JP2005008699A - 酸素吸収性ポリマー、酸素吸収性樹脂組成物、これらを用いた積層体および包装容器 - Google Patents
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Abstract
【課題】酸素吸収性能に優れた酸素吸収性ポリマー、該ポリマーを含有する酸素吸収性樹脂組成物およびこれらを用いた積層体を提供すること、および酸素吸収性能に優れ、内容物の保存性に優れた包装容器を提供すること。
【解決手段】酸素吸収性ポリマーは、側鎖に官能基を有するエチレン・不飽和カルボン酸共重合体、エチレン・不飽和カルボン酸エステル共重合体、エチレン・ビニルアルコール共重合体などであって、前記官能基がアリル基、カルボニル化合物残基、エナミン化合物残基、オキシアルキル基およびフリル基から選ばれる少なくとも1種の基であり、光照射または加熱をすることにより前記官能基が酸化反応を開始しうる。
【選択図】 なし
【解決手段】酸素吸収性ポリマーは、側鎖に官能基を有するエチレン・不飽和カルボン酸共重合体、エチレン・不飽和カルボン酸エステル共重合体、エチレン・ビニルアルコール共重合体などであって、前記官能基がアリル基、カルボニル化合物残基、エナミン化合物残基、オキシアルキル基およびフリル基から選ばれる少なくとも1種の基であり、光照射または加熱をすることにより前記官能基が酸化反応を開始しうる。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は酸素吸収性ポリマー、該ポリマーを含有する酸素吸収性樹脂組成物、これらを用いた積層体および包装容器に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】
従来、包装容器としては、金属缶、ガラスビン、各種プラスチック容器等が使用されているが、食品等の包装容器の場合には容器内に残留する酸素や容器壁を透過する酸素による内容物の品質の低下が問題となる。金属缶やガラスビンでは一般に容器壁を通しての酸素透過がなく、容器内に残留する酸素のみが問題であるのに対して、プラスチック容器の場合には容器壁を通しての酸素透過が無視し得ないオーダーで生じ、内容物の保存性の点で問題となる。
【0003】
このような問題を防止するために、プラスチック容器では容器壁を多層構造とし、その内の少なくとも一層として、エチレン・ビニルアルコール共重合体等の耐酸素透過性を有する樹脂を用いることが行われている。
【0004】
また、容器内の酸素を除去するために、脱酸素剤の使用も古くから行われており、これを容器壁に適用した例としては、特公昭62−1824号公報の発明があり、これによると、酸素透過性を有する樹脂に鉄粉などの還元性物質を主剤とする脱酸素剤を配合して成る層と、酸素ガス遮断性を有する層とを積層して、包装用多層構造物としている。
【0005】
鉄粉等の酸素吸収剤を樹脂に配合して、包装材料の器壁に用いる方法は、酸素吸収性能が大きいという点では満足できるものであるが、樹脂を固有の色相に着色するために、透明性が要求される包装の分野には使用できないという用途上の制約がある。
【0006】
このような状況のもと、酸素吸収速度が大きく、ガスバリアー性、透明性にも優れた、酸素吸収性ポリマー、該ポリマーを含有する酸素吸収性樹脂組成物、これらを用いた積層体、包装容器が求められている。
【0007】
なお、酸素吸収性ポリマーまたは酸素吸収性樹脂組成物としては、大部分を構成する重縮合系直鎖ポリマーセグメントと小部分を構成する炭素−炭素不飽和二重結合を有する炭化水素オリゴマーセグメントからなり、主たる構成の重縮合系直鎖ポリマーセグメントの主鎖に対し、分岐状に炭素−炭素不飽和結合を有するポリオレフィンオリゴマーをペンダントとして結合したことを特徴とする重縮合系酸素捕捉性ポリマー(特許文献1参照)、
炭素分岐鎖を含み、且つ主鎖または側鎖にカルボン酸基、カルボン酸無水物基、カルボン酸エステル基、カルボン酸アミド基及びカルボニル基から成る群より選択された少なくとも1個の基を含む熱可塑性樹脂(A)と、遷移金属触媒(B)とを含有して成ることを特徴とする酸素吸収性樹脂組成物(特許文献2参照)、
数平均分子量が1000〜500000の範囲であり、構造式(I):
【0008】
【化2】
【0009】
[式中、R1は炭素原子数1〜10のアルキル基、アリル基、アルキルアリール基、またはアルコキシ基であり、R2およびR3は各々水素原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、置換アリル基、非置換アリル基、−COOR4、−OCOR5、シアノ基、またはハロゲン原子であり、R4およびR5は各々独立して炭素原子数1〜10のアルキル基、アリル基、アルキルアリール基、またはアルコキシ基である]で示される構造単位の少なくとも1種を有する樹脂であって、該構造単位中の炭素−炭素二重結合が0.0001eq/g以上の割合で含有される熱可塑性樹脂(a)と;金属元素換算で1〜10000ppmの遷移金属塩(b)と;を含有する、酸素吸収性樹脂組成物(特許文献3参照)、
酸素透過速度が500ml・20μm/m2・day・atm(20℃、65%RH)以下のガスバリアー性樹脂(A)、炭素−炭素二重結合を有する熱可塑性樹脂(B)、およびカルボキシル基を有する熱可塑性樹脂(C)を含有する樹脂組成物であって、該樹脂組成物の酸素吸収速度が0.01ml/m2・day以上である樹脂組成物(特許文献4参照)などがある。
【0010】
【特許文献1】
特開2001−31759号公報
【特許文献2】
特開2001−40226号公報
【特許文献3】
特開2001−106866号公報
【特許文献4】
特開2002−155214号公報
【0011】
【発明の目的】
本発明は、酸素吸収性能に優れた酸素吸収性ポリマー、該ポリマーを含有する酸素吸収性樹脂組成物およびこれらを用いた積層体を提供することを目的としている。
【0012】
また、本発明は、酸素吸収性能に優れ、内容物の保存性に優れた包装容器を提供することを目的としている。
【0013】
【発明の概要】
本発明に係る酸素吸収性ポリマーは、
下記式(2)で表される構成単位および下記式(3)で表される構成単位から選ばれる少なくとも1種の構成単位を必須の構成単位として含み、
下記式(1)で表される構成単位、下記式(4)で表される構成単位、下記式(5)で表される構成単位および下記式(6)で表される構成単位から選ばれる少なくとも1種の構成単位を任意の構成単位とすることを特徴としている。
【0014】
【化3】
【0015】
(上記式中、X1およびX2は互いに同一でも異なっていてもよく、アリル基、カルボニル化合物残基、エナミン化合物残基、オキシアルキル基およびフリル基から選ばれる少なくとも1種の官能基を示し、R1は水素または炭素原子数1〜20のアルキル基を示し、R2は炭素原子数1〜20のアルキル基を示す。)
本発明に係る酸素吸収性ポリマーは、例えば上記式(2)で表される構成単位および上記式(3)で表される構成単位から選ばれる少なくとも1種の構成単位を0.5〜100モル%、上記式(1)で表される構成単位、上記式(4)で表される構成単位、上記式(5)で表される構成単位および上記式(6)で表される構成単位から選ばれる少なくとも1種の構成単位を0〜99.5モル%の割合で含有している。
【0016】
本発明に係る酸素吸収性ポリマーは、上記式(1)で表される構成単位と、上記式(2)で表される構成単位および上記式(3)で表される構成単位から選ばれる少なくとも1種の構成単位とを必須の構成単位として含み、上記式(4)で表される構成単位、上記式(5)で表される構成単位および上記式(6)で表される構成単位から選ばれる少なくとも1種の構成単位を任意の構成単位とすることが好ましい。
【0017】
本発明に係る酸素吸収性ポリマーは、例えば上記式(1)で表される構成単位を50〜99.5モル%、上記式(2)で表される構成単位および上記式(3)で表される構成単位から選ばれる少なくとも1種の構成単位を0.5〜50モル%、上記式(4)で表される構成単位、上記式(5)で表される構成単位および上記式(6)で表される構成単位から選ばれる少なくとも1種の構成単位を0〜49.5モル%の割合で含有している。
【0018】
本発明に係る酸素吸収性ポリマーは、光照射または加熱をすることにより前記官能基が酸化反応を開始しうる。
【0019】
前記官能基の具体例としては、ジシクロペンタジエン、ノルボルネン、ピロール、インドール、フラン、エチレングリコール、プロピレングリコール、オキソラン、これらの誘導体およびこれらのオリゴマーから選ばれる少なくとも1種の化合物の残基がある。
【0020】
本発明に係る酸素吸収性ポリマーとしては、側鎖に官能基を有するエチレン・不飽和カルボン酸共重合体、側鎖に官能基を有するエチレン・不飽和カルボン酸エステル共重合体、側鎖に官能基を有するエチレン・ビニルアルコール共重合体がある。
【0021】
本発明に係る酸素吸収性樹脂組成物は、上記酸素吸収性ポリマーと、光増感剤および/または金属触媒とを含有することを特徴としている。
【0022】
本発明の他の態様に係る酸素吸収性樹脂組成物は、上記酸素吸収性ポリマーと、他の熱可塑性樹脂とを含有することを特徴としている。
【0023】
また、本発明の他の態様に係る酸素吸収性樹脂組成物は、上記酸素吸収性ポリマーと、他の熱可塑性樹脂と、光増感剤および/または金属触媒とを含有することを特徴としている。
【0024】
本発明に係る積層体は、上記酸素吸収性ポリマーから形成された酸素吸収性ポリマー層または上記酸素吸収性樹脂組成物から形成された酸素吸収性樹脂組成物層と、ガスバリアー層、ヒートシール層、接着層および形状保持層から選ばれる少なくとも1種の層とを含むことを特徴としている。
【0025】
本発明に係る包装容器は、上記積層体からなることを特徴としている。
【0026】
【発明の具体的説明】
以下、本発明に係る酸素吸収性ポリマー、該ポリマーを含有する酸素吸収性樹脂組成物、これらを用いた積層体および包装容器について具体的に説明する。
【0027】
本発明に係る酸素吸収性ポリマーは、
下記式(2)で表される構成単位および下記式(3)で表される構成単位から選ばれる少なくとも1種の構成単位を必須の構成単位として含み、
下記式(1)で表される構成単位、下記式(4)で表される構成単位、下記式(5)で表される構成単位および下記式(6)で表される構成単位から選ばれる少なくとも1種の構成単位を任意の構成単位としている。
【0028】
【化4】
【0029】
上記式中、X1およびX2は互いに同一でも異なっていてもよく、アリル基、カルボニル化合物残基、エナミン化合物残基、オキシアルキル基およびフリル基から選ばれる少なくとも1種の官能基を示す。
【0030】
ここで、アリル基としては、ジシクロペンタジエン、ヒドロキシジシクロペンクジエン、シクロヘキセンメタノール、シクロヘキセンエタノール、シクロペンテン、ブテン、ブタジエン、ノルボルネン、インデン、2−(アリルオキシ)エタノール、アクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、α−テルピネオール、1−シクロヘキセニル酢酸、4−ビニル−1−シクロヘキセンなどの残基およびこれらのオリゴマーの残基が挙げられる。
【0031】
カルボニル化合物残基としては、ベンゾフェノン誘導体、アセトフェノン誘導体、メチルエチルケトン誘導体、アセトン誘導体、アセチルアセトン誘導体、アリザリン、2,5−ジヒドロキシベンゾキノンなどの残基およびこれらのオリゴマーの残基が挙げられる。
【0032】
エナミン化合物残基としては、4−ヒドロキシインドール、5−ヒドロキシインドール、3−インドールメタノール、3−インドールエタノール、3−インドールプロパノール、3−インドールブタノール、3−インドール酢酸、2−メチルインドール−3−酢酸、3−インドールアセトニトリル、4−アミノインドール、5−アミノインドール、5−アミノ−2−メチルインドール、5−ヒドロキシインドール−2−カルボン酸エチル、インドール−2−カルボン酸エチル、3−インドールアクリル酸、3−インドールプロピオン酸、3−インドール酪酸、3−インドールピルビン酸、3−インドール酢酸エチル、3−インドールカルボン酸、5−インドールカルボン酸、3−インドールグリオキシル酸、D,L−インドール−3−乳酸、3−アセトキシインドール、インドリン、トリプトファン、N−アセチル−D,L−トリプトファン、5−ヒドロキシ−D,L−トリプトファン、ピロール誘導体、カルバゾール誘導体などの残基およびこれらのオリゴマーの残基が挙げられる。
【0033】
オキシアルキル基としては、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、2−イソプロポキシエタノール、エチレングリコールモノブチルエーテル、2−ブトキシエタノール、エチレングリコールモノ−tert−ブチルエーテル、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、2−(2−イソブトキシエトキシ)エタノール、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、1−ブトキシ−2−プロパノール、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコール、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル、テトラエチレングリコール、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレングリコールモノエチルエーテル、テトラブロピレングリコール、テトラプロピレングリコールモノメチルエーテル、テトラプロピレングリコールモノエチルエーテル、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリエチレングリコールモノェチルエーテル、ポリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコールモノメチルエーテル、ポリプロピレングリコールモノエチルエーテル、1,3−プロパンジオール、1,4−プタンジオール、1,2−プタンジオール、ジオキサン、1,3−ジヒドロキシアセトン二量体、1,4−ジオキサン−2,3−ジオール、グリコール酸、ヒドロキシエチルセルロース、モノステアリン酸エチレングリコール、モノラウリル酸ジエチレングリコール、2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−メタノール、(s)−(+)−3−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)−trans−アクリル酸エチル、3−ヒドロキシテトラヒドロフラン、テトラヒドロフルフリルアルコールなどの残基およびこれらのオリゴマーの残基が挙げられる。
【0034】
フリル基としては、フラン、フルフリルアルコール、フロイン、5−ヒドロキシメチルフルフラールなどの残基およびこれらのオリゴマーの残基が挙げられる。
【0035】
これらのなかでは、ジシクロペンタジエン、ノルボルネン、ピロール、インドール、フラン、エチレングリコール、プロピレングリコール、オキソラン、これらの誘導体およびこれらのオリゴマーから選ばれる少なくとも1種の化合物の残基であることが好ましい。
【0036】
R1は水素(H)または、炭素原子数1〜20、好ましくは炭素数1〜4のアルキル基を示し、炭素原子数1〜20のアルキル基としては具体的には例えばメチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチルなどが挙げられる。この中では特に水素が好ましい。
【0037】
R2は炭素原子数1〜20のアルキル基を示し、具体的には例えばメチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−アミル、i−アミル、n−ヘキシル、シクロヘキシル、2−エチルヘキシル、n−オクチル、n−ノニル、i−ノニル、p−tert−ブチルシクロヘキシル、n−デシル、n−ドデシルなどが挙げられる。
【0038】
本発明に係る酸素吸収性ポリマーは、上記式(1)で表される構成単位と、上記式(2)で表される構成単位および上記式(3)で表される構成単位から選ばれる少なくとも1種の構成単位と、上記式(4)で表される構成単位、上記式(5)で表される構成単位および上記式(6)で表される構成単位から選ばれる少なくとも1種の構成単位とからなることが好ましい。
【0039】
本発明に係る酸素吸収性ポリマーは、上記式で表される構成単位がランダムに結合しており、メルトフローレート(MFR;ASTM D 1238、190℃、荷重2.16kg)が通常0.1〜500g/10分、好ましくは0.5〜20g/10分の範囲にある。
【0040】
本発明における酸素吸収性ポリマーは上記式(2)で表される構成単位および上記式(3)で表される構成単位から選ばれる少なくとも1種の構成単位を0.5〜100モル%、上記式(1)で表される構成単位、上記式(4)で表される構成単位、上記式(5)で表される構成単位および上記式(6)で表される構成単位から選ばれる少なくとも1種の構成単位を0〜99.5モル%含有することが好ましい。
【0041】
酸素吸収性ポリマーが上記構成単位(官能基)を上記の割合で含有すると、酸素吸収速度、酸素吸収量に優れる。
【0042】
特に本発明において酸素吸収ポリマーの酸素吸収速度、酸素吸収量が優れ、かつポリマーを容易に製造し得るという観点から各構成単位の含有割合が上記範囲内にあることが好ましい。
【0043】
本発明の酸素吸収性ポリマーは、上記式(1)で表される構成単位を好ましくは50〜99モル%、より好ましくは50〜98モル%、さらに好ましくは50〜95モル%の割合で含有し、上記式(2)で表される構成単位および上記式(3)で表される構成単位から選ばれる少なくとも1種の構成単位を好ましくは1〜50モル%、より好ましくは2〜50モル%、さらに好ましくは5〜50モル%の割合で含有し、上記式(4)で表される構成単位、上記式(5)で表される構成単位および上記式(6)で表される構成単位から選ばれる少なくとも1種の構成単位を好ましくは0〜49.5モル%、より好ましくは0〜30モル%、さらに好ましくは0〜20モル%の割合で含有することが望ましい。
【0044】
また本発明の酸素吸収性ポリマーは上記(1)〜(6)で表わされる必須および/または任意の構成単位以外にも、例えばプロピレン、1−ブテン、2−ブテン、1,3−ブタジエン、4−メチル−1−ペンテン、ヘキセン、オクテンなどに代表されるエチレン以外のオレフィン、無水マレイン酸またはそのエステル誘導体、スチレンまたはその誘導体、あるいはビニルシランまたはその誘導体等の構成単位を、酸素吸収性ポリマーの酸素吸収性能を損なわない範囲において、例えば0〜10モル%程度含有してもよい。
【0045】
このような本願発明に係る酸素吸収性ポリマーとしては、側鎖に官能基を有するエチレン・不飽和カルボン酸共重合体、側鎖に官能基を有するエチレン・不飽和カルボン酸エステル共重合体、側鎖に官能基を有するエチレン・ビニルアルコール共重合体などがあり、好ましくは下記に示すような構成単位からなるポリマーである。
【0046】
【化5】
【0047】
【化6】
【0048】
【化7】
【0049】
【化8】
【0050】
【化9】
【0051】
【化10】
【0052】
本発明に係る酸素吸収性ポリマーは、光を照射することにより、または加熱をすることにより前記官能基が酸化反応を開始しうる。
【0053】
この時使用される光としては、例えば電子線、紫外線、X線等が挙げられ、好ましくは紫外線である。光源としては低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、ハロゲンランプ等を使用することができる。露光量としては通常、1,000〜50,000mJ/cm2程度である。
【0054】
加熱するときの温度は、通常20〜140℃程度である。
【0055】
本発明に係る酸素吸収性ポリマーは、酸素吸収性を有するだけでなく、酸素バリア性も有し、ポリマー中に溶解してくる酸素と前記官能基が直接反応して酸素を吸収し、酸素の透過を防止しうる。
【0056】
(製造方法)
本発明に係る酸素吸収性ポリマー、例えば上記式(2)で表される構成単位および下記式(3)で表される構成単位から選ばれる少なくとも1種の構成単位からなる酸素吸収性ポリマーは、例えばエステル交換触媒の存在下に、上記式(4)、(5)および(6)で表される構成単位から選ばれる少なくとも1種の構成単位を含む樹脂、例えばポリメタクリル酸メチルなどに代表される不飽和カルボン酸エステル重合体、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸などに代表される不飽和カルボン酸重合体、ポリビニルアルコール、またはポリ酢酸ビニルに代表されるポリ酢酸ビニル誘導体体等の重合体と、上述した官能基となりうる化合物とを反応(グラフト変性)させることにより得ることができる。あるいは予め上記構成単位にあたるモノマーをエステル化などによって合成し、それらを溶液重合、あるいは塊状重合によってポリマー化しても得ることができる。
【0057】
また、上記式(1)で表される構成単位と、上記式(2)で表される構成単位および上記式(3)で表される構成単位から選ばれる少なくとも1種の構成単位と、上記式(4)で表される構成単位、上記式(5)で表される構成単位および上記式(6)で表される構成単位から選ばれる少なくとも1種の構成単位とからなる酸素吸収性ポリマーは、例えばエステル交換触媒の存在下に、上記式(1)で表される構成単位と、上記式(4)で表される構成単位、上記式(5)で表される構成単位および上記式(6)で表される構成単位から選ばれる少なくとも1種の構成単位とからなる樹脂、例えばエチレン・不飽和カルボン酸共重合体、エチレン・不飽和カルボン酸エステル共重合体、エチレン・ビニルアルコール共重合体等の重合体と、上述した官能基となりうる化合物とを反応(グラフト変性)させることにより得ることができる。
【0058】
上記官能基となりうる化合物は、重合体100重量部に対して、通常5〜200重量部、好ましくは40〜100重量部の割合で使用される。
【0059】
エステル交換触媒としては、ナトリウム−tert−ブトキシド、ナトリウムプロポキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムメトキシド、水酸化ナトリウム、チタン(IV)ブトキシド、チタン(IV)プロポキシド、チタン(IV)エトキシド、酸化チタン(IV)、塩化チタン(IV)、塩化ジルコニウム(IV)、塩化ハフニウム(IV)、ハフニウム−tert−ブトキシド、塩化錫、モノブチル錫オキシド、ジブチル錫オキシド、オクチル酸錫(II)、などの有機錫化合物、リパーゼ変性体、およびチタン、ジルコニウム、錫のメタロセン錯体触媒などが挙げられる。
【0060】
このようなエステル交換触媒は、重合体100重量部に対して、通常0.0001〜10重量部の量で使用される。
【0061】
重合体のグラフト変性は、従来公知の方法で行うことができ、
例えば▲1▼原料となる重合体と官能基となりうる化合物およびエステル交換触媒などを、例えばヘンシェルミキサー、V−ブレンダー、リボンブレンダー、タンブラブレンダー、一軸押出機、二軸押出機、ニーダー、バンバリーミキサーなどで溶融混練してグラフト変性する方法
▲2▼原料重合体を有機溶媒に溶解し、次いで官能基となりうる化合物およびエステル交換触媒などを溶液に加え、70〜200℃、好ましくは80〜190℃の温度で、0.5〜15時間、好ましくは1〜10時間反応させてグラフト変性する方法などが挙げられる。
【0062】
▲2▼の方法において重合体をグラフト変性する際に用いられる有機溶媒は、重合体を溶解し得る有機溶媒であれば特に限定することなく使用することができる。
【0063】
このような有機溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶媒、ペンタン、ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素系溶媒などが挙げられる。
【0064】
[酸素吸収性樹脂組成物]
本発明に係る酸素吸収性樹脂組成物は、上記酸素吸収性ポリマーと、光増感剤および/または金属触媒とを含有している。
【0065】
本発明の他の態様に係る酸素吸収性樹脂組成物は、上記酸素吸収性ポリマーと、他の熱可塑性樹脂と、必要に応じて光増感剤および/または金属触媒とを含有している。
【0066】
本発明の酸素吸収性樹脂組成物は、樹脂成分の合計量100重量部に対し、酸素吸収性ポリマーを3重量部以上、好ましくは5重量部以上含有されていることが望ましい。
【0067】
(金属触媒)
本発明で用いられる金属触媒としては、鉄、コバルト、ニッケル等の周期表第8、9族金属成分が好ましいが、他に銅、銀等の第11族金属;スズ、チタン、ジルコニウム等の第4、14族金属、バナジウムの第5族、クロム等6族、マンガン等の7族の金属成分が挙げられる。これらの金属成分の内でもコバルトは、酸素吸収速度が特に大きくなるので好ましい。
【0068】
金属触媒は、上記金属の低価数の無機酸塩または有機酸塩または錯塩の形で一般に使用される。無機酸塩としては、塩化物などのハライド、硫酸塩等のイオウのオキシ酸塩、硝酸塩などの窒素のオキシ酸塩、リン酸塩などのリンオキシ酸塩、ケイ酸塩等が挙げられる。一方有機酸塩としては、カルボン酸塩、スルホン酸塩、ホスホン酸塩などが挙げられるが、カルボン酸塩が本発明の目的に好適であり、その具体例としては、酢酸、プロピオン酸、イソプロピオン酸、ブタン酸、イソブタン酸、ペンタン酸、イソペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、イソヘプタン酸、オクタン酸、2−エチルヘキサン酸、ノナン酸、3,5,5−トリメチルヘキサン酸、デカン酸、ネオデカン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、マーガリン酸、ステアリン酸、アラキン酸、リンデル酸、ツズ酸、ペトロセリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、ギ酸、シュウ酸、スルファミン酸、ナフテン酸等の遷移金属塩が挙げられる。一方、遷移金属の錯体としては、β−ジケトンまたはβ−ケト酸エステルとの錯体が使用され、β−ジケトンまたはβ−ケト酸エステルとしては、例えば、アセチルアセトン、アセト酢酸エチル、1,3−シクロヘキサジオン、メチレンビス−1,3ーシクロヘキサジオン、2−ベンジル−1,3−シクロヘキサジオン、アセチルテトラロン、パルミトイルテトラロン、ステアロイルテトラロン、ベンゾイルテトラロン、2−アセチルシクロヘキサノン、2−ベンゾイルシクロヘキサノン、2−アセチル−1,3−シクロヘキサンジオン、ベンゾイル−p−クロルベンゾイルメタン、ビス(4−メチルベンゾイル)メタン、ビス(2−ヒドロキシベンゾイル)メタン、ベンゾイルアセトン、トリベンゾイルメタン、ジアセチルベンゾイルメタン、ステアロイルベンゾイルメタン、パルミトイルベンゾイルメタン、ラウロイルベンゾイルメタン、ジベンゾイルメタン、ビス(4−クロルベンゾイル)メタン、ビス(メチレン−3,4−ジオキシベンゾイル)メタン、ベンゾイルアセチルフェニルメタン、ステアロイル(4−メトキシベンゾイル)メタン、ブタノイルアセトン、ジステアロイルメタン、アセチルアセトン、ステアロイルアセトン、ビス(シクロヘキサノイル)−メタンおよびジピバロイルメタン等が挙げられる。これらの金属触媒は、1種単独でまたは2種以上組み合わせて使用することができる。
【0069】
酸素吸収性樹脂組成物が上記金属触媒を含有すると、酸素吸収性樹脂組成物を加熱したり、赤外線、近赤外線、可視光線、紫外線等の光線を照射したりしたときに、酸素吸収性ポリマーと酸素との反応の開始が促進されるとともに酸素吸収速度、酸素吸収量を高くすることができる。
【0070】
金属触媒は、酸素吸収性樹脂組成物中に0〜50,000ppm、好ましくは10〜10,000ppm、より好ましくは100〜5,000ppmの割合で含有することが望ましい。金属触媒の含有量が上記範囲内にあると、酸素との反応促進効果に優れ、かつ経済的である。
【0071】
(光増感剤)
光増感剤としては、ベンゾフェノン、o−メトキシベンゾフェノン、アセトフェノン、o−メトキシアセトフェノン、アセナフテンキノン、メチルエチルケトン、バレロフェノン、ヘキサノフェノン、α−フェニルブチロフェノン、p−モルホリノプロピオフェノン、ジベンゾスベロン、4−モルホリノベンゾフェノン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、4−o−モルホリノデオキシベンゾイン、p−ジアセチルベンゼン、4−アミノベンゾフェノン、4’−メトキシアセトフェノン、α−テトラロン、9−アセチルフェナントレン、2−アセチルフェナントレン、10−チオキサントン、3−アセチルフェナントレン、3−アセチルインドール、9−フルオレノン、1−インダノン、1,3,5−トリアセチルベンゼン、チオキサンテン−9−オン、キサンテン−9−オン、7−H−ベンズ[de]アントラセン−7−オン、ベンゾインテトラヒドロピラニルエーテル、4,4’−ビス−(ジメチルアミノ)−ベンゾフェノン、1’−アセトナフトン、2’−アセトナフトン、2,3−ブタンジオン、ベンズ[a]アントラセン−7,12−ジオン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、α,α−ジエトキシアセトフェノン、α,α−ジブトキシアセトフェノン、ローズベンガル、メチレンブルー、テトラフェニルポルフィリンなどが挙げられる。これらの光増感剤は、1種単独でまたは2種以上組み合わせて使用することができる。
【0072】
酸素吸収性樹脂組成物が光増感剤を含有すると、酸素吸収性樹脂組成物が加熱されたり光を照射されたりしたときに、酸素吸収性ポリマーと酸素との反応の開始が促進されるとともに酸素吸収速度、酸素吸収量を高くすることができる。
【0073】
光増感剤は、酸素吸収性樹脂組成物中に1〜50,000ppm、好ましくは10〜10,000ppm、より好ましくは100〜5,000ppmの割合で含有することが望ましい。光増感剤の含有量が上記範囲内にあると、酸素との反応促進効果に優れ、かつ経済的である。
【0074】
(他の熱可塑性樹脂)
他の熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル、ポリアセタール、ポリスチレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)、ポリメタクリレート、ポリカーボネート、ポリフェニレンオキサイド、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体などが挙げられる。
【0075】
ポリオレフィンとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−1−ブテン、ポリメチルペンテン、ポリメチルブテンなどのオレフィン単独重合体、エチレン−α−オレフィンランダム共重合体、プロピレン−エチレンランダム共重合体などのオレフィン共重合体などが挙げられる。なお、ポリオレフィンが炭素原子数が3以上のオレフィンから得られるポリオレフィンである場合には、アイソタクチック重合体であってもよく、シンジオタクチック重合体であってもよい。
【0076】
ポリアミドとしては、ナイロン−6、ナイロン−66、ナイロン−10、ナイロン−12、ナイロン−46等の脂肪族ポリアミド、芳香族ジカルボン酸と脂肪族ジアミンより製造される芳香族ポリアミドなどを挙げることができる。
【0077】
ポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどの芳香族系ポリエステル、ポリカプロラクトン、ポリヒドロキシブチレートなどが挙げられる。
【0078】
ポリアセタールとしては、ポリホルムアルデヒド(ポリオキシメチレン)、ポリアセトアルデヒド、ポリプロピオンアルデヒド、ポリブチルアルデヒドなどが挙げられる。
【0079】
ポリスチレンは、スチレンの単独重合体であってもよく、スチレンとアクリロニトリル、メタクリル酸メチル、α−メチルスチレンなどとの二元共重合体、たとえばアクリロニトリル−スチレン共重合体であってもよい。
【0080】
ABSとしては、アクリロニトリルから誘導される構成単位を20〜35モル%の量で含有し、ブタジエンから誘導される構成単位を20〜30モル%の量で含有し、スチレンから誘導される構成単位を40〜60モル%の量で含有するものが好ましく用いられる。
【0081】
ポリメタクリレートとしては、ポリメチルメタクリレート(PMMA)が好ましい。
【0082】
ポリカーボネートとしては、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタンなどから得られるものが挙げられる。
【0083】
ポリフェニレンオキシドとしては、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンオキシド)が挙げられる。
【0084】
ポリ塩化ビニルは、塩化ビニルの単独重合体であってもよく、塩化ビニリデン、アクリル酸エステル、アクリロニトリル、プロピレンなどとの共重合体であってもよい。
【0085】
ポリ塩化ビニリデンは、通常塩化ビニリデン単位を85%以上含む、塩化ビニル、アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸エステル、アリルエステル、不飽和エーテル、スチレンなどとの共重合体が用いられる。
【0086】
ポリ酢酸ビニルは、酢酸ビニルの単独重合体であってもよく、エチレン、塩化ビニルとの共重合体であってもよい。これらのうち、エチレン−酢酸ビニル共重合体が好ましい。
【0087】
エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体としては、エチレン−メチルアクリレート共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−メチルメタクリレート共重合体、エチレン−エチルメタクリレート共重合体が好ましい。
【0088】
このような他の熱可塑性樹脂は、酸素吸収性樹脂組成物中に3〜1,900重量部、好ましくは5〜900重量部の割合で含有することが望ましい。
【0089】
(他の配合剤)
本発明に係る酸素吸収性樹脂組成物は、充填剤、着色剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、老化防止剤、帯電防止剤、金属セッケンやワックス等の滑剤、改質用樹脂ないしゴムなどに代表される公知の他の配合剤を、本発明の目的を損なわない範囲で公知の処方に従って配合することができる。
【0090】
(組成物の調製法)
本発明の酸素吸収性樹脂組成物は、公知の任意の方法を採用して調製することができ、例えば酸素吸収性ポリマーと、他の熱可塑性樹脂と、所望によりさらに添加される配合剤とを、例えばヘンシェルミキサー、V−ブレンダー、リボンブレンダー、タンブラブレンダーなどで混合する方法、または混合後、一軸押出機、二軸押出機、ニーダー、バンバリーミキサーなどで溶融混練し、さらに造粒もしくは粉砕する方法を採用して製造することができる。
【0091】
(積層体および包装容器)
上述した本発明に係る酸素吸収性ポリマーおよび酸素吸収性樹脂組成物は、粉末、粒状物またはシート等の形で、密封型包装容器内の酸素吸収に使用することができる。例えば、上記酸素吸収性ポリマーおよび酸素吸収性樹脂組成物は、ライナーないしガスケット用として、包装容器内の残留酸素吸収に用いることもできる。しかしながら、上記酸素吸収性ポリマーおよび酸素吸収性樹脂組成物は、フィルム、シートの形で包装材料として、またカップ、トレイ、ボトル、チューブ容器等の形で包装容器として用いることが特に好ましい。
【0092】
上記酸素吸収性ポリマーおよび酸素吸収性樹脂組成物は、単層で包装材料および包装容器に使用することができ、また酸素吸収性ポリマーまたは酸素吸収性樹脂組成物から形成された少なくとも一層と、他の樹脂からなる少なくとも一層とからなる積層体として包装材料および包装容器に使用することができる。
【0093】
このとき一般に、酸素吸収性ポリマーおよび酸素吸収性樹脂組成物は、容器など内表面側に設けることが好ましく、また容器などの中間層に設けると内容物との直接的な接触を避けることができる。
【0094】
他の樹脂からなる少なくとも一層としては、ガスバリアー層、ヒートシール層、接着層、形状保持層などが挙げられる。
【0095】
ガスバリアー層に用いられる樹脂としては、例えばエチレン・ビニルアルコール共重合体(EVOH)、エチレンと環状オレフィンとの共重合体、Al蒸着PET、Al蒸着PP、シリカ蒸着PETなどを挙げることができる。
【0096】
ガスバリアー層を設ける場合は、ガスバリアー層の厚さは、通常5〜100μm、好ましくは10〜50μm程度である。
【0097】
ヒートシール層に用いられる樹脂としては、例えば低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体もしくはその金属中和品、エチレン・メタクリル酸共重合体もしくはその金属中和品、エチレン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体、エチレン・ビニルエステル共重合体、エチレン・ビニルアルコール共重合体、結晶性もしくは非晶性ポリエステル変性体、またはこれらの多元共重合体もしくは混合物、などが挙げられる。
【0098】
ヒートシール層を設ける場合は、ヒートシール層の厚さは、通常5〜100μm、好ましくは15〜50μm程度である。
【0099】
接着層に用いられる樹脂としては、例えば無水マレイン酸をグラフト共重合したエチレン(共)重合体やプロピレン(共)重合体などの接着性樹脂が挙げられる。また、エステル系、ウレタン系、アクリル系、エチレンイミン系などのアンカーコート剤や接着剤をアンカーコーターにて塗布後乾燥して用いてもよい。
【0100】
接着層を設ける場合は、接着層の厚さは、通常0.1〜50μm、好ましくは1〜30μm程度である。
【0101】
形状保持層に用いられる樹脂としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリアミド、ポリスチレン、ABS、PMMA、PC、PVCなどが挙げられる。また、形状保持層には、紙、不織布、繊維、ガラスなどを用いることもできる。
【0102】
形状保持層を設ける場合は、形状保持層の厚さは、通常5μm〜5mm、好ましくは10μm〜1mm程度である。
【0103】
本発明に係る包装材料および包装容器において、酸素吸収性ポリマー層または酸素吸収性樹脂組成物層の厚みは、特に制限はないが、酸素吸収性の点では一般に1μm以上、特に3μm以上の厚みを有することが好ましい。また、酸素吸収性ポリマー層または酸素吸収性樹脂組成物層の厚みは、一般に100μm以下、特に50μm以下の厚みを有するのが有利である。すなわち、酸素吸収性ポリマー層または酸素吸収性樹脂組成物層の厚みがある範囲よりも厚くなっても酸素吸収性の点では格別の利点がなく、樹脂量が増大するなど経済性の点、材料の可撓性や柔軟性が低下するなどの容器特性の点で不利となるからである。
【0104】
本発明の多層の包装材料および包装容器において、全体の厚みは、用途によっても相違するが、一般に30〜7,000μm、特に50〜5,000μmの範囲にあることが好ましく、酸素吸収性ポリマー層または酸素吸収性樹脂組成物層の厚みは、全体の厚みの0.5〜95%、特に1〜50%の厚みとすることが好ましい。
【0105】
本発明に係る包装材料および包装容器は、前述した酸素吸収性ポリマーまたは酸素吸収性樹脂組成物を用いる点を除けば、従来公知の方法で製造することが可能である。
【0106】
例えば、フィルム、シートまたはチューブの成形は、前記酸素吸収性ポリマーまたは酸素吸収性樹脂組成物を押出機で溶融混練した後、T−ダイ、サーキュラーダイ(リングダイ)等を通して所定の形状に押出すことにより行われる。得られたフィルムはこれを二軸延伸することにより、二軸延伸フィルムが形成される。また、前記酸素吸収性ポリマーまたは酸素吸収性樹脂組成物を射出機で溶融混練した後、射出金型中に射出することにより、容器、容器製造用のプリフォーム、容器蓋殻体などを製造することができる。さらに、前記酸素吸収性ポリマーまたは酸素吸収性樹脂組成物を、押出機を通して一定の溶融樹脂塊に押し出し、これを金型で圧縮成形することにより、容器、容器製造用のプリフォーム、容器蓋殻体などを製造することができる。
【0107】
成形物は、フィルム、シート、ボトル、カップ、キャップ、チューブ形成用パリソンないしはパイプ、ボトルないしチューブ成形用プリフォーム等の形をとり得る。パリソン、パイプまたはプリフォームからのボトルの形成は、押出物を一対の割型でピンチオフし、その内部に流体を吹込むことにより容易に行われる。また、パイプないしはプリフォームを冷却した後、延伸温度に加熱し、軸方向に延伸すると共に、流体圧によって周方向にブロー延伸することにより、延伸ブローボトル等が得られる。さらに、また、フィルムないしシートを、真空成形、圧空成形、張出成形、プラグアシスト成形等の手段に付することにより、カップ状、トレイ状等の包装容器が得られる。
【0108】
フィルム等の包装材料は、種々の形態の包装袋として用いることができ、その製袋は、従来公知の製袋法で行うことができ、三方または四方シールの通常のパウチ類、ガセット付パウチ類、スタンディングパウチ類、ピロー包装袋などが挙げられるが、この例に限定されない。
【0109】
多層押出成形体の製造には、従来公知の共押出成形法を用いることができ、例えば樹脂の種類に応じた数の押出機を用いて、多層多重ダイを用いる以外は上記と同様にして押出成形を行えばよい。
【0110】
また、多層射出成形体の製造には、樹脂の種類に応じた数の射出成形機を用いて、共射出法や逐次射出法により多層射出成形体を製造することができる。
【0111】
さらに、多層フィルムや多層シートの製造には、押出コート法や、サンドイッチラミネーションを用いることができ、また、予め形成されたフィルムのドライラミネーションによって多層フィルムまたはシートを製造することもできる。
【0112】
本発明の包装体は、酸素による内容物の香味低下を防止し、シェルフライフを向上させる容器として有用である。充填できる内容物としては、飲料ではビール、ワイン、フルーツジュース、炭酸ソフトドリンク等、食品では果物、ナッツ、野菜、肉製品、幼児食品、コーヒー、ジャム、マヨネーズ、ケチャップ、食用油、ドレッシング、ソース類、佃煮類、乳製品類等、その他では医薬品、化粧品、ガソリン等、酸素存在下で劣化を起こしやすい内容品などが挙げられる。
【0113】
【発明の効果】
本発明に係る酸素吸収性ポリマー、該ポリマーを含有する酸素吸収性樹脂組成物およびこれらを用いた積層体は、酸素吸収性能に優れている。
【0114】
本発明に係る包装容器は、酸素吸収性能に優れ、内容物の保存性に優れている。
【0115】
【実施例】
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0116】
なお、実施例において用いた樹脂、試薬等および物性等の測定方法は、以下のとおりである。
(原料樹脂)
エチレン・エチルアクリレート共重合体(エチルアクリレート含量=34重量%、MFR=20g/10分) :ポリマーA
エチレン・エチルアクリレート共重合体(エチルアクリレート含量=25重量%、MFR=800g/10分) :ポリマーB
低密度ポリエチレン(MFR=3.7g/10分):ポリマーC
ポリマーA〜Cは、真空乾燥器にて、50℃で8時間乾燥した。
(溶媒)
溶媒として使用したトルエンは、モレキュラーシーブにて乾燥したものを用いた。
(酸素吸収量の測定)
UV照射はウシオ電機製ベルトコンベアー式UV照射装置UVC−02512S1AA01にて高圧水銀ランプ光源(オゾンなし)で行った。紫外線積算光量計はUIT−150−Aを、受光器はUVD−C254を用い、波長220nm−310nmの紫外線照射量を測定した。また、酸素吸収能の測定はGCにて行い、前処理用のセルは図1に示す石英製の100ml集気瓶(GC用ガスサンプラー)を作製して使用した。試料の調製は、ポリマー 1g(熱プレスした50〜400μmフィルム)に反応触媒として酢酸コバルト 0.3mg、および光増感剤としてベンゾフェノン 1mgを溶解したメタノール溶液2mlを添加して乾燥空気(酸素濃度21%)と共に容積100mlの集気瓶に封入した後、30J/cm2のUV光を照射し、常圧へのN2リークをしてから集気瓶中の酸素濃度を測定した。
【0117】
【実施例1】
500mlのセパラブル四つ口フラスコを使用し、蓋には縮合管、N2バブラー、および攪拌棒をセットした。これにポリマーA 15g、トルエン 250gを入れたところでN2をバブルしながらオイルバスで80℃に昇温した。また、別の三角フラスコにて予めトルエン 50gにIdEtOH 8.22g、NaOt−Bu 0.32gを加え触媒溶液を調製し、上記四つ口フラスコに添加した。上記四つ口フラスコ内の液を設定温度130℃で2時間攪拌し、その間にトルエンを留去した。反応直後のポリマーを真空ポンプにて減圧乾燥した。乾燥後、ポリマーをフラスコから掻き出してミキサーに投入し、これに水500mlを加え、粉砕した。濾過してポリマーを回収した後、500mlのメタノール中に加え、50℃で30分間攪拌した。このメタノール洗浄処理を2回繰り返した。
【0118】
粗生成物を70℃に熱したキシレン/ブタノール=3/1溶液に加え攪拌した。これを40℃程度まで放冷し、0.1N−HClメタノール溶液を加え攪拌した。これをメタノール中に滴下し再沈殿した後、濾過してポリマーを全量回収した。真空乾燥器にて50℃×5時間減圧乾燥してIdEtOH−g−ポリマーAを得た。
【0119】
【実施例2】
実施例1においてIdEtOHに代えてDcpOHを7.65g用いたこと以外は同様にして、DcpOH−g−ポリマーAを得た。
【0120】
【実施例3】
実施例1においてIdEtOHに代えてDEGOMeを12.3g用いたこと以外は同様にして、DEGOMe−g−ポリマーAを得た。
【0121】
【実施例4】
実施例1においてIdEtOHに代えてDPGOMeを15.1g用いたこと以外は同様にして、DPGOMe−g−ポリマーAを得た。
【0122】
【実施例5】
実施例1においてIdEtOHに代えてFufOHを10.0g用いたこと以外は同様にして、FufOH−g−ポリマーAを得た。
【0123】
【実施例6】
実施例1においてIdEtOHに代えてDMOxMeOHを13.5g用いたこと以外は同様にして、DMOxMeOH−g−ポリマーAを得た。
【0124】
【実施例7】
実施例1においてポリマーAに代えてポリマーBを15.0g用い、またIdEtOHを6.05g用いたこと以外は同様にして、IdEtOH−g−ポリマーBを得た。
【0125】
上記実施例で製造した酸素吸収性ポリマーについて酸素吸収能を測定した。その結果を、酸素吸収性ポリマーの合成条件とともに下記表1に示す。
【0126】
【表1】
【0127】
【実施例8】
実施例1において合成したポリマーを用い、試料の調整において、酢酸コバルト、およびベンゾフェノンのメタノール溶液を添加せずに、ポリマー 1g(熱プレスした50〜400μmフィルム)のみを乾燥空気(酸素濃度21%)と共に容積100mlの集気瓶に封入した後、30J/cm2のUV光を照射し、常圧へのN2リークをしてから集気瓶中の酸素濃度を測定した。
【0128】
【比較例1】
ポリマーC 1g(熱プレスした50〜400μmフィルム)のみを乾燥空気(酸素濃度21%)と共に容積100mlの集気瓶に封入した後、30J/cm2のUV光を照射し、常圧へのN2リークをしてから集気瓶中の酸素濃度を測定した。
【0129】
上記実施例8で調製した酸素吸収性ポリマーおよび熱プレスしたポリマーCについて酸素吸収能を測定した結果を、下記表2に示す。
【0130】
【表2】
【図面の簡単な説明】
【図1】酸素吸収能の測定に用いたセル(GC用ガスサンプラー)である。
【符号の説明】
1 … 酸素吸収量測定用セル
10 … ゴムパッキン
11 … 石英ガラスセル
【発明の属する技術分野】
本発明は酸素吸収性ポリマー、該ポリマーを含有する酸素吸収性樹脂組成物、これらを用いた積層体および包装容器に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】
従来、包装容器としては、金属缶、ガラスビン、各種プラスチック容器等が使用されているが、食品等の包装容器の場合には容器内に残留する酸素や容器壁を透過する酸素による内容物の品質の低下が問題となる。金属缶やガラスビンでは一般に容器壁を通しての酸素透過がなく、容器内に残留する酸素のみが問題であるのに対して、プラスチック容器の場合には容器壁を通しての酸素透過が無視し得ないオーダーで生じ、内容物の保存性の点で問題となる。
【0003】
このような問題を防止するために、プラスチック容器では容器壁を多層構造とし、その内の少なくとも一層として、エチレン・ビニルアルコール共重合体等の耐酸素透過性を有する樹脂を用いることが行われている。
【0004】
また、容器内の酸素を除去するために、脱酸素剤の使用も古くから行われており、これを容器壁に適用した例としては、特公昭62−1824号公報の発明があり、これによると、酸素透過性を有する樹脂に鉄粉などの還元性物質を主剤とする脱酸素剤を配合して成る層と、酸素ガス遮断性を有する層とを積層して、包装用多層構造物としている。
【0005】
鉄粉等の酸素吸収剤を樹脂に配合して、包装材料の器壁に用いる方法は、酸素吸収性能が大きいという点では満足できるものであるが、樹脂を固有の色相に着色するために、透明性が要求される包装の分野には使用できないという用途上の制約がある。
【0006】
このような状況のもと、酸素吸収速度が大きく、ガスバリアー性、透明性にも優れた、酸素吸収性ポリマー、該ポリマーを含有する酸素吸収性樹脂組成物、これらを用いた積層体、包装容器が求められている。
【0007】
なお、酸素吸収性ポリマーまたは酸素吸収性樹脂組成物としては、大部分を構成する重縮合系直鎖ポリマーセグメントと小部分を構成する炭素−炭素不飽和二重結合を有する炭化水素オリゴマーセグメントからなり、主たる構成の重縮合系直鎖ポリマーセグメントの主鎖に対し、分岐状に炭素−炭素不飽和結合を有するポリオレフィンオリゴマーをペンダントとして結合したことを特徴とする重縮合系酸素捕捉性ポリマー(特許文献1参照)、
炭素分岐鎖を含み、且つ主鎖または側鎖にカルボン酸基、カルボン酸無水物基、カルボン酸エステル基、カルボン酸アミド基及びカルボニル基から成る群より選択された少なくとも1個の基を含む熱可塑性樹脂(A)と、遷移金属触媒(B)とを含有して成ることを特徴とする酸素吸収性樹脂組成物(特許文献2参照)、
数平均分子量が1000〜500000の範囲であり、構造式(I):
【0008】
【化2】
【0009】
[式中、R1は炭素原子数1〜10のアルキル基、アリル基、アルキルアリール基、またはアルコキシ基であり、R2およびR3は各々水素原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、置換アリル基、非置換アリル基、−COOR4、−OCOR5、シアノ基、またはハロゲン原子であり、R4およびR5は各々独立して炭素原子数1〜10のアルキル基、アリル基、アルキルアリール基、またはアルコキシ基である]で示される構造単位の少なくとも1種を有する樹脂であって、該構造単位中の炭素−炭素二重結合が0.0001eq/g以上の割合で含有される熱可塑性樹脂(a)と;金属元素換算で1〜10000ppmの遷移金属塩(b)と;を含有する、酸素吸収性樹脂組成物(特許文献3参照)、
酸素透過速度が500ml・20μm/m2・day・atm(20℃、65%RH)以下のガスバリアー性樹脂(A)、炭素−炭素二重結合を有する熱可塑性樹脂(B)、およびカルボキシル基を有する熱可塑性樹脂(C)を含有する樹脂組成物であって、該樹脂組成物の酸素吸収速度が0.01ml/m2・day以上である樹脂組成物(特許文献4参照)などがある。
【0010】
【特許文献1】
特開2001−31759号公報
【特許文献2】
特開2001−40226号公報
【特許文献3】
特開2001−106866号公報
【特許文献4】
特開2002−155214号公報
【0011】
【発明の目的】
本発明は、酸素吸収性能に優れた酸素吸収性ポリマー、該ポリマーを含有する酸素吸収性樹脂組成物およびこれらを用いた積層体を提供することを目的としている。
【0012】
また、本発明は、酸素吸収性能に優れ、内容物の保存性に優れた包装容器を提供することを目的としている。
【0013】
【発明の概要】
本発明に係る酸素吸収性ポリマーは、
下記式(2)で表される構成単位および下記式(3)で表される構成単位から選ばれる少なくとも1種の構成単位を必須の構成単位として含み、
下記式(1)で表される構成単位、下記式(4)で表される構成単位、下記式(5)で表される構成単位および下記式(6)で表される構成単位から選ばれる少なくとも1種の構成単位を任意の構成単位とすることを特徴としている。
【0014】
【化3】
【0015】
(上記式中、X1およびX2は互いに同一でも異なっていてもよく、アリル基、カルボニル化合物残基、エナミン化合物残基、オキシアルキル基およびフリル基から選ばれる少なくとも1種の官能基を示し、R1は水素または炭素原子数1〜20のアルキル基を示し、R2は炭素原子数1〜20のアルキル基を示す。)
本発明に係る酸素吸収性ポリマーは、例えば上記式(2)で表される構成単位および上記式(3)で表される構成単位から選ばれる少なくとも1種の構成単位を0.5〜100モル%、上記式(1)で表される構成単位、上記式(4)で表される構成単位、上記式(5)で表される構成単位および上記式(6)で表される構成単位から選ばれる少なくとも1種の構成単位を0〜99.5モル%の割合で含有している。
【0016】
本発明に係る酸素吸収性ポリマーは、上記式(1)で表される構成単位と、上記式(2)で表される構成単位および上記式(3)で表される構成単位から選ばれる少なくとも1種の構成単位とを必須の構成単位として含み、上記式(4)で表される構成単位、上記式(5)で表される構成単位および上記式(6)で表される構成単位から選ばれる少なくとも1種の構成単位を任意の構成単位とすることが好ましい。
【0017】
本発明に係る酸素吸収性ポリマーは、例えば上記式(1)で表される構成単位を50〜99.5モル%、上記式(2)で表される構成単位および上記式(3)で表される構成単位から選ばれる少なくとも1種の構成単位を0.5〜50モル%、上記式(4)で表される構成単位、上記式(5)で表される構成単位および上記式(6)で表される構成単位から選ばれる少なくとも1種の構成単位を0〜49.5モル%の割合で含有している。
【0018】
本発明に係る酸素吸収性ポリマーは、光照射または加熱をすることにより前記官能基が酸化反応を開始しうる。
【0019】
前記官能基の具体例としては、ジシクロペンタジエン、ノルボルネン、ピロール、インドール、フラン、エチレングリコール、プロピレングリコール、オキソラン、これらの誘導体およびこれらのオリゴマーから選ばれる少なくとも1種の化合物の残基がある。
【0020】
本発明に係る酸素吸収性ポリマーとしては、側鎖に官能基を有するエチレン・不飽和カルボン酸共重合体、側鎖に官能基を有するエチレン・不飽和カルボン酸エステル共重合体、側鎖に官能基を有するエチレン・ビニルアルコール共重合体がある。
【0021】
本発明に係る酸素吸収性樹脂組成物は、上記酸素吸収性ポリマーと、光増感剤および/または金属触媒とを含有することを特徴としている。
【0022】
本発明の他の態様に係る酸素吸収性樹脂組成物は、上記酸素吸収性ポリマーと、他の熱可塑性樹脂とを含有することを特徴としている。
【0023】
また、本発明の他の態様に係る酸素吸収性樹脂組成物は、上記酸素吸収性ポリマーと、他の熱可塑性樹脂と、光増感剤および/または金属触媒とを含有することを特徴としている。
【0024】
本発明に係る積層体は、上記酸素吸収性ポリマーから形成された酸素吸収性ポリマー層または上記酸素吸収性樹脂組成物から形成された酸素吸収性樹脂組成物層と、ガスバリアー層、ヒートシール層、接着層および形状保持層から選ばれる少なくとも1種の層とを含むことを特徴としている。
【0025】
本発明に係る包装容器は、上記積層体からなることを特徴としている。
【0026】
【発明の具体的説明】
以下、本発明に係る酸素吸収性ポリマー、該ポリマーを含有する酸素吸収性樹脂組成物、これらを用いた積層体および包装容器について具体的に説明する。
【0027】
本発明に係る酸素吸収性ポリマーは、
下記式(2)で表される構成単位および下記式(3)で表される構成単位から選ばれる少なくとも1種の構成単位を必須の構成単位として含み、
下記式(1)で表される構成単位、下記式(4)で表される構成単位、下記式(5)で表される構成単位および下記式(6)で表される構成単位から選ばれる少なくとも1種の構成単位を任意の構成単位としている。
【0028】
【化4】
【0029】
上記式中、X1およびX2は互いに同一でも異なっていてもよく、アリル基、カルボニル化合物残基、エナミン化合物残基、オキシアルキル基およびフリル基から選ばれる少なくとも1種の官能基を示す。
【0030】
ここで、アリル基としては、ジシクロペンタジエン、ヒドロキシジシクロペンクジエン、シクロヘキセンメタノール、シクロヘキセンエタノール、シクロペンテン、ブテン、ブタジエン、ノルボルネン、インデン、2−(アリルオキシ)エタノール、アクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、α−テルピネオール、1−シクロヘキセニル酢酸、4−ビニル−1−シクロヘキセンなどの残基およびこれらのオリゴマーの残基が挙げられる。
【0031】
カルボニル化合物残基としては、ベンゾフェノン誘導体、アセトフェノン誘導体、メチルエチルケトン誘導体、アセトン誘導体、アセチルアセトン誘導体、アリザリン、2,5−ジヒドロキシベンゾキノンなどの残基およびこれらのオリゴマーの残基が挙げられる。
【0032】
エナミン化合物残基としては、4−ヒドロキシインドール、5−ヒドロキシインドール、3−インドールメタノール、3−インドールエタノール、3−インドールプロパノール、3−インドールブタノール、3−インドール酢酸、2−メチルインドール−3−酢酸、3−インドールアセトニトリル、4−アミノインドール、5−アミノインドール、5−アミノ−2−メチルインドール、5−ヒドロキシインドール−2−カルボン酸エチル、インドール−2−カルボン酸エチル、3−インドールアクリル酸、3−インドールプロピオン酸、3−インドール酪酸、3−インドールピルビン酸、3−インドール酢酸エチル、3−インドールカルボン酸、5−インドールカルボン酸、3−インドールグリオキシル酸、D,L−インドール−3−乳酸、3−アセトキシインドール、インドリン、トリプトファン、N−アセチル−D,L−トリプトファン、5−ヒドロキシ−D,L−トリプトファン、ピロール誘導体、カルバゾール誘導体などの残基およびこれらのオリゴマーの残基が挙げられる。
【0033】
オキシアルキル基としては、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、2−イソプロポキシエタノール、エチレングリコールモノブチルエーテル、2−ブトキシエタノール、エチレングリコールモノ−tert−ブチルエーテル、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、2−(2−イソブトキシエトキシ)エタノール、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、1−ブトキシ−2−プロパノール、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコール、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル、テトラエチレングリコール、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレングリコールモノエチルエーテル、テトラブロピレングリコール、テトラプロピレングリコールモノメチルエーテル、テトラプロピレングリコールモノエチルエーテル、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリエチレングリコールモノェチルエーテル、ポリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコールモノメチルエーテル、ポリプロピレングリコールモノエチルエーテル、1,3−プロパンジオール、1,4−プタンジオール、1,2−プタンジオール、ジオキサン、1,3−ジヒドロキシアセトン二量体、1,4−ジオキサン−2,3−ジオール、グリコール酸、ヒドロキシエチルセルロース、モノステアリン酸エチレングリコール、モノラウリル酸ジエチレングリコール、2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−メタノール、(s)−(+)−3−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)−trans−アクリル酸エチル、3−ヒドロキシテトラヒドロフラン、テトラヒドロフルフリルアルコールなどの残基およびこれらのオリゴマーの残基が挙げられる。
【0034】
フリル基としては、フラン、フルフリルアルコール、フロイン、5−ヒドロキシメチルフルフラールなどの残基およびこれらのオリゴマーの残基が挙げられる。
【0035】
これらのなかでは、ジシクロペンタジエン、ノルボルネン、ピロール、インドール、フラン、エチレングリコール、プロピレングリコール、オキソラン、これらの誘導体およびこれらのオリゴマーから選ばれる少なくとも1種の化合物の残基であることが好ましい。
【0036】
R1は水素(H)または、炭素原子数1〜20、好ましくは炭素数1〜4のアルキル基を示し、炭素原子数1〜20のアルキル基としては具体的には例えばメチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチルなどが挙げられる。この中では特に水素が好ましい。
【0037】
R2は炭素原子数1〜20のアルキル基を示し、具体的には例えばメチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−アミル、i−アミル、n−ヘキシル、シクロヘキシル、2−エチルヘキシル、n−オクチル、n−ノニル、i−ノニル、p−tert−ブチルシクロヘキシル、n−デシル、n−ドデシルなどが挙げられる。
【0038】
本発明に係る酸素吸収性ポリマーは、上記式(1)で表される構成単位と、上記式(2)で表される構成単位および上記式(3)で表される構成単位から選ばれる少なくとも1種の構成単位と、上記式(4)で表される構成単位、上記式(5)で表される構成単位および上記式(6)で表される構成単位から選ばれる少なくとも1種の構成単位とからなることが好ましい。
【0039】
本発明に係る酸素吸収性ポリマーは、上記式で表される構成単位がランダムに結合しており、メルトフローレート(MFR;ASTM D 1238、190℃、荷重2.16kg)が通常0.1〜500g/10分、好ましくは0.5〜20g/10分の範囲にある。
【0040】
本発明における酸素吸収性ポリマーは上記式(2)で表される構成単位および上記式(3)で表される構成単位から選ばれる少なくとも1種の構成単位を0.5〜100モル%、上記式(1)で表される構成単位、上記式(4)で表される構成単位、上記式(5)で表される構成単位および上記式(6)で表される構成単位から選ばれる少なくとも1種の構成単位を0〜99.5モル%含有することが好ましい。
【0041】
酸素吸収性ポリマーが上記構成単位(官能基)を上記の割合で含有すると、酸素吸収速度、酸素吸収量に優れる。
【0042】
特に本発明において酸素吸収ポリマーの酸素吸収速度、酸素吸収量が優れ、かつポリマーを容易に製造し得るという観点から各構成単位の含有割合が上記範囲内にあることが好ましい。
【0043】
本発明の酸素吸収性ポリマーは、上記式(1)で表される構成単位を好ましくは50〜99モル%、より好ましくは50〜98モル%、さらに好ましくは50〜95モル%の割合で含有し、上記式(2)で表される構成単位および上記式(3)で表される構成単位から選ばれる少なくとも1種の構成単位を好ましくは1〜50モル%、より好ましくは2〜50モル%、さらに好ましくは5〜50モル%の割合で含有し、上記式(4)で表される構成単位、上記式(5)で表される構成単位および上記式(6)で表される構成単位から選ばれる少なくとも1種の構成単位を好ましくは0〜49.5モル%、より好ましくは0〜30モル%、さらに好ましくは0〜20モル%の割合で含有することが望ましい。
【0044】
また本発明の酸素吸収性ポリマーは上記(1)〜(6)で表わされる必須および/または任意の構成単位以外にも、例えばプロピレン、1−ブテン、2−ブテン、1,3−ブタジエン、4−メチル−1−ペンテン、ヘキセン、オクテンなどに代表されるエチレン以外のオレフィン、無水マレイン酸またはそのエステル誘導体、スチレンまたはその誘導体、あるいはビニルシランまたはその誘導体等の構成単位を、酸素吸収性ポリマーの酸素吸収性能を損なわない範囲において、例えば0〜10モル%程度含有してもよい。
【0045】
このような本願発明に係る酸素吸収性ポリマーとしては、側鎖に官能基を有するエチレン・不飽和カルボン酸共重合体、側鎖に官能基を有するエチレン・不飽和カルボン酸エステル共重合体、側鎖に官能基を有するエチレン・ビニルアルコール共重合体などがあり、好ましくは下記に示すような構成単位からなるポリマーである。
【0046】
【化5】
【0047】
【化6】
【0048】
【化7】
【0049】
【化8】
【0050】
【化9】
【0051】
【化10】
【0052】
本発明に係る酸素吸収性ポリマーは、光を照射することにより、または加熱をすることにより前記官能基が酸化反応を開始しうる。
【0053】
この時使用される光としては、例えば電子線、紫外線、X線等が挙げられ、好ましくは紫外線である。光源としては低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、ハロゲンランプ等を使用することができる。露光量としては通常、1,000〜50,000mJ/cm2程度である。
【0054】
加熱するときの温度は、通常20〜140℃程度である。
【0055】
本発明に係る酸素吸収性ポリマーは、酸素吸収性を有するだけでなく、酸素バリア性も有し、ポリマー中に溶解してくる酸素と前記官能基が直接反応して酸素を吸収し、酸素の透過を防止しうる。
【0056】
(製造方法)
本発明に係る酸素吸収性ポリマー、例えば上記式(2)で表される構成単位および下記式(3)で表される構成単位から選ばれる少なくとも1種の構成単位からなる酸素吸収性ポリマーは、例えばエステル交換触媒の存在下に、上記式(4)、(5)および(6)で表される構成単位から選ばれる少なくとも1種の構成単位を含む樹脂、例えばポリメタクリル酸メチルなどに代表される不飽和カルボン酸エステル重合体、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸などに代表される不飽和カルボン酸重合体、ポリビニルアルコール、またはポリ酢酸ビニルに代表されるポリ酢酸ビニル誘導体体等の重合体と、上述した官能基となりうる化合物とを反応(グラフト変性)させることにより得ることができる。あるいは予め上記構成単位にあたるモノマーをエステル化などによって合成し、それらを溶液重合、あるいは塊状重合によってポリマー化しても得ることができる。
【0057】
また、上記式(1)で表される構成単位と、上記式(2)で表される構成単位および上記式(3)で表される構成単位から選ばれる少なくとも1種の構成単位と、上記式(4)で表される構成単位、上記式(5)で表される構成単位および上記式(6)で表される構成単位から選ばれる少なくとも1種の構成単位とからなる酸素吸収性ポリマーは、例えばエステル交換触媒の存在下に、上記式(1)で表される構成単位と、上記式(4)で表される構成単位、上記式(5)で表される構成単位および上記式(6)で表される構成単位から選ばれる少なくとも1種の構成単位とからなる樹脂、例えばエチレン・不飽和カルボン酸共重合体、エチレン・不飽和カルボン酸エステル共重合体、エチレン・ビニルアルコール共重合体等の重合体と、上述した官能基となりうる化合物とを反応(グラフト変性)させることにより得ることができる。
【0058】
上記官能基となりうる化合物は、重合体100重量部に対して、通常5〜200重量部、好ましくは40〜100重量部の割合で使用される。
【0059】
エステル交換触媒としては、ナトリウム−tert−ブトキシド、ナトリウムプロポキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムメトキシド、水酸化ナトリウム、チタン(IV)ブトキシド、チタン(IV)プロポキシド、チタン(IV)エトキシド、酸化チタン(IV)、塩化チタン(IV)、塩化ジルコニウム(IV)、塩化ハフニウム(IV)、ハフニウム−tert−ブトキシド、塩化錫、モノブチル錫オキシド、ジブチル錫オキシド、オクチル酸錫(II)、などの有機錫化合物、リパーゼ変性体、およびチタン、ジルコニウム、錫のメタロセン錯体触媒などが挙げられる。
【0060】
このようなエステル交換触媒は、重合体100重量部に対して、通常0.0001〜10重量部の量で使用される。
【0061】
重合体のグラフト変性は、従来公知の方法で行うことができ、
例えば▲1▼原料となる重合体と官能基となりうる化合物およびエステル交換触媒などを、例えばヘンシェルミキサー、V−ブレンダー、リボンブレンダー、タンブラブレンダー、一軸押出機、二軸押出機、ニーダー、バンバリーミキサーなどで溶融混練してグラフト変性する方法
▲2▼原料重合体を有機溶媒に溶解し、次いで官能基となりうる化合物およびエステル交換触媒などを溶液に加え、70〜200℃、好ましくは80〜190℃の温度で、0.5〜15時間、好ましくは1〜10時間反応させてグラフト変性する方法などが挙げられる。
【0062】
▲2▼の方法において重合体をグラフト変性する際に用いられる有機溶媒は、重合体を溶解し得る有機溶媒であれば特に限定することなく使用することができる。
【0063】
このような有機溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶媒、ペンタン、ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素系溶媒などが挙げられる。
【0064】
[酸素吸収性樹脂組成物]
本発明に係る酸素吸収性樹脂組成物は、上記酸素吸収性ポリマーと、光増感剤および/または金属触媒とを含有している。
【0065】
本発明の他の態様に係る酸素吸収性樹脂組成物は、上記酸素吸収性ポリマーと、他の熱可塑性樹脂と、必要に応じて光増感剤および/または金属触媒とを含有している。
【0066】
本発明の酸素吸収性樹脂組成物は、樹脂成分の合計量100重量部に対し、酸素吸収性ポリマーを3重量部以上、好ましくは5重量部以上含有されていることが望ましい。
【0067】
(金属触媒)
本発明で用いられる金属触媒としては、鉄、コバルト、ニッケル等の周期表第8、9族金属成分が好ましいが、他に銅、銀等の第11族金属;スズ、チタン、ジルコニウム等の第4、14族金属、バナジウムの第5族、クロム等6族、マンガン等の7族の金属成分が挙げられる。これらの金属成分の内でもコバルトは、酸素吸収速度が特に大きくなるので好ましい。
【0068】
金属触媒は、上記金属の低価数の無機酸塩または有機酸塩または錯塩の形で一般に使用される。無機酸塩としては、塩化物などのハライド、硫酸塩等のイオウのオキシ酸塩、硝酸塩などの窒素のオキシ酸塩、リン酸塩などのリンオキシ酸塩、ケイ酸塩等が挙げられる。一方有機酸塩としては、カルボン酸塩、スルホン酸塩、ホスホン酸塩などが挙げられるが、カルボン酸塩が本発明の目的に好適であり、その具体例としては、酢酸、プロピオン酸、イソプロピオン酸、ブタン酸、イソブタン酸、ペンタン酸、イソペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、イソヘプタン酸、オクタン酸、2−エチルヘキサン酸、ノナン酸、3,5,5−トリメチルヘキサン酸、デカン酸、ネオデカン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、マーガリン酸、ステアリン酸、アラキン酸、リンデル酸、ツズ酸、ペトロセリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、ギ酸、シュウ酸、スルファミン酸、ナフテン酸等の遷移金属塩が挙げられる。一方、遷移金属の錯体としては、β−ジケトンまたはβ−ケト酸エステルとの錯体が使用され、β−ジケトンまたはβ−ケト酸エステルとしては、例えば、アセチルアセトン、アセト酢酸エチル、1,3−シクロヘキサジオン、メチレンビス−1,3ーシクロヘキサジオン、2−ベンジル−1,3−シクロヘキサジオン、アセチルテトラロン、パルミトイルテトラロン、ステアロイルテトラロン、ベンゾイルテトラロン、2−アセチルシクロヘキサノン、2−ベンゾイルシクロヘキサノン、2−アセチル−1,3−シクロヘキサンジオン、ベンゾイル−p−クロルベンゾイルメタン、ビス(4−メチルベンゾイル)メタン、ビス(2−ヒドロキシベンゾイル)メタン、ベンゾイルアセトン、トリベンゾイルメタン、ジアセチルベンゾイルメタン、ステアロイルベンゾイルメタン、パルミトイルベンゾイルメタン、ラウロイルベンゾイルメタン、ジベンゾイルメタン、ビス(4−クロルベンゾイル)メタン、ビス(メチレン−3,4−ジオキシベンゾイル)メタン、ベンゾイルアセチルフェニルメタン、ステアロイル(4−メトキシベンゾイル)メタン、ブタノイルアセトン、ジステアロイルメタン、アセチルアセトン、ステアロイルアセトン、ビス(シクロヘキサノイル)−メタンおよびジピバロイルメタン等が挙げられる。これらの金属触媒は、1種単独でまたは2種以上組み合わせて使用することができる。
【0069】
酸素吸収性樹脂組成物が上記金属触媒を含有すると、酸素吸収性樹脂組成物を加熱したり、赤外線、近赤外線、可視光線、紫外線等の光線を照射したりしたときに、酸素吸収性ポリマーと酸素との反応の開始が促進されるとともに酸素吸収速度、酸素吸収量を高くすることができる。
【0070】
金属触媒は、酸素吸収性樹脂組成物中に0〜50,000ppm、好ましくは10〜10,000ppm、より好ましくは100〜5,000ppmの割合で含有することが望ましい。金属触媒の含有量が上記範囲内にあると、酸素との反応促進効果に優れ、かつ経済的である。
【0071】
(光増感剤)
光増感剤としては、ベンゾフェノン、o−メトキシベンゾフェノン、アセトフェノン、o−メトキシアセトフェノン、アセナフテンキノン、メチルエチルケトン、バレロフェノン、ヘキサノフェノン、α−フェニルブチロフェノン、p−モルホリノプロピオフェノン、ジベンゾスベロン、4−モルホリノベンゾフェノン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、4−o−モルホリノデオキシベンゾイン、p−ジアセチルベンゼン、4−アミノベンゾフェノン、4’−メトキシアセトフェノン、α−テトラロン、9−アセチルフェナントレン、2−アセチルフェナントレン、10−チオキサントン、3−アセチルフェナントレン、3−アセチルインドール、9−フルオレノン、1−インダノン、1,3,5−トリアセチルベンゼン、チオキサンテン−9−オン、キサンテン−9−オン、7−H−ベンズ[de]アントラセン−7−オン、ベンゾインテトラヒドロピラニルエーテル、4,4’−ビス−(ジメチルアミノ)−ベンゾフェノン、1’−アセトナフトン、2’−アセトナフトン、2,3−ブタンジオン、ベンズ[a]アントラセン−7,12−ジオン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、α,α−ジエトキシアセトフェノン、α,α−ジブトキシアセトフェノン、ローズベンガル、メチレンブルー、テトラフェニルポルフィリンなどが挙げられる。これらの光増感剤は、1種単独でまたは2種以上組み合わせて使用することができる。
【0072】
酸素吸収性樹脂組成物が光増感剤を含有すると、酸素吸収性樹脂組成物が加熱されたり光を照射されたりしたときに、酸素吸収性ポリマーと酸素との反応の開始が促進されるとともに酸素吸収速度、酸素吸収量を高くすることができる。
【0073】
光増感剤は、酸素吸収性樹脂組成物中に1〜50,000ppm、好ましくは10〜10,000ppm、より好ましくは100〜5,000ppmの割合で含有することが望ましい。光増感剤の含有量が上記範囲内にあると、酸素との反応促進効果に優れ、かつ経済的である。
【0074】
(他の熱可塑性樹脂)
他の熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル、ポリアセタール、ポリスチレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)、ポリメタクリレート、ポリカーボネート、ポリフェニレンオキサイド、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体などが挙げられる。
【0075】
ポリオレフィンとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−1−ブテン、ポリメチルペンテン、ポリメチルブテンなどのオレフィン単独重合体、エチレン−α−オレフィンランダム共重合体、プロピレン−エチレンランダム共重合体などのオレフィン共重合体などが挙げられる。なお、ポリオレフィンが炭素原子数が3以上のオレフィンから得られるポリオレフィンである場合には、アイソタクチック重合体であってもよく、シンジオタクチック重合体であってもよい。
【0076】
ポリアミドとしては、ナイロン−6、ナイロン−66、ナイロン−10、ナイロン−12、ナイロン−46等の脂肪族ポリアミド、芳香族ジカルボン酸と脂肪族ジアミンより製造される芳香族ポリアミドなどを挙げることができる。
【0077】
ポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどの芳香族系ポリエステル、ポリカプロラクトン、ポリヒドロキシブチレートなどが挙げられる。
【0078】
ポリアセタールとしては、ポリホルムアルデヒド(ポリオキシメチレン)、ポリアセトアルデヒド、ポリプロピオンアルデヒド、ポリブチルアルデヒドなどが挙げられる。
【0079】
ポリスチレンは、スチレンの単独重合体であってもよく、スチレンとアクリロニトリル、メタクリル酸メチル、α−メチルスチレンなどとの二元共重合体、たとえばアクリロニトリル−スチレン共重合体であってもよい。
【0080】
ABSとしては、アクリロニトリルから誘導される構成単位を20〜35モル%の量で含有し、ブタジエンから誘導される構成単位を20〜30モル%の量で含有し、スチレンから誘導される構成単位を40〜60モル%の量で含有するものが好ましく用いられる。
【0081】
ポリメタクリレートとしては、ポリメチルメタクリレート(PMMA)が好ましい。
【0082】
ポリカーボネートとしては、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタンなどから得られるものが挙げられる。
【0083】
ポリフェニレンオキシドとしては、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンオキシド)が挙げられる。
【0084】
ポリ塩化ビニルは、塩化ビニルの単独重合体であってもよく、塩化ビニリデン、アクリル酸エステル、アクリロニトリル、プロピレンなどとの共重合体であってもよい。
【0085】
ポリ塩化ビニリデンは、通常塩化ビニリデン単位を85%以上含む、塩化ビニル、アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸エステル、アリルエステル、不飽和エーテル、スチレンなどとの共重合体が用いられる。
【0086】
ポリ酢酸ビニルは、酢酸ビニルの単独重合体であってもよく、エチレン、塩化ビニルとの共重合体であってもよい。これらのうち、エチレン−酢酸ビニル共重合体が好ましい。
【0087】
エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体としては、エチレン−メチルアクリレート共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−メチルメタクリレート共重合体、エチレン−エチルメタクリレート共重合体が好ましい。
【0088】
このような他の熱可塑性樹脂は、酸素吸収性樹脂組成物中に3〜1,900重量部、好ましくは5〜900重量部の割合で含有することが望ましい。
【0089】
(他の配合剤)
本発明に係る酸素吸収性樹脂組成物は、充填剤、着色剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、老化防止剤、帯電防止剤、金属セッケンやワックス等の滑剤、改質用樹脂ないしゴムなどに代表される公知の他の配合剤を、本発明の目的を損なわない範囲で公知の処方に従って配合することができる。
【0090】
(組成物の調製法)
本発明の酸素吸収性樹脂組成物は、公知の任意の方法を採用して調製することができ、例えば酸素吸収性ポリマーと、他の熱可塑性樹脂と、所望によりさらに添加される配合剤とを、例えばヘンシェルミキサー、V−ブレンダー、リボンブレンダー、タンブラブレンダーなどで混合する方法、または混合後、一軸押出機、二軸押出機、ニーダー、バンバリーミキサーなどで溶融混練し、さらに造粒もしくは粉砕する方法を採用して製造することができる。
【0091】
(積層体および包装容器)
上述した本発明に係る酸素吸収性ポリマーおよび酸素吸収性樹脂組成物は、粉末、粒状物またはシート等の形で、密封型包装容器内の酸素吸収に使用することができる。例えば、上記酸素吸収性ポリマーおよび酸素吸収性樹脂組成物は、ライナーないしガスケット用として、包装容器内の残留酸素吸収に用いることもできる。しかしながら、上記酸素吸収性ポリマーおよび酸素吸収性樹脂組成物は、フィルム、シートの形で包装材料として、またカップ、トレイ、ボトル、チューブ容器等の形で包装容器として用いることが特に好ましい。
【0092】
上記酸素吸収性ポリマーおよび酸素吸収性樹脂組成物は、単層で包装材料および包装容器に使用することができ、また酸素吸収性ポリマーまたは酸素吸収性樹脂組成物から形成された少なくとも一層と、他の樹脂からなる少なくとも一層とからなる積層体として包装材料および包装容器に使用することができる。
【0093】
このとき一般に、酸素吸収性ポリマーおよび酸素吸収性樹脂組成物は、容器など内表面側に設けることが好ましく、また容器などの中間層に設けると内容物との直接的な接触を避けることができる。
【0094】
他の樹脂からなる少なくとも一層としては、ガスバリアー層、ヒートシール層、接着層、形状保持層などが挙げられる。
【0095】
ガスバリアー層に用いられる樹脂としては、例えばエチレン・ビニルアルコール共重合体(EVOH)、エチレンと環状オレフィンとの共重合体、Al蒸着PET、Al蒸着PP、シリカ蒸着PETなどを挙げることができる。
【0096】
ガスバリアー層を設ける場合は、ガスバリアー層の厚さは、通常5〜100μm、好ましくは10〜50μm程度である。
【0097】
ヒートシール層に用いられる樹脂としては、例えば低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体もしくはその金属中和品、エチレン・メタクリル酸共重合体もしくはその金属中和品、エチレン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体、エチレン・ビニルエステル共重合体、エチレン・ビニルアルコール共重合体、結晶性もしくは非晶性ポリエステル変性体、またはこれらの多元共重合体もしくは混合物、などが挙げられる。
【0098】
ヒートシール層を設ける場合は、ヒートシール層の厚さは、通常5〜100μm、好ましくは15〜50μm程度である。
【0099】
接着層に用いられる樹脂としては、例えば無水マレイン酸をグラフト共重合したエチレン(共)重合体やプロピレン(共)重合体などの接着性樹脂が挙げられる。また、エステル系、ウレタン系、アクリル系、エチレンイミン系などのアンカーコート剤や接着剤をアンカーコーターにて塗布後乾燥して用いてもよい。
【0100】
接着層を設ける場合は、接着層の厚さは、通常0.1〜50μm、好ましくは1〜30μm程度である。
【0101】
形状保持層に用いられる樹脂としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリアミド、ポリスチレン、ABS、PMMA、PC、PVCなどが挙げられる。また、形状保持層には、紙、不織布、繊維、ガラスなどを用いることもできる。
【0102】
形状保持層を設ける場合は、形状保持層の厚さは、通常5μm〜5mm、好ましくは10μm〜1mm程度である。
【0103】
本発明に係る包装材料および包装容器において、酸素吸収性ポリマー層または酸素吸収性樹脂組成物層の厚みは、特に制限はないが、酸素吸収性の点では一般に1μm以上、特に3μm以上の厚みを有することが好ましい。また、酸素吸収性ポリマー層または酸素吸収性樹脂組成物層の厚みは、一般に100μm以下、特に50μm以下の厚みを有するのが有利である。すなわち、酸素吸収性ポリマー層または酸素吸収性樹脂組成物層の厚みがある範囲よりも厚くなっても酸素吸収性の点では格別の利点がなく、樹脂量が増大するなど経済性の点、材料の可撓性や柔軟性が低下するなどの容器特性の点で不利となるからである。
【0104】
本発明の多層の包装材料および包装容器において、全体の厚みは、用途によっても相違するが、一般に30〜7,000μm、特に50〜5,000μmの範囲にあることが好ましく、酸素吸収性ポリマー層または酸素吸収性樹脂組成物層の厚みは、全体の厚みの0.5〜95%、特に1〜50%の厚みとすることが好ましい。
【0105】
本発明に係る包装材料および包装容器は、前述した酸素吸収性ポリマーまたは酸素吸収性樹脂組成物を用いる点を除けば、従来公知の方法で製造することが可能である。
【0106】
例えば、フィルム、シートまたはチューブの成形は、前記酸素吸収性ポリマーまたは酸素吸収性樹脂組成物を押出機で溶融混練した後、T−ダイ、サーキュラーダイ(リングダイ)等を通して所定の形状に押出すことにより行われる。得られたフィルムはこれを二軸延伸することにより、二軸延伸フィルムが形成される。また、前記酸素吸収性ポリマーまたは酸素吸収性樹脂組成物を射出機で溶融混練した後、射出金型中に射出することにより、容器、容器製造用のプリフォーム、容器蓋殻体などを製造することができる。さらに、前記酸素吸収性ポリマーまたは酸素吸収性樹脂組成物を、押出機を通して一定の溶融樹脂塊に押し出し、これを金型で圧縮成形することにより、容器、容器製造用のプリフォーム、容器蓋殻体などを製造することができる。
【0107】
成形物は、フィルム、シート、ボトル、カップ、キャップ、チューブ形成用パリソンないしはパイプ、ボトルないしチューブ成形用プリフォーム等の形をとり得る。パリソン、パイプまたはプリフォームからのボトルの形成は、押出物を一対の割型でピンチオフし、その内部に流体を吹込むことにより容易に行われる。また、パイプないしはプリフォームを冷却した後、延伸温度に加熱し、軸方向に延伸すると共に、流体圧によって周方向にブロー延伸することにより、延伸ブローボトル等が得られる。さらに、また、フィルムないしシートを、真空成形、圧空成形、張出成形、プラグアシスト成形等の手段に付することにより、カップ状、トレイ状等の包装容器が得られる。
【0108】
フィルム等の包装材料は、種々の形態の包装袋として用いることができ、その製袋は、従来公知の製袋法で行うことができ、三方または四方シールの通常のパウチ類、ガセット付パウチ類、スタンディングパウチ類、ピロー包装袋などが挙げられるが、この例に限定されない。
【0109】
多層押出成形体の製造には、従来公知の共押出成形法を用いることができ、例えば樹脂の種類に応じた数の押出機を用いて、多層多重ダイを用いる以外は上記と同様にして押出成形を行えばよい。
【0110】
また、多層射出成形体の製造には、樹脂の種類に応じた数の射出成形機を用いて、共射出法や逐次射出法により多層射出成形体を製造することができる。
【0111】
さらに、多層フィルムや多層シートの製造には、押出コート法や、サンドイッチラミネーションを用いることができ、また、予め形成されたフィルムのドライラミネーションによって多層フィルムまたはシートを製造することもできる。
【0112】
本発明の包装体は、酸素による内容物の香味低下を防止し、シェルフライフを向上させる容器として有用である。充填できる内容物としては、飲料ではビール、ワイン、フルーツジュース、炭酸ソフトドリンク等、食品では果物、ナッツ、野菜、肉製品、幼児食品、コーヒー、ジャム、マヨネーズ、ケチャップ、食用油、ドレッシング、ソース類、佃煮類、乳製品類等、その他では医薬品、化粧品、ガソリン等、酸素存在下で劣化を起こしやすい内容品などが挙げられる。
【0113】
【発明の効果】
本発明に係る酸素吸収性ポリマー、該ポリマーを含有する酸素吸収性樹脂組成物およびこれらを用いた積層体は、酸素吸収性能に優れている。
【0114】
本発明に係る包装容器は、酸素吸収性能に優れ、内容物の保存性に優れている。
【0115】
【実施例】
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0116】
なお、実施例において用いた樹脂、試薬等および物性等の測定方法は、以下のとおりである。
(原料樹脂)
エチレン・エチルアクリレート共重合体(エチルアクリレート含量=34重量%、MFR=20g/10分) :ポリマーA
エチレン・エチルアクリレート共重合体(エチルアクリレート含量=25重量%、MFR=800g/10分) :ポリマーB
低密度ポリエチレン(MFR=3.7g/10分):ポリマーC
ポリマーA〜Cは、真空乾燥器にて、50℃で8時間乾燥した。
(溶媒)
溶媒として使用したトルエンは、モレキュラーシーブにて乾燥したものを用いた。
(酸素吸収量の測定)
UV照射はウシオ電機製ベルトコンベアー式UV照射装置UVC−02512S1AA01にて高圧水銀ランプ光源(オゾンなし)で行った。紫外線積算光量計はUIT−150−Aを、受光器はUVD−C254を用い、波長220nm−310nmの紫外線照射量を測定した。また、酸素吸収能の測定はGCにて行い、前処理用のセルは図1に示す石英製の100ml集気瓶(GC用ガスサンプラー)を作製して使用した。試料の調製は、ポリマー 1g(熱プレスした50〜400μmフィルム)に反応触媒として酢酸コバルト 0.3mg、および光増感剤としてベンゾフェノン 1mgを溶解したメタノール溶液2mlを添加して乾燥空気(酸素濃度21%)と共に容積100mlの集気瓶に封入した後、30J/cm2のUV光を照射し、常圧へのN2リークをしてから集気瓶中の酸素濃度を測定した。
【0117】
【実施例1】
500mlのセパラブル四つ口フラスコを使用し、蓋には縮合管、N2バブラー、および攪拌棒をセットした。これにポリマーA 15g、トルエン 250gを入れたところでN2をバブルしながらオイルバスで80℃に昇温した。また、別の三角フラスコにて予めトルエン 50gにIdEtOH 8.22g、NaOt−Bu 0.32gを加え触媒溶液を調製し、上記四つ口フラスコに添加した。上記四つ口フラスコ内の液を設定温度130℃で2時間攪拌し、その間にトルエンを留去した。反応直後のポリマーを真空ポンプにて減圧乾燥した。乾燥後、ポリマーをフラスコから掻き出してミキサーに投入し、これに水500mlを加え、粉砕した。濾過してポリマーを回収した後、500mlのメタノール中に加え、50℃で30分間攪拌した。このメタノール洗浄処理を2回繰り返した。
【0118】
粗生成物を70℃に熱したキシレン/ブタノール=3/1溶液に加え攪拌した。これを40℃程度まで放冷し、0.1N−HClメタノール溶液を加え攪拌した。これをメタノール中に滴下し再沈殿した後、濾過してポリマーを全量回収した。真空乾燥器にて50℃×5時間減圧乾燥してIdEtOH−g−ポリマーAを得た。
【0119】
【実施例2】
実施例1においてIdEtOHに代えてDcpOHを7.65g用いたこと以外は同様にして、DcpOH−g−ポリマーAを得た。
【0120】
【実施例3】
実施例1においてIdEtOHに代えてDEGOMeを12.3g用いたこと以外は同様にして、DEGOMe−g−ポリマーAを得た。
【0121】
【実施例4】
実施例1においてIdEtOHに代えてDPGOMeを15.1g用いたこと以外は同様にして、DPGOMe−g−ポリマーAを得た。
【0122】
【実施例5】
実施例1においてIdEtOHに代えてFufOHを10.0g用いたこと以外は同様にして、FufOH−g−ポリマーAを得た。
【0123】
【実施例6】
実施例1においてIdEtOHに代えてDMOxMeOHを13.5g用いたこと以外は同様にして、DMOxMeOH−g−ポリマーAを得た。
【0124】
【実施例7】
実施例1においてポリマーAに代えてポリマーBを15.0g用い、またIdEtOHを6.05g用いたこと以外は同様にして、IdEtOH−g−ポリマーBを得た。
【0125】
上記実施例で製造した酸素吸収性ポリマーについて酸素吸収能を測定した。その結果を、酸素吸収性ポリマーの合成条件とともに下記表1に示す。
【0126】
【表1】
【0127】
【実施例8】
実施例1において合成したポリマーを用い、試料の調整において、酢酸コバルト、およびベンゾフェノンのメタノール溶液を添加せずに、ポリマー 1g(熱プレスした50〜400μmフィルム)のみを乾燥空気(酸素濃度21%)と共に容積100mlの集気瓶に封入した後、30J/cm2のUV光を照射し、常圧へのN2リークをしてから集気瓶中の酸素濃度を測定した。
【0128】
【比較例1】
ポリマーC 1g(熱プレスした50〜400μmフィルム)のみを乾燥空気(酸素濃度21%)と共に容積100mlの集気瓶に封入した後、30J/cm2のUV光を照射し、常圧へのN2リークをしてから集気瓶中の酸素濃度を測定した。
【0129】
上記実施例8で調製した酸素吸収性ポリマーおよび熱プレスしたポリマーCについて酸素吸収能を測定した結果を、下記表2に示す。
【0130】
【表2】
【図面の簡単な説明】
【図1】酸素吸収能の測定に用いたセル(GC用ガスサンプラー)である。
【符号の説明】
1 … 酸素吸収量測定用セル
10 … ゴムパッキン
11 … 石英ガラスセル
Claims (12)
- 下記式(2)で表される構成単位および下記式(3)で表される構成単位から選ばれる少なくとも1種の構成単位を必須の構成単位として含み、
下記式(1)で表される構成単位、下記式(4)で表される構成単位、下記式(5)で表される構成単位および下記式(6)で表される構成単位から選ばれる少なくとも1種の構成単位を任意の構成単位とすることを特徴とする酸素吸収性ポリマー;
- 上記式(2)で表される構成単位および上記式(3)で表される構成単位から選ばれる少なくとも1種の構成単位を0.5〜100モル%、
上記式(1)で表される構成単位、上記式(4)で表される構成単位、上記式(5)で表される構成単位および上記式(6)で表される構成単位から選ばれる少なくとも1種の構成単位を0〜99.5モル%
の割合で含有することを特徴とする請求項1に記載の酸素吸収性ポリマー。 - 上記式(1)で表される構成単位と、
上記式(2)で表される構成単位および上記式(3)で表される構成単位から選ばれる少なくとも1種の構成単位とを必須の構成単位として含み、
上記式(4)で表される構成単位、上記式(5)で表される構成単位および上記式(6)で表される構成単位から選ばれる少なくとも1種の構成単位を任意の構成単位とすることを特徴とする請求項1に記載の酸素吸収性ポリマー。 - 上記式(1)で表される構成単位を50〜99.5モル%、
上記式(2)で表される構成単位および上記式(3)で表される構成単位から選ばれる少なくとも1種の構成単位を0.5〜50モル%、
上記式(4)で表される構成単位、上記式(5)で表される構成単位および上記式(6)で表される構成単位から選ばれる少なくとも1種の構成単位を0〜49.5モル%
の割合で含有することを特徴とする請求項1に記載の酸素吸収性ポリマー。 - 光照射または加熱をすることにより前記官能基が酸化反応を開始しうることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の酸素吸収性ポリマー。
- 前記官能基が、ジシクロペンタジエン、ノルボルネン、ピロール、インドール、フラン、エチレングリコール、プロピレングリコール、オキソラン、これらの誘導体およびこれらのオリゴマーから選ばれる少なくとも1種の化合物の残基であることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の酸素吸収性ポリマー。
- 側鎖に官能基を有するエチレン・不飽和カルボン酸共重合体、側鎖に官能基を有するエチレン・不飽和カルボン酸エステル共重合体または側鎖に官能基を有するエチレン・ビニルアルコール共重合体である請求項1ないし6のいずれか1項に記載の酸素吸収性ポリマー。
- 請求項1ないし7のいずれか1項に記載の酸素吸収性ポリマーと、光増感剤および/または金属触媒とを含有することを特徴とする酸素吸収性樹脂組成物。
- 請求項1ないし7のいずれか1項に記載の酸素吸収性ポリマーと、他の熱可塑性樹脂とを含有することを特徴とする酸素吸収性樹脂組成物。
- 請求項1ないし7のいずれか1項に記載の酸素吸収性ポリマーと、他の熱可塑性樹脂と、光増感剤および/または金属触媒とを含有することを特徴とする酸素吸収性樹脂組成物。
- 請求項1ないし7のいずれか1項に記載の酸素吸収性ポリマーから形成された酸素吸収性ポリマー層または請求項8ないし10のいずれか1項に記載の酸素吸収性樹脂組成物から形成された酸素吸収性樹脂組成物層と、ガスバリアー層、ヒートシール層、接着層および形状保持層から選ばれる少なくとも1種の層とを含むことを特徴とする積層体。
- 請求項11に記載の積層体からなることを特徴とする包装容器。
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