JP2005002171A - 熱硬化性ポリウレタン組成物及び該組成物を用いて得られるoa機器用ロール又はベルト - Google Patents
熱硬化性ポリウレタン組成物及び該組成物を用いて得られるoa機器用ロール又はベルト Download PDFInfo
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Abstract
【課題】JIS A硬度が25〜40の低硬度で実質的に圧縮永久歪みがなく可塑剤等のブリードがないエラストマーが得られる熱硬化性ポリウレタン組成物を提供する。
【解決手段】ジフェニルメタンジイソシアネートと数平均分子量が1000〜5000のポリオキシテトラメチレングリコールを反応させて得られるNCO基末端プレポリマーを主成分とする主剤とペンタエリスリトール系の水酸基価が25〜25のポリエーテルポリオールからなる硬化剤とからなる組成物であって、架橋剤濃度が0.10〜0.25mmol/grである熱硬化性ポリウレタン組成物により解決する。
【選択図】 なし。
【解決手段】ジフェニルメタンジイソシアネートと数平均分子量が1000〜5000のポリオキシテトラメチレングリコールを反応させて得られるNCO基末端プレポリマーを主成分とする主剤とペンタエリスリトール系の水酸基価が25〜25のポリエーテルポリオールからなる硬化剤とからなる組成物であって、架橋剤濃度が0.10〜0.25mmol/grである熱硬化性ポリウレタン組成物により解決する。
【選択図】 なし。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は圧縮歪みの小さいエラストマー用ポリウレタン組成物、それより得られるOA機器用ロール又はベルトに関するもので、さらには適度の硬さであり、低歪み時の、圧縮永久歪みが十分低い、表面仕上がりが良好な熱硬化型のOA機器ロール又はベルト用ポリウレタン組成物およびOA機器用ロール又はベルトに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ポリウレタンエラストマーは機械的強度や耐摩耗性に優れ、その加工のしやすさや硬化物の硬度がJIS A硬度で20〜100とバリエーションが豊富なことから工業用ロールやベルトをはじめ、自動車用部材、OA機器用部材など多方面に使用されてきている。低硬度ロールには従来からニトリルブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、エチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM)等の一般ゴム部材や、シリコーン樹脂が使用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前者は老化防止剤や反応促進剤、可塑剤を必要とし、ロール表面におけるブリード現象によって接触物を汚染したり、耐オゾン性に劣るという問題があり、後者についても耐久性が悪いことや高価である問題があった。こういった中で近年、JIS A硬度で25〜40程度の低硬度ロール用のウレタンエラストマーに対する需要が増えつつあり、その中で性能的にも加工性にも優れ低硬度で実質的に圧縮永久歪みのない、さらに表面で可塑剤や未反応物のブリードが無いことなどが求められてきている。
【0004】
例えば可塑剤を含まず、低硬度、低圧縮永久歪みを特徴とするローラとして、特開平7−110617号には官能基数2〜3、平均分子量1000〜3000のポリオールとひまし油系ポリオールおよびイソシアネートを反応させてなるエラストマーを主弾性層材料とする帯電ローラが提案され、また特開平8−151423号にはJIS A硬度で10以下という低硬度範囲において、MDI及び変性MDIと多官能ポリプロピレングリコールから得られる圧縮永久歪みが5%以下(但し、圧縮率25%)という軟質ポリウレタンエラストマー成型品の提案がある。
【0005】
更に表面粘着性を改善したものとして特開平9−114190号には脂肪族イソシアネートと導電性付与剤を分散させたポリオールとを反応させて得られる導電性ローラが提案されている。また特開平9−176269号にはポリイソシアネートとポリオールとの重合反応により生成されるウレタン結合を含むポリウレタン樹脂を主材としてなり、アスカーC硬度が85°以下、圧縮永久歪みが6%以下、アセトン抽出量が4%以下であることを特徴とする弾性材料から得られる弾性ローラが提案されている。しかしながら現状では十分に満足する低硬度ロール用のウレタンエラストマーは得られていない。
【0006】
本発明の課題は上記問題点に鑑み、実質的に可塑剤を含まず、25〜40のJIS A硬度を有し、圧縮永久歪みが十分低い、作業性に優れた、表面性が良好な熱硬化型の低硬度ポリウレタン組成物、それより得られるポリウレタンエラストマーおよび低硬度ロールを提供することにある。
【0007】
【特許文献1】
特開平8−151423号公報
【特許文献2】
特開平7−110617号公報
【特許文献3】
特開平9−114190号公報
【特許文献4】
特開平9−176269号公報
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は下記の(1)〜(5)に記載されたものである。
発明(1)
ジフェエニルメタンジイソシアネート(A)と数平均分子量が1000〜5000のポリオキシプロピレングリコール(B)を反応させて得られる末端イソシアネート基のプレポリマーを主成分とする主剤と、ペンタエリスリトールにプロピレンオキサイド及びエチレンオキサイドを付加した水酸基価が25〜35mgKOH/grのポリエーテルポリオールからなる硬化剤とからなる組成物であって、かつ、架橋剤濃度が0.10〜0.25mmol/grである熱硬化性ポリウレタン組成物。
【0009】
発明(2)
プレポリマーのイソシアネート基含有量が1.5〜15質量%である発明(1)記載のポリウレタン組成物。
【0010】
発明(3)
発明(1)又は(2)記載の主剤と硬化剤を、イソシアネート基/水酸基=0.85〜1.20の当量比で反応させて得られる熱硬化性ポリウレタン組成物。
【0011】
発明(4)
硬さがJIS A硬度で25〜40、破断時伸びが100〜300%、圧縮率10%の条件化の圧縮永久歪みが1%未満のエラストマー製造用である発明(1)〜(3)のいずれかに記載の熱硬化性ポリウレタン組成物。
【0012】
発明(5)
発明(1)〜(3)のいずれかに記載の熱硬化性ポリウレタン組成物から作成される、硬さがJIS A硬度で25〜40、破断時伸びが100〜300%、圧縮率10%の条件化の圧縮永久歪みが1%未満のOA機器用ロール又はベルト。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明において、プレポリマーの合成に用いられるジフェエニルメタンジイソシアネート(A)には、イソシアネート基の付く位置の異なった異性体が存在する。具体的には、2,2´−ジフェエニルメタンジイソシアネート、2,4´−ジフェエニルメタンジイソシアネート、4、4´−ジフェエニルメタンジイソシアネートである。市販品のジフェニルメタンジイソシアネートはこれらの混合物である。本発明には、4、4´異性体が98モル%を超えるジフェニルメタンジイソシアネート(以下、MDIと略することもある。)が好ましく用いられる。
【0014】
(A)を含有する主成分には、MDI以外のポリイソシアネートやこれらポリイソシアネートのカルボジイミド変成体、ビウレット変成体、アロファネート変成体、二量体、三量体など、通常のポリウレタンエラストマーの製造に使用されるポリイソシアネートが小量添加されていてもよい。
【0015】
NCO基末端プレポリマーの合成に使用されるポリオールは、数平均分子量が1000〜5000のポリオキシプロピレングリコール(B)である。
本発明の末端イソシアネート基を含有するプレポリマーは、過剰量の前記MDIと数平均分子量が1000〜5000のポリオキシプロピレングリコール(B)を反応させることによって製造される。得られたプレポリマーのイソシアネート基含有量は1.5〜15質量%が好ましく、特に2〜8質量%が好ましい。イソシアネート基含有量が1.5質量%未満ではプレポリマーの粘度が高くなるため作業性が悪くなり、イソシアネート基含有量が15質量%を越えると反応性が高くなり得られるエラストマーの表面性が悪くなり、さらに発泡不良も起こりやすくなるため好ましくない。
【0016】
末端イソシアネート基を含有するプレポリマーの合成は、例えば窒素気流下においてポリイソシアネートを撹拌し、これにポリオールを加え、反応温度が75〜85℃で1〜数時間程度反応を行うことで得ることができる。なお必要に応じて、未反応のポリイソシアネートモノマーを、例えば蒸留や抽出などの手段を用いて反応液から除去しても良い。
【0017】
本発明の熱硬化性低硬度ポリウレタンエラストマー組成物の硬化剤として用いられるポリオキシアルキレンポリオールはペンタエリスリトールにプロピレンオキサイド及びエチレンオキサイドを付加した水酸基が25〜35mgKOH/grのポリエーテルポリオールである。
ポリエーテルポリオールの平均官能基数は、開始剤の官能基数を下回ることが知られているが、正確に平均官能基数を求めることが困難であり、本発明では、架橋剤密度の計算に用いられる平均官能基数は、開始剤の官能基数と定義する。
水酸基価が35以上ではこれも架橋密度が高くなりすぎ硬度が高くなり好ましくなく、水酸基価が25未満では架橋密度が低くなり十分に低い圧縮永久歪みが得られなくなり、さらに低硬度になりすぎ機械的物性が低下することによる耐久性の劣化が起こるため好ましくない。
【0018】
なお末端イソシアネート基を含有するプレポリマーと上記硬化剤の配合はNCO基/OH基当量比で0.85〜1.20、好ましくは0.90〜1.15である。NCO基/OH基当量比が0.85より低いと圧縮永久歪みが増大し、さらに未反応成分が残るためブリード等が起こり、表面性が悪くなり好ましくなく、1.2より高いと硬度が上がり、同時に圧縮永久歪みの増大も見られ、さらにイソシアネート基が完全になくなるまでに要する時間がかかるなど生産性が低下し好ましくない。
【0019】
また本発明の低硬度ポリウレタン組成物およびそれから得られる低硬度ロール又はベルトの製造においては、必要に応じて硬化触媒や種々の添加剤、例えば可塑剤、消泡剤、レベリング剤、艶消し剤、難燃剤、揺変剤、粘着付与剤、増粘剤、滑剤、帯電防止剤、界面活性剤、反応遅延剤、脱水剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、加水分解防止剤、耐候安定剤、染料、無機顔料、有機顔料、体質顔料等を適宜用いることができる。しかしながら可塑剤はブリード現象を引き起こすので実質的に含有されないようにする必要がある。
【0020】
本発明の低硬度ポリウレタン組成物の成型方法はいわゆる注型用のエラストマーに用いられる成型方法が用いられ、例えば金型を使用する常圧における注型法による場合、金型温度は25〜160℃、好ましくは80〜150℃であり、例えば80〜150℃で0.5〜5時間程度加熱することにより硬化させ、その後80〜120℃で5〜20時間程度加熱し、架橋反応を行う。なお更に常温で1〜7日エージングし、硬化を完全に進め物性を安定化することが好ましい。金型温度および硬化温度に関しては25℃以下では反応が遅すぎ、硬化不良になることがあり、160℃を越えると反応が早すぎ表面性が悪くなったり、発泡が起こるため好ましくない。
【0021】
以上から得られる低硬度ポリウレタンエラストマー組成物およびそれから得られる低硬度ロールは実質的に可塑剤を含まず、JIS A硬度で25〜40の硬度を有し、圧縮永久歪みは1.0%以下と極めて低いものであった。
【0022】
なお本発明の低硬度ポリウレタン組成物の用途としては特に限定されるものではないが各種低硬度ロール類やベルト、衝撃吸収材をはじめポッティング材やシーリング材等に使用できる。
【0023】
【実施例】
実施例および比較例を用いて本発明をさらに説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。なお実施例中、%及び部は質量基準である。
【0024】
実施例1
[ポリウレタンプレポリマーの調製]
水酸基価74.8の数平均分子量1500のポリオキシプロピレングリコール100部に、4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネート(日本ポリウレタン工業製ミリオネートMT)を38.5部加え、重合触媒としてオクチル酸錫を適量加え、窒素気流下、80℃で6時間撹拌しながら反応させることにより、イソシアネート基含量5.3%の末端NCO基のポリウレタンプレポリマー(表中の記号MT/PP1500)を得た。
【0025】
実施例3に用いる末端NCO基のポリウレタンプレポリマー(表中の記号MT/PP2000)は、水酸基価56.1の数平均分子量2000のポリオキシプロピレングリコール100部と4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネート(日本ポリウレタン工業製ミリオネートMT)33.6部から上記と同様な方法によりイソシアネート基含量5.3%の末端NCO基のポリウレタンプレポリマー得た。
【0026】
上記方法で得られたポリウレタンプレポリマー(MT/PP1500)からなる主剤を80℃に加熱し、これに80℃に加熱したペンタエリスリトールを開始剤としてそれにプロピレンオキサイドとエチレンオキサイドを付加重合した水酸基価32.3のポリオール(1)からなる硬化剤をNCO基/OH基のモル比が1.0となるように加え、2〜3分激しく混合し、5mmHgの減圧下で十分に脱泡を行った後に、予め100℃に加温された外径20mm、長さ200mmのロール用金型、エンドレスベルト用金型、及び試験片作成用金型に注型した。その後100℃、1時間で硬化させた後、更に100℃で15時間硬化させ、常温で72時間静置し、低硬度ロール、低硬度ベルト及びJIS A硬度で36の低硬度エラストマー試験片を得た。
【0027】
実施例2〜3及び比較例1〜2
表1に示したポリウレタンプレポリマーからなる主剤と表1に示したポリオール(1)〜(3)の1種からなる硬化剤を所定のOH/NCO当量比で実施例1に記載の方法で硬化させ各種硬度のエラストマーを得た。なお表1中のポリオール(1)〜(3)は下記の通りである。また表1中の主剤および硬化剤は重量部で示した。
【0028】
ポリオール(1):水酸基価32.2のペンタエリスリトールを開始剤にプロピレンオキサイド、エチレンオキサイドを付加したポリオキシプロピレン(オキシエチレン)ポリオール、
開始剤官能基数4。
ポリオール(2):水酸基価 のグリセリンを開始剤にプロピレンオキサイド、エチレンオキサイドを付加したポリオキシプロピレン(オキシエチレン)ポリオール、開始剤官能基数3。
ポリオール(3):水酸基価56のグリセリンを開始剤にプロピレンオキサイドを付加したポリオキシプロピレンポリオール、
開始剤官能基数3。
【0029】
また得られた各種エラストマーに対し、以下の物性を測定したので、結果を表1に示す。
エラストマーサンプル形状
JIS K7312「熱硬化性ポリウレタンエラストマー成型物の物理試験方法」記載の厚さ12.5±0.5mm、直径29.0±0.5mmの直円柱形とした。
圧縮永久歪み
JIS K7312記載の方法で条件は圧縮率10%、70℃×22時間とし上記サンプルを測定した。
【0030】
【表1】
【0031】
【発明の効果】
本発明によれば、実質的に可塑剤を含まず、低硬度にもかかわらず圧縮永久歪みが十分低く、作業性に優れた、表面性が良好な熱硬化型の低硬度ポリウレタン組成物、それより得られる低硬度ロール又は低硬度ベルトを得ることができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は圧縮歪みの小さいエラストマー用ポリウレタン組成物、それより得られるOA機器用ロール又はベルトに関するもので、さらには適度の硬さであり、低歪み時の、圧縮永久歪みが十分低い、表面仕上がりが良好な熱硬化型のOA機器ロール又はベルト用ポリウレタン組成物およびOA機器用ロール又はベルトに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ポリウレタンエラストマーは機械的強度や耐摩耗性に優れ、その加工のしやすさや硬化物の硬度がJIS A硬度で20〜100とバリエーションが豊富なことから工業用ロールやベルトをはじめ、自動車用部材、OA機器用部材など多方面に使用されてきている。低硬度ロールには従来からニトリルブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、エチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM)等の一般ゴム部材や、シリコーン樹脂が使用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前者は老化防止剤や反応促進剤、可塑剤を必要とし、ロール表面におけるブリード現象によって接触物を汚染したり、耐オゾン性に劣るという問題があり、後者についても耐久性が悪いことや高価である問題があった。こういった中で近年、JIS A硬度で25〜40程度の低硬度ロール用のウレタンエラストマーに対する需要が増えつつあり、その中で性能的にも加工性にも優れ低硬度で実質的に圧縮永久歪みのない、さらに表面で可塑剤や未反応物のブリードが無いことなどが求められてきている。
【0004】
例えば可塑剤を含まず、低硬度、低圧縮永久歪みを特徴とするローラとして、特開平7−110617号には官能基数2〜3、平均分子量1000〜3000のポリオールとひまし油系ポリオールおよびイソシアネートを反応させてなるエラストマーを主弾性層材料とする帯電ローラが提案され、また特開平8−151423号にはJIS A硬度で10以下という低硬度範囲において、MDI及び変性MDIと多官能ポリプロピレングリコールから得られる圧縮永久歪みが5%以下(但し、圧縮率25%)という軟質ポリウレタンエラストマー成型品の提案がある。
【0005】
更に表面粘着性を改善したものとして特開平9−114190号には脂肪族イソシアネートと導電性付与剤を分散させたポリオールとを反応させて得られる導電性ローラが提案されている。また特開平9−176269号にはポリイソシアネートとポリオールとの重合反応により生成されるウレタン結合を含むポリウレタン樹脂を主材としてなり、アスカーC硬度が85°以下、圧縮永久歪みが6%以下、アセトン抽出量が4%以下であることを特徴とする弾性材料から得られる弾性ローラが提案されている。しかしながら現状では十分に満足する低硬度ロール用のウレタンエラストマーは得られていない。
【0006】
本発明の課題は上記問題点に鑑み、実質的に可塑剤を含まず、25〜40のJIS A硬度を有し、圧縮永久歪みが十分低い、作業性に優れた、表面性が良好な熱硬化型の低硬度ポリウレタン組成物、それより得られるポリウレタンエラストマーおよび低硬度ロールを提供することにある。
【0007】
【特許文献1】
特開平8−151423号公報
【特許文献2】
特開平7−110617号公報
【特許文献3】
特開平9−114190号公報
【特許文献4】
特開平9−176269号公報
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は下記の(1)〜(5)に記載されたものである。
発明(1)
ジフェエニルメタンジイソシアネート(A)と数平均分子量が1000〜5000のポリオキシプロピレングリコール(B)を反応させて得られる末端イソシアネート基のプレポリマーを主成分とする主剤と、ペンタエリスリトールにプロピレンオキサイド及びエチレンオキサイドを付加した水酸基価が25〜35mgKOH/grのポリエーテルポリオールからなる硬化剤とからなる組成物であって、かつ、架橋剤濃度が0.10〜0.25mmol/grである熱硬化性ポリウレタン組成物。
【0009】
発明(2)
プレポリマーのイソシアネート基含有量が1.5〜15質量%である発明(1)記載のポリウレタン組成物。
【0010】
発明(3)
発明(1)又は(2)記載の主剤と硬化剤を、イソシアネート基/水酸基=0.85〜1.20の当量比で反応させて得られる熱硬化性ポリウレタン組成物。
【0011】
発明(4)
硬さがJIS A硬度で25〜40、破断時伸びが100〜300%、圧縮率10%の条件化の圧縮永久歪みが1%未満のエラストマー製造用である発明(1)〜(3)のいずれかに記載の熱硬化性ポリウレタン組成物。
【0012】
発明(5)
発明(1)〜(3)のいずれかに記載の熱硬化性ポリウレタン組成物から作成される、硬さがJIS A硬度で25〜40、破断時伸びが100〜300%、圧縮率10%の条件化の圧縮永久歪みが1%未満のOA機器用ロール又はベルト。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明において、プレポリマーの合成に用いられるジフェエニルメタンジイソシアネート(A)には、イソシアネート基の付く位置の異なった異性体が存在する。具体的には、2,2´−ジフェエニルメタンジイソシアネート、2,4´−ジフェエニルメタンジイソシアネート、4、4´−ジフェエニルメタンジイソシアネートである。市販品のジフェニルメタンジイソシアネートはこれらの混合物である。本発明には、4、4´異性体が98モル%を超えるジフェニルメタンジイソシアネート(以下、MDIと略することもある。)が好ましく用いられる。
【0014】
(A)を含有する主成分には、MDI以外のポリイソシアネートやこれらポリイソシアネートのカルボジイミド変成体、ビウレット変成体、アロファネート変成体、二量体、三量体など、通常のポリウレタンエラストマーの製造に使用されるポリイソシアネートが小量添加されていてもよい。
【0015】
NCO基末端プレポリマーの合成に使用されるポリオールは、数平均分子量が1000〜5000のポリオキシプロピレングリコール(B)である。
本発明の末端イソシアネート基を含有するプレポリマーは、過剰量の前記MDIと数平均分子量が1000〜5000のポリオキシプロピレングリコール(B)を反応させることによって製造される。得られたプレポリマーのイソシアネート基含有量は1.5〜15質量%が好ましく、特に2〜8質量%が好ましい。イソシアネート基含有量が1.5質量%未満ではプレポリマーの粘度が高くなるため作業性が悪くなり、イソシアネート基含有量が15質量%を越えると反応性が高くなり得られるエラストマーの表面性が悪くなり、さらに発泡不良も起こりやすくなるため好ましくない。
【0016】
末端イソシアネート基を含有するプレポリマーの合成は、例えば窒素気流下においてポリイソシアネートを撹拌し、これにポリオールを加え、反応温度が75〜85℃で1〜数時間程度反応を行うことで得ることができる。なお必要に応じて、未反応のポリイソシアネートモノマーを、例えば蒸留や抽出などの手段を用いて反応液から除去しても良い。
【0017】
本発明の熱硬化性低硬度ポリウレタンエラストマー組成物の硬化剤として用いられるポリオキシアルキレンポリオールはペンタエリスリトールにプロピレンオキサイド及びエチレンオキサイドを付加した水酸基が25〜35mgKOH/grのポリエーテルポリオールである。
ポリエーテルポリオールの平均官能基数は、開始剤の官能基数を下回ることが知られているが、正確に平均官能基数を求めることが困難であり、本発明では、架橋剤密度の計算に用いられる平均官能基数は、開始剤の官能基数と定義する。
水酸基価が35以上ではこれも架橋密度が高くなりすぎ硬度が高くなり好ましくなく、水酸基価が25未満では架橋密度が低くなり十分に低い圧縮永久歪みが得られなくなり、さらに低硬度になりすぎ機械的物性が低下することによる耐久性の劣化が起こるため好ましくない。
【0018】
なお末端イソシアネート基を含有するプレポリマーと上記硬化剤の配合はNCO基/OH基当量比で0.85〜1.20、好ましくは0.90〜1.15である。NCO基/OH基当量比が0.85より低いと圧縮永久歪みが増大し、さらに未反応成分が残るためブリード等が起こり、表面性が悪くなり好ましくなく、1.2より高いと硬度が上がり、同時に圧縮永久歪みの増大も見られ、さらにイソシアネート基が完全になくなるまでに要する時間がかかるなど生産性が低下し好ましくない。
【0019】
また本発明の低硬度ポリウレタン組成物およびそれから得られる低硬度ロール又はベルトの製造においては、必要に応じて硬化触媒や種々の添加剤、例えば可塑剤、消泡剤、レベリング剤、艶消し剤、難燃剤、揺変剤、粘着付与剤、増粘剤、滑剤、帯電防止剤、界面活性剤、反応遅延剤、脱水剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、加水分解防止剤、耐候安定剤、染料、無機顔料、有機顔料、体質顔料等を適宜用いることができる。しかしながら可塑剤はブリード現象を引き起こすので実質的に含有されないようにする必要がある。
【0020】
本発明の低硬度ポリウレタン組成物の成型方法はいわゆる注型用のエラストマーに用いられる成型方法が用いられ、例えば金型を使用する常圧における注型法による場合、金型温度は25〜160℃、好ましくは80〜150℃であり、例えば80〜150℃で0.5〜5時間程度加熱することにより硬化させ、その後80〜120℃で5〜20時間程度加熱し、架橋反応を行う。なお更に常温で1〜7日エージングし、硬化を完全に進め物性を安定化することが好ましい。金型温度および硬化温度に関しては25℃以下では反応が遅すぎ、硬化不良になることがあり、160℃を越えると反応が早すぎ表面性が悪くなったり、発泡が起こるため好ましくない。
【0021】
以上から得られる低硬度ポリウレタンエラストマー組成物およびそれから得られる低硬度ロールは実質的に可塑剤を含まず、JIS A硬度で25〜40の硬度を有し、圧縮永久歪みは1.0%以下と極めて低いものであった。
【0022】
なお本発明の低硬度ポリウレタン組成物の用途としては特に限定されるものではないが各種低硬度ロール類やベルト、衝撃吸収材をはじめポッティング材やシーリング材等に使用できる。
【0023】
【実施例】
実施例および比較例を用いて本発明をさらに説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。なお実施例中、%及び部は質量基準である。
【0024】
実施例1
[ポリウレタンプレポリマーの調製]
水酸基価74.8の数平均分子量1500のポリオキシプロピレングリコール100部に、4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネート(日本ポリウレタン工業製ミリオネートMT)を38.5部加え、重合触媒としてオクチル酸錫を適量加え、窒素気流下、80℃で6時間撹拌しながら反応させることにより、イソシアネート基含量5.3%の末端NCO基のポリウレタンプレポリマー(表中の記号MT/PP1500)を得た。
【0025】
実施例3に用いる末端NCO基のポリウレタンプレポリマー(表中の記号MT/PP2000)は、水酸基価56.1の数平均分子量2000のポリオキシプロピレングリコール100部と4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネート(日本ポリウレタン工業製ミリオネートMT)33.6部から上記と同様な方法によりイソシアネート基含量5.3%の末端NCO基のポリウレタンプレポリマー得た。
【0026】
上記方法で得られたポリウレタンプレポリマー(MT/PP1500)からなる主剤を80℃に加熱し、これに80℃に加熱したペンタエリスリトールを開始剤としてそれにプロピレンオキサイドとエチレンオキサイドを付加重合した水酸基価32.3のポリオール(1)からなる硬化剤をNCO基/OH基のモル比が1.0となるように加え、2〜3分激しく混合し、5mmHgの減圧下で十分に脱泡を行った後に、予め100℃に加温された外径20mm、長さ200mmのロール用金型、エンドレスベルト用金型、及び試験片作成用金型に注型した。その後100℃、1時間で硬化させた後、更に100℃で15時間硬化させ、常温で72時間静置し、低硬度ロール、低硬度ベルト及びJIS A硬度で36の低硬度エラストマー試験片を得た。
【0027】
実施例2〜3及び比較例1〜2
表1に示したポリウレタンプレポリマーからなる主剤と表1に示したポリオール(1)〜(3)の1種からなる硬化剤を所定のOH/NCO当量比で実施例1に記載の方法で硬化させ各種硬度のエラストマーを得た。なお表1中のポリオール(1)〜(3)は下記の通りである。また表1中の主剤および硬化剤は重量部で示した。
【0028】
ポリオール(1):水酸基価32.2のペンタエリスリトールを開始剤にプロピレンオキサイド、エチレンオキサイドを付加したポリオキシプロピレン(オキシエチレン)ポリオール、
開始剤官能基数4。
ポリオール(2):水酸基価 のグリセリンを開始剤にプロピレンオキサイド、エチレンオキサイドを付加したポリオキシプロピレン(オキシエチレン)ポリオール、開始剤官能基数3。
ポリオール(3):水酸基価56のグリセリンを開始剤にプロピレンオキサイドを付加したポリオキシプロピレンポリオール、
開始剤官能基数3。
【0029】
また得られた各種エラストマーに対し、以下の物性を測定したので、結果を表1に示す。
エラストマーサンプル形状
JIS K7312「熱硬化性ポリウレタンエラストマー成型物の物理試験方法」記載の厚さ12.5±0.5mm、直径29.0±0.5mmの直円柱形とした。
圧縮永久歪み
JIS K7312記載の方法で条件は圧縮率10%、70℃×22時間とし上記サンプルを測定した。
【0030】
【表1】
【0031】
【発明の効果】
本発明によれば、実質的に可塑剤を含まず、低硬度にもかかわらず圧縮永久歪みが十分低く、作業性に優れた、表面性が良好な熱硬化型の低硬度ポリウレタン組成物、それより得られる低硬度ロール又は低硬度ベルトを得ることができる。
Claims (5)
- ジフェエニルメタンジイソシアネート(A)と数平均分子量が1000〜5000のポリオキシプロピレングリコール(B)を反応させて得られる末端イソシアネート基のプレポリマーを主成分とする主剤と、ペンタエリスリトールにプロピレンオキサイド及びエチレンオキサイドを付加した水酸基価が25〜35mgKOH/grのポリエーテルポリオールからなる硬化剤とからなる組成物であって、かつ、架橋剤濃度が0.10〜0.25mmol/grである熱硬化性ポリウレタン組成物。
- プレポリマーのイソシアネート基含有量が1.5〜15質量%である請求項1記載のポリウレタン組成物。
- 請求項1又は2記載の主剤と硬化剤を、イソシアネート基/水酸基=0.85〜1.20の当量比で反応させて得られる熱硬化性ポリウレタン組成物。
- 硬さがJIS A硬度で25〜40、破断時伸びが100〜300%、圧縮率10%の条件化の圧縮永久歪みが1%未満のエラストマー製造用である請求項1〜3のいずれかに記載の熱硬化性ポリウレタン組成物。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の熱硬化性ポリウレタン組成物から作成される、硬さがJIS A硬度で25〜40、破断時伸びが100〜300%、圧縮率10%の条件化の圧縮永久歪みが1%未満のOA機器用ロール又はベルト。
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- 2003-06-10 JP JP2003165245A patent/JP2005002171A/ja active Pending
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