JP2005000841A - プリント基板廃棄物のリサイクル方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】Al被覆バックアップボードを用いて銅貼りガラスエポキシプリント基板を切削した時の屑のように、金属Al,金属Cu,ガラス,有機物を含む廃棄物より、NaOH,HCl,CaCO3のような廉価で、環境に悪影響の少ない薬品のみを用いて、金属Cu粉と金属Al粉を相互混入の殆ど無い状態で、分離回収する。
【解決手段】当該廃棄物を乾留、粉砕後、水中でNaOHを用いてAlとガラスを浮上させ、沈降物を上昇流によりCu粉とC粉に分離する
浮上物に、HClを加えて、ガラスを沈降させ、Alを浮上させ、CaCO3で中和し、回収する。
【選択図】 図1
【解決手段】当該廃棄物を乾留、粉砕後、水中でNaOHを用いてAlとガラスを浮上させ、沈降物を上昇流によりCu粉とC粉に分離する
浮上物に、HClを加えて、ガラスを沈降させ、Alを浮上させ、CaCO3で中和し、回収する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は主にアルミニウム被覆バックアップボード(BBと略称する)を用いてガラス繊維エポキシ樹脂(ガラエポと略称する)製プリント基板(ガラエポ基板と略称する)の切削屑等のプリント配線基板廃棄物のリサイクル方法に関しますが、BBを用いない場合やガラエポ基板でない場合にも使えます。環境に有害な物を殆ど使用したり排出したりすることなく、低価なリサイクルコストで金属アルミニウム(Al)粉と金属銅(Cu)粉を回収、再利用できます。
【0002】
【従来の技術】
電子部品搭載前のプリント配線基板の端材、不良品、切削屑等の産業廃棄物は、粉砕物や乾留又は焼却後に粉砕した物が回収金属銅としてリサイクルされています。
【0003】
しかし、市場における電子機器の小型化の要請は留まることを知らず、プリント基板パターンの微細化も急速に進んでいます。このため、加工時のバリ発生防止のため、アルミニウムを被覆したバックアップボード(BB)を当て板に用いるようになり、当該廃棄物に金属アルミニウム(Al)が混じるようになりました。
【0004】
Alが混じると、従来法の乾留や焼却ではAlの激しい燃焼を起こすだけでなく、Cuが合金化し、回収銅としての市場価値を大幅に低下します。また、焼成しないAlが混じった粉砕物は金属銅分として買い入れる業者がいません。このため、リサイクルコストが上がり、採算が採れず、畢竟、埋立処分されています。しかし、重金属の銅を含む廃棄物は土壌汚染の元であり、埋立処分場の不足と共に、問題になっています。
【0005】
このような中で、焼却灰中の銅成分などを回収する試みがあり、特許出願されています。これらの従来技術の多くは、銅精錬等に用いられる浮遊選鉱法(浮選法)を用いています。そこで、「浮遊選鉱」をキーワードにして日本国特許庁の公開広報検索した結果、次の37件を得ました。
【0006】
【0007】
これらの発明の明細書に記載されている浮遊選鉱は次の3つに分類できます。
【0008】
第1の手法は古典的な銅の精錬に用いられる方法で、有機酸(多価 カルボン酸を含む)等の金属の硫化物に硫化物表面に付着して撥水性にする物質を用い、硫化物の懸濁液中に空気等の気体を吹き込んで小泡を発生させると、硫化物が小泡に取り込まれて浮上して分離されます。硫化水素や硫化ナトリウム等の硫化剤を用いて金属を硫化物に変えてからこの手法を用いることもあります。
【0009】
改良法には、多価アルコールの増粘剤等やアニオン系あるいはカチオン系の解膠剤を用いる、撥水効果を高めるため炭化水素を加える、各種の酸化剤や二酸化硫黄や鉄酸化バクテリア等望まない物質の浮上を抑える方法等があります。
【0010】
第2の手法は、酸化物を浮選する方法です。撥水用界面活性剤に含硫黄有機物や含窒素有機物を用います。硫酸カルシウム,弗化カルシウム,炭酸カルシウム等には有効なようです。珪酸塩の浮選にも利用されています。
【0011】
第3の手法は、有機物中に細菌等の微生物体を繁殖させ、発酵による気泡を生じさせ、浮上させる手法です。焼却灰や鉱石より銅分等を回収する方法は、第1と第2の手法(以下、単に浮選法と言う。)を用いています。本出願に係わる廃棄物に応用することは困難なので、今後、第3の手法は無視します。
【0012】
このように従来の浮選法では、浮選段階では硫化物や酸化物のドロス、スラッジ(沈泥)として回収し、金属として回収することがありません。薬剤も毒性や悪臭の強いものや水系汚染物質も多種使われます。
【0013】
また、従来の浮選法では50μmよりも大きな粒子の浮上率が著しく低くなります。それで、通常は10μm以下に微粉砕する必要があります。浮選法の工夫で、100μmを上限とする出願例もありますが、明細書をよく読むと実際上の上限は50μm止まりです。この事情を逆手に取って、超微粒子を選別する手法として浮選法を用いる場合があります。また、出願リストの明細書に記載された浮選物の純度、選別度は、主観にもよるでしょうが、私には高いと評価できません。
【0014】
プリント基板廃棄物の中には、AlやCuを含まない物もあります。これらを乾留すると炭素とガラスの混合物になります。このリサイクル方法を出願者は特許出願しています。
特願2003−041324 熱硬化性樹脂廃棄物のリサイクル方法
【0015】
本出願で回収できるC粉とガラス粉の混合物も同様に土壌改良効果が期待でき、リサイクルに供することができます。
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
銅がアルミニウムと合金化せず、CuのみでなくAlも硫化物や酸化物でなく金属で、かつ超微粉でなく粗粒で回収する方法を提供します。
【0017】
また、硫化水素や二酸化硫黄と言った毒ガスやアミンやチオールのような悪臭物質、有機硫酸塩やキレート類の様な河川汚染物質、プロピレングリコールの様なBOD源を用いない浮選法なので、取り扱いが容易になります。
【0018】
回収するCuやAlに付着物が殆どなく、Cu,Al相互の混入が殆どありません。また、Cuイオンを発生させない工程です。
【課題を解決するための手段】
図を用いて説明します。
【0019】
廃棄物(WS)を処理するには最初に粉砕して、以後の工程での取り扱いし易くするのが普通です。本発明でも、廃棄物が大き過ぎる場合は予備粉砕しますが、予備粉砕するとしても10mmメッシュで篩過できる程度の粗粉砕に留めます。
【0020】
次いで、廃棄物を乾留(CF)して有機物を炭化させます。通常の乾留や焼却では、Al溶融業者がテルミット反応と呼ぶ激しい発光を伴うAlの燃焼を起こすことがあります。本来、テルミット反応とは酸化鉄粉と軽金属粉との混合物の反応を言い、以前はレール等の溶接に使われていました。この呼び名は誤りですが、Alの燃焼は高温発光燃焼なので業界で用語が定着しています。この燃焼が合金化の第一の原因です。
当然、02濃度が低ければこの燃焼反応は起き難くなります。
【0021】
また、600゜C以上の高温では、空気中のN2によりAlNも生じます。AlNは空気中の水蒸気や水と反応して悪臭物質NH3を生じます。Al精錬の不快な一面です。
【0022】
燃焼や窒化の反応を抑える為に不活性ガス雰囲気中で乾留することが知られています。
しかし、Arガス等はリサイクルに用いるには高価過ぎます。そこで、水蒸気(WV)を雰囲気に用います。水蒸気は、金属微粉の支燃ガスになることが知られています。しかし、本発明に供する金属は粗粉であるのでこの心配が殆どありません。Alは封孔処理として知られるように、水蒸気雰囲気中は酸化膜を緻密化/不動態化し、Alの不要な反応を抑えてくれます。
【0023】
有機物は、H+ラジカルやOH−ラジカルによって燃焼反応が開始することが知られています。水蒸気雰囲気によって、低温での炭化/乾留が促され、水酸基の残る生分解性の高い乾留留分が得られます。この様にすることで、548゜C以下の低温でも炭化、乾留を短時間でも可能になります。
【0024】
Alは融点が660゜Cですが、Al=67w%,Cu=33w%の合金の融点は548゜Cです。このため、一旦合金化が起こると、合金化が促進されます。これが第二の原因です。
乾留は温度が高いほど短時間で済み、炭化も完全になり易いが、合金化防止のために上限温度を548゜Cにします。
【0025】
乾留した物を、高温状態で、水中に落下させて急冷(RC)します。
炭化しない物を粉砕機にかけると、潰されて絡み合いがひどくなる場合もあります。また、含ガラス有機物粒子が硬いため騒音や粉砕機の切断刃の短寿命化を起こします。
【0026】
乾留して、有機物を炭化することで、CuやAlと複合化され、固着していた有機物が、小さな力でも剥がれるようになります。プリント基板廃棄物にはドリル屑のようにコイル状になって絡み合っている物が含まれます。CuとAlが絡まっている場合は、解(ほぐ)さざるを得ません。
【0027】
乾留すると、有機物粒子が炭素(C)とガラス(SiO2で表す)の混合物に変わり、もろくなります。C+SiO2はCuやAlより容易に解せ、剥離できます。CuやAlも焼き鈍されて柔らかくなり、容易に切断できます。乾留から急冷するとひびが入り割れやすくなります。ガラス粉は、元が細いガラス繊維なので粉砕すると0.2mm以下になります。もろい多孔質のC粉も0.2mm以下になります。この粉砕(CP)は、粗粉砕で発塵の程度が低いので、湿式、乾式を問いませんが湿式を奨めます。従来の浮遊選鉱法のように50μm=0.05mm以下に微粉砕する必要はなく、3mmメッシュで篩過できる程度で十分です。1mmメッシュ以下になると篩が目詰まりし易くなり、50μm以下に粉砕するには、大きなコストがかかりますので、これらの工程でも、コストダウンになります。
【0028】
このようにして得られた、Cu+Al+C+ガラス(SiO2で表す)の混合物(分子式を+でつないで混合物を示すことにする)を水中で撹拌して懸濁物(CP)にします。前記の粉砕が湿式の場合は、撹拌状態で浮選槽(FT)に注入できます。
【0029】
この懸濁物に塩基(B)(NaOH又はKOH)(NaOH,KOHをまとめてMOHで表す)の水溶液を加えます。必要量は以下で述べますが、注入液のPHを13以上、水温を40゜C以上にすると1秒程度で浮上を開始し、3秒程度で浮上が終了します。PH12, 25゜Cでも実用化可能です。
【0030】
MOHの注入で、Al表面のAl2O3膜は水に溶けて薄くなり、SiO2が溶解します。
Al2O3 + 2MOH → 2MAlO2 + H2O
SiO2 + 2MOH → M2SiO3 + H2O
【0031】
MAlO2, M2SiO3は多量の水分子を取り込む粘い無機高分子で、互いに混じり合い、SiO2粉やAl粉の周りに濃厚に存在し、SiO2粉やAl粉の実効比重を1.0に近づけます。本来のAl及びSiO2の比重はそれぞれ2.7及2.9±0.7です。
【0032】
Al粉表面のAl2O3が溶けて金属面が露出するようになると、AlとMOHが反応し、H2の気泡を生じます。
2Al + 2MOH + 2H2O → 2MAlO2 + 3H2↑
【0033】
しかし、炭素(C)粉や銅(Cu)はMOHと反応しませんので、Cuイオンによる水質汚濁を防げます。
【0034】
発生したH2は、露出部のAl表面を撥水性の水素化物AlH3に変えます。室温でAlH3は安定で、Alを酸化物に変え難くくします。
【0035】
H2は撥水表面を覆い、Al露出面へのMOHやH2Oの接触を妨害します。確認のため、試験的に大過剰なMOHを加えて、Al粉を溶解した所、全Alを溶解するのに20時間を必要としました。
【0036】
H2は、SiO2粉やAl粉に纏いつくMAlO2, M2SiO3によってかなり丈夫な小泡を形成して、発生源のAl粉だけでなくSiO2粉も浮上させます。
【0037】
しかし、液中のMAlO2やM2SiO3の濃度が高すぎたり、懸濁液の濃度が高すぎない限り、C粉やCu粉を浮上させることはありません。
【0038】
この方法によって1tの廃棄物を選別した結果では、顕微鏡観察の結果、浮上したAl粉1000粒に対して、Cu粉は、最高でも1粒しか検出されませんでした。
【0039】
一部のSiO2粉が浮上してこない場合もあります。しかし、この場合でも浮上してこない割合が20%を越えることはありませんでした。
【0040】
鉱石の分離方法として、水簸法が知られています。直径dで球形近似した微粉末(密度ρs)の粘度η,密度ρlの静水中の終末速度vsが、Stokesの抵抗法則により次式で与えられます。(gは重力加速度)
vs = g・d2(ρs−ρl)/18η
【0041】
この法則は、Reynolds数 R=ρld・v/2ηが1以下で適用できると言われています。η=1.0・10−3Pa・sとして、d=1mmの水中では、vs≦2mm/sが目安となります。しかし、この範囲外で直線性が悪くなるだけで、選別の概略的な条件出しには使えます。
【0042】
水簸法は、この法則を用いた選別法です。水が上方向にvl)で流れていれば、vs≦vsとなる粒子は、この流水中(US)を沈降できません。本発明では、沈殿物をこの上昇流に当て、銅粉のみがこの上昇流中を落下できるようにします。
【0043】
d=0.2 mm,ρs=2,900 kg/m3のガラス粉と d=0.2 mm,ρs=2,250 kg/m3の炭素粉の 終末速度は、41 mm/s, 27 mm/s と算出されます。
【0044】
SiO2粉は、MAlO2とM2SiO3を纏っており、C粉も多孔質になっており、実効密度が1.0に近いと考えられるので、20 mm/sの上昇流の水簸機構(US)を設けることにします。すると密度8.960 kg/m3のCu粉は直径0.068 mm 以上の物がこの水簸機構を沈降して分離されることになります。粗粉砕で0.1 mm以下の微粉が殆ど発生しませんので、銅粉のほぼ全量が水簸機構によって回収されます。
【0045】
水簸機構を沈降できない沈殿物は、中段に設けたバイパス管(BP)にまわって回収されます。この回収物は、殆どがC粉であり、僅かにSiO2粉が混じる程度で、AlやCuは極微量です。
【0046】
この浮選法で、浮選に要するAlの理論量は、AlH3形成に消費される量を無視するとき、室温の大気圧下でH2とAl,SiO2の平均密度を水の密度に等しくする発生量として求められます。簡単のため、AlとSiO2の密度を同一の2,900 kg/m3とします。
【0047】
1molのAl(27g)が反応すると1.5molのH2が発生します。この質量は、3 gで、25゜C大気圧での体積は36.7 dm3です。56 kgの密度2.9 kg/dm3の物体との平均密度が1.0 kg/dm3になります。即ち、AlとSiO2併せて100 kgあるとき、Alを48g=0.048 kg(0.048 %) 犠牲にするだけで浮選できることになります。
【0048】
浮上分離したAl+SiO2をAlとSiO2に分離して回収すれば、電気の缶詰と言われるAlの有効利用ができます。回収したAl粉は、溶融してインゴット化しなくとも、製鉄業用の脱酸剤や、鉱山やメッキ工場廃水の銅イオンを還元回収する還元剤、あるいは本発明を金属アルミニウムを含まない廃棄物に応用する場合の添加金属アルミニウムとしての用途があります。
【0049】
Alを回収するには、今まで述べた方法で、MOHの代わりに鉱酸(B)(塩酸又は/及び/希硫酸又は/及び希硝酸:HXで表す)を注入します。鉱酸でSiO2は反応しませんが、Alは反応して水素を発生して浮上してきます。
2Al + 6HX → 2AlX3 + 3H2↑
【0050】
生じたAlX3はイオン乖離性で、沈降物の沈殿促進作用があり、水中に広く拡散していきます。この沈殿促進作用で、SiO2は速やかに沈殿します。
【0051】
発生したH2は、Alを撥水性にして気泡に包まれやすくします。但し、鉱酸は揮発性の酸性気体(HCl, SO3, N2O5)の水溶液ですので、過剰な鉱酸があると泡中でAlが溶け続けて失われます。分離後、速やかに中和する必要があります。
【0052】
分離されたAlの中和剤(WB)には、炭酸カルシウムCaCO3微粉の希懸濁液(WB)を奨めます。過中和になりにくく、薬価も廉価です。勿論、CaO, Ca(OH)2,NaOH,KOH等の中和剤を用いることもできます。
【0053】
廉価な薬剤と言うことで、MOHとして、NaOHとKOHを、鉱酸としてHCl, SO3, N2O5を記載しました。しかし、水系に入ったときの富栄養化や生物系での物質変化(H2Sの発生等)を考え、MOHにはNaOHを、鉱酸としてはHClを採用することをお奨めします。
【0054】
廉価な薬剤と言うことで、MOHとして、NaOHとKOHを、鉱酸としてHCl, SO3, N2O5を記載しました。しかし、水系に入ったときの富栄養化や生物系での物質変化(H2Sの発生等)を考え、MOHにはNaOHを、鉱酸としてはHClを採用することをお奨めします。
【作用】
本発明の作用を確認するには、乾留、粉砕後の廃棄物を、塩酸のみで浮選する事により、知見が得られます。通常、Cuは希塩酸に溶けず、濃硝酸や濃硫酸のような酸化性の酸に溶け、Alは逆に酸化性の酸には耐食性があり、希酸には溶けると言われます。しかし、Alの表面酸化膜の所為かPH3程度以下にしないと、速やかには浮上しません。Cu粉も表面に酸化膜がある所為かPH3程度でも浮上し、液が青色に変色するのが観察されます。Cuイオンが発生しており、廃水処理が大変です。このような状態でガラスを分離するのも困難です。CuとAlの選別するPHの調整が楽でなく、浮上しても再沈降する粉末/粒が少なくありません。しかし、MOHで洗浄したAlはPH5〜6でも速やかに浮上し、殆ど再沈降しません。本発明が効を示したのは、MOHによって溶けた両性酸化物と、水素による撥水性の向上効果によります。また、Cuのように密度の高い物を浮上させず、Alやガラスのような密度の低い物を浮上させることで選別能が高まったと考えられます。
【発明の実施の形態】
【実施例】
BBを用いたガラエポ基板の切削屑1tを用いて、乾留、粉砕、NaOHによる浮選、沈殿物の水簸選別、浮上物のHClによる浮選を実施しました。
この結果、約300kgのCu粉と50kgのAl粉を回収しました。顕微鏡で観察した結果では、Cu粉中にAl粉が見あたらず、Al粉にもCu粉は見あたり間選でした。C粉スラッジ、ガラス粉スラッジの中に、識別できるAl粉やCu粉は見あたりませんでしたが、超微細粒が多いので多少の混入があるかも知れません。この場合でも、本発明で再処理して、CuやAlを徹底的に回収することができます。CuとAlを高選別度で回収できました。
【発明の効果】
用いる薬品がNaOH, HCl, CaCO3のみで、後は水のみという、低コストで高い選別能をもち、CuとAlを金属粉の状態で回収できます。BOD源となる有機薬剤も不要で、環境への悪影響も皆無と言える技術です。
プリント基板廃棄物と言う特殊な産業廃棄物に対して開発した技術ですが、焼却灰等にも応用のできる内容を有しています。
この発明をより完全にするため、新生廃棄物である、炭素粉とガラス粉や乾留有機成分の再利用を模索しています。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の物質の流れを切断面にした説明図です。
【符号の説明】
【図2】図1の符号を物質の流れにそって説明した図面です。
【発明が属する技術分野】
本発明は主にアルミニウム被覆バックアップボード(BBと略称する)を用いてガラス繊維エポキシ樹脂(ガラエポと略称する)製プリント基板(ガラエポ基板と略称する)の切削屑等のプリント配線基板廃棄物のリサイクル方法に関しますが、BBを用いない場合やガラエポ基板でない場合にも使えます。環境に有害な物を殆ど使用したり排出したりすることなく、低価なリサイクルコストで金属アルミニウム(Al)粉と金属銅(Cu)粉を回収、再利用できます。
【0002】
【従来の技術】
電子部品搭載前のプリント配線基板の端材、不良品、切削屑等の産業廃棄物は、粉砕物や乾留又は焼却後に粉砕した物が回収金属銅としてリサイクルされています。
【0003】
しかし、市場における電子機器の小型化の要請は留まることを知らず、プリント基板パターンの微細化も急速に進んでいます。このため、加工時のバリ発生防止のため、アルミニウムを被覆したバックアップボード(BB)を当て板に用いるようになり、当該廃棄物に金属アルミニウム(Al)が混じるようになりました。
【0004】
Alが混じると、従来法の乾留や焼却ではAlの激しい燃焼を起こすだけでなく、Cuが合金化し、回収銅としての市場価値を大幅に低下します。また、焼成しないAlが混じった粉砕物は金属銅分として買い入れる業者がいません。このため、リサイクルコストが上がり、採算が採れず、畢竟、埋立処分されています。しかし、重金属の銅を含む廃棄物は土壌汚染の元であり、埋立処分場の不足と共に、問題になっています。
【0005】
このような中で、焼却灰中の銅成分などを回収する試みがあり、特許出願されています。これらの従来技術の多くは、銅精錬等に用いられる浮遊選鉱法(浮選法)を用いています。そこで、「浮遊選鉱」をキーワードにして日本国特許庁の公開広報検索した結果、次の37件を得ました。
【0006】
【0007】
これらの発明の明細書に記載されている浮遊選鉱は次の3つに分類できます。
【0008】
第1の手法は古典的な銅の精錬に用いられる方法で、有機酸(多価 カルボン酸を含む)等の金属の硫化物に硫化物表面に付着して撥水性にする物質を用い、硫化物の懸濁液中に空気等の気体を吹き込んで小泡を発生させると、硫化物が小泡に取り込まれて浮上して分離されます。硫化水素や硫化ナトリウム等の硫化剤を用いて金属を硫化物に変えてからこの手法を用いることもあります。
【0009】
改良法には、多価アルコールの増粘剤等やアニオン系あるいはカチオン系の解膠剤を用いる、撥水効果を高めるため炭化水素を加える、各種の酸化剤や二酸化硫黄や鉄酸化バクテリア等望まない物質の浮上を抑える方法等があります。
【0010】
第2の手法は、酸化物を浮選する方法です。撥水用界面活性剤に含硫黄有機物や含窒素有機物を用います。硫酸カルシウム,弗化カルシウム,炭酸カルシウム等には有効なようです。珪酸塩の浮選にも利用されています。
【0011】
第3の手法は、有機物中に細菌等の微生物体を繁殖させ、発酵による気泡を生じさせ、浮上させる手法です。焼却灰や鉱石より銅分等を回収する方法は、第1と第2の手法(以下、単に浮選法と言う。)を用いています。本出願に係わる廃棄物に応用することは困難なので、今後、第3の手法は無視します。
【0012】
このように従来の浮選法では、浮選段階では硫化物や酸化物のドロス、スラッジ(沈泥)として回収し、金属として回収することがありません。薬剤も毒性や悪臭の強いものや水系汚染物質も多種使われます。
【0013】
また、従来の浮選法では50μmよりも大きな粒子の浮上率が著しく低くなります。それで、通常は10μm以下に微粉砕する必要があります。浮選法の工夫で、100μmを上限とする出願例もありますが、明細書をよく読むと実際上の上限は50μm止まりです。この事情を逆手に取って、超微粒子を選別する手法として浮選法を用いる場合があります。また、出願リストの明細書に記載された浮選物の純度、選別度は、主観にもよるでしょうが、私には高いと評価できません。
【0014】
プリント基板廃棄物の中には、AlやCuを含まない物もあります。これらを乾留すると炭素とガラスの混合物になります。このリサイクル方法を出願者は特許出願しています。
特願2003−041324 熱硬化性樹脂廃棄物のリサイクル方法
【0015】
本出願で回収できるC粉とガラス粉の混合物も同様に土壌改良効果が期待でき、リサイクルに供することができます。
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
銅がアルミニウムと合金化せず、CuのみでなくAlも硫化物や酸化物でなく金属で、かつ超微粉でなく粗粒で回収する方法を提供します。
【0017】
また、硫化水素や二酸化硫黄と言った毒ガスやアミンやチオールのような悪臭物質、有機硫酸塩やキレート類の様な河川汚染物質、プロピレングリコールの様なBOD源を用いない浮選法なので、取り扱いが容易になります。
【0018】
回収するCuやAlに付着物が殆どなく、Cu,Al相互の混入が殆どありません。また、Cuイオンを発生させない工程です。
【課題を解決するための手段】
図を用いて説明します。
【0019】
廃棄物(WS)を処理するには最初に粉砕して、以後の工程での取り扱いし易くするのが普通です。本発明でも、廃棄物が大き過ぎる場合は予備粉砕しますが、予備粉砕するとしても10mmメッシュで篩過できる程度の粗粉砕に留めます。
【0020】
次いで、廃棄物を乾留(CF)して有機物を炭化させます。通常の乾留や焼却では、Al溶融業者がテルミット反応と呼ぶ激しい発光を伴うAlの燃焼を起こすことがあります。本来、テルミット反応とは酸化鉄粉と軽金属粉との混合物の反応を言い、以前はレール等の溶接に使われていました。この呼び名は誤りですが、Alの燃焼は高温発光燃焼なので業界で用語が定着しています。この燃焼が合金化の第一の原因です。
当然、02濃度が低ければこの燃焼反応は起き難くなります。
【0021】
また、600゜C以上の高温では、空気中のN2によりAlNも生じます。AlNは空気中の水蒸気や水と反応して悪臭物質NH3を生じます。Al精錬の不快な一面です。
【0022】
燃焼や窒化の反応を抑える為に不活性ガス雰囲気中で乾留することが知られています。
しかし、Arガス等はリサイクルに用いるには高価過ぎます。そこで、水蒸気(WV)を雰囲気に用います。水蒸気は、金属微粉の支燃ガスになることが知られています。しかし、本発明に供する金属は粗粉であるのでこの心配が殆どありません。Alは封孔処理として知られるように、水蒸気雰囲気中は酸化膜を緻密化/不動態化し、Alの不要な反応を抑えてくれます。
【0023】
有機物は、H+ラジカルやOH−ラジカルによって燃焼反応が開始することが知られています。水蒸気雰囲気によって、低温での炭化/乾留が促され、水酸基の残る生分解性の高い乾留留分が得られます。この様にすることで、548゜C以下の低温でも炭化、乾留を短時間でも可能になります。
【0024】
Alは融点が660゜Cですが、Al=67w%,Cu=33w%の合金の融点は548゜Cです。このため、一旦合金化が起こると、合金化が促進されます。これが第二の原因です。
乾留は温度が高いほど短時間で済み、炭化も完全になり易いが、合金化防止のために上限温度を548゜Cにします。
【0025】
乾留した物を、高温状態で、水中に落下させて急冷(RC)します。
炭化しない物を粉砕機にかけると、潰されて絡み合いがひどくなる場合もあります。また、含ガラス有機物粒子が硬いため騒音や粉砕機の切断刃の短寿命化を起こします。
【0026】
乾留して、有機物を炭化することで、CuやAlと複合化され、固着していた有機物が、小さな力でも剥がれるようになります。プリント基板廃棄物にはドリル屑のようにコイル状になって絡み合っている物が含まれます。CuとAlが絡まっている場合は、解(ほぐ)さざるを得ません。
【0027】
乾留すると、有機物粒子が炭素(C)とガラス(SiO2で表す)の混合物に変わり、もろくなります。C+SiO2はCuやAlより容易に解せ、剥離できます。CuやAlも焼き鈍されて柔らかくなり、容易に切断できます。乾留から急冷するとひびが入り割れやすくなります。ガラス粉は、元が細いガラス繊維なので粉砕すると0.2mm以下になります。もろい多孔質のC粉も0.2mm以下になります。この粉砕(CP)は、粗粉砕で発塵の程度が低いので、湿式、乾式を問いませんが湿式を奨めます。従来の浮遊選鉱法のように50μm=0.05mm以下に微粉砕する必要はなく、3mmメッシュで篩過できる程度で十分です。1mmメッシュ以下になると篩が目詰まりし易くなり、50μm以下に粉砕するには、大きなコストがかかりますので、これらの工程でも、コストダウンになります。
【0028】
このようにして得られた、Cu+Al+C+ガラス(SiO2で表す)の混合物(分子式を+でつないで混合物を示すことにする)を水中で撹拌して懸濁物(CP)にします。前記の粉砕が湿式の場合は、撹拌状態で浮選槽(FT)に注入できます。
【0029】
この懸濁物に塩基(B)(NaOH又はKOH)(NaOH,KOHをまとめてMOHで表す)の水溶液を加えます。必要量は以下で述べますが、注入液のPHを13以上、水温を40゜C以上にすると1秒程度で浮上を開始し、3秒程度で浮上が終了します。PH12, 25゜Cでも実用化可能です。
【0030】
MOHの注入で、Al表面のAl2O3膜は水に溶けて薄くなり、SiO2が溶解します。
Al2O3 + 2MOH → 2MAlO2 + H2O
SiO2 + 2MOH → M2SiO3 + H2O
【0031】
MAlO2, M2SiO3は多量の水分子を取り込む粘い無機高分子で、互いに混じり合い、SiO2粉やAl粉の周りに濃厚に存在し、SiO2粉やAl粉の実効比重を1.0に近づけます。本来のAl及びSiO2の比重はそれぞれ2.7及2.9±0.7です。
【0032】
Al粉表面のAl2O3が溶けて金属面が露出するようになると、AlとMOHが反応し、H2の気泡を生じます。
2Al + 2MOH + 2H2O → 2MAlO2 + 3H2↑
【0033】
しかし、炭素(C)粉や銅(Cu)はMOHと反応しませんので、Cuイオンによる水質汚濁を防げます。
【0034】
発生したH2は、露出部のAl表面を撥水性の水素化物AlH3に変えます。室温でAlH3は安定で、Alを酸化物に変え難くくします。
【0035】
H2は撥水表面を覆い、Al露出面へのMOHやH2Oの接触を妨害します。確認のため、試験的に大過剰なMOHを加えて、Al粉を溶解した所、全Alを溶解するのに20時間を必要としました。
【0036】
H2は、SiO2粉やAl粉に纏いつくMAlO2, M2SiO3によってかなり丈夫な小泡を形成して、発生源のAl粉だけでなくSiO2粉も浮上させます。
【0037】
しかし、液中のMAlO2やM2SiO3の濃度が高すぎたり、懸濁液の濃度が高すぎない限り、C粉やCu粉を浮上させることはありません。
【0038】
この方法によって1tの廃棄物を選別した結果では、顕微鏡観察の結果、浮上したAl粉1000粒に対して、Cu粉は、最高でも1粒しか検出されませんでした。
【0039】
一部のSiO2粉が浮上してこない場合もあります。しかし、この場合でも浮上してこない割合が20%を越えることはありませんでした。
【0040】
鉱石の分離方法として、水簸法が知られています。直径dで球形近似した微粉末(密度ρs)の粘度η,密度ρlの静水中の終末速度vsが、Stokesの抵抗法則により次式で与えられます。(gは重力加速度)
vs = g・d2(ρs−ρl)/18η
【0041】
この法則は、Reynolds数 R=ρld・v/2ηが1以下で適用できると言われています。η=1.0・10−3Pa・sとして、d=1mmの水中では、vs≦2mm/sが目安となります。しかし、この範囲外で直線性が悪くなるだけで、選別の概略的な条件出しには使えます。
【0042】
水簸法は、この法則を用いた選別法です。水が上方向にvl)で流れていれば、vs≦vsとなる粒子は、この流水中(US)を沈降できません。本発明では、沈殿物をこの上昇流に当て、銅粉のみがこの上昇流中を落下できるようにします。
【0043】
d=0.2 mm,ρs=2,900 kg/m3のガラス粉と d=0.2 mm,ρs=2,250 kg/m3の炭素粉の 終末速度は、41 mm/s, 27 mm/s と算出されます。
【0044】
SiO2粉は、MAlO2とM2SiO3を纏っており、C粉も多孔質になっており、実効密度が1.0に近いと考えられるので、20 mm/sの上昇流の水簸機構(US)を設けることにします。すると密度8.960 kg/m3のCu粉は直径0.068 mm 以上の物がこの水簸機構を沈降して分離されることになります。粗粉砕で0.1 mm以下の微粉が殆ど発生しませんので、銅粉のほぼ全量が水簸機構によって回収されます。
【0045】
水簸機構を沈降できない沈殿物は、中段に設けたバイパス管(BP)にまわって回収されます。この回収物は、殆どがC粉であり、僅かにSiO2粉が混じる程度で、AlやCuは極微量です。
【0046】
この浮選法で、浮選に要するAlの理論量は、AlH3形成に消費される量を無視するとき、室温の大気圧下でH2とAl,SiO2の平均密度を水の密度に等しくする発生量として求められます。簡単のため、AlとSiO2の密度を同一の2,900 kg/m3とします。
【0047】
1molのAl(27g)が反応すると1.5molのH2が発生します。この質量は、3 gで、25゜C大気圧での体積は36.7 dm3です。56 kgの密度2.9 kg/dm3の物体との平均密度が1.0 kg/dm3になります。即ち、AlとSiO2併せて100 kgあるとき、Alを48g=0.048 kg(0.048 %) 犠牲にするだけで浮選できることになります。
【0048】
浮上分離したAl+SiO2をAlとSiO2に分離して回収すれば、電気の缶詰と言われるAlの有効利用ができます。回収したAl粉は、溶融してインゴット化しなくとも、製鉄業用の脱酸剤や、鉱山やメッキ工場廃水の銅イオンを還元回収する還元剤、あるいは本発明を金属アルミニウムを含まない廃棄物に応用する場合の添加金属アルミニウムとしての用途があります。
【0049】
Alを回収するには、今まで述べた方法で、MOHの代わりに鉱酸(B)(塩酸又は/及び/希硫酸又は/及び希硝酸:HXで表す)を注入します。鉱酸でSiO2は反応しませんが、Alは反応して水素を発生して浮上してきます。
2Al + 6HX → 2AlX3 + 3H2↑
【0050】
生じたAlX3はイオン乖離性で、沈降物の沈殿促進作用があり、水中に広く拡散していきます。この沈殿促進作用で、SiO2は速やかに沈殿します。
【0051】
発生したH2は、Alを撥水性にして気泡に包まれやすくします。但し、鉱酸は揮発性の酸性気体(HCl, SO3, N2O5)の水溶液ですので、過剰な鉱酸があると泡中でAlが溶け続けて失われます。分離後、速やかに中和する必要があります。
【0052】
分離されたAlの中和剤(WB)には、炭酸カルシウムCaCO3微粉の希懸濁液(WB)を奨めます。過中和になりにくく、薬価も廉価です。勿論、CaO, Ca(OH)2,NaOH,KOH等の中和剤を用いることもできます。
【0053】
廉価な薬剤と言うことで、MOHとして、NaOHとKOHを、鉱酸としてHCl, SO3, N2O5を記載しました。しかし、水系に入ったときの富栄養化や生物系での物質変化(H2Sの発生等)を考え、MOHにはNaOHを、鉱酸としてはHClを採用することをお奨めします。
【0054】
廉価な薬剤と言うことで、MOHとして、NaOHとKOHを、鉱酸としてHCl, SO3, N2O5を記載しました。しかし、水系に入ったときの富栄養化や生物系での物質変化(H2Sの発生等)を考え、MOHにはNaOHを、鉱酸としてはHClを採用することをお奨めします。
【作用】
本発明の作用を確認するには、乾留、粉砕後の廃棄物を、塩酸のみで浮選する事により、知見が得られます。通常、Cuは希塩酸に溶けず、濃硝酸や濃硫酸のような酸化性の酸に溶け、Alは逆に酸化性の酸には耐食性があり、希酸には溶けると言われます。しかし、Alの表面酸化膜の所為かPH3程度以下にしないと、速やかには浮上しません。Cu粉も表面に酸化膜がある所為かPH3程度でも浮上し、液が青色に変色するのが観察されます。Cuイオンが発生しており、廃水処理が大変です。このような状態でガラスを分離するのも困難です。CuとAlの選別するPHの調整が楽でなく、浮上しても再沈降する粉末/粒が少なくありません。しかし、MOHで洗浄したAlはPH5〜6でも速やかに浮上し、殆ど再沈降しません。本発明が効を示したのは、MOHによって溶けた両性酸化物と、水素による撥水性の向上効果によります。また、Cuのように密度の高い物を浮上させず、Alやガラスのような密度の低い物を浮上させることで選別能が高まったと考えられます。
【発明の実施の形態】
【実施例】
BBを用いたガラエポ基板の切削屑1tを用いて、乾留、粉砕、NaOHによる浮選、沈殿物の水簸選別、浮上物のHClによる浮選を実施しました。
この結果、約300kgのCu粉と50kgのAl粉を回収しました。顕微鏡で観察した結果では、Cu粉中にAl粉が見あたらず、Al粉にもCu粉は見あたり間選でした。C粉スラッジ、ガラス粉スラッジの中に、識別できるAl粉やCu粉は見あたりませんでしたが、超微細粒が多いので多少の混入があるかも知れません。この場合でも、本発明で再処理して、CuやAlを徹底的に回収することができます。CuとAlを高選別度で回収できました。
【発明の効果】
用いる薬品がNaOH, HCl, CaCO3のみで、後は水のみという、低コストで高い選別能をもち、CuとAlを金属粉の状態で回収できます。BOD源となる有機薬剤も不要で、環境への悪影響も皆無と言える技術です。
プリント基板廃棄物と言う特殊な産業廃棄物に対して開発した技術ですが、焼却灰等にも応用のできる内容を有しています。
この発明をより完全にするため、新生廃棄物である、炭素粉とガラス粉や乾留有機成分の再利用を模索しています。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の物質の流れを切断面にした説明図です。
【符号の説明】
【図2】図1の符号を物質の流れにそって説明した図面です。
Claims (3)
- 請求項1の浮上物の懸濁物に、酸(A)(塩酸又は/及び/希硫酸又は/及び希硝酸)を加えて酸性にすることにより、アルミニウム(Al)を浮上させて分離回収することを特徴とする廃棄物のリサイクル方法
- 請求項1の分離回収操作に先立ち、水蒸気(WV)を流しながら548゜C以下の温度で当該廃棄物を乾留(CF)した後に急冷(RC)して粉砕(CP)することを特徴とする廃棄物のリサイクル方法
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