JP2000240688A - ローラクラッチ - Google Patents

ローラクラッチ

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JP2000240688A
JP2000240688A JP11041165A JP4116599A JP2000240688A JP 2000240688 A JP2000240688 A JP 2000240688A JP 11041165 A JP11041165 A JP 11041165A JP 4116599 A JP4116599 A JP 4116599A JP 2000240688 A JP2000240688 A JP 2000240688A
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roller clutch
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clutch
pulley
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高速運転時にもばね31が直径方向外方に変
位するのを防止し、このばね31と外輪25との擦れ合
いに基づく摩擦熱による温度上昇を防止する。 【解決手段】 上記ばね31を構成する基部36の外周
縁と、クラッチ用保持器30に設けた係止突片37とを
係合させる。高速運転時に上記ばね31に加わる遠心力
よりも、このばね31を直径方向外方に変位させる為に
要する力が大きくなり、上記課題を解決できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明のローラクラッチは、
例えば自動車用の発電機であるオルタネータの回転軸の
端部外周面とこの回転軸を駆動する為のプーリの内周面
との間に設ける。そして、このプーリとエンジンのクラ
ンクシャフトの端部に固定した駆動プーリとの間に掛け
渡した無端ベルトの耐久性向上を図る等する。
【0002】
【従来の技術】自動車の駆動用エンジンを駆動源とし
て、自動車に必要な発電を行なうオルタネータの構造
が、例えば特開平7−139550号公報に記載されて
いる。図10は、この公報に記載されたオルタネータ1
を示している。ハウジング2の内側に回転軸3を、1対
の転がり軸受4、4により、回転自在に支持している。
この回転軸3の中間部には、ロータ5と整流子6とを設
けている。又、この回転軸3の一端部(図10の右端
部)で上記ハウジング2外に突出した部分には、プーリ
7を固定している。エンジンへの組み付け状態では、こ
のプーリ7に無端ベルトを掛け渡し、エンジンのクラン
クシャフトにより、上記回転軸3を回転駆動自在とす
る。
【0003】上記プーリ7として従来一般的には、単に
上記回転軸3に固定しただけのものを使用していた。こ
れに対して近年、無端ベルトの走行速度が一定若しくは
上昇傾向にある場合には、無端ベルトから回転軸への動
力の伝達を自在とし、無端ベルトの走行速度が低下傾向
にある場合には、プーリと回転軸との相対回転を自在と
する、オルタネータ用ローラクラッチ内蔵型プーリ装置
が各種提案され、一部で使用されている。例えば、特開
昭56−101353号公報、特開平7−317807
号公報、同8−61443号公報、同8−226462
号公報、特公平7−72585号公報、フランス特許公
報FR2726059A1等に、上述の様な機能を有す
るオルタネータ用ローラクラッチ内蔵型プーリ装置が記
載されている。
【0004】図11は、このうちの特開平8−2264
62号公報に記載されているオルタネータ用ローラクラ
ッチ内蔵型プーリ装置を示している。このオルタネータ
用ローラクラッチ内蔵型プーリ装置は、回転軸3に外嵌
固定自在なスリーブ8を有する。そして、このスリーブ
8の周囲にプーリ7aを、このスリーブ8と同心に配置
している。そして、これらスリーブ8の外周面とプーリ
7aの内周面との間に、1対のサポート軸受9、9と、
本発明の対象となるローラクラッチ10とを設けてい
る。このうちのサポート軸受9、9は、上記プーリ7a
に加わるラジアル荷重を支承しつつ、上記スリーブ8と
プーリ7aとの相対回転を自在とする。又、上記ローラ
クラッチ10は、上記プーリ7aが上記スリーブ8に対
して所定方向に相対回転する傾向となる場合にのみ、こ
のプーリ7aからスリーブ8への回転力の伝達を自在と
する。
【0005】上記ローラクラッチ10を構成し、上記ス
リーブ8に外嵌固定した、請求項に記載した内側部材に
相当する内輪11の中間部外周面には、ランプ部と呼ば
れる複数の凹部12、12を、円周方向に亙って等間隔
に形成し、上記中間部外周面をカム面13としている。
又、上記内輪11の両端部外周面は、上記各サポート軸
受9、9の為の内輪軌道14、14としている。これに
対して、上記ローラクラッチ10を構成し、上記プーリ
7aに内嵌固定した、請求項に記載した外側部材に相当
する外輪15の内周面は、ほぼ全長に亙り単なる円筒面
としている。又、これら内輪11及び外輪15と共に上
記ローラクラッチ10を構成する複数個のローラ16、
16は、請求項に記載した保持器に相当するクラッチ用
保持器17に、転動及び円周方向に亙る若干の変位自在
に支持している。そして、このクラッチ用保持器17に
設けた柱部33(本発明の実施の形態を示す図2〜4参
照)と上記各ローラ16、16との間にばね31(図2
〜4参照)を設けて、これら各ローラ16、16を、円
周方向に関して同方向に弾性的に押圧している。
【0006】これら各ローラ16、16の外径D16(寸
法表示に就いては図2参照)は、上記各凹部12、12
を形成した部分での、上記内輪11の外周面と外輪15
の内周面との間隔Dよりも小さく、上記各凹部12、1
2から円周方向に外れた部分での上記内輪11の外周面
と外輪15の内周面との間隔dよりも大きい(D>D 16
>d)。この為、上記各ローラ16、16は、上記各ば
ね31により、上記各凹部12、12の端部に於いて、
上記内輪11の外周面と外輪15の内周面との間にくさ
び状に食い込む傾向になる。従って、上記内輪11に対
して外輪15が、上記各ばね31が上記各ローラ16、
16を押圧するのと同方向に回転する場合には、これら
各ローラ16、16が上記両周面同士の間に食い込み、
上記内輪11と外輪15とを同期して回転させる。これ
に対して、上記内輪11に対して外輪15が、上記各ば
ね31が上記各ローラ16、16を押圧するのと反対方
向に回転する場合には、これら各ローラ16、16が上
記各凹部12、12部分に位置して当該部分で転動し、
上記内輪11と外輪15との間で回転力の伝達が行なわ
れない様にする。
【0007】上述の様なローラクラッチを内蔵したプー
リ装置を、オルタネータ1(図100)の駆動の為に使
用する理由は、次の通りである。例えば、前記駆動用エ
ンジンがディーゼルエンジンであった場合、アイドリン
グ時等、低回転時にはクランクシャフトの回転角速度の
変動が大きくなる。この結果、上記クランクシャフトの
端部に固定した駆動プーリに掛け渡した図示しない無端
ベルトの走行速度も細かく変動する事になる。一方、こ
の無端ベルトによりプーリ7aを介して回転駆動される
オルタネータ1(図10)の回転軸3は、この回転軸3
並びにこの回転軸3に固定したロータ5及び整流子6
(図10)等の慣性質量に基づき、それ程急激には変動
しない。従って、上記プーリ7aを回転軸3に対し単に
固定した場合には、クランクシャフトの回転角速度の変
動に伴い、上記無端ベルトとプーリ7aとが両方向に擦
れ合う傾向となる。この結果、このプーリ7aと擦れ合
う無端ベルトに、繰り返し異なる方向の応力が作用し
て、この無端ベルトとプーリ7aとの間に滑りが発生し
易くなったり、或はこの無端ベルトの寿命が短くなった
りする原因となる。
【0008】又、上述の様なプーリ7aの外周面と無端
ベルトの内周面との摩擦に基づく無端ベルトの寿命低下
は、走行時に加減速を繰り返す事によっても生じる。即
ち、加速時には無端ベルト側からプーリ7a側に駆動力
が伝達されるのに対し、減速時には上述の様に慣性に基
づいて回転し続けようとするプーリ7aに、上記無端ベ
ルトから制動力が作用する。この制動力と上記駆動力と
は、上記無端ベルトの内周面に対して逆方向の摩擦力と
して作用するので、やはり上記無端ベルトの寿命低下の
原因となる。特に、トラックの様に排気ブレーキを備え
た車両の場合には、アクセルオフ時に於けるクランクシ
ャフトの回転低下の減速度が著しく、上記制動力に基づ
いて上記無端ベルトの内周面に加わる摩擦力が大きくな
る結果、上記寿命低下が著しい。
【0009】そこで、上述の様なプーリ7aとして、上
記オルタネータ用ローラクラッチ内蔵型プーリ装置を使
用する事により、上記無端ベルトの走行速度が一定若し
くは上昇傾向にある場合には、上記プーリ7aから回転
軸3への回転力の伝達を自在とし、反対に上記無端ベル
トの走行速度が低下傾向にある場合には、これらプーリ
7aと回転軸3との相対回転を自在とする。即ち、上記
無端ベルトの走行速度が低下傾向にある場合には、上記
プーリ7aの回転角速度を上記回転軸3の回転角速度よ
りも遅くして、上記無端ベルトとプーリ7aとの当接部
が強く擦れ合う事を防止する。この様にして、プーリ7
aと無端ベルトとの擦れ合い部に作用する応力の方向を
一定にし、この無端ベルトとプーリ7aとの間に滑りが
発生したり、或はこの無端ベルトの寿命が低下する事を
防止する。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】オルタネータ用ローラ
クラッチ内蔵型プーリ装置の使用時にローラクラッチ1
0の構成各部品は高速で回転する。特に、近年はオルタ
ネータ1の発電効率を高める為、このオルタネータ1の
回転軸3を高速で回転させる傾向になり、この回転軸3
の回転速度はエンジンのクランクシャフトの回転速度よ
りも遥かに速い場合が多くなり、上記ローラクラッチ1
0の構成各部品に加わる遠心力が大きくなっている。例
えば、近年は上記回転軸3の回転速度が最大で2万r.p.
m.に達するものもあり、今後更に高速化する可能性があ
る。
【0011】この様な事情に拘らず、従来構造の場合に
は、各ローラ16、16を押圧する為のばね31をクラ
ッチ用保持器17に対し、このクラッチ用保持器17の
直径方向外方から差し込む状態で装着しているだけであ
った。この為、高速運転時に上記各ばね31が直径方向
外方に、これら各ばね31の外周縁と外輪15の内周面
とが当接するまで変位する可能性があった。これら各ば
ね31がこの様な状態にまで変位し、しかも内輪11と
共に回転するこれら各ばね31に対して外輪15が相対
回転する、所謂オーバラン状態になった場合には、これ
ら各ばね31の外周縁と外輪15の内周面とが擦れ合
う。この擦れ合いの結果、摩擦熱が発生し、ローラクラ
ッチ10内に封入したグリースが劣化したり、或は合成
樹脂製のクラッチ用保持器17が変形する等して、耐久
性を含む、上記ローラクラッチ10の性能が劣化する可
能性がある。本発明のローラクラッチは、この様な事情
に鑑みて発明したものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明のローラクラッチ
は、従来から知られているローラクラッチと同様に、内
側部材と、保持器と、外側部材と、複数本のローラと、
複数個のばねとを備える。このうちの内側部材は、外周
面の複数個所に凹部を形成する事によりこの外周面をカ
ム面としている。又、保持器は、上記内側部材の外径側
に、この内側部材に対する回転を阻止した状態で外嵌支
持されている。又、外側部材は、上記保持器の外径側に
上記内側部材と同心に設けられたもので、内周面を円筒
状の軌道面としている。又、上記各ローラは、上記各凹
部を形成した部分での上記内側部材の外周面と外側部材
の内周面との間隔よりも小さく、上記各凹部から円周方
向に外れた部分での上記内側部材の外周面と外側部材の
内周面との間隔よりも大きい外径を有し、上記各凹部の
外径側部分でこれら内側部材の外周面と外側部材の内周
面との間に設けられている。更に、上記各ばねは、上記
保持器に係止された状態でこれら各ローラと保持器との
間に設けられ、これら各ローラを、上記各凹部から外れ
る方向に、円周方向に関して同方向に押圧する。
【0013】特に、本発明のローラクラッチに於いて
は、これら各ばねの重心と上記内側部材及び外側部材の
中心との距離であるこれら各ばねの回転半径をR[m]
とし、これら各ばねの質量をW[kg]とし、ローラクラ
ッチの最高使用回転速度をn[r.p.m.]とし、上記各ば
ねを上記保持器に対して、この保持器の直径方向外方に
引き抜く為に要する荷重をF[N]とした場合に、W・
R・(2π・n/60) 2 <Fを満たす。この為に例え
ば、上記各ばねと保持器との間に、これら各ばねが保持
器の直径方向外方に変位する事を阻止する為の係止部を
設ける。
【0014】
【作用】上述の様に構成する本発明のローラクラッチ
が、内側部材と外側部材との間で一方向の回転伝達を行
なう際の作用は、従来から広く知られているローラクラ
ッチの場合と同様である。特に、本発明のローラクラッ
チの場合には、高速運転時に各ばねに加わる遠心力に拘
らず、これら各ばねが保持器の直径方向外方に変位する
事がない。この為、内側部材と外側部材との相対回転時
にも、上記各ばねの外周縁と外側部材の内周面とが擦れ
合う事がなく、運転時に温度が異常に上昇する事を防止
できる。
【0015】
【発明の実施の形態】図1〜5は、本発明の実施の形態
の第1例として、本発明のローラクラッチをオルタネー
タ用ローラクラッチ内蔵型プーリ装置に組み込んだ状態
を示している。スリーブ8aは、全体を円筒状に形成し
ており、オルタネータの回転軸3(図10〜11参照)
の端部に外嵌固定して、この回転軸3と共に回転自在で
ある。この為に図示の例では、上記スリーブ8aの中間
部内周面に雌スプライン部20を形成し、この雌スプラ
イン部20と上記回転軸3の端部外周面に形成した雄ス
プライン部(図示省略)とを係合自在としている。尚、
上記回転軸3とスリーブ8aとの相対回転を防止する為
の構造は、スプラインに代えて、ねじ、或は非円筒面同
士の嵌合、キー係合等としても良い。
【0016】上述の様なスリーブ8aの周囲にはプーリ
7bを、このスリーブ8aと同心に配置している。そし
て、これらスリーブ8aの外周面とプーリ7bの内周面
との間に、それぞれがラジアルころ軸受である1対のサ
ポート軸受9a、9aと、ローラクラッチ10aとを設
けている。このうちのローラクラッチ10aを構成する
為、上記スリーブ8aの中間部外周面に、請求項に記載
した内側部材に相当するローラクラッチ用内輪21を、
締まり嵌めにより外嵌固定している。このローラクラッ
チ用内輪21は、軸受鋼等の硬質金属製の板材又はSC
M415等の浸炭鋼の板材により全体を円筒状に形成
し、外周面には複数の凹部12、12を円周方向に亙り
等間隔で形成して、この外周面をカム面13としてい
る。
【0017】又、上記各サポート軸受9a、9aを構成
する為、上記スリーブ8aの両端部外周面には、それぞ
れ内輪22、22を、締まり嵌めにより外嵌固定してい
る。やはり、軸受鋼等の硬質金属製の板材又はSCM4
15等の浸炭鋼の板材により造った、これら各内輪2
2、22は、それぞれ円筒部24の一端縁に外向フラン
ジ状の内輪側鍔部23を形成する事により、断面L字形
で全体を円筒状に形成している。この様な各内輪22、
22は、上記内輪側鍔部23を互いに反対側に位置させ
た状態で上記スリーブ8aに外嵌し、それぞれの先端縁
を上記ローラクラッチ用内輪21の軸方向両端縁に突き
当てている。又、上記プーリ7bの外周面は、幅方向に
亙る断面形状を波形として、ポリVベルトと呼ばれる無
端ベルトの一部を掛け渡し自在としている。
【0018】一方、上記プーリ7bの中間部には外輪2
5を、締まり嵌めにより内嵌固定している。この外輪2
5は、前記ローラクラッチ10aの外輪としてだけでな
く、上記各サポート軸受9a、9aの外輪としても機能
するもので、やはり軸受鋼等の硬質金属製の板材又はS
CM415等の浸炭鋼の板材にプレス加工を施す等によ
り、全体を円筒状に形成している。この様な外輪25の
軸方向両端縁に、それぞれ内向フランジ状の外輪側鍔部
26a、26bを形成している。尚、これら両外輪側鍔
部26a、26bのうち、一方(図1の左方)の外輪側
鍔部26aは、他の構成各部材と組み合わせる以前に形
成する為、上記外輪25の本体部分と同様の厚さ寸法を
有する。これに対して、他方(図1の右方)の外輪側鍔
部26bは、他の構成各部材と組み合わせた後に形成す
る為、薄肉にしている。
【0019】上記両外輪側鍔部26a、26bの外側面
は、上記各内輪22、22を構成する内輪側鍔部23の
内側面に、それぞれフローティングワッシャ27を介し
て対向させている。従って、前記スリーブ8aと上記プ
ーリ7bとが軸方向にずれる事はない。又、上記外輪2
5の両端部で上記各外輪側鍔部26a、26bの内側部
分に内嵌したシールリング28、28を構成するシール
リップの内周縁を、上記各内輪22、22の中間部外周
面に摺接させている。従って、前記各サポート軸受9
a、9a及び上記ローラクラッチ10aを設置した内部
空間29内に異物が進入したり、或はこの内部空間29
内に封入したグリースが外部に漏洩する事はない。
【0020】又、上記ローラクラッチ10aは、上記外
輪25の中間部内周面と上記ローラクラッチ用内輪21
の外周面とを含んで構成している。即ち、上記外輪25
の中間部内周面と上記ローラクラッチ用内輪21の外周
面との間に、請求項に記載した保持器に相当するクラッ
チ用保持器30と、それぞれ複数ずつのローラ16、1
6及びばね31、31とを設けている。このうちのクラ
ッチ用保持器30は、合成樹脂により籠型円筒状に一体
形成したもので、それぞれが円輪状である1対のリム部
32、32と、これら両リム部32、32の内側面内周
縁寄り部分同士を連結する柱部33、33とを備える。
上記両リム部32、32の内側面でこれら各柱部33、
33の円周方向中間部に整合する部分には、それぞれ両
端側支持板部34、34を、上記各柱部33、33の外
周側面から直径方向外方に突出する状態で形成してい
る。これに対して、上記各柱部33、33の中央部に
は、それぞれ中央側支持板部35を、これら各柱部3
3、33の外周側面から直径方向外方に突出する状態で
形成している。この様な両端側支持板部34、34と中
央側支持板部35とは、円周方向に亙って少しずらせた
状態で設けており、両端側支持板部34、34の円周方
向片側面(図2〜3の左側面、図4の上面)と中央側支
持板部35の円周方向他側面(図2〜3の右側面、図4
の下面)との間に、上記各ばね31、31の基部36を
挟持自在としている。
【0021】更に、上記各中央側支持板部35、35の
先端部には、これら各中央側支持板部35、35の他側
面側に突出する係止突片37を形成して、上記各ばね3
1、31の基部36の外周縁と係合自在としている。
尚、上記各中央側支持板部35、35の先端面には断面
V字形の凹溝38を、上記係止突片37に沿って形成し
ている。この凹溝38は、この係止突片37を有する上
記クラッチ用保持器30を、合成樹脂により一体成形す
る為に設ける。即ち、このクラッチ用保持器30は、射
出成形用の金型として、複数の金型素子39(図5)が
直径方向に変位しつつ分離する、所謂ラジアルドローに
より造るが、上記凹溝38を設ける事により、上記係止
突片37の一体形成を可能にしている。この係止突片3
7を有する上記中央側支持板部35を射出成形後、上記
金型素子39は、図5に鎖線で示す様にこの中央側支持
板部35に対し直径方向外方に変位する。この際、上記
凹溝38の存在に基づき、上記係止突片37が変形し
て、上記金型素子39の変位を容易に、且つ成形された
ばかりの係止突片37を破損する事なく行なえる様にし
ている。尚、射出成形用の金型として、複数の金型素子
を円周方向に変位させた後、更に直径方向に変位させる
構造を採用すれば、上記凹溝38を形成する必要はなく
なるが、各金型素子の分割面が多く金型の構造が複雑化
してコストが嵩む。但し、上記係止突片37を変形させ
る事なく、成形後のクラッチ用保持器30と金型とを分
離できるので、上記係止突片37の形状及び寸法を所望
通りに正確に仕上げる事ができる。
【0022】上記各ばね31、31は、上述の様な係止
突片37を有する上記中央側支持板部35と前記両端側
支持板部34、34との間に、図2〜4に示す様に装着
している。即ち、上記基部36の両端部を円周方向に関
して同方向に鋭角に折り曲げて、両端部に押圧部40、
40を設けて成る、上記各ばね31、31は、上記両端
側支持板部34、34の円周方向片側面に上記基部36
の両端部片側面を、上記中央側支持板部35の円周方向
他側面にこの基部36の中央部他側面を、それぞれ弾性
的に当接させる事により、上記クラッチ用保持器30の
円周方向複数個所に係止している。又、この状態で上記
基部36の中央部外周縁は、上記係止突片37と係合す
る。従って、上記基部36を上記クラッチ用保持器30
の直径方向外方に変位させる為には、この基部36の中
央部を上記係止突片37から離れる方向に弾性変形させ
つつ、上記両端側支持板部34、34の円周方向片側面
と上記基部36の両端部片側面とを滑らせるか、或は上
記係止突片37を剪断破断する必要がある。
【0023】この様にして上記基部36を上記クラッチ
用保持器30の直径方向外方に変位させる為に要する力
F[N]は大きく、このクラッチ用保持器30の使用状
態で考えられる回転速度範囲では、上記各ばね31がこ
のクラッチ用保持器30の直径方向外方に変位する事は
ない。即ち、これら各ばね31の重心と前記ローラクラ
ッチ用内輪21及び外輪25の中心との距離である、こ
れら各ばね31の回転半径をR[m]とし、これら各ば
ね31、31の質量をW[kg]とし、前記ローラクラッ
チ10aの最高使用回転速度をn[r.p.m.]とした場合
に、上記各ばね31、31に作用する遠心力の最大値は
W・R・(2π・n/60)2 となる。本例の場合、上
記係止突片37を形成する事により、上記力Fを大きく
しているので、W・R・(2π・n/60)2 <Fなる
条件を余裕を持って満たす事ができる。従って、前記ス
リーブ8aに外嵌固定したローラクラッチ用内輪21
と、前記プーリ7bに内嵌固定した外輪25との相対回
転時にも、この外輪25の内周面と上記各ばね31、3
1の外周縁とが擦れ合う事がなく、運転時に温度が異常
に上昇する事を防止できる。
【0024】尚、オーバラン時には、前記各ローラ1
6、16が円周方向に動いて、上記各ばね31、31を
構成する押圧部40、40を円周方向に押し、これら各
ばね31、31を撓ませる。そして、これら各ばね3
1、31を構成する基部36の中央部は、上記クラッチ
用保持器30に設けた前記中央側支持板部35から離れ
る方向(上記各押圧部40、40と反対側面が凸面とな
る方向)に、僅かに弾性変形する。この様な状態でも上
記基部36の外周縁と前記係止突片37との係合が外れ
ない様にする為、上記中央側支持板部35からのこの係
止突片37の円周方向に亙る突出量は、0.2〜0.4
mm程度の、余裕のある値にする事が好ましい。
【0025】又、上記クラッチ用保持器30は、その内
周面に形成した各突片41、41を上記ローラクラッチ
用内輪21のカム面13を構成する凹部12、12に係
合させて、このローラクラッチ用内輪21に対する相対
回転を阻止している。この状態で上記各ばね31、31
は、上記各ローラ16、16を円周方向に関して同方向
に押圧している。
【0026】上述した様なローラクラッチ10aを構成
する、上記各ローラ16、16は、前記スリーブ8aに
外嵌固定した上記ローラクラッチ用内輪21と、前記プ
ーリ7bに内嵌固定した外輪25とが所定方向に相対回
転する場合には、これらローラクラッチ用内輪21の外
周面と外輪25の内周面との間の隙間のうち、上記各凹
部12、12が浅くなった部分に位置し、直径方向に亙
る幅が狭くなった部分にくさび状に食い込み、これらロ
ーラクラッチ用内輪21と外輪25との間で回転力の伝
達を行なわせる。これに対して、上記ローラクラッチ用
内輪21と上記外輪25とが逆方向に相対回転する場合
に上記各ローラ16、16は、上記隙間のうち、上記各
凹部12、12が深くなった部分に位置し、直径方向に
亙る幅が広くなった部分に移動して当該部分で転動自在
となり、これらローラクラッチ用内輪21と外輪25と
の間で回転力の伝達を行なわせない。尚、この様なロー
ラクラッチ10aの構成及び作用は、従来から広く知ら
れており、本発明の要旨でもない為、詳しい説明は省略
する。
【0027】又、上記各サポート軸受9a、9aは、前
記各内輪22、22と上記外輪25の軸方向両端部寄り
部分とを含んで構成している。即ち、上記各内輪22、
22の外周面と上記外輪25の軸方向両端部寄り部分の
内周面との間に、それぞれ合成樹脂により籠型円筒状に
形成された軸受用保持器42、42と、この軸受用保持
器42、42により転動自在に保持された複数のころ1
8、18とを配置して、ラジアル円筒ころ軸受を構成し
ている。
【0028】次に、図6〜7は、本発明の実施の形態の
第2例を示している。本例の場合には、各ばね31がク
ラッチ用保持器30aの直径方向外方に変位するのを阻
止する為の係止突片37a、37aを、各両端側支持板
部34、34の先端部の円周方向片側面側に形成してい
る。そして、上記両係止突片37a、37aと上記各ば
ね31を構成する基部36の両端部外周縁とを係合させ
ている。尚、本例の場合には、オーバラン時に各ローラ
16が上記各ばね31を撓ませても、これら各ばね31
を構成する基部36と上記各係止突片37a、37aと
が離れる傾向にはならない。従って、上記各両端側支持
板部34、34からの上記各係止突片37a、37aの
突出量を、余裕を持たせた値にする必要はない。従っ
て、これら各係止突片37a、37aを含む、上記クラ
ッチ用保持器30aの形成作業が容易になる。その他の
構成及び作用は、上述した第1例の場合と同様であるか
ら、重複する図示並びに説明は省略若しくは簡略にす
る。
【0029】次に、図8〜9は、本発明の実施の形態の
第3例を示している。本例の場合には、ばね31aを構
成する基部36の中央部内周縁に、この基部36の両端
部に形成した押圧部40と同方向に折れ曲がった係止板
部43を形成している。一方、クラッチ用保持器30b
を構成する各柱部33、33の中間部で円周方向片半部
には、上記係止板部43が進入自在な切り欠き44を形
成している。この切り欠き44の奥端は、上記各柱部3
3、33の中央部に形成した中央側支持板部35、35
の根本部分に達している。上記ばね31aを構成する基
部36を、前述した第1例及び上述した第2例と同様に
して、上記中央側支持板部35と両端側支持板部34、
34との間に装着した状態では、上記係止板部43が上
記切り欠き44の奥端部に於いて、上記各柱部33の内
周側面と係合する。そして、上記ばね31aが、遠心力
程度の力で上記クラッチ用保持器30bの直径方向外方
に変位しない様にする。その他の構成及び作用は、前述
した第1例及び上述した第2例の場合と同様であるか
ら、重複する図示並びに説明は省略若しくは簡略にす
る。
【0030】
【発明の効果】本発明のローラクラッチは、以上に述べ
た通り構成され作用するので、運転時の発熱を抑えて、
高速運転した場合でも、耐久性、信頼性等の性能を十分
に確保できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の第1例を示す半部断面
図。
【図2】ローラクラッチのみを取り出した状態で示す、
図1の拡大A−A断面図。
【図3】クラッチ用保持器及びばねのみを取り出した状
態で示す部分斜視図。
【図4】同じく外周側から見た図。
【図5】クラッチ用保持器の射出成形時の状態を示す、
図2のB部に相当する図。
【図6】本発明の実施の形態の第2例を示す、図3と同
様の図。
【図7】同じく図4と同様の図。
【図8】本発明の実施の形態の第3例を示す、図3と同
様の図。
【図9】ばねの斜視図。
【図10】従来から知られているオルタネータの1例を
示す断面図。
【図11】従来構造の1例を示す部分断面図。
【符号の説明】
1 オルタネータ 2 ハウジング 3 回転軸 4 転がり軸受 5 ロータ 6 整流子 7、7a、7b プーリ 8、8a スリーブ 9、9a サポート軸受 10、10a ローラクラッチ 11 内輪 12 凹部 13 カム面 14 内輪軌道 15 外輪 16 ローラ 17 クラッチ用保持器 18 ころ 20 雌スプライン部 21 ローラクラッチ用内輪 22 内輪 23 内輪側鍔部 24 円筒部 25 外輪 26a、26b 外輪側鍔部 27 フローティングワッシャ 28 シールリング 29 内輪空間 30、30a、30b クラッチ用保持器 31、31a ばね 32 リム部 33 柱部 34 両端側支持板部 35 中央側支持板部 36 基部 37、37a 係止突片 38 凹溝 39 金型素子 40 押圧部 41 突片 42 軸受用保持器 43 係止板部 44 切り欠き

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 外周面の複数個所に凹部を形成する事に
    よりこの外周面をカム面とした内側部材と、この内側部
    材の外径側に、この内側部材に対する回転を阻止した状
    態で外嵌支持された保持器と、この保持器の外径側に上
    記内側部材と同心に設けられた、内周面を円筒状の軌道
    面とした外側部材と、上記各凹部を形成した部分での上
    記内側部材の外周面と外側部材の内周面との間隔よりも
    小さく、上記各凹部から円周方向に外れた部分での上記
    内側部材の外周面と外側部材の内周面との間隔よりも大
    きい外径を有し、上記各凹部の外径側部分でこれら内側
    部材の外周面と外側部材の内周面との間に設けられた複
    数本ローラと、上記保持器に係止された状態でこれら各
    ローラと保持器との間に設けられ、これら各ローラを、
    上記各凹部から外れる方向に、円周方向に関して同方向
    に押圧する複数個のばねとを備えたローラクラッチに於
    いて、これら各ばねの重心と上記内側部材及び外側部材
    の中心との距離であるこれら各ばねの回転半径をR
    [m]とし、これら各ばねの質量をW[kg]とし、ロー
    ラクラッチの最高使用回転速度をn[r.p.m.]とし、上
    記各ばねを上記保持器に対して、この保持器の直径方向
    外方に引き抜く為に要する荷重をF[N]とした場合
    に、W・R・(2π・n/60)2<Fを満たす事を特
    徴とするローラクラッチ。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005337436A (ja) * 2004-05-28 2005-12-08 Ntn Corp 一方向クラッチ
CN108757724A (zh) * 2018-08-18 2018-11-06 苏州金诚轴承有限公司 一种悬挂高速使用的单向轴承

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JP4494086B2 (ja) * 2004-05-28 2010-06-30 Ntn株式会社 一方向クラッチ
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