JP2005006432A - 磁気軸受制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】制御信号に対する磁気軸受での応答性が低下するのを防ぐことができ、被支持部品を安定して支持させることができる磁気軸受制御装置を提供する。
【解決手段】電磁石2bのコイル2cと、四つのスイッチング部S1〜S4とを用いて、Hブリッジ回路を構成する。そして、回転体1の位置制御のための制御信号と基準信号との比較を行う比較回路8での比較結果に応じて、スイッチング部S1〜S4をスイッチングさせることにより、上記Hブッリジ回路の中央部分に配置したコイル2cに対して、その一方向または他方向に電流を供給する。
【選択図】 図1
【解決手段】電磁石2bのコイル2cと、四つのスイッチング部S1〜S4とを用いて、Hブリッジ回路を構成する。そして、回転体1の位置制御のための制御信号と基準信号との比較を行う比較回路8での比較結果に応じて、スイッチング部S1〜S4をスイッチングさせることにより、上記Hブッリジ回路の中央部分に配置したコイル2cに対して、その一方向または他方向に電流を供給する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、回転体等を非接触支持する磁気軸受の駆動制御を行う磁気軸受制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
磁気軸受の制御装置には、その軸受の電磁石のコイルと、PWM増幅器からのPWM信号によりスイッチングされる四つのスイッチング素子とを用いてHブッリジ回路を構成するとともに、そのHブリッジ回路の中央部分に配置したコイルに対しその一端側から他端側または他端側から一端側へのいずれかの方向に電流を供給して回転体等の被支持部品に対する電磁力を変更するバイポーラ型のものがある(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特開平5−168197号公報(第3〜4頁、図2)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような従来の制御装置では、コイルに流れる電流の向きが上記PWM信号の発振周波数に応じて頻繁に変化しており、被支持部品の位置制御のための制御信号に対してコイル電流の位相遅れが大きくなり、磁気軸受の制御が不安定になって被支持部品の位置も安定しないという問題点があった。
【0005】
上記のような従来の問題点に鑑み、本発明は、制御信号に対する磁気軸受での応答性が低下するのを防ぐことができ、被支持部品を安定して支持させることができる磁気軸受制御装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、被支持部品を非接触支持するための電磁石を備えた磁気軸受の駆動制御を行う制御装置であって、
前記被支持部品の位置制御のための制御信号と、所定の基準信号とを比較する比較回路と、前記比較回路にて前記基準信号よりも制御信号が小さいことが判別されたときに、その制御信号を基にパルス幅変調信号を出力する第1のPWM増幅器と、前記比較回路にて前記基準信号よりも制御信号が大きいことが判別されたときに、その制御信号を基にパルス幅変調信号を出力する第2のPWM増幅器と、前記電磁石のコイルの一端側に接続されるとともに、前記第1のPWM増幅器からのパルス幅変調信号によりスイッチングされる第1のスイッチング素子と、前記電磁石のコイルの他端側に接続されるとともに、前記第2のPWM増幅器からのパルス幅変調信号によりスイッチングされる第2のスイッチング素子と、前記コイルの一端側に接続されるとともに、前記第2のスイッチング素子が前記第2のPWM増幅器からのパルス幅変調信号によってPWM駆動されるときにオン状態にされて当該コイルでの一端側から他端側への一方向に電流が流れるのを許容する第1のオン/オフスイッチと、前記コイルの他端側に接続されるとともに、前記第1のスイッチング素子が前記第1のPWM増幅器からのパルス幅変調信号によってPWM駆動されるときにオン状態にされて当該コイルでの他端側から一端側への他方向に電流が流れるのを許容する第2のオン/オフスイッチとを備えたことを特徴するものである。
【0007】
上記のように構成された磁気軸受制御装置では、上記比較回路での比較結果に従って、第1または第2のオン/オフスイッチがオン状態にされて第2または第1のスイッチング素子でのスイッチング動作に応じた電流が上記電磁石のコイルの一方向または他方向に流れるよう供給されるので、そのコイル電流の向きが頻繁に変化するのを防いで、上記制御信号に対するコイル電流の位相遅れが大きくなるのを防ぐことができる。この結果、制御信号に対する磁気軸受での応答性が低下するのを防ぐことができ、当該軸受の制御が不安定なものとなるのを防止することができる。
【0008】
また、上記磁気軸受制御装置において、前記コイルでの一方向または他方向への電流の流れを許容することにより前記電磁石に生じる磁束を用いて、前記磁気軸受側に設けられた永久磁石からの磁束を減少または増加させ、当該軸受による被支持部品の位置を制御することが好ましい。
この場合、永久磁石の磁束を用いることで磁気軸受の消費電力を抑えることができる。
【0009】
また、上記磁気軸受制御装置において、前記被支持部品の位置を検出する検出手段を備えるとともに、
前記被支持部品がその所望位置よりも前記磁気軸受に対し近接している位置にあるときには、前記基準信号の信号レベルより大きいレベルの信号が前記検出手段側から前記比較回路に前記制御信号として入力されることにより、前記コイルでの一方向への電流の流れを許容して、前記被支持部品に対する当該軸受での磁気吸引力を減少させ、前記被支持部品がその所望位置よりも前記磁気軸受に対し離間している位置にあるときには、前記基準信号の信号レベルより小さいレベルの信号が前記検出手段側から前記比較回路に前記制御信号として入力されることにより、前記コイルでの他方向への電流の流れを許容して、前記被支持部品に対する当該軸受での磁気吸引力を増加させ、かつ前記被支持部品がその所望位置にあるときには、前記基準信号の信号レベルと同じレベルの信号が前記検出手段側から前記比較回路に前記制御信号として入力されることにより、前記コイルでの一方向及び他方向への電流の流れを停止して、前記被支持部品に対する当該軸受での磁気吸引力を維持させることが好ましい。
この場合、上記検出手段での検出結果に応じてコイルへの供給電流の向き及び大きさが決定されることとなり、磁気軸受の消費電力を抑えつつ、高精度な位置制御を容易に行わせることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の磁気軸受制御装置の好ましい実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る磁気軸受制御装置の要部構成を示すブロック図である。図示しているのは、被支持部品としての回転体1をラジアル方向に非接触支持する一対の磁気軸受2について、その一方を制御するための装置部分である。他方の磁気軸受2についても、回路を一部共有した同様な制御装置が構成されるが、ここでは簡略化して一方の磁気軸受2の制御装置についてのみ説明する。
【0011】
上記磁気軸受2は、永久磁石2aと、本発明の制御装置によって供給電流の大きさ及び向きが変更されるコイル2cを有する電磁石2bとを備えたものであり、当該軸受2は、これらの組み合わされた永久磁石2aと電磁石2bとで生じる磁束に応じて発生する電磁力(磁気吸引力)により、回転体1を非接触支持する。詳細にいえば、永久磁石2aには、その所定の磁束で定まる磁気吸引力が回転体1に作用したときに、この回転体1を挟むよう対向配置された上記他方の磁気軸受2の永久磁石からの磁気吸引力とにより、当該回転体1を他方の磁気軸受2との間の所望位置で保持できるものが用いられている。また、電磁石2bでは、コイル2cはその一端側から他端側への一方向(図に矢印aにて図示)または他端側から一端側への他方向(図に矢印bにて図示)の両方向に電流が流れるよう構成されており、電磁石2bは、電流が上記一方向及び他方向にそれぞれ流されたときにその電流の大きさで定まる磁束を発生して上記永久磁石2aからの磁束をそれぞれ減少及び増加させる。これにより、回転体1に対する磁気軸受2からの磁気吸引力が小さくまたは大きく変更され、当該軸受2による回転体1の位置制御が行われる。
【0012】
また、上記コイル2cは、図に示すように、第1〜第4のスイッチング部S1,S2,S3,S4とともにHブリッジ回路を構成するように、これらスイッチング部S1〜S4に接続されている。詳細には、コイル2cの一端側には、図の上端側に定電圧源Vsが接続された第1のスイッチング部S1と、図の下端側が接地された第3のスイッチング部S3とが接続されている。また、他端側には、定電圧源Vsが上端側に接続された第2のスイッチング部S2と、下端側が接地された第4のスイッチング部S4とが接続されており、当該コイル2cを中央部分に配置したHブリッジ回路が構成されている。
また、このコイル2cでは、後に詳述するように、互いに逆方向に流れる電流が交互に、かつ連続的に供給されるのを防がれており、コイル電流での位相遅れが大きくなるのを極力防いだ状態で制御されている。
【0013】
また、上記磁気軸受2の近傍には検出手段としての変位センサ3が設けられており、このセンサ3は回転体1の検出位置を示す信号をA/D変換器4を介してDSP(Digital Signal Processor)5に出力する。このDSP 5では、センサ3からの信号に対して所定の演算処理を行うことにより、上記コイル2cへの供給電流の向き及び大きさを決定する。そして、DSP 5は、決定した供給電流を基に回転体1の位置制御のための制御信号を生成してD/A変換器6を経て信号増幅器(オペアンプ)7に出力する。また、この信号増幅器7には比較回路8が接続されており、比較回路8がその入力信号と所定の基準信号(例えば、0Vの電圧信号)との比較を行う。また、この比較回路8には、上記第1〜第4のスイッチング部S1〜S4での導通状態と非導通状態との間の切換制御をそれぞれ行う第1〜第4のコントローラ部C1,C2,C3,C4が接続されており、比較回路8はその比較結果に応じて各コントローラ部C1〜C4を動作させることにより、上記コイル2cにDSP 5が決定した供給電流が与えられる。
【0014】
具体的にいえば、上記変位センサ3は、回転体1との距離に応じて信号レベルが変化する信号をA/D変換器4を経てDSP 5に出力する。また、DSP 5には、回転体1が上記所望位置にあるときにセンサ3側から入力される信号の基準レベルが設定されており、この基準レベルを例えば“0”としてセンサ出力をその信号レベルに応じて正負に振り分けた上記制御信号を出力する。詳細には、センサ3側から入力された信号の信号レベルが上記基準レベルである場合には、DSP 5は、回転体1が所望位置にあると判断し、さらに電磁石2bを駆動する必要がないと判断して、基準電圧(例えば0V)の電圧信号を上記制御信号として信号増幅器7側に出力する。
また、上記基準レベルを超える信号がセンサ3側から入力された場合には、DSP 5は回転体1が磁気軸受2に対して所望位置から近接している位置にあると判断し、さらに電磁石2bを駆動して永久磁石2aの磁束を減らす必要があると判断する。そして、DSP 5は、入力された信号レベルに比例した正の電圧値の電圧信号を上記制御信号として出力する。
【0015】
また、上記基準レベル未満の信号がセンサ3側から入力された場合には、DSP 5は回転体1が磁気軸受2に対して所望位置から離間している位置にあると判断し、さらに電磁石2bを駆動して永久磁石2aの磁束を増やす必要があると判断する。そして、DSP 5は、その信号レベルに比例した負の電圧値の電圧信号を上記制御信号として出力する。
また、上記信号増幅器7には、コイル2cに直列に接続されたフィードバック抵抗9から当該コイル2cに実際に流れている電流を示すフィードバック信号が電流−電圧変換器(オペアンプ)10を介して入力されるようになっており、信号増幅器7は、上記D/A変換器6からの制御信号と電流−電圧変換器10からのフィードバック信号とに基づいて増幅した信号を比較回路8に出力する。
【0016】
上記比較回路8では、信号増幅器7からの制御信号を上記基準信号と比較することにより、コイル2cに流す電流の向きを判別する。すなわち、制御信号が正の信号の場合には、比較回路8は電流の向きが上記一方向であると判別し、第1及び第4のスイッチング部S1,S4が導通状態にされ、かつ第2及び第3のスイッチング部S2,S3が非導通状態にされるように、対応するコントローラ部C1〜C4を動作させる。また、制御信号が負の信号の場合には、比較回路8は電流の向きが上記他方向であると判別し、第1及び第4のスイッチング部S1,S4が非導通状態にされ、かつ第2及び第3のスイッチング部S2,S3が導通状態にされるように、対応するコントローラ部C1〜C4を動作させる。また、制御信号が基準信号と等しい(すなわち制御信号が0Vの電圧信号である)場合には、比較回路8はコイル2cへの電流供給を行わないと判別し、全てのスイッチング部S1〜S4が非導通状態にされるように、対応するコントローラ部C1〜C4を動作させる。
また、比較回路8は、第1〜第4のコントローラ部C1〜C4及び第1〜第4のスイッチング部S1〜S4とともに、コイル2cに対しその両方向に電流供給が可能なバイポーラ型のPWM増幅装置を構成しており、制御信号を基に生成されるパルス幅変調信号に応じてコイル2cに電流を流すことにより、パルス列のデューティに応じた磁束を電磁石2bが発生するようになっている。
【0017】
具体的には、上記スイッチング部S1〜S4のうち、例えば第3及び第4のスイッチング部S3,S4は、上記信号増幅器7からの制御信号を基にパルス幅変調されたPWM信号によってPWM駆動される第1及び第2のスイッチング素子を構成している。また、残りの第1及び第2のスイッチング部S1,S2は第1及び第2のスイッチング素子がそれぞれPWM駆動されたときにのみオン状態となる第1及び第2のオン/オフスイッチとして機能するようになっており、第1及び第4のスイッチング部S1,S4がPWM信号に応じて上記一方向への電流をコイル2cに流す通電路を上記Hブリッジ回路内に形成し、第2及び第3のスイッチング部S2,S3がPWM信号に応じて上記他方向への電流をコイル2cに流す通電路を当該Hブリッジ回路内に形成している。
【0018】
より具体的には、各スイッチング部S1〜S4は、図2(a)に示すように、MOSFET11と、逆導通用のダイオード12とにより構成されている。上記MOSFET11では、そのドレイン及びソースが図1及び図2のA点及びB点に接続されるとともに、ゲートが対応するコントローラ部C1〜C4に接続されている。
また、第1及び第2の各コントローラ部C1,C2は、対応する第1及び第2のスイッチング部S1,S2のMOSFET11のゲートにゲート信号を出力する出力回路を含んだものであり、この出力回路が比較回路8から出力される指令信号に応じてゲート信号を出力することにより、対応するスイッチング部S1,S2のMOSFET11をオン状態またはオフ状態とする。
また、第3及び第4の各コントローラ部C3,C4は、対応する第3及び第4のスイッチング部S3,S4のMOSFET11をPWM駆動させる第1及び第2のPWM増幅器をそれぞれ構成したものであり、図2(b)に示すように、コンパレータ13と、例えば所定周波数の三角波を発振する発振器14とを備えている。そして、各コントローラ部C3,C4では、そのコンパレータ13に比較回路8から制御信号が入力されたときに、コンパレータ13は発振器14からの三角波と比較することにより、上記制御信号に応じたPWM信号を生成し、対応するスイッチング部S3,S4のMOSFET11のゲートに供給している。これにより、MOSFET11がPWM駆動されて、電磁石2bからの磁束が上記永久磁石2aの磁束に加減される。
【0019】
以上のように構成された本実施形態では、DSP 5が変位センサ3からの検出信号を基に回転体1の所望位置を“0”とし正または負に振り分けた制御信号を生成し、比較回路8が信号増幅器7などを経て入力された上記制御信号と基準信号との比較を行うことにより、コイル2cへの供給電流の向きを判別している。これにより、回転体1がその所望位置から移動したときでも、その移動量及び移動方向に応じて、上記一方向及び他方向のいずれか一方の方向にのみ電流がコイル2cに供給されて、電磁石2bが永久磁石2aの磁束を増減し磁気軸受2の磁気吸引力を調整して回転体1を所望位置に復帰させることができる。従って、互いに逆方向に流れる電流を交互に、かつ連続的にコイルに供給することで位置制御を実施していた上記従来例と異なり、制御信号に対するコイル電流での位相遅れが大きくなるのを極力防ぐことができ、よって磁気軸受2の制御が不安定となるのを防いで回転体1を安定した状態で支持させることができる。また、コイル2cでの供給電流の向きを変化させることなく、回転体1を所望位置に戻すことができることから、電磁石2bでの磁束変化の頻度を極めて少なくすることができ、当該電磁石2bでの鉄損を抑えることが可能で消費電力の少ない磁気軸受用の制御装置を構成することができる。また、本実施形態では、所望位置に回転体1があることを検知したときは、コイル2cへの供給電流を停止して永久磁石2aによる磁気吸引力を維持しつつ、この吸引力で回転体1を支持しているので、不必要な電力消費を生じないさらに省力化された装置を構成することができる。
【0020】
ここで、本願の発明者が実施した検証試験の結果について、図3及び図4を参照して具体的に説明する。尚、この試験は、磁気軸受の制御で要求される周波数帯域について検証したものであり、上記比較回路8に入力される制御信号の周波数を0〜2000Hzに変化させたときでの制御信号に対するコイル電流の位相遅れ及びゲインを測定した。また、図4に示す従来品での試験結果は、図1に示したコントロール部C1〜C4を図2(b)に示したPWM増幅器を用いて構成するとともに、第1及び第4のスイッチング部と第2及び第3のスイッチング部とのデューティ比を60:40にして、コイルの一方向及び他方向に交互に、かつ連続的に電流を供給したときでの結果である。
図3(a)の波形30に示すように、本発明品では位相遅れの最大値は35(degree)程度であり、図4(a)の波形40に示した従来品に比べて、全周波数帯域において位相遅れが小さなものであることが確認された。
また、図3(b)の波形31と図4(b)の波形41との比較により明らかなように、本発明品は、従来品に比べてゲイン特性が改善されていることが実証された。
【0021】
尚、上記の説明では、回転体を非接触支持する磁気軸受に適用した場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、リニアに移動する被支持部品を磁気浮上させた状態で非接触支持する磁気軸受に適用してもよい。
また、上記の説明では、永久磁石と電磁石とを備えた磁気軸受に適用した場合について説明したが、本発明の制御装置は上記位置制御のための制御信号を基に電磁石のコイルへの供給電流を決定して磁気軸受の被支持部品に対する電磁力を変更するものであればよく、例えば定電流源に接続され、所定磁束を常時発生するメインの電磁石と制御装置により制御される微調整用の電磁石とを有する磁気軸受に適用することもできる。
また、上記の説明では、第1〜第4のスイッチング部にMOSFETを用いた場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、IGBT等の他のパワートランジスタを用いる構成でもよい。また、上記第1及び第2のスイッチング部には、対応する第4及び第3のスイッチング部での導通/非導通状態に一致してオン/オフ操作されるリレーの接点を用いることもできる。
【0022】
【発明の効果】
本発明によれば、制御信号に対する応答性の低下を生じることなく磁気軸受を制御することができるとともに、被支持部品を安定した状態で支持させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態による磁気軸受制御装置の構成を示すブロック図である。
【図2】(a)及び(b)は、それぞれ図1に示した第1〜第4の各スイッチング部S1〜S4及び第3及び第4の各コントローラ部C3及びC4の具体的な構成例を示すブロック図である。
【図3】図1に示した制御装置での試験結果を示すグラフであり、(a)及び(b)はそれぞれ位相遅れ及びゲインの測定結果を示すグラフである。
【図4】従来の磁気軸受制御装置での試験結果を示すグラフであり、(a)及び(b)はそれぞれ位相遅れ及びゲインの測定結果を示すグラフである。
【符号の説明】
1 回転体
2 磁気軸受
2a 永久磁石
2b 電磁石
2c コイル
C3、C4 PWM増幅器
S1、S2 オン/オフスイッチ
S3、S4 スイッチング素子
3 変位センサ
8 比較回路
【発明の属する技術分野】
本発明は、回転体等を非接触支持する磁気軸受の駆動制御を行う磁気軸受制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
磁気軸受の制御装置には、その軸受の電磁石のコイルと、PWM増幅器からのPWM信号によりスイッチングされる四つのスイッチング素子とを用いてHブッリジ回路を構成するとともに、そのHブリッジ回路の中央部分に配置したコイルに対しその一端側から他端側または他端側から一端側へのいずれかの方向に電流を供給して回転体等の被支持部品に対する電磁力を変更するバイポーラ型のものがある(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特開平5−168197号公報(第3〜4頁、図2)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような従来の制御装置では、コイルに流れる電流の向きが上記PWM信号の発振周波数に応じて頻繁に変化しており、被支持部品の位置制御のための制御信号に対してコイル電流の位相遅れが大きくなり、磁気軸受の制御が不安定になって被支持部品の位置も安定しないという問題点があった。
【0005】
上記のような従来の問題点に鑑み、本発明は、制御信号に対する磁気軸受での応答性が低下するのを防ぐことができ、被支持部品を安定して支持させることができる磁気軸受制御装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、被支持部品を非接触支持するための電磁石を備えた磁気軸受の駆動制御を行う制御装置であって、
前記被支持部品の位置制御のための制御信号と、所定の基準信号とを比較する比較回路と、前記比較回路にて前記基準信号よりも制御信号が小さいことが判別されたときに、その制御信号を基にパルス幅変調信号を出力する第1のPWM増幅器と、前記比較回路にて前記基準信号よりも制御信号が大きいことが判別されたときに、その制御信号を基にパルス幅変調信号を出力する第2のPWM増幅器と、前記電磁石のコイルの一端側に接続されるとともに、前記第1のPWM増幅器からのパルス幅変調信号によりスイッチングされる第1のスイッチング素子と、前記電磁石のコイルの他端側に接続されるとともに、前記第2のPWM増幅器からのパルス幅変調信号によりスイッチングされる第2のスイッチング素子と、前記コイルの一端側に接続されるとともに、前記第2のスイッチング素子が前記第2のPWM増幅器からのパルス幅変調信号によってPWM駆動されるときにオン状態にされて当該コイルでの一端側から他端側への一方向に電流が流れるのを許容する第1のオン/オフスイッチと、前記コイルの他端側に接続されるとともに、前記第1のスイッチング素子が前記第1のPWM増幅器からのパルス幅変調信号によってPWM駆動されるときにオン状態にされて当該コイルでの他端側から一端側への他方向に電流が流れるのを許容する第2のオン/オフスイッチとを備えたことを特徴するものである。
【0007】
上記のように構成された磁気軸受制御装置では、上記比較回路での比較結果に従って、第1または第2のオン/オフスイッチがオン状態にされて第2または第1のスイッチング素子でのスイッチング動作に応じた電流が上記電磁石のコイルの一方向または他方向に流れるよう供給されるので、そのコイル電流の向きが頻繁に変化するのを防いで、上記制御信号に対するコイル電流の位相遅れが大きくなるのを防ぐことができる。この結果、制御信号に対する磁気軸受での応答性が低下するのを防ぐことができ、当該軸受の制御が不安定なものとなるのを防止することができる。
【0008】
また、上記磁気軸受制御装置において、前記コイルでの一方向または他方向への電流の流れを許容することにより前記電磁石に生じる磁束を用いて、前記磁気軸受側に設けられた永久磁石からの磁束を減少または増加させ、当該軸受による被支持部品の位置を制御することが好ましい。
この場合、永久磁石の磁束を用いることで磁気軸受の消費電力を抑えることができる。
【0009】
また、上記磁気軸受制御装置において、前記被支持部品の位置を検出する検出手段を備えるとともに、
前記被支持部品がその所望位置よりも前記磁気軸受に対し近接している位置にあるときには、前記基準信号の信号レベルより大きいレベルの信号が前記検出手段側から前記比較回路に前記制御信号として入力されることにより、前記コイルでの一方向への電流の流れを許容して、前記被支持部品に対する当該軸受での磁気吸引力を減少させ、前記被支持部品がその所望位置よりも前記磁気軸受に対し離間している位置にあるときには、前記基準信号の信号レベルより小さいレベルの信号が前記検出手段側から前記比較回路に前記制御信号として入力されることにより、前記コイルでの他方向への電流の流れを許容して、前記被支持部品に対する当該軸受での磁気吸引力を増加させ、かつ前記被支持部品がその所望位置にあるときには、前記基準信号の信号レベルと同じレベルの信号が前記検出手段側から前記比較回路に前記制御信号として入力されることにより、前記コイルでの一方向及び他方向への電流の流れを停止して、前記被支持部品に対する当該軸受での磁気吸引力を維持させることが好ましい。
この場合、上記検出手段での検出結果に応じてコイルへの供給電流の向き及び大きさが決定されることとなり、磁気軸受の消費電力を抑えつつ、高精度な位置制御を容易に行わせることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の磁気軸受制御装置の好ましい実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る磁気軸受制御装置の要部構成を示すブロック図である。図示しているのは、被支持部品としての回転体1をラジアル方向に非接触支持する一対の磁気軸受2について、その一方を制御するための装置部分である。他方の磁気軸受2についても、回路を一部共有した同様な制御装置が構成されるが、ここでは簡略化して一方の磁気軸受2の制御装置についてのみ説明する。
【0011】
上記磁気軸受2は、永久磁石2aと、本発明の制御装置によって供給電流の大きさ及び向きが変更されるコイル2cを有する電磁石2bとを備えたものであり、当該軸受2は、これらの組み合わされた永久磁石2aと電磁石2bとで生じる磁束に応じて発生する電磁力(磁気吸引力)により、回転体1を非接触支持する。詳細にいえば、永久磁石2aには、その所定の磁束で定まる磁気吸引力が回転体1に作用したときに、この回転体1を挟むよう対向配置された上記他方の磁気軸受2の永久磁石からの磁気吸引力とにより、当該回転体1を他方の磁気軸受2との間の所望位置で保持できるものが用いられている。また、電磁石2bでは、コイル2cはその一端側から他端側への一方向(図に矢印aにて図示)または他端側から一端側への他方向(図に矢印bにて図示)の両方向に電流が流れるよう構成されており、電磁石2bは、電流が上記一方向及び他方向にそれぞれ流されたときにその電流の大きさで定まる磁束を発生して上記永久磁石2aからの磁束をそれぞれ減少及び増加させる。これにより、回転体1に対する磁気軸受2からの磁気吸引力が小さくまたは大きく変更され、当該軸受2による回転体1の位置制御が行われる。
【0012】
また、上記コイル2cは、図に示すように、第1〜第4のスイッチング部S1,S2,S3,S4とともにHブリッジ回路を構成するように、これらスイッチング部S1〜S4に接続されている。詳細には、コイル2cの一端側には、図の上端側に定電圧源Vsが接続された第1のスイッチング部S1と、図の下端側が接地された第3のスイッチング部S3とが接続されている。また、他端側には、定電圧源Vsが上端側に接続された第2のスイッチング部S2と、下端側が接地された第4のスイッチング部S4とが接続されており、当該コイル2cを中央部分に配置したHブリッジ回路が構成されている。
また、このコイル2cでは、後に詳述するように、互いに逆方向に流れる電流が交互に、かつ連続的に供給されるのを防がれており、コイル電流での位相遅れが大きくなるのを極力防いだ状態で制御されている。
【0013】
また、上記磁気軸受2の近傍には検出手段としての変位センサ3が設けられており、このセンサ3は回転体1の検出位置を示す信号をA/D変換器4を介してDSP(Digital Signal Processor)5に出力する。このDSP 5では、センサ3からの信号に対して所定の演算処理を行うことにより、上記コイル2cへの供給電流の向き及び大きさを決定する。そして、DSP 5は、決定した供給電流を基に回転体1の位置制御のための制御信号を生成してD/A変換器6を経て信号増幅器(オペアンプ)7に出力する。また、この信号増幅器7には比較回路8が接続されており、比較回路8がその入力信号と所定の基準信号(例えば、0Vの電圧信号)との比較を行う。また、この比較回路8には、上記第1〜第4のスイッチング部S1〜S4での導通状態と非導通状態との間の切換制御をそれぞれ行う第1〜第4のコントローラ部C1,C2,C3,C4が接続されており、比較回路8はその比較結果に応じて各コントローラ部C1〜C4を動作させることにより、上記コイル2cにDSP 5が決定した供給電流が与えられる。
【0014】
具体的にいえば、上記変位センサ3は、回転体1との距離に応じて信号レベルが変化する信号をA/D変換器4を経てDSP 5に出力する。また、DSP 5には、回転体1が上記所望位置にあるときにセンサ3側から入力される信号の基準レベルが設定されており、この基準レベルを例えば“0”としてセンサ出力をその信号レベルに応じて正負に振り分けた上記制御信号を出力する。詳細には、センサ3側から入力された信号の信号レベルが上記基準レベルである場合には、DSP 5は、回転体1が所望位置にあると判断し、さらに電磁石2bを駆動する必要がないと判断して、基準電圧(例えば0V)の電圧信号を上記制御信号として信号増幅器7側に出力する。
また、上記基準レベルを超える信号がセンサ3側から入力された場合には、DSP 5は回転体1が磁気軸受2に対して所望位置から近接している位置にあると判断し、さらに電磁石2bを駆動して永久磁石2aの磁束を減らす必要があると判断する。そして、DSP 5は、入力された信号レベルに比例した正の電圧値の電圧信号を上記制御信号として出力する。
【0015】
また、上記基準レベル未満の信号がセンサ3側から入力された場合には、DSP 5は回転体1が磁気軸受2に対して所望位置から離間している位置にあると判断し、さらに電磁石2bを駆動して永久磁石2aの磁束を増やす必要があると判断する。そして、DSP 5は、その信号レベルに比例した負の電圧値の電圧信号を上記制御信号として出力する。
また、上記信号増幅器7には、コイル2cに直列に接続されたフィードバック抵抗9から当該コイル2cに実際に流れている電流を示すフィードバック信号が電流−電圧変換器(オペアンプ)10を介して入力されるようになっており、信号増幅器7は、上記D/A変換器6からの制御信号と電流−電圧変換器10からのフィードバック信号とに基づいて増幅した信号を比較回路8に出力する。
【0016】
上記比較回路8では、信号増幅器7からの制御信号を上記基準信号と比較することにより、コイル2cに流す電流の向きを判別する。すなわち、制御信号が正の信号の場合には、比較回路8は電流の向きが上記一方向であると判別し、第1及び第4のスイッチング部S1,S4が導通状態にされ、かつ第2及び第3のスイッチング部S2,S3が非導通状態にされるように、対応するコントローラ部C1〜C4を動作させる。また、制御信号が負の信号の場合には、比較回路8は電流の向きが上記他方向であると判別し、第1及び第4のスイッチング部S1,S4が非導通状態にされ、かつ第2及び第3のスイッチング部S2,S3が導通状態にされるように、対応するコントローラ部C1〜C4を動作させる。また、制御信号が基準信号と等しい(すなわち制御信号が0Vの電圧信号である)場合には、比較回路8はコイル2cへの電流供給を行わないと判別し、全てのスイッチング部S1〜S4が非導通状態にされるように、対応するコントローラ部C1〜C4を動作させる。
また、比較回路8は、第1〜第4のコントローラ部C1〜C4及び第1〜第4のスイッチング部S1〜S4とともに、コイル2cに対しその両方向に電流供給が可能なバイポーラ型のPWM増幅装置を構成しており、制御信号を基に生成されるパルス幅変調信号に応じてコイル2cに電流を流すことにより、パルス列のデューティに応じた磁束を電磁石2bが発生するようになっている。
【0017】
具体的には、上記スイッチング部S1〜S4のうち、例えば第3及び第4のスイッチング部S3,S4は、上記信号増幅器7からの制御信号を基にパルス幅変調されたPWM信号によってPWM駆動される第1及び第2のスイッチング素子を構成している。また、残りの第1及び第2のスイッチング部S1,S2は第1及び第2のスイッチング素子がそれぞれPWM駆動されたときにのみオン状態となる第1及び第2のオン/オフスイッチとして機能するようになっており、第1及び第4のスイッチング部S1,S4がPWM信号に応じて上記一方向への電流をコイル2cに流す通電路を上記Hブリッジ回路内に形成し、第2及び第3のスイッチング部S2,S3がPWM信号に応じて上記他方向への電流をコイル2cに流す通電路を当該Hブリッジ回路内に形成している。
【0018】
より具体的には、各スイッチング部S1〜S4は、図2(a)に示すように、MOSFET11と、逆導通用のダイオード12とにより構成されている。上記MOSFET11では、そのドレイン及びソースが図1及び図2のA点及びB点に接続されるとともに、ゲートが対応するコントローラ部C1〜C4に接続されている。
また、第1及び第2の各コントローラ部C1,C2は、対応する第1及び第2のスイッチング部S1,S2のMOSFET11のゲートにゲート信号を出力する出力回路を含んだものであり、この出力回路が比較回路8から出力される指令信号に応じてゲート信号を出力することにより、対応するスイッチング部S1,S2のMOSFET11をオン状態またはオフ状態とする。
また、第3及び第4の各コントローラ部C3,C4は、対応する第3及び第4のスイッチング部S3,S4のMOSFET11をPWM駆動させる第1及び第2のPWM増幅器をそれぞれ構成したものであり、図2(b)に示すように、コンパレータ13と、例えば所定周波数の三角波を発振する発振器14とを備えている。そして、各コントローラ部C3,C4では、そのコンパレータ13に比較回路8から制御信号が入力されたときに、コンパレータ13は発振器14からの三角波と比較することにより、上記制御信号に応じたPWM信号を生成し、対応するスイッチング部S3,S4のMOSFET11のゲートに供給している。これにより、MOSFET11がPWM駆動されて、電磁石2bからの磁束が上記永久磁石2aの磁束に加減される。
【0019】
以上のように構成された本実施形態では、DSP 5が変位センサ3からの検出信号を基に回転体1の所望位置を“0”とし正または負に振り分けた制御信号を生成し、比較回路8が信号増幅器7などを経て入力された上記制御信号と基準信号との比較を行うことにより、コイル2cへの供給電流の向きを判別している。これにより、回転体1がその所望位置から移動したときでも、その移動量及び移動方向に応じて、上記一方向及び他方向のいずれか一方の方向にのみ電流がコイル2cに供給されて、電磁石2bが永久磁石2aの磁束を増減し磁気軸受2の磁気吸引力を調整して回転体1を所望位置に復帰させることができる。従って、互いに逆方向に流れる電流を交互に、かつ連続的にコイルに供給することで位置制御を実施していた上記従来例と異なり、制御信号に対するコイル電流での位相遅れが大きくなるのを極力防ぐことができ、よって磁気軸受2の制御が不安定となるのを防いで回転体1を安定した状態で支持させることができる。また、コイル2cでの供給電流の向きを変化させることなく、回転体1を所望位置に戻すことができることから、電磁石2bでの磁束変化の頻度を極めて少なくすることができ、当該電磁石2bでの鉄損を抑えることが可能で消費電力の少ない磁気軸受用の制御装置を構成することができる。また、本実施形態では、所望位置に回転体1があることを検知したときは、コイル2cへの供給電流を停止して永久磁石2aによる磁気吸引力を維持しつつ、この吸引力で回転体1を支持しているので、不必要な電力消費を生じないさらに省力化された装置を構成することができる。
【0020】
ここで、本願の発明者が実施した検証試験の結果について、図3及び図4を参照して具体的に説明する。尚、この試験は、磁気軸受の制御で要求される周波数帯域について検証したものであり、上記比較回路8に入力される制御信号の周波数を0〜2000Hzに変化させたときでの制御信号に対するコイル電流の位相遅れ及びゲインを測定した。また、図4に示す従来品での試験結果は、図1に示したコントロール部C1〜C4を図2(b)に示したPWM増幅器を用いて構成するとともに、第1及び第4のスイッチング部と第2及び第3のスイッチング部とのデューティ比を60:40にして、コイルの一方向及び他方向に交互に、かつ連続的に電流を供給したときでの結果である。
図3(a)の波形30に示すように、本発明品では位相遅れの最大値は35(degree)程度であり、図4(a)の波形40に示した従来品に比べて、全周波数帯域において位相遅れが小さなものであることが確認された。
また、図3(b)の波形31と図4(b)の波形41との比較により明らかなように、本発明品は、従来品に比べてゲイン特性が改善されていることが実証された。
【0021】
尚、上記の説明では、回転体を非接触支持する磁気軸受に適用した場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、リニアに移動する被支持部品を磁気浮上させた状態で非接触支持する磁気軸受に適用してもよい。
また、上記の説明では、永久磁石と電磁石とを備えた磁気軸受に適用した場合について説明したが、本発明の制御装置は上記位置制御のための制御信号を基に電磁石のコイルへの供給電流を決定して磁気軸受の被支持部品に対する電磁力を変更するものであればよく、例えば定電流源に接続され、所定磁束を常時発生するメインの電磁石と制御装置により制御される微調整用の電磁石とを有する磁気軸受に適用することもできる。
また、上記の説明では、第1〜第4のスイッチング部にMOSFETを用いた場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、IGBT等の他のパワートランジスタを用いる構成でもよい。また、上記第1及び第2のスイッチング部には、対応する第4及び第3のスイッチング部での導通/非導通状態に一致してオン/オフ操作されるリレーの接点を用いることもできる。
【0022】
【発明の効果】
本発明によれば、制御信号に対する応答性の低下を生じることなく磁気軸受を制御することができるとともに、被支持部品を安定した状態で支持させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態による磁気軸受制御装置の構成を示すブロック図である。
【図2】(a)及び(b)は、それぞれ図1に示した第1〜第4の各スイッチング部S1〜S4及び第3及び第4の各コントローラ部C3及びC4の具体的な構成例を示すブロック図である。
【図3】図1に示した制御装置での試験結果を示すグラフであり、(a)及び(b)はそれぞれ位相遅れ及びゲインの測定結果を示すグラフである。
【図4】従来の磁気軸受制御装置での試験結果を示すグラフであり、(a)及び(b)はそれぞれ位相遅れ及びゲインの測定結果を示すグラフである。
【符号の説明】
1 回転体
2 磁気軸受
2a 永久磁石
2b 電磁石
2c コイル
C3、C4 PWM増幅器
S1、S2 オン/オフスイッチ
S3、S4 スイッチング素子
3 変位センサ
8 比較回路
Claims (3)
- 被支持部品を非接触支持するための電磁石を備えた磁気軸受の駆動制御を行う制御装置であって、
前記被支持部品の位置制御のための制御信号と、所定の基準信号とを比較する比較回路と、
前記比較回路にて前記基準信号よりも制御信号が小さいことが判別されたときに、その制御信号を基にパルス幅変調信号を出力する第1のPWM増幅器と、
前記比較回路にて前記基準信号よりも制御信号が大きいことが判別されたときに、その制御信号を基にパルス幅変調信号を出力する第2のPWM増幅器と、
前記電磁石のコイルの一端側に接続されるとともに、前記第1のPWM増幅器からのパルス幅変調信号によりスイッチングされる第1のスイッチング素子と、
前記電磁石のコイルの他端側に接続されるとともに、前記第2のPWM増幅器からのパルス幅変調信号によりスイッチングされる第2のスイッチング素子と、
前記コイルの一端側に接続されるとともに、前記第2のスイッチング素子が前記第2のPWM増幅器からのパルス幅変調信号によってPWM駆動されるときにオン状態にされて当該コイルでの一端側から他端側への一方向に電流が流れるのを許容する第1のオン/オフスイッチと、
前記コイルの他端側に接続されるとともに、前記第1のスイッチング素子が前記第1のPWM増幅器からのパルス幅変調信号によってPWM駆動されるときにオン状態にされて当該コイルでの他端側から一端側への他方向に電流が流れるのを許容する第2のオン/オフスイッチと
を備えたことを特徴とする磁気軸受制御装置。 - 前記コイルでの一方向または他方向への電流の流れを許容することにより前記電磁石に生じる磁束を用いて、前記磁気軸受側に設けられた永久磁石からの磁束を減少または増加させ、当該軸受による被支持部品の位置を制御することを特徴とする請求項1に記載の磁気軸受制御装置。
- 前記被支持部品の位置を検出する検出手段を備えるとともに、
前記被支持部品がその所望位置よりも前記磁気軸受に対し近接している位置にあるときには、前記基準信号の信号レベルより大きいレベルの信号が前記検出手段側から前記比較回路に前記制御信号として入力されることにより、前記コイルでの一方向への電流の流れを許容して、前記被支持部品に対する当該軸受での磁気吸引力を減少させ、
前記被支持部品がその所望位置よりも前記磁気軸受に対し離間している位置にあるときには、前記基準信号の信号レベルより小さいレベルの信号が前記検出手段側から前記比較回路に前記制御信号として入力されることにより、前記コイルでの他方向への電流の流れを許容して、前記被支持部品に対する当該軸受での磁気吸引力を増加させ、かつ
前記被支持部品がその所望位置にあるときには、前記基準信号の信号レベルと同じレベルの信号が前記検出手段側から前記比較回路に前記制御信号として入力されることにより、前記コイルでの一方向及び他方向への電流の流れを停止して、前記被支持部品に対する当該軸受での磁気吸引力を維持させることを特徴とする請求項1または2に記載の磁気軸受制御装置。
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KR20180006161A (ko) * | 2016-07-08 | 2018-01-17 | 한국기계연구원 | 자기베어링을 이용한 인압제어장치, 인압제어방법, 대상물 접촉 파라미터 제어방법, 대상물 위치정렬 제어방법 및 대상물 위치정렬 제어장치 |
-
2003
- 2003-06-12 JP JP2003168051A patent/JP2005006432A/ja active Pending
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