JP2005011668A - Electrochemical element - Google Patents
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Abstract
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、リフロー法による表面実装が可能で有り、有機電解液を用いた電気化学素子に関し、特に高温環境下での長期保存時に高い信頼性を発揮する電気化学素子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一次及び二次電池、キャパシタといった電気化学素子は、一対の電極がセパレータを介して対向配置された素子ユニットを構成しており、素子ユニットをハウジング部材に収容している。そして、ハウジング部材は電極端子を兼ねる正負極の各ケース、及びこれらケースの間に介在し、両者を電気的に絶縁するガスケットから構成されている。
【0003】
電気化学素子は、特に偏平形状のハウジング部材を用いたコイン形状の電気化学素子は、時計の駆動用電源や各種メモリ機能のバックアップ電源を主用途としている。これらの用途では、放電のみが可能な一次電池が大多数であったが、環境意識の高まりから充放電が可能な二次電池やキャパシタを採用する機器が急増しており、連続充電された状態で使用される。また、機器に使用される各部品素子の高密度実装、素子の小型化に対応し、小型化された電気化学素子を確実に基板へ実装する必要が生じている。このため、リフロー法による自動ハンダ実装を採用し、電気化学素子を基板上へ表面実装する方法が主流となっている。
【0004】
近年、環境面における種々の課題から製品に使用されるハンダは、鉛フリー化を大きな潮流としており、この流れのなかで鉛フリーハンダに対応した部品の開発は不可欠である。一般的な表面実装では、生産性の観点から、ハンダおよび接続リード端子を取りつけた電気化学素子を基板上に載置した状態とし、リフロー炉内を通過させる方法(リフロー法)が採用されている。
【0005】
従来の錫―鉛含有共晶ハンダ(融点:186℃程度)では、端子温度が210℃〜240℃になるように設定し、ハンダを溶融させてリード端子と基板とを接続していた。鉛フリーハンダは、従来のハンダに比べて高融点になっており、主流である錫―銀―銅系(融点:220℃程度)では、端子の温度を240〜260℃に高めて、ハンダを溶融させる必要がある。よって、鉛フリーハンダを使用するリフロー法では、従来のリフロー法に比較してリフロー炉内で一層の高温環境下に曝されることになる。このような現況に鑑み、電気化学素子を含めた表面実装部品は、耐熱性の向上と高信頼性の維持が要求されており、鉛フリーハンダでのリフローに対応可能な部品の開発が急務とされている。
【0006】
電気化学素子のケースは、素子ユニットの正負極の何れか一方の電極を兼ねており、各ケースを絶縁し、且つ内蔵する素子ユニットを液密に収容するために樹脂製ガスケットを配している。このガスケットは、素子ユニットと同様に高温環境下の熱影響を受けやすい。特にガスケットは、ケースの嵌合部分において外面に露出しており、リフロー炉内の高温環境下に直接晒され、最も熱による影響を部位となり、機能の低下、すなわちガスケット部分における液密性、気密性の低下を招き、電気化学素子としての信頼性を大きく損ねる虞がある。そこで、リフロー行程の高温環境下での熱影響を排除し、ガスケットの耐熱性を向上させる種々の提案がなされている。
【0007】
特許文献1はガスケット材として耐熱樹脂であるポリフェニレンサルファイドを適用することを提案しており、リフロー工程後においてもガスケット特性の悪化を呈さないことを開示している。同時に、この特許文献1は、高温環境下であってもガスケットの形状を安定化させるために、ガラス繊維等のフイラーを添加してもよいことが開示されている。
【0008】
特許文献2は、ガスケットの耐熱樹脂であるポリフェニレンサルファイドやポリエーテルエーテルケトンに、チタン酸カリウム繊維を添加することが開示されている。
【0009】
【特許文献1】
特開2000−40525号公報
【特許文献2】
特開2002−75302号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献1、2等に開示された耐熱性を有するガスケットは、リフロー法による実装を前提とした電池に適用され、実用化されている。この種の電気化学素子では、リフロー法により表面実装した場合に、ガスケットの耐熱性向上により、リフロー炉の通過による直接的な漏液、すなわちガスケットの変形に起因する漏液等の発生は認められない。前記の耐熱性向上は、ガラスやチタン酸カリウムを添加することで、高温環境下でも樹脂の形状を保持し、熱による軟化、及び変形を生じ難くすること作用によるものである。
【0011】
一方、電気化学素子が実装された製品や基板を使用、あるいは放置した場合、電気化学素子に電気的特性の悪化が認められる。前記の特性悪化は、リフロー工程の直後に発生するものでなく、経時により発生が認められ、かつその発生頻度も長期間になるほど高まるものである。このため、製造工程内において不具合の発生を検出することが非常に困難である。さらに、機器や基板に装着された状態にて電気的特性の悪化を生じ、電気化学素子としての機能を果たさない虞もあることから、機器の信頼性までも損ねてしまう。
【0012】
本発明は、上記従来の電気化学素子に認められた問題点を解決するものであり、リフロー法等の高温環境下に晒した状態で表面実装を実施する電気化学素子において、ガスケットの変形等に起因する漏液の発生を防止すると共に、信頼性を向上させることを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明者らは、リフロー工程における電気化学素子への熱的な影響を解析し、更に長期保存後に電気的特性の悪化を呈した電気化学素子の状態を検証し、長期信頼性の向上と耐熱性の向上を両立するガスケットを鋭意検討した。そして、これら検討による知見に基づき、本発明は至ったものである。
【0014】
本発明の電気化学素子は、有機電解液を含む発電要素を、正負極ケースがガスケットを介して絶縁されるハウジング部材に収容した構造を有してなり、前記ガスケットが、260℃以上の融点を有する耐熱樹脂と、ホウ酸マグネシウムとを含む樹脂組成物であること特徴とする。そして、この電気化学素子は、耐漏液性能とリフロー工程後においても高い信頼性を有しており、電気的特性の悪化も招かないものである。
【0015】
上記の検討において、本発明者らはガスケットの充填材であるガラスやチタン酸カリウムに着目して、漏液の発生作用を検証した。この検証で、充填材に含まれるカリウムやナトリウムが漏液の発生に影響を与えていることを見いだした。これらカリウムやナトリウムは、リフロー通過後に電解液中へアルカリ金属イオンとして溶出し、イオンの状態で電極材料との反応を生じることで、電気化学素子の容量低下を発生している。さらに、副反応として電解液の分解も生じさせ、電気化学素子の内部抵抗の上昇も招いてしまう。よって、電気化学素子は、電極材料と溶出したアルカリ金属イオンとの反応、および前記反応の副反応により、長期信頼性を著しく損ねており、電解液中へのアルカリ金属イオンの溶出を制限することで、容量低下および内部抵抗の上昇を抑制できるものである。
【0016】
特に、メモリのバックアップ、あるいは補助電源としての用途に供される電気化学素子では、通常は充電状態とされ、連続充電された状態にて使用されることから、電解液中に溶出したアルカリ金属イオンは、電気化学素子の極板表面上に析出してしまうことから、電極材料との反応を助長し、容量の低下率が大きくなる可能性を有している。
【0017】
しかしながら、本発明のガスケットにおいて、充填材として使用したホウ酸マグネシウムは、電解液中へのアルカリ金属イオンの溶出を生じないことから、長期の保存後においても内部抵抗の上昇、容量の低下を発生しないものである。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施形態について説明する。
【0019】
本願の請求項1に記載の発明は、有機電解液を含む発電要素を、正負極ケースがガスケットを介して絶縁されるハウジング部材に収容した構造を有してなり、前記ガスケットが、260℃以上の融点を有する耐熱樹脂と、ホウ酸マグネシウムとを含む樹脂組成物であること特徴とする。
【0020】
ホウ酸マグネシウムは、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウムをはじめとするアルミニウムの無機物や、アルコキシド等の有機物のアルミニウム源と、ホウ素無機化合物(酸化ホウ素などの酸化物)のホウ素源を高温で熱処理することで得られ、電気化学素子へ悪影響を及ぼすアルカリ金属化合物をほとんど含んでいない。また、ホウ酸マグネシウムは耐薬品性に優れており、リフロー等の高温雰囲気下に晒された場合でも、有機電解液に対して安定に存在する。本実施形態に係る電気化学素子は、ホウ酸アルミウムを充填材とすることで、リフロー通過時の優れた耐漏液性能と、電気的特性の維持安定性を実現することができる。
【0021】
本実施形態における電気化学素子の代表例は、コイン形状のハウジング部材に素子ユニットを収容した有機電解液電池やキャパシタであり、図1に示すような形状、構成を有する。また、素子ユニットは、正負極がセパレータを介して対向配置されたものであり、キャパシタ、有機電解液電池等の適用用途に応じて正負極の材料を選択可能である。
【0022】
正極としては、3V程度の電位を有する電極材料が好適に使用され、リチウム含有マンガン複合酸化物、二酸化マンガン、五酸化バナジウム、五酸化ニオブ、三酸化モリブデン、コバルト酸リチウム、ニッケル酸リチウム、コバルトニッケル複合リチウム化合物などの遷移金属、金属カルコゲン化合物、弗化黒鉛、弗化マンガンなどの弗化物、活性炭、ポリアセンなどの有機化合物の少なくとも1種を使用できる。一方、負極としては、金属リチウム、リチウムアルミニウム合金、リチウム珪素合金、リチウム錫合金などのリチウム合金、リチウムを吸蔵放出可能なSiO2、SnOを含む酸化物ガラス、リチウムチタン酸化物、二酸化タングステン、ポリアセン、カーボン、活性炭を含む炭素材料の少なくとも1種を使用できる。
【0023】
また、請求項2に記載の発明は、ホウ酸マグネシウムとして繊維状のものを使用しており、形状が繊維径0.5〜2.0μm、繊維長10〜50μmの範囲にあることを特徴とする。前記の繊維状ホウ酸マグネシウムは、繊維径が非常に小さく、繊維長も短いことから、ベースとなる260℃以上の融点を有する耐熱樹脂の高分子マトリックに均一に取りこまれやすく、複合樹脂の耐熱性と機械強度を向上させることが可能である。
【0024】
さらに、請求項3に記載の発明は、ホウ酸マグネシウムが樹脂組成物全体中に占める割合を5〜40質量%とすることに特徴を有し、より好ましく前記範囲をより好ましくは10〜30%とする。ホウ酸マグネシウムの割合が5質量%を下回った場合、ホウ酸マグネシウムの補強効果自身はあまり変わらないが、ガスケットの寸法精度の低下や成型時にバリが発生し、ガスケット自身の性能低下を来してしまう。また、40質量%を上回る場合、ガスケットの伸びが低下し、機械的強度が上昇することから、ガスケットを所定の寸法まで圧縮することができず、生産性の悪化、および封口性能の悪化も招いてしまう。この状態では、液漏れには至らないが、電解液の蒸発や水分の浸入により信頼性を若干低下させてしまう。さらに、封口時にガスケットクラックが発生する虞もあり、漏液発生の要因となりうる。
【0025】
一方、請求項4に記載の発明は、前記260℃以上の融点を有する耐熱樹脂が、ポリフェニレンスルフイド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、液晶ポリマー(LCP)、ペルフルオロアルコキシルアルカンポリマー(PFA)であることを特徴とする。
【0026】
リフロー炉の温度条件は、鉛を含有するハンダの場合のピーク最高温度が230℃〜240℃で、鉛フリーハンダでの場合にはピーク最高温度が250℃〜260℃である。上記条件に耐えうる樹脂材料としては、少なくとも260℃以上の融点を有する耐熱樹脂であり、より好ましくは280℃以上の耐熱樹脂である。本実施形態における耐熱性樹脂は、鉛フリーハンダを用いたリフロー工程でも適用可能な材料が好適である。上記の材料は、何れも280℃以上の融点を有しており、具体的にはポリフェニレンスルフイドの融点が285℃、同ポリエーテルエーテルケトン(融点:334℃)、ペルフルオロアルコキシルアルカンポリマー(融点:310℃)である。
【0027】
請求項5に記載の発明は、前記有機電解液の溶媒がスルホラン、テトラグライムの少なくとも一種類を含むことを特徴とする。上述のようにリフロー炉のピーク最高温度が250℃〜260℃までなり、電気化学素子の内部の温度はリフロー炉内部の温度まで上昇しないとはいえ、ほぼ同等の温度に到達する可能性がある。素子内部では内圧が上昇する為、有機電解液の沸点は上昇することから、沸点が200℃程度にあるガンマブチルラクトン(GBL)、同240℃程度のプロピレンカーボネート(PC)でも溶媒として可能である。より好ましくは、高沸点溶媒であるスルホラン(沸点287℃)、テトラグライム(沸点275℃)は高温での安定性に優れており、リフロー後の電気化学素子の高信頼性を確立することができる。
【0028】
以上の構成とすることにより、リフロー実装時の耐漏液性および長期信頼性において優れた特性を有する電気化学素子を提供できる。
【0029】
【実施例】
以下、本発明の好ましい実施例について説明する。本実施例では、電気化学素子としてコイン形状のハウジング部材に素子ユニットを収納した有機電解液電池(以下、コイン型有機電解液電池)について説明するが、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0030】
(実施例1)
図1は、本発明の実施例及び比較例で作製した厚さ1.4mm、直径4.8mmのコイン型有機電解液電池の断面図である。図1において、発電要素を収容するコイン型の電池容器は、耐食性に優れたステンレス鋼からなる正極缶1と、同様にステンレス鋼の負極缶2、及び正極缶1と負極缶2とを絶縁する機能に加え、物理的に発電要素を液蜜的に電池容器内に密閉するための機能を有している。
【0031】
正極缶1と負極缶2との間に介在されるガスケット3には、ポリフェニレンサルファイド(PPS)ポリエーテルエーテルケトン(以下、PEEK)に充填材として0.5〜1.0μmの繊維径と10〜30μmの繊維長のホウ酸アルミニウムを20%と充填した樹脂を使用した。このガスケット3と正極缶1及び負極缶2とガスケット3との間にブチルゴムをトルエンで希釈した溶液を塗布し、トルエンを蒸発させることによりブチルゴム膜からなるシーラント8とした。
【0032】
正極4は、活物質であるマンガン酸リチウムに導電剤としてカーボンブラック及び結着剤としてフッ素樹脂粉末を混合し、直径2mm、厚さ0.9mmのペレット状に成型した後、250℃中で12時間乾燥したものである。得られたペレット状の正極材料は、正極缶1の内面にカーボン塗料を塗布することで形成された正極集電体7に接触するようにしてある。一方、負極5は、アルミニウムを直径2.5mm、厚さ0.2mmの円盤状に打ち抜き、負極缶2の内側にリチウム金属のシートをこのアルミニウム表面に圧着してある。電池組み立て時に、電解液を注入することによりリチウムとアルミニウムがショートした状態になり、電気化学的にリチウムがアルミニウム金属中に吸蔵される。この反応により得られたリチウムアルミニウム合金を負極5とした。また、正極4と負極5との間に配されるセパレータ6には、ポリフェニレンサルファイド(PPS)を使用した。さらに電解液には、リチウム塩を溶質としてスルホランを用いた。電池容器に添付される体積で3μlが充填されている。このようにして得られた電池を、本実施例1に係る電池Aとした。
【0033】
ガスケット3にポリフェニレンサルファイド(PPS)に上記ホウ酸マグネシウムを同量充填したものを使用した。他の構成は実施例1における電池Aと同一の構成とした電池Bを作製した。
【0034】
ガスケット3に液晶ポリマー(LCP)に上記ホウ酸マグネシウムを同量充填したものを使用した。他の構成は実施例1における電池Aと同一の構成とした電池Cを作製した。また、ガスケット3にぺルフルオロアルコキシルアルカンポリマー(PFA)に上記ホウ酸マグネシウムを同量充填したものを使用した。他の構成は実施例1における電池Aと同一の構成とした電池Dを作製した。さらにまた、有機電解液の溶媒をスルホランからテトラグライムに変更した以外は電池Aと同一の構成とした電池Eを作製した。
【0035】
(比較例)
比較例として、ガスケット3に充填材として0.3〜0.6μmの繊維径と10〜20μmの平均繊維長のチタン酸カリウムを20%と充填したPPS樹脂を使用した。他の構成は実施例1における電池Aと同一の構成とした電池Fを作製した。
【0036】
ガスケット3に充填材として10μmの平均繊維径と260μmの平均繊維長のガラス繊維を20%と充填したPPS樹脂を使用した。他の構成は実施例1における電池Aと同一の構成とした電池Gを作製した。
【0037】
得られた実施例1〜4の電池A、B、C、Dと比較例1、2の電池E、Fについて、高周波加熱式リフロー炉中を通過させ、耐高温環境特性試験を行った。各電池が通過するリフロー炉内部の温度プロファイルは以下の通りである。この温度プロファイルにおいて、各温度はリフロー炉内部の温度であり、各電池が晒される環境温度である。
【0038】
余熱行程:180℃にて2分間、加熱行程:180℃、250℃、180℃にて各々30秒間、冷却工程:リフロー炉通過後、室温に至るまで自然冷却、とする。
【0039】
上記のリフロー工程を2回通過させた後、漏液の発生状況について検査を行った。その後、バックアップ用電源に求められる最も重要な性能である連続充電特性について、60℃の雰囲気下で3.1Vの電圧を約100日間連続印加した時の内部抵抗変化と容量維持率を調べた。容量維持率は初期の3.1V充電後の放電容量を100として算出した。(表1)にリフロー炉通過後の漏液の発生状況と連続充電特性の結果を示す。
【0040】
【表1】
【0041】
実施例の電池A〜D及び比較電池E,Fはリフロー通過後に漏液しておらず、充填材の影響はみられない。リフロー後の連続充電特性の結果から、ホウ酸アルミニウムを含む電池A〜Eについては容量維持率が90%以上であるのに対して、ガラスを充填材とする電池F及びチタン酸カリウムを充填材とする電池Gでは容量維持率が60%(電池F:58%、電池G:50%)を下回る値にまで低下しており、劣化率が大きくなった。ガラスやチタン酸カリウムからナトリウムやカリウムなどのアルカリ金属物がリフロー通過中または連続充電時に有機電解液中に溶解して、負極のリチウムアルミニウムと反応して、電池反応に必要なリチウムを消費してしまったのが原因である。ホウ酸マグネシウムについては溶媒種に関わらず非常に安定であり、ガスケットの充填材として優れた性能を示す。
【0042】
(実施例2)
充填材であるホウ酸マグネシウムの充填量を0〜50質量%の範囲で充填したPEEK樹脂からなるガスケットを用いて電池A、H〜Mを作製し、実施例1と同様にリフロー炉を通過させて漏液性能について調べた。この結果を(表2)に示す。尚、本実施例におけるホウ酸マグネシウムの充填量は、下記表の通りである。
【0043】
【表2】
【0044】
ガスケットにおけるホウ酸マグネシウムをまったく含有していないPEEKでは、リフロー通過後に漏液が発生している。これは、ガスケット自身の耐熱性が低い為である。また、本実施例の場合には充填量が3%の電池Iでは、充填による効果が確実に発揮されておらず、僅か1個ではあるが漏液の発生を認めた。
【0045】
一方、ホウ酸マグネシウムの充填量が5〜40質量%の範囲において漏液は見られず、ホウ酸マグネシウムの充填によるガスケットの耐熱性向上によるものである。充填量が50質量%で2個の液漏れが認められた。ホウ酸マグネシウムの充填量が40質量%を超えると、ガスケットの強度が上昇し、封口時に精度の悪化を招いている。このため、本実施例では精度面で問題の無い電池が作成の完成を確認した後、本実施例に供している。さらに50質量%の電池では、リフロー後に漏液を発生している。これは伸びが非常に小さい為にカシメ封口時にガスケットに微細なクラックが入っており、このクラックを通じて漏液が発生したと推察できる。よって、ガスケットの成型安定性及び、カシメ封口時におけるガスケットのクラック及びリフロー通過時の熱安定性からホウ酸マグネシウムの充填量は5〜40%が好ましい。
【0046】
尚、本発明の実施例は、充電式のマンガンリチウム二次電池の場合を例に述べたが、例えば、二次電池については正極に五酸化ニオブ、三酸化モリブデン、負極にリチウムアルミ合金、一酸化ケイ素、チタン酸リチウム等を用いた、有機電解液ニ次電池、有機電解液一次電池などの電池システム、または活性炭を用いた電気二重層キャパシタやポリアセンを用いたキャパシタなどの電気化学素子に適用してもマンガンリチウム二次電池と同様に優れた性能を得られるものである。
【0047】
【発明の効果】
本発明は、充填材としてホウ酸マグネシウムを用いることでガスケットの耐熱性を高め、リフロー後の耐漏液性能および信頼性に優れた電気化学素子を提供できる。さらに、昨今の環境対応で主流となっている鉛フリーハンダを用いたリフロー法でも実装が可能となり、その工業的価値は極めて高い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るコイン形状を有する電気化学素子の断面図
【符号の説明】
1 正極缶
2 封口板
3 ガスケット
4 正極
5 負極
6 セパレータ
7 正極集電体[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to an electrochemical element that can be surface-mounted by a reflow method and uses an organic electrolyte, and more particularly to an electrochemical element that exhibits high reliability during long-term storage in a high-temperature environment.
[0002]
[Prior art]
Electrochemical elements such as primary and secondary batteries and capacitors constitute an element unit in which a pair of electrodes are arranged to face each other via a separator, and the element unit is accommodated in a housing member. The housing member includes positive and negative cases that also serve as electrode terminals, and a gasket that is interposed between the cases and electrically insulates the two cases.
[0003]
The electrochemical element, in particular, a coin-shaped electrochemical element using a flat housing member, mainly uses a power source for driving a watch and a backup power source for various memory functions. In these applications, the majority of primary batteries can only be discharged, but due to increasing environmental awareness, the number of secondary batteries and capacitors that can be charged / discharged is rapidly increasing and the battery is continuously charged. Used in. In addition, in response to high-density mounting of each component element used in equipment and miniaturization of the element, it is necessary to securely mount the miniaturized electrochemical element on the substrate. For this reason, the method of adopting automatic solder mounting by the reflow method and surface mounting the electrochemical element on the substrate has become the mainstream.
[0004]
In recent years, lead-free solder has been used in products due to various environmental issues. In this trend, the development of components that support lead-free solder is indispensable. In general surface mounting, from the viewpoint of productivity, a method (reflow method) is adopted in which an electrochemical element with solder and connecting lead terminals is placed on a substrate and passed through a reflow furnace. .
[0005]
In conventional tin-lead-containing eutectic solder (melting point: about 186 ° C.), the terminal temperature is set to be 210 ° C. to 240 ° C., and the solder is melted to connect the lead terminal and the substrate. Lead-free solder has a higher melting point than conventional solder, and in the mainstream tin-silver-copper system (melting point: about 220 ° C), the temperature of the terminal is increased to 240-260 ° C, and solder is used. Must be melted. Therefore, the reflow method using lead-free solder is exposed to a higher temperature environment in the reflow furnace as compared with the conventional reflow method. In view of this situation, surface mount components including electrochemical devices are required to have improved heat resistance and maintain high reliability, and there is an urgent need to develop components that can handle reflow with lead-free solder. Has been.
[0006]
The case of the electrochemical element also serves as one of the positive and negative electrodes of the element unit, and is provided with a resin gasket to insulate each case and accommodate the built-in element unit in a liquid-tight manner. . This gasket is easily affected by heat in a high-temperature environment like the element unit. In particular, the gasket is exposed on the outer surface of the mating part of the case, and is directly exposed to the high temperature environment in the reflow furnace, becoming the most affected by heat, resulting in functional degradation, that is, liquid-tightness and airtightness in the gasket part. The reliability of the electrochemical device may be greatly impaired. Therefore, various proposals have been made to eliminate the heat effect of the reflow process in a high temperature environment and improve the heat resistance of the gasket.
[0007]
Patent Document 1 proposes to apply polyphenylene sulfide, which is a heat-resistant resin, as a gasket material, and discloses that the gasket characteristics are not deteriorated even after the reflow process. At the same time, Patent Document 1 discloses that a filler such as glass fiber may be added to stabilize the shape of the gasket even in a high temperature environment.
[0008]
[0009]
[Patent Document 1]
JP 2000-40525 A [Patent Document 2]
Japanese Patent Laid-Open No. 2002-75302
[Problems to be solved by the invention]
The gasket having heat resistance disclosed in
[0011]
On the other hand, when a product or a substrate on which an electrochemical element is mounted is used or left, the electrochemical element is found to deteriorate in electrical characteristics. The above-mentioned deterioration of characteristics does not occur immediately after the reflow process, but occurs as time passes, and the frequency of occurrence increases as the period increases. For this reason, it is very difficult to detect the occurrence of defects in the manufacturing process. Furthermore, since the electrical characteristics are deteriorated in a state of being mounted on a device or a substrate, there is a possibility that the function as an electrochemical element may not be performed, so that the reliability of the device is also lost.
[0012]
The present invention solves the problems found in the above-mentioned conventional electrochemical elements, and in an electrochemical element that is surface-mounted in a state exposed to a high-temperature environment such as a reflow method, the gasket is deformed. The purpose is to prevent the occurrence of leaking liquid and improve reliability.
[0013]
[Means for Solving the Problems]
In order to achieve the above object, the present inventors analyzed the thermal effect on the electrochemical device in the reflow process, and further verified the state of the electrochemical device that exhibited a deterioration in electrical characteristics after long-term storage. We have intensively studied gaskets that achieve both long-term reliability and heat resistance. And based on the knowledge by these studies, the present invention has been achieved.
[0014]
The electrochemical device of the present invention has a structure in which a power generation element containing an organic electrolyte is housed in a housing member whose positive and negative electrode cases are insulated via a gasket, and the gasket has a melting point of 260 ° C. or higher. It is characterized by being a resin composition containing the heat resistant resin and magnesium borate. And this electrochemical element has high reliability even after liquid-proof performance and a reflow process, and does not cause deterioration of an electrical property.
[0015]
In the above examination, the present inventors have focused on glass and potassium titanate, which are gasket fillers, and verified the occurrence of leakage. In this verification, we found that potassium and sodium contained in the filler had an effect on the occurrence of leakage. These potassium and sodium are eluted as alkali metal ions into the electrolytic solution after passing through reflow, and cause a reaction with the electrode material in the state of ions, resulting in a decrease in capacity of the electrochemical element. Further, the electrolyte solution is decomposed as a side reaction, and the internal resistance of the electrochemical element is increased. Therefore, the electrochemical element significantly impairs long-term reliability due to the reaction between the electrode material and the eluted alkali metal ions and the side reaction of the reaction, and limits the elution of alkali metal ions into the electrolyte. Thus, a decrease in capacity and an increase in internal resistance can be suppressed.
[0016]
In particular, an electrochemical element used for memory backup or as an auxiliary power source is usually in a charged state and used in a continuously charged state, so that alkali metal ions eluted in the electrolyte solution are used. Since it precipitates on the surface of the electrode plate of the electrochemical device, it promotes the reaction with the electrode material and has a possibility of increasing the rate of decrease in capacity.
[0017]
However, in the gasket of the present invention, the magnesium borate used as a filler does not cause elution of alkali metal ions into the electrolyte, resulting in an increase in internal resistance and a decrease in capacity even after long-term storage. It is something that does not.
[0018]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
Hereinafter, preferred embodiments of the present invention will be described.
[0019]
Invention of Claim 1 of this application has the structure which accommodated the electric power generation element containing organic electrolyte in the housing member in which a positive-negative electrode case is insulated via a gasket, and the said gasket is 260 degreeC or more It is the resin composition containing the heat resistant resin which has the melting | fusing point of, and magnesium borate.
[0020]
Magnesium borate is obtained by heat-treating an aluminum source such as aluminum hydroxide and aluminum oxide, an organic aluminum source such as an alkoxide, and a boron source of an inorganic boron compound (oxide such as boron oxide) at a high temperature. It is obtained and contains almost no alkali metal compound that adversely affects the electrochemical device. Magnesium borate has excellent chemical resistance, and even when exposed to a high temperature atmosphere such as reflow, it is stably present with respect to the organic electrolyte. The electrochemical element according to the present embodiment can achieve excellent leakage resistance performance during reflow and maintenance stability of electrical characteristics by using aluminum borate as a filler.
[0021]
A typical example of the electrochemical element in the present embodiment is an organic electrolyte battery or a capacitor in which an element unit is accommodated in a coin-shaped housing member, and has a shape and configuration as shown in FIG. Further, the element unit has positive and negative electrodes arranged opposite to each other with a separator interposed therebetween, and a material for positive and negative electrodes can be selected according to application applications such as a capacitor and an organic electrolyte battery.
[0022]
As the positive electrode, an electrode material having a potential of about 3 V is preferably used. Lithium-containing manganese composite oxide, manganese dioxide, vanadium pentoxide, niobium pentoxide, molybdenum trioxide, lithium cobaltate, lithium nickelate, cobalt nickel At least one of transition metals such as composite lithium compounds, metal chalcogen compounds, fluorides such as graphite fluoride and manganese fluoride, and organic compounds such as activated carbon and polyacene can be used. On the other hand, as the negative electrode, metallic lithium, lithium aluminum alloy, lithium silicon alloy, lithium tin alloy and other lithium alloys, SiO 2 capable of occluding and releasing lithium, oxide glass containing SnO, lithium titanium oxide, tungsten dioxide, polyacene At least one of carbon materials including carbon and activated carbon can be used.
[0023]
Further, the invention described in
[0024]
Furthermore, the invention described in
[0025]
On the other hand, in the invention described in
[0026]
As for the temperature condition of the reflow furnace, the peak maximum temperature in the case of solder containing lead is 230 ° C. to 240 ° C., and the peak maximum temperature in the case of lead free solder is 250 ° C. to 260 ° C. The resin material that can withstand the above conditions is a heat resistant resin having a melting point of at least 260 ° C., more preferably a heat resistant resin of 280 ° C. or higher. The heat resistant resin in the present embodiment is preferably a material that can be applied even in a reflow process using lead-free solder. Each of the above materials has a melting point of 280 ° C. or higher. Specifically, polyphenylene sulfide has a melting point of 285 ° C., polyether ether ketone (melting point: 334 ° C.), perfluoroalkoxyl alkane polymer (melting point). : 310 ° C).
[0027]
The invention according to
[0028]
By setting it as the above structure, the electrochemical element which has the characteristic outstanding in the liquid-proof property at the time of reflow mounting and long-term reliability can be provided.
[0029]
【Example】
Hereinafter, preferred embodiments of the present invention will be described. In this example, an organic electrolyte battery (hereinafter referred to as a coin-type organic electrolyte battery) in which an element unit is housed in a coin-shaped housing member as an electrochemical element will be described. However, the technical scope of the present invention is not limited. Absent.
[0030]
(Example 1)
FIG. 1 is a cross-sectional view of a coin-type organic electrolyte battery having a thickness of 1.4 mm and a diameter of 4.8 mm manufactured in Examples and Comparative Examples of the present invention. In FIG. 1, a coin-type battery container that houses a power generation element insulates a positive electrode can 1 made of stainless steel having excellent corrosion resistance, a stainless steel negative electrode can 2, and a positive electrode can 1 and a negative electrode can 2. In addition to the function, it has a function to physically seal the power generation element in the battery container.
[0031]
The
[0032]
The
[0033]
The
[0034]
The
[0035]
(Comparative example)
As a comparative example, a PPS resin in which 20% of potassium titanate having a fiber diameter of 0.3 to 0.6 μm and an average fiber length of 10 to 20 μm was filled in the
[0036]
A PPS resin filled with 20% glass fiber having an average fiber diameter of 10 μm and an average fiber length of 260 μm was used as the filler for the
[0037]
The batteries A, B, C, and D of Examples 1 to 4 and the batteries E and F of Comparative Examples 1 and 2 were passed through a high-frequency heating reflow furnace, and a high temperature resistance environmental characteristic test was performed. The temperature profile inside the reflow furnace through which each battery passes is as follows. In this temperature profile, each temperature is a temperature inside the reflow furnace, and is an environmental temperature to which each battery is exposed.
[0038]
Preheating process: 180 ° C. for 2 minutes, heating process: 180 ° C., 250 ° C., and 180 ° C. for 30 seconds, cooling process: natural cooling to room temperature after passing through the reflow furnace.
[0039]
After passing through the above reflow process twice, the occurrence of leakage was inspected. Thereafter, regarding the continuous charging characteristics, which is the most important performance required for the backup power source, the internal resistance change and the capacity retention rate when a voltage of 3.1 V was continuously applied for about 100 days in an atmosphere of 60 ° C. were examined. The capacity retention rate was calculated with the discharge capacity after the initial 3.1V charge being 100. (Table 1) shows the state of occurrence of liquid leakage after passing through the reflow furnace and the results of continuous charging characteristics.
[0040]
[Table 1]
[0041]
The batteries A to D and the comparative batteries E and F of the examples are not leaked after passing through the reflow, and the influence of the filler is not observed. From the results of the continuous charge characteristics after reflow, the batteries A to E containing aluminum borate have a capacity retention rate of 90% or more, whereas the batteries F and potassium titanate are used as the filler. In the battery G, the capacity maintenance rate was lowered to a value lower than 60% (battery F: 58%, battery G: 50%), and the deterioration rate increased. Alkaline metal such as sodium or potassium from glass or potassium titanate dissolves in the organic electrolyte during reflow or during continuous charging, reacts with lithium aluminum of the negative electrode, and consumes lithium necessary for the battery reaction. The cause is Magnesium borate is very stable regardless of the solvent type, and exhibits excellent performance as a gasket filler.
[0042]
(Example 2)
Batteries A and H to M were prepared using gaskets made of PEEK resin filled with magnesium borate as a filler in the range of 0 to 50% by mass, and passed through a reflow furnace as in Example 1. The leakage performance was investigated. The results are shown in (Table 2). In addition, the filling amount of the magnesium borate in a present Example is as the following table | surface.
[0043]
[Table 2]
[0044]
In PEEK which does not contain any magnesium borate in the gasket, leakage occurs after reflow. This is because the heat resistance of the gasket itself is low. Further, in the case of this example, in the battery I having a filling amount of 3%, the effect of filling was not exhibited reliably, and the occurrence of liquid leakage was recognized although it was only one.
[0045]
On the other hand, no leakage was observed when the amount of magnesium borate was 5 to 40% by mass, and this was due to an improvement in the heat resistance of the gasket due to the magnesium borate filling. Two liquid leaks were observed at a filling amount of 50% by mass. When the filling amount of magnesium borate exceeds 40% by mass, the strength of the gasket is increased, and accuracy is deteriorated at the time of sealing. For this reason, in this example, after confirming the completion of the production of a battery having no problem in accuracy, it is used in this example. Furthermore, in a 50% by mass battery, leakage occurs after reflow. Since this is very small in elongation, it can be inferred that a fine crack is formed in the gasket when the caulking is sealed, and liquid leakage has occurred through this crack. Therefore, the filling amount of magnesium borate is preferably 5 to 40% from the molding stability of the gasket and the crack of the gasket at the time of caulking sealing and the thermal stability at the time of reflow passage.
[0046]
In the examples of the present invention, the case of a rechargeable manganese lithium secondary battery has been described as an example. For example, for a secondary battery, niobium pentoxide, molybdenum trioxide as a positive electrode, lithium aluminum alloy as a negative electrode, Applied to battery systems such as organic electrolyte secondary batteries and organic electrolyte primary batteries using silicon oxide, lithium titanate, etc., or electrochemical elements such as electric double layer capacitors using activated carbon and capacitors using polyacene Even so, excellent performance can be obtained in the same manner as the manganese lithium secondary battery.
[0047]
【The invention's effect】
The present invention can improve the heat resistance of a gasket by using magnesium borate as a filler, and can provide an electrochemical element excellent in leakage resistance performance and reliability after reflow. Furthermore, mounting is also possible by the reflow method using lead-free solder, which has become mainstream in recent environmental measures, and its industrial value is extremely high.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a cross-sectional view of an electrochemical device having a coin shape according to the present invention.
DESCRIPTION OF SYMBOLS 1 Positive electrode can 2
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