JP2005000608A - 高生着性培養細胞シート、製造方法及びその利用方法 - Google Patents

高生着性培養細胞シート、製造方法及びその利用方法 Download PDF

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亮治 高沢
Masayuki Yamato
雅之 大和
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和徳 木原
Mitsuo Okano
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Abstract

【課題】機械的強度のある生体関連物質層に重ねられた高生着性培養細胞シートを提供すること。
【解決手段】細胞培養支持体上での細胞培養が、
(1)細胞培養支持体上で生体関連物質層を構築させ、
(2)その生体関連物質層上で細胞を培養し、
(3)培養後、生体関連物質層と共に培養細胞シートを剥離する
ことによって高生着性培養細胞シートの製造する。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、生物学、医学等の分野における高生着性培養細胞シート、製造方法及びそれらを利用した治療法に関する。
【0002】
【従来の技術】
医療技術の著しい発展により、近年、治療困難となった臓器を他人の臓器と置き換えようとする臓器移植が一般化してきた。対象となる臓器も皮膚、角膜、腎臓、肝臓、心臓等と実に多様で、また、術後の経過も格段に良くなり、医療の一技術としてすでに確立されつつある。一例として角膜移植をあげると、約40年前に日本にもアイバンクが設立され移植活動が始められた。しかしながら、未だにドナー数が少なく、国内だけでも角膜移植の必要な患者が年間約2万人出てくるのに対し、実際に移植治療が行える患者は約1/10の2000人程度でしかないといわれている。角膜移植というほぼ確立された技術があるにもかかわらず、ドナー不足という問題のため、次なる医療技術が求められているのが現状である。
【0003】
このような背景のもと、以前より、人工代替物や細胞を培養して組織化させたものをそのまま移植しようという技術が注目されている。その代表的な例として、人工皮膚及び培養皮膚があげられよう。しかしながら、合成高分子を用いた人工皮膚は拒絶反応等が生じる可能性があり、移植用皮膚としては好ましくない。一方、培養皮膚は本人の正常な皮膚の一部を所望の大きさまで培養したものであるため、これを使用しても拒絶反応等の心配がなく、最も自然なマスキング剤と言える。
【0004】
従来、そのような細胞培養は、ポリスチレンを材料とした合成高分子表面上などで行われていた。このような細胞培養用容器を用いて培養・増殖した細胞は、トリプシンのような蛋白分解酵素や化学薬品により処理することで容器表面から剥離・回収される。
【0005】
特公平2−23191号公報には、ヒト新生児由来角化表皮細胞を、ケラチン組織の膜が容器の表面上に形成される条件下にて、培養容器中で培養し、ケラチン組織の膜を酵素を用いて剥離させることを特徴とするケラチン組織の移植可能な膜を製造する方法、が記載されている。具体的には、3T3細胞をフィーダーレイヤーとして増殖、重層化させ、蛋白質分解酵素であるディスパーゼを用いて細胞シートを回収する技術が開示されている。しかしながら、当該公報に記載されている方法は次のような欠点を有していた。
(1)ディスパーゼは菌由来のものであり、回収された細胞シートを十分に洗浄する必要性があること。
(2)培養された細胞ごとにディスパーゼ処理の条件が異なり、その処理に熟練が必要であること。
(3)ディスパーゼ処理により培養された表皮細胞が病理学的に活性化されること。
(4)ディスパーゼ処理により細胞外マトリックスが分解されること。
(5)そのためその細胞シートを移植された患部は感染され易いこと。
【0006】
かかる課題を解決するために、最近、スポンジ層と上皮層を除去した羊膜上で、角膜上皮細胞や結膜上皮細胞を培養、組織化させ、その羊膜ごと移植用細胞片とする技術が考案された(特開2001−161353号)。羊膜は、十分な膜強度を持っていること、さらに抗原性を持っていないことから、移植用細胞片の支持体として好都合だが、羊膜というものがもともと眼内になく、より精密に眼内組織を構築していくためには、やはり眼内の細胞だけで十分な強度を持ったシートを作製し、そのシートが角膜実質組織と直接接することが望まれていた。
【0007】
また、これまでに生体外での細胞培養を生体内と同じような環境で行うことを目的として、フィブリン、ラミニン、コラーゲン上にて細胞を培養することが行われてきた。しかしながら、ここで使われてきたフィブリン、ラミニン、コラーゲンは極めて薄い層上における検討であり、それ自身を摘みあげたり、持つことはできるようなものでなく、また、その上で培養した細胞シートも機械的強度がなく、得られた培養細胞シートを移植に用いるにはさらなる改善が望まれていた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記のような従来技術の問題点を解決することを意図してなされたものである。すなわち、本発明は、生体組織への付着性が良好な高生着性培養細胞シートを提供することを目的とする。また、本発明は、その製造法、並びに利用方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために、種々の角度から検討を加えて、研究開発を行った。その結果、細胞培養支持体上で生体関連物質層を機械的強度のある膜状に構築させ、その上で細胞を培養し、培養後、生体関連物質層と共に培養細胞シートを剥離することで、生体組織に極めて付着性の良い高生着性培養細胞シートが得られることを見いだした。本発明はかかる知見に基づいて完成されたものである。
【0010】
すなわち、本発明は、生体組織への付着性が良好な、生体内で吸収される物質からなり、機械的強度のある生体関連物質層に重ねられた高生着性培養細胞シートを提供する。
また、本発明は、
(1)細胞培養支持体上で生体関連物質層を構築させ、
(2)その生体関連物質層上で細胞を培養し、
(3)培養後、生体関連物質層と共に培養細胞シートを剥離する
ことを特徴とする高生着性培養細胞シートの製造方法を提供する。
加えて、本発明は、欠損及び/または創傷した生体組織を治療するための上記高生着性培養細胞シートを提供する。
更に加えて、本発明は、欠損及び/または創傷した生体組織に対し、上記高生着性培養細胞シートを移植することを特徴とする治療法を提供する。
更に、本発明は医療分野のみならず、化学物質、毒物、或いは医薬品の安全性評価用細胞として有用な高生着性培養細胞シートを提供する。
【0011】
【発明の実施の形態】
上述したように、本発明は生体内で吸収される物質からなり、機械的強度のある生体関連物質層に重ねられた高生着性培養細胞シートを提供する。本発明に好適な生体関連物質とは、フィブリンゲル、フィブリンのり、コラーゲン、小腸粘膜下組織の何れかもしくは2者以上の混合物が挙げられるが、その種類は、何ら制約されるものではない。しかしながら、これらの生体関連物質層はそれ自身を摘み上げられるだけの機械的強度を持つ必要性があり、培養した細胞シートを培養支持体から剥離させ、患部への移植作業を行えるものが好ましい。移植後は、生体関連物質からなる層は生体内に吸収され、患部には培養した細胞シートだけが残される。その際、細胞シートの生体関連物質層側には、細胞から産生された接着因子は何ら損傷を受けておらず、患部へ移植された後は、その接着因子の存在により生体に効率良く付着できることとなる。
【0012】
本発明の高生着性培養細胞シートの作製に使用される好適な細胞として、たとえば、中皮細胞、心筋細胞、網膜細胞、血管内皮細胞の何れかもしくは2者以上の混合物が挙げられるが、その種類は、何ら制約されるものではない。特に中皮細胞については、腹膜、腸間膜、精巣鞘膜、胸膜、心膜、あるいは各臓器の表層より得られるものを用いればよい。また、その細胞シートの状態は単層状であっても、重層状であっても良いが、前者の場合、細胞シート自身の強度がないため本発明の技術によりその操作性が改善されることとなり、移植作業好都合である。
【0013】
本発明における高生着性培養細胞シートとは剥離時にディスパーゼ、トリプシン等で代表される蛋白質分解酵素による損傷を受けていない。そのため、基材から剥離された高生着性培養細胞シートは、細胞−細胞間のデスモソーム構造が保持され、構造的欠陥が少なく、強度の高いものである。以上のことを具体的に説明すると、トリプシン等の通常の蛋白質分解酵素を使用した場合、細胞−細胞間のデスモソーム構造及び細胞、基材間の基底膜様蛋白質等は殆ど保持されておらず、従って、細胞は個々に分かれた状態となって剥離される。その中で、蛋白質分解酵素であるディスパーゼに関しては、細胞−細胞間のデスモソーム構造については10〜60%保持した状態で剥離させることができることで知られているが、細胞−基材間の基底膜様蛋白質等を殆ど破壊してしまうため、得られる細胞シートは強度の弱いものである。これに対して、本発明の細胞シートは、デスモソーム構造、基底膜様蛋白質共に80%以上残存された状態のものであり、上述したような種々の効果を得ることができるものである。
【0014】
本発明における高生着性培養細胞シートは生体組織に極めて良好に生着する。その性質は、支持体表面から剥離させた培養細胞シートの収縮が生体関連物質層により抑えることで実現されることを見いだした。その際、培養細胞シートの収縮率はシート内の何れの方向における長さにおいても70%以下であることが望ましく、好ましくは40%以下、さらに好ましくは20%以下であることが好ましい。シートの何れかの方向の長さにおいて70%以上となると、剥離した細胞シートはたるんでしまい、その状態で生体組織に付着させても組織に密着させられず、良好な生着性は望めない。
【0015】
高生着性培養細胞シートを移動させる際にはキャリアを用いて良い。そのキャリアとは、例えば、高分子膜または高分子膜から成型された構造物、金属性治具などを使用することができる。例えば、キャリアの材質として高分子を使用する場合、その具体的な材質としてはポリビニリデンジフルオライド(PVDF)、ポリプロピレン、ポリエチレン、セルロース及びその誘導体、紙類、キチン、キトサン、コラーゲン、ウレタン等を挙げることができる。
【0016】
キャリアの形状は、特に限定されるものではないが、例えば得られた高生着性培養細胞シートを移植する際に、キャリアの一部に移植部位と同程度もしくは移植部位より大きく切り抜いたものを利用すると、細胞シートは切り抜かれたの周囲の部分だけに固定され、切り抜かれた部分にある細胞シートを移植部位に当てるだけで良く、好都合である。
【0017】
本発明の高生着性培養細胞シートは、例えば、腹膜などの生体組織の一部或いは全部を損傷もしくは欠損した患部を再建治療する際に使用することができる。
【0018】
本発明における高生着性培養細胞シートは、以上に示すように、生体組織に極めて良好に付着できる細胞シートであり、従来技術からでは全く得られなかったものである。
【0019】
本発明はまた、以下の製造方法により上述した本発明の高生着性培養細胞シートを作製する方法もまた、提供する。すなわち、
(1)細胞培養支持体上で生体関連物質層を構築させ、
(2)その生体関連物質層上で細胞を培養し、
(3)培養後、生体関連物質層と共に培養細胞シートを剥離する
ことを特徴とする、高生着性培養細胞シートの製造方法を提供する。
【0020】
被覆を施される基材としては、通常細胞培養に用いられるガラス、改質ガラス、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート等の化合物を初めとして、一般に形態付与が可能である物質、例えば、上記以外の高分子化合物、セラミックス類など全て用いることができる。
【0022】
細胞培養支持体において、0〜80℃の温度範囲で水和力が変化するポリマーを表面に被覆したものを用いても良い。80℃を越えると細胞が死滅する可能性があるので好ましくない。また、0℃より低いと一般に細胞増殖速度が極度に低下するか、または細胞が死滅してしまうため、やはり好ましくない。その際、用いる温度応答性高分子はホモポリマー、コポリマーのいずれであってもよい。このような高分子としては、例えば、特開平2−211865号公報に記載されているポリマーが挙げられる。具体的には、例えば、以下のモノマーの単独重合または共重合によって得られる。使用し得るモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリルアミド化合物、N−(若しくはN,N−ジ)アルキル置換(メタ)アクリルアミド誘導体、またはビニルエーテル誘導体が挙げられ、コポリマーの場合は、これらの中で任意の2種以上を使用することができる。更には、上記モノマー以外のモノマー類との共重合、ポリマー同士のグラフトまたは共重合、あるいはポリマー、コポリマーの混合物を用いてもよい。また、ポリマー本来の性質を損なわない範囲で架橋することも可能である。温度応答性ポリマーの支持体への被覆方法は、特に制限されないが、例えば、特開平2−211865号公報に記載されている方法に従ってよい。すなわち、かかる被覆は、基材と上記モノマーまたはポリマーを、電子線照射(EB)、γ線照射、紫外線照射、プラズマ処理、コロナ処理、有機重合反応のいずれかにより、または塗布、混練等の物理的吸着等により行うことができる。
【0023】
本発明における支持体の形態は特に制約されるものではないが、例えばディッシュ、マルチプレート、フラスコ、セルインサートなどが挙げられる。その中で、特にセルインサートについては、例えば表皮角化細胞を培養させる際に必要な3T3フィーダー細胞を表皮角化細胞と分けて培養できるため好都合である。その際、表皮角化細胞はセルインサート側にあっても、セルインサートが装着されるディッシュ側にあっても良い。
【0024】
本発明において、細胞の培養は上述のようにして生体関連物質上で行われる。生体関連物質層の構築方法は特に限定されるものではないが、それ自身が膜として持ち上げられるだけに十分な強度を持たせるために、生体関連物質を被覆する際、溶液濃度、溶液量を最適な条件にしなくてはならない。また、使用する培地については、公知のウシ胎児血清(FCS)等の血清が添加されている培地でもよく、また、このような血清が添加されていない無血清培地でもよい。
【0025】
本発明の方法において、培養した細胞を支持体材料から剥離回収するには、培養された高生着性培養細胞シートをキャリアに密着させて、そのままキャリアとともに剥離しても良い。なお、シートを剥離することは細胞を培養していた培養液中において行うことも、その他の等張液中において行うことも可能であり、目的に合わせて選択することができる。本発明では、細胞シートを患部に当てた後、細胞シートをキャリアからはがせば良い。そのはがし方は、何ら制約されるものではないが、例えば、キャリアを濡らしてキャリアと細胞シートの密着性を弱めてはがす方法、或いはメス、はさみ、レーザー光、プラズマ波などの治具を用いても切断する方法でも良い。例えば上述したような一部を切り抜いたキャリアに密着した細胞シートを用いた場合、レーザー光などを用いて患部の境界線に沿って切断すると患部以外の余計なところへの細胞シートの付着を避けられ好都合である。
【0026】
本発明で示すところの高生着性培養細胞シートと生体組織との固定方法は特に限定されるものではなく、培養細胞シートと生体組織を縫合しても良く、或いは本発明で示すところの高生着性培養細胞シートは生体組織と高効率に生着するため、患部に付着させた細胞シートは生体側と縫合しなくても良い。
【0027】
本発明における培養細胞シートを用いれば重層化シートも製造できる。その方法は特に限定されるものではないが、例えば、一般的に知られている3T3細胞をフィーダーレイヤーとして増殖、重層化させる方法、或いは上記のキャリアに密着した高生着性角膜上皮代替細胞シートを利用することで製造する方法等を挙げることができる。具体的には、次のような方法が例示される。
(1)培養細胞シートを細胞培養支持体に付着させ、そして更に別の培養細胞シートを付着させることを繰り返すことで細胞シートを重層化させる方法。
(2)培養細胞シートを反転させ細胞培養支持体上で固定させ、その上に別の細胞シートを付着させる操作を繰り返すことで細胞シートを重層化させる方法。
(3)培養細胞シートを生体の患部に当て、培養細胞シートを生体組織に付着させた後、再び別の培養細胞シートを重ねていく方法。
【0028】
本発明における重層化シートは、必ずしも同種細胞だけからなるものでなくても良い。例えば、表皮角化細胞シートと同様に操作して作製した血管内皮細胞シートを重ね合わせることも可能である。生体内の皮膚組織により近いものとする上でこのような技術は極めて有効である。
【0029】
本発明に示される高生着性培養細胞シートの用途は何ら制約されるものではないが、例えば上述したように、腹膜などの生体組織の一部或いは全部を損傷もしくは欠損した患部などの再建治療に有効である。
【0030】
上述の方法により得られた高生着性培養細胞シートは、従来の方法により得られたものに比べて、剥離の際の非侵襲性の点で極めて優れており、移植用組織としての臨床応用が強く期待される。特に、本発明の高生着性培養細胞シートは従来の移植シートとは異なり、生体組織との高い生着性を有するため、極めて速く生体組織に生着する。このことは、患部の治療効率の向上、更には患者の負担の軽減もはかられ極めて有効な技術と考えられる。
【0031】
【実施例】
以下に、本発明を実施例に基づいて更に詳しく説明するが、これらは本発明を何ら限定するものではない。
【0032】
【実施例1】
深麻酔下のラット腸間膜から常法に従って中皮細胞組織を採取し、0.05%トリプシン処理することで得られた細胞を、市販のポリスチレン製6cmディッシュ(ベクトン・ディッキンソン・ラブウェア(Becton Dickinson Labware)社製ファルコン(FALCON)3002)上に播種した。その際のディッシュ上には別途、フィブリンのり(TisseelAG、バクスター社製)を用い、基材表面にゲル化させた。細胞播種濃度は1ウェル当たり500個となるようにした(使用培地:RPMI1640、100U/mlペニシリン、10%FCS配合、37℃、5%CO下)。培養後、フィブリンのりごと培養中皮細胞を剥離させた。剥離させた培養中皮シートを図1に示すようなもモデル動物実験を行い、露出された腸の癒着状態を検討した。
【0033】
【比較例1、2】
実施例1のモデル動物に対し、何もしないまま閉腹(比較例1)、及びフィブリンのりのみを被覆して閉腹した(比較例2)。
【0034】
【表1】
(5日の癒着性)
実施例1 4例中癒着0例
比較例1 4例中癒着4例
比較例2 4例中癒着4例
【0035】
【発明の効果】
本発明で得られる高生着性培養細胞シートは生体組織への生着性が極めて高く、たとえば腹膜再建等の臨床応用が強く期待される。したがって、本発明は細胞工学、医用工学、などの医学、生物学等の分野における極めて有用な発明である。
【0036】
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1に示す実施方法を示すものである。
【図2】実施例1に示すフィブリンのり上の中皮細胞シートの写真である。
【図3】比較例1によって得られた移植5日目の癒着状態を示す顕微鏡写真である。
【図4】比較例2によって得られた移植5日目の癒着状態を示す顕微鏡写真である。
【図5】実施例1によって得られた移植5日目の癒着状態を示す顕微鏡写真である。
癒着されていないことが分かる。
【図6】実施例1によって得られた移植5日目の組織切片写真である。
中皮細胞表面にマイクろビライがあることが分かる。

Claims (16)

  1. 生体内で吸収される物質からなり、機械的強度のある生体関連物質層に重ねられた高生着性培養細胞シート。
  2. 生体関連物質が、フィブリンゲル、フィブリンのり、コラーゲン、小腸粘膜下組織の何れかもしくは2者以上の混合物である請求項1記載の高生着性培養細胞シート。
  3. 培養細胞シートが、単層状の培養細胞シートである請求項1、2記載の高生着性培養細胞シート。
  4. 培養細胞シートが、中皮細胞、心筋細胞、網膜細胞、血管内皮細胞、表皮角化細胞の何れかもしくは2者以上の混合物からなるシートである請求項1〜3記載の高生着性細胞シート。
  5. 中皮細胞が腸間膜、精巣鞘膜由来のものである請求項4記載の高生着性培養細胞シート。
  6. 生体組織の一部或いは全部を損傷もしくは欠損した患部を治療するための、請求項1〜5のいずれか1項記載の高生着性培養細胞シート。
  7. 治療が高生着性培養細胞シートを患部に対し縫合することなく被覆することを特徴とする、請求項6記載の高生着性培養細胞シート。
  8. 患部に被覆する際、患部の大きさ、形状に沿って切断された、請求項7記載の高生着性培養細胞シート。
  9. 細胞培養支持体上での細胞培養が、
    (1)細胞培養支持体上で生体関連物質層を構築させ、
    (2)その生体関連物質層上で細胞を培養し、
    (3)培養後、生体関連物質層と共に培養細胞シートを剥離する
    ことを特徴とする、高生着性培養細胞シートの製造方法。
  10. 生体関連物質が、フィブリンゲル、フィブリンのり、コラーゲン、小腸粘膜下組織の何れかもしくは2者以上の混合物であることを特徴とする、請求項9記載の高生着性培養細胞シートの製造方法。
  11. 培養細胞が、中皮細胞、心筋細胞、網膜細胞、血管内皮細胞、表皮角化細胞の何れかもしくは2者以上の混合物であることを特徴とする、請求項9、10記載の高生着性培養細胞シートの製造方法。
  12. 細胞培養支持体が、0〜80℃の温度範囲で水和力が変化するポリマーを表面に被覆したものであることを特徴とする、請求項9〜11記載の高生着性培養細胞シートの製造方法。
  13. 生体組織の一部或いは全部を損傷もしくは欠損した患部に対し、請求項1〜8のいずれか1項記載の高生着性培養細胞シートを移植することを特徴とする治療法。
  14. 移植が患部に対し縫合することなく被覆することを特徴とする、請求項13記載の治療法。
  15. 患部に被覆する際、高生着性培養細胞シートを患部の大きさ、形状に沿って切断することを特徴とする、請求項14記載の治療法。
  16. 治療が腹膜再建であることを特徴とする、請求項13〜15のいずれか1項に記載の治療法。
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