JP2004537614A - 柔軟性を向上させた熱可塑性構成物 - Google Patents

Abstract

本発明は、熱可塑性重合体構成物の柔軟性を向上させる目的で１番目と２番目の脂肪酸アミドを組み合わせて用いることに向けたものである。脂肪酸アミドの組み合わせを１番目の脂肪酸アミドが約１０から９０重量パーセントで２番目の脂肪酸アミドが９０から１０重量パーセントであると言った混合比で提供する。そのような１番目と２番目の脂肪酸アミドを熱可塑性重合体である担体樹脂の中に配合し、優先的に、全脂肪酸アミド充填含有量が０．５から７５重量パーセントの濃厚ペレットとして生じさせる。この濃厚ペレットを熱可塑性重合体基材の中に約１から１５パーセントの範囲のレットダウンレベルで導入して熱可塑性樹脂を生じさせるが、前記レットダウンレベルは２から１０パーセントの範囲が好適であり、３から６パーセントの範囲が最も好適である。

Description

【技術分野】
【０００１】
本発明は、熱可塑性構成物（ｔｈｅｒｍｏｐｌａｓｔｉｃ ｃｏｎｓｔｒｕｃｔｓ）、より詳細には、押出し加工された熱可塑性構成物の柔軟性を向上させる目的で１番目と２番目の脂肪酸アミドを溶融添加剤（ｍｅｌｔ ａｄｄｉｔｉｖｅｓ）として組み合わせて用いることに関し、そのような構成物には、連続フィラメント、ミクロフィラメント（ｍｉｃｒｏｆｉｌａｍｅｎｔｓ）、ステープル繊維（ｓｔａｐｌｅ ｆｉｂｅｒｓ）およびフィルム（ｆｉｌｍｓ）が含まれる。
【背景技術】
【０００２】
熱可塑性プラスチックは使い捨ておよび半耐久品の加工で用いられる益々普及してきている材料になっている。熱可塑性プラスチックを特殊な性能要求に合致するように設計された織布および不織布の両方の特殊な布およびフィルムに成形することができ、その結果として、そのような熱可塑性材料はいろいろな医学、衛生および産業用途に取り込まれている。結果として得た熱可塑性材料が加工品の中で示す性能を更に向上させるか或は他の様式で変える目的で、そのような熱可塑性材料を変性する研究開発が進行している。
【０００３】
そのような研究開発の特別な焦点は、熱可塑性重合体基材（ｔｈｅｒｍｏｐｌａｓｔｉｃ ｐｏｌｙｍｅｒ ｂａｓｅ）に添加剤を添加することでその熱可塑性樹脂の性能を注文に合わせることにあった。熱可塑性重合体の性能の変性が進展したことは、疎水性、親水性、抗菌活性、バリヤー（ｂａｒｒｉｅｒ）特性、および静電荷の保持または逸散を変えることに向けた典型的な性能用添加剤（ｐｅｒｆｏｒｍａｎｃｅ ａｄｄｉｔｉｖｅ）の特許の中に明らかに示されている。
【０００４】
そのような添加剤は熱可塑性重合体の性能を成功裏に変性したが、結果として得られる製品の柔軟性品質（ｓｏｆｔｎｅｓｓ ｑｕａｌｉｔｉｅｓ）に有害な影響を与えたと予測される。ある製品を触覚および延性性能の両方の意味で測定した柔軟性は、そのような製品の使用者受け入れに関して重要な点である。熱可塑性構成物が示す柔軟性の向上を具体的に取り扱っている特許は数多く存在するが、しかしながら、関連した化学的性質はそれらがそのような性能用添加剤に適合しないような化学的性質である。
【０００５】
結果として得られる製品の柔軟性を向上させはするが性能用添加剤とは適合しないと言った合わない要求が熱可塑性プラスチック用添加剤に存在したままである。最終使用製品に認められる柔軟性は重要であることから、また、熱可塑性構成物の柔軟性が更に向上するように他の柔軟性向上用添加剤（ｓｏｆｔｎｅｓｓ ｉｍｐｒｏｖｅｍｅｎｔ ａｄｄｉｔｉｖｅｓ）と一緒に好都合に配合可能な柔軟化用添加剤も求められている。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【０００６】
本発明は、熱可塑性重合体構成物の柔軟性を向上させる目的で１番目と２番目の脂肪酸アミドを組み合わせて用いることに向けたものである。脂肪酸アミドの組み合わせを１番目の脂肪酸アミドが約１０から９０重量パーセントで２番目の脂肪酸アミドが９０から１０重量パーセントであると言った混合比で提供する。そのような１番目と２番目の脂肪酸アミドを熱可塑性重合体である担体樹脂（ｃａｒｒｉｅｒ ｒｅｓｉｎ）の中に配合し、優先的に、全脂肪酸アミド充填含有量が０．５から７５重量パーセントの濃厚ペレットとして生じさせる。この濃厚ペレットを熱可塑性重合体基材の中に約１から１５パーセントの範囲のレットダウンレベル（ｌｅｔｄｏｗｎ ｌｅｖｅｌ）で導入して熱可塑性樹脂を生じさせるが、前記レットダウンレベルは２から１０パーセントの範囲が好適であり、３から６パーセントの範囲が最も好適である。
【０００７】
次に、脂肪酸アミドを含有させた熱可塑性樹脂をマルチプル（ｍｕｌｔｉｐｌｅ）および連続フィラメントまたはフィルムもしくはフィルム層として押出し加工してもよい。その連続フィラメントを直接一体化させて不織布にしてもよいか或は不織複合体（ｎｏｎｗｏｖｅｎ ｃｏｍｐｏｓｉｔｅ）の１層または積層布（ｌａｍｉｎａｔｅ ｆａｂｒｉｃ）として含めることも可能である。代替として、前記連続フィラメントを束にして糸に組み込み、次に、その糸の一部または全部を織布または編織布（ｋｎｉｔｔｅｄ ｔｅｘｔｉｌｅ ｆａｂｒｉｃ）の糸として用いてもよい。脂肪酸アミド含有フィルムを単一シート製品として鋳込み成形（ｃａｓｔ）してもよいか、或は担体基質（ｃａｒｒｉｅｒ ｓｕｂｓｔｒａｔｅ）、例えば別のフィルム、織布または不織布（ｎｏｎｗｏｖｅｎ ｆａｂｒｉｃ）などの上に押出し加工してもよい。
【０００８】
その押出し加工されたマルチプルおよび連続フィラメントに場合によりけん縮を選択した度合で与えてもよく、その後、それを切断して限定されたステープル長（ｓｔａｐｌｅ ｌｅｎｇｔｈ）の繊維にしてもよい。次に、そのような熱可塑性樹脂ステープル繊維を用いてテキスタイルヤーン（ｔｅｘｔｉｌｅ ｙａｒｎｓ）を生じさせてもよいか、或は適切な手段を用いて毛羽だてて一体化させることで不織布を生じさせてもよく、そのような手段の例は熱結合（ｔｈｅｒｍｏｂｏｎｄｉｎｇ）、接着結合（ａｄｈｅｓｉｖｅ ｂｏｎｄｉｎｇ）およびヒドロエンタングルメント（ｈｙｄｒｏｅｎｔａｎｇｌｅｍｅｎｔ）技術である。
【０００９】
前記１番目と２番目の脂肪酸アミドに加えて追加的性能用添加剤を前記熱可塑性樹脂に混合してもよい。そのような性能用添加剤には、前記熱可塑性重合体基材の性能を変性することに向けた添加剤が含まれる。疎水性、親水性、抗菌活性、バリヤー特性、および静電荷の保持または逸散の意味で前記熱可塑性重合体基材を変性する添加剤が適切な性能用添加剤の例である。
【００１０】
前記熱可塑性樹脂構成物が示す柔軟性のさらなる向上を得る目的で１番目と２番目の脂肪酸アミドを他の柔軟性向上用添加剤と一緒に配合してもよいことは本発明の範囲内である。適切な柔軟性向上用添加剤には、不活性な無機材料、例えば不溶な炭酸塩など、および有機作用剤、例えばシリコーンおよびシロキサンなどが含まれる。また、化粧品の調製で典型的に用いられるオレイン酸化合物（ｏｌｅｉｃ ｃｏｍｐｏｕｎｄｓ）も考慮に入るであろう。
【００１１】
また、本発明の原理を具体化する均質または複合布の製造にいろいろな組成を持たせた繊維および／またはフィラメントの混合物の使用を含めることも本発明の範囲内である。いろいろな熱可塑性重合体を同一または異なる脂肪酸アミドおよび同一または異なる性能用もしくは柔軟性向上用添加剤と一緒に配合してもよい。更に、脂肪酸アミド含有繊維および／またはフィラメントを脂肪酸アミドを配合することによる変性を受けさせていない繊維および／またはフィラメントと一緒に混合することも可能である。変性されていない繊維および／またはフィラメントを繊維の長さが均一または混ざり合っている天然もしくは合成組成物から選択する。適切な天然繊維には、これらに限定するものでないが、綿、パルプおよびビスコースレーヨンが含まれる。全体または一部として混合可能な合成繊維には、熱可塑性重合体および熱硬化性重合体が含まれる。脂肪酸アミド含有熱可塑性樹脂（ｆａｔｔｙ ａｃｉｄ ａｍｉｄｅ ｔｈｅｒｍｏｐｌａｓｔｉｃ ｒｅｓｉｎｓ）と一緒に混合するに適した熱可塑性重合体には、ポリオレフィン、ポリアミドおよびポリエステルが含まれる。そのような熱可塑性重合体は更に単独重合体、共重合体、複合体（ｃｏｎｊｕｇａｔｅｓ）および他の誘導体から選択可能であり、それらには、溶融添加剤または表面活性剤が添加されている熱可塑性重合体が含まれる。
【００１２】
また、２種類の脂肪酸アミドを含有させた１番目の熱可塑性重合体組成物が２番目の熱可塑性重合体組成物（この２番目の熱可塑性重合体組成物は前記１番目の熱可塑性重合体とは異なる熱可塑性重合体であり、これには脂肪酸アミドである柔軟化用添加剤が同じまたはより低い濃度で入っている）との関係で並んで位置する多成分繊維および／またはフィラメントを実際に生じさせることも可能である。多成分繊維および／またはフィラメントには、また、１番目と２番目の熱可塑性重合体組成物は同じであるが用いられている脂肪酸アミドである添加剤の１種以上がこの２つの組成物の間で異なる組成物も含まれ得る。追加的に、１番目の熱可塑性重合体に２種類の脂肪酸アミドを含有させそして２番目の熱可塑性重合体に脂肪酸アミドをより低い濃度で含有させるか或は全く含有させていない多成分繊維および／またはフィラメントも実際に生じさせることができる。そのような繊維またはフィラメントの輪郭および並んで位置させる熱可塑性重合体組成物の数は本発明の応用性に対する制限ではない。
【００１３】
以下の詳細な説明、添付図および添付請求の範囲から本発明の他の特徴および利点が容易に明らかになるであろう。
（詳細な説明）
本発明はいろいろな形態の態様を取り得るが、本明細書の以下に本発明の現在のところ好適な態様を記述し、本開示は本発明の例として見なされるべきであり、説明する具体的な態様に本発明を限定することを意図するものでないと理解する。
【００１４】
１番目と２番目の脂肪酸アミドを組み合わせて混合することで、熱可塑性構成物、例えば連続フィラメント、ステープル繊維およびフィルムなどの柔軟性を有利に向上させることができる。アミドは−ＣＯＮＨ_２基を有する有機化学品である。このような化学化合物はカルボン酸から誘導された化合物であることからアミドまたは酸アミドとして認識される。カルボン酸はいろいろな分子形態で生じかつまた脂肪酸の構造も構成する。
【００１５】
本発明で用いるに有用な脂肪酸アミドには、下記の一般的第一級アミン描写：
【００１６】
【化１】
【００１７】
［ここで、Ｘ＝６から２６の範囲、そしてＹ＝１３から５３の範囲］
で表される脂肪酸アミドが含まれる。
【００１８】
脂肪酸の炭素鎖は飽和度に応じてアルカン、アルケンまたはアルキン構造のいずれかであり得、対応してｙの値が変わる。また、脂肪酸の炭素鎖は、柔軟性を向上させる特徴を維持しながら、ある程度のアルキル置換および分枝も示し得る。
【００１９】
前記１番目および２番目の脂肪酸アミドに加えて追加的性能用添加剤を前記熱可塑性樹脂に混合してもよい。そのような性能用添加剤には、熱可塑性重合体基材の性能を変性することに向けた添加剤が含まれる。疎水性変性には、疎水性作用剤、例えば米国特許第５，１７８，９３１号（引用することによって本明細書に組み入れられる）に教示されているフルオロカーボンなどを混合することが含まれる。適切な親水性作用剤には、米国特許第６，２３９，０４７号に含まれているオレイルエーテルおよび米国特許第５，９６９，０２６号に示されているステアリン酸の使用が含まれ、それらは両方とも引用することによって本明細書に組み入れられる。抗菌活性を示す代表的な化学品には、米国特許第５，３００，１６７号、米国特許第５，５６９，７３２号および米国特許第５，８５４，１４７号（これらは全部引用することによって本明細書に組み入れら）の組み合わせに充分に網羅されている如き第四級アンモニウム塩の使用が含まれる。米国特許第５，６４５，６２７号（引用することによって本明細書に組み入れら）にパーフルオロアルコールを用いた静電荷保持が教示されている。米国特許第５，８１４，６８８号（引用することによって本明細書に組み入れら）に静電荷逸散が基になった適切な化学が教示されている。
【００２０】
また、熱可塑性樹脂構成物が示す柔軟性の更に一層の向上を得る目的で前記１番目と２番目の脂肪酸アミドを他の柔軟性向上用添加剤と一緒に配合してもよいことも本発明の範囲内である。適切な柔軟性向上用添加剤には、不活性な無機材料、例えば不溶な炭酸塩など、および有機作用剤、例えばシリコーンおよびシロキサンなど、そして金属酸化物（特に二酸化チタンが含まれる）が含まれる。また、化粧品の調製で典型的に用いられるオレイン酸化合物も直ちに考慮に入るであろう。また、適切な着色剤および／または不透明化剤を溶融状態の混合物に含有させることも本発明の範囲内である。
【００２１】
本発明に従う配合で用いるに適した熱可塑性重合体にはポリオレフィン、ポリアミドおよびポリエステルが含まれる。そのような熱可塑性プラスチックを更に単独重合体、共重合体、複合体および他の誘導体（溶融添加剤または表面活性剤が添加されている熱可塑性重合体を包含）から選択することも可能である。
【００２２】
本発明の脂肪酸アミド含有熱可塑性樹脂の使用を可能にする技術には、連続フィラメントの不織布、ステープル繊維の不織布、連続フィラメントもしくはステープル繊維の織物（ｗｏｖｅｎ ｔｅｘｔｉｌｅｓ）およびフィルムを生じさせる技術が含まれる。
【００２３】
連続フィラメントの不織布の製造は一般にスパンボンド（ｓｐｕｎｂｏｎｄ）法の実施を伴う。スパンボンド法は、溶融状態の重合体を供給した後に紡糸口金またはダイスとして知られる板の中の多数のオリフィスに通して圧力下で押し出すことを伴う。その結果として生じた連続フィラメントにクエンチ（ｑｕｅｎｃｈｅｄ）および延伸を数多くの方法のいずれか、例えばスロットドロー装置（ｓｌｏｔ ｄｒａｗ ｓｙｓｔｅｍｓ）、アテニュエーターガン（ａｔｔｅｎｕａｔｏｒ ｇｕｎｓ）またはゴデットロール（Ｇｏｄｅｔ ｒｏｌｌｓ）などで受けさせる。その連続フィラメントを動いている有孔表面、例えばワイヤーメッシュ（ｗｉｒｅ ｍｅｓｈ）のコンベアベルトなどの上に拘束されていないウエブ（ｌｏｏｓｅ ｗｅｂ）として集める。多層布（ｍｕｌｔｉ−ｌａｙｅｒｅｄ ｆａｂｒｉｃ）を生じさせる目的で２個以上の紡糸口金をインライン（ｉｎ ｌｉｎｅ）で用いる場合、先行して生じさせたウエブの最上表面の上に次のウエブを集める。次に、そのウエブに強化を少なくとも一時的に通常は熱と圧力を伴う手段、例えば熱点結合（ｔｈｅｒｍａｌ ｐｏｉｎｔ ｂｏｎｄｉｎｇ）などで受けさせる。そのような結合手段を用いて、前記ウエブまたはウエブの層を２本の熱い金属製ロールの間に通すが、前記２本のロールの中の１本には、所望度合の点結合、通常はそのように結合させる表面積全体の１０から４０パーセントの桁の点結合を与えかつ達成するようにエンボス加工された模様が付いている。
【００２４】
不織布の層を生じさせるスパンボンド工程に関係した手段はメルトブローン（ｍｅｌｔ ｂｌｏｗｎ）法である。また、溶融状態の重合体を紡糸口金またはダイスの中のオリフィスに通して加圧下で押し出す。フィラメントがダイスから出る時にそれらに空気を高速で衝突させかつそれらを連行させる。この段階のエネルギーは、その生じたフィラメントの直径が大きく低下しかつ崩壊を起こすことで限定された長さのミクロ繊維が生じるようなエネルギーである。この点がフィラメントの連続性を保存するスパンボンド法との違いである。単層または多層いずれかの布を生じさせる方法は連続的である、即ちその工程段階は１番目の層を形成するフィラメントの押出し加工から結合したウエブがロールに巻かれるまでとぎれない。そのような種類の布を生じさせる方法が米国特許第４，０４３，２０３号（引用することによって本明細書に組み入れられる）に記述されている。
【００２５】
現在のいろいろな不織布製造ラインには、スパンボンドステーション（ｓｐｕｎｂｏｎｄ ｓｔａｔｉｏｎｓ）が少なくとも２つと場合によりそれらの間に１つ以上のメルトブローンステーションが含まれている。それによって、個々別々のスパンボンド層とメルトブローン層で構成されている複合布を連続的に製造することが可能である。そのような布は一般にＳＭＳと呼ばれており、これは、スパンボンド−メルトブローン−スパンボンドの層が配列していることを指す。そのようなウエブに強化を受けさせる目的で典型的にはこの上に記述した如き熱点結合が用いられる。
【００２６】
不織布を生じさせる時に用いられるステープル繊維は、圧縮された繊維の俵（ｂａｌｅ）として束になった形態で始まる。それらの繊維にかかっている圧力を減じかつ前記繊維が不織布への一体化に適するようにする目的で、前記俵を数多くの繊維オープナー（ｆｉｂｅｒ ｏｐｅｎｅｒｓ）、例えばガーネット（ｇａｒｎｅｔ）などの中に大量供給（ｂｕｌｋ−ｆｅｄ）した後にカード（ｃａｒｄ）の中に送り込む。このカードに用いられている同方向回転および異方向回転のワイヤーコム（ｗｉｒｅ ｃｏｍｂｓ）によって前記繊維が更に解放された後、前記繊維が堆積してロフティーバット（ｌｏｆｔｙ ｂａｔｔ）になる。次に、場合により、そのロフティーバットのステープル繊維に繊維再配向を受けさせてもよく、例えば結果として得る不織布の最終的な引張り特性に応じてエアーランダマイザーション（ａｉｒ−ｒａｎｄｏｍｉｚａｔｉｏｎ）および／またはクロスラッピング（ｃｒｏｓｓ−ｌａｐｐｉｎｇ）などで受けさせてもよい。その繊維バット（ｆｉｂｒｏｕｓ ｂａｔｔ）に一体化を適切な結合手段を用いて受けさせて不織布を生じさせるが、そのように結合手段には、これらに限定するものでないが、接着結合剤（ａｄｈｅｓｉｖｅ ｂｉｎｄｅｒｓ）の使用、カレンダーまたはスルーエアーオーブン（ｔｈｒｏｕｇｈ−ａｉｒ ｏｖｅｎ）による熱結合、およびヒドロエンタングルメントなどが含まれる。
【００２７】
通常の織物を製造する工程は複雑な多段階工程であることが知られている。ステープル繊維糸（ｓｔａｐｌｅ ｆｉｂｅｒ ｙａｒｎｓ）の製造は、繊維にカーディング（ｃａｒｄｉｎｇ）を受けさせて粗紡機（ｒｏｖｉｎｇ ｍａｃｈｉｎｅ）（束になった繊維を捩って粗紡糸を生じさせる）用の原料を生じさせることを伴う。別法として、連続フィラメントをトウ（ｔｏｗ）として知られる束にした後、そのトウを粗紡糸の成分として用いる。紡糸機を用いて複数の粗紡糸を混合することで布の織りに適した糸にする。前記織り用糸の特定部分をワープビーム（ｗａｒｐ ｂｅａｍ）［これには機械方向の糸も入り、次にそれを織機（ｌｏｏｍ）に送り込む］に移す。前記織り用糸の他の部分が横糸またはフィルヤーン（ｗｅｆｔ ｏｒ ｆｉｌｌ ｙａｒｎｓ）（これは１枚の布の中の横方向の糸である）を供給する。現在の商業的高速織機は１分当たり１０００−１５００ピックの速度で運転されており、ここで、１ピックは１単糸である。このような織り工程によって最終的な布が１分当たり１２６０インチから１９８０インチの製造速度で生産される。
【００２８】
熱可塑性重合体から限定された厚みのフィルムを生じさせることは良く知られた慣行である。熱可塑性重合体フィルムの成形は、溶融状態の重合体をある量で所望最終製品の寸法を持たせた鋳型の中に分散させる［キャストフィルム（ｃａｓｔ ｆｉｌｍ）として知られる］か、或は溶融状態の重合体をダイスに通して連続的に押し出す（押出し加工フィルムとして知られる）ことで実施可能である。押出し加工熱可塑性重合体フィルムの成形は、そのフィルムを冷却した後、完成品として巻き取るか、或はそれを基質材料（ｓｕｂｓｔｒａｔｅ ｍａｔｅｒｉａｌ）の上に直接位置させることで前記基質と前記フィルム層の両方の性能を有する複合材料を生じさせるような様式で実施可能である。適切な基質材料の例には、他のフィルム、重合体または金属シートストック（ｓｈｅｅｔ ｓｔｏｃｋ）および織布または不織布が含まれる。
【００２９】
その押出し加工フィルムを基質材料の上に直接付着させることで前記基質材料に向上した物性を与える。適切な柔軟性と間隙率を有する熱可塑性重合体フィルムを不織布に付着させると結果として有意なバリヤー特性を有する複合材料がもたらされ、それが使い捨て可能な保護用衣服の製造で用いるに適することは本技術分野で知られている。
【００３０】
本発明の組成物を利用した押出し加工フィルムの成形は下記の代表的な直接押出し加工フィルム工程に従って実施可能である。ホッパーローダー（ｈｏｐｐｅｒ ｌｏａｄｅｒｓ）が少なくとも２つ含まれていて１つが熱可塑性重合体チップ（ｃｈｉｐ）用でありかつ１つが熱可塑性担体樹脂に入れるペレット状脂肪酸アミド用である混合および供給貯蔵装置（ｂｌｅｎｄｉｎｇ ａｎｄ ｄｏｓｉｎｇ ｓｔｏｒａｇｅ）を用いて、２基の可変速オーガー（ｖａｒｉａｂｌｅ ｓｐｅｅｄ ａｕｇｅｒｓ）への供給を行う。その可変速オーガーを用いて、前以て決めておいた量の重合体チップと添加剤ペレットを混合用ホッパーの中に移送する。この混合用ホッパーには、その混合物を更に均一にするための混合用プロペラ（ｍｉｘｉｎｇ ｐｒｏｐｅｌｌｅｒ）が含まれている。この記述した如き基本的な容積装置（ｖｏｌｕｍｅｔｒｉｃ ｓｙｓｔｅｍｓ）は、前記脂肪酸アミドを前記熱可塑性重合体の中に正確に混合するに最小限必要な装置である。前記重合体チップと添加剤ペレットの混合物をマルチゾーン押出し加工機（ｍｕｌｔｉ−ｚｏｎｅ ｅｘｔｒｕｄｅｒ）に供給する。このマルチゾーン押出し加工機による混合および押出しによって、重合体コンパウンドが加熱されている重合体用配管（ｐｏｌｙｍｅｒ ｐｉｐｉｎｇ）を通ってスクリーンチェンジャー（ｓｃｒｅｅｎ ｃｈａｎｇｅｒ）［固体または半溶融状態の重合体チップおよび他の巨視的くずを保持する目的でいろいろなスクリーンメッシュのブレーカープレート（ｂｒｅａｋｅｒ ｐｌａｔｅ）が用いられている］に通して運ばれる。次に、その混合された重合体は溶融物用ポンプ（ｍｅｌｔ ｐｕｍｐ）に送り込まれた後、コンバイニングブロック（ｃｏｍｂｉｎｉｎｇ ｂｌｏｃｋ）に送り込まれる。このコンバイニングブロックによって複数のフィルム層を押し出すことができるが、そのようなフィルム層は同じ組成のフィルム層であってもよいか或はこの上に記述した如きいろいろな装置から送り込まれたフィルム層であってもよい。前記コンバイニングブロックは押出し加工用ダイスにつながっており、前記押出し加工用ダイスは、溶融状態のフィルム押出し加工品（ｍｏｌｔｅｎ ｆｉｌｍ ｅｘｔｒｕｓｉｏｎ）をニップロール（ｎｉｐ ｒｏｌｌ）とキャストロール（ｃａｓｔ ｒｏｌｌ）の間のロール間隙に位置させるように塔頂配向（ｏｖｅｒｈｅａｄ ｏｒｉｅｎｔａｔｉｏｎ）で配置されている。
【００３１】
フィルム層押出し加工品（ｆｉｌｍ ｌａｙｅｒ ｅｘｔｒｕｓｉｏｎ）を基質材料に受け取らせる時、基質材料源をロールの形態で張力が制御されている巻き戻し機（ｕｎｗｉｎｄｅｒ）に供給する。基礎層（ｂａｓｅ ｌａｙｅｒ）を巻き戻して前記ニップロールの上を移動させる。この基質材料の上に前記押出し加工用ダイスから来る溶融状態のフィルム押出し加工品を前記ニップロールと前記キャストロールの間のロール間隙地点で付着させる。次に、新しく生じた基礎層とフィルムの複合体をストリッパーロール（ｓｔｒｉｐｐｅｒ ｒｏｌｌ）で前記キャストロールから取り出して、新しいロールの上に巻き付ける。
【００３２】
前記脂肪酸アミドを配合することで与えた向上した柔軟性を用いて通気性バリヤーフィルムを生じさせることができる。米国特許第６，１９１，２１１号に教示されている如きモノリス型フィルム（ｍｏｎｏｌｉｔｈｉｃ ｆｉｌｍｓ）および米国特許第６，２６４，８６４号に教示されている如き微孔性フィルムがそのような通気性バリヤーフィルムを生じさせる機構に相当し、前記特許は両方とも引用することによって本明細書に組み入れられる。
【００３３】
網状フィルム、例えば米国特許第４，３８１，３２６号および米国特許第４，３２９，３０９号に示されている網状フィルムなどが巨視孔性フィルム（ｍａｃｒｏｐｏｒｏｕｓ ｆｉｌｍｓ）の代表例である。そのような巨視孔性フィルムは典型的に女性用の使い捨て衛生製品のトップシートまたは表面仕上げ層（ｆａｃｉｎｇ ｌａｙｅｒ）として用いられ、これは体に直接接触し、本発明で具体化した如き向上した柔軟性から大きな利益を得る。
【００３４】
この上で考察した熱可塑性構成物の技術を用いて、向上した柔軟性性能を示す複合材料がもたらされるようにいろいろな熱可塑性構成物の組み合わせを実施することができる。１種以上の熱可塑性構成物に２種類の脂肪酸アミドを含有させた後、別の組成の２種類の脂肪酸アミドが用いられているか、含有する脂肪酸アミドの濃度が低いか、或は熱可塑性重合体組成物の中に脂肪酸アミドが全く含まれていない１種以上の熱可塑性構成物と組み合わせることも可能である。
【００３５】
本発明の原理を具体化する均質もしくは複合布の製造には、いろいろな組成を持たせた繊維および／またはフィラメントの混合物の使用が含まれる。いろいろな熱可塑性重合体を同一または異なる脂肪酸アミドおよび同一または異なる性能用もしくは柔軟性向上用添加剤と一緒に配合してもよい。その上、脂肪酸アミド含有繊維および／またはフィラメントを脂肪酸アミドを配合することによる変性を行なっていない繊維および／またはフィラメントと一緒に混合することも可能である。変性されていない繊維および／またはフィラメントを繊維の長さが均一または混ざり合っている天然もしくは合成組成物から選択する。適切な天然繊維には、これらに限定するものでないが、綿、パルプおよびビスコースレーヨンが含まれる。全体または一部として混合可能な合成繊維には、熱可塑性重合体および熱硬化性重合体が含まれる。脂肪酸アミド含有熱可塑性樹脂と一緒に混合するに適した熱可塑性重合体には、ポリオレフィン、ポリアミドおよびポリエステルが含まれる。そのような熱可塑性重合体は更に単独重合体、共重合体、複合体および他の誘導体から選択可能であり、それらには、溶融添加剤または表面活性剤が添加されている熱可塑性重合体が含まれる。ステープル長を０．２５インチから８インチの範囲から選択し、１から３インチの範囲が好適であり、そして繊維のデニールを１から１５の範囲から選択し、一般用途では２から６デニールの範囲が好適である。繊維の外形は本発明の応用性を制限するものでない。
【００３６】
上述した重合体組成物から作成した布は幅広く多様な最終使用用途を有し、そのような用途には、衛生、医学および産業品が含まれる。向上した柔軟性によって利益を得る個人用衛生品には、ライナーおよび外側バリヤー層の構成が含まれる。衛生品用ライナー、例えば使い捨ておむつおよび女性用衛生製品のトップシートまたは表面仕上げ層などは、その製品の着用者と直接接触し、従って、柔軟性、特に触覚品質の意味で柔軟性が向上すると結果として心地よさが向上する。衛生品、例えば使い捨ておむつおよび失禁保護品などの外側バリヤー層では、延性品質の変化で測定して柔軟性が向上すると、結果として柔軟性および体輪郭への順応性の向上が得られる。医学および産業用の保護製品、例えばフェースマスク（ｆａｃｅ ｍａｓｋｓ）、外科用ドレープ（ｓｕｒｇｉｃａｌ ｄｒａｐｅｓ）および手術用ガウン、ならびにクリーンルーム用衣服などもまたそのような向上した柔軟性から利益を得、従って、そのような製品を長期に亘って着用した時の着用者の心地よさが向上する。衛生、医学および産業品の加工で個別に実施される如きカフス（ｃｕｆｆｓ）構成は、その使用者の皮膚に長期間に亘って密に接触する度合に依存する。本発明を利用したカフスでは柔軟性が向上していることから、そのような製品はより長い持続期間に亘って向上した適合性および機能を維持し得るであろう。
【００３７】
本発明の真の精神および新規な概念の範囲から逸脱することのない数多くの修飾形および変形を取り得ることは前記から認められるであろう。本明細書に示す具体的な態様に関して制限を意図するものでも制限として判断されるべきでもないと理解されるべきである。本開示は本請求の範囲の範囲内に入る如きそのような修飾形の全部を添付請求の範囲に包含させることを意図する。

Claims (16)

1. 熱可塑性構成物の製造方法であって、
   ａ． 熱可塑性重合体基材組成物を準備し、
   ｂ． １番目の脂肪酸アミドを準備し、
   ｃ． 前記１番目の脂肪酸アミドの脂肪酸鎖組成とは異なる組成を有する２番目の脂肪酸アミドを準備し、
   ｄ． 前記１番目と２番目の脂肪酸アミドを前記熱可塑性重合体基材組成物に前記１番目の脂肪酸アミドが混合物の中に存在する脂肪酸アミド全体の１０から９０重量パーセントを構成しかつ前記２番目の脂肪酸アミドが混合物の中に存在する脂肪酸アミド全体の９０から１０重量パーセントを構成するように混合し、そして
   ｅ． 前記熱可塑性混合物を熱可塑性構成物として押出し加工するが、ここで、前記熱可塑性構成物が前記熱可塑性重合体基材で構成されている熱可塑性構成物に比較して向上した柔軟性を示す、
   ことを含んで成る方法。
2. 前記熱可塑性重合体基材をポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミドおよびこれらの組み合わせから成る群から選択する請求項１記載の方法。
3. 前記ポリオレフィンがポリプロピレンである請求項２記載の方法。
4. 前記熱可塑性構成物を連続フィラメント、ミクロフィラメント、繊維およびフィルムから成る群から選択する請求項１記載の方法。
5. 不織布であって、
   ａ． 熱可塑性重合体基材組成物、
   ｂ． １番目の脂肪酸アミド、
   ｃ． 前記１番目の脂肪酸アミドの脂肪酸鎖組成とは異なる組成を有する２番目の脂肪酸アミド、
   を含んで成っていて、
   ｄ． 前記１番目と２番目の脂肪酸アミドが前記熱可塑性重合体基材組成物に前記１番目の脂肪酸アミドが混合物の中に存在する脂肪酸アミド全体の１０から９０重量パーセントを構成しかつ前記２番目の脂肪酸アミドが混合物の中に存在する脂肪酸アミド全体の９０から１０重量パーセントを構成するように混合されており、
   ｅ． 前記熱可塑性混合物が熱可塑性構成物として押出し加工されていて、前記熱可塑性構成物が少なくとも１層を構成しており、
   ｆ． 前記熱可塑性構成物が不織布の中に一体化しており、そして
   ｇ． この不織布が前記熱可塑性重合体基材で構成されている不織布に比較して向上した柔軟性を示す、
   不織布。
6. 前記熱可塑性構成物が連続フィラメント、ミクロフィラメント、繊維およびこれらの組み合わせから成る群から選択される請求項５記載の不織布。
7. この不織布が使い捨て衛生製品用のトップシートとして用いられている請求項５記載の不織布。
8. この不織布が使い捨て衛生製品用の外側バリヤー層として用いられている請求項５記載の不織布。
9. この不織布がバリヤー衣服の構成で用いられている請求項５記載の不織布。
10. 押出し加工フィルムであって、
    ａ． 熱可塑性重合体基材組成物、
    ｂ． １番目の脂肪酸アミド、
    ｃ． 前記１番目の脂肪酸アミドの脂肪酸鎖組成とは異なる組成を有する２番目の脂肪酸アミド、
    を含んで成っていて、
    ｄ． 前記１番目と２番目の脂肪酸アミドが前記熱可塑性重合体基材組成物に前記１番目の脂肪酸アミドが混合物の中に存在する脂肪酸アミド全体の１０から９０重量パーセントを構成しかつ前記２番目の脂肪酸アミドが混合物の中に存在する脂肪酸アミド全体の９０から１０重量パーセントを構成するように混合されており、
    ｅ． 前記熱可塑性混合物がフィルムとして押出し加工されていて、前記フィルムが少なくとも１層を構成しており、
    ｆ． 前記熱可塑性構成物が不織布の中に一体化しており、そして
    ｇ． この不織布が前記熱可塑性重合体基材で構成されている不織布に比較して向上した柔軟性を示す、
    押出し加工フィルム。
11. このフィルムがモノリス型フィルムである請求項１０記載の押出し加工フィルム。
12. このフィルムが微孔性フィルムである請求項１０記載の押出し加工フィルム。
13. 熱可塑性構成物の製造方法であって、
    ａ． 熱可塑性重合体基材組成物を準備し、
    ｂ． １番目の脂肪酸アミドを準備し、
    ｃ． 前記１番目の脂肪酸アミドの脂肪酸鎖組成とは異なる組成を有する２番目の脂肪酸アミドを準備し、
    ｄ． ３番目の性能変性用添加剤を準備し、
    ｅ． 前記熱可塑性重合体基材と前記３番目の性能変性用添加剤を混合し、
    ｆ． 前記１番目と２番目の脂肪酸アミドを前記熱可塑性重合体／性能変性用添加剤組成物に前記１番目の脂肪酸アミドが混合物の中に存在する脂肪酸アミド全体の１０から９０重量パーセントを構成しかつ前記２番目の脂肪酸アミドが混合物の中に存在する脂肪酸アミド全体の９０から１０重量パーセントを構成するように混合し、そして
    ｇ． 前記熱可塑性混合物を熱可塑性構成物として押出し加工するが、ここで、前記熱可塑性構成物が前記熱可塑性重合体基材で構成されている熱可塑性構成物に比較して向上した柔軟性を示す、
    ことを含んで成る方法。
14. 前記３番目の性能変性用添加剤が性能用添加剤である請求項１３記載の方法。
15. 前記３番目の性能変性用添加剤が脂肪酸アミドではない柔軟化用添加剤である請求項１３記載の方法。
16. 熱可塑性構成物の製造方法であって、
    ａ． 熱可塑性重合体基材組成物を準備し、
    ｂ． １番目の脂肪酸アミドを準備し、
    ｃ． 前記１番目の脂肪酸アミドの脂肪酸鎖組成とは異なる組成を有する２番目の脂肪酸アミドを準備し、
    ｄ． ３番目の性能変性用添加剤を準備し、
    ｅ． 前記１番目と２番目の脂肪酸アミドを前記熱可塑性重合体組成物に前記１番目の脂肪酸アミドが混合物の中に存在する脂肪酸アミド全体の１０から９０重量パーセントを構成しかつ前記２番目の脂肪酸アミドが混合物の中に存在する脂肪酸アミド全体の９０から１０重量パーセントを構成するように混合し、
    ｆ． 前記熱可塑性混合物と前記３番目の性能変性用添加剤を混合し、そして
    ｇ． 前記熱可塑性混合物を熱可塑性構成物として押出し加工するが、ここで、前記熱可塑性構成物が前記熱可塑性重合体基材で構成されている熱可塑性構成物に比較して向上した柔軟性を示す、
    ことを含んで成る方法。