JP2005000339A - 筋力補助装置 - Google Patents

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仁司 鴻巣
Hikari Aoyanagi
光 青柳
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Abstract

【課題】装着が容易な筋力補助装置を提供する。
【解決手段】筋力補助装置10は、背中パッド12の上部を利用者2の肩部に固定し、背中パッド12の下部を利用者2の股関節部に固定して装着する。装着動作はリュックサックを背負う動作に近く容易である。そして背中パッド12に沿って配置された両端間距離を伸縮するアクチュエータ40と動力供給部とを有している。アクチュエータ40の一端が背中パッド12の上部に固定され、他端が背中パッド12の下部に固定されているので、アクチュエータ40の両端間距離が伸縮すると、利用者の肩部から背中側をまわって股関節部にいたる距離が伸縮され、前屈を伴う動作の筋力補助がなされる。
【選択図】図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は筋力補助装置に関し、特に、前屈運動を伴う作業時の筋力補助装置に関する。
【0002】
【従来の技術】労働作業はもとより日常生活においても、前屈姿勢での作業、なかでも重量物を持ち上げる作業は多い。このような作業時には、背中の湾曲と伸展動作や、腰部の屈曲と伸展動作を必要とし、その肉体的な負担は大きい。下記の特許文献1では、日常生活に必要な基本動作ができない被介護者を抱き起こしたりするなどの介護作業において、介護者の筋力を補助する装置が開示されている。特許文献1で開示されている筋力補助装置は、利用者が両腕、胴体、両足にバンドなどによって筋力補助装置を固定することによって装着し、空気圧アクチュエータとリンク機構により利用者の筋力を補助する。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−51289号公報
【0004】
特許文献1の筋力補助装置は大型なため、利用者が容易に装着できるものとは推測しがたい。特に、前屈運動を伴う作業時に背筋と腹筋の筋力を補助するリンク機構と空気圧アクチュエータが利用者の後方に大きく張り出して設けられているため、利用者の作業に支障をきたすことも多いと考えられる。さらに、外部のコンプレッサから空気圧アクチュエータに圧縮空気を供給する必要があるため、利用者はそのエア配管によって行動範囲や利用範囲に制限をうけやすい。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】特許文献1に記載の筋力補助装置は、その構成によって、利用者に新たな負担を強いる側面も多い。本発明では、装着が容易な筋力補助装置を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段と作用と効果】本願発明に係る筋力補助装置は、利用者の背中に装着される背中パッドと、その背中パッドの上部を利用者の肩部に固定する肩固定手段と、その背中パッドの下部を利用者の股関節部に固定する股関節固定手段と、その背中パッドに沿って配置され、一端が背中パッドの上部に固定され、他端が背中パッドの下部に固定され、固定された両端間距離を伸縮するアクチュエータを有する。
上記構成の筋力補助装置によれば、利用者は、背中パッドの上部を肩固定手段によって肩部に固定し、背中パッドの下部を股関節固定手段によって股関節部に固定することによって筋力補助装置を装着することができる。リュックサックを背負い、安全ベルトを締めるのと同様な行為によって、筋力補助装置を装着することができ、筋力補助装置を比較的簡単に装着することができる。
アクチュエータは、背中パッドの上部と下部の距離を伸縮する。背中パッドの上部は利用者の肩部に固定されており、背中パッドの下部は利用者の股関節部に固定されているので、利用者の肩部から背中側をまわって股関節部にいたる距離が伸縮されることになる。前屈姿勢において、肩部から背中側をまわって股関節部にいたる距離が縮められると、湾曲している背中は伸展され、屈曲している腰部も伸展される。このようにして、前屈姿勢から立位への姿勢変化において、筋力の補助がなされる。アクチュエータの両端間距離を伸縮する伸縮力を調整することにより、筋力補助力を調整することも可能である。
【0007】
アクチュエータの端部と背中パッドが固定されているという場合、両者が直接的に固定される場合のほか、たとえば金属ワイヤやナイロンベルト等の仲介物を利用し、仲介物の一端が背中パッドに固定され、仲介物の他端にアクチュエータの一端が固定される場合を含む。また、アクチュエータの端部とは、アクチュエータ全体における物理的な端部ではなく、アクチュエータが本来の動作をしたときにアクチュエータの伸縮動作を外部へ適切に作用させることができる部位を意図している。
アクチュエータには、例えば金属ワイヤ又はナイロンベルトを巻き取る電動リールが利用可能である。その場合、電動リールのみならず金属ワイヤやナイロンベルトを併せたものがアクチュエータであり、金属ワイヤやナイロンベルトの先端がアクチュエータの端部であると解するべきである。
【0008】
ER流体(エレクトロレオロジー流体、電気粘性流体)によって利用者と接触する部位の変形抵抗力を変化させてもよい。それにより、筋力補助装置の装着感の向上と、筋力補助作動時の体への固定性能を向上させることができる。
ER流体は、電圧が印加されることにより粘性が変化する流体である。筋力補助が必要ない場合は、ER流体に電圧を印加しないか、もしくは低く設定して粘性を低くする。それにより利用者と接触する部位の変形抵抗力は小さくなる。よって、利用者の体の動きに従って、利用者と接触する部位は柔軟に変形する。利用者が筋力補助装置を自身の体に強く固定しても、装着感を良好に保つことができる。アクチュエータによって筋力補助が行われる場合には、ER流体に所定の電圧を印加して粘性を上昇させる。それにより利用者と接触する部位の変形抵抗力は大きくなる。それにより、筋力補助装置の利用者への固定力が増す。よってアクチュエータの伸縮力が利用者に伝わるまでの力学的な損失が小さく筋力補助が効果的に行われる。このとき、アクチュエータの伸縮力の大きさに則してER流体への印加電圧の大きさを決定することが好ましい。利用者の動作に合わせて装着感の向上と固定力の向上を行うことができる。
【0009】
さらに、利用者の前屈角度を認識する前屈角認識手段と、利用者の腹筋と背筋の発生している力(以下、腹背筋力という)を認識する腹背筋力認識手段を有することが好ましい。前屈角認識手段によって利用者の姿勢が認識でき、腹背筋力認識手段によって利用者の腹背筋力を認識することが可能となる。
利用者の姿勢ならびに腹背筋力を認識することで、利用者の動作を推定することができ、アクチュエータの動作を適切に制御することが可能となる。前屈角認識手段と腹背筋力認識手段の認識値に基づいてアクチュエータの動作を適切に制御することが可能となる。
前屈角認識手段と腹背筋力認識手段とアクチュエータを制御するコントローラを筋力補助装置に設けると、筋力補助装置の利用時に筋力補助装置を外部に接続(無線接続も含む)する必要がなく、その利用範囲が制限を受けることがない。
本明細書において、前屈角度とはヒトの背筋の方向と鉛直方向がなす角度を意味するもので、ヒトが直立の姿勢をとっているときは略ゼロ度であり、例えば、「30度のお辞儀」の姿勢をとっているときは30度である。
【0010】
前屈角認識手段と腹背筋力認識手段を用いると、利用者の動作を、例えば下記5形態のいずれであるかを推定することが可能となる。
形態1: 前屈角度も腹背筋力も変化がないとき、利用者は姿勢変化を伴う動作をしていないと推定する。
形態2: 前屈角度が増加して腹背筋力も増加しているとき、利用者は直立姿勢から前屈姿勢に姿勢変化を行っていると推定する。
形態3: 前屈角度が減少して腹背筋力が増加しているとき、利用者は重量物の地切り動作を行っていると推定する。
形態4: 前屈角度が減少して腹背筋力が減少しているとき、利用者は重量物の持ち上げ動作を行っていると推定する。
形態5: 上記の4形態のどれにも当てはまらないとき、利用者は筋力補助が必要のない動作をしていると推定する。
なお、地切りとは、重量物などを持ち上げるときに、持ち上げる重量物が地面から離れることを示す表現である。地切り動作とは、重量物を持ち上げるときに重量物を地面から浮き上がらせる動作を示し、前屈姿勢から重量物を持ち上げる場合には、もっとも力が必要となる動作である。
本発明に係る筋力補助装置では、前屈角度の変化と腹背筋力の変化によって利用者の動作を推定することに加え、推定された動作に対応する態様でアクチュエータの動作を制御することができる。
例えば、上記の5形態によって利用者の動作を推定すると、推定された動作にふさわしい態様でアクチュエータの動作を制御することができる。例えば、重量物の持ち上げ動作と推定されれば、持ち上げ動作に適した態様でアクチュエータの動作を制御することができる。
さらに、腹背筋力認識手段で認識される腹背筋力に基づいてアクチュエータの伸縮力を増減調整することもできる。例えば、腹背筋力が大きいときには補助力を増大させて強く補助する、あるいは、腹背筋力が所定の値で一定になるようにアクチュエータのトルクを経時的に制御することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る筋力補助装置の実施例について図面を参照して説明する。最初に本発明の実施例の主要な特徴を列記する。
形態1: 背中パッドは、上部と下部の間の距離が伸縮可能な手段を有し、上部と下部の距離を伸縮することができる。
形態2: ショルダサポートにER流体を備えている。
形態3: 前屈角度の変化量と腹背筋力の変化量によって利用者の動作を推定し、推定した動作に対応する態様でアクチュエータの動作を制御する。このときに腹背筋力に基づいてアクチュエータの伸縮力の大小を調整する。
本明細書でいうアクチュエータの伸縮力は、アクチュエータが伸縮動作をするときに、伸縮を妨げる外力に対して抵抗できる力を示す。即ち、アクチュエータが伸びる動作をしているときに、アクチュエータを縮める方向に伸縮力以上の力が作用すると、アクチュエータの伸びる動作が停止されるか縮められる。また、アクチュエータが伸びる動作をしているときに、アクチュエータを伸ばす方向に伸縮力以上の力が作用すると、アクチュエータの伸びる速度が増速される。またアクチュエータが縮む動作をしているときに、アクチュエータを伸ばす方向に伸縮力以上の力が作用すると、アクチュエータの縮む動作が停止されるか伸ばされる。又、アクチュエータが縮む動作をしているときに、アクチュエータを縮める方向に伸縮力以上の力が作用すると、アクチュエータの縮む速度が増速される。
【0012】
【実施例】
(第1実施例) 本発明に係る筋力補助装置の第1実施例について、図面を参照して説明する。
図1の(A)(B)は、筋力補助装置10の構成を示すものである。背中パッド12は、柔軟性が高く伸縮性は極めて小さい素材で形成されている上部パッド14と下部パッド16と、上部パッド14と下部パッド16を繋ぐ柔軟性と伸縮性の高い伸縮パッド18を有している。伸縮パッド18は略長方形の形をしており、一辺が上部パッド14と接合されており、その対辺が下部パットと接合されている。背中パッド12全体の大きさは、本実施例の筋力補助装置の利用者(以下、利用者と略す)の背中の大きさに従って決定されるのが好ましい。
上部パッド14は、上部パッド14を利用者の肩部に固定するバンド部材からなる一対のショルダサポート20、21を備えている。各ショルダサポート20、21は一端が上部パッド14の上部に固定され、他端が上部パッド14の下部に固定されて上部パッド14と合わせて環状を形成している。利用者がその体形に合わせて確実に上部パッド14を肩部に固定できるよう、ショルダサポート20、21の長さを調整する調整金具22、23を備えている。ショルダサポート20、21が調整金具22、23を備えることで、利用者は筋力補助装置10の着脱時にはショルダサポート20、21の長さを長くすることで容易に着脱することができる一方、作業時(肩部へ固定時)はショルダサポート20、21の長さを自己の体形に合わせることで確実に固定することができる。ショルダサポート20、21はバンド部材のチェストサポート26、27を備えており、チェストサポートはチェストサポート26、27を結合する結合具28を備えている。チェストサポート26、27を結合具28で結合することで、チェストサポート26、27を介してショルダサポート20、21を利用者の胸元で連結することができる。チェストサポート26、27の結合具28は長さ調整機能を有しているため、利用者の体形に合わせてチェストサポート26、27の長さを調整することができる。チェストサポート26、27によってショルダサポート20、21を結合することにより、利用者は上部パッド14をさらに確実に固定することができる。また上部パッド14は、利用者の前屈角度を測定するための前屈角センサ61を備えている。
【0013】
下部パッド16は、下部パッド16を利用者の股関節部に固定するバンド部材からなる一対の股関節サポート30、31を備えている。各股関節サポート30、31は、一端が下部パッド16に固定された2本のバンド部材で構成され、股関節サポートを利用者の大腿部の周囲を廻して結合具32、33によって環状に結合する。結合具32、33は長さの調整機能も備えており、股関節サポート30、31を結合具32、33で結合して環状にしたときの周長を、利用者の体形に合わせて調整できる。従って、利用者は筋力補助装置10の着脱時には、結合具32、33の結合を外すことで容易に着脱することができ、作業時(股関節部への固定)は股関節サポート30、31の長さを自己の体形に合わせることで確実に固定することができる。
本実施例の筋力補助装置10は、両端間距離が伸縮するアクチュエータ40を備えている。アクチュエータ40の構成を図2に示す。アクチュエータ40は、ベースプレート41と、ベースプレート41に固定されたハウジング39と、ハウジング39内で自転する駆動スリーブ42と、ハウジング39内に収容されているとともに駆動スリーブ42を自転させる図示されていないモータと、駆動スリーブ42に螺合しているボールネジ43等で構成されている。ボールネジ43には角シャフト44が固定されており、角シャフト44はガイド45を貫通している。ガイド45はベースプレート41に固定されており、角シャフト44はガイド45によって回りとめされている。角シャフト44の上端は、上部ワイヤ48を介して上部パッド14に固定され、ハウジング39の下端は、下部ワイヤ49を介して下部パッド16に固定されている。電源コード46は、図示されないモータに電力を供給する。アクチュエータ40の駆動スリーブ42が自転すると、ボールネジ43自身は回転しないように規制されているために、ボールネジ43の駆動スリーブ42からの突出長さが変化する。即ち、駆動スリーブ42が回転することによって、角シャフト44の上端と、ハウジング39の下端の距離(以下、この距離をアクチュエータ40の長さと記述する)が変化する。ガイド45はボールネジ43の回転を規制するのみであり、角シャフト44の長手方向の移動を規制しない。アクチュエータ40の長さが変化することで、上部パッド14と下部パッド16の距離が変化する。
筋力補助装置10は、一本のバンド部材からなる腹ベルト35を備えている。伸縮パッド18が伸縮しても伸縮パッド18から腹ベルト35には力が働かないように、腹ベルト45は伸縮パッド18に略固定されている。腹ベルト35は結合具36を備え、腹ベルト35を利用者の胴体部の周囲を廻し、結合具36によって環状に結合して装着する。結合具36は腹ベルト35の長さ調整機能を有しており、腹ベルト35を結合具36で環状に結合したときの周長を利用者の体形に合わせて調整できる。従って、利用者は筋力補助装置10の着脱時には、結合具36の結合を外すことで容易に着脱することができ、作動時(腹部への装着時)は腹ベルト35の長さを自己の体形に合わせることで確実に装着することができる。腹ベルト35は利用者の腹背筋力を測定するための腹背筋センサ62を備えている。
筋力補助装置10は、筋力補助装置10を制御する制御部50と電源75を備えている。
【0014】
図3に、筋力補助装置10の制御部50の構成を示す。制御部50は、前屈角センサ61の出力信号から前屈角度の変化量を演算する前屈角演算部51と、腹背筋センサ62の出力信号から腹背筋力の変化量を演算する腹背筋力演算部52を備えている。また、前屈角演算部51の演算結果と腹背筋力演算部52の演算結果に基づいて、作業者の動作を推定する動作推定部54を備えている。そして動作推定部54の出力に従ってアクチュエータ40の動作を制御するアクチュエータ制御部56を備えている。前屈角センサ61は角度センサを適用したものであり、利用者の前屈角度に従って出力信号が変化する。前屈角演算部51は入力された前屈角センサ61の出力信号から、利用者の前屈角度とその変化量を演算する。腹背筋センサ62は圧力センサを適用したものであり、利用者の腹背筋力の大きさに従って出力信号が変化する。腹背筋力演算部52は、入力された腹背筋センサ62の出力信号から、利用者の腹背筋力とその変化量を演算する。動作推定部54は前屈角演算部51と腹背筋力演算部52の演算結果から利用者の動作を推定してアクチュエータ制御部56へ指令を出す。アクチュエータ制御部56は動作推定部54からの指令に従い、アクチュエータ40の動作を制御する。
【0015】
図4(a)(b)は、筋力補助装置10の制御手順のフローチャートを示している。電源が投入されると、メインフローチャートのステップS10で動作推定部54が利用者の前屈角度の変化量データと腹背筋力の変化量データからなる変化量データを取り込む。変化量データは、図4(b)のセンサフローチャートに示される流れで生成される。センサフローチャートのステップS12で前屈角センサ61からの出力信号値が前屈角演算部51に取り込まれ、ステップS14で腹背筋センサ62の出力信号値が腹背筋力演算部52に取り込まれる。ステップS16では、出力信号値の取り込みが初回であると判断されるとステップS18へ進み、そうでない場合はステップS22へ進む。ステップS18では、前屈角センサ61の出力信号値を初期値として設定してステップS20へ進み、ステップS20では、腹背筋センサ62の出力信号値を初期値として設定してステップS12へ戻る。ステップS16からステップS22へ進んだときは、ステップS22で前屈角センサ61の前回の出力信号値から今回の出力信号値の変化量が計算され、前屈角度の変化量が演算される。ステップS24では、腹背筋センサ62の前回の出力信号値から今回の出力信号値の変化量が計算され、腹背筋力の変化量が演算される。そして、ステップS26で前屈角度の変化量データと腹背筋力の変化量データが動作推定部54へ出力され、ステップS12へ戻る。センサフローチャートの流れは、所定のセンシング単位時間毎に繰り返し行われる。
【0016】
動作推定部54は変化量データを取り込むと、変化量データに基づいて利用者の動作を推定する。ステップS30では、これらの変化量データから前屈角度(A)も腹背筋力(B)も変化がない場合(変化量がゼロ)は、利用者は直立の姿勢を保っている(立位)と推定する。このとき、アクチュエータ制御部56への指令は行わず、ステップS10へと戻り再び変化量データの取り込みをする。
変化量データから前屈角度と腹背筋力に変化がある(変化量がゼロでない)場合は、ステップS40、S50、S60によって、利用者の動作を推定しアクチュエータ制御部56へアクチュエータ40の動作指令を行う。
【0017】
ステップS40では、変化量データから前屈角度(A)が増加して腹背筋力(B)も増加している場合に、利用者は前屈動作をしていると推定する。このときステップS42へ進み、そうでない場合はステップS50へ進む。ステップS42では、動作推定部54がアクチュエータ制御部56へアクチュエータ40を伸ばすように指令する。このとき、伸びる速度は前屈角度の変化量データに基づいて指令し、伸縮力は腹背筋力の変化量データに基づいて指令する。指令を受けたアクチュエータ制御部56は、指令に則してアクチュエータ40を制御する。具体的には、ボールネジ43が駆動スリーブ42から突出する回転方向へ駆動スリーブ42を駆動する。このとき、ボールネジ43を突出させる速度が指令された速度となる回転速度で駆動し、ボールネジ43を突出させる力が指令された伸縮力となる出力で駆動する。そして、ステップS10へ戻り再び変化量データの取り込みをする。
【0018】
ステップS50では、変化量データから前屈角度(A)が減少して腹背筋力(B)が増加している場合に、利用者は地切り動作をしていると推定する。このときステップS52へ進み、そうでない場合はステップS60へ進む。ステップS52では、動作推定部54がアクチュエータ制御部56へアクチュエータ40を縮めるように指令をする。このとき、縮む速度は前屈角度の変化量データに基づいて指令し、伸縮力は腹背筋力の変化量データに基づいて指令する。指令を受けたアクチュエータ制御部56は、指令に則してアクチュエータ40を制御する。具体的には、ボールネジ43が駆動スリーブ42へ引き込まれる回転方向へ駆動スリーブ42を駆動する。このとき、ボールネジ43が引き込まれる速度が指令された速度となる回転速度で駆動し、ボールネジ43が引き込まれる力が指令された伸縮力となる出力で駆動する。そして、ステップS10へ戻り再び変化量データの取り込みをする。
【0019】
ステップS60では、変化量データから前屈角度(A)が減少して腹背筋力(B)も減少している場合に、利用者は持ち上げ動作をしていると推定する。このときステップS62へ進み、そうでない場合は、筋力補助をする必要がない動作と推定してステップS10へと戻り再び変化量データの取り込みをする。ステップS62では、動作推定部54はアクチュエータ制御部56へ、アクチュエータ40を縮めるように指令をする。このとき、縮む速度は前屈角度の変化量データに基づいて指令し、伸縮力は腹背筋力の変化量データに基づいて指令する。指令を受けたアクチュエータ制御部56は、指令に則してアクチュエータ40を制御する。具体的には、ボールネジ43が駆動スリーブ42へ引き込まれる回転方向へ駆動スリーブ42を駆動する。このとき、ボールネジ43が引き込まれる速度が指令された速度となる回転速度で駆動し、ボールネジ43が引き込まれる力が指令された伸縮力となる出力で駆動する。そして、ステップS10へ戻り再び変化量データの取り込みをする。メインフローチャートの流れは、所定のメイン制御単位時間毎に繰り返し行われる。メイン制御単位時間はセンシング単位時間に対して同一に設定されているか、センシング単位時間よりも長く設定されている。
【0020】
図5は筋力補助装置10の使用状態を示す図であり、筋力補助装置10を装着した本装置の利用者2が、床に置かれた重量物4を持ち上げる状況を示している。
図5(A)は、利用者2が筋力補助装置10を装着して直立している状態を示している。装着の動作は、第一にリュックサックを背負うようにショルダサポート20、21へ腕を通して筋力補助装置10を背負う。次に股関節サポート30、31を大腿部周囲に廻して結合具32、33で結合する。このとき、各ショルダサポート20、21と各股関節サポート30、31は、やや長めに調整されていると装着しやすい。次に、ショルダサポート20、21の長さを調整し、そしてチェストサポート26、27を結合することで上部パッド14を体に確実に固定する。次に股関節サポート30、31の長さを調整して下部パッド16を体に確実に固定する。最後に、腹ベルト35を結合具36で結合し、そして腹ベルト35の長さを調整する。以上で装着は完了するため、装着がすこぶる容易である。利用者は筋力補助装置10を装着した後、筋力補助装置10の電源を入れる。筋力補助装置10は電源が投入されると、先に説明した図4のフローチャートで示す制御をスタートする。利用者2は直立の姿勢を保っているので、前屈角度は略ゼロ度で変化はなく、腹背筋力も小さくてほとんど変化もない。
このとき、前屈角演算部51で演算される前屈角度の変化量と、腹背筋力演算部52で演算される腹背筋力の変化量は略ゼロとなり、その変化量データが動作推定部54に出力される。動作推定部54は変化量データから前屈角度も腹背筋力も変化していないことを認識し、利用者2は直立の姿勢を保っていると判断する。従って、アクチュエータ制御部56への指令は行われず、アクチュエータ40は動作しない。図6は筋力補助装置10が行う筋力補助の力の大きさを示しており、利用者2の前屈角度に対して出力されるアクチュエータ40の伸縮力を表している。横軸は前屈角度を示しており右にいくほど前屈することを表している。ここで、利用者2の前屈角度と利用者2の肩部から背中側をまわって股関節部にいたる距離は一義的であるため、横軸は利用者の肩部から背中側をまわって股関節部にいたる距離を表しているといってもよい。縦軸はアクチュエータ20の伸縮力を示している。図6の点Aは、図5(A)の状態のときを示している。前屈角度は略ゼロ度であり、アクチュエータ40の伸縮はなく伸縮力はゼロである。
【0021】
図5(B)は、利用者2が床にある重量物4を持ち上げるため、腰をかがめて前屈姿勢となって重量物4に手を掛けた状態を示している。このとき、利用者2はまだ重量物4を持ち上げる力を発生していない。図5(A)の状態から図5(B)の状態に移行する過程では、直立姿勢から前屈姿勢へと姿勢変化するに従い、前屈角度は略ゼロ度から徐々に角度が大きくなる。即ち、利用者2の肩部から背中側をまわって股関節部にいたる距離が長くなる。また、腹背筋力も徐々に大きくなる。
このとき、前屈角演算部51で演算される前屈角度の変化量は正の値となり、腹背筋力演算部52で演算される腹背筋力の変化量も正の値となる。その変化量データが動作推定部54に出力される。動作推定部54は変化量データから前屈角度が増加して腹背筋力も増加していることを認識すると、利用者は前屈動作をしていると判断する。従って、動作推定部54はアクチュエータ制御部56へ、アクチュエータ40を伸ばす指令する。このとき、伸びる速度は、前屈角度の変化量データに基づいて指令し、伸縮力は腹背筋力の変化量データに基づいて指令する。詳しくは、前屈角度の変化量が大きいときは伸びる速度を大きく指令し、前屈角度の変化量が小さいときは伸びる速度を小さく指令する。また、腹背筋力の変化量が大きいときは伸縮力を大きく指令し、腹背筋力の変化量が小さいときは伸縮力を小さく指令する。利用者2の前屈角度とアクチュエータの伸縮力は、図5(A)の状態から図5(B)の状態に移行する過程で、図6の点Aから点Bへ変化する。図6の点Bは、図5(B)の状態のときを示している。前屈角度の増加に対して、アクチュエータ40の伸縮力が緩やかに上昇することで、利用者2の前屈動作に好適な筋力補助がされる。
【0022】
図5(C)は、利用者2が床にあった重量物4を地面から持ち上げ始めた状態を示している。重量物4は地面から僅かに離れている。図5(B)の状態から図5(C)の状態に移行する過程で、前屈姿勢から僅かに背筋を伸ばす姿勢変化に従い、前屈角度は僅かに減少する。即ち、利用者2の肩部から背中側をまわって股関節部にいたる距離が僅かに短くなる。また、腹背筋力は急激に大きくなる。このとき、前屈角演算部51で演算される前屈角度の変化量は負の値となり、腹背筋力演算部52で演算される腹背筋力の変化量は正の値となる。その変化量データが動作推定部54に出力される。動作推定部54は変化量データから前屈角度が減少して腹背筋力が増加していることを認識すると、利用者は地切り動作をしていると判断する。従って、動作推定部54はアクチュエータ制御部56へ、アクチュエータ40を縮める指令する。このとき、縮める速度は前屈角度の変化量データに基づいて指令し、伸縮力は腹背筋力の変化量データに基づいて指令する。詳しくは、前屈角度の変化量が大きいときは縮める速度を大きく指令し、前屈角度の変化量が小さいときは縮める速度を小さく指令する。また、腹背筋力の変化量が大きいときは伸縮力を大きく指令し、腹背筋力の変化量が小さいときは伸縮力を小さく指令する。利用者2の前屈角度とアクチュエータ40の伸縮力は、図5(B)の状態から図5(C)の状態に移行する過程で、図6の点Bから点Cへ変化する。図6の点Cは、図5(C)の状態のときを示している。前屈角度の減少に対して、アクチュエータ40の伸縮力が急激に上昇することで、利用者2の地切り動作に好適な筋力補助がされる。
【0023】
図5(D)は、利用者2が重量物4の持ち上げ作業を完了して、重量物4を手にして直立姿勢に戻った状態を示している。図5(C)の状態から図5(D)の状態に移行する過程で利用者2の前屈角度は略ゼロ度になる。即ち、利用者2の肩部から背中側をまわって股関節部にいたる距離が徐々に短くなる。また、腹背筋力は前屈角度が減少するにつれて減少する。
このとき、前屈角演算部51で演算される前屈角度の変化量は負の値となり、腹背筋力演算部52で演算される腹背筋力の変化量も負の値となり、その変化量データが動作推定部54に出力される。動作推定部54は変化量データから前屈角度が減少して腹背筋力も減少していることを認識すると、利用者は持ち上げ動作をしていると判断する。従って、動作推定部54はアクチュエータ制御部56へ、アクチュエータ40を縮める指令する。このとき、縮める速度は前屈角度の変化量データに基づいて指令し、伸縮力は腹背筋力の変化量データに基づいて指令する。詳しくは、前屈角度の変化量が大きいときは縮める速度を大きく指令し、前屈角度の変化量が小さいときは縮める速度を小さく指令する。また、腹背筋力の変化量が大きいときは伸縮力を大きく指令し、腹背筋力の変化量が小さいときは伸縮力を小さく指令する。利用者2の前屈角度とアクチュエータ40の伸縮力は、図5(C)の状態から図5(D)の状態に移行する過程で、図6の点Cから点Aへ変化する。図6の点Aは、図5(A)の状態のときに加えて図5(D)の状態のときも示している。前屈角度の減少に対して、アクチュエータ40の伸縮力が下降することで、利用者の持ち上げ動作に好適な筋力補助がされる。
以上のように、筋力補助装置10はその利用者2の床に置かれた重量物4を持ち上げる作業において、利用者2の動作に応じて好適な筋力補助をすることができる。
なお、重量物4の重量が30kgであるとき、図6の点Bで示される伸縮力を100N、図6の点Cで示される伸縮力を800Nとすると、利用者2の筋力を好適に補助できる。しかし、その利用者の体形や筋力が著しく異なる場合には、その利用者によって好ましい伸縮力は変化するものと考えられる。
【0024】
(第2実施例) 本発明に係る筋力補助装置の第2実施例について説明する。第2実施例は、図7に示すように第1実施例のショルダサポート20、21が利用者2と接触する部位にER流体封入層90を備えた筋力補助装置80である。以下に第2実施例の、第1実施例とは異なる特徴を中心に説明する。ER流体封入層90は、ショルダサポート20、21の利用者と接触する面で特に利用者の肩部と接触する部位に設けられている。ER流体封入層90は、ショルダサポート20、21のバンド幅に合わせた帯状の形状をしている。ER流体を封入したER流体封入部93と帯状形状の長手方向の両端辺電極91、92を備えている。電極91、92に電圧を印加すると、ER流体封入部93に電界が発生する。発生した電界の強さにより、ER流体のせん断速度に対するせん断応力が変化する。
本実施例の筋力補助装置80のER流体について説明をする。ER流体は、電圧が印加されることにより粘性が変化する流体である。電圧印加に対する粘性変化の応答速度は数ミリ〜数十ミリ秒と早く、さらに可逆性もある。ER流体には、分散系ER流体と均一系ER流体が一般的に知られている。分散系ER流体は、印加された電界強度に比例して見かけ粘性が変化する。均一系ER流体は、印加された電界強度に比例して粘性が変化する。両者とも、電界強度によって、せん断速度に対するせん断応力を変化することができる。そのため、分散系ER流体と均一系ER流体の両者どちらでも採用することができる。本実施例の筋力補助装置80では分散系ER流体を採用している。図10は電極91と電極92の間に印加される電圧と、ER流体封入部93に封入されているER流体のせん断応力の関係を示す。なお、せん断応力は所定のせん断速度における値である。印加電圧が高くなるとせん断応力は上昇するが、その関係は印加電圧の2乗に略比例している。
【0025】
図8は、筋力補助装置80の制御部100の構成を示している。制御部100は、第1実施例の筋力補助装置10の制御部50に加え、ER流体封入層への印加電圧を制御するER流体制御部58を備えている。制御部100では、前屈角センサ61の出力信号が前屈角演算部に入力される。前屈角演算部51は入力された前屈角センサ61の出力信号から、利用者の前屈角度とその変化速度を演算する。また、腹背筋センサ62の出力信号が腹背筋力演算部52に入力される。腹背筋力演算部52は、入力された腹背筋センサ62の出力信号から、利用者の腹背筋力とその変化速度を演算する。動作推定部54は、前屈角演算部51と腹背筋力演算部52の演算結果から利用者の動作を推定し、アクチュエータ制御部56へ指令を出す。アクチュエータ制御部56は動作推定部54からの指令に従い、アクチュエータ40の動作を制御する。制御部100では、動作推定部54がER流体制御部58にも指令する。ER流体制御部58は動作推定部54の指令に従って、電極91と電極92の間の電圧を制御する。
【0026】
筋力補助装置80の制御の流れについて説明する。筋力補助装置80のフローチャートを図9に示す。図4に示す第1実施例の筋力補助装置10と同様に、ステップS10で、動作推定部54が利用者の前屈角度の変化量データと腹背筋力の変化量データからなる変化量データを取り込む。変化量データは、図4(b)のセンサフローチャートに示す流れで生成される。
次に、動作推定部54は変化量データに基づいて利用者の動作を推定する。この動作の推定は、第1実施例の筋力補助装置10と同一である。ステップS30、S40、S50、S60で、利用者の動作が推定される。動作推定部54は動作の推定をしたのち、アクチュエータ制御部56とER流体制御部58に指令する。ステップS30で動作推定部54は利用者の動作を立位と推定すると、アクチュエータ制御部54とER流体制御部58に指令はしない。電極91と電極92の間に電圧がかけられず、ER流体は自由に流動する状態に維持される。その場合には、制御ステップS10へ戻り再び変化量データの取り込みをする。
【0027】
ステップS40で、動作推定部54は利用者の動作を前屈動作と推定すると、ER流体制御部58とアクチュエータ制御部54に指令を行う。ステップS41で、ER流体制御部58に電極91、92への印加電圧値を腹背筋力の変化量データに基づいて指令する。ER流体制御部は、指令に則して電極91、92に電圧を印加する。次のステップS42のアクチュエータ制御部56への指令は、第1実施例の筋力補助装置10と同一である。そして、指令を受けたアクチュエータ制御部56によるアクチュエータ40の動作も、第1実施例の筋力補助装置10と同一である。ここで、アクチュエータ制御部への伸縮力に対する指令とER流体制御部への印加電圧値に対する指令は、共に腹背筋力の変化量データに基づいている。言い換えれば、前者の伸縮力も後者の印加電圧値も、腹背筋力の変化量データによって決められる。従って、ER流体制御部への印加電圧値に対する指令信号には、アクチュエータ制御部への伸縮力に対する指令信号を両用することができる。そのため、第1実施例の筋力補助装置10と実施例2の筋力補助装置80で、動作推定部54は同一のものであり、制御部50にER流体制御部58を付加するだけで制御部100が得られる。
【0028】
ステップS50で、動作推定部54は利用者の動作を地切り動作と推定すると、ER流体制御部58とアクチュエータ制御部54に指令を行う。ステップS51で、ER流体制御部58に電極91、92への印加電圧値を腹背筋力の変化量データに基づいて指令する。ER流体制御部は、指令に則して電極91、92に電圧を印加する。次のステップS52のアクチュエータ制御部56への指令は、第1実施例の筋力補助装置10と同一である。そして、指令を受けたアクチュエータ制御部56によるアクチュエータ40の動作も第1実施例の筋力補助装置10と同一である。
【0029】
ステップS60で、動作推定部54は利用者の動作を持ち上げ動作と推定すると、ER流体制御部58とアクチュエータ制御部54に指令を行う。ステップS61で、ER流体制御部に電極91、92への印加電圧値を腹背筋力の変化量データに基づいて指令する。ER流体制御部は、指令に則して電極91、92に電圧を印加する。次のステップS62のアクチュエータ制御部56への指令は、第1実施例の筋力補助装置10と同一である。そして、指令を受けたアクチュエータ制御部56によるアクチュエータ40の動作も第1実施例の筋力補助装置10と同一である。
【0030】
筋力補助装置80の使用状態は、図5に示した第1実施例と同様なので図5を参照して説明する。
図5(A)は、第2実施例の筋力補助装置80の利用者2が、筋力補助装置80を装着して直立している状態を示している。装着の手順は第2実施例の筋力補助装置10と同一の手順である。従って、筋力補助装置80は、装着がすこぶる容易である。利用者2が、図5(A)〜図5(D)の過程によって重量物4を持ち上げる作業において、筋力補助装置80のアクチュエータ40の伸縮力は、第1実施例と同様に図6に示される。そして、図5(A)〜図5(D)の過程において、ER流体封入層の電極91、92間に印加される電圧値は、腹背筋力の変化量データに基づいて制御される。詳しくは、腹背筋力の変化量が大きいときは印加電圧値を大きくし、腹背筋力の変化量が小さいときは印加電圧値も小さくするように制御される。従って、ER流体への印加電圧は、アクチュエータ40の伸縮力と比例して印加されることになる。図5(A)〜図5(D)の過程において、印加される電圧とER流体のせん断応力を図10に示す。利用者2の状態が図5(A)から図5(B)に移行する過程で、利用者2の腹背筋力は徐々に増加する。従って、ER流体のせん断応力は図10の点Aから点Bへと徐々に高くなる。これは、アクチュエータ40の伸縮力が図6の点Aから点Bへと徐々に変化することに対応している。利用者100の状態が図5(B)から図5(C)に移行する過程で、利用者2の腹背筋力は急激に増加する。従って、ER流体のせん断応力は図10の点Bから点Cへと急激に高くなる。これは、アクチュエータ40の伸縮力が図6の点Bから点Cへと急激に変化することに対応している。利用者2の状態が図5(C)から図5(D)に移行する過程で、利用者2の腹背筋力は徐々に減少する。従って、ER流体のせん断応力は図10の点Cから点Aへと徐々に低くなる。これは、アクチュエータの伸縮力が図6の点Cから点Aへと急激に変化することに対応している。
以上のように、ER流体のせん断応力がアクチュエータ40の伸縮力に比例して変化することから、ER流体封入層90の変形抵抗力は、アクチュエータ40の伸縮力に比例して変化する。すなわち、アクチュエータ40の伸縮力が大きく、ショルダサポート20、21から利用者2に働く力が強いときは、ER流体封入層90の変形抵抗力が大きくなる。従って、ショルダサポート20、21から利用者2に働く力が強くても、ショルダサポートがずれることはなく、ショルダサポート20、21から利用者2へ確実に筋力補助力を伝えることができる。そして、アクチュエータ40の伸縮力が小さく、ショルダサポート20、21から利用者2に働く力が弱いときは、ER流体封入層90の変形抵抗力が小さくなる。ER流体封入層90の変形抵抗力が小さくても、ショルダサポート20、21がずれることはなく、ショルダサポートの装着感を向上することができる。アクチュエータが動作しない場合はER流体へ電圧は印加されず、筋力補助装置80の装着によって不快な痛みを感じたり、動作を妨げられたりしない。第2実施例の筋力補助装置は、装着が容易な筋力補助装置であって、さらに快適な装着間を与えるものである。
【0031】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
例えば、本願の実施形態ではアクチュエータとして駆動スリーブとボールネジを主要な構成とするアクチュエータを用いたが、両端が固定されている2点間の距離を伸縮できるアクチュエータへ様々に変更が可能である。その一例として、人工筋肉が挙げられる。
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組み合わせによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数の目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施例の筋力補助装置10を示す図。
【図2】筋力補助装置10のアクチュエータ40を示す図。
【図3】筋力補助装置10の制御部50を示す図。
【図4】筋力補助装置10のフローチャート。
【図5】筋力補助装置の使用状況を説明する図。
【図6】アクチュエータ40の伸縮力を説明する図。
【図7】ER流体封入部を示す図。
【図8】第2実施例の筋力補助装置80の制御部100を示す図。
【図9】筋力補助装置80のフローチャート。
【図10】ER流体のせん断応力を示す図。
【符号の説明】
2・・・利用者
4・・・重量物
10・・・第1実施例の筋力補助装置
12・・・背中パッド
14・・・上部パッド
16・・・下部パッド
18・・・伸縮パッド
20、21・・・ショルダサポート
22、23・・・調整金具
26、27・・・チェストサポート
28・・・結合具
30、31・・・股関節サポート
32、33・・・結合具
35・・・腹ベルト
36・・・結合具
39・・・ハウジング
40・・・アクチュエータ
42・・・駆動スリーブ
43・・・ボールネジ
44・・・角シャフト
45・・・ガイド
46.・・・駆動スリーブの電源コード
48・・・上部ワイヤ
49・・・下部ワイヤ
50・・・第1実施例の筋力補助装置10の制御部
51・・・前屈角演算部
52・・・腹背筋力演算部
54・・・動作推定部
56・・・アクチュエータ制御部
58・・・ER流体制御部
61・・・前屈角センサ
62・・・腹背筋センサ
41・・・ベースプレート
75・・・電源
90・・・ER流体封入層
91、92・・・電極
93・・・ER流体封入部
80・・・第2実施例の筋力補助装置
100・・・第2実施例の筋力補助装置の制御部

Claims (6)

  1. 利用者の背中に装着される背中パッドと、
    その背中パッドの上部を利用者の肩部に固定する肩固定手段と、
    その背中パッドの下部を利用者の股関節部に固定する股関節固定手段と、
    その背中パッドに沿って配置され、一端が背中パッドの上部に固定され、他端が背中パッドの下部に固定され、固定された両端間距離を伸縮するアクチュエータとを有する筋力補助装置。
  2. ER流体によって利用者と接触する部位の変形抵抗力を変化させることを特徴とする請求項1の筋力補助装置。
  3. 利用者の前屈角度を認識する前屈角認識手段と、
    利用者の腹筋と背筋で発生している力を認識する腹背筋力認識手段とを有する請求項1又は2の筋力補助装置。
  4. 前記前屈角認識手段と前記腹背筋力認識手段の認識値に基づいて前記アクチュエータの動作を制御するコントローラを有する請求項3の筋力補助装置。
  5. 前記コントローラが、前記前屈角認識手段で認識される利用者の前屈角度の変化と、前記腹背筋力認識手段で認識される腹背筋力の変化によって利用者の動作を推定し、推定された動作に対応する態様で前記アクチュエータの動作を制御することを特徴とする請求項4の筋力補助装置。
  6. 前記コントローラが、前記腹背筋力認識手段で認識される腹背筋力に基づいてアクチュエータの伸縮力を増減することを特徴とする請求項5の筋力補助装置。
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