JP2005009198A - 回転圧入杭装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】杭の周囲への圧密効果が得られ、掘削効率に優れる回転圧入杭装置を提供する。
【解決手段】フランジ状の拡底板12に開口部13を形成し、この開口部13は先端部分3の直径方向線分Sとほぼ平行で回転方向側に位置する。開口部13の回転方向側の縁部13Aには、逆回転方向側上方に伸びる上刃14を設けるとともに、該開口部13の逆回転方向側の縁部13Bには、回転方向側下方へ延びる下刃15を設ける。開口部13が先端部分3の直径方向線分Sとほぼ平行で回転方向側に位置するから、上刃14及び下刃15が回転方向側に位置し、先端部分3が回転すると、直径位置より前側で上刃14及び下刃15が土を押すこととになり、この押す力により土を外周方向に押す力が得られ、周囲の圧密効果が向上する。
【選択図】 図1
【解決手段】フランジ状の拡底板12に開口部13を形成し、この開口部13は先端部分3の直径方向線分Sとほぼ平行で回転方向側に位置する。開口部13の回転方向側の縁部13Aには、逆回転方向側上方に伸びる上刃14を設けるとともに、該開口部13の逆回転方向側の縁部13Bには、回転方向側下方へ延びる下刃15を設ける。開口部13が先端部分3の直径方向線分Sとほぼ平行で回転方向側に位置するから、上刃14及び下刃15が回転方向側に位置し、先端部分3が回転すると、直径位置より前側で上刃14及び下刃15が土を押すこととになり、この押す力により土を外周方向に押す力が得られ、周囲の圧密効果が向上する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、建築又は土木構造物の基礎となる地盤部分の補強を行うために使用する回転圧入杭装置に関するものである。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】
従来、この種のものとして、内部にトルク伝達装置が連結される連結部を有し、先端部又は外周に翼が取付けられた短管からなる先端部材と、先端部が前記先端部材の短管に回転自在に嵌合又は連結される鋼管とによって構成し、トルク伝達装置がトルク伝達可能かつ着脱可能に連結部に連結され、前記翼を、平板状の鋼製翼又は螺旋状翼とした翼付きねじ込み式鋼管杭及びその施工方法(例えば特許文献1)がある。また、中空パイルを用いるもので、回転ロッドを着脱可能にしたものがある(例えば特許文献2)。
【0003】
しかしながら、上記翼付きねじ込み式鋼管杭では、鋼管杭本体の側面の未掘削土砂と鋼管杭本体の側面全体及び翼の螺旋面全体とから生じる摩擦抗力が、掘削深度に比例して増大することになり、また、鋼管杭本体の体積に相当する土砂を回転力により圧密する機構がないため、その施工には大きな押圧力と鋼管杭を回転させるために強大なトルクとそれらの動力エネルギーが必要となる欠点があった。このため、N値(地盤の強さを示す指標の一つ。)の高い硬質地盤に対する施工は困難なものとなり、施工費の増大を招いていた。
【0004】
このような問題を解決したものとして、先端に掘削刃を有し、軸回転により掘削貫入される鋼管杭であって、該鋼管杭の下端の外周にフランジ状の拡底板を形成し、該拡底板の1ヶ所以上に、所定の挟角をもった2本の半径方向線が交わる鋼管杭の外周点を回転軸として、該2本の半径方向線をそれぞれ鋼管杭の逆回転方向へ所定の角度だけ回転させてなる線分の間を切欠いて逃し開口を形成し、かつ、該逃し開口の正回転方向側の縁部には、所定の傾斜角で逆回転側上方へ延びる上刃を取り付けると共に、該逃し開口の逆回転方向側の縁部には、所定の傾斜角で正回転側下方へ延びる下刃を取り付けてなり、掘削刃を、中心から放射状に延びる1又は2以上の刃体で構成し回転貫入鋼管杭(例えば特許文献3)がある。この回転貫入鋼管杭では、鋼管杭の軸回転により掘削される土砂を、鋼管杭の外周側方へ積極的にかつ強制的に排出させて圧密させることにより、より小さな軸回転の駆動エネルギーでより高いN値の地盤への効率的な貫入性を確保することが可能であるばかりでなく、従来の回転埋設する鋼管杭の特徴である無排出土、低振動、低騒音を実現している。
【0005】
【特許文献1】
特開平11−303069号公報
【特許文献2】
特開2002−81059号公報
【特許文献3】
特開2003−27475号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記回転貫入鋼管杭では、鋼管杭の軸回転により掘削される土砂を、鋼管杭の外周側方へ積極的にかつ強制的に排出させて圧密させることにより、より小さな軸回転の駆動エネルギーでより高いN値の地盤への効率的な貫入性を確保することが可能であるばかりでなく、従来の回転埋設する鋼管杭の特徴である無排出土、低振動、低騒音を実現している。
【0007】
ところで、前記のような回転貫入鋼管杭では、拡底板を大きくすることにより、大きな支持力を得ることができる。しかし、拡底板は、杭の軸芯と垂直に設けられたものであり、該拡底板を大径に形成すると、拡底板の外周と周囲との回転抵抗が大になることが予想される。さらに、施工時に更に周囲の圧密効果を高めることのできる杭装置が望まれている。
【0008】
また、前記回転貫入鋼管杭では、掘削性の向上を図るために先端に掘削刃を設けているが、この掘削刃は他の部分に比べて強度が要求され、コストの掛かる部分であるが、杭と共に埋設されるため、再利用することができない。一方、前記翼付きねじ込み式鋼管杭は、杭を埋設した後、トルク伝達装置を引き上げて次の杭の施工に用いることはできるが、翼などの先端部分は杭と共に地中に残り、再利用することができない。
【0009】
そこで、本発明は、このような問題点を解決しようとするもので、杭の周囲への圧密効果が得られ、掘削効率に優れる回転圧入杭装置を提供することを目的とし、また、先端部分の掘削刃を再利用することができ、コストダウンが可能な回転圧入杭装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、先端部分に掘削刃を有し、軸回転により掘削圧入される回転圧入杭装置において、前記先端部分の外周にフランジ状の拡底板を形成し、この拡底板の1箇所以上に開口部を形成し、この開口部は、回転方向側の縁部と逆回転方向側の縁部とがほぼ平行に形成され、前記開口部の回転方向側の縁部には、逆回転方向側上方に伸びる上刃を設けるとともに、該開口部の逆回転方向側の縁部には、回転方向側下方へ延びる下刃を設け、前記開口部は、前記先端部分の直径方向線分に対して傾斜しているものである。
【0011】
この請求項1の構成によれば、掘削刃や拡底板の下刃により掘削軟化した掘削土砂は、拡底板の開口部より拡底板の上方及び側方に排出されると共に、拡底板の上刃により側方周辺に排出される。特に、開口部が前記先端部分の直径方向線分に対して傾斜しているから、上刃及び下刃が回転方向側に位置し、先端部分が回転すると、直径位置より前側で上刃及び下刃が土を押すこととになり、この押す力により土を外周方向に押す力が得られ、杭外周囲の圧密効果が向上する。
【0012】
また、請求項2の発明は、前記上刃の上縁を前記開口部の回転方向側の縁部とほぼ平行に形成し、前記下刃の下縁を前記開口部の逆回転方向側の縁部とほぼ平行に形成したものである。
【0013】
この請求項2の構成によれば、縁部がそれぞれ平行であるから、土を周囲に押す力を効率よく得ることができる。
【0014】
また、請求項3の発明は、前記上刃及び下刃の外周を、前記拡底板の外周より外側に突出したものである。
【0015】
この請求項3の構成によれば、上刃及び下刃の外周のみが拡底板の外周より外側に位置するから、回転時に傾斜した上刃及び下刃の外周が主として抵抗を受け、軸芯と交差方向の拡底板の外周が受ける抵抗が軽減される。すなわち、回転掘削時には、上刃及び下刃及び拡底板の摩擦抵抗が大となるから、上刃及び下刃の外周のみを外側に突出させることにより、摩擦抵抗の大きい部分が面から線になり所要トルクが小さく済む。
【0016】
また、請求項4の発明は、前記上刃及び下刃の外周は、前記先端部分の軸芯を中心とする仮想円柱面にほぼ沿って設けられているものである。
【0017】
この請求項4の構成によれば、上刃及び下刃の外周がほぼ円弧状をなすから、回転抵抗を押えることができる。
【0018】
また、請求項5の発明は、一対の前記掘削刃を備え、これら一対の掘削刃は、前記先端部分の直径方向線分とほぼ平行で回転方向側に位置するものである。
【0019】
この請求項5の構成によれば、先端の掘削刃が、前記先端部分の直径方向線分とほぼ平行で回転方向側に位置するから、先端部分が回転すると、直径位置より前で掘削刃が土を押すこととになり、この押す力により土を外周方向に押す力が得られ、周囲の圧密効果が向上する。
【0020】
また、請求項6の発明は、前記先端部分は、杭本体を接続する接続部に前記拡底板を設けた先端本体と、この先端本体に設けられた連結開口部と、この連結開口部に挿入連結され先端に前記掘削刃を設けた回転伝達体とを備え、この回転伝達体は前記連結開口部に挿脱可能であり、前記回転伝達体に回転伝達軸を接続するものである。
【0021】
この請求項6の構成によれば、先端本体の連結開口部に、回転伝達体を挿入連結し、回転伝達体を回転することにより先端本体を回転して回転圧入を行い、所定深さまで達したら、先端に掘削刃を有する回転伝達体を連結開口部から抜き取って地上に回収し、再利用することができる。
【0022】
また、請求項7の発明は、前記連結開口部に、係合縁部を内側に突設し、前記回転伝達体の外周下端に前記係合縁部を挿通する挿通溝部を設け、この挿通溝部の基端側連続して前記回転伝達体の回転により前記係合縁部に係合する係合溝部を設けたものである。
【0023】
この請求項7の構成によれば、連結開口部の係合縁部に、挿通溝部を合わせて回転伝達体の先端側を連結開口部に挿通し、係合溝部に係合縁部が達したら、回転伝達体を係合方向に回転してやると、係合溝部に係合縁部が係合して回転を伝達することができる。また、逆の反係合方向に回転伝達体を回して、挿通溝部を係合縁部に合わせてやれば、回転伝達体を連結開口部から引き抜くことができる。
【0024】
また、請求項8の発明は、前記杭本体が中空パイルであるものである。
【0025】
この請求項8の構成によれば、中空パイルを基礎杭として埋設することができ、この基礎杭は拡底板により支持力に優れたものとなる。
【0026】
また、請求項9の発明は、前記先端部分に、圧縮気体又は圧縮液体を噴射する噴射口を設けたものである。
【0027】
この請求項9の構成によれば、回転圧入時に、噴射口から圧縮気体又は圧縮流体を噴射することにより、掘削土砂を攪拌して回転圧入を効率よく行うことができる。
【0028】
【発明の実施形態】
以下、本発明の実施形態を添付図面を参照して説明する。図1〜図13は本発明の第1実施形態を示し、同図に示すように、回転圧入杭装置1は、中空パイルや鋼管などからなる杭本体2と、この杭本体2の先端に設けられる先端部分3と、この先端部分3を回転圧入する回転圧入駆動手段4とを備える。尚、杭本体2と先端部分3とにより杭が構成される。前記先端部分3は、杭本体2を接続する先端本体5と、この先端本体5に着脱可能に連結される回転伝達体6とからなり、回転伝達体6の先端には掘削刃7が設けられている。そして、前記先端部分3及び回転伝達体6は鋼製である。また、掘削刃7は同様に鋼製で構成したり、或いはより強度の大きな硬質材料から構成されたりする。
【0029】
尚、この例では、先端部分3の回転貫入時における回転方向を、矢印で示す平面時計回り方向として説明する。
【0030】
前記先端本体5は、前記杭本体2の先端に回転可能に外嵌する接続部11を備え、この接続部11は鋼製短管などの筒体であり、その接続部11の外周にフランジ状の拡底板12を溶着する。この拡底板12の外径は前記杭2の外径の1.5〜2.0倍程度である。前記拡底板12には、先端部分3の軸芯を中心に対象の位置に一対の開口部13,13を形成する。また、開口部13の回転方向側の縁部13Aと、逆回転回転方向側の縁部13Bとは平行に形成されている。また、対をなす開口部13,13同士も平行である。
【0031】
図4(A)の平面説明図に示すように、前記開口部13と平行で先端部分3の中心を通る直径方向線分Sに対して、前記開口部13は回転方向側に位置する。
【0032】
前記開口部13の回転方向側の縁部13Aには、拡底板12に対する角度である傾斜角θAで逆回転方向に伸びる上刃14を設け、開口部13の逆回転方向側の縁部13Bには、拡底板12に対する角度である傾斜角θBで回転方向側下方へ延びる下刃15を設ける。そして、上刃14の拡底板12に取り付ける側の取付縁部14Aと上刃14の上縁部14Bとを、前記縁部13A,13Bと平行にし、また、下刃15の拡底板12に取り付ける側の取付縁部15Aと下刃15の下縁部15Bとを、前記縁部13A,13Bと平行にしている。
【0033】
前記傾斜角度θBを35〜70度程度とするが、大きくすると掘進性は向上するが回転駆動に要する所要トルクが大きくなるから、軟らかい土質は大きく、硬い土質は小さくする。実験の結果により、45度〜60度(45度以上、60度以下)が好ましいことが判った。
【0034】
また、図4及び図5に示すように、前記上刃14及び下刃15の外縁14F,15Fは、前記拡底板12の外周より5〜40mm、好ましくは20mm程度外側に突出しており、且つ前記先端部分の軸芯を中心とする仮想円柱面Kにほぼ沿っている。
【0035】
尚、図5を用いて上刃14及び下刃15の位置を説明すると、これら上刃14及び下刃15は直径方向に対して角度θEを持った向きに設けられ、その角度θEは30〜60度、好ましくは45度である。
【0036】
前記拡底板12の中央には前記接続部11に内部に位置して補強板21が設けられると共に、この補強板21と拡底板12とを貫通する連結開口部22が形成されている。
この連結開口部22は、先端部分3の軸芯を中心とした円の縁に、内側に突出する係合縁部23,23を設け、この係合縁部23の内側縁部23Aは前記軸芯を中心とした円弧状をなす。
【0037】
前記連結開口部22には、前記回転伝達体6の先端側が挿脱可能に挿入連結され、連結状態で回転伝達体6の先端が拡底板12の先端面より突出する。前記回転伝達体6の先端側はほぼ円柱状をなし、その先端外周に前記係合縁部23を軸方向から挿通可能な挿通溝部31を形成し、この挿通溝部31は平断面円弧状をなし、その挿通溝部31の基端側に連続して該挿通溝部31より円弧方向の幅の広い係合溝部32を形成し、この係合溝部32の両側が前記拡底板12の先端面に係合する係合段部32A,32Aとなる。また、図中32Bは係合溝部32の基端側段部32Bであり、また、32Cは前記係合縁部23により回転が伝達される伝達部であり、係合溝部32の円弧方向両側に位置する。そして、係合溝部32の軸方向の幅、即ち段部32A,32Bの間隔は前記連結開口部22の軸方向長さより多少大きく形成されている。また、回転伝達部6の基端部6Kは先端側より細く形成され、前記回転駆動手段4のロッド4Aが連結される。そして、このロッド4Aが回転伝達体6に回転駆動手段4の回転を伝達する回転伝達軸である。
【0038】
したがって、係合縁部23に挿通溝部31を合わせて、連結開口部22に回転伝達体6の先端を挿入し、係合縁部23が係合溝部32に入って基端側段部32Bに当たったら、回転伝達部6を回転方向に回転してやれば、係合縁部23の回転方向側が段部32A,32B間に係合して連結され、軸方向に抜け止め状態となり、さらに、係合縁部23が回転方向の伝達部32Cに当接し、回転を伝達することができる。また、連結状態から回転伝達体6を逆回転方向に回して係合縁部23に挿通溝部31に合わせれば、ロッド4Aを引き上げることにより、回転伝達体6を抜き取ることができる。
【0039】
図10などに示すように、前記掘削刃7は軸芯に対して対象位置にそれぞれ設けられ、その掘削刃7は、回転伝達体6の軸芯を通る直径線分S´と平行で且つ回転方向側に位置し、この例では、間隔41をおいて平行に設けられた刃体7A,7Bからなる。そして、図11に示すように、刃体7A,7Bの先端は、先端部分3中央側で、その先端縁71が軸芯と交差方向をなし、この先端縁71に連続して外周側に向って低くなる傾斜縁72が形成されている。また、対をなす掘削刃7,7の内端間には隙間42が設けられている。このように掘削刃7,7の内端間に隙間42を設けることにより、この隙間42位置に後述する噴射口を設け、この噴射口から圧縮空気や圧縮水などを噴射することができる。また、刃体7A,7Bの間に間隔41を設けて2枚設けることにより、掘削土砂を外周方向へと押しやる効果が高まり、さらに、刃体7Aより回転方向側の刃体7Bを僅かに中央側に寄せて、刃体7A,7Bの外端に段差をつけることにより、一層、掘削土砂を外周方向へと押しやる効果が向上する。
【0040】
次に、前記構成につき、その作用を説明すると、上述したように、回転伝達体6の先端側を連結開口部22に挿入し、所定角度回転して該回転伝達体6と先端本体5とを連結する。そして、回転伝達体6の基端部6Kにロッド4Aを連結し、地上の回転圧入駆動手段4によりロッド4Aを回転すると共に、圧入していく。
この場合、杭本体2が自沈するように押し込むことが好ましい。すなわち、杭本体2の自重により沈下するようにする。ロッド4Aが回転すると、先端部分3のみが回転し、中空パイル2は回転すること無く押し込まれてゆく。先端部分3の回転により、下刃15による土砂の掘削が行われ、掘削された土砂は開口部13を通って拡底板12の基端側(図中上面)に移動し、無廃土に近い状態で杭本体2が押し込まれてゆく。この場合、図6の説明図に示すように、下刃15が回転方向に位置するため、回転により土砂から矢印Gの力を受け、この力は下刃15の回転方向側面に対して交差方向の力であるから、回転する下刃15より矢印Hに示す方向の力を受け、土砂を外周方向に押出す力が発生し、同様に上刃14の回転方向側面及び刃体7Bの回転方向側面も土砂を外周方向に押出し、これにより杭本体2の周囲の掘削孔を圧密することができる。そして、このように杭本体2の周囲を圧密するから、廃土を少なくして無廃土とすることができると共に、杭本体2の周囲の圧密された部分による支持力も上昇する。
【0041】
したがって、掘削部分の土砂を掘削孔の周辺及び先端側へ押しやるので、圧密効果により、地盤強度が向上する。また、先端部分3の拡底板12を大きくすることにより、支持力を大きく取れる。また、セメントミルクや薬剤などを使用しないので、土壌汚染の心配がない。さらに、先端部分の構成により、施工時の回転トルクも小さく済み、特別大きな施工機械を必要としない。
【0042】
そして、上述したようにして所定の深さまで杭本体2を自沈させ停止したら、ロッド4Aを僅かに逆回転方向に回転し、係合縁部23の位置に回転伝達体6の挿通溝部31を合わせ、回転伝達体6を連結開口部22より引き抜き、ロッド4Aと共に地上に回収する。したがって、杭本体2の支持力を補償する拡底板12を地中に残し、掘削に有用な掘削刃7を有する回転伝達体6を繰り返し使用することができる。
【0043】
実験例
図12及び図13は実験例に係わるグラフであり、この実験例では、中空パイルからなる杭本体2は直径が略600mmで、15mのものに10mを2本継足して使用した。実験例のNo.1は、前記角度θA及び角度θBが45度、実験例のNo2は、前記角度θA及び角度θBが60度である。図12のグラフは、杭の深度と時間を示し、深度GLの欄の単位はメートル、時間は、実験例のNo.1では、時間No.1の欄にあるように、14時2分36秒に開始し、杭の深度が31mに達したのが、16時7分28秒であり、経過は杭が1m沈下するの要した時間であり、経過No.1の欄にあるように、深度0から1mに達するまでの時間は1分8秒である。また、同様に時間No.2の欄及び経過No.2の欄は、実験例のNo.2の杭に関するものである。また、図13は、立軸が深度GL(単位メートル)で、横軸が経過時間で、この経過時間は、図12の経過No,1と経過No,2に対応する。このように角度θA及び角度θBが45度と60度で掘削性に係わり良好な試験結果を得ることができた。
【0044】
このように本実施形態では、請求項1に対応して、先端部分3に掘削刃7を有し、軸回転により掘削圧入される回転圧入杭装置1において、先端部分3の外周にフランジ状の拡底板12を形成し、この拡底板12の1箇所以上に開口部13を形成し、この開口部13は、回転方向側の縁部13Aと逆回転方向側の縁部13Bとがほぼ平行に形成され、開口部13の回転方向側の縁部13Aには、所定の傾斜角θAで逆回転方向側上方に伸びる上刃14を設けるとともに、該開口部13の逆回転方向側の縁部13Bには、所定の傾斜角θBで回転方向側下方へ延びる下刃15を設け、開口部13は、先端部分3の直径方向線分Sに対して逆回転方向に傾斜しているから、掘削刃7や拡底板12の下刃15により掘削軟化した掘削土砂は、拡底板12の開口部13より拡底板12の上方及び側方に排出されると共に、拡底板12の上刃14により側方周辺に排出される。特に、開口部13が先端部分3の直径方向線分Sとほぼ平行で回転方向側に位置するから、上刃14及び下刃15が回転方向側に位置し、先端部分3が回転すると、直径位置より前側で上刃14及び下刃15が土を押すこととになり、この押す力により土を外周方向に押す力が得られ、周囲の圧密効果が向上する。
【0045】
また、このように本実施形態では、請求項2に対応して、上刃14の上縁14Bを開口部13の回転方向側の縁部12Aとほぼ平行に形成し、下刃15の下縁15Bを開口部13の逆回転方向側の縁部13Bとほぼ平行に形成したから、縁部12A,14B,12B,15Bがそれぞれ平行であるから、土を周囲に押す力を効率よく得ることができ、無駄な力が加わることもない。
【0046】
また、このように本実施形態では、請求項3に対応して、上刃14及び下刃15の外周である外縁14F,15Fを、拡底板12の外周より外側に突出したから、上刃14及び下刃15の外縁14F,15Fのみが拡底板12の外周より外側に位置するから、回転時に傾斜した上刃14及び下刃15の外縁14F,15Fが主として抵抗を受け、軸芯と交差方向の拡底板12の外周が受ける抵抗が軽減される。すなわち、回転掘削時には、上刃14及び下刃15及び拡底板12の摩擦抵抗が大となるから、上刃14及び下刃14の外縁14F,15Fのみを外側に突出させることにより、摩擦抵抗の大きい部分が面から線になり所要トルクが小さく済む。
【0047】
また、このように本実施形態では、請求項4に対応して、上刃14及び下刃15の外周たる外縁14F,15Fは、先端部分3の軸芯を中心とする仮想円柱面Kにほぼ沿って設けられているから、上刃14及び下刃15の外周がほぼ円弧状をなすから、回転抵抗を押えることができる。
【0048】
また、このように本実施形態では、請求項5に対応して、一対の掘削刃7,7を備え、これら一対の掘削刃7,7は、先端部分3の直径方向線分S´とほぼ平行で回転方向側に位置するから、先端部分3が回転すると、直径位置より前で掘削刃7が土を押すこととになり、この押す力により土を外周方向に押す力が得られ、周囲の圧密効果が向上する
また、このように本実施形態では、請求項6に対応して、先端部分3は、杭本体2を接続する接続部11に拡底板12を設けた先端本体5と、この先端本体5に設けられた連結開口部22と、この連結開口部22に挿入連結され先端に掘削刃7を設けた回転伝達体6とを備え、この回転伝達体6は連結開口部22に挿脱可能であり、回転伝達体6に回転伝達軸たるロッド4Aを接続するから、先端本体5の連結開口部22に、回転伝達体6を挿入連結し、回転伝達体6を回転することにより先端本体5を回転して回転圧入を行い、所定深さまで達したら、先端に掘削刃7を有する回転伝達体6を連結開口部22から抜き取って地上に回収し、再利用することができる。このように比較的高価な掘削刃7を有する回転伝達体6を有効に使用できる。
【0049】
また、このように本実施形態では、請求項7に対応して、連結開口部22に、係合縁部23を内側に突設し、回転伝達体6の外周下端に係合縁部23を挿通する挿通溝部31を設け、この挿通溝部31の基端側連続して回転伝達体6の回転により前記係合縁部23に係合する係合溝部32を設けたから、連結開口部22の係合縁部23に、挿通溝部31を合わせて回転伝達体6の先端側を連結開口部22に挿通し、係合溝部32に係合縁部23が達したら、回転伝達体6を係合方向に回転してやると、係合溝部32に係合縁部23が係合して回転を伝達することができる。また、逆の反係合方向に回転伝達体6を回して、挿通溝部31を係合縁部23に合わせてやれば、回転伝達体6を連結開口部22から引き抜くことができる。
【0050】
また、このように本実施形態では、請求項8に対応して、杭本体2が中空パイルであるから、中空パイルを基礎杭として埋設することができ、この基礎杭は拡底板12により支持力に優れたものとなる
図14は本発明の第2実施形態を示し、上記第1実施形態と同一部分に同一符号を付し、その詳細な説明を省略して詳述すると、この例では、前記回転伝達体6の軸芯に貫通孔51を形成し、この貫通孔51の先端が噴射口52となっており、この噴射口52から圧入方向先端側に圧縮空気たる圧縮空気、圧縮液体たる圧縮水、或いはそれらの混合流体を噴射する。この場合、地上において、前記ロッド4Aに噴射駆動装置53を接続し、ロッド4A内を通って圧縮空気、圧縮液体たる圧縮水、或いはそれらの混合流体が噴射口52から噴射される。前記噴射駆動装置53は、圧縮空気であればコンプレッサー、圧縮水であればポンプなどが用いられる。
【0051】
そして、土質状況などにより、必要な場合に、圧縮空気又は圧縮水を噴射して土砂の撹拌と穿孔を行う。このように噴射を行うと、杭の圧入がスムーズに行われ、回転トルクも抑えることができる。
【0052】
このように本実施形態では、請求項1〜8に対応して、上記第1実施形態と同様な作用・効果を奏する。
【0053】
また、このように本実施形態では、先端部分3に、圧縮気体又は圧縮液体を噴射する噴射口52を設けたから、回転圧入時に、噴射口52から圧縮気体又は圧縮流体を噴射することにより、掘削土砂を攪拌して回転圧入を効率よく行うことができる。
【0054】
図15〜図17は本発明の第3実施形態を示し、上記各実施形態と同一部分に同一符号を付し、その詳細な説明を省略して詳述すると、この例では、前記拡底板の先端面に筒体61を一体に設け、この筒体61の先端開口を閉塞板62により閉塞し、この閉塞板62の中央に噴射口52Aを開設し、さらに、閉塞板62の先端に前記掘削刃7,7を設け、前記回転伝達体6の先端には掘削刃は設けられておらず、先端本体5の連結状態で、前記回転伝達体6の先端が閉塞板62の上面に位置する。
【0055】
また、気密性を保つために、回転伝達体6の先端面にリング状の座金64を溶接などにより固着し、この座金64にボルト65などによりリング状の気密部材66を設け、この気密部材66はゴムプレートなどからなる。そして、前記貫通孔51の先端側に一方向性の弁体67を設け、この弁体は貫通孔51の基端側から先端側に向う流体により開成し、逆方向の流体に対して閉塞する。
【0056】
そして、連結状態で前記気密部材66により貫通孔51と前記噴射口52Aとの間と外部との気密性が確保される。
【0057】
この例においては、連結開口部22に回転伝達体6の先端側を着脱可能に連結できると共に、回転伝達体6と共に先端本体5を回転することができ、杭を所定深さまで圧入したら、回転伝達体6を引き上げて回収することができ、また、回転圧圧入時に、噴射口52Aから圧縮空気たる圧縮空気、圧縮液体たる圧縮水、或いはそれらの混合流体を噴射することができ、請求項1〜5、8及び9に対応して、上記各実施形態と同様な作用・効果を奏する。
【0058】
また、この例においては、筒体61及び閉塞板62により連結開口部22の下方が塞がれているため、先端本体5において、閉塞板62と拡底板12とを合わせた面積で支持するため、支持力が向上する。
【0059】
なお、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、種々の変形実施が可能である。例えば、実施形態では、杭本体として、中空パイルを示したが、鋼管杭など各種のものを用いることができる。また、実施形態では、掘削刃7は2つの刃体7A,7Bからなるものを示したが、一方の刃体のみで構成したり、その2枚の刃体7A,7Bを一体化した1枚のものでもよい。
【0060】
【発明の効果】
請求項1の発明は、開口部の回転方向側の縁部には、逆回転方向側上方に伸びる上刃を設けるとともに、該開口部の逆回転方向側の縁部には、回転方向側下方へ延びる下刃を設け、前記開口部は、前記先端部分の直径方向線分に対して傾斜しているものであり、杭の周囲への圧密効果が得られ、掘削効率に優れる回転圧入杭装置を提供することができる。
【0061】
また、請求項2の発明は、前記上刃の上縁を前記開口部の回転方向側の縁部とほぼ平行に形成し、前記下刃の下縁を前記開口部の逆回転方向側の縁部とほぼ平行に形成したものであり、杭の周囲への圧密効果が得られ、掘削効率に優れる回転圧入杭装置を提供することができる。
【0062】
また、請求項3の発明は、前記上刃及び下刃の外周を、前記拡底板の外周より外側に突出したものであり、杭の周囲への圧密効果が得られ、掘削効率に優れる回転圧入杭装置を提供することができる。
【0063】
また、請求項4の発明は、前記上刃及び下刃の外周は、前記先端部分の軸芯を中心とする仮想円柱面にほぼ沿って設けられているものであり、杭の周囲への圧密効果が得られ、掘削効率に優れる回転圧入杭装置を提供することができる。
【0064】
また、請求項5の発明は、一対の前記掘削刃を備え、これら一対の掘削刃は、前記先端部分の直径方向線分とほぼ平行で回転方向側に位置するものであり、杭の周囲への圧密効果が得られ、掘削効率に優れる回転圧入杭装置を提供することができる。
【0065】
また、請求項6の発明は、回転伝達体は前記連結開口部に挿脱可能であり、前記回転伝達体に回転伝達軸を接続するものであり、杭の周囲への圧密効果が得られ、掘削効率に優れ、加えて先端部分の掘削刃を再利用することができ、コストダウンが可能な回転圧入杭装置を提供することができる。
【0066】
また、請求項7の発明は、前記連結開口部に、係合縁部を内側に突設し、前記回転伝達体の外周下端に前記係合縁部を挿通する挿通溝部を設け、この挿通溝部の基端側連続して前記回転伝達体の回転により前記係合縁部に係合する係合溝部を設けたものであり、杭の周囲への圧密効果が得られ、掘削効率に優れ、加えて先端部分の掘削刃を再利用することができ、コストダウンが可能な回転圧入杭装置を提供することができる。
【0067】
また、請求項8の発明は、前記杭本体が中空パイルであるものであり、杭の周囲への圧密効果が得られ、掘削効率に優れた回転圧入杭装置を提供することができる。
【0068】
また、請求項9の発明は、前記先端部分に、圧縮気体又は圧縮液体を噴射する噴射口を設けたものであり、杭の周囲への圧密効果が得られ、掘削効率に優れた回転圧入杭装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態を示す装置の一部を切り欠いた正面図である。
【図2】同上、先端本体と回転伝達体の分解斜視図である。
【図3】同上、斜視図である。
【図4】同上、先端部分の平面説明図であり、図4(A)は上刃及び下刃を取り付ける前の状態、図4(B)は上刃を取り付ける前の状態を示す。
【図5】同上、先端部分の平面説明図である。
【図6】同上、先端部分の底面説明図である。
【図7】同上、先端本体の断面図である。
【図8】同上、先端本体の要部の平面図である。
【図9】同上、回転伝達体の正面図である。
【図10】同上、回転伝達体の底面図である。
【図11】同上、刃体の正面図である。
【図12】同上、実験例における深度と時間の関係を示す表の図である。
【図13】同上、実験例における深度と経過時間の関係を示すグラフ図である。
【図14】本発明の第2実施形態を示す装置の一部を切り欠いた正面図である。
【図15】本発明の第3実施形態を示す先端部分の断面図である。
【図16】同上、先端部分の底面図である。
【図17】同上、回転伝達体の底面図である。
【符号の説明】
1 回転圧入杭装置
2 杭本体
3 先端部分
4 回転圧入駆動手段
4A ロッド(回転伝達軸)
5 先端本体
6 回転伝達体
7 掘削刃
11 接続部
12 拡底板
13 開口部
13A 回転方向側の縁部
13B 逆回転方向側の縁部
14 上刃
14B 上縁部
14F 外縁
15 下刃
15B 下縁部
15F 外縁
22 連結開口部
23 係合縁部
31 挿通溝部
32 係合溝部
52,52A 噴射口
【発明の属する技術分野】
本発明は、建築又は土木構造物の基礎となる地盤部分の補強を行うために使用する回転圧入杭装置に関するものである。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】
従来、この種のものとして、内部にトルク伝達装置が連結される連結部を有し、先端部又は外周に翼が取付けられた短管からなる先端部材と、先端部が前記先端部材の短管に回転自在に嵌合又は連結される鋼管とによって構成し、トルク伝達装置がトルク伝達可能かつ着脱可能に連結部に連結され、前記翼を、平板状の鋼製翼又は螺旋状翼とした翼付きねじ込み式鋼管杭及びその施工方法(例えば特許文献1)がある。また、中空パイルを用いるもので、回転ロッドを着脱可能にしたものがある(例えば特許文献2)。
【0003】
しかしながら、上記翼付きねじ込み式鋼管杭では、鋼管杭本体の側面の未掘削土砂と鋼管杭本体の側面全体及び翼の螺旋面全体とから生じる摩擦抗力が、掘削深度に比例して増大することになり、また、鋼管杭本体の体積に相当する土砂を回転力により圧密する機構がないため、その施工には大きな押圧力と鋼管杭を回転させるために強大なトルクとそれらの動力エネルギーが必要となる欠点があった。このため、N値(地盤の強さを示す指標の一つ。)の高い硬質地盤に対する施工は困難なものとなり、施工費の増大を招いていた。
【0004】
このような問題を解決したものとして、先端に掘削刃を有し、軸回転により掘削貫入される鋼管杭であって、該鋼管杭の下端の外周にフランジ状の拡底板を形成し、該拡底板の1ヶ所以上に、所定の挟角をもった2本の半径方向線が交わる鋼管杭の外周点を回転軸として、該2本の半径方向線をそれぞれ鋼管杭の逆回転方向へ所定の角度だけ回転させてなる線分の間を切欠いて逃し開口を形成し、かつ、該逃し開口の正回転方向側の縁部には、所定の傾斜角で逆回転側上方へ延びる上刃を取り付けると共に、該逃し開口の逆回転方向側の縁部には、所定の傾斜角で正回転側下方へ延びる下刃を取り付けてなり、掘削刃を、中心から放射状に延びる1又は2以上の刃体で構成し回転貫入鋼管杭(例えば特許文献3)がある。この回転貫入鋼管杭では、鋼管杭の軸回転により掘削される土砂を、鋼管杭の外周側方へ積極的にかつ強制的に排出させて圧密させることにより、より小さな軸回転の駆動エネルギーでより高いN値の地盤への効率的な貫入性を確保することが可能であるばかりでなく、従来の回転埋設する鋼管杭の特徴である無排出土、低振動、低騒音を実現している。
【0005】
【特許文献1】
特開平11−303069号公報
【特許文献2】
特開2002−81059号公報
【特許文献3】
特開2003−27475号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記回転貫入鋼管杭では、鋼管杭の軸回転により掘削される土砂を、鋼管杭の外周側方へ積極的にかつ強制的に排出させて圧密させることにより、より小さな軸回転の駆動エネルギーでより高いN値の地盤への効率的な貫入性を確保することが可能であるばかりでなく、従来の回転埋設する鋼管杭の特徴である無排出土、低振動、低騒音を実現している。
【0007】
ところで、前記のような回転貫入鋼管杭では、拡底板を大きくすることにより、大きな支持力を得ることができる。しかし、拡底板は、杭の軸芯と垂直に設けられたものであり、該拡底板を大径に形成すると、拡底板の外周と周囲との回転抵抗が大になることが予想される。さらに、施工時に更に周囲の圧密効果を高めることのできる杭装置が望まれている。
【0008】
また、前記回転貫入鋼管杭では、掘削性の向上を図るために先端に掘削刃を設けているが、この掘削刃は他の部分に比べて強度が要求され、コストの掛かる部分であるが、杭と共に埋設されるため、再利用することができない。一方、前記翼付きねじ込み式鋼管杭は、杭を埋設した後、トルク伝達装置を引き上げて次の杭の施工に用いることはできるが、翼などの先端部分は杭と共に地中に残り、再利用することができない。
【0009】
そこで、本発明は、このような問題点を解決しようとするもので、杭の周囲への圧密効果が得られ、掘削効率に優れる回転圧入杭装置を提供することを目的とし、また、先端部分の掘削刃を再利用することができ、コストダウンが可能な回転圧入杭装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、先端部分に掘削刃を有し、軸回転により掘削圧入される回転圧入杭装置において、前記先端部分の外周にフランジ状の拡底板を形成し、この拡底板の1箇所以上に開口部を形成し、この開口部は、回転方向側の縁部と逆回転方向側の縁部とがほぼ平行に形成され、前記開口部の回転方向側の縁部には、逆回転方向側上方に伸びる上刃を設けるとともに、該開口部の逆回転方向側の縁部には、回転方向側下方へ延びる下刃を設け、前記開口部は、前記先端部分の直径方向線分に対して傾斜しているものである。
【0011】
この請求項1の構成によれば、掘削刃や拡底板の下刃により掘削軟化した掘削土砂は、拡底板の開口部より拡底板の上方及び側方に排出されると共に、拡底板の上刃により側方周辺に排出される。特に、開口部が前記先端部分の直径方向線分に対して傾斜しているから、上刃及び下刃が回転方向側に位置し、先端部分が回転すると、直径位置より前側で上刃及び下刃が土を押すこととになり、この押す力により土を外周方向に押す力が得られ、杭外周囲の圧密効果が向上する。
【0012】
また、請求項2の発明は、前記上刃の上縁を前記開口部の回転方向側の縁部とほぼ平行に形成し、前記下刃の下縁を前記開口部の逆回転方向側の縁部とほぼ平行に形成したものである。
【0013】
この請求項2の構成によれば、縁部がそれぞれ平行であるから、土を周囲に押す力を効率よく得ることができる。
【0014】
また、請求項3の発明は、前記上刃及び下刃の外周を、前記拡底板の外周より外側に突出したものである。
【0015】
この請求項3の構成によれば、上刃及び下刃の外周のみが拡底板の外周より外側に位置するから、回転時に傾斜した上刃及び下刃の外周が主として抵抗を受け、軸芯と交差方向の拡底板の外周が受ける抵抗が軽減される。すなわち、回転掘削時には、上刃及び下刃及び拡底板の摩擦抵抗が大となるから、上刃及び下刃の外周のみを外側に突出させることにより、摩擦抵抗の大きい部分が面から線になり所要トルクが小さく済む。
【0016】
また、請求項4の発明は、前記上刃及び下刃の外周は、前記先端部分の軸芯を中心とする仮想円柱面にほぼ沿って設けられているものである。
【0017】
この請求項4の構成によれば、上刃及び下刃の外周がほぼ円弧状をなすから、回転抵抗を押えることができる。
【0018】
また、請求項5の発明は、一対の前記掘削刃を備え、これら一対の掘削刃は、前記先端部分の直径方向線分とほぼ平行で回転方向側に位置するものである。
【0019】
この請求項5の構成によれば、先端の掘削刃が、前記先端部分の直径方向線分とほぼ平行で回転方向側に位置するから、先端部分が回転すると、直径位置より前で掘削刃が土を押すこととになり、この押す力により土を外周方向に押す力が得られ、周囲の圧密効果が向上する。
【0020】
また、請求項6の発明は、前記先端部分は、杭本体を接続する接続部に前記拡底板を設けた先端本体と、この先端本体に設けられた連結開口部と、この連結開口部に挿入連結され先端に前記掘削刃を設けた回転伝達体とを備え、この回転伝達体は前記連結開口部に挿脱可能であり、前記回転伝達体に回転伝達軸を接続するものである。
【0021】
この請求項6の構成によれば、先端本体の連結開口部に、回転伝達体を挿入連結し、回転伝達体を回転することにより先端本体を回転して回転圧入を行い、所定深さまで達したら、先端に掘削刃を有する回転伝達体を連結開口部から抜き取って地上に回収し、再利用することができる。
【0022】
また、請求項7の発明は、前記連結開口部に、係合縁部を内側に突設し、前記回転伝達体の外周下端に前記係合縁部を挿通する挿通溝部を設け、この挿通溝部の基端側連続して前記回転伝達体の回転により前記係合縁部に係合する係合溝部を設けたものである。
【0023】
この請求項7の構成によれば、連結開口部の係合縁部に、挿通溝部を合わせて回転伝達体の先端側を連結開口部に挿通し、係合溝部に係合縁部が達したら、回転伝達体を係合方向に回転してやると、係合溝部に係合縁部が係合して回転を伝達することができる。また、逆の反係合方向に回転伝達体を回して、挿通溝部を係合縁部に合わせてやれば、回転伝達体を連結開口部から引き抜くことができる。
【0024】
また、請求項8の発明は、前記杭本体が中空パイルであるものである。
【0025】
この請求項8の構成によれば、中空パイルを基礎杭として埋設することができ、この基礎杭は拡底板により支持力に優れたものとなる。
【0026】
また、請求項9の発明は、前記先端部分に、圧縮気体又は圧縮液体を噴射する噴射口を設けたものである。
【0027】
この請求項9の構成によれば、回転圧入時に、噴射口から圧縮気体又は圧縮流体を噴射することにより、掘削土砂を攪拌して回転圧入を効率よく行うことができる。
【0028】
【発明の実施形態】
以下、本発明の実施形態を添付図面を参照して説明する。図1〜図13は本発明の第1実施形態を示し、同図に示すように、回転圧入杭装置1は、中空パイルや鋼管などからなる杭本体2と、この杭本体2の先端に設けられる先端部分3と、この先端部分3を回転圧入する回転圧入駆動手段4とを備える。尚、杭本体2と先端部分3とにより杭が構成される。前記先端部分3は、杭本体2を接続する先端本体5と、この先端本体5に着脱可能に連結される回転伝達体6とからなり、回転伝達体6の先端には掘削刃7が設けられている。そして、前記先端部分3及び回転伝達体6は鋼製である。また、掘削刃7は同様に鋼製で構成したり、或いはより強度の大きな硬質材料から構成されたりする。
【0029】
尚、この例では、先端部分3の回転貫入時における回転方向を、矢印で示す平面時計回り方向として説明する。
【0030】
前記先端本体5は、前記杭本体2の先端に回転可能に外嵌する接続部11を備え、この接続部11は鋼製短管などの筒体であり、その接続部11の外周にフランジ状の拡底板12を溶着する。この拡底板12の外径は前記杭2の外径の1.5〜2.0倍程度である。前記拡底板12には、先端部分3の軸芯を中心に対象の位置に一対の開口部13,13を形成する。また、開口部13の回転方向側の縁部13Aと、逆回転回転方向側の縁部13Bとは平行に形成されている。また、対をなす開口部13,13同士も平行である。
【0031】
図4(A)の平面説明図に示すように、前記開口部13と平行で先端部分3の中心を通る直径方向線分Sに対して、前記開口部13は回転方向側に位置する。
【0032】
前記開口部13の回転方向側の縁部13Aには、拡底板12に対する角度である傾斜角θAで逆回転方向に伸びる上刃14を設け、開口部13の逆回転方向側の縁部13Bには、拡底板12に対する角度である傾斜角θBで回転方向側下方へ延びる下刃15を設ける。そして、上刃14の拡底板12に取り付ける側の取付縁部14Aと上刃14の上縁部14Bとを、前記縁部13A,13Bと平行にし、また、下刃15の拡底板12に取り付ける側の取付縁部15Aと下刃15の下縁部15Bとを、前記縁部13A,13Bと平行にしている。
【0033】
前記傾斜角度θBを35〜70度程度とするが、大きくすると掘進性は向上するが回転駆動に要する所要トルクが大きくなるから、軟らかい土質は大きく、硬い土質は小さくする。実験の結果により、45度〜60度(45度以上、60度以下)が好ましいことが判った。
【0034】
また、図4及び図5に示すように、前記上刃14及び下刃15の外縁14F,15Fは、前記拡底板12の外周より5〜40mm、好ましくは20mm程度外側に突出しており、且つ前記先端部分の軸芯を中心とする仮想円柱面Kにほぼ沿っている。
【0035】
尚、図5を用いて上刃14及び下刃15の位置を説明すると、これら上刃14及び下刃15は直径方向に対して角度θEを持った向きに設けられ、その角度θEは30〜60度、好ましくは45度である。
【0036】
前記拡底板12の中央には前記接続部11に内部に位置して補強板21が設けられると共に、この補強板21と拡底板12とを貫通する連結開口部22が形成されている。
この連結開口部22は、先端部分3の軸芯を中心とした円の縁に、内側に突出する係合縁部23,23を設け、この係合縁部23の内側縁部23Aは前記軸芯を中心とした円弧状をなす。
【0037】
前記連結開口部22には、前記回転伝達体6の先端側が挿脱可能に挿入連結され、連結状態で回転伝達体6の先端が拡底板12の先端面より突出する。前記回転伝達体6の先端側はほぼ円柱状をなし、その先端外周に前記係合縁部23を軸方向から挿通可能な挿通溝部31を形成し、この挿通溝部31は平断面円弧状をなし、その挿通溝部31の基端側に連続して該挿通溝部31より円弧方向の幅の広い係合溝部32を形成し、この係合溝部32の両側が前記拡底板12の先端面に係合する係合段部32A,32Aとなる。また、図中32Bは係合溝部32の基端側段部32Bであり、また、32Cは前記係合縁部23により回転が伝達される伝達部であり、係合溝部32の円弧方向両側に位置する。そして、係合溝部32の軸方向の幅、即ち段部32A,32Bの間隔は前記連結開口部22の軸方向長さより多少大きく形成されている。また、回転伝達部6の基端部6Kは先端側より細く形成され、前記回転駆動手段4のロッド4Aが連結される。そして、このロッド4Aが回転伝達体6に回転駆動手段4の回転を伝達する回転伝達軸である。
【0038】
したがって、係合縁部23に挿通溝部31を合わせて、連結開口部22に回転伝達体6の先端を挿入し、係合縁部23が係合溝部32に入って基端側段部32Bに当たったら、回転伝達部6を回転方向に回転してやれば、係合縁部23の回転方向側が段部32A,32B間に係合して連結され、軸方向に抜け止め状態となり、さらに、係合縁部23が回転方向の伝達部32Cに当接し、回転を伝達することができる。また、連結状態から回転伝達体6を逆回転方向に回して係合縁部23に挿通溝部31に合わせれば、ロッド4Aを引き上げることにより、回転伝達体6を抜き取ることができる。
【0039】
図10などに示すように、前記掘削刃7は軸芯に対して対象位置にそれぞれ設けられ、その掘削刃7は、回転伝達体6の軸芯を通る直径線分S´と平行で且つ回転方向側に位置し、この例では、間隔41をおいて平行に設けられた刃体7A,7Bからなる。そして、図11に示すように、刃体7A,7Bの先端は、先端部分3中央側で、その先端縁71が軸芯と交差方向をなし、この先端縁71に連続して外周側に向って低くなる傾斜縁72が形成されている。また、対をなす掘削刃7,7の内端間には隙間42が設けられている。このように掘削刃7,7の内端間に隙間42を設けることにより、この隙間42位置に後述する噴射口を設け、この噴射口から圧縮空気や圧縮水などを噴射することができる。また、刃体7A,7Bの間に間隔41を設けて2枚設けることにより、掘削土砂を外周方向へと押しやる効果が高まり、さらに、刃体7Aより回転方向側の刃体7Bを僅かに中央側に寄せて、刃体7A,7Bの外端に段差をつけることにより、一層、掘削土砂を外周方向へと押しやる効果が向上する。
【0040】
次に、前記構成につき、その作用を説明すると、上述したように、回転伝達体6の先端側を連結開口部22に挿入し、所定角度回転して該回転伝達体6と先端本体5とを連結する。そして、回転伝達体6の基端部6Kにロッド4Aを連結し、地上の回転圧入駆動手段4によりロッド4Aを回転すると共に、圧入していく。
この場合、杭本体2が自沈するように押し込むことが好ましい。すなわち、杭本体2の自重により沈下するようにする。ロッド4Aが回転すると、先端部分3のみが回転し、中空パイル2は回転すること無く押し込まれてゆく。先端部分3の回転により、下刃15による土砂の掘削が行われ、掘削された土砂は開口部13を通って拡底板12の基端側(図中上面)に移動し、無廃土に近い状態で杭本体2が押し込まれてゆく。この場合、図6の説明図に示すように、下刃15が回転方向に位置するため、回転により土砂から矢印Gの力を受け、この力は下刃15の回転方向側面に対して交差方向の力であるから、回転する下刃15より矢印Hに示す方向の力を受け、土砂を外周方向に押出す力が発生し、同様に上刃14の回転方向側面及び刃体7Bの回転方向側面も土砂を外周方向に押出し、これにより杭本体2の周囲の掘削孔を圧密することができる。そして、このように杭本体2の周囲を圧密するから、廃土を少なくして無廃土とすることができると共に、杭本体2の周囲の圧密された部分による支持力も上昇する。
【0041】
したがって、掘削部分の土砂を掘削孔の周辺及び先端側へ押しやるので、圧密効果により、地盤強度が向上する。また、先端部分3の拡底板12を大きくすることにより、支持力を大きく取れる。また、セメントミルクや薬剤などを使用しないので、土壌汚染の心配がない。さらに、先端部分の構成により、施工時の回転トルクも小さく済み、特別大きな施工機械を必要としない。
【0042】
そして、上述したようにして所定の深さまで杭本体2を自沈させ停止したら、ロッド4Aを僅かに逆回転方向に回転し、係合縁部23の位置に回転伝達体6の挿通溝部31を合わせ、回転伝達体6を連結開口部22より引き抜き、ロッド4Aと共に地上に回収する。したがって、杭本体2の支持力を補償する拡底板12を地中に残し、掘削に有用な掘削刃7を有する回転伝達体6を繰り返し使用することができる。
【0043】
実験例
図12及び図13は実験例に係わるグラフであり、この実験例では、中空パイルからなる杭本体2は直径が略600mmで、15mのものに10mを2本継足して使用した。実験例のNo.1は、前記角度θA及び角度θBが45度、実験例のNo2は、前記角度θA及び角度θBが60度である。図12のグラフは、杭の深度と時間を示し、深度GLの欄の単位はメートル、時間は、実験例のNo.1では、時間No.1の欄にあるように、14時2分36秒に開始し、杭の深度が31mに達したのが、16時7分28秒であり、経過は杭が1m沈下するの要した時間であり、経過No.1の欄にあるように、深度0から1mに達するまでの時間は1分8秒である。また、同様に時間No.2の欄及び経過No.2の欄は、実験例のNo.2の杭に関するものである。また、図13は、立軸が深度GL(単位メートル)で、横軸が経過時間で、この経過時間は、図12の経過No,1と経過No,2に対応する。このように角度θA及び角度θBが45度と60度で掘削性に係わり良好な試験結果を得ることができた。
【0044】
このように本実施形態では、請求項1に対応して、先端部分3に掘削刃7を有し、軸回転により掘削圧入される回転圧入杭装置1において、先端部分3の外周にフランジ状の拡底板12を形成し、この拡底板12の1箇所以上に開口部13を形成し、この開口部13は、回転方向側の縁部13Aと逆回転方向側の縁部13Bとがほぼ平行に形成され、開口部13の回転方向側の縁部13Aには、所定の傾斜角θAで逆回転方向側上方に伸びる上刃14を設けるとともに、該開口部13の逆回転方向側の縁部13Bには、所定の傾斜角θBで回転方向側下方へ延びる下刃15を設け、開口部13は、先端部分3の直径方向線分Sに対して逆回転方向に傾斜しているから、掘削刃7や拡底板12の下刃15により掘削軟化した掘削土砂は、拡底板12の開口部13より拡底板12の上方及び側方に排出されると共に、拡底板12の上刃14により側方周辺に排出される。特に、開口部13が先端部分3の直径方向線分Sとほぼ平行で回転方向側に位置するから、上刃14及び下刃15が回転方向側に位置し、先端部分3が回転すると、直径位置より前側で上刃14及び下刃15が土を押すこととになり、この押す力により土を外周方向に押す力が得られ、周囲の圧密効果が向上する。
【0045】
また、このように本実施形態では、請求項2に対応して、上刃14の上縁14Bを開口部13の回転方向側の縁部12Aとほぼ平行に形成し、下刃15の下縁15Bを開口部13の逆回転方向側の縁部13Bとほぼ平行に形成したから、縁部12A,14B,12B,15Bがそれぞれ平行であるから、土を周囲に押す力を効率よく得ることができ、無駄な力が加わることもない。
【0046】
また、このように本実施形態では、請求項3に対応して、上刃14及び下刃15の外周である外縁14F,15Fを、拡底板12の外周より外側に突出したから、上刃14及び下刃15の外縁14F,15Fのみが拡底板12の外周より外側に位置するから、回転時に傾斜した上刃14及び下刃15の外縁14F,15Fが主として抵抗を受け、軸芯と交差方向の拡底板12の外周が受ける抵抗が軽減される。すなわち、回転掘削時には、上刃14及び下刃15及び拡底板12の摩擦抵抗が大となるから、上刃14及び下刃14の外縁14F,15Fのみを外側に突出させることにより、摩擦抵抗の大きい部分が面から線になり所要トルクが小さく済む。
【0047】
また、このように本実施形態では、請求項4に対応して、上刃14及び下刃15の外周たる外縁14F,15Fは、先端部分3の軸芯を中心とする仮想円柱面Kにほぼ沿って設けられているから、上刃14及び下刃15の外周がほぼ円弧状をなすから、回転抵抗を押えることができる。
【0048】
また、このように本実施形態では、請求項5に対応して、一対の掘削刃7,7を備え、これら一対の掘削刃7,7は、先端部分3の直径方向線分S´とほぼ平行で回転方向側に位置するから、先端部分3が回転すると、直径位置より前で掘削刃7が土を押すこととになり、この押す力により土を外周方向に押す力が得られ、周囲の圧密効果が向上する
また、このように本実施形態では、請求項6に対応して、先端部分3は、杭本体2を接続する接続部11に拡底板12を設けた先端本体5と、この先端本体5に設けられた連結開口部22と、この連結開口部22に挿入連結され先端に掘削刃7を設けた回転伝達体6とを備え、この回転伝達体6は連結開口部22に挿脱可能であり、回転伝達体6に回転伝達軸たるロッド4Aを接続するから、先端本体5の連結開口部22に、回転伝達体6を挿入連結し、回転伝達体6を回転することにより先端本体5を回転して回転圧入を行い、所定深さまで達したら、先端に掘削刃7を有する回転伝達体6を連結開口部22から抜き取って地上に回収し、再利用することができる。このように比較的高価な掘削刃7を有する回転伝達体6を有効に使用できる。
【0049】
また、このように本実施形態では、請求項7に対応して、連結開口部22に、係合縁部23を内側に突設し、回転伝達体6の外周下端に係合縁部23を挿通する挿通溝部31を設け、この挿通溝部31の基端側連続して回転伝達体6の回転により前記係合縁部23に係合する係合溝部32を設けたから、連結開口部22の係合縁部23に、挿通溝部31を合わせて回転伝達体6の先端側を連結開口部22に挿通し、係合溝部32に係合縁部23が達したら、回転伝達体6を係合方向に回転してやると、係合溝部32に係合縁部23が係合して回転を伝達することができる。また、逆の反係合方向に回転伝達体6を回して、挿通溝部31を係合縁部23に合わせてやれば、回転伝達体6を連結開口部22から引き抜くことができる。
【0050】
また、このように本実施形態では、請求項8に対応して、杭本体2が中空パイルであるから、中空パイルを基礎杭として埋設することができ、この基礎杭は拡底板12により支持力に優れたものとなる
図14は本発明の第2実施形態を示し、上記第1実施形態と同一部分に同一符号を付し、その詳細な説明を省略して詳述すると、この例では、前記回転伝達体6の軸芯に貫通孔51を形成し、この貫通孔51の先端が噴射口52となっており、この噴射口52から圧入方向先端側に圧縮空気たる圧縮空気、圧縮液体たる圧縮水、或いはそれらの混合流体を噴射する。この場合、地上において、前記ロッド4Aに噴射駆動装置53を接続し、ロッド4A内を通って圧縮空気、圧縮液体たる圧縮水、或いはそれらの混合流体が噴射口52から噴射される。前記噴射駆動装置53は、圧縮空気であればコンプレッサー、圧縮水であればポンプなどが用いられる。
【0051】
そして、土質状況などにより、必要な場合に、圧縮空気又は圧縮水を噴射して土砂の撹拌と穿孔を行う。このように噴射を行うと、杭の圧入がスムーズに行われ、回転トルクも抑えることができる。
【0052】
このように本実施形態では、請求項1〜8に対応して、上記第1実施形態と同様な作用・効果を奏する。
【0053】
また、このように本実施形態では、先端部分3に、圧縮気体又は圧縮液体を噴射する噴射口52を設けたから、回転圧入時に、噴射口52から圧縮気体又は圧縮流体を噴射することにより、掘削土砂を攪拌して回転圧入を効率よく行うことができる。
【0054】
図15〜図17は本発明の第3実施形態を示し、上記各実施形態と同一部分に同一符号を付し、その詳細な説明を省略して詳述すると、この例では、前記拡底板の先端面に筒体61を一体に設け、この筒体61の先端開口を閉塞板62により閉塞し、この閉塞板62の中央に噴射口52Aを開設し、さらに、閉塞板62の先端に前記掘削刃7,7を設け、前記回転伝達体6の先端には掘削刃は設けられておらず、先端本体5の連結状態で、前記回転伝達体6の先端が閉塞板62の上面に位置する。
【0055】
また、気密性を保つために、回転伝達体6の先端面にリング状の座金64を溶接などにより固着し、この座金64にボルト65などによりリング状の気密部材66を設け、この気密部材66はゴムプレートなどからなる。そして、前記貫通孔51の先端側に一方向性の弁体67を設け、この弁体は貫通孔51の基端側から先端側に向う流体により開成し、逆方向の流体に対して閉塞する。
【0056】
そして、連結状態で前記気密部材66により貫通孔51と前記噴射口52Aとの間と外部との気密性が確保される。
【0057】
この例においては、連結開口部22に回転伝達体6の先端側を着脱可能に連結できると共に、回転伝達体6と共に先端本体5を回転することができ、杭を所定深さまで圧入したら、回転伝達体6を引き上げて回収することができ、また、回転圧圧入時に、噴射口52Aから圧縮空気たる圧縮空気、圧縮液体たる圧縮水、或いはそれらの混合流体を噴射することができ、請求項1〜5、8及び9に対応して、上記各実施形態と同様な作用・効果を奏する。
【0058】
また、この例においては、筒体61及び閉塞板62により連結開口部22の下方が塞がれているため、先端本体5において、閉塞板62と拡底板12とを合わせた面積で支持するため、支持力が向上する。
【0059】
なお、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、種々の変形実施が可能である。例えば、実施形態では、杭本体として、中空パイルを示したが、鋼管杭など各種のものを用いることができる。また、実施形態では、掘削刃7は2つの刃体7A,7Bからなるものを示したが、一方の刃体のみで構成したり、その2枚の刃体7A,7Bを一体化した1枚のものでもよい。
【0060】
【発明の効果】
請求項1の発明は、開口部の回転方向側の縁部には、逆回転方向側上方に伸びる上刃を設けるとともに、該開口部の逆回転方向側の縁部には、回転方向側下方へ延びる下刃を設け、前記開口部は、前記先端部分の直径方向線分に対して傾斜しているものであり、杭の周囲への圧密効果が得られ、掘削効率に優れる回転圧入杭装置を提供することができる。
【0061】
また、請求項2の発明は、前記上刃の上縁を前記開口部の回転方向側の縁部とほぼ平行に形成し、前記下刃の下縁を前記開口部の逆回転方向側の縁部とほぼ平行に形成したものであり、杭の周囲への圧密効果が得られ、掘削効率に優れる回転圧入杭装置を提供することができる。
【0062】
また、請求項3の発明は、前記上刃及び下刃の外周を、前記拡底板の外周より外側に突出したものであり、杭の周囲への圧密効果が得られ、掘削効率に優れる回転圧入杭装置を提供することができる。
【0063】
また、請求項4の発明は、前記上刃及び下刃の外周は、前記先端部分の軸芯を中心とする仮想円柱面にほぼ沿って設けられているものであり、杭の周囲への圧密効果が得られ、掘削効率に優れる回転圧入杭装置を提供することができる。
【0064】
また、請求項5の発明は、一対の前記掘削刃を備え、これら一対の掘削刃は、前記先端部分の直径方向線分とほぼ平行で回転方向側に位置するものであり、杭の周囲への圧密効果が得られ、掘削効率に優れる回転圧入杭装置を提供することができる。
【0065】
また、請求項6の発明は、回転伝達体は前記連結開口部に挿脱可能であり、前記回転伝達体に回転伝達軸を接続するものであり、杭の周囲への圧密効果が得られ、掘削効率に優れ、加えて先端部分の掘削刃を再利用することができ、コストダウンが可能な回転圧入杭装置を提供することができる。
【0066】
また、請求項7の発明は、前記連結開口部に、係合縁部を内側に突設し、前記回転伝達体の外周下端に前記係合縁部を挿通する挿通溝部を設け、この挿通溝部の基端側連続して前記回転伝達体の回転により前記係合縁部に係合する係合溝部を設けたものであり、杭の周囲への圧密効果が得られ、掘削効率に優れ、加えて先端部分の掘削刃を再利用することができ、コストダウンが可能な回転圧入杭装置を提供することができる。
【0067】
また、請求項8の発明は、前記杭本体が中空パイルであるものであり、杭の周囲への圧密効果が得られ、掘削効率に優れた回転圧入杭装置を提供することができる。
【0068】
また、請求項9の発明は、前記先端部分に、圧縮気体又は圧縮液体を噴射する噴射口を設けたものであり、杭の周囲への圧密効果が得られ、掘削効率に優れた回転圧入杭装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態を示す装置の一部を切り欠いた正面図である。
【図2】同上、先端本体と回転伝達体の分解斜視図である。
【図3】同上、斜視図である。
【図4】同上、先端部分の平面説明図であり、図4(A)は上刃及び下刃を取り付ける前の状態、図4(B)は上刃を取り付ける前の状態を示す。
【図5】同上、先端部分の平面説明図である。
【図6】同上、先端部分の底面説明図である。
【図7】同上、先端本体の断面図である。
【図8】同上、先端本体の要部の平面図である。
【図9】同上、回転伝達体の正面図である。
【図10】同上、回転伝達体の底面図である。
【図11】同上、刃体の正面図である。
【図12】同上、実験例における深度と時間の関係を示す表の図である。
【図13】同上、実験例における深度と経過時間の関係を示すグラフ図である。
【図14】本発明の第2実施形態を示す装置の一部を切り欠いた正面図である。
【図15】本発明の第3実施形態を示す先端部分の断面図である。
【図16】同上、先端部分の底面図である。
【図17】同上、回転伝達体の底面図である。
【符号の説明】
1 回転圧入杭装置
2 杭本体
3 先端部分
4 回転圧入駆動手段
4A ロッド(回転伝達軸)
5 先端本体
6 回転伝達体
7 掘削刃
11 接続部
12 拡底板
13 開口部
13A 回転方向側の縁部
13B 逆回転方向側の縁部
14 上刃
14B 上縁部
14F 外縁
15 下刃
15B 下縁部
15F 外縁
22 連結開口部
23 係合縁部
31 挿通溝部
32 係合溝部
52,52A 噴射口
Claims (9)
- 先端部分に掘削刃を有し、軸回転により掘削圧入される回転圧入杭装置において、前記先端部分の外周にフランジ状の拡底板を形成し、この拡底板の1箇所以上に開口部を形成し、この開口部は、回転方向側の縁部と逆回転方向側の縁部とがほぼ平行に形成され、前記開口部の回転方向側の縁部には、逆回転方向側上方に伸びる上刃を設けるとともに、該開口部の逆回転方向側の縁部には、回転方向側下方へ延びる下刃を設け、前記開口部は、前記先端部分の直径方向線分に対して傾斜していることを特徴とする回転圧入杭装置。
- 前記上刃の上縁を前記開口部の回転方向側の縁部とほぼ平行に形成し、前記下刃の下縁を前記開口部の逆回転方向側の縁部とほぼ平行に形成したことを特徴とする請求項1記載の回転圧入杭装置。
- 前記上刃及び下刃の外周を、前記拡底板の外周より外側に突出したことを特徴とする請求項2記載の回転圧入杭装置。
- 前記上刃及び下刃の外周は、前記先端部分の軸芯を中心とする仮想円柱面にほぼ沿って設けられていることを特徴とする請求項3記載の回転圧入杭装置。
- 一対の前記掘削刃を備え、これら一対の掘削刃は、前記先端部分の直径方向線分とほぼ平行で回転方向側に位置することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の回転圧入杭装置。
- 前記先端部分は、杭本体を接続する接続部に前記拡底板を設けた先端本体と、この先端本体に設けられた連結開口部と、この連結開口部に挿入連結され先端に前記掘削刃を設けた回転伝達体とを備え、この回転伝達体は前記連結開口部に挿脱可能であり、前記回転伝達体に回転伝達軸を接続することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の回転圧入杭装置。
- 前記連結開口部に、係合縁部を内側に突設し、前記回転伝達体の外周下端に前記係合縁部を挿通する挿通溝部を設け、この挿通溝部の基端側連続して前記回転伝達体の回転により前記係合縁部に係合する係合溝部を設けたことを特徴とする請求項6記載の回転圧入杭装置。
- 前記杭本体が中空パイルであることを特徴とする請求項6記載の回転圧入杭装置。
- 前記先端部分に、圧縮気体又は圧縮液体を噴射する噴射口を設けたことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の回転圧入杭装置。
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- 2003-06-19 JP JP2003175439A patent/JP2005009198A/ja active Pending
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