JP2004537905A - 極超短波共振回路ならびにそのような共振回路を使用した同調可能な極超短波フィルタ - Google Patents
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Abstract
Description
【0001】
本発明は、極超短波共振回路ならびにそのような共振回路を使用した周波数同調可能な極超短波フィルタに関するものである。
【0002】
本発明は、例えばマルチバンド携帯電話といったような、極超短波周波数帯域内における磁気的制御または機械的制御に基づいた周波数同調を使用しているような、任意の送受信デバイスに対して応用することができる。
【背景技術】
【0003】
極超短波アプリケーションの開発においては、より高性能の極超音波機能(より良好な無線性能、より小さな電力消費、さらなる小型化、周波数感度、製造コストおよび配線コストが小さいこと)が要求されている。
【0004】
周波数同調可能なフィルタは、複数の極超短波機能からなる特に重要なファミリーを形成している。従来技術においては、周波数同調可能なフィルタの製造方法として様々な方法が公知である。
【0005】
例えば、周波数は、ダイオードタイプの電子素子(バラクタダイオードあるいはPINダイオード)を使用して同調することができる。電子素子フィルタは、大きな挿入損失を有しており、それら電子素子の使用に基づく大きなノイズレベルを有している。
【0006】
周波数同調可能フィルタは、また、強誘電体材料から形成することもできる。このようなフィルタは、ノイズレベルが比較的小さいという利点を有しているものの、大きな制御電圧を必要とするとともに、挿入損失が大きい。
【0007】
磁性材料を使用した同調可能なフィルタも、また、公知である。
【0008】
最も広く使用されているフィルタにおいては、フェライトやイットリウムガーネット(YIG)といったようなフェリ磁性材料が使用されている。このようなフィルタは、大きなスタティック制御磁界を必要とし、そのためには、コイルを使用して大きな電流を流さなければならない、という欠点を有している。それらの動作は、外部磁界の影響に応じてジャイロ磁気透磁率が変動することを原理としている。その場合、磁性部材の内部において所定の磁界を生成するためには、『消磁磁界』が打ち勝たなければならない。この制御磁界は、内部磁界と消磁磁界との和に等しくなければならない。固体材料の場合には、消磁磁界は、試料の形状の関数として計算することができる。例えば、高さと幅との比が1/10であるようなフラットなフェライト直方体を想定する。この場合、消磁磁界は、飽和時点における磁化の7%程度の値に到達することができる。フェライトにおいては、これは、24kA/mという程度の制御磁界をもたらし、有効磁界に追加される。この大きさの値には、問題がある。
【0009】
強磁性材料も、また、極超短波フィルタの形成に際して使用される。フェライトとは違って、強磁性材料の導電特性は、付加的な制約を意味し、導電損失が、波動伝搬に対抗することを妨げる。ラインフィルタにおけるマイクロストリップは、1つまたは複数の強磁性体層を備えたものとして形成された(“Tuneable microstrip device controlled bya weak magnetic field using ferromagnetic laminations”A.L. Adenot, O. Acher,T. Taffary, P. Queffelec, G. Tanne, JOURNAL OF APPLIED PHYSICS, May 1, 2000 を参照されたい)。
【0010】
強磁性材料体層は、マイクロストリップラインの入力ポートと出力ポートとの間に挿入される。このようにして形成されたフィルタは、帯域消去フィルタであって、バンド幅は、強磁性材料のジャイロ磁気吸収ラインの幅にのみ依存する。その場合、フィルタリングは、磁性材料の選択的損失の結果となる。吸収ラインの幅は、数百MHzの程度であり、ほとんど変更することができない。
【非特許文献1】
“Tuneable microstrip device controlled by a weak magneticfield using ferromagnetic laminations”A.L. Adenot, O. Acher, T. Taffary,P. Queffelec, G. Tanne, JOURNAL OF APPLIED PHYSICS, May 1, 2000
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上述した様々な公知フィルタにおける欠点や制約を有していない。
【0012】
本発明は、極超短波共振回路に関するものであって、少なくとも1つの共振マイクロストリップライン部材を具備するとともに、この共振マイクロストリップライン部材が、導電性リボンと、グラウンド面と、備えている。極超短波共振回路は、少なくとも1つの複合部材を具備し、この複合部材が、強磁性体層と絶縁体層との交互積層から構成され、複合部材が、導電性リボンとグラウンド面との間に配置されている。
【0013】
本発明は、また、少なくとも1つの共振回路を具備してなる周波数同調可能な極超短波フィルタに関するものである。極超短波共振回路は、本発明による共振回路とされ、さらに、複合部材に対して磁界を印加するための磁界印加手段を具備している。
【0014】
以下の説明においては、強磁性体層と絶縁体層との交互積層から構成された複合部材は、『強磁性体エッジ絶縁ラミネーション』に関して、LIFTと略記される。例えば、このタイプの複合部材は、“Composite hyperfrequence anisotrope” と題する仏国特許出願公開第2 698 479号明細書に開示されている。
【0015】
例えば、共振マイクロストリップライン部材は、λg を共振マイクロストリップライン部材内を伝搬する波長としたときに、λg/4 に略等しい長さを有した開放回路とすることができる、あるいは、λg/2 に略等しい長さを有した短絡回路スタブとすることができる、あるいは、λg/2 に略等しい長さを有したライン部材とすることができる。当業者には周知なように、『スタブ』という用語は、メイン伝搬ラインに対して平行に配置された開放回路または短絡回路内におけるライン部材を意味している。
【0016】
強磁性体層と絶縁体層とは、導電性リボンに対しておよびグラウンド面に対して平行に、積層される。好ましくは、強磁性体層は、0.05μm〜2μmという厚さとされ、絶縁体層は、2μm〜50μmという厚さとされる。好ましくは、強磁性材料の比率は、容積に関する比率において、0.2%〜20%とされる。また好ましくは、強磁性材料の透磁率((μ−1)の絶対値)と、強磁性材料の容積比率(f)と、の積は、0.5〜300とされる。好ましくは、飽和時点における強磁性体層の磁化は、400kA/mより大きいものとされる。
【0017】
例えば、LIFT構造体は、フレキシブルなマイラー(登録商標)基体やカプトン(登録商標)基体と、このような基体上に成膜された強磁性体層と、からなる積層体を備えている。積層体どうしは、互いに接着される。例えば、積層体の厚さは、マイクロストリップラインの基体の合計厚さの50%〜100%とされる。
【0018】
LIFT複合体を使用することにより、有利には、比較的小さな磁界を使用して周波数同調を制御することができる。好ましくは、磁界は、80A/m〜25kA/mとされる。このことは、また、フェリ磁性材料を使用した場合と比較して、ずっと低コストでもって大量生産することを可能とする。
【0019】
共振周波数を制御してLIFT複合体のジャイロ磁気透磁率を制御するためのデバイスは、静磁界印加源から構成することができる。この静磁界印加源は、強磁性体層に対して平行な方向において、LIFTに対して作用する。例えば、磁界印加源は、電流を流し得る複数のコイルからなるシステム、あるいは、永久磁石、とすることができる。
【0020】
周波数制御は、また、強磁性体層がなす面に対して平行にLIFTに対して応力を印加することによって、行うこともできる。この場合、LIFTを構成している強磁性体層は、例えば絶対値で3〜35×10−6といったような、無視できない磁気歪み係数を有していなければならない。印加された応力を使用することによって、強磁性体層内における内部磁界の強度および向きを変更することができる。例えば、印加される応力は、10〜800MPaとすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明の他の特徴点や利点は、添付図面を参照しつつ、本発明の好ましい実施形態に関する以下の説明を読むことにより、明瞭となるであろう。
【0022】
すべての図面にわたって、同じ符号は、同じ部材を示している。
【0023】
図1は、強磁性フィルム層に関して測定された比透磁率を示している。限定するものではないけれども、例示するならば、強磁性フィルム層の厚さは、0.43μmである。
【0024】
当業者には、媒体の比透磁率(μ)が、複素数によって表現されるものであることは、公知である。すなわち、μ=μ’−jμ”である。
【0025】
図1は、比透磁率(μ)の実部(μ’)および虚部(μ”)が、周波数に依存することを示している。
【0026】
強磁性材料の天然の共振周波数は、実部(μ’)が1に等しくかつ虚部(μ”)が最大値に等しいことによって、特徴づけられる。図1の例で言えば、共振周波数は、1.6GHz付近である。虚部(μ”)のピーク幅は、典型的には、数百MHzである(この例においては、700MHz)。
【0027】
ジャイロ磁気共振周波数よりも下の数百MHzにおいては、比透磁率は、実質的に実数である。したがって、損失は、わずかであるかあるいは存在しない。有利には、本発明による強磁性材料は、この周波数領域において使用される。
【0028】
図2は、マイクロストリップラインとLIFT複合体とからなる構造の透過係数を、様々なライン幅に関して、周波数の関数として示している。透過係数は、互いに異なる3つのライン幅(W1=3.3mm、W2=4.2mm、W3=6mm) に関して、単位をデシベルとして表示されている(S21(dB))。
【0029】
マイクロストリップラインは、公知なように、導電性リボンと、グラウンド面と、から構成されている。導電性リボンとグラウンド面とは、誘電性媒体によって隔離されている。図2の測定に関する構造においては、強磁性複合体は、マイクロストリップラインの導電性リボンとグラウンド面との間に配置されている。この例においては、導電性リボンは、4.2mm幅に選択されている。
【0030】
極超短波において強磁性複合体のラミネートを使用することは、強磁性体層内に誘導される電流の発生のために、損失を導入する。このような誘導電流は、強磁性体層面内に極超短波電界成分が存在することに起因する。図2は、このような損失を制限するためには、リボン幅がLIFT強磁性複合体の幅以上でなければならないことを、明確に示している。デバイスの観測されたレスポンスは、実際に、リボン幅がLIFT複合体の幅よりも小さい場合(W1 =3.3mm)には、挿入損失レベルが、リボン幅が強磁性複合体の幅以上である場合(W2 =4.2mm;W3 =6mm)と比較して、高周波数領域(すなわち、吸収ピークよりも大きな周波数領域)において、ずっと大きいことを示している。
【0031】
さらに、共振周波数は、動的消磁磁界の影響に敏感である。このような磁界の影響により、高周波数に向けて磁気吸収周波数がオフセットされる。共振周波数のこのオフセットは、極超短波磁界が磁性基体内に侵入してそこから離脱する際に強磁性複合体の表面上に磁極を形成することに基づく。ラインの幾何形状特性に関する数値解析により、この共振周波数が確認されている。
【0032】
図3Aおよび図3Bは、本発明による極超短波共振回路の第1実施形態を示している。図3Aは、その共振回路の平面図であり、図3Bは、図3AにおけるA−A’線に沿った矢視断面図である。
【0033】
共振回路のこの第1実施形態は、本発明による可変周波数第一次タイプの帯域消去フィルタの実現可能性を示している。この場合、周波数に対する感度は、外部静磁界(H0 )の作用のもとにあるいは外部応力の作用のもとに、LIFT複合体の磁気的性質を変更することによって、得られる。
【0034】
幅(WR )を有したリボン(1)が、幅(W)を有したリボン(2)に対して平行に設置されている。それら幅は、典型的には、デバイスの入力インピーダンスおよび出力インピーダンスに対応する。LIFT複合体(3)が、リボン(1)とグラウンド面(4)との間に配置されている。リボン(2)に対して平行に配置されかつ幅(WR )を有したリボン(1)は、共振ライン部材を形成する。
【0035】
帯域消去機能の共振周波数は、リボン(1)の長さ(L)と幅(WR )とによって制御され、また、グラウンド面(4)からリボン(1)を隔離している媒体の本来的パラメータ(誘電率および透磁率)によって制御される。
【0036】
それらパラメータの1つが、外部擾乱の印加によって変更されたときには、バイパス面内における対応インピーダンスが変更され、共振周波数が変更される。消磁状態においては、材料のインピーダンスは、透磁率が大きいことのために、大きい。材料が飽和したときには、比透磁率が1となる傾向があり、共振周波数が、誘電性基板に対して計算される周波数となる傾向がある。よって、磁気的制御による周波数感度を有した帯域消去機能を得ることができる。図4は、図3Aおよび図3Bに示す共振回路と同様の共振回路を備えてなる極超短波周波数フィルタにおいて、印加磁界(H0 )の値を変更した場合(ここでは、H0 は、0A/mから20kA/mへと変更されている)の透過係数を、単位をdBとして(S21dB)示している。
【0037】
本発明によるフィルタデバイスの利点は、フィルタのバンド幅を、ある程度にわたって制御できることである。フィルタのバンド幅は、有利には、『スタブ』の電気的特性に依存する。例えば、スタブの長さおよび幅に依存する。強磁性材料を使用しているような従来技術によるフィルタデバイスは、この利点を有していない。それは、バンド幅を固定するためにジャイロ磁気損失しか使用していないからである。本発明においては、例えば、スタブ長さを2倍として、開放回路を短絡回路によって代替することによって、バンド幅を低減することができる(−3dBにおけるバンド幅が、2分の1以下となる)。
【0038】
LIFT複合体(3)は、例えば直方体を形成するような、1組をなす複数の層から形成される。例えば、各層は、Co87Nb11.5Zr1.5 からなる0.43μm厚さのアモルファス強磁性成膜体から構成することができ、飽和における磁化は、厚さ(e)が12μmのカプトン(登録商標)基体上において、875kA/mに等しい。例えば、成膜体は、マグネトロンの前方側において連続的に巻き解かれるカプトン(登録商標)フィルム上への強磁性材料の真空下陰極マグネトロンスパッタによって、形成することができる。基体上におけるマグネトロンの残留磁界は、材料の磁化を、材料の平面内において好ましい向きへと配向させる。この向きは、『磁化容易軸』と称される。100MHzあるいはそれ以上といったような周波数においては、磁化容易方向に沿って印加された極超短波に対する比透磁率は、1に近いものとなる。一方、磁化容易方向に対して直交した湾曲面の方向においては、比透磁率は、大きい。
【0039】
制御磁界(H0 )は、例えば1つまたは複数のコイルといったような従来的磁界印加手段を使用することによって、印加することができる。その場合、磁極や永久磁石を使用することもできるし、また、使用しなくても良い。磁界(H0 )は、(LIFT複合体の容積の程度といったような)小さな容積に対して印加される。このことは、有利には、制御回路の消費電力を小さなものとする。静磁界の強度は、例えば、20kA/m以下とすることができる。
【0040】
本発明によるフィルタの変形例においては、磁気的制御ではなく、機械的応力を使用することによって、フィルタの同調を行う。
【0041】
その場合、磁気歪みが小さなCoNbZr層から形成することに代えて、LIFT複合体は、例えばFeCoSiB合金といったような、より強力な磁気歪み材料を使用して形成される。しかしながら、鉄含有量とコバルト含有量との間の比が、2〜10%であるような組成は、使用されない。それは、磁気歪み係数がかなり小さいことが公知であるからである。例えば、Fe66Co18Si1B14 といったような合金は、30×10−6という程度の磁気歪み係数を有しており、一方、先の例におけるCoNbZrは、10−6という程度の磁気歪み係数を有している。この材料は、また、飽和状態において、1430kA/mという大きな磁化を有しているという利点を有している。機械的応力が、層の異方性に対して印加されたあるいは差し引かれた外部磁界と等価であることは、公知である(応力の符号および印加方向に依存する)。先の例においては、層平面内における1MPaという圧縮応力は、応力に対して垂直な方向において層平面内に印加された56A/mという程度の外部磁界と等価である。等価な外部磁界は、応力に比例する。したがって、8kA/mという外部制御磁界に対して等価な応力は、強磁性体に対して140MPaという程度の応力を印加することによって、得られる。フレキシブル基体の弾性係数は、強磁性体の弾性係数よりもずっと小さいことにより、LIFT複合体に対して印加されるべき平均応力は、そのような値よりも小さいものであって、12μm厚さのマイラー(登録商標)基体上における0.4μm厚さの強磁性体層からなるLIFTの場合には、8MPaという程度である。したがって、LIFTのサイズが小さいことを考慮すれば、導入される力を非常に小さくすることができて有利であり、圧電制御を効果的にもたらすことができる。
【0042】
応力は、電気的に制御される圧電デバイスを使用して印加することができる。このような圧電デバイスは、LIFT複合体を歪ませて、同調特性を変化させる。
【0043】
0.43μmという厚さの強磁性体が、優先的に選択された。それは、考慮している材料に関しては、厚さを極端に増大させると、共振周波数以下において付加的な損失(表皮効果に基づく損失)が導入されるからであり、一方、厚さを極端に減少させると、LIFT部材内における強磁性成分が極度に減少してしまって、透磁率が減少するからである。しかしながら、LIFT隔離体の厚さを減少させた場合には(隔離体の厚さとは、接着剤の厚さと、強磁性体層上に成膜される誘電物質の厚さと、の合計に等しい)、LIFT部材の透磁率を、一定に維持し得ること、あるいは、より薄い強磁性体を使用しても増大させることさえ可能であること、に注意されたい。よって、強磁性体の成膜のために、3.5μm厚さの、あるいは、1.6μm厚さとさえいったような、マイラー(登録商標)誘電体層を使用することができる。
【0044】
フレキシブルフィルム上における強磁性成膜体は、エポキシ系接着剤を使用して、積層体の形態をなす構造とされる。接着剤の厚さは、5μmを超えないものとされる。多層複合体の厚さは、マイクロリボンラインの基体よりもわずかに厚いように選択され、図示の例においては、特に、0.625mmとされる。LIFT材料の直方体部分は、マイクロリボンラインのグラウンド面に対して平行に複数の強磁性ラミネート体を配置し得るよう、所望寸法をなすように機械加工される。
【0045】
図5は、本発明による、階段状インピーダンス型の共振器回路を示している。階段状インピーダンス共振器を使用した極超短波フィルタは、また、本明細書中においては、SIRフィルタ(SIRとは、“Stepped Impedance Resonator” を表している)と称されることもある。
【0046】
SIRフィルタの主要な利点は、使用の融通性であり、特に、容易に形成可能な隣接部分どうしの間における特性インピーダンス比を決定することによって、いくつかの技術的制約を克服し得ることである。SIRフィルタは、複数の調和周波数(あるいは、倍音周波数)における寄生フィードバックが起こり得るという欠点を有している。非従来的階段状インピーダンス共振器を使用することにより、すなわち、共振器のランダムブレークダウンを有した階段状インピーダンス共振器を使用することにより、寄生フィードバックの制御に関してのおよび損失や寄生効果の制御に関しての新たな見通しがもたらされていることが、示されている(“Improvement of global performances of band-pass filters using non-conventional stepped impedance resonators”, S. Denis; C. Person; S. Toutain; S. Vigneron; R. Theron; EUMC, October 5-7, 1998, Amsterdam, p. 323, vol. 2 を参照されたい)。
【0047】
本発明によるSIRフィルタは、有利には、いくつかの寄生フィードバックの存在を除去することができる。その場合、寄生フィードバックは、寄生フィードバックをLIFT材料のジャイロ磁気共振と一致させることによって、除去される。これにより、第一次寄生フィードバックを制御しつつ、可変周波数フィルタを形成することができる。
【0048】
本発明によるSIRフィルタの形状が、図5に図示されている。長さ(L)を有したリボン(5)は、第1組をなす複数の連結ライン(6)と第2組をなす複数の連結ライン(7)との間に導入されている。LIFT材料(8)が、リボン(5)の下方に配置されている。連結ライン(6,7)とリボン(5)とから形成されたアセンブリは、合計長さがλg/2 に略等しいような共振器を形成する。実際には、共振器長さは、インピーダンス比に応じて、λg/2 よりもわずかに長いもの、あるいは、λg/2 よりもわずかに短いもの、とされる。
【0049】
好ましくは、LIFT部材は、2組の連結ラインの間の中央に配置され、これにより、連結ラインどうしの結合レベルにより実質的に固定されるフィルタバンド幅を変更しないものとされる。よって、静磁界を印加することにより、変更されるものは、λg/2 ラインの長さが変更されることに基づいて、フィルタの中心周波数だけである。磁界によっては、入力結合も出力結合も影響を受けることがなく、フィルタのバンド幅は、実際には、印加された静磁界には影響を受けないままである。フィルタは、例えば、 Arlon(商標名)基体(εr =3.5)上に形成することができる。これにより、基体の誘電率を、LIFT複合体の誘電率と同様とすることができ、電磁気的不連続性を低減することができる。静磁界を変化させたときに測定された様々なレスポンスが、図6に示されている。
【0050】
図6は、印加磁界(H0 )の値を変更した場合(ここでは、H0 は、0A/mから20kA/mへと変更されている)に、図5に示す共振回路と同様の共振回路を備えてなる極超短波同調可能周波数フィルタにおける反射係数(S11(dB))と透過係数(S21(dB))とを、単位をdBとして示している。
【0051】
±24%に相当する変化は、f0 =1.08GHz付近において得られる。図6は、フィルタリングされたバンド幅が、ジャイロ磁気損失ピークの幅よりもかなり小さいことを、明瞭に示している。このことは、現存の同調可能磁性フィルタと比較しての、本発明によるフィルタの利点および汎用性を明瞭に示している。
【0052】
マイクロリボンラインの幾何形状特性および材質は、挿入損失レベルという観点においてフィルタレスポンスを改良し得るよう、上述のようにして考慮される。
【0053】
図7は、本発明による共振回路の第3実施形態を示している。図7に示す共振回路は、容量結合を有しているとともにλg/2 共振器を有した共振回路である。2つのライン(9,11)の間には、λg/2 という長さを有したライン部材(10)が配置されている。容量結合は、ライン(9)とライン部材(10)とを隔離している第1スペース(e1)によって、および、ライン部材(10)とライン(11)とを隔離している第2スペース(e2)によって、形成されている。LIFT複合体(12)が、ライン部材(10)の下方において、中央位置に配置されている。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】強磁性フィルム層において測定された比透磁率の一例を示すグラフである。
【図2】マイクロストリップラインとLIFT複合体とからなる構造の透過係数を、様々なライン幅に関して、周波数の関数として示すグラフである。
【図3A】本発明による極超短波共振回路の第1実施形態を示す図である。
【図3B】本発明による極超短波共振回路の第1実施形態を示す図である。
【図4】図3Aおよび図3Bに示す共振回路と同様の共振回路を備えてなる極超短波同調可能周波数フィルタにおける透過係数を示すグラフである。
【図5】本発明による周波数スキップ共振器タイプの極超短波共振回路を示す図である。
【図6】図5に示す共振回路と同様の共振回路を備えてなる極超短波同調可能周波数フィルタにおける反射レスポンスと透過レスポンスとを示すグラフである。
【図7】本発明による、容量結合を有した極超短波共振回路を示す図である。
【符号の説明】
【0055】
1 導電性リボン
3 LIFT複合体(複合部材)
4 グラウンド面
5 導電性リボン
6 第1組をなす複数の連結ライン(メインライン)
7 第2組をなす複数の連結ライン(メインライン)
8 LIFT材料(複合部材)
9 ライン(メインライン)
10 ライン部材(共振マイクロストリップライン部材)
11 ライン(メインライン)
12 LIFT複合体(複合部材)
Claims (12)
- 極超短波共振回路であって、
少なくとも1つの共振マイクロストリップライン部材を具備するとともに、この共振マイクロストリップライン部材が、導電性リボンと、グラウンド面と、備えているような、共振回路において、
少なくとも1つの複合部材を具備し、
この複合部材が、強磁性体層と絶縁体層との交互積層から構成され、
前記複合部材が、前記導電性リボンと前記グラウンド面との間に配置されていることを特徴とする共振回路。 - 請求項1記載の共振回路において、
前記共振マイクロストリップライン部材が、メインラインに対して平行に配置された開放回路または短絡回路スタブであることを特徴とする共振回路。 - 請求項1記載の共振回路において、
前記共振マイクロストリップライン部材が、λg を前記共振マイクロストリップライン部材内を伝搬する波長としたときに、λg/2 に略等しい長さを有したライン部材とされ、さらに、容量結合を介してメインラインに対して接続されていることを特徴とする共振回路。 - 請求項1記載の共振回路において、
前記共振マイクロストリップライン部材が、長さLを有したライン部材から構成され、さらに、第1組をなす複数の連結ラインと第2組をなす連結ラインとの間に配置され、
前記共振マイクロストリップライン部材と前記第1組をなす複数の連結ラインと前記第2組をなす連結ラインとから形成されたアセンブリが、λg を前記共振マイクロストリップライン部材内を伝搬する波長としたときに、λg/2 に略等しい合計長さを有していることを特徴とする共振回路。 - 請求項1〜4のいずれか1項に記載の共振回路において、
前記複合部材が、直方体の形態とされ、
この直方体の幅が、前記リボンの幅よりもわずかに小さなものとされ、
前記直方体が、前記リボンの下方において、中央位置に配置されていることを特徴とする共振回路。 - 請求項5記載の共振回路において、
前記複合部材の厚さが、前記リボンと前記グラウンド面とを離間している距離の50%〜100%とされていることを特徴とする共振回路。 - 請求項1記載の共振回路において、
前記複合部材の前記絶縁体層が、カプトン(登録商標)またはマイラー(登録商標)から形成されていることを特徴とする共振回路。 - 少なくとも1つの共振回路を具備してなる周波数同調可能な極超短波フィルタであって、
前記共振回路が、請求項1〜7のいずれか1項に記載された共振回路とされ、
さらに、前記複合部材に対して磁界を印加するための磁界印加手段を具備していることを特徴とする極超短波フィルタ。 - 請求項8記載の極超短波フィルタにおいて、
前記磁界印加手段が、電流を流し得る少なくとも1つのコイル、および/または、永久磁石を、備えていることを特徴とする極超短波フィルタ。 - 請求項8または9記載の極超短波フィルタにおいて、
前記強磁性体層をなす材料が、Co87Nb11.5Zr1.5 であることを特徴とする極超短波フィルタ。 - 請求項8記載の極超短波フィルタにおいて、
前記磁界印加手段が、前記複合部材に対して機械的応力を印加するための手段とされ、
前記強磁性体層が、磁気歪み材料から形成されていることを特徴とする極超短波フィルタ。 - 請求項11記載の極超短波フィルタにおいて、
前記磁気歪み材料が、コバルト含有量と鉄含有量との間の比が2〜10%であるような組成を除く組成を有したFeCoSiB合金とされていることを特徴とする極超短波フィルタ。
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