JP2005003327A - 熱源ユニット及び床暖房システム - Google Patents
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Abstract
【課題】熱源ユニットを安全に動作させる。
【解決手段】IH電源120は高周波電流をIHセルヒーター14の誘導コイルに供給する。誘導コイルにはその温度を示すコイル温度信号を出力するコイル温度センサが設けられている。I/O処理部110のMCU113は、コイル温度信号の示すコイル温度が所定の温度を超えると、IH電源120のスイッチング動作を停止させるようにIH電源120を制御する。これにより、誘導コイルが損傷を蒙る前に高周波電流の供給を停止することができる。
【選択図】 図5
【解決手段】IH電源120は高周波電流をIHセルヒーター14の誘導コイルに供給する。誘導コイルにはその温度を示すコイル温度信号を出力するコイル温度センサが設けられている。I/O処理部110のMCU113は、コイル温度信号の示すコイル温度が所定の温度を超えると、IH電源120のスイッチング動作を停止させるようにIH電源120を制御する。これにより、誘導コイルが損傷を蒙る前に高周波電流の供給を停止することができる。
【選択図】 図5
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱源ユニット及び床暖房システムの技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
わが国の高齢化社会の進行にともない、寒さの厳しい冬季にあっても快適な住環境を提供する床暖房システムが注目されている。床暖房システムは、室内に温風を循環させて室内を暖める暖房システムと異なり、暖まった床面からの輻射と熱伝導により室内を暖房するため、室内の居住者に不快な風を感じさせないという利点がある。これまで、温水式床暖房は熱源としてガス、灯油等の化石燃料を燃焼させる方法、ニクロム線をコア材にしたシーズヒーターを使用する方法が一般に用いられてきた。
【0003】
このような床暖房システムでは、熱源ユニットで水を加熱して得た温水を床下の配管に循環させる。その加熱においては、室内の温度を計測しその計測値に基づいて温水の温度を管理する制御が行われる。また、循環水の液面を計測し、循環水がヒーターを満たしていない状態では加熱を停止するような保護対策が取られている(例えば、特許文献1)。
【0004】
【特許文献1】
特開2000−141249号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、熱源として誘導加熱を用いる場合には、誘導コイルに高周波電流を供給し、誘導コイルからの磁束によって発熱体に渦電流を流す。発熱体の温度は、渦電流損によって上昇する。加熱された発熱体は水に熱を与え、これにより、温水を作り出している。
【0006】
この時、誘導コイルはその抵抗成分によって発熱し、その温度が上昇する共に発熱体からの熱によっても温度が上昇する。誘導コイルの耐熱温度には限界があるが、従来の床暖房システムではその対策が取られていなかった。また、発熱体の温度は、渦電流損による熱量と温水が持ち去る熱量との差分によって定まる。従って、温水の循環が停止した場合等には発熱体の温度が耐熱温度を超えて上昇する場合が想定される。
【0007】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、誘導加熱を用いた床暖房システムの熱源ユニットにおいて、誘導加熱に関する機器を保護すると共に安全性を向上すること等を解決課題一例とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
以下、本発明について説明する。なお、本発明の理解を容易にするために添付図面の参照符号を括弧書きにて付記するが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
【0009】
本発明に係る熱源ユニットは、加熱した熱媒体液を床下に設けられた放熱器に導いて室内を暖房する床暖房システムに用いられる熱源ユニット(100)において、半導体スイッング素子(122)を動作させて高周波電流を発生する電源手段(120)と、前記高周波電流が供給される誘導コイルと、前記誘導コイルからの磁束によって発生する渦電流によって発熱する発熱体とを有し、前記発熱体によって前記熱媒体液を加熱する加熱手段(14)と、前記誘導コイルの温度を検出してコイル温度信号(30a)を出力するコイル温度センサ(30)と、前記コイル温度信号(30a)が指示する前記誘導コイルの温度が所定の温度を越えると、前記電源手段(120)のスイッチング動作を停止させるように前記電源手段(120)を制御する制御手段(113)と、を備えることにより、上述した課題を解決する。
【0010】
この発明によれば、誘導コイルの温度を検知して、その温度が所定の温度を超えると、電源の動作を停止するように制御するので、誘導コイルに高周波電流が供給されなくなる。これにより、誘導コイルの温度が耐熱温度を超えて上昇することを防止し、熱源ユニットの安全性を向上させることができる。なお、熱媒体液としては特に限定されるものではないが、例えば水、エチレングリコールのような不凍液などを使用することができる。
【0011】
また、上述した熱源ユニットは、前記発熱体の温度を検出して発熱体温度信号(31a)を出力する発熱体温度センサ(31)を備え、前記制御手段(113)は、前記発熱体温度信号(31a)の指示する前記発熱体の温度が所定の温度を超えると、前記電源手段(120)のスイッチング動作を停止させるように前記電源手段(120)を制御することが好ましい。この場合には、発熱体の温度が耐熱温度を超えて上昇することを防止し、熱源ユニットの安全性を向上させることができる。
【0012】
また、上述した熱源ユニットは、前記熱媒体液を循環させるポンプ(5)を備え、前記制御手段(113)は、前記電源手段(120)のスイッチング動作を停止させた後、前記熱媒体液の循環を継続するように前記ポンプ(5)を制御することが好ましい。この場合には、熱媒体液によって、誘導コイル又は発熱体の熱が持ち去られるので、これらの冷却を促進することができる。なお、電源手段のスイッチング動作を停止させた後、ポンプを所定時間だけ駆動させて停止させてもよいし、誘導コイル又は発熱体の温度を検知して、これらが基準温度より下がるまでポンプの駆動を継続させてもよい。さらに、基準温度より下がった後のポンプの駆動を継続させ、誘導コイルに高周波電流を供給してもよい。
【0013】
また、上述した熱源ユニットは、前記加熱手段(14)の入口における前記熱媒体液の温度を検出して熱媒体温度信号(32a)を出力する熱媒体液温度センサ(32)と、前記制御手段(113)は、前記熱媒体温度信号(32a)の指示する前記熱媒体液の温度に基づいて、前記電源手段(120)のスイッチング動作を制御することが好ましい。より具体的には、前記制御手段(113)は、検出された前記熱媒体液の温度と設定温度との差分に応じて前記電源手段(120)のスイッチング動作を制御することが好ましい。この発明によれば、室内の温度を制御することが可能となる。
【0014】
また、上述した熱源ユニットは、前記半導体スイッング素子(122)の温度を検出して素子温度検出信号を出力する素子温度センサ(24)を備え、前記電源手段(120)は、前記素子温度検出信号の指示する前記半導体スイッング素子(122)の温度が所定の温度を超えると、自律的にスイッチング動作を停止することが好ましい。
【0015】
この発明によれば、半導体スイッチング素子の温度が耐熱温度を超えないように電源手段が自律的に制御するので、制御手段が故障等した場合であっても、半導体スイッチング素子を保護することができる。また、制御手段は半導体スイッチング素子の温度を管理する必要がなくなる。半導体スイッチング素子の耐熱温度はその構造等に依存するため、仮に、制御手段で温度制御を実行すると、電源手段に組み込まれた半導体スイッチング素子の種類に応じて、制御手段は異なる温度制御を実行しなければならない。即ち、電源手段を変更すれば、制御手段の設計変更が必要となる。これに対して、本発明は電源手段が半導体スイッチング素子の温度制御を実行するので、制御手段の汎用性を向上させることが可能となる。
【0016】
次に、本発明に係る床暖房システムは、上述した熱源ユニット(100)と、部屋の床下に設けられ、前記熱源ユニットによって加熱された前記熱媒体液が供給される放熱器と、を備えることが好ましい。この発明によれば、安全性の高い床暖房システムを提供することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態に係る床暖房システムを説明する。図1は床暖房システムの全体構成を示すブロック図である。この図に示すように床暖房システムは、熱源ユニットとして機能するボイラー本体100、室内に設けられる壁コントローラ200、及び部屋の床下に設けられ温水によって床を暖める配管(図示せず)を備える。配管は放熱器として作用する。
【0018】
この床暖房システムでは熱源として、クリーンな電気エネルギーを使用するので、ガスや灯油を熱源として使用するような場合に発生する燃焼ガスが発生しない。また、熱媒体液を直接加熱できる高周波誘導加熱を使用するため、温水タンクを設ける必要がなく、ボイラー本体100をコンパクトにまとめることが可能である。このため、ボイラー本体100は、屋内の壁に取り付けることが可能である。
【0019】
壁コントローラ200は、ユーザーの操作に応じた信号を出力する操作パネル(図示せず)を有する。ユーザーは、操作パネルを用いて運転条件を入力できるようになっている。さらに、壁コントローラ200は、通信インターフェース介してボイラー本体100と通信を行うMCUを備える。
【0020】
ボイラー本体100は、I/O処理部110、IH電源120、及びIH加熱温水循環系130を有する。IH加熱温水循環系130は、熱媒体液たる水を循環させるポンプ及びIH電源120から高周波電流の給電を受けて温水を加熱するIHセルヒーターを備える。I/O処理部110は、IH加熱温水循環系130に設けられた各種のセンサからの信号を取り込む。IH電源120はI/O処理部110からの制御信号に従って、交流電圧をスイッチングして高周波電流を生成し、これを上述したIHセルヒーターに供給する。
【0021】
図2は、ボイラー本体100の内部構造を示す正面図である。注水口2はリザーブタンク3と連結されており、注水口2から入れられた水はリザーブタンク3に貯水される。リザーブタンク3は、配管4を介して循環ポンプ5の上流に設けられる配管6に連結されている。ボイラー本体100は商用電源から交流電圧の給電を受けて動作する。漏電ブレーカ9は商用電源の基幹配線に設けられており、ボイラー本体100の内部で漏電が発生すると、オフ状態となりボイラー本体100を商用電源から電気的に分離する。
【0022】
配管スペース10には、戻り温水が供給される戻りヘッダー11及び往き温水が供給される往きヘッダー12が設けられている。戻りヘッダー11及び往きヘッダー12には、複数系統の配管(放熱器)を取り付けることが可能である。
【0023】
温水は、戻りヘッダー11→循環ポンプ5→熱交換器13→IHセルヒーター14→往きヘッダー12→放熱器→戻りヘッダー11の経路で循環する。熱交換器13は、ケース13A、これを貫通する配管13B、及びケース13Aと配管13Bとの空間を満たす熱伝導材料(例えば、銅、アルミニウム、あるいは水)とを備える。また、ケース13Aの外周壁には、ヒートシンク20が取り付けられている。
【0024】
図3にヒートシンク20の周辺構造を示す。ヒートシンク20は、背面パネル21と絶縁体22を介して固着されており、ヒートシンク20の窪みには、半導体スイッチング素子Q1、Q2が取り付けられている。半導体スイッチング素子Q1、Q2としては、例えば、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)を用いることができる。また、ヒートシンク20の背面は絶縁体23を介して熱交換器13のケース13Aに固着されている。これによって、半導体スイッチング素子Q1、Q2のスイッチング動作に伴って発生する熱エネルギーが熱交換器13に伝導し、配管13Bを流れる温水を加熱することができる。すなわち、熱交換器13は、IH電源120で消費されるエネルギーを回収して熱媒体液を加熱する補助加熱手段として機能する。
【0025】
また、半導体スイッチング素子Q1、Q2の近傍には、素子温度センサ24が設けられている。素子温度センサ24は、半導体スイッチング素子Q1、Q2の温度を示す素子温度信号を上述したIH電源120へ出力する。
【0026】
なお、この例では、ヒートシンク20と熱交換器13との間には絶縁体23が設けられているが、半導体スイッチング素子の全体がモールドされている場合等、その構造によっては、絶縁体23を介することくなく、熱交換器13にヒートシンク20を直接固着してもよい。
【0027】
図2に示すIHセルヒーター14は、例えば、絶縁体よりなる管体、絶縁体の周囲に設けられた誘導コイル、及び管体の内部に設けられ誘導コイルにより誘導加熱される金属管とから構成することができる。管体と金属管との間を熱媒体液(この例では、水)が流れる。誘導コイルに高周波電流が流れると、誘導コイルから磁束が流れ出る。この磁束によって金属管には、渦電流が誘起され渦電流損を発生する。これにより、金属管が損失エネルギーにより発熱し、熱媒体液が加熱される。
【0028】
また、ボイラー本体100の左壁には、制御基板15が取り付けられている。制御基板15には、上述したI/O処理部110とIH電源120とが組み込まれている。
【0029】
次に、IH加熱温水循環系130のブロック構成と各種センサの配置を図4に示す。この図に示すように、IHセルヒーター14には、コイル温度センサ30と発熱体温度センサ31とが配置される。コイル温度センサ30は誘導コイルの温度thを検出してコイル温度信号30aを出力する。発熱体温度センサ31は、発熱体たる金属管の温度teを検出して発熱体温度信号31aを出力する。
【0030】
また、IHセルヒーター14の入口には戻り温水温度センサ32が配置され、その出口には往き温水温度センサ33が配置される。戻り温水温度センサ32及び往き温水温度センサ33は、各々の箇所で熱媒体液たる温水の温度tr、tsを各々検出して、温水温度信号32a及び33aを出力する。なお、往き温水温度センサ33は予備として用いられる。このため、実際のシステムの温度制御では、戻り温水温度センサ32で検出した戻り温水温度trを示す温水温度信号32aが用いられる。
【0031】
また、配管4又はリザーブタンク3の内部であって、IHセルヒーター14よりも垂直方向に高い位置に液面レベルセンサ34が配置されている。液面レベルセンサ34は、液面のレベルを検出して取り付け位置より液面が低い場合にアクティブとなる液面検出信号34aを出力する。
【0032】
IH加熱温水循環系130に配置された各センサから出力される信号30a、31a、32a、33a、及び34aは、I/O処理部110に供給されるようになっている。
【0033】
図5は床暖房システムの詳細な電気的構成を示すブロック図である。この図に示すように床暖房システムは、ボイラー本体100と壁コントローラ200を備える。壁コントローラ200は、ユーザーの操作に応じた信号を出力する操作パネル(図示せず)を備える。ユーザーは、操作パネルを操作して、運転条件を入力することが可能である。
【0034】
この床暖房システムは運転モードとして、運転、停止、タイマー、強制、ホットキープの各モードを備える。運転は、所定の設定条件を継続するモードである。停止は加熱を停止するモードである。タイマーは予約開始時間になると運転を開始して予約終了時間になると運転を停止するモードである。強制は、最大出力で運転するモードである。ホットキープは、現在の室温を保つために所定の出力で運転するモードである。
【0035】
操作パネルには切換ボタンが設けられており、ユーザーが切換ボタンを押下する毎に、運転モードがタイマー→強制→ホットキープの順に切り替わるようになっている。
【0036】
また、操作パネルには設定ボタンが設けられており、ユーザーが設定ボタンを押下する毎に、時刻合わせ→予約1(ON時間/OFF時間)→予約2(ON時間/OFF時間)→戻り温水温度trの設定→室温tRの表示→戻り温水温度trの表示→往き温水温度tsの表示が切り替わるようになっている。
【0037】
MCU210は、操作パネルからの信号を検知して、運転状態をLCD表示部220に表示させると共に、各種の制御指令を通信部230を介してボイラー本体100へ送信する。また、MCU210は、MCU113から送信されるエラー信号を受信して、エラーモードをLCD表示部220に表示すると共にブザー(図示せず)を駆動して警報音を発生させる機能を有する。エラーモードとしては、エラーモードEr01〜Er06がある。この点については後述する。
【0038】
さらに、壁コントローラ200は室内の温度を検出して実測室温tRを示す室温信号を出力する室温センサ(図示せず)を備え、MCU210は、室温信号を取得して実測室温tRを示す室温情報をMCU113に送信する。また、ユーザーは操作パネルを操作して上限室温tR’を入力できるようにようになっており、MCU210は、上限室温tR’を示す上限室温情報をMCU113に送信する。ここで、上限室温tR’は、ユーザーが室温の上限として設定する温度である。
【0039】
ボイラー本体100は、I/O処理部110、IH電源120、IH加熱温水循環系130及び漏電ブレーカ9を備える。この例の商用電源は交流電圧の値は200Vでその周波数が50Hz/60Hzである。交流電圧は漏電ブレーカ9を介してI/O処理部110及びIH電源120に供給される。
【0040】
IH電源120は、整流回路121、半導体スイッチング素子122、及び制御回路123を備える。整流回路121はダイオード等によって構成され、整流回路121を経て交流電圧が半導体スイッチング素子122に供給される。この例では、半導体スイッチング素子122として2石のIGBT(図3に示すQ1及びQ2)が用いられる。半導体スイッチング素子122は、制御回路123から供給される制御パルスに従って、交流電圧をスイッチングする。これにより、IH電源120は高周波電流を生成する。
【0041】
IH電源120の出力は、制御パルスの密度によって調整される。制御パルス列がアクティブとなる期間を電力注入期間、制御パルス列が非アクティブとなる期間を電力非注入期間としたとき、電力注入期間から電力非注入期間へ遷移するタイミング及び電力非注入期間から電力注入期間へ遷移するタイミングは、交流電圧のゼロクロスと一致するように制御される。これにより、スイッチングに伴う高周波成分が低減され、商用電源側へ流れ出る高周波電流を大幅に削減することが可能となる。この結果、高効率で負荷を駆動することができ、かつ、電力制御の線形性を大幅に改善することができる。制御回路123は、後述するMCU113からの制御信号に従って電力注入期間と電力非注入期間との割合を調整する。
【0042】
また、制御回路123には、上述した素子温度センサ24から素子温度信号が供給される。制御回路123は、素子温度信号が示す半導体スイッチング素子122(Q1、Q2)の温度tbが基準温度(例えば80度)を超えると、制御パルスの供給を停止して、半導体スイッチング素子122のスイッチング動作を停止させるように制御する。即ち、MCU113からの制御信号がある投入電力で高周波電流の生成を指示する場合であっても、制御回路123は、これを無視して、半導体スイッチング素子122のスイッチング動作を自律的に停止する。
【0043】
このように、素子温度に関する制御をIH電源120において独立して実行したのは、仮に、I/O処理部110が故障した場合であっても、半導体スイッチング素子122を保護するためである。また、半導体スイッチング素子122の耐熱温度はその種類に応じて異なるため、仮に、I/O処理部110で温度制御を実行すると、半導体スイッチング素子122の種類に応じて、I/O処理部110は異なる温度制御を実行しなければならない。即ち、IH電源120を変更すれば、I/O処理部110の設計変更が必要となる。これに対して、本実施形態では、IH電源120が半導体スイッチング素子122の温度制御を実行するので、I/O処理部110の汎用性を向上させることが可能となる。
【0044】
次に、I/O処理部110には、AC/DC変換回路111が設けられており、交流電圧を直流に変換してボイラー本体100の各構成部分に供給する。また、I/O処理部110の通信部112は、MCU113及び壁コントローラ200との間で通信を行う。
【0045】
MCU113は、IH加熱温水循環系130に設けられた各種センサからの信号が供給され、これらの信号に基づいてIH電源120を制御する。また、MCU113は、ポンプ5を制御して温水の流量を調整する。MCU113は、割り込みタイマを用いて1秒ごとにコイル温度信号30a、発熱体温度信号31a、温水温度信号32a、及び液面検出信号34aを取り込むと共に、1分ごとに実測室温tRを示す室温情報をMCU210から取得する。
【0046】
第1に、MCU113は、液面検出信号34aがアクティブになると、IHセルヒーター14に高周波電流が供給されないようにIH電源120のスイッチング動作を停止させる制御を実行する。上述したように液面レベルセンサ34はIHセルヒーター14よりも垂直方向に高い位置に設けられているが、液面がそれ以下になると、IHセルヒーター14の金属管が露出する危険がある。このように冠水が維持できない状態で運転すると、IHセルヒーター14の温度が耐熱温度を超えてIHセルヒーター14が損傷する可能性がある。そこで、IHセルヒーター14を保護すると共に安全性の観点から液面レベルに基づく制御が実行される。
【0047】
第2に、MCU113は、発熱体温度信号31aの示す発熱体たる金属管の温度teが所定の温度(例えば、80度)を超えると、IHセルヒーター14に高周波電流が供給されないようにIH電源120のスイッチング動作を停止させる制御を実行する。金属管の損傷を回避するためである。
【0048】
第3に、MCU113は、コイル温度信号30aの示す誘導コイルの温度thが所定の温度(例えば、80度)を超えると、IHセルヒーター14に高周波電流が供給されないようにIH電源120のスイッチング動作を停止させる制御を実行する。誘導コイルの損傷を回避するためである。
【0049】
第4に、MCU113は、温水温度信号32aの示す戻り温水温度trとユーザー設定した戻り温水温度tr’の差分に基づいて、以下のようにIH電源120を制御する。まず、tr−tr’>0では、IH電源120のスイッチング動作を停止させる。次に、5≧tr’−tr≧0では、所定の電力(例えば、2kw〜1kw程度の小電力)で運転する。次に、tr’−tr>5の場合は、最大電力で運転する。但し、運転モードがホットキープモードである場合には、tr>17でIH電源120の動作を停止させ、17≧trで所定の最小電力でIH電源120を動作させる。
【0050】
第5に、MCU113は、MCU210から取得した実測室温tRと上限室温tR’とに基づいて、IH電源120の動作を制御する。具体的には、実測室温tRが上限室温tR’以上になると、IH電源120の動作を停止させるように制御が行われる。
【0051】
また、MCU113は、液面低下を理由にIH電源120の動作を停止する場合には、エラーモードEr01を指示するエラー信号をMCU210へ送信し、金属管の温度異常を理由にIH電源120の動作を停止する場合には、エラーモードEr02を指示するエラー信号をMCU210へ送信し、半導体スイッチング素子の温度異常を理由にIH電源120の動作を停止する場合には、エラーモードEr03を指示するエラー信号をMCU210へ送信し、誘導コイルの温度異常を理由にIH電源120の動作を停止する場合には、エラーモードEr04を指示するエラー信号をMCU210へ送信する。これにより、ユーザーは床暖房システムに不具合があること及びその原因を知ることができる。
【0052】
さらに、MCU113は、入力電圧が異常の場合にはエラーモードEr05を指示するエラー信号をMCU210へ送信する。また、通信エラーが発生した場合にはMCU210がこれを検知してエラーモードEr06としてLCD表示部220に表示する。
【0053】
以上、説明したように本実施形態によれば、誘導コイルの温度thを検知して、その温度が所定の温度を超えると、IH電源120の動作を停止するように制御するので、誘導コイルに高周波電流が供給されなくなる。これにより、誘導コイルの温度が耐熱温度を超えて上昇することを防止し、ボイラー本体100の安全性を向上させることができる。また、発熱体たる金属管の温度teを検知して、その温度が所定の温度を超えると、IH電源120の動作を停止するように制御するので、金属管の損傷を回避することができ、ボイラー本体100の安全性を向上させることができる。
【0054】
なお、上述した実施形態において、MCU113は誘導コイル又は金属管の温度異常を検知してIH電源120の動作を停止させた場合には、その後、熱媒体液の循環を継続するように循環ポンプ5を制御してもよい。この場合には、熱媒体液によって、誘導コイル又は発熱体の熱が持ち去られるので、これらの冷却を促進することができる。さらに、IH電源120の動作停止後、循環ポンプ5を所定時間だけ駆動させて停止させてもよいし、誘導コイル又は発熱体の温度を検知して、これらが基準温度より下がるまで循環ポンプ5の駆動を継続させてもよい。さらに、基準温度より下がった後の循環ポンプ5の駆動を継続させ、誘導コイルに高周波電流を供給してもよい。
【0055】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明によれば、誘導加熱を用いた床暖房システムの熱源ユニットにおいて、誘導コイルや発熱体といった誘導加熱に関する構成を保護すると共に安全性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る床暖房システムの全体構成を示すブロック図である。
【図2】同システムに用いられるボイラー本体の内部構造を示す正面図である。
【図3】ボイラー本体に用いられるヒートシンクの周辺構造を示す拡大図である。
【図4】IH加熱温水循環系130の主要構成と各種センサの配置を示すブロック図である。
【図5】床暖房システムの詳細な電気的構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
5 循環ポンプ
14 IHセルヒーター
20 ヒートシンク
100 ボイラー本体
110 I/O処理部
120 IH電源
122、Q1、Q2 半導体スイッチング素子
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱源ユニット及び床暖房システムの技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
わが国の高齢化社会の進行にともない、寒さの厳しい冬季にあっても快適な住環境を提供する床暖房システムが注目されている。床暖房システムは、室内に温風を循環させて室内を暖める暖房システムと異なり、暖まった床面からの輻射と熱伝導により室内を暖房するため、室内の居住者に不快な風を感じさせないという利点がある。これまで、温水式床暖房は熱源としてガス、灯油等の化石燃料を燃焼させる方法、ニクロム線をコア材にしたシーズヒーターを使用する方法が一般に用いられてきた。
【0003】
このような床暖房システムでは、熱源ユニットで水を加熱して得た温水を床下の配管に循環させる。その加熱においては、室内の温度を計測しその計測値に基づいて温水の温度を管理する制御が行われる。また、循環水の液面を計測し、循環水がヒーターを満たしていない状態では加熱を停止するような保護対策が取られている(例えば、特許文献1)。
【0004】
【特許文献1】
特開2000−141249号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、熱源として誘導加熱を用いる場合には、誘導コイルに高周波電流を供給し、誘導コイルからの磁束によって発熱体に渦電流を流す。発熱体の温度は、渦電流損によって上昇する。加熱された発熱体は水に熱を与え、これにより、温水を作り出している。
【0006】
この時、誘導コイルはその抵抗成分によって発熱し、その温度が上昇する共に発熱体からの熱によっても温度が上昇する。誘導コイルの耐熱温度には限界があるが、従来の床暖房システムではその対策が取られていなかった。また、発熱体の温度は、渦電流損による熱量と温水が持ち去る熱量との差分によって定まる。従って、温水の循環が停止した場合等には発熱体の温度が耐熱温度を超えて上昇する場合が想定される。
【0007】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、誘導加熱を用いた床暖房システムの熱源ユニットにおいて、誘導加熱に関する機器を保護すると共に安全性を向上すること等を解決課題一例とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
以下、本発明について説明する。なお、本発明の理解を容易にするために添付図面の参照符号を括弧書きにて付記するが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
【0009】
本発明に係る熱源ユニットは、加熱した熱媒体液を床下に設けられた放熱器に導いて室内を暖房する床暖房システムに用いられる熱源ユニット(100)において、半導体スイッング素子(122)を動作させて高周波電流を発生する電源手段(120)と、前記高周波電流が供給される誘導コイルと、前記誘導コイルからの磁束によって発生する渦電流によって発熱する発熱体とを有し、前記発熱体によって前記熱媒体液を加熱する加熱手段(14)と、前記誘導コイルの温度を検出してコイル温度信号(30a)を出力するコイル温度センサ(30)と、前記コイル温度信号(30a)が指示する前記誘導コイルの温度が所定の温度を越えると、前記電源手段(120)のスイッチング動作を停止させるように前記電源手段(120)を制御する制御手段(113)と、を備えることにより、上述した課題を解決する。
【0010】
この発明によれば、誘導コイルの温度を検知して、その温度が所定の温度を超えると、電源の動作を停止するように制御するので、誘導コイルに高周波電流が供給されなくなる。これにより、誘導コイルの温度が耐熱温度を超えて上昇することを防止し、熱源ユニットの安全性を向上させることができる。なお、熱媒体液としては特に限定されるものではないが、例えば水、エチレングリコールのような不凍液などを使用することができる。
【0011】
また、上述した熱源ユニットは、前記発熱体の温度を検出して発熱体温度信号(31a)を出力する発熱体温度センサ(31)を備え、前記制御手段(113)は、前記発熱体温度信号(31a)の指示する前記発熱体の温度が所定の温度を超えると、前記電源手段(120)のスイッチング動作を停止させるように前記電源手段(120)を制御することが好ましい。この場合には、発熱体の温度が耐熱温度を超えて上昇することを防止し、熱源ユニットの安全性を向上させることができる。
【0012】
また、上述した熱源ユニットは、前記熱媒体液を循環させるポンプ(5)を備え、前記制御手段(113)は、前記電源手段(120)のスイッチング動作を停止させた後、前記熱媒体液の循環を継続するように前記ポンプ(5)を制御することが好ましい。この場合には、熱媒体液によって、誘導コイル又は発熱体の熱が持ち去られるので、これらの冷却を促進することができる。なお、電源手段のスイッチング動作を停止させた後、ポンプを所定時間だけ駆動させて停止させてもよいし、誘導コイル又は発熱体の温度を検知して、これらが基準温度より下がるまでポンプの駆動を継続させてもよい。さらに、基準温度より下がった後のポンプの駆動を継続させ、誘導コイルに高周波電流を供給してもよい。
【0013】
また、上述した熱源ユニットは、前記加熱手段(14)の入口における前記熱媒体液の温度を検出して熱媒体温度信号(32a)を出力する熱媒体液温度センサ(32)と、前記制御手段(113)は、前記熱媒体温度信号(32a)の指示する前記熱媒体液の温度に基づいて、前記電源手段(120)のスイッチング動作を制御することが好ましい。より具体的には、前記制御手段(113)は、検出された前記熱媒体液の温度と設定温度との差分に応じて前記電源手段(120)のスイッチング動作を制御することが好ましい。この発明によれば、室内の温度を制御することが可能となる。
【0014】
また、上述した熱源ユニットは、前記半導体スイッング素子(122)の温度を検出して素子温度検出信号を出力する素子温度センサ(24)を備え、前記電源手段(120)は、前記素子温度検出信号の指示する前記半導体スイッング素子(122)の温度が所定の温度を超えると、自律的にスイッチング動作を停止することが好ましい。
【0015】
この発明によれば、半導体スイッチング素子の温度が耐熱温度を超えないように電源手段が自律的に制御するので、制御手段が故障等した場合であっても、半導体スイッチング素子を保護することができる。また、制御手段は半導体スイッチング素子の温度を管理する必要がなくなる。半導体スイッチング素子の耐熱温度はその構造等に依存するため、仮に、制御手段で温度制御を実行すると、電源手段に組み込まれた半導体スイッチング素子の種類に応じて、制御手段は異なる温度制御を実行しなければならない。即ち、電源手段を変更すれば、制御手段の設計変更が必要となる。これに対して、本発明は電源手段が半導体スイッチング素子の温度制御を実行するので、制御手段の汎用性を向上させることが可能となる。
【0016】
次に、本発明に係る床暖房システムは、上述した熱源ユニット(100)と、部屋の床下に設けられ、前記熱源ユニットによって加熱された前記熱媒体液が供給される放熱器と、を備えることが好ましい。この発明によれば、安全性の高い床暖房システムを提供することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態に係る床暖房システムを説明する。図1は床暖房システムの全体構成を示すブロック図である。この図に示すように床暖房システムは、熱源ユニットとして機能するボイラー本体100、室内に設けられる壁コントローラ200、及び部屋の床下に設けられ温水によって床を暖める配管(図示せず)を備える。配管は放熱器として作用する。
【0018】
この床暖房システムでは熱源として、クリーンな電気エネルギーを使用するので、ガスや灯油を熱源として使用するような場合に発生する燃焼ガスが発生しない。また、熱媒体液を直接加熱できる高周波誘導加熱を使用するため、温水タンクを設ける必要がなく、ボイラー本体100をコンパクトにまとめることが可能である。このため、ボイラー本体100は、屋内の壁に取り付けることが可能である。
【0019】
壁コントローラ200は、ユーザーの操作に応じた信号を出力する操作パネル(図示せず)を有する。ユーザーは、操作パネルを用いて運転条件を入力できるようになっている。さらに、壁コントローラ200は、通信インターフェース介してボイラー本体100と通信を行うMCUを備える。
【0020】
ボイラー本体100は、I/O処理部110、IH電源120、及びIH加熱温水循環系130を有する。IH加熱温水循環系130は、熱媒体液たる水を循環させるポンプ及びIH電源120から高周波電流の給電を受けて温水を加熱するIHセルヒーターを備える。I/O処理部110は、IH加熱温水循環系130に設けられた各種のセンサからの信号を取り込む。IH電源120はI/O処理部110からの制御信号に従って、交流電圧をスイッチングして高周波電流を生成し、これを上述したIHセルヒーターに供給する。
【0021】
図2は、ボイラー本体100の内部構造を示す正面図である。注水口2はリザーブタンク3と連結されており、注水口2から入れられた水はリザーブタンク3に貯水される。リザーブタンク3は、配管4を介して循環ポンプ5の上流に設けられる配管6に連結されている。ボイラー本体100は商用電源から交流電圧の給電を受けて動作する。漏電ブレーカ9は商用電源の基幹配線に設けられており、ボイラー本体100の内部で漏電が発生すると、オフ状態となりボイラー本体100を商用電源から電気的に分離する。
【0022】
配管スペース10には、戻り温水が供給される戻りヘッダー11及び往き温水が供給される往きヘッダー12が設けられている。戻りヘッダー11及び往きヘッダー12には、複数系統の配管(放熱器)を取り付けることが可能である。
【0023】
温水は、戻りヘッダー11→循環ポンプ5→熱交換器13→IHセルヒーター14→往きヘッダー12→放熱器→戻りヘッダー11の経路で循環する。熱交換器13は、ケース13A、これを貫通する配管13B、及びケース13Aと配管13Bとの空間を満たす熱伝導材料(例えば、銅、アルミニウム、あるいは水)とを備える。また、ケース13Aの外周壁には、ヒートシンク20が取り付けられている。
【0024】
図3にヒートシンク20の周辺構造を示す。ヒートシンク20は、背面パネル21と絶縁体22を介して固着されており、ヒートシンク20の窪みには、半導体スイッチング素子Q1、Q2が取り付けられている。半導体スイッチング素子Q1、Q2としては、例えば、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)を用いることができる。また、ヒートシンク20の背面は絶縁体23を介して熱交換器13のケース13Aに固着されている。これによって、半導体スイッチング素子Q1、Q2のスイッチング動作に伴って発生する熱エネルギーが熱交換器13に伝導し、配管13Bを流れる温水を加熱することができる。すなわち、熱交換器13は、IH電源120で消費されるエネルギーを回収して熱媒体液を加熱する補助加熱手段として機能する。
【0025】
また、半導体スイッチング素子Q1、Q2の近傍には、素子温度センサ24が設けられている。素子温度センサ24は、半導体スイッチング素子Q1、Q2の温度を示す素子温度信号を上述したIH電源120へ出力する。
【0026】
なお、この例では、ヒートシンク20と熱交換器13との間には絶縁体23が設けられているが、半導体スイッチング素子の全体がモールドされている場合等、その構造によっては、絶縁体23を介することくなく、熱交換器13にヒートシンク20を直接固着してもよい。
【0027】
図2に示すIHセルヒーター14は、例えば、絶縁体よりなる管体、絶縁体の周囲に設けられた誘導コイル、及び管体の内部に設けられ誘導コイルにより誘導加熱される金属管とから構成することができる。管体と金属管との間を熱媒体液(この例では、水)が流れる。誘導コイルに高周波電流が流れると、誘導コイルから磁束が流れ出る。この磁束によって金属管には、渦電流が誘起され渦電流損を発生する。これにより、金属管が損失エネルギーにより発熱し、熱媒体液が加熱される。
【0028】
また、ボイラー本体100の左壁には、制御基板15が取り付けられている。制御基板15には、上述したI/O処理部110とIH電源120とが組み込まれている。
【0029】
次に、IH加熱温水循環系130のブロック構成と各種センサの配置を図4に示す。この図に示すように、IHセルヒーター14には、コイル温度センサ30と発熱体温度センサ31とが配置される。コイル温度センサ30は誘導コイルの温度thを検出してコイル温度信号30aを出力する。発熱体温度センサ31は、発熱体たる金属管の温度teを検出して発熱体温度信号31aを出力する。
【0030】
また、IHセルヒーター14の入口には戻り温水温度センサ32が配置され、その出口には往き温水温度センサ33が配置される。戻り温水温度センサ32及び往き温水温度センサ33は、各々の箇所で熱媒体液たる温水の温度tr、tsを各々検出して、温水温度信号32a及び33aを出力する。なお、往き温水温度センサ33は予備として用いられる。このため、実際のシステムの温度制御では、戻り温水温度センサ32で検出した戻り温水温度trを示す温水温度信号32aが用いられる。
【0031】
また、配管4又はリザーブタンク3の内部であって、IHセルヒーター14よりも垂直方向に高い位置に液面レベルセンサ34が配置されている。液面レベルセンサ34は、液面のレベルを検出して取り付け位置より液面が低い場合にアクティブとなる液面検出信号34aを出力する。
【0032】
IH加熱温水循環系130に配置された各センサから出力される信号30a、31a、32a、33a、及び34aは、I/O処理部110に供給されるようになっている。
【0033】
図5は床暖房システムの詳細な電気的構成を示すブロック図である。この図に示すように床暖房システムは、ボイラー本体100と壁コントローラ200を備える。壁コントローラ200は、ユーザーの操作に応じた信号を出力する操作パネル(図示せず)を備える。ユーザーは、操作パネルを操作して、運転条件を入力することが可能である。
【0034】
この床暖房システムは運転モードとして、運転、停止、タイマー、強制、ホットキープの各モードを備える。運転は、所定の設定条件を継続するモードである。停止は加熱を停止するモードである。タイマーは予約開始時間になると運転を開始して予約終了時間になると運転を停止するモードである。強制は、最大出力で運転するモードである。ホットキープは、現在の室温を保つために所定の出力で運転するモードである。
【0035】
操作パネルには切換ボタンが設けられており、ユーザーが切換ボタンを押下する毎に、運転モードがタイマー→強制→ホットキープの順に切り替わるようになっている。
【0036】
また、操作パネルには設定ボタンが設けられており、ユーザーが設定ボタンを押下する毎に、時刻合わせ→予約1(ON時間/OFF時間)→予約2(ON時間/OFF時間)→戻り温水温度trの設定→室温tRの表示→戻り温水温度trの表示→往き温水温度tsの表示が切り替わるようになっている。
【0037】
MCU210は、操作パネルからの信号を検知して、運転状態をLCD表示部220に表示させると共に、各種の制御指令を通信部230を介してボイラー本体100へ送信する。また、MCU210は、MCU113から送信されるエラー信号を受信して、エラーモードをLCD表示部220に表示すると共にブザー(図示せず)を駆動して警報音を発生させる機能を有する。エラーモードとしては、エラーモードEr01〜Er06がある。この点については後述する。
【0038】
さらに、壁コントローラ200は室内の温度を検出して実測室温tRを示す室温信号を出力する室温センサ(図示せず)を備え、MCU210は、室温信号を取得して実測室温tRを示す室温情報をMCU113に送信する。また、ユーザーは操作パネルを操作して上限室温tR’を入力できるようにようになっており、MCU210は、上限室温tR’を示す上限室温情報をMCU113に送信する。ここで、上限室温tR’は、ユーザーが室温の上限として設定する温度である。
【0039】
ボイラー本体100は、I/O処理部110、IH電源120、IH加熱温水循環系130及び漏電ブレーカ9を備える。この例の商用電源は交流電圧の値は200Vでその周波数が50Hz/60Hzである。交流電圧は漏電ブレーカ9を介してI/O処理部110及びIH電源120に供給される。
【0040】
IH電源120は、整流回路121、半導体スイッチング素子122、及び制御回路123を備える。整流回路121はダイオード等によって構成され、整流回路121を経て交流電圧が半導体スイッチング素子122に供給される。この例では、半導体スイッチング素子122として2石のIGBT(図3に示すQ1及びQ2)が用いられる。半導体スイッチング素子122は、制御回路123から供給される制御パルスに従って、交流電圧をスイッチングする。これにより、IH電源120は高周波電流を生成する。
【0041】
IH電源120の出力は、制御パルスの密度によって調整される。制御パルス列がアクティブとなる期間を電力注入期間、制御パルス列が非アクティブとなる期間を電力非注入期間としたとき、電力注入期間から電力非注入期間へ遷移するタイミング及び電力非注入期間から電力注入期間へ遷移するタイミングは、交流電圧のゼロクロスと一致するように制御される。これにより、スイッチングに伴う高周波成分が低減され、商用電源側へ流れ出る高周波電流を大幅に削減することが可能となる。この結果、高効率で負荷を駆動することができ、かつ、電力制御の線形性を大幅に改善することができる。制御回路123は、後述するMCU113からの制御信号に従って電力注入期間と電力非注入期間との割合を調整する。
【0042】
また、制御回路123には、上述した素子温度センサ24から素子温度信号が供給される。制御回路123は、素子温度信号が示す半導体スイッチング素子122(Q1、Q2)の温度tbが基準温度(例えば80度)を超えると、制御パルスの供給を停止して、半導体スイッチング素子122のスイッチング動作を停止させるように制御する。即ち、MCU113からの制御信号がある投入電力で高周波電流の生成を指示する場合であっても、制御回路123は、これを無視して、半導体スイッチング素子122のスイッチング動作を自律的に停止する。
【0043】
このように、素子温度に関する制御をIH電源120において独立して実行したのは、仮に、I/O処理部110が故障した場合であっても、半導体スイッチング素子122を保護するためである。また、半導体スイッチング素子122の耐熱温度はその種類に応じて異なるため、仮に、I/O処理部110で温度制御を実行すると、半導体スイッチング素子122の種類に応じて、I/O処理部110は異なる温度制御を実行しなければならない。即ち、IH電源120を変更すれば、I/O処理部110の設計変更が必要となる。これに対して、本実施形態では、IH電源120が半導体スイッチング素子122の温度制御を実行するので、I/O処理部110の汎用性を向上させることが可能となる。
【0044】
次に、I/O処理部110には、AC/DC変換回路111が設けられており、交流電圧を直流に変換してボイラー本体100の各構成部分に供給する。また、I/O処理部110の通信部112は、MCU113及び壁コントローラ200との間で通信を行う。
【0045】
MCU113は、IH加熱温水循環系130に設けられた各種センサからの信号が供給され、これらの信号に基づいてIH電源120を制御する。また、MCU113は、ポンプ5を制御して温水の流量を調整する。MCU113は、割り込みタイマを用いて1秒ごとにコイル温度信号30a、発熱体温度信号31a、温水温度信号32a、及び液面検出信号34aを取り込むと共に、1分ごとに実測室温tRを示す室温情報をMCU210から取得する。
【0046】
第1に、MCU113は、液面検出信号34aがアクティブになると、IHセルヒーター14に高周波電流が供給されないようにIH電源120のスイッチング動作を停止させる制御を実行する。上述したように液面レベルセンサ34はIHセルヒーター14よりも垂直方向に高い位置に設けられているが、液面がそれ以下になると、IHセルヒーター14の金属管が露出する危険がある。このように冠水が維持できない状態で運転すると、IHセルヒーター14の温度が耐熱温度を超えてIHセルヒーター14が損傷する可能性がある。そこで、IHセルヒーター14を保護すると共に安全性の観点から液面レベルに基づく制御が実行される。
【0047】
第2に、MCU113は、発熱体温度信号31aの示す発熱体たる金属管の温度teが所定の温度(例えば、80度)を超えると、IHセルヒーター14に高周波電流が供給されないようにIH電源120のスイッチング動作を停止させる制御を実行する。金属管の損傷を回避するためである。
【0048】
第3に、MCU113は、コイル温度信号30aの示す誘導コイルの温度thが所定の温度(例えば、80度)を超えると、IHセルヒーター14に高周波電流が供給されないようにIH電源120のスイッチング動作を停止させる制御を実行する。誘導コイルの損傷を回避するためである。
【0049】
第4に、MCU113は、温水温度信号32aの示す戻り温水温度trとユーザー設定した戻り温水温度tr’の差分に基づいて、以下のようにIH電源120を制御する。まず、tr−tr’>0では、IH電源120のスイッチング動作を停止させる。次に、5≧tr’−tr≧0では、所定の電力(例えば、2kw〜1kw程度の小電力)で運転する。次に、tr’−tr>5の場合は、最大電力で運転する。但し、運転モードがホットキープモードである場合には、tr>17でIH電源120の動作を停止させ、17≧trで所定の最小電力でIH電源120を動作させる。
【0050】
第5に、MCU113は、MCU210から取得した実測室温tRと上限室温tR’とに基づいて、IH電源120の動作を制御する。具体的には、実測室温tRが上限室温tR’以上になると、IH電源120の動作を停止させるように制御が行われる。
【0051】
また、MCU113は、液面低下を理由にIH電源120の動作を停止する場合には、エラーモードEr01を指示するエラー信号をMCU210へ送信し、金属管の温度異常を理由にIH電源120の動作を停止する場合には、エラーモードEr02を指示するエラー信号をMCU210へ送信し、半導体スイッチング素子の温度異常を理由にIH電源120の動作を停止する場合には、エラーモードEr03を指示するエラー信号をMCU210へ送信し、誘導コイルの温度異常を理由にIH電源120の動作を停止する場合には、エラーモードEr04を指示するエラー信号をMCU210へ送信する。これにより、ユーザーは床暖房システムに不具合があること及びその原因を知ることができる。
【0052】
さらに、MCU113は、入力電圧が異常の場合にはエラーモードEr05を指示するエラー信号をMCU210へ送信する。また、通信エラーが発生した場合にはMCU210がこれを検知してエラーモードEr06としてLCD表示部220に表示する。
【0053】
以上、説明したように本実施形態によれば、誘導コイルの温度thを検知して、その温度が所定の温度を超えると、IH電源120の動作を停止するように制御するので、誘導コイルに高周波電流が供給されなくなる。これにより、誘導コイルの温度が耐熱温度を超えて上昇することを防止し、ボイラー本体100の安全性を向上させることができる。また、発熱体たる金属管の温度teを検知して、その温度が所定の温度を超えると、IH電源120の動作を停止するように制御するので、金属管の損傷を回避することができ、ボイラー本体100の安全性を向上させることができる。
【0054】
なお、上述した実施形態において、MCU113は誘導コイル又は金属管の温度異常を検知してIH電源120の動作を停止させた場合には、その後、熱媒体液の循環を継続するように循環ポンプ5を制御してもよい。この場合には、熱媒体液によって、誘導コイル又は発熱体の熱が持ち去られるので、これらの冷却を促進することができる。さらに、IH電源120の動作停止後、循環ポンプ5を所定時間だけ駆動させて停止させてもよいし、誘導コイル又は発熱体の温度を検知して、これらが基準温度より下がるまで循環ポンプ5の駆動を継続させてもよい。さらに、基準温度より下がった後の循環ポンプ5の駆動を継続させ、誘導コイルに高周波電流を供給してもよい。
【0055】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明によれば、誘導加熱を用いた床暖房システムの熱源ユニットにおいて、誘導コイルや発熱体といった誘導加熱に関する構成を保護すると共に安全性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る床暖房システムの全体構成を示すブロック図である。
【図2】同システムに用いられるボイラー本体の内部構造を示す正面図である。
【図3】ボイラー本体に用いられるヒートシンクの周辺構造を示す拡大図である。
【図4】IH加熱温水循環系130の主要構成と各種センサの配置を示すブロック図である。
【図5】床暖房システムの詳細な電気的構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
5 循環ポンプ
14 IHセルヒーター
20 ヒートシンク
100 ボイラー本体
110 I/O処理部
120 IH電源
122、Q1、Q2 半導体スイッチング素子
Claims (7)
- 加熱した熱媒体液を床下に設けられた放熱器に導いて室内を暖房する床暖房システムに用いられる熱源ユニットにおいて、
半導体スイッング素子を動作させて高周波電流を発生する電源手段と、
前記高周波電流が供給される誘導コイルと、前記誘導コイルからの磁束によって発生する渦電流によって発熱する発熱体とを有し、前記発熱体によって前記熱媒体液を加熱する加熱手段と、
前記誘導コイルの温度を検出してコイル温度信号を出力するコイル温度センサと、
前記コイル温度信号が指示する前記誘導コイルの温度が所定の温度を越えると、前記電源手段のスイッチング動作を停止させるように前記電源手段を制御する制御手段と、
を備えることを特徴とする熱源ユニット。 - 前記発熱体の温度を検出して発熱体温度信号を出力する発熱体温度センサを備え、
前記制御手段は、前記発熱体温度信号の指示する前記発熱体の温度が所定の温度を超えると、前記電源手段のスイッチング動作を停止させるように前記電源手段を制御する
ことを特徴とする請求項1に記載の熱源ユニット。 - 前記熱媒体液を循環させるポンプを備え、
前記制御手段は、前記電源手段のスイッチング動作を停止させた後、前記熱媒体液の循環を継続するように前記ポンプを制御する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の熱源ユニット。 - 前記加熱手段の入口における前記熱媒体液の温度を検出して熱媒体温度信号を出力する熱媒体液温度センサと、
前記制御手段は、前記熱媒体温度信号の指示する前記熱媒体液の温度に基づいて、前記電源手段のスイッチング動作を制御する
ことを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか1項に記載の熱源ユニット。 - 前記制御手段は、検出された前記熱媒体液の温度と設定温度との差分に応じて前記電源手段のスイッチング動作を制御することを特徴とする請求項4に記載の熱源ユニット。
- 前記半導体スイッング素子の温度を検出して素子温度検出信号を出力する素子温度センサを備え、
前記電源手段は、前記素子温度検出信号の指示する前記半導体スイッング素子の温度が所定の温度を超えると、自律的にスイッチング動作を停止する
ことを特徴とする請求項1乃至5のうちいずれか1項に記載した熱源ユニット。 - 請求項1乃至6のうちいずれか1項に記載の熱源ユニットと、
部屋の床下に設けられ、前記熱源ユニットによって加熱された前記熱媒体液が供給される放熱器と、
を備えたことを特徴とする床暖房システム。
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---|---|---|---|
JP2003169703A JP2005003327A (ja) | 2003-06-13 | 2003-06-13 | 熱源ユニット及び床暖房システム |
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---|---|---|---|
JP2003169703A JP2005003327A (ja) | 2003-06-13 | 2003-06-13 | 熱源ユニット及び床暖房システム |
Publications (1)
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JP2005003327A true JP2005003327A (ja) | 2005-01-06 |
Family
ID=34094758
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2003169703A Pending JP2005003327A (ja) | 2003-06-13 | 2003-06-13 | 熱源ユニット及び床暖房システム |
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JP (1) | JP2005003327A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN114754493A (zh) * | 2020-12-25 | 2022-07-15 | 杭州泰昕微电子有限公司 | 一种即热型水处理器的感应加热集成机芯 |
-
2003
- 2003-06-13 JP JP2003169703A patent/JP2005003327A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN114754493A (zh) * | 2020-12-25 | 2022-07-15 | 杭州泰昕微电子有限公司 | 一种即热型水处理器的感应加热集成机芯 |
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