JP2005012362A - 線路・導波管変換装置並びにアンテナ装置、送受信装置及び無線装置 - Google Patents

線路・導波管変換装置並びにアンテナ装置、送受信装置及び無線装置 Download PDF

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JP2005012362A JP2003172290A JP2003172290A JP2005012362A JP 2005012362 A JP2005012362 A JP 2005012362A JP 2003172290 A JP2003172290 A JP 2003172290A JP 2003172290 A JP2003172290 A JP 2003172290A JP 2005012362 A JP2005012362 A JP 2005012362A
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Motoro Kato
元郎 加藤
Norimasa Kitamori
宣匡 北森
Toshiro Hiratsuka
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Abstract

【課題】磁界結合部を信号の伝送方向と直交する方向に伸長させることにより、伝送線路と導波管とを高い結合性をもってコンパクトに結合し、小型化と高性能化を図る。
【解決手段】基板2には高周波信号用の伝送線路3を設け、その中心導体3Aの端部側には、導波管6内に挿入された挿入線路部8と、この挿入線路部8から直交する方向に伸びた磁界結合部9とを設ける。これにより、伝送線路3と導波管6とを長さ方向に直列に配置した状態でも、これらの磁界を磁界結合部9の位置で一致させることができ、伝送線路3と導波管6とを磁界結合部9によって良好に結合することができる。そして、変換装置1全体を薄型でコンパクトに形成でき、結合部位の部品点数を抑えて構造を簡略化することができる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば高周波信号用の伝送線路と導波管とを結合するのに好適に用いられる線路・導波管変換装置並びにアンテナ装置、送受信装置及び無線装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、線路・導波管変換装置は、例えばストリップ線路、マイクロストリップ線路、コプレーナ線路、スロット線路等の伝送線路と、導波管とを変換、結合する装置として知られている(例えば、特許文献1,2,3参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平11−261312号公報
【特許文献2】
特開2000−151225号公報
【特許文献3】
特開2000−232305号公報
【0004】
この種の従来技術による線路・導波管変換装置は、誘電体材料により形成された基板と、該基板に設けられ一定の長さ方向に伸びた線状導体を有する伝送線路と、該伝送線路の端部側から管状に伸びて形成され該伝送線路との間で高周波信号を伝送する導波管とを備えている。
【0005】
ここで、特許文献1に記載された従来技術では、基板にコプレーナ線路を設け、その端部側を覆う位置で基板に対して垂直に導波管を取付けることにより、コプレーナ線路と導波管とを直交状態で配置し、両者を結合する構成としている。
【0006】
また、特許文献2に記載された従来技術では、ストリップ線路の端部側と導波管とを平行に重ね合わせた状態で配置し、これらが重なり合う部分にスロットを設けることにより、このスロットを用いてストリップ線路と導波管とを結合する構成としている。
【0007】
また、特許文献3に記載された従来技術では、誘電体ストリップを収容した導波管に対して同軸線路を結合するときに、両者の中心軸をずらして配置することにより、これらを良好な状態で結合する構成としている。
【0008】
さらに、他の従来技術として、マイクロストリップ線路と矩形状の導波管との間をリッジ導波管によって結合する構成としたものもある。この場合、リッジ導波管内には、金属片等からなるリッジ部が設けられている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した特許文献1の従来技術では、基板に対して垂直に導波管を取付ける構成としているため、装置全体が垂直方向に大型化し、伝送線路と導波管とをコンパクトに結合するのが難しいという問題がある。しかも、この従来技術では、コプレーナ線路の長さ方向(信号の伝送方向)と、導波管による信号の伝送方向とを直交させる必要があるため、伝送回路のレイアウト等に制約が生じ、その設計が難しくなる。
【0010】
また、特許文献2の従来技術では、ストリップ線路と導波管とを重ね合わせた状態で配置する構成としている。このため、装置全体の厚さがストリップ線路と垂直な方向に大きくなり、装置の薄型化が難しいという問題がある。
【0011】
また、特許文献3の従来技術では、導波管と同軸線路とを良好な状態で結合するために両者の中心軸をずらして配置する構成としている。このため、導波管と同軸線路の位置関係に制約が生じ、伝送回路のレイアウト設計が難しくなる。
【0012】
さらに、他の従来技術では、伝送線路と導波管とをリッジ導波管によって結合する構成としているため、これらの結合部位が大型化するだけでなく、リッジ部によって信号伝送時の損失が増大し、性能が低下するという問題がある。
【0013】
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、本発明の目的は、簡単な構造によって伝送線路と導波管とを低損失な状態で結合でき、装置全体を小型化できると共に、結合部位の設計自由度を高め、性能を向上できるようにした線路・導波管変換装置並びにアンテナ装置、送受信装置及び無線装置を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決するために本発明は、誘電体材料により形成された基板と、該基板に設けられ一定の長さ方向に伸びた線状導体を有する伝送線路と、該伝送線路の端部側から管状に伸びて形成され該伝送線路との間で高周波信号を伝送する導波管とを備えてなる線路・導波管変換装置に適用される。
【0015】
そして、請求項1の発明が採用する構成の特徴は、伝送線路の線状導体と導波管とは直線状に並べて伸長させる構成とし、基板には、前記線状導体の端部側から直線状に伸びて前記導波管内に挿入される挿入線路部と、該挿入線路部の先端側に位置して該挿入線路部と直交する方向に伸長し前記伝送線路と導波管とを磁界結合する磁界結合部とを設ける構成としたことにある。
【0016】
このように構成することにより、例えば伝送線路から導波管に向けて高周波信号を伝送するときには、伝送線路を伝わる高周波信号の磁界の方向を磁界結合部によって直交方向に変化させることができ、これによって伝送線路側(励振側)の磁界を導波管側(被励振側)の磁界に一致させることができる。このため、伝送線路側の高周波信号により導波管を効率よく励振でき、これらを良好に結合することができる。また、導波管を励振側とし、伝送線路を被励振側とした場合も同様に、導波管から伝送線路への信号伝送を効率よく行うことができる。
【0017】
また、請求項2の発明によると、磁界結合部は挿入線路部に直接接続して結合された共振器により形成する構成としている。これにより、磁界結合部は、励振側の磁界を被励振側の磁界に一致させた状態で高周波信号を共振させることができ、導波管の励振効率を高めることができる。
【0018】
また、請求項3の発明によると、磁界結合部は挿入線路部にギャップを介して結合された共振器により形成する構成としている。これにより、磁界結合部は、高周波信号を共振させて導波管の励振効率を高めることができる。また、伝送線路と導波管との結合状態(結合量)をギャップの寸法に応じて調整することができる。
【0019】
また、請求項4の発明によると、基板には、磁界結合部の近傍に位置して1個または複数個の共振器を設ける構成としている。これにより、例えば共振器の長さや磁界結合部との間隔等を変更することにより、伝送信号の周波数(共振周波数)を調整したり、これを広帯域化することができる。
【0020】
さらに、請求項5の発明によると、基板には、伝送線路または挿入線路部に位置して前記伝送線路と導波管との間のインピーダンスを整合するインピーダンス整合部を設ける構成としている。
【0021】
これにより、例えばインピーダンス整合部の形状、寸法、配置等に応じて伝送線路のインピーダンスを調整でき、伝送線路と導波管とのインピーダンスを整合することができる。
【0022】
一方、請求項6の発明に係るアンテナ装置は、請求項1ないし5のいずれかに記載の線路・導波管変換装置を含んで形成され、無線信号の送信または受信を行う構成としている。これにより、線路・導波管変換装置を用いてアンテナ装置を構成することができる。
【0023】
また、請求項7の発明に係る送受信装置は、請求項1ないし5のいずれかに記載の線路・導波管変換装置を含んで形成され、無線の送信信号または受信信号の信号処理を行う構成としている。
【0024】
さらに、請求項8の発明に係る無線装置は、請求項1ないし5のいずれかに記載の線路・導波管変換装置を含んで形成され、無線信号の送信および受信を行うアンテナ装置と、前記無線信号の信号処理を行う送受信装置とを備える構成としている。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態による線路・導波管変換装置並びにアンテナ装置、送受信装置及び無線装置を、添付図面を参照して詳細に説明する。
【0026】
ここで、図1ないし図6は第1の実施の形態を示し、本実施の形態では、例えばグランディドコプレーナ線路と導波管とを結合、変換する線路・導波管変換装置を例に挙げて述べる。
【0027】
1は線路・導波管変換装置で、該線路・導波管変換装置1は、図1、図2に示す如く、後述の基板2、伝送線路3、導波管6、挿入線路部8、磁界結合部9等を含んで構成されている。
【0028】
2は例えば誘電体材料等により形成された基板で、該基板2は、図1中で互いに直交するX軸、Y軸およびZ軸のうち、例えばX軸とY軸とに沿って伸びる平板状に形成され、Z軸方向に厚さを有している。
【0029】
3は基板2に設けられた伝送線路で、該伝送線路3は、図2ないし図4に示す如く、例えば複数の金属膜等によりグランディドコプレーナ線路として形成され、例えばマイクロ波、ミリ波等の周波数帯に属する高周波信号をY軸方向に沿って伝送するものである。
【0030】
ここで、伝送線路3は、基板2の表面側に設けられ信号の伝送方向(Y軸方向)を長さ方向として直線状に伸びた線状導体としての中心導体3Aと、該中心導体3Aの幅方向(X軸方向)の両側に離間して設けられた左,右の接地導体3B,3Bと、基板2の裏面側に設けられた他の接地導体3C等とにより構成されている。
【0031】
そして、中心導体3Aは後述する導波管6の外部に配置され、その端部側には導波管6内に挿入される挿入線路部8が設けられている。また、中心導体3Aと各接地導体3Bとの間には、所定寸法の間隔3Dが設けられている。また、接地導体3B,3Cは、基板2に設けられた複数のスルーホール4によって互いに接続され、グランドに接地されている。
【0032】
また、各接地導体3B,3Cには、導波管6内となる部位に略四角形状の接地導体切取部3Eがそれぞれ設けられ、該各接地導体切取部3Eの位置では基板2の表面,裏面が露出している。さらに、基板2の表面側には、中心導体3Aを覆って伸びる金属製のシールドケース5が設けられている。
【0033】
6は例えば断面四角形状の金属管等により形成された導波管で、該導波管6は、その端部側が基板2を表面と裏面とから挟むように配置されている。これらの位置で基板2は少なくとも接地導体3Cに接続されている。そして、導波管6は、伝送線路3の中心導体3AとY軸方向に直線状に並んで伸長し、この方向に高周波信号を伝送するものである。
【0034】
ここで、導波管6は、後述の結合構造部7を図1中の上,下方向および左,右方向から取囲むように配置される四辺の側面板6Aと、基板2の表面側で導波管6の端面を閉塞する位置に設けられ、シールドケース5の端部に接続された端面板6Bと、基板2の裏面側に位置して導波管6の端面を閉塞する他の端面板6Cとにより構成されている。
【0035】
また、各側面板6Aのうち左,右方向で対向する2枚の側面板6Aには、例えば基板2が嵌合して取付けられる切欠き6Dが設けられている。そして、導波管6は、結合構造部7を介して伝送線路3と結合され、該伝送線路3との間で高周波信号を双方向に伝送する構成となっている。
【0036】
7は伝送線路3と導波管6とを磁界結合する結合構造部で、該結合構造部7は、図2、図4に示す如く、例えば略L字状のサスペンデッド線路として接地導体切取部3Eの位置で基板2に設けられ、導波管6内に配置されている。また、結合構造部7は、後述の挿入線路部8と磁界結合部9とにより構成され、これらは金属膜等により伝送線路3の導体3A,3Bと一緒に形成されている。
【0037】
8は伝送線路3の中心導体3Aの端部側に接続された挿入線路部で、該挿入線路部8は、中心導体3Aの端部側からY軸方向に直線状に伸長し、導波管6内に挿入されると共に、その先端側には磁界結合部9が接続されている。
【0038】
9は導波管6内に位置して基板2に設けられた磁界結合部で、該磁界結合部9は、挿入線路部8の先端側からL字状をなすように直角に屈曲して形成され、挿入線路部8と直交するX軸方向に伸びている。そして、磁界結合部9は、図2に示す如く、伝送線路3および導波管6の長さ方向(即ち、高周波信号の伝送方向)と直交して配置され、後述の如く高周波信号の磁界の方向を直交方向に変化させることにより、伝送線路3と導波管6とを高い結合性をもって磁界結合するものである。
【0039】
これにより、例えば伝送線路3から導波管6に向けて高周波信号が伝播するときには、図5に示す如く、中心導体3Aの位置でY軸と垂直な方向をもつ励振側の磁界が、磁界結合部9によってX軸と垂直な方向の磁界に変化し、被励振側となる導波管6内の磁界と一致するようになる。この結果、磁界結合部9は、伝送線路3と導波管6とを損失を抑えた良好な状態で結合できるものである。
【0040】
また、磁界結合部9のX軸方向の長さLは、所望の周波数帯の高周波信号が基板2に沿って伝播するときの基板2内の波長λgを用いて、下記数1の式を満たすように予め設定されている。
【0041】
【数1】
Figure 2005012362
【0042】
即ち、磁界結合部9は、波長λgの高周波信号(またはn次の高調波)を共振させる共振器として形成されている。この場合、次数nは、例えば基板2の誘電率、導波管6の寸法等により決定することができる。この次数nが奇数である場合には、磁界結合部9の先端側を短絡状態とし、次数nが偶数である場合には、磁界結合部9の先端側を開放状態に保持する構成とすればよい。
【0043】
これにより、磁界結合部9の位置で励振側の磁界を共振状態に保持でき、この磁界と一致した被励振側の磁界を効率よく励振することができるから、伝送線路3と導波管6の結合性を高めることができる。
【0044】
また、磁界結合部9の中心位置は、導波管6内の磁界分布が最大となる端面板6B,6Cの位置からY軸方向に所定の離間寸法Dだけ離れた位置に配設され、この離間寸法Dは、波長λgと整数m(m=0,1,2,…)とを用いて、下記数2の式を満たすように設定されている。
【0045】
【数2】
Figure 2005012362
【0046】
これにより、導波管6内の磁界分布と、磁界結合部9による磁界分布との位置を合わせることができ、磁界結合部9を導波管6に対して最も結合し易い位置に配設することができる。
【0047】
このように構成された線路・導波管変換装置1について、信号伝送時の電磁界の挙動をシミュレーションすると、図6に示すようになった。このシミュレーションでは、実際の線路・導波管変換装置1の各部位とほぼ等しい寸法、定数等を採用することにより、例えば磁界結合部9の長さL、離間寸法DをそれぞれL=0.655mm、D=0.35mmとし、基板2の比誘電率εrをεr=10として演算している。また、図4中に示す導波管6のX軸方向の幅W、Z軸方向の高さHおよび基板2の厚さtは、例えばW=1.27mm、H=2.54mm、t=0.2mmとしている。
【0048】
そして、図6から判るように、線路・導波管変換装置1は、例えば76.5GHz程度の周波数をほぼ中央値として、約3GHz(75〜78GHz)程度の広い周波数帯Aにわたって反射損失(反射係数S11)を20dB以下の低い値に抑制でき、高い結合性をもつ広帯域な変換装置1を実現することができる。
【0049】
しかも、結合構造部7のY軸方向の全長(≒接地導体切取部3Eの長さ)Sは、図2に示す如く、例えば0.4〜0.6mm程度の小さな寸法に形成でき、またZ軸方向に対しては伝送線路3と同じ厚さに形成することができる。
【0050】
本実施の形態による線路・導波管変換装置1は上述の如き構成を有するもので、次にその作動について説明する。
【0051】
まず、例えば波長λgの高周波信号が伝送線路3から導波管6に伝播するときには、伝送線路3を伝わる信号の磁界の方向が磁界結合部9によってこれと直交する方向に変化し、導波管6内の磁界と一致するようになる。
【0052】
そして、この信号は、導波管6内の磁界分布に対して位置合わせされた磁界結合部9の位置で共振状態となるため、磁界結合部9によって導波管6内の磁界を効率よく励振でき、高周波信号を伝送線路3から導波管6へと低損失な状態で伝送することができる。これと同様に、導波管6から伝送線路3へと高周波信号を伝送する場合にも、損失を抑えて良好な伝送状態を実現することができる。
【0053】
かくして、本実施の形態によれば、伝送線路3の中心導体3Aと導波管6とをY軸方向に直線状に並べて配置し、中心導体3Aの端部側には、挿入線路部7と磁界結合部8とからなるL字状の結合構造部7を設ける構成としたので、励振側の磁界を磁界結合部9によって直交方向に変化させることができる。
【0054】
そして、伝送線路3側の磁界と導波管6内の磁界とが互いに直交する位置関係となった状態でも、磁界結合部9により励振側の磁界を被励振側の磁界と一致させることができ、伝送線路3と導波管6とを良好に結合することができる。
【0055】
従って、伝送線路3と導波管6とを直線状に配置することにより、これらを特に厚さ方向(Z軸方向)に対して薄型でコンパクトに結合でき、装置全体を小型化することができる。そして、磁界結合部9によって信号の伝送効率を高めることができ、小型でも高性能の変換装置1を実現することができる。
【0056】
また、従来技術のように導波管6を基板2と垂直に配置したり、中心導体3Aと導波管6の中心位置をずらして配置する制約等がないから、これらのレイアウトが容易となり、設計自由度を高めることができる。また、リッジ導波管やスロット等を用いることによる信号伝送時の損失増大も避けることができる。
【0057】
また、結合構造部7は、例えば金属膜等を形成する汎用的な形成手段により、簡単な形状の線路として伝送線路3と一緒に形成できるから、線路・導波管変換装置1を効率よく製造することができ、その部品点数を抑えて構造を簡略化することができる。
【0058】
さらに、磁界結合部9の長さLや離間寸法Dが前記数1,数2の式を満たす構成とすることにより、信号伝送時の励振効率を高めることができ、変換装置1を広い周波数帯で低損失化して性能を向上させることができる。
【0059】
次に、図7は本発明による第2の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、挿入線路部に共振器を直接接続して設ける構成としたことにある。なお、本実施の形態では第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0060】
11は線路・導波管変換装置で、該線路・導波管変換装置11は、第1の実施の形態とほぼ同様に、基板2、伝送線路3、導波管6と、後述の挿入線路部13、磁界結合部14とを含んで構成されている。
【0061】
12は導波管6内に位置して基板2に設けられた結合構造部で、該結合構造部12は、第1の実施の形態とほぼ同様に、例えば金属膜等によりサスペンデッド線路として形成され、挿入線路部13、磁界結合部14とにより構成されている。しかし、本実施の形態では、結合構造部12を全体としてT字状に形成しているものである。
【0062】
13は伝送線路3の中心導体3Aの端部側に接続された挿入線路部で、該挿入線路部13は、中心導体3Aの端部側からY軸方向に直線状に伸長し、導波管6内に挿入されている。
【0063】
14は挿入線路部13の先端側に設けられた磁界結合部で、該磁界結合部14は、挿入線路部13と直交するX軸方向に直線状に伸びて形成され、その長さ方向の途中部位(例えば、ほぼ中間部位)が挿入線路部13と接続されている。
【0064】
また、磁界結合部14は、挿入線路部13を介して中心導体3Aの端部側に直接接続されることにより、中心導体3Aと結合(タップ結合)された共振器として形成されている。そして、磁界結合部14は、第1の実施の形態とほぼ同様に、例えば伝送信号の波長λgのn/4倍となるX軸方向の長さL′をもって形成され、導波管6の端面板6B,6CからY軸方向に離間寸法Dだけ離れた位置に設定されている。
【0065】
かくして、このように構成される本実施の形態でも、第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。特に、本実施の形態では、結合構造部12をT字状に構成したので、磁界結合部14の長さ方向に対して挿入線路部13(中心導体3A)を結合する位置を長さL′の範囲内で変更することができる。
【0066】
従って、これらの結合位置に応じて磁界結合部14における信号の共振状態や伝送線路3と導波管6との結合状態を容易に調整できるから、設計自由度を高めることができる。
【0067】
次に、図8は本発明による第3の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、挿入線路部にギャップを介して共振器を結合する構成としたことにある。なお、本実施の形態では第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0068】
21は線路・導波管変換装置で、該線路・導波管変換装置21は、第1の実施の形態とほぼ同様に、基板2、伝送線路3、導波管6と、後述の挿入線路部23、磁界結合部24とを含んで構成されている。
【0069】
22は導波管6内に位置して基板2に設けられた結合構造部で、該結合構造部22は、第2の実施の形態とほぼ同様に、中心導体3Aの端部側に接続されてY軸方向に伸びた直線状の挿入線路部23と、該挿入線路部23の先端側に設けられ、X軸方向に直線状に伸びた磁界結合部24とにより構成されている。
【0070】
しかし、磁界結合部24は、挿入線路部23の先端側にY軸方向のギャップGを介して配置され、このギャップGを介して中心導体3Aと結合(ギャップ結合)されている。また、磁界結合部24は、例えば伝送信号の波長λgのn/4倍となるX軸方向の長さL′をもつ共振器として形成され、導波管6の端面板6B,6CからY軸方向に離間寸法Dだけ離れた位置に設定されている。
【0071】
かくして、このように構成される本実施の形態でも、第1,第2の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。特に、本実施の形態では、磁界結合部24を伝送線路3とギャップ結合する構成としたので、ギャップGの寸法に応じて伝送線路3と導波管6との結合状態(結合量)を容易に調整でき、広帯域に適合した線路・導波管変換装置21を実現できると共に、設計自由度を高めることができる。
【0072】
次に、図9は本発明による第4の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、磁界結合部の近傍に位置して1個または複数個の共振器を設ける構成としたことにある。なお、本実施の形態では第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0073】
31は線路・導波管変換装置で、該線路・導波管変換装置31は、第1の実施の形態とほぼ同様に、基板2、伝送線路3、導波管6と、後述の挿入線路部33、磁界結合部34とを含んで構成されている。しかし、磁界結合部34の近傍には、後述の共振器35が設けられている。
【0074】
32は導波管6内に位置して基板2に設けられた結合構造部で、該結合構造部32は、第1の実施の形態とほぼ同様に、中心導体3Aの端部側に接続されてY軸方向に伸びた直線状の挿入線路部33と、該挿入線路部33の先端側にL字状に屈曲して設けられ、所定の長さL1をもってX軸方向に直線状に伸びた磁界結合部34とにより構成されている。
【0075】
35は磁界結合部34の近傍に位置して基板2に設けられた1個または複数個の共振器(本実施の形態では1個の場合を例示)で、該共振器35は、例えば金属膜等により伝送線路3、結合構造部32と一緒に形成されている。
【0076】
ここで、共振器35は、磁界結合部34の長さL1と異なる所定の長さL2をもってX軸方向に伸長し(L1≠L2)、磁界結合部34とY軸方向の間隔をもって平行に配置されている。そして、共振器35は、磁界結合部34と協働して高周波信号を共振状態とすることにより、伝送線路3と導波管6との間の結合状態を調整するものである。
【0077】
かくして、このように構成される本実施の形態でも、第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。特に、本実施の形態では、磁界結合部34の近傍に1個または複数個の共振器35を設ける構成としたので、磁界結合部34と共振器35の長さL1,L2や間隔等を変更することにより、伝送信号の周波数(共振周波数)を適切に調整することができる。
【0078】
また、共振器35の長さL2を磁界結合部34の長さL1と別個に変更できるから、これらの共振周波数を異ならしめることができ、小型でも広帯域に適合した線路・導波管変換装置31を実現することができる。
【0079】
次に、図10は本発明による第5の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、伝送線路の接地導体にインピーダンス整合部となる切欠き部を設ける構成としたことにある。なお、本実施の形態では第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0080】
41は線路・導波管変換装置で、該線路・導波管変換装置41は、第1の実施の形態とほぼ同様に、基板2、伝送線路3′、導波管6、挿入線路部8、磁界結合部9等を含んで構成され、伝送線路3′は、中心導体3A′、接地導体3B′、間隔3D′、接地導体切取部3E′等を有している。しかし、接地導体3B′には、後述の切欠き凹部42が設けられている。
【0081】
42は伝送線路3′の端部側に位置して各接地導体3B′に設けられたインピーダンス整合部としての切欠き凹部で、該各切欠き凹部42は、例えば接地導体3B′のうち中心導体3A′と接地導体切取部3E′とに隣接した部位を四角形状に切取った形状を有している。
【0082】
このため、中心導体3A′と接地導体3B′との間の間隔は、切欠き凹部42に対応した部位の間隔寸法D1が他の部位の間隔寸法D2よりも大きくなっている(D1>D2)。また、切欠き凹部42のY軸方向の長さL3は、例えば伝送信号の波長λgの1/4と等しく形成されている(L3=λg/4)。
【0083】
そして、切欠き凹部42のインピーダンスは、例えば間隔寸法D1を大きくすることにより増大し、伝送線路3′と導波管6との間でインピーダンスを整合させるものである。
【0084】
かくして、このように構成される本実施の形態でも、第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。特に、本実施の形態では、切欠き凹部42を設けることにより、その間隔寸法D1、長さL3等に応じて伝送線路3′のインピーダンスを容易に調整でき、伝送線路3′と導波管6とのインピーダンス整合を高い精度で効率よく行うことができる。また、切欠き凹部42によって線路・導波管変換装置41の反射特性をより向上させることができ、低損失で広帯域型の装置を構成することができる。
【0085】
次に、図11は本発明による第6の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、伝送線路の線状導体にインピーダンス整合部となる細幅部を設ける構成としたことにある。なお、本実施の形態では第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0086】
51は線路・導波管変換装置で、該線路・導波管変換装置51は、第1の実施の形態とほぼ同様に、基板2、伝送線路3″、導波管6、挿入線路部8、磁界結合部9等を含んで構成され、伝送線路3″は、中心導体3A″、接地導体3B″、間隔3D″、接地導体切取部3E″等を有している。しかし、中心導体3A″の端部側には、後述の細幅部52が設けられている。
【0087】
52は中心導体3A″の端部側により構成されたインピーダンス整合部としての細幅部で、該細幅部52は、そのX軸方向の幅寸法W1が周囲の部位の幅寸法W2よりも細幅に形成されている。
【0088】
また、細幅部52のY軸方向の長さL4は、例えば伝送信号の波長λgの1/4と等しく設定されている(L4=λg/4)。そして、細幅部52のインピーダンスは、幅寸法W1を小さくすることにより増大する構成となっている。
【0089】
かくして、このように構成される本実施の形態でも、第1,第5の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。そして、本実施の形態では、細幅部52の幅寸法W1を調整してインピーダンス整合を容易に行うことができる。
【0090】
次に、図12は本発明による第7の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、挿入線路部にインピーダンス整合部となる細幅部を設ける構成としたことにある。なお、本実施の形態では第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0091】
61は線路・導波管変換装置で、該線路・導波管変換装置61は、第1の実施の形態とほぼ同様に、基板2、伝送線路3、導波管6と、後述の挿入線路部63、磁界結合部64とを含んで構成されている。
【0092】
62は導波管6内に位置して基板2に設けられた結合構造部で、該結合構造部62は、第1の実施の形態とほぼ同様に、中心導体3Aの端部側に接続されてY軸方向に伸びた直線状の挿入線路部63と、該挿入線路部63の先端側にL字状に屈曲して設けられ、X軸方向に直線状に伸びた磁界結合部64とにより構成されている。
【0093】
ここで、挿入線路部63は、その幅寸法W3が磁界結合部64の幅寸法W4よりも小さく形成され(W4>W3)、幅寸法W3に応じて伝送線路3と導波管6との間でインピーダンスを整合するインピーダンス整合部となっている。
【0094】
かくして、このように構成される本実施の形態でも、第1,第5,第6の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができ、挿入線路部63の幅寸法W3を調整してインピーダンス整合を容易に行うことができる。
【0095】
次に、図13および図14は本発明による第8の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、線路・導波管変換装置を無線装置のアンテナ装置、送受信装置に適用したことにある。なお、本実施の形態では第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0096】
71は無線装置としてのレーダ装置で、該レーダ装置71は、後述のセクタアンテナ装置72、発振器76、送受信装置77等により構成され、これらはセクタアンテナ装置72のケーシング73内に一体化されている。
【0097】
72はセクタアンテナ装置で、該セクタアンテナ装置72は、図13、図14に示す如く、ケーシング73と、該ケーシング73内に設けられた複数個のホーンアンテナ74と、該各ホーンアンテナ74と送受信装置77との間に切換可能に設けられた切換スイッチ75とを含んで構成されている。
【0098】
ここで、各ホーンアンテナ74は、例えば矩形状の導波管等により形成され、互いに異なる方向に向けて開口している。また、切換スイッチ75は、各ホーンアンテナ74のうちいずれか1個のアンテナを送受信装置77と接続し、この接続動作を個々のアンテナ74に対して順次実行する。これにより、送受信装置77と接続されたホーンアンテナ74は、発振器76からの高周波信号を無線の送信信号(送信波)として当該アンテナ74の開口方向に送信し、周囲の障害物等に反射して戻ってきた反射波を受信信号として受信する。
【0099】
76は送受信装置77等を介して切換スイッチ75と接続された発振器で、該発振器76は、各ホーンアンテナ74のうち切換スイッチ75を介して送受信装置77と接続されたアンテナ74に高周波信号を供給するものである。
【0100】
77は送信波と受信波の信号処理を行う送受信装置で、該送受信装置77は、切換スイッチ75と発振器76との間に設けられ、増幅器78、サーキュレータ79、分岐カップラ80、ミキサ81等を含んで構成されている。
【0101】
そして、増幅器78とサーキュレータ79とは、切換スイッチ75と発振器76との間に接続され、発振器76から出力される高周波信号を電力増幅して切換スイッチ75側に供給している。また、分岐カップラ80は、増幅器78とサーキュレータ79との間に設けられ、増幅器78により増幅された信号を分岐してミキサ81に供給している。
【0102】
また、ミキサ81は、サーキュレータ79を介して切換スイッチ75に接続されると共に、分岐カップラ80に接続されている。これにより、ミキサ81は、各ホーンアンテナ74により受信した受信信号を発振器76の高周波信号を用いて中間周波信号IFにダウンコンバートするものである。
【0103】
そして、レーダ装置71の作動時には、各ホーンアンテナ74によりレーダ動作が順次実行されると、個々のアンテナ74から送受信装置77に障害物の有無等に応じた反射波が入力され、これらの反射波は送受信装置77によりダウンコンバートされた後に外部の制御回路(図示せず)等に出力される。これにより、制御回路は、各ホーンアンテナ74を用いてそれぞれ異なる方向で障害物等を検知することができる。
【0104】
ここで、レーダ装置71の回路構造について述べると、切換スイッチ75は、例えば伝送線路(図示せず)が設けられた単一の基板上に回路ブロックとして形成されている。また、増幅器78、分岐カップラ80およびミキサ81も同様に、例えば単一の基板上に回路ブロック82として形成され、さらに発振器76とサーキュレータ79も同様に、それぞれ別個の基板上に回路ブロックとして形成されている。
【0105】
そして、切換スイッチ75とサーキュレータ79との間には、これらの伝送線路を接続する導波管83が設けられ、サーキュレータ79と回路ブロック82の間、回路ブロック82と発振器76との間にも、それぞれ導波管83が設けられている。
【0106】
84はレーダ装置71のセクタアンテナ装置72と送受信装置77とに設けられた複数の線路・導波管変換装置で、該各線路・導波管変換装置84は、第1ないし第7の実施の形態による線路・導波管変換装置1,11,21,31,41,51,61のいずれかを用いて構成されている。
【0107】
そして、線路・導波管変換装置84は、導波管からなる各ホーンアンテナ74に対して切換スイッチ75の伝送線路を結合(変換)すると共に、各導波管83に対して切換スイッチ75、発振器76、サーキュレータ79および回路ブロック82の伝送線路をそれぞれ結合している。
【0108】
かくして、このように構成される本実施の形態でも、第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。特に、本実施の形態では、線路・導波管変換装置84をレーダ装置71に適用したので、切換スイッチ75、発振器76、サーキュレータ79および回路ブロック82の間を各導波管83によって接続することができる。そして、これら4つの回路ブロックの伝送線路と導波管83との間や、切換スイッチ75の伝送線路と各ホーンアンテナ74との間を線路・導波管変換装置84により高い結合性をもって安定的に結合することができる。
【0109】
これにより、例えばワイヤボンディング等の接続手段を用いて各回路ブロック間を接続する必要がなくなり、ワイヤの抵抗やインダクタンスのばらつき等により回路特性が変動するのを防止することができる。そして、導波管83と変換装置84とによって送信波、受信波等を低損失な状態で伝送でき、レーダ装置71の送信および受信性能を高めることができる。
【0110】
しかも、線路・導波管変換装置84を用いることにより、各回路ブロックに設けられた平面状の伝送線路と導波管83とを安定した状態でコンパクトに結合でき、小型で広帯域なセクタアンテナ装置72と送受信装置77とを実現することができる。また、ホーンアンテナ74や導波管スロットアレイ等からなる導波管系のアンテナに対しても、平面状の伝送線路を備えた切換スイッチ75等を変換装置84により簡単かつコンパクトな構造で結合することができる。
【0111】
なお、前記各実施の形態では、伝送線路3,3′,3″の幅方向の中心位置と導波管6の中心位置とをほぼ一致させた状態で図示した。しかし、本発明はこれに限らず、これらの中心位置を互いにずらして配置する構成としてもよい。
【0112】
また、第2,第3の実施の形態では、挿入線路部13,23を磁界結合部14,24の長さ方向のほぼ中間位置に配置する構成とした。しかし、本発明はこれに限らず、挿入線路部は、磁界結合部の長さ範囲内でいずれの位置に配設してもよいものである。
【0113】
また、第4の実施の形態では、磁界結合部34の近傍に1個または複数個の共振器を設ける構成とし、例えば1個の共振器35を配設した場合を図示した。しかし、本発明はこの図面に限定されるものではなく、磁界結合部の近傍に2個以上の共振器を設ける構成としてもよい。
【0114】
また、実施の形態では、グランディドコプレーナ線路からなる伝送線路3,3′,3″を用いる構成とした。しかし、本発明はこれに限らず、例えばストリップ線路、マイクロストリップ線路、コプレーナ線路等を含めて各種の伝送線路に適用してもよい。
【0115】
さらに、本発明では、第8の実施の形態として、線路・導波管変換装置84をレーダ装置71のセクタアンテナ装置72と送受信装置77に適用する場合を例に挙げて述べた。しかし、本発明の線路・導波管変換装置はこれに限らず、無線通信以外の各種の高周波回路等にも適用できるのは勿論である。
【0116】
【発明の効果】
以上詳述した通り、請求項1の発明によれば、伝送線路の線状導体と導波管とを直線状に並べて伸長させる構成とし、基板には、導波管内に挿入される挿入線路部と、該挿入線路部と直交する方向に伸びた磁界結合部とを設ける構成としたので、伝送線路と導波管とを直線状に並べた状態でも、簡単な形状の磁界結合部等によって伝送線路と導波管とを良好に結合でき、これらの間で高周波信号を効率よく伝送することができる。従って、伝送線路と導波管とを薄型でコンパクトに結合でき、小型で高性能の変換装置を実現することができる。また、伝送線路と導波管との位置関係に従来技術のような制約がないので、これらのレイアウトが容易となり、設計自由度を高めることができる。
【0117】
また、請求項2の発明によれば、磁界結合部は、挿入線路部に直接接続して結合された共振器により形成する構成としたので、磁界結合部の位置で励振側の磁界を共振状態に保持でき、この磁界と一致した被励振側の磁界を効率よく励振できると共に、これによって伝送線路と導波管の結合性を高めることができる。
【0118】
また、請求項3の発明によれば、磁界結合部は、挿入線路部にギャップを介して結合された共振器により形成する構成としたので、磁界を共振状態とすることにより伝送線路と導波管の結合性を高めることができる。また、ギャップの寸法に応じて伝送線路と導波管との結合量を容易に調整でき、広帯域に適合した線路・導波管変換装置を実現できると共に、設計自由度を高めることができる。
【0119】
また、請求項4の発明によれば、磁界結合部の近傍には1個または複数個の共振器を設ける構成としたので、例えば共振器の長さや磁界結合部との間隔等を変更することにより、伝送信号の周波数(共振周波数)を適切に調整したり、共振器毎に異なる共振周波数を設定でき、小型でも広帯域に適合した線路・導波管変換装置を実現することができる。
【0120】
さらに、請求項5の発明によれば、基板には、伝送線路または挿入線路部に位置してインピーダンス整合部を設ける構成としたので、例えばインピーダンス整合部の形状、寸法、配置等に応じて伝送線路と導波管とのインピーダンスを高い精度で効率よく整合でき、変換装置の性能を高めることができる。また、インピーダンス整合部によって変換装置の反射特性をより向上させることができ、低損失で広帯域型の装置を構成することができる。
【0121】
一方、請求項6の発明によれば、線路・導波管変換装置を用いてアンテナ装置を構成したので、例えばアンテナ装置の各回路ブロック間を線路・導波管変換装置によって安定的に結合でき、ワイヤボンディング等の手段を用いる必要がなくなり、アンテナ装置の回路特性を安定させて送信および受信性能を高めることができる。また、線路・導波管変換装置を用いることにより、小型で広帯域なアンテナ装置を実現することができる。
【0122】
また、請求項7の発明によれば、線路・導波管変換装置を用いて送受信装置を構成したので、例えば送受信装置の各回路ブロック間を線路・導波管変換装置によって安定的に結合でき、装置の性能を高めることができる。また、小型で広帯域な送受信装置を実現することができる。
【0123】
さらに、請求項8の発明によれば、線路・導波管変換装置を用いて無線装置を構成したので、無線装置の回路ブロック間を線路・導波管変換装置によって安定的に結合でき、小型で高性能の無線装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態による線路・導波管変換装置を示す斜視図である。
【図2】図1の変換装置を示す一部破断の正面図である。
【図3】図2中の矢示III−III方向からみた断面図である。
【図4】図2中の矢示IV−IV方向からみた断面図である。
【図5】磁界結合部により高周波信号の磁界が変化する状態を示す説明図である。
【図6】磁界結合部による信号の反射係数と透過係数の周波数特性を示す特性線図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態による線路・導波管変換装置を示す一部破断の正面図である。
【図8】本発明の第3の実施の形態による線路・導波管変換装置を示す一部破断の正面図である。
【図9】本発明の第4の実施の形態による線路・導波管変換装置を示す一部破断の正面図である。
【図10】本発明の第5の実施の形態による線路・導波管変換装置を示す一部破断の正面図である。
【図11】本発明の第6の実施の形態による線路・導波管変換装置を示す一部破断の正面図である。
【図12】本発明の第7の実施の形態による線路・導波管変換装置を示す一部破断の正面図である。
【図13】本発明に係るレーダ装置を第8の実施の形態として示す斜視図である。
【図14】図13のレーダ装置のアンテナ装置、送受信装置等を示す回路図である。
【符号の説明】
1,11,21,31,41,51,61,84 線路・導波管変換装置
2 基板
3,3′,3″ 伝送線路
3A,3A′,3A″ 中心導体(線状導体)
3B,3B′,3B″,3C 接地導体
3D,3D′,3D″ 間隔
3E,3E′,3E″ 接地導体切取部
4 スルーホール
5 シールドケース
6,83 導波管
6A 側面板
6B,6C 端面板
6D 切欠き
7,12,22,32,62 結合構造部
8,13,23,33 挿入線路部
9,14,24,34,64 磁界結合部
35 共振器
42 切欠き凹部(インピーダンス調整部)
52 細幅部(インピーダンス調整部)
63 挿入線路部(インピーダンス調整部)
71 レーダ装置(無線装置)
72 セクタアンテナ装置(アンテナ装置)
77 送受信装置
G ギャップ

Claims (8)

  1. 誘電体材料により形成された基板と、該基板に設けられ一定の長さ方向に伸びた線状導体を有する伝送線路と、該伝送線路の端部側から管状に伸びて形成され該伝送線路との間で高周波信号を伝送する導波管とを備えてなる線路・導波管変換装置において、
    前記伝送線路の線状導体と前記導波管とは直線状に並べて伸長させる構成とし、前記基板には、前記線状導体の端部側から直線状に伸びて前記導波管内に挿入される挿入線路部と、該挿入線路部の先端側に位置して該挿入線路部と直交する方向に伸長し前記伝送線路と導波管とを磁界結合する磁界結合部とを設ける構成としたことを特徴とする線路・導波管変換装置。
  2. 前記磁界結合部は前記挿入線路部に直接接続して結合された共振器により形成してなる請求項1に記載の線路・導波管変換装置。
  3. 前記磁界結合部は前記挿入線路部にギャップを介して結合された共振器により形成してなる請求項1に記載の線路・導波管変換装置。
  4. 前記基板には、前記磁界結合部の近傍に位置して1個または複数個の共振器を設けてなる請求項1,2または3に記載の線路・導波管変換装置。
  5. 前記基板には、前記伝送線路または挿入線路部に位置して前記伝送線路と導波管との間のインピーダンスを整合するインピーダンス整合部を設けてなる請求項1,2,3または4に記載の線路・導波管変換装置。
  6. 請求項1ないし5のいずれかに記載の線路・導波管変換装置を含んで形成され、無線信号の送信または受信を行う構成としたアンテナ装置。
  7. 請求項1ないし5のいずれかに記載の線路・導波管変換装置を含んで形成され、無線の送信信号または受信信号の信号処理を行う構成とした送受信装置。
  8. 請求項1ないし5のいずれかに記載の線路・導波管変換装置を含んで形成され、無線信号の送信および受信を行うアンテナ装置と、前記無線信号の信号処理を行う送受信装置とを備える構成とした無線装置。
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