JP2005009583A - 一方向クラッチ内蔵型プーリ装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】プーリ2a及びスリーブ1aと各サポート軸受4、4との嵌合部でクリープの発生を防止して、耐久性の向上を図る。
【解決手段】プーリ2aの軸方向両端部内周面とスリーブ1aの軸方向両端部外周面とに、外径側凹部18、18と内径側凹部19、19とを、それぞれ設ける。これら各外径側凹部18、18の底面と各サポート軸受4、4を構成する軸受用外輪12、12の外周面との間、及び、上記各内径側凹部19、19の底面と各サポート軸受4、4を構成する軸受用内輪14、14の内周面との間に、熱可塑性樹脂と熱可塑性エラストマーとのうちの少なくとも何れかを含む材料から成るクリープ防止層20、20を設ける。この構成により、高温時でも上記各嵌合部でのクリープの発生を防止する。
【選択図】 図1
【解決手段】プーリ2aの軸方向両端部内周面とスリーブ1aの軸方向両端部外周面とに、外径側凹部18、18と内径側凹部19、19とを、それぞれ設ける。これら各外径側凹部18、18の底面と各サポート軸受4、4を構成する軸受用外輪12、12の外周面との間、及び、上記各内径側凹部19、19の底面と各サポート軸受4、4を構成する軸受用内輪14、14の内周面との間に、熱可塑性樹脂と熱可塑性エラストマーとのうちの少なくとも何れかを含む材料から成るクリープ防止層20、20を設ける。この構成により、高温時でも上記各嵌合部でのクリープの発生を防止する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明の一方向クラッチ内蔵型プーリ装置は、例えば、オルタネータ等の自動車用補機の回転軸や、アイドリングストップ車に搭載するエンジンのクランクシャフト又は補機駆動装置の回転軸等に装着して使用する。
【0002】
【従来の技術】
オルタネータ等の補機を駆動する為のプーリ装置として従来から、一方向クラッチ内蔵型プーリ装置を使用する事が一部で行なわれている。図9は、この一方向クラッチ内蔵型プーリ装置の従来構造の1例を示している。この一方向クラッチ内蔵型プーリ装置は、互いに同心に配置されたスリーブ1と、プーリ2とを備える。そして、これらスリーブ1の外周面とプーリ2の内周面との間に、一方向クラッチであるローラクラッチ3と、1対のサポート軸受4、4とを設けている。
【0003】
上記スリーブ1は、炭素鋼等の金属により全体を円筒状に形成しており、オルタネータ等の自動車用補機の回転軸に外嵌固定して、この回転軸と共に回転自在である。一方、上記プーリ2は、炭素鋼等の金属に鍛造加工等を施す事により、やはり全体を円筒状に形成しており、その外周面の幅方向に関する断面形状を波形として、ポリVベルトと呼ばれる無端ベルトの一部を掛け渡し自在としている。そして、上記スリーブ1の外周面と上記プーリ2の内周面との間に存在する円筒状空間の軸方向中間部に上記ローラクラッチ3を、同じくこの空間の軸方向両端部でこのローラクラッチ3を軸方向両側から挟む位置に上記各サポート軸受4、4を、それぞれ配置している。
【0004】
このうちのローラクラッチ3は、上記プーリ2が上記スリーブ1に対して所定方向に相対回転する傾向となる場合にのみ、これらプーリ2とスリーブ1との間での回転力の伝達を自在とする。この様なローラクラッチ3は、それぞれが軸受鋼等の硬質の金属製である、クラッチ用内輪5、クラッチ用外輪6、及び複数個のローラ7、7と、合成樹脂製のクラッチ用保持器8と、図示しないばねとから成る。このうちのクラッチ用内輪5は上記スリーブ1の中間部外周面に、上記クラッチ用外輪6は上記プーリ2の中間部内周面に、それぞれ締り嵌めで嵌合固定している。又、上記クラッチ用内輪5の中間部外周面を単なる円筒面とすると共に、上記クラッチ用外輪6の内周面をカム面9としている。即ち、このクラッチ用外輪6の内周面に、それぞれがランプ部と呼ばれる複数の凹部10、10を、円周方向に関し等間隔に形成して、このクラッチ用外輪6の内周面を上記カム面9としている。
【0005】
そして、このカム面9と上記クラッチ用内輪5の中間部外周面との間に、上記複数個のローラ7、7と、これら各ローラ7、7を転動並びに円周方向に関する若干の変位自在に支持する、上記クラッチ用保持器8とを設けている。このクラッチ用保持器8は、合成樹脂により全体を円環状に構成しており、その外周縁部を上記カム面9の凹部10、10と係合させる事で、上記クラッチ用外輪6に対する相対回転を阻止している。又、上記クラッチ用保持器8と上記各ローラ7、7との間には、これら各ローラ7、7を円周方向に関して同方向(上記各凹部10、10が浅くなる方向)に押圧する為の、図示しないばねを設けている。
【0006】
尚、上述の様なローラクラッチ3を構成する場合、上記円筒面と上記カム面9との径方向に関する配置は、上述した構造と逆にする場合もある。何れにしても、この様なローラクラッチ3の構造及び作用に就いては、従来から周知である為、これ以上の詳しい説明は省略する。
【0007】
又、前記1対のサポート軸受4、4は、上記プーリ2に加わるラジアル荷重を支承しつつ、このプーリ2と上記スリーブ1との相対回転を自在とする。この様な各サポート軸受4、4として、図示の例では、それぞれ深溝型の玉軸受を使用している。即ち、これら各サポート軸受4、4は、それぞれが軸受鋼等の金属製である、内周面に深溝型の外輪軌道11を有し、上記プーリ2の両端部に内嵌固定した軸受用外輪12と、外周面に深溝型の内輪軌道13を有し、上記スリーブ1の両端部に外嵌固定した軸受用内輪14と、これら外輪軌道11と内輪軌道13との間に転動自在に設けられた複数個の玉15、15とから成る。又、上記軸受用外輪12の内周面と上記軸受用内輪14の外周面との間に存在する、上記各玉15、15を設置した空間の両端開口部は、それぞれシールリング16、16により塞いでいる。これら各シールリング16、16により、上記各玉15、15を設置した空間内に封入したグリースが外部に漏洩するのを防止すると共に、この空間内に塵芥等の異物が侵入するのを防止している。そして、上記各軸受用内輪14を上記スリーブ1の軸方向両端部外周面に、上記各軸受用外輪12を上記プーリ2の軸方向両端部内周面に、それぞれ締り嵌めで嵌合固定している。又、上記各軸受用内輪14、14の軸方向内(軸方向に関して内とは、プーリ及びスリーブの軸方向中央側を言い、逆に、軸方向に関して外とは、プーリ及びスリーブの軸方向両端側を言う。本明細書全体で同じ。)端面を、上記スリーブ1の中間部外周面に形成した段差面17、17に突き当てる事により、これら各軸受用内輪14、14の軸方向の位置決めを図っている。
【0008】
上述の様に構成する一方向クラッチ内蔵型プーリ装置は、上記スリーブ1をオルタネータ等の補機の回転軸の端部に外嵌固定すると共に、上記プーリ2の外周面に無端ベルトを掛け渡す。この無端ベルトはエンジンのクランクシャフト等の端部に固定された駆動プーリに掛け渡され、この駆動プーリの回転により駆動する。この様な状態で組み付けられる一方向クラッチ内蔵型プーリ装置は、上記無端ベルトの走行速度が一定若しくは上昇傾向にある場合には、上記プーリ2から上記回転軸への回転力の伝達を自在とし、反対に上記無端ベルトの走行速度が低下傾向にある場合には、これらプーリ2と回転軸との相対回転を自在とする。この結果、上記クランクシャフトの回転角速度が変動した場合でも、上記無端ベルトと上記プーリ2とが擦れ合う事を防止して、鳴きと呼ばれる異音の発生や摩耗による無端ベルトの寿命低下を防止すると共に、オルタネータの発電効率が低下する事を防止する。
【0009】
又、上記一方向クラッチ内蔵型プーリ装置をエンジンのアイドルストップ時の補機駆動装置に利用する場合には、この一方向クラッチ内蔵型プーリ装置をエンジンのクランクシャフトや電動モータの駆動軸の端部に装着する。これにより、これらエンジンと電動モータとのうちの一方の装置が運転状態にあり、他方の装置が停止状態にある場合に、この一方の装置の回転軸から上記プーリ2への回転力の伝達を自在にすると共に、上記他方の装置の回転軸が回転しない様にする。
尚、本発明に関連する先行技術文献として、特許文献1が存在する。
【0010】
【特許文献1】
特許第2924221号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
上述した様な従来の一方向クラッチ内蔵型プーリ装置の場合には、各サポート軸受4、4を構成する軸受用外輪12、12、及び、ローラクラッチ3を構成するクラッチ用外輪6を、プーリ2の内周面に、各サポート軸受4、4を構成する軸受用内輪14、14、及び、ローラクラッチ3を構成するクラッチ用内輪5を、スリーブ1の外周面に、それぞれ締り嵌めで嵌合固定している。但し、当該嵌合部を構成する1対の構成部材同士は、組み込み性や構成部材の変形等の問題から、大きな締め代を持たせて嵌合固定する事は難しい。この為、上記プーリ2に作用する荷重の大きさ及び方向が変化した場合に、このプーリ2の内周面と上記各軸受用外輪12、12及びクラッチ用外輪6の外周面との嵌合部や、上記スリーブ1の外周面と上記各軸受用内輪14、14及びクラッチ用内輪5の内周面との嵌合部で、滑りながら相対回転する、所謂クリープが発生する可能性がある。特に、温度が上昇した場合には、当該嵌合部での締め代が小さくなり、クリープが生じ易くなる。そしてこの様なクリープが発生した場合には、当該嵌合部で、かじりや異常摩耗等の損傷が生じ易くなり、耐久性が低下する。
【0012】
又、上記各嵌合部では、金属同士が接触した状態となっている。この為、例えば、上記プーリ2の内周面又はスリーブ1の外周面が粗い場合に、これら各嵌合部に微小な隙間が生じる可能性がある。この様に微小な隙間が生じた場合には、一方向クラッチ内蔵型プーリ装置の内部に封入されたグリースが、この隙間を通じて、外部に漏出する可能性がある。そしてこの様にグリースが外部に漏出した場合には、一方向クラッチ内蔵型プーリ装置の耐久性が低下する。
【0013】
尚、特許文献1には、軸受を構成する外輪の外周面に設けた周溝に、所定の樹脂組成物をインサート成形すると共に、この樹脂組成物の一部をこの外輪の外周面から突出させた樹脂巻軸受が記載されているが、この樹脂巻軸受を一方向クラッチ内蔵型プーリ装置に組み込む事は考慮されていない。又、一方向クラッチ内蔵型プーリ装置を構成するプーリの内周面とスリーブの外周面との間に、上記樹脂巻軸受を組み付ける作業は面倒で、コストが嵩む原因となる。
本発明は、この様な事情に鑑みて、耐久性(信頼性)の向上を有効に図れる構造を実現すべく発明したものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明の一方向クラッチ内蔵型プーリ装置は、何れも筒状のプーリと、スリーブと、1対のサポート軸受と、一方向クラッチとを備える。
このうちのプーリは、外周面に無端ベルトを掛け渡し自在としている。
又、上記スリーブは、上記プーリの径方向内側に、このプーリと同心に配置されている。
又、上記各サポート軸受は、上記プーリの内周面と上記スリーブの外周面との間に設けられ、これらプーリとスリーブとの間に働くラジアル荷重を支承すると共に、これらプーリとスリーブとの相対回転を自在とする。
又、上記一方向クラッチは、上記プーリの内周面と上記スリーブの外周面との間で上記1対のサポート軸受により挟まれた部分に設けられ、これらプーリとスリーブとが所定方向に相対回転する傾向となる場合にのみ、これらプーリとスリーブとの間で回転力の伝達を自在とする。
【0015】
特に、本発明の一方向クラッチ内蔵型プーリ装置のうち、請求項1に記載した一方向クラッチ内蔵型プーリ装置に於いては、上記各サポート軸受のうちの少なくとも一方のサポート軸受を構成する軸受用外輪の外周面と、上記プーリの内周面に設けられた凹部との間に、熱可塑性樹脂と熱可塑性エラストマーとのうちの少なくとも何れかを含む材料から成るクリープ防止層を形成している。
【0016】
又、請求項2に記載した一方向クラッチ内蔵型プーリ装置の場合には、上記一方向クラッチを構成するクラッチ用外輪の外周面と、上記プーリの内周面に設けられた凹部との間に、熱可塑性樹脂と熱可塑性エラストマーとのうちの少なくとも何れかを含む材料から成るクリープ防止層を形成している。
【0017】
又、請求項3に記載した一方向クラッチ内蔵型プーリ装置の場合には、上記各サポート軸受のうちの少なくとも一方のサポート軸受を構成する軸受用内輪の内周面と、上記スリーブの外周面に設けられた凹部との間に、熱可塑性樹脂と熱可塑性エラストマーとのうちの少なくとも何れかを含む材料から成るクリープ防止層を形成している。
【0018】
又、請求項4に記載した一方向クラッチ内蔵型プーリ装置の場合には、上記一方向クラッチを構成するクラッチ用内輪の内周面と、上記スリーブの外周面に設けられた凹部との間に、熱可塑性樹脂と熱可塑性エラストマーとのうちの少なくとも何れかを含む材料から成るクリープ防止層を形成している。
【0019】
又、請求項5に記載した一方向クラッチ内蔵型プーリ装置の場合には、上述の請求項1に記載した一方向クラッチ内蔵型プーリ装置で、上記プーリの内周面に設けられた凹部の底面が、このプーリの軸方向外側に向かう程直径が減少する方向に傾斜したテーパ面である。
【0020】
又、請求項6に記載した一方向クラッチ内蔵型プーリ装置の場合には、上述の請求項3に記載した一方向クラッチ内蔵型プーリ装置で、上記スリーブの外周面に設けられた凹部の底面が、このスリーブの軸方向外側に向かう程直径が増大する方向に傾斜したテーパ面である。
【0021】
又、請求項7に記載した一方向クラッチ内蔵型プーリ装置の場合には、上述の請求項1に記載した一方向クラッチ内蔵型プーリ装置で、上記プーリの内周面に設けられた凹部とこのプーリの軸方向端面とを、通孔により連通させている。又、好ましくは、この凹部を構成する側壁面とこのプーリの軸方向端面とを、通孔により連通させる。
【0022】
又、請求項8に記載した一方向クラッチ内蔵型プーリ装置の場合には、上述の請求項3に記載した一方向クラッチ内蔵型プーリ装置で、上記スリーブの外周面に設けられた凹部とこのスリーブの軸方向端面とを、通孔により連通させている。又、好ましくは、この凹部を構成する側面とこのスリーブの軸方向端面とを、通孔により連通させる。
【0023】
又、請求項9に記載した一方向クラッチ内蔵型プーリ装置の場合には、上述の請求項1に記載した一方向クラッチ内蔵型プーリ装置で、一方向クラッチを構成するクラッチ用外輪の外周面と、プーリの内周面に設けられた第二の凹部との間に、熱可塑性樹脂と熱可塑性エラストマーとのうちの少なくとも何れかを含む材料から成るクリープ防止層を形成しており、上記第二の凹部と、上記プーリの内周面で軸受用外輪の外周面と対向する部分に設けられた凹部とを通孔を介して連通させており、且つ、この凹部とこのプーリの軸方向端面とを通孔を介して連通させている。又、好ましくは、上記第二の凹部を構成する第二の側壁面と、上記凹部を構成する側壁面とを通孔を介して連通させると共に、この側壁面と上記プーリの軸方向端面とを通孔を介して連通させる。
【0024】
又、請求項10に記載した一方向クラッチ内蔵型プーリ装置の場合には、上述の請求項3に記載した一方向クラッチ内蔵型プーリ装置で、一方向クラッチを構成するクラッチ用内輪の内周面と、スリーブの外周面に設けられた第二の凹部との間に、熱可塑性樹脂と熱可塑性エラストマーとのうちの少なくとも何れかを含む材料から成るクリープ防止層を形成しており、上記第二の凹部と、上記スリーブの内周面で軸受用内輪の外周面と対向する部分に設けられた凹部とを通孔を介して連通させており、且つ、この凹部と上記スリーブの軸方向端面とを通孔を介して連通させている。又、好ましくは、上記第二の凹部を構成する第二の側壁面と、上記凹部を構成する側壁面とを通孔を介して連通させると共に、この側壁面と上記スリーブの軸方向端面とを通孔を介して連通させる。
【0025】
又、請求項11に記載した一方向クラッチ内蔵型プーリ装置の場合には、上述の請求項1〜10の何れかに記載した一方向クラッチ内蔵型プーリ装置で、サポート軸受を構成する軸受用外輪の外周面及び軸受用内輪の内周面と、一方向クラッチを構成するクラッチ用外輪の外周面及びクラッチ用内輪の内周面とのうちの少なくとも何れかで、プーリの内周面又はスリーブの外周面に設けられた凹部と対向する部分に係合用凹部を設けている。
【0026】
又、請求項12に記載した一方向クラッチ内蔵型プーリ装置の場合には、上述の請求項1〜11の何れかに記載した一方向クラッチ内蔵型プーリ装置で、凹部と第二の凹部と係合用凹部とのうちの少なくとも何れかを、当該凹部を設けた部材の円周方向又は軸方向に関して設けている。
【0027】
又、請求項13に記載した一方向クラッチ内蔵型プーリ装置の場合には、上述の請求項1〜12の何れかに記載した一方向クラッチ内蔵型プーリ装置で、自動車用補機の回転軸に装着した状態で使用する。
【0028】
【作用】
上述の様に構成する本発明の一方向クラッチ内蔵型プーリ装置の場合には、熱可塑性樹脂と熱可塑性エラストマーとのうちの少なくとも何れかを含む材料から成るクリープ防止層が金属よりも大きな熱膨張率を有する為、例えば高温時に金属製の構成部材同士の嵌合が緩む場合でも、このクリープ防止層と金属製の構成部材とを密接させたままの状態に維持でき、当該嵌合部でのクリープの発生を防止できる。又、温度が上昇した場合でも、上記クリープ防止層と、このクリープ防止層と対向する金属製の相手部材との間に隙間が生じる事を防止でき、このクリープ防止層を円環状とした場合に、内部に封入したグリースが当該嵌合部を通じて外部に漏出する事を防止できる。この結果、一方向クラッチ内蔵型プーリ装置の耐久性の向上を図れる。
【0029】
又、一方向クラッチ内蔵型プーリ装置の構成各部材の組立後に、凹部の内側に上記クリープ防止層を射出成形等により成形すれば、このクリープ防止層と金属製の相手部材との嵌合部でのシール性をより向上できると共に、上記プーリの内周面とスリーブの外周面との間に、一方向クラッチ及びサポート軸受を組み付ける作業が面倒になる事がない。
【0030】
又、請求項5〜6に記載した一方向クラッチ内蔵型プーリ装置の場合には、凹部の軸方向一端をプーリ又はスリーブの軸方向端面に開口させた場合で、クリープ防止層が高温時に熱膨張した場合でも、このクリープ防止層がこの凹部の内側から外部に抜け出る事を防止でき、耐久性の向上をより有効に図れる。
【0031】
又、請求項7〜11に記載した一方向クラッチ内蔵型プーリ装置の場合には、クリープ防止層の射出成形時に、このクリープ防止層を構成する材料を、通孔を通じて凹部内に注入できる。
【0032】
又、請求項12に記載した一方向クラッチ内蔵型プーリ装置の場合には、構成部材のクリープの発生をより有効に防止できる。
【0033】
【発明の実施の形態】
図1は、請求項1、3、5、6、12、13に対応する、本発明の実施の形態の第1例を示している。尚、本例の特徴は、プーリ2aの内周面に設けた外径側凹部18、18及びスリーブ1aの外周面に設けた内径側凹部19、19に、それぞれクリープ防止層20、20を設けた点にある。その他の部分の構造及び作用は、前述の図9に示した従来構造と同様である為、重複する説明を省略若しくは簡略にし、以下、本例の特徴部分を中心に説明する。
【0034】
本例の場合には、上記プーリ2aの軸方向両端部内周面で、各サポート軸受4、4を構成する軸受用外輪12、12の軸方向外端寄り部分外周面と対向する部分に、それぞれ外径側凹部18、18を全周に亙り設けている。これら各外径側凹部18、18の軸方向外端は、上記プーリ2aの軸方向端面に開口させている。又、本例の場合には、これら各外径側凹部18、18の底面(内周面)を、上記プーリ2aの軸方向外側、即ち、これら各外径側凹部18、18の軸方向外端側に向かう程直径が減少する方向に傾斜したテーパ面としている。そして、上記各外径側凹部18、18の内側で、上記各軸受用外輪12、12の外周面と対向する部分に、熱可塑性樹脂と熱可塑性エラストマーとのうちの少なくとも何れかを含む材料から成るクリープ防止層20、20を、上記各軸受用外輪12、12の外周面と上記各外径側凹部18、18の底面との間で挟持する状態で設けている。
【0035】
一方、上記スリーブ1aの軸方向両端部外周面で、上記各サポート軸受4、4を構成する軸受用内輪14、14の軸方向外端寄り部分内周面と対向する部分には、それぞれ内径側凹部19、19を全周に亙り設けている。これら各内径側凹部19、19の軸方向外端は、上記スリーブ1aの軸方向端面に開口させている。又、本例の場合には、これら各内径側凹部19、19の底面(外周面)を、上記スリーブ1aの軸方向外側、即ち、これら各内径側凹部19、19の軸方向外端側に向かう程直径が増大する方向に傾斜したテーパ面としている。そして、これら各内径側凹部19、19の内側で、上記各軸受用内輪14、14の内周面と対向する部分に、上記各外径側凹部18、18に設けたものと同様の材料から成るクリープ防止層20、20を、上記各軸受用内輪14、14の内周面と上記各内径側凹部19、19の底面との間で挟持する状態で設けている。又、上記各クリープ防止層20、20は、一方向クラッチ内蔵型プーリ装置の構成各部材の組立後に、上記各外径側、内径側凹部18、19の内側に射出成形する事で設けている。
【0036】
又、上記各クリープ防止層20、20は、例えば、特許文献1に記載された樹脂巻軸受用樹脂組成物と同様の材料により構成できる。具体的には、これら各クリープ防止層20、20を、25〜65重量%の熱可塑性ポリエステル系エラストマーと、20〜70重量%の熱可塑性ポリエステル樹脂と、5〜15重量%の無機質粒状充填剤とから構成できる。上記熱可塑性ポリエステル系エラストマーとしては、例えば、ポリエステル・ポリエステルタイプエラストマー等を使用できる。又、上記熱可塑性ポリエステル樹脂としては、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT樹脂)等を使用できる。又、上記無機質粒状充填剤としては、例えば、球状のシリカ粒子、球状の無定形炭素粒子、グラファイト粒子から選択される少なくとも一種を使用できる。上記各クリープ防止層20、20は、上述の様な原料成分を適宜の混合機により混合した後、射出成形機を用いて、上記各外径側、内径側凹部18、19内に射出成形する。
【0037】
上述の様な本例の一方向クラッチ内蔵型プーリ装置は、例えば、自動車用補機であるオルタネータの回転軸の端部に装着した状態で使用する。又、上記プーリ2aの外周面とクランクシャフトに固定した駆動プーリとの間に無端ベルトを掛け渡す。
【0038】
上述の様に構成する本例の一方向クラッチ内蔵型プーリ装置の場合には、熱可塑性樹脂と熱可塑性エラストマーとのうちの少なくとも何れかを含む材料から成るクリープ防止層20、20が、金属よりも大きな熱膨張率を有する。この為、例えば高温時に、軸受用外輪12、12の外周面とプーリ2aの内周面との嵌合部、又は、軸受用内輪14、14の内周面とスリーブ1aの外周面との嵌合部で嵌合が緩む場合でも、上記各クリープ防止層20、20が大きく熱膨張する事により、これら各クリープ防止層20、20と金属製の相手部材とを密接させたままの状態に維持でき、上記各嵌合部でのクリープの発生を防止できる。
【0039】
又、温度が上昇した場合でも、上記各クリープ防止層20、20と、これら各クリープ防止層20、20と対向する金属製の相手部材との間に隙間が生じる事を防止できる為、本例の様に、これら各クリープ防止層20、20を円環状とした場合に、内部に封入したグリースが、当該嵌合部を通じて外部に漏出する事を防止できる。この結果、一方向クラッチ内蔵型プーリ装置の耐久性の向上を図れる。
【0040】
又、本例の場合には、一方向クラッチ内蔵型プーリ装置の構成各部材の組立後に、各外径側、内径側凹部18、19の内側に上記各クリープ防止層20、20を射出成形している。この為、例えば上記各外径側、内径側凹部18、19の内面の仕上げ粗さが粗い場合でも、成形時の熱可塑性材の流動性を利用する事により、この内面と上記各クリープ防止層20、20とを十分に密着させられる。従って、これら各クリープ防止層20、20と相手部材との嵌合部でのシール性をより向上できる。又、これら各クリープ防止層20、20を上述の様にして射出成形した場合には、上記プーリ2aの内周面とスリーブ1aの外周面との間に、ローラクラッチ3及びサポート軸受4、4を組み付ける作業が面倒になる事がない。
【0041】
又、本例の場合には、上記各外径側凹部18、18の底面を、これら各外径側凹部18、18の軸方向外端に向かう程直径が減少する方向に傾斜したテーパ面としたり、上記各内径側凹部19、19の底面を、これら各内径側凹部19、19の軸方向外端に向かう程直径が増大する方向に傾斜したテーパ面としている。この為、本例の様に、上記各外径側、内径側凹部18、19の軸方向外端をプーリ2a又はスリーブ1aの軸方向端面に開口させた場合で、上記各クリープ防止層20、20が高温時に熱膨張した場合でも、これら各クリープ防止層20、20が上記各外径側、内径側凹部18、19の内側から外部に抜け出る事を防止でき、耐久性の向上をより有効に図れる。
【0042】
次に、図2〜3は、請求項1、3、7、8、12、13に対応する、本発明の実施の形態の第2例を示している。本例の場合には、上述した第1例の場合と異なり、各外径側、内径側凹部18a、19aの軸方向外端を、プーリ2a又はスリーブ1aの軸方向端面に開口させていない。又、本例の場合には、これら各外径側、内径側凹部18a、19aの底面を、上記プーリ2a及びスリーブ1aの中心軸に対し平行な円筒面としている。更に、本例の場合には、上記各外径側、内径側凹部18a、19aを構成する1対の側壁面のうち、軸方向外側に位置する側壁面の円周方向複数個所と、プーリ2a又はスリーブ1aの軸方向端面とを、複数の通孔21、21により連通させている。
【0043】
この様な本例の場合には、各クリープ防止層20、20の射出成形時に、これら各クリープ防止層20、20を構成する材料を、上記各外径側、内径側凹部18a、19a内に、上記各通孔21、21を通じて注入できる。尚、この材料は、これら各外径側、内径側凹部18a、19a内に注入されていれば足りるが、上記各通孔21、21内にこの材料の一部が入り込んだままの状態としても良い。
その他の構成及び作用に就いては、上述した第1例の場合と同様である為、同等部分には同一符号を付して重複する説明は省略する。
【0044】
次に、図4は、請求項1〜4、7〜10、12、13に対応する、本発明の実施の形態の第3例を示している。本例の場合には、プーリ2aの内周面で、各サポート軸受4、4を構成する軸受用外輪12、12の外周面の軸方向両端寄り2個所位置と対向する部分と、ローラクラッチ3を構成するクラッチ用外輪6の外周面の軸方向両端寄り2個所位置と対向する部分とに、それぞれ外径側凹部18a、18aを設けている。又、これら各外径側凹部18a、18aのうち、プーリ2aの軸方向半部毎にそれぞれ3個ずつ設けた外径側凹部18a、18aで、軸方向に隣り合う2個の外径側凹部18a、18aを構成する側壁面の円周方向複数個所同士を、複数の通孔21、21により連通させている。
【0045】
又、上記各外径側凹部18a、18aのうち、最も軸方向外端側に位置する2個の外径側凹部18a、18aを構成する1対の側壁面で、軸方向外側の側壁面の円周方向複数個所と、上記プーリ2aの軸方向両端面とを、複数の通孔21、21により連通させている。そして、上記各外径側凹部18a、18aの内側にクリープ防止層20、20を、充填する状態で設けている。これら各クリープ防止層20、20を設ける作業は、一方向クラッチ内蔵型プーリ装置の構成各部材の組立後に、上記プーリ2aの軸方向両端側から、上記各通孔21、21を通じて、上記各クリープ防止層20、20を構成する材料を、上記各外径側凹部18a、18aに射出成形する事により行なう。
【0046】
一方、スリーブ1aの外周面で、上記各サポート軸受4、4を構成する軸受用内輪14、14の内周面の軸方向両端寄り2個所位置と対向する部分と、ローラクラッチ3を構成するクラッチ用内輪5の内周面の軸方向両端寄り2個所位置と対向する部分とに、それぞれ内径側凹部19a、19aを設けている。又、これら各内径側凹部19a、19aのうち、スリーブ1aの軸方向半部毎にそれぞれ3個ずつ設けた内径側凹部19a、19aで、軸方向に隣り合う2個の内径側凹部19a、19aを構成する側壁面の円周方向複数個所同士を、複数の通孔21、21により連通させている。
【0047】
又、上記各内径側凹部19a、19aのうち、最も軸方向外端側に位置する2個の内径側凹部19a、19aを構成する1対の側壁面で、軸方向外側の側壁面の円周方向複数個所と、上記スリーブ1aの軸方向両端面とを、複数の通孔21、21により連通させている。そして、上記各内径側凹部19a、19aの内側にクリープ防止層20、20を充填する状態で設けている。これら各クリープ防止層20、20を設ける作業は、一方向クラッチ内蔵型プーリ装置の構成各部材の組立後に、上記スリーブ1aの軸方向両端側から、上記各通孔21、21を通じて、上記各クリープ防止層20、20を構成する材料を、上記各内径側凹部19a、19aに射出成形する事により行なう。
【0048】
上述の様に構成する本例の一方向クラッチ内蔵型プーリ装置の場合には、例えば高温時に、ローラクラッチ3を構成するクラッチ用外輪6及びクラッチ用内輪5と、プーリ2a及びスリーブ1aとの嵌合が緩む場合でも、各クリープ防止層20、20が大きく熱膨張する事により、これら各クリープ防止層20、20と金属製の相手部材とを密接させたままの状態に維持できる。この為、上記クラッチ用外輪6及びクラッチ用内輪5に関するクリープの発生も防止でき、耐久性の更なる向上を図れる。
その他の構成及び作用に就いては、上述の図2〜3に示した第2例の場合と同様である為、同等部分には同一符号を付して重複する説明は省略する。
【0049】
次に、図5は、やはり請求項1〜4、7〜10、12、13に対応する、本発明の実施の形態の第4例を示している。本例の場合には、上述の図4に示した第3例の構造で、プーリ2aの内周面でローラクラッチ3を構成するクラッチ用外輪6の外周面と対向する部分に設けた2個の外径側凹部18a、18aの軸方向内側の側壁面同士を、複数の通孔21aにより連通させている。そして、各外径側凹部18a、18aのうち、プーリ2aの軸方向に関して最も一端側(図5の右端側)に位置する外径側凹部18aの側壁面と、上記プーリ2aの軸方向一端面(図5の右端面)とを、通孔により連通させていない。
【0050】
更に、上記スリーブ1aの外周面でローラクラッチ3を構成するクラッチ用内輪5の内周面と対向する部分に設けた2個の内径側凹部19a、19aの軸方向内側の側壁面同士を、複数の通孔21bにより連通させている。そして、各内径側凹部19a、19aのうち、スリーブ1aの軸方向に関して最も一端側(図5の右端側)に位置する内径側凹部19aの側壁面と、上記スリーブ1aの軸方向一端面(図5の右端面)とを、通孔により連通させていない。
【0051】
この様な本例の場合には、一方向クラッチ内蔵型プーリ装置の構成各部材の組立後に、上記プーリ2a及びスリーブ1aの軸方向他端側(図5の左端側)からのみ、各クリープ防止層20、20を構成する材料を、上記各通孔21、21を通じて上記各外径側、内径側凹部18a、19a内に注入しさえすれば、上記各クリープ防止層20、20を総ての凹部18a、19a内に設ける事ができる。その他の構成及び作用に就いては、上述の図4に示した第3例の場合と同様である為、同等部分には同一符号を付して重複する説明は省略する。
【0052】
次に、図6は、請求項1、3、5、6、11〜13に対応する、本発明の実施の形態の第5例を示している。本例の場合には、前述の図1に示した第1例の構造で、各サポート軸受4、4を構成する軸受用外輪12、12の外周面のうち、プーリ2aの内周面に設けた各外径側凹部18、18と対向する部分に、それぞれ外径側係合用凹部22、22を全周に亙り設けている。又、上記各サポート軸受4、4を構成する軸受用内輪14、14の内周面のうち、スリーブ1aの外周面に設けた各内径側凹部19、19と対向する部分に、それぞれ内径側係合用凹部23、23を全周に亙り設けている。そして、上記各外径側凹部18、18内に設けたクリープ防止層20、20の内周縁部を上記各外径側係合用凹部22、22に、上記各内径側凹部19、19内に設けたクリープ防止層20、20の外周縁部を上記各内径側係合用凹部23、23に、それぞれ係合させている。
【0053】
上述の様に構成する本例の場合には、上記各軸受用外輪12、12及び各軸受用内輪14、14に関するクリープの発生を、より有効に防止できる。
その他の構成及び作用に就いては、前述の図1に示した第1例の場合と同様である為、同等部分には同一符号を付して重複する説明は省略する。
【0054】
次に、図7は、請求項1〜4、7〜13に対応する、本発明の実施の形態の第6例を示している。本例の場合には、前述の図4に示した第3例の構造で、各サポート軸受4、4を構成する軸受用外輪12、12の外周面、及び、ローラクラッチ3を構成するクラッチ用外輪6の外周面で、プーリ2aの内周面に設けた各外径側凹部18a、18aと対向する部分に、それぞれ外径側係合用凹部22、24を全周に亙り設けている。又、上記各サポート軸受4、4を構成する軸受用内輪14、14の内周面、及び、上記ローラクラッチ3を構成するクラッチ用内輪5の内周面で、スリーブ1aの外周面に設けた各内径側凹部19a、19aと対向する部分に、それぞれ内径側係合用凹部23、25を全周に亙り設けている。そして、上記各外径側凹部18a、18a内に設けたクリープ防止層20、20の内周縁部を上記各外径側係合用凹部22、24に、上記各内径側凹部19a、19a内に設けたクリープ防止層20、20の外周縁部を上記各内径側係合用凹部23、25に、それぞれ係合させている。
【0055】
上述の様に構成する本例の場合には、上記軸受用外輪12、12及び軸受用内輪14、14とクラッチ用外輪6及びクラッチ用内輪5とに関するクリープの発生を、より有効に防止できる。
その他の構成及び作用に就いては、前述の図4に示した第3例の場合と同様である為、同等部分には同一符号を付して重複する説明は省略する。
【0056】
次に、図8は、請求項1〜2、12、13に対応する、本発明の実施の形態の第8例を示している。本例の場合には、プーリ2bの内周面の円周方向等間隔4個所位置に外径側凹部26、26を、それぞれ軸方向全長に亙り設けている。そして、これら各外径側凹部26、26内にクリープ防止層20(図1等参照)を、これら各外径側凹部26、26の底面と軸受用外輪12(図1等参照)及びクラッチ用外輪6(図1等参照)の外周面との間で挟持する状態で設けている。
【0057】
この様な本例の場合には、上述した各例の場合と異なり外径側凹部26、26がプーリ2bの全周に亙り設けたものではない。この為、各クリープ防止層20、20により、内部に封入したグリースが外部に漏出するのを防止できると言った効果を得られる事はない。但し、例えば高温時に上記プーリ2bの内周面と金属製の相手部材(軸受用外輪12、クラッチ用外輪6)との嵌合が緩む場合でも、上記各クリープ防止層20、20とこの相手部材とを密着させたままの状態に維持でき、上記各軸受用外輪12及びクラッチ用外輪6のクリープの発生を防止でき、耐久性の向上を図れると言った効果は得られる。尚、図示の例の場合には、上記プーリ2bの外周面が、幅方向に関する断面形状が波形でない単なる円筒面であるが、上述した各例の場合と同様に、この外周面の幅方向に関する断面形状を波形とする事もできる。
その他の構成及び作用に就いては、前述の各実施の形態と同様である為、重複する説明は省略する。
又、本例の場合には、プーリ2bの内周面に設ける外径側凹部26、26の数を4個としているが、これら各外径側凹部26、26の数は、4個に限定するものではなく、適宜の数とする事ができる。又、図示は省略するが、スリーブの外周面の円周方向一部又は複数個所に、クリープ防止層を設ける為の凹部を、このスリーブの軸方向に関して設ける事もできる。
【0058】
尚、本発明を実施する場合、一方向クラッチとしては、上述した各例で示した様なローラクラッチ3に限らず、スプラグクラッチの如きカムクラッチ等、各種の一方向クラッチを採用する事ができる。
【0059】
【発明の効果】
本発明の一方向クラッチ内蔵型プーリ装置は、以上に述べた様に構成され作用するので、構成部材のクリープの発生を有効に防止でき、耐久性の向上を有効に図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の第1例を示す断面図。
【図2】同第2例を示す半部断面図。
【図3】図2を左方から見た場合の右半部を示す図。
【図4】本発明の実施の形態の第3例を示す半部断面図。
【図5】同第4例を示す半部断面図。
【図6】同第5例を示す半部断面図。
【図7】同第6例を示す半部断面図。
【図8】同第7例の一方向クラッチ内蔵型プーリ装置に使用するプーリの斜視図。
【図9】一方向クラッチ内蔵型プーリ装置の従来構造の1例を示す断面図。
【符号の説明】
1、1a スリーブ
2、2a、2b プーリ
3 ローラクラッチ
4 サポート軸受
5 クラッチ用内輪
6 クラッチ用外輪
7 ローラ
8 クラッチ用保持器
9 カム面
10 凹部
11 外輪軌道
12 軸受用外輪
13 内輪軌道
14 軸受用内輪
15 玉
16 シールリング
17 段差面
18、18a 外径側凹部
19、19a 内径側凹部
20 クリープ防止層
21、21a、21b 通孔
22 外径側係合用凹部
23 内径側係合用凹部
24 外径側係合用凹部
25 内径側係合用凹部
26 外径側凹部
【発明の属する技術分野】
本発明の一方向クラッチ内蔵型プーリ装置は、例えば、オルタネータ等の自動車用補機の回転軸や、アイドリングストップ車に搭載するエンジンのクランクシャフト又は補機駆動装置の回転軸等に装着して使用する。
【0002】
【従来の技術】
オルタネータ等の補機を駆動する為のプーリ装置として従来から、一方向クラッチ内蔵型プーリ装置を使用する事が一部で行なわれている。図9は、この一方向クラッチ内蔵型プーリ装置の従来構造の1例を示している。この一方向クラッチ内蔵型プーリ装置は、互いに同心に配置されたスリーブ1と、プーリ2とを備える。そして、これらスリーブ1の外周面とプーリ2の内周面との間に、一方向クラッチであるローラクラッチ3と、1対のサポート軸受4、4とを設けている。
【0003】
上記スリーブ1は、炭素鋼等の金属により全体を円筒状に形成しており、オルタネータ等の自動車用補機の回転軸に外嵌固定して、この回転軸と共に回転自在である。一方、上記プーリ2は、炭素鋼等の金属に鍛造加工等を施す事により、やはり全体を円筒状に形成しており、その外周面の幅方向に関する断面形状を波形として、ポリVベルトと呼ばれる無端ベルトの一部を掛け渡し自在としている。そして、上記スリーブ1の外周面と上記プーリ2の内周面との間に存在する円筒状空間の軸方向中間部に上記ローラクラッチ3を、同じくこの空間の軸方向両端部でこのローラクラッチ3を軸方向両側から挟む位置に上記各サポート軸受4、4を、それぞれ配置している。
【0004】
このうちのローラクラッチ3は、上記プーリ2が上記スリーブ1に対して所定方向に相対回転する傾向となる場合にのみ、これらプーリ2とスリーブ1との間での回転力の伝達を自在とする。この様なローラクラッチ3は、それぞれが軸受鋼等の硬質の金属製である、クラッチ用内輪5、クラッチ用外輪6、及び複数個のローラ7、7と、合成樹脂製のクラッチ用保持器8と、図示しないばねとから成る。このうちのクラッチ用内輪5は上記スリーブ1の中間部外周面に、上記クラッチ用外輪6は上記プーリ2の中間部内周面に、それぞれ締り嵌めで嵌合固定している。又、上記クラッチ用内輪5の中間部外周面を単なる円筒面とすると共に、上記クラッチ用外輪6の内周面をカム面9としている。即ち、このクラッチ用外輪6の内周面に、それぞれがランプ部と呼ばれる複数の凹部10、10を、円周方向に関し等間隔に形成して、このクラッチ用外輪6の内周面を上記カム面9としている。
【0005】
そして、このカム面9と上記クラッチ用内輪5の中間部外周面との間に、上記複数個のローラ7、7と、これら各ローラ7、7を転動並びに円周方向に関する若干の変位自在に支持する、上記クラッチ用保持器8とを設けている。このクラッチ用保持器8は、合成樹脂により全体を円環状に構成しており、その外周縁部を上記カム面9の凹部10、10と係合させる事で、上記クラッチ用外輪6に対する相対回転を阻止している。又、上記クラッチ用保持器8と上記各ローラ7、7との間には、これら各ローラ7、7を円周方向に関して同方向(上記各凹部10、10が浅くなる方向)に押圧する為の、図示しないばねを設けている。
【0006】
尚、上述の様なローラクラッチ3を構成する場合、上記円筒面と上記カム面9との径方向に関する配置は、上述した構造と逆にする場合もある。何れにしても、この様なローラクラッチ3の構造及び作用に就いては、従来から周知である為、これ以上の詳しい説明は省略する。
【0007】
又、前記1対のサポート軸受4、4は、上記プーリ2に加わるラジアル荷重を支承しつつ、このプーリ2と上記スリーブ1との相対回転を自在とする。この様な各サポート軸受4、4として、図示の例では、それぞれ深溝型の玉軸受を使用している。即ち、これら各サポート軸受4、4は、それぞれが軸受鋼等の金属製である、内周面に深溝型の外輪軌道11を有し、上記プーリ2の両端部に内嵌固定した軸受用外輪12と、外周面に深溝型の内輪軌道13を有し、上記スリーブ1の両端部に外嵌固定した軸受用内輪14と、これら外輪軌道11と内輪軌道13との間に転動自在に設けられた複数個の玉15、15とから成る。又、上記軸受用外輪12の内周面と上記軸受用内輪14の外周面との間に存在する、上記各玉15、15を設置した空間の両端開口部は、それぞれシールリング16、16により塞いでいる。これら各シールリング16、16により、上記各玉15、15を設置した空間内に封入したグリースが外部に漏洩するのを防止すると共に、この空間内に塵芥等の異物が侵入するのを防止している。そして、上記各軸受用内輪14を上記スリーブ1の軸方向両端部外周面に、上記各軸受用外輪12を上記プーリ2の軸方向両端部内周面に、それぞれ締り嵌めで嵌合固定している。又、上記各軸受用内輪14、14の軸方向内(軸方向に関して内とは、プーリ及びスリーブの軸方向中央側を言い、逆に、軸方向に関して外とは、プーリ及びスリーブの軸方向両端側を言う。本明細書全体で同じ。)端面を、上記スリーブ1の中間部外周面に形成した段差面17、17に突き当てる事により、これら各軸受用内輪14、14の軸方向の位置決めを図っている。
【0008】
上述の様に構成する一方向クラッチ内蔵型プーリ装置は、上記スリーブ1をオルタネータ等の補機の回転軸の端部に外嵌固定すると共に、上記プーリ2の外周面に無端ベルトを掛け渡す。この無端ベルトはエンジンのクランクシャフト等の端部に固定された駆動プーリに掛け渡され、この駆動プーリの回転により駆動する。この様な状態で組み付けられる一方向クラッチ内蔵型プーリ装置は、上記無端ベルトの走行速度が一定若しくは上昇傾向にある場合には、上記プーリ2から上記回転軸への回転力の伝達を自在とし、反対に上記無端ベルトの走行速度が低下傾向にある場合には、これらプーリ2と回転軸との相対回転を自在とする。この結果、上記クランクシャフトの回転角速度が変動した場合でも、上記無端ベルトと上記プーリ2とが擦れ合う事を防止して、鳴きと呼ばれる異音の発生や摩耗による無端ベルトの寿命低下を防止すると共に、オルタネータの発電効率が低下する事を防止する。
【0009】
又、上記一方向クラッチ内蔵型プーリ装置をエンジンのアイドルストップ時の補機駆動装置に利用する場合には、この一方向クラッチ内蔵型プーリ装置をエンジンのクランクシャフトや電動モータの駆動軸の端部に装着する。これにより、これらエンジンと電動モータとのうちの一方の装置が運転状態にあり、他方の装置が停止状態にある場合に、この一方の装置の回転軸から上記プーリ2への回転力の伝達を自在にすると共に、上記他方の装置の回転軸が回転しない様にする。
尚、本発明に関連する先行技術文献として、特許文献1が存在する。
【0010】
【特許文献1】
特許第2924221号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
上述した様な従来の一方向クラッチ内蔵型プーリ装置の場合には、各サポート軸受4、4を構成する軸受用外輪12、12、及び、ローラクラッチ3を構成するクラッチ用外輪6を、プーリ2の内周面に、各サポート軸受4、4を構成する軸受用内輪14、14、及び、ローラクラッチ3を構成するクラッチ用内輪5を、スリーブ1の外周面に、それぞれ締り嵌めで嵌合固定している。但し、当該嵌合部を構成する1対の構成部材同士は、組み込み性や構成部材の変形等の問題から、大きな締め代を持たせて嵌合固定する事は難しい。この為、上記プーリ2に作用する荷重の大きさ及び方向が変化した場合に、このプーリ2の内周面と上記各軸受用外輪12、12及びクラッチ用外輪6の外周面との嵌合部や、上記スリーブ1の外周面と上記各軸受用内輪14、14及びクラッチ用内輪5の内周面との嵌合部で、滑りながら相対回転する、所謂クリープが発生する可能性がある。特に、温度が上昇した場合には、当該嵌合部での締め代が小さくなり、クリープが生じ易くなる。そしてこの様なクリープが発生した場合には、当該嵌合部で、かじりや異常摩耗等の損傷が生じ易くなり、耐久性が低下する。
【0012】
又、上記各嵌合部では、金属同士が接触した状態となっている。この為、例えば、上記プーリ2の内周面又はスリーブ1の外周面が粗い場合に、これら各嵌合部に微小な隙間が生じる可能性がある。この様に微小な隙間が生じた場合には、一方向クラッチ内蔵型プーリ装置の内部に封入されたグリースが、この隙間を通じて、外部に漏出する可能性がある。そしてこの様にグリースが外部に漏出した場合には、一方向クラッチ内蔵型プーリ装置の耐久性が低下する。
【0013】
尚、特許文献1には、軸受を構成する外輪の外周面に設けた周溝に、所定の樹脂組成物をインサート成形すると共に、この樹脂組成物の一部をこの外輪の外周面から突出させた樹脂巻軸受が記載されているが、この樹脂巻軸受を一方向クラッチ内蔵型プーリ装置に組み込む事は考慮されていない。又、一方向クラッチ内蔵型プーリ装置を構成するプーリの内周面とスリーブの外周面との間に、上記樹脂巻軸受を組み付ける作業は面倒で、コストが嵩む原因となる。
本発明は、この様な事情に鑑みて、耐久性(信頼性)の向上を有効に図れる構造を実現すべく発明したものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明の一方向クラッチ内蔵型プーリ装置は、何れも筒状のプーリと、スリーブと、1対のサポート軸受と、一方向クラッチとを備える。
このうちのプーリは、外周面に無端ベルトを掛け渡し自在としている。
又、上記スリーブは、上記プーリの径方向内側に、このプーリと同心に配置されている。
又、上記各サポート軸受は、上記プーリの内周面と上記スリーブの外周面との間に設けられ、これらプーリとスリーブとの間に働くラジアル荷重を支承すると共に、これらプーリとスリーブとの相対回転を自在とする。
又、上記一方向クラッチは、上記プーリの内周面と上記スリーブの外周面との間で上記1対のサポート軸受により挟まれた部分に設けられ、これらプーリとスリーブとが所定方向に相対回転する傾向となる場合にのみ、これらプーリとスリーブとの間で回転力の伝達を自在とする。
【0015】
特に、本発明の一方向クラッチ内蔵型プーリ装置のうち、請求項1に記載した一方向クラッチ内蔵型プーリ装置に於いては、上記各サポート軸受のうちの少なくとも一方のサポート軸受を構成する軸受用外輪の外周面と、上記プーリの内周面に設けられた凹部との間に、熱可塑性樹脂と熱可塑性エラストマーとのうちの少なくとも何れかを含む材料から成るクリープ防止層を形成している。
【0016】
又、請求項2に記載した一方向クラッチ内蔵型プーリ装置の場合には、上記一方向クラッチを構成するクラッチ用外輪の外周面と、上記プーリの内周面に設けられた凹部との間に、熱可塑性樹脂と熱可塑性エラストマーとのうちの少なくとも何れかを含む材料から成るクリープ防止層を形成している。
【0017】
又、請求項3に記載した一方向クラッチ内蔵型プーリ装置の場合には、上記各サポート軸受のうちの少なくとも一方のサポート軸受を構成する軸受用内輪の内周面と、上記スリーブの外周面に設けられた凹部との間に、熱可塑性樹脂と熱可塑性エラストマーとのうちの少なくとも何れかを含む材料から成るクリープ防止層を形成している。
【0018】
又、請求項4に記載した一方向クラッチ内蔵型プーリ装置の場合には、上記一方向クラッチを構成するクラッチ用内輪の内周面と、上記スリーブの外周面に設けられた凹部との間に、熱可塑性樹脂と熱可塑性エラストマーとのうちの少なくとも何れかを含む材料から成るクリープ防止層を形成している。
【0019】
又、請求項5に記載した一方向クラッチ内蔵型プーリ装置の場合には、上述の請求項1に記載した一方向クラッチ内蔵型プーリ装置で、上記プーリの内周面に設けられた凹部の底面が、このプーリの軸方向外側に向かう程直径が減少する方向に傾斜したテーパ面である。
【0020】
又、請求項6に記載した一方向クラッチ内蔵型プーリ装置の場合には、上述の請求項3に記載した一方向クラッチ内蔵型プーリ装置で、上記スリーブの外周面に設けられた凹部の底面が、このスリーブの軸方向外側に向かう程直径が増大する方向に傾斜したテーパ面である。
【0021】
又、請求項7に記載した一方向クラッチ内蔵型プーリ装置の場合には、上述の請求項1に記載した一方向クラッチ内蔵型プーリ装置で、上記プーリの内周面に設けられた凹部とこのプーリの軸方向端面とを、通孔により連通させている。又、好ましくは、この凹部を構成する側壁面とこのプーリの軸方向端面とを、通孔により連通させる。
【0022】
又、請求項8に記載した一方向クラッチ内蔵型プーリ装置の場合には、上述の請求項3に記載した一方向クラッチ内蔵型プーリ装置で、上記スリーブの外周面に設けられた凹部とこのスリーブの軸方向端面とを、通孔により連通させている。又、好ましくは、この凹部を構成する側面とこのスリーブの軸方向端面とを、通孔により連通させる。
【0023】
又、請求項9に記載した一方向クラッチ内蔵型プーリ装置の場合には、上述の請求項1に記載した一方向クラッチ内蔵型プーリ装置で、一方向クラッチを構成するクラッチ用外輪の外周面と、プーリの内周面に設けられた第二の凹部との間に、熱可塑性樹脂と熱可塑性エラストマーとのうちの少なくとも何れかを含む材料から成るクリープ防止層を形成しており、上記第二の凹部と、上記プーリの内周面で軸受用外輪の外周面と対向する部分に設けられた凹部とを通孔を介して連通させており、且つ、この凹部とこのプーリの軸方向端面とを通孔を介して連通させている。又、好ましくは、上記第二の凹部を構成する第二の側壁面と、上記凹部を構成する側壁面とを通孔を介して連通させると共に、この側壁面と上記プーリの軸方向端面とを通孔を介して連通させる。
【0024】
又、請求項10に記載した一方向クラッチ内蔵型プーリ装置の場合には、上述の請求項3に記載した一方向クラッチ内蔵型プーリ装置で、一方向クラッチを構成するクラッチ用内輪の内周面と、スリーブの外周面に設けられた第二の凹部との間に、熱可塑性樹脂と熱可塑性エラストマーとのうちの少なくとも何れかを含む材料から成るクリープ防止層を形成しており、上記第二の凹部と、上記スリーブの内周面で軸受用内輪の外周面と対向する部分に設けられた凹部とを通孔を介して連通させており、且つ、この凹部と上記スリーブの軸方向端面とを通孔を介して連通させている。又、好ましくは、上記第二の凹部を構成する第二の側壁面と、上記凹部を構成する側壁面とを通孔を介して連通させると共に、この側壁面と上記スリーブの軸方向端面とを通孔を介して連通させる。
【0025】
又、請求項11に記載した一方向クラッチ内蔵型プーリ装置の場合には、上述の請求項1〜10の何れかに記載した一方向クラッチ内蔵型プーリ装置で、サポート軸受を構成する軸受用外輪の外周面及び軸受用内輪の内周面と、一方向クラッチを構成するクラッチ用外輪の外周面及びクラッチ用内輪の内周面とのうちの少なくとも何れかで、プーリの内周面又はスリーブの外周面に設けられた凹部と対向する部分に係合用凹部を設けている。
【0026】
又、請求項12に記載した一方向クラッチ内蔵型プーリ装置の場合には、上述の請求項1〜11の何れかに記載した一方向クラッチ内蔵型プーリ装置で、凹部と第二の凹部と係合用凹部とのうちの少なくとも何れかを、当該凹部を設けた部材の円周方向又は軸方向に関して設けている。
【0027】
又、請求項13に記載した一方向クラッチ内蔵型プーリ装置の場合には、上述の請求項1〜12の何れかに記載した一方向クラッチ内蔵型プーリ装置で、自動車用補機の回転軸に装着した状態で使用する。
【0028】
【作用】
上述の様に構成する本発明の一方向クラッチ内蔵型プーリ装置の場合には、熱可塑性樹脂と熱可塑性エラストマーとのうちの少なくとも何れかを含む材料から成るクリープ防止層が金属よりも大きな熱膨張率を有する為、例えば高温時に金属製の構成部材同士の嵌合が緩む場合でも、このクリープ防止層と金属製の構成部材とを密接させたままの状態に維持でき、当該嵌合部でのクリープの発生を防止できる。又、温度が上昇した場合でも、上記クリープ防止層と、このクリープ防止層と対向する金属製の相手部材との間に隙間が生じる事を防止でき、このクリープ防止層を円環状とした場合に、内部に封入したグリースが当該嵌合部を通じて外部に漏出する事を防止できる。この結果、一方向クラッチ内蔵型プーリ装置の耐久性の向上を図れる。
【0029】
又、一方向クラッチ内蔵型プーリ装置の構成各部材の組立後に、凹部の内側に上記クリープ防止層を射出成形等により成形すれば、このクリープ防止層と金属製の相手部材との嵌合部でのシール性をより向上できると共に、上記プーリの内周面とスリーブの外周面との間に、一方向クラッチ及びサポート軸受を組み付ける作業が面倒になる事がない。
【0030】
又、請求項5〜6に記載した一方向クラッチ内蔵型プーリ装置の場合には、凹部の軸方向一端をプーリ又はスリーブの軸方向端面に開口させた場合で、クリープ防止層が高温時に熱膨張した場合でも、このクリープ防止層がこの凹部の内側から外部に抜け出る事を防止でき、耐久性の向上をより有効に図れる。
【0031】
又、請求項7〜11に記載した一方向クラッチ内蔵型プーリ装置の場合には、クリープ防止層の射出成形時に、このクリープ防止層を構成する材料を、通孔を通じて凹部内に注入できる。
【0032】
又、請求項12に記載した一方向クラッチ内蔵型プーリ装置の場合には、構成部材のクリープの発生をより有効に防止できる。
【0033】
【発明の実施の形態】
図1は、請求項1、3、5、6、12、13に対応する、本発明の実施の形態の第1例を示している。尚、本例の特徴は、プーリ2aの内周面に設けた外径側凹部18、18及びスリーブ1aの外周面に設けた内径側凹部19、19に、それぞれクリープ防止層20、20を設けた点にある。その他の部分の構造及び作用は、前述の図9に示した従来構造と同様である為、重複する説明を省略若しくは簡略にし、以下、本例の特徴部分を中心に説明する。
【0034】
本例の場合には、上記プーリ2aの軸方向両端部内周面で、各サポート軸受4、4を構成する軸受用外輪12、12の軸方向外端寄り部分外周面と対向する部分に、それぞれ外径側凹部18、18を全周に亙り設けている。これら各外径側凹部18、18の軸方向外端は、上記プーリ2aの軸方向端面に開口させている。又、本例の場合には、これら各外径側凹部18、18の底面(内周面)を、上記プーリ2aの軸方向外側、即ち、これら各外径側凹部18、18の軸方向外端側に向かう程直径が減少する方向に傾斜したテーパ面としている。そして、上記各外径側凹部18、18の内側で、上記各軸受用外輪12、12の外周面と対向する部分に、熱可塑性樹脂と熱可塑性エラストマーとのうちの少なくとも何れかを含む材料から成るクリープ防止層20、20を、上記各軸受用外輪12、12の外周面と上記各外径側凹部18、18の底面との間で挟持する状態で設けている。
【0035】
一方、上記スリーブ1aの軸方向両端部外周面で、上記各サポート軸受4、4を構成する軸受用内輪14、14の軸方向外端寄り部分内周面と対向する部分には、それぞれ内径側凹部19、19を全周に亙り設けている。これら各内径側凹部19、19の軸方向外端は、上記スリーブ1aの軸方向端面に開口させている。又、本例の場合には、これら各内径側凹部19、19の底面(外周面)を、上記スリーブ1aの軸方向外側、即ち、これら各内径側凹部19、19の軸方向外端側に向かう程直径が増大する方向に傾斜したテーパ面としている。そして、これら各内径側凹部19、19の内側で、上記各軸受用内輪14、14の内周面と対向する部分に、上記各外径側凹部18、18に設けたものと同様の材料から成るクリープ防止層20、20を、上記各軸受用内輪14、14の内周面と上記各内径側凹部19、19の底面との間で挟持する状態で設けている。又、上記各クリープ防止層20、20は、一方向クラッチ内蔵型プーリ装置の構成各部材の組立後に、上記各外径側、内径側凹部18、19の内側に射出成形する事で設けている。
【0036】
又、上記各クリープ防止層20、20は、例えば、特許文献1に記載された樹脂巻軸受用樹脂組成物と同様の材料により構成できる。具体的には、これら各クリープ防止層20、20を、25〜65重量%の熱可塑性ポリエステル系エラストマーと、20〜70重量%の熱可塑性ポリエステル樹脂と、5〜15重量%の無機質粒状充填剤とから構成できる。上記熱可塑性ポリエステル系エラストマーとしては、例えば、ポリエステル・ポリエステルタイプエラストマー等を使用できる。又、上記熱可塑性ポリエステル樹脂としては、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT樹脂)等を使用できる。又、上記無機質粒状充填剤としては、例えば、球状のシリカ粒子、球状の無定形炭素粒子、グラファイト粒子から選択される少なくとも一種を使用できる。上記各クリープ防止層20、20は、上述の様な原料成分を適宜の混合機により混合した後、射出成形機を用いて、上記各外径側、内径側凹部18、19内に射出成形する。
【0037】
上述の様な本例の一方向クラッチ内蔵型プーリ装置は、例えば、自動車用補機であるオルタネータの回転軸の端部に装着した状態で使用する。又、上記プーリ2aの外周面とクランクシャフトに固定した駆動プーリとの間に無端ベルトを掛け渡す。
【0038】
上述の様に構成する本例の一方向クラッチ内蔵型プーリ装置の場合には、熱可塑性樹脂と熱可塑性エラストマーとのうちの少なくとも何れかを含む材料から成るクリープ防止層20、20が、金属よりも大きな熱膨張率を有する。この為、例えば高温時に、軸受用外輪12、12の外周面とプーリ2aの内周面との嵌合部、又は、軸受用内輪14、14の内周面とスリーブ1aの外周面との嵌合部で嵌合が緩む場合でも、上記各クリープ防止層20、20が大きく熱膨張する事により、これら各クリープ防止層20、20と金属製の相手部材とを密接させたままの状態に維持でき、上記各嵌合部でのクリープの発生を防止できる。
【0039】
又、温度が上昇した場合でも、上記各クリープ防止層20、20と、これら各クリープ防止層20、20と対向する金属製の相手部材との間に隙間が生じる事を防止できる為、本例の様に、これら各クリープ防止層20、20を円環状とした場合に、内部に封入したグリースが、当該嵌合部を通じて外部に漏出する事を防止できる。この結果、一方向クラッチ内蔵型プーリ装置の耐久性の向上を図れる。
【0040】
又、本例の場合には、一方向クラッチ内蔵型プーリ装置の構成各部材の組立後に、各外径側、内径側凹部18、19の内側に上記各クリープ防止層20、20を射出成形している。この為、例えば上記各外径側、内径側凹部18、19の内面の仕上げ粗さが粗い場合でも、成形時の熱可塑性材の流動性を利用する事により、この内面と上記各クリープ防止層20、20とを十分に密着させられる。従って、これら各クリープ防止層20、20と相手部材との嵌合部でのシール性をより向上できる。又、これら各クリープ防止層20、20を上述の様にして射出成形した場合には、上記プーリ2aの内周面とスリーブ1aの外周面との間に、ローラクラッチ3及びサポート軸受4、4を組み付ける作業が面倒になる事がない。
【0041】
又、本例の場合には、上記各外径側凹部18、18の底面を、これら各外径側凹部18、18の軸方向外端に向かう程直径が減少する方向に傾斜したテーパ面としたり、上記各内径側凹部19、19の底面を、これら各内径側凹部19、19の軸方向外端に向かう程直径が増大する方向に傾斜したテーパ面としている。この為、本例の様に、上記各外径側、内径側凹部18、19の軸方向外端をプーリ2a又はスリーブ1aの軸方向端面に開口させた場合で、上記各クリープ防止層20、20が高温時に熱膨張した場合でも、これら各クリープ防止層20、20が上記各外径側、内径側凹部18、19の内側から外部に抜け出る事を防止でき、耐久性の向上をより有効に図れる。
【0042】
次に、図2〜3は、請求項1、3、7、8、12、13に対応する、本発明の実施の形態の第2例を示している。本例の場合には、上述した第1例の場合と異なり、各外径側、内径側凹部18a、19aの軸方向外端を、プーリ2a又はスリーブ1aの軸方向端面に開口させていない。又、本例の場合には、これら各外径側、内径側凹部18a、19aの底面を、上記プーリ2a及びスリーブ1aの中心軸に対し平行な円筒面としている。更に、本例の場合には、上記各外径側、内径側凹部18a、19aを構成する1対の側壁面のうち、軸方向外側に位置する側壁面の円周方向複数個所と、プーリ2a又はスリーブ1aの軸方向端面とを、複数の通孔21、21により連通させている。
【0043】
この様な本例の場合には、各クリープ防止層20、20の射出成形時に、これら各クリープ防止層20、20を構成する材料を、上記各外径側、内径側凹部18a、19a内に、上記各通孔21、21を通じて注入できる。尚、この材料は、これら各外径側、内径側凹部18a、19a内に注入されていれば足りるが、上記各通孔21、21内にこの材料の一部が入り込んだままの状態としても良い。
その他の構成及び作用に就いては、上述した第1例の場合と同様である為、同等部分には同一符号を付して重複する説明は省略する。
【0044】
次に、図4は、請求項1〜4、7〜10、12、13に対応する、本発明の実施の形態の第3例を示している。本例の場合には、プーリ2aの内周面で、各サポート軸受4、4を構成する軸受用外輪12、12の外周面の軸方向両端寄り2個所位置と対向する部分と、ローラクラッチ3を構成するクラッチ用外輪6の外周面の軸方向両端寄り2個所位置と対向する部分とに、それぞれ外径側凹部18a、18aを設けている。又、これら各外径側凹部18a、18aのうち、プーリ2aの軸方向半部毎にそれぞれ3個ずつ設けた外径側凹部18a、18aで、軸方向に隣り合う2個の外径側凹部18a、18aを構成する側壁面の円周方向複数個所同士を、複数の通孔21、21により連通させている。
【0045】
又、上記各外径側凹部18a、18aのうち、最も軸方向外端側に位置する2個の外径側凹部18a、18aを構成する1対の側壁面で、軸方向外側の側壁面の円周方向複数個所と、上記プーリ2aの軸方向両端面とを、複数の通孔21、21により連通させている。そして、上記各外径側凹部18a、18aの内側にクリープ防止層20、20を、充填する状態で設けている。これら各クリープ防止層20、20を設ける作業は、一方向クラッチ内蔵型プーリ装置の構成各部材の組立後に、上記プーリ2aの軸方向両端側から、上記各通孔21、21を通じて、上記各クリープ防止層20、20を構成する材料を、上記各外径側凹部18a、18aに射出成形する事により行なう。
【0046】
一方、スリーブ1aの外周面で、上記各サポート軸受4、4を構成する軸受用内輪14、14の内周面の軸方向両端寄り2個所位置と対向する部分と、ローラクラッチ3を構成するクラッチ用内輪5の内周面の軸方向両端寄り2個所位置と対向する部分とに、それぞれ内径側凹部19a、19aを設けている。又、これら各内径側凹部19a、19aのうち、スリーブ1aの軸方向半部毎にそれぞれ3個ずつ設けた内径側凹部19a、19aで、軸方向に隣り合う2個の内径側凹部19a、19aを構成する側壁面の円周方向複数個所同士を、複数の通孔21、21により連通させている。
【0047】
又、上記各内径側凹部19a、19aのうち、最も軸方向外端側に位置する2個の内径側凹部19a、19aを構成する1対の側壁面で、軸方向外側の側壁面の円周方向複数個所と、上記スリーブ1aの軸方向両端面とを、複数の通孔21、21により連通させている。そして、上記各内径側凹部19a、19aの内側にクリープ防止層20、20を充填する状態で設けている。これら各クリープ防止層20、20を設ける作業は、一方向クラッチ内蔵型プーリ装置の構成各部材の組立後に、上記スリーブ1aの軸方向両端側から、上記各通孔21、21を通じて、上記各クリープ防止層20、20を構成する材料を、上記各内径側凹部19a、19aに射出成形する事により行なう。
【0048】
上述の様に構成する本例の一方向クラッチ内蔵型プーリ装置の場合には、例えば高温時に、ローラクラッチ3を構成するクラッチ用外輪6及びクラッチ用内輪5と、プーリ2a及びスリーブ1aとの嵌合が緩む場合でも、各クリープ防止層20、20が大きく熱膨張する事により、これら各クリープ防止層20、20と金属製の相手部材とを密接させたままの状態に維持できる。この為、上記クラッチ用外輪6及びクラッチ用内輪5に関するクリープの発生も防止でき、耐久性の更なる向上を図れる。
その他の構成及び作用に就いては、上述の図2〜3に示した第2例の場合と同様である為、同等部分には同一符号を付して重複する説明は省略する。
【0049】
次に、図5は、やはり請求項1〜4、7〜10、12、13に対応する、本発明の実施の形態の第4例を示している。本例の場合には、上述の図4に示した第3例の構造で、プーリ2aの内周面でローラクラッチ3を構成するクラッチ用外輪6の外周面と対向する部分に設けた2個の外径側凹部18a、18aの軸方向内側の側壁面同士を、複数の通孔21aにより連通させている。そして、各外径側凹部18a、18aのうち、プーリ2aの軸方向に関して最も一端側(図5の右端側)に位置する外径側凹部18aの側壁面と、上記プーリ2aの軸方向一端面(図5の右端面)とを、通孔により連通させていない。
【0050】
更に、上記スリーブ1aの外周面でローラクラッチ3を構成するクラッチ用内輪5の内周面と対向する部分に設けた2個の内径側凹部19a、19aの軸方向内側の側壁面同士を、複数の通孔21bにより連通させている。そして、各内径側凹部19a、19aのうち、スリーブ1aの軸方向に関して最も一端側(図5の右端側)に位置する内径側凹部19aの側壁面と、上記スリーブ1aの軸方向一端面(図5の右端面)とを、通孔により連通させていない。
【0051】
この様な本例の場合には、一方向クラッチ内蔵型プーリ装置の構成各部材の組立後に、上記プーリ2a及びスリーブ1aの軸方向他端側(図5の左端側)からのみ、各クリープ防止層20、20を構成する材料を、上記各通孔21、21を通じて上記各外径側、内径側凹部18a、19a内に注入しさえすれば、上記各クリープ防止層20、20を総ての凹部18a、19a内に設ける事ができる。その他の構成及び作用に就いては、上述の図4に示した第3例の場合と同様である為、同等部分には同一符号を付して重複する説明は省略する。
【0052】
次に、図6は、請求項1、3、5、6、11〜13に対応する、本発明の実施の形態の第5例を示している。本例の場合には、前述の図1に示した第1例の構造で、各サポート軸受4、4を構成する軸受用外輪12、12の外周面のうち、プーリ2aの内周面に設けた各外径側凹部18、18と対向する部分に、それぞれ外径側係合用凹部22、22を全周に亙り設けている。又、上記各サポート軸受4、4を構成する軸受用内輪14、14の内周面のうち、スリーブ1aの外周面に設けた各内径側凹部19、19と対向する部分に、それぞれ内径側係合用凹部23、23を全周に亙り設けている。そして、上記各外径側凹部18、18内に設けたクリープ防止層20、20の内周縁部を上記各外径側係合用凹部22、22に、上記各内径側凹部19、19内に設けたクリープ防止層20、20の外周縁部を上記各内径側係合用凹部23、23に、それぞれ係合させている。
【0053】
上述の様に構成する本例の場合には、上記各軸受用外輪12、12及び各軸受用内輪14、14に関するクリープの発生を、より有効に防止できる。
その他の構成及び作用に就いては、前述の図1に示した第1例の場合と同様である為、同等部分には同一符号を付して重複する説明は省略する。
【0054】
次に、図7は、請求項1〜4、7〜13に対応する、本発明の実施の形態の第6例を示している。本例の場合には、前述の図4に示した第3例の構造で、各サポート軸受4、4を構成する軸受用外輪12、12の外周面、及び、ローラクラッチ3を構成するクラッチ用外輪6の外周面で、プーリ2aの内周面に設けた各外径側凹部18a、18aと対向する部分に、それぞれ外径側係合用凹部22、24を全周に亙り設けている。又、上記各サポート軸受4、4を構成する軸受用内輪14、14の内周面、及び、上記ローラクラッチ3を構成するクラッチ用内輪5の内周面で、スリーブ1aの外周面に設けた各内径側凹部19a、19aと対向する部分に、それぞれ内径側係合用凹部23、25を全周に亙り設けている。そして、上記各外径側凹部18a、18a内に設けたクリープ防止層20、20の内周縁部を上記各外径側係合用凹部22、24に、上記各内径側凹部19a、19a内に設けたクリープ防止層20、20の外周縁部を上記各内径側係合用凹部23、25に、それぞれ係合させている。
【0055】
上述の様に構成する本例の場合には、上記軸受用外輪12、12及び軸受用内輪14、14とクラッチ用外輪6及びクラッチ用内輪5とに関するクリープの発生を、より有効に防止できる。
その他の構成及び作用に就いては、前述の図4に示した第3例の場合と同様である為、同等部分には同一符号を付して重複する説明は省略する。
【0056】
次に、図8は、請求項1〜2、12、13に対応する、本発明の実施の形態の第8例を示している。本例の場合には、プーリ2bの内周面の円周方向等間隔4個所位置に外径側凹部26、26を、それぞれ軸方向全長に亙り設けている。そして、これら各外径側凹部26、26内にクリープ防止層20(図1等参照)を、これら各外径側凹部26、26の底面と軸受用外輪12(図1等参照)及びクラッチ用外輪6(図1等参照)の外周面との間で挟持する状態で設けている。
【0057】
この様な本例の場合には、上述した各例の場合と異なり外径側凹部26、26がプーリ2bの全周に亙り設けたものではない。この為、各クリープ防止層20、20により、内部に封入したグリースが外部に漏出するのを防止できると言った効果を得られる事はない。但し、例えば高温時に上記プーリ2bの内周面と金属製の相手部材(軸受用外輪12、クラッチ用外輪6)との嵌合が緩む場合でも、上記各クリープ防止層20、20とこの相手部材とを密着させたままの状態に維持でき、上記各軸受用外輪12及びクラッチ用外輪6のクリープの発生を防止でき、耐久性の向上を図れると言った効果は得られる。尚、図示の例の場合には、上記プーリ2bの外周面が、幅方向に関する断面形状が波形でない単なる円筒面であるが、上述した各例の場合と同様に、この外周面の幅方向に関する断面形状を波形とする事もできる。
その他の構成及び作用に就いては、前述の各実施の形態と同様である為、重複する説明は省略する。
又、本例の場合には、プーリ2bの内周面に設ける外径側凹部26、26の数を4個としているが、これら各外径側凹部26、26の数は、4個に限定するものではなく、適宜の数とする事ができる。又、図示は省略するが、スリーブの外周面の円周方向一部又は複数個所に、クリープ防止層を設ける為の凹部を、このスリーブの軸方向に関して設ける事もできる。
【0058】
尚、本発明を実施する場合、一方向クラッチとしては、上述した各例で示した様なローラクラッチ3に限らず、スプラグクラッチの如きカムクラッチ等、各種の一方向クラッチを採用する事ができる。
【0059】
【発明の効果】
本発明の一方向クラッチ内蔵型プーリ装置は、以上に述べた様に構成され作用するので、構成部材のクリープの発生を有効に防止でき、耐久性の向上を有効に図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の第1例を示す断面図。
【図2】同第2例を示す半部断面図。
【図3】図2を左方から見た場合の右半部を示す図。
【図4】本発明の実施の形態の第3例を示す半部断面図。
【図5】同第4例を示す半部断面図。
【図6】同第5例を示す半部断面図。
【図7】同第6例を示す半部断面図。
【図8】同第7例の一方向クラッチ内蔵型プーリ装置に使用するプーリの斜視図。
【図9】一方向クラッチ内蔵型プーリ装置の従来構造の1例を示す断面図。
【符号の説明】
1、1a スリーブ
2、2a、2b プーリ
3 ローラクラッチ
4 サポート軸受
5 クラッチ用内輪
6 クラッチ用外輪
7 ローラ
8 クラッチ用保持器
9 カム面
10 凹部
11 外輪軌道
12 軸受用外輪
13 内輪軌道
14 軸受用内輪
15 玉
16 シールリング
17 段差面
18、18a 外径側凹部
19、19a 内径側凹部
20 クリープ防止層
21、21a、21b 通孔
22 外径側係合用凹部
23 内径側係合用凹部
24 外径側係合用凹部
25 内径側係合用凹部
26 外径側凹部
Claims (13)
- 外周面に無端ベルトを掛け渡し自在とした筒状のプーリと、このプーリの径方向内側にこのプーリと同心に配置されたスリーブと、これらプーリの内周面とスリーブの外周面との間に設けられ、これらプーリとスリーブとの間に働くラジアル荷重を支承すると共にこれらプーリとスリーブとの相対回転を自在とする1対のサポート軸受と、これらプーリの内周面とスリーブの外周面との間でこれら1対のサポート軸受により挟まれた部分に設けられ、これらプーリとスリーブとが所定方向に相対回転する傾向となる場合にのみ、これらプーリとスリーブとの間で回転力の伝達を自在とする一方向クラッチとを備えた一方向クラッチ内蔵型プーリ装置に於いて、上記各サポート軸受のうちの少なくとも一方のサポート軸受を構成する軸受用外輪の外周面と、上記プーリの内周面に設けられた凹部との間に、熱可塑性樹脂と熱可塑性エラストマーとのうちの少なくとも何れかを含む材料から成るクリープ防止層を形成した事を特徴とする一方向クラッチ内蔵型プーリ装置。
- 外周面に無端ベルトを掛け渡し自在とした筒状のプーリと、このプーリの径方向内側にこのプーリと同心に配置されたスリーブと、これらプーリの内周面とスリーブの外周面との間に設けられ、これらプーリとスリーブとの間に働くラジアル荷重を支承すると共にこれらプーリとスリーブとの相対回転を自在とする1対のサポート軸受と、これらプーリの内周面とスリーブの外周面との間でこれら1対のサポート軸受により挟まれた部分に設けられ、これらプーリとスリーブとが所定方向に相対回転する傾向となる場合にのみ、これらプーリとスリーブとの間で回転力の伝達を自在とする一方向クラッチとを備えた一方向クラッチ内蔵型プーリ装置に於いて、上記一方向クラッチを構成するクラッチ用外輪の外周面と、上記プーリの内周面に設けられた凹部との間に、熱可塑性樹脂と熱可塑性エラストマーとのうちの少なくとも何れかを含む材料から成るクリープ防止層を形成した事を特徴とする一方向クラッチ内蔵型プーリ装置。
- 外周面に無端ベルトを掛け渡し自在とした筒状のプーリと、このプーリの径方向内側にこのプーリと同心に配置されたスリーブと、これらプーリの内周面とスリーブの外周面との間に設けられ、これらプーリとスリーブとの間に働くラジアル荷重を支承すると共にこれらプーリとスリーブとの相対回転を自在とする1対のサポート軸受と、これらプーリの内周面とスリーブの外周面との間でこれら1対のサポート軸受により挟まれた部分に設けられ、これらプーリとスリーブとが所定方向に相対回転する傾向となる場合にのみ、これらプーリとスリーブとの間で回転力の伝達を自在とする一方向クラッチとを備えた一方向クラッチ内蔵型プーリ装置に於いて、上記各サポート軸受のうちの少なくとも一方のサポート軸受を構成する軸受用内輪の内周面と、上記スリーブの外周面に設けられた凹部との間に、熱可塑性樹脂と熱可塑性エラストマーとのうちの少なくとも何れかを含む材料から成るクリープ防止層を形成した事を特徴とする一方向クラッチ内蔵型プーリ装置。
- 外周面に無端ベルトを掛け渡し自在とした筒状のプーリと、このプーリの径方向内側にこのプーリと同心に配置されたスリーブと、これらプーリの内周面とスリーブの外周面との間に設けられ、これらプーリとスリーブとの間に働くラジアル荷重を支承すると共にこれらプーリとスリーブとの相対回転を自在とする1対のサポート軸受と、これらプーリの内周面とスリーブの外周面との間でこれら1対のサポート軸受により挟まれた部分に設けられ、これらプーリとスリーブとが所定方向に相対回転する傾向となる場合にのみ、これらプーリとスリーブとの間で回転力の伝達を自在とする一方向クラッチとを備えた一方向クラッチ内蔵型プーリ装置に於いて、上記一方向クラッチを構成するクラッチ用内輪の内周面と、上記スリーブの外周面に設けられた凹部との間に、熱可塑性樹脂と熱可塑性エラストマーとのうちの少なくとも何れかを含む材料から成るクリープ防止層を形成した事を特徴とする一方向クラッチ内蔵型プーリ装置。
- プーリの内周面に設けられた凹部の底面が、このプーリの軸方向外側に向かう程直径が減少する方向に傾斜したテーパ面である、請求項1に記載した一方向クラッチ内蔵型プーリ装置。
- スリーブの外周面に設けられた凹部の底面が、このスリーブの軸方向外側に向かう程直径が増大する方向に傾斜したテーパ面である、請求項3に記載した一方向クラッチ内蔵型プーリ装置。
- プーリの内周面に設けられた凹部とこのプーリの軸方向端面とを、通孔により連通させた、請求項1に記載した一方向クラッチ内蔵型プーリ装置。
- スリーブの外周面に設けられた凹部とこのスリーブの軸方向端面とを、通孔により連通させた、請求項3に記載した一方向クラッチ内蔵型プーリ装置。
- 一方向クラッチを構成するクラッチ用外輪の外周面と、プーリの内周面に設けられた第二の凹部との間に、熱可塑性樹脂と熱可塑性エラストマーとのうちの少なくとも何れかを含む材料から成るクリープ防止層を形成しており、上記第二の凹部と、上記プーリの内周面で軸受用外輪の外周面と対向する部分に設けられた凹部とを通孔を介して連通させており、且つ、この凹部とこのプーリの軸方向端面とを通孔を介して連通させている、請求項1に記載した一方向クラッチ内蔵型プーリ装置。
- 一方向クラッチを構成するクラッチ用内輪の内周面と、スリーブの外周面に設けられた第二の凹部との間に、熱可塑性樹脂と熱可塑性エラストマーとのうちの少なくとも何れかを含む材料から成るクリープ防止層を形成しており、上記第二の凹部と、上記スリーブの内周面で軸受用内輪の外周面と対向する部分に設けられた凹部とを通孔を介して連通させており、且つ、この凹部と上記スリーブの軸方向端面とを通孔を介して連通させている、請求項3に記載した一方向クラッチ内蔵型プーリ装置。
- サポート軸受を構成する軸受用外輪の外周面及び軸受用内輪の内周面と、一方向クラッチを構成するクラッチ用外輪の外周面及びクラッチ用内輪の内周面とのうちの少なくとも何れかで、プーリの内周面又はスリーブの外周面に設けられた凹部と対向する部分に係合用凹部を設けた、請求項1〜10の何れかに記載した一方向クラッチ内蔵型プーリ装置。
- 凹部と第二の凹部と係合用凹部とのうちの少なくとも何れかを、当該凹部を設けた部材の円周方向又は軸方向に関して設けた、請求項1〜11の何れかに記載した一方向クラッチ内蔵型プーリ装置。
- 自動車用補機の回転軸に装着した状態で使用する、請求項1〜12の何れかに記載した一方向クラッチ内蔵型プーリ装置。
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JP2003174403A JP2005009583A (ja) | 2003-06-19 | 2003-06-19 | 一方向クラッチ内蔵型プーリ装置 |
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JP2003174403A Pending JP2005009583A (ja) | 2003-06-19 | 2003-06-19 | 一方向クラッチ内蔵型プーリ装置 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2009017057A1 (ja) * | 2007-07-30 | 2009-02-05 | Ntn Corporation | 樹脂プーリ付き軸受 |
JP2010159777A (ja) * | 2009-01-06 | 2010-07-22 | Nsk Ltd | 一方向クラッチ内蔵型プーリ装置 |
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- 2003-06-19 JP JP2003174403A patent/JP2005009583A/ja active Pending
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JP2010159777A (ja) * | 2009-01-06 | 2010-07-22 | Nsk Ltd | 一方向クラッチ内蔵型プーリ装置 |
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