JP2005014140A - 磁気インパクト工具 - Google Patents
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Abstract
【課題】騒音発生を防止することができるとともに、トルクの小さなモータを用いた場合であってもモータがロック状態に陥ることが防止される磁気インパクト工具を提供する。
【解決手段】モータ3により回転駆動される磁気ハンマーブロック21と、磁気ハンマーブロック21の内周側または外周側に回転自在に設けられる磁気アンビルブロック11とを具備し、磁気ハンマーブロック21と磁気アンビルブロック11との互いの対向部分の一方にはNS極を有する磁極部Aを設けて他方には磁性体部Bを設け、磁性体部Bの回転方向の幅Wbを磁極部Aの回転方向の幅Waよりも広く設けて成る磁気インパクト工具とする。
【選択図】 図1
【解決手段】モータ3により回転駆動される磁気ハンマーブロック21と、磁気ハンマーブロック21の内周側または外周側に回転自在に設けられる磁気アンビルブロック11とを具備し、磁気ハンマーブロック21と磁気アンビルブロック11との互いの対向部分の一方にはNS極を有する磁極部Aを設けて他方には磁性体部Bを設け、磁性体部Bの回転方向の幅Wbを磁極部Aの回転方向の幅Waよりも広く設けて成る磁気インパクト工具とする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁気を用いて衝撃力を発生させる磁気インパクト工具に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、図10に示すようなインパクト工具が知られている。このインパクト工具は、例えばドライバビットを装着して用いるインパクトドライバのようなものであり、モータ101の回転力を減速機構102及び駆動軸103を介してハンマーブロック104に伝達して該ハンマーブロック104を回転させると、スプリング106の付勢力によりハンマーブロック104と噛合い状態にあるアンビルブロック105とこれに突設した出力軸107とが一体に回転し、出力軸107に装着したビットが回転駆動されるようになっている。そして、例えばビス締め作業等を行っている最中に回転負荷が或る程度以上になると、ハンマーブロック104がスプリング106の付勢力に抗して後退した後に、スプリング106の付勢力によって機械的な打撃を伴って再度ハンマーブロック104と噛合い、これを繰り返すことで出力軸107に装着したビットを衝撃的に回動させて強力なトルクを発生させるものである。
【0003】
ところが、上記したインパクト工具にあっては、ハンマーブロック104とアンビルブロック105とが直接衝突する際の金属音により大きな騒音が発生してしまうという問題があった。そこで、この問題を解決するものとして、ハンマーブロックからアンビルブロックへのトルク伝達を磁力を用いて非接触で行い、騒音の発生を防止しようとしたものも提案されている(特許文献1参照)。
【0004】
しかしながら、このような磁力を用いてトルクを伝達する構造のインパクト工具においては、アンビルブロックの位置によってはハンマーブロックとの間に強い磁気的吸引力が働くので、トルクの小さなモータを用いた場合には起動時等にモータがロック状態に陥り易く、また、これを避ける為にトルクの大きなモータを用いた場合にはインパクト工具全体の高重量化や巨大化を招いてしまうといった問題があった。
【0005】
【特許文献1】
実開昭63−201067号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、騒音発生を防止することができるとともに、トルクの小さなモータを用いた場合であってもモータがロック状態に陥ることが防止されていて、快適に且つ能率的に作業を行うことのできる磁気インパクト工具を提供することを課題とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明を、駆動源であるモータ3と、モータ3により回転駆動される駆動軸5と、駆動軸5と連動して回転運動を行う磁気ハンマーブロック21と、磁気ハンマーブロック21の内周側または外周側に回転自在に設けられる磁気アンビルブロック11と、磁気アンビルブロック11の回転運動と連動して回転運動を行う出力軸16とを具備し、所定の隙間9を介して対向する磁気ハンマーブロック21と磁気アンビルブロック11との互いの対向部分の、一方にはNS極を有する磁極部Aを設け、他方には磁性体部Bを設けて、磁極部Aと磁性体部Bとの間に生じる磁気的吸引力によって磁気アンビルブロック11に磁気ハンマーブロック21と連動した回転運動や回転方向の衝撃運動を行わせる磁気インパクト工具であって、磁性体部Bの回転方向の幅Wbを、磁極部Aの回転方向の幅Waよりも広く設けたことを特徴としたものとする。
【0008】
上記構成の磁気インパクト工具においては、磁気ハンマーブロック21と磁気アンビルブロック11とを直接接触させることなく、磁気アンビルブロック11に回転運動や衝撃運動を行わせることができるので、騒音の発生が確実に防止されるものである。加えて、磁性体部Bの回転方向の幅Wbを磁極部Aの回転方向の幅Waよりも広く設けていることで、モータ3のトルクが小さい場合であっても、起動時等に、磁気ハンマーブロック21を磁極部Aと磁性体部Bとの間に回転の抵抗となる磁気的吸引トルクが殆ど生じない領域内で或る程度加速させることができ、この運動エネルギによって磁気ハンマーブロック21が磁気的吸引トルクを超えて相対的に回転しながら磁気アンビルブロック11に衝撃運動を行わせることが可能になっている。したがって、上記構成の磁気インパクト工具においては、騒音の発生が防止されるとともに、トルクの小さなモータ3を用いた場合であっても該モータ3がロック状態に陥ることが防止されるものである。
【0009】
また、モータ3のロック状態を検知するモータ状態検知手段と、モータ3の回転を制御する制御部42とを設け、前記制御部42を、モータ状態検知手段がモータ3のロック状態を検知した場合には、磁極部Aと磁性体部Bとの間に磁気的吸引力が継続して発生する範囲内でモータ3を一旦逆回転させた後に、正回転させるものとすることも好ましい。このようにすることで、例えば起動時における磁極部Aと磁性体部Bとの相対位置が大きな磁気的吸引トルクの発生する位置であっても、逆回転により磁気ハンマーブロック21を加速させる距離を確保することができるので、モータ3がロック状態に陥ることが更に確実に防止されるものである。
【0010】
また、モータ3のロック間近状態を検知するモータ状態検知手段と、モータ3の回転を制御する制御部42とを設け、前記制御部42を、モータ状態検知手段がモータ3のロック間近状態を検知した場合には、磁極部Aと磁性体部Bとの間に磁気的吸引力が継続して発生する範囲内でモータ3を一旦逆回転させた後に、正回転させるものとすることも好ましい。このようにすることで、使用中にモータ3がロック状態に陥ることを未然に防ぐことができ、ロック状態に陥ってからこれを解除する場合と比してねじ締め時間を短縮することができるものである。
【0011】
また、モータ状態検知手段を、モータ3の回転数を検出するとともに該回転数が所定閾値を下回るか否かでモータ3の状態を検知するものとしてもよく、このようにすることで、モータ3の状態を正確に検知することができ、モータ3の制御を高精度で行うことが可能になるものである。
【0012】
また、モータ状態検知手段を、モータ電流を検出するとともに該電流値が所定閾値を上回るか否かでモータ3の状態を検知するものとしてもよく、このようにすることで、モータ3の状態を低コストで且つ正確に検知することができるものである。
【0013】
また、モータ状態検知手段を、磁気ハンマーブロック21の回転数を検出するとともに該回転数が所定閾値を下回るか否かでモータ3の状態を検知するものとしてもよく、このようにすることで、磁気ハンマーブロック21の回転数を基にモータ3の状態を正確に検知することができ、モータ3の制御を高精度で行うことが可能になるものである。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を添付図面に示す実施の形態に基づいて説明する。図1、図2には、本発明の実施の形態における一例の磁気インパクト工具を示している。磁気インパクト工具のハウジング6内には、モータ3とこれに連結された減速機4とを備えており、減速機4から突設された駆動軸5がモータ3を駆動源として回転駆動されるようになっている。駆動軸5には、磁気ハンマーブロック21が固定され、駆動軸5と磁気ハンマーブロック21とが一体に回転駆動されるようになっている。
【0015】
磁気ハンマーブロック21は、駆動軸5が貫通固定される筒状のハンマーコア25と、ハンマーコア25の側周面上の周方向に等間隔を隔てた4箇所から突設される極取付部26と、4箇所の極取付部26のそれぞれに接着固定される磁気ハンマー22とで形成されている。磁気ハンマー22は、磁石23と、該磁石23をN極側とS極側の両磁極側から挟み込む一対のヨーク24とで形成されており、本例においてはこの4箇所に設けた磁気ハンマー22が、磁気ハンマーブロック21の回転方向にNS極を着磁させた磁極部Aとなっている。
【0016】
駆動軸5の先端部は、軸受18を介して、磁気アンビルブロック11に回動自在に挿入される。この磁気アンビルブロック11は、軸受19を介してハウジング6内にて回動自在に支持されるものであり、非磁性体から成るアンビルベース13と、アンビルベース13から突設されるアンビル軸15と、アンビルベース13の周縁部の周方向に略等間隔を隔てた4箇所から、アンビル軸15の突設方向と逆方向に突設される磁気アンビル12とで形成されている。本例においてはこの4箇所に設けた磁気アンビル12が、磁性体から成る磁性体部Bとなっている。アンビル軸15の先端部からは出力軸16を延設させており、磁気アンビルブロック11の回転運動と連動して出力軸16が回転運動を行うようになっている。出力軸16の先端部には、工具ビット(図示せず)を取り付ける為のビット孔17を凹設している。
【0017】
そして、ハウジング6内に、モータ3や減速機4から成る駆動部や磁気ハンマーブロック21や磁気アンビルブロック11を組み込み、ハウジング6の先端部から出力軸16を外部に突出させた状態において、磁気アンビルブロック11の4箇所に設けてある磁気アンビル12の外周側には、磁気ハンマーブロック21の4箇所に設けてある磁気ハンマー22がそれぞれ1対1対応で、所定の隙間9を介して位置するようになっている。ここで、上記隙間9は、磁気ハンマー22と磁気アンビル12との間に必要十分な磁気的吸引力が生じる程度の隙間とする。
【0018】
しかして、ハウジング6と一体に形成したグリップ部7にあるトリガー8を使用者が引き込むと、ハウジング6内に設けてある制御部42がトリガー8の引き込み量に応じた回転数でモータ3を回転駆動させ、モータ3を駆動源として磁気ハンマーブロック21が回転駆動される。このように磁気ハンマーブロック21即ち磁気ハンマー22が回転すると、磁気ハンマー22と磁気アンビル12との間に生じる磁気的吸引力により、磁気アンビル12即ち磁気アンビルブロック11を回転駆動させる磁気的吸引トルクが発生し、この磁気アンビルブロック11の回転運動と連動して出力軸16が回転運動を行うようになっている。
【0019】
出力軸16のビット孔17に例えばねじ締めビット(図示せず)を装着してねじ締め作業を行う場合、ねじ締め初期状態においては必要なトルクが小さい為に、磁気ハンマー22と磁気アンビル12とが正面方向に1対1で対向する相対位置を保持しながら、磁気ハンマーブロック21と磁気アンビルブロック11とが一体に回転駆動され、出力軸16の連続回転運動によりねじ締め作業が行われる。このときの相対位置は図3(a)に示す通りである。ねじ締め初期状態を過ぎて必要なトルクが増大してくると、磁気ハンマーブロック21と磁気アンビルブロック11とは、初期状態の相対位置と比して磁気ハンマーブロック21が僅かに回転方向に移動した相対位置を保持しながら一体に回転駆動されて、ねじ締め作業が行われる。このときの相対位置は図3(b)に示す通りである。そして、ねじ締め中期に至り必要なトルクが更に増大すると、図3(c)に示すように磁気ハンマー22と磁気アンビル12との間に生じる磁気的吸引トルクを超えて磁気ハンマーブロック21が磁気アンビルブロック11に対して回転を始め、相対的に略90°だけ回転移動した時点で、図3(d)に示すように磁気ハンマー22と磁気アンビル12とが1対1に対向する別の相対位置へと移行する。このように磁気ハンマーブロック21が回転して別の相対位置に移行した際に、磁気アンビル12には回転方向に磁気的なインパクトトルクが発生するものであり、上記一連の相対的な回転動作を繰返すことにより、連続的にインパクトトルクを発生させる衝撃運動を磁気アンビルブロック11に行わせることが可能となり、ねじが更に強く締付けられるようになっている。
【0020】
本例においては、図2(b)に示すように、各磁極部AにおけるNS極の向きを、隣接する磁極部Aの対向する側の磁極が一致するように設定し、隣接する磁極部A同士が反発するようにしているので、磁気アンビル12を通過する磁束数が高水準で確保されて大きなインパクトトルクが発生するようになっている。なお、各磁極部AのNS極の向きはこれに限定されるものでなく、例えば隣接する磁極部Aの対向する側の磁極が相違するように設定しても構わないが、この場合は、隣接する磁極部A同士が引合うことで磁気アンビル12を通過する磁束数は減少し、発生するインパクトトルクも20%程度減少するものである。
【0021】
ここで、本例の磁気インパクト工具においては、ボルト増し締め作業時等の負荷が非常に大きな状態からの起動時にも、磁気ハンマーブロック21が、磁気アンビル12と磁気ハンマー22との間に生じる磁気的吸引トルクを超えて回転を始め易くなるように、磁性体部Bである磁気アンビル12の回転方向の幅Wbを、磁極部Aである磁気ハンマー22の回転方向の幅Waよりも広く設けている。というのも、磁気ハンマー22の幅Wb>磁気アンビル12の幅Waとすることで、図4に示すように磁気アンビル12と磁気ハンマー22との間に殆ど磁気的吸引トルクが働かない区間S(図4中のe〜a区間とa〜b区間)が形成され、この区間S中を磁気ハンマー22が相対的に回転する間に磁気ハンマーブロック21が加速され、その運動エネルギによって、磁気ハンマーブロック21が磁気的吸引トルクを超えて回転を始めることが可能となるからである。なお、図4中のa〜eに示す各状態は、それぞれ図3(a)〜(e)に示す各相対位置の場合に対応する。
【0022】
図5には、仮に磁気ハンマー22の幅Wb=磁気アンビル12の幅Waとした場合を示しているが、この場合、図4に示した区間Sに相当する区間が存在しなくなり、したがって、ボルト増し締め作業時等の負荷が非常に大きな状態から起動させる時には、磁気的吸引トルクを超えて回転する程度にまで磁気ハンマーブロック21を加速させることができない場合がある。このとき、磁気ハンマーブロック21や磁気アンビルブロック11は殆ど回転することがないので、結果としてモータ3がロックするものである。つまり、本例の磁気インパクト工具のように磁気ハンマー22の幅Wb>磁気アンビル12の幅Waとすることで、起動時のモータ3のロックが防止されることが分かる。
【0023】
なお、本例においては磁気ハンマーブロック21の外周側に磁気アンビルブロック11が位置するようにしているが、これに限らず、磁気ハンマーブロック21の内周側に所定の隙間9を隔てて磁気アンビルブロック11が位置するような構成としても構わない。更に、本例においては磁気ハンマーブロック21と磁気アンビルブロック11との互いの対向部分、即ち、隙間9を隔てて1対1に対向する磁気ハンマー22と磁気アンビル12のうち、磁気ハンマー22側が磁極部Aとなり磁気アンビル12側が磁性体部Bとなるように構成しているが、これに限らず、磁気ハンマー22側が磁性体部Bとなり、磁気アンビル12側が磁極部Aとなるような構成としても構わない。
【0024】
次に、本発明の実施の形態における他例の磁気インパクト工具について説明する。他例の磁気インパクト工具は、一例の磁気インパクト工具の構成を具備することに加えて、モータ3のロック状態を検知するモータ状態検知手段を設け、図7(a)のフローチャートに示すように、モータ状態検知手段がモータ3のロック状態を検知した場合には、磁気ハンマー22と磁気アンビル12との間に磁気的吸引力が継続して発生する範囲内でモータ3を一旦逆回転させ、その後に再度正回転させるようにしている。具体的には、図6に示すように、モータ3の回転数を検知する回転数センサ41をモータ3及び制御部42と接続させて設け、制御部42において、回転数センサ41から出力される回転数が所定閾値(以下、閾値αという)を下回った場合にモータ3がロック状態にあると判定して、モータ3に対して逆回転後に正回転を行う上記の一連動作を行わせ、モータ3のロック状態を解除させるものである。
【0025】
また、モータ3のロック状態に限らず、モータ3がロックしそうな状態であるロック間近状態を検知した場合に、逆回転後に正回転を行う上記の一連動作を行わせるようにしてもよい。この場合、制御部42において、回転数センサ41から出力される回転数が減少傾向にあり且つ所定閾値(以下、閾値βという)を下回った場合にモータ3がロック間近状態にあると判定し、モータ3に上記の一連動作を行わせることで、ロック状態に陥ることを未然に回避するものである。なお、上記の閾値βは閾値αより高く設定することが好ましい。図7(b)には、この場合のフローチャートを示している。
【0026】
次に、本発明の実施の形態における更に他例の磁気インパクト工具について説明する。更に他例の磁気インパクト工具は、他例の磁気インパクト工具の回転数センサ41の設置に代えて、制御部42内に電流検出手段43を設け(図8参照)、電流検出手段43から出力される電流値が所定閾値(以下、閾値γという)を上回った場合にモータ3がロック状態にあると判定して、モータ3に上記の一連動作を行わせてロック状態を解除させるものである。また、更に他例においても、モータ3のロック状態に限らずロック間近状態を検知した場合に上記の一連動作を行わせるようにしてもよい。この場合、制御部42において、電流検出手段43から出力される電流値が増加傾向にあり且つ所定閾値(以下、閾値δという)を上回った場合にモータ3がロック間近状態にあると判定し、モータ3に上記の一連動作を行わせることで、ロック状態に陥ることを未然に回避するものである。なお、上記の閾値δは閾値γより低く設定することが好ましい。
【0027】
次に、本発明の実施の形態におけるまた更に他例の磁気インパクト工具について説明する。また更に他例の磁気インパクト工具は、他例の磁気インパクト工具の回転数センサ41の設置に代えて、磁性を有する磁気ハンマー22の通過を検知するホール素子45を配し、制御部42において、ホール素子45から出力される磁気ハンマー22の通過をカウントすることで磁気ハンマーブロック21の回転数を検知し、これによりモータ3の状態を判定するものである。本例においても、磁気ハンマーブロック21の回転数が所定閾値(以下、閾値εという)を下回った場合にモータ3がロック状態にあると判定して、モータ3に上記の一連動作を行わせ、モータ3のロック状態を解除させるようにしてもよいし、また、磁気ハンマーブロック21の回転数が減少傾向にあり且つ所定閾値(以下、閾値ζという)を下回った場合にモータ3がロック間近状態にあると判定して、モータ3に上記の一連動作を行わせ、モータ3がロック状態に陥ることを未然に回避させるようにしてもよい。なお、上記の閾値ζは閾値εよりも高く設定することが好ましい。
【0028】
【発明の効果】
上記のように本発明にあっては、騒音の発生が防止されるとともに、トルクの小さなモータを用いた場合であってもモータがロック状態に陥ることが防止されるので、使用者にとって快適に且つ能率的に作業を行うことのできる磁気インパクト工具を提供することができるといった効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態における一例の磁気インパクト工具の主要部分解図である。
【図2】同上の磁気インパクト工具を示しており、(a)は一部破断側面図、(b)は(a)のa−a線断面図である。
【図3】同上の磁気インパクト工具における磁気ハンマーブロックの相対位置を示す説明図であり、(a)は正回転によるねじ締めの初期状態、(b)は第二状態、(c)は第三状態、(d)は第四状態、(e)は逆回転した状態を示している。
【図4】同上の磁気インパクト工具における、磁気ハンマーと磁気アンビルとの間に働くトルクと相対角度との関係を示す説明図である。
【図5】同上の磁気インパクト工具において、磁気ハンマーと磁気アンビルとを同一幅とした場合を示しており、(a)は磁気インパクト工具の断面図、(b)は磁気ハンマーと磁気アンビルとの間に働くトルクと相対角度との関係を示す説明図である。
【図6】本発明の実施の形態における他例の磁気インパクト工具の一部破断側面図である。
【図7】同上の磁気インパクト工具におけるモータ制御のフローチャートであり、(a)はロック解除動作、(b)はロック回避動作を示している。
【図8】本発明の実施の形態における更に他例の磁気インパクト工具の一部破断側面図である。
【図9】本発明の実施の形態におけるまた更に他例の磁気インパクト工具の一部破断側面図である。
【図10】機械的な打撃を加える従来のインパクト工具を示す断面図である。
【符号の説明】
3 モータ
5 駆動軸
9 隙間
11 磁気アンビルブロック
12 磁気アンビル
16 出力軸
21 磁気ハンマーブロック
22 磁気ハンマー
41 回転数センサ
42 制御部
43 電流検出手段
45 ホール素子
A 磁極部
B 磁性体部
Wa 磁極部の回転方向の幅
Wb 磁性体部の回転方向の幅
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁気を用いて衝撃力を発生させる磁気インパクト工具に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、図10に示すようなインパクト工具が知られている。このインパクト工具は、例えばドライバビットを装着して用いるインパクトドライバのようなものであり、モータ101の回転力を減速機構102及び駆動軸103を介してハンマーブロック104に伝達して該ハンマーブロック104を回転させると、スプリング106の付勢力によりハンマーブロック104と噛合い状態にあるアンビルブロック105とこれに突設した出力軸107とが一体に回転し、出力軸107に装着したビットが回転駆動されるようになっている。そして、例えばビス締め作業等を行っている最中に回転負荷が或る程度以上になると、ハンマーブロック104がスプリング106の付勢力に抗して後退した後に、スプリング106の付勢力によって機械的な打撃を伴って再度ハンマーブロック104と噛合い、これを繰り返すことで出力軸107に装着したビットを衝撃的に回動させて強力なトルクを発生させるものである。
【0003】
ところが、上記したインパクト工具にあっては、ハンマーブロック104とアンビルブロック105とが直接衝突する際の金属音により大きな騒音が発生してしまうという問題があった。そこで、この問題を解決するものとして、ハンマーブロックからアンビルブロックへのトルク伝達を磁力を用いて非接触で行い、騒音の発生を防止しようとしたものも提案されている(特許文献1参照)。
【0004】
しかしながら、このような磁力を用いてトルクを伝達する構造のインパクト工具においては、アンビルブロックの位置によってはハンマーブロックとの間に強い磁気的吸引力が働くので、トルクの小さなモータを用いた場合には起動時等にモータがロック状態に陥り易く、また、これを避ける為にトルクの大きなモータを用いた場合にはインパクト工具全体の高重量化や巨大化を招いてしまうといった問題があった。
【0005】
【特許文献1】
実開昭63−201067号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、騒音発生を防止することができるとともに、トルクの小さなモータを用いた場合であってもモータがロック状態に陥ることが防止されていて、快適に且つ能率的に作業を行うことのできる磁気インパクト工具を提供することを課題とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明を、駆動源であるモータ3と、モータ3により回転駆動される駆動軸5と、駆動軸5と連動して回転運動を行う磁気ハンマーブロック21と、磁気ハンマーブロック21の内周側または外周側に回転自在に設けられる磁気アンビルブロック11と、磁気アンビルブロック11の回転運動と連動して回転運動を行う出力軸16とを具備し、所定の隙間9を介して対向する磁気ハンマーブロック21と磁気アンビルブロック11との互いの対向部分の、一方にはNS極を有する磁極部Aを設け、他方には磁性体部Bを設けて、磁極部Aと磁性体部Bとの間に生じる磁気的吸引力によって磁気アンビルブロック11に磁気ハンマーブロック21と連動した回転運動や回転方向の衝撃運動を行わせる磁気インパクト工具であって、磁性体部Bの回転方向の幅Wbを、磁極部Aの回転方向の幅Waよりも広く設けたことを特徴としたものとする。
【0008】
上記構成の磁気インパクト工具においては、磁気ハンマーブロック21と磁気アンビルブロック11とを直接接触させることなく、磁気アンビルブロック11に回転運動や衝撃運動を行わせることができるので、騒音の発生が確実に防止されるものである。加えて、磁性体部Bの回転方向の幅Wbを磁極部Aの回転方向の幅Waよりも広く設けていることで、モータ3のトルクが小さい場合であっても、起動時等に、磁気ハンマーブロック21を磁極部Aと磁性体部Bとの間に回転の抵抗となる磁気的吸引トルクが殆ど生じない領域内で或る程度加速させることができ、この運動エネルギによって磁気ハンマーブロック21が磁気的吸引トルクを超えて相対的に回転しながら磁気アンビルブロック11に衝撃運動を行わせることが可能になっている。したがって、上記構成の磁気インパクト工具においては、騒音の発生が防止されるとともに、トルクの小さなモータ3を用いた場合であっても該モータ3がロック状態に陥ることが防止されるものである。
【0009】
また、モータ3のロック状態を検知するモータ状態検知手段と、モータ3の回転を制御する制御部42とを設け、前記制御部42を、モータ状態検知手段がモータ3のロック状態を検知した場合には、磁極部Aと磁性体部Bとの間に磁気的吸引力が継続して発生する範囲内でモータ3を一旦逆回転させた後に、正回転させるものとすることも好ましい。このようにすることで、例えば起動時における磁極部Aと磁性体部Bとの相対位置が大きな磁気的吸引トルクの発生する位置であっても、逆回転により磁気ハンマーブロック21を加速させる距離を確保することができるので、モータ3がロック状態に陥ることが更に確実に防止されるものである。
【0010】
また、モータ3のロック間近状態を検知するモータ状態検知手段と、モータ3の回転を制御する制御部42とを設け、前記制御部42を、モータ状態検知手段がモータ3のロック間近状態を検知した場合には、磁極部Aと磁性体部Bとの間に磁気的吸引力が継続して発生する範囲内でモータ3を一旦逆回転させた後に、正回転させるものとすることも好ましい。このようにすることで、使用中にモータ3がロック状態に陥ることを未然に防ぐことができ、ロック状態に陥ってからこれを解除する場合と比してねじ締め時間を短縮することができるものである。
【0011】
また、モータ状態検知手段を、モータ3の回転数を検出するとともに該回転数が所定閾値を下回るか否かでモータ3の状態を検知するものとしてもよく、このようにすることで、モータ3の状態を正確に検知することができ、モータ3の制御を高精度で行うことが可能になるものである。
【0012】
また、モータ状態検知手段を、モータ電流を検出するとともに該電流値が所定閾値を上回るか否かでモータ3の状態を検知するものとしてもよく、このようにすることで、モータ3の状態を低コストで且つ正確に検知することができるものである。
【0013】
また、モータ状態検知手段を、磁気ハンマーブロック21の回転数を検出するとともに該回転数が所定閾値を下回るか否かでモータ3の状態を検知するものとしてもよく、このようにすることで、磁気ハンマーブロック21の回転数を基にモータ3の状態を正確に検知することができ、モータ3の制御を高精度で行うことが可能になるものである。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を添付図面に示す実施の形態に基づいて説明する。図1、図2には、本発明の実施の形態における一例の磁気インパクト工具を示している。磁気インパクト工具のハウジング6内には、モータ3とこれに連結された減速機4とを備えており、減速機4から突設された駆動軸5がモータ3を駆動源として回転駆動されるようになっている。駆動軸5には、磁気ハンマーブロック21が固定され、駆動軸5と磁気ハンマーブロック21とが一体に回転駆動されるようになっている。
【0015】
磁気ハンマーブロック21は、駆動軸5が貫通固定される筒状のハンマーコア25と、ハンマーコア25の側周面上の周方向に等間隔を隔てた4箇所から突設される極取付部26と、4箇所の極取付部26のそれぞれに接着固定される磁気ハンマー22とで形成されている。磁気ハンマー22は、磁石23と、該磁石23をN極側とS極側の両磁極側から挟み込む一対のヨーク24とで形成されており、本例においてはこの4箇所に設けた磁気ハンマー22が、磁気ハンマーブロック21の回転方向にNS極を着磁させた磁極部Aとなっている。
【0016】
駆動軸5の先端部は、軸受18を介して、磁気アンビルブロック11に回動自在に挿入される。この磁気アンビルブロック11は、軸受19を介してハウジング6内にて回動自在に支持されるものであり、非磁性体から成るアンビルベース13と、アンビルベース13から突設されるアンビル軸15と、アンビルベース13の周縁部の周方向に略等間隔を隔てた4箇所から、アンビル軸15の突設方向と逆方向に突設される磁気アンビル12とで形成されている。本例においてはこの4箇所に設けた磁気アンビル12が、磁性体から成る磁性体部Bとなっている。アンビル軸15の先端部からは出力軸16を延設させており、磁気アンビルブロック11の回転運動と連動して出力軸16が回転運動を行うようになっている。出力軸16の先端部には、工具ビット(図示せず)を取り付ける為のビット孔17を凹設している。
【0017】
そして、ハウジング6内に、モータ3や減速機4から成る駆動部や磁気ハンマーブロック21や磁気アンビルブロック11を組み込み、ハウジング6の先端部から出力軸16を外部に突出させた状態において、磁気アンビルブロック11の4箇所に設けてある磁気アンビル12の外周側には、磁気ハンマーブロック21の4箇所に設けてある磁気ハンマー22がそれぞれ1対1対応で、所定の隙間9を介して位置するようになっている。ここで、上記隙間9は、磁気ハンマー22と磁気アンビル12との間に必要十分な磁気的吸引力が生じる程度の隙間とする。
【0018】
しかして、ハウジング6と一体に形成したグリップ部7にあるトリガー8を使用者が引き込むと、ハウジング6内に設けてある制御部42がトリガー8の引き込み量に応じた回転数でモータ3を回転駆動させ、モータ3を駆動源として磁気ハンマーブロック21が回転駆動される。このように磁気ハンマーブロック21即ち磁気ハンマー22が回転すると、磁気ハンマー22と磁気アンビル12との間に生じる磁気的吸引力により、磁気アンビル12即ち磁気アンビルブロック11を回転駆動させる磁気的吸引トルクが発生し、この磁気アンビルブロック11の回転運動と連動して出力軸16が回転運動を行うようになっている。
【0019】
出力軸16のビット孔17に例えばねじ締めビット(図示せず)を装着してねじ締め作業を行う場合、ねじ締め初期状態においては必要なトルクが小さい為に、磁気ハンマー22と磁気アンビル12とが正面方向に1対1で対向する相対位置を保持しながら、磁気ハンマーブロック21と磁気アンビルブロック11とが一体に回転駆動され、出力軸16の連続回転運動によりねじ締め作業が行われる。このときの相対位置は図3(a)に示す通りである。ねじ締め初期状態を過ぎて必要なトルクが増大してくると、磁気ハンマーブロック21と磁気アンビルブロック11とは、初期状態の相対位置と比して磁気ハンマーブロック21が僅かに回転方向に移動した相対位置を保持しながら一体に回転駆動されて、ねじ締め作業が行われる。このときの相対位置は図3(b)に示す通りである。そして、ねじ締め中期に至り必要なトルクが更に増大すると、図3(c)に示すように磁気ハンマー22と磁気アンビル12との間に生じる磁気的吸引トルクを超えて磁気ハンマーブロック21が磁気アンビルブロック11に対して回転を始め、相対的に略90°だけ回転移動した時点で、図3(d)に示すように磁気ハンマー22と磁気アンビル12とが1対1に対向する別の相対位置へと移行する。このように磁気ハンマーブロック21が回転して別の相対位置に移行した際に、磁気アンビル12には回転方向に磁気的なインパクトトルクが発生するものであり、上記一連の相対的な回転動作を繰返すことにより、連続的にインパクトトルクを発生させる衝撃運動を磁気アンビルブロック11に行わせることが可能となり、ねじが更に強く締付けられるようになっている。
【0020】
本例においては、図2(b)に示すように、各磁極部AにおけるNS極の向きを、隣接する磁極部Aの対向する側の磁極が一致するように設定し、隣接する磁極部A同士が反発するようにしているので、磁気アンビル12を通過する磁束数が高水準で確保されて大きなインパクトトルクが発生するようになっている。なお、各磁極部AのNS極の向きはこれに限定されるものでなく、例えば隣接する磁極部Aの対向する側の磁極が相違するように設定しても構わないが、この場合は、隣接する磁極部A同士が引合うことで磁気アンビル12を通過する磁束数は減少し、発生するインパクトトルクも20%程度減少するものである。
【0021】
ここで、本例の磁気インパクト工具においては、ボルト増し締め作業時等の負荷が非常に大きな状態からの起動時にも、磁気ハンマーブロック21が、磁気アンビル12と磁気ハンマー22との間に生じる磁気的吸引トルクを超えて回転を始め易くなるように、磁性体部Bである磁気アンビル12の回転方向の幅Wbを、磁極部Aである磁気ハンマー22の回転方向の幅Waよりも広く設けている。というのも、磁気ハンマー22の幅Wb>磁気アンビル12の幅Waとすることで、図4に示すように磁気アンビル12と磁気ハンマー22との間に殆ど磁気的吸引トルクが働かない区間S(図4中のe〜a区間とa〜b区間)が形成され、この区間S中を磁気ハンマー22が相対的に回転する間に磁気ハンマーブロック21が加速され、その運動エネルギによって、磁気ハンマーブロック21が磁気的吸引トルクを超えて回転を始めることが可能となるからである。なお、図4中のa〜eに示す各状態は、それぞれ図3(a)〜(e)に示す各相対位置の場合に対応する。
【0022】
図5には、仮に磁気ハンマー22の幅Wb=磁気アンビル12の幅Waとした場合を示しているが、この場合、図4に示した区間Sに相当する区間が存在しなくなり、したがって、ボルト増し締め作業時等の負荷が非常に大きな状態から起動させる時には、磁気的吸引トルクを超えて回転する程度にまで磁気ハンマーブロック21を加速させることができない場合がある。このとき、磁気ハンマーブロック21や磁気アンビルブロック11は殆ど回転することがないので、結果としてモータ3がロックするものである。つまり、本例の磁気インパクト工具のように磁気ハンマー22の幅Wb>磁気アンビル12の幅Waとすることで、起動時のモータ3のロックが防止されることが分かる。
【0023】
なお、本例においては磁気ハンマーブロック21の外周側に磁気アンビルブロック11が位置するようにしているが、これに限らず、磁気ハンマーブロック21の内周側に所定の隙間9を隔てて磁気アンビルブロック11が位置するような構成としても構わない。更に、本例においては磁気ハンマーブロック21と磁気アンビルブロック11との互いの対向部分、即ち、隙間9を隔てて1対1に対向する磁気ハンマー22と磁気アンビル12のうち、磁気ハンマー22側が磁極部Aとなり磁気アンビル12側が磁性体部Bとなるように構成しているが、これに限らず、磁気ハンマー22側が磁性体部Bとなり、磁気アンビル12側が磁極部Aとなるような構成としても構わない。
【0024】
次に、本発明の実施の形態における他例の磁気インパクト工具について説明する。他例の磁気インパクト工具は、一例の磁気インパクト工具の構成を具備することに加えて、モータ3のロック状態を検知するモータ状態検知手段を設け、図7(a)のフローチャートに示すように、モータ状態検知手段がモータ3のロック状態を検知した場合には、磁気ハンマー22と磁気アンビル12との間に磁気的吸引力が継続して発生する範囲内でモータ3を一旦逆回転させ、その後に再度正回転させるようにしている。具体的には、図6に示すように、モータ3の回転数を検知する回転数センサ41をモータ3及び制御部42と接続させて設け、制御部42において、回転数センサ41から出力される回転数が所定閾値(以下、閾値αという)を下回った場合にモータ3がロック状態にあると判定して、モータ3に対して逆回転後に正回転を行う上記の一連動作を行わせ、モータ3のロック状態を解除させるものである。
【0025】
また、モータ3のロック状態に限らず、モータ3がロックしそうな状態であるロック間近状態を検知した場合に、逆回転後に正回転を行う上記の一連動作を行わせるようにしてもよい。この場合、制御部42において、回転数センサ41から出力される回転数が減少傾向にあり且つ所定閾値(以下、閾値βという)を下回った場合にモータ3がロック間近状態にあると判定し、モータ3に上記の一連動作を行わせることで、ロック状態に陥ることを未然に回避するものである。なお、上記の閾値βは閾値αより高く設定することが好ましい。図7(b)には、この場合のフローチャートを示している。
【0026】
次に、本発明の実施の形態における更に他例の磁気インパクト工具について説明する。更に他例の磁気インパクト工具は、他例の磁気インパクト工具の回転数センサ41の設置に代えて、制御部42内に電流検出手段43を設け(図8参照)、電流検出手段43から出力される電流値が所定閾値(以下、閾値γという)を上回った場合にモータ3がロック状態にあると判定して、モータ3に上記の一連動作を行わせてロック状態を解除させるものである。また、更に他例においても、モータ3のロック状態に限らずロック間近状態を検知した場合に上記の一連動作を行わせるようにしてもよい。この場合、制御部42において、電流検出手段43から出力される電流値が増加傾向にあり且つ所定閾値(以下、閾値δという)を上回った場合にモータ3がロック間近状態にあると判定し、モータ3に上記の一連動作を行わせることで、ロック状態に陥ることを未然に回避するものである。なお、上記の閾値δは閾値γより低く設定することが好ましい。
【0027】
次に、本発明の実施の形態におけるまた更に他例の磁気インパクト工具について説明する。また更に他例の磁気インパクト工具は、他例の磁気インパクト工具の回転数センサ41の設置に代えて、磁性を有する磁気ハンマー22の通過を検知するホール素子45を配し、制御部42において、ホール素子45から出力される磁気ハンマー22の通過をカウントすることで磁気ハンマーブロック21の回転数を検知し、これによりモータ3の状態を判定するものである。本例においても、磁気ハンマーブロック21の回転数が所定閾値(以下、閾値εという)を下回った場合にモータ3がロック状態にあると判定して、モータ3に上記の一連動作を行わせ、モータ3のロック状態を解除させるようにしてもよいし、また、磁気ハンマーブロック21の回転数が減少傾向にあり且つ所定閾値(以下、閾値ζという)を下回った場合にモータ3がロック間近状態にあると判定して、モータ3に上記の一連動作を行わせ、モータ3がロック状態に陥ることを未然に回避させるようにしてもよい。なお、上記の閾値ζは閾値εよりも高く設定することが好ましい。
【0028】
【発明の効果】
上記のように本発明にあっては、騒音の発生が防止されるとともに、トルクの小さなモータを用いた場合であってもモータがロック状態に陥ることが防止されるので、使用者にとって快適に且つ能率的に作業を行うことのできる磁気インパクト工具を提供することができるといった効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態における一例の磁気インパクト工具の主要部分解図である。
【図2】同上の磁気インパクト工具を示しており、(a)は一部破断側面図、(b)は(a)のa−a線断面図である。
【図3】同上の磁気インパクト工具における磁気ハンマーブロックの相対位置を示す説明図であり、(a)は正回転によるねじ締めの初期状態、(b)は第二状態、(c)は第三状態、(d)は第四状態、(e)は逆回転した状態を示している。
【図4】同上の磁気インパクト工具における、磁気ハンマーと磁気アンビルとの間に働くトルクと相対角度との関係を示す説明図である。
【図5】同上の磁気インパクト工具において、磁気ハンマーと磁気アンビルとを同一幅とした場合を示しており、(a)は磁気インパクト工具の断面図、(b)は磁気ハンマーと磁気アンビルとの間に働くトルクと相対角度との関係を示す説明図である。
【図6】本発明の実施の形態における他例の磁気インパクト工具の一部破断側面図である。
【図7】同上の磁気インパクト工具におけるモータ制御のフローチャートであり、(a)はロック解除動作、(b)はロック回避動作を示している。
【図8】本発明の実施の形態における更に他例の磁気インパクト工具の一部破断側面図である。
【図9】本発明の実施の形態におけるまた更に他例の磁気インパクト工具の一部破断側面図である。
【図10】機械的な打撃を加える従来のインパクト工具を示す断面図である。
【符号の説明】
3 モータ
5 駆動軸
9 隙間
11 磁気アンビルブロック
12 磁気アンビル
16 出力軸
21 磁気ハンマーブロック
22 磁気ハンマー
41 回転数センサ
42 制御部
43 電流検出手段
45 ホール素子
A 磁極部
B 磁性体部
Wa 磁極部の回転方向の幅
Wb 磁性体部の回転方向の幅
Claims (6)
- 駆動源であるモータと、モータにより回転駆動される駆動軸と、駆動軸と連動して回転運動を行う磁気ハンマーブロックと、磁気ハンマーブロックの内周側または外周側に回転自在に設けられる磁気アンビルブロックと、磁気アンビルブロックの回転運動と連動して回転運動を行う出力軸とを具備し、所定の隙間を介して対向する磁気ハンマーブロックと磁気アンビルブロックとの互いの対向部分の、一方にはNS極を有する磁極部を設け、他方には磁性体部を設けて、磁極部と磁性体部との間に生じる磁気的吸引力によって磁気アンビルブロックに磁気ハンマーブロックと連動した回転運動や回転方向の衝撃運動を行わせる磁気インパクト工具であって、磁性体部の回転方向の幅を、磁極部の回転方向の幅よりも広く設けたことを特徴とする磁気インパクト工具。
- モータのロック状態を検知するモータ状態検知手段と、モータの回転を制御する制御部とを設け、前記制御部を、モータ状態検知手段がモータのロック状態を検知した場合には、磁極部と磁性体部との間に磁気的吸引力が継続して発生する範囲内でモータを一旦逆回転させた後に、正回転させるものとしたことを特徴とする請求項1記載の磁気インパクト工具。
- モータのロック間近状態を検知するモータ状態検知手段と、モータの回転を制御する制御部とを設け、前記制御部を、モータ状態検知手段がモータのロック間近状態を検知した場合には、磁極部と磁性体部との間に磁気的吸引力が継続して発生する範囲内でモータを一旦逆回転させた後に、正回転させるものとしたことを特徴とする請求項1記載の磁気インパクト工具。
- モータ状態検知手段を、モータの回転数を検出するとともに該回転数が所定閾値を下回るか否かでモータの状態を検知するものとしたことを特徴とする請求項2又は3記載の磁気インパクト工具。
- モータ状態検知手段を、モータ電流を検出するとともに該電流値が所定閾値を上回るか否かでモータの状態を検知するものとしたことを特徴とする請求項2又は3記載の磁気インパクト工具。
- モータ状態検知手段を、磁気ハンマーブロックの回転数を検出するとともに該回転数が所定閾値を下回るか否かでモータの状態を検知するものとしたことを特徴とする請求項2又は3記載の磁気インパクト工具。
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2003
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