JP2005005120A - 表示装置及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】前記両基板1、2とスペ−サ4との固定にヒステリシス特性をもつ固定材を用いる。
【選択図】 図3
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、前面基板と背面基板の間に形成される真空中への電子放出を利用した表示装置に係り、特に、両基板の平行度を高めた優れた表示装置及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
高輝度、高精細に優れたディスプレイデバイスとして従来からカラー陰極線管が広く用いられている。しかし、近年の情報処理装置やテレビ放送の高画質化に伴い、高輝度、高精細の特性をもつと共に軽量、省スペースの平板状ディスプレイ(パネルディスプレイ)の要求が高まっている。
【0003】
その典型例として液晶表示装置、プラズマ表示装置などが実用化されている。又、特に、高輝度化が可能なものとして、電子源から真空への電子放出を利用した表示装置として、電子放出型表示装置、又は電界放出型表示装置と呼ばれるものや、低消費電力を特徴とする有機ELディスプレイなど、種々の型式のパネル型表示装置の実用化も図られている。
【0004】
このようなパネル型の表示装置のうち、上記電界放出型表示装置には、C.A.Spindtらにより発案された電子放出構造をもつもの、メタル−インシュレータ−メタル(MIM)型の電子放出構造をもつもの、量子論的トンネル効果による電子放出現象を利用する電子放出構造(表面伝導型電子源とも呼ばれる)をもつもの、さらにはダイアモンド膜やグラファイト膜、カーボンナノチューブ等による電子放出現象を利用するもの、等々が知られている。
【0005】
このようなパネル型の表示装置のうち、電界放出型ディスプレイ(FED)は、内面にアノード電極と蛍光体層を備えた前面パネルと、電界放出型のカソードと制御電極である格子電極を形成した背面パネルを例えば0.5mm以上の間隔をもって貼り合わせて封止し、当該二枚のパネル間の密閉空間を外界の気圧より低圧、あるいは真空としている。
【0006】
近年、この種の平板状ディスプレイのカソードを構成する電界放出型電子源としてカーボンナノチューブ(CNT)を用いることが検討されている。カーボンナノチューブは極めて細い針状の炭素化合物(厳密に言えば、炭素原子が六角形状に結合した所謂グラフェンシ−トが円筒形状になったもの)を多数個まとめたカーボンナノチューブ集合体をカソード用電極に固定したものである。
このカーボンナノチューブを有するカソード用電極に電界を印加することで、当該カーボンナノチューブから高効率で高密度の電子を放出させることができ、この電子で蛍光体を励起することで輝度の高い各種の表示装置や画像等を表示できるフラットパネルディスプレイを構成できる。
【0007】
図15は特開平11−317164号公報(特許文献1)に開示された従来の一例の画像形成装置の断面図である。この画像形成装置は、前面板(前面基板)1と、背面板(背面基板)2と、前記前面板1と背面板2との間にあって周縁を支持する支持枠3と、前記前面板1と背面板2との間に支柱として配置されるスペ−サ4とを有し、前記前面板1とスペ−サ4とをフリットガラス7で接合させ、前記背面板2と前記スペ−サ4との接合部にはフリットガラス8を用い、前記前面板1と支持枠3及び前記背面板2との接合部にはフリットガラス9を用いたもので、各フリットガラス7、8、9は軟化温度が異なる構成となっている。なお、参照符号5は電子放出素子群、6は画像形成部材である。
【0008】
このように、支柱となるスペ−サ4を配置したことにより、前面板1と背面板2間の間隔を全面にわたって均一に保持できる。
【0009】
ここで、前記電子放出素子群5、画像形成部材6は、この例に拘わらず例えば画像形成部材としては、前面基板にアノード電極と蛍光体層を有する構成が、又電子放出素子群としては、背面基板に陰極配線とこの陰極配線と電気的に接続して画素毎に設けた電界放出型電子源及びこの電界放出型電子源に近接し電気的に絶縁して配置された前記画素毎に設けた格子電極を有する構成等が一般的に知られている。
【0010】
前述した二枚のパネルで構成するパネルディスプレイは、プラズマディスプレイ(PDP)や、メタル−インシュレータ−メタル型電界放出源を有するパネルディスプレイ(MIM−FED)でも同様な構成である。以下では、本発明の説明をFEDを例として説明するが、PDPやMIM−FEDについても同様に適用できる。更には表面伝導素子を用いたディスプレイについても同様である。
【0011】
又、この種のパネルディスプレイに関する従来技術としては、前記特許文献1以外に例えば前面基板と背面基板との封着面に金属膜を介在させると共に、側壁より内側に配置される複数の支持部材の高さが側壁の高さより低く形成されている構成が特許文献2に開示されている。更に、背面基板にアクリル樹脂でスペ−サを仮固定する構成が特許文献3に開示されている。
【0012】
【特許文献1】
特開平11−317164号公報
【特許文献2】
特開2002−358915号公報
【特許文献3】
特開平8−148102号公報
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
前述した平面型の表示装置では、電子源からの電子が制御電極の開孔を通過して陽極の蛍光体に射突し、これを励起、発光させて表示を行う型式で、高輝度、高精細の特性をもつと共に軽量、省スペースの平板状ディスプレイを可能とする優れた構成である。ところが、この様な優れた構成にもかかわらず、後述するような解決すべき課題を有している。
前述した特許文献1〜3を含めFED等のフラットパネルディスプレイでは、両基板間の表示領域内に配置する間隔保持部材(以下スペ−サという)を、位置ずれや傾きの発生のない状態で保持固定することが難しく、又スペ−サが損傷すること及び損傷したスペ−サにより電極等に損傷が発生する等の問題も有り、更にはスペ−サの固着工程を付加する事で気密封着部のクラックやリ−ク発生等の恐れも有ってこれらの解決が課題となっている。
スペ−サと両基板の固定は一般に気密封着部材と同じフリットガラスが用いられる。結晶化フリットガラスは長時間の加熱により結晶化が進行し、熱膨張係数等の物性値が変化して衝撃等によりクラックが発生したり、気密封着が損なわれてリ−クが生じたりする恐れが有る。又、非品質フリットガラスは再加熱温度により軟化し、軟化により一旦固定されていたスペ−サに位置ずれや傾きが生じ、スペ−サを所望の位置に精度良く保持固定することが難しくなったり、更にはスペ−サが損傷する恐れもある等の問題が有った。
一方、特許文献1の如くスペ−サを固定するフリットガラスを軟化温度に差を持たせた複数種類を選択使用する構成では、一般にフリットガラスは種類によっては軟化は徐々に発現する性質を持ち、例えば公称値より−50℃程度低い温度から軟化が始まる等、温度変動は当然の事とされている。
従って、軟化温度差が50℃以下程度の複数種類を選択使用しても実用上スペ−サを位置ずれや傾きの発生のない状態で保持することが不可能に近く、又軟化温度差をこれ以上広げたものを複数種選択使用することは実用上不可能で、更なる対策が求められている。 又、特許文献3に開示された如く低融点ガラスに樹脂等を混入して用いる構成では、加熱により樹脂等は消散してしまい、残存する低融点ガラスには前述と同様な問題があって同様に解決策が求められている。
【0014】
本発明は、前述した問題を解決して所望の高品位表示が可能で、しかも長寿命の優れた表示装置を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記を達成するために、本発明は基板とスペ−サとの固定をヒステリシス特性を有する物質を含む固定材を使用する構成を特徴とする。以下、本発明の表示装置の代表的な構成を記述する。
【0016】
本発明による表示装置は、陽極及び蛍光体を内面に有する前面基板と、一方向に延在し前記一方向に交差する他方向に並設された複数本の陰極配線と、この陰極配線上に電気的に導通して配置された複数個の電子源と、表示領域内で前記陰極配線と対向し、かつ前記電子源からの電子を前記前面基板側に通過させる電子通過孔を有する制御電極と、前記陰極配線を内面に有して前記前面基板と所定の間隔をもって対向する背面基板と、前記前面基板と前記背面基板の間で前記表示領域を周回して介挿され、前記所定の間隔を保持するための支持体と、前記表示領域内で前記前面基板と前記背面基板間に介挿されてこれら両基板に固定材を介して固定された複数のスペ−サと、前記支持体の端面と前記前面基板及び背面基板とをそれぞれ封着部材を介して気密封着してなる表示装置であって、
前記スペ−サをヒステリシス特性を有する物質を含む固定材を介して固定してなることを特徴とする。
又、本発明による表示装置は、前記スペ−サの一端側をヒステリシス特性を有する物質を含む固定材を介して一方の基板に固定し、他端側を非晶質フリットガラスからなる固定材を介して他方の基板に固定することができる。
【0017】
又、本発明による表示装置は、前記スペ−サをヒステリシス特性を有する物質を含む固定材と非晶質フリットガラスからなる固定材を並設して用いることができ、更に一端側をヒステリシス特性を有する物質を含む固定材と非晶質フリットガラスからなる固定材を並設使用して一方の基板に固定し、他端側を非晶質フリットガラスからなる固定材を介して他方の基板にそれぞれ固定することができ、更に又前記スペ−サは前記前面基板側をヒステリシス特性を有する物質を含む固定材で、又背面基板側を非晶質フリットガラスでそれぞれ固定して用いる事ができる。
更に、本発明による表示装置は、前記ヒステリシス特性を有する物質を含む固定材を結晶化フリットガラスとすることができ、又、前記封着部材を非晶質フリットガラスとすることができる。
【0018】
又、本発明による表示装置の製造方法は、陽極及び蛍光体を内面に有する前面基板と、一方向に延在し前記一方向に交差する他方向に並設された複数本の陰極配線と、この陰極配線上に電気的に導通して配置された複数個の電子源と、表示領域内で前記陰極配線と対向し、かつ前記電子源からの電子を前記前面基板側に通過させる電子通過孔を有する制御電極と、前記陰極配線を内面に有して前記前面基板と所定の間隔をもって対向する背面基板と、前記前面基板と前記背面基板の間で前記表示領域を周回して介挿され、前記所定の間隔を保持するための支持体と、前記表示領域内で前記前面基板と前記背面基板間に介挿されてこれら両基板に固定材を介して固定された複数のスペ−サと、前記支持体の端面と前記前面基板及び背面基板とをそれぞれ封着部材を介して気密封着してなる表示装置の製造方法であって、
前記スペ−サの一端側をヒステリシス特性を有する物質を含む固定材を介して一方の基板に固定した後、他端側を他方の基板に非晶質フリットガラスからなる固定材を介して固定することができる。
【0019】
更に、本発明による表示装置の製造方法は、前記スペ−サの一端側をヒステリシス特性を有する物質を含む固定材を介して一方の基板に固定した後、他端側を他方の基板に非晶質フリットガラスからなる固定材を介して固定する工程で前記両基板を前記支持体及び封着部材を介して気密封着する工程を同時に行うことができる。
更に又、前記ヒステリシス特性を有する物質を含む固定材を結晶化フリットガラスとすることができ、又、前記封着部材を非晶質フリットガラスとすることができる。
【0020】
上述した構成により、高品位表示が可能で、しかも長寿命の優れた表示装置を可能にした。
【0021】
なお、本発明は、上記の構成および後述する実施例の構成に限定されるものではなく、本発明の技術思想を逸脱することなく種々の変更が可能であることは言うまでもない。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、実施例の図面を参照して詳細に説明する。図1は本発明の表示装置の一実施例の電界放出型の表示装置の一例の概略構成の模式的説明図で、前面基板側から見た平面図、図2は図1のA−A線の模式的断面図、図3は図2の要部拡大断面図である。
【0023】
図1乃至図3において、参照符号1は前面基板で、透明なガラス板等から構成されている。2は背面基板で、前記前面基板1と同様にガラス或はアルミナ等のセラミックスを好適とし、板厚が数mm、例えば3mm程度の絶縁基板から構成されている。3は外枠を兼ねた支持体で、この支持体3はガラス板或いはフリットガラスの整形品等から構成され、前記両基板1、2間の周縁部に配置されて前記両基板1、2間の間隔を所定の寸法に保持している。4は板状のスペ−サで、このスペ−サ4は例えば0.1mm以下程度の薄いガラス板或はアルミナ等のセラミックス板から構成され、前記両基板1、2の基板面にほぼ垂直で一方向(x方向)に延在し他方向(y方向)に複数枚並設配置して前記支持体3と協働して前記両基板1、2間の間隔を所定の寸法に保持している。5は電子放出素子群で、この電子放出素子群5は陰極配線51と電子源52及び格子電極53を備えて背面基板2上に配置されている。この陰極配線51は背面基板2の内表面に複数本が一方向(x方向)に延在し他方向(y方向)に並設されている。この陰極配線51の端部は陰極配線引出し線51aとして背面基板2の2辺に分けられて気密封着部の外側に引き出されている。この陰極配線51は、例えば蒸着により形成するか、或いは粒径数μm、例えば1〜5μm程度の導電性の銀粒子に、絶縁性を発現する低融点ガラスを混合した銀ペ−ストを厚膜印刷し、例えば600℃程度で焼成して形成すること等により設けられている。
【0024】
又、制御電極53は前記陰極配線51の上方に当該陰極配線51と絶縁されて配置され、この制御電極53の端部は制御電極引出し線53aとして背面基板2の他の一辺で気密封着部の外側に引き出されている。
【0025】
更に、前記陰極配線9上に所定のピッチで配置された電子源52は、メタル−インシュレータ−メタル(MIM)型の電子放出素子、量子論的トンネル効果による電子放出現象を利用する電子放出構造(表面伝導型電子源とも呼ばれる)素子、ダイアモンド膜やグラファイト膜、あるいはカーボンナノチューブ等から形成されている。この形成方法としては、例えば圧膜印刷され焼成された陰極配線51表面にカ−ボンナノチュ−ブペ−ストを印刷し、例えば真空中590℃で焼成して形成する方法等が利用できる。
この実施例では前記カ−ボンナノチュ−ブペ−ストはシングルウオ−ルカ−ボンナノチュ−ブをエチレンセルロ−ス及びテルピネウオ−ルに分散させたものを用いた。ここで、上記ではシングルウオ−ルのカ−ボンナノチュ−ブを用いて説明したが、これらはマルチウオ−ルカ−ボンナノチュ−ブやカ−ボンナノファイバ−でも良く、更にはこれら以外に例えばダイヤモンド、ダイヤモンドライクカ−ボン、黒鉛、無定形カ−ボン等を用いることができ、更に又これらの混合物でも良いことは勿論である。
【0026】
又、参照符号6は画像形成部材で、この画像形成部材6は蛍光体層61とその上に被着されたメタルバック層62及びブラックマトリクス(BM)膜63とを備え、前記前面基板1上に配置されており、この構成は従来のカラ−陰極線管蛍光面と略同様である。
【0027】
陰極配線51上に配置された電子源52から出た電子が、100V程度のグリット電圧の印加された制御電極53の電子通過孔で制御を受けてここを通過し、数KV〜10数KVの陽極電圧の印加された画像形成部材6に向い、メタルバック層62(陽極)を通過して蛍光体層61に射突してこれを発光させ、映視像面に所望の表示を行う構成となっている。そして、陰極配線51と制御電極53との交差部にマトリクス状に単位画素が形成され、このマトリクス配列された画素で上記の表示領域が形成される。一般には、上記単位画素の三個のグループで赤(R)、緑(G)、青(B)からなるカラー画素を構成する。
【0028】
次に、参照符号10は封着部材で、この封着部材10は非晶質のフリットガラス、例えばPbO:75〜80wt%、B2O3:約10wt%、その他:10〜15wt%等の組成からなり、前記支持体3の上下端面に配置されてz方向に積み重られた前記両基板1、2の周縁部を気密封着している。又、前記支持体3と両基板1、2で囲繞された部分が表示領域を構成しており、この表示領域の部分は真空に保持されている。
ここで、前記封着部材10を介して行う気密封着は、例えば窒素雰囲気中で例えば430℃程度の温度で行い、その後例えば350℃程度で加熱しつつ排気して真空に封止する方法等が利用できる。なお、z方向は重畳された背面基板2と前面基板1の基板面と直交する方向を示す。
【0029】
次に、参照符号11及び12は前記スペ−サ4と両基板1、2とを固定する固定材で、これら固定材11及び12のうち固定材11はヒステリシス特性を有する物質から構成され、前記スペ−サ4の上端面41と前面基板1とを固定している。又、固定材12は非晶質のフリットガラス、例えばSiO2 とB2 O3 及びPbOを主成分とする組成から構成され、前記スペ−サ4の下端面42と背面基板2とを固定している。
【0030】
前記ヒステリシス特性を有する物質としては、例えばB2 O3 とPbO及びZnOを主成分とする組成からなる結晶化フリットガラス、或は金、銀等の金属粉末を単独或いは混合したものを主成分とする組成からなる金属ペ−スト等があり、かつ温度粘度特性が図4に示す特性を備えたものである。なお、図4はヒステリシス特性を示す物質の性状を表す特性図である。
前記ヒステリシス特性を有する物質は、図4に示すように、常温で固体状態にある物質を加熱昇温すると、粘度変化が比較的急峻で温度粘度特性は点P1から軟化境界線Lとの交点P2を通り流動点P3まで実線l1で示す経路で変化する。次に、加熱を中止して降温すると、温度粘度特性は前記実線l1で示す経路とは異なる軌跡で流動点P3から点線l2で示す経路で点P1に戻り、実線l1と点線l2で閉曲線を描く。
更に、再度加熱昇温すると、温度粘度特性は一点鎖線l3で示す如くで、これは初回の加熱昇温時に比べて粘度変化が緩慢で、温度粘度特性は実線l1で示す特性とは大幅に異なる。例えば、軟化境界線Lとの交点P4の温度も点P2に比べて約2倍程度の高温となっており、一方、降温すると一点鎖線l3上を点P1に戻る経路を辿る。因みにこの一点鎖線l3で示す特性は前記前面基板材の温度粘度特性と略同一である。以下加熱昇温、降温を繰り返しても温度粘度特性は一点鎖線l3で示す特性を再現するのみで、初回の昇温−降温の温度粘度特性とは明らかに差異がある。
【0031】
本発明では初回の昇温−降温の温度粘度特性と、第二回目以降の昇温−降温の温度粘度特性との差を利用する。尚、点線で示す特性l2と一点鎖線で示す特性l3の交点P5から点P1間は作図上両線を併記したが特性上は実質的には重畳する。
次に、前述の結晶性フリットガラスのP1〜P4の具体値の一例を示すと、P1:250°C、P2:400°C、P3:450°C、P4:730°Cとなる。
【0032】
一方、固定材12の非晶質のフリットガラスは、温度粘度特性は加熱昇温と降温とを繰り返しても初回と二回目以降は略同一で、略前記点P1と点P3間の実線l1で示す経路を往復するのみであって、前記固定材11とは全く異なる特性を有する。
【0033】
前述の実施例の構成では、前記固定材11の持つヒステリシス特性を有効に利用することで固定材11で一旦固定されたスペ−サは経時的な変位は発生せず、所望の部位に確実に固定され、スペ−サ本来の機能を発揮することは勿論のこと、スペ−サの折損に伴う電極類の損傷も回避でき、これにより高品位表示が可能で、しかも長寿命の優れた表示装置を得ることができる。
又、前記固定材11、固定材12が導電性を有するものでは、例えばスペ−サの帯電防止効果も備えると共にスパ−ク発生を抑制する効果も期待できる。
【0034】
次に、図5は本発明の表示装置の更に他の実施例のY方向から見た模式的断面図で、前述した図1乃至図4と同一参照符号は同一機能部分を示す。
【0035】
図5において、スペ−サ4はその一端面41側の長さ方向の両端部分に前記固定材11をそれぞれ配置し、更にこれらの固定材11に並設して前記長さ方向の中央部分に前記固定材12を配置したもので、この並設配置構成で特性の異なる二種類の固定材11及び固定材12をそれぞれ介して前面基板1と固定している。
一方、背面基板2側は他端面42の全長に亘って配置された一種類の前記固定材12のみを介して固定している。
【0036】
前述の実施例の構成では、前記固定材11の持つヒステリシス特性を有効に利用することで固定材11で一旦固定されたスペ−サは経時的な変位は発生せず、所望の部位に確実に固定できる。
【0037】
次に、図6は本発明の表示装置の更に他の実施例のY方向から見た模式的断面図で、前述した図1乃至図5と同一参照符号は同一機能部分を示す。
【0038】
図6において、スペ−サ4はその一端面41側の長さ方向の両端部分に前記固定材11をそれぞれ配置し、更にこれらの固定材11に並設して前記長さ方向の中央部分に前記固定材12を配置したもので、この並設配置構成で特性の異なる二種類の固定材11及び固定材12をそれぞれ介して前面基板1と固定している。
一方、背面基板2側は他端面42の長さ方向の両端部分に前記固定材12をそれぞれ配置し、更にこれらの固定材12に並設して前記長さ方向の中央部分に前記固定材11を配置したもので、この並設配置構成で特性の異なる二種類の固定材11及び固定材12をそれぞれ介して背面基板2と固定している。
【0039】
前述の実施例の構成では、前記固定材11の持つヒステリシス特性を有効に利用することで固定材11で一旦固定されたスペ−サは経時的な変位は発生せず、所望の部位に確実に固定できる。
【0040】
次に、図7は本発明の表示装置に用いるスペ−サの構成の他の例を説明する図で、(a)は正面図、(b)は(a)のB−B断面図である。
又、図8は本発明の表示装置に用いるスペ−サの構成の他の例を説明する図で、(a)は正面図、(b)は(a)のC−C断面図である。
これら図7及び図8に示すスペ−サは円柱状スペ−サ14及び角柱状スペ−サ24であり、前述した板状スペ−サ4とは異なる構成となっている。
この様な柱状スペ−サ14、24を前記表示領域内に点在させることで両基板間の間隔を保持する。
【0041】
前述の図7及び図8に示す実施例の構成では、板状スペ−サに比べてスペ−サ自体の取扱が容易で折損も回避容易であると共に、前記固定材11の持つヒステリシス特性を有効に利用することで固定材11で一旦固定されたスペ−サは経時的な変位は発生せず、所望の部位に確実に固定できる。
【0042】
次に、本発明の表示装置の製造方法について説明する。
【0043】
図9は本発明の表示装置の製造方法を説明する工程図で、前述した図1乃至図8と同じ部分には同一参照符号を付してある。
【0044】
図9において、前面基板1にはBM膜63、蛍光体パタ−ン61及びメタルバック62からなる画像形成部材6を形成する。
次に、画像形成部材6が形成された前面基板1に、それぞれ所定のバインダ−と混練された封着部材10及び固定材11を図10(a)に示すように所定のパタ−ンに塗布形成し、前面基板仮組立体FTAとする。
ここで、前記封着部材10は基板に形成することなく支持体3側に全部を設けることも可能である。
なお、図10は本発明の表示装置の製造方法を説明するための表示装置の要部の模式的断面図で、図10(a)は前面基板1側を、図10(b)は背面基板2側を示し、かつ前述した図1乃至図9と同じ部分には同一参照符号を付してある。
この前面基板仮組立体FTAを前記バインダ−を消失させる程度の温度の約150℃で仮焼成した後、固定材11とスペ−サ4とを治具(図示せず)等を用いて位置決めし、大気中で例えば450℃、10分間加熱して固定材11を介してスペ−サ4の一端面41を前面基板1に固定して前面基板組立体FPAを形成する。これを図11に示す。
なお、図11は本発明の表示装置の製造方法を説明するための表示装置の要部の模式的断面図で、前述した図1乃至図10と同じ部分には同一参照符号を付してある。
【0045】
一方、背面基板2側には、先ずx方向に延在し前記x方向に交差するy方向に並設された複数本の陰極配線51と、y方向に延在する制御電極53等を形成した後、図10(b)に示すように、それぞれ所定のバインダ−と混練された固定材12及び封着部材10を所定のパタ−ンに塗布形成し、背面基板仮組立体BTAとする。
この背面基板仮組立体BTAを、前記バインダ−を消失させる程度の温度の約150℃で仮焼成した後、電子源52を陰極配線51上に形成して背面基板組立体BPAを形成する。
【0046】
又、支持体3の上下両端面に所定のバインダ−と混練された封着部材10を塗布した後これを仮焼成して支持体組立SPAとする。これを図12及び図13に示す。なお、図12は支持体3の上下両端面に封着部材10を塗布した斜視図、図13は図12のD−D線断面図である。
ここで、この仮焼成時の温度は前記バインダ−を消失させる程度の温度の約150℃或いはそれ以上で行う。フリットガラスを用いた際は組成にも依るが例えば350℃〜450℃程度で行うことも可能である。
【0047】
次に、スペ−サ4の一端面41を前面基板1に固定してなる前面基板組立体FPAと、背面基板組立体BPA及び支持体組立SPAの三者をz方向に重ね合わせてパネル仮組立体PSAとし、これをz方向に加圧しながら例えば430℃、10分間加熱して両基板と支持体3とを封着部材10で気密封着すると共にスペ−サ4の他端面42を固定材12を介して背面基板2に固定する。これを図14に示す。
なお、図14は本発明の表示装置の製造方法を説明するための表示装置の要部の模式的断面図で、図14(a)は前面基板1側を、図14(b)は背面基板2側を示し、かつ前述した図1乃至図13と同じ部分には同一参照符号を付してある。
【0048】
次に、図示しない排気管を介して両基板1、2と支持体3とで囲まれた表示領域となる空間を排気する。この排気はパネル仮組立体PSAを真空炉内に配置し前記封着部材10及び固定材12の溶融工程の加熱と同時に行うことも可能である。
その後、排気管を備えた構成では排気完了後排気管をチップオフし、更にエ−ジング等所定の処理を経て表示装置を製造する。
【0049】
上述の様な製造方法であれば、封着部材10を用いた気密封着及びスペ−サ4の他端面42を固定材12を介して背面基板2に固定する工程並びにその後の加熱工程では、前記固定材11は図4に示す温度粘度特性により、固定材11の溶融、軟化は全く発現せず、スペ−サ4は前面基板1に強固に保持されていて傾き、脱落等の発生は完全に回避でき、従ってスペ−サとしての機能を十分に発揮できる。
【発明の効果】
以上説明したように、基板とスペ−サとの固着にヒステリシス特性を持つ固定材を用いることでスペ−サを所定の部位に正確に配置でき、これにより表示領域を含めて両基板相互の間隔の保持が確実となると共に、スペ−サの折損に伴う電極類の損傷も回避でき、これにより高品位表示が可能で、しかも長寿命の優れた表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の表示装置の一実施例の模式平面図である。
【図2】図1のA−A線の模式断面図である。
【図3】図2の要部を拡大して示す模式断面図である。
【図4】本発明の表示装置に用いられる固定材の特性を説明する図である。
【図5】本発明の表示装置の他の実施例の模式断面図である。
【図6】本発明の表示装置の更に他の実施例の模式断面図である。
【図7】本発明の表示装置に用いるスペ−サの他の例を示し、(a)は正面図、(b)は(a)のB−B線の模式断面図である。
【図8】本発明の表示装置に用いるスペ−サの更に他の例を示し、(a)は正面図、(b)は(a)のC−C線の模式断面図である。
【図9】本発明の表示装置の製造方法を説明する工程図である。
【図10】本発明の表示装置の製造方法を説明するための表示装置の要部模式断面図である。
【図11】本発明の表示装置の製造方法を説明するための表示装置の要部模式断面図である。
【図12】本発明の表示装置に用いられる支持体組立の例を示す模式斜視図である。
【図13】図12のD−D線の模式断面図である。
【図14】本発明の表示装置の製造方法を説明するための表示装置の要部模式断面図である。
【図15】従来の表示装置を説明するための模式断面図である。
【符号の説明】
1 前面基板
2 背面基板
3 支持体
4、14、24 間隔保持部材
5 電子放出素子群
6 画像形成部材
10 封着部材
11 固定材
12 固定材
41、42 スペ−サ端面
51 陰極配線
51a 陰極配線引出し線
53 制御電極
53a 制御電極引出し線
52 電子源
61 蛍光面
62 メタルバック(陽極)
63 BM膜。
Claims (11)
- 陽極及び蛍光体を内面に有する前面基板と、
一方向に延在し前記一方向に交差する他方向に並設された複数本の陰極配線と、この陰極配線上に電気的に導通して配置された複数個の電子源と、表示領域内で前記陰極配線と対向し、かつ前記電子源からの電子を前記前面基板側に通過させる電子通過孔を有する制御電極と、前記陰極配線を内面に有して前記前面基板と所定の間隔をもって対向する背面基板と、
前記前面基板と前記背面基板の間で前記表示領域を周回して介挿され、前記所定の間隔を保持するための支持体と、
前記表示領域内で前記前面基板と背面基板間に介挿されてこれら両基板にそれぞれ固定材を介して固定された複数の間隔保持部材と、
前記支持体の端面と前記前面基板及び背面基板とをそれぞれ封着部材を介して気密封着してなる表示装置であって、
前記間隔保持部材をヒステリシス特性を有する物質を含む固定材を介して固定してなることを特徴とする表示装置。 - 前記間隔保持部材の一端側をヒステリシス特性を有する物質を含む固定材を介して一方の基板に固定し、他端側を非晶質フリットガラスからなる固定材を介して他方の基板に固定してなることを特徴とする前記請求項1に記載の表示装置。
- 前記間隔保持部材はヒステリシス特性を有する物質を含む固定材と非晶質フリットガラスからなる固定材を並設して固定してなることを特徴とする前記請求項1又は2に記載の表示装置。
- 前記間隔保持部材は一端側をヒステリシス特性を有する物質を含む固定材と非晶質フリットガラスからなる固定材を並設して一方の基板に固定し、他端側を非晶質フリットガラスからなる固定材を介して他方の基板に固定してなることを特徴とする前記請求項1乃至3に記載の表示装置。
- 前記間隔保持部材は前記前面基板側をヒステリシス特性を有する物質を含む固定材で、又背面基板側を非晶質フリットガラスからなる固定材でそれぞれ固定してなることを特徴とする前記請求項1乃至4に記載の表示装置。
- 前記ヒステリシス特性を有する物質を含む固定材が結晶化フリットガラスであることを特徴とする前記請求項1乃至5のいずれかに記載の表示装置。
- 前記封着部材が非晶質フリットガラスからなることを特徴とする前記請求項1乃至6のいずれかに記載の表示装置。
- 陽極及び蛍光体を内面に有する前面基板と、
一方向に延在し前記一方向に交差する他方向に並設された複数本の陰極配線と、この陰極配線上に電気的に導通して配置された複数個の電子源と、表示領域内で前記陰極配線と対向し、かつ前記電子源からの電子を前記前面基板側に通過させる電子通過孔を有する制御電極と、前記陰極配線を内面に有して前記前面基板と所定の間隔をもって対向する背面基板と、
前記前面基板と前記背面基板の間で前記表示領域を周回して介挿され、前記所定の間隔を保持するための支持体と、
前記表示領域内で前記前面基板と前記背面基板間に介挿されてこれら両基板に固定材を介して固定された複数の間隔保持部材と、
前記支持体の端面と前記前面基板及び背面基板とをそれぞれ封着部材を介して気密封着してなる表示装置の製造方法であって、
前記間隔保持部材の一端側をヒステリシス特性を有する物質を含む固定材を介して一方の基板に固定した後、他端側を他方の基板に非晶質フリットガラスからなる固定材を介して固定することを特徴とする表示装置の製造方法。 - 前記間隔保持部材の一端側をヒステリシス特性を有する物質を含む固定材を介して一方の基板に固定した後、他端側を他方の基板に非晶質フリットガラスからなる固定材を介して固定する工程で前記両基板を前記支持体及び封着部材を介して気密封着する工程を同時に行うことを特徴とする前記請求項8に記載の表示装置の製造方法。
- 前記ヒステリシス特性を有する物質を含む固定材が結晶化フリットガラスからなることを特徴とする前記請求項8又は9に記載の表示装置の製造方法。
- 前記封着部材が非晶質フリットガラスからなることを特徴とする前記請求項8乃至10のいずれかに記載の表示装置の製造方法。
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WO2023029082A1 (zh) * | 2021-09-06 | 2023-03-09 | 深圳市华星光电半导体显示技术有限公司 | 3d显示装置 |
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- 2003-06-11 JP JP2003166896A patent/JP2005005120A/ja active Pending
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