JP2005002127A - 組換え骨形成タンパク質を生成するための方法および組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 骨形成タンパク質の可溶性複合体形態上のエピトープを認識しそして結合する結合パートナーであって、可溶性複合体形態が哺乳類においてマトリックスに会合して移植される場合、哺乳類で軟骨内骨形成を誘導する能力のあるダイマー構造を定義するように会合したポリペプチド鎖サブユニット対を含むダイマータンパク質として特徴づけられ、200アミノ酸未満であるサブユニットの少なくとも1つが、骨形成タンパク質サブユニットの前駆体形態のプロドメインを含むペプチドまたはそのアミノ酸配列変異体と非共有的に複合して非複合サブユニット対より可溶性である複合体を形成し、結合パートナーが骨形成タンパク質の成熟ダイマー形態またはサブユニットのいずれかの単離されたプロドメインに対して結合親和性を有さないとさらに特徴づけられる、結合パートナー。
【選択図】 なし
Description
本出願は、1993年3月4日出願のUSSN第08/027,070号の一部継続出願であり、これは、1992年2月21日出願で現在は米国特許第5,266,683号となっているUSSN第07/841,646号の一部継続出願であり、その開示は本明細書中に参考として援用されている。
発明の分野
本発明は、一般的に骨形成タンパク質に関し、そしてさらに特定すると、それらを生成し精製するための方法および組成物に関する。
骨形成タンパク質は、当該分野において周知であり、そして記載されている。例えば、米国特許第4,968,590号;第5,011,691号;第5,018,753号および第5,266,683号、ならびに科学文献中に公開されている種々の専門的な論文を参照のこと。例えば、Ozkaynakら、(1990)EMBO J 9:2085-2093;Ozkaynakら、J.BIol.Chem. 267:13198-13205;Sampathら(1993) PNAS 90:6004-6008;Wozneyら (1988) ScIence 242:1528-1534;Wangら(1988) PNAS 85:9484-9488;Wangら (1990) PNAS 87:2220-2224、およびCelesteら(1990) PNAS 87:9843-9847を参照のこと。骨形成タンパク質を骨からどのようにして単離するか、およびこれらのタンパク質をコードする遺伝子を、どのようにして同定し、そして組換えDNA技術を用いてそれらをどのように発現するかが、当該分野において記載されている。
該可溶性複合体形態が、哺乳類においてマトリックスに会合して移植される場合、該哺乳類で軟骨内骨形成を誘導する能力のあるダイマー構造を定義するように会合したポリペプチド鎖サブユニット対を含むダイマータンパク質として特徴づけられ、各該サブユニットが200アミノ酸未満であり、
該サブユニットの少なくとも1つが、骨形成タンパク質サブユニットの前駆体形態のプロドメインを含むペプチド、またはそのアミノ酸配列変異体と非共有的に複合して、非複合サブユニット対より水溶液により可溶性である複合体を形成し、該結合パートナーが該骨形成タンパク質の成熟ダイマー形態または該サブユニットのいずれかの単離されたプロドメインに対して結合親和性を充分に有さないとさらに特徴づけられる、結合パートナー。
2.前記結合パートナーが抗体である、項目1に記載の結合パートナー。
3.前記抗体がモノクローナル抗体である、項目1に記載の抗体。
4.前記抗体がポリクローナル抗体である、項目1に記載の抗体。
5.前記ダイマー骨形成タンパク質の1つの前記サブユニットが、そのアミノ酸配列変異体を包含するOP-1ポリペプチド鎖である、項目1に記載の結合パートナー。
6.前記ダイマー骨形成タンパク質の他のサブユニットがOP1、BMP2、BMP3、またはBMP4からなり、そのアミノ酸配列変異体を包含する群から選択される、項目5に記載の結合パートナー。
7.前記ダイマー骨形成タンパク質の他のサブユニットがOP2、BMP5、BMP6、またはBMP9からなり、そのアミノ酸配列変異体を包含する群から選択される、項目5に記載の結合パートナー。
8.前記ダイマー骨形成タンパク質の他のサブユニットがDPP、60A、Vgl、Vgr-1からなり、そのアミノ酸配列変異体を包含する群から選択される、項目5に記載の結合パートナー。
9.前記ペプチドが前記プロドメインを定義するアミノ酸配列の少なくとも最初の18アミノ酸を含む、項目1に記載の結合パートナー。
10.前記ペプチドが前記プロドメインの全長形態を含む、項目9に記載の単離した結合パートナー。
11.前記ダイマータンパク質種に非共有的に会合したプロドメインペプチドが、OP1、OP2、BMP2、BMP3、BMP4、BMP5、BMP6、DPP、Vgl、Vgr-1、60Aからなり、そのアミノ酸配列変異体を包含する群から選択されるアミノ酸配列を含む、項目1に記載の結合パートナー。
12.前記骨形成タンパク質がCOP1、3、5、7、および16からなる群から選択される、項目1に記載の単離された結合パートナー。
13.溶液中の骨形成タンパク質の可溶性形態を同定する方法であって、該可溶性骨形成タンパク質が、哺乳類においてマトリックスに会合して移植される場合、該哺乳類で軟骨内骨形成を誘導する能力のあるダイマー構造を定義するように会合したポリペプチド鎖サブユニット対を含むダイマータンパク質として特徴づけられ、各該サブユニットが200アミノ酸未満であり、
該サブユニットの少なくとも1つが、骨形成タンパク質サブユニットの前駆体形態のプロドメインを含むペプチド、またはそのアミノ酸配列変異体と非共有的に複合して、非複合サブユニット対より水溶液により可溶性である複合体を形成し、該方法が以下の工程を包含する、方法:
(a)該可溶性骨形成タンパク質を含有すると思われる溶液を、該タンパク質形態と該結合パートナーとの間の特異的な結合を促進し、タンパク質-結合パートナー複合体を形成する条件下で、該可溶性骨形成タンパク質を認識および結合する結合パートナーに曝す工程、および
(b)形成された複合体を検出する工程。
14.前記結合パートナーが抗体である、項目13に記載の方法。
15.前記抗体がモノクローナル抗体である、項目14に記載の方法。
16.前記抗体がポリクローナル抗体である、項目14に記載の方法。
17.前記結合パートナーが検出手段を有する、項目13に記載の方法。
18.前記検出手段が酵素または放射性原子を含む、項目17に記載の方法。
19.前記複合体が前記可溶性骨形成タンパク質形態に対して特異性を有する第二の結合パートナーにより検出される、項目13に記載の方法。
20.前記既選択形態が前記タンパク質の他の形態との混合物中に存在する、項目13に記載の方法。
21.形成され複合体の量を定量するさらなる工程を包含する、項目13に記載の方法。
22.前記工程(a)において前記溶液が、前記可溶性骨形成タンパク質に対して特異性を有する第一の固定化した結合パートナーに、該第一の結合パートナーと前記骨形成タンパクの間の特異的な結合相互作用を促進するのに充分な条件下で曝されて、タンパク質-結合パートナー複合体を形成し、そして
前記検出工程(b)が該複合体を該タンパク質または該結合パートナーに対して結合特異性を有する第二の結合パートナーに曝す工程を包含する、項目13に記載の方法。
23.前記第二の結合パートナーが前記骨形成タンパク質を認識および結合する、項目22に記載の方法。
24.前記ダイマータンパク質の前記サブユニットの少なくとも1つが、そのアミノ酸配列変異体を包含するOP-1特異的アミノ酸配列を含む、項目13に記載の方法。
25.前記他のサブユニットがOP1、BMP2、BMP3、またはBMP4からなり、そのアミノ酸配列変異体を包含する群から選択されるアミノ酸配列を含む、項目24に記載の方法。
26.前記他のサブユニットがOP2、BMP5、BMP6、またはBMP9からなり、そのアミノ酸配列変異体を包含する群から選択されるアミノ酸配列を含む、項目24に記載の方法。
27.前記他のサブユニットがDPP、60A、Vgl、Vgr-1からなり、そのアミノ酸配列変異体を包含する群から選択されるアミノ酸配列を含む、項目24に記載の方法。
28.溶液中の骨形成活性タンパク質の可溶性形態を検出するためのキットであって、該キットが以下を包含する、キット:
(a)該骨形成タンパク質を含有する液状試料を捕獲する手段、
(b)該骨形成タンパク質の該可溶性形態を認識および結合する結合パートナー、および
(c)既め選択した該骨形成タンパク質形態に結合した該結合タンパク質を検出する手段。
29.前記結合パートナーが抗体である、項目28に記載のキット。
30.前記液状試料が培養培地である、項目28に記載のキット。
31.前記検出手段(c)が前記骨形成タンパク質の前記可溶性形態を認識および結合する第二の結合パートナーを含む、項目28に記載のキット。
32.前記骨形成活性タンパク質がジスルフィド結合サブユニット対を含むダイマータンパク質であり、該サブユニットの少なくとも1つが、そのアミノ酸配列変異体を包含するOP-1特異的アミノ酸配列を含む、項目28に記載のキット。
33.前記他のサブユニットがOP1、BMP2、BMP3、またはBMP4からなり、そのアミノ酸配列変異体を包含する群から選択される、項目32に記載のキット。
34.前記他のサブユニットがDPP、60A、Vgl、Vgr-1からなり、そのアミノ酸配列変異体を包含する群から選択される、項目32に記載のキット。
35.前記他のサブユニットがOP2、BMP5、BMP6、またはBMP9からなり、そのアミノ酸配列変異体を包含する群から選択される、項目32に記載のキット。
36.前記結合パートナーが前記可溶性骨形成タンパク質形態および前記成熟ダイマー形態または前記プロドメインを認識および結合すると特徴づけられる、項目13に記載の方法。
発明の要旨
本明細書で以下のように定義する骨形成タンパク質は、哺乳動物細胞から培養培地に分泌される場合、この分泌されたタンパク質のかなりの画分としてタンパク質の可溶性形態を含むこと、およびこの可溶性形態は、少なくとも1つの、そして好ましくは2つのプロドメインと非共有的に会合している成熟ダイマー種を含む(それらの切断形態を含む)ことが、現在発見されている。骨形成タンパク質または前駆体ポリペプチド鎖の上のエピトープに対して特異的な結合親和性を有する結合パートナーは、タンパク質のこれらの2つの形態間を識別するために用いられ得ることが、さらに発見された。好ましくは、この結合パートナーはタンパク質である。1つの好ましい実施態様において、結合タンパク質は抗体であり、それは、モノクローナル、ポリクローナルであり得るか、または生合成的に生成され得る。これらの結合パートナーは、タンパク質の成熟形態または可溶性形態を選択的に単離するための、ならびに生成された成熟形態および可溶性形態の量を定量するための、精製スキームの部分として用いられ得る。この抗体は、治療または他の臨床において適用するために、骨形成タンパク質の調製物の薬理学的純度をモニターする生成プロトコールの部分として用いられ得る。具体的に言えば、タンパク質の唯一の所望の形態のみが組成物中に存在することを確実にする方法が、本明細書中に提供されている。さらに、タンパク質の両形態を認識し、そして溶液中の全タンパク質量をモニターするために有利に用いられ得る結合パートナーが生成され得る。これらの結合パートナーはまた、体内の溶液中の骨形成タンパク質の濃度をモニターし、そしてタンパク質のさまざまな形態におけるその濃度の変動を検出するための、診断治療の一部として用いられ得る。
真の骨形成タンパク質の可溶性形態が、現在では発見され、ここで、このタンパク質は、タンパク質のアミノ酸配列から本質的に成る。この可溶性形態は、プロドメインまたはそのフラグメントを含む非共有会合した複合体であり、骨形成活性を有するダイマータンパク質種と非共有的に会合または複合化しており、このダイマーのそれぞれのポリペプチドは、200より少ないアミノ酸を有し、そして少なくともC末端の6アミノ酸を含み、そして好ましくは、配列番号1の残基335〜431および330〜431のそれぞれにより定義される、7システイン骨格を含む。好ましくは、このダイマー種のポリペプチド鎖は、これらの配列の成熟形態またはその切断形態を含む。好ましい切断形態は、完全なC末端ドメインおよびN末端伸長部配列の少なくとも10アミノ酸(例えば、好ましくは、少なくとも配列番号1の残基320〜330により定義される配列)を含む。これらの骨形成タンパク質の可溶性形態は、培養細胞培地、哺乳動物の体液から単離され得るか、またはインビトロにおいて処方され得る。
有用なプロドメインは、以下に記載の全長プロドメインおよびそのさまざまな切断形態を含み、特に、タンパク質加水分解Arg-Xaa-Xaa-Arg切断部位で切断された切断形態を含む。例えば、OP-1において、可能なプロ配列は、残基30〜292(全長形態);48〜292;および158〜292により定義される配列を含む。可溶性OP-1複合体の安定性は、プロドメインが48〜292切断形態のような切断形態よりむしろ全長形態を含む場合に増強され、ここで、残基30〜47が、他の骨形成タンパク質のN末端部分に配列相同性を示しており、そして全ての骨形成タンパク質に対する複合体安定性を増強する際に、特に有用性を有すると考えられる。従って、一般に好ましいプロ配列は、与えられたモルフォゲンに対するプロドメインの全長形態をコードするプロ配列である(以下を参照のこと)。有用性を有すると意図される他のプロ配列は、生合成プロ配列を含み、特に、1つまたはそれ以上の骨形成タンパク質プロ配列のN末端部分由来の配列を組み込んだプロ配列を含む。
OP1 − 一般的に、hOP1遺伝子の一部または全部が発現することにより生成される、骨形成活性タンパク質のファミリーのことを指す。関連出願において、「OPI」および「OP-1」とも言われる。
hOP1-PP − 配列番号1、残基1〜431のヒトOP1タンパク質(プレプロ形態)のアミノ酸配列である。関連出願において、「OP1-PP」および「OPP」とも言われる。
OP1-18Ser − 配列番号1、残基293〜431の成熟ヒトOP1タンパク質のアミノ酸配列である。N末端アミノ酸は、セリンである。最初は、COS細胞において、SDS-PAGE上で18kDaのところに移動するものとして同定された。種々の宿主細胞におけるタンパク質グリコシル化のパターンに依存し、SDS-PAGE上で23kDa、19kDa、および17kDaのところにもさらに移動する。関連出願において、「OP1-18」とも言われる。
OPS − 配列番号1の残基335〜431のC末端の6システインドメインとして定義されるアミノ酸配列。
OP7 − 配列番号1の残基330〜431のC末端の7システインドメインとして定義されるアミノ酸配列。
I.可溶性OP-1および成熟ダイマーOP-1の物理的および
抗原的構造
1a.成熟ダイマーOP-1の溶解度
精製成熟OP-1ダイマー(培地中に見出されるOP-1に対して、本明細書中では、「純粋OP-1」または「精製OP-1」とも呼ばれ、本明細書中では、可溶性または「培地」OP-1とも呼ばれる)の溶解特性が、広く研究されている。これらの研究により、成熟OP-1は、代表的に変性条件下のみで可溶性であるという結論が得られた。他方、哺乳動物細胞(CHO細胞)調整培地中に最初に分泌された組換え生成OP-1は、変性剤の非存在下でも依然として可溶性である。0.1%SDSおよびCHAPSを含有する低濃度の洗浄剤中で、および低イオン強度、低pH、または非イオン性洗浄剤(例えば、6M 尿素+0.3% Tween-80)の存在下のような穏和変性条件下で、および0.1%TFAを加えた50% アセトニトリルのような酸性化有機溶媒の存在下で、成熟OP-1は可溶性であることが示されている。変性溶媒条件により、成熟領域からプロドメインが分離されること、および今までに開発された変性剤を含む精製プロトコールでは、複合した高い可溶性形態の単離が妨害されることが見出されている。以下に記載のように、この可溶性複合体の精製は、変性条件を用いずに行われなければならない。
1.b CHO細胞による分泌OP-1の産生
哺乳動物細胞が産生するOP-1は、いく分かの翻訳後改変の結果、合成されて可溶性ダイマー形態として分泌される。この改変には、適切な折りたたみ、ダイマー化、グリコシル化およびプロドメインおよび成熟ドメインの連結点における切断が含まれる。プロOP-1のなかには、切断されることなく分泌され、分泌プロOP-1として得られるものもある。
1.c 可溶性OP-1(複合体化)の同定
CHO(チャイニーズハムスター卵巣細胞、代表的なプロトコールについては米国特許第5,266,638号を参照のこと)により発現される組換えOP-1は、血清含有培地中へ分泌され、そして可溶性形態として存在する。このOP-1が見かけ上の可溶性は、OP-1が血清成分と会合することによるか、またはOP-1が、その最終精製状態よりもさらに可溶性形態で、CHO細胞から分泌されることにより生じ得る。
1.d 39kDaのタンパク質のクリーブランドマッピング
代謝的に標識したタンパク質を用いると、培養培地由来のメチオニン標識39kDaタンパク質は、OP-1とOP-1依存様式で共沈殿する。タンパク質は、標準的な方法論を用いるクリーブランドマッピングにより、さらに特徴づけられた(例えば、Cleveland,D.W. (1977) J. BIol. Chem. 252:1102を参照のこと)。標準分子量マーカーとの比較に基づいた50、39、および19/17kDaの見かけ分子量を有するバンドを、PAGEゲルから単離し、ゲル薄片を、種々の量のエンドプロテイナーゼlys-Cと共に、20%アクリルアミドゲルのウェル中に置き、積み上げたゲルの中へ電気泳動し、そして30分間消化させた後、20%ゲル上で生じたフラグメントを分析した。50kDaのタンパク質が、切断されて2つのフラグメントを生じた。これらのうち、大きい方はまた、39kDaのタンパク質として生じ、他方、小さい方は19/17kDaのタンパク質として生じた。この証拠から、39kDaタンパク質がOP-1のプロドメインであることが強く示唆される。OP-1の分泌形態をさらに分析することは、CHO調整培地から可溶性複合体として成熟OP-1を単離することにより可能となった。
2.可溶性骨形成タンパク質の精製プロトコール
骨形成タンパク質を含む可溶性複合体は、簡単で、変性剤の非存在下で行われる、3工程からなるクロマトグラフィーのプロトコールを用いて、調整培地から単離され得る。このプロトコールには、培地(または体液)を、アフィニティカラム、続いて、イオン交換クロマトグラフィーおよびゲル濾過クロマトグラフィーに流す工程が含まれる。以下に記載のアフィニティカラムは、Zn-IMACカラムである。有用性を有すると考えられる別のプロトコールはまた、標準的な手順および、例えば、与えられた骨形成タンパク質プロドメイン(例えば、プロテインA結合セファロースカラムに複合化する)に対して特異的な抗体を用いて作られる免疫アフィニティカラムである。免疫アフィニティカラムを開発するためのプロトコールは、当該分野において充分に記載されている(例えば、GuIdetoProteIn PurIfIcatIon, M.Deutscher編、AcademIc Press,San DIego, 1990、特に、第VII節および第XI節を参照のこと)。
II.骨形成タンパク質の検出
上記のように、本発明の方法および組成物は、溶液(例えば、培養培地または体液)中の骨形成タンパク質の好ましい形態を同定および/または定量することに関する。当業者により理解されるように、タンパク質を特異的に同定しそして定量するあらゆる手段が意図される。溶液中のタンパク質を同定するための現在の技術状態は、免疫アッセイによるものであり、ここで、目的のタンパク質と特異的に結合し得る抗体が、溶液中のタンパク質を同定するために用いられ、次いで、形成された結合複合体の量が決定される。
2.a 抗体生産
ポリクローナルおよびモノクローナル抗体産生についての標準プロトコールは以下に提供される。可溶性複合体形態のみを認識する抗体については、好ましくは、単離された複合体自身を抗原として用いる。あるいは、抗原は、単離されたプロドメインまたはそのペプチド断片を含み得る。成熟タンパク質に特異的な抗体が所望される場所で、抗原は、成熟ダイマー形態(例えば、「精製」形態)または少なくともC末端のドメインを包むダイマーのサブユニット、またはそのペプチド断片を好ましくは包含する。
2a.ポリクローナル抗体
次いで、抗体を本明細書中の以下に記載のとおり合成し、そして目的のタンパク質の種々の形態で交差反応についてインビトロで試験する。
与えられた骨形成タンパク質に特異的なモノクローナル抗体は、以下のとおり調製され得る。マウスに骨形成タンパク質抗原の2回の注射を行う。タンパク質またはタンパク質断片は好ましくは、組換え的に生成される。最初の注射は完全フロイントアジュバント中に100μgの抗原を含有させ、そして皮下で与える。2回目の注射は、不完全アジュバント中に50μgの抗原を含有させ、腹膜内で与える。次いで、マウスは長時間(例えば、1〜8ヵ月間)にわたる種々の時間での4回の腹膜内注射で合計230μgのOP-1を受容した。融合の1週間前に、マウスに抗原(例えば、100μg)を腹膜内で追加免疫し、そしてさらに適切な架橋剤を用いてウシ血清アルブミンに結合させたペプチド断片で追加免疫し得る。この追加免疫を、融合の前5日目(IP)、4日目(IP)、3日目(IP)および1日目(IV)に繰り返し得る。次いで、マウス脾臓細胞を、PEG1500(BoehrInger MannheIm, Germany)を用いて市販されているミエローマ細胞に1:1の割合で融合し、そして融合細胞を播き、そして抗原として骨形成タンパク質配列の適切な部分を用いて、成熟または可溶性の骨形成タンパク質特異性抗体についてスクリーニングする。細胞融合およびモノクローナルスクリーニング工程は、当該分野で広く入手可能な標準的なテキストに充分に記載される標準的な手順に従って容易に行われる。
2c.抗体特異性
これらの標準的な手順により、抗プロドメイン抗血清を、抗原としてOP-1からの単離したプロドメインを用いてウサギから調製し、そして成熟ドメインに対するモノクローナル抗体(「mAb」)は、抗原としてE.colI生産切断形態のOP-1を用いて、マウスにおいて生産した。
表I
精製 調整CHO 単離 精製タ゛イマー
抗体 可溶性OP1 細胞培地 フ゜ロドメイン サフ゛ユニット
「抗プロ」 xx xx xx
「抗成熟 yy yy yy
OP-1」
第2シリーズでは、モノクローナル抗体は、以下の各抗原に対して生じた:可溶性複合体および非複合成熟ダイマー種。
表II
タンパク質形態
M S P
カテゴリー
1 + +
2 + +
3 +
4 +
5 +
カテゴリー#1の結合の特徴を有する抗体は、非複合ダイマー種および可溶性形態の両方に存在するエピトープを認識する。
III.イムノアッセイ
溶液中での骨形成タンパク質の検出能力および可溶性ダイマー形態と成熟ダイマー形態との間の区別能力は、タンパク質生産系のための種々の道具を提供する。質的制御の考慮は、手段が溶液中のタンパク質の形態およびその量の両方を決定するために役立つことを必要とする。これは、臨床用途のために薬理学的に特定の形態が提供されねばならない生体治療法に特に当てはまる。この方法はまた、診断アッセイに役立つ道具を提供し、体内、例えば、血清および他の体液中の遊離骨形成タンパク質のレベルおよびタイプをモニターすることを可能にする。
可溶性OP-1は、この実験の以下に記載のように、ELISAにおいてポリクローナルまたはモノクローナル抗体を用いて検出され得る。OP-1プロドメインに対して特異的なポリクローナル抗体は、OP-1-プロに対して特異的な1μg/100μlのアフィニティ精製ポリクローナルウサギIgGであり、それを96ウェルのプレートの各ウェルに添加し、そして37℃で1時間インキュベートする。ウェルを、0.1%Tween 20含有の0.167M ホウ酸ナトリウム緩衝液および0.15M NaCl(BSB)、pH 8.2で4回洗浄する。非特異的な結合を最小化するために、このウェルをBSB中の1%ウシ血清アルブミン(BSA)で完全に満たし、そして37℃で1時間インキュベートすることによりブロックする。次いで、ウェルを、0.1% Tween 20含有のBSBで4回洗浄する。細胞培養上清のテスト試料または血清試料のそれぞれの適切な希釈物の100μlのアリコートを、各ウェルに3回添加し、そして37℃で30分間インキュベートする。インキュベート後、ウサギ抗プロ抗血清由来の100μlのビオチン化抗体(ストック溶液は約1mg/mlであり、そして使用前に1%BSA含有のBSB中で1:400に希釈する)を、各ウェルに添加し、そして37℃で30分間インキュベートする。次いで、ウェルを、0.1% Tween 20含有のBSBで4回洗浄する。100μlストレプトアビジン(strepavIdIn)-アルカリ(Southern BIotechnology AssocIates, Inc. BIrmIngham,Alabama、使用前に0.1% Tween 20含有のBSB中で1:2000に希釈)を各ウェルに添加し、そして37℃で30分間インキュベートする。このプレートを、0.5Mトリス緩衝化生理食塩水(TBS)、pH 7.2で4回洗浄する。50μlの基質(ELISA AmplIfIcatIon System KIt, LIfeTechnologIes, Inc., Bethesda, MD)を、各ウェルに添加し、室温で15分間インキュベートする。次いで、50μl アンプリファイア(同じamplIfIcatIonsystem kItから得た)を添加し、そしてさらに15分間室温でインキュベートする。50μlの0.3M 硫酸を添加して、この反応を停止する。各ウェル中の溶液の490nmにおけるODを記録する。この試料中の可溶性OP-1のレベルを定量するために、テスト試料と平行に標準曲線を採る。この標準曲線では、精製OP-1-プロの既知量を増加しながら添加する。あるいは、例えば、基質としてLumI-phos530(AnalytIcal LumInescence LaboratorIes)、標準ルミノメーターにおいて300〜650nmでの検出を用いて、複合体を化学発光により検出し得、これは代表的には、視覚的な呈色変化による検出よりも、さらに高感度のアッセイを提供する。
骨形成タンパク質(可溶性または成熟形態)は、標準的なプレート基盤ラジオイムノアッセイにより以下のように検出し得る。抗骨形成タンパク質抗体の経験的に決定した限界レベル(例えば、抗OP-1、代表的には50〜80ng/ウェル)を、例えば、50μlのPBSリン酸緩衝化生理食塩水中で、PVCプレートのウェルに結合させる。結合させるために室温で充分に(代表的には1時間)インキュベートした後、このプレートをホウ酸緩衝化生理食塩水/Tween20溶液(「洗浄緩衝液」)中で洗浄し、そして200μl ブロック(3% BSA、1×BSB中の0.1M リシン)を各ウェルに添加し、そして1時間インキュベートさせ、その後このウェルを洗浄緩衝液中で再度洗浄する。連続希釈した血漿(好ましくは、上記のように部分精製した)または骨形成タンパク質標準(例えば、OP-1)からなる試料の40μlを、ウェルに3回添加する。好ましくは、試料を、PTTH(15mMKH2PO4、8mM Na2PO4、27mM KCl、137mMNaCl、0.05% Tween 20、1mg/ml BSA、0.05% NaN3、pH 7.2)中で希釈する。好ましくは、10μlの標識競合抗原を、好ましくは100,000〜500,000cpm/試料で添加し(例えば、標準的な手順を用いて放射性標識した125IOP-1)、そしてプレートを終夜4℃でインキュベートする。次いで、プレートを洗浄緩衝液中で洗浄し、そして乾燥させる。ウェルを切り離し、結合標識OP-1を標準ガンマカウンターで計測する。次いで、試料の存在下および非存在下で測定した結合標識抗原(例えば、125IOP-1)の量を比較すると、その差は、この試料溶液中に存在する試料抗原(骨形成タンパク質)の量と比例している。
タンパク質の生成レベルをテストするための試料には、定期的に採集し、そしてイムノブロットによりOP-1生成について評価した培養上清または細胞ライゼート(Sambrookら編、1989、MolecularClonIng, Cold SprIng Harbor Press, ColdSprIng Harbor, NY)、または定期的に採集し、そしてmRNA分析のためのポリA+RNAを調製するために用いた細胞培養物自体の一部分が含まれる。新規な(denovo)OP-1合成をモニターするために、いくつかの培養物を、従来の手順に従って、35S-メチオニン/35S-システイン混合物で6〜24時間標識し、次いで、従来の免疫沈殿法によりOP-1合成を評価する。
3.d 可溶性骨形成タンパク質複合体に対する抗体を用いる
診断
本発明の抗体はまた、体内の可溶性タンパク質のレベルをモニターするために用いられ得る。次いで、血流中または腹膜液中に存在する骨形成タンパク質のレベルの変動が、組織の生育能力を評価するために用いられ得る。例えば、骨形成タンパク質は、再生組織と会合して検出され、および/または死細胞から周囲の腹膜液に放出され得る。
Claims (1)
- 骨形成タンパク質の可溶性形態上のエピトープを認識しそして結合する単離された結合パートナーであって、
該骨形成タンパク質の可溶性形態が、哺乳類においてマトリックスに会合して移植される場合、該哺乳類で軟骨内骨形成を誘導し得るダイマー構造を規定するように会合したポリペプチド鎖サブユニット対を含み、
該サブユニットの各々が200未満のアミノ酸を有し、
該サブユニットの少なくとも1つが、骨形成タンパク質の前駆体形態に由来するプロドメインを含むペプチド、またはその対立遺伝子変異体、種変異体、もしくは保存的アミノ酸配列変異体と非共有結合により複合体化して、非複合体化サブユニット対よりも水性溶媒により可溶性である複合体を形成し、
該結合パートナーが、該骨形成タンパク質の成熟ダイマー形態に対しても、該ポリペプチド鎖サブユニットのいずれかの単離されたプロドメインに対しても、実質的に結合親和性を有さないとしてさらに特徴づけられる、
単離された結合パートナー。
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