JP2005001338A - ロール状熱転写受容シート - Google Patents
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Abstract
【課題】熱転写プリンターに適し、プリント時の排紙性が良好で、印画された後、裁断して得られる熱転写受容シートのプリントカールが小さく、取り扱い性が良好で、かつ美観に優れたロール状熱転写受容シートを提供する。
【解決手段】芯材の両面に多孔質延伸ポリエステル系フィルムが積層されたシート状支持体と、該シート状支持体上に形成された画像受容層とを有するロール状熱転写受容シートにおいて、前記ロール状熱転写受容シートの、印画前の本質カールが、幅127mm、長さ179mm(プリンターの給排紙方向と平行の方向)の熱転写受容シート片における画像受容層面を上にして水平面に置いたとき、画像受容層面を凹とするカールで、幅方向をカール軸とし、4隅の最大高さが3〜20mmであり、かつ画像受容層面がロールの外面になるようにして、巻き取りシリンダーに巻かれているロール状熱転写受容シート。
【選択図】 無し
【解決手段】芯材の両面に多孔質延伸ポリエステル系フィルムが積層されたシート状支持体と、該シート状支持体上に形成された画像受容層とを有するロール状熱転写受容シートにおいて、前記ロール状熱転写受容シートの、印画前の本質カールが、幅127mm、長さ179mm(プリンターの給排紙方向と平行の方向)の熱転写受容シート片における画像受容層面を上にして水平面に置いたとき、画像受容層面を凹とするカールで、幅方向をカール軸とし、4隅の最大高さが3〜20mmであり、かつ画像受容層面がロールの外面になるようにして、巻き取りシリンダーに巻かれているロール状熱転写受容シート。
【選択図】 無し
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱転写シートと重ね合せ、サーマルヘッドをデバイスとして、色剤を熱転写することにより画像を得る熱転写受容シート(以下、単に受容シートと略す。)に関する。更に詳しく述べるならば、主に昇華性染料を色剤とする熱転写方式に使用され、フルカラーで高濃度の記録画像が形成可能なロール状受容シートに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、サーマルプリンター、特に鮮明なフルカラー画像がプリント可能な熱転写プリンターが注目されてきた。熱転写プリンターは、熱により昇華もしくは溶融拡散して移行する染料を含有する染料層を有する熱転写シートと、フィルム支持体の片面に前記熱転写シートの染料を受容する画像受容層(以下、単に受容層と略す。)を有する受容シートとを用い、染料層と受容層を重ね合わせ、サーマルヘッドなどから供給される熱により、染料層の所要箇所の染料を所定濃度だけ受容層上に転写して画像を形成するものである。特に昇華性を有する染料を用いた染料熱転写方式は高画質のプリントが可能であることから、銀塩写真との置き換えが進みつつある。
【0003】
従来、受容シートの形態としては、枚葉状受容シートが一般的に使用されており、プリンターに給紙される際、2枚以上が重なって給紙される、いわゆる重送等の給紙トラブルが発生することがあった。また枚葉シートの場合には、印画面積は枚葉シートの大きさで制約される。ところが、熱転写方式の市場拡大とともに用途の多様化が進み、印画面積について自由に選択できることが要望されてきており、さらに、受容シートの低価格化も求められている。
【0004】
この様な問題点を解決するために、ロール状の受容シートを搭載する熱転写プリンター(単に、ロールプリンターとも言う。)が開発されている。ロール状受容シートの使用により、重送等の給紙不良の問題が解決され、一定の範囲で印画面積を選択することが可能であり、予め枚葉状に裁断する必要もなくなり、印画枚数の増大や、受容シートの低価格化も可能となる。
【0005】
ロール状受容シートは連続して給紙され、印画後、プリンター内で所定のサイズに切断して使用される。受容シートが、トラブルなく、給紙、印画、排紙されるためには、受容シート間の摩擦係数、受容シートと搬送ロール間の摩擦係数、受容シートの厚さ、寸法安定性、カール等について注意する必要がある。
ロールプリンター用途としては、例えば、搬送ロールのニップにより受容シート印画面の凹みを改善するために、芯材層の両面にポリエステル系フィルムを積層し、一定の圧縮弾性率を有するシート状支持体が提案されている(例えば、特許文献1参照)。しかし、このような積層構成の支持体の場合には、小径の巻取りシリンダーに巻かれた時に巻き癖などの影響が長期間残るせいか、受容シートのカールが問題となる。
【0006】
受容シートのカールは、印画及び給排紙トラブルの大きな原因となる。ロール状受容シートの白紙カール(印画前のカール)が大きいと、受容シートがプリンター内部の搬送ロールやガイドに引っ掛かり、受容シートの装着性が悪く、作業性が劣る。また印画の際に、受容シートとサーマルヘッドとの密着性が悪化するおそれがある。ロール状受容シートの場合には、プリンター内を搬送ロールに抱かれて搬送するためには、搬送ロールの曲面に沿った適度のカールを有していてもよい。
【0007】
またロール状受容シートは、印画時にサーマルヘッドにより高熱が加えられるため、受容シートは熱変形を起こし、そのためにカールが発生し(プリントカール)、排紙不良の原因となり、印画した受容シートの美観を損ねる。上記熱変形としては受容層自体の収縮の他、ロール状受容シートの支持体として使用している延伸フィルムが、延伸された時の残留応力により、延伸方向に収縮して受容シートにカールやしわを発生させる。
【0008】
ロール状受容シートのカール制御については、ミクロボイド層を含むフィルム基材に受容層を設け、受容層をロールの外側になるように巻いたロール状熱転写受容シートが提案されている(例えば、特許文献2、3参照。)。例えば特許文献2では、ミクロボイド含有ポリプロピレン系プラスチックフィルムが示されており、弾性率、熱収縮率等の調整により、巻き癖や印画後カールが制御されている。しかし、この様な方法は、本発明のようにシート状支持体の材料や構成が異なる場合には、必ずしも適さない。
【0009】
さらに、印画後カールの問題を解決するために、受容層を内側にしてロール状にした受容シートが提案されている(例えば、特許文献4参照。)。この方式では印画される受容層面に傷はつきにくいが、受容層が内側になるようにロール状に巻かれているため、巻き癖がつき、更に印画時の熱による受容層面の収縮が加わり、印画後切断された受容シートは、受容層を内側にして更に大きなトップカールとなる。この欠点を改善するために、受容シートを受容層面とは反対側にカールさせることが提案されているが、プリンターの構造が複雑になる。
またロール形態とした受容シートにおいて、発生する巻き癖カールを防止するために支持体の一部に金属あるいは合金等の塑性層を設けることもを提案されている(例えば、特許文献5参照。)。しかしこの方法では支持体に金属あるいは合金が含まれるため、受容シートの質感が通常の受容シートと異なり、違和感があり、また焼却廃棄の際に不具合が発生するおそれがある。
【0010】
【特許文献1】
特開2002−254831号公報(第2〜4頁)
【特許文献2】
特開平8−20170号公報(第2〜4頁)
【特許文献3】
特開平11−139010号公報(第2〜4頁)
【特許文献4】
特開平10−193816号公報(第2〜3頁)
【特許文献5】
特開平9−30134号公報(第2〜4頁)
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記のような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、サーマルプリンター、特に染料熱転写方式のロールプリンターに適し、印画されたロール状受容シートを裁断して得られる受容シートの、プリントカールが小さく、取り扱い性がよく、かつ美観に優れ、外観も銀塩写真と類似の受容シートを提供しようとすることにある。本発明のロール状受容シートは、染料熱転写方式のみならず、溶融インキ熱転写方式などの各種サーマルプリンターにも適用し得るものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、以下の各発明を包含する。
(1)芯材の両面に多孔質延伸ポリエステル系フィルムが積層されたシート状支持体と、該シート状支持体上に形成された画像受容層とを有するロール状熱転写受容シートにおいて、
前記ロール状熱転写受容シートの、印画前の本質カールが、幅127mm、長さ179mm(プリンターの給排紙方向と平行の方向)の熱転写受容シート片における画像受容層面を上にして水平面に置いたとき、画像受容層面を凹とするカールで、幅方向をカール軸とし、4隅の最大高さが3〜20mmであり、
かつ画像受容層面がロールの外面になるようにして、巻き取りシリンダーに巻かれていることを特徴とするロール状熱転写受容シート。
(2)前記芯材が、多孔質延伸ポリオレフィン系フィルムである(1)項に記載のロール状熱転写受容シート。
(3)前記巻き取りシリンダーの外径が75〜120mmである(1)項または(2)項に記載のロール状熱転写受容シート。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明におけるカールの方向については、受容シートの受容層面を上にして水平な面に置いた時、受容層面側に凹にカールしている場合をトップカール、また受容シートの受容層面を下にして水平な面に置いた時、受容層面とは反対側の面に凹にカールしている場合をバックカールと称する。
本発明におけるロール状受容シートの本質カールとは、小巻ロール状に加工する前の状態における受容シートのカールであり、またロール状に加工されている場合には、ロール状受容シートに付加されている巻き癖を完全に除去した状態における受容シートのカールである。本発明のロール状受容シートは、シート状支持体上に受容層を形成し、十分に熱処理して受容シートを作成した後、この受容層面がロールの外面になるようにして小巻ロール用巻き取りシリンダーに巻き上げられ、巻き癖が付与された状態である。
【0014】
前記の巻き癖の付与されたロール状受容シートを枚葉状の形態に切断し、この受容シートを常温で長時間保持して巻き癖を除去することにより、本質カールが出現する。常温で長時間放置する代わりに、常温より高い温度でかつ支持体樹脂及び受容層の染着性樹脂のTg温度よりも低い温度、例えば35〜50℃の温度で10〜20%相対湿度環境下に3〜6日放置することにより、本質カールの出現を促進することも可能である。
本発明においては、温度45℃、相対湿度15%の環境下で、4日間放置することにより、再現性よく本質カールを測定することが可能であり、評価条件とした。
【0015】
本発明のロール状受容シートについて、製造工程、および印画前後におけるカール挙動は下記示される。
(A)本質カール
シート状支持体上に、受容層用塗工液を塗工、乾燥し、更に受容層の架橋が完了した状態の受容シート、即ち受容層面を外面にして小巻ロール状に巻き取る前の状態の受容シートでは本質カールを示す。
この本質カールは、幅127mm、長さ179mm(プリンター給排紙方向と平行な方向)の大きさの受容シート片において、受容層面を上にして水平面上に置いた時に幅方向(熱転写プリンターでの給排紙方向と垂直な方向)をカール軸(C軸カール)とし、受容層側を凹とするトップカールであり、かつ受容シート片4隅の最大高さが3〜20mmであることが必要であり、好ましくは受容シート片4隅の最大高さが5〜18mmである。
【0016】
本質カールのカール軸が、熱転写プリンターでの給排紙方向と平行な方向(M軸カール)であると、得られるロール状受容シートの印画時に、プリンターのサーマルヘッドとの密着性が劣り、画質が不良となり好ましくない。また受容シート片4隅の最大高さがトップカールで3mm未満、あるいはフラットまたはバックカールであると、得られるロール状受容シートの印画カールはバックカールが過大となり、外観不良及び排紙性が劣るという問題が発生する。また受容シート片4隅の最大高さがトップカールで20mmを超えると、得られるロール状受容シートの印画カールがトップカールとなり外観不良となる。
【0017】
(B)小巻ロールの巻き癖カール
上記(A)の受容シートを、巻き取りシリンダーを中芯として、受容層面側がロールの外面になるように小巻ロール状に巻き上げる。前記の小巻ロールを長時間放置すると(この状況を小巻ロール段階と称する。)、構成する材料の粘弾性的性質とロール形態時の曲率により、ロール状に巻いていた時のカールした形状が残り、いわゆる巻き癖が受容シートに付与される。この巻き癖カールの方向は、受容層面側が凸となるバックカールである。
【0018】
なお、巻き取りシリンダーとしては、紙、プラスチック、金属、木材等及びそれらの複合体等いずれの材質であってもよく、シリンダー状に形成された管である。巻き取りシリンダーの外径が大きい程巻き癖は付きにくいが、巻き取りシリンダーの外径が過大であると得られるロール状受容シートの外径も過大となり、プリンター内部にロール状受容シートを収納する際の容積が大きくなり、プリンターのコンパクト化に対しては不利となる。このため巻き取りシリンダーとしては、外径75〜120mm程度が実用上好ましい。
ロール状受容シートは、上記の巻き取りシリンダー上に約5mから70m程度の受容シートが巻き上げられる。得られるロール状受容シートの外径は80mmから250mm程度となる。
【0019】
(C)印画後カール
上記(B)のロール状受容シートを、熱転写プリンターを用いて受容層面側に印画すると、(この状況を印画段階と称する。)受容層自体及び支持体の受容層面側が選択的に加熱されるために、受容層自体及び支持体の受容層面側が支持体の裏面側よりも大きく収縮するため、受容層面側が凹となるトップカールの方向にカールがシフトする。その結果、上記のロール状受容シートのバックカールは小さくなり、フラットに近づく。その結果得られる印画物はプリンターにおいて排紙性が良好で、銀塩と同様にわずかにバックカールが残る美観に優れたものとなる。
【0020】
従って、受容シートは上記工程(A)の本質カールがバックカールであると、工程(B)の小巻ロール段階での巻き癖付加によるバックカールが更に加わり、印画直前のロール状受容シートのバックカールは更に増大する。その結果工程(C)の印画工程では、バックカールを解消しきれず、印画物はバックカールが非常に大きくなり、プリンターでの排紙トラブルを引き起こし、また得られる印画物も美観を損ない実用上問題となる。また印画前のロール状受容シートのバックカールが過大であると、ロールプリンターへの装着性が悪く、プリンター内での走行性不良が発生するおそれがある。
【0021】
上記工程(A)の本質カールを制御して、受容シートに受容層面側を凹とする特定の大きさのトップカールを付与する手段としては、以下のような各種の方法が利用可能である。
▲1▼染料染着性樹脂及び該樹脂の架橋剤を含有する受容層用塗料を塗工、乾燥し、得られた受容シートをロール状に巻き取った状態で加熱しながら架橋を行い、カールを付与する。即ち受容シートを受容層面がロールの内面になるようにしてロール状に巻き取り、これに温度30〜60℃、相対湿度75%以下の環境下において熱処理を施しながら架橋を行うことで、受容層面側を凹とするトップカールを有する受容シートが得られる。
【0022】
▲2▼フィルムを芯材とし、その表裏にフィルムを貼合した多層構造の支持体の上に受容層を形成する。その際、受容層形成側のフィルムの熱収縮率を反対側のフィルムのそれより大きくすることにより、受容層面側を凹とするトップカールを有する受容シートが得られる。
▲3▼フィルムを芯材とし、その表裏にフィルムを貼合した多層構造の支持体の上に受容層を形成する。その際、受容層形成側のフィルムの厚さを反対側のフィルムのそれより大きくすることにより、受容層面側を凹とするトップカールを有する受容シートが得られる。
【0023】
▲4▼フィルムを芯材とし、その表裏に接着剤として樹脂を押し出しラミネートしてフィルムを接着貼合した多層構造の支持体を形成するに際して、受容層形成側フィルムと芯材との間の接着剤樹脂のラミネート量を芯材と受容層を形成しない側のフィルムとの間のそれより大きくすることにより、受容層面側を凹とするトップカールを有する受容シートが得られる。
▲5▼フィルムを芯材とし、その表裏にフィルムを貼合した多層構造の支持体を形成する際に、受容層形成側のフィルムを貼合する際の張力を、反対側のフィルムを貼合する際の張力より大きくすることにより、受容層面側を凹とするトップカールを有する受容シートが得られる。
【0024】
上記1種または2種以上の手段を組み合わせて、本発明に必要な受容層面側を凹とするトップカールを有する受容シートが得られる。また上記以外の手段によってトップカールを付与させてもよい。
【0025】
(シート状支持体)
本発明のロール状受容シートで使用されるシート状支持体としては、芯材の両面に多孔質延伸ポリエステル系フィルムが積層された、少なくとも3層からなる多層構造のシート状支持体である。
【0026】
シート状支持体の表層基材(受容層を形成する側の基材)は、印画濃度、印画画質の均一性、階調性、フィルムの耐熱性等の点から、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル樹脂を主成分とした多孔質延伸フィルムが好ましく、特に好ましくはポリエチレンテレフタレート樹脂を主成分とする多孔質延伸フィルムである。具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル樹脂とこれに非相溶性の樹脂を均一に分散混合し(場合によっては更に無機微細粉末を添加し)、この樹脂組成物を溶融押出し、更に延伸して空隙を形成した多孔質構造からなる層を含有する単層あるいは多層構造の多孔質延伸ポリエステル系フィルムが好ましく用いられる。なお多層構造の多孔質延伸フィルムは、フィルム中に少なくとも1層以上の多孔質構造を有する層を含有する2層以上の複層構造フィルムを意味し、その構成する全層が多孔質構造であってもよいし、多孔質構造を有さない層が存在してもよい。
【0027】
本発明の表層基材として使用される多孔質延伸ポリエステル系フィルムは、良好なクッション性及び断熱性を有する。樹脂成分としては、テレフタル酸およびエチレングリコールからなるホモポリマー、または、テレフタル酸、エチレングリコールに第三成分を共重合させたコポリマーが使用できる。このようなコポリマーは公知であり、第三成分としては、p−ヒドロキシ安息香酸などのオキシカルボン酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸、プロピレングリコール、テトラメチレングリコールなどのアルキレングリコール、ポリエチレングリコールなどのポリアルキレングリコールなどが用いられる。
【0028】
多孔質延伸ポリエステル系フィルムを形成するには、ポリエステル樹脂中にポリエステル樹脂とは非相溶性樹脂を(場合によっては更に無機微細粉末を)均一に分散させ、この樹脂組成物から形成されたフィルムを延伸することによって得られる。ポリエステル樹脂に対する非相溶性樹脂としてはポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリスチレン、ポリブタジエン、ポリアクリロニトリル、及びそれらの共重合体などが挙げられるが、これらに限られる訳ではない。ポリエステル樹脂に含まれる無機微細粉末としては、例えば炭酸カルシウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、アルミノ珪酸ナトリウム、アルミノ珪酸カリウム、クレー、マイカ、タルク、硫酸バリウム、硫酸カルシウムなどが挙げられるが、これらは単一種で用いられてもよく、あるいは二種類以上の混合物でもよい。
多孔質延伸ポリエステル系フィルムの厚さは25〜110μmが好ましく、より好ましくは35〜75μmである。フィルムの厚さが25μm未満ではフィルムの製造が難しく、コスト的に不利になることがある。一方、フィルムの厚さが110μmを超えると、フィルムの剛度が高くなり、得られる受容シートの風合いが紙と異なり、外観が劣ることがある。
【0029】
また、本発明のシート状支持体の芯材層としては、表面が平滑なフィルムが好ましい。例えば、ポリエステル系フィルム、ポリオレフィン系フィルム、ポリスチレン系フィルム、ポリ塩化ビニル系フィルム等が挙げられ、より好ましくは多孔質延伸ポリエステル系フィルム、多孔質延伸ポリオレフィン系フィルムが使用される。特に好ましくは多孔質延伸ポリオレフィン系フィルムが使用され、プリンター内で搬送ロールのニップによる受容シート印画面の凹みがなく、かつ本発明による印画後カールの改善効果も顕著である。
【0030】
多孔質延伸ポリオレフィン系フィルムとしては、例えば高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン等のエチレン系樹脂、プロピレン系樹脂、メチル−1−ペンテン系樹脂等を主成分とするフィルムが使用される。中でも耐薬品性及びコストの面からプロピレン系樹脂を主成分として使用することが好ましい。プロピレン系樹脂としてはプロピレンの単独重合体及びプロピレンとα−オレフィンとの共重合体を使用できる。プロピレン系樹脂にはプロピレン単独重合体よりも融点の低い樹脂(例えば高密度ないし低密度ポリエチレン)を2〜25質量%配合して使用することが好ましい。またポリオレフィン系フィルムは延伸されたものであることが好ましく、この延伸ポリオレフィン系フィルムはクッション性及び断熱性を高めるために多孔質構造を持つことが好ましい。
【0031】
ポリオレフィン樹脂中に多孔質構造を形成するには、ポリオレフィン樹脂中に無機微細粉末及び/又は有機フィラーを均一に分散させ、この樹脂組成物から形成されたフィルムを延伸することによって得られる。ポリオレフィン樹脂に混合可能な無機微細粉末としては、例えば炭酸カルシウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、アルミノ珪酸ナトリウム、アルミノ珪酸カリウム、クレー、マイカ、タルク、硫酸バリウム、硫酸カルシウムなどが挙げられるが、これらは単一種で用いられてもよく、あるいは二種類以上の混合物でもよい。
【0032】
有機フィラーを混合する場合は、主成分であるポリオレフィン系樹脂とは異なる種類の樹脂を選択するのが好ましい。ポリオレフィン樹脂と混合可能な有機フィラーとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ナイロン6、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート等の重合体であって、ポリオレフィン系樹脂の融点より、高い融点ないしガラス転移点温度を持つ重合体を使用することができる。
【0033】
本発明のシート状支持体の芯材層に用いられる多孔質延伸ポリエステル系フィルムは、前述の表層基材(受容層を形成する側の基材)と同様な方法により製造することができるがシート状支持体全体の厚み、及びシート状支持体全体の厚み方向の圧縮弾性率等を考慮して適宜選択される。
【0034】
なお芯材層の厚さは30〜200μmが好ましく、より好ましくは50〜150μmである。芯材層の厚さが30μm未満では、多層構造支持体の製造工程においてフィルムの腰が不足して作業性が劣ることがある。一方、芯材層の厚さが200μmを超えると、得られるロール状受容シート全体の厚さが過大となり、プリンターによってはロール状受容シートの巻き長さが不足することがある。
またシート状支持体の裏面基材(受容層を形成する面とは反対側の基材)としては、表層基材と同質のシートまたはフィルムが好ましく使用される。
【0035】
シート状支持体形成の際の積層方法としては、特に限定されるものではないが、ウェットラミネート、エキストルージョンラミネート、ドライラミネート、ワックスラミネート等の公知の技術が用いられてよく、一般にドライラミネート法やエキストルージョンラミネート法が用いられる。ドライラミネート用接着剤としてはポリエステル系、ポリエーテル系、ポリウレタン系等の接着剤を用いることができる。エキストルージョンラミネート法としては接着剤としてポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂が用いられる。
【0036】
本発明で使用されるシート状支持体は100〜300μmの厚さを有することが好ましい。因みに、厚さが100μm未満であると、その機械的強度が不十分となり、且つそれから得られる受容シートの剛度が小さく、受容シートとしての質感が劣る。また厚みが300μmを超えると、得られる受容シートの厚みが過大となるため、プリンターにおけるロール状受容シートの巻き長さの低下を招いたり、或いは所定の巻き長さを収容しようとするとプリンターの容積増大を招きプリンターのコンパクト化を困難にする等の問題を生ずる。
【0037】
(受容層)
本発明のロール状受容シートにおいて、シート状支持体に、中間層を介してあるいは直接に設けられた受容層は、染料染着性樹脂を主成分として含み、必要に応じて更に、架橋剤、融着防止剤、紫外線吸収剤、有色顔料、有色染料、蛍光増白剤、可塑剤、酸化防止剤、無機顔料等の1種以上を適宜加えた塗料を、中間層表面上あるいはシート状支持体上に塗布しこれを乾燥し更に架橋して形成される。
【0038】
本発明の受容層で使用される染料染着性樹脂としては、染料との親和性が良好で染料染着性の高い樹脂が使用される。このような樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアクリル酸エステル樹脂、セルロースアセテートブチレート等のセルロース誘導体系樹脂、ポリアミド樹脂等の熱可塑性樹脂、活性エネルギー線硬化樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は使用する架橋剤に対して反応性を有する官能基(例えば水酸基、アミノ基、カルボキシル基、エポキシ基等の官能基)を有していることが好ましい。
【0039】
本発明の受容層には架橋剤が用いられてもよい。架橋剤としては化学反応で硬化あるいは重合するタイプの化学反応型の架橋剤が好ましい。化学反応型架橋剤としては、エポキシ化合物、イソシアネート化合物等の付加反応型、レゾール等の熱硬化型、2−シアノアクリル酸エステル、アルキルチタネート等の湿気硬化型、ウレア等の縮合反応型の架橋剤等が挙げられる。付加反応型の架橋剤として、例えばイソシアネート化合物、及びエポキシ化合物等の架橋剤が好ましく用いられる。架橋剤の配合量は、受容層全固形分に対する配合比率で1〜30質量%程度が好ましい。
【0040】
本発明の受容層中には印画工程で受容シートとインクシートとの融着を防止する為に受容層中に融着防止剤が好ましく含有される。
融着防止剤としては離型剤、滑剤等が用いられ、例えば、アミノ変性、ヒドロキシ変性、カルボキシ変性シリコーンオイル等の変性シリコーンオイル、非変性シリコーンオイル、シリコーンアクリル樹脂等のシリコーン系樹脂、変性シリコーンオイルとイソシアネート化合物とのプレポリマー、シリコーン化合物、フッ素化合物、脂肪酸エステル化合物および燐酸エステル化合物等のうちから1種あるいは2種以上が用いられる。紫外線吸収剤としてはベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、フェニルサリシレート系及びシアノアクリレート系紫外線吸収性化合物が用いられる。
これらの各種の受容層添加成分は架橋剤を介して架橋反応を起こしてもよい。これらの添加剤は受容層の主成分と混合して塗工されてもよいし、また別の塗工層として受容層の上及び/又は下に塗工されていてもよい。
【0041】
受容層の固形分塗工量は1〜12g/m2、好ましくは3〜10g/m2の範囲で調節される。因みに受容層の固形分塗工量が1g/m2未満では、受容層が支持体表面を完全に覆うことができず、画質の低下を招いたり、サーマルヘッドの加熱により、受容層とインクシートが接着してしまう融着トラブルが発生することがある。一方固形分塗工量が12g/m2を超えると、効果が飽和して不経済であるばかりでなく、受容層の強度が不足したり、受容層の厚みが増大するため支持体の断熱効果が十分に発揮されず、画像濃度が低下することがある。
【0042】
(中間層)
本発明のロール状受容シートには、シート状支持体と受容層との間の接着性及びロール状受容シートの帯電防止性改善のために、シート状支持体と受容層との間に中間層を設けてもよい。この中間層形成のために使用される樹脂としては各種の親水性樹脂、疎水性樹脂が使用可能であり、例えばポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等のビニルポリマー及びその誘導体、ポリアクリルアミド、ポリジメチルアクリルアミド、ポリアクリル酸又はその塩、ポリアクリル酸エステル等のアクリル基を含有するポリマー、ポリメタクリル酸、ポリメタクリル酸エステル等のメタクリル基を含有するポリマー、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、澱粉、変性澱粉、カルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体等の樹脂を使用することが出来る。
【0043】
中間層には必要に応じて、更に公知の帯電防止剤、架橋剤、増粘剤、滑剤、離型剤、消泡剤、濡れ剤、レベリング剤、増白剤等の各種助剤を添加することも可能である。帯電防止剤については、導電性樹脂や導電性無機顔料等の導電剤が添加される。導電性樹脂としてはカチオン型、アニオン型、ノニオン型の導電性樹脂があり、カチオン型導電性樹脂が好ましく使用される。カチオン型導電性樹脂としては、ポリエチレンイミン、カチオン性モノマーを含むアクリル系重合体、カチオン変性アクリルアミド重合体、及びカチオン澱粉等が挙げられる。架橋剤については、中間層の耐水性、耐溶剤性の向上のために前述のイソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤等を添加することが好ましい。
【0044】
前記中間層の固形分塗工量は0.2〜5g/m2の範囲が好ましく、より好ましくは0.5〜3g/m2の範囲である。因みに固形分塗工量が0.2g/m2未満では、中間層としての接着性改善効果が十分に得られないことがあり、一方、固形分塗工量が5g/m2を超えると、ブロッキングや操業性が悪化するおそれがある。
【0045】
(裏面層)
本発明のロール状受容シートは、シート状支持体の裏面(受容層が設けられている側とは反対側の面)に裏面層が設けられていてもよい。裏面層は接着剤として有効な樹脂を主成分とし、架橋剤、帯電防止剤、融着防止剤、無機及び/又は有機顔料等を含んでいてもよい。
【0046】
本発明の裏面層には、接着剤として有効な裏面層形成用樹脂が用いられる。この樹脂は裏面層と支持体との接着強度向上、受容層面の傷付き防止、受容層面と接触する裏面層への染料の移行防止に有効なものである。このような樹脂としては、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、ポリビニルアセタール樹脂等、及びこれらの樹脂の反応硬化物を用いることができる。また裏面層には、シート状支持体と裏面層との接着性を向上させるため、適宜前述のポリイソシアネート化合物、エポキシ化合物等の架橋剤を裏面層塗料中に配合してもよい。
【0047】
本発明の裏面層には、静電気防止のために導電性樹脂や導電性無機顔料等の帯電防止剤が添加される。導電性樹脂としてはカチオン型、アニオン型、ノニオン型の導電性樹脂があり、カチオン型導電性樹脂としては、例えばポリエチレンイミン、カチオン性モノマーを含むアクリル系重合体、カチオン変性アクリルアミド重合体、及びカチオン澱粉等が特に好ましく使用される。また導電性無機顔料としては、酸化物及び/又は硫化物などの化合物半導体顔料および前記化合物半導体顔料を被覆した無機顔料等が挙げられる。
【0048】
本発明の裏面層には、有機または無機フィラー等の摩擦係数調整剤を必要に応じて配合することができる。有機フィラーとしては、ナイロンフィラー、セルロースフィラー、尿素樹脂フィラー、スチレン樹脂フィラー、アクリル樹脂フィラー等を使用することができる。無機フィラーとしては、シリカ、硫酸バリウム、カオリン、クレー、タルク、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、酸化チタン、酸化亜鉛等を用いることができる。
【0049】
裏面層には必要に応じて、滑剤、離型剤等の融着防止剤を含有することも可能である。例えば、融着防止剤としては、非変性及び変性シリコーンオイル、シリコーンブロック共重合体及びシリコーンゴム等のシリコーン系化合物、リン酸エステル化合物、脂肪酸エステル化合物、フッ素化合物等が挙げられる。また従来公知の消泡剤、分散剤、有色顔料、蛍光染料、蛍光顔料、紫外線吸収剤等を適宜選択して使用してもよい。
【0050】
裏面層の固形分塗工量は0.3〜10g/m2の範囲内にあることが好ましい。より好ましくは1〜8g/m2である。裏面層の固形分塗工量が0.3g/m2未満であると、ロール状受容シートが擦れた時の傷付き防止性が十分に発揮されず、また塗工欠陥が発生して表面電気抵抗値が上がる場合がある。一方固形分塗工量が10g/m2を超えると、効果が飽和して不経済である。
【0051】
また本発明のロール状受容シートは熱転写方式による印画を行った後に、画像保護層を形成してもよい。画像保護層形成は、熱転写シートに転写用画像保護層を設け、加熱により熱転写画像上に画像保護層を転写するいわゆる転写方式や、実質的に透明なシートを熱転写画像上に貼着積層する貼着方式等がある。
【0052】
本発明における各塗工層は、バーコーター、グラビアコーター、コンマコーター、ブレードコーター、エアーナイフコーター、ゲートロールコーター、ダイコーター、カーテンコーター、リップコーター、及びスライドビードコーターなど公知のコーターを用いて塗工、乾燥して形成することができる。
【0053】
【実施例】
下記実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において、特に断らない限り「%」及び「部」は、溶剤に関するものを除き、固形分の「質量%」及び「質量部」を示す。
【0054】
実施例1
(支持体の形成)
ポリプロピレンを主成分とし、無機顔料として炭酸カルシウムを含有する1軸及び2軸延伸された厚み110μmの多孔質多層構造ポリオレフィン系フィルム(商品名:ユポFPG110、ユポ・コーポレーション製)を芯材とし、その両面にポリエチレンテレフタレートを主成分とし、2軸延伸された厚み50μmの多孔質多層構造ポリエステル系フィルム(商品名:50QE15、東レ製)を用い、ウレタン系接着剤によりドライラミネート方式で貼合して支持体を得た。
なお、フィルム貼合時、表裏の多孔質多層構造ポリエステル系フィルム
の張力を20Kg/mとした。
【0055】
(裏面層の形成)
上記支持体の片面に下記組成の裏面層用塗工液−1を固形分塗工量が3g/m2になるように塗工、乾燥して裏面層を形成した。
【0056】
(中間層の形成)
上記で得られた支持体の受容層側となる多孔質多層構造ポリエステル系フィルム面上に下記組成の中間層用塗工液−1を固形分塗工量が1g/m2になるように塗工、乾燥して中間層を形成した。
【0057】
(受容層の形成)
次に上記中間層上に下記組成の受容層用塗工液−1を固形分塗工量が5g/m2になるように塗工、乾燥した。
なお受容シートは、受容層塗工面がロールの内面になるように外径170mmの巻き芯にロール状に巻き取り、直ちに防湿包装して温度50℃、相対湿度30%に制御された熱処理室中に5日間放置して受容層の架橋を行ない、受容層の形成を行なった。
【0058】
(小巻ロール状受容シートの作成)
上記で得られた受容シートをスリッターに供し、小巻スリット仕上げして、幅127mm、巻長さ50mの小巻ロールを作成し、ロール状受容シートを得た。なお前記小巻ロールは受容層塗工面がロールの外面になるように小巻ロール用巻き取りシリンダーに巻き上げた。小巻ロール用巻き取りシリンダーとしては内径3インチの緩衝材付きの紙管(巻き取りシリンダー外径88mm)を使用した。また得られたロール状受容シートの外径は150mmであった。
【0059】
実施例2
支持体の形成において、フィルム貼合時、受容層側となる多孔質多層構造ポリエステル系フィルムの張力を40Kg/mにし、受容層と反対側の多孔質多層構造ポリエステル系フィルムの張力を20Kg/mに変更した以外は、実施例1と同様にしてロール状受容シートを得た。
【0060】
実施例3
支持体の形成を以下のように変更した以外は、実施例1と同様にしてロール状受容シートを得た。
(支持体の形成)
ポリプロピレンを主成分とし、無機顔料として炭酸カルシウムを含有する1軸及び2軸延伸された厚み95μmの多孔質多層構造ポリオレフィン系フィルム(商品名:ユポFPG95、ユポ・コーポレーション製)を芯材とし、その両面にポリエチレンテレフタレートを主成分とし、2軸延伸された厚み50μmの多孔質多層構造ポリエステル系フィルム(商品名:50QE15、東レ製)を用い、接着剤として低密度ポリエチレン(商品名:ユカロンLK50、三菱化学製)をを使用し、押出しラミネート方式で貼合して支持体を作成した。なお、低密度ポリエチレンの受容面側の塗工量は24g/m2、また反対側の塗工量は10g/m2とした。
【0061】
実施例4
支持体の形成を以下のように変更した以外は、実施例1と同様にしてロール状受容シートを得た。
(支持体の形成)
ポリプロピレンを主成分とし、無機顔料として炭酸カルシウムを含有する1軸及び2軸延伸された厚み95μmの多孔質多層構造ポリオレフィン系フィルム(商品名:ユポFPG95、ユポ・コーポレーション製)を芯材とし、その一方の面にポリエチレンテレフタレートを主成分とし、2軸延伸された厚み75μmの多孔質多層構造ポリエステル系フィルム(商品名:W900J75、三菱化学ポリエステルフィルム製)を用い、また他方の面にポリエチレンテレフタレートを主成分とし、2軸延伸された厚み38μmの多孔質多層構造ポリエステル系フィルム(商品名:W900J38、三菱化学ポリエステルフィルム製)を用い、ウレタン系接着剤を使用してドライラミネート方式で貼り合せて支持体を得た。なお厚み75μmの多孔質多層構造ポリエステル系フィルム側を受容層塗工面側とした。
【0062】
実施例5
支持体の形成を以下のように変更した以外は、実施例1と同様にしてロール状受容シートを得た。
(支持体の形成)
ポリプロピレンを主成分とし、無機顔料として炭酸カルシウムを含有する1軸及び2軸延伸された厚み95μmの多孔質多層構造ポリオレフィン系フィルム(商品名:ユポFPG95、ユポ・コーポレーション製)を芯材とし、その両面にポリエチレンテレフタレートを主成分とし、2軸延伸された厚み50μmの多孔質多層構造ポリエステル系フィルム(商品名:50QE15、東レ製)を用い、接着剤として低密度ポリエチレン(商品名:ユカロンLK50、三菱化学製)を使用し、押出しラミネート方式で貼合して支持体を作成した。低密度ポリエチレンの受容面側の塗工量は24g/m2、また反対側の塗工量は10g/m2とした。
また、押出しラミネート方式による貼合時、受容層側となる上記多孔質多層構造ポリエステル系フィルムの張力を50Kg/mにし、受容層と反対側の上記多孔質多層構造ポリエステル系フィルムの張力を20Kg/mとした。
【0063】
比較例1
受容層の形成を以下のように変更した以外は、実施例1と同様にしてロール状受容シートを得た。
(受容層の形成)
実施例1で作成した中間層上に実施例1で使用した受容層用塗工液−1を固形分塗工量が5g/m2になるように塗工、乾燥した。なお受容シートは、受容層塗工面がロールの外面になるように外径170mmの巻き芯にロール状に巻き取り、直ちに防湿包装して温度50℃、相対湿度30%に制御された熱処理室中に5日間放置して受容層の架橋を行ない、受容層の形成を行なった。
【0064】
比較例2
支持体の形成において、フィルム貼合時、受容層側となる多孔質多層構造ポリエステル系フィルムの張力を20Kg/mにし、受容層と反対側の多孔質多層構造ポリエステル系フィルムの張力を40Kg/mに変更し、更に受容層塗工後の受容シートを熱処理して架橋する工程において、受容シートをその受容層面がロールの外面になるようにロール状に巻き取り、受容層を架橋した以外は、実施例1と同様にしてロール状受容シートを得た。
【0065】
比較例3
支持体の形成において、厚み38μmの多孔質多層構造PETフィルム側を受容層塗工面側とし、更に受容層塗工後の受容シートを熱処理して架橋する工程において、受容シートをその受容層面がロールの外面になるようにロール状に巻き取り、受容層を架橋した以外は、実施例4と同様にしてロール状受容シートを得た。
【0066】
比較例4
受容層の形成を以下のように変更した以外は、実施例1と同様にしてロール状受容シートを得た。
(受容層の形成)
実施例1で作成した中間層上に実施例1で使用した受容層用塗工液−1を固形分塗工量が5g/m2になるように塗工、乾燥した。なお受容シートは、受容層塗工面がロールの内面になるように外径500mmの巻き芯にロール状に巻き取り、直ちに防湿包装して温度50℃、相対湿度30%に制御された熱処理室中に5日間放置して受容層の架橋を行ない、受容層の形成を行なった。
【0067】
比較例5
支持体の形成を以下のように変更した以外は、実施例1と同様にしてロール状受容シートを得た。
(支持体の形成)
ポリプロピレンを主成分とし、無機顔料として炭酸カルシウムを含有する1軸及び2軸延伸された厚み95μmの多孔質多層構造ポリオレフィン系フィルム(商品名:ユポFPG95、ユポ・コーポレーション製)を芯材として使用した。受容層塗工面側フィルムとしてポリエチレンテレフタレートを主成分とし、2軸延伸された厚み75μmの多孔質多層構造ポリエステル系フィルム(商品名:W900J75、三菱化学ポリエステルフィルム製)を用い、接着剤として低密度ポリエチレン(商品名:ユカロンLK50、三菱化学製)を使用して、押出しラミネ−ト方式で上記芯材の片面に貼合した。低密度ポリエチレンの塗工量は27g/m2であった。
また押出しラミネート方式による貼合時、受容層側となる上記多孔質多層構造ポリエステル系フィルムの張力を60Kg/mとした。
【0068】
次に裏面側(受容層が設けられる側とは反対側)フィルムとして、ポリエチレンテレフタレートを主成分とし、2軸延伸された厚み38μmの多孔質多層構造ポリエステル系フィルム(商品名:W900J38、三菱化学ポリエステルフィルム製)を用い、接着剤として低密度ポリエチレン(商品名:ユカロンLK50、三菱化学製)を使用して押出しラミネート方式で上記芯材の受容層塗工面側フィルムの設けられていない面に貼合した。低密度ポリエチレンの塗工量は11g/m2であった。
また押出しラミネート方式による貼合時、裏面側となる上記多孔質多層構造ポリエステル系フィルムの張力を15Kg/mとした。
【0069】
評価
上記の各実施例及び各比較例で得られたロール状受容シートを用いて、以下の各項目について下記に述べる方法で評価した。評価結果を表1にまとめた。
【0070】
(1)本質カール
各実施例及び比較例で得られたロール状受容シートから、幅127mm、長さ179mm(プリンターでの給排紙方向と平行の方向)の大きさに受容シートをカッターで裁断し、この受容シート片を温度45℃、相対湿度15%の環境下に、受容層面を上及び下にして水平な面上に4日間置き、それぞれの受容シート片の4隅の高さを測定して、最大高さを本質カールとした。受容シート片の幅方向、即ち受容シートの給排紙方向に対して垂直な方向をカール軸とするものを、カール軸:C軸と表記した。なお、受容層面が上で受容層側に凹カールしている場合にトップカール、受容層面が下で受容層面側を凸にしてカールしている場合にはバックカールとなる。
本質カールの判定は以下の基準で評価した。
○:トップカールで3〜20mm。
×:トップカールで3mm未満又は20mmを超える、あるいはフラットまたはバックカール。
【0071】
(2)印画前カール
各実施例及び比較例で得られた、幅127mmの小巻仕上げロール状受容シート(印画前の白紙状態)から、幅127mm、長さ179mm(プリンターでの給排紙方向と平行の方向)の大きさに受容シートを裁断し、この受容シート片を温度23℃、相対湿度50%の環境下に、受容層面を上及び下にして水平な面上に5分間置き、それぞれの受容シート片の4隅の高さを測定して、最大高さを印画前カールとした。
【0072】
(3)印画後カール
各実施例及び比較例で得られた、幅127mmのロール状受容シートを熱転写プリンター(商品名:UP−DR100、ソニー製)に供し、黒べた画像を印画し、長さ179mmに裁断して排紙した。この印画された受容シートのカールを測定し、印画後カールとした。印画後カールの測定方法は、温度23℃、相対湿度50%の環境下に、印画された受容シートの受容層面を上及び下にして水平な面上に5分間置き、各々の受容シートの4隅の最大高さを測定して、印画後カールとした。印画後カールを、下記の基準で評価した。
○:バックカールで20mm以下、又はフラット。
△:バックカールで20mmを超え30mm以下、又はトップカールで10mm以下。
×:バックカールで30mmを超える、又はトップカールで10mmを超える。
【0073】
(4)印画後受容シートの排紙性
各実施例及び比較例で得られた、幅127mmのロール状受容シートを熱転写プリンター(商品名:UP−DR100、ソニー製)に供し、黒べた画像を印画し、長さ179mmに裁断して排紙トレーに排紙した。この操作を20回連続的に繰り返して印画物の排紙性を調査し、下記の基準で評価した。
○:印画された受容シートが、排紙トレー内に正常に排紙される。
×:印画された受容シートが、排紙トレーからはみ出し、排紙トラブルが発生。
【0074】
(5)印画品質
各実施例及び比較例で得られた、幅127mmのロール状受容シートを熱転写プリンター(商品名:UP−DR100、ソニー製)に供し、厚さ6μmのポリエステルフィルムの上に、イエロー、マゼンタ、シアン3色それぞれの昇華性染料を接着剤と共に含むインク層を設けたインクシートのインク層を、順次に受容シートに接触させ、サーマルヘッドで段階的にコントロールされた加熱を施すことにより、所定の画像を受容シートに熱転写させ、各色の中間調の単色及び色重ねの画像をプリントした。得られた記録画像について、下記の評価を行った。
【0075】
▲1▼印画濃度
受容シート上に転写された印加エネルギー別の記録画像について、マクベス反射濃度計(商品名:RD−914、Kollmorgen社製)を用いて、その反射濃度を測定した。印加エネルギーの低い方から15ステップ目に相当する高階調部の濃度を印画濃度として表示した。
▲2▼画像均一性
更に、光学濃度(黒)が0.5に相当する階調部分の記録画像の均一性を、濃淡むら及び白抜けの有無について目視評価した。
濃淡むら及び白抜けが無く、実用的に全く問題がないものを○、濃淡むら及び白抜けが僅かに観られるが、実用的には問題がないものを△、濃淡むら及び白抜けの欠陥が著しくあり、実用的に問題があるものを×と表示した。
【0076】
(6)ロール痕(受容シートのスパイク痕有無)
各実施例及び比較例で得られた、幅127mmのロール状受容シートを熱転写プリンター(商品名:UP−DR100、ソニー製)に供し、黒べた画像を印画し、長さ179mmに裁断して排紙トレーに排紙した。この操作を20回連続的に繰り返した。得られた印画サンプルについて、プリンターの搬送ロールにより、受容シートが搬送される際に発生したスパイク痕を目視評価した。
スパイク痕が無く、実用的に全く問題がないものを○、わずかにスパイク痕があるが、実用的には問題がないものを△、スパイク痕が著しく、実用的に問題があるものを×と表示した。
【0077】
【表1】
【0078】
表1の結果から、実施例1〜5で得られたロール状受容シートは、印画前の本質カールが適性な大きさのトップカールに調整されていることから、印画後のカールも適性な範囲となり、プリンターでの排紙性が良好で、優れた印画品質を有し、かつロールによるスパイク痕も生じないことが確認された。
一方、比較例1〜3のロール状受容シートは、印画前の本質カールがバックカールであるため、印画後も小巻ロールの形状が残ってバックカールが過大となり、排紙トラブルが発生し、外観も不良であり、実用には適さないことがわかる。また比較例4のロール状受容シートは、印画前の本質カールがトップカールではあるが、その値が小さい為、印画後のバックカールが大きくなり、排紙トラブルが発生し、外観も不良で、実用には適さないことがわかる。また比較例5のロール状受容シートは、印画前の本質カールが過大なトップカールである為、印画後もトップカールとなり、排紙トラブルが発生し、外観も不良であり、実用には適さないことがわかる。
【0079】
【発明の効果】
本発明のロール状受容シートは、印画後のカールが適性な範囲であり、プリント時の排紙性が良好で、かつ印画品質も良好で、美観に優れたロール状受容シートであり、実用的に価値の高いものである。
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱転写シートと重ね合せ、サーマルヘッドをデバイスとして、色剤を熱転写することにより画像を得る熱転写受容シート(以下、単に受容シートと略す。)に関する。更に詳しく述べるならば、主に昇華性染料を色剤とする熱転写方式に使用され、フルカラーで高濃度の記録画像が形成可能なロール状受容シートに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、サーマルプリンター、特に鮮明なフルカラー画像がプリント可能な熱転写プリンターが注目されてきた。熱転写プリンターは、熱により昇華もしくは溶融拡散して移行する染料を含有する染料層を有する熱転写シートと、フィルム支持体の片面に前記熱転写シートの染料を受容する画像受容層(以下、単に受容層と略す。)を有する受容シートとを用い、染料層と受容層を重ね合わせ、サーマルヘッドなどから供給される熱により、染料層の所要箇所の染料を所定濃度だけ受容層上に転写して画像を形成するものである。特に昇華性を有する染料を用いた染料熱転写方式は高画質のプリントが可能であることから、銀塩写真との置き換えが進みつつある。
【0003】
従来、受容シートの形態としては、枚葉状受容シートが一般的に使用されており、プリンターに給紙される際、2枚以上が重なって給紙される、いわゆる重送等の給紙トラブルが発生することがあった。また枚葉シートの場合には、印画面積は枚葉シートの大きさで制約される。ところが、熱転写方式の市場拡大とともに用途の多様化が進み、印画面積について自由に選択できることが要望されてきており、さらに、受容シートの低価格化も求められている。
【0004】
この様な問題点を解決するために、ロール状の受容シートを搭載する熱転写プリンター(単に、ロールプリンターとも言う。)が開発されている。ロール状受容シートの使用により、重送等の給紙不良の問題が解決され、一定の範囲で印画面積を選択することが可能であり、予め枚葉状に裁断する必要もなくなり、印画枚数の増大や、受容シートの低価格化も可能となる。
【0005】
ロール状受容シートは連続して給紙され、印画後、プリンター内で所定のサイズに切断して使用される。受容シートが、トラブルなく、給紙、印画、排紙されるためには、受容シート間の摩擦係数、受容シートと搬送ロール間の摩擦係数、受容シートの厚さ、寸法安定性、カール等について注意する必要がある。
ロールプリンター用途としては、例えば、搬送ロールのニップにより受容シート印画面の凹みを改善するために、芯材層の両面にポリエステル系フィルムを積層し、一定の圧縮弾性率を有するシート状支持体が提案されている(例えば、特許文献1参照)。しかし、このような積層構成の支持体の場合には、小径の巻取りシリンダーに巻かれた時に巻き癖などの影響が長期間残るせいか、受容シートのカールが問題となる。
【0006】
受容シートのカールは、印画及び給排紙トラブルの大きな原因となる。ロール状受容シートの白紙カール(印画前のカール)が大きいと、受容シートがプリンター内部の搬送ロールやガイドに引っ掛かり、受容シートの装着性が悪く、作業性が劣る。また印画の際に、受容シートとサーマルヘッドとの密着性が悪化するおそれがある。ロール状受容シートの場合には、プリンター内を搬送ロールに抱かれて搬送するためには、搬送ロールの曲面に沿った適度のカールを有していてもよい。
【0007】
またロール状受容シートは、印画時にサーマルヘッドにより高熱が加えられるため、受容シートは熱変形を起こし、そのためにカールが発生し(プリントカール)、排紙不良の原因となり、印画した受容シートの美観を損ねる。上記熱変形としては受容層自体の収縮の他、ロール状受容シートの支持体として使用している延伸フィルムが、延伸された時の残留応力により、延伸方向に収縮して受容シートにカールやしわを発生させる。
【0008】
ロール状受容シートのカール制御については、ミクロボイド層を含むフィルム基材に受容層を設け、受容層をロールの外側になるように巻いたロール状熱転写受容シートが提案されている(例えば、特許文献2、3参照。)。例えば特許文献2では、ミクロボイド含有ポリプロピレン系プラスチックフィルムが示されており、弾性率、熱収縮率等の調整により、巻き癖や印画後カールが制御されている。しかし、この様な方法は、本発明のようにシート状支持体の材料や構成が異なる場合には、必ずしも適さない。
【0009】
さらに、印画後カールの問題を解決するために、受容層を内側にしてロール状にした受容シートが提案されている(例えば、特許文献4参照。)。この方式では印画される受容層面に傷はつきにくいが、受容層が内側になるようにロール状に巻かれているため、巻き癖がつき、更に印画時の熱による受容層面の収縮が加わり、印画後切断された受容シートは、受容層を内側にして更に大きなトップカールとなる。この欠点を改善するために、受容シートを受容層面とは反対側にカールさせることが提案されているが、プリンターの構造が複雑になる。
またロール形態とした受容シートにおいて、発生する巻き癖カールを防止するために支持体の一部に金属あるいは合金等の塑性層を設けることもを提案されている(例えば、特許文献5参照。)。しかしこの方法では支持体に金属あるいは合金が含まれるため、受容シートの質感が通常の受容シートと異なり、違和感があり、また焼却廃棄の際に不具合が発生するおそれがある。
【0010】
【特許文献1】
特開2002−254831号公報(第2〜4頁)
【特許文献2】
特開平8−20170号公報(第2〜4頁)
【特許文献3】
特開平11−139010号公報(第2〜4頁)
【特許文献4】
特開平10−193816号公報(第2〜3頁)
【特許文献5】
特開平9−30134号公報(第2〜4頁)
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記のような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、サーマルプリンター、特に染料熱転写方式のロールプリンターに適し、印画されたロール状受容シートを裁断して得られる受容シートの、プリントカールが小さく、取り扱い性がよく、かつ美観に優れ、外観も銀塩写真と類似の受容シートを提供しようとすることにある。本発明のロール状受容シートは、染料熱転写方式のみならず、溶融インキ熱転写方式などの各種サーマルプリンターにも適用し得るものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、以下の各発明を包含する。
(1)芯材の両面に多孔質延伸ポリエステル系フィルムが積層されたシート状支持体と、該シート状支持体上に形成された画像受容層とを有するロール状熱転写受容シートにおいて、
前記ロール状熱転写受容シートの、印画前の本質カールが、幅127mm、長さ179mm(プリンターの給排紙方向と平行の方向)の熱転写受容シート片における画像受容層面を上にして水平面に置いたとき、画像受容層面を凹とするカールで、幅方向をカール軸とし、4隅の最大高さが3〜20mmであり、
かつ画像受容層面がロールの外面になるようにして、巻き取りシリンダーに巻かれていることを特徴とするロール状熱転写受容シート。
(2)前記芯材が、多孔質延伸ポリオレフィン系フィルムである(1)項に記載のロール状熱転写受容シート。
(3)前記巻き取りシリンダーの外径が75〜120mmである(1)項または(2)項に記載のロール状熱転写受容シート。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明におけるカールの方向については、受容シートの受容層面を上にして水平な面に置いた時、受容層面側に凹にカールしている場合をトップカール、また受容シートの受容層面を下にして水平な面に置いた時、受容層面とは反対側の面に凹にカールしている場合をバックカールと称する。
本発明におけるロール状受容シートの本質カールとは、小巻ロール状に加工する前の状態における受容シートのカールであり、またロール状に加工されている場合には、ロール状受容シートに付加されている巻き癖を完全に除去した状態における受容シートのカールである。本発明のロール状受容シートは、シート状支持体上に受容層を形成し、十分に熱処理して受容シートを作成した後、この受容層面がロールの外面になるようにして小巻ロール用巻き取りシリンダーに巻き上げられ、巻き癖が付与された状態である。
【0014】
前記の巻き癖の付与されたロール状受容シートを枚葉状の形態に切断し、この受容シートを常温で長時間保持して巻き癖を除去することにより、本質カールが出現する。常温で長時間放置する代わりに、常温より高い温度でかつ支持体樹脂及び受容層の染着性樹脂のTg温度よりも低い温度、例えば35〜50℃の温度で10〜20%相対湿度環境下に3〜6日放置することにより、本質カールの出現を促進することも可能である。
本発明においては、温度45℃、相対湿度15%の環境下で、4日間放置することにより、再現性よく本質カールを測定することが可能であり、評価条件とした。
【0015】
本発明のロール状受容シートについて、製造工程、および印画前後におけるカール挙動は下記示される。
(A)本質カール
シート状支持体上に、受容層用塗工液を塗工、乾燥し、更に受容層の架橋が完了した状態の受容シート、即ち受容層面を外面にして小巻ロール状に巻き取る前の状態の受容シートでは本質カールを示す。
この本質カールは、幅127mm、長さ179mm(プリンター給排紙方向と平行な方向)の大きさの受容シート片において、受容層面を上にして水平面上に置いた時に幅方向(熱転写プリンターでの給排紙方向と垂直な方向)をカール軸(C軸カール)とし、受容層側を凹とするトップカールであり、かつ受容シート片4隅の最大高さが3〜20mmであることが必要であり、好ましくは受容シート片4隅の最大高さが5〜18mmである。
【0016】
本質カールのカール軸が、熱転写プリンターでの給排紙方向と平行な方向(M軸カール)であると、得られるロール状受容シートの印画時に、プリンターのサーマルヘッドとの密着性が劣り、画質が不良となり好ましくない。また受容シート片4隅の最大高さがトップカールで3mm未満、あるいはフラットまたはバックカールであると、得られるロール状受容シートの印画カールはバックカールが過大となり、外観不良及び排紙性が劣るという問題が発生する。また受容シート片4隅の最大高さがトップカールで20mmを超えると、得られるロール状受容シートの印画カールがトップカールとなり外観不良となる。
【0017】
(B)小巻ロールの巻き癖カール
上記(A)の受容シートを、巻き取りシリンダーを中芯として、受容層面側がロールの外面になるように小巻ロール状に巻き上げる。前記の小巻ロールを長時間放置すると(この状況を小巻ロール段階と称する。)、構成する材料の粘弾性的性質とロール形態時の曲率により、ロール状に巻いていた時のカールした形状が残り、いわゆる巻き癖が受容シートに付与される。この巻き癖カールの方向は、受容層面側が凸となるバックカールである。
【0018】
なお、巻き取りシリンダーとしては、紙、プラスチック、金属、木材等及びそれらの複合体等いずれの材質であってもよく、シリンダー状に形成された管である。巻き取りシリンダーの外径が大きい程巻き癖は付きにくいが、巻き取りシリンダーの外径が過大であると得られるロール状受容シートの外径も過大となり、プリンター内部にロール状受容シートを収納する際の容積が大きくなり、プリンターのコンパクト化に対しては不利となる。このため巻き取りシリンダーとしては、外径75〜120mm程度が実用上好ましい。
ロール状受容シートは、上記の巻き取りシリンダー上に約5mから70m程度の受容シートが巻き上げられる。得られるロール状受容シートの外径は80mmから250mm程度となる。
【0019】
(C)印画後カール
上記(B)のロール状受容シートを、熱転写プリンターを用いて受容層面側に印画すると、(この状況を印画段階と称する。)受容層自体及び支持体の受容層面側が選択的に加熱されるために、受容層自体及び支持体の受容層面側が支持体の裏面側よりも大きく収縮するため、受容層面側が凹となるトップカールの方向にカールがシフトする。その結果、上記のロール状受容シートのバックカールは小さくなり、フラットに近づく。その結果得られる印画物はプリンターにおいて排紙性が良好で、銀塩と同様にわずかにバックカールが残る美観に優れたものとなる。
【0020】
従って、受容シートは上記工程(A)の本質カールがバックカールであると、工程(B)の小巻ロール段階での巻き癖付加によるバックカールが更に加わり、印画直前のロール状受容シートのバックカールは更に増大する。その結果工程(C)の印画工程では、バックカールを解消しきれず、印画物はバックカールが非常に大きくなり、プリンターでの排紙トラブルを引き起こし、また得られる印画物も美観を損ない実用上問題となる。また印画前のロール状受容シートのバックカールが過大であると、ロールプリンターへの装着性が悪く、プリンター内での走行性不良が発生するおそれがある。
【0021】
上記工程(A)の本質カールを制御して、受容シートに受容層面側を凹とする特定の大きさのトップカールを付与する手段としては、以下のような各種の方法が利用可能である。
▲1▼染料染着性樹脂及び該樹脂の架橋剤を含有する受容層用塗料を塗工、乾燥し、得られた受容シートをロール状に巻き取った状態で加熱しながら架橋を行い、カールを付与する。即ち受容シートを受容層面がロールの内面になるようにしてロール状に巻き取り、これに温度30〜60℃、相対湿度75%以下の環境下において熱処理を施しながら架橋を行うことで、受容層面側を凹とするトップカールを有する受容シートが得られる。
【0022】
▲2▼フィルムを芯材とし、その表裏にフィルムを貼合した多層構造の支持体の上に受容層を形成する。その際、受容層形成側のフィルムの熱収縮率を反対側のフィルムのそれより大きくすることにより、受容層面側を凹とするトップカールを有する受容シートが得られる。
▲3▼フィルムを芯材とし、その表裏にフィルムを貼合した多層構造の支持体の上に受容層を形成する。その際、受容層形成側のフィルムの厚さを反対側のフィルムのそれより大きくすることにより、受容層面側を凹とするトップカールを有する受容シートが得られる。
【0023】
▲4▼フィルムを芯材とし、その表裏に接着剤として樹脂を押し出しラミネートしてフィルムを接着貼合した多層構造の支持体を形成するに際して、受容層形成側フィルムと芯材との間の接着剤樹脂のラミネート量を芯材と受容層を形成しない側のフィルムとの間のそれより大きくすることにより、受容層面側を凹とするトップカールを有する受容シートが得られる。
▲5▼フィルムを芯材とし、その表裏にフィルムを貼合した多層構造の支持体を形成する際に、受容層形成側のフィルムを貼合する際の張力を、反対側のフィルムを貼合する際の張力より大きくすることにより、受容層面側を凹とするトップカールを有する受容シートが得られる。
【0024】
上記1種または2種以上の手段を組み合わせて、本発明に必要な受容層面側を凹とするトップカールを有する受容シートが得られる。また上記以外の手段によってトップカールを付与させてもよい。
【0025】
(シート状支持体)
本発明のロール状受容シートで使用されるシート状支持体としては、芯材の両面に多孔質延伸ポリエステル系フィルムが積層された、少なくとも3層からなる多層構造のシート状支持体である。
【0026】
シート状支持体の表層基材(受容層を形成する側の基材)は、印画濃度、印画画質の均一性、階調性、フィルムの耐熱性等の点から、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル樹脂を主成分とした多孔質延伸フィルムが好ましく、特に好ましくはポリエチレンテレフタレート樹脂を主成分とする多孔質延伸フィルムである。具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル樹脂とこれに非相溶性の樹脂を均一に分散混合し(場合によっては更に無機微細粉末を添加し)、この樹脂組成物を溶融押出し、更に延伸して空隙を形成した多孔質構造からなる層を含有する単層あるいは多層構造の多孔質延伸ポリエステル系フィルムが好ましく用いられる。なお多層構造の多孔質延伸フィルムは、フィルム中に少なくとも1層以上の多孔質構造を有する層を含有する2層以上の複層構造フィルムを意味し、その構成する全層が多孔質構造であってもよいし、多孔質構造を有さない層が存在してもよい。
【0027】
本発明の表層基材として使用される多孔質延伸ポリエステル系フィルムは、良好なクッション性及び断熱性を有する。樹脂成分としては、テレフタル酸およびエチレングリコールからなるホモポリマー、または、テレフタル酸、エチレングリコールに第三成分を共重合させたコポリマーが使用できる。このようなコポリマーは公知であり、第三成分としては、p−ヒドロキシ安息香酸などのオキシカルボン酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸、プロピレングリコール、テトラメチレングリコールなどのアルキレングリコール、ポリエチレングリコールなどのポリアルキレングリコールなどが用いられる。
【0028】
多孔質延伸ポリエステル系フィルムを形成するには、ポリエステル樹脂中にポリエステル樹脂とは非相溶性樹脂を(場合によっては更に無機微細粉末を)均一に分散させ、この樹脂組成物から形成されたフィルムを延伸することによって得られる。ポリエステル樹脂に対する非相溶性樹脂としてはポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリスチレン、ポリブタジエン、ポリアクリロニトリル、及びそれらの共重合体などが挙げられるが、これらに限られる訳ではない。ポリエステル樹脂に含まれる無機微細粉末としては、例えば炭酸カルシウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、アルミノ珪酸ナトリウム、アルミノ珪酸カリウム、クレー、マイカ、タルク、硫酸バリウム、硫酸カルシウムなどが挙げられるが、これらは単一種で用いられてもよく、あるいは二種類以上の混合物でもよい。
多孔質延伸ポリエステル系フィルムの厚さは25〜110μmが好ましく、より好ましくは35〜75μmである。フィルムの厚さが25μm未満ではフィルムの製造が難しく、コスト的に不利になることがある。一方、フィルムの厚さが110μmを超えると、フィルムの剛度が高くなり、得られる受容シートの風合いが紙と異なり、外観が劣ることがある。
【0029】
また、本発明のシート状支持体の芯材層としては、表面が平滑なフィルムが好ましい。例えば、ポリエステル系フィルム、ポリオレフィン系フィルム、ポリスチレン系フィルム、ポリ塩化ビニル系フィルム等が挙げられ、より好ましくは多孔質延伸ポリエステル系フィルム、多孔質延伸ポリオレフィン系フィルムが使用される。特に好ましくは多孔質延伸ポリオレフィン系フィルムが使用され、プリンター内で搬送ロールのニップによる受容シート印画面の凹みがなく、かつ本発明による印画後カールの改善効果も顕著である。
【0030】
多孔質延伸ポリオレフィン系フィルムとしては、例えば高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン等のエチレン系樹脂、プロピレン系樹脂、メチル−1−ペンテン系樹脂等を主成分とするフィルムが使用される。中でも耐薬品性及びコストの面からプロピレン系樹脂を主成分として使用することが好ましい。プロピレン系樹脂としてはプロピレンの単独重合体及びプロピレンとα−オレフィンとの共重合体を使用できる。プロピレン系樹脂にはプロピレン単独重合体よりも融点の低い樹脂(例えば高密度ないし低密度ポリエチレン)を2〜25質量%配合して使用することが好ましい。またポリオレフィン系フィルムは延伸されたものであることが好ましく、この延伸ポリオレフィン系フィルムはクッション性及び断熱性を高めるために多孔質構造を持つことが好ましい。
【0031】
ポリオレフィン樹脂中に多孔質構造を形成するには、ポリオレフィン樹脂中に無機微細粉末及び/又は有機フィラーを均一に分散させ、この樹脂組成物から形成されたフィルムを延伸することによって得られる。ポリオレフィン樹脂に混合可能な無機微細粉末としては、例えば炭酸カルシウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、アルミノ珪酸ナトリウム、アルミノ珪酸カリウム、クレー、マイカ、タルク、硫酸バリウム、硫酸カルシウムなどが挙げられるが、これらは単一種で用いられてもよく、あるいは二種類以上の混合物でもよい。
【0032】
有機フィラーを混合する場合は、主成分であるポリオレフィン系樹脂とは異なる種類の樹脂を選択するのが好ましい。ポリオレフィン樹脂と混合可能な有機フィラーとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ナイロン6、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート等の重合体であって、ポリオレフィン系樹脂の融点より、高い融点ないしガラス転移点温度を持つ重合体を使用することができる。
【0033】
本発明のシート状支持体の芯材層に用いられる多孔質延伸ポリエステル系フィルムは、前述の表層基材(受容層を形成する側の基材)と同様な方法により製造することができるがシート状支持体全体の厚み、及びシート状支持体全体の厚み方向の圧縮弾性率等を考慮して適宜選択される。
【0034】
なお芯材層の厚さは30〜200μmが好ましく、より好ましくは50〜150μmである。芯材層の厚さが30μm未満では、多層構造支持体の製造工程においてフィルムの腰が不足して作業性が劣ることがある。一方、芯材層の厚さが200μmを超えると、得られるロール状受容シート全体の厚さが過大となり、プリンターによってはロール状受容シートの巻き長さが不足することがある。
またシート状支持体の裏面基材(受容層を形成する面とは反対側の基材)としては、表層基材と同質のシートまたはフィルムが好ましく使用される。
【0035】
シート状支持体形成の際の積層方法としては、特に限定されるものではないが、ウェットラミネート、エキストルージョンラミネート、ドライラミネート、ワックスラミネート等の公知の技術が用いられてよく、一般にドライラミネート法やエキストルージョンラミネート法が用いられる。ドライラミネート用接着剤としてはポリエステル系、ポリエーテル系、ポリウレタン系等の接着剤を用いることができる。エキストルージョンラミネート法としては接着剤としてポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂が用いられる。
【0036】
本発明で使用されるシート状支持体は100〜300μmの厚さを有することが好ましい。因みに、厚さが100μm未満であると、その機械的強度が不十分となり、且つそれから得られる受容シートの剛度が小さく、受容シートとしての質感が劣る。また厚みが300μmを超えると、得られる受容シートの厚みが過大となるため、プリンターにおけるロール状受容シートの巻き長さの低下を招いたり、或いは所定の巻き長さを収容しようとするとプリンターの容積増大を招きプリンターのコンパクト化を困難にする等の問題を生ずる。
【0037】
(受容層)
本発明のロール状受容シートにおいて、シート状支持体に、中間層を介してあるいは直接に設けられた受容層は、染料染着性樹脂を主成分として含み、必要に応じて更に、架橋剤、融着防止剤、紫外線吸収剤、有色顔料、有色染料、蛍光増白剤、可塑剤、酸化防止剤、無機顔料等の1種以上を適宜加えた塗料を、中間層表面上あるいはシート状支持体上に塗布しこれを乾燥し更に架橋して形成される。
【0038】
本発明の受容層で使用される染料染着性樹脂としては、染料との親和性が良好で染料染着性の高い樹脂が使用される。このような樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアクリル酸エステル樹脂、セルロースアセテートブチレート等のセルロース誘導体系樹脂、ポリアミド樹脂等の熱可塑性樹脂、活性エネルギー線硬化樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は使用する架橋剤に対して反応性を有する官能基(例えば水酸基、アミノ基、カルボキシル基、エポキシ基等の官能基)を有していることが好ましい。
【0039】
本発明の受容層には架橋剤が用いられてもよい。架橋剤としては化学反応で硬化あるいは重合するタイプの化学反応型の架橋剤が好ましい。化学反応型架橋剤としては、エポキシ化合物、イソシアネート化合物等の付加反応型、レゾール等の熱硬化型、2−シアノアクリル酸エステル、アルキルチタネート等の湿気硬化型、ウレア等の縮合反応型の架橋剤等が挙げられる。付加反応型の架橋剤として、例えばイソシアネート化合物、及びエポキシ化合物等の架橋剤が好ましく用いられる。架橋剤の配合量は、受容層全固形分に対する配合比率で1〜30質量%程度が好ましい。
【0040】
本発明の受容層中には印画工程で受容シートとインクシートとの融着を防止する為に受容層中に融着防止剤が好ましく含有される。
融着防止剤としては離型剤、滑剤等が用いられ、例えば、アミノ変性、ヒドロキシ変性、カルボキシ変性シリコーンオイル等の変性シリコーンオイル、非変性シリコーンオイル、シリコーンアクリル樹脂等のシリコーン系樹脂、変性シリコーンオイルとイソシアネート化合物とのプレポリマー、シリコーン化合物、フッ素化合物、脂肪酸エステル化合物および燐酸エステル化合物等のうちから1種あるいは2種以上が用いられる。紫外線吸収剤としてはベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、フェニルサリシレート系及びシアノアクリレート系紫外線吸収性化合物が用いられる。
これらの各種の受容層添加成分は架橋剤を介して架橋反応を起こしてもよい。これらの添加剤は受容層の主成分と混合して塗工されてもよいし、また別の塗工層として受容層の上及び/又は下に塗工されていてもよい。
【0041】
受容層の固形分塗工量は1〜12g/m2、好ましくは3〜10g/m2の範囲で調節される。因みに受容層の固形分塗工量が1g/m2未満では、受容層が支持体表面を完全に覆うことができず、画質の低下を招いたり、サーマルヘッドの加熱により、受容層とインクシートが接着してしまう融着トラブルが発生することがある。一方固形分塗工量が12g/m2を超えると、効果が飽和して不経済であるばかりでなく、受容層の強度が不足したり、受容層の厚みが増大するため支持体の断熱効果が十分に発揮されず、画像濃度が低下することがある。
【0042】
(中間層)
本発明のロール状受容シートには、シート状支持体と受容層との間の接着性及びロール状受容シートの帯電防止性改善のために、シート状支持体と受容層との間に中間層を設けてもよい。この中間層形成のために使用される樹脂としては各種の親水性樹脂、疎水性樹脂が使用可能であり、例えばポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等のビニルポリマー及びその誘導体、ポリアクリルアミド、ポリジメチルアクリルアミド、ポリアクリル酸又はその塩、ポリアクリル酸エステル等のアクリル基を含有するポリマー、ポリメタクリル酸、ポリメタクリル酸エステル等のメタクリル基を含有するポリマー、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、澱粉、変性澱粉、カルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体等の樹脂を使用することが出来る。
【0043】
中間層には必要に応じて、更に公知の帯電防止剤、架橋剤、増粘剤、滑剤、離型剤、消泡剤、濡れ剤、レベリング剤、増白剤等の各種助剤を添加することも可能である。帯電防止剤については、導電性樹脂や導電性無機顔料等の導電剤が添加される。導電性樹脂としてはカチオン型、アニオン型、ノニオン型の導電性樹脂があり、カチオン型導電性樹脂が好ましく使用される。カチオン型導電性樹脂としては、ポリエチレンイミン、カチオン性モノマーを含むアクリル系重合体、カチオン変性アクリルアミド重合体、及びカチオン澱粉等が挙げられる。架橋剤については、中間層の耐水性、耐溶剤性の向上のために前述のイソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤等を添加することが好ましい。
【0044】
前記中間層の固形分塗工量は0.2〜5g/m2の範囲が好ましく、より好ましくは0.5〜3g/m2の範囲である。因みに固形分塗工量が0.2g/m2未満では、中間層としての接着性改善効果が十分に得られないことがあり、一方、固形分塗工量が5g/m2を超えると、ブロッキングや操業性が悪化するおそれがある。
【0045】
(裏面層)
本発明のロール状受容シートは、シート状支持体の裏面(受容層が設けられている側とは反対側の面)に裏面層が設けられていてもよい。裏面層は接着剤として有効な樹脂を主成分とし、架橋剤、帯電防止剤、融着防止剤、無機及び/又は有機顔料等を含んでいてもよい。
【0046】
本発明の裏面層には、接着剤として有効な裏面層形成用樹脂が用いられる。この樹脂は裏面層と支持体との接着強度向上、受容層面の傷付き防止、受容層面と接触する裏面層への染料の移行防止に有効なものである。このような樹脂としては、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、ポリビニルアセタール樹脂等、及びこれらの樹脂の反応硬化物を用いることができる。また裏面層には、シート状支持体と裏面層との接着性を向上させるため、適宜前述のポリイソシアネート化合物、エポキシ化合物等の架橋剤を裏面層塗料中に配合してもよい。
【0047】
本発明の裏面層には、静電気防止のために導電性樹脂や導電性無機顔料等の帯電防止剤が添加される。導電性樹脂としてはカチオン型、アニオン型、ノニオン型の導電性樹脂があり、カチオン型導電性樹脂としては、例えばポリエチレンイミン、カチオン性モノマーを含むアクリル系重合体、カチオン変性アクリルアミド重合体、及びカチオン澱粉等が特に好ましく使用される。また導電性無機顔料としては、酸化物及び/又は硫化物などの化合物半導体顔料および前記化合物半導体顔料を被覆した無機顔料等が挙げられる。
【0048】
本発明の裏面層には、有機または無機フィラー等の摩擦係数調整剤を必要に応じて配合することができる。有機フィラーとしては、ナイロンフィラー、セルロースフィラー、尿素樹脂フィラー、スチレン樹脂フィラー、アクリル樹脂フィラー等を使用することができる。無機フィラーとしては、シリカ、硫酸バリウム、カオリン、クレー、タルク、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、酸化チタン、酸化亜鉛等を用いることができる。
【0049】
裏面層には必要に応じて、滑剤、離型剤等の融着防止剤を含有することも可能である。例えば、融着防止剤としては、非変性及び変性シリコーンオイル、シリコーンブロック共重合体及びシリコーンゴム等のシリコーン系化合物、リン酸エステル化合物、脂肪酸エステル化合物、フッ素化合物等が挙げられる。また従来公知の消泡剤、分散剤、有色顔料、蛍光染料、蛍光顔料、紫外線吸収剤等を適宜選択して使用してもよい。
【0050】
裏面層の固形分塗工量は0.3〜10g/m2の範囲内にあることが好ましい。より好ましくは1〜8g/m2である。裏面層の固形分塗工量が0.3g/m2未満であると、ロール状受容シートが擦れた時の傷付き防止性が十分に発揮されず、また塗工欠陥が発生して表面電気抵抗値が上がる場合がある。一方固形分塗工量が10g/m2を超えると、効果が飽和して不経済である。
【0051】
また本発明のロール状受容シートは熱転写方式による印画を行った後に、画像保護層を形成してもよい。画像保護層形成は、熱転写シートに転写用画像保護層を設け、加熱により熱転写画像上に画像保護層を転写するいわゆる転写方式や、実質的に透明なシートを熱転写画像上に貼着積層する貼着方式等がある。
【0052】
本発明における各塗工層は、バーコーター、グラビアコーター、コンマコーター、ブレードコーター、エアーナイフコーター、ゲートロールコーター、ダイコーター、カーテンコーター、リップコーター、及びスライドビードコーターなど公知のコーターを用いて塗工、乾燥して形成することができる。
【0053】
【実施例】
下記実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において、特に断らない限り「%」及び「部」は、溶剤に関するものを除き、固形分の「質量%」及び「質量部」を示す。
【0054】
実施例1
(支持体の形成)
ポリプロピレンを主成分とし、無機顔料として炭酸カルシウムを含有する1軸及び2軸延伸された厚み110μmの多孔質多層構造ポリオレフィン系フィルム(商品名:ユポFPG110、ユポ・コーポレーション製)を芯材とし、その両面にポリエチレンテレフタレートを主成分とし、2軸延伸された厚み50μmの多孔質多層構造ポリエステル系フィルム(商品名:50QE15、東レ製)を用い、ウレタン系接着剤によりドライラミネート方式で貼合して支持体を得た。
なお、フィルム貼合時、表裏の多孔質多層構造ポリエステル系フィルム
の張力を20Kg/mとした。
【0055】
(裏面層の形成)
上記支持体の片面に下記組成の裏面層用塗工液−1を固形分塗工量が3g/m2になるように塗工、乾燥して裏面層を形成した。
【0056】
(中間層の形成)
上記で得られた支持体の受容層側となる多孔質多層構造ポリエステル系フィルム面上に下記組成の中間層用塗工液−1を固形分塗工量が1g/m2になるように塗工、乾燥して中間層を形成した。
【0057】
(受容層の形成)
次に上記中間層上に下記組成の受容層用塗工液−1を固形分塗工量が5g/m2になるように塗工、乾燥した。
なお受容シートは、受容層塗工面がロールの内面になるように外径170mmの巻き芯にロール状に巻き取り、直ちに防湿包装して温度50℃、相対湿度30%に制御された熱処理室中に5日間放置して受容層の架橋を行ない、受容層の形成を行なった。
【0058】
(小巻ロール状受容シートの作成)
上記で得られた受容シートをスリッターに供し、小巻スリット仕上げして、幅127mm、巻長さ50mの小巻ロールを作成し、ロール状受容シートを得た。なお前記小巻ロールは受容層塗工面がロールの外面になるように小巻ロール用巻き取りシリンダーに巻き上げた。小巻ロール用巻き取りシリンダーとしては内径3インチの緩衝材付きの紙管(巻き取りシリンダー外径88mm)を使用した。また得られたロール状受容シートの外径は150mmであった。
【0059】
実施例2
支持体の形成において、フィルム貼合時、受容層側となる多孔質多層構造ポリエステル系フィルムの張力を40Kg/mにし、受容層と反対側の多孔質多層構造ポリエステル系フィルムの張力を20Kg/mに変更した以外は、実施例1と同様にしてロール状受容シートを得た。
【0060】
実施例3
支持体の形成を以下のように変更した以外は、実施例1と同様にしてロール状受容シートを得た。
(支持体の形成)
ポリプロピレンを主成分とし、無機顔料として炭酸カルシウムを含有する1軸及び2軸延伸された厚み95μmの多孔質多層構造ポリオレフィン系フィルム(商品名:ユポFPG95、ユポ・コーポレーション製)を芯材とし、その両面にポリエチレンテレフタレートを主成分とし、2軸延伸された厚み50μmの多孔質多層構造ポリエステル系フィルム(商品名:50QE15、東レ製)を用い、接着剤として低密度ポリエチレン(商品名:ユカロンLK50、三菱化学製)をを使用し、押出しラミネート方式で貼合して支持体を作成した。なお、低密度ポリエチレンの受容面側の塗工量は24g/m2、また反対側の塗工量は10g/m2とした。
【0061】
実施例4
支持体の形成を以下のように変更した以外は、実施例1と同様にしてロール状受容シートを得た。
(支持体の形成)
ポリプロピレンを主成分とし、無機顔料として炭酸カルシウムを含有する1軸及び2軸延伸された厚み95μmの多孔質多層構造ポリオレフィン系フィルム(商品名:ユポFPG95、ユポ・コーポレーション製)を芯材とし、その一方の面にポリエチレンテレフタレートを主成分とし、2軸延伸された厚み75μmの多孔質多層構造ポリエステル系フィルム(商品名:W900J75、三菱化学ポリエステルフィルム製)を用い、また他方の面にポリエチレンテレフタレートを主成分とし、2軸延伸された厚み38μmの多孔質多層構造ポリエステル系フィルム(商品名:W900J38、三菱化学ポリエステルフィルム製)を用い、ウレタン系接着剤を使用してドライラミネート方式で貼り合せて支持体を得た。なお厚み75μmの多孔質多層構造ポリエステル系フィルム側を受容層塗工面側とした。
【0062】
実施例5
支持体の形成を以下のように変更した以外は、実施例1と同様にしてロール状受容シートを得た。
(支持体の形成)
ポリプロピレンを主成分とし、無機顔料として炭酸カルシウムを含有する1軸及び2軸延伸された厚み95μmの多孔質多層構造ポリオレフィン系フィルム(商品名:ユポFPG95、ユポ・コーポレーション製)を芯材とし、その両面にポリエチレンテレフタレートを主成分とし、2軸延伸された厚み50μmの多孔質多層構造ポリエステル系フィルム(商品名:50QE15、東レ製)を用い、接着剤として低密度ポリエチレン(商品名:ユカロンLK50、三菱化学製)を使用し、押出しラミネート方式で貼合して支持体を作成した。低密度ポリエチレンの受容面側の塗工量は24g/m2、また反対側の塗工量は10g/m2とした。
また、押出しラミネート方式による貼合時、受容層側となる上記多孔質多層構造ポリエステル系フィルムの張力を50Kg/mにし、受容層と反対側の上記多孔質多層構造ポリエステル系フィルムの張力を20Kg/mとした。
【0063】
比較例1
受容層の形成を以下のように変更した以外は、実施例1と同様にしてロール状受容シートを得た。
(受容層の形成)
実施例1で作成した中間層上に実施例1で使用した受容層用塗工液−1を固形分塗工量が5g/m2になるように塗工、乾燥した。なお受容シートは、受容層塗工面がロールの外面になるように外径170mmの巻き芯にロール状に巻き取り、直ちに防湿包装して温度50℃、相対湿度30%に制御された熱処理室中に5日間放置して受容層の架橋を行ない、受容層の形成を行なった。
【0064】
比較例2
支持体の形成において、フィルム貼合時、受容層側となる多孔質多層構造ポリエステル系フィルムの張力を20Kg/mにし、受容層と反対側の多孔質多層構造ポリエステル系フィルムの張力を40Kg/mに変更し、更に受容層塗工後の受容シートを熱処理して架橋する工程において、受容シートをその受容層面がロールの外面になるようにロール状に巻き取り、受容層を架橋した以外は、実施例1と同様にしてロール状受容シートを得た。
【0065】
比較例3
支持体の形成において、厚み38μmの多孔質多層構造PETフィルム側を受容層塗工面側とし、更に受容層塗工後の受容シートを熱処理して架橋する工程において、受容シートをその受容層面がロールの外面になるようにロール状に巻き取り、受容層を架橋した以外は、実施例4と同様にしてロール状受容シートを得た。
【0066】
比較例4
受容層の形成を以下のように変更した以外は、実施例1と同様にしてロール状受容シートを得た。
(受容層の形成)
実施例1で作成した中間層上に実施例1で使用した受容層用塗工液−1を固形分塗工量が5g/m2になるように塗工、乾燥した。なお受容シートは、受容層塗工面がロールの内面になるように外径500mmの巻き芯にロール状に巻き取り、直ちに防湿包装して温度50℃、相対湿度30%に制御された熱処理室中に5日間放置して受容層の架橋を行ない、受容層の形成を行なった。
【0067】
比較例5
支持体の形成を以下のように変更した以外は、実施例1と同様にしてロール状受容シートを得た。
(支持体の形成)
ポリプロピレンを主成分とし、無機顔料として炭酸カルシウムを含有する1軸及び2軸延伸された厚み95μmの多孔質多層構造ポリオレフィン系フィルム(商品名:ユポFPG95、ユポ・コーポレーション製)を芯材として使用した。受容層塗工面側フィルムとしてポリエチレンテレフタレートを主成分とし、2軸延伸された厚み75μmの多孔質多層構造ポリエステル系フィルム(商品名:W900J75、三菱化学ポリエステルフィルム製)を用い、接着剤として低密度ポリエチレン(商品名:ユカロンLK50、三菱化学製)を使用して、押出しラミネ−ト方式で上記芯材の片面に貼合した。低密度ポリエチレンの塗工量は27g/m2であった。
また押出しラミネート方式による貼合時、受容層側となる上記多孔質多層構造ポリエステル系フィルムの張力を60Kg/mとした。
【0068】
次に裏面側(受容層が設けられる側とは反対側)フィルムとして、ポリエチレンテレフタレートを主成分とし、2軸延伸された厚み38μmの多孔質多層構造ポリエステル系フィルム(商品名:W900J38、三菱化学ポリエステルフィルム製)を用い、接着剤として低密度ポリエチレン(商品名:ユカロンLK50、三菱化学製)を使用して押出しラミネート方式で上記芯材の受容層塗工面側フィルムの設けられていない面に貼合した。低密度ポリエチレンの塗工量は11g/m2であった。
また押出しラミネート方式による貼合時、裏面側となる上記多孔質多層構造ポリエステル系フィルムの張力を15Kg/mとした。
【0069】
評価
上記の各実施例及び各比較例で得られたロール状受容シートを用いて、以下の各項目について下記に述べる方法で評価した。評価結果を表1にまとめた。
【0070】
(1)本質カール
各実施例及び比較例で得られたロール状受容シートから、幅127mm、長さ179mm(プリンターでの給排紙方向と平行の方向)の大きさに受容シートをカッターで裁断し、この受容シート片を温度45℃、相対湿度15%の環境下に、受容層面を上及び下にして水平な面上に4日間置き、それぞれの受容シート片の4隅の高さを測定して、最大高さを本質カールとした。受容シート片の幅方向、即ち受容シートの給排紙方向に対して垂直な方向をカール軸とするものを、カール軸:C軸と表記した。なお、受容層面が上で受容層側に凹カールしている場合にトップカール、受容層面が下で受容層面側を凸にしてカールしている場合にはバックカールとなる。
本質カールの判定は以下の基準で評価した。
○:トップカールで3〜20mm。
×:トップカールで3mm未満又は20mmを超える、あるいはフラットまたはバックカール。
【0071】
(2)印画前カール
各実施例及び比較例で得られた、幅127mmの小巻仕上げロール状受容シート(印画前の白紙状態)から、幅127mm、長さ179mm(プリンターでの給排紙方向と平行の方向)の大きさに受容シートを裁断し、この受容シート片を温度23℃、相対湿度50%の環境下に、受容層面を上及び下にして水平な面上に5分間置き、それぞれの受容シート片の4隅の高さを測定して、最大高さを印画前カールとした。
【0072】
(3)印画後カール
各実施例及び比較例で得られた、幅127mmのロール状受容シートを熱転写プリンター(商品名:UP−DR100、ソニー製)に供し、黒べた画像を印画し、長さ179mmに裁断して排紙した。この印画された受容シートのカールを測定し、印画後カールとした。印画後カールの測定方法は、温度23℃、相対湿度50%の環境下に、印画された受容シートの受容層面を上及び下にして水平な面上に5分間置き、各々の受容シートの4隅の最大高さを測定して、印画後カールとした。印画後カールを、下記の基準で評価した。
○:バックカールで20mm以下、又はフラット。
△:バックカールで20mmを超え30mm以下、又はトップカールで10mm以下。
×:バックカールで30mmを超える、又はトップカールで10mmを超える。
【0073】
(4)印画後受容シートの排紙性
各実施例及び比較例で得られた、幅127mmのロール状受容シートを熱転写プリンター(商品名:UP−DR100、ソニー製)に供し、黒べた画像を印画し、長さ179mmに裁断して排紙トレーに排紙した。この操作を20回連続的に繰り返して印画物の排紙性を調査し、下記の基準で評価した。
○:印画された受容シートが、排紙トレー内に正常に排紙される。
×:印画された受容シートが、排紙トレーからはみ出し、排紙トラブルが発生。
【0074】
(5)印画品質
各実施例及び比較例で得られた、幅127mmのロール状受容シートを熱転写プリンター(商品名:UP−DR100、ソニー製)に供し、厚さ6μmのポリエステルフィルムの上に、イエロー、マゼンタ、シアン3色それぞれの昇華性染料を接着剤と共に含むインク層を設けたインクシートのインク層を、順次に受容シートに接触させ、サーマルヘッドで段階的にコントロールされた加熱を施すことにより、所定の画像を受容シートに熱転写させ、各色の中間調の単色及び色重ねの画像をプリントした。得られた記録画像について、下記の評価を行った。
【0075】
▲1▼印画濃度
受容シート上に転写された印加エネルギー別の記録画像について、マクベス反射濃度計(商品名:RD−914、Kollmorgen社製)を用いて、その反射濃度を測定した。印加エネルギーの低い方から15ステップ目に相当する高階調部の濃度を印画濃度として表示した。
▲2▼画像均一性
更に、光学濃度(黒)が0.5に相当する階調部分の記録画像の均一性を、濃淡むら及び白抜けの有無について目視評価した。
濃淡むら及び白抜けが無く、実用的に全く問題がないものを○、濃淡むら及び白抜けが僅かに観られるが、実用的には問題がないものを△、濃淡むら及び白抜けの欠陥が著しくあり、実用的に問題があるものを×と表示した。
【0076】
(6)ロール痕(受容シートのスパイク痕有無)
各実施例及び比較例で得られた、幅127mmのロール状受容シートを熱転写プリンター(商品名:UP−DR100、ソニー製)に供し、黒べた画像を印画し、長さ179mmに裁断して排紙トレーに排紙した。この操作を20回連続的に繰り返した。得られた印画サンプルについて、プリンターの搬送ロールにより、受容シートが搬送される際に発生したスパイク痕を目視評価した。
スパイク痕が無く、実用的に全く問題がないものを○、わずかにスパイク痕があるが、実用的には問題がないものを△、スパイク痕が著しく、実用的に問題があるものを×と表示した。
【0077】
【表1】
【0078】
表1の結果から、実施例1〜5で得られたロール状受容シートは、印画前の本質カールが適性な大きさのトップカールに調整されていることから、印画後のカールも適性な範囲となり、プリンターでの排紙性が良好で、優れた印画品質を有し、かつロールによるスパイク痕も生じないことが確認された。
一方、比較例1〜3のロール状受容シートは、印画前の本質カールがバックカールであるため、印画後も小巻ロールの形状が残ってバックカールが過大となり、排紙トラブルが発生し、外観も不良であり、実用には適さないことがわかる。また比較例4のロール状受容シートは、印画前の本質カールがトップカールではあるが、その値が小さい為、印画後のバックカールが大きくなり、排紙トラブルが発生し、外観も不良で、実用には適さないことがわかる。また比較例5のロール状受容シートは、印画前の本質カールが過大なトップカールである為、印画後もトップカールとなり、排紙トラブルが発生し、外観も不良であり、実用には適さないことがわかる。
【0079】
【発明の効果】
本発明のロール状受容シートは、印画後のカールが適性な範囲であり、プリント時の排紙性が良好で、かつ印画品質も良好で、美観に優れたロール状受容シートであり、実用的に価値の高いものである。
Claims (3)
- 芯材の両面に多孔質延伸ポリエステル系フィルムが積層されたシート状支持体と、該シート状支持体上に形成された画像受容層とを有するロール状熱転写受容シートにおいて、
前記ロール状熱転写受容シートの、印画前の本質カールが、幅127mm、長さ179mm(プリンターの給排紙方向と平行の方向)の熱転写受容シート片における画像受容層面を上にして水平面に置いたとき、画像受容層面を凹とするカールで、幅方向をカール軸とし、4隅の最大高さが3〜20mmであり、
かつ画像受容層面がロールの外面になるようにして、巻き取りシリンダーに巻かれていることを特徴とするロール状熱転写受容シート。 - 前記芯材が、多孔質延伸ポリオレフィン系フィルムである請求項1に記載のロール状熱転写受容シート。
- 前記巻き取りシリンダーの外径が75〜120mmである請求項1または2に記載のロール状熱転写受容シート。
Priority Applications (1)
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JP2003169977A JP2005001338A (ja) | 2003-06-13 | 2003-06-13 | ロール状熱転写受容シート |
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JP2012215821A (ja) * | 2010-10-29 | 2012-11-08 | Sumitomo Chemical Co Ltd | 偏光板の製造方法 |
-
2003
- 2003-06-13 JP JP2003169977A patent/JP2005001338A/ja active Pending
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