JP2005014661A - 遊魚舟艇内生簀の余剰水排出装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、遊魚用舟艇における生簀内への海水の逆流を阻止して生簀内余剰水を自動排水することができる生簀の余剰水排出装置を提供する。
【解決手段】遊魚舟艇の生簀底部に設けられた排水口に水密状態で装着される排水装置本体と、前記排水装置本体の側面に配設され生簀内部からの排水を許容し前記排水口からの海水の流入を阻止する逆止弁と、前記排水装置本体上方の開口部を閉塞するとともに、前記生簀底部に設けられた排水口を閉塞する閉塞蓋と、航行時に船底に生ずる負の水圧を利用して生簀内の余剰水を吸引し、前記逆止弁および排水装置本体を介して排水口から船外に放出する吸水管と、を備えた遊魚舟艇内生簀の余剰水排出装置である。
【選択図】 図1
【解決手段】遊魚舟艇の生簀底部に設けられた排水口に水密状態で装着される排水装置本体と、前記排水装置本体の側面に配設され生簀内部からの排水を許容し前記排水口からの海水の流入を阻止する逆止弁と、前記排水装置本体上方の開口部を閉塞するとともに、前記生簀底部に設けられた排水口を閉塞する閉塞蓋と、航行時に船底に生ずる負の水圧を利用して生簀内の余剰水を吸引し、前記逆止弁および排水装置本体を介して排水口から船外に放出する吸水管と、を備えた遊魚舟艇内生簀の余剰水排出装置である。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、遊魚用舟艇に配設される生簀(イケス)内の余剰水をポンプや人力を使用することなく自動的に排水することができる遊魚舟艇内生簀の余剰水排出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
漁船では漁獲物の鮮度を保つための生簀を備えているものが多い。生簀は、通常は船底のスカッパー(排水口蓋)を開放することにより現場における海水、河川水、湖沼水(以下、これらを集約して「海水」という。)を導入し、釣りや各種網漁などによる漁獲を、鮮度保持の観点から活かした状態で保管するものである。
【0003】
このようにスカッパーを開放していても舟艇が停止している間の水位は安定しているが、釣り場や漁場を変える場合や帰港する場合のように航行状態になるとスカッパーからの海水の出入りが生じ、したがって水位変動が激しくなり、生簀内を泳ぐ漁獲物が傷むことになる。このような水位の急変を避けるために、一般に船底の開口部に側壁に複数の小穴を設けた太目のプラスチック管である水位調整筒を立設して水位の調整並びに急変防止を行なっている。
【0004】
生簀は、このように漁獲物の鮮度を保持するために有用であって、船底貫通式生簀内への海水の導入は船底の吸・排水口(スカッパー)蓋を開放することにより容易に実施できる。一方、生簀内の海水の排水は容易ではない。
【0005】
大形の漁船では、排水ポンプ(ビルジポンプ)が設けられ、船底の吸・排水口を閉塞した後のスイッチ操作によりポンプを駆動して強制的排水が行われている。
しかしながら、ごく小形のプレジャーボート、ヨット、小形遊魚船等にあっては、コスト抑制や運用上の重要性等を考慮して、ポンプの装備が省略されることが多い。
【0006】
このような排水ポンプを備えていない舟艇にあっては、柄杓、バケツ等の小容器を用いた人力による排水が行なわれていた。かかる排水作業は、同乗者の協力が得られる場合はまだしも、操船者自身が航行中に行なうのは操船が不安定になり、他の船舶や岩礁、ブイその他浮遊物、橋脚その他構造物等の障害物を見落とすなどの危険が伴い、実施困難である。
【0007】
釣りや各種網漁等を終えて、魚を絞めてからクーラーボックスその他冷却装置を利用する場合は、もはや生簀の海水は不要となる。生簀で不要となった余剰水の排出には、船底の吸水口を閉塞し排水口を開放して高速航行すると、喫水も上がり船底は負圧となるため生簀内の海水が自動排出されることになり有効である。
【0008】
この場合の排出量は航行速度に依存し、高速であれば船体の浮上も大きくなるうえ船底下も負圧となるため多量に排出される。他方、低速航行または停止すると排水口から海水が再び流入して元に戻ってしまう。排水された状態を維持するには、高速航行中に船底のスカッパーを閉塞する操作が不可欠である。同乗者が居る場合はこのような閉塞作業を指示して実施すればよいが、高速走行中に操船者自身がこのような操作を行うことは危険である。また、同乗者の操作といえども舟艇の揺れや予想外の波浪の影響などを受け易く、作業がし難いことは同様である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、遊魚用舟艇における生簀内への海水の逆流を阻止して生簀内の余剰水の自動排水を行うことのできる遊魚舟艇内生簀の余剰水排出装置を提供することを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の課題は、遊魚舟艇の生簀底部に設けられた排水口に水密状態で装着される排水装置本体3と、前記排水装置本体の側面に配設され生簀内部からの排水を許容し前記排水口からの海水の流入を阻止する逆止弁5と、前記排水装置本体上方の開口部を閉塞するとともに、前記生簀底部に設けられた排水口を閉塞する閉塞蓋2と、航行時に船底に生ずる負の水圧を利用して生簀内の余剰水を吸引し、前記逆止弁および排水装置本体を介して排水口から船外に放出する吸水管6と、を備えた遊魚舟艇内生簀の余剰水排出装置によって解決される。
【0011】
また、本発明の課題は、前記逆止弁5を構成する球弁が、弁受け部55を挟んで棒材52で連結された上下一対の球体51、53によって構成され、逆止作用の際の球弁の安定を図るとともに吸水時の水流安定を図ることができる遊魚舟艇内生簀の余剰水排出装置によって有利に解決される。
【0012】
本発明においては、前記閉塞蓋2の排水装置本体上方の開口部の閉塞操作は底側から手動によって行い、前記生簀底部に設けられた排水口の閉塞操作は該開口部を介して排水装置本体上方から開閉具によって行うように構成することができる。
【0013】
さらに、本発明の課題は、前記閉塞蓋2による船底排水口の開閉操作が、生簀の最高水位よりも長尺である長柄付き開閉操作具により水面上より行うことができる遊魚舟艇内生簀の余剰水排出装置によってより有利に解決される。
【0014】
本発明に係る遊魚舟艇内生簀の余剰水排出装置によれば、本装置を構成する排水装置本体3を生簀底部の排水口の上に装着し、逆止弁5を介して前記排水装置本体に連結されている吸水管6の吸水側先端を生簀底部の最低部付近に配置する。
また、上記排水装置本体3の上方には、大径のプラスチック管の側面に複数の小穴22を設けた水位調整筒Aを連結して利用することができる。この水位調整筒Aは、排水装置本体3を生簀底部の排水口に取り付ける際の取り付け用具としても利用することができる。
【0015】
漁場において生簀内に海水を満たす場合は、舟艇が停止しておれば、生簀底部に形成されている吸・排水口スカッパーを開放することにより、ほぼ喫水に相当するレベルまで海水が導入される。
【0016】
釣り、網漁、その他各種漁等を終えて、漁獲物を絞めまたはクーラーボックスに収蔵して帰港する際に、本発明に係る装置により生簀内の余剰海水を自動的に排水しようとする場合は、吸水菅6が取り付けられた排水装置本体3を生簀底部の排水口の上に装着する。本装置の装着に当たっては、先ず、排水装置本体上方の開口部に閉塞蓋2を受け座7に案内板8を介して底側から手動によって密接して固定し、次いで蓋受け環状部1を固定爪9を介して装置本体に固定する。そして水位調整筒Aを装置本体に連結して固定する。その後、水位調整筒Aを回して蓋受け環状部1を排水口にねじ込む。
【0017】
このような状態で高速航行すると、船底に負の水圧がかかるため、生簀内の余剰水は船底の排水口から船外方向への流動のみを許容する逆止弁5を介して吸水管先端から吸水され、船外に排出される。
【0018】
なお、生簀内に海水が満たされた状態で、低速運航で漁場近辺を移動する際には、水位調整筒Aを装置本体に連結しておくことにより、舟艇が揺動しあるいは波浪等により海面が変化しても生簀内の水位は水位調整筒の作用により急変が妨げられ、魚類に対する衝撃が緩和される。この場合、装置本体から閉塞蓋2を取り外して排水口スカッパーを開放すると共に、船底に形成されている吸水口スカッパーを開放しておくと都合がよい。これにより、生簀内の海水の入れ替えが可能となり生簀内の海水の新鮮さを維持することができる。また、帰港の際にはスカッパーへの衝撃を防止するために水位調整筒Aは取り外しておくことが望ましい。
【0019】
このような排出作用は高速走行の間継続され、生簀内の余剰水は船外に排出される。この間、排水装置本体側方に連結されている給水管6の内部に配設された逆止弁5によって排水作用のみが行われ、海水の生簀内への逆流は阻止される。かかる海水の逆流阻止状態は、舟艇が低速となりさらに停止しても持続される。
【0020】
前述のように生簀が排水されて空になった状態で帰港しまたは停泊した場合には、排水装置本体内側壁に形成された受け座7の中央穴を挿通させる長柄付きの開閉操作具Dによって閉塞蓋2を蓋受け環状部1に嵌入することにより船底の海水部から確実に遮断される。
【0021】
このような作用により、本発明に係る遊魚舟艇内生簀の余剰水排出装置を装着して帰港その他の理由により高速航行することにより、生簀内余剰水は自動的に排水される。排水された状態では、逆止弁5の作用により海水の生簀内への逆流は阻止されているため、排水口のスカッパー閉塞蓋は停止または停泊後に閉塞操作を行えばよい。
【0022】
【発明の実施形態】
以下、遊魚舟艇に配設された生簀内の海水が不要である場合に舟艇の高速航行にしたがって自動的に排出される本発明に係る遊魚舟艇内生簀の余剰水の排出装置について開示する。図1は本発明に係る生簀の余剰水排出装置の基本構造を示す断面図である。船底Bには、貫通口である排水口Sが形成され適宜寸法の仕切りP、Pによって包囲された生簀が形成される。排水口は、通常、スカッパーによって閉塞されている。
【0023】
通常のスカッパーはOリングその他の漏れ止め部材を介して捻じ込まれ、海水の浸入を阻止するものである。本発明におけるスカッパーとしての閉塞蓋2は、周囲が雌ねじ1Hである貫通孔が形成された蓋受け環状部1と、この雌ねじに嵌合する雄ねじを備えた閉塞蓋2との組合わせによって構成される。したがって、通常のスカッパーとする場合は、蓋受け環状部1の雌ねじ1Hに閉塞蓋2を捻じ込んだ状態で使用する。
【0024】
本発明においては、前述のようなスカッパーとしての蓋受け環状部1が船底の排水口Sに捻じ込まれた際の上縁部に対して水密状態で係合可能な排水装置本体3が取付けられる。排水装置本体3の下端は、例えば交換レンズのバヨネット式マウントのようなワンタッチ方式で蓋受け環状部1の上縁に係合させる固定爪9(図3)により固定することができる。その他のねじ式、クリップ式等のよく知られた円筒取付け固定具を用いるものであってもよい。
【0025】
排水装置本体3の側部には少なくとも1個の貫通孔4が形成され、この貫通孔4の外側には逆止弁5が形成され、この逆止弁5を介して吸水管6が取り付けられている。かかる構造により吸水管6の先端から吸水する生簀内余剰水は排水口の蓋受け環状部1の方向へは自由に流れるが、船底側から生簀内への逆流は阻止されることになる。
【0026】
なお、本発明における閉塞蓋は、スカッパーとしての機能と共に排水装置本体3の上方の開口部を閉塞する機能を有する。生簀内余剰水の排出時には、閉塞蓋2は排水装置本体3の内周面に環状に形成されている受け座7と案内突起8を介して密接して固定されている。したがって、遊漁舟艇が低速航行となった際、さらには停止した際における船底側から生簀内への海水の逆流は阻止されている。
【0027】
図2は本発明に係る閉塞蓋(スカッパー)の構造例を示すもので、図(a)の側面図のように蓋受け環状部1と、開口部の雌ねじ1Hに適合する雄ねじを備えた閉塞蓋2とから構成され、破線のように挿入・回転されて一体となる。図(b)はこれらの平面図で、蓋受け環状部1の上部拡大部外縁には排水装置本体3を水密状態で装着する際の固定爪9を受ける切込み11が形成されている。ここでは装置本体を装着する際の便宜を考慮して4個の切込みを形成しているが、2個、3個、5個等であってもよい。
【0028】
蓋受け環状部1の開口に捻じ込まれる閉塞蓋2の上方に破線のように形成された方形凹部21は、後述する長柄付き開閉操作具Dの先端をドライバとして上方から時計回りまたは反時計回りに回転させて開閉操作を行う際のドライバ受けとなる。また、閉塞蓋2の下方には前記方形凹部21に対応する方形凸部が形成されている。この凸部は、手動により閉塞蓋2を排水装置本体の内周面の受け座7に案内突起8を介して固定する際の取っ手として機能する。
【0029】
図3は図1に示した排水装置本体3の構成例を示す要部拡大側断面図であり、排水装置本体3は、下端の固定爪9により一転鎖線で示した閉塞蓋の蓋受け環状部1の上縁つばの切込み部11(図2b)に係合させ、スカッパー上に装着される。この場合、両者の係合は水密状態であることが要求されるため、パッキンやOリング等を介在させる通例の漏水防止手段が用いられるが、いずれも周知手段であるため詳述は省略する。
【0030】
排水装置本体3の側面には少なくとも1つの貫通口4が形成され、この貫通口4の外側には、生簀内の海水を船底側に流動させ、その逆流を阻止する逆止弁5が設けられている。この逆止弁5の外側には生簀内の最低部に届く吸水管6が連結されている。ここでは逆止弁としてボールバルブを使用しているが、可動板形、ニードル形等他形式の逆止弁であってもよい。図4は排水装置本体3の上方からのX−X矢視図で本体の筒体と受け座7との関係を示している。
【0031】
また、本実施例では逆止弁として、逆止弁を構成する球弁が、弁受け部55を挟んで棒材52で連結された上下一対の球体51、53によって構成したものを採用した。
【0032】
図5は本実施例で採用した逆止弁の概略構成図であり、図(a)は船底からの海水の生簀内への逆流を阻止する状態を示し、図(b)は生簀内の海水を船底側へ排出する状態を示している。船底側へ排出する際に、上方の球体51が装置本体側の貫通口4を塞ぐことがないように、下方の球体53と連結棒52によって連結されている。このように上下一対の球体51、53を連結棒52によって連結したことにより、下方の球体53の自重により瞬時にかつ確実に上方の球体51が流路を塞ぐので、停船時に船の揺れ等による船底からの逆流を完全に阻止できる。また、船底側へ排出する際には、下方の球体53によって吸水流は遮られずまた水流を安定に維持される。
【0033】
排水装置本体3の側面に形成されている貫通口4よりも上位の内周全体にはリング状受け座7が形成されており、内周面には閉塞蓋2を受け座7に円滑に案内するための例えば4個の案内突起8が形成されている。また、少なくとも1つの案内突起8の上辺には閉塞蓋2の上縁を固定する切込みが形成されている。このような構成により、閉塞蓋2の上縁が受け座7に密接して固定する。この閉塞蓋2の固定操作は、閉塞蓋2を装置本体3の下方から手動により受け座7側に押込み回転させることにより行う。受け座7の下面はゴムまたは軟質プラスチックなどで覆われていると都合がよく、また閉塞蓋2は受け座7に接触し易いように比重の小さな材質、例えば硬質プラスチックや軽合金等により形成されると都合がよい。
【0034】
図6は閉塞蓋2を回転させるための長柄付き開閉操作具Dの構造例を示す図である。開閉操作具Dは、閉塞蓋2を蓋受け環状部1の開口部に捻じ込んで閉塞する際またはこれを開放する際に、排水装置本体3の上方開口部から挿入し、閉塞蓋2上面の方形凹部であるドライバ受け21に挿入して時計回りまたは反時計回りに回転させるものである。開閉操作具に長柄が付されているのは、生簀が満水になっている場合であっても、水面上から操作可能にするためのもので、遊魚舟艇の規模や生簀の大小等より適宜サイズのものが利用される。
【0035】
図7は、本発明に係る生簀の余剰水排出装置における排水装置本体3の上方に、水位調整筒Aを装着した状態を示す斜視図である。排水装置本体3に適合する内径の硬質プラスチック管製で、側面には小穴22が適宜数穿孔されている。スカッパーの閉塞蓋2が取り外された状態において、このような水位調整筒Aを排水装置本体3の上部に装着しておくことにより、遊魚舟艇が停止から低速航行、高速航行またはその逆のような状態変化があっても生簀内の水位の急変を抑制することができる。なお、水位調整筒Aには上方に掴む際の滑り止めとして、突起や小穴を設けておくと都合がよい。
【0036】
本発明に係る遊魚舟艇内生簀の余剰水排出装置の使用にあたっては、漁から帰港した後や遊魚舟艇を使用しないときは、生簀の排水口に蓋受け環状部1に閉塞蓋2を捻じ込んだ状態でスカッパーを閉塞しておく。
【0037】
釣り、網漁その他が終了し、漁獲を絞めてクーラーボックス等に収納した後、生簀内の余剰水を排出しようとするとき、蓋受け環状部1の上縁つばに形成された切り込み11と固定爪9とを利用して排水装置本体3をスカッパーに装着する。
この状態では閉塞蓋2は受け座7に隙間なく密接して固定されているので、排水装置本体3内は水密状態となっている。そして、帰港または新たな釣り場や漁場へ移動するための高速航行を行う。この高速航行により船体が浮上するため喫水が小さくなり、かつ船底の高速水流により負圧が作用するため生簀内の余剰水は吸水管6から逆止弁5を経て排水装置本体3内に集まり、スカッパーから吸引排出される。
【0038】
生簀内の余剰水は吸水管6から吸水する。余剰水の排出が進行した時点で航速が低下し若しくは停止や後進する場合などでは船底側の水圧が高くなるため生簀内に向かう水圧が発生するが、逆止弁5の逆止機能により生簀内への逆流は阻止される。帰港または停泊等により生簀の使用が終了する場合には、開閉操作具Dにより閉塞蓋2を操作してスカッパーを完全に閉塞すればよい。なお、生簀余剰水の排出を行う際に水位調整筒Aは不要であるため取り外しておくとよい。
【0039】
【発明の効果】
本発明に係る遊魚舟艇内生簀の余剰水排出装置によれば、生簀内に余剰水が満たされている状態でスカッパーとしての閉塞蓋を開放して高速航行することにより自動排水が行われる。帰港または停泊後には排水がほぼ完了しているので、スカッパーの閉塞蓋を取り付けた後本排出装置本体を取り除けば従来のスカッパーを装着した状態であるため船底を収納スペースとして使用できる。
【0040】
特に、大形生簀では大容量であるため、帰港後または停泊後に改めて排水作業を行うのは労力並びに時間の無駄となっていたが、本発明に係る生簀の余剰水排出装置を装着しておくことにより、余剰水の大部分は航行中に排出が完了している。したがって、極めて短時間の後始末を行えば足り、舟艇の停泊処理、漁獲物の処理、帰宅等の動作に対し短時間での移行が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る遊魚舟艇内生簀の余剰水排出装置を遊魚舟艇内生簀に装着した状態を示す断面図である。
【図2】本発明に係る遊魚舟艇内生簀の余剰水排出装置のスカッパーとしての閉塞蓋の構造例を示す側断面図(a)及び平面図(b)である。
【図3】本発明に係る遊魚舟艇内生簀の余剰水排出装置の排水装置本体の構成例を示す要部拡大側断面図である。
【図4】本発明に係る遊魚舟艇内生簀の余剰水排出装置の排水装置本体の平面図である。
【図5】本発明に係る遊魚舟艇内生簀の余剰水排出装置の逆止弁の概略構成図(aは生簀内への逆流を阻止する状態を示し、bは船底側へ排出する状態を示している)である。
【図6】本発明に係る遊魚舟艇内生簀の余剰水排出装置において使用する 開閉操作具の構造例を示す図である。
【図7】本発明に係る遊魚舟艇内生簀の余剰水排出装置において排水装置本体に水位調整筒を装着した状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 蓋受け環状部
1H 雌ねじ
2 閉塞蓋
3 排水装置本体
4 貫通口
5 逆止弁
6 吸水管
7 受け座
8 案内突起
9 固定爪
11 切込み
21 ドライバ受け
22 小穴
51 上方球体
52 棒材(連結棒)
53 下方球体
55 弁受け部
A 水位調整筒
B 船底
D 開閉操作具
P 生簀仕切り板
S スカッパー
【発明の属する技術分野】
本発明は、遊魚用舟艇に配設される生簀(イケス)内の余剰水をポンプや人力を使用することなく自動的に排水することができる遊魚舟艇内生簀の余剰水排出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
漁船では漁獲物の鮮度を保つための生簀を備えているものが多い。生簀は、通常は船底のスカッパー(排水口蓋)を開放することにより現場における海水、河川水、湖沼水(以下、これらを集約して「海水」という。)を導入し、釣りや各種網漁などによる漁獲を、鮮度保持の観点から活かした状態で保管するものである。
【0003】
このようにスカッパーを開放していても舟艇が停止している間の水位は安定しているが、釣り場や漁場を変える場合や帰港する場合のように航行状態になるとスカッパーからの海水の出入りが生じ、したがって水位変動が激しくなり、生簀内を泳ぐ漁獲物が傷むことになる。このような水位の急変を避けるために、一般に船底の開口部に側壁に複数の小穴を設けた太目のプラスチック管である水位調整筒を立設して水位の調整並びに急変防止を行なっている。
【0004】
生簀は、このように漁獲物の鮮度を保持するために有用であって、船底貫通式生簀内への海水の導入は船底の吸・排水口(スカッパー)蓋を開放することにより容易に実施できる。一方、生簀内の海水の排水は容易ではない。
【0005】
大形の漁船では、排水ポンプ(ビルジポンプ)が設けられ、船底の吸・排水口を閉塞した後のスイッチ操作によりポンプを駆動して強制的排水が行われている。
しかしながら、ごく小形のプレジャーボート、ヨット、小形遊魚船等にあっては、コスト抑制や運用上の重要性等を考慮して、ポンプの装備が省略されることが多い。
【0006】
このような排水ポンプを備えていない舟艇にあっては、柄杓、バケツ等の小容器を用いた人力による排水が行なわれていた。かかる排水作業は、同乗者の協力が得られる場合はまだしも、操船者自身が航行中に行なうのは操船が不安定になり、他の船舶や岩礁、ブイその他浮遊物、橋脚その他構造物等の障害物を見落とすなどの危険が伴い、実施困難である。
【0007】
釣りや各種網漁等を終えて、魚を絞めてからクーラーボックスその他冷却装置を利用する場合は、もはや生簀の海水は不要となる。生簀で不要となった余剰水の排出には、船底の吸水口を閉塞し排水口を開放して高速航行すると、喫水も上がり船底は負圧となるため生簀内の海水が自動排出されることになり有効である。
【0008】
この場合の排出量は航行速度に依存し、高速であれば船体の浮上も大きくなるうえ船底下も負圧となるため多量に排出される。他方、低速航行または停止すると排水口から海水が再び流入して元に戻ってしまう。排水された状態を維持するには、高速航行中に船底のスカッパーを閉塞する操作が不可欠である。同乗者が居る場合はこのような閉塞作業を指示して実施すればよいが、高速走行中に操船者自身がこのような操作を行うことは危険である。また、同乗者の操作といえども舟艇の揺れや予想外の波浪の影響などを受け易く、作業がし難いことは同様である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、遊魚用舟艇における生簀内への海水の逆流を阻止して生簀内の余剰水の自動排水を行うことのできる遊魚舟艇内生簀の余剰水排出装置を提供することを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の課題は、遊魚舟艇の生簀底部に設けられた排水口に水密状態で装着される排水装置本体3と、前記排水装置本体の側面に配設され生簀内部からの排水を許容し前記排水口からの海水の流入を阻止する逆止弁5と、前記排水装置本体上方の開口部を閉塞するとともに、前記生簀底部に設けられた排水口を閉塞する閉塞蓋2と、航行時に船底に生ずる負の水圧を利用して生簀内の余剰水を吸引し、前記逆止弁および排水装置本体を介して排水口から船外に放出する吸水管6と、を備えた遊魚舟艇内生簀の余剰水排出装置によって解決される。
【0011】
また、本発明の課題は、前記逆止弁5を構成する球弁が、弁受け部55を挟んで棒材52で連結された上下一対の球体51、53によって構成され、逆止作用の際の球弁の安定を図るとともに吸水時の水流安定を図ることができる遊魚舟艇内生簀の余剰水排出装置によって有利に解決される。
【0012】
本発明においては、前記閉塞蓋2の排水装置本体上方の開口部の閉塞操作は底側から手動によって行い、前記生簀底部に設けられた排水口の閉塞操作は該開口部を介して排水装置本体上方から開閉具によって行うように構成することができる。
【0013】
さらに、本発明の課題は、前記閉塞蓋2による船底排水口の開閉操作が、生簀の最高水位よりも長尺である長柄付き開閉操作具により水面上より行うことができる遊魚舟艇内生簀の余剰水排出装置によってより有利に解決される。
【0014】
本発明に係る遊魚舟艇内生簀の余剰水排出装置によれば、本装置を構成する排水装置本体3を生簀底部の排水口の上に装着し、逆止弁5を介して前記排水装置本体に連結されている吸水管6の吸水側先端を生簀底部の最低部付近に配置する。
また、上記排水装置本体3の上方には、大径のプラスチック管の側面に複数の小穴22を設けた水位調整筒Aを連結して利用することができる。この水位調整筒Aは、排水装置本体3を生簀底部の排水口に取り付ける際の取り付け用具としても利用することができる。
【0015】
漁場において生簀内に海水を満たす場合は、舟艇が停止しておれば、生簀底部に形成されている吸・排水口スカッパーを開放することにより、ほぼ喫水に相当するレベルまで海水が導入される。
【0016】
釣り、網漁、その他各種漁等を終えて、漁獲物を絞めまたはクーラーボックスに収蔵して帰港する際に、本発明に係る装置により生簀内の余剰海水を自動的に排水しようとする場合は、吸水菅6が取り付けられた排水装置本体3を生簀底部の排水口の上に装着する。本装置の装着に当たっては、先ず、排水装置本体上方の開口部に閉塞蓋2を受け座7に案内板8を介して底側から手動によって密接して固定し、次いで蓋受け環状部1を固定爪9を介して装置本体に固定する。そして水位調整筒Aを装置本体に連結して固定する。その後、水位調整筒Aを回して蓋受け環状部1を排水口にねじ込む。
【0017】
このような状態で高速航行すると、船底に負の水圧がかかるため、生簀内の余剰水は船底の排水口から船外方向への流動のみを許容する逆止弁5を介して吸水管先端から吸水され、船外に排出される。
【0018】
なお、生簀内に海水が満たされた状態で、低速運航で漁場近辺を移動する際には、水位調整筒Aを装置本体に連結しておくことにより、舟艇が揺動しあるいは波浪等により海面が変化しても生簀内の水位は水位調整筒の作用により急変が妨げられ、魚類に対する衝撃が緩和される。この場合、装置本体から閉塞蓋2を取り外して排水口スカッパーを開放すると共に、船底に形成されている吸水口スカッパーを開放しておくと都合がよい。これにより、生簀内の海水の入れ替えが可能となり生簀内の海水の新鮮さを維持することができる。また、帰港の際にはスカッパーへの衝撃を防止するために水位調整筒Aは取り外しておくことが望ましい。
【0019】
このような排出作用は高速走行の間継続され、生簀内の余剰水は船外に排出される。この間、排水装置本体側方に連結されている給水管6の内部に配設された逆止弁5によって排水作用のみが行われ、海水の生簀内への逆流は阻止される。かかる海水の逆流阻止状態は、舟艇が低速となりさらに停止しても持続される。
【0020】
前述のように生簀が排水されて空になった状態で帰港しまたは停泊した場合には、排水装置本体内側壁に形成された受け座7の中央穴を挿通させる長柄付きの開閉操作具Dによって閉塞蓋2を蓋受け環状部1に嵌入することにより船底の海水部から確実に遮断される。
【0021】
このような作用により、本発明に係る遊魚舟艇内生簀の余剰水排出装置を装着して帰港その他の理由により高速航行することにより、生簀内余剰水は自動的に排水される。排水された状態では、逆止弁5の作用により海水の生簀内への逆流は阻止されているため、排水口のスカッパー閉塞蓋は停止または停泊後に閉塞操作を行えばよい。
【0022】
【発明の実施形態】
以下、遊魚舟艇に配設された生簀内の海水が不要である場合に舟艇の高速航行にしたがって自動的に排出される本発明に係る遊魚舟艇内生簀の余剰水の排出装置について開示する。図1は本発明に係る生簀の余剰水排出装置の基本構造を示す断面図である。船底Bには、貫通口である排水口Sが形成され適宜寸法の仕切りP、Pによって包囲された生簀が形成される。排水口は、通常、スカッパーによって閉塞されている。
【0023】
通常のスカッパーはOリングその他の漏れ止め部材を介して捻じ込まれ、海水の浸入を阻止するものである。本発明におけるスカッパーとしての閉塞蓋2は、周囲が雌ねじ1Hである貫通孔が形成された蓋受け環状部1と、この雌ねじに嵌合する雄ねじを備えた閉塞蓋2との組合わせによって構成される。したがって、通常のスカッパーとする場合は、蓋受け環状部1の雌ねじ1Hに閉塞蓋2を捻じ込んだ状態で使用する。
【0024】
本発明においては、前述のようなスカッパーとしての蓋受け環状部1が船底の排水口Sに捻じ込まれた際の上縁部に対して水密状態で係合可能な排水装置本体3が取付けられる。排水装置本体3の下端は、例えば交換レンズのバヨネット式マウントのようなワンタッチ方式で蓋受け環状部1の上縁に係合させる固定爪9(図3)により固定することができる。その他のねじ式、クリップ式等のよく知られた円筒取付け固定具を用いるものであってもよい。
【0025】
排水装置本体3の側部には少なくとも1個の貫通孔4が形成され、この貫通孔4の外側には逆止弁5が形成され、この逆止弁5を介して吸水管6が取り付けられている。かかる構造により吸水管6の先端から吸水する生簀内余剰水は排水口の蓋受け環状部1の方向へは自由に流れるが、船底側から生簀内への逆流は阻止されることになる。
【0026】
なお、本発明における閉塞蓋は、スカッパーとしての機能と共に排水装置本体3の上方の開口部を閉塞する機能を有する。生簀内余剰水の排出時には、閉塞蓋2は排水装置本体3の内周面に環状に形成されている受け座7と案内突起8を介して密接して固定されている。したがって、遊漁舟艇が低速航行となった際、さらには停止した際における船底側から生簀内への海水の逆流は阻止されている。
【0027】
図2は本発明に係る閉塞蓋(スカッパー)の構造例を示すもので、図(a)の側面図のように蓋受け環状部1と、開口部の雌ねじ1Hに適合する雄ねじを備えた閉塞蓋2とから構成され、破線のように挿入・回転されて一体となる。図(b)はこれらの平面図で、蓋受け環状部1の上部拡大部外縁には排水装置本体3を水密状態で装着する際の固定爪9を受ける切込み11が形成されている。ここでは装置本体を装着する際の便宜を考慮して4個の切込みを形成しているが、2個、3個、5個等であってもよい。
【0028】
蓋受け環状部1の開口に捻じ込まれる閉塞蓋2の上方に破線のように形成された方形凹部21は、後述する長柄付き開閉操作具Dの先端をドライバとして上方から時計回りまたは反時計回りに回転させて開閉操作を行う際のドライバ受けとなる。また、閉塞蓋2の下方には前記方形凹部21に対応する方形凸部が形成されている。この凸部は、手動により閉塞蓋2を排水装置本体の内周面の受け座7に案内突起8を介して固定する際の取っ手として機能する。
【0029】
図3は図1に示した排水装置本体3の構成例を示す要部拡大側断面図であり、排水装置本体3は、下端の固定爪9により一転鎖線で示した閉塞蓋の蓋受け環状部1の上縁つばの切込み部11(図2b)に係合させ、スカッパー上に装着される。この場合、両者の係合は水密状態であることが要求されるため、パッキンやOリング等を介在させる通例の漏水防止手段が用いられるが、いずれも周知手段であるため詳述は省略する。
【0030】
排水装置本体3の側面には少なくとも1つの貫通口4が形成され、この貫通口4の外側には、生簀内の海水を船底側に流動させ、その逆流を阻止する逆止弁5が設けられている。この逆止弁5の外側には生簀内の最低部に届く吸水管6が連結されている。ここでは逆止弁としてボールバルブを使用しているが、可動板形、ニードル形等他形式の逆止弁であってもよい。図4は排水装置本体3の上方からのX−X矢視図で本体の筒体と受け座7との関係を示している。
【0031】
また、本実施例では逆止弁として、逆止弁を構成する球弁が、弁受け部55を挟んで棒材52で連結された上下一対の球体51、53によって構成したものを採用した。
【0032】
図5は本実施例で採用した逆止弁の概略構成図であり、図(a)は船底からの海水の生簀内への逆流を阻止する状態を示し、図(b)は生簀内の海水を船底側へ排出する状態を示している。船底側へ排出する際に、上方の球体51が装置本体側の貫通口4を塞ぐことがないように、下方の球体53と連結棒52によって連結されている。このように上下一対の球体51、53を連結棒52によって連結したことにより、下方の球体53の自重により瞬時にかつ確実に上方の球体51が流路を塞ぐので、停船時に船の揺れ等による船底からの逆流を完全に阻止できる。また、船底側へ排出する際には、下方の球体53によって吸水流は遮られずまた水流を安定に維持される。
【0033】
排水装置本体3の側面に形成されている貫通口4よりも上位の内周全体にはリング状受け座7が形成されており、内周面には閉塞蓋2を受け座7に円滑に案内するための例えば4個の案内突起8が形成されている。また、少なくとも1つの案内突起8の上辺には閉塞蓋2の上縁を固定する切込みが形成されている。このような構成により、閉塞蓋2の上縁が受け座7に密接して固定する。この閉塞蓋2の固定操作は、閉塞蓋2を装置本体3の下方から手動により受け座7側に押込み回転させることにより行う。受け座7の下面はゴムまたは軟質プラスチックなどで覆われていると都合がよく、また閉塞蓋2は受け座7に接触し易いように比重の小さな材質、例えば硬質プラスチックや軽合金等により形成されると都合がよい。
【0034】
図6は閉塞蓋2を回転させるための長柄付き開閉操作具Dの構造例を示す図である。開閉操作具Dは、閉塞蓋2を蓋受け環状部1の開口部に捻じ込んで閉塞する際またはこれを開放する際に、排水装置本体3の上方開口部から挿入し、閉塞蓋2上面の方形凹部であるドライバ受け21に挿入して時計回りまたは反時計回りに回転させるものである。開閉操作具に長柄が付されているのは、生簀が満水になっている場合であっても、水面上から操作可能にするためのもので、遊魚舟艇の規模や生簀の大小等より適宜サイズのものが利用される。
【0035】
図7は、本発明に係る生簀の余剰水排出装置における排水装置本体3の上方に、水位調整筒Aを装着した状態を示す斜視図である。排水装置本体3に適合する内径の硬質プラスチック管製で、側面には小穴22が適宜数穿孔されている。スカッパーの閉塞蓋2が取り外された状態において、このような水位調整筒Aを排水装置本体3の上部に装着しておくことにより、遊魚舟艇が停止から低速航行、高速航行またはその逆のような状態変化があっても生簀内の水位の急変を抑制することができる。なお、水位調整筒Aには上方に掴む際の滑り止めとして、突起や小穴を設けておくと都合がよい。
【0036】
本発明に係る遊魚舟艇内生簀の余剰水排出装置の使用にあたっては、漁から帰港した後や遊魚舟艇を使用しないときは、生簀の排水口に蓋受け環状部1に閉塞蓋2を捻じ込んだ状態でスカッパーを閉塞しておく。
【0037】
釣り、網漁その他が終了し、漁獲を絞めてクーラーボックス等に収納した後、生簀内の余剰水を排出しようとするとき、蓋受け環状部1の上縁つばに形成された切り込み11と固定爪9とを利用して排水装置本体3をスカッパーに装着する。
この状態では閉塞蓋2は受け座7に隙間なく密接して固定されているので、排水装置本体3内は水密状態となっている。そして、帰港または新たな釣り場や漁場へ移動するための高速航行を行う。この高速航行により船体が浮上するため喫水が小さくなり、かつ船底の高速水流により負圧が作用するため生簀内の余剰水は吸水管6から逆止弁5を経て排水装置本体3内に集まり、スカッパーから吸引排出される。
【0038】
生簀内の余剰水は吸水管6から吸水する。余剰水の排出が進行した時点で航速が低下し若しくは停止や後進する場合などでは船底側の水圧が高くなるため生簀内に向かう水圧が発生するが、逆止弁5の逆止機能により生簀内への逆流は阻止される。帰港または停泊等により生簀の使用が終了する場合には、開閉操作具Dにより閉塞蓋2を操作してスカッパーを完全に閉塞すればよい。なお、生簀余剰水の排出を行う際に水位調整筒Aは不要であるため取り外しておくとよい。
【0039】
【発明の効果】
本発明に係る遊魚舟艇内生簀の余剰水排出装置によれば、生簀内に余剰水が満たされている状態でスカッパーとしての閉塞蓋を開放して高速航行することにより自動排水が行われる。帰港または停泊後には排水がほぼ完了しているので、スカッパーの閉塞蓋を取り付けた後本排出装置本体を取り除けば従来のスカッパーを装着した状態であるため船底を収納スペースとして使用できる。
【0040】
特に、大形生簀では大容量であるため、帰港後または停泊後に改めて排水作業を行うのは労力並びに時間の無駄となっていたが、本発明に係る生簀の余剰水排出装置を装着しておくことにより、余剰水の大部分は航行中に排出が完了している。したがって、極めて短時間の後始末を行えば足り、舟艇の停泊処理、漁獲物の処理、帰宅等の動作に対し短時間での移行が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る遊魚舟艇内生簀の余剰水排出装置を遊魚舟艇内生簀に装着した状態を示す断面図である。
【図2】本発明に係る遊魚舟艇内生簀の余剰水排出装置のスカッパーとしての閉塞蓋の構造例を示す側断面図(a)及び平面図(b)である。
【図3】本発明に係る遊魚舟艇内生簀の余剰水排出装置の排水装置本体の構成例を示す要部拡大側断面図である。
【図4】本発明に係る遊魚舟艇内生簀の余剰水排出装置の排水装置本体の平面図である。
【図5】本発明に係る遊魚舟艇内生簀の余剰水排出装置の逆止弁の概略構成図(aは生簀内への逆流を阻止する状態を示し、bは船底側へ排出する状態を示している)である。
【図6】本発明に係る遊魚舟艇内生簀の余剰水排出装置において使用する 開閉操作具の構造例を示す図である。
【図7】本発明に係る遊魚舟艇内生簀の余剰水排出装置において排水装置本体に水位調整筒を装着した状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 蓋受け環状部
1H 雌ねじ
2 閉塞蓋
3 排水装置本体
4 貫通口
5 逆止弁
6 吸水管
7 受け座
8 案内突起
9 固定爪
11 切込み
21 ドライバ受け
22 小穴
51 上方球体
52 棒材(連結棒)
53 下方球体
55 弁受け部
A 水位調整筒
B 船底
D 開閉操作具
P 生簀仕切り板
S スカッパー
Claims (5)
- 遊魚舟艇の生簀底部に設けられた排水口に水密状態で装着される排水装置本体と、
前記排水装置本体の側面に配設され生簀内部からの排水を許容し前記排水口からの海水の流入を阻止する逆止弁と、
前記排水装置本体上方の開口部を閉塞するとともに、前記生簀底部に設けられた排水口を閉塞する閉塞蓋と、
航行時に船底に生ずる負の水圧を利用して生簀内の余剰水を吸引し、前記逆止弁および排水装置本体を介して排水口から船外に放出する吸水管と、を備えたことを特徴とする遊魚舟艇内生簀の余剰水排出装置。 - 前記逆止弁を構成する球弁が、弁受け部を挟んで棒材で連結された上下一対の球体によって構成され、逆止作用の際の球弁の安定を図るとともに吸水時の水流安定を図る、ことを特徴とする請求項1に記載の遊魚舟艇内生簀の余剰水排出装置。
- 前記閉塞蓋の排水装置本体上方の開口部の閉塞操作は底側から手動によって行われ、前記生簀底部に設けられた排水口の閉塞操作は該開口部を介して排水装置本体上方から開閉具によって行われる、ことを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の遊魚舟艇内生簀の余剰水排出装置。
- 前記閉塞蓋による船底排水口の開閉操作が、生簀の最高水位よりも長尺である長柄付き開閉操作具により水面上より行うことができる、ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の遊魚舟艇内生簀の余剰水排出装置。
- 前記排水装置本体の上方に脱着可能で側面に複数の小穴が設けられた水位調整筒を連結して利用する、ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の遊魚舟艇内生簀の余剰水排出装置。
Priority Applications (1)
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JP2003179434A JP2005014661A (ja) | 2003-06-24 | 2003-06-24 | 遊魚舟艇内生簀の余剰水排出装置 |
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JP (1) | JP2005014661A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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KR101498211B1 (ko) * | 2013-03-29 | 2015-03-05 | 삼성중공업 주식회사 | 일체형 배수로를 갖는 헬리데크 |
CN109466698A (zh) * | 2018-12-28 | 2019-03-15 | 马根昌 | 自排水安全船 |
CN113335448A (zh) * | 2021-06-29 | 2021-09-03 | 中船黄埔文冲船舶有限公司 | 一种船用排水装置 |
-
2003
- 2003-06-24 JP JP2003179434A patent/JP2005014661A/ja not_active Withdrawn
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