトリフルオロメチル基を表し、R3は水素原子またはメチル基またはトリフルオロメチル基を表し、R4、R5は相互に独立してメチル基またはトリフルオロメチル基を表す。また、R2、R3、R4、R5のうち少なくとも1つはフッ素原子またはトリフルオロメチル基である。
【0022】
式(2)で表されるアクリル単量体(以下、アクリル単量体(2)という。)は、フッ素原子を一つ以上有することが重要である。フッ素原子を有することにより、250nm以下の光に対して透明性が良好となる。アクリル単量体(2)に含まれる水素原子とフッ素原子の合計に対するフッ素原子の数は、5モル%以上が好ましい。
【0023】
本願第1の発明におけるアクリル系単量体(2)の具体例としては、以下のアクリル単量体が挙げられる。
【0024】
CH2=CH−CO2CH(CF3)(CH3)
CH2=CH−CO2CH(CF3)2
CH2=CH−CO2C(CF3)(CH3)2
CH2=CH−CO2C(CF3)2(CH3)
CH2=CH−CO2C(CF3)3
CH2=CF−CO2CH(CH3)2
CH2=CF−CO2CH(CF3)(CH3)
CH2=CF−CO2CH(CF3)2
CH2=CF−CO2C(CH3)3
CH2=CF−CO2C(CF3)(CH3)2
CH2=CF−CO2C(CF3)2(CH3)
CH2=CF−CO2C(CF3)3
CH2=C(CH3)−CO2CH(CF3)(CH3)
CH2=C(CH3)−CO2CH(CF3)2
CH2=C(CH3)−CO2C(CF3)(CH3)2
CH2=C(CH3)−CO2C(CF3)2(CH3)
CH2=C(CH3)−CO2C(CF3)3
CH2=C(CF3)−CO2CH(CH3)2
CH2=C(CF3)−CO2CH(CF3)(CH3)
CH2=C(CF3)−CO2CH(CF3)2
CH2=C(CF3)−CO2C(CH3)3
CH2=C(CF3)−CO2C(CF3)(CH3)2
CH2=C(CF3)−CO2C(CF3)2(CH3)
CH2=C(CF3)−CO2C(CF3)3
この中でも、特にR2がフッ素原子またはトリフルオロメチル基であること、またはR3、R4またはR5のいずれか1つ以上がトリフルオロメチル基であることが好ましい。
【0025】
本発明の含フッ素ポリマー(A)は、含フッ素ジエン(1)が環化重合してなるモノマー単位(以下、単位(1)という。)とアクリル系単量体(2)が重合してなるモノマー単位(以下、単位(2)という。)の組成比(単位(1):単位(2))は、モル比で95:5から50:50であることが好ましい。単位(1)が両単位の合計に対し50モル%以上であることにより特に短波長の紫外線(波長250nm以下のエキシマレーザー光)の透過性が大きいポリマーとなり、95モル%以下であることにより、本願第2の発明であるレジスト組成物に使用した場合現像性が向上する。
【0026】
本発明の含フッ素ポリマー(A)においては、R1が水素原子である単位(1)(以下、OH単位(1)という。)と、R1がブロック化基である単位(1)(以下、ブロック化単位(1)という。)とが共存していることが好ましい。OH単位(1)とブロック化単位(1)の比率を変えることにより、含フッ素ポリマー(A)を本願第2の発明のレジスト組成物に使用した場合、該レジスト組成物から形成されるレジスト膜のアルカリ性現像液に対する溶解性を制御することができる。OH単位(1)とブロック化単位(1)の合計に対するブロック化単位(1)の割合は、5〜95モル%が好ましく、特に10〜40モル%が好ましい。
【0027】
本発明の含フッ素ポリマー(A)の分子量は、後述する有機溶媒(C)に均一に溶解し、基材に均一に塗布できる限り特に限定されないが、通常そのポリスチレン換算数平均分子量は1000〜10万が適当であり、好ましくは2000〜5万である。数平均分子量を1000以上とすることで、本願第2の発明であるレジスト組成物に使用した場合、より良好なレジストパターンが得られ、現像後の残膜率が充分であり、パターン熱処理時の形状安定性もより良好となる。また数平均分子量を10万以下とすることで、本願第2の発明であるレジスト組成物の塗布性がより良好であり、また充分な現像性を保つことができる。
【0028】
また、含フッ素ポリマー(A)は、その特性を損なわない範囲で他のラジカル重合性単量体(以下、他の単量体という。)に由来するモノマー単位を含んでもよい。他の単量体に由来するモノマー単位の割合は全モノマー単位に対して30モル%以下が好ましく、特に15モル%以下が好ましい。
【0029】
例示しうる他の単量体として、エチレン、プロピレン、イソブチレン等のα−オレフィン類、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロプロピルビニルエーテル等の含フッ素オレフィン、パーフルオロ(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソールなどの含フッ素環状単量体、パーフルオロ(ブテニルビニルエーテル)などの環化重合しうるパーフルオロジエン、酢酸ビニル、ピバリン酸ビニル、安息香酸ビニル、アダマンチル酸ビニル等のビニルエステル類、エチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル等のビニルエーテル類、シクロヘキセン、ノルボルネン、ノルボルナジエン等の環状オレフィン類等、クロトン酸メチル等のクロトン酸エステル類、けい皮酸メチル等のけい皮酸エステル類、無水マレイン酸、塩化ビニル、スチレンなどに由来する単量体が挙げられる。
【0030】
本発明における含フッ素ポリマー(A)は、他の単量体に由来するモノマー単位に、酸性基または酸により酸性基に変換できる官能基を有していてもよい。酸性基とは酸性を呈する基であり、酸性水酸基であることが好ましい。かかる酸性基を有していることにより、レジスト材料の溶解性制御の幅を広げることができる。
【0031】
含フッ素ポリマー(A)において、含フッ素ポリマー(A)の全モノマー単位に対するブロック化基(ブロック化単位(1)のブロック化基と他の単量体中のブロック化酸性基とを含む、以下同じ)を有するモノマー単位の合計の割合は5〜100モル%が好ましく、特に10〜90モル%が好ましい。含フッ素ポリマー(A)が水酸基(酸性基を含む、以下同じ)を有するモノマー単位をも有する場合、含フッ素ポリマー(A)の全モノマー単位に対するブロック化基を有するモノマー単位の割合は5〜90モル%(特に10〜50モル%)が好ましく、水酸基を有するモノマー単位の割合は5〜90モル%(特に10〜50モル%)が好ましく、両者の合計は20〜100モル%が好ましい。
【0032】
含フッ素ポリマー(A)中の、含フッ素ジエン(1)が環化重合したモノマー単位において、ブロック化基は複数あってもよい。すなわち、前述したブロック化基(R1)から複数選択することができる。具体的には、メトキシメチル基(−CH2OCH3)とtert−ブトキシカルボニル基(−C(O)OBu−t)、メトキシメチル基とtert−ブチルカルボニル基(−C(O)Bu−t)、メトキシメチル基とtert−ブトキシカルボニルメチル基(−CH2C(O)OBu−t)、エトキシメチル基(−CH2OCH2CH3)とtert−ブトキシカルボニル基、エトキシメチル基とtert−ブチルカルボニル基、エトキシメチル基とtert−ブトキシカルボニルメチル基などの組合せが挙げられる。
【0033】
含フッ素ジエン(1)、アクリル系単量体(2)および任意に他の単量体を重合開始剤の下で共重合させることにより含フッ素ポリマー(A)が得られる。重合開始剤としては、重合反応をラジカル的に進行させるものであればなんら限定されないが、例えばラジカル発生剤、光、電離放射線などが挙げられる。特にラジカル発生剤が好ましく、過酸化物、アゾ化合物、過硫酸塩などが例示される。
【0034】
重合の方法もまた特に限定されるものではなく、単量体をそのまま重合に供するいわゆるバルク重合、単量体を溶解するフッ化炭化水素、塩化炭化水素、フッ化塩化炭化水素、アルコール、炭化水素またはその他の有機溶剤中で行う溶液重合、水性媒体中で適当な有機溶剤存在下あるいは非存在下に行う懸濁重合、水性媒体に乳化剤を添加して行う乳化重合などが例示される。
【0035】
本願第2の発明における光照射を受けて酸を発生する酸発生化合物(B)は露光により酸を発生する。この酸によって、含フッ素ポリマー(A)中に存在するブロック化基が脱離し、水素原子に変換される。その結果レジスト膜の露光部がアルカリ性現像液に易溶性となり、アルカリ性現像液によってポジ型のレジストパターンが形成される。ブロック化基の種類によっては、前述したとおりブロック化基がそのまま脱離せず、ブロック化基中の、より酸により分解されやすい部分が分解され、酸性基を有する基に変換されることもある。この場合も、アルカリ性現像液に易溶性となることには変わりなく、ポジ型のレジストパターンが形成されることには変わりない。
【0036】
このような光照射を受けて酸を発生する酸発生化合物(B)としては、通常の化学増幅型レジスト材に使用されている酸発生化合物が採用可能であり、オニウム塩、ハロゲン含有化合物、ジアゾケトン化合物、スルホン化合物、スルホン酸化合物等を挙げることができる。これらの酸発生化合物(B)の例としては、下記のものを挙げることができる。
【0037】
オニウム塩としては、例えば、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、ホスホニウム塩、ジアゾニウム塩、ピリジニウム塩等を挙げることができる。好ましいオニウム塩の具体例としては、ジフェニルヨードニウムトリフレート、ジフェニルヨードニウムピレンスルホネート、ジフェニルヨードニウムドデシルベンゼンスルホネート、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムトリフレート、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムドデシルベンゼンスルホネート、トリフェニルスルホニウムトリフレート、トリフェニルスルホニウムノナネート、トリフェニルスルホニウムパーフルオロオクタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、1−(ナフチルアセトメチル)チオラニウムトリフレート、シクロヘキシルメチル(2−オキソシクロヘキシル)スルホニウムトリフレート、ジシクロヘキシル(2−オキソシクロヘキシル)スルホニウムトリフレート、ジメチル(4−ヒドロキシナフチル)スルホニウムトシレート、ジメチル(4−ヒドロキシナフチル)スルホニウムドデシルベンゼンスルホネート、ジメチル(4−ヒドロキシナフチル)スルホニウムナフタレンスルホネート、トリフェニルスルホニウムカンファースルホネート、(4−ヒドロキシフェニル)ベンジルメチルスルホニウムトルエンスルホネート等を挙げられる。
【0038】
ハロゲン含有化合物としては、例えば、ハロアルキル基含有炭化水素化合物、ハロアルキル基含有複素環式化合物等を挙げることができる。具体例としては、フェニル−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、メトキシフェニル−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、ナフチル−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン等の(トリクロロメチル)−s−トリアジン誘導体や、1,1−ビス(4−クロロフェニル)−2,2,2−トリクロロエタン等を挙げられる。
【0039】
スルホン化合物としては、例えば、β−ケトスルホン、β−スルホニルスルホンや、これらの化合物のα−ジアゾ化合物等を挙げることができる。具体例としては、4−トリスフェナシルスルホン、メシチルフェナシルスルホン、ビス(フェニルスルホニル)メタン等を挙げることができる。スルホン酸化合物としては、例えば、アルキルスルホン酸エステル、アルキルスルホン酸イミド、ハロアルキルスルホン酸エステル、アリールスルホン酸エステル、イミノスルホネート等を挙げることができる。具体例としては、ベンゾイントシレート、1,8−ナフタレンジカルボン酸イミドトリフレート等を挙げることができる。本発明において、酸発生化合物(B)は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0040】
本願第2の発明における有機溶媒(C)は(A)、(B)両成分を溶解するものであれば特に限定されるものではない。メチルアルコール、エチルアルコール等のアルコール類、アセトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル等の酢酸エステル類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールモノアルキルエーテル類、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、カルビトールアセテート等のグリコールモノアルキルエーテルエステル類などが挙げられる。
【0041】
本願第2の発明のレジスト組成物における各成分の割合は、通常含フッ素ポリマー(A)100質量部に対し酸発生化合物(B)0.1〜20質量部および有機溶媒(C)50〜2000質量部が適当である。好ましくは、含フッ素ポリマー(A)100質量部に対し酸発生化合物(B)0.1〜10質量部および有機溶媒(C)100〜1000質量部である。
【0042】
酸発生化合物(B)の使用量を0.1質量部以上とすることで、充分な感度および現像性を与えることができ、また20質量部以下とすることで、放射線に対する透明性が充分に保たれ、より正確なレジストパターンを得ることができる。
【0043】
本願第2の発明のレジスト組成物にはパターンコントラスト向上のための酸開裂性添加剤、塗布性の改善のために界面活性剤、酸発生パターンの調整のために含窒素塩基性化合物、基材との密着性を向上させるために接着助剤、組成物の保存性を高めるために保存安定剤等を目的に応じ適宜配合できる。また本発明のレジスト組成物は、各成分を均一に混合した後0.1〜2μmのフィルターによってろ過して用いることが好ましい。
【0044】
本願第2の発明のレジスト組成物をシリコーンウエハなどの基板上に塗布乾燥することによりレジスト膜が形成される。塗布方法には回転塗布、流し塗布、ロール塗布等が採用される。形成されたレジスト膜上にパターンが描かれたマスクを介して光照射が行われ、その後現像処理がなされパターンが形成される。
【0045】
照射される光としては、波長436nmのg線、波長365nmのi線等の紫外線、波長248nmのKrFエキシマレーザー、波長193nmのArFエキシマレーザー、波長157nmのF2エキシマレーザー等の遠紫外線や真空紫外線が挙げられる。本発明のレジスト組成物は、波長250nm以下の紫外線、特に波長200nm以下の紫外線(ArFエキシマレーザー光やF2エキシマレーザー光)が光源として使用される用途に有用なレジスト組成物である。
【0046】
現像処理液としては、各種アルカリ水溶液が適用される。アルカリとしては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、トリエチルアミン等が例示可能である。
【0047】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、THFはテトラヒドロフラン、PTFEはポリテトラフルオロエチレンをいう。
【0048】
[含フッ素ポリマー(A)の合成例]
(合成例1)
1,1,2,3,3−ペンタフルオロ−4−トリフルオロメチル−4−ヒドロキシ−1,6−ヘプタジエン[CF2=CFCF2C(CF3)(OH)CH2CH=CH2]の10.0g、1,1,2,3,3−ペンタフルオロ−4−トリフルオロメチル−4−メトキシメチルオキシ−1,6−ヘプタジエン[CF2=CFCF2C(CF3)(OCH2OCH3)CH2CH=CH2]の4.47g、α−フルオロ−tert−ブチルアクリレートの0.83g、1,4−ジオキサンの1.55gおよび酢酸エチルの39.83gを、内容積70mLのガラス製耐圧反応器に仕込んだ。次に、重合開始剤としてパーフルオロベンゾイルパーオキシドの0.51gを添加した。系内を凍結脱気した後、恒温振とう槽内(70℃)で18時間重合させた。重合後、反応溶液をヘキサン中に滴下して、ポリマーを再沈させた後、135℃で18時間真空乾燥を実施した。その結果、主鎖に含フッ素環状モノマー単位およびα−フルオロ−tert−ブチルアクリレートからなるモノマー単位を有する白色粉末状の非結晶性ポリマー(以下、重合体1Aという)の13.95gを得た。重合体1Aの分子量をGPC(THF溶媒)にて測定したところ、ポリスチレン換算で、数平均分子量(Mn)は20,100、重量平均分子量(Mw)は58,100であり、Mw/Mnは2.89であった。示差走査熱分析(DSC)により測定したガラス転移温度は152℃であった。
【0049】
<NMRスペクトル>
19F NMR(376.2MHz、溶媒:CDCl3、基準:CFCl3)δ(ppm):−75.7(m,3F),−105.7(m,2F),−121.6(m,2F),−165.5(m, 1F<CH2=CF−C(O)OBu−t由来>)、−186.5(m,1F)。
【0050】
19F NMRおよび1H NMR測定により計算されたポリマー組成は、1,1,2,3,3−ペンタフルオロ−4−トリフルオロメチル−4−ヒドロキシ−1,6−ヘプタジエンからなるモノマー単位/1,1,2,3,3−ペンタフルオロ−4−トリフルオロメチル−4−メトキシメチルオキシ−1,6−ヘプタジエンからなるモノマー単位/α−フルオロ−tert−ブチルアクリレートからなるモノマー単位=63/25/12モル%であった。
【0051】
(合成例2)
1,1,2,3,3−ペンタフルオロ−4−トリフルオロメチル−4−ヒドロキシ−1,6−ヘプタジエン[CF2=CFCF2C(CF3)(OH)CH2CH=CH2]の10.0g、1,1,2,3,3−ペンタフルオロ−4−トリフルオロメチル−4−メトキシメチルオキシ−1,6−ヘプタジエン[CF2=CFCF2C(CF3)(OCH2OCH3)CH2CH=CH2]の4.47g、α−トリフルオロメチル−tert−ブチルアクリレートの1.12g、1,4−ジオキサンの1.55gおよび酢酸エチルの40.60gを、内容積70mLのガラス製耐圧反応器に仕込んだ。次に、重合開始剤としてパーフルオロベンゾイルパーオキシドの0.52gを添加した。系内を凍結脱気した後、恒温振とう槽内(70℃)で18時間重合させた。重合後、反応溶液をヘキサン中に滴下して、ポリマーを再沈させた後、135℃で18時間真空乾燥を実施した。その結果、主鎖に含フッ素環状モノマー単位およびα−トリフルオロメチル−tert−ブチルアクリレートからなるモノマー単位を有する白色粉末状の非結晶性ポリマー(以下、重合体2Aという)の13.97gを得た。重合体2Aの分子量をGPC(THF溶媒)にて測定したところ、ポリスチレン換算で、数平均分子量(Mn)は14,400、重量平均分子量(Mw)は34,000であり、Mw/Mnは2.37であった。示差走査熱分析(DSC)により測定したガラス転移温度は140℃であった。
【0052】
<NMRスペクトル>
19F NMR(376.2MHz、溶媒:CDCl3、基準:CFCl3)δ(ppm):−67.0(bs, 3F<CH2=C(CF3)−C(O)OBu−t由来>)−75.7(m,3F),−105.7(m,2F),−121.7(m,2F)、−186.5(m,1F)。
【0053】
19F NMRおよび1H NMR測定により計算されたポリマー組成は、1,1,2,3,3−ペンタフルオロ−4−トリフルオロメチル−4−ヒドロキシ−1,6−ヘプタジエンからなるモノマー単位/1,1,2,3,3−ペンタフルオロ−4−トリフルオロメチル−4−メトキシメチルオキシ−1,6−ヘプタジエンからなるモノマー単位/α−トリフルオロメチル−tert−ブチルアクリレートからなるモノマー単位=64/25/11モル%であった。
【0054】
(合成例3)
1,1,2,3,3−ペンタフルオロ−4−トリフルオロメチル−4−ヒドロキシ−1,6−ヘプタジエン[CF2=CFCF2C(CF3)(OH)CH2CH=CH2]の9.36g、1,1,2,3,3−ペンタフルオロ−4−トリフルオロメチル−4−メトキシメチルオキシ−1,6−ヘプタジエン[CF2=CFCF2C(CF3)(OCH2OCH3)CH2CH=CH2]の2.27gおよび1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−tert−ブチルアクリレートの1.48g、1,4−ジオキサンの1.45gおよび酢酸エチルの25.16gを内容積70mLのガラス製耐圧反応器に仕込んだ。次に、重合開始剤としてパーフルオロベンゾイルパーオキシドの0.397gを添加した。系内を凍結脱気した後、恒温振とう槽内(70℃)で18時間重合させた。重合後、反応溶液をヘキサン中に滴下して、ポリマーを再沈させた後、135℃で18時間真空乾燥を実施した。その結果、主鎖に含フッ素環状モノマー単位およびtert−ブチルメタクリレートからなるモノマー単位を有する白色粉末状の非結晶性ポリマー(以下、重合体3Aという)の10.4gを得た。重合体3Aの分子量をGPC(THF溶媒)にて測定したところ、ポリスチレン換算で、数平均分子量(Mn)は9,100、重量平均分子量(Mw)は18,400であり、Mw/Mnは2.03であった。示差走査熱分析(DSC)により測定したガラス転移点は138℃であった。
【0055】
19F NMRおよび1H NMR測定により計算されたポリマー組成は、1,1,2,3,3−ペンタフルオロ−4−トリフルオロメチル−4−ヒドロキシ−1,6−ヘプタジエンからなるモノマー単位/1,1,2,3,3−ペンタフルオロ−4−トリフルオロメチル−4−メトキシメチルオキシ−1,6−ヘプタジエンからなるモノマー単位/1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−tert−ブチルアクリレートからなるモノマー単位=70/14/16モル%であった。
【0056】
(合成例4)
1,1,2,3,3−ペンタフルオロ−4−トリフルオロメチル−4−ヒドロキシ−1,6−ヘプタジエン[CF2=CFCF2C(CF3)(OH)CH2CH=CH2]の5.0g、1,1,2,3,3−ペンタフルオロ−4−トリフルオロメチル−4−メトキシメチルオキシ−1,6−ヘプタジエン[CF2=CFCF2C(CF3)(OCH2OCH3)CH2CH=CH2]の0.82gおよびtert−ブチルメタクリレートの0.53g、1,4−ジオキサンの0.78gおよび酢酸メチルの16.52gを内容積30mLのガラス製耐圧反応器に仕込んだ。次に、重合開始剤としてパーフルオロベンゾイルパーオキシドの0.188gを添加した。系内を凍結脱気した後、恒温振とう槽内(70℃)で18時間重合させた。重合後、反応溶液をヘキサン中に滴下して、ポリマーを再沈させた後、150℃で15時間真空乾燥を実施した。その結果、主鎖に含フッ素環状モノマー単位およびtert−ブチルメタクリレートからなるモノマー単位を有する白色粉末状の非結晶性ポリマー(以下、重合体4Aという)の5.2gを得た。重合体3Aの分子量をGPC(THF溶媒)にて測定したところ、ポリスチレン換算で、数平均分子量(Mn)は6,700、重量平均分子量(Mw)は16,600であり、Mw/Mnは2.47であった。示差走査熱分析(DSC)により測定したガラス転移点は154℃であった。
【0057】
19F NMRおよび1H NMR測定により計算されたポリマー組成は、1,1,2,3,3−ペンタフルオロ−4−トリフルオロメチル−4−ヒドロキシ−1,6−ヘプタジエンからなるモノマー単位/1,1,2,3,3−ペンタフルオロ−4−トリフルオロメチル−4−メトキシメチルオキシ−1,6−ヘプタジエンからなるモノマー単位/tert−ブチルメタクリレートからなるモノマー単位=73/10/17モル%であった。
【0058】
(実施例1〜3)
合成例1〜3で合成した重合体1A〜3Aのそれぞれ1gとトリメチルスルホニウムトリフレートの0.05gとをプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートの10gに溶解させ、孔径0.2μmのPTFE製フィルターを用いてろ過し、レジスト組成物を製造した。
ヘキサメチルジシラザンで処理したシリコン基板上に、上記のレジスト組成物を回転塗布し、塗布後80℃で2分間加熱処理して、膜厚0.3μmのレジスト膜を形成した。このようにして得られたレジスト膜の光線透過率を表1に示す。
【0059】
(比較例1)
実施例3の重合体3Aを4Aにする以外は、実施例3と同様に操作した。レジスト膜の光線透過率を表1に示す。
【0060】
【表1】
【0061】
【発明の効果】
本発明のレジスト組成物は化学増幅型レジストとして用いることができ、特にKrF、ArFエキシマレーザー等の遠紫外線やF2エキシマレーザー等の真空紫外線に対する透明性、ドライエッチング性に優れ、さらに感度、解像度、平坦性、耐熱性等に優れたレジストパターンを容易に形成できる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規な含フッ素レジスト用ポリマーおよびレジスト組成物に関する。さらに詳しくはKrF、ArFエキシマレーザー等の遠紫外線やF2エキシマレーザー等の真空紫外線を用いる微細加工に有用な化学増幅型レジスト用含フッ素ポリマーおよびレジスト組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、半導体集積回路の製造工程において、回路パターンの細密化に伴い高解像度でしかも高感度の光レジスト材料が求められている。回路パターンが微細になればなるほど露光装置の光源の短波長化が必須である。250nm以下のエキシマレーザーを用いるリソグラフィー用途にポリビニルフェノール系樹脂、脂環式アクリル系樹脂、ポリノルボルネン系樹脂(例えば、特許文献1参照)、フッ素系樹脂(例えば、特許文献2参照)等が提案されているが、十分なる解像度、感度を有するに至っていないのが現状である。
【0003】
【特許文献1】
WO01/63362号明細書
【特許文献2】
WO00/17712号明細書
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、化学増幅型レジストとして、特にKrF、ArFエキシマレーザー等の遠紫外線やF2エキシマレーザー等の真空紫外線に対する透明性、ドライエッチング性に優れ、さらに感度、解像度、溶解速度、平坦性、耐熱性等に優れたレジストパターンを与えるレジスト組成物を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は前述の課題を解決すべくなされた以下の発明である。
【0006】
すなわち本願第1の発明は、式(1)で表される含フッ素ジエンが環化重合してなるモノマー単位および式(2)で表されるアクリル系単量体が重合してなるモノマー単位を有する含フッ素ポリマー(A)。
CF2=CFCF2−C(CF3)OR1−CH2CH=CH2・・・(1)
(ただし、R1は水素原子または酸により水素原子または酸性基を有する基に変換しうるブロック化基を表す。)
CH2=CR2−CO2CR3R4R5・・・(2)
(ただし、R2は水素原子、フッ素原子、メチル基またはトリフルオロメチル基を表し、R3は水素原子またはメチル基またはトリフルオロメチル基を表し、R4、R5は相互に独立してメチル基またはトリフルオロメチル基を表す。また、R2、R3、R4、R5のうち少なくとも1つはフッ素原子またはトリフルオロメチル基である。)。
【0007】
さらに本願第2の発明は、前記含フッ素ポリマー(A)、光照射を受けて酸を発生する酸発生化合物(B)および有機溶媒(C)を含むことを特徴とするレジスト組成物を提供する。
【0008】
【発明の実施の形態】
式(1)で表される含フッ素ジエン(以下、含フッ素ジエン(1)という)の環化重合により、以下の(a)、(b)、(c)のモノマー単位が生成すると考えられ、分光学的分析の結果等より含フッ素ジエン(1)の環化重合体は、モノマー単位(a)、モノマー単位(b)、モノマー単位(c)、またはモノマー単位(a)、モノマー単位(b)、モノマー単位(c)から選ばれるいずれか2者もしくは3者を主たるモノマー単位として含む構造を有する重合体と考えられる。なお、この環化重合体の主鎖とは重合性不飽和結合を構成する炭素原子(含フッ素ジエン(1)の場合は重合性不飽和結合を構成する4個の炭素原子)から構成される炭素連鎖をいう。
【0009】
【化1】
【0010】
本願第1の発明における含フッ素ジエン(1)のR1は水素原子または酸により水素原子または酸性基を有する基に変換しうるブロック化基を表す。
【0011】
本願第1の発明におけるブロック化基は、酸により脱離して、水素原子または酸性基を有する基に変換しうるものであれば、どのような基でもかまわない。ここで酸性基とは酸性を呈する基を表し、酸性水酸基、カルボン酸基、スルホン酸基などがある。特に酸性水酸基とカルボン酸基が好ましい。酸性水酸基とは、酸性を示す水酸基であり、例えばアリール基の環に直接結合した水酸基(フェノール性水酸基)、パーフルオロアルキル基が結合した炭素原子に結合した水酸基、第3級炭素原子に結合した水酸基などがある。
【0012】
好ましいブロック化基としては、アルキル基、アルキルカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アルキルアルコキシカルボニル基、アシル基、エーテル基、環状エーテル基などが挙げられる。
【0013】
アルキル基としては、置換基(アリール基、アルコキシ基など)を有していてもよいアルキル基が挙げられる。これらのアルキル基の具体例としては、炭素数6以下のアルキル基(tert−ブチル基(t−C4H9)など)、全炭素数7〜20のアリール基置換アルキル基(ベンジル基、トリフェニルメチル基、p−メトキシベンジル基、3,4−ジメトキシベンジル基など)、全炭素数8以下のアルコキシアルキル基(メトキシメチル基、エトキシメチル基、(2−メトキシエトキシ)メチル基、ベンジルオキシメチル基など)が挙げられる。
【0014】
アルキルカルボニル基としては、全炭素数8以下のアルキルカルボニル基があり、tert−ブチルカルボニル基(−CO(tert−C4H9))などが挙げられる。
【0015】
アルコキシカルボニル基としては、全炭素数8以下のアルコキシカルボニル基があり、tert−ブトキシカルボニル基(−COO(tert−C4H9))などが挙げられる。
【0016】
アルキルアルコキシカルボニル基としては、全炭素数20以下のアルキルアルコキシカルボニル基があり、tert−ブトキシカルボニルメチル基(−CH2COO(tert−C4H9))、2−メチル−2−アダマンチルオキシカルボニルメチル基などが挙げられる。
【0017】
アシル基としては、全炭素数8以下のアシル基があり、ピバロイル基、ベンゾイル基、アセチル基などが挙げられる。環状エーテル基としてはテトラヒドロピラニル基(THP)などが挙げられる。
【0018】
本発明におけるブロック化基としては、置換基を有していてもよいアルキル基、アルキルアルコキシカルボニル基または環状エーテル基が好ましい。特に全炭素数8以下のアルコキシアルキル基、全炭素数20以下のアルキルアルコキシカルボニル基が好ましい。
【0019】
本願第1の発明におけるブロック化基は、水酸基をブロック化することにより導入する。すなわち、水酸基にカルボン酸またはこれらの活性誘導体などのブロック化剤を反応させて導入することができる。これらの活性誘導体としては、アルキルハライド、酸塩化物、酸無水物、クロル炭酸エステル類、ブロモ炭酸エステル類、ブロモ酢酸エステル類、ジアルキルジカーボネート(ジ−tert−ブチルジカーボネートなど)、3,4−ジヒドロ−2H−ピランなどが挙げられる。水酸基をブロック化するのに有用なブロック化剤の具体例は、A. J. PearsonおよびW. R. Roush編、Handbook of Reagents for Organic Synthesis: Activating Agents and Protecting Groups, John Wiley & Sons (1999)に記載されている。ブロック化基はモノマーの段階で導入してもよいし、重合後ポリマー反応により導入してもよい。
【0020】
かかるブロック化基は、酸により脱離して水素原子に変換せしめることができるか、酸によりブロック化基の中にあるより分解しやすい部分が先に分解して、酸性基を有する基に変換せしめることができる。例えば、ブロック化基がアルキル基の場合は、酸によりブロック化基が脱離し、水素原子に変換される。また、ブロック化基が、−CH2COO(tert−C4H9)のようなアルキルアルコキシカルボニル基の場合は、酸の種類、条件などによっては、水素原子に変換されず、−CH2COOHに変換される場合がある。
【0021】
本願第1の発明におけるアクリル系単量体は下式(2)で表わされる。
CH2=CR3−CO2CR3R4R5 ・・・(2)
ただし、R2は水素原子、フッ素原子、メチル基またはトリフルオロメチル基を表し、R3は水素原子またはメチル基またはトリフルオロメチル基を表し、R4、R5は相互に独立してメチル基またはトリフルオロメチル基を表す。また、R2、R3、R4、R5のうち少なくとも1つはフッ素原子またはトリフルオロメチル基である。
【0022】
式(2)で表されるアクリル単量体(以下、アクリル単量体(2)という。)は、フッ素原子を一つ以上有することが重要である。フッ素原子を有することにより、250nm以下の光に対して透明性が良好となる。アクリル単量体(2)に含まれる水素原子とフッ素原子の合計に対するフッ素原子の数は、5モル%以上が好ましい。
【0023】
本願第1の発明におけるアクリル系単量体(2)の具体例としては、以下のアクリル単量体が挙げられる。
【0024】
CH2=CH−CO2CH(CF3)(CH3)
CH2=CH−CO2CH(CF3)2
CH2=CH−CO2C(CF3)(CH3)2
CH2=CH−CO2C(CF3)2(CH3)
CH2=CH−CO2C(CF3)3
CH2=CF−CO2CH(CH3)2
CH2=CF−CO2CH(CF3)(CH3)
CH2=CF−CO2CH(CF3)2
CH2=CF−CO2C(CH3)3
CH2=CF−CO2C(CF3)(CH3)2
CH2=CF−CO2C(CF3)2(CH3)
CH2=CF−CO2C(CF3)3
CH2=C(CH3)−CO2CH(CF3)(CH3)
CH2=C(CH3)−CO2CH(CF3)2
CH2=C(CH3)−CO2C(CF3)(CH3)2
CH2=C(CH3)−CO2C(CF3)2(CH3)
CH2=C(CH3)−CO2C(CF3)3
CH2=C(CF3)−CO2CH(CH3)2
CH2=C(CF3)−CO2CH(CF3)(CH3)
CH2=C(CF3)−CO2CH(CF3)2
CH2=C(CF3)−CO2C(CH3)3
CH2=C(CF3)−CO2C(CF3)(CH3)2
CH2=C(CF3)−CO2C(CF3)2(CH3)
CH2=C(CF3)−CO2C(CF3)3
この中でも、特にR2がフッ素原子またはトリフルオロメチル基であること、またはR3、R4またはR5のいずれか1つ以上がトリフルオロメチル基であることが好ましい。
【0025】
本発明の含フッ素ポリマー(A)は、含フッ素ジエン(1)が環化重合してなるモノマー単位(以下、単位(1)という。)とアクリル系単量体(2)が重合してなるモノマー単位(以下、単位(2)という。)の組成比(単位(1):単位(2))は、モル比で95:5から50:50であることが好ましい。単位(1)が両単位の合計に対し50モル%以上であることにより特に短波長の紫外線(波長250nm以下のエキシマレーザー光)の透過性が大きいポリマーとなり、95モル%以下であることにより、本願第2の発明であるレジスト組成物に使用した場合現像性が向上する。
【0026】
本発明の含フッ素ポリマー(A)においては、R1が水素原子である単位(1)(以下、OH単位(1)という。)と、R1がブロック化基である単位(1)(以下、ブロック化単位(1)という。)とが共存していることが好ましい。OH単位(1)とブロック化単位(1)の比率を変えることにより、含フッ素ポリマー(A)を本願第2の発明のレジスト組成物に使用した場合、該レジスト組成物から形成されるレジスト膜のアルカリ性現像液に対する溶解性を制御することができる。OH単位(1)とブロック化単位(1)の合計に対するブロック化単位(1)の割合は、5〜95モル%が好ましく、特に10〜40モル%が好ましい。
【0027】
本発明の含フッ素ポリマー(A)の分子量は、後述する有機溶媒(C)に均一に溶解し、基材に均一に塗布できる限り特に限定されないが、通常そのポリスチレン換算数平均分子量は1000〜10万が適当であり、好ましくは2000〜5万である。数平均分子量を1000以上とすることで、本願第2の発明であるレジスト組成物に使用した場合、より良好なレジストパターンが得られ、現像後の残膜率が充分であり、パターン熱処理時の形状安定性もより良好となる。また数平均分子量を10万以下とすることで、本願第2の発明であるレジスト組成物の塗布性がより良好であり、また充分な現像性を保つことができる。
【0028】
また、含フッ素ポリマー(A)は、その特性を損なわない範囲で他のラジカル重合性単量体(以下、他の単量体という。)に由来するモノマー単位を含んでもよい。他の単量体に由来するモノマー単位の割合は全モノマー単位に対して30モル%以下が好ましく、特に15モル%以下が好ましい。
【0029】
例示しうる他の単量体として、エチレン、プロピレン、イソブチレン等のα−オレフィン類、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロプロピルビニルエーテル等の含フッ素オレフィン、パーフルオロ(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソールなどの含フッ素環状単量体、パーフルオロ(ブテニルビニルエーテル)などの環化重合しうるパーフルオロジエン、酢酸ビニル、ピバリン酸ビニル、安息香酸ビニル、アダマンチル酸ビニル等のビニルエステル類、エチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル等のビニルエーテル類、シクロヘキセン、ノルボルネン、ノルボルナジエン等の環状オレフィン類等、クロトン酸メチル等のクロトン酸エステル類、けい皮酸メチル等のけい皮酸エステル類、無水マレイン酸、塩化ビニル、スチレンなどに由来する単量体が挙げられる。
【0030】
本発明における含フッ素ポリマー(A)は、他の単量体に由来するモノマー単位に、酸性基または酸により酸性基に変換できる官能基を有していてもよい。酸性基とは酸性を呈する基であり、酸性水酸基であることが好ましい。かかる酸性基を有していることにより、レジスト材料の溶解性制御の幅を広げることができる。
【0031】
含フッ素ポリマー(A)において、含フッ素ポリマー(A)の全モノマー単位に対するブロック化基(ブロック化単位(1)のブロック化基と他の単量体中のブロック化酸性基とを含む、以下同じ)を有するモノマー単位の合計の割合は5〜100モル%が好ましく、特に10〜90モル%が好ましい。含フッ素ポリマー(A)が水酸基(酸性基を含む、以下同じ)を有するモノマー単位をも有する場合、含フッ素ポリマー(A)の全モノマー単位に対するブロック化基を有するモノマー単位の割合は5〜90モル%(特に10〜50モル%)が好ましく、水酸基を有するモノマー単位の割合は5〜90モル%(特に10〜50モル%)が好ましく、両者の合計は20〜100モル%が好ましい。
【0032】
含フッ素ポリマー(A)中の、含フッ素ジエン(1)が環化重合したモノマー単位において、ブロック化基は複数あってもよい。すなわち、前述したブロック化基(R1)から複数選択することができる。具体的には、メトキシメチル基(−CH2OCH3)とtert−ブトキシカルボニル基(−C(O)OBu−t)、メトキシメチル基とtert−ブチルカルボニル基(−C(O)Bu−t)、メトキシメチル基とtert−ブトキシカルボニルメチル基(−CH2C(O)OBu−t)、エトキシメチル基(−CH2OCH2CH3)とtert−ブトキシカルボニル基、エトキシメチル基とtert−ブチルカルボニル基、エトキシメチル基とtert−ブトキシカルボニルメチル基などの組合せが挙げられる。
【0033】
含フッ素ジエン(1)、アクリル系単量体(2)および任意に他の単量体を重合開始剤の下で共重合させることにより含フッ素ポリマー(A)が得られる。重合開始剤としては、重合反応をラジカル的に進行させるものであればなんら限定されないが、例えばラジカル発生剤、光、電離放射線などが挙げられる。特にラジカル発生剤が好ましく、過酸化物、アゾ化合物、過硫酸塩などが例示される。
【0034】
重合の方法もまた特に限定されるものではなく、単量体をそのまま重合に供するいわゆるバルク重合、単量体を溶解するフッ化炭化水素、塩化炭化水素、フッ化塩化炭化水素、アルコール、炭化水素またはその他の有機溶剤中で行う溶液重合、水性媒体中で適当な有機溶剤存在下あるいは非存在下に行う懸濁重合、水性媒体に乳化剤を添加して行う乳化重合などが例示される。
【0035】
本願第2の発明における光照射を受けて酸を発生する酸発生化合物(B)は露光により酸を発生する。この酸によって、含フッ素ポリマー(A)中に存在するブロック化基が脱離し、水素原子に変換される。その結果レジスト膜の露光部がアルカリ性現像液に易溶性となり、アルカリ性現像液によってポジ型のレジストパターンが形成される。ブロック化基の種類によっては、前述したとおりブロック化基がそのまま脱離せず、ブロック化基中の、より酸により分解されやすい部分が分解され、酸性基を有する基に変換されることもある。この場合も、アルカリ性現像液に易溶性となることには変わりなく、ポジ型のレジストパターンが形成されることには変わりない。
【0036】
このような光照射を受けて酸を発生する酸発生化合物(B)としては、通常の化学増幅型レジスト材に使用されている酸発生化合物が採用可能であり、オニウム塩、ハロゲン含有化合物、ジアゾケトン化合物、スルホン化合物、スルホン酸化合物等を挙げることができる。これらの酸発生化合物(B)の例としては、下記のものを挙げることができる。
【0037】
オニウム塩としては、例えば、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、ホスホニウム塩、ジアゾニウム塩、ピリジニウム塩等を挙げることができる。好ましいオニウム塩の具体例としては、ジフェニルヨードニウムトリフレート、ジフェニルヨードニウムピレンスルホネート、ジフェニルヨードニウムドデシルベンゼンスルホネート、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムトリフレート、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムドデシルベンゼンスルホネート、トリフェニルスルホニウムトリフレート、トリフェニルスルホニウムノナネート、トリフェニルスルホニウムパーフルオロオクタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、1−(ナフチルアセトメチル)チオラニウムトリフレート、シクロヘキシルメチル(2−オキソシクロヘキシル)スルホニウムトリフレート、ジシクロヘキシル(2−オキソシクロヘキシル)スルホニウムトリフレート、ジメチル(4−ヒドロキシナフチル)スルホニウムトシレート、ジメチル(4−ヒドロキシナフチル)スルホニウムドデシルベンゼンスルホネート、ジメチル(4−ヒドロキシナフチル)スルホニウムナフタレンスルホネート、トリフェニルスルホニウムカンファースルホネート、(4−ヒドロキシフェニル)ベンジルメチルスルホニウムトルエンスルホネート等を挙げられる。
【0038】
ハロゲン含有化合物としては、例えば、ハロアルキル基含有炭化水素化合物、ハロアルキル基含有複素環式化合物等を挙げることができる。具体例としては、フェニル−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、メトキシフェニル−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、ナフチル−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン等の(トリクロロメチル)−s−トリアジン誘導体や、1,1−ビス(4−クロロフェニル)−2,2,2−トリクロロエタン等を挙げられる。
【0039】
スルホン化合物としては、例えば、β−ケトスルホン、β−スルホニルスルホンや、これらの化合物のα−ジアゾ化合物等を挙げることができる。具体例としては、4−トリスフェナシルスルホン、メシチルフェナシルスルホン、ビス(フェニルスルホニル)メタン等を挙げることができる。スルホン酸化合物としては、例えば、アルキルスルホン酸エステル、アルキルスルホン酸イミド、ハロアルキルスルホン酸エステル、アリールスルホン酸エステル、イミノスルホネート等を挙げることができる。具体例としては、ベンゾイントシレート、1,8−ナフタレンジカルボン酸イミドトリフレート等を挙げることができる。本発明において、酸発生化合物(B)は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0040】
本願第2の発明における有機溶媒(C)は(A)、(B)両成分を溶解するものであれば特に限定されるものではない。メチルアルコール、エチルアルコール等のアルコール類、アセトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル等の酢酸エステル類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールモノアルキルエーテル類、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、カルビトールアセテート等のグリコールモノアルキルエーテルエステル類などが挙げられる。
【0041】
本願第2の発明のレジスト組成物における各成分の割合は、通常含フッ素ポリマー(A)100質量部に対し酸発生化合物(B)0.1〜20質量部および有機溶媒(C)50〜2000質量部が適当である。好ましくは、含フッ素ポリマー(A)100質量部に対し酸発生化合物(B)0.1〜10質量部および有機溶媒(C)100〜1000質量部である。
【0042】
酸発生化合物(B)の使用量を0.1質量部以上とすることで、充分な感度および現像性を与えることができ、また20質量部以下とすることで、放射線に対する透明性が充分に保たれ、より正確なレジストパターンを得ることができる。
【0043】
本願第2の発明のレジスト組成物にはパターンコントラスト向上のための酸開裂性添加剤、塗布性の改善のために界面活性剤、酸発生パターンの調整のために含窒素塩基性化合物、基材との密着性を向上させるために接着助剤、組成物の保存性を高めるために保存安定剤等を目的に応じ適宜配合できる。また本発明のレジスト組成物は、各成分を均一に混合した後0.1〜2μmのフィルターによってろ過して用いることが好ましい。
【0044】
本願第2の発明のレジスト組成物をシリコーンウエハなどの基板上に塗布乾燥することによりレジスト膜が形成される。塗布方法には回転塗布、流し塗布、ロール塗布等が採用される。形成されたレジスト膜上にパターンが描かれたマスクを介して光照射が行われ、その後現像処理がなされパターンが形成される。
【0045】
照射される光としては、波長436nmのg線、波長365nmのi線等の紫外線、波長248nmのKrFエキシマレーザー、波長193nmのArFエキシマレーザー、波長157nmのF2エキシマレーザー等の遠紫外線や真空紫外線が挙げられる。本発明のレジスト組成物は、波長250nm以下の紫外線、特に波長200nm以下の紫外線(ArFエキシマレーザー光やF2エキシマレーザー光)が光源として使用される用途に有用なレジスト組成物である。
【0046】
現像処理液としては、各種アルカリ水溶液が適用される。アルカリとしては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、トリエチルアミン等が例示可能である。
【0047】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、THFはテトラヒドロフラン、PTFEはポリテトラフルオロエチレンをいう。
【0048】
[含フッ素ポリマー(A)の合成例]
(合成例1)
1,1,2,3,3−ペンタフルオロ−4−トリフルオロメチル−4−ヒドロキシ−1,6−ヘプタジエン[CF2=CFCF2C(CF3)(OH)CH2CH=CH2]の10.0g、1,1,2,3,3−ペンタフルオロ−4−トリフルオロメチル−4−メトキシメチルオキシ−1,6−ヘプタジエン[CF2=CFCF2C(CF3)(OCH2OCH3)CH2CH=CH2]の4.47g、α−フルオロ−tert−ブチルアクリレートの0.83g、1,4−ジオキサンの1.55gおよび酢酸エチルの39.83gを、内容積70mLのガラス製耐圧反応器に仕込んだ。次に、重合開始剤としてパーフルオロベンゾイルパーオキシドの0.51gを添加した。系内を凍結脱気した後、恒温振とう槽内(70℃)で18時間重合させた。重合後、反応溶液をヘキサン中に滴下して、ポリマーを再沈させた後、135℃で18時間真空乾燥を実施した。その結果、主鎖に含フッ素環状モノマー単位およびα−フルオロ−tert−ブチルアクリレートからなるモノマー単位を有する白色粉末状の非結晶性ポリマー(以下、重合体1Aという)の13.95gを得た。重合体1Aの分子量をGPC(THF溶媒)にて測定したところ、ポリスチレン換算で、数平均分子量(Mn)は20,100、重量平均分子量(Mw)は58,100であり、Mw/Mnは2.89であった。示差走査熱分析(DSC)により測定したガラス転移温度は152℃であった。
【0049】
<NMRスペクトル>
19F NMR(376.2MHz、溶媒:CDCl3、基準:CFCl3)δ(ppm):−75.7(m,3F),−105.7(m,2F),−121.6(m,2F),−165.5(m, 1F<CH2=CF−C(O)OBu−t由来>)、−186.5(m,1F)。
【0050】
19F NMRおよび1H NMR測定により計算されたポリマー組成は、1,1,2,3,3−ペンタフルオロ−4−トリフルオロメチル−4−ヒドロキシ−1,6−ヘプタジエンからなるモノマー単位/1,1,2,3,3−ペンタフルオロ−4−トリフルオロメチル−4−メトキシメチルオキシ−1,6−ヘプタジエンからなるモノマー単位/α−フルオロ−tert−ブチルアクリレートからなるモノマー単位=63/25/12モル%であった。
【0051】
(合成例2)
1,1,2,3,3−ペンタフルオロ−4−トリフルオロメチル−4−ヒドロキシ−1,6−ヘプタジエン[CF2=CFCF2C(CF3)(OH)CH2CH=CH2]の10.0g、1,1,2,3,3−ペンタフルオロ−4−トリフルオロメチル−4−メトキシメチルオキシ−1,6−ヘプタジエン[CF2=CFCF2C(CF3)(OCH2OCH3)CH2CH=CH2]の4.47g、α−トリフルオロメチル−tert−ブチルアクリレートの1.12g、1,4−ジオキサンの1.55gおよび酢酸エチルの40.60gを、内容積70mLのガラス製耐圧反応器に仕込んだ。次に、重合開始剤としてパーフルオロベンゾイルパーオキシドの0.52gを添加した。系内を凍結脱気した後、恒温振とう槽内(70℃)で18時間重合させた。重合後、反応溶液をヘキサン中に滴下して、ポリマーを再沈させた後、135℃で18時間真空乾燥を実施した。その結果、主鎖に含フッ素環状モノマー単位およびα−トリフルオロメチル−tert−ブチルアクリレートからなるモノマー単位を有する白色粉末状の非結晶性ポリマー(以下、重合体2Aという)の13.97gを得た。重合体2Aの分子量をGPC(THF溶媒)にて測定したところ、ポリスチレン換算で、数平均分子量(Mn)は14,400、重量平均分子量(Mw)は34,000であり、Mw/Mnは2.37であった。示差走査熱分析(DSC)により測定したガラス転移温度は140℃であった。
【0052】
<NMRスペクトル>
19F NMR(376.2MHz、溶媒:CDCl3、基準:CFCl3)δ(ppm):−67.0(bs, 3F<CH2=C(CF3)−C(O)OBu−t由来>)−75.7(m,3F),−105.7(m,2F),−121.7(m,2F)、−186.5(m,1F)。
【0053】
19F NMRおよび1H NMR測定により計算されたポリマー組成は、1,1,2,3,3−ペンタフルオロ−4−トリフルオロメチル−4−ヒドロキシ−1,6−ヘプタジエンからなるモノマー単位/1,1,2,3,3−ペンタフルオロ−4−トリフルオロメチル−4−メトキシメチルオキシ−1,6−ヘプタジエンからなるモノマー単位/α−トリフルオロメチル−tert−ブチルアクリレートからなるモノマー単位=64/25/11モル%であった。
【0054】
(合成例3)
1,1,2,3,3−ペンタフルオロ−4−トリフルオロメチル−4−ヒドロキシ−1,6−ヘプタジエン[CF2=CFCF2C(CF3)(OH)CH2CH=CH2]の9.36g、1,1,2,3,3−ペンタフルオロ−4−トリフルオロメチル−4−メトキシメチルオキシ−1,6−ヘプタジエン[CF2=CFCF2C(CF3)(OCH2OCH3)CH2CH=CH2]の2.27gおよび1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−tert−ブチルアクリレートの1.48g、1,4−ジオキサンの1.45gおよび酢酸エチルの25.16gを内容積70mLのガラス製耐圧反応器に仕込んだ。次に、重合開始剤としてパーフルオロベンゾイルパーオキシドの0.397gを添加した。系内を凍結脱気した後、恒温振とう槽内(70℃)で18時間重合させた。重合後、反応溶液をヘキサン中に滴下して、ポリマーを再沈させた後、135℃で18時間真空乾燥を実施した。その結果、主鎖に含フッ素環状モノマー単位およびtert−ブチルメタクリレートからなるモノマー単位を有する白色粉末状の非結晶性ポリマー(以下、重合体3Aという)の10.4gを得た。重合体3Aの分子量をGPC(THF溶媒)にて測定したところ、ポリスチレン換算で、数平均分子量(Mn)は9,100、重量平均分子量(Mw)は18,400であり、Mw/Mnは2.03であった。示差走査熱分析(DSC)により測定したガラス転移点は138℃であった。
【0055】
19F NMRおよび1H NMR測定により計算されたポリマー組成は、1,1,2,3,3−ペンタフルオロ−4−トリフルオロメチル−4−ヒドロキシ−1,6−ヘプタジエンからなるモノマー単位/1,1,2,3,3−ペンタフルオロ−4−トリフルオロメチル−4−メトキシメチルオキシ−1,6−ヘプタジエンからなるモノマー単位/1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−tert−ブチルアクリレートからなるモノマー単位=70/14/16モル%であった。
【0056】
(合成例4)
1,1,2,3,3−ペンタフルオロ−4−トリフルオロメチル−4−ヒドロキシ−1,6−ヘプタジエン[CF2=CFCF2C(CF3)(OH)CH2CH=CH2]の5.0g、1,1,2,3,3−ペンタフルオロ−4−トリフルオロメチル−4−メトキシメチルオキシ−1,6−ヘプタジエン[CF2=CFCF2C(CF3)(OCH2OCH3)CH2CH=CH2]の0.82gおよびtert−ブチルメタクリレートの0.53g、1,4−ジオキサンの0.78gおよび酢酸メチルの16.52gを内容積30mLのガラス製耐圧反応器に仕込んだ。次に、重合開始剤としてパーフルオロベンゾイルパーオキシドの0.188gを添加した。系内を凍結脱気した後、恒温振とう槽内(70℃)で18時間重合させた。重合後、反応溶液をヘキサン中に滴下して、ポリマーを再沈させた後、150℃で15時間真空乾燥を実施した。その結果、主鎖に含フッ素環状モノマー単位およびtert−ブチルメタクリレートからなるモノマー単位を有する白色粉末状の非結晶性ポリマー(以下、重合体4Aという)の5.2gを得た。重合体3Aの分子量をGPC(THF溶媒)にて測定したところ、ポリスチレン換算で、数平均分子量(Mn)は6,700、重量平均分子量(Mw)は16,600であり、Mw/Mnは2.47であった。示差走査熱分析(DSC)により測定したガラス転移点は154℃であった。
【0057】
19F NMRおよび1H NMR測定により計算されたポリマー組成は、1,1,2,3,3−ペンタフルオロ−4−トリフルオロメチル−4−ヒドロキシ−1,6−ヘプタジエンからなるモノマー単位/1,1,2,3,3−ペンタフルオロ−4−トリフルオロメチル−4−メトキシメチルオキシ−1,6−ヘプタジエンからなるモノマー単位/tert−ブチルメタクリレートからなるモノマー単位=73/10/17モル%であった。
【0058】
(実施例1〜3)
合成例1〜3で合成した重合体1A〜3Aのそれぞれ1gとトリメチルスルホニウムトリフレートの0.05gとをプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートの10gに溶解させ、孔径0.2μmのPTFE製フィルターを用いてろ過し、レジスト組成物を製造した。
ヘキサメチルジシラザンで処理したシリコン基板上に、上記のレジスト組成物を回転塗布し、塗布後80℃で2分間加熱処理して、膜厚0.3μmのレジスト膜を形成した。このようにして得られたレジスト膜の光線透過率を表1に示す。
【0059】
(比較例1)
実施例3の重合体3Aを4Aにする以外は、実施例3と同様に操作した。レジスト膜の光線透過率を表1に示す。
【0060】
【表1】
【0061】
【発明の効果】
本発明のレジスト組成物は化学増幅型レジストとして用いることができ、特にKrF、ArFエキシマレーザー等の遠紫外線やF2エキシマレーザー等の真空紫外線に対する透明性、ドライエッチング性に優れ、さらに感度、解像度、平坦性、耐熱性等に優れたレジストパターンを容易に形成できる。
Claims (4)
- 式(1)で表される含フッ素ジエンが環化重合してなるモノマー単位および式(2)で表されるアクリル系単量体が重合してなるモノマー単位を有する含フッ素ポリマー(A)。
CF2=CFCF2−C(CF3)OR1−CH2CH=CH2・・・(1)
(ただし、R1は水素原子または酸により水素原子または酸性基を有する基に変換しうるブロック化基を表す。)
CH2=CR2−CO2CR3R4R5・・・(2)
(ただし、R2は水素原子、フッ素原子、メチル基またはトリフルオロメチル基を表し、R3は水素原子またはメチル基またはトリフルオロメチル基を表し、R4、R5は相互に独立してメチル基またはトリフルオロメチル基を表す。また、R2、R3、R4、R5のうち少なくとも1つはフッ素原子またはトリフルオロメチル基である。) - 式(2)において、R2がフッ素原子またはトリフルオロメチル基である請求項1に記載の含フッ素ポリマー(A)。
- 式(2)において、R3、R4またはR5のいずれか1つ以上がトリフルオロメチル基である請求項1に記載の含フッ素ポリマー(A)。
- 請求項1〜3のいずれかに記載された含フッ素ポリマー(A)、光照射を受けて酸を発生する酸発生化合物(B)および有機溶媒(C)を含むことを特徴とするレジスト組成物。
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US8497623B2 (en) | 2005-06-14 | 2013-07-30 | Denki Kagaku Kogyo Kabushiki Kaisha | Phosphor-containing resin composition and sheet, and light emitting devices employing them |
WO2023157591A1 (ja) * | 2022-02-21 | 2023-08-24 | Agc株式会社 | 含フッ素重合体、組成物、防湿コート剤及び物品 |
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2003
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