JP2005007442A - プレス装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】ダイクエンチ加工のために焼き入れする冷媒の無駄を無くし、冷却温度を適切に維持管理することが容易になり、連続してダイクエンチ加工を続けることができるとともに、摩耗又は摩滅した金型を効率よく利用できるプレス装置を提供する。
【解決手段】ダイクエンチ加工するプレス装置の上型2及び下側3のそれぞれ意匠面に沿って穿設された導通孔21,31には、冷媒として冷却液が流れているので、金属融点近くまで加熱されたワークを所望温度まで冷却する。また、型表層部材22,32は金型2,3から取り外すことが出来、別に準備したものと交換するだけでダイクエンチ加工を続けることができる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、上下動自在なラムに取り付けられた上型と、その上型に噛合する下型との間で、融点近くまで加熱された板状部材からワークをダイクエンチ加工するプレス装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のプレス装置は、上下動自在なラムに取り付けられた上型と、その上型に噛合する下型との間で板状部材からワークを成形している。そして、プレス加工したワークの強度を高めるためにワークの材質に高張力鋼を使用する場合、冷間プレス加工ではなく、ダイクエンチ加工を行っている。このダイクエンチ加工では、プレス加工前に、ワークを金属材の融点未満の温度にまで加熱しておく工程と、プレス加工で上型と下型とに噛合したワークを、焼き入れが可能な温度まで冷却を行う工程とからなる。
これにより、冷間プレス加工では応力の影響がワークに残留して経時変化によりワークが自己崩壊する遅れ破壊を生じやすかったのに対し、ダイクエンチ加工ではワークの品質確保が容易になった。また、冷間プレス加工では、金型からワークを取り外した時に、型通りの形状がワークに付与されずに部分的に形戻りするスプリングバック現象を起こしやすかったのに対し、ダイクエンチ加工では高い寸法精度での成形が可能になった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、冷却工程で、加熱されていたワークを、焼き入れが可能な温度まで冷却を行うのは、ワークに接触した上型及び下型に伝熱して上型及び下型の外側から放熱させたり、上型及び下型に送風して上型及び下型の外側から放熱を促進させたり、冷媒を吹き付ける事が行われる。そのため、拡散される冷媒の消費量が大きく無駄な上、冷却効率が悪い場合、冷却されるまでの待機時間が長くなり、連続的なプレス加工が難しいことがあり、適切な冷却温度まで温度制御できるプレス装置の開発が待たれていた(例えば、特許文献1)。
【0004】
【特許文献1】
特開平02−099222号公報
【0005】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明は上述の課題に解決するために鑑みてなされたものであり、請求項1に係る発明は、上下動自在なラムに取り付けられた上型と、その上型に噛合する下型との間で、融点近くまで加熱された板状部材からワークをダイクエンチ加工するプレス装置において、
上型又は下型の少なくとも一方の意匠面に穿設された冷却溝と、該冷却溝の開口部を覆い、一方の意匠面と面一に固定される型表層部材とから冷媒の導通孔を形成し、一方の意匠面に沿って冷媒を循環させて成形されたワークを冷却するとともに、摩耗又は摩滅した型表層部材を交換できるように取り外し自在としたことを特徴とするプレス装置である。
これにより、冷媒が閉空間を循環されるため冷媒の無駄がなくなるとともに、ダイクエンチ加工のために焼き入れする冷却温度を適切に維持管理することが容易になり、連続してダイクエンチ加工を続けることができる。また、摩耗又は摩滅した型表層部材だけを交換し、型表層部材を面一に取り付ける残りの金型の大部分は使い続けられるので、従来のように摩耗等した金型全体を作り替える時間及び費用が削減できる。つまり、型表層部材は板形状又はその板形状に凹凸を付した形状となるので、この型表層部材をプレス加工から形成することが出来、交換するための予備の型表層部材を一度作った金型からプレス成形するだけなので簡単に準備することができるからである。また型表層部材が、面一に取り付ける残りの金型から分離できるので、金型の意匠面に必要な表面処理加工は、型表層部材だけに行えばよいので、処理時間及び処理費用が格段に少なくて済むようになった。更に、型表層部材を成形する金型は、ダイクエンチ加工を要しない金型であるから、ワークに対し形状変更の要請があり、型を修正しなければならない時も、型表層部材をプレス加工する通常の金型を形状修正するだけで済み、従来のようにダイクエンチ加工に適した金型自体を形状修正する必要が無くなった。
【0006】
ここで、意匠面に沿って穿設される冷媒の導通孔は、意匠面に沿って二次平面的に配置することが可能であり、冷媒が供給から排出まで導通孔の中を滞らないように配置されることが必要である。また、上型又は下型の少なくとも一方に導通孔を形成するので、上型及び下型の両方に形成することも可能であり、ワークの形状・材質等により適宜に選択される。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。なお、本発明はこれに限定されるものではない。
ここで、図1は本発明に係るプレス装置の上型及び下型付近を示す説明図である。(a)はプレス加工前を、(b)は上型と下型とが噛合した状態を(a)より拡大してそれぞれ示した説明図である。上型及び下型を取り付けるラム及び作業台並びにプレス駆動部材は既存のものを利用することができる。
プレス装置は、上下動自在なラム1に取り付けられた上型2と、その上型2に噛合する下型3とを備え、その上型2に噛合する下型3との間で、融点近くまで加熱された板状部材4aからワーク4をダイクエンチ加工して所望形状に成形することができる。上型2と下型3は、ラム1とテーブル5とにそれぞれ穿設された据え付け孔に嵌挿され、固定部材で取り替え可能に固定されている。
21,31は、上型2及び下側3のそれぞれ意匠面に沿って穿設されて冷媒である冷却液が流れる導通孔である。図示では各導通孔21,31が紙奥方向に延設されているが、冷却効率を配慮して意匠面に沿って二次元方向へ延設が可能であり、型構造が全体に見て三次元方向に展開されれば、その意匠面に沿って三次元方向へ延設されることもある。そして、各導通孔21,31に流れる冷媒は、図示しない循環機構及び再冷却機構により常にワーク4を冷却するための設定温度の冷媒を供給し続ける。これにより、ダイクエンチ加工のために焼き入れする冷却温度を適切に維持管理することが容易になり、従来のように所定温度までの冷却待ちといった待機時間が無くなり連続してダイクエンチ加工を続けることができる。
【0008】
また、各導通孔21,31は、各上型2及び下型3の意匠面と面一になる型表層部材22,32と、その型表層部材22,32により開口部が閉塞された冷却溝23,33とから形成されている。これにより、型表層部材を交換できるので、摩耗又は摩滅した型表層部材だけを交換し、型表層部材を面一に取り付ける残りの金型の大部分は使い続けられるので、従来のように摩耗等した金型全体を作り替える時間及び費用が削減できる。なお、型表層部材22,32の端部には冷媒の漏れを防ぐためのO−リングのようなシーリング部材24,34が埋設されている。
また、この型表層部材は板形状又はその板形状に凹凸を付した形状となるので、この型表層部材をプレス加工から形成することが出来る。そのため、交換するための予備の型表層部材を一度作った金型からプレス成形するだけなので簡単に準備することができ、従来のように通常の金型を削り出すといった時間及び費用を要する作業をとても少なくすることが出来る。また型表層部材が、面一に取り付ける残りの金型から分離できるので、金型の意匠面に必要な表面処理加工は、型表層部材だけに行えばよい。従って、処理時間及び処理費用が格段に少なくて済むようになった。更に、型表層部材を成形する金型は、ダイクエンチ加工を要しない型であるから、ワークに対し形状変更があり、型を修正しなければならない時も、型表層部材をプレス加工する通常の金型を形状修正するだけで済み、従来のようにダイクエンチ加工に適した金型自体を形状修正する必要が無くなった。
【0009】
図2は、型表層部材を金型の意匠面に固定した状態の説明図であり、下型3の場合で説明する。
11は型表層部材32を下型3に固定するための固定部材であり、型表層部材32の側端を下型3と挟持する保持部12と、下型3に螺着するネジ13を挿通するネジ穴14と、上型2と噛合するために下型3の他の意匠面と面一になる平滑面15とを有している。これにより、型表層部材32を確実に固定し、シーリグ部材34と相まって冷媒の漏洩を防止するとともに、ワーク4に対し不要な損傷を与えることがない。
【0010】
図3は、ダイクエンチ加工を行うシステムの説明図である。
ロール材から型抜きされたプレス加工前ワークは、パレット41に据え付けられ、ロボットアーム42の前に準備される。ロボットアーム42は、パレット41のプレス加工前ワークを取り出し、加熱装置43に移動させるとともに、空になったパレット41は別場所に移動されて次のプレス加工前ワークを据え付けられる。加熱装置43に入れられたプレス加工前の板状部材4aは、ダイクエンチに必要な高温まで加熱され、加熱装置43から搬送ローダ44によりプレス装置45に移動される。プレス装置45には、図1に示した上型2及び下型3が取り付けられダイクエンチ加工が行われる。
プレス加工後、上型2が上がり支持部材10に支持された加工後のワーク4は、ワーク4の下側まで伸展された搬出ローダ46に受け渡され、次の加工工程へ引き渡されるとともに、伸展された搬出ローダ46が退避位置まで後退していく。
【0011】
【発明の効果】
詳述したように、請求項1に係る本発明によれば、プレス装置における上型又は下型の少なくとも一方の意匠面に穿設された冷却溝と、該冷却溝の開口部を覆い、一方の意匠面と面一に固定される型表層部材とから冷媒の導通孔を形成し、一方の意匠面に沿って冷媒を循環させて成形されたワークを冷却するとともに、摩耗又は摩滅した型表層部材を交換できるように取り外し自在としたことにより、冷媒が閉空間を循環されるため冷媒の無駄がなくなる。また、ダイクエンチ加工のために焼き入れする冷却温度を適切に維持管理することが容易になり、連続してダイクエンチ加工を続けることができる。更に、型表層部材を交換できるので、摩耗又は摩滅した型表層部材だけを交換し、型表層部材を面一に取り付ける残りの金型の大部分は使い続けられるので、従来のように摩耗等した金型全体を作り替える時間及び費用が削減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るプレス装置の上型及び下型付近を示す説明図である。
【図2】型表層部材を金型の意匠面に固定した状態の説明図である。
【図3】本発明に係るプレス装置を有するプレス・システムの説明図である。
【符号の説明】
2・・上型、3・・下型、4・・ワーク、4a・・板状部材、11・・固定部材、12・・保持部、13・・ネジ、14・・ネジ穴、15・・平滑面、21・・上型導通孔、22・・上型表層部材、23・・冷却溝、24・・シーリング部材、31・・下型導通孔、32・・下型表層部材、33・・冷却溝、34・・シーリング部材、41・・パレット、42・・ロボットアーム、43・・加熱装置、44・・搬送ローダ、45・・プレス装置、46・・搬出ローダ。

Claims (1)

  1. 上下動自在なラムに取り付けられた上型と、その上型に噛合する下型との間で、融点近くまで加熱された板状部材からワークをダイクエンチ加工するプレス装置において、
    上型又は下型の少なくとも一方の意匠面に穿設された冷却溝と、該冷却溝の開口部を覆い、一方の意匠面と面一に固定される型表層部材とから冷媒の導通孔を形成し、一方の意匠面に沿って冷媒を循環させて成形されたワークを冷却するとともに、摩耗又は摩滅した型表層部材を交換できるように取り外し自在としたことを特徴とするプレス装置。
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