JP2005003032A - 回転機械のトルク伝達装置及びターボ機械 - Google Patents
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Abstract
【課題】トルク伝達装置に過大なトルクが負荷されても、羽根車全体の破壊に至らないトルク伝達装置及びターボ機械を提供すること。
【解決手段】駆動力伝達壁部15は、外周面と端面とを有し、端面の互いに直交する半径方向外方へ所定の高さと所定の幅をもって突出するように4つの矩形状突起部が、外周面上を環状に配設されている。また、スリーブ16は、駆動力伝達壁部15を取り囲む環状壁部と端面とを有し、環状壁部には、突起部と嵌合する4つの矩形状の凹部が形成されている。突起部には、側面が形成され、凹部は、底面と側面が形成されている構成とした。
【選択図】 図1
【解決手段】駆動力伝達壁部15は、外周面と端面とを有し、端面の互いに直交する半径方向外方へ所定の高さと所定の幅をもって突出するように4つの矩形状突起部が、外周面上を環状に配設されている。また、スリーブ16は、駆動力伝達壁部15を取り囲む環状壁部と端面とを有し、環状壁部には、突起部と嵌合する4つの矩形状の凹部が形成されている。突起部には、側面が形成され、凹部は、底面と側面が形成されている構成とした。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、回転トルクを伝達する回転機械のトルク伝達装置及び該トルク伝達装置を備えるターボ機械に関する。
【0002】
【従来の技術】
過給機やガスタービン等のターボ機械は、主軸とこの主軸に取り付けられた羽根車等の回転体との間で駆動力としての回転トルクが伝達される。このようなターボ機械においては、上記の回転トルクはトルク伝達装置を介して伝達される。
【0003】
従来、この種のトルク伝達装置としては、図6〜図10に示すものが知られている。これらの図は、過給機を示すものであり、図において、過給機10は、排気ガスが有するエネルギーによって駆動されるタービン翼車12と、タービン翼車12から得た回転力によって駆動されるアルミニウム合金製の羽根車13と、タービン翼車12からの回転力をトルクとして羽根車13に伝達するトルク伝達装置11と、これらが固定配設される主軸14とから構成される。
【0004】
トルク伝達装置11は、羽根車13の主軸14の外周部近傍に形成され、主軸14を中心軸とした円筒形状を有する駆動力伝達壁部15と、羽根車13に隣接して主軸14を中心軸とした円筒形状を有する鋼製のスリーブ(駆動力伝達部材)16とから構成されている。
【0005】
駆動力伝達壁部15は、図7に示すように、中心位置から互いに直交する半径方向外側に窪む凹部18と、残りの部分である凸部19とから構成されている(なお、図7においては、主軸14の図示省略)。
凹部18は、図9に示すように駆動力伝達壁部15の外周側に開口するように形成されている。
スリーブ16の先端面には、図8に示すように、凹部18と嵌合するよう設けられた凸部20と、凸部19と嵌合するように設けられた凹部21とから構成されている(なお、図8においては、主軸14の図示省略)。
凹部18と凸部20には、回転方向に互いに係合するようにそれぞれ側面22と側面23とが形成されている。
【0006】
主軸14は、大径部24と小径部25とから形成されており、大径部24に配設された図示しない軸受によって、図示しないケーシングに対して軸線方向への移動が規制され定位置で回転するよう配設されている。また、小径部25の外周面には、大径部24との境界部から所定の長さ範囲にわたって雄ねじ部26が設けられ、スリーブ16の中心口に形成された雌ねじ部分と係止されている。
【0007】
羽根車13の中心口は、小径部25と所定のクリアランスをもって係合されており、羽根車13とスリーブ16は、締付ナット27と大径部24とによって、主軸14の延在方向に互いに接近する方向に押圧されている。これによって、凸部20と凹部18とが常時嵌合し、スリーブ16から羽根車13へ回転力が伝達されるようになっている。
【0008】
上記の構成からなる過給機10において、導入された排気ガスが有するエネルギーによってタービン翼車12が回転すると、主軸14に回転トルクが発生して主軸14が回転する。この回転によって、主軸14に係止されているスリーブ16に回転トルクが伝達される。このスリーブ16が主軸14と共に回転すると、側面22と側面23との間に面圧力が発生する。
【0009】
この面圧力によって、羽根車13に回転トルクが伝達されて、羽根車13が、主軸14と共に回転する。
その結果、羽根車13に導入された空気が圧縮されて、図示しないエンジンへ給気される。
【0010】
なお、上記の説明は、過給機に設けられたトルク伝達装置に関するものであるが、この種のトルク伝達装置は、当該過給機以外のガスタービン等にも採用されている。
すなわち、ガスタービンの多段ロータ間にトルクを伝達するトルク伝達装置は、タービンロータが互いに隣接する面にホイールを備え、該ホイールの外縁部及び内縁部には、環状嵌合部としてナックルが形成されている。
このナックルは、半径方向及び軸方向にある幅をもつ凹凸部が円周上に沿って交互に隣接し、かつ、軸方向に隣接するナックルが有する凹凸部と互いに嵌合するように形成されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0011】
【特許文献1】
特開2001−152801号公報(第4図)
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記従来の過給機10においては、特殊な事態が発生した場合、アルミニウム合金製の羽根車13が破壊されるという問題がある。
すなわち、タービン翼車12を駆動させるために導入された排気ガスに含まれる不純物が、主軸14に配設されている前記軸受等に入り込んで、軸受玉が摩耗される等の事態が生じた場合であって、さらにこの状態が継続された場合、羽根車13と主軸14との間にがたつきが発生し、羽根車13がケーシング(図示せず)等と干渉する事態が発生する。この結果、羽根車13の回転が制動され、回転に対する抵抗力が外周部に発生する。
【0013】
主軸14の外周部近傍に配設された側面22と側面23が有する回転半径とを比較すると、羽根車13の外周部が有する回転半径のほうが大きい。そのため、回転トルクにおける回転力と回転半径との関係から、羽根車13の外周部に作用した回転力は、前記回転半径比分倍増されて、側面22と側面23とに負荷される。よって、側面22と側面23との間の面圧力が増大する。
【0014】
上記の面圧力は、凹部18の底面角部であって内周部側にある領域27において最大となることから、この面圧力により発生するねじれの応力が、アルミニウム合金が有する許容応力を超えると亀裂が発生する事態となる。
この状態でさらに、羽根車13が回転し続けると、領域27が起点となって羽根車13の遠心力によって外周部に向かって前記亀裂が進展し、やがては羽根車13の破壊が引き起こされる可能性が多大にあった。
【0015】
また、前述したガスタービンについても、回転するタービン翼が制動されるような事態が発生した場合、同様の問題が生じる可能性があった。
【0016】
本発明は上記事情に鑑みて成されたものであり、何らかの要因によってトルク伝達装置に過大なトルクが負荷されても、羽根車全体の破壊に至らないトルク伝達装置及びターボ機械を提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用する。
請求項1に記載の発明は、主軸に羽根車が取り付けられ、該羽根車に駆動力伝達壁部が設けられるとともに、前記主軸に駆動力伝達部材が固定され、
前記主軸の回転力を前記駆動力伝達部材を介して前記駆動力伝達壁部に伝達する回転機械のトルク伝達装置であって、前記駆動力伝達壁部に複数の突起部が設けられ、前記駆動力伝達部材に前記突起部と嵌合する複数の凹部が設けられていることを特徴とする。
【0018】
このような構成とすることで、通常時は、通常の大きさの回転トルクが駆動力伝達部材の凹部から駆動力伝達壁部の突起部へ伝達される。
不具合事象によって通常のトルク以上の過大トルクが羽根車からトルク伝達装置に負荷された場合、回転トルクは駆動力伝達壁部側の突起部から駆動力伝達部材の凹部へと伝達される。この場合、突起部の取付部近傍のみに過大な応力及び亀裂が発生することとなって、羽根車全体に過大な応力がかかることが抑制される。
【0019】
請求項2に記載の発明は、請求項1記載の回転機械のトルク伝達装置において、前記複数の突起部が、前記駆動力伝達壁部の外周面に半径方向外方へ突出するように環状に配設され、前記駆動力伝達部材は、前記駆動力伝達壁部を囲む環状壁部を有し、該環状壁部に、前記突起部と嵌合する前記複数の凹部が形成されていることを特徴とする。
【0020】
このような構成とすることで、複数の突起部及び凹部によって、回転トルクは各突起部及び凹部に分配・伝達される。
また、不具合事象によって通常のトルク以上の過大トルクが羽根車からトルク伝達装置に負荷された場合、回転トルクが伝達される嵌合部の回転半径と、羽根車の回転半径との比率が小さくなり、過大な力の伝達が抑制され、突起部から羽根車全体にわたるような過大な応力及び亀裂の発生が抑えられる。
【0021】
請求項3に記載の発明は、ターボ機械において、請求項1又は2記載のトルク伝達装置を採用したことを特徴とする。
【0022】
このような構成とすることで、通常時は、通常の大きさの回転トルクが駆動力伝達部材の凹部から駆動力伝達壁部の突起部へ伝達される。
不具合事象によって通常のトルク以上の過大トルクがターボ機械の羽根車からトルク伝達装置に負荷された場合でも、突起部から羽根車全体にわたるような過大な応力及び亀裂の発生が抑えられる。
【0023】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
図1〜図5は本発明の第1の実施形態を示す。
なお、上記の従来例においてすでに説明した構成要素と同一のものには同一の符号を付して説明を省略する。以下、図6〜図10と異なる点について説明する。
【0024】
図において、過給機10の駆動力伝達壁部15は、主軸14の小径部25を囲む略環状壁部であって、その外周面28に突起部29が配設されている。この突起部29は、図2に示すように、外周面28の半径方向外方へ突出するように形成され、外周面28上であって、駆動力伝達壁部15の端面側に4個が略等間隔に配設されている(なお、図2においては、主軸14の図示省略)。
【0025】
また、スリーブ16は、小径部25を囲む略環状に形成されたものであって、駆動力伝達壁部15の外周を取り囲む環状壁部30を有する。環状壁部30には、図3に示すように、その内面に突起部29と嵌合する4つの矩形状の凹部31が形成されている。この凹部31は、駆動力伝達壁部15側の端面及びその外周面側に開口するように設けられている。この凹部31は突起部29と対応するように環状配置されている(なお、図3においては、主軸14の図示省略)。
【0026】
突起部29と凹部31には、回転方向に互いに嵌合するようにそれぞれ側面32と側面33とが形成されている。
【0027】
上記の構成からなる過給機10において、通常時にタービン翼車12が回転して得られた回転トルクは、上述の従来例と同様の作用によって主軸14に接合されているスリーブ16に伝達される。
このスリーブ16が主軸14と共に回転すると、側面32と側面33との間に面圧力が発生する。
この面圧力によって、回転トルクが凹部31から突起部29を通して駆動力伝達壁部15に伝達されて、羽根車13が主軸14と共に回転する。
【0028】
この過給機10の運転中に、羽根車13がケーシング(図示せず)等に接触する等の事態が発生した場合、羽根車13の回転に対する抵抗力が発生・増大しても羽根車13の破壊には至らない。
【0029】
すなわち、突起部29は、駆動力伝達壁部15の外周面28に半径方向外側に向かって配設されているため、回転半径は大径部24よりも大きくなる。その結果、側面32と側面33の面圧力は、主軸14外周部近傍よりも小さく抑えられる。
【0030】
また、4つの突起部29は、駆動力伝達壁部15の外周面28にほぼ均等に環状配設されているので、側面32と側面33の面圧力は各突起部29間にほぼ均等に配分される。
【0031】
駆動部伝達壁部15の外周面28には突起部29のみが設けられて窪み部分がないため、前記面圧力による最大応力の発生場所は、突起部29の取付け部近傍領域34となる。そのため、アルミニウム合金製の駆動力伝達壁部15の許容応力を超えるような面圧力が発生した場合、鋼製のスリーブ16側より先に駆動力伝達部15の領域34を起点として亀裂が発生する。
【0032】
しかしながら、亀裂は突起部29の取付け部近傍を進展するのみであって羽根車13の全体には至らない。
また、亀裂が進展することによって突起部29が破断に至っても、突起部29は凹部31の内部に収納されているため、外部に飛散しない。
【0033】
この過給機10によれば、何らかの要因によってトルク伝達装置11に過大なトルクが負荷されて、突起部29が破損するに至っても、羽根車13の回転が急激に停止して、過給機10の運用に大きな支障をきたすことがない。また、破損は突起物29のみであって羽根車13全体の破壊に至らないとともに、突起物29等の破損部が飛散して他の構成物をさらに損傷させるような事態も抑制されるため、修理する場合も羽根車13の交換で済みメンテナンス性も向上する。
【0034】
上記の実施形態では、駆動力伝達壁部の外周面の突起物は4つであるが、4つである必要はなく複数の配設であれば同様の作用・効果を得ることができる。
【0035】
【発明の効果】
以上説明した本発明においては以下の効果を奏する。
請求項1記載の発明は、通常の伝達トルク以外の過大トルクがトルク伝達装置に負荷された場合であって、突起物の取付部に過大な応力が発生して亀裂が生じたとしても、亀裂の進展が突起部に限定されるため、突起物が破損されるに留められて、羽根車全体の破壊には至らない。
【0036】
請求項2記載の発明は、複数の突起部が環状にほぼ均等に配設されているため、トルクは各突起部にほぼ均等に分配・伝達させることができる。また、通常の伝達トルク以外の過大トルクがトルク伝達装置に負荷された場合であって、突起物の取付部に過大な応力が発生して亀裂が生じて突起部が破損されても、突起部が凹部内から外部へ飛散しないので、羽根車全体の破壊には至らない。
【0037】
請求項3記載の発明は、通常の伝達トルク以外の過大トルクがトルク伝達装置に負荷された場合であって、突起物の取付部に過大な応力が発生して亀裂が生じて突起部が破損されても、ターボ機械が備える羽根車以外の構成品への破損が抑制され、修理時には羽根車の交換のみで済ませることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態における過給機のトルク伝達装置を含む主要部の断面図である。
【図2】図1のI−I断面図であって、本発明の第1の実施形態における駆動力伝達壁部の断面図である。
【図3】図1のII−II断面図であって、本発明の第1の実施形態における駆動力伝達部材の断面図である。
【図4】図2の一部拡大斜視図である。
【図5】図3の一部拡大斜視図である。
【図6】従来の過給機のトルク伝達装置を含む主要部の断面図である。
【図7】図6のIII−III断面図であって、従来の駆動力伝達壁部の断面図である。
【図8】図6のIV−IV断面図であって、従来の駆動力伝達部材の断面図である。
【図9】図7の一部拡大斜視図である。
【図10】図8の一部拡大斜視図である。
【符号の説明】
10 過給機(ターボ機械)
11 トルク伝達装置
13 羽根車
14 主軸
15 駆動力伝達壁部
16 スリーブ(駆動力伝達部材)
29 突起部
30 環状壁部
31 凹部
【発明の属する技術分野】
本発明は、回転トルクを伝達する回転機械のトルク伝達装置及び該トルク伝達装置を備えるターボ機械に関する。
【0002】
【従来の技術】
過給機やガスタービン等のターボ機械は、主軸とこの主軸に取り付けられた羽根車等の回転体との間で駆動力としての回転トルクが伝達される。このようなターボ機械においては、上記の回転トルクはトルク伝達装置を介して伝達される。
【0003】
従来、この種のトルク伝達装置としては、図6〜図10に示すものが知られている。これらの図は、過給機を示すものであり、図において、過給機10は、排気ガスが有するエネルギーによって駆動されるタービン翼車12と、タービン翼車12から得た回転力によって駆動されるアルミニウム合金製の羽根車13と、タービン翼車12からの回転力をトルクとして羽根車13に伝達するトルク伝達装置11と、これらが固定配設される主軸14とから構成される。
【0004】
トルク伝達装置11は、羽根車13の主軸14の外周部近傍に形成され、主軸14を中心軸とした円筒形状を有する駆動力伝達壁部15と、羽根車13に隣接して主軸14を中心軸とした円筒形状を有する鋼製のスリーブ(駆動力伝達部材)16とから構成されている。
【0005】
駆動力伝達壁部15は、図7に示すように、中心位置から互いに直交する半径方向外側に窪む凹部18と、残りの部分である凸部19とから構成されている(なお、図7においては、主軸14の図示省略)。
凹部18は、図9に示すように駆動力伝達壁部15の外周側に開口するように形成されている。
スリーブ16の先端面には、図8に示すように、凹部18と嵌合するよう設けられた凸部20と、凸部19と嵌合するように設けられた凹部21とから構成されている(なお、図8においては、主軸14の図示省略)。
凹部18と凸部20には、回転方向に互いに係合するようにそれぞれ側面22と側面23とが形成されている。
【0006】
主軸14は、大径部24と小径部25とから形成されており、大径部24に配設された図示しない軸受によって、図示しないケーシングに対して軸線方向への移動が規制され定位置で回転するよう配設されている。また、小径部25の外周面には、大径部24との境界部から所定の長さ範囲にわたって雄ねじ部26が設けられ、スリーブ16の中心口に形成された雌ねじ部分と係止されている。
【0007】
羽根車13の中心口は、小径部25と所定のクリアランスをもって係合されており、羽根車13とスリーブ16は、締付ナット27と大径部24とによって、主軸14の延在方向に互いに接近する方向に押圧されている。これによって、凸部20と凹部18とが常時嵌合し、スリーブ16から羽根車13へ回転力が伝達されるようになっている。
【0008】
上記の構成からなる過給機10において、導入された排気ガスが有するエネルギーによってタービン翼車12が回転すると、主軸14に回転トルクが発生して主軸14が回転する。この回転によって、主軸14に係止されているスリーブ16に回転トルクが伝達される。このスリーブ16が主軸14と共に回転すると、側面22と側面23との間に面圧力が発生する。
【0009】
この面圧力によって、羽根車13に回転トルクが伝達されて、羽根車13が、主軸14と共に回転する。
その結果、羽根車13に導入された空気が圧縮されて、図示しないエンジンへ給気される。
【0010】
なお、上記の説明は、過給機に設けられたトルク伝達装置に関するものであるが、この種のトルク伝達装置は、当該過給機以外のガスタービン等にも採用されている。
すなわち、ガスタービンの多段ロータ間にトルクを伝達するトルク伝達装置は、タービンロータが互いに隣接する面にホイールを備え、該ホイールの外縁部及び内縁部には、環状嵌合部としてナックルが形成されている。
このナックルは、半径方向及び軸方向にある幅をもつ凹凸部が円周上に沿って交互に隣接し、かつ、軸方向に隣接するナックルが有する凹凸部と互いに嵌合するように形成されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0011】
【特許文献1】
特開2001−152801号公報(第4図)
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記従来の過給機10においては、特殊な事態が発生した場合、アルミニウム合金製の羽根車13が破壊されるという問題がある。
すなわち、タービン翼車12を駆動させるために導入された排気ガスに含まれる不純物が、主軸14に配設されている前記軸受等に入り込んで、軸受玉が摩耗される等の事態が生じた場合であって、さらにこの状態が継続された場合、羽根車13と主軸14との間にがたつきが発生し、羽根車13がケーシング(図示せず)等と干渉する事態が発生する。この結果、羽根車13の回転が制動され、回転に対する抵抗力が外周部に発生する。
【0013】
主軸14の外周部近傍に配設された側面22と側面23が有する回転半径とを比較すると、羽根車13の外周部が有する回転半径のほうが大きい。そのため、回転トルクにおける回転力と回転半径との関係から、羽根車13の外周部に作用した回転力は、前記回転半径比分倍増されて、側面22と側面23とに負荷される。よって、側面22と側面23との間の面圧力が増大する。
【0014】
上記の面圧力は、凹部18の底面角部であって内周部側にある領域27において最大となることから、この面圧力により発生するねじれの応力が、アルミニウム合金が有する許容応力を超えると亀裂が発生する事態となる。
この状態でさらに、羽根車13が回転し続けると、領域27が起点となって羽根車13の遠心力によって外周部に向かって前記亀裂が進展し、やがては羽根車13の破壊が引き起こされる可能性が多大にあった。
【0015】
また、前述したガスタービンについても、回転するタービン翼が制動されるような事態が発生した場合、同様の問題が生じる可能性があった。
【0016】
本発明は上記事情に鑑みて成されたものであり、何らかの要因によってトルク伝達装置に過大なトルクが負荷されても、羽根車全体の破壊に至らないトルク伝達装置及びターボ機械を提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用する。
請求項1に記載の発明は、主軸に羽根車が取り付けられ、該羽根車に駆動力伝達壁部が設けられるとともに、前記主軸に駆動力伝達部材が固定され、
前記主軸の回転力を前記駆動力伝達部材を介して前記駆動力伝達壁部に伝達する回転機械のトルク伝達装置であって、前記駆動力伝達壁部に複数の突起部が設けられ、前記駆動力伝達部材に前記突起部と嵌合する複数の凹部が設けられていることを特徴とする。
【0018】
このような構成とすることで、通常時は、通常の大きさの回転トルクが駆動力伝達部材の凹部から駆動力伝達壁部の突起部へ伝達される。
不具合事象によって通常のトルク以上の過大トルクが羽根車からトルク伝達装置に負荷された場合、回転トルクは駆動力伝達壁部側の突起部から駆動力伝達部材の凹部へと伝達される。この場合、突起部の取付部近傍のみに過大な応力及び亀裂が発生することとなって、羽根車全体に過大な応力がかかることが抑制される。
【0019】
請求項2に記載の発明は、請求項1記載の回転機械のトルク伝達装置において、前記複数の突起部が、前記駆動力伝達壁部の外周面に半径方向外方へ突出するように環状に配設され、前記駆動力伝達部材は、前記駆動力伝達壁部を囲む環状壁部を有し、該環状壁部に、前記突起部と嵌合する前記複数の凹部が形成されていることを特徴とする。
【0020】
このような構成とすることで、複数の突起部及び凹部によって、回転トルクは各突起部及び凹部に分配・伝達される。
また、不具合事象によって通常のトルク以上の過大トルクが羽根車からトルク伝達装置に負荷された場合、回転トルクが伝達される嵌合部の回転半径と、羽根車の回転半径との比率が小さくなり、過大な力の伝達が抑制され、突起部から羽根車全体にわたるような過大な応力及び亀裂の発生が抑えられる。
【0021】
請求項3に記載の発明は、ターボ機械において、請求項1又は2記載のトルク伝達装置を採用したことを特徴とする。
【0022】
このような構成とすることで、通常時は、通常の大きさの回転トルクが駆動力伝達部材の凹部から駆動力伝達壁部の突起部へ伝達される。
不具合事象によって通常のトルク以上の過大トルクがターボ機械の羽根車からトルク伝達装置に負荷された場合でも、突起部から羽根車全体にわたるような過大な応力及び亀裂の発生が抑えられる。
【0023】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
図1〜図5は本発明の第1の実施形態を示す。
なお、上記の従来例においてすでに説明した構成要素と同一のものには同一の符号を付して説明を省略する。以下、図6〜図10と異なる点について説明する。
【0024】
図において、過給機10の駆動力伝達壁部15は、主軸14の小径部25を囲む略環状壁部であって、その外周面28に突起部29が配設されている。この突起部29は、図2に示すように、外周面28の半径方向外方へ突出するように形成され、外周面28上であって、駆動力伝達壁部15の端面側に4個が略等間隔に配設されている(なお、図2においては、主軸14の図示省略)。
【0025】
また、スリーブ16は、小径部25を囲む略環状に形成されたものであって、駆動力伝達壁部15の外周を取り囲む環状壁部30を有する。環状壁部30には、図3に示すように、その内面に突起部29と嵌合する4つの矩形状の凹部31が形成されている。この凹部31は、駆動力伝達壁部15側の端面及びその外周面側に開口するように設けられている。この凹部31は突起部29と対応するように環状配置されている(なお、図3においては、主軸14の図示省略)。
【0026】
突起部29と凹部31には、回転方向に互いに嵌合するようにそれぞれ側面32と側面33とが形成されている。
【0027】
上記の構成からなる過給機10において、通常時にタービン翼車12が回転して得られた回転トルクは、上述の従来例と同様の作用によって主軸14に接合されているスリーブ16に伝達される。
このスリーブ16が主軸14と共に回転すると、側面32と側面33との間に面圧力が発生する。
この面圧力によって、回転トルクが凹部31から突起部29を通して駆動力伝達壁部15に伝達されて、羽根車13が主軸14と共に回転する。
【0028】
この過給機10の運転中に、羽根車13がケーシング(図示せず)等に接触する等の事態が発生した場合、羽根車13の回転に対する抵抗力が発生・増大しても羽根車13の破壊には至らない。
【0029】
すなわち、突起部29は、駆動力伝達壁部15の外周面28に半径方向外側に向かって配設されているため、回転半径は大径部24よりも大きくなる。その結果、側面32と側面33の面圧力は、主軸14外周部近傍よりも小さく抑えられる。
【0030】
また、4つの突起部29は、駆動力伝達壁部15の外周面28にほぼ均等に環状配設されているので、側面32と側面33の面圧力は各突起部29間にほぼ均等に配分される。
【0031】
駆動部伝達壁部15の外周面28には突起部29のみが設けられて窪み部分がないため、前記面圧力による最大応力の発生場所は、突起部29の取付け部近傍領域34となる。そのため、アルミニウム合金製の駆動力伝達壁部15の許容応力を超えるような面圧力が発生した場合、鋼製のスリーブ16側より先に駆動力伝達部15の領域34を起点として亀裂が発生する。
【0032】
しかしながら、亀裂は突起部29の取付け部近傍を進展するのみであって羽根車13の全体には至らない。
また、亀裂が進展することによって突起部29が破断に至っても、突起部29は凹部31の内部に収納されているため、外部に飛散しない。
【0033】
この過給機10によれば、何らかの要因によってトルク伝達装置11に過大なトルクが負荷されて、突起部29が破損するに至っても、羽根車13の回転が急激に停止して、過給機10の運用に大きな支障をきたすことがない。また、破損は突起物29のみであって羽根車13全体の破壊に至らないとともに、突起物29等の破損部が飛散して他の構成物をさらに損傷させるような事態も抑制されるため、修理する場合も羽根車13の交換で済みメンテナンス性も向上する。
【0034】
上記の実施形態では、駆動力伝達壁部の外周面の突起物は4つであるが、4つである必要はなく複数の配設であれば同様の作用・効果を得ることができる。
【0035】
【発明の効果】
以上説明した本発明においては以下の効果を奏する。
請求項1記載の発明は、通常の伝達トルク以外の過大トルクがトルク伝達装置に負荷された場合であって、突起物の取付部に過大な応力が発生して亀裂が生じたとしても、亀裂の進展が突起部に限定されるため、突起物が破損されるに留められて、羽根車全体の破壊には至らない。
【0036】
請求項2記載の発明は、複数の突起部が環状にほぼ均等に配設されているため、トルクは各突起部にほぼ均等に分配・伝達させることができる。また、通常の伝達トルク以外の過大トルクがトルク伝達装置に負荷された場合であって、突起物の取付部に過大な応力が発生して亀裂が生じて突起部が破損されても、突起部が凹部内から外部へ飛散しないので、羽根車全体の破壊には至らない。
【0037】
請求項3記載の発明は、通常の伝達トルク以外の過大トルクがトルク伝達装置に負荷された場合であって、突起物の取付部に過大な応力が発生して亀裂が生じて突起部が破損されても、ターボ機械が備える羽根車以外の構成品への破損が抑制され、修理時には羽根車の交換のみで済ませることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態における過給機のトルク伝達装置を含む主要部の断面図である。
【図2】図1のI−I断面図であって、本発明の第1の実施形態における駆動力伝達壁部の断面図である。
【図3】図1のII−II断面図であって、本発明の第1の実施形態における駆動力伝達部材の断面図である。
【図4】図2の一部拡大斜視図である。
【図5】図3の一部拡大斜視図である。
【図6】従来の過給機のトルク伝達装置を含む主要部の断面図である。
【図7】図6のIII−III断面図であって、従来の駆動力伝達壁部の断面図である。
【図8】図6のIV−IV断面図であって、従来の駆動力伝達部材の断面図である。
【図9】図7の一部拡大斜視図である。
【図10】図8の一部拡大斜視図である。
【符号の説明】
10 過給機(ターボ機械)
11 トルク伝達装置
13 羽根車
14 主軸
15 駆動力伝達壁部
16 スリーブ(駆動力伝達部材)
29 突起部
30 環状壁部
31 凹部
Claims (3)
- 主軸に羽根車が取り付けられ、該羽根車に駆動力伝達壁部が設けられるとともに、前記主軸に駆動力伝達部材が固定され、
前記主軸の回転力を前記駆動力伝達部材を介して前記駆動力伝達壁部に伝達する回転機械のトルク伝達装置であって、
前記駆動力伝達壁部に複数の突起部が設けられ、前記駆動力伝達部材に前記突起部と嵌合する複数の凹部が設けられていることを特徴とする回転機械のトルク伝達装置。 - 前記複数の突起部が、前記駆動力伝達壁部の外周面に半径方向外方へ突出するように環状に配設され、前記駆動力伝達部材は、前記駆動力伝達壁部を囲む環状壁部を有し、該環状壁部に、前記突起部と嵌合する前記複数の凹部が形成されていることを特徴とする請求項1記載の回転機械のトルク伝達装置。
- 請求項1又は2に記載の回転機械のトルク伝達装置を備えていることを特徴とするターボ機械。
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JP2003164967A JP2005003032A (ja) | 2003-06-10 | 2003-06-10 | 回転機械のトルク伝達装置及びターボ機械 |
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JP2003164967A JP2005003032A (ja) | 2003-06-10 | 2003-06-10 | 回転機械のトルク伝達装置及びターボ機械 |
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JP2003164967A Withdrawn JP2005003032A (ja) | 2003-06-10 | 2003-06-10 | 回転機械のトルク伝達装置及びターボ機械 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN103728213A (zh) * | 2013-11-16 | 2014-04-16 | 平湖市永光机械配件有限公司 | 一种粘度机的传动套 |
WO2018198932A1 (ja) * | 2017-04-24 | 2018-11-01 | いすゞ自動車株式会社 | ターボチャージャ用シャフト及びターボチャージャ |
-
2003
- 2003-06-10 JP JP2003164967A patent/JP2005003032A/ja not_active Withdrawn
Cited By (3)
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