JP2005002492A - 連続蒸解釜における蒸解用白液の低減方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】塔状ベッセル型の連続蒸解釜を使用してパルプを生産するにあたり、チップハンギングを防止しつつ、しかも蒸解薬液(白液)の使用量を節減すること。
【解決手段】塔状ベッセル型の連続蒸解釜において、浸透ゾーンAと蒸解ゾーンBとの境界部に設けた上部循環ストレーナー2からベッセルVの頂部へ蒸解薬液の一部を還流させる上部循環ラインL6を設けるとともに、該上部循環ラインL6の循環液から一部の薬液Z6を抜き取り、該抜取り薬液Z6の一部または全部Z60をトップ循環フィードラインL0および/または前記上部循環ラインL6へ供給する。上部循環ラインL6に加えて、前記上部循環ストレーナー2の下方位に設けた中部循環ストレーナー3からベッセルVの頂部へ蒸解薬液の一部を還流させる中部循環ラインL7を設け、前記上部循環ラインL6の循環液からの抜取り薬液Z6の一部または全部Z60を前記中部循環ラインL7へ供給することもできる。
【選択図】図2
【解決手段】塔状ベッセル型の連続蒸解釜において、浸透ゾーンAと蒸解ゾーンBとの境界部に設けた上部循環ストレーナー2からベッセルVの頂部へ蒸解薬液の一部を還流させる上部循環ラインL6を設けるとともに、該上部循環ラインL6の循環液から一部の薬液Z6を抜き取り、該抜取り薬液Z6の一部または全部Z60をトップ循環フィードラインL0および/または前記上部循環ラインL6へ供給する。上部循環ラインL6に加えて、前記上部循環ストレーナー2の下方位に設けた中部循環ストレーナー3からベッセルVの頂部へ蒸解薬液の一部を還流させる中部循環ラインL7を設け、前記上部循環ラインL6の循環液からの抜取り薬液Z6の一部または全部Z60を前記中部循環ラインL7へ供給することもできる。
【選択図】図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本願発明は、細砕リグノセルロース物質からなるパルプ原料を塔状のベッセル内において蒸解薬液で化学的に蒸解して連続的にパルプを生産するための連続蒸解釜における蒸解用白液の低減方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
紙の主成分はパルプで、この主成分を分類すると機械パルプ、古紙(脱墨)パルプ、半化学パルプおよび化学パルプの4種がある。20世紀後半の化学パルプの主な製造法は、「クラフト法(硫酸塩法)」と「ソーダ法」の2アルカリ性蒸解法である。パルプ強度、歩留、蒸解薬液回収の容易さの総合的面においては、ソーダ法よりもクラフト法の方が工業的に、大規模に実施されている。クラフト法の蒸解薬液中には、苛性ソーダと硫化ソーダが主流で白液と称される。クラフトパルプの原料は木材と非木材のリグノセルロース物質であり、その内、木材は広葉樹、針葉樹、非木材はバガス、竹、ケナフ、藁等が含まれている。クラフトパルプの蒸解装置についてはバッチ釜と連続蒸解釜(以下「連釜」と略称する)の2種があり、日本国内では連釜が主流である。さらに、連釜は、2塔(浸透釜と蒸解釜)および1塔蒸解釜の2方式で、いずれの連釜でも気相/液相と液相の2種がある。
【0003】
従来のクラフトパルプ蒸解法を説明するために、例として1塔気相/液相連釜(コンベンショナル連続蒸解釜)の各蒸解ゾーンを図5に記載する。
【0004】
この連釜は、連釜トップからボトムまでの間に、トップセパレーター1、上部循環ストレーナー2、抽出ストレーナー4、中部循環ストレーナー3、下部循環ストレーナー5、アウトレットデバイス6が順次設置されている。一般に、トップセパレーター1から上部循環ストレーナー2の間は浸透ゾーンA、上部循環ストレーナー2から抽出ストレーナー4の間は蒸解ゾーンB、中部循環ストレーナー3から下部循環ストレーナー5の間は洗浄ゾーンCと分かれている。パルプ原料であるチップ(細砕リグノセルロース物質)と蒸解薬液(白液)を含むチップスラーリーは、トップ循環フィードラインFにて連釜トップへ運ばれ、トップセパレーター1で液がトップ循環ポンプへ戻り、チップは釜内に入る。浸透ゾーンAの蒸解液は、上部循環ストレーナー2より抽出され、ヒータ9で加熱後、上部循環ラインL6を経て連釜に再循環せしめられる。同様に、蒸解ゾーンBの蒸解液が中部循環ストレーナー3より抽出され、ヒータ11で加熱後、中部循環ラインL7を経て連釜に再循環せしめられる。下部循環ラインL8でも蒸解液がヒータ13により加熱されて循環せしめられる。図5中、符号8,10,12は蒸解液循環用ポンプである。洗浄ゾーンCの温度は高いため、ハイヒート洗浄ゾーンと呼ばれ、洗浄水及び蒸解黒液(Z0)は抽出ストレーナー4より抽出され、フラッシュサイクロンにて廃蒸気を回収した後、蒸解薬品回収工程へ流送される。一方、蒸解パルプは、アウトレットデバイス6より抜き取られる。
【0005】
従来のコンベンショナル蒸解法というクラフトパルプ製造法では、バッチ釜、連釜、いずれであっても処理の最初のところで蒸解用白液の全量が注入され、蒸解が進行すると白液がパルプ化反応にて消費され、蒸解終期でのアルカリ濃度が減少する。しかし、溶解したリグニンは、パルプへの再吸着を防止するため、ある程度の残留アルカリが必要となる。また、コンベンショナル連釜の場合においては、白液とチップは、連釜トップからボトムまで併流する。
【0006】
一方、1970年代後半から1980年代初期にかけてスェーデンの林産研究所(STFI)の A. Teder らが、アルカリ推移の「平準化」という技術を発明した。これは、蒸解初期アルカリ濃度を減少し、蒸解終期アルカリ濃度を増加させる技術である。蒸解工程中のアルカリ濃度を平準化するには、白液を導入し、黒液(蒸解廃液)を抽出することが必要になる。これにより、白液分割添加と向流蒸解(MCCゾーンという)とを特徴とするこの方法は、「修正蒸解法(MCC法)」と呼ばれている(Svensk Papperstidning 81(15):483(1978);Ibidem 87(10):30(1984);Tappi Journal 62(7):49(1979))。MCC法は、未晒パルプの粘度を保持しながら残留リグニン(カッパー価)を減少させることを可能にする方法として知られている。
【0007】
なお、白液分割添加と向流蒸解とを行うクラフトパルプ製造法としては、上記のMCC法のほかに、いわゆるEMCC法(拡張修正蒸解法)、ITC法(全釜等温蒸解法)、Lo−Solids(溶解有機固形分の減少化)蒸解法等が知られている。
【0008】
本願発明者は、上記例示のような各種蒸解法におけるいわゆる「チップハンギング」の問題に着目し、さきの特許出願(特願2003−93759および特願2003−150012)において当該「チップハンギング」を解消するための一方法を提案しておいた。
【0009】
「チップハンギング」というのは、塔状のベッセルV内において、チップの塊が成長し、チップの降下が円滑にいかなくなる現象であるが、上記さきの特許出願の中では、図5中における上部循環ラインL6から循環液の一部Z6(二点鎖線図示)を抜き取って連釜内の液比(連釜内の液、すなわち蒸解薬液、チップ中の水分及び蒸気による凝縮物の総合液、と原料チップとの比率)を調節することにより、「チップハンギング」の発生を防止するようにしている。なお、図5において、※ ※間は、二点鎖線(抜取り薬液Z6の抜取りライン)が連続していることを示す。
【0010】
なお、上記特許出願の場合においては、上部循環ラインL6から抜き取られた抜取り薬液Z6は、抽出ストレーナー4から抜き取られる蒸解薬液(黒液)とともに蒸解薬品回収工程ラインへ送られるようにされている。
【0011】
ところで、クラフト蒸解法で使用される白液は、主に苛性ソーダと硫化ソーダで生成され、これらの2組成を合わせたものを活性アルカリ(AA)というが、図5の装置例においては、上部循環ラインL6を循環する循環液からの抜取り薬液Z6は残留AAがなお相当に高水準であって、これをこのまま蒸解薬品回収工程ラインへ送ることについては、蒸解薬液の効率的利用の見地から一考の余地がある。
【0012】
<白液の活性アルカリ(AA)>
なお、本願発明による蒸解薬液の効率的利用にあたっては、蒸解薬液(白液という)の苛性ソーダ(NaOH)、硫化ソーダ(Na2S)、炭酸ソーダ(Na2CO3)は、米国 Tappi Standard Methods T624 os−68方法により測定した。(AA=NaOH+Na2S、g/l、Na2O換算)。
【0013】
<黒液中の残留AAの測定>
また、黒液中の残留AAについては、米国 Tappi Standard Methods T625 cm−85方法により測定した。
【0014】
本願発明は、このような観点に基づいてなされたもので、さきの特許出願においては上部循環ラインL6の循環液からの抜取り薬液Z6をそのまま蒸解薬品回収工程ラインへ送っていたものを、当該抜取り薬液Z6の一部または全部を活性アルカリとして利用し、もって白液使用量を節減しようとするものである。
【0015】
なお、連続蒸解釜におけるチップハンギング現象とその検知法に言及した公知文献としては、たとえば特開平8−247859号公報がある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
以下、図1、図2、図3及び図4に示す装置例(塔状ベッセル型連続蒸解釜)を参照しつつ本願発明の内容を説明する。
【0017】
先ず、図1、図2、図3及び図4において符号Vは塔状のベッセルであり、同塔状ベッセルVの頂部には、トップ循環フィードラインL0により細砕リグノセルロース物質からなるパルプ原料と蒸解薬液(白液)とが供給される。図1、図2、図3及び図4に示す装置例では、塔状ベッセル内の上部からトップセパレーター1、上部循環ストレーナー2、中部循環ストレーナー3、抽出ストレーナー4、下部循環ストレーナー5が設けられ、最下部にアウトレットデバイス6が設けられている。図示の装置例では、塔状ベッセルV内において、パルプ原料中に蒸解薬液を浸透させる浸透ゾーンAと、パルプ原料中のリグニン成分を蒸解薬液中に溶解分離させる蒸解ゾーンBと、パルプ原料中のセルロース成分を洗浄する洗浄ゾーンCとが形成される。そして、蒸解薬液中にパルプ原料から分離したリグニン成分を含んで生成される黒液がベッセルVの中段部に設けた抽出ストレーナー4から抽出され、セルロース成分がアウトレットデバイス6から取り出される。
【0018】
図1、図2、図3及び図4に示す装置例では、浸透ゾーンAと前記蒸解ゾーンBとの境界部に設けた上部循環ストレーナー2からベッセルVの頂部へ蒸解薬液の一部を還流させる上部循環ラインL6と上部循環ストレーナー2の下方位に設けた中部循環ストレーナー3からベッセルVの頂部へ蒸解薬液の一部を還流させる中部循環ラインL7とが設けられている。
【0019】
本願発明では、上記図示のような装置例(塔状ベッセル型連続蒸解釜)において、チップハンギングの防止のために上部循環ラインL6の循環液から一部の薬液Z6を抜き取る一方、さらに該抜取り薬液Z6の一部または全部Z60を以下に示すような各種方法で、必要に応じて、トップ循環フィードラインL0、上部循環ラインL6、中部循環ラインL7等に還流させ、それによってそれらの各循環ライン(L0,L6,L7)へ供給されるべき白液を低減させることを基本思想とする。なお、図1,図2,図3及び図4において、※ ※間は、抜取り薬液Z6の抜取りラインLZ6が連続していることを示す。
【0020】
この場合、上部循環ラインL6からの抜取り薬液Z60の量は、循環液全体量の3〜12%とするのがよく、その場合の白液総節減量は、本願発明者らの知見によれば、3〜15%を見込むことができる。
【0021】
なお、図1、図2、図3及び図4においては、本件出願人の先行特許出願(特願2003−93759号)にかかる改良コンベンショナル蒸解法による装置例が示されているが、本願発明が対象とする連続蒸解釜における蒸解用白液の低減方法は、図示例示の改良コンベンショナル連続蒸解釜に限らず、その他の形式の塔状ベッセル型連続蒸解釜、たとえば、いわゆるMCC法、EMCC法、ITC法、Lo−Solids法等の蒸解法による連続蒸解釜にも適用することができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
続いて、図1、図2、図3及び図4に示す装置例について、さらに詳しく説明する。
【0023】
<図1および図2の装置例における共通部分についての説明>
図1および図2の装置例において、上部循環ラインL6から抜き取られた抜取り薬液Z6は、抜き取り薬液ラインLZ6を通ってマロンフィルターMFへ送られるが、そのうちの一部(または全部)Z60が、薬液還流ラインLZ60側へ分流せしめられる。薬液還流ラインLZ60へ分流せしめられた薬液Z60は、フラッシュサイクロン25において気液分離されたあと、熱交換器26へ送られて、熱交換用給水ラインLcによって送られてくる冷水C1と熱交換してこれを温水(C2)化する(熱回収)。
【0024】
熱交換器26を通過した抜取り薬液Z60は、後述のバルブ31を介して薬液還流ラインLZ60に連続する薬液還流ラインLZ61により、トップ循環フィードラインL0へ蒸解薬液(白液)W0を供給するための白液供給ラインLW0へ供給される(Z61)。図1、図2において、符号31は、白液供給ラインLW0に対する供給薬液Z61の流入および流量を制御するためのバルブである。このようにして、白液供給ラインLW0へ供給された薬液Z61は、その残存活性アルカリ(AA)により、本来的に供給されるべき白液(W0)の量を低減させることができる。
【0025】
なお、図1および図2において、共通に付されている符号について説明すると、符号30,34,35はバルブ、8,10,12,51〜58はポンプ、61,62,63はヒータを示している。
【0026】
<図2の装置例についての説明>
図2の装置例では、以上説明した構成のほかに、次のような構成をそなえている。
【0027】
すなわち、図2の装置例では、薬液還流ラインLZ60(熱交換器26の後)から分岐してさらに2つの薬液還流ラインLZ62および同薬液還流ラインLZ63が設けられている。
【0028】
一方の薬液還流ラインLZ62は、バルブ32を介して薬液還流ラインLZ60と上部循環ラインL6とを連絡するものであり、他方の薬液還流ラインLZ63は、バルブ33を介して薬液還流ラインLZ60と中部循環ラインL7とを連絡している。
【0029】
図2の装置例では、次のように作用する。すなわち、バルブ32、同33を閉じて、バルブ31のみを開とすれば、図1の装置例の場合と同じように、抜取り薬液Z61が白液供給ラインLW0へ供給されて白液供給ラインLW0へ供給すべき白液W0を節減または省略することができ(他の薬液還流ラインLZ62および同LZ63には供給されない)、また、バルブ31、同33を閉じて、バルブ32のみを開とすれば、薬液還流ラインLZ62を介して抜取り薬液Z62が上部循環ラインL6へ供給され、上部循環ラインL6へ供給されるべき白液W6を節減または省略することができる(他の薬液還流ラインLZ61および同LZ63には供給されない)。さらに、バルブ31、同32を閉じてバルブ33のみを開とすれば、薬液還流ラインLZ63を介して抜取り薬液Z63が中部循環ラインL7に供給されて、中部循環ラインL7へ供給されるべき白液W7を節減または省略することができる。
【0030】
この場合、バルブ31,32,33をそれぞれ流量調節可能な制御弁としておけば、それらのバルブ31,32,33の流量を個別に調節することにより、抜き取り薬液ラインLZ61,LZ62,またはLZ63へ流通させる薬液の量を個別に調節することができ、それによって、トップ循環フィードラインL0、上部循環ラインL6または中部循環ラインL7へ供給すべき白液W0,W6またはW7の供給量を個別に調節することができる。
【0031】
<図3の装置例についての説明>
図3の装置例は、以上説明した図1の構成から、図1でのフラッシュサイクロン25及びポンプ56を省略して、抜き取り薬液ラインLZ6から分岐させた薬液還流ラインLZ60を直接熱交換器26へ接続した構成を示しており、その他の構成および作用は図1のものと同じである。
【0032】
<図4の装置例についての説明>
図4の装置例は、以上説明した図2の構成から、図2でのフラッシュサイクロン25及びポンプ56を省略して、抜き取り薬液ラインLZ6から分岐させた薬液還流ラインLZ60を直接熱交換器26へ接続した構成を示しており、その他の構成および作用は図2のものと同じである。
【0033】
【実施例】
以下、本願発明を応用した実施例1,2と、それに対する比較例1,2を示す。
【0034】
備考:
1)白液中の活性アルカリ;109.3g/l(Na2O換算)
2)上部循環ラインL6循環液中の残留活性アルカリ;57.89g/l(Na2O換算)
【0035】
【発明の効果】
本願発明の連続蒸解釜における蒸解用白液の低減方法によれば、次のような効果がある。
【0036】
(1) 上部循環ラインL6から循環液の一部を抜き取ることにより、塔状ベッセル型連続蒸解釜におけるチップハンギング現象の発生を可及的に防止することができる。
【0037】
(2) 上部循環ラインL6からの抜取り薬液の一部又は全部Z60を必要に応じて、トップ循環フィードラインL0、上部循環ラインL6、中部循環ラインL7等へ選択的に供給することにより、それらのトップ循環フィードラインL0、上部循環ラインL6、中部循環ラインL7等に供給されるべき蒸解薬液(白液)の量を節減することができ、各種形式の塔状ベッセル型の連続蒸解釜の操業コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明の実施例にかかる塔状ベッセル型連続蒸解釜を用いたパルプ連続製造方法における蒸解用白液の低減方法の概念図である。
【図2】本願発明の他の実施例にかかる塔状ベッセル型連続蒸解釜における蒸解用白液の低減方法の概念図である。
【図3】本願発明のさらに他の実施例にかかる塔状ベッセル型連続蒸解釜を用いたパルプ連続製造方法における蒸解用白液の低減方法の概念図である。
【図4】本願発明のさらに他の実施例にかかる塔状ベッセル型連続蒸解釜における蒸解用白液の低減方法の概念図である。
【図5】従来の塔状ベッセル型連続蒸解釜の概念図である。
【符号の説明】
1はトップセパレーター、2は上部循環ストレーナー、3は中部循環ストレーナー、4は抽出ストレーナー、5は下部循環ストレーナー、6はアウトレットデバイス、Aは浸透ゾーン、Bは蒸解ゾーン、Cは洗浄ゾーン、L0はトップ循環フィードライン、L6は上部循環ライン、L7は中部循環ライン、L8は下部循環ライン、LW0は白液供給ライン、LZ6は抜き取り薬液ライン、LZ60,LZ61,LZ62,LZ63は薬液還流ライン、Z6,Z60,Z61,Z62,Z63は抜取り薬液、Vはベッセル、W0,W6,W7は蒸解薬液(白液)である。
【発明の属する技術分野】
本願発明は、細砕リグノセルロース物質からなるパルプ原料を塔状のベッセル内において蒸解薬液で化学的に蒸解して連続的にパルプを生産するための連続蒸解釜における蒸解用白液の低減方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
紙の主成分はパルプで、この主成分を分類すると機械パルプ、古紙(脱墨)パルプ、半化学パルプおよび化学パルプの4種がある。20世紀後半の化学パルプの主な製造法は、「クラフト法(硫酸塩法)」と「ソーダ法」の2アルカリ性蒸解法である。パルプ強度、歩留、蒸解薬液回収の容易さの総合的面においては、ソーダ法よりもクラフト法の方が工業的に、大規模に実施されている。クラフト法の蒸解薬液中には、苛性ソーダと硫化ソーダが主流で白液と称される。クラフトパルプの原料は木材と非木材のリグノセルロース物質であり、その内、木材は広葉樹、針葉樹、非木材はバガス、竹、ケナフ、藁等が含まれている。クラフトパルプの蒸解装置についてはバッチ釜と連続蒸解釜(以下「連釜」と略称する)の2種があり、日本国内では連釜が主流である。さらに、連釜は、2塔(浸透釜と蒸解釜)および1塔蒸解釜の2方式で、いずれの連釜でも気相/液相と液相の2種がある。
【0003】
従来のクラフトパルプ蒸解法を説明するために、例として1塔気相/液相連釜(コンベンショナル連続蒸解釜)の各蒸解ゾーンを図5に記載する。
【0004】
この連釜は、連釜トップからボトムまでの間に、トップセパレーター1、上部循環ストレーナー2、抽出ストレーナー4、中部循環ストレーナー3、下部循環ストレーナー5、アウトレットデバイス6が順次設置されている。一般に、トップセパレーター1から上部循環ストレーナー2の間は浸透ゾーンA、上部循環ストレーナー2から抽出ストレーナー4の間は蒸解ゾーンB、中部循環ストレーナー3から下部循環ストレーナー5の間は洗浄ゾーンCと分かれている。パルプ原料であるチップ(細砕リグノセルロース物質)と蒸解薬液(白液)を含むチップスラーリーは、トップ循環フィードラインFにて連釜トップへ運ばれ、トップセパレーター1で液がトップ循環ポンプへ戻り、チップは釜内に入る。浸透ゾーンAの蒸解液は、上部循環ストレーナー2より抽出され、ヒータ9で加熱後、上部循環ラインL6を経て連釜に再循環せしめられる。同様に、蒸解ゾーンBの蒸解液が中部循環ストレーナー3より抽出され、ヒータ11で加熱後、中部循環ラインL7を経て連釜に再循環せしめられる。下部循環ラインL8でも蒸解液がヒータ13により加熱されて循環せしめられる。図5中、符号8,10,12は蒸解液循環用ポンプである。洗浄ゾーンCの温度は高いため、ハイヒート洗浄ゾーンと呼ばれ、洗浄水及び蒸解黒液(Z0)は抽出ストレーナー4より抽出され、フラッシュサイクロンにて廃蒸気を回収した後、蒸解薬品回収工程へ流送される。一方、蒸解パルプは、アウトレットデバイス6より抜き取られる。
【0005】
従来のコンベンショナル蒸解法というクラフトパルプ製造法では、バッチ釜、連釜、いずれであっても処理の最初のところで蒸解用白液の全量が注入され、蒸解が進行すると白液がパルプ化反応にて消費され、蒸解終期でのアルカリ濃度が減少する。しかし、溶解したリグニンは、パルプへの再吸着を防止するため、ある程度の残留アルカリが必要となる。また、コンベンショナル連釜の場合においては、白液とチップは、連釜トップからボトムまで併流する。
【0006】
一方、1970年代後半から1980年代初期にかけてスェーデンの林産研究所(STFI)の A. Teder らが、アルカリ推移の「平準化」という技術を発明した。これは、蒸解初期アルカリ濃度を減少し、蒸解終期アルカリ濃度を増加させる技術である。蒸解工程中のアルカリ濃度を平準化するには、白液を導入し、黒液(蒸解廃液)を抽出することが必要になる。これにより、白液分割添加と向流蒸解(MCCゾーンという)とを特徴とするこの方法は、「修正蒸解法(MCC法)」と呼ばれている(Svensk Papperstidning 81(15):483(1978);Ibidem 87(10):30(1984);Tappi Journal 62(7):49(1979))。MCC法は、未晒パルプの粘度を保持しながら残留リグニン(カッパー価)を減少させることを可能にする方法として知られている。
【0007】
なお、白液分割添加と向流蒸解とを行うクラフトパルプ製造法としては、上記のMCC法のほかに、いわゆるEMCC法(拡張修正蒸解法)、ITC法(全釜等温蒸解法)、Lo−Solids(溶解有機固形分の減少化)蒸解法等が知られている。
【0008】
本願発明者は、上記例示のような各種蒸解法におけるいわゆる「チップハンギング」の問題に着目し、さきの特許出願(特願2003−93759および特願2003−150012)において当該「チップハンギング」を解消するための一方法を提案しておいた。
【0009】
「チップハンギング」というのは、塔状のベッセルV内において、チップの塊が成長し、チップの降下が円滑にいかなくなる現象であるが、上記さきの特許出願の中では、図5中における上部循環ラインL6から循環液の一部Z6(二点鎖線図示)を抜き取って連釜内の液比(連釜内の液、すなわち蒸解薬液、チップ中の水分及び蒸気による凝縮物の総合液、と原料チップとの比率)を調節することにより、「チップハンギング」の発生を防止するようにしている。なお、図5において、※ ※間は、二点鎖線(抜取り薬液Z6の抜取りライン)が連続していることを示す。
【0010】
なお、上記特許出願の場合においては、上部循環ラインL6から抜き取られた抜取り薬液Z6は、抽出ストレーナー4から抜き取られる蒸解薬液(黒液)とともに蒸解薬品回収工程ラインへ送られるようにされている。
【0011】
ところで、クラフト蒸解法で使用される白液は、主に苛性ソーダと硫化ソーダで生成され、これらの2組成を合わせたものを活性アルカリ(AA)というが、図5の装置例においては、上部循環ラインL6を循環する循環液からの抜取り薬液Z6は残留AAがなお相当に高水準であって、これをこのまま蒸解薬品回収工程ラインへ送ることについては、蒸解薬液の効率的利用の見地から一考の余地がある。
【0012】
<白液の活性アルカリ(AA)>
なお、本願発明による蒸解薬液の効率的利用にあたっては、蒸解薬液(白液という)の苛性ソーダ(NaOH)、硫化ソーダ(Na2S)、炭酸ソーダ(Na2CO3)は、米国 Tappi Standard Methods T624 os−68方法により測定した。(AA=NaOH+Na2S、g/l、Na2O換算)。
【0013】
<黒液中の残留AAの測定>
また、黒液中の残留AAについては、米国 Tappi Standard Methods T625 cm−85方法により測定した。
【0014】
本願発明は、このような観点に基づいてなされたもので、さきの特許出願においては上部循環ラインL6の循環液からの抜取り薬液Z6をそのまま蒸解薬品回収工程ラインへ送っていたものを、当該抜取り薬液Z6の一部または全部を活性アルカリとして利用し、もって白液使用量を節減しようとするものである。
【0015】
なお、連続蒸解釜におけるチップハンギング現象とその検知法に言及した公知文献としては、たとえば特開平8−247859号公報がある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
以下、図1、図2、図3及び図4に示す装置例(塔状ベッセル型連続蒸解釜)を参照しつつ本願発明の内容を説明する。
【0017】
先ず、図1、図2、図3及び図4において符号Vは塔状のベッセルであり、同塔状ベッセルVの頂部には、トップ循環フィードラインL0により細砕リグノセルロース物質からなるパルプ原料と蒸解薬液(白液)とが供給される。図1、図2、図3及び図4に示す装置例では、塔状ベッセル内の上部からトップセパレーター1、上部循環ストレーナー2、中部循環ストレーナー3、抽出ストレーナー4、下部循環ストレーナー5が設けられ、最下部にアウトレットデバイス6が設けられている。図示の装置例では、塔状ベッセルV内において、パルプ原料中に蒸解薬液を浸透させる浸透ゾーンAと、パルプ原料中のリグニン成分を蒸解薬液中に溶解分離させる蒸解ゾーンBと、パルプ原料中のセルロース成分を洗浄する洗浄ゾーンCとが形成される。そして、蒸解薬液中にパルプ原料から分離したリグニン成分を含んで生成される黒液がベッセルVの中段部に設けた抽出ストレーナー4から抽出され、セルロース成分がアウトレットデバイス6から取り出される。
【0018】
図1、図2、図3及び図4に示す装置例では、浸透ゾーンAと前記蒸解ゾーンBとの境界部に設けた上部循環ストレーナー2からベッセルVの頂部へ蒸解薬液の一部を還流させる上部循環ラインL6と上部循環ストレーナー2の下方位に設けた中部循環ストレーナー3からベッセルVの頂部へ蒸解薬液の一部を還流させる中部循環ラインL7とが設けられている。
【0019】
本願発明では、上記図示のような装置例(塔状ベッセル型連続蒸解釜)において、チップハンギングの防止のために上部循環ラインL6の循環液から一部の薬液Z6を抜き取る一方、さらに該抜取り薬液Z6の一部または全部Z60を以下に示すような各種方法で、必要に応じて、トップ循環フィードラインL0、上部循環ラインL6、中部循環ラインL7等に還流させ、それによってそれらの各循環ライン(L0,L6,L7)へ供給されるべき白液を低減させることを基本思想とする。なお、図1,図2,図3及び図4において、※ ※間は、抜取り薬液Z6の抜取りラインLZ6が連続していることを示す。
【0020】
この場合、上部循環ラインL6からの抜取り薬液Z60の量は、循環液全体量の3〜12%とするのがよく、その場合の白液総節減量は、本願発明者らの知見によれば、3〜15%を見込むことができる。
【0021】
なお、図1、図2、図3及び図4においては、本件出願人の先行特許出願(特願2003−93759号)にかかる改良コンベンショナル蒸解法による装置例が示されているが、本願発明が対象とする連続蒸解釜における蒸解用白液の低減方法は、図示例示の改良コンベンショナル連続蒸解釜に限らず、その他の形式の塔状ベッセル型連続蒸解釜、たとえば、いわゆるMCC法、EMCC法、ITC法、Lo−Solids法等の蒸解法による連続蒸解釜にも適用することができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
続いて、図1、図2、図3及び図4に示す装置例について、さらに詳しく説明する。
【0023】
<図1および図2の装置例における共通部分についての説明>
図1および図2の装置例において、上部循環ラインL6から抜き取られた抜取り薬液Z6は、抜き取り薬液ラインLZ6を通ってマロンフィルターMFへ送られるが、そのうちの一部(または全部)Z60が、薬液還流ラインLZ60側へ分流せしめられる。薬液還流ラインLZ60へ分流せしめられた薬液Z60は、フラッシュサイクロン25において気液分離されたあと、熱交換器26へ送られて、熱交換用給水ラインLcによって送られてくる冷水C1と熱交換してこれを温水(C2)化する(熱回収)。
【0024】
熱交換器26を通過した抜取り薬液Z60は、後述のバルブ31を介して薬液還流ラインLZ60に連続する薬液還流ラインLZ61により、トップ循環フィードラインL0へ蒸解薬液(白液)W0を供給するための白液供給ラインLW0へ供給される(Z61)。図1、図2において、符号31は、白液供給ラインLW0に対する供給薬液Z61の流入および流量を制御するためのバルブである。このようにして、白液供給ラインLW0へ供給された薬液Z61は、その残存活性アルカリ(AA)により、本来的に供給されるべき白液(W0)の量を低減させることができる。
【0025】
なお、図1および図2において、共通に付されている符号について説明すると、符号30,34,35はバルブ、8,10,12,51〜58はポンプ、61,62,63はヒータを示している。
【0026】
<図2の装置例についての説明>
図2の装置例では、以上説明した構成のほかに、次のような構成をそなえている。
【0027】
すなわち、図2の装置例では、薬液還流ラインLZ60(熱交換器26の後)から分岐してさらに2つの薬液還流ラインLZ62および同薬液還流ラインLZ63が設けられている。
【0028】
一方の薬液還流ラインLZ62は、バルブ32を介して薬液還流ラインLZ60と上部循環ラインL6とを連絡するものであり、他方の薬液還流ラインLZ63は、バルブ33を介して薬液還流ラインLZ60と中部循環ラインL7とを連絡している。
【0029】
図2の装置例では、次のように作用する。すなわち、バルブ32、同33を閉じて、バルブ31のみを開とすれば、図1の装置例の場合と同じように、抜取り薬液Z61が白液供給ラインLW0へ供給されて白液供給ラインLW0へ供給すべき白液W0を節減または省略することができ(他の薬液還流ラインLZ62および同LZ63には供給されない)、また、バルブ31、同33を閉じて、バルブ32のみを開とすれば、薬液還流ラインLZ62を介して抜取り薬液Z62が上部循環ラインL6へ供給され、上部循環ラインL6へ供給されるべき白液W6を節減または省略することができる(他の薬液還流ラインLZ61および同LZ63には供給されない)。さらに、バルブ31、同32を閉じてバルブ33のみを開とすれば、薬液還流ラインLZ63を介して抜取り薬液Z63が中部循環ラインL7に供給されて、中部循環ラインL7へ供給されるべき白液W7を節減または省略することができる。
【0030】
この場合、バルブ31,32,33をそれぞれ流量調節可能な制御弁としておけば、それらのバルブ31,32,33の流量を個別に調節することにより、抜き取り薬液ラインLZ61,LZ62,またはLZ63へ流通させる薬液の量を個別に調節することができ、それによって、トップ循環フィードラインL0、上部循環ラインL6または中部循環ラインL7へ供給すべき白液W0,W6またはW7の供給量を個別に調節することができる。
【0031】
<図3の装置例についての説明>
図3の装置例は、以上説明した図1の構成から、図1でのフラッシュサイクロン25及びポンプ56を省略して、抜き取り薬液ラインLZ6から分岐させた薬液還流ラインLZ60を直接熱交換器26へ接続した構成を示しており、その他の構成および作用は図1のものと同じである。
【0032】
<図4の装置例についての説明>
図4の装置例は、以上説明した図2の構成から、図2でのフラッシュサイクロン25及びポンプ56を省略して、抜き取り薬液ラインLZ6から分岐させた薬液還流ラインLZ60を直接熱交換器26へ接続した構成を示しており、その他の構成および作用は図2のものと同じである。
【0033】
【実施例】
以下、本願発明を応用した実施例1,2と、それに対する比較例1,2を示す。
【0034】
備考:
1)白液中の活性アルカリ;109.3g/l(Na2O換算)
2)上部循環ラインL6循環液中の残留活性アルカリ;57.89g/l(Na2O換算)
【0035】
【発明の効果】
本願発明の連続蒸解釜における蒸解用白液の低減方法によれば、次のような効果がある。
【0036】
(1) 上部循環ラインL6から循環液の一部を抜き取ることにより、塔状ベッセル型連続蒸解釜におけるチップハンギング現象の発生を可及的に防止することができる。
【0037】
(2) 上部循環ラインL6からの抜取り薬液の一部又は全部Z60を必要に応じて、トップ循環フィードラインL0、上部循環ラインL6、中部循環ラインL7等へ選択的に供給することにより、それらのトップ循環フィードラインL0、上部循環ラインL6、中部循環ラインL7等に供給されるべき蒸解薬液(白液)の量を節減することができ、各種形式の塔状ベッセル型の連続蒸解釜の操業コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明の実施例にかかる塔状ベッセル型連続蒸解釜を用いたパルプ連続製造方法における蒸解用白液の低減方法の概念図である。
【図2】本願発明の他の実施例にかかる塔状ベッセル型連続蒸解釜における蒸解用白液の低減方法の概念図である。
【図3】本願発明のさらに他の実施例にかかる塔状ベッセル型連続蒸解釜を用いたパルプ連続製造方法における蒸解用白液の低減方法の概念図である。
【図4】本願発明のさらに他の実施例にかかる塔状ベッセル型連続蒸解釜における蒸解用白液の低減方法の概念図である。
【図5】従来の塔状ベッセル型連続蒸解釜の概念図である。
【符号の説明】
1はトップセパレーター、2は上部循環ストレーナー、3は中部循環ストレーナー、4は抽出ストレーナー、5は下部循環ストレーナー、6はアウトレットデバイス、Aは浸透ゾーン、Bは蒸解ゾーン、Cは洗浄ゾーン、L0はトップ循環フィードライン、L6は上部循環ライン、L7は中部循環ライン、L8は下部循環ライン、LW0は白液供給ライン、LZ6は抜き取り薬液ライン、LZ60,LZ61,LZ62,LZ63は薬液還流ライン、Z6,Z60,Z61,Z62,Z63は抜取り薬液、Vはベッセル、W0,W6,W7は蒸解薬液(白液)である。
Claims (3)
- 塔状のベッセルV頂部にトップ循環フィードラインL0から細砕リグノセルロース物質からなるパルプ原料と蒸解薬液となる白液とが供給されるとともに、前記ベッセルV内において、パルプ原料中に蒸解薬液を浸透させる浸透ゾーンAと、パルプ原料中のリグニン成分を蒸解薬液中に溶解分離させる蒸解ゾーンBと、パルプ原料中のセルロース成分を洗浄する洗浄ゾーンCとが形成されて、前記蒸解薬液中にパルプ原料から分離したリグニン成分を含んで生成される黒液がベッセルVの中段部に設けた抽出ストレーナー4から抽出され、セルロース成分がベッセルVの下段部に設けたアウトレットデバイス6から取り出されるようにした塔状ベッセル型の連続蒸解釜において、前記浸透ゾーンAと前記蒸解ゾーンBとの境界部に設けた上部循環ストレーナー2からベッセルVの頂部へ蒸解薬液の一部を還流させる上部循環ラインL6を設けるとともに、該上部循環ラインL6の循環液から一部の薬液Z6を抜き取り、該抜取り薬液Z6の一部または全部Z60を前記トップ循環フィードラインL0および/または前記上部循環ラインL6へ供給することを特徴とする連続蒸解釜における蒸解用白液の低減方法。
- 塔状のベッセルV頂部にトップ循環フィードラインL0から細砕リグノセルロース物質からなるパルプ原料と蒸解薬液となる白液とが供給されるとともに、前記ベッセルV内において、パルプ原料中に蒸解薬液を浸透させる浸透ゾーンAと、パルプ原料中のリグニン成分を蒸解薬液中に溶解分離させる蒸解ゾーンBと、パルプ原料中のセルロース成分を洗浄する洗浄ゾーンCとが形成されて、前記蒸解薬液中にパルプ原料から分離したリグニン成分を含んで生成される黒液がベッセルVの中段部に設けた抽出ストレーナー4から抽出され、セルロース成分がベッセルVの下段部に設けたアウトレットデバイス6から取り出されるようにした塔状ベッセル型の連続蒸解釜において、前記浸透ゾーンAと前記蒸解ゾーンBとの境界部に設けた上部循環ストレーナー2からベッセルVの頂部へ蒸解薬液の一部を還流させる上部循環ラインL6と前記上部循環ストレーナー2の下方位に設けた中部循環ストレーナー3からベッセルVの頂部へ蒸解薬液の一部を還流させる中部循環ラインL7とを設ける一方、前記上部循環ラインL6の循環液から一部の薬液Z6を抜き取り、該抜取り薬液Z6の一部または全部Z60を前記中部循環ラインL7へ供給することを特徴とする連続蒸解釜における蒸解用白液の低減方法。
- 前記抜取り薬液Z6の一部または全部Z60を前記トップ循環フィードラインL0および/または前記上部循環ラインL6へも供給することを特徴とする請求項2記載の連続蒸解釜における蒸解用白液の低減方法。
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