JP2005005567A - プランジャー - Google Patents
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Abstract
【課題】プランジャーの小型化を図ると、作動時に吸着片とボビン内壁間でカジリが発生し易くなり、また、充分な吸着力が得られない等の課題が生じ、信頼性が高く実用的なプランジャーを得ることが困難であった。
【解決手段】プランジャーをヨーク連結基部のヨーク中心軸上に設けた1箇所の固定孔で機器に回動自在に固定することにより、動作時にはプランジャー自体がレバーと共動して傾くので、ボビン穴内壁と吸着片は常に平行な位置関係に保たれ、カジリの発生によるプランジャーの動作不良が回避できる。また、ヨーク形状を改良することにより永久磁石の磁力を増加させることなくヨーク脚部側の吸着力を増加させることが可能となり、信頼性の高い小型のプランジャーが得られる。
【選択図】図1
【解決手段】プランジャーをヨーク連結基部のヨーク中心軸上に設けた1箇所の固定孔で機器に回動自在に固定することにより、動作時にはプランジャー自体がレバーと共動して傾くので、ボビン穴内壁と吸着片は常に平行な位置関係に保たれ、カジリの発生によるプランジャーの動作不良が回避できる。また、ヨーク形状を改良することにより永久磁石の磁力を増加させることなくヨーク脚部側の吸着力を増加させることが可能となり、信頼性の高い小型のプランジャーが得られる。
【選択図】図1
Description
【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、カメラ、オーディオ機器、ビデオ機器、パソコン等の小型電子機器でCD等の情報記録媒体の出し入れ機構やシャッター機構およびロック機構等に用いられる永久磁石を用いた自己保持型の小型プランジャーに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
自己保持型のプランジャーは、ヨーク、吸着片、コイル及び永久磁石からなり、ヨーク、吸着片およびコイルは一体化されて組み立てられた状態で小型電子機器の本体に取り付けられる。一方、吸着片にはピン等を用いてレバーが回動可能な状態で連結されており、吸着片の動きはレバーを介して作動部へと伝達される。このレバー連結部にはバネ等を利用した負勢力がヨークの吸着力と対向する方向に付与されている。上記の自己保持型プランジャーが保持状態にある時は、ヨークは永久磁石の磁力で吸着片を吸着させてこれを保持した状態を保ち、プランジャーが保持状態から開放状態へと作動する時は、ボビンに巻き回された電磁コイルにパルス電流を流すことにより、永久磁石の磁場と逆方向の磁場を発生させて吸着片を開放させる。
【0003】
図4に上記分野で利用されている代表的なプランジャーの概略断面図を示す。図4において、ヨーク1は一対の脚部とこれを連結する連結基部からなり、概略U字の外観形状を示す。また、ヨーク1はコイルボビン6に一対の脚部が差し込まれた状態で樹脂製のコイルボビン6と固定爪12で一体化されている。さらに、ヨーク内側切り欠き部の連結基部寄りの位置には永久磁石5が配置され、吸着片8の一対の脚部はコイルボビンの他方の開口部に差し込まれ、磁力によってヨーク脚部に吸着されている。プランジャーはこの状態で小型電子機器類に取り付けられるが、取り付けはヨークに少なくとも2箇所設けられたプランジャー固定孔11を用いてネジ等によりなされる。吸着片8にはレバー取り付け部9が設けられており、吸着片はレバー取り付け部9でピン等によりレバー10に回動可能な状態で機械的に接続されている。また、保持状態においてレバー取り付け部にはヨークと吸着片に作用する吸着力より小さく、かつ対向する方向にバネ等の負勢力F1が働いている。
【0004】
プランジャーの作動時には電磁コイルにパルス電流を流すことにより、瞬間的にヨーク脚部に永久磁石の磁力の方向とは逆の方向の磁場を発生させ、吸着片を負勢力F1によりボビン穴内のヨークから離れる方向に移動させる。レバーを介してこの吸着片の動きが情報記録媒体の出し入れ機構やシャッターの開閉機構またはロック機構等の作動部に伝達され、これらの部位が開状態となる。上記の作動部位に負勢力F1に対抗する外力を加えて、作動部を開状態から閉状態に戻すと、レバーがプランジャー動作時とは逆の方向に動き、吸着片はヨークの方向に移動する。吸着片に作用する磁力が負勢力F1より大きくなる位置まで戻されると吸着片はヨークに吸着されプランジャーは保持状態に戻る。
【0005】
こうした小型電子機器類に用いられるプランジャーの従来技術に関わる公知例としては、例えば特開2001−135521や特開2000−216019の特許文献が知られている。特開2001−135521には外部からプランジャーに衝撃力が加わり、吸着片のスライド方向と直交する外力が吸着片に加わったときでも吸着片がヨークからはずれ難くするための吸着片の形状が開示されており、特開2000−216019には同じく外力が作用した時に巻き線端部に断線を起こし難くするためにコイルボビンに係止部を設けたプランジャーが開示されている。こうした従来例のプランジャーでは、機器取り付け後にプランジャーが外力を受けて取り付け位置からズレを起こすと動作不良の原因となるので、少なくとも2箇所で機器に固定されていた。
【0006】
【特許文献1】
特開2001−135521号公報
図1及び同公報要約
【特許文献2】
特開2000−216019号公報
図1及び同公報要約
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
最近の小型電子機器類では全般に小型化のニーズが強く、プランジャーおよびプランジャーを用いた開閉機構等においても一層の小型化が要請されている。しかし、プランジャーの一層の小型化を検討するにつれて、従来の方法でプランジャーを固定した場合には、今まであまり問題視されなかった吸着片のカジリ等による動作不良が技術的課題として生じることが明らかとなった。
【0008】
吸着片の移動を作動部へ伝達するレバーの軸の方向は、吸着片の移動方向に対して直角に近い角度で配置されるのが通例である。また、レバー取り付け部の動きはレバーの支点を中心とする円周上の移動であるので、プランジャー作動時にレバー取り付け部はプランジャーの中心軸の延長線上からレバーの支点方向に僅かに移動する。このため、レバーに連結された吸着片は円周の接線方向に僅かに傾いた状態となる。従って、従来の固定方法では、吸着片が機器に固定された状態のボビン穴の内壁により移動の制約を受けているため、吸着片とボビン内壁が接触する可能性が生じる。このため、吸着片とボビン内壁の間には接触を起こさない充分な間隙を設けることが必要であった。
【0009】
上記の理由から、単にプランジャー部材の形状を相似的に小さくすることにより小型化を図ろうとすると、吸着片とボビン内壁の間隙を充分に確保できず、また、充分な吸着片の移動ストロークも確保できない。そこで、吸着片とボビン内壁の間隙のみを大きくすることにより移動ストロークを確保しようとすると、作動時の吸着片の傾きが大きくなり、吸着片のスムーズな移動が困難となる。また、吸着片の体積が小さくなるため作用する吸着力も低下して、プランジャー動作の信頼性が低下する。さらに、必要以上に間隙を大きくすると外部からの塵埃が入り込み易くなりプランジャー動作の信頼性は一層低下する。
【0010】
このように、プランジャーの小型化においては、吸着片の移動時にボビン穴内壁と吸着片の間に発生するカジリの問題を回避することが大きな課題となる。カジリが発生すると吸着片が移動不能となり、開閉機構等の動きがロックされて動作不良を起こす。また、開閉機構がロックされないまでも、吸着片とボビン間の接触等による摩擦粉が発生し易くなり、摩擦粉が堆積して長期間にプランジャーの動作の信頼性を低下させる原因ともなる。
【0011】
さらに、プランジャーの小型化を妨げる別の課題として吸着力の低下が挙げられる。単なる相似的な設計ではプランジャーの小型化に伴って永久磁石の体積も減少するので、充分な吸着力を持つプランジャーが得られない。吸着力が低下するとプランジャーの動作は不確実となり信頼性が低下する。吸着力を増加させるためには永久磁石の体積を相対的に増加させる手段、あるいは、永久磁石として、より磁力の大きな高性能のものを採用する手段が考えられるが、これらはいずれも製造コストの増大をもたらすので、他の解決手段が望ましい。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、請求項1には一対の脚部と該脚部を連結する連結基部とを有するヨークと、U字形状の吸着片と、コイルが巻回された一対のコイルボビンと、ヨーク内側切り欠き部の連結基部寄りの位置に配置された永久磁石から構成され、これら一対のコイルボビン内に各々設けられたボビン穴内に上記ヨークの一対の脚部が装着されると共に、これに対向して上記吸着片の一対の脚部が移動可能に挿入されたプランジャ−において、ヨーク連結基部のヨーク中心軸上の位置に1箇所のプランジャー固定孔を設けることにより、回動可能な状態で機器に取り付け可能とすることを特徴とするプランジャーが示されている。
【0013】
請求項1の発明によればプランジャーをヨーク連結基部のヨーク中心軸上の位置に1箇所のプランジャー固定孔で機器に回動自在に取り付けることにより、動作時にはプランジャー自体がレバーの動きと共動して傾くので、吸着片とボビン内壁は常に平行な位置関係を保ちつつスムーズに移動することができる。従って、ボビン穴内壁と吸着片との接触やカジリによるプランジャーの動作不良発生の問題は解決される。
【0014】
また、請求項2にはプランジャー固定孔周辺のヨークの厚みを他の部分より減少させることを特徴とする請求項1に記載のプランジャーが示され、同じく、請求項3には、ヨークの永久磁石よりも連結基部寄りの位置にヨーク固定孔とは別にヨーク脚部の磁力を増加させるための開孔部を2ヶ所以上設けることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のプランジャーが示されている。さらに、請求項4にはヨーク内側切り欠き部の隅部形状をヨーク側に抉りこんだ形状とすることを特徴とする請求項1から請求項3に記載のプランジャーが示されている。
【0015】
請求項2から請求項4の発明によれば、ヨークの連結基部側を通過する無効磁束が制限され、この分ヨーク脚部側の有効な磁束が増加してプランジャーの吸着力を増加させることができる。従って、製造コストを低く抑えつつ小型でも吸着力が大きく信頼性の高いプランジャーが製造可能となる。また、ヨークの厚み、開孔部の径および隅部形状を個別に適用・選択する事で、プランジャーの吸着力を要望される値に変更することも可能となる。
【0016】
【実施例】
図1に本発明によるプランジャーをヨーク上面において切断した概略断面を示す。図1においてプランジャーの外寸法は巾8.8mm、長さ17.2mm、厚さ3.5mmである。ヨーク部及び吸着片の厚みは1.6mmであり、吸着片とボビン内壁間の間隙は0.05mmとなっている。また、ヨーク連結基部平面の中心軸上に設けられたプランジャー取り付け孔の大きさはφ1.5mmであり、プランジャー取り付け孔を中心とした周囲の1mmの厚みは0.4mmである。更に、ヨークの連結基部寄りには径1mmの孔が2箇所設けられており、ヨーク内側切り欠き部の隅部は内側に0.3mm抉った形状となっている。上記構成のプランジャーに保持力0.28MJ/m3の永久磁石を取り付けた。この構成で保持状態において吸着片には平均4.5Nの保持力が作用し、吸着片の移動ストロークは最大で2.5mm取ることができる。
【0017】
一方、上記プランジャーと巾と厚みが同一寸法で図4の形状からなるプランジャー固定孔を2箇所設けた従来技術の構成からなる比較用のプランジャーを作製し、発明品と同一寸法からなる保持力が0.44MJ/m3の永久磁石を取り付けた。この場合、保持状態で吸着片には平均3.5Nの保持力が得られた。
上記の構成による本発明のプランジャーと比較用のプランジャーとを各10個作製して、試験台にそれぞれの方法で固定した後、長さ30mmのレバーをピンで取り付けた。レバーの支点はレバー中央の位置に設けられ、プランジャーの保持状態で吸着片取り付け部には1Nの大きさの負勢力を作用させた。
【0018】
この状態で本発明品および比較用プランジャーとも各々1000回のプランジャー動作確認試験を行ったところ、比較用プランジャーでは、4個が試験途中に吸着片とコイルボビン内壁間にカジリを生じてプランジャーの動作不良が発生したのに対して、本発明のプランジャーでは全てのサンプルで1000回の動作確認試験をクリアし、動作不良は全く見られなかった。
【0019】
【他の実施例】
他の実施例として先の実施例の発明品のプランジャーのヨークと同一の外寸形状からなり、プランジャー固定孔周囲の厚み、ヨーク開孔部および内側隅部の形状を変化させたヨークで吸着力を比較した。図2に示されるAからCの3形状のヨークを先の実施例と同一の1.6mmの厚みで作製した。ヨーク形状の違いによる吸着力の変化を見るために、これら形状の異なるヨークと先の実施例に示された発明品のヨークとをプランジャーに組み立て、吸着片に働く吸着力の大きさを保持状態で比較した。
【0020】
図2に示されるヨークAはプランジャー固定孔周辺の厚みを変えず、ヨークに固定孔以外の孔を設けず、ヨーク内側隅部の抉りもない形状のものである。またヨークBはヨークAのプランジャー固定孔周辺1mmの厚みを0.4mmに薄くしたものであり、さらに、ヨークCはヨークBの永久磁石よりも連結基部寄りの位置に直径1mmの開孔部を2箇所設けたものである。これらのヨークを用いてプランジャーを組み立てて、保持力0.28MJ/m3の永久磁石を取り付け、吸着片に作用する吸着力を比較した。
【0021】
ヨークAを用いてプランジャーを組み立てた場合の吸着力は2.0Nであったが、ヨークBを用いた場合は3.5N、ヨークCを用いた場合は4.0Nと吸着力が増加した。さらに、ヨークCのヨーク内側隅部2個所を0.3mm抉った先の実施例のプランジャーでは吸着力は4.5Nであった。これらの結果から、ヨーク形状を改良することにより永久磁石の磁力を増加させることなくプランジャーの吸着力を2倍以上増加させることが可能であることが示された。
【0022】
実施例3としてヨーク中心軸上のプランジャーの厚み方向にプランジャー固定孔を設けた構成のプランジャーを作製した。このプランジャーでは吸着片のレバー取り付け部も図3に示されるようにプランジャーの厚み方向に設けられている。ヨーク部および吸着片の厚みは2.2mmとした。このプランジャーを試験台に固定した後、長さ30mmのレバーをプランジャーの厚み方向にピンで取り付けた。レバーの支点位置は先の実施例と同様にレバー中央の位置であり、吸着片取り付け部の位置に1Nの負勢力を作用させた。実施例3においても先の実施例1と同様に10個のプランジャーを組立てて、それぞれ1000回の動作確認試験を行ったところ、全てのプランジャーが動作不良を起こすことなく1000回の開閉動作をクリアすることができた。
【0023】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明を実施することにより、従来品より小型でも吸着力が大きく長期間の使用においてもカジリ等の発生による動作不良が発生せず、信頼性に優れた高性能のプランジャーを低コストで提供できることが示された。また、本発明は従来よりも小型に構成された外寸巾が10mmを下回るような小型のプランジャーに適用された場合に著しい効果を発揮するものであるが、本発明の作用効果はプランジャーの大きさに限定されるものではなく、小型電子機器類に取り付けて用いられるプランジャーに広く適用が可能であり、従来品より高性能で信頼性が高いプランジャーを提供するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に関わるプランジャーのヨーク上面の断面図。
【図2】本発明の第2の実施の形態に関わるプランジャーのヨーク形状。
【図3】本発明の第3の実施の形態に関わるプランジャーの図。
【図4】従来のプランジャーのヨーク上面の断面図。
【符号の説明】
1 ヨーク
2 プランジャー固定孔(本発明)
3 ヨークに設けた孔
4 ヨーク内側切り欠き部の隅部
5 永久磁石
6 コイルボビン
7 電磁コイル
8 吸着片
9 レバー取り付け部
10 レバー
11 プランジャー固定孔(従来技術)
12 固定爪
13 プランジャー
【発明が属する技術分野】
本発明は、カメラ、オーディオ機器、ビデオ機器、パソコン等の小型電子機器でCD等の情報記録媒体の出し入れ機構やシャッター機構およびロック機構等に用いられる永久磁石を用いた自己保持型の小型プランジャーに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
自己保持型のプランジャーは、ヨーク、吸着片、コイル及び永久磁石からなり、ヨーク、吸着片およびコイルは一体化されて組み立てられた状態で小型電子機器の本体に取り付けられる。一方、吸着片にはピン等を用いてレバーが回動可能な状態で連結されており、吸着片の動きはレバーを介して作動部へと伝達される。このレバー連結部にはバネ等を利用した負勢力がヨークの吸着力と対向する方向に付与されている。上記の自己保持型プランジャーが保持状態にある時は、ヨークは永久磁石の磁力で吸着片を吸着させてこれを保持した状態を保ち、プランジャーが保持状態から開放状態へと作動する時は、ボビンに巻き回された電磁コイルにパルス電流を流すことにより、永久磁石の磁場と逆方向の磁場を発生させて吸着片を開放させる。
【0003】
図4に上記分野で利用されている代表的なプランジャーの概略断面図を示す。図4において、ヨーク1は一対の脚部とこれを連結する連結基部からなり、概略U字の外観形状を示す。また、ヨーク1はコイルボビン6に一対の脚部が差し込まれた状態で樹脂製のコイルボビン6と固定爪12で一体化されている。さらに、ヨーク内側切り欠き部の連結基部寄りの位置には永久磁石5が配置され、吸着片8の一対の脚部はコイルボビンの他方の開口部に差し込まれ、磁力によってヨーク脚部に吸着されている。プランジャーはこの状態で小型電子機器類に取り付けられるが、取り付けはヨークに少なくとも2箇所設けられたプランジャー固定孔11を用いてネジ等によりなされる。吸着片8にはレバー取り付け部9が設けられており、吸着片はレバー取り付け部9でピン等によりレバー10に回動可能な状態で機械的に接続されている。また、保持状態においてレバー取り付け部にはヨークと吸着片に作用する吸着力より小さく、かつ対向する方向にバネ等の負勢力F1が働いている。
【0004】
プランジャーの作動時には電磁コイルにパルス電流を流すことにより、瞬間的にヨーク脚部に永久磁石の磁力の方向とは逆の方向の磁場を発生させ、吸着片を負勢力F1によりボビン穴内のヨークから離れる方向に移動させる。レバーを介してこの吸着片の動きが情報記録媒体の出し入れ機構やシャッターの開閉機構またはロック機構等の作動部に伝達され、これらの部位が開状態となる。上記の作動部位に負勢力F1に対抗する外力を加えて、作動部を開状態から閉状態に戻すと、レバーがプランジャー動作時とは逆の方向に動き、吸着片はヨークの方向に移動する。吸着片に作用する磁力が負勢力F1より大きくなる位置まで戻されると吸着片はヨークに吸着されプランジャーは保持状態に戻る。
【0005】
こうした小型電子機器類に用いられるプランジャーの従来技術に関わる公知例としては、例えば特開2001−135521や特開2000−216019の特許文献が知られている。特開2001−135521には外部からプランジャーに衝撃力が加わり、吸着片のスライド方向と直交する外力が吸着片に加わったときでも吸着片がヨークからはずれ難くするための吸着片の形状が開示されており、特開2000−216019には同じく外力が作用した時に巻き線端部に断線を起こし難くするためにコイルボビンに係止部を設けたプランジャーが開示されている。こうした従来例のプランジャーでは、機器取り付け後にプランジャーが外力を受けて取り付け位置からズレを起こすと動作不良の原因となるので、少なくとも2箇所で機器に固定されていた。
【0006】
【特許文献1】
特開2001−135521号公報
図1及び同公報要約
【特許文献2】
特開2000−216019号公報
図1及び同公報要約
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
最近の小型電子機器類では全般に小型化のニーズが強く、プランジャーおよびプランジャーを用いた開閉機構等においても一層の小型化が要請されている。しかし、プランジャーの一層の小型化を検討するにつれて、従来の方法でプランジャーを固定した場合には、今まであまり問題視されなかった吸着片のカジリ等による動作不良が技術的課題として生じることが明らかとなった。
【0008】
吸着片の移動を作動部へ伝達するレバーの軸の方向は、吸着片の移動方向に対して直角に近い角度で配置されるのが通例である。また、レバー取り付け部の動きはレバーの支点を中心とする円周上の移動であるので、プランジャー作動時にレバー取り付け部はプランジャーの中心軸の延長線上からレバーの支点方向に僅かに移動する。このため、レバーに連結された吸着片は円周の接線方向に僅かに傾いた状態となる。従って、従来の固定方法では、吸着片が機器に固定された状態のボビン穴の内壁により移動の制約を受けているため、吸着片とボビン内壁が接触する可能性が生じる。このため、吸着片とボビン内壁の間には接触を起こさない充分な間隙を設けることが必要であった。
【0009】
上記の理由から、単にプランジャー部材の形状を相似的に小さくすることにより小型化を図ろうとすると、吸着片とボビン内壁の間隙を充分に確保できず、また、充分な吸着片の移動ストロークも確保できない。そこで、吸着片とボビン内壁の間隙のみを大きくすることにより移動ストロークを確保しようとすると、作動時の吸着片の傾きが大きくなり、吸着片のスムーズな移動が困難となる。また、吸着片の体積が小さくなるため作用する吸着力も低下して、プランジャー動作の信頼性が低下する。さらに、必要以上に間隙を大きくすると外部からの塵埃が入り込み易くなりプランジャー動作の信頼性は一層低下する。
【0010】
このように、プランジャーの小型化においては、吸着片の移動時にボビン穴内壁と吸着片の間に発生するカジリの問題を回避することが大きな課題となる。カジリが発生すると吸着片が移動不能となり、開閉機構等の動きがロックされて動作不良を起こす。また、開閉機構がロックされないまでも、吸着片とボビン間の接触等による摩擦粉が発生し易くなり、摩擦粉が堆積して長期間にプランジャーの動作の信頼性を低下させる原因ともなる。
【0011】
さらに、プランジャーの小型化を妨げる別の課題として吸着力の低下が挙げられる。単なる相似的な設計ではプランジャーの小型化に伴って永久磁石の体積も減少するので、充分な吸着力を持つプランジャーが得られない。吸着力が低下するとプランジャーの動作は不確実となり信頼性が低下する。吸着力を増加させるためには永久磁石の体積を相対的に増加させる手段、あるいは、永久磁石として、より磁力の大きな高性能のものを採用する手段が考えられるが、これらはいずれも製造コストの増大をもたらすので、他の解決手段が望ましい。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、請求項1には一対の脚部と該脚部を連結する連結基部とを有するヨークと、U字形状の吸着片と、コイルが巻回された一対のコイルボビンと、ヨーク内側切り欠き部の連結基部寄りの位置に配置された永久磁石から構成され、これら一対のコイルボビン内に各々設けられたボビン穴内に上記ヨークの一対の脚部が装着されると共に、これに対向して上記吸着片の一対の脚部が移動可能に挿入されたプランジャ−において、ヨーク連結基部のヨーク中心軸上の位置に1箇所のプランジャー固定孔を設けることにより、回動可能な状態で機器に取り付け可能とすることを特徴とするプランジャーが示されている。
【0013】
請求項1の発明によればプランジャーをヨーク連結基部のヨーク中心軸上の位置に1箇所のプランジャー固定孔で機器に回動自在に取り付けることにより、動作時にはプランジャー自体がレバーの動きと共動して傾くので、吸着片とボビン内壁は常に平行な位置関係を保ちつつスムーズに移動することができる。従って、ボビン穴内壁と吸着片との接触やカジリによるプランジャーの動作不良発生の問題は解決される。
【0014】
また、請求項2にはプランジャー固定孔周辺のヨークの厚みを他の部分より減少させることを特徴とする請求項1に記載のプランジャーが示され、同じく、請求項3には、ヨークの永久磁石よりも連結基部寄りの位置にヨーク固定孔とは別にヨーク脚部の磁力を増加させるための開孔部を2ヶ所以上設けることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のプランジャーが示されている。さらに、請求項4にはヨーク内側切り欠き部の隅部形状をヨーク側に抉りこんだ形状とすることを特徴とする請求項1から請求項3に記載のプランジャーが示されている。
【0015】
請求項2から請求項4の発明によれば、ヨークの連結基部側を通過する無効磁束が制限され、この分ヨーク脚部側の有効な磁束が増加してプランジャーの吸着力を増加させることができる。従って、製造コストを低く抑えつつ小型でも吸着力が大きく信頼性の高いプランジャーが製造可能となる。また、ヨークの厚み、開孔部の径および隅部形状を個別に適用・選択する事で、プランジャーの吸着力を要望される値に変更することも可能となる。
【0016】
【実施例】
図1に本発明によるプランジャーをヨーク上面において切断した概略断面を示す。図1においてプランジャーの外寸法は巾8.8mm、長さ17.2mm、厚さ3.5mmである。ヨーク部及び吸着片の厚みは1.6mmであり、吸着片とボビン内壁間の間隙は0.05mmとなっている。また、ヨーク連結基部平面の中心軸上に設けられたプランジャー取り付け孔の大きさはφ1.5mmであり、プランジャー取り付け孔を中心とした周囲の1mmの厚みは0.4mmである。更に、ヨークの連結基部寄りには径1mmの孔が2箇所設けられており、ヨーク内側切り欠き部の隅部は内側に0.3mm抉った形状となっている。上記構成のプランジャーに保持力0.28MJ/m3の永久磁石を取り付けた。この構成で保持状態において吸着片には平均4.5Nの保持力が作用し、吸着片の移動ストロークは最大で2.5mm取ることができる。
【0017】
一方、上記プランジャーと巾と厚みが同一寸法で図4の形状からなるプランジャー固定孔を2箇所設けた従来技術の構成からなる比較用のプランジャーを作製し、発明品と同一寸法からなる保持力が0.44MJ/m3の永久磁石を取り付けた。この場合、保持状態で吸着片には平均3.5Nの保持力が得られた。
上記の構成による本発明のプランジャーと比較用のプランジャーとを各10個作製して、試験台にそれぞれの方法で固定した後、長さ30mmのレバーをピンで取り付けた。レバーの支点はレバー中央の位置に設けられ、プランジャーの保持状態で吸着片取り付け部には1Nの大きさの負勢力を作用させた。
【0018】
この状態で本発明品および比較用プランジャーとも各々1000回のプランジャー動作確認試験を行ったところ、比較用プランジャーでは、4個が試験途中に吸着片とコイルボビン内壁間にカジリを生じてプランジャーの動作不良が発生したのに対して、本発明のプランジャーでは全てのサンプルで1000回の動作確認試験をクリアし、動作不良は全く見られなかった。
【0019】
【他の実施例】
他の実施例として先の実施例の発明品のプランジャーのヨークと同一の外寸形状からなり、プランジャー固定孔周囲の厚み、ヨーク開孔部および内側隅部の形状を変化させたヨークで吸着力を比較した。図2に示されるAからCの3形状のヨークを先の実施例と同一の1.6mmの厚みで作製した。ヨーク形状の違いによる吸着力の変化を見るために、これら形状の異なるヨークと先の実施例に示された発明品のヨークとをプランジャーに組み立て、吸着片に働く吸着力の大きさを保持状態で比較した。
【0020】
図2に示されるヨークAはプランジャー固定孔周辺の厚みを変えず、ヨークに固定孔以外の孔を設けず、ヨーク内側隅部の抉りもない形状のものである。またヨークBはヨークAのプランジャー固定孔周辺1mmの厚みを0.4mmに薄くしたものであり、さらに、ヨークCはヨークBの永久磁石よりも連結基部寄りの位置に直径1mmの開孔部を2箇所設けたものである。これらのヨークを用いてプランジャーを組み立てて、保持力0.28MJ/m3の永久磁石を取り付け、吸着片に作用する吸着力を比較した。
【0021】
ヨークAを用いてプランジャーを組み立てた場合の吸着力は2.0Nであったが、ヨークBを用いた場合は3.5N、ヨークCを用いた場合は4.0Nと吸着力が増加した。さらに、ヨークCのヨーク内側隅部2個所を0.3mm抉った先の実施例のプランジャーでは吸着力は4.5Nであった。これらの結果から、ヨーク形状を改良することにより永久磁石の磁力を増加させることなくプランジャーの吸着力を2倍以上増加させることが可能であることが示された。
【0022】
実施例3としてヨーク中心軸上のプランジャーの厚み方向にプランジャー固定孔を設けた構成のプランジャーを作製した。このプランジャーでは吸着片のレバー取り付け部も図3に示されるようにプランジャーの厚み方向に設けられている。ヨーク部および吸着片の厚みは2.2mmとした。このプランジャーを試験台に固定した後、長さ30mmのレバーをプランジャーの厚み方向にピンで取り付けた。レバーの支点位置は先の実施例と同様にレバー中央の位置であり、吸着片取り付け部の位置に1Nの負勢力を作用させた。実施例3においても先の実施例1と同様に10個のプランジャーを組立てて、それぞれ1000回の動作確認試験を行ったところ、全てのプランジャーが動作不良を起こすことなく1000回の開閉動作をクリアすることができた。
【0023】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明を実施することにより、従来品より小型でも吸着力が大きく長期間の使用においてもカジリ等の発生による動作不良が発生せず、信頼性に優れた高性能のプランジャーを低コストで提供できることが示された。また、本発明は従来よりも小型に構成された外寸巾が10mmを下回るような小型のプランジャーに適用された場合に著しい効果を発揮するものであるが、本発明の作用効果はプランジャーの大きさに限定されるものではなく、小型電子機器類に取り付けて用いられるプランジャーに広く適用が可能であり、従来品より高性能で信頼性が高いプランジャーを提供するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に関わるプランジャーのヨーク上面の断面図。
【図2】本発明の第2の実施の形態に関わるプランジャーのヨーク形状。
【図3】本発明の第3の実施の形態に関わるプランジャーの図。
【図4】従来のプランジャーのヨーク上面の断面図。
【符号の説明】
1 ヨーク
2 プランジャー固定孔(本発明)
3 ヨークに設けた孔
4 ヨーク内側切り欠き部の隅部
5 永久磁石
6 コイルボビン
7 電磁コイル
8 吸着片
9 レバー取り付け部
10 レバー
11 プランジャー固定孔(従来技術)
12 固定爪
13 プランジャー
Claims (4)
- 一対の脚部と該脚部を連結する連結基部とを有するヨークと、U字形状の吸着片と、コイルが巻回された一対のコイルボビンと、ヨーク内側切り欠き部の連結基部寄りの位置に配置された永久磁石から構成され、これら一対のコイルボビン内に各々設けられたボビン穴内に上記ヨークの一対の脚部が装着されると共に、これに対向して上記吸着片の一対の脚部が移動可能に挿入されたプランジャ−において、ヨーク連結基部のヨーク中心軸上の位置に1箇所のプランジャー固定孔を設けることにより、回動可能な状態で機器に取り付け可能とすることを特徴とするプランジャー。
- プランジャー固定孔周辺のヨーク連結基部の厚みを他の部分より減少させることを特徴とする請求項1に記載のプランジャー。
- ヨークの永久磁石より連結基部寄りの位置にヨーク固定孔とは別にヨーク脚部の磁力を増加させるための開孔部を2ヶ所以上設けることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のプランジャー。
- ヨーク内側切り欠き部の隅部をヨーク側に抉りこんだ形状とすることを特徴とする請求項1から請求項3に記載のプランジャー。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2003168993A JP2005005567A (ja) | 2003-06-13 | 2003-06-13 | プランジャー |
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JP2003168993A Pending JP2005005567A (ja) | 2003-06-13 | 2003-06-13 | プランジャー |
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Country | Link |
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-
2003
- 2003-06-13 JP JP2003168993A patent/JP2005005567A/ja active Pending
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