JP2005001306A - 繊維強化樹脂成形体の製造方法およびその製造装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】得られるFRP製成形体全体の繊維体積含有率(Vf)を向上させて、所定の高Vfになるように樹脂流入量をコントロールするとともに、余剰樹脂量を削減して、強度、軽量性ともに優れた低コストのFRP製成形体が得られる製造方法を提供する
【解決手段】本発明の繊維強化樹脂成形体の製造方法は、雌型1のキャビティ13上に、少なくとも強化繊維を複数層積層した強化繊維積層体2を配置し、これに樹脂供給経路43と減圧吸引経路42とを連結した後、積層体全体をバギングし、キャビティ内を減圧吸引した上で、マトリックス樹脂12を注入することにより、前記強化繊維基材2内に樹脂を浸透させる繊維強化樹脂成形体の製造方法において、前記樹脂注入工程の前半は、キャビティ内圧と外部圧力との差圧による自然流速によりキャビティ内に樹脂を流入させ、P点の途中から樹脂注入速度を、それまでの単位時間あたりの樹脂注入速度(注入開始から途中切り替えまでの樹脂注入量を、それまでの注入時間で割った値)に対して、20%以下に絞ることを特徴とする。
【選択図】図2
【解決手段】本発明の繊維強化樹脂成形体の製造方法は、雌型1のキャビティ13上に、少なくとも強化繊維を複数層積層した強化繊維積層体2を配置し、これに樹脂供給経路43と減圧吸引経路42とを連結した後、積層体全体をバギングし、キャビティ内を減圧吸引した上で、マトリックス樹脂12を注入することにより、前記強化繊維基材2内に樹脂を浸透させる繊維強化樹脂成形体の製造方法において、前記樹脂注入工程の前半は、キャビティ内圧と外部圧力との差圧による自然流速によりキャビティ内に樹脂を流入させ、P点の途中から樹脂注入速度を、それまでの単位時間あたりの樹脂注入速度(注入開始から途中切り替えまでの樹脂注入量を、それまでの注入時間で割った値)に対して、20%以下に絞ることを特徴とする。
【選択図】図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、繊維強化樹脂製成形体(以下、FRPという。)の製造方法として用いられるResin Transfer Molding法(以下、RTM成形法という。)の改良に関する。詳しくは、強化繊維基材へのマトリクス樹脂注入に際して、樹脂供給量を適正にコントロールすることにより、得られる成形体全体の繊維体積含有率(Vf)を向上させて、所定の高Vfになるようにコントロールするとともに、余剰樹脂量を削減することにより、強度、軽量性ともに優れた低コストの繊維強化樹脂成形体が製造できる製造方法および製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、例えば航空機、船舶、建築部材等の構造部材として使用されるFRP製パネル、桁材等や、自動車用外板等の繊維強化樹脂製構造部材の製造方法においては、RTM法が生産性と製造コストの点で優れることから広く採用され、最近では樹脂注入工程において成形すべき強化繊維積層体をフィルムでバギングし、減圧吸引した状態でマトリクス樹脂を注入する、いわゆるVaccum−Assisted Resin Transfer Molding法が主流となっている。
【0003】
そのようなRTM成形法により、例えば、航空機や自動車用途のFRP製成形体を製造する際には、高強度化、軽量化、低コスト化のために、FRP製成形体全体に占める強化繊維の体積含有率(Vf)を、55〜65%程度に高めるいわゆる高Vf化することが望ましい。その理由は、例えば航空機部材用途の場合、対金属材料とのコスト・性能からの要求特性としてVfを55%以上にする必要があり、また、繊維体積含有率が65%を越えるような高Vfとなった場合は、基材への含浸不良となり、ボイドを発生したり、層間剪断強度が低下する等の問題発生を防止する必要があるからである。このような高VfのFRP製成形体の製造方法に関する従来技術としては、例えば、次のものが提案されている。
【0004】
【特許文献1】米国特許第5,052,906号明細書(クレーム1、第1図)
上記文献1には、強化繊維基材の積層体の上面と下面の両面に、ピールプライ/樹脂拡散メディアの順で配置したものを成形型(ツール)面上に載置し、これに樹脂注入ゲート、減圧吸引ゲートを連結した後、全体をフイルムでバギングし、RTM成形する方法が記載されている。
【0005】
しかし、上記文献1に記載のRTM成形法では、強化繊維積層体に樹脂注入する前の繊維体積含有率(Vf)が55%以上のいわゆる高Vf状態、つまり強化繊維間の隙間が小さい状態で樹脂注入を行った場合は、最終成形品の繊維体積含有率自体は高くなるが、樹脂の成形体内への浸透性が悪いため、板厚が例えば25mm以上となるような厚肉の成形体の場合は、成形体の隅々にまで樹脂が到達せず、強度等を要する構造物としては樹脂の未含浸部分の残る欠陥のあるものしか製造できなかった。
【0006】
一方、強化繊維積層体に樹脂注入する前の繊維体積含有率(Vf)が例えば45%と低く、強化繊維束同士の隙間が大きい状態の場合には、樹脂の浸透性は良いが最終成形品の繊維体積含有率は低くなるため、強度・軽量化に関しては劣るものしか製造できなかった。つまり、樹脂の含浸性の向上と繊維体積含有率Vfの高Vf化とは相反する関係にあり、両者の両立は困難であった。
【0007】
また、上記文献1に記載のRTM成形法では、樹脂ポットに入れられた樹脂が、樹脂ポット側の大気圧と減圧吸引側の真空圧とに基づく差圧と、強化繊維積層体に対する樹脂含浸性とで成り行きまかせで樹脂注入量が決まるため、注入当初から大量に樹脂がキャビティ内に流入してしまうことになる。その結果、キャビティ内の減圧状態が低下して、強化繊維積層体が膨れ、含浸完了時にはキャビティ内に余剰樹脂を含む樹脂が入る傾向が顕著であった。
【0008】
さらに、成形品によっては、品質安定化の必要性から繊維体積含有率をコントロールすることが好ましいが、上記のように注入量が成り行きまかせで、余剰樹脂まで多く注入してしまうと、注入完了後に減圧吸引経路側から樹脂を吸い出す工程で所定のVfになるように吸い出し量を調整することが難しかった。
【0009】
また、含浸時間に関しては、上記のように成り行きまかせで樹脂を注入すると、短い時間で含浸が完了するが、余剰樹脂を吸い出して高Vf化するために必要な時間は、逆に長くなることになり、成形工程全体で見ると、それほど優位性がなかった。
【0010】
このような成り行き任せの樹脂注入法の問題解決策の1つとして、次の文献2には、樹脂の注入に際して、樹脂ポットに入れられた樹脂を流量コントロールする技術も提案されている。
【0011】
【特許文献2】特開平2003−25347号明細書(請求項1、第3図)
上記文献2には、樹脂の注入速度を最初から自然流速よりも低速に絞ることにより、強化繊維積層体の各部への樹脂含浸速度の差による未含浸の発生を抑制することが記載されている。
【0012】
しかし、上記技術では、最初から樹脂注入速度を絞るため、樹脂含浸に要する時間が必然的に長くならざるを得ない。この問題点は強化繊維積層基材の厚みが厚くなるほど、また、基材面積が広くなるほど、注入時間が大幅に長くなる。その結果、注入中の樹脂粘度の上昇なども進んで、未含浸部、ボイドなどが生じ、得られた成形体は、依然として均質的でなく、強度的に弱いものであるというる問題がある。
【0013】
また、上記技術では、成形型が雌型とバギングフィルムの組み合わせにおいて、樹脂注入途中から生じる強化繊維積層体の膨らみや、バッグのゆるみ、キャビティ内の真空度の低下などに関する記載がなく、もっぱら樹脂含浸時のフローフロントの進行の差を小さくして未含浸を無くすることを目的とする技術であるため、上記問題点としてあげた、注入時に流入する樹脂量が成形品に必要な樹脂量より多くなってプロセスのサイクルタイムや材料コストの面で問題となることに対する解決手段を提示していなかった。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来技術の問題点を解消し、得られるFRP製成形体全体の繊維体積含有率(Vf)を向上させるため所定の高Vfになるように樹脂流入量をコントロールするとともに、余剰樹脂量を削減して、強度、軽量性ともに優れた低コストのFRP製成形体が得られる製造方法およびその製造装置を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明の繊維強化樹脂成形体の製造方法は、雌型のキャビティ上に、少なくとも強化繊維を複数層積層した強化繊維積層体を配置し、これに樹脂供給経路と減圧吸引経路とを連結した後、積層体全体をバギングし、キャビティ内を減圧吸引した上で、マトリックス樹脂を注入することにより、前記強化繊維基材内に樹脂を浸透させる繊維強化樹脂成形体の製造方法において、前記樹脂注入工程の前半は、キャビティ内圧と外部圧力との差圧による自然流速によりキャビティ内に樹脂を流入させ、途中から樹脂注入速度を、それまでの単位時間あたりの樹脂注入速度(注入開始から途中切り替えまでの注入樹脂量をそれまでの注入時間で割った値)に対して、20%以下に絞ることを特徴とする。
【0016】
この場合、樹脂注入速度を前半の自然流速から後半の20%以下に絞る切り替えタイミングを、注入開始から注入完了まで、全て自然流速で注入した場合の所要時間の30%〜60%の範囲内に設定するのが好ましい。
【0017】
このような樹脂流入速度の制御により、樹脂をキャビティ内圧と外部圧力との差圧による自然流速によりキャビティ内に樹脂を流入させる場合のように、樹脂の流入につれて、キャビティ内の減圧状態が次第に低くなり、強化繊維積層基材が膨れて嵩高となり、その分樹脂がキャビティ内に多く流入して、結果的に余剰樹脂が多くなるという問題点を改善することができる。
【0018】
また、注入前半は、キャビティ内圧と外部圧力との差圧による自然流速により樹脂を注入することで、樹脂含浸の所要時間が必要以上に長くなることを避けることができる。その原理としては、途中から樹脂流入速度を絞ることにより、樹脂流入時の圧損が高くなり、真空吸引経路からの真空吸引が有効に働いて、ツールとバギングフィルムで形成されるキャビティ内の減圧状態を高く維持できるからである。
【0019】
さらに、上記の樹脂注入の途中から樹脂注入速度を調整する手段としては、供給量可変式の定量供給ポンプであったり樹脂注入速度に合わせて、樹脂供給経路のチューブ径を細くするか、長さを長くして注入配管の圧損を高くするかのいずれか、または両方を用いるのが好ましい。このように樹脂注入後半の樹脂流入速度の絞り具合を最適値にコントロールすることにより、含浸時間の増加を最小限に抑えることができる。
【0020】
本発明の繊維強化樹脂成形体の製造装置は、雌型のキャビティ上に少なくとも強化繊維を複数層積層した強化繊維積層体を配置し、前記キャビティにマトリックス樹脂供給手段と減圧吸引手段とを連結した後、積層体全体をバギングし、キャビティ内を前記減圧吸引手段で吸引した上で、マトリックス樹脂を注入することにより、前記強化繊維基材内に樹脂を浸透させる繊維強化樹脂成形体の製造装置であって、前記マトリックス樹脂供給手段は、樹脂容器に樹脂供給配管と定量供給手段との二つの樹脂供給手段が並列に接続されているとともに、該二つの樹脂供給手段から前記キャビテイへの接続配管途中に、その供給経路を樹脂注入配管から樹脂定量供給手段に切り替える切り替え弁が介設されていることを特徴とする。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施の形態を一実施例の図面を用いて説明する。
【0022】
図1は、本発明のFRP製成形体の製造方法に用いる製造装置の一例の概略断面図である。
【0023】
図において、1はベースとなる雌型の成形型で、材質がステンレス製の平板状のものである。2は、強化繊維の織物基材を複数層に積層した強化繊維積層体である。成形型1の形状は、用途に応じて、当然3次元形状のものを適用することも可能である。24は、ピールプライで、成形体からメディア等を容易に除去するために敷布し、例えばナイロン製タフタのように離型の機能をなす織物である。3は、樹脂を平面方向に拡散させる拡散媒体であり、樹脂の流動抵抗が強化繊維積層体内を流れる場合よりも約1/10以下の低い抵抗をなす基材であり、具体的にはポリエチレンやポリプロピレン樹脂製のメッシュ織物で目開きが#400以下のものが好ましい。4は、減圧キャビティ13を形成するための気密材料で、耐熱性を考慮して、例えばナイロン製のフィルムを用いることが好ましい。5は、粘着性の高い合成ゴム製のシーラントで、フィルム内を減圧状態に保つために、外部からの空気の流入を防止する。6,7は樹脂注入、減圧吸引を行うためのポートであり、アルミ製のCチャンネル材等を使用することが好ましい。該チャンネル材は、後述する配管41、42を介して、外部部材と連通している。8は、マトリックス樹脂12である熱硬化性樹脂を入れたプラスチック製のポットである。
【0024】
41は、樹脂注入前半に樹脂を強化繊維積層体に供給する樹脂注入配管、42は、吸引配管であり、これら配管の内径や長さなどは、強化繊維基材のサイズや、樹脂の粘度に合わせて選定するが、その材質はプラスチック製のチューブや金属製パイプが好ましい。その際、できるだけ圧損を低くすることが好ましい。40は、供給量可変式の樹脂定量供給手段であり、樹脂注入後半から完了までの間で樹脂供給量を低く調整して定量的に供給するものである。この定量供給手段は、特に限定されるものではないが、できれば脈動の少ない形式のものが好ましく、また、マトリックス樹脂は熱硬化性樹脂を使用するため、清掃がしやすい構造のものが好ましい。具体的には、モーノポンプや、チュービングポンプ、ギヤポンプ、シリンジポンプなどの定量供給ポンプを使用状況に合わせた性能のものを選定し、適用することが好ましい。但し、攪拌羽根型のポンプなどのようにポンプの上流と下流が可動部材などによって、構造的に仕切られていないものは、適していない。
【0025】
なお、上記供給手段40のかわりに、樹脂注入配管41よりも配管の圧損を高く設定した注入配管を設置し、これに適当な樹脂供給手段により樹脂を供給したのち、樹脂流速を落とす方法を採用してもよい。具体的には、樹脂粘度に合わせて、配管内径を細くするか配管の長さを長くするかであり、あるいはこれら両手段を採用してもよい。
【0026】
また、図示していないが、樹脂12を入れる樹脂ポット8を重量計に載せて、樹脂の送り出し量を測定して樹脂定量供給手段40の供給量をフィードバック制御したり、所定の樹脂注入総量に達した段階で、樹脂注入をストップすることも、プロセス制御上、好ましく、本発明の範囲に含まれる。
【0027】
A1は、積層体2への樹脂注入開始と停止、および樹脂注入口6に接続された配管43に関して樹脂注入配管41と樹脂定量供給手段40の切り替えを行うための三方バルブである。A2は、積層体2への樹脂注入完了後、キャビティ13内に流入した樹脂のうち、余剰な樹脂をブリードさせ、配管43経由でトラップ9に回収するために配管の切り替えを行うバルブである。
【0028】
一方、A3は、真空吸引経路の開閉を行うバルブである。9は、真空トラップで、減圧吸引ポート7より配管41経由吸引した成形体内の余分な樹脂を蓄積させるものである。10は、真空ポンプであり、キャビテイの減圧吸引ポート7より真空トラップ9を介して接続されており、キャビティ13内を減圧状態に保持するためのものである。30は、減圧吸引側圧力調整弁であり、樹脂注入時にはできるだけ高い真空度に設定でき、樹脂注入完了後の余剰樹脂吸い出し工程においては、Vfコントロールを容易にするため、必要に応じて、キャビティ13から真空トラップ9までの減圧吸引経路内の真空度を0.05MPa〜0.075MPaに調整できるものが望ましい。50は、樹脂注入圧力を測定するための圧力センサーである。
【0029】
以上の製造装置において、強化繊維積層体2の材質としては、特に限定されるものでは無いが例えば、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維等が挙げられる。また、それらの少なくとも2種類積層するハイブリッド構造のものでも良い。また、強化繊維の間に、例えば発泡材や中空コアなどのコア材を挟んだサンドイッチ構造のものでも良い。樹脂拡散媒体3としては、例えば網状体から構成することもできるし、一態様として成形型1に樹脂流路溝が形成されたものを用いることもできる。また、強化繊維自体を樹脂拡散媒体として使用することも良い。マトリックス樹脂としては、例えば、ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等が挙げられる。
【0030】
次に、本発明のFRP製成形体の製造方法は、例えば上記製造装置を用いて次の工程順にて行われる。
1.強化繊維積層体2の準備工程
まず、成形型1の成形面の上に強化繊維積層体2を配置し、その上に離型用ピールプライ24(例えば、ナイロン製タフタ)と樹脂拡散媒体3を配設する。また、基材の両端には、樹脂注入口6と真空吸引口6をそれぞれ少なくとも1ライン配設する。
2.成形準備工程
次に上記拡散媒体3の上部から、全体にバッグフィルム4を被せ、その外周端付近は外部から強化繊維積層体2等の内部を減圧状態に維持するために周囲をシーラント5でシールする。そして、バルブA1,A2を閉状態にし、一方、バルブA3は開放して、減圧吸引ポート7からトラップ9を経て、真空ポンプ10に至る吸引ラインを開放する。そして、真空ポンプ10を運転し、キャビティ13内を10torr以下の減圧状態にする。
3.予備加熱工程
次に成形型1を持ち上げ、成形体2上にバッグフィルム4を被せたままの状態で全体を図示しない加熱用オーブン内に移動して、その全体を樹脂粘度が低く、かつゲル化するまでの時間をある程度長く確保できる温度(樹脂によって異なるが、エポキシ樹脂の場合、50〜90℃の範囲内の温度が望ましい)にまで予備加熱する。加熱時間としては、積層基材の中まで均一な温度とするため、30〜120分程度が好ましい。これは、強化繊維積層体ののサイズや厚みによって変わり、大きくなるほど、厚くなるほど予備加熱時間を長くすることが望ましい。
4.マトリクス樹脂12の注入工程
次に成形型1が上記温度範囲内にまで上昇したら、装置全体を図1の状態に復元する。復元できたら定量供給手段40を運転して、熱硬化性樹脂12のキャビティ13への注入を開始する。
【0031】
まず、注入工程の前半では、バルブA1を操作して、樹脂注入配管43とキャビティ13とを繋ぐ経路を開放し、ポット8に作用する大気圧と前述の真空ポンプ10の運転による差圧に基づき、樹脂12をポット8から樹脂注入口6を経由させて自然流速でキャビティ13内に供給する。このように、本発明で言う「自然流速」とは、減圧吸引側の真空トラップ9やポン真空減圧弁30およびポンプ10によって保たれる減圧状態と、樹脂注入側の樹脂ポット12の液面に作用する大気圧との差圧に基づく、キャビティ13への樹脂流入速度のことをいう。
【0032】
樹脂注入口6からキャビティ13内に入った樹脂は、強化繊維積層体2の上面に配置された樹脂拡散媒体3の樹脂通過抵抗が積層体2のそれよりも低いため、急速に平面方向に広がる。抵抗が平衡状態に達したら次は強化繊維積層体の基材内部の厚み方向に含浸が進む。
【0033】
ここで、そのまま、樹脂を自然流速で注入させた場合、通常は、片面がフレキシブルなバギングフィルムで覆われて、大気圧が作用しているだけなので、キャビティ13内の樹脂含浸がほぼ終わった領域での減圧状態は低下し、バギングフィルムの内側と外側の圧力差が小さくなる。そのため、樹脂が含浸した強化繊維基材が膨れて嵩高となる傾向が強い。本発明では、特にこの嵩高となる現状を抑制するために、バギングフィルムの内側のキャビティ13の減圧状態が大幅に低下する前の段階で、樹脂の供給量を20%以下の大幅に絞ることで、真空ポンプ10による真空吸引力を有効に働かせる。その結果、キャビティ13内のキャビティ内の減圧状態を高く継続して維持することができ、強化繊維基材への十分な樹脂含浸が達成できる。
【0034】
ここで、樹脂供給を自然流速での供給から20%以下の大幅に少ない供給量に絞るタイミングとしては、強化繊維積層体の使用基材、積層構成、厚みや面積などにより左右されるため厳密に求めることは難しいが、経験的に言って、最初から最後まで、自然流速で樹脂注入を実施した際に、樹脂注入を完了するまでの所要時間(樹脂注入を開始してから、キャビティ13の真空吸引口に樹脂が到達するまでの時間)に対して、30%〜60%の時間内に設定することが望ましい。切り替えタイミングを上記60%を越える時間に遅らすと、キャビティ内の減圧度が低くなり、逆に切り替えタイミングを30%未満に速くすると、キャビティ内の減圧度を高い状態に維持できるが樹脂注入時間が長時間化することになり、いずれも好ましくない結果となる。また、バギングフィルムで覆われた強化繊維積層体の上面に、ダイヤルゲージなどの厚み変化を計測する手段を設置し、厚みが増加する傾向が出始めるタイミングを計った上で、上記30%〜60%の範囲の間で、最適なタイミングを設定するとさらに効率的である。
【0035】
また、樹脂注入量を切り替えた後の樹脂供給量の絞り加減については、これも強化繊維積層体の使用基材、積層構成、厚みや面積などにより左右されるため、厳密に求めることは難しいが、経験的に言って、樹脂注入前半の単位時間あたりの樹脂供給量(樹脂注入開始から供給量切り替えまでの樹脂注入量をそれまでの注入時間で割った値)に対して、20%以下に絞ることが必要であり、10%以下がより望ましい。20%以下に絞ることで、キャビティ13への樹脂注入時間は長くはなるが真空ポンプ10によるキャビティへの真空吸引を有効に働かせることができ、キャビティ内の減圧状態を適度に高く長時間保つことが可能になる。その結果、強化繊維基材への樹脂含浸が、ボイド、す等が入ることなく確実に行われ、未含浸部のない高Vf、すなわち高強度、軽量化された繊維強化樹脂製構造部材の製造が可能になるという優れた作用効果が得られる。これが20%を超えると、樹脂が含浸性のよい場所や積層枚数の薄い場所だけ早く流れ過ぎる傾向が生じ、好ましくない。
【0036】
ここで、具体的な供給方法切り替えの操作方法としては、図1に示す、脂注入の開始、停止および、樹脂注入配管41と、樹脂定量供給手段40の切り替えを行うバルブA1を操作して、樹脂定量供給手段40と、樹脂注入口6を繋ぐようにする。
【0037】
樹脂供給の後半において、樹脂の供給量を絞りながら供給するに際して、樹脂供給量を測定する方法については、給量可変式樹脂定量供給手段40の送り出し量の測定だけでなく、樹脂12の入ったポット8の重量を随時計量して、供給量を測定し、供給量可変式樹脂定量供給手段40へのフィードバック制御をするようにしてもよい。
【0038】
そして、強化繊維積層体2の全ての領域内に樹脂が含浸された時点、または真空吸引口6まで樹脂が到達した時点、または所定量の樹脂が注入された時点のうち最適なタイミングにおいて、バルブA1を操作し、供給量可変式樹脂定量供給手段40と樹脂注入口6との間の経路を遮断して、樹脂供給を中止する。この樹脂注入停止時点での繊維体積含有率Vfは、45%〜65%の範囲内、より好ましくは、50〜65%の範囲内となるように設定することが望ましい。樹脂注入停止時点での繊維体積含有率Vfをできるたけ高く保つことは、余剰樹脂の削減のためであり、本発明の樹脂注入量の調整を実施することにより、成り行き任せでキャビティ内に樹脂を流入させる従来方法に比べて、樹脂注入停止時点でのVfを高く保つことができる。
【0039】
そして、真空ラインを連通した真空トラップを介して、真空吸引ライン7から、真空トラップ9に所定の繊維体積含有率まで樹脂の吸引を行う。余剰樹脂が多い場合は、樹脂の吸引はゲル化あるいは硬化するまで継続しても良いが、最終的に55%〜65%までの範囲で、使用する強化繊維基材の性能上適したVfになった時点まで吸引を行うことが望ましい。
【0040】
また、上記の樹脂注入完了後の余剰樹脂の吸引工程において、減圧吸引側の真空圧を、樹脂注入時の10torr以下の減圧状態から0.05MPa〜0.075MPaに減圧状態に低下させることにより、余剰樹脂の引きすぎによるVfの上がり過ぎ、表層の樹脂まで吸い出すことによる表面品位低下、樹脂の揮発成分の発泡による成形品内部のボイドの発生、などの不具合を抑制することも、場合により可能である。
【0041】
【比較例】
実施例1を説明する前に、樹脂供給の前半と後半の切り替えタイミングおよび樹脂供給の絞り量を決定をする基礎となる比較例1を、キャビティ内への樹脂注入状況を示す図2と共に説明する。
【0042】
<比較例1>
前述した図1のRTM成形装置において、まず樹脂12をいれた樹脂ポット8から配管43、バルブA1、配管41を経由して樹脂注入口6に至る樹脂供給路として、圧損が殆どない、全長が1mで12×9サイズのナイロンチューブを配管した。
【0043】
次に、縦500mm、横500mmに裁断した炭素繊維織物2をステンレス製平板の成形型1上にレイアップする。ここで用いられている強化繊維基材は、東レ(株)製トレカT800Sの一方向織物(190g/m2目付)であり、トータルで48plyレイアップする。該基材の上にピールプライ(ナイロン製タフタ)及び樹脂拡散媒体3(ポリプロピレン製メッシュ材)を配設して、基材の両端に、樹脂注入口6と真空吸引口7を配設して、全体をバッグフィルム4(ナイロン製フィルム)を被せて周囲を粘着性の高い合成ゴム製のシーラント5でシールした。
【0044】
そして、バルブA1、A2を閉状態にして、バルブA3を開放し、真空ラインと連通した真空トラップ9を介して真空吸引ライン7を開放して、キャビティ13内を10torr以下まで減圧した。その後、電気オーブン内に該成形型を設置し、オーブン内を70℃に予備加温した。強化繊維全体が70℃に達した後に、バルブA1を操作して樹脂供給手段40側を閉止し、樹脂注入配管43と配管41とを連通させ、ポット8から樹脂12を樹脂注入口6からキャビティ13内に注入を開始した。樹脂12はエポキシ樹脂で、注入温度と同じ70℃に加熱して、低粘度化しておいた(粘度は約200cP)。樹脂は樹脂ポット側の大気圧と、真空吸引側の真空圧との差圧により、勢いよくキャビティ13内に流入し、しばらくして減圧吸引経路7に樹脂が出てきたので、バルブA1を操作して、樹脂注入配管43を閉止して、自然流速によるキャビテイへの樹脂注入が完了した。注入開始から注入完了までの所要時間(T1)は、図2に示すように34分であった。その際、樹脂ポット8からキャビティ13内に供給された総樹脂量(W1)は、強化繊維積層体2に含浸する分とその他樹脂拡散媒体3や、樹脂注入口6,減圧吸引口7のCチャンネルに入る分も合わせて1892gであった。また、樹脂の流入が進むにつれて、キャビティ内の減圧が低下し、強化繊維積層体の厚みが増加する傾向を示した。
【0045】
次に、余剰樹脂の吸い出しを行うため、バルブA2を開にして、配管41からバルブA2を経てトラップ9に至る経路と、配管42、バルブA3を経てトラップ9に至る両経路から余剰樹脂の吸い出しを実施した。その際の吸引側の真空圧は、10torrのままであり、最終的にプリキュアの温度140℃まで昇温して、2時間保持し、樹脂を硬化させた。
【0046】
1次硬化後の成形品のVfは、57.8%であり、余剰樹脂を多く吸い出すことにより、目標Vfまで到達できたが、余剰樹脂吸い出しにかかる時間と吸い出し量の制御の点では劣るものであった。
【0047】
最後に、1次硬化状態の成形品を加熱炉に入れ、約180℃で2時間程度加熱して、2次硬化処理を実施し、強度・剛性等の材料物性が所望の性能をもつ最終成形品を得た。
【0048】
【実施例】
<実施例1>
本実施例では、強化繊維積層体2の準備やバギング条件など、以下に述べる樹脂注入方法以外の工程は、比較例1とほぼ同様にした。
【0049】
まず、比較例1の結果を基に、樹脂供給量の調整方法を選定する。図2において、曲線Aは、前述したように供給手段40を用いないで樹脂注入配管43を使い、最初から最後まで、自然流速で注入した場合の樹脂注入量の推移曲線である。前述したように樹脂注入完了までの時間(T1)は34分、含浸に要した樹脂量W1は1892gであり、その結果を元に、樹脂供給速度の切り替えタイミングを、注入完了までの所要時間T1の34分に対して、その30%〜60%の範囲内である41%の14分とした。
【0050】
また、樹脂注入開始からの樹脂供給量切り替えタイミングを14分として、それまでの樹脂供給量(w)は、約950gであり、注入前半の単位時間あたりの樹脂注入量は、
950(g)/14(分)=68(g/分)
であったので、樹脂注入後半の樹脂供給量を、その20%以下の約7%に相当する5g/分とした。
【0051】
この場合、供給量の絞り量は、余剰樹脂削減の上ではできるだけ絞るほうが効果的であり、上記の20%以下よりもさらに絞った10%以下にすると、キャビティ13内の余剰樹脂をより確実に削減できる。
【0052】
次に、成形準備を実施した。今度はポット8からの樹脂供給路として、配管43のみを用いた前述の比較例1とは異なり、供給量可変式樹脂定量供給手段40としてモーノポンプからも、樹脂12をいれた樹脂ポット8から樹脂注入口6に樹脂供給量を調整しながら供給するようにした。
【0053】
次に、比較例1と同様の材質の基材を準備し、同様条件にて成形準備をした。
【0054】
そして、バルブA1、A2を閉状態にして、バルブA3を開放し、真空ラインと連通した真空トラップ9を介して真空吸引ライン7を開放して、キャビティ13内を10torr以下まで減圧した。その後、比較例1と同様、電気オーブン内に該成形型を設置し、オーブン内を70℃に加温した。強化繊維全体が70℃に達した後に、バルブA1を操作して、樹脂注入配管43と樹脂注入口6を接続し、ポット8からキャビテイ13への樹脂注入を開始した。
【0055】
樹脂12はエポキシ樹脂で、注入温度と同じ70℃に加熱して、低粘度化しておいた(粘度は約200cP)。樹脂は樹脂ポット側の大気圧と、真空吸引側の真空圧との差圧により、勢いよくキャビティ内に流入し、上記の樹脂供給の切り替えタイミングである注入開始からの経過時間14分の段階で樹脂供給速度を切り替えた。この時点を図2で示すと、切り替えポイントPが該当する。このP点での供給量切り替え方法としては、バルブA1を操作して、樹脂注入配管43と樹脂注入口6との接続を遮断し、樹脂定量供給手段40と樹脂注入口6とを接続した。
【0056】
また、樹脂定量供給手段40から供給する樹脂の供給速度を、上記のように供給前半の単位時間あたりの樹脂供給量に対して、その20%以下の7%程度に相当する5g/分に大幅に絞った供給速度に設定して、樹脂供給を継続した。その際、モーノポンプ40の回転数を制御しるとともに、樹脂12を入れたポット8の重量も随時計量し、樹脂持ち出し量が間違いないことを確認した。
【0057】
また、樹脂注入口6の直前の配管付近で樹脂注入圧力を測定する圧力センサー50により、常時キャビティ13への樹脂注入圧を測定し、注入圧が上がりすぎないように監視した。万一圧力が上がりすぎた場合には、バギングフィルム4が破れないように、樹脂供給手段40の運転を遅くするか止めるよう制御するようにした。その結果、図2の細線で示すように、樹脂は比較例1のように、勢いよくキャビティ13内に流入することなく、徐々に強化繊維積層体内に含浸してゆき、その後も比較例1のように基材が膨れることが殆どなく、減圧吸引経路7に樹脂が出てきたので、バルブA1を操作して、樹脂定量供給手段40と樹脂注入口6との配管を遮断して、樹脂注入を完了した。注入開始からここまでの所要時間T2は約132分であった。また、結果として、注入完了までの所要時間が比較例1に対して、長くなってはいるが、P点までの注入前半を自然流速で注入しているため、最初から樹脂流速を絞るよりは、注入時間が短くできた。また、樹脂ポット側からキャビティ13内に供給された樹脂量(W2)は、強化繊維積層体2に含浸する分とその他樹脂拡散媒体3や、樹脂注入口6,減圧吸引口7のCチャンネルに入る分も合わせて、合計1579gであった。比較例1に対して、注入に要する樹脂を313g削減できた。比較例1に対する樹脂削減率は約17%であり、この削減量は製造コスト低減の上で非常に大きな値である。
【0058】
次に、余剰樹脂の吸い出し工程において、A2を開にして、比較例1と同様、バルブA2とA3の両バルブを経由してのトラップ9への余剰樹脂の吸い出しを実施した。その際の吸引側の真空圧は、10torrに真空度を下げ、余剰樹脂の吸い出しを実施した。最終的にプリキュアの温度140℃まで昇温して、2時間保持し、樹脂を硬化させた。1次硬化後の成形品のVfは、58.3%で目標のVfに到達させることが比較例1に比べ容易にでき、比較例1のものよりも高Vfで高強度、かつ高軽量の品質の優れたFRP製構造体が製造できた。
【0059】
次に、1次硬化が完了した成形品を、加熱炉に入れて、180℃で約2時間加熱して、2次硬化処理を実施し、強度・剛性等の材料物性が所望の性能を持つ最終成形品を得た。また、余剰樹脂量も比較例1に対して、313g少ないため、無駄になる樹脂が少なく、また、余剰樹脂の吸い出しに要する時間も、比較例1よりも50分程度短くすんだ。
【0060】
【発明の効果】
本発明は、強化繊維基材へのマトリックス樹脂の注入速度をその注入工程の途中で所定の高Vfになるように適正に変更調整するので、得られるFRP製成形体全体の繊維体積含有率Vfを向上させることができる。その結果、強度、軽量性ともに優れたFRP製成形体が得られると共に、余剰樹脂量も削減するので、低コストのものが得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のRTM成形方法に用いる成形装置の一例の概略断面図である。
【図2】本発明の実施例と比較例における樹脂注入量調整方法を説明する、経過時間と樹脂注入量のグラフである。
【符号の説明】
1:成形型
2:強化繊維積層体
3:樹脂拡散媒体
4:バッグフィルム
5:シーラント
6:樹脂注入口減圧吸引口
7:減圧吸引口樹脂注入口
8:樹脂ポット
9:真空トラップ
10:真空ポンプ
12:樹脂
13:キャビティ
30:真空減圧弁
40:供給量可変式樹脂定量供給手段
41:注入前半に使用する樹脂注入配管
42:吸引配管
43:樹脂注入配管
50:圧力センサー
A1:三方バルブ
A2:バルブ
A3:バルブ
【発明の属する技術分野】
本発明は、繊維強化樹脂製成形体(以下、FRPという。)の製造方法として用いられるResin Transfer Molding法(以下、RTM成形法という。)の改良に関する。詳しくは、強化繊維基材へのマトリクス樹脂注入に際して、樹脂供給量を適正にコントロールすることにより、得られる成形体全体の繊維体積含有率(Vf)を向上させて、所定の高Vfになるようにコントロールするとともに、余剰樹脂量を削減することにより、強度、軽量性ともに優れた低コストの繊維強化樹脂成形体が製造できる製造方法および製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、例えば航空機、船舶、建築部材等の構造部材として使用されるFRP製パネル、桁材等や、自動車用外板等の繊維強化樹脂製構造部材の製造方法においては、RTM法が生産性と製造コストの点で優れることから広く採用され、最近では樹脂注入工程において成形すべき強化繊維積層体をフィルムでバギングし、減圧吸引した状態でマトリクス樹脂を注入する、いわゆるVaccum−Assisted Resin Transfer Molding法が主流となっている。
【0003】
そのようなRTM成形法により、例えば、航空機や自動車用途のFRP製成形体を製造する際には、高強度化、軽量化、低コスト化のために、FRP製成形体全体に占める強化繊維の体積含有率(Vf)を、55〜65%程度に高めるいわゆる高Vf化することが望ましい。その理由は、例えば航空機部材用途の場合、対金属材料とのコスト・性能からの要求特性としてVfを55%以上にする必要があり、また、繊維体積含有率が65%を越えるような高Vfとなった場合は、基材への含浸不良となり、ボイドを発生したり、層間剪断強度が低下する等の問題発生を防止する必要があるからである。このような高VfのFRP製成形体の製造方法に関する従来技術としては、例えば、次のものが提案されている。
【0004】
【特許文献1】米国特許第5,052,906号明細書(クレーム1、第1図)
上記文献1には、強化繊維基材の積層体の上面と下面の両面に、ピールプライ/樹脂拡散メディアの順で配置したものを成形型(ツール)面上に載置し、これに樹脂注入ゲート、減圧吸引ゲートを連結した後、全体をフイルムでバギングし、RTM成形する方法が記載されている。
【0005】
しかし、上記文献1に記載のRTM成形法では、強化繊維積層体に樹脂注入する前の繊維体積含有率(Vf)が55%以上のいわゆる高Vf状態、つまり強化繊維間の隙間が小さい状態で樹脂注入を行った場合は、最終成形品の繊維体積含有率自体は高くなるが、樹脂の成形体内への浸透性が悪いため、板厚が例えば25mm以上となるような厚肉の成形体の場合は、成形体の隅々にまで樹脂が到達せず、強度等を要する構造物としては樹脂の未含浸部分の残る欠陥のあるものしか製造できなかった。
【0006】
一方、強化繊維積層体に樹脂注入する前の繊維体積含有率(Vf)が例えば45%と低く、強化繊維束同士の隙間が大きい状態の場合には、樹脂の浸透性は良いが最終成形品の繊維体積含有率は低くなるため、強度・軽量化に関しては劣るものしか製造できなかった。つまり、樹脂の含浸性の向上と繊維体積含有率Vfの高Vf化とは相反する関係にあり、両者の両立は困難であった。
【0007】
また、上記文献1に記載のRTM成形法では、樹脂ポットに入れられた樹脂が、樹脂ポット側の大気圧と減圧吸引側の真空圧とに基づく差圧と、強化繊維積層体に対する樹脂含浸性とで成り行きまかせで樹脂注入量が決まるため、注入当初から大量に樹脂がキャビティ内に流入してしまうことになる。その結果、キャビティ内の減圧状態が低下して、強化繊維積層体が膨れ、含浸完了時にはキャビティ内に余剰樹脂を含む樹脂が入る傾向が顕著であった。
【0008】
さらに、成形品によっては、品質安定化の必要性から繊維体積含有率をコントロールすることが好ましいが、上記のように注入量が成り行きまかせで、余剰樹脂まで多く注入してしまうと、注入完了後に減圧吸引経路側から樹脂を吸い出す工程で所定のVfになるように吸い出し量を調整することが難しかった。
【0009】
また、含浸時間に関しては、上記のように成り行きまかせで樹脂を注入すると、短い時間で含浸が完了するが、余剰樹脂を吸い出して高Vf化するために必要な時間は、逆に長くなることになり、成形工程全体で見ると、それほど優位性がなかった。
【0010】
このような成り行き任せの樹脂注入法の問題解決策の1つとして、次の文献2には、樹脂の注入に際して、樹脂ポットに入れられた樹脂を流量コントロールする技術も提案されている。
【0011】
【特許文献2】特開平2003−25347号明細書(請求項1、第3図)
上記文献2には、樹脂の注入速度を最初から自然流速よりも低速に絞ることにより、強化繊維積層体の各部への樹脂含浸速度の差による未含浸の発生を抑制することが記載されている。
【0012】
しかし、上記技術では、最初から樹脂注入速度を絞るため、樹脂含浸に要する時間が必然的に長くならざるを得ない。この問題点は強化繊維積層基材の厚みが厚くなるほど、また、基材面積が広くなるほど、注入時間が大幅に長くなる。その結果、注入中の樹脂粘度の上昇なども進んで、未含浸部、ボイドなどが生じ、得られた成形体は、依然として均質的でなく、強度的に弱いものであるというる問題がある。
【0013】
また、上記技術では、成形型が雌型とバギングフィルムの組み合わせにおいて、樹脂注入途中から生じる強化繊維積層体の膨らみや、バッグのゆるみ、キャビティ内の真空度の低下などに関する記載がなく、もっぱら樹脂含浸時のフローフロントの進行の差を小さくして未含浸を無くすることを目的とする技術であるため、上記問題点としてあげた、注入時に流入する樹脂量が成形品に必要な樹脂量より多くなってプロセスのサイクルタイムや材料コストの面で問題となることに対する解決手段を提示していなかった。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来技術の問題点を解消し、得られるFRP製成形体全体の繊維体積含有率(Vf)を向上させるため所定の高Vfになるように樹脂流入量をコントロールするとともに、余剰樹脂量を削減して、強度、軽量性ともに優れた低コストのFRP製成形体が得られる製造方法およびその製造装置を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明の繊維強化樹脂成形体の製造方法は、雌型のキャビティ上に、少なくとも強化繊維を複数層積層した強化繊維積層体を配置し、これに樹脂供給経路と減圧吸引経路とを連結した後、積層体全体をバギングし、キャビティ内を減圧吸引した上で、マトリックス樹脂を注入することにより、前記強化繊維基材内に樹脂を浸透させる繊維強化樹脂成形体の製造方法において、前記樹脂注入工程の前半は、キャビティ内圧と外部圧力との差圧による自然流速によりキャビティ内に樹脂を流入させ、途中から樹脂注入速度を、それまでの単位時間あたりの樹脂注入速度(注入開始から途中切り替えまでの注入樹脂量をそれまでの注入時間で割った値)に対して、20%以下に絞ることを特徴とする。
【0016】
この場合、樹脂注入速度を前半の自然流速から後半の20%以下に絞る切り替えタイミングを、注入開始から注入完了まで、全て自然流速で注入した場合の所要時間の30%〜60%の範囲内に設定するのが好ましい。
【0017】
このような樹脂流入速度の制御により、樹脂をキャビティ内圧と外部圧力との差圧による自然流速によりキャビティ内に樹脂を流入させる場合のように、樹脂の流入につれて、キャビティ内の減圧状態が次第に低くなり、強化繊維積層基材が膨れて嵩高となり、その分樹脂がキャビティ内に多く流入して、結果的に余剰樹脂が多くなるという問題点を改善することができる。
【0018】
また、注入前半は、キャビティ内圧と外部圧力との差圧による自然流速により樹脂を注入することで、樹脂含浸の所要時間が必要以上に長くなることを避けることができる。その原理としては、途中から樹脂流入速度を絞ることにより、樹脂流入時の圧損が高くなり、真空吸引経路からの真空吸引が有効に働いて、ツールとバギングフィルムで形成されるキャビティ内の減圧状態を高く維持できるからである。
【0019】
さらに、上記の樹脂注入の途中から樹脂注入速度を調整する手段としては、供給量可変式の定量供給ポンプであったり樹脂注入速度に合わせて、樹脂供給経路のチューブ径を細くするか、長さを長くして注入配管の圧損を高くするかのいずれか、または両方を用いるのが好ましい。このように樹脂注入後半の樹脂流入速度の絞り具合を最適値にコントロールすることにより、含浸時間の増加を最小限に抑えることができる。
【0020】
本発明の繊維強化樹脂成形体の製造装置は、雌型のキャビティ上に少なくとも強化繊維を複数層積層した強化繊維積層体を配置し、前記キャビティにマトリックス樹脂供給手段と減圧吸引手段とを連結した後、積層体全体をバギングし、キャビティ内を前記減圧吸引手段で吸引した上で、マトリックス樹脂を注入することにより、前記強化繊維基材内に樹脂を浸透させる繊維強化樹脂成形体の製造装置であって、前記マトリックス樹脂供給手段は、樹脂容器に樹脂供給配管と定量供給手段との二つの樹脂供給手段が並列に接続されているとともに、該二つの樹脂供給手段から前記キャビテイへの接続配管途中に、その供給経路を樹脂注入配管から樹脂定量供給手段に切り替える切り替え弁が介設されていることを特徴とする。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施の形態を一実施例の図面を用いて説明する。
【0022】
図1は、本発明のFRP製成形体の製造方法に用いる製造装置の一例の概略断面図である。
【0023】
図において、1はベースとなる雌型の成形型で、材質がステンレス製の平板状のものである。2は、強化繊維の織物基材を複数層に積層した強化繊維積層体である。成形型1の形状は、用途に応じて、当然3次元形状のものを適用することも可能である。24は、ピールプライで、成形体からメディア等を容易に除去するために敷布し、例えばナイロン製タフタのように離型の機能をなす織物である。3は、樹脂を平面方向に拡散させる拡散媒体であり、樹脂の流動抵抗が強化繊維積層体内を流れる場合よりも約1/10以下の低い抵抗をなす基材であり、具体的にはポリエチレンやポリプロピレン樹脂製のメッシュ織物で目開きが#400以下のものが好ましい。4は、減圧キャビティ13を形成するための気密材料で、耐熱性を考慮して、例えばナイロン製のフィルムを用いることが好ましい。5は、粘着性の高い合成ゴム製のシーラントで、フィルム内を減圧状態に保つために、外部からの空気の流入を防止する。6,7は樹脂注入、減圧吸引を行うためのポートであり、アルミ製のCチャンネル材等を使用することが好ましい。該チャンネル材は、後述する配管41、42を介して、外部部材と連通している。8は、マトリックス樹脂12である熱硬化性樹脂を入れたプラスチック製のポットである。
【0024】
41は、樹脂注入前半に樹脂を強化繊維積層体に供給する樹脂注入配管、42は、吸引配管であり、これら配管の内径や長さなどは、強化繊維基材のサイズや、樹脂の粘度に合わせて選定するが、その材質はプラスチック製のチューブや金属製パイプが好ましい。その際、できるだけ圧損を低くすることが好ましい。40は、供給量可変式の樹脂定量供給手段であり、樹脂注入後半から完了までの間で樹脂供給量を低く調整して定量的に供給するものである。この定量供給手段は、特に限定されるものではないが、できれば脈動の少ない形式のものが好ましく、また、マトリックス樹脂は熱硬化性樹脂を使用するため、清掃がしやすい構造のものが好ましい。具体的には、モーノポンプや、チュービングポンプ、ギヤポンプ、シリンジポンプなどの定量供給ポンプを使用状況に合わせた性能のものを選定し、適用することが好ましい。但し、攪拌羽根型のポンプなどのようにポンプの上流と下流が可動部材などによって、構造的に仕切られていないものは、適していない。
【0025】
なお、上記供給手段40のかわりに、樹脂注入配管41よりも配管の圧損を高く設定した注入配管を設置し、これに適当な樹脂供給手段により樹脂を供給したのち、樹脂流速を落とす方法を採用してもよい。具体的には、樹脂粘度に合わせて、配管内径を細くするか配管の長さを長くするかであり、あるいはこれら両手段を採用してもよい。
【0026】
また、図示していないが、樹脂12を入れる樹脂ポット8を重量計に載せて、樹脂の送り出し量を測定して樹脂定量供給手段40の供給量をフィードバック制御したり、所定の樹脂注入総量に達した段階で、樹脂注入をストップすることも、プロセス制御上、好ましく、本発明の範囲に含まれる。
【0027】
A1は、積層体2への樹脂注入開始と停止、および樹脂注入口6に接続された配管43に関して樹脂注入配管41と樹脂定量供給手段40の切り替えを行うための三方バルブである。A2は、積層体2への樹脂注入完了後、キャビティ13内に流入した樹脂のうち、余剰な樹脂をブリードさせ、配管43経由でトラップ9に回収するために配管の切り替えを行うバルブである。
【0028】
一方、A3は、真空吸引経路の開閉を行うバルブである。9は、真空トラップで、減圧吸引ポート7より配管41経由吸引した成形体内の余分な樹脂を蓄積させるものである。10は、真空ポンプであり、キャビテイの減圧吸引ポート7より真空トラップ9を介して接続されており、キャビティ13内を減圧状態に保持するためのものである。30は、減圧吸引側圧力調整弁であり、樹脂注入時にはできるだけ高い真空度に設定でき、樹脂注入完了後の余剰樹脂吸い出し工程においては、Vfコントロールを容易にするため、必要に応じて、キャビティ13から真空トラップ9までの減圧吸引経路内の真空度を0.05MPa〜0.075MPaに調整できるものが望ましい。50は、樹脂注入圧力を測定するための圧力センサーである。
【0029】
以上の製造装置において、強化繊維積層体2の材質としては、特に限定されるものでは無いが例えば、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維等が挙げられる。また、それらの少なくとも2種類積層するハイブリッド構造のものでも良い。また、強化繊維の間に、例えば発泡材や中空コアなどのコア材を挟んだサンドイッチ構造のものでも良い。樹脂拡散媒体3としては、例えば網状体から構成することもできるし、一態様として成形型1に樹脂流路溝が形成されたものを用いることもできる。また、強化繊維自体を樹脂拡散媒体として使用することも良い。マトリックス樹脂としては、例えば、ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等が挙げられる。
【0030】
次に、本発明のFRP製成形体の製造方法は、例えば上記製造装置を用いて次の工程順にて行われる。
1.強化繊維積層体2の準備工程
まず、成形型1の成形面の上に強化繊維積層体2を配置し、その上に離型用ピールプライ24(例えば、ナイロン製タフタ)と樹脂拡散媒体3を配設する。また、基材の両端には、樹脂注入口6と真空吸引口6をそれぞれ少なくとも1ライン配設する。
2.成形準備工程
次に上記拡散媒体3の上部から、全体にバッグフィルム4を被せ、その外周端付近は外部から強化繊維積層体2等の内部を減圧状態に維持するために周囲をシーラント5でシールする。そして、バルブA1,A2を閉状態にし、一方、バルブA3は開放して、減圧吸引ポート7からトラップ9を経て、真空ポンプ10に至る吸引ラインを開放する。そして、真空ポンプ10を運転し、キャビティ13内を10torr以下の減圧状態にする。
3.予備加熱工程
次に成形型1を持ち上げ、成形体2上にバッグフィルム4を被せたままの状態で全体を図示しない加熱用オーブン内に移動して、その全体を樹脂粘度が低く、かつゲル化するまでの時間をある程度長く確保できる温度(樹脂によって異なるが、エポキシ樹脂の場合、50〜90℃の範囲内の温度が望ましい)にまで予備加熱する。加熱時間としては、積層基材の中まで均一な温度とするため、30〜120分程度が好ましい。これは、強化繊維積層体ののサイズや厚みによって変わり、大きくなるほど、厚くなるほど予備加熱時間を長くすることが望ましい。
4.マトリクス樹脂12の注入工程
次に成形型1が上記温度範囲内にまで上昇したら、装置全体を図1の状態に復元する。復元できたら定量供給手段40を運転して、熱硬化性樹脂12のキャビティ13への注入を開始する。
【0031】
まず、注入工程の前半では、バルブA1を操作して、樹脂注入配管43とキャビティ13とを繋ぐ経路を開放し、ポット8に作用する大気圧と前述の真空ポンプ10の運転による差圧に基づき、樹脂12をポット8から樹脂注入口6を経由させて自然流速でキャビティ13内に供給する。このように、本発明で言う「自然流速」とは、減圧吸引側の真空トラップ9やポン真空減圧弁30およびポンプ10によって保たれる減圧状態と、樹脂注入側の樹脂ポット12の液面に作用する大気圧との差圧に基づく、キャビティ13への樹脂流入速度のことをいう。
【0032】
樹脂注入口6からキャビティ13内に入った樹脂は、強化繊維積層体2の上面に配置された樹脂拡散媒体3の樹脂通過抵抗が積層体2のそれよりも低いため、急速に平面方向に広がる。抵抗が平衡状態に達したら次は強化繊維積層体の基材内部の厚み方向に含浸が進む。
【0033】
ここで、そのまま、樹脂を自然流速で注入させた場合、通常は、片面がフレキシブルなバギングフィルムで覆われて、大気圧が作用しているだけなので、キャビティ13内の樹脂含浸がほぼ終わった領域での減圧状態は低下し、バギングフィルムの内側と外側の圧力差が小さくなる。そのため、樹脂が含浸した強化繊維基材が膨れて嵩高となる傾向が強い。本発明では、特にこの嵩高となる現状を抑制するために、バギングフィルムの内側のキャビティ13の減圧状態が大幅に低下する前の段階で、樹脂の供給量を20%以下の大幅に絞ることで、真空ポンプ10による真空吸引力を有効に働かせる。その結果、キャビティ13内のキャビティ内の減圧状態を高く継続して維持することができ、強化繊維基材への十分な樹脂含浸が達成できる。
【0034】
ここで、樹脂供給を自然流速での供給から20%以下の大幅に少ない供給量に絞るタイミングとしては、強化繊維積層体の使用基材、積層構成、厚みや面積などにより左右されるため厳密に求めることは難しいが、経験的に言って、最初から最後まで、自然流速で樹脂注入を実施した際に、樹脂注入を完了するまでの所要時間(樹脂注入を開始してから、キャビティ13の真空吸引口に樹脂が到達するまでの時間)に対して、30%〜60%の時間内に設定することが望ましい。切り替えタイミングを上記60%を越える時間に遅らすと、キャビティ内の減圧度が低くなり、逆に切り替えタイミングを30%未満に速くすると、キャビティ内の減圧度を高い状態に維持できるが樹脂注入時間が長時間化することになり、いずれも好ましくない結果となる。また、バギングフィルムで覆われた強化繊維積層体の上面に、ダイヤルゲージなどの厚み変化を計測する手段を設置し、厚みが増加する傾向が出始めるタイミングを計った上で、上記30%〜60%の範囲の間で、最適なタイミングを設定するとさらに効率的である。
【0035】
また、樹脂注入量を切り替えた後の樹脂供給量の絞り加減については、これも強化繊維積層体の使用基材、積層構成、厚みや面積などにより左右されるため、厳密に求めることは難しいが、経験的に言って、樹脂注入前半の単位時間あたりの樹脂供給量(樹脂注入開始から供給量切り替えまでの樹脂注入量をそれまでの注入時間で割った値)に対して、20%以下に絞ることが必要であり、10%以下がより望ましい。20%以下に絞ることで、キャビティ13への樹脂注入時間は長くはなるが真空ポンプ10によるキャビティへの真空吸引を有効に働かせることができ、キャビティ内の減圧状態を適度に高く長時間保つことが可能になる。その結果、強化繊維基材への樹脂含浸が、ボイド、す等が入ることなく確実に行われ、未含浸部のない高Vf、すなわち高強度、軽量化された繊維強化樹脂製構造部材の製造が可能になるという優れた作用効果が得られる。これが20%を超えると、樹脂が含浸性のよい場所や積層枚数の薄い場所だけ早く流れ過ぎる傾向が生じ、好ましくない。
【0036】
ここで、具体的な供給方法切り替えの操作方法としては、図1に示す、脂注入の開始、停止および、樹脂注入配管41と、樹脂定量供給手段40の切り替えを行うバルブA1を操作して、樹脂定量供給手段40と、樹脂注入口6を繋ぐようにする。
【0037】
樹脂供給の後半において、樹脂の供給量を絞りながら供給するに際して、樹脂供給量を測定する方法については、給量可変式樹脂定量供給手段40の送り出し量の測定だけでなく、樹脂12の入ったポット8の重量を随時計量して、供給量を測定し、供給量可変式樹脂定量供給手段40へのフィードバック制御をするようにしてもよい。
【0038】
そして、強化繊維積層体2の全ての領域内に樹脂が含浸された時点、または真空吸引口6まで樹脂が到達した時点、または所定量の樹脂が注入された時点のうち最適なタイミングにおいて、バルブA1を操作し、供給量可変式樹脂定量供給手段40と樹脂注入口6との間の経路を遮断して、樹脂供給を中止する。この樹脂注入停止時点での繊維体積含有率Vfは、45%〜65%の範囲内、より好ましくは、50〜65%の範囲内となるように設定することが望ましい。樹脂注入停止時点での繊維体積含有率Vfをできるたけ高く保つことは、余剰樹脂の削減のためであり、本発明の樹脂注入量の調整を実施することにより、成り行き任せでキャビティ内に樹脂を流入させる従来方法に比べて、樹脂注入停止時点でのVfを高く保つことができる。
【0039】
そして、真空ラインを連通した真空トラップを介して、真空吸引ライン7から、真空トラップ9に所定の繊維体積含有率まで樹脂の吸引を行う。余剰樹脂が多い場合は、樹脂の吸引はゲル化あるいは硬化するまで継続しても良いが、最終的に55%〜65%までの範囲で、使用する強化繊維基材の性能上適したVfになった時点まで吸引を行うことが望ましい。
【0040】
また、上記の樹脂注入完了後の余剰樹脂の吸引工程において、減圧吸引側の真空圧を、樹脂注入時の10torr以下の減圧状態から0.05MPa〜0.075MPaに減圧状態に低下させることにより、余剰樹脂の引きすぎによるVfの上がり過ぎ、表層の樹脂まで吸い出すことによる表面品位低下、樹脂の揮発成分の発泡による成形品内部のボイドの発生、などの不具合を抑制することも、場合により可能である。
【0041】
【比較例】
実施例1を説明する前に、樹脂供給の前半と後半の切り替えタイミングおよび樹脂供給の絞り量を決定をする基礎となる比較例1を、キャビティ内への樹脂注入状況を示す図2と共に説明する。
【0042】
<比較例1>
前述した図1のRTM成形装置において、まず樹脂12をいれた樹脂ポット8から配管43、バルブA1、配管41を経由して樹脂注入口6に至る樹脂供給路として、圧損が殆どない、全長が1mで12×9サイズのナイロンチューブを配管した。
【0043】
次に、縦500mm、横500mmに裁断した炭素繊維織物2をステンレス製平板の成形型1上にレイアップする。ここで用いられている強化繊維基材は、東レ(株)製トレカT800Sの一方向織物(190g/m2目付)であり、トータルで48plyレイアップする。該基材の上にピールプライ(ナイロン製タフタ)及び樹脂拡散媒体3(ポリプロピレン製メッシュ材)を配設して、基材の両端に、樹脂注入口6と真空吸引口7を配設して、全体をバッグフィルム4(ナイロン製フィルム)を被せて周囲を粘着性の高い合成ゴム製のシーラント5でシールした。
【0044】
そして、バルブA1、A2を閉状態にして、バルブA3を開放し、真空ラインと連通した真空トラップ9を介して真空吸引ライン7を開放して、キャビティ13内を10torr以下まで減圧した。その後、電気オーブン内に該成形型を設置し、オーブン内を70℃に予備加温した。強化繊維全体が70℃に達した後に、バルブA1を操作して樹脂供給手段40側を閉止し、樹脂注入配管43と配管41とを連通させ、ポット8から樹脂12を樹脂注入口6からキャビティ13内に注入を開始した。樹脂12はエポキシ樹脂で、注入温度と同じ70℃に加熱して、低粘度化しておいた(粘度は約200cP)。樹脂は樹脂ポット側の大気圧と、真空吸引側の真空圧との差圧により、勢いよくキャビティ13内に流入し、しばらくして減圧吸引経路7に樹脂が出てきたので、バルブA1を操作して、樹脂注入配管43を閉止して、自然流速によるキャビテイへの樹脂注入が完了した。注入開始から注入完了までの所要時間(T1)は、図2に示すように34分であった。その際、樹脂ポット8からキャビティ13内に供給された総樹脂量(W1)は、強化繊維積層体2に含浸する分とその他樹脂拡散媒体3や、樹脂注入口6,減圧吸引口7のCチャンネルに入る分も合わせて1892gであった。また、樹脂の流入が進むにつれて、キャビティ内の減圧が低下し、強化繊維積層体の厚みが増加する傾向を示した。
【0045】
次に、余剰樹脂の吸い出しを行うため、バルブA2を開にして、配管41からバルブA2を経てトラップ9に至る経路と、配管42、バルブA3を経てトラップ9に至る両経路から余剰樹脂の吸い出しを実施した。その際の吸引側の真空圧は、10torrのままであり、最終的にプリキュアの温度140℃まで昇温して、2時間保持し、樹脂を硬化させた。
【0046】
1次硬化後の成形品のVfは、57.8%であり、余剰樹脂を多く吸い出すことにより、目標Vfまで到達できたが、余剰樹脂吸い出しにかかる時間と吸い出し量の制御の点では劣るものであった。
【0047】
最後に、1次硬化状態の成形品を加熱炉に入れ、約180℃で2時間程度加熱して、2次硬化処理を実施し、強度・剛性等の材料物性が所望の性能をもつ最終成形品を得た。
【0048】
【実施例】
<実施例1>
本実施例では、強化繊維積層体2の準備やバギング条件など、以下に述べる樹脂注入方法以外の工程は、比較例1とほぼ同様にした。
【0049】
まず、比較例1の結果を基に、樹脂供給量の調整方法を選定する。図2において、曲線Aは、前述したように供給手段40を用いないで樹脂注入配管43を使い、最初から最後まで、自然流速で注入した場合の樹脂注入量の推移曲線である。前述したように樹脂注入完了までの時間(T1)は34分、含浸に要した樹脂量W1は1892gであり、その結果を元に、樹脂供給速度の切り替えタイミングを、注入完了までの所要時間T1の34分に対して、その30%〜60%の範囲内である41%の14分とした。
【0050】
また、樹脂注入開始からの樹脂供給量切り替えタイミングを14分として、それまでの樹脂供給量(w)は、約950gであり、注入前半の単位時間あたりの樹脂注入量は、
950(g)/14(分)=68(g/分)
であったので、樹脂注入後半の樹脂供給量を、その20%以下の約7%に相当する5g/分とした。
【0051】
この場合、供給量の絞り量は、余剰樹脂削減の上ではできるだけ絞るほうが効果的であり、上記の20%以下よりもさらに絞った10%以下にすると、キャビティ13内の余剰樹脂をより確実に削減できる。
【0052】
次に、成形準備を実施した。今度はポット8からの樹脂供給路として、配管43のみを用いた前述の比較例1とは異なり、供給量可変式樹脂定量供給手段40としてモーノポンプからも、樹脂12をいれた樹脂ポット8から樹脂注入口6に樹脂供給量を調整しながら供給するようにした。
【0053】
次に、比較例1と同様の材質の基材を準備し、同様条件にて成形準備をした。
【0054】
そして、バルブA1、A2を閉状態にして、バルブA3を開放し、真空ラインと連通した真空トラップ9を介して真空吸引ライン7を開放して、キャビティ13内を10torr以下まで減圧した。その後、比較例1と同様、電気オーブン内に該成形型を設置し、オーブン内を70℃に加温した。強化繊維全体が70℃に達した後に、バルブA1を操作して、樹脂注入配管43と樹脂注入口6を接続し、ポット8からキャビテイ13への樹脂注入を開始した。
【0055】
樹脂12はエポキシ樹脂で、注入温度と同じ70℃に加熱して、低粘度化しておいた(粘度は約200cP)。樹脂は樹脂ポット側の大気圧と、真空吸引側の真空圧との差圧により、勢いよくキャビティ内に流入し、上記の樹脂供給の切り替えタイミングである注入開始からの経過時間14分の段階で樹脂供給速度を切り替えた。この時点を図2で示すと、切り替えポイントPが該当する。このP点での供給量切り替え方法としては、バルブA1を操作して、樹脂注入配管43と樹脂注入口6との接続を遮断し、樹脂定量供給手段40と樹脂注入口6とを接続した。
【0056】
また、樹脂定量供給手段40から供給する樹脂の供給速度を、上記のように供給前半の単位時間あたりの樹脂供給量に対して、その20%以下の7%程度に相当する5g/分に大幅に絞った供給速度に設定して、樹脂供給を継続した。その際、モーノポンプ40の回転数を制御しるとともに、樹脂12を入れたポット8の重量も随時計量し、樹脂持ち出し量が間違いないことを確認した。
【0057】
また、樹脂注入口6の直前の配管付近で樹脂注入圧力を測定する圧力センサー50により、常時キャビティ13への樹脂注入圧を測定し、注入圧が上がりすぎないように監視した。万一圧力が上がりすぎた場合には、バギングフィルム4が破れないように、樹脂供給手段40の運転を遅くするか止めるよう制御するようにした。その結果、図2の細線で示すように、樹脂は比較例1のように、勢いよくキャビティ13内に流入することなく、徐々に強化繊維積層体内に含浸してゆき、その後も比較例1のように基材が膨れることが殆どなく、減圧吸引経路7に樹脂が出てきたので、バルブA1を操作して、樹脂定量供給手段40と樹脂注入口6との配管を遮断して、樹脂注入を完了した。注入開始からここまでの所要時間T2は約132分であった。また、結果として、注入完了までの所要時間が比較例1に対して、長くなってはいるが、P点までの注入前半を自然流速で注入しているため、最初から樹脂流速を絞るよりは、注入時間が短くできた。また、樹脂ポット側からキャビティ13内に供給された樹脂量(W2)は、強化繊維積層体2に含浸する分とその他樹脂拡散媒体3や、樹脂注入口6,減圧吸引口7のCチャンネルに入る分も合わせて、合計1579gであった。比較例1に対して、注入に要する樹脂を313g削減できた。比較例1に対する樹脂削減率は約17%であり、この削減量は製造コスト低減の上で非常に大きな値である。
【0058】
次に、余剰樹脂の吸い出し工程において、A2を開にして、比較例1と同様、バルブA2とA3の両バルブを経由してのトラップ9への余剰樹脂の吸い出しを実施した。その際の吸引側の真空圧は、10torrに真空度を下げ、余剰樹脂の吸い出しを実施した。最終的にプリキュアの温度140℃まで昇温して、2時間保持し、樹脂を硬化させた。1次硬化後の成形品のVfは、58.3%で目標のVfに到達させることが比較例1に比べ容易にでき、比較例1のものよりも高Vfで高強度、かつ高軽量の品質の優れたFRP製構造体が製造できた。
【0059】
次に、1次硬化が完了した成形品を、加熱炉に入れて、180℃で約2時間加熱して、2次硬化処理を実施し、強度・剛性等の材料物性が所望の性能を持つ最終成形品を得た。また、余剰樹脂量も比較例1に対して、313g少ないため、無駄になる樹脂が少なく、また、余剰樹脂の吸い出しに要する時間も、比較例1よりも50分程度短くすんだ。
【0060】
【発明の効果】
本発明は、強化繊維基材へのマトリックス樹脂の注入速度をその注入工程の途中で所定の高Vfになるように適正に変更調整するので、得られるFRP製成形体全体の繊維体積含有率Vfを向上させることができる。その結果、強度、軽量性ともに優れたFRP製成形体が得られると共に、余剰樹脂量も削減するので、低コストのものが得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のRTM成形方法に用いる成形装置の一例の概略断面図である。
【図2】本発明の実施例と比較例における樹脂注入量調整方法を説明する、経過時間と樹脂注入量のグラフである。
【符号の説明】
1:成形型
2:強化繊維積層体
3:樹脂拡散媒体
4:バッグフィルム
5:シーラント
6:樹脂注入口減圧吸引口
7:減圧吸引口樹脂注入口
8:樹脂ポット
9:真空トラップ
10:真空ポンプ
12:樹脂
13:キャビティ
30:真空減圧弁
40:供給量可変式樹脂定量供給手段
41:注入前半に使用する樹脂注入配管
42:吸引配管
43:樹脂注入配管
50:圧力センサー
A1:三方バルブ
A2:バルブ
A3:バルブ
Claims (6)
- 雌型のキャビティ上に、少なくとも強化繊維を複数層積層した強化繊維積層体を配置し、これに樹脂供給経路と減圧吸引経路とを連結した後、積層体全体をバギングし、キャビティ内を減圧吸引した上で、マトリックス樹脂を注入することにより、前記強化繊維基材内に樹脂を浸透させる繊維強化樹脂成形体の製造方法において、
前記樹脂注入工程の前半は、キャビティ内圧と外部圧力との差圧による自然流速によりキャビティ内に樹脂を流入させ、途中から樹脂注入速度を、それまでの単位時間あたりの樹脂注入速度(注入開始から途中切り替えまでの注入樹脂量をそれまでの注入時間で割った値)に対して、20%以下に絞ることを特徴とする繊維強化樹脂成形体の製造方法。 - 樹脂注入速度を前半の自然流速から後半の20%以下に絞る切り替えタイミングを、注入開始から注入完了まで全て前記自然流速で注入した場合の所要時間の30%〜60%の範囲内に設定することを特徴とする請求項1に記載の繊維強化樹脂成形体の製造方法。
- 樹脂注入速度を調整する手段として、供給量可変式の定量供給ポンプを用いることを特徴とする請求項1または2に記載の繊維強化樹脂成形体の製造方法。
- 樹脂注入速度を調整する手段として、樹脂注入速度に合わせて樹脂供給経路のチューブ径を細くするか、長さを長くして注入配管の圧損を高くするかのいずれか、または両方を用いることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の繊維強化樹脂成形体の製造方法。
- 雌型のキャビティ上に少なくとも強化繊維を複数層積層した強化繊維積層体を配置し、前記キャビティにマトリックス樹脂供給手段と、減圧吸引手段とを連結した後、積層体全体をバギングし、キャビティ内を前記減圧吸引手段で吸引した上で、マトリックス樹脂を注入することにより、前記強化繊維基材内に樹脂を浸透させる繊維強化樹脂成形体の製造装置であって、
前記マトリックス樹脂供給手段は、樹脂容器に樹脂注入配管と樹脂定量供給手段との二つの樹脂供給手段が並列して接続されているとともに、該二つの樹脂供給手段から前記キャビテイへの接続配管途中に、その供給経路を樹脂注入配管から樹脂定量供給手段に切り替える切り替え弁が介設されていることを特徴とする繊維強化樹脂成形体の製造装置。 - 切替弁からキャビティーへの接続配管途中に、配管内圧力を検知するセンサーが設けられていることを特徴とする請求項5に記載の繊維強化樹脂成形体の製造装置。
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JP2003169242A JP2005001306A (ja) | 2003-06-13 | 2003-06-13 | 繊維強化樹脂成形体の製造方法およびその製造装置 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2007013544A1 (ja) * | 2005-07-27 | 2007-02-01 | Mitsubishi Heavy Industries, Ltd. | Rtm成形方法 |
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-
2003
- 2003-06-13 JP JP2003169242A patent/JP2005001306A/ja active Pending
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