JP2004537576A - アルツハイマー病、パーキンソン病、全身性aaアミロイド症、および他のアミロイド疾患における線維新生の治療のためのカテキン類 - Google Patents

アルツハイマー病、パーキンソン病、全身性aaアミロイド症、および他のアミロイド疾患における線維新生の治療のためのカテキン類 Download PDF

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Abstract

哺乳動物被験体においてアミロイド疾患またはアルファ・シヌクレインもしくはNAC線維新生を特徴とする疾患を治療する方法。該方法は治療的有効量の種々の開示されたカテキン類または緑茶抽出物を哺乳動物に投与することを含む。治療的有効量のカテキンおよび薬剤的に許容される賦形剤を含有する薬剤組成物。治療的有効量のカテキンまたは緑茶抽出物は哺乳動物被験体においてアミロイド、アルファ・シヌクレイン、またはNAC線維新生の治療に有効性を示すように選択される。

Description

【技術分野】
【0001】
本発明はアルツハイマー病および他のアミロイド症を治療するための組成物および方法、および植物から薬剤を単離するための方法に関する;特に、アルツハイマー病、全身性AAアミロイド症、および他のアミロイド障害における治療介入のための使用、組成物、および方法、そしてアルファ・シヌクレイン/NAC(すなわち非アミロイド成分)線維の生成を特徴とする疾患、特にレーヴィ体疾患、パーキンソン病、および多発性全身性萎縮症の治療で、カテキン類、他の植物物質、およびその誘導体を使用するものに関する。
【背景技術】
【0002】
アルツハイマー病はベータ・アミロイドタンパク質またはAβとよばれる39-43アミノ酸ペプチドの蓄積を特徴とし、これは線維状であり、細胞外アミロイドプラークとして、そして脳血管壁内のアミロイドとして存在する。アルツハイマー病における線維状Aβアミロイド沈着は患者に有害であり、ついにはアルツハイマー病の特徴である毒性および神経細胞の死滅を引き起こすと信じられている。アミロイドがアルツハイマー病の発生の原因となる主要な因子であることを示す証拠が蓄積している。
【0003】
パーキンソン病は異常な線維状タンパク質沈着の生成、沈着、蓄積、および/または残存を特徴とする別のヒト疾患であり、これはアミロイドの特徴の多くを示す。パーキンソン病では、アルファ・シヌクレイン/NACのフィラメントからなる細胞内レーヴィ体の蓄積が病因において、また治療標的として重要であると信じられる。アルファ・シヌクレイン/NACの生成、沈着、蓄積および/もしくは残存を阻害する、または既成のアルファ・シヌクレイン/NAC線維(またはその一部)を破壊する能力のある新規の物質または化合物はパーキンソン病の治療のための治療物質となりうると考えられる。
【0004】
種々の他のヒトの疾病もアミロイド沈着を示し、通常、全身の臓器(すなわち中枢神経系の外部にある臓器または組織)に関係し、アミロイド蓄積が臓器の機能障害または不全を引き起こす。多くの異なる臓器および組織において顕著なアミロイド蓄積を引き起こすこれらのアミロイド疾患(以下に記載)は全身性アミロイド症として知られる。他のアミロイド疾患では、2型糖尿病患者の90%における膵臓のように単一の臓器が罹患しうる。この型のアミロイド症では、膵臓のランゲルハンス島におけるベータ細胞が、主として膵島アミロイド(islet amyloid)ポリペプチド(IAPP)として知られるタンパク質からなる線維状アミロイド沈着物の蓄積によって破壊されると信じられている。それらのアミロイド蓄積を阻害または低減することによって2型糖尿病の新規の有効な治療法が得られると信じられる。アルツハイマー病、パーキンソン病、および“全身性”アミロイド疾患では、現在のところ治癒または有効な治療の方法はなく、患者は通常、疾病の発症から3から10年以内に死亡する。
【0005】
アミロイド疾患には、限定される訳ではないが以下がある:アルツハイマー病、ダウン症候群、オランダ型のアミロイド症を伴う遺伝性脳出血、および封入体筋炎(myositosis)に関係するアミロイド(Askanasら, Ann. Neurol. 43:521-560, 1993)(ここで特有のアミロイドをベータ・アミロイドタンパク質またはAβと呼ぶ)、慢性炎症、種々の型の悪性腫瘍、および家族性地中海熱に関係するアミロイド(ここで特有のアミロイドをAAアミロイドまたは炎症関連アミロイド症と呼ぶ)、多発性骨髄腫および他のB細胞悪液質に関係するアミロイド(ここで特有のアミロイドをALアミロイドと呼ぶ)、2型糖尿病に関係するアミロイド(ここで特有のアミロイドタンパク質をアミリンまたは膵島アミロイドポリペプチドと呼ぶ)、クロイツフェルト-ヤコブ病、ゲルストマン-ストラウスラー症候群、クールー病、および動物スクラピーを含むプリオン病に関係するアミロイド(ここで特有のアミロイドをPrPアミロイドと呼ぶ)、長期の血液透析および手根管症候群に関係するアミロイド(ここで特有のアミロイドをベータ2-ミクログロブリンアミロイドと呼ぶ)、老人性心房性アミロイドおよび家族性アミロイド性多発性神経炎に関係するアミロイド(ここで特有のアミロイドをトランスサイレチンまたはプレアルブミンと呼ぶ)、そして甲状腺の髄様癌のような内分泌癌に関係するアミロイド(ここで特有のアミロイドをプロカルシトニンの変異体と呼ぶ)。
【0006】
更に、線維を生成し、コンゴーレッドおよびチオフラビンS陽性であるアルファ・シヌクレインタンパク質はパーキンソン病、レーヴィ体疾患(Lewy, Handbuch der Neurologie, M. Lewandowski,編, Springer, Berline pp920-933, 1912;Pollanenら, J. Neuropath. Exp. Neurol. 52:183-191, 1993;Spillantiniら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 95:6469-6473, 1998;Araiら, Neurosc. Lett. 259:83-86, 1999)、および多発性全身性萎縮症(Wakabayashiら, Acta Neuropath. 96:445-452, 1998)に罹患した患者の脳におけるレーヴィ体の一部として見られる。
【0007】
アルツハイマー病、パーキンソン病、全身性AAアミロイド症、2型糖尿病、および他のアミロイド症で起こるアミロイドの生成、沈着、蓄積、および/または残存を阻止する可能性のある治療物質としての新規の化合物または物質の発見および同定は非常に必要とされている。
【発明の開示】
【0008】
標準緑茶抽出物、そしてその誘導体および成分(例えば図1に示すカテキン化合物)の同定および使用を、アルツハイマー病、全身性AAアミロイド症、および他のアミロイド症、パーキンソン病、そしてレーヴィ体疾患の治療的介入のために開示する。
【0009】
更に、緑茶抽出物中の有効なアミロイド阻害成分の同定および精製のための単離法を開示する。種々の市販標品に含有される標準緑茶葉抽出物およびその成分(すなわち50%ポリフェノール)を使用することはアルツハイマー病および他のアミロイド症、パーキンソン病、およびレーヴィ体疾患に罹患したヒト患者に有益であると予想され、これはアミロイド線維生成、およびパーキンソン病のアルファ・シヌクレイン線維およびレーヴィ体生成を阻害し、既成のアミロイドおよびアルファ・シヌクレイン線維の溶解(dissolution)/破壊(disruption)および分散(disaggregation)を起こす緑茶葉抽出物の能力による。
【0010】
出願人の同定および驚くべき発見によれば、市販のカテキン類、例えば標準緑茶抽出物中に存在するものおよび標準緑茶葉抽出物そのもの(50%ポリフェノールに標準化された抽出物に見られるような)がアルツハイマー病のアミロイド線維生成、全身性AAアミロイドの線維生成、およびパーキンソン病のアルファ・シヌクレイン/NAC線維生成の優れた阻害剤として作用する。更にまた、市販のカテキン類(制限されるわけではないがエピカテキン、カテキン、没食子酸ガロカテキン、没食子酸エピガロカテキン、エピガロカテキン、および/または没食子酸エピカテキンが含まれる)および標準緑茶葉抽出物は既成のアルツハイマー型のアミロイド線維の分解(disassembly)/破壊を引き起こす能力を有し、これはこの物質が後期のアルツハイマー患者および他のアミロイド疾患に罹患した患者に有用でありうることを示唆している。種々の市販の供給源(ゼラチンカプセルから単離した抽出物)から得た標準緑茶葉抽出物およびカテキン類はアルツハイマー病のアミロイド線維新生およびパーキンソン病のタンパク質線維新生の有効な阻害剤として役立つことが発見された。
【0011】
この開示の目的のために、パーキンソン病は、この疾病に罹患した患者の脳において線維が発生するという事実から(これはコンゴーレッドおよびチオフラビンS陽性であり、主としてベータ・プリーツシート2次構造を含有する)、アミロイド様疾患の特徴を示す疾病としてこれを同定および検討し、従ってここにおけるアミロイド症に関連する開示および請求の範囲は同様にパーキンソン病およびレーヴィ体疾患に治療的に関係すると考えられる。従って、アルツハイマー病のAβアミロイド線維生成を阻害することが発見された物質または化合物は、アルファ・シヌクレイン/NAC線維生成の阻害にも有効であると予想される。従ってこれらの物質または化合物は、アルツハイマー病、全身性アミロイド症、2型糖尿病、および他のアミロイド障害のための治療物質として有効性を有するのに加え、パーキンソン病およびレーヴィ体疾患の治療物質としても役立つ。
【0012】
選択されたポリヒドロキシル化芳香族化合物(例えばエピカテキン)はin vivoで全身性AAアミロイド症の阻害剤として有効であると考えられる。重要なことに、出願人はカテキンそのもの(エピカテキンのエピマー)は全身性AAアミロイド症の阻害剤として有効でないことを発見した。出願人は、線維状AAアミロイドの生成および/または沈着を阻害し、慢性炎症障害を有する患者に見られる全身性AAアミロイド症の治療に有用である種々のポリヒドロキシル化芳香族化合物を同定する。
【0013】
市販の標準緑茶葉抽出物および種々のカテキン類はいずれも、チオフラビンT蛍光アッセイを用量依存的に使用して測定したところ、Aβ1-40アミロイド線維生成の顕著な用量依存的阻害を誘引した。市販の供給源から得た標準緑茶葉抽出物およびカテキン類は、チオフラビンT蛍光アッセイを使用して測定したところ、アミロイド線維を含有する既成のAβ1-42の有効な阻害剤でもあり、用量依存的に作用した。選択されたポリヒドロキシル化芳香族化合物(例えばエピカテキン)はマウス実験モデルで全身性AAアミロイド症の有効な阻害剤であると考えられる。最後に、種々の市販の供給源から得た標準緑茶葉抽出物は既成のアルツハイマー病のAβ1-42アミロイド線維の分散を誘引し、種々の市販の供給源から得たカテキン類はNACを含有するパーキンソン病の線維の阻害を引き起こした。
【0014】
従って、種々の市販の供給源由来の標準緑茶葉抽出物および/または特定のカテキン類(種々の形態、すなわちピル、錠剤、液体、粉末など)、そしてその誘導体の使用をアルツハイマー病、パーキンソン病、全身性AAアミロイド症、および他のアミロイド症における線維新生の治療のために開示する。また、緑茶抽出物中の重要なアミロイド阻害成分を同定および精製するための単離方法も開示する。緑茶から抽出した植物物質中の“活性な”アミロイド阻害成分の同定により、未来の抗アミロイド療法の新たなドラッグデザインがもたらされると考えられる。標準緑茶葉抽出物およびその成分(例えば種々の市販標品中に含有されるカテキン)の現在の使用法は全ての段階のアルツハイマー病、パーキンソン病、および他のアミロイドまたはアミロイド様疾患のヒト患者に有用であると考えられ、これはカテキン類および標準緑茶抽出物の最近証明された、Aβアミロイド線維生成およびアルファ・シヌクレイン線維生成を阻害する(それぞれ初期から中期のアルツハイマー病およびパーキンソン病の治療に重要)、そして既成のアミロイド線維の溶解/破壊および分散を引き起こす(それぞれ中期から後期のアルツハイマー病およびパーキンソン病の治療に重要)能力による。同様に、カテキン類および標準緑茶葉抽出物は、アミロイド蓄積の段階および関係する臓器(または組織)に関係なく、種々の全身性アミロイド疾患(例えば全身性AAアミロイド症および2型糖尿病)を有する患者に有益であると考えられる。
【0015】
茶抽出物の結果はカメリア・シネンシス種で例証するが、ツバキ科の他の種からの抽出物は同様の効果を有すると考えられる。
緑茶、緑茶葉、および抽出物、そしてカテキン類、またはその誘導体の使用を、アルツハイマー病、パーキンソン病、全身性AAアミロイド症、2型糖尿病、および他のアミロイド症におけるアミロイドおよび/または線維の生成、沈着、蓄積、そして/または残存の治療のために開示する。
【0016】
“治療”はいずれの可能な場合においても、実験目的であってもスクリーニング目的などであっても、そしてin vitroの治療が哺乳動物被験体における類似の線維新生またはその線維新生に相当するアミロイドもしくはアルファ・シヌクレイン疾患の治療につながる(またはつながることを意図する)ものであってもなくても、“in vitroの治療”を含み、網羅することを意図する。
【0017】
また、in vitro環境でのアミロイド、アルファ・シヌクレイン、またはNAC線維新生の治療法も開示する。方法はin vitro環境へ治療的有効量のカテキンまたは緑茶抽出物を投与する工程を含む。好ましくはカテキンはエピカテキン、カテキン、没食子酸ガロカテキン、没食子酸エピガロカテキン、エピガロカテキン、および没食子酸エピカテキンを含むカテキンの群、または前記化合物の1つの誘導体から選択される。
【0018】
また、アルツハイマー病、パーキンソン病、全身性AAアミロイド症、2型糖尿病、および他のアミロイド症におけるアミロイドの生成、沈着、蓄積、および/または残存の治療のためのカメリア・シネンシス種由来の緑茶、緑茶葉、および抽出物、またはその誘導体の使用法を開示する。
【0019】
アルツハイマー病、パーキンソン病、全身性AAアミロイド症、2型糖尿病、および他のアミロイド症におけるアミロイドの生成、沈着、蓄積、および/または残存の治療のための、ツバキ科由来の緑茶、緑茶葉、および抽出物、またはその誘導体を開示する。
【0020】
市販されているピル、錠剤、カプレット、軟質および硬質ゼラチンカプセル、トローチ、サシェ剤、カシェ剤、ベジキャップ(vegicap)、点滴剤(liquid drops)、エリキシル剤、懸濁剤、乳化剤、溶液、シロップ、ティーバッグ、茶葉、エアロゾル(固体として、または液体媒質中で)、坐薬、無菌注射液、無菌包装粉末、および/または葉粉末で緑茶、緑茶葉、および抽出物、またはその誘導体を含有するものをアルツハイマー病、パーキンソン病、全身性AAアミロイド症、2型糖尿病、および他のアミロイド症に罹患した患者の治療のために開示する。
【0021】
アルツハイマー病、パーキンソン病、全身性AAアミロイド症、2型糖尿病、および他のアミロイド症におけるアミロイドの生成、沈着、蓄積、および/または残存の治療のための緑茶、緑茶葉、および抽出物、もしくはその誘導体、および/または緑茶、緑茶葉、および抽出物、もしくはその誘導体に含有されるポリフェノール。
【0022】
本発明について特定の実施態様、植物の種および部分、方法、手順などに関して記載する。しかしながら、当業者に認識されるように、本発明の意図および範囲から逸脱することなく開示する化合物内に種々の化学置換を施与することができる。特に、カテキン類は多くの異なる方法によって植物物質から単離および/または精製できることが知られている。更に認識されるように、これらの変法およびその結果としての方法の他の工程の変更、例えば精製のための異なる溶媒または異なるカラムの使用、および部分的に精製したポリフェノールの組成物由来のカテキン類の使用はここに開示する植物由来の抽出物およびそれから誘導される化合物の範囲内に入る。
【0023】
また、緑茶、緑茶葉、および抽出物、またはその誘導体に含有されるカテキン類の、アルツハイマー病、パーキンソン病、全身性AAアミロイド症、2型糖尿病、および他のアミロイド症におけるアミロイドの生成、沈着、蓄積、および/または残存の治療のための使用も開示する。
【0024】
カテキン類(限定される訳ではないがカテキン、エピカテキン、没食子酸ガロカテキン、没食子酸エピガロカテキン、エピガロカテキン、および/または没食子酸エピカテキンがある)は緑茶、緑茶葉、および抽出物、もしくはその誘導体に含有されるものも、または他の天然もしくは合成供給源から得たものも、アルツハイマー病、パーキンソン病、全身性AAアミロイド症、2型糖尿病、および他のアミロイド症におけるアミロイドの生成、沈着、蓄積、および/または残存の治療のために開示する。
【0025】
また、アルツハイマー病、パーキンソン病、全身性AAアミロイド症、2型糖尿病、および他のアミロイド症におけるアミロイドの生成、沈着、蓄積、および/または残存の治療のための緑茶、緑茶葉、および抽出物、またはその誘導体に含有されるバイオフラバノイドの使用、および、アルツハイマー病、パーキンソン病、全身性AAアミロイド症、2型糖尿病、および他のアミロイド症におけるアミロイドの生成、沈着、蓄積、および/または残存の治療のための緑茶、緑茶葉、および抽出物、またはその誘導体に含有されるフラバノールの使用も開示する。
【0026】
また、アルツハイマー病、パーキンソン病、全身性AAアミロイド症、2型糖尿病、および他のアミロイド症におけるアミロイドの生成、沈着、蓄積、および/または残存の治療のための緑茶、緑茶葉、および抽出物、またはその誘導体に含有されるフラバンジオールの使用、および、アルツハイマー病、パーキンソン病、全身性AAアミロイド症、2型糖尿病、および他のアミロイド症におけるアミロイドの生成、沈着、蓄積、および/または残存の治療のため緑茶、緑茶葉、および抽出物、またはその誘導体に含有されるフラバノイドの使用も開示する。
【0027】
また、アルツハイマー病、パーキンソン病、全身性AAアミロイド症、2型糖尿病、および他のアミロイド症におけるアミロイドの生成、沈着、蓄積、および/または残存の治療のため緑茶、緑茶葉、および抽出物、またはその誘導体に含有されるタンニンの使用法も開示する。
【0028】
緑茶、緑茶葉、および抽出物、またはその誘導体中に存在する活性成分を単離する方法も、アルツハイマー病、パーキンソン病、全身性AAアミロイド症、2型糖尿病、および他のアミロイド症においてアミロイド生成、アミロイド沈着、アミロイド蓄積、アミロイド残存を阻害する、分解/破壊を誘引する、そして/または既成の、もしくは既に沈着したアミロイド線維の分解を誘引する有効な物質として使用するために開示する。緑茶、緑茶葉、および抽出物、またはその誘導体中の活性成分を単離する方法は当業者に周知の標準的な技術の適用を含み、それらには、限定される訳ではないがシリカをコーティングしたプレートを使用する薄層クロマトグラフィーおよび高圧または低圧液体クロマトグラフィー(HPLC)を使用する分離および単離がある。緑茶、緑茶葉、および抽出物、またはその誘導体中の他の活性成分で、アルツハイマー病、パーキンソン病、全身性AAアミロイド症、2型糖尿病、および他のアミロイド症においてアミロイド生成、アミロイド沈着、アミロイド蓄積、アミロイド残存の有効な阻害剤であり、そして/または既成の、もしくは既に沈着したアミロイド線維の分解/破壊、および分散を引き起こすことが確認されているものを、実施例に記載するような特定のアッセイ試験を使用して個々のバンドまたは画分(薄層クロマトグラフィー、カラムクロマトグラフィー、および/またはHPLCで分離)を再試験することによって同定する。
【0029】
個々のバンドおよび/または画分中に含有されるこれらの活性成分を十分単離した後に特定の分析を行うが、それらには、限定される訳ではないが以下がある:それぞれのサンプル中に存在する元素の検出および空間的なマッピングのためのエネルギー分散x線分析装置を搭載した走査電子顕微鏡、炭素、水素、および窒素の相対%を測定するための燃焼による元素分析、分子量および元素組成を測定するための高分解能質量分析、官能基を確認して既知の化合物のスペクトルと比較するためのフーリエ変換赤外分光分析、融点を測定するための示差走査熱量測定、原子吸光分析、ゲルクロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー、物質のキャラクタリゼーションを行って互いの相対的な原子の位置に関する情報を提供するためのプロトンおよびC13核磁気共鳴分析、およびUV/VIS分光分析。緑茶、緑茶葉、および抽出物、またはその誘導体中の有効な活性成分の更なる単離の一部として更なる技術が開発されると予期される。
【0030】
緑茶、緑茶葉、および抽出物もしくはその誘導体、および/またはその成分[市販の供給源に関わらず、またヒトによって消費される最終の形態(すなわちピル、錠剤、カプレット、軟質および硬質ゼラチンカプセル、トローチ、サシェ剤、カシェ剤、ベジキャップ、点滴剤、エリキシル剤、懸濁剤、乳化剤、溶液、シロップ、ティーバッグ、エアロゾル(固体として、または液体媒質中で)、坐薬、無菌注射液、無菌包装粉末、および/または茶葉粉末)に関わらず]の使用を、その臨床環境に関わらず、アミロイドの生成、沈着、蓄積、および/または残存の阻害のために開示する。
【0031】
治療量の緑茶、緑茶葉、および抽出物、またはその誘導体でアミロイド沈着を阻害するものの被験体への投与に関する組成物および方法も開示する。従って、開示する組成物および方法はアミロイド沈着が起こる障害におけるアミロイド症を阻害するために有用である。本発明の組成物を治療的に使用してアミロイド症を治療する、またはアミロイド症の疑いがある被験体において予防的に使用することができる。開示する方法は少なくとも一部にはアミロイド線維生成の直接阻害、既成のアミロイド線維の分解/破壊、および/または分散の誘引に基づく。
【0032】
アミロイド症の治療のための薬剤組成物も開示する。開示する薬剤組成物はアミロイド沈着を阻害するのに有効な量の治療化合物および薬剤的に許容しうる賦形剤を含有する。
緑茶、緑茶葉、抽出物もしくはその誘導体、および/またはその活性成分に類似した合成化合物のいずれか、および全てを、アルツハイマー病、パーキンソン病、全身性AAアミロイド症、2型糖尿病、および他のアミロイド症においてアミロイド生成、アミロイド沈着、アミロイド蓄積、アミロイド残存を阻害し、既成の、または既に沈着したアミロイド線維の分解/破壊、および/または分散を誘引する効力のある物質として使用するための使用も開示する。
【0033】
特に好ましい観点では、アミロイド阻害成分を精製および同定するために緑茶、緑茶葉、および抽出物、またはその誘導体から単離する方法も開示する。そのような方法では、市販のピル、錠剤、カプレット、軟質および硬質ゼラチンカプセル、トローチ、サシェ剤、カシェ剤、ベジキャップ、点滴剤、エリキシル剤、懸濁剤、乳化剤、溶液、シロップ、ティーバッグ、エアロゾル(固体として、または液体媒質中で)、坐薬、無菌注射液、無菌包装粉末、茶粉末から、以下の工程のいずれか、または全てを利用する方法を使用して調製した抽出物:a)緑茶、緑茶葉、および抽出物、またはその誘導体から上記のような形態に関係なく水またはアルコール(すなわちメタノール、エタノールまたはプロパノール)で抽出する、b)2,500xgで20分間遠心分離して上清を回収する、c)ロータリーエバポレーションによって乾燥してアルコール抽出した化合物を得、凍結乾燥して水抽出した化合物を得る、d)得られた乾燥粉末を4容量の石油エーテルで洗浄した後(4回反復)2,500xgで20分間遠心分離し(毎回)、上清およびペレットを回収する、e)回収したペレットを空気乾燥する、f)空気乾燥したペレットを水で再抽出し、2,500xgで20分間遠心分離する、g)回収した上清を凍結乾燥する(水抽出物とよぶ)、h)ペレットまたは凍結乾燥した水抽出物粉末をアセトニトリル/水/トリフルオロ酢酸(TFA)に再溶解する、i)HPLCまたは低圧クロマトグラフィーに注入して分離する、j)関連するin vitroおよびin vivoアッセイでの試験によってアミロイド阻害活性成分を同定する、そしてk)ここに記載するように構造分析および元素組成分析を行う。
【0034】
被験体において年齢に関係する認識または記憶の低下、正常な脳機能、認識能力、および集中力のための栄養的サポートからなる精神的能力または認識能力の群から選択される認識能力または精神的能力の1つ以上を提供、サポート、または向上するための食物サプリメントの形態の組成物で、緑茶、緑茶葉、および抽出物、またはその誘導体を含有するものも開示する。
【0035】
被験体において精神的明瞭性、精神的敏捷性、認識的幸福感、正常な脳機能、認識能力、精神的能力、記憶、集中力、精神的鮮明度、精神的活力、精神的明晰度、短期間の記憶、正常な脳機能、学習、および良好な脳の健康からなる精神的能力または認識能力の群から選択される精神的能力または認識能力の1つ以上を促進、保持、または向上するための食物サプリメントの形態の組成物で、緑茶、緑茶葉、および抽出物、またはその誘導体を含有するものを開示する。
【0036】
正常なインスリン機能の促進を補助することによって被験体において健康な膵臓機能を促進もしくはサポートし、または被験体におけるアミロイド線維の沈着、アミロイドタンパク質の沈着、膵臓に関係するアミロイド線維沈着、膵臓に関係するアミロイドタンパク質沈着、アミロイド線維の生成および増殖、そして膵臓に関係するアミロイド線維の生成および増殖からなる膵臓に関係する症状の群から選択される膵臓に関係する1つ以上の症状を低減、破壊、溶解、阻害、除去、または予防するための食物サプリメントの形態の組成物で、緑茶、緑茶葉、および抽出物、またはその誘導体を含有するものも開示する。
【0037】
アルツハイマー病、パーキンソン病、全身性AAアミロイド症、2型糖尿病、および他のアミロイド症における線維の生成、沈着、蓄積、および/または残存の治療のためのエピカテキンまたはその誘導体の使用を開示する。
【0038】
アルツハイマー病、パーキンソン病、全身性AAアミロイド症、2型糖尿病、および他のアミロイド症における線維の生成、沈着、蓄積、および/または残存の治療のためのカテキン類、カテキン水和物またはその誘導体の使用を開示する。
【0039】
アルツハイマー病、パーキンソン病、全身性AAアミロイド症、2型糖尿病、および他のアミロイド症における線維の生成、沈着、蓄積、および/または残存の治療のための没食子酸ガロカテキンまたはその誘導体の使用を開示する。
【0040】
アルツハイマー病、パーキンソン病、全身性AAアミロイド症、2型糖尿病、および他のアミロイド症における線維の生成、沈着、蓄積、および/または残存の治療のための没食子酸エピカテキンまたはその誘導体の使用を開示する。
【0041】
アルツハイマー病、パーキンソン病、全身性AAアミロイド症、2型糖尿病、および他のアミロイド症における線維の生成、沈着、蓄積、および/または残存の治療のためのエピガロカテキンまたはその誘導体の使用を開示する。
【0042】
アルツハイマー病、パーキンソン病、全身性AAアミロイド症、2型糖尿病、および他のアミロイド症における線維の生成、沈着、蓄積、および/または残存の治療のための没食子酸エピガロカテキンまたはその誘導体の使用を開示する。
【0043】
アルツハイマー病、パーキンソン病、全身性AAアミロイド症、2型糖尿病、および他のアミロイド症における線維の生成、沈着、蓄積、および/または残存の治療のための緑茶、緑茶葉、および抽出物、またはその誘導体の使用を開示する。
【0044】
アルツハイマー病、パーキンソン病、全身性AAアミロイド症、2型糖尿病、および他のアミロイド症における線維の生成、沈着、蓄積、および/または残存の治療のための、カメリア・シネンシス種由来の緑茶、緑茶葉、および抽出物、またはその誘導体の使用を開示する。
【0045】
アルツハイマー病、パーキンソン病、全身性AAアミロイド症、2型糖尿病、および他のアミロイド症における線維の生成、沈着、蓄積、および/または残存の治療のための、ツバキ科由来の緑茶、緑茶葉、および抽出物、またはその誘導体の使用を開示する。
【0046】
アルツハイマー病、パーキンソン病、全身性AAアミロイド症、2型糖尿病、および他のアミロイド症における線維の生成、沈着、蓄積、および/または残存の治療のための市販されているピル、錠剤、カプレット、軟質および硬質ゼラチンカプセル、トローチ、サシェ剤、カシェ剤、ベジキャップ、点滴剤、エリキシル剤、懸濁剤、乳化剤、溶液、シロップ、ティーバッグ、茶葉、エアロゾル(固体として、または液体媒質中で)、坐薬、無菌注射液、無菌包装粉末、および/または葉粉末で緑茶、緑茶葉、および抽出物、またはその誘導体、またはカテキン類を含有するものの使用を開示する。
【0047】
アルツハイマー病、パーキンソン病、全身性AAアミロイド症、2型糖尿病、および他のアミロイド症における線維の生成、沈着、蓄積、および/または残存の治療のためのカテキン類(限定される訳ではないがカテキン、エピカテキン、エピガロカテキン、没食子酸エピカテキン、没食子酸エピガロカテキン、および/または没食子ガロカテキンがある)で緑茶、緑茶葉、および抽出物、またはその誘導体に含有されるものの使用も開示する。
【0048】
アミロイドの沈着を阻害する、治療量のカテキン類またはその誘導体の被験体への投与を含む組成物および方法も開示する。従って、開示する組成物および方法はアミロイドの沈着が起こる障害におけるアミロイド症を阻害するために有用である。組成物を治療的に使用してアミロイド症を治療する、またはアミロイド症の疑いがある被験体において予防的に使用することができる。方法は少なくとも一部にはアミロイド線維生成の直接阻害、既成のアミロイド線維の分解/破壊、および/または分散の誘引に基づく。
【0049】
合成カテキン類またはその誘導体および/またはそれらの活性な誘導体のいずれか、および全てを、アルツハイマー病、パーキンソン病、全身性AAアミロイド症、2型糖尿病、および他のアミロイド症においてアミロイド生成、アミロイド沈着、アミロイド蓄積、アミロイド残存を阻害し、既成の、または既に沈着したアミロイド線維の分解/破壊、および/または分散を誘引する効力のある物質として使用するための使用法を開示する。
【0050】
患者においてアミロイド疾患を治療するための薬物を開示し、ここで薬物は治療的有効量のツバキ科、特にカメリア属の植物由来の植物物質を含有する。薬物は好ましくはカメリア属シネンシス種の植物由来である。薬物は好ましくはカメリア・シネンシスから得た抽出物であり、抽出物は乾燥した葉から得る。
【0051】
薬物は好ましくは治療的有効量の標準緑茶葉抽出物または特定のカテキン類を、約0.1から約500mg/kg患者体重の範囲、より好ましくは約1.0から約100mg/kg患者体重の範囲の用量で含有する。
【0052】
好ましい薬物は薬剤中の植物抽出物の重量パーセントが約70%から約95%の範囲であり、薬剤的に許容しうるキャリアー、希釈剤、または賦形剤を含有してもよい。薬物は好ましくは50%より高いアミロイド阻害活性または有効性を有する。
【0053】
開示する組成物はアミロイド線維またはタンパク質の沈着、脳に関係するアミロイド線維の沈着または脳に関係するアミロイドタンパク質沈着、並びにアミロイド線維の生成、または年齢に関係するアミロイド線維生成、脳に関係するアミロイド線維生成を低減、除去、予防、阻害、破壊、溶解、または分散する能力も有する;従ってこれは精神的明瞭性を促進し、精神的敏捷性を促進し、年齢または関連する認識もしくは記憶の低下のための栄養的サポートを提供し、認識的幸福感を促進し、脳機能をサポートし、認識能力、精神的能力、または記憶を向上し、集中力および精神的鮮明度を促進し、精神的活力を向上し、より高い精神的明晰度および敏捷性を促進し、短期間の記憶を向上し、年齢に関係する認識または記憶の低下を低減または逆行させ、正常な脳機能をサポートし、学習または記憶を向上させ;集中力を向上させ、精神的能力を向上し、精神的低下を低減し、年齢に関係する脳障害の可能性を低減し、そして良好な脳の健康を保持する。
【0054】
開示する組成物は、アミロイド線維またはタンパク質の沈着、膵臓に関係するアミロイド線維またはタンパク質の沈着、並びにアミロイド線維の生成および増殖、そして膵臓に関係するアミロイド線維の生成および増殖を低減、除去、予防、阻害、破壊、分解、または分散させる能力も有する;従ってこれは正常なインスリン機能の促進を補助することにより、健康な膵臓機能をサポートし、膵臓機能を促進する。
【0055】
開示する組成物は、医薬品および食物サプリメント業界で一般的に使用されるキャリアー、希釈剤、および/または賦形剤、および当業者に周知で本発明の範囲から逸脱せずに使用してもよい添加剤のいずれを含有してもよい。
【0056】
緑茶、緑茶葉、抽出物、またはその誘導体中のアミロイド阻害成分を単離する方法も開示するが、この方法は以下の工程を含む:
a)緑茶、緑茶葉、抽出物、またはその誘導体を水または有機溶媒で抽出し、b)不溶性物質を除去し、c)エバポレートして乾燥するか、または凍結乾燥して粉末を得、d)水または有機溶媒中に得られるアミロイド阻害成分を回収および再溶解し、そしてe)高圧または低圧液体クロマトグラフィーで注入および分離する。
【0057】
緑茶の代表的な成分にはカテキン類、バイオフラバノイド類、フラバノール類、フラバンジオール類、フラバノイド類、タンニン類、またはその誘導体があるが、本開示の目的では、これらの物質は必要により、合成的に誘導されるか、または他の植物供給源中に独立して見られてもよい。
【0058】
植物物質を有機溶媒で抽出する工程は、まず粉末にした植物物質にメタノールを添加することを更に含み、得られる混合液を一晩攪拌する。アミロイド阻害成分を抽出する工程で使用する溶媒は好ましくは水からペンタノールまでの範囲の極性を有する。不溶性物質を除去する工程は好ましくは抽出物を遠心分離して上清を回収することによって行う。抽出物を濃縮する工程は好ましくはロータリーエバポレーションまたは凍結乾燥(水抽出物の場合)によって行う。抽出および遠心分離工程に次いで、抽出および遠心分離操作を好ましくは更に1から5回反復し、上清を回収する。
【0059】
抽出および濃縮の反復工程の後、好ましくは上清をプールし、ロータリーエバポレーターまたは凍結乾燥(水抽出物の場合)を使用して乾燥する。乾燥粉末を4容量の石油エーテルで洗浄し(4回反復)、その後(毎回)2,500xgで20分間遠心分離し、そして上清およびペレットを回収する。回収したペレットを空気乾燥し、水で再抽出し、2,500xgで20分間遠心分離する。回収した上清(水抽出物とよぶ)を凍結乾燥し、ペレットまたは凍結乾燥した水抽出物の粉末をアセトニトリル/水/トリフルオロ酢酸(TFA)に再溶解し、HPLC注入または低圧クロマトグラフィーを行う。溶解したペレットを等量に分割し、HPLCに注入する。HPLCは好ましくは1x25cmのC18カラムを使用するが、他のサイズのカラムを使用してもよく、30℃、流速2ml/分に保持する。HPLCに注入するサンプル画分はAおよびBのグラジエントで、0%Bで5分間、5-10分で0-15%B、10-70分で15-45%、そして70-85分で45-100%Bとなるように溶出する;ここでB=95%アセトニトリル(0.5%酢酸)/蒸留水であり、A=5%アセトニトリル(0.5%酢酸)/蒸留水である。HPLCからの溶出物を全波長でモニタリングし、4ml画分をフラクションコレクターに回収し、プールしたピークを種々の保持時間で得る(0から85分)。得られる画分を、ほとんどのアセトニトリルをロータリーエバポレーションで除去した後、凍結乾燥して濃縮してもよい。
【0060】
その後、得られる濃縮画分を適切なin vitroアッセイで試験し、アミロイド線維生成の有効な阻害剤、または既成のアミロイド線維の分解/破壊もしくは分散を同定する。アミロイド阻害成分は好ましくはHPLCで約10-70分の保持時間に溶出する。
【0061】
また、患者におけるアミロイド疾患を治療するための方法も開示し、この方法は患者に治療的有効量の緑茶、緑茶葉、および抽出物、またはその誘導体を投与する工程を含む。緑茶、緑茶葉、および抽出物、またはその誘導体は好ましくは経口もしくはエアロゾルスプレーによって、または非経口の注射もしくは輸液可能な形態で投与する。
【0062】
開示する方法では、被験体におけるアミロイドの生成、沈着、蓄積、および/または残存を、被験体に本発明の治療量を投与することによって阻害する。“被験体”という用語はアミロイド症が起こりうる生きた生物を含むことを意図する。被験体の例にはヒト、サル、ウシ、ヒツジ、ヤギ、イヌ、ネコ、マウス、ラット、およびそれらのトランスジェニック種がある。緑茶、緑茶葉、および抽出物、またはその誘導体の治療すべき被験体への投与は既知の方法を使用して、被験体におけるアミロイドの生成、沈着、蓄積、および残存を阻害するのに有効な投与量および期間で実施することができる。治療効果を得るために必要な治療化合物の有効量は被験体の臨床部位に既に沈着しているアミロイドの量、被験体の年齢、性別、および体重、そして治療化合物の被験体においてアミロイド症を阻害する能力のような因子に従って変化しうる。
【0063】
代表的な方法または過程の実施態様
アミロイド症に罹患しやすい、または罹患している哺乳動物被験体においてアミロイド症を治療、予防、または管理する方法を提供し、該方法は治療量の緑茶、緑茶葉、標準緑茶抽出物、または緑茶誘導体の供給源由来の植物物質を被験体に投与する工程を含む。
【0064】
哺乳動物被験体のアルツハイマー病、パーキンソン病、全身性AAアミロイド症、2型糖尿病、および他のアミロイド症におけるアミロイドの生成、沈着、蓄積、凝集、および/または残存の治療、阻害、予防、または管理の方法を提供し、該方法は治療量の以下からなる物質の群から選択される物質を被験体に投与する工程を含む:緑茶、緑茶葉、標準緑茶抽出物、緑茶誘導体、カテキン類、バイオフラバノイド類、フラバノー類、フラバンジオール類、フラバノイド類、タンニン類、またはその誘導体。
【0065】
好ましくは前記物質はカテキン、エピカテキン、没食子酸ガロカテキン、没食子酸エピガロカテキン、エピガロカテキン、および没食子酸エピカテキンからなるカテキン類の群から選択されるカテキン、または上記の群の1つの誘導体である。
【0066】
これらの実施態様のいずれかにおいて、植物物質を投与する前記工程で、キャッツクロー(Cat's claw)、イチョウ(ginkgo biloba)、ローズマリー、gotu kola、bacopin、および高麗人参からなる、そして一般にそれらとして知られる植物群から選択される1つ以上の植物物質の治療量を必要によって投与してもよい。
【0067】
哺乳動物被験体のパーキンソン病、レーヴィ体疾患、または多発性全身性萎縮症におけるα-シヌクレイン線維の生成、沈着、蓄積、凝集、および/または残存の治療、阻害、予防、または管理の方法を提供し、該方法は治療量の以下からなる物質の群から選択される物質を被験体に投与する工程を含む:緑茶、緑茶葉、標準緑茶抽出物、緑茶誘導体、カテキン類、バイオフラバノイド類、フラバノール類、フラバンジオール類、フラバノイド類、タンニン類、またはその誘導体。
【0068】
前記物質は好ましくはカテキン、エピカテキン、没食子酸ガロカテキン、没食子酸エピガロカテキン、エピガロカテキン、および没食子酸エピカテキンからなるカテキン類の群から選択されるカテキン、または上記の群の1つの誘導体である。
【0069】
患者における精神的敏捷性を促進する方法を提供し、該方法は治療的有効量のツバキ科の植物、好ましくはカメリア属シネンシス種の植物由来の植物物質を患者に投与する工程を含む。この方法を脳のアミロイド沈着の生成を阻害するために使用してもよい。
【0070】
患者において精神的明瞭性、精神的敏捷性、認識的幸福感、正常な脳機能、認識能力、精神的能力、記憶、集中力、精神的鮮明度、精神的活力、精神的明晰度、短期間の記憶、正常な脳機能、および学習からなる精神的能力または認識能力の群から選択される精神的能力または認識能力の1つ以上を促進、保持、または向上するための方法を提供し、方法は治療的有効量のカメリア属シネンシス種の植物由来の植物物質を患者に投与する工程を含む。
【0071】
患者において正常な脳機能、認識能力、および集中力からなる精神的能力または認識能力の群から選択される精神的能力または認識能力の1つ以上を提供、サポート、または向上する方法を提供し、該方法は治療的有効量のカメリア属シネンシス種の植物由来の植物物質を患者に投与する工程を含む。
【0072】
患者において年齢に関係する認識または記憶の低下、精神的低下、および年齢に関係する脳または認識障害の可能性からなる精神的作用または認識作用の群から選択される精神的作用または認識作用の1つ以上を低減する方法を提供し、該方法は治療的有効量のカメリア属シネンシス種の植物由来の植物物質を患者に投与する工程を含む。
【0073】
患者においてアミロイド線維沈着、アミロイドタンパク質沈着、脳に関係するアミロイド線維沈着、脳に関係するアミロイドタンパク質沈着、アミロイド線維の生成および増殖、年齢に関係するアミロイド線維の生成および増殖、脳に関係するアミロイド線維の生成および増殖からなる脳に関係する症状の群から選択される脳に関係する症状の1つ以上を低減、破壊、溶解、阻害、除去、または予防するための方法を提供し、該方法は治療的有効量のカメリア属シネンシス種の植物由来の植物物質を患者に投与する工程を含む。
【0074】
正常なインスリン機能の促進を補助することによって患者における健康な膵臓機能を促進またはサポートする方法を提供し、該方法は治療的有効量のカメリア属シネンシス種の植物由来の植物物質を患者に投与する工程を含む。
【0075】
患者においてアミロイド線維沈着、アミロイドタンパク質沈着、膵臓に関係するアミロイド線維沈着、膵臓に関係するアミロイドタンパク質沈着、アミロイド線維の生成および増殖、膵臓に関係するアミロイド線維の生成および増殖からなる膵臓に関係する症状の群から選択される膵臓に関係する症状の1つ以上を低減、破壊、溶解、阻害、除去、または予防するための方法を提供し、該方法は治療的有効量のカメリア属シネンシス種の植物由来の植物物質を患者に投与する工程を含む。
【0076】
代表的な使用および/または組成物/物質の実施態様
アミロイド症に罹患しやすい、または罹患している哺乳動物被験体においてアミロイド症を治療、予防、および/または管理するための薬剤組成物または食物サプリメントの調製における緑茶、緑茶葉、もしくは標準緑茶葉抽出物、またはその誘導体の供給源の使用を提供する。
【0077】
アミロイド線維の生成、沈着、蓄積、もしくは残存を阻害する、または既成のアミロイド線維の溶解/破壊、もしくは分散を誘引するための薬剤組成物または食物サプリメントの調製における緑茶、緑茶葉、標準緑茶葉抽出物、またはその誘導体の供給源の使用を提供する。
【0078】
アミロイド症に罹患しやすい、または罹患している哺乳動物被験体においてアミロイド症を治療、予防、または管理するための薬剤組成物または食物サプリメントを提供し、組成物は緑茶、緑茶葉、もしくは標準緑茶葉抽出物、またはその誘導体の供給源、および必要により、薬剤的または食物的に許容しうるキャリアー、希釈剤、または賦形剤を含有する。
【0079】
アミロイド線維の生成、沈着、蓄積、もしくは残存を阻害する、または既成のアミロイド線維の溶解/破壊、および/もしくは分散を誘引するための薬剤組成物または食物サプリメントを提供し、該組成物は緑茶、緑茶葉、もしくは標準緑茶葉抽出物、またはその誘導体の供給源、および必要により、薬剤的または食物的に許容しうるキャリアー、希釈剤、または賦形剤を含有する。
【0080】
アミロイド症に罹患しやすい哺乳動物被験体においてアルツハイマー病、パーキンソン病、全身性AAアミロイド症、2型糖尿病、および他のアミロイド症におけるアミロイドの生成、沈着、蓄積、および/または残存を治療、予防、または管理するためのカテキン類、バイオフラバノイド類、フラバノール類、フラバンジオール類、フラバノイド類、タンニン類、またはその誘導体の使用を提供する。
【0081】
アルツハイマー病、パーキンソン病、全身性AAアミロイド症、2型糖尿病、および他のアミロイド症に罹患しやすい哺乳動物被験体においてそれらの症状におけるアミロイドの生成、沈着、蓄積、および/または残存を治療、予防、または管理するための薬剤組成物または食物サプリメントを提供し、該組成物はカテキン類、バイオフラバノイド類、フラバノール類、フラバンジオール類、フラバノイド類、タンニン類、またはその誘導体、そして必要により、薬剤的または食物的に許容しうるキャリアー、希釈剤、または賦形剤を含有する。
【0082】
哺乳動物被験体のパーキンソン病、レーヴィ体疾患、または多発性全身性萎縮におけるアルファ・シヌクレイン線維の生成、沈着、蓄積、凝集、および/または残存の治療、阻害、予防、または管理のための薬剤組成物または食物サプリメントを提供し、該組成物は緑茶、緑茶葉、標準緑茶抽出物、緑茶誘導体、カテキン類、バイオフラバノイド類、フラバノール類、フラバンジオール類、フラバノイド類、タンニン類、またはその誘導体からなる物質の群から選択される物質を含有する。
【0083】
被験体において1つ以上の精神的能力または認識能力を提供、サポート、または向上するための薬剤組成物または食物サプリメントの調製における緑茶、緑茶葉、もしくは標準緑茶抽出物、またはその誘導体の供給源の使用を提供する。
【0084】
被験体において健康な膵臓機能を促進またはサポートするための薬剤組成物または食物サプリメントの調製における緑茶、緑茶葉、もしくは標準緑茶抽出物、またはその誘導体の供給源の使用を提供する。
【0085】
被験体において1つ以上の精神的能力または認識能力を提供、サポート、または向上するための薬剤組成物または食物サプリメントを提供し、組成物は緑茶、緑茶葉、もしくは標準緑茶抽出物、またはその誘導体の供給源を含有する。
【0086】
被験体において健康な膵臓機能を促進またはサポートするための薬剤組成物または食物サプリメントを提供し、該組成物は緑茶、緑茶葉、もしくは標準緑茶葉抽出物、またはその誘導体の供給源を含有する。
【0087】
患者において精神的明瞭性、精神的敏捷性、認識的幸福感、正常な脳機能、認識能力、精神的能力、記憶、集中力、精神的鮮明度、精神的活力、精神的明晰度、短期間の記憶、正常な脳機能、学習、および良好な脳の健康からなる精神的能力または認識能力の群から選択される精神的能力または認識能力の1つ以上を促進、保持、または向上するための薬物を提供し、ここで該薬物は治療的有効量のカメリア属シネンシス種の植物由来の植物物質を含有する。
【0088】
患者において年齢に関係する認識または記憶の低下、正常な脳機能、認識能力、および集中力のための栄養的サポートからなる精神的能力または認識能力の群から選択される精神的能力または認識能力の1つ以上を提供、サポート、または向上するための薬物を提供し、ここで該薬物は治療的有効量のカメリア属シネンシス種の植物由来の植物物質を含有する。
【0089】
患者において年齢に関係する認識または記憶の低下、精神的低下、および年齢に関係する脳または認識障害の可能性からなる精神的作用または認識作用の群から選択される精神的作用または認識作用の1つ以上を低減する薬物を提供し、ここで該薬物は治療的有効量のカメリア属シネンシス種の植物由来の植物物質を含有する。
【0090】
患者においてアミロイド線維沈着、アミロイドタンパク質沈着、脳に関係するアミロイド線維沈着、Aβ脳沈着、脳に関係するAβ沈着、脳に関係するアミロイドタンパク質沈着、脳アミロイド沈着、アミロイド線維の生成および増殖、年齢に関係するアミロイド線維の生成および増殖からなる脳に関係する症状の群から選択される脳に関係する症状の1つ以上を低減、破壊、溶解、阻害、または予防するための薬物を提供し、ここで該薬物は治療的有効量のカメリア属シネンシス種の植物由来の植物物質を含有する。
【0091】
正常なインスリン機能の促進を補助することによって患者における健康な膵臓機能を促進またはサポートするための薬物を提供し、ここで該薬物は治療的有効量のカメリア属シネンシス種の植物由来の植物物質を含有する。
【0092】
患者においてアミロイド線維沈着、アミロイドタンパク質沈着、膵臓に関係するアミロイド線維沈着、アミリン沈着、膵島アミロイドポリペプチド沈着、膵臓に関係するアミロイドタンパク質沈着、アミロイド線維の生成および増殖、膵臓に関係するアミロイド線維の生成および増殖からなる膵臓に関係する症状の群から選択される膵臓に関係する症状の1つ以上を低減、破壊、溶解、阻害、除去、または予防するための薬物を提供し、ここで該薬物は治療的有効量のカメリア属シネンシス種の植物由来の植物物質を含有する。
【0093】
アミロイドとアミロイド症、アルツハイマー病と高齢化人口、アルツハイマー病とパーキンソン病の治療標的としてのアミロイド、そしてアルファ・シヌクレイン線維の生成に関係する更に詳細な検討および背景の情報に関しては、出願人の共係属中特許出願第10/077,596号、および発行されている特許第6,037,327号、6,264,994号、および6,346,280号を参照されたい。それらの検討および背景は参照により、完全に開示するようにここに組み込まれる。
【0094】
これらおよび他の特徴および利点は、以下の詳細な説明を付随する図面と併せて読むことによって、より完全に明白になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0095】
ここで図面および実施例に目を向け、それらを詳細に参照することによって本発明を好ましい態様において記載する。
【0096】
定義
“薬剤的に許容しうる類似体および誘導体”。請求する化合物の薬剤的に許容しうる類似体および誘導体には種々のR-基型置換、および他の誘導体の構造修飾で、開示するこれらの化合物の有効性に影響を与えないものがある。
【0097】
“純度百分率”。開示する化合物は1つ以上のカテキン類または緑茶誘導体を含有し、それぞれのカテキンまたは緑茶誘導体は組成物中に、植物または植物からの抽出物中に同じ物質が天然に存在する百分率を“有意に上回る”百分率または純度百分率で存在する。例えば、特定のカテキンが植物中に0.01パーセントの重量パーセントで存在し、植物の抽出物中に1.0パーセントの重量パーセントで存在すると想定されたい。すると、開示する組成物では同じカテキンが組成物中に0.01%または1.0%より有意に高い重量パーセント、例えば10パーセントで存在する。これにならって他の比率性、例えば容量による組成物百分率もしくは存在百分率、または純度百分率を同様に適用してもよい。
【0098】
更なる例として(本発明の範囲はこの、または他の実施例に限定されることはない)カテキンが本開示に従って経口で運搬されるべき錠剤中に存在する。該カテキンは98.5%の純度百分率で存在する単離されたカテキンである(すなわちカテキンは従来の純度指標(indicia)によって測定すると98.5%の純度であり、例えばHPLC上で特徴的なシャープなシングルピークとなる)。しかしながら、特定のカテキンは錠剤中に重量でわずか15%の成分である。カテキンは植物中に乾燥重量百分率で0.06で存在することが知られており、一方、同じ植物のある抽出物は同じカテキンを最大0.75乾燥重量%含有することが知られている。この例では、カテキンは抽出物中より錠剤中に比例的に多く、20:1の割合で存在し、これは植物または植物抽出物中の天然の存在比より有意に高いということの1つの基準である。
【0099】
一般に、カテキンの百分率(重量、乾燥重量、容量、または純度で)が植物中の同じカテキンの天然の存在百分率より10倍(またはそれ以上)高い、治療のための投与剤形中に存在するカテキンは、植物中のカテキンの天然の存在百分率を“有意に上回る”百分率である。この点で植物抽出物について言えば、従来の、または天然の抽出物のみが考慮されるべきであり(ジュース、濃縮物など、または既知の、他の目的で使用される抽出物)、本開示の優先日以降に調製された、特定のカテキンを濃縮する効果を有する新たな抽出物であってここで定義した “有意に上回る”ことの発見を否定するようなもの、ではないことに留意すべきである。また、場合によっては“有意に上回る”ことの発見は2:1のような低い割合でもよいが、より好ましくは50:1から100:1のような高さであることにも留意すべきである。
【0100】
1つのカテキン化合物を賦形剤と合わせて組成物を調製する例で、請求するような“有意に上回る”基準の目的では、その全体の重量百分率ではなく、組成物中の化合物の純度百分率のみに留意および比較することが便宜でありうる。カテキン類の混合物の場合、治療投与量中の混合したカテキン類の合一した組成百分率を検討し、その数値を天然の植物または抽出物中の同じカテキンの合一した存在百分率を比較することが好適でありうる。
【0101】
いずれにしても、開示する測定の基準の目的は、植物および植物の慣例的な抽出物中の活性成分の天然の存在に基づいて測定した場合の、請求する組成物が上回る正当な差を明らかにすることである。
【0102】
好ましい組成物は少なくとも実質的に純粋なカテキンを含有する。実質的に純粋な単離した、または合成の形態であるカテキンを同様に便宜に使用してもよい。一般に“純粋な”とは95%より純度が高いことを意味し、“実質的に純粋な”カテキンとは抽出もしくは他の既知の方法、またはここに開示する方法で精製したカテキンを意味し、そのためカテキンは抽出または精製過程によって容易に、または合理的に除去できない不純物のみと共に治療製剤中に存在する。“単離した”とは、問題のカテキンが治療剤形中に有意な量の他のカテキン類を伴わないことを意味する。“単離された純粋な”化合物は単離された純粋な形態の化合物であり、製薬業界において活性成分として慣例的なものである。
【0103】
膵島アミロイドポリペプチド( IAPP )および2型糖尿病
膵島アミロイド沈着は十分確立された2型糖尿病患者の-90%に見られ、疾病過程の特徴であると考えられる(Westermark, J. Med. Sci. 77:91-94, 1972;Clarkら, Diabetes Res. 9:151-159, 1988)。多くの患者で沈着は広範囲にわたり、多くの膵島が罹患する。膵島の量の低下およびアミロイド生成を最も多く有する、インスリン治療を必要とする患者では、アミロイドで置換された膵島(主としてβ細胞)の量の程度は糖尿病過程の重篤度のマーカーとなりうる(Westermark, Amyloid : Int. J. Exp. Clin. Invest. 1:47-60, 1994)。膵島アミロイドは異なる集団から得た剖検サンプルで観察されているため、症候群を有する個体の亜集団にではなく、疾病に共通の現象であると考えられる(Westermark, J. Med. Sci. 77:91-94, 1972;Clarkら, Diabetes Res. 9:151-159, 1988)。膵島アミロイド沈着の蔓延は年齢と共に増加するが(Bell, Am. J. Path. 35:801-805, 1959)、正常な加齢はグルコース許容量の低下および2型糖尿病の罹患率の増加を伴うため、これは驚くべきことではない(Davidson, Metabolism 28:687-705, 1979)。
【0104】
膵島アミロイド中の主なタンパク質は膵島アミロイドポリペプチド(IAPP)またはアミリンとして知られる37アミノ酸ペプチドである。IAPPは既知の正常な膵臓β細胞の分泌産物であり(Kanhら, Diabetes 39:634-638, 1990)、インスリンを含有する細胞質顆粒に保存される(Clarkら, Cell Tissue Res. 257:179-185, 1989)。膵島アミロイドの沈着が2型糖尿病の病因に関係しているのか、または単にその結果であるのかは、長い間、疑問となっている。しかしながら、現在、多くの研究によって、実際に膵島アミロイドの生成、沈着、および残存がβ細胞の機能不全および細胞死、高血糖の誘引、および2型糖尿病の発生における重要な主因でありうることが示唆されている。
【0105】
IAPPはそのβ細胞機能障害およびβ細胞量の低下を通して、2型糖尿病の病因において重要な役割を果たしていると仮定されている(Johnsonら, N. Engl. J. Med. 321:513-518, 1989)。β細胞集団に代わる膵島アミロイド沈着を生成できることに加え、アミロイド線維は膵島に直接損傷を与えると考えられる。ヒトまたはラットIAPPの存在下で膵島をインキュベートした実験により、ヒトIAPPは濃度依存的にアミロイド線維を生成し、膵臓島β細胞死を伴うことが証明された(Lorenzoら, Nature 368:756-760, 1994)。アミロイド線維を生成しないラットIAPPの存在下では細胞死は起こらなかった(Lorenzoら, Nature 368:756-760,1994)。
【0106】
トランスジェニックマウスモデルに関する研究により、2型糖尿病の病因における膵島アミロイドの役割の更なる洞察が可能となった。更に最近の研究ではIAPP誘導型膵島アミロイドの発生は高血糖に依存せず、進行性であることが示唆された(Verchereら, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 93:3492-3496, 1996)。これらの最近の研究では、高血糖はオス・トランスジェニックマウスの31%のみでしか発生せず、オス・非トランスジェニックマウスでは14%であった。これらのマウスの膵臓切片を試験したところ、糖尿病を有するどのトランスジェニックマウスでも膵島アミロイドが観察された。しかしながら、正常血糖であるオス・トランスジェニック動物の2/3でも膵島アミロイド沈着が発生しており、高血糖は膵島アミロイド生成の必要条件ではないことを示した。これらおよび他の研究からのデータが示唆しているところによれば、ヒトIAPP線維はβ細胞に対して細胞障害性であるかもしれず、従って膵島機能に早期の変化を与えうる(Lorenzoら, Nature 368:756-760, 1994;Jansonら, Diabetes 47:A250, 1998)。膵島アミロイド沈着は2型糖尿病の膵島病変の初期の特徴であると考えられ、膵島アミロイドの進行性の蓄積は更なるβ細胞量の低下に関係する(Clarkら, Diabetes Res. 9:151-159, 1988;WestermarkおよびWilander, Diabetologia 15:417-421, 1978)。従って、アミロイド沈着の増加によって起こる膵島量の進行性の低下は進行性のインスリン分泌障害、グルコース許容量の低下、そしてついには飢餓高血糖の発生に関係する。トランスジェニック動物における研究は、高血糖が膵島アミロイドの発生に関係していることだけでなく、アミロイドがβ細胞を置換することによって高血糖の発生に寄与していることを示唆している。これらの研究は全体として、膵島アミロイドの生成が2型糖尿病のβ細胞不全の発生において中心的役割を果たしていることを示唆している。従って、膵島アミロイド(すなわちIAPPまたはアミリン)の生成、沈着、蓄積、または残存を阻害または破壊する能力のある物質または化合物によって2型糖尿病の新しい有効な治療が得られうる。
【0107】
全身性 AA アミロイド
全身性AAアミロイドは、多くの異なる臓器(心臓、腎臓、肝臓、脾臓、胃腸管、肺、および皮膚を含む)へのAAアミロイドタンパク質からなる不溶性線維状アミロイド沈着物の沈着および蓄積を特徴とする。それらのアミロイドの蓄積および残存は、特に沈着が心臓(心不全を誘引する)または腎臓(腎不全を誘引する)を含む場合、致命的でありうる。全身性AAアミロイドは一般に慢性炎症性障害と関係し、以下のような疾病を有する患者に観察される:リウマチ性関節炎、強直性脊椎炎、炎症性腸疾患、脊髄炎、レプラ、結核、ホジキン氏病、腎細胞癌、および家族性地中海熱として知られる家族性の疾病。現在、全身性AAアミロイド症の治癒または有効な治療の方法はなく、患者は通常、発症から3-7年以内に死亡する。アメリカには約50,000-100,000症例の全身性AAアミロイド症があり、ヨーロッパでは症例数は2-5倍高いと概算される。
【0108】
全身性AAアミロイド症は特定のアミロイドタンパク質(“AAアミロイド”タンパク質と呼ばれる)を伴うが、これは線維状の形態で沈着し、一般に以下を含む慢性炎症性疾患に関係する:リウマチ性関節炎、強直性脊椎炎、炎症性腸疾患、脊髄炎、慢性感染症(例えば結核)、ホジキン氏病、レプラ、腎細胞癌、および家族性地中海熱として知られる家族性の疾病(McAdamら, Lancet 2:572-573, 1975;BensonおよびCohen, Arth. Rheum. 22:36-42, 1979;Metaxis, Kidney Int. 20:676-685, 1981;Kameiら, Acta. Path. Jpn. 32:123-133, 1982)。これらの疾病におけるアミロイド沈着は種々の異なる臓器(心臓、腎臓、肝臓、脾臓、胃腸管、皮膚、および/または肺を含む)で起こりうる(Kisilevsky, Can. J. Physiol. Pharmacol. 65:1805-1815, 1987)。全身性AAアミロイド症の最も一般的な特徴は腎臓の糸球体濾過機能の低下を伴う、または伴わないタンパク尿である。それらの腎臓におけるアミロイド沈着は腎不全を引き起こし、心臓におけるアミロイド沈着は心不全を引き起こしうる。従って、全身の臓器におけるAAアミロイド沈着の結果は患者に致命的でありうる。現在、AAアミロイド症と診断された患者の多くは、一般的に発症から3-7年以内の死亡率が高い(Kisilevsky, Can. J. Physiol. Pharmacol. 65:1805-1815, 1987;CohenおよびConnors, J. Path. 151:1-10, 1987)。現在、治癒または有効な治療の方法はなく、AAアミロイド症の治療のための新しい有効な治療物質の発見が非常に必要とされている。
【0109】
全身性AAアミロイド症の正確な症例数はあまり報告されていない。しかしながら、全身性AAアミロイド症はアメリカではリウマチ性関節炎患者の約2-5%、ヨーロッパでは約5-10%の症例に起こると報告されている(Fillipowicz-Sosnowskaら, Arth. Rheum. 21:699-703, 1978;Prasら, John Hopkins Med. J. 150:22-26, 1982;Davidら, Clin. Exp. Rheum. 11:85-90, 1993)。この疾病はヨーロッパにおける若年性リウマチ性関節炎の症例の5-17%、アメリカおよびヨーロッパにおけるクローン病の症例の1%、そしてアメリカおよびヨーロッパにおける家族性地中海熱患者の15-27%でもそれぞれ起こる(Fillipowicz-Sosnowskaら, Arth. Rheum. 21:699-703, 1978; Mataxas, Kidney Int. 20:676-685, 1981;Davidら, Clin. Exp. Rheum. 11:85-90, 1993;Saatciら, Acta Ped. 81:705-706, 1993)。アメリカでは約50,000-100,000の全身性AAアミロイド症の症例があり(HazenbergおよびVan Rijswijk, 反応性アミロイド症および急性期反応(Reactive Amyloidosis and the Acute Phase Response), G. Husby編, Baillere's Clinical Rheumatology, 8:661-690, 1994)、アメリカだけで年間約$2000-$4000万の規模のマーケットが見込まれる。ヨーロッパでは症例数は約100,000-400,000と概算される。
【0110】
AA アミロイドおよび SAA
AAアミロイドは表面的には無関係に見える多数の障害に共通している。上記のように、臨床的にはAAアミロイド症は長期の炎症、家族性障害、および種々の型の悪性腫瘍の合併症となりうる。それらの異なる臨床環境で共通のタンパク質が蓄積するということは、全ての場合で機能する共通した病原性の機構があることを示唆している(Kisilevsky, Can. J. Physiol. Pharmacol. 65:1805-1815, 1987)。
【0111】
AAアミロイドタンパク質は76アミノ酸からなり、分子量は-8,500である(Einら, J. Biol. Chem. 247:5653-5655, 1972;Slettenら, Biochem. Biophys. Res. Comm. 69:19-25, 1976;Eriksonら, Proc. Natl. Acad. Sci. 73:964-967, 1976)。これらの76アミノ酸はSAAまたはアポSAAとして知られる天然に存在する血清タンパク質の2/3のアミノ末端に相当する(Hoffmanら, J. Exp. Med. 159:641-646, 1984)。アポSAAは急性期タンパク質であり、その血清濃度はいずれの炎症反応の際にも急速(24時間以内)かつ実質的に(500-2000倍)増加する(McAdamおよびSipe, J. Exp. Med. 144:1121-1127, 1976;McAdamら, J. Exp. Med. 144:1121-1127, 1978;Sipe, Br. J. Exp. Path. 59:305-310, 1978)。AAアミロイドタンパク質のアミノ酸配列は患者毎に同一であり、その沈着に先立った炎症障害の潜在的な性質に無関係である。配列は家族性地中海熱およびホジキン氏病または腎細胞の悪性腫瘍を有する患者において観察されるAAアミロイドタンパク質と同一である。AAタンパク質は多くの異なる種において発見されており、それらにはヒト、アヒル、ミンク、マウス、およびサルがある(Slettenら, Biochem. Biophys. Res. Comm. 69:19-25, 1976;Gorevicら, J. Immunol. 121:138-140, 1977;McAdamら, J. Clin, Invest. 61:390-394, 1978;McAdamおよびSipe, J. Exp. Med. 144:1121-1127, 1978;Sipe, Br. J. Exp. Path. 59:305-310, 1978;Waalenら, Eur. J. Biochem. 104:407-412, 1980)。進化の際に発生したアミノ酸置換は別として、AAタンパク質はヒトで見られるものと本質的に同一である(Westermarkら, Comp. Biochem. Physiol. Comp. Biochem. 85:609-614, 1986)。
【0112】
天然の状態ではSAAは高密度リポタンパク質と結合した160,000から200,000分子量の複合体として存在する(Bendittら, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 74:4025-4028, 1977;Skogenら, Scand. J. Immunol. 6:1363-1368, 1977;1979;Bendittら, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 76:4092-4096, 1979;Bendittら, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 76:4092-4096, 1979;Marhaugら, Clin. Exp. Immunol. 50:382-389, 1982;CarlsonおよびHolmquist, Lancet 1:192-197, 1983)。この結合はSAAの分泌に続いて血清内で起こると考えられる(Hoffmanら, J. Biol. Chem. 257:10510-10517, 1982;J. Biol. Chem. 257:10518-10522, 1982)。しかしながらSAAは変性してSAALと呼ばれる約103アミノ酸の分子量12,000から14,000のサブユニットを放出し、SAAおよびAAタンパク質間に存在する免疫学的交差反応性は全てSAALサブユニット内で見られる(Bendittら, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 76:4092-4096, 1979;Skogenら, J. Immunol. 6:1363-1368, 1977)。SAALの多形が動物(Gorevicら, J. Immunol. 121:138-140, 1978)およびヒト(Marhaugら, Clin. Exp. Immunol. 45:97-106, 1981;Parmeleeら, Biochem. 21:3298-3303, 1982)の両方で報告されている。
【0113】
SAAはモノカイン、インターロイキン-1による誘導下で(Szteinら, Cell Immunol. 63:164-176, 1981)、主に肝臓で合成されると信じられている(Selingerら, Nature 285:498-500, 1980;Szteinら, J. Immunol. 129:87-90, 1982;Tatsutaら, Ann. N. Y. Acad. Sci. 389:467-475, 1982)。炎症反応の際、SAA合成をコードする肝臓のmRNAが著しく増加し、肝臓のタンパク質合成の2-5%がこのタンパク質に費やされる(Morrowら, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 78:4718-4722, 1981)。SAAは種々の組織および細胞に存在することが報告されており、それらには以下がある:脾臓(Watanabeら, Am. J. Clin. Path. 67:540-544, 1977;Sipeら, Br. J. Exp. Path. 59:305-310, 1978)、結合組織(Linderら, J. Exp. Med. 144:1336-13346, 1976)、線維芽細胞(Linderら, J. Exp. Med. 146:1158-1163, 1977)、刺激後のB細胞(Rosenstreichら, Infect. Immunol. 23:181-183, 1979)、および多形核白血球(Rosenthalら, J. Clin. Invest. 62:1181-1186, 1978)。
【0114】
アポSAAのmRNAが単離されており、cDNAプローブが調製されている(Morrowら, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 78:4718-4722, 1981)。これらの研究は、アポSAAの遺伝子が1つ以上あることを示している(MeekおよびBenditt, J. Exp. Med. 164:2006-2017, 1986;Lowellら, J. Biol. Chem. 261:8442-8452, 1986)。このファミリーでは少なくとも2つの機能性遺伝子がヒトおよびマウスの両方で同定されており、これらのうち1つの産物アポSAA2だけがAAタンパク質として組織に沈着する(Meekら, J. Exp. Med. 164:2006-2017, 1986)。わずかなアミノ酸配列の相違がアポSAA1とアポSAA2の間に存在するが、それでも十分にペプチドの1つの代謝プロセシングの変更を誘引する。
【0115】
種々の組織におけるAAアミロイドタンパク質の生成は明らかに細胞機能である。現在、この機能の主な候補となる細胞はマクロファージまたは網内細胞である。開裂されてAAサイズのポリペプチドとなったアポSAAがin vitroで単核細胞(Lavieら, J. Exp. Med. 148:1020-1031, 1978;J. Immunol. 125:175-180, 1980)、多形核白血球(Silvermanら, Immunol. 46:737-744, 1982)、血清関連セリンプロテアーゼ(Skogenら, Scand. J. Immunol. 11:643-648, 1980)、およびマクロファージ(Shirahamaら, Lab. Invest. 62:61-68, 1990;Palmら, APMIS 105:603-608, 1997;Kluve-Beckermanら, Am. J. Path. 155:123-133, 1999)を利用して確認された。
【0116】
AA アミロイドを生成するための細胞培養法
既に報告されている多くの研究はAAアミロイドの生成が細胞培養モデル系でも行えることを示している(Shirahamaら, Lab. Invest. 62:61-68, 1990;Palmら, APMIS 105:603-608, 1997;Kluve-Beckermanら, Am. J. Path. 155:123-133, 1999)。おそらく線維状AAアミロイドタンパク質を生成する最善の細胞培養系はKluve-Beckermanらが報告したものである(Am. J. Path. 155:123-133, 1999)。このin vitro系では、マウス腹膜マクロファージ細胞(正常なC57BL/6マウスの腹腔から単離された)を維持し、それに中性pH培養液中の組み換えSAA2(rSAA2)および/またはアミロイド促進因子(AEF)(下記)を添加した。組み換えSAA2を含有する培養液を急性期血清に見られる典型的な濃度(すなわち140μg/ml)で使用した。処理後24-48時間以内で、培養液はAAアミロイド沈着巣を生成し、これが増大して徐々にコンゴー好性および複屈折となった(コンゴーレッド染色後に偏光下で観察した)。この研究により、培養液中でSAA2がマクロファージによって開裂されてAAアミロイドタンパク質(約8.5kDaフラグメント)を生成し、これは線維状であることが証明された(ポジティブ・コンゴーレッド複屈折およびチオフラビンS蛍光によって証明された)。腹膜細胞は生存可能であり(トリパンブルー染色排除法によって確認)、食細胞活動活性を保持した(ラテックスビーズの食細胞活動によって示された)。更に、ヌードマウスから得た腹膜細胞の培養では、培養液中で同様のアミロイド生成および沈着を示し、これはTリンパ球がアミロイド線維生成に必須ではないことを示した。
【0117】
AEFは必要ではないが、培養液にそれを添加することによってより大きく、より多数の沈着となった。培養液をペプスタチン(アスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤)で処理すると、培養液中により多量の線維状AAアミロイド沈着が観察された(Kluve-Beckermanら, Am. J. Path. 155:123-133, 1999)。これらの培養液は24日後でも、未処理の培養液のそれと同様の生存率を保持した。ペプスタチン処理した培養液は細胞クラスターを伴う、大きな範囲の密で局所的なアミロイド集団を生成した。
この細胞培養系は使用が容易で、またin vitroでAAアミロイド沈着および残存を生成することができる。
【0118】
実験用 AA アミロイド症の関連するマウスモデル
in vivoで全身性AAアミロイド症を生成するための多くの良好な実験動物モデルがある。アソカゼイン(カゼインの誘導体)の反復注射を伴う初期の実験で、脾臓、肝臓、および腎臓におけるAAアミロイド沈着の蓄積が処理後14-21日以内に起こることが証明された(JaniganおよびDruet, Am. J. Path. 48:1013-1024, 1966)。このモデルでは、アゾカゼインの注射が無菌膿瘍となり、これが炎症反応を誘引して、マウスにおいてSAAの血清レベルの上昇が誘導される(KindyおよびDeBeer, Methods Enzym. 309:701-716, 1999)。AAアミロイド沈着は線維状であることがコンゴーレッドでのポジティブ染色によって示された(すなわち、偏光下での観察した赤/緑複屈折)。
【0119】
より最近の動物モデルでは、 CBA/Jマウスにおいて、1回の2%硝酸銀(炎症刺激剤)の皮下注射および1回のアミロイド促進因子(AEF)(下記)の静脈内注射の後、全身性AAアミロイド沈着を迅速に誘導できる。このモデルでは、AAアミロイド沈着はまず脾臓に(24-48時間で)、次いで肝臓に(3-4日で)、そして腎臓に(5-7日)生じる(Axelradら, Am. J. Path. 78:277-284, 1975;Kisilevskyら, Lab. Invest. 37:544-553, 1977)。出願人はこれまでに、このモデルを使用してAAアミロイド症の発生、および特定のプロテオグリカン/グリコサミノグリカンがアミロイド生成において果たす役割について広範に研究してきた(Kisilevskyら, Appl. Path. 2:308-315, 1984;Snowら, Lab. Invest. 53:37-44, 1985;Lab. Invest. 56:665-675, 1987;Lab. Invest. 57:687-698, 1987;J. Histochem. Cytochem. 39:1321-1330, 1991)。この関連する実験モデルは既に使用されており、特に以下に記載するようにAAアミロイドの治療物質となりうるものの同定およびその有効性の試験のために利用されている。
【0120】
実験CBA/Jマウスモデル(上記)はAAアミロイドの治療物質となりうるものの有効性を試験するのに理想的な系である。なぜなら炎症刺激剤(すなわち硝酸銀)およびAEFの後、100%の試験動物が数日以内に組織にアミロイドを沈着するからである。前駆タンパク質を有する患者のうちのわずかが実際にアミロイドを生成するのに対し、この実験モデルでは全ての動物が生成する。CBA/Jマウスにおける炎症反応は、例えばリウマチ様関節炎または骨髄炎と異なり、アミロイド沈着が起こるための必要条件の全てが現れる。
【0121】
AEFはCBA/JマウスにおけるAAアミロイド沈着の実験的誘導に要する時間を劇的に短縮し、組織において24-48時間でアミロイドを出現させることができる(Axelradら, Lab. Invest. 47:139-146, 1982)。AEFの実際の同定は完全に解決されていないが、一般的に天然のタンパク質であるか(Axelradら, Lab. Invest. 47:139-146, 1982)、または豊富なβシートを含有するアミロイド線維様物質の小巣からなる(Kisilevskyら, Amyloid:Int. J. Exp. Clin. Invest. 6:98-106, 1999)と信じられている。AEFは一般に、あらかじめ毎日のアゾカゼイン注射または1回のAEFおよび硝酸銀注射後にAAアミロイド蓄積を誘導した動物のアミロイドが沈着した脾臓および/または肝臓から調製する。これらのアミロイド様組織を、プロテアーゼ阻害剤を含有するリン酸緩衝食塩水(PBS)中でホモジナイズし、ペレットを何度も再ホモジナイズする。2回目から4回目の上清(水抽出後に得られる)は一般に有効なAEFを含有し、動物においてAA沈着を迅速に誘導するのに使用される。
【0122】
アルツハイマー病、全身性AAアミロイド症、2型糖尿病、および他のアミロイド症で起こる線維状アミロイドの生成、沈着、蓄積、および/または残存、そしてレーヴィ体疾患、パーキンソン病、および多発性全身性萎縮における線維新生を阻止する治療薬となりうる新たな化合物または物質の発見および同定は非常に求められている。
【0123】
緑茶、緑茶葉、緑茶抽出物、もしくは緑茶誘導体、または他の天然もしくは合成供給源由来のカテキン類、バイオフラバノイド類、フラバノール類、フラバンジオール類、フラバノイド類、タンニン類(またはこれらのいずれかの誘導体)の使用
緑茶および他の天然の供給源(例えば紅茶およびワイン)はカテキン類、バイオフラバノイド類、フラバノール類、フラバンジオール類、フラバノイド類、タンニン類、またはこれらの誘導体を含有することが知られている。Sugita-Konishiらの“緑茶カテキン類中の没食子酸エピガロカテキンおよび没食子酸ガロカテキンは腸管出血性E. coliからのベロ毒素の細胞外放出を阻害する(Epigallocatechin gallate and gallocatechin gallate in green tea catechins inhibit extracellular release of Vero toxin from enterohemorrhagic E. coli)”, Biochemica et Biophysica Acta, 1472, 42-50(1999)、およびFernandezら“茶中のカテキン類およびカフェインのHPLC測定(HPLC determination of catechins and caffeine in tea)”, Analyst 125:421-425,(2000)を参照されたい。これらの文献は完全に記載されているかのように、参照によってここに組み込まれる。それらの成分は現在、以下に記載するように、アミロイド症における緑茶の驚くべき有益な作用において重要な役割を果たしていると本出願人らは考えている。
【0124】
特に、カテキン、エピカテキン、没食子酸ガロカテキン、没食子酸エピガロカテキン、エピガロカテキン、および/もしくは没食子酸エピカテキンからなる群のカテキン類、または上記の群の1つの誘導体は現在、単独でも、あるいは他のアミロイド阻害成分(例えばキャッツクロー、イチョウ、ローズマリー、gotu kola、bacopin、および高麗人参からなる、そして一般にそれらとして知られる植物群からのいずれかの植物物質)との併用でも、下記の有益な作用のいずれか、または全てを達成するのに有効であると信じられる。
【0125】
代表的なカテキンの一般構造を図1に示す。予期されるように、これらのカテキン構造の薬剤的に許容しうる類似体および誘導体、例えば種々の型のR-基型置換、および他の誘導体型構造修飾で、開示するこれらの化合物の効果に影響を与えないものを、添付の請求項の範囲に影響を与えずに施与してもよい。
【0126】
アミロイド症を阻害するための標準緑茶葉抽出物の使用
以下に例証する実施例は全て、少なくともin vitroで、緑茶、緑茶葉、および抽出物、またはその誘導体が正常な加齢の際、およびアルツハイマー病を含む種々の脳障害において起こる脳のアミロイド沈着の生成を阻害する能力を有するということを十分立証するものである。更に脳アミロイド沈着が蓄積している患者は、やがては認識能力および記憶機能を喪失し、一般に精神的明晰度が著しく低下することが知られている。従って当然の結果として、それらの脳アミロイド沈着の阻害によってそれらの患者における精神的敏捷性が少なくとも促進される。
【0127】
また実施例は、少なくともin vitroで、緑茶、緑茶葉、および抽出物、またはその誘導体がアミロイド線維またはタンパク質の沈着、並びにアミロイド線維生成、または加齢に関係するアミロイド線維生成、および脳に関係するアミロイド線維生成を低減、除去、予防、阻害、破壊/溶解、または分散する能力を有するということをここでも立証している。更に、アミロイド線維もしくはタンパク質の沈着、脳に関係する線維沈着、もしくは脳に関係するアミロイドタンパク質沈着が蓄積した患者、またはアミロイド線維の生成および増殖もしくは年齢に関係するアミロイド線維の生成および増殖、脳に関係するアミロイド線維の生成および増殖の症状を示す患者は一般に、やがては精神的明瞭度、精神的敏捷性、集中力、認識的幸福感、または脳機能もしくは認識能力の基準、精神的能力もしくは記憶、または集中力および精神的鮮明度、または精神的活力、または精神的明晰度および敏捷性、短期間の記憶、または学習および記憶する能力のいくつかを喪失する。それらの患者では年齢に伴う、または関係する認識または記憶の低下が起き、あるいは精神的明瞭度が著しく低下する。
【0128】
その後、当然の結果としてそれらのアミロイド線維もしくはタンパク質の沈着、脳に関係するアミロイド線維沈着もしくは脳に関係するアミロイドタンパク質沈着、またはアミロイド線維の生成および増殖もしくは年齢に関係するアミロイド線維の生成および増殖の阻害、低下、除去、予防、破壊、分解、または分散は、それらの患者において精神的明瞭性を促進し、精神的敏捷性を促進し、年齢に関係する認識または記憶の低下を栄養的にサポートし、認識的幸福感を促進し、脳機能をサポートし、認識能力、精神的能力、または記憶を向上し、集中力および精神的鮮明度を促進し、精神的活力を向上し、より高い精神的明晰度および敏捷性を促進し、短期間の記憶を向上し、年齢に関係する認識または記憶の低下を低減または逆行させ、正常な脳の機能をサポートし、学習または記憶を向上し、集中力を向上し、精神的能力を向上し、精神的低下を低減し、年齢に関係する脳障害の可能性を低減し、そして健康な脳を保持する。
【0129】
更に実施例は緑茶、緑茶葉、および抽出物、またはその誘導体がアミロイド線維またはタンパク質の沈着、膵臓に関係するアミロイド線維またはタンパク質の沈着、並びにアミロイド線維の生成および増殖、そして膵臓に関係するアミロイド線維の生成および増殖を低下、除去、予防、阻害、破壊、溶解、分解、分散させる能力を有するはずであることを示唆している。更に、アミロイド線維もしくはタンパク質の沈着、膵臓に関係するアミロイド線維もしくはタンパク質の沈着が蓄積した患者、またはアミロイド線維の生成および増殖、膵臓に関係するアミロイド線維の生成および増殖の症状を示す患者は、一般に健康な膵臓機能を喪失するか、または正常なインスリン機能が低下し、それによって膵臓機能が喪失もしくは低下することが知られている。その結果として、そのようなアミロイド線維もしくはタンパク質の沈着、膵臓に関係するアミロイド線維もしくはタンパク質の沈着、またはアミロイド線維の生成および増殖、膵臓に関係するアミロイド線維の生成および増殖を阻害、低下、除去、予防、破壊、分解、溶解、または分散することで、それらの患者において正常なインスリン機能の促進を補助することによって健康な膵臓機能がサポートされ、膵臓機能が促進される。
【0130】
本明細書の優先日の後に出版された最近の研究はこれらの実験結果を更に裏付けている。Hasegawa, “高齢者における認識障害に対する日本茶の予防効果(Preventive effect of Japanese green tea against cognitive impairment)”, ポスター42および755,2000年 世界アルツハイマー議会(World Alzheimer Congress 2000)議事録、加齢の神経生物学(Neurobiology of Aging)、21:18(2000)は緑茶の摂取量の高さと認識レベルの高さの間の統計学的に有意な関係を報告しているので参照されたい。
【0131】
実施例
以下の実施例によって通常の技術を有する当業者に、アルツハイマー病のAβ含有線維およびパーキンソン病のNAC線維の阻害、分解/破壊、および/または分散を誘引することが驚くべきことに明らかにされている市販の緑茶抽出物およびカテキン類の開示および説明、そして使用を提供する。しかしながら、本発明はこれらの特定の実施例に限定されるものと解釈されるべきではない。
【実施例1】
【0132】
標準緑茶葉抽出物はアルツハイマー病のAβ( 1-40 )アミロイド線維生成の有効な阻害剤である
既に報告されている、チオフラビンT蛍光分析を使用したアミロイド線維生成の測定法(H Naikiら, Lab. Invest. 65:104-110, 1991;H Levine III, Protein Sci. 2:404-410, 1993;H Levine III, Amyloid: Int. J. Exp. Clin. Invest. 2:1-6, 1995;H NaikiおよびK. Nakakuki, Lab. Invest. 74:374-383, 1996)を使用して、まず標準緑茶葉抽出物がアルツハイマー病のAβアミロイド線維生成を阻害する能力を有するかどうかを確認した。この感度の高いアッセイを使用して蛍光の減少または増加がアミロイド線維の量の減少または増加と相関関係にあることが既に明らかになっており(H Naikiら, Lab. Invest. 65:104-110, 1991;H Levine III, Protein Sci. 2:404-410, 1993;H Levine III, Amyloid: Int. J. Exp. Clin. Invest. 2:1-6, 1995;H NaikiおよびK. Nakakuki, Lab. Invest. 74:374-383, 1996)、これによってアミロイド線維生成の阻害剤および/または促進剤となりうるものの効果を測定できる。
【0133】
最初の実験で、標準緑茶抽出物のアルツハイマー病Aβ(1-40)線維生成に対する有効なアルツハイマー病アミロイド阻害剤としての効果を、チオフラビンT蛍光によって評価した。チオフラビンTは線維状アミロイドタンパク質と結合することが知られており、蛍光の増加はアミロイド線維生成の増加と相関し、蛍光の減少はアミロイド線維生成の減少と相関する。アルツハイマー病のAβタンパク質(1-40)を37℃でインキュベートすると自発的にアミロイド線維を生成する傾向があり、これは時間に関して定量的に増加する。この実験で出願人は、1週間にわたってアルツハイマーのアミロイドAβタンパク質の線維生成からの阻害について標準緑茶抽出物を試験した。この実験では、25μMのAβ(1-40)(Bachem社, Torrance CA, 米国:ロット番号#WM365)を微量遠心分離用試験管中、37℃で1週間インキュベートし(3重複測定)、これは単独で、または10μg/ml、50μg/ml、もしくは100μg/mlの標準緑茶抽出物の存在下で、150mMトリスHCl、10mM NaCl、pH7.0(TBS)中で行った。この実験のために、市販の供給源から得た標準緑茶抽出物のゼラチンカプセル(Nature's Resource, Mission Hills, CA)1錠中の粉末を1mlの蒸留水で抽出し、微量遠心分離を使用してペレットを得た(2,500xgで10分間)。次いで上清を回収し、凍結乾燥した。その後、以下に記載するin vitroアッセイに使用するための希釈標準溶液1mg/mlを、蒸留水を使用して調製した。市販の緑茶葉抽出物は通常、50%ポリフェノールに標準化されている。
【0134】
標準緑茶抽出物のAβ(1-40)線維生成に対する影響を評価するため、50μlアリコートを各試験管から採取し、1時間、1日、3日、および1週間で分析を行った。上記のそれぞれの測定で、各インキュベーション期間の後、50μlのAβ+/-標準緑茶抽出物を、1.2mlの100μMチオフラビンT(Sigma Chemical社, St. Louis, MO)/50mM NaPO4(pH6.0)に添加した。実験は、100μMチオフラビンTの存在下で線維状Aβの濃度が増加すると蛍光がそれに比例して増加することを示唆したが、これらの実験では不均衡な内部フィルター効果の存在を除外した。482nmでの蛍光発光をTurner装置モデル450蛍光光度計で、450nmの励起波長で測定した。それぞれの測定で、チオフラビンT試薬単独の存在下で蛍光光度計をゼロに調整し、50ng/mlリボフラビン(Sigma Chemical社, St. Louis, MO)/チオフラビンT試薬を1800蛍光単位に調整した。全ての蛍光測定はこれらの基準に基づき、チオフラビンT試薬の存在下で化合物から発生される蛍光は常に全ての関連する測定値から控除した。
【0135】
チオフラビンT蛍光光度法を使用した全ての線維生成実験では、ここに開示するように、標準緑茶抽出物の存在下または非存在下でのアミロイドタンパク質の比較は2点比較t検定に基づき、データを平均値+/-標準偏差で表した。有意性は95%(p<0.05)、99%(p<0.01)、および99.5(p<0.005)の信頼レベルで報告した。
【0136】
図2に示すように、アルツハイマー病のAβ(1-40)アミロイド線維生成に対する標準緑茶抽出物の効果を1週間のインキュベーション期間にわたって評価した。新たに懸濁したAβ(1-40)単独は37℃で1時間のインキュベーション後、183+/-10蛍光単位の初期蛍光を示した。1週間のインキュベーション期間中、Aβ(1-40)単独の蛍光は徐々に上昇し、1時間から1日までで約4倍に増加し、852+/-3蛍光単位のピーク蛍光が1日で観察され(図2)、過去の研究と一致した(Castilloら, J. Neurochem. 69:2452-2465, 1997)。標準緑茶抽出物はAβ(1-40)アミロイド線維生成を1時間という短時間のインキュベーションで用量依存的に、有意に阻害した(図2)。標準緑茶抽出物によるAβ1-40アミロイド線維生成の有意な阻害(p<0.005)が1時間、1日、3日、および1週間を含む全ての時点で観察された(図2)。1時間で10μg/ml、50μg/ml、および100μg/mlの標準緑茶葉抽出物はAβ1-40線維生成をそれぞれ50.3+/-3.3%、66.1+/-3.3%、および95.0+/-1.6%まで有意に(p<0.005)阻害した。1日で、10μg/ml、50μg/ml、および100μg/mlの標準緑茶葉抽出物はAβ1-40線維生成をそれぞれ36.7+/-2.0%、90.7+/-1.0%、および95.9+/-2.0%まで有意に(p<0.005)阻害した。1週間で、10μg/ml、50μg/ml、および100μg/mlの標準緑茶葉抽出物はAβ1-40線維生成をそれぞれ58.9+/-10.7%、83.0+/-1.8%、および89.3+/-2.1%まで有意に(p<0.005)阻害した。この最初のデータは、標準緑茶抽出物、およびそのカテキン類、バイオフラバノイド類、フラバノール類、フラバンジオール類、フラバノイド類、またはタンニン活性成分の少なくとも1つがアルツハイマーのアミロイド線維生成の有効な阻害剤であることを示した。
【実施例2】
【0137】
標準緑茶葉抽出物によるアルツハイマー病のAβ 1-42 アミロイド線維の分解/破壊
次の実験では標準緑茶葉抽出物を、既成のアルツハイマー病のAβ1-42を含有するアミロイド線維の分解/破壊を誘引するその能力について試験した。この型の活性は、既に臓器および/または組織に実質的なアミロイド沈着を有する患者において使用できる抗アミロイド化合物となりうるもののために重要である。例えば、中期のアルツハイマー病患者はその脳に神経炎性プラークおよび脳血管性アミロイド沈着の両方の一部として多くのAβ含有アミロイド沈着を有する。既存のアミロイド沈着の分解/破壊を誘引する能力のある化合物は、疾病過程の後期にあるこれらの患者に使用するのに有利である。
【0138】
この研究のために、1mgのAβ1-42(Bachem社, Torrance, CA, USA;ロット#516817)を1.0mlの再蒸留水に溶解した(1mg/ml溶液)。その後25μMのAβ1-42を、10μg/ml、100μg/ml、または200μg/mlの標準緑茶抽出物の存在下または非存在下で、150mM トリスHCl、10mM NaCl(pH7.0)(0.02%アジ化ナトリウム含有)の存在下で、37℃で一晩(-18時間)インキュベートした。これらの実験で(以下に記載する結果および図3参照)、Aβ1-42:緑茶葉抽出物の重量比はそれぞれ1:0.1、1:1、および1:2であった。
【0139】
この研究のために、市販の供給源から得た標準緑茶葉抽出物のゼラチンカプセル(Nature's Resource, Mission Hills, CA)1錠中の粉末を1mlの蒸留水で抽出し、微量遠心分離を行った(2,500xgで10分間)。次いで上清を回収し、凍結乾燥した。その後、以下に記載するin vitroアッセイに使用するための希釈標準溶液1mg/mlを、蒸留水を使用して調製した。市販の緑茶葉抽出物は通常、50%ポリフェノールに標準化されている。
【0140】
既に報告されている、チオフラビンT蛍光分析を使用したアミロイド線維生成の測定法(H Naikiら, Lab. Invest. 65:104-110, 1991;H Levine III, Protein Sci. 2:404-410, 1993;H Levine III, Amyloid: Int. J. Exp. Clin. Invest. 2:1-6, 1995;H NaikiおよびK. Nakakuki, Lab. Invest. 74:374-383, 1996)を使用して、標準緑茶葉抽出物がアルツハイマー病のAβ1-42アミロイド線維の分解/破壊を誘引する能力を有するかどうかを評価した。チオフラビンTは線維状アミロイドタンパク質に結合することが知られており、蛍光の増加はアミロイド線維生成の増加と相関し、蛍光の減少は分解および/または破壊によるアミロイド線維の減少と相関する。アルツハイマーのAβタンパク質(1-42)は蒸留水のような溶液に入れると、自発的にアミロイド線維を生成する傾向がある。この感度の高いアッセイを使用して蛍光の減少または増加はアミロイド線維の量の減少または増加と相関関係を有することが既に明らかになっており(H Naikiら, Lab. Invest. 65:104-110, 1991;H Levine III, Protein Sci. 2:404-410, 1993;H Levine III, Amyloid: Int. J. Exp. Clin. Invest. 2:1-6, 1995;H NaikiおよびK. Nakakuki, Lab. Invest. 74:374-383, 1996)、これによってアルツハイマー病のAβ1-42アミロイド線維の阻害剤および/または促進剤となりうるものを同定し、その程度を定量することができる。
【0141】
既成のAβ1-42線維の可能性のある分解/破壊に対する標準緑茶抽出物の効果を評価するために、種々の濃度(上記)のAβ1-42+/-標準緑茶葉抽出物の50μlを1.2mlの100μMチオフラビンT(Sigma Chemical社, St. Louis, MO)/50mM NaPO4(pH6.0)に添加し、蛍光を測定した(実施例1に記載するように)。
【0142】
図3に示すように、標準緑茶抽出物の量を増加させると、既成のアルツハイマー病のAβ1-42線維の分解/破壊が用量依存的に誘引された。Aβ1-42単独では平均の蛍光は780+/-50蛍光単位を示した(図3)。標準緑茶抽出物は10μg/mlでAβ1-42線維を有意に(p<0.05)、17+7%まで分解/破壊した。一方、100μg/mlおよび200μg/mlでは、Aβ1-42線維の分解/破壊をそれぞれ76+/-1.0%および85+/-4.0%まで有意に(p<0.005)誘引した。この実験により、標準緑茶抽出物、およびそのカテキン類、バイオフラバノイド類、フラバノール類、フラバンジオール類、フラバノイド類、またはタンニン活性成分の少なくとも1つが既成のAβ1-42アミロイド線維の分解/破壊を誘引し、用量依存的に有効であることが証明された。
【実施例3】
【0143】
標準緑茶葉抽出物によるアルツハイマー病のAβ 1-42 線維の分散
次の実験では、コンゴーレッド-Aβ分光光度アッセイ(Klunkら, Anal. Biochem. 266:66-76, 1999)を改変してアルツハイマーのAβ1-42アミロイド線維の分散に対する標準緑茶葉抽出物の有効性を測定した。このアッセイのために、25μMのAβ1-42(Bachem社, Torrance CA, ロット#516817)を3重複測定で、蒸留水中37℃で4日間、400μg/mlの標準緑茶抽出物(2つの市販供給源から得た)/トリス緩衝液(TBS)(100mMトリス;50mM NaCl;pH7.0 0.02%アジ化ナトリウム含有)の存在下または非存在下でインキュベートした。Aβ:緑茶葉抽出物の重量比は1:4であった。この実験に使用した供給源1の標準緑茶抽出物はSundown Herbals(Sundown Vitamins, Boca Raton, Flの製造および販売)からであり、この実験に使用した供給源2の標準緑茶抽出物はNature's Resource(Mission Hills, CA)からであった。この実験に使用した緑茶は実施例1および2に記載するように蒸留水で抽出した。
【0144】
Aβ1-42を標準緑茶抽出物(上記)(二つの供給源からの標準緑茶抽出物を試験化合物とした)の存在下または非存在下でインキュベートした後、50μlの360μMコンゴーレッド(Sigma Chemical社, St. Louis, MO, USA)/蒸留水をそれぞれのインキュベーション混合液250μlに添加し、最終のAβ:コンゴーレッドのモル比を1:3とした。10分後、405nm(540nmでのコンゴーレッド単独の吸光度を表すための参照波長)および540nm(サンプルの吸光度であり、“サンプル”とはAβ単独、試験化合物単独、またはAβ+試験化合物で、全てコンゴーレッドの存在下である)の吸光度をBioradモデル550 ELISA Plate Reader(Biorad, Hercules, CA, USA)を使用して測定した。405nmでの吸光度をELISA Plate Readerによって540nmの吸光度から自動的に控除した(差異をΔ吸光度と表す)(Klunkら, Anal. Biochem 266:66-76, 1999)。従って、540nmで測定するΔ吸光度は溶液に残存する凝集したAβの量に比例した(Klunkら, Anal. Biochem 266:66-76, 1999)。
【0145】
試験化合物に関係する全ての実験で、常に540nmで測定した試験化合物単独(Aβの非存在下)のΔ吸光度を、540nmで測定したAβの存在下での試験化合物の相当するΔ吸光度から控除した。
【0146】
Klunkらの方法(Anal. Biochem 266:66-76, 1999)のこの修飾を使用して、より高い最終濃度(すなわち14μMではなく60μM)のコンゴーレッド(Anal. Biochem 266:66-76, 1999)を線維状Aβの存在下で使用することによって常に1.0吸光単位(AU)未満である540nmでの総吸光度が得られ、これは十分に直線の吸光度の範囲内であった。
【0147】
2つの市販の供給源からの標準緑茶葉抽出物を、上記のコンゴーレッド-Aβ分光光度アッセイを使用して試験し、そのアルツハイマー病のAβ1-42アミロイド線維の分散に対する有効性を測定した。
【0148】
図4に示すように、市販の標準緑茶抽出物はいずれも、上記のコンゴーレッド分光光度アッセイを使用して測定したところ、既に凝集したAβ1-42アミロイド線維の分散を誘引した。Aβ1-40単独では0.141+/-0.013AUの平均Δ吸光度を示した(図4)。供給源1(Sundown Herbals)からの標準緑茶抽出物は、Aβ1-42:緑茶葉抽出物の重量比が1:4でインキュベートした場合、25μMのAβ1-42線維の有意な(p<0.005)、52.5+/-8.5%の分散を誘引した(図4)。他方、供給源2(Nature's Resource)からの標準緑茶抽出物は、Aβ1-42:緑茶葉抽出物の重量比が1:4でインキュベートした場合、25μMのAβ1-42線維の有意な(p<0.005)、63.8+/-4.2%の分散を誘引した(図4)。従って、供給源に関係なく、標準緑茶葉抽出物、およびそのカテキン類、バイオフラバノイド類、フラバノール類、フラバンジオール類、フラバノイド類、またはタンニン活性成分の少なくとも1つはアルツハイマー病のAβ1-42アミロイド線維の有効な分散剤である。
【実施例4】
【0149】
カテキン類はアルツハイマー病のAβ( 1-40 )アミロイド線維生成の有効な阻害剤である
既に報告されている、チオフラビンT蛍光分析を使用したアミロイド線維生成の測定法(H Naikiら, Lab. Invest. 65:104-110, 1991;H Levine III, Protein Sci. 2:404-410, 1993;H Levine III, Amyloid: Int. J. Exp. Clin. Invest. 2:1-6, 1995;H NaikiおよびK. Nakakuki, Lab. Invest. 74:374-383, 1996)を使用して、まず標準緑茶葉抽出物がアルツハイマー病のAβアミロイド線維生成を阻害する能力を有するかどうかを確認した。
【0150】
最初の実験で、市販のカテキン類のアルツハイマー病Aβ(1-40)線維生成に対する有効なアルツハイマー病アミロイド阻害剤としての効果を、チオフラビンT蛍光分析によって評価した。アルツハイマー病のAβタンパク質(1-40)を37℃でインキュベートすると自発的にアミロイド線維を生成する傾向があり、これは時間に関して定量的に増加する。この実験で出願人は、1週間にわたってアルツハイマーのアミロイドAβタンパク質の線維生成からの阻害についてカテキン類を試験した。この実験では、125μMのAβ(1-40)(Bachem社, Torrance CA, 米国)を微量遠心分離用試験管中、37℃で1週間インキュベートし(3重複測定)、これは単独で、または種々の市販の供給源からのカテキン類(エピカテキン(ICN Pharmaceuticals社, Costa Mesa, CA)、エピカテキン(Aldrich, St. Louis, MO)、カテキン水和物(Fluka Chemica-Biochemika, Ronkonkoma, New York)、およびカテキン(Aldrich, St. Louis, MO)を含む)の存在下で、50mMトリスHCl、50mM NaCl、pH7.0(TBS)中で行った。カテキン類(上記)の量を増加させて試験を行い(Aβ:カテキンが1:1、1:0.1、1:0.01、および1:0.001重量/重量比を含む)、カテキン類がAβ1-40線維生成の用量依存的な阻害を行うかどうかを試験した。
【0151】
カテキン類のAβ(1-40)線維生成に対する影響を評価するため、アリコートを各試験管から採取し、0日、3日、および7日で分析を行った。上記のそれぞれの測定で、各インキュベーション期間の後、10μlのAβ+/-カテキンを、1.2mlの100μMチオフラビンT(Sigma Chemical社, St. Louis, MO)/50mM NaPO4(pH6.0)に添加した。実験は、100μMチオフラビンTの存在下で線維状Aβの濃度が増加すると蛍光がそれに比例して増加することを示したが、これらの実験では不均衡な内部フィルター効果の存在を除外した。482nmでの蛍光発光をTurner装置モデル450蛍光光度計で、450nmの励起波長で測定した。それぞれの測定で、チオフラビンT試薬単独の存在下で蛍光光度計をゼロに調整し、50ng/mlリボフラビン(Sigma Chemical社, St. Louis, MO)/チオフラビンT試薬を1800蛍光単位に調整した。全ての蛍光測定はこれらの基準に基づき、チオフラビンT試薬の存在下で化合物から発生される蛍光は常に全て測定値から控除した。
【0152】
チオフラビンT蛍光分析を使用した全ての線維生成実験では、ここに開示するように、カテキン類の存在下または非存在下でのアミロイドタンパク質の比較は2点比較t検定に基づき、データを平均値+/-標準偏差で表した。有意性は95%(p<0.05)、99%(p<0.01)、および99.5(p<0.005)の信頼レベルで報告した。
【0153】
市販のカテキン類のアルツハイマー病のAβ(1-40)アミロイド線維生成に対する影響を1週間のインキュベート期間にわたって評価した。1週間のインキュベート期間中、Aβ(1-40)単独の蛍光は徐々に増加し、7日で450+/-46蛍光単位のピーク蛍光が観察され(図5)、過去の研究と一致した(Castilloら, J. Neurochem. 69:2452-2465, 1997)。エピカテキン(ICNおよびAldrich)、カテキン水和物、およびカテキンは全て用量依存的にAβ(1-40)アミロイド線維生成を阻害し、1:1および1:0.1のAβ:カテキン重量比で顕著(p<0.01)であった(図5)。1:1のAβ:エピカテキン(ICN)重量/重量比ではAβ線維生成が85%阻害され、1:0.1のAβ:エピカテキン(ICN)重量/重量比ではAβ線維生成が67%阻害された。1:1のAβ:エピカテキン(Aldrich)重量/重量比ではAβ線維生成が86%阻害され、1:0.1のAβ:エピカテキン(ICN)重量/重量比ではAβ線維生成が62%阻害された。1:1のAβ:カテキン水和物(Aldrich)重量/重量比ではAβ線維生成が88%阻害され、1:0.1のAβ:カテキン(Aldrich)重量/重量比ではAβ線維生成が62%阻害された。1:1のAβ:エピカテキン(Aldrich)重量/重量比ではAβ線維生成が85%阻害され、1:0.1のAβ:カテキン(Aldrich)重量/重量比ではAβ線維生成が66%阻害された。この最初のデータはカテキン類(エピカテキン、カテキン水和物、およびカテキンを含む)はアルツハイマー病アミロイド線維生成の有効な阻害剤であることを示した。
【実施例5】
【0154】
コンゴーレッド複屈折の低下によって証明されたカテキン類によるAβアミロイド線維生成の阻害
カテキン類によるAβ1-40線維生成の阻害を、コンゴーレッド染色アッセイで証明されるコンゴーレッド複屈折の喪失によって確認した(図6)。これらの研究で、125μMのAβアリコート単独、またはAβ+カテキンを37℃で1週間インキュベートし、その後ゼラチンコーティングしたスライドにのせ、一晩空気乾燥し、コンゴーレッドで染色した。コンゴーレッド複屈折(偏光下で観察)の著しい低下がエピカテキン(ICN)(例えば)の存在下、1:0.5のAβ:エピカテキン重量比で観察され(図6B)、1:0.05のAβ:エピカテキン重量比ではより低い程度であった(図6C)。図6Aに、125μMのAβ1-40を単独で37℃で1週間インキュベートした後のAβアミロイド沈着のコンゴーレッド染色を示す。この研究はカテキン類(例えばエピカテキン)がAβアミロイド線維生成の有効な阻害剤であることを示した。
【実施例6】
【0155】
カテキン類によるアルツハイマー病のAβ 1-42 アミロイド線維の分解/破壊
次の実験で、市販のカテキン類を、既成のアルツハイマー病のAβ1-42を含有するアミロイド線維の分解/破壊を誘引するその能力について試験した。この型の活性は、既に臓器および/または組織に実質的なアミロイド沈着を有する患者において使用できる抗アミロイド化合物となりうるもののために重要である。例えば、中期のアルツハイマー病患者はその脳に神経炎性プラークおよび脳血管性アミロイド沈着の両方の一部として多くのAβ含有アミロイド沈着を有する。既存のアミロイド沈着の分解/破壊を誘引する能力のある化合物は、疾病過程の後期にあるこれらの患者に使用するのに有利である。
【0156】
この研究のために、1mgのAβ1-42(Bachem社, Torrance, CA, USA)を1.0mlの再蒸留水に溶解した(1mg/ml溶液)。その後25μMのAβ1-42を、エピカテキン(Fluka)、エピカテキン(ICN)、カテキン水和物(Aldrich)、没食子酸ガロカテキン(Sigma)、没食子酸エピカテキン(Sigma)、エピカテキン(Sigma)、エピカテキン緑茶(Sigma)の存在下または非存在下で、150mM トリスHCl、10mM NaCl(pH7.0)(0.02%アジ化ナトリウム含有)の存在下で、37℃でインキュベートした。これらの実験で(以下に記載する結果および図7参照)、Aβ1-42:カテキンの重量比はそれぞれ1:1、1:0.1、および1:0.01であった。実施例1に記載したチオフラビンT蛍光アッセイを使用した。
【0157】
図7に示すように、増加量の種々の市販のカテキン類によって既成のアルツハイマー病のAβ1-42線維の用量依存的な分解/破壊が誘引された。Aβ1-42単独では平均の蛍光単位は1037+/-101蛍光単位であった(図7)。エピカテキン(Fluka、ICN、Aldrich、およびSigma)、カテキン水和物、没食子酸ガロカテキン、および没食子酸エピカテキンは全て既成のAβ(1-42)アミロイド線維の破壊/分解を用量依存的に誘引し、1:1および1:0.1のAβ:カテキン重量比で顕著であった(p<0.01)(図6)。1:1のAβ:エピカテキン(Fluka)重量/重量比ではAβ1-42線維生成が86%破壊され、1:0.1のAβ:エピカテキン(Fluka)重量/重量比ではAβ1-42線維生成が63%破壊された。1:1のAβ:エピカテキン(ICN)重量/重量比ではAβ1-42線維生成が91%破壊され、1:0.1のAβ:エピカテキン(ICN)重量/重量比ではAβ1-42線維生成が78%破壊された。1:1のAβ:エピカテキン(Aldrich)重量/重量比ではAβ1-42線維生成が85%破壊され、1:0.1のAβ:エピカテキン(Aldrich)重量/重量比ではAβ1-42線維生成が74%破壊された。1:1のAβ:カテキン水和物(Aldrich)重量/重量比ではAβ1-42線維生成が86%破壊され、1:0.1のAβ:カテキン水和物(Aldrich)重量/重量比ではAβ1-42線維生成が60%破壊された。1:1のAβ:没食子酸ガロカテキン(Sigma)重量/重量比ではAβ1-42線維生成が86%破壊され、1:0.1のAβ:没食子酸ガロカテキン(Sigma)重量/重量比ではAβ1-42線維生成が44%破壊された。1:1のAβ:没食子酸エピカテキン(Sigma)重量/重量比ではAβ1-42線維生成が92%破壊され、1:0.1のAβ:没食子酸エピカテキン(Sigma)重量/重量比ではAβ1-42線維生成が65%破壊された。1:1のAβ:エピカテキン(Sigma)重量/重量比ではAβ1-42線維生成が85%破壊され、1:0.1のAβ:エピカテキン(Sigma)重量/重量比ではAβ1-42線維生成が81%破壊された。1:1のAβ:エピカテキン緑茶(Sigma)重量/重量比ではAβ1-42線維生成が86%破壊され、1:0.1のAβ:エピカテキン緑茶(Sigma)重量/重量比ではAβ1-42線維生成が63%破壊された。この研究により、カテキン類(エピカテキン(Fluka、ICN、Aldrich、およびSigma)、カテキン水和物(Aldrich)、没食子酸ガロカテキン(Sigma)、および没食子酸エピカテキン(Sigma)を含む)は全て既成のAβ1-42アミロイド線維の分解/破壊を誘引し、用量依存的に有効であることが証明された。
【実施例7】
【0158】
カテキン類はパーキンソン病の線維生成の有効な阻害剤である
次の研究では、市販のカテキン類を、パーキンソン病のアルファ・シヌクレイン線維生成を阻害するその能力について試験した。NAC(NAC-Pとしても知られ本明細書ではそのように呼ぶこともある)はアルファ・シヌクレインの35アミノ酸フラグメントであるが、これを使用した。なぜなら37℃でインキュベートすると自発的にアミロイド線維を生成することが知られているからである。この研究のために、62.5μMのNAC(Bachem社, Torrance, CA, USA)を微量遠心分離用試験管中、37℃で1週間インキュベートし(3重複測定)、これは単独で、または種々の市販の供給源由来のカテキン類(エピカテキン(EC)(Fluka)、エピカテキン(EC)(ICN)、エピカテキン(EC)(Aldrich)、エピカテキン(EC)(Sigma)、没食子酸エピカテキン(Sigma)、カテキン水和物(Aldrich)、および没食子酸ガロカテキン(Sigma)を含む)の存在下で、150mMトリスHCl、10mM NaCl、pH7.0(TBS)中で行った。カテキン類(上記)の量を増加させて試験を行い(NAC:カテキンが1:1、1:0.5、1:0.1、および1:0.01重量/重量比を含む)、カテキン類がNAC線維生成の用量依存的な阻害を行うかどうかを試験した。NAC線維生成に対するカテキン類の効果を評価するために、0、3日、および7日にアリコートをそれぞれの試験管から採取し、実施例4に記載したようなチオフラビンT蛍光分析を使用して分析した。
【0159】
市販のカテキン類のNAC線維生成の効果を1週間のインキュベート期間にわたって評価した。1週間のインキュベート期間中、NACの蛍光は次第に増加し、381+/-50蛍光単位のピーク蛍光が7日に観察された(図8)。エピカテキン(Fluka、ICN、Aldrich、およびSigma)、没食子酸エピカテキン(Sigma)、カテキン水和物(Aldrich)、および没食子酸ガロカテキン(Sigma)は全てNAC線維生成を用量依存的に阻害し、NAC:カテキン重量比が1:1、1:0.5、1:0.1、および1:0.01で顕著(p<0.01)であった(図8)。1:0.1のNAC:エピカテキン(Fluka)重量/重量比はNAC線維生成を70%阻害し、1:0.01のNAC:エピカテキン(Fluka)重量/重量比はNAC線維生成を46%阻害した。1:0.1のNAC:エピカテキン(ICN)重量/重量比はNAC線維生成を89%阻害し、1:0.01のNAC:エピカテキン(ICN)重量/重量比はNAC線維生成を49%阻害した。1:0.1のNAC:エピカテキン(Aldrich)重量/重量比はNAC線維生成を76%阻害し、1:0.01のNAC:エピカテキン(Aldrich)重量/重量比はNAC線維生成を33%阻害した。1:0.1のNAC:エピカテキン(Sigma)重量/重量比はNAC線維生成を75%阻害し、1:0.01のNAC:エピカテキン(Sigma)重量/重量比はNAC線維生成を40%阻害した。1:0.1のNAC:没食子酸エピカテキン(Sigma)重量/重量比はNAC線維生成を77%阻害し、1:0.01のNAC:没食子酸エピカテキン(Sigma)重量/重量比はNAC線維生成を34%阻害した。1:0.1のNAC:カテキン水和物(Aldrich)重量/重量比はNAC線維生成を77%阻害し、1:0.01のNAC:カテキン水和物(Aldrich)重量/重量比はNAC線維生成を34%阻害した。1:0.1のNAC:没食子酸ガロカテキン(Sigma)重量/重量比はNAC線維生成を73%阻害し、1:0.01のNAC:没食子酸ガロカテキン(Sigma)重量/重量比はNAC線維生成を34%阻害した。この研究により、カテキン類(エピカテキン(Fluka、ICN、Aldrich、およびSigma)、カテキン水和物(Aldrich)、没食子酸ガロカテキン(Sigma)、および没食子酸エピカテキン(Sigma)を含む)が全てNAC線維生成の阻害を誘引し、用量依存的に有効であることが証明された。
【実施例8】
【0160】
細胞培養モデル系を使用する AA アミロイド症の阻害剤としての特定のポリヒドロキシル化芳香族化合物のスクリーニングおよび同定
特定のポリヒドロキシル化芳香族化合物は細胞培地において線維状AAアミロイドの生成および沈着の有効な阻害剤/破壊剤であると信じられる。種々のヒドロキシル官能基の位置が異なる一群の約30の市販のポリヒドロキシル化芳香族化合物は細胞培養モデル系を使用して、線維状AAアミロイドの生成および沈着を阻害すると信じられる。マウスマクロファージ細胞培養系に組み換え血清アミロイドA2(SAA2)およびアミロイド促進因子(AEF)を施与し、これを使用してin vitroで線維状アミロイドを生成する。コンゴーレッド染色およびチオフラビンS蛍光によって検出される線維状AAアミロイド沈着をイメージ分析系を使用して定量する。更に、AAアミロイドの生成および沈着の定量を、SDS-PAGE、免疫ブロット法、および走査デンシトメトリーを使用して培養液由来の細胞層および培地を分析することによって行う。その後、培養液中でAAアミロイドの生成および/または沈着を阻害することが見出された選択された有効な化合物をAAアミロイド症の実験マウスモデルで試験する。
【実施例9】
【0161】
全身性 AA アミロイド症のマウスモデルにおける選択されたポリヒドロキシル化芳香族化合物の有効性の測定
特定のポリヒドロキシル化芳香族化合物はAAアミロイド症の実験マウスモデルにおける線維状AAアミロイドの生成および沈着の有効な阻害剤であると信じられる。上記のように同定された選択された有効な化合物を使用して21日の処理期間にわたってCBA/Jマウスの群(n=8/群)に経口処理(強制栄養によって)を行った。処理期間の8日目にこれらの動物において線維状AAアミロイドを誘導するために硝酸銀(炎症刺激剤)を1回皮下注射した後、100μgのAEFを1回尾部静脈に注射する。リン酸緩衝食塩水(PBS)で経口処理し、AAアミロイド症を誘導した(8日目に)12動物の1群をコントロール群とする。各動物から脾臓、肝臓、および腎臓を回収し、各臓器の%アミロイド負荷量をイメージ分析、次いでコンゴーレッド染色またはチオフラビンS蛍光を用いて定量する。更に、免疫組織化学を行ってAAアミロイドタンパク質およびその前駆体(すなわちSAA)、並びに他の既知のAAアミロイド関連成分(すなわちヘパラン硫酸プロテオグリカン/グリコサミノグリカン、アミロイドP成分、およびApoE)を検出し、組織におけるAAアミロイド沈着の低下がアミロイド関連成分の低下とも相関するかどうかを確認する。
【0162】
出願人はin-house実験AAマウスモデルの使用を確立した。まずAEFはRobert Kisilevsky博士(Queen's University, Kingston, Ontario, Canada)から快く供与された。次いでメスのCBA/Jマウスに0.5mlの注入量の3%硝酸銀を1回皮下注射し(炎症反応を誘導するため)、100μgのAEFを尾部に静脈注射した。注射後2-3日以内にこのモデルを使用し、豊富なAAアミロイド沈着が脾臓、次いで肝臓および腎臓に生じた。図9に示すように、線維状AAアミロイド沈着は脾臓の毛包周囲に最初に観察された。組織片をコンゴーレッド染色したところ、線維状AAアミロイド沈着を示す特徴的な赤/緑複屈折(偏光下で観察したところ)が明らかになった(図9A)。線維状アミロイド沈着の存在はポジティブ・チオフラビンS蛍光によっても確認された(図9C)。
【0163】
脾臓、肝臓、および腎臓におけるAAアミロイド沈着の確認はAAアミロイドタンパク質に対するポリクローナル抗体を使用するポジティブ免疫染色によって証明された(Serotek)(未掲載)。更に、多くの研究で既に報告されているように(Snowら, Lab. Invest. 53:37-44, 1985;Snowら, Lab. Invest. 56:665-675, 1987;Snowら, Lab. Invest. 57:687-698, 1987;Snowら, J. Histochem. Cytochem. 39:1321-1330, 1990)、AAアミロイド沈着は、ファージディスプレイ産生性ペリプラスム画分抗体(phage display generated periplasmic fraction antibody)(HS4C3として知られ、特定のヘパラン硫酸GAGエピトープを認識する)を使用して明らかになったところ、ヘパラン硫酸グリコサミノグリカン(プロテオグリカンの一部としてらしい)の共局在を示した(Kuppeveltら, J. Biol. Chem. 273:12960-12966, 1998)(図9C)。
【0164】
図9は実験用AAアミロイド症マウスモデルにおける脾臓のアミロイド沈着を示す。パネルは、CBA/Jマウスに100μg AEF+0.5mlの3%硝酸銀を注射した5日後に採取した脾臓組織を表す。(図9A)コンゴーレッド染色(すなわち赤/緑複屈折)をして偏光下で観察された毛包周囲部分における脾臓アミロイド(明るい部分;矢印)。(図9B)ポジティブ・チオフラビンS蛍光で示された別の動物の毛包周囲部分における脾臓アミロイド(明るい部分;矢印)。(図9C)特定のヘパラン硫酸GAGエピトープを認識するファージディスプレイ産生性抗体(HS4C3として知られる)を用いる免疫染色で示された脾臓毛包周囲部分におけるヘパラン硫酸グリコサミノグリカンの共局在(暗い部分。矢印)。全ての図はx100である。
【0165】
肝臓では、線維状AAアミロイド沈着が3-4日以内に中心静脈壁に最初に観察され(図10A)、次いで5-7日目までには実質全体にアミロイド沈着が見られた(図10C)。線維状アミロイド沈着の性質はコンゴーレッドでのポジティブ染色(すなわち偏光下で観察する赤/緑複屈折)(図10A、10C)およびチオフラビンS(すなわちポジティブ蛍光)(図10B)の両方で確認した。
【0166】
図10は実験用AAアミロイド症マウスモデルの肝臓におけるアミロイド沈着を示す。パネルAおよびBはCBA/Jマウスに100μg AEF+0.5mlの3%硝酸銀を注射した7-10日後に採取した肝臓組織を表す。(図10A)コンゴーレッド染色(すなわち赤/緑複屈折)をして偏光下で観察したところ、肝臓アミロイドは(7日)最初、中心静脈壁に限定されていた(明るい部分;矢印)。x100。(図10B)チオフラビンS蛍光で検出された中心静脈壁(明るい部分;矢印)の肝臓アミロイド(7日)および実質への浸透(矢印先端)。x100。(図10C)AEF+AgNO3注射の10日後の肝臓における中心静脈壁(明るい部分;矢印先端)および実質全体の顕著なアミロイド蓄積(10日)を示す低倍率顕微鏡写真。x25。
【0167】
これらの研究は実験用の全身性AAアミロイド症マウスモデルを生育できることを示している。出願人はこのモデルを使用して、細胞培養モデル系を使用してスクリーニングをした後、AAアミロイド阻害剤の有効性を試験する。
【実施例10】
【0168】
抗アミロイド剤となりうるものとしての新種の化合物の同定
出願人のこれまでの研究のほとんどは、ベータ・アミロイドタンパク質(アルツハイマー病のアミロイド沈着に観察される)、膵島アミロイドペプチド(2型糖尿病患者の90%の膵島に観察される)、アルファ・シヌクレイン(パーキンソン病の沈着に観察される)、またはプリオンタンパク質(プリオン病に観察される)からなる既成のアミロイド線維の破壊/分解のためのこれらの化合物の分析に関係するものであった。出願人の最初の研究が証明するところによると、ある種のポリフェノール化合物は種々の型のアミロイドタンパク質の破壊/分解を誘引することができ、そのために特異性が低い傾向があり、一方、他のポリフェノール化合物は1つの型のアミロイドタンパク質のみを破壊する傾向がある(従って、より特異性が高い)。出願人がAAアミロイドの生成および沈着の阻害についてスクリーニングしたポリヒドロキシル化芳香族化合物のいくつかの例を以下に記載する。
【0169】
例として、図11は特定のポリヒドロキシル化芳香族化合物の膵島アミロイドポリペプチド(IAPP)(2型糖尿病患者の-90%の膵臓の島に蓄積するアミロイドタンパク質)(Westmark, 1972;Clarkら, 1988)からなるアミロイド線維を破壊/分解する効果を、チオフラビンT蛍光分析(Naikiら, 1991;Levine III, 1993;1995)によって証明するものである。このアッセイでは、チオフラビンT蛍光の増加または減少はIAPP線維の量の増加または減少に比例する(Naikiら, 1991;Levine III, 1993;1995)。図11に示すように、37℃で1週間のインキュベーション後、25μMのIAPP単独では5,806+/-301蛍光単位を示し、豊富なIAPPアミロイド線維の存在を示した。IAPP線維をIAPP:化合物の重量比1:0.1(モル比約1:1)で、特定のヒドロキシル化芳香族化合物(エピカテキン(EC;Fluka)、没食子酸エピカテキン(ECG;Sigma)、またはピロカテコール(Sigma)を含む)と共に37℃で1週間インキュベートしたところ、全て顕著な90-96%の既成のIAPP線維の破壊/分解を示した。他方、EDTA(ネガティブ・コントロールとして)およびキナ酸として知られるポリフェノール酸は既成のIAPP線維の有意な破壊/分解を誘引しなかった(図11)。また、特定のポリフェノール化合物による既成のIAPP線維の直接の破壊がコンゴーレッド染色アッセイによって確認された(未掲載)。
【0170】
図11は特定のポリヒドロキシル化芳香族化合物が既成のアミロイド線維の有効な破壊剤として作用することを示している。このグラフはIAPP線維の阻害剤を同定するための1週間のチオフラビンT蛍光アッセイである。示すように、エピカテキン(EC)、没食子酸エピカテキン(ECG)、およびピロカテコールのみが既成のIAPP線維を90-96%まで破壊/分解する。
【0171】
出願人の他の研究で、円2色性分光法を利用してベータアミロイドタンパク質(Aβ)1-42(全てのアルツハイマー病患者の脳において細胞外アミロイドプラークの一部としてアミロイド線維を生成するタンパク質)からなる既成の線維を破壊するある種のポリフェノール類の有効性を試験する。例として、ポリフェノール、エピカテキンのAβ1-42線維の破壊に対する影響を試験した。この研究では、50μMのAβ1-42(Bachem社)をエピカテキン(EC)(Sigma)の非存在下または存在下、1:1のAβ:EC wt/wt比(モル比約1:10)で、37℃で1週間インキュベートした。図12に示すように、Aβ1-42単独では、222nmで観察される顕著な最低値によって、βプリーツシート構造を含有する線維状アミロイドタンパク質の典型的なスペクトルが示された。他方、3日までエピカテキンと共にインキュベートすることによってβプリーツシート構造の有意な破壊/分解が誘引され(図12)、このことは特定のポリヒドロキシル化芳香族化合物の作用機構がβプリーツシート破壊に関与しうることを示唆している。
【0172】
図12はエピカテキンによる既成のアルツハイマー病アミロイド線維のβプリーツシート構造の破壊/分解を示す。円2色性分光法を使用して、既成のAβ1-42線維のβプリーツシート構造の破壊/分解を誘引するエピカテキン(EC)の能力を評価した。示すように3日の共インキュベーションで、エピカテキンはβシート構造の破壊に有効であった(特に222nmの、スペクトルの変化によって明らかになった)。
【実施例11】
【0173】
エピカテキンによる実験 AA アミロイド症の阻害
また研究によって、エピカテキン(C15H14O6;MW 290.3)として知られる特定のポリヒドロキシル化芳香族化合物がマウスモデル(すなわちAEF+硝酸銀投与)において脾臓および肝臓のAAアミロイド沈着を著しく予防する能力を有することを証明している。これはカテキン(エピカテキンのエピマー)処理後には観察されず、ポリヒドロキシル化芳香族化合物によるAAアミロイド線維の生成および沈着の阻害に関する構造-活性相関が存在することを示唆している。
【0174】
この研究で、4群(n=6/群)の8週齢のメスCBA/Jマウスをまず以下のいずれかで7日間前処理した:a)リン酸緩衝食塩水(PBS)、b)エピカテキン(C15H14O6;MW 290.3)(Fluka, St. Louis, MO)、またはc)カテキン水和物(C15H14O6;MW 290.3)(Fluka, St. Louis, MO)。エピカテキンを78mg/kg/日の用量(エピカテキンの溶解限界)で強制栄養(0.5mlの試験物質/PBS、pH7.4)によって毎日投与し、またカテキン水和物は高用量(500mg/kg/日)で投与した。
【0175】
PBS、エピカテキン、またはカテキンのいずれかで7日間前処理した後、全ての動物にAAアミロイド沈着を誘導するために、0.5mlの硝酸銀を1回皮下注射し(炎症刺激)、次いで100μgのAEF/蒸留水を尾部静脈に1回注射した。その後マウスを更に14日間PBS、エピカテキン、またはカテキンで上記のように強制栄養によって処理した(試験化合物による処理の合計時間は21日間)。実験プロトコールの最後に動物を殺害し、組織分析のために脾臓、肝臓、および腎臓を回収した。
【0176】
次いでコンゴーレッドおよびチオフラビンSの両方を使用して組織切片(すなわち脾臓、肝臓、および腎臓)の線維状アミロイドを染色した。その後、臓器毎に5切片を使用してアミロイド負荷を評価した。これらの研究は、恣意的スコアリング系を使用し(0から5)、臓器毎のアミロイド負荷を2人の研究者のブラインド・スコアリングによって測定した。例えば、脾臓における組織切片のコンゴーレッド・スコアリングは以下である:0=組織にコンゴーレッド複屈折が観察されない;1=毛包周囲部分の1つの部分に限定されたわずかなコンゴーレッド複屈折;2=毛包周囲部分の2つ以上の部分に限定されたコンゴーレッド複屈折;3=毛包周囲部分全体を占めるコンゴーレッド複屈折;4=毛包周囲部分全体を占め、白脾髄まで浸透するコンゴーレッド複屈折;5=毛包周囲部分全体を占め、白脾髄の深部まで浸透するコンゴーレッド複屈折。出願人は更に定量的な方法も用い、より高性能のイメージ分析システムを使用して種々の組織における%アミロイド負荷量を測定する。
【0177】
図13に示すように、食塩水のみを投与した動物は2週間のアミロイド誘導期間の最後までに脾臓における顕著なアミロイド沈着を示し、コンゴーレッドのスコアは3.83+/-0.1であった。カテキン水和物(すなわちコンゴーレッド・スコアが3.20+/-0.46)は脾臓におけるAAアミロイド沈着を16.5%低下させたが、これは顕著ではなかった。しかしながら、エピカテキン(すなわちコンゴーレッド・スコアが2.16+/-0.50)は脾臓における線維状AAアミロイド沈着を有意に(P<0.01)、43.7%阻害した(図13)。肝臓および腎臓における線維状AAアミロイドの同様の阻害がエピカテキン処理後にも観察されたが、カテキンでは観察されなかった(未掲載)。
【0178】
エピカテキンによる阻害効果は非常に効力が高く、少数の動物は処理後、組織において線維状AAアミロイドをほとんど、あるいは全く示さなかった(図14)。この研究は、選択されたポリヒドロキシル化芳香族化合物が全身性AAアミロイド症の治療のための有効な治療物質として役立つ能力を有することを証明している。記載する研究は細胞培養技術およびAAアミロイド症の実験マウスモデルを使用して、AAアミロイド症の治療のための先導化合物として役立つポリヒドロキシル化芳香族化合物を同定する。
【0179】
図14はコンゴーレッド染色によって明らかとなったエピカテキンによる脾臓AAアミロイド沈着の顕著な低下を示す。(図14A)AEF+AgNO3(8日目)で誘導し、PBS(21日目)で処理したマウスの脾臓(矢印)の毛包周囲部分におけるAAアミロイド沈着のコンゴーレッド染色。カラー顕微鏡写真は線維状アミロイドを示す赤/緑複屈折(偏光下で観察)を示している。(図14B)脾臓の毛包周囲部分(矢印)におけるAAアミロイド沈着がほとんど完全に除去されたことが、AEF+AgNO3(8日目)で誘導し、エピカテキン(21日目)で処理した動物のコンゴーレッド染色の不在(偏光下で観察)によって示されている。
【実施例12】
【0180】
新たな AA アミロイド阻害剤の同定 -in vitro でのスクリーニング
出願人の研究により、特定のポリヒドロキシル化芳香族化合物、例えばエピカテキンが組織における線維状AAアミロイドの生成および沈着の有効な阻害剤として役立ちうることが示唆されている。出願人は革新的な細胞培養技術を使用して、芳香環の数および/または芳香環上の種々のヒドロキシルおよび他の官能基の位置が異なる多くの既知の市販のポリヒドロキシル化芳香族化合物をスクリーニングする。これらの構造-活性相関(SAR)型のスクリーニング研究によって、AAアミロイドの生成および沈着の有効な阻害のために必要とされる重要な構造上の特徴への洞察が得られる。組み換えSAA2およびAEFを利用するマウスマクロファージ培養系を使用して、in vitroで線維状AAアミロイドを生成する。コンゴーレッド染色およびチオフラビンS蛍光によって検出される線維状AAアミロイド沈着を、蛍光および偏光を搭載したイメージ分析システムを使用して培養液中で定量する。更に、AAアミロイド生成の定量を、SDS-PAGE、免疫ブロッティング法、および走査デンシトメトリーを使用する細胞層および培地の分析によって行う。AAアミロイドが培養液中に確立された時点で、種々の濃度の選択されたポリヒドロキシル化合物で培養液をスクリーニングする。その後、培養液中でAAアミロイドの生成および沈着を阻害することが見出された最も有効な化合物を適当なAAアミロイド症の実験マウスモデルで試験する。
【0181】
方法:
AA アミロイド症の研究のための細胞培養系の確立
線維状AAアミロイドの生成および沈着の阻害剤をスクリーニングするための細胞培養系の確立のために、出願人はKluve-Beckermanら(1999)が報告した方法を使用する。
【0182】
マウス・マクロファージ/腹膜細胞の回収および培養:
正常な8-10週齢のメスC57Bl/6マウスの腹腔から洗浄(lavage)によって細胞を回収する。手短に言えば、8mlの回収培地(RPMI 1640;Life Technologies, Grand Island, NY)、25mM HEPES(pH7.0)、および1X抗生物質/抗真菌物質(Life Technologies)を腹膜内に注射し、腹部を穏やかにマッサージし、体液および細胞を回収する。細胞を遠心分離によって回収し、5x106細胞/mlの濃度で再懸濁し、8-ウェル・チャンバー・スライド中に1.7x106細胞/ウェルの密度で播種する。培地はRPMI 1640、2mM L-グルタミン、1x抗生物質-抗真菌物質、および15%ウシ胎仔血清(Hyclone Labs, Logan, VT)を含有する。細胞を3時間接着させ、その後ウェルを洗浄して付着しなかった細胞を除去する。付着細胞はフレッシュに播種した非活性化マクロファージに特有の均一で円形の形態を示す。細胞をウェル毎に350μlの培地中、37℃で5%CO2雰囲気下で保持し、培地は2-3日毎に置換する。AEFおよび組み換えSAA2(以下に記載)を添加して培養液中でAAアミロイド沈着を誘導した後(通常、誘導の2-4日以内に観察される)、細胞培地を14-20日間保持する。
【0183】
アミロイド促進因子の調製:
0.5mlのAgNO3の皮下注射1回および100μg AEF/蒸留水の尾部静脈注射1回での処理の2週間後のアミロイド性マウスの脾臓からAEFを調製する。最初のAEF物質はRobert Kisilevsky博士(Queen's University, Canada)から快く供与されたもので、Prasら(1968)の方法を使用してこれに更なるAEFを生成した。手短に言えば、約2グラム(10のアミロイド性脾臓)の組織をそれぞれの標品のために処理した。Kontes組織粉砕器を使用し、40mlの0.15M NaCl食塩水中で組織が微細なスラリーになるまで脾臓をホモジナイズする。次いでスラリーを卓上微量遠心分離器で10,000rpm、30分間遠心分離する。上清を廃棄し、ペレットを40mlの食塩水に再懸濁し、上記のように再び遠心分離する。この処理を7回繰り返す。その後、無菌蒸留水中で再ホモジナイズしてペレットから塩を除去し、卓上微量遠心分離器で15,000rpm、2時間遠心分離する。次いで上清を廃棄し、ペレットを20mlの蒸留水に再懸濁し、再び15,000rpmで2時間、遠心分離する。この時は上清を廃棄せず、上清II(SupII)とし、これは有意なAEF活性を含有する。SupIIの調製のために使用した処理を反復し、上清(SupIII)を保存する。最後の工程で得たペレットを7mlの蒸留水に再懸濁し、10,000rpmで3時間遠心分離する。上清を保存し、これをSupIVとする。SupII、SupIII、およびSupIVはAEF活性を含有し、これをBradford法(Bradford, 1976)によってアッセイして各上清のタンパク質濃度を測定した。次いで3つの上清をプールし、凍結乾燥して複数の100μg凍結乾燥アリコートを得る。AEFを、以下に記載するように細胞培養実験(目的1)およびマウスモデルでの実験AAアミロイド誘導の両方に使用する。出願人は10のアミロイド性脾臓から約4mgのAEF(ここに記載するように40動物への注射;すなわち100μg/動物に十分な量)が得られることを発見した。
【0184】
組み換え SAA2 の生成および精製:
CE/J株のマウスのSAA(CE/J SAA)に相当するマウス組み換えSAA2をEscherichia coli BL834細胞において、既に報告されているようにpET-21aベクターを使用して生成する(Kluve-Beckermanら, 1997)。E. coli溶解産物からの精製は、4Mグアニジン、0.05Mトリス-HCl(pH8.2)中でのSepharose CL-6Bクロマトグラフィー、およびその後の6M尿素中でのpH8からpH5の範囲にわたるクロマトフォーカシングによって行う(Kluve-Beckermanら, 1997)。最終標品を硫酸アンモニウム(80%飽和)で沈殿させ、水に対して広範に透析し、凍結乾燥する。
【0185】
細胞培養液における AA アミロイドの生成の誘導
培養液中のマクロファージ/腹膜細胞におけるAAアミロイドの生成および沈着を誘導するために、組み換えマウスSAA2(最終濃度140μg/ml)およびAEF(最終濃度12μg/ml)を使用する。SAA(7μl)を7-10mg/mlのストック溶液(精製および凍結乾燥した組み換えSAA2を6M尿素、25mM HEPES、pH7.2に溶解して調製)からの培地(350μl)に直接添加する。ストック溶液の濃度を、SDS-PAGEによる分析およびクマシーブルー染色したSAAバンドの比重定量の後、調整する。AEFストック溶液(2mg/ml)を完全に混合して沈殿した物質を再懸濁した後、アリコート(2μl)を採取して培地(350μl)に添加する。
【0186】
細胞増殖力アッセイ:
AAアミロイドの誘導(上記)後のマクロファージ培養液の細胞増殖能力を確認するために、トリパンブルー排除をいくつかの培地に使用する(5、10、および20日目)。染色前に、細胞を血清未含有RPMIで3回洗浄する。次いで2%(w/v)トリパンブルー/PBS溶液で1分間被覆する(Perryら, 1997)。トリパンブルーの除去後すぐに、細胞を4%(w/v)パラホルムアルデヒド、pH7.5で室温で10分間固定し、穏やかに攪拌しながらPBSで4回洗浄し、顕微鏡で検査してからコンゴーレッドまたはチオフラビンSで染色する。
【0187】
マクロファージの食細胞活性:
培地中でのマクロファージ細胞の食細胞活性を評価および確認するために(AAアミロイド誘導後5、10、および20日目)、ラテックスビーズ取り込みアッセイも使用した。青色に染色したポリスチレンラテックスビーズ(直径0.8μm)(Sigma)を血清未含有RPMIに7.2x108/mlの濃度で懸濁する。細胞を血清未含有RPMIで3回洗浄し、その後300μlのビーズ懸濁液と共に30分間インキュベートする。インキュベートの際、スライドをパラフィルムでしっかり包み、37℃の水浴中で穏やかに攪拌する。ビーズ懸濁液を除去し、細胞をRPMIで10回、最小限に洗浄する。次いで細胞をホルマリンで固定し、ヘマトキシリンで染色する。
【0188】
コンゴーレッド染色:
培地中で線維状AAアミロイド沈着を確認および定量するために、細胞を(AAアミロイド誘導後)5、10、および20日で氷冷100%メタノールで固定し、その後アルカリ性80%エタノール中で調製したコンゴーレッドで45分間染色する(Puchtlerら, 1962)。数回水に素早く浸漬した後、スライドをヘマトキシリンに2分間浸漬する。次いでスライドを酸性70%エタノールに1回、水に数回、そして1%NaOH溶液に1回浸漬する。95%エタノールおよび100%エタノールで連続的に洗浄して脱水を行う。スライドをキシレン中で透明にし、Permountを使用してカバースリップを施与する。コンゴーレッド染色(すなわち偏光下で観察した赤/緑複屈折)の程度を、ここに記載するようにイメージング系を使用して定量する。この培養系を使用した過去の研究では、コンゴーレッド陽性物質は培養期間中を通して(2-24日)チャンバースライドに結合したままであることが示された(Kluve-Beckermanら, 1999)。培地中のAAアミロイド蓄積はSAA2およびAEFの添加後2日以内に起こることが既に証明されている(Kluve-Beckermanら, 1999)。
【0189】
チオフラビンS蛍光
チオフラビンSで染色した後、線維状AAアミロイド沈着を検出および分析する(ElghetanyおよびSaleem, 1988)。ここに記載するイメージ分析系を使用してチオフラビンS蛍光を定量する。
【0190】
イメージ分析による細胞培地中の% AA アミロイド負荷量の定量:
AAアミロイドの生成および沈着後(5、10、および20日目)の細胞培地中に存在する%アミロイド負荷量を定量するために、出願人はイメージ分析を伴う定量法を使用する。手短に言えば、コンゴーレッドまたはチオフラビンSで染色したスライドをそれぞれ偏光下または蛍光下で観察する。ここに記載するように処理群毎に5-7のスライドを使用して、一定の倍率(x100)で%アミロイド負荷量を測定する。CCDビデオカメラを通してZeiss Axioskop 20 microscope(偏光および蛍光の性能を有する)に結合したImage Pro Plusイメージ分析系(Media Cybernetics)を使用して定量的イメージ分析を行う。線維状AAアミロイドの(偏光または蛍光を発する)切片のイメージをバッファー中に保存し、特定の領域(すなわちx100の倍率)の輪郭を手作業で描き、アミロイド構造が占める総ピクセル部分を測定する。単色に基づく閾値(monochromatic-based threshold)を使用して偏光または免疫蛍光を発する構造に相当するピクセルを選択する。標識されたピクセル(すなわちコンゴーレッドでは赤/緑;チオフラビンSでは黄/緑)が占める領域の%を計算する。全てのイメージ分析で、観察者は培地の処理状況を知らない。Statviewソフトウェア(SAS Institute, Cary, NC)を使用してマン-ウィットニー非パラメーター(nonparametric)分析を行う。ポリヒドロキシル化芳香族化合物(下記)での処理によって誘引されたアミロイド負荷量の低下を、上記の方法を使用して定量的に測定することができる。このイメージング系をうまく利用して(コンゴーレッド染色;チオフラビンS蛍光;またはビオチニル化Aβ抗体を使用)%アミロイド負荷量、アミロイドプラークの数、およびプラークのサイズをアルツハイマー病のトランスジェニックマウスモデルの脳の種々の領域において測定した。この方法を使用して、出願人はアミロイド沈着構造を含有するマクロファージの数もin vitroで定量する(x100の倍率で)。Kluve-Beckermanら(1999)による過去の研究は、上記の細胞培養系を使用して、マクロファージの多くがマクロファージ細胞の細胞質内に線維状AAアミロイドを蓄積することを証明している。
【0191】
AA アミロイドの生成および沈着の阻害に関するポリヒドロキシル化芳香族化合物の試験
出願人のデータは、ある種のポリヒドロキシル化芳香族化合物が有効なアミロイド阻害活性を有することを示唆している。線維状AAアミロイドの生成および沈着の阻害に好適だと信じられる市販のポリフェノール化合物を以下に記載する。
【0192】
構造-活性相関の研究のために、これらの容易に入手できるポリフェノール化合物で芳香環の種々の位置に水酸基を有するものを製造元から購入してもよい。これらの化合物の毒性を試験する最初の研究は、それらが高投与量でもわずかな毒性しか示さないことを示している。ここに記載するAAアミロイド負荷量%の定量を使用して、培養液中で種々のポリフェノール化芳香族化合物のAAアミロイドの生成および沈着を阻害/破壊する能力を評価する。
【0193】
有効な抗アミロイドおよび抗アルファ・シヌクレイン/NAC阻害剤/破壊剤であることが開示され、そうと信じられている代表的な化合物にはEDTA(ネガティブ・コントロールとしてのみ使用するC10H16N2O8 MW292.2)、および以下を含む種々のフェノール置換パターンを有する市販のポリフェノール化合物がある:エピカテキン(C15H14O8;MW290.3)、カテキン水和物(C15H14O8;MW290.3)、エピガロカテキン(C15H14O7;MW306.3)、没食子酸エピガロカテキン(C22H18O11;MW458.4)、没食子酸エピカテキン(C22H18O10;MW442.4)、没食子酸ガロカテキン(C22H18O11;MW458.4)、クロロゲン酸(C16H18O9;MW354.3)、ヘマトキシリン(C16H14O6;MW302.3)、フロログルシド(C12H10O5;MW234.2)、没食子酸プロピル(C10H12O5;MW212.2)、没食子酸エチルエステル(C9H10O5;MW198.2)、没食子酸(C7H6O5;MW170.1)、3,4,5-トリヒドロキシベンズアミド水和物(C7H7NO3;MW169.1)、5-ヒドロキシドーパミン(C8H11NO3;MW205.6)、1,2,4-ベンゼントリオール(C6H6O3;MW126.1)、エラグ酸(C14H6O8;MW302.2)、クエルセチン(C10H12O5;MW338.3)、ピロカテコール(C6H6O2;MW110.1)、タンニン酸(C76H52O46;MW1701.2)、ピロガロール(C6H6O3;MW126.1)、およびp-アミノサリチル酸(C7H7NO3;MW153.1)。
【0194】
これらの化合物は全てSigma(St. Louis, MO)、Fluka(St. Louis, MO)、またはAcros Organic(Fisher Scientific, Palatine, ILの子会社)から市販されている。SAR型の研究の例として、出願人は3つの隣接するヒドロキシル基を芳香環上に含有する化合物(例えばピロガロール、5-ヒドロキシドーパミン、没食子酸、および没食子酸プロピルがある)を、2つの隣接するヒドロキシル基を含有する化合物(例えばピロカテコール、クエルセチン、および1,2,4-ベンゼントリオールがある)と比較する。少なくとも2炭素の間隔をおいて位置するヒドロキシル基を含有する化合物(例えばフロログルシド)も細胞培養で評価した。これらの研究は、AA線維新生の生成および/または沈着の阻害に寄与するフェノール構造の特徴を確認する助けとなる。ここで同定される最も有効な阻害剤の化学類似体の合成も検討する。これらの研究によって、観察される生体活性に必要な構造的要素を十分洞察することができる。
【0195】
細胞培養実験のために、試験化合物の初期の高濃度投与(経験的に決定される)を使用して、以下および本文の他の箇所に記載する方法による測定で、化合物がAAアミロイドの生成および/または沈着を阻害できるかどうかを確認する。これらの研究のために、それぞれのポリヒドロキシル化芳香族化合物をAAアミロイド誘導(すなわちAEF+SAA2投与)の開始時に培養液に添加する。それぞれ個々の試験化合物を含有する細胞培養液を2-3日毎に交換する。AAアミロイド誘導および試験化合物処理後5日目と10日目に%アミロイド負荷量を定量する。AAアミロイド沈着だけを誘導した(すなわち試験化合物処理を行っていない)培養液中の%アミロイド負荷量に対して直接比較を行った。1回の高濃度投与で線維状AAアミロイドの生成および/また沈着の阻害剤としての有望性を示すことが確認されたものを更に広範に、そして種々の濃度(すなわち低濃度、中濃度、および高濃度;経験的に決められる)で試験し、線維状AAアミロイドの生成および/または沈着の用量依存的阻害を確認する。その後、上記のような細胞培養法を使用するスクリーニングで同定された選択された化合物をAAアミロイド症の実験マウスモデルで試験する。
【0196】
図15は種々の市販のポリヒドロキシル化芳香族化合物の構造-活性相関(SAR)の研究を示す。示すのは芳香環上のヒドロキシル基の位置が異なる種々の市販のポリフェノール化合物の構造の8つの例であり、これをSARスクリーニング試験に使用する。
【0197】
SDS-PAGE および免疫ブロッティングを使用する AA アミロイドの定量
コンゴーレッド染色およびチオフラビンS蛍光を行った後に%アミロイド負荷量をイメージ分析を使用して定量するのに加え、細胞層および培地中のAAアミロイド蓄積をSDS-PAGEを使用して測定し、その後、既に報告されているように免疫ブロッティングを行う(Kluve-Beckermanら, 1999)。手短に言えば、細胞層を血清未含有RPMIで3回洗浄し、PBS中に掻き出し、遠心分離して沈殿させ、SDSサンプルバッファーに可溶化する。細胞から誘導された培地中のAAアミロイドを分析するために、培地の15μlアリコートをSDSサンプルバッファーに直接添加する。3重複測定のサンプルを、既に報告されているようにトリシン-SDS-PAGEに適用する(Schaggerおよびvon Jago, 1987)。この方法を使用して、分離層、スペーシング層、およびスタッキング層はそれぞれ16.5%、10%、および4%アクリルアミドゲルを含有する。AAアミロイドタンパク質に対するモノクローナル抗体(Serotek)および増強化学発光(enhanced chemoluminescence;ECL)ウェスタンブロッティングの技術を製造者(Amersham Life Science)の推奨に従って使用する。上記の方法を使用すると、SAA2は一般に-12から14kDa以上に複数のバンドとして現れ、他方AAタンパク質は-8.5kDaに主要なバンドとして現れる(Kluve-Beckermanら, 1999)。まず細胞培養を確立した後、-8.5kDaの主要なバンドのN-末端シーケンシングを行ってAAタンパク質の存在を確認する。出願人はこれまでに他の社内プロジェクトのために電気泳動、電気溶出(electroelution)、およびアミノ酸シーケンシング法を使用して他のペプチド配列を同定してきた。
【0198】
この系を確立した後、出願人は高濃度の各ポリヒドロキシル化芳香族化合物(上記)の存在下または非存在下でSAA2+AEFによって誘導した後(AAアミロイド誘導後5および10日に)、走査デンシトメトリーを使用して細胞層および培地中のAAアミロイドタンパク質の程度を確認する。サンプル(3重複測定でSDS-PAGEで実施したサンプル)毎に3回のスキャンの平均を使用して、種々の条件下で細胞層および培地中のAAアミロイドタンパク質のレベルを測定する。ポリフェノール化合物の存在下または非存在下で走査デンシトメトリー分析を比較する統計学的分析はStudentの2点比較t検定に基づき、データを平均値+/-標準偏差で表す。有意性は95%(p<0.05)、99%(p<0.01)、および99.9(p<0.001)の信頼レベルで報告する。ANOVAも必要によって使用する。
【実施例13】
【0199】
新規の AA アミロイド阻害剤の同定 - 動物実験
研究により、特定のポリヒドロキシル化芳香族化合物、例えばエピカテキンはin vivoにおいて線維状AAアミロイドの生成および沈着の有効な阻害剤として役立つと考えられることが示唆される。出願人はAAアミロイド症の実験マウスモデルにおいて選択されたポリヒドロキシル化芳香族化合物の有効性を測定するための動物モデル実験を示す。まずCBA/Jマウスの群(群毎にn=8)を種々のポリヒドロキシル化芳香族化合物で、非毒性高濃度で(経験的に決定する)7日間、前処理する。動物に線維状AAアミロイド症を誘導するために1回のAgNO3の皮下注射、および1回の100μgのAEFの尾部静脈注射を行う。アミロイド誘導期間中、ポリヒドロキシル化芳香族化合物での処理を更に14日間継続した後、殺害する(処理期間=計21日)。脾臓、肝臓、および腎臓をそれぞれの動物から回収し、各臓器における%アミロイド負荷量をイメージ分析を使用して定量する。更に、免疫組織化学をAAアミロイドタンパク質に対する抗体、SAA、ヘパラン硫酸プロテオグリカン/グリコサミノグリカン、アミロイドP成分、およびApoEを使用して行い、蓄積AAアミロイド/SAA、および他の既知のAAアミロイド補助因子に対する試験化合物の影響を評価する。
【0200】
方法論:
処理群:
8週齢のメスCBA/Jマウス(Baxter Labs)の群(群毎にn=8)を動物モデル実験に使用する。まず各動物を初期非毒性高濃度(経験的に決定する)の特定のポリヒドロキシル化芳香族化合物(上記の試験の結果から選択)で7日間の前処理期間、強制栄養(0.5mlの容量)によって毎日前処理する。一般に、出願人のこれまでの経口投与によるポリヒドロキシル化芳香族化合物の低から高用量は25mg/kg/日の低濃度から500mg/kg/日の高濃度の範囲である。同じ投与量を使用し、種々のポリヒドロキシル化芳香族化合物を、化合物の毒性および溶解度(PBS中の)を考慮しながら比較する。強制栄養は0.50mlのPBS(pH7.4)に溶解した試験化合物で、22ゲージの経口投与針(Popper)を使用して行う。8日目に全ての動物に1回の0.5mlの3%AgNO3(Fisher)/再蒸留脱イオン水の皮下注射でAAアミロイド症を誘導する。この後、再蒸留脱イオン水中の100μgのAEFを1回、尾部静脈に注射する。それぞれの特定のポリヒドロキシル化合物で更に14日間動物を処理する。1群の12検体のマウスにAAアミロイド症を誘導し(上記のようにAgNO3+AEFによる)、試験化合物の非存在下で、PBS(pH7.4)のみで経口処理する。21日の処理期間の最後に0.1mlのeuthosolの過剰投与によって動物を殺害し、脾臓、肝臓、および腎臓をそれぞれの動物から回収し、染色および免疫組織化学を行う。得られるデータから群毎の動物数(試験化合物はn=8;コントロール食塩水群はn=12)を決定し、0.05のアルファレベル(両側)および0.5の標準偏差に基づいて効率(power)を計算したところ、94%の効率(power)であった。
【0201】
AEF の生成:
AEFを上記のように調製する。
固定および組織の調製:
既に報告されているように、固定および組織の調製を行う(Snowら, 1991)。手短に言えば、脾臓、肝臓および腎臓をそれぞれの動物から除去し、90%エタノールおよび10%ホルムアルデヒド中、-20℃で24時間固定し、パラフィンに包埋し、25μMの切片(下記のようなアミロイド負荷の定量に必要な厚い切片)とする。動物毎に約50-75切片を得る。
【0202】
コンゴーレッド染色およびチオフラビンS蛍光:
線維状AAアミロイド蓄積をコンゴーレッド染色(Puchtlerら, 1962)およびチオフラビンS蛍光(ElghetanyおよびSaleem, 1988)で上記のように検出する。
【0203】
組織中のアミロイド負荷量の定量
また、イメージ分析を使用して各動物の脾臓、肝臓、および腎臓に存在する%アミロイド負荷量を定量する。コンゴーレッド(偏光下で観察)またはチオフラビンS(蛍光下で観察)での染色後の評価によって、各臓器の%アミロイド負荷量を定量する。(それぞれの処理群で)染色毎に、動物毎に5-7の等間隔のスライドを使用して一定の倍率(x100)で%アミロイド負荷量を測定する。一定の臓器における(そして一定の倍率での)アミロイド負荷の定量的イメージ分析を上記のようにイメージ分析系を使用して実施する。アミロイド負荷の低下の見込みを、それぞれの臓器/動物について各ポリヒドロキシル化芳香族化合物で定量的に測定する。一定の試験化合物はアミロイド負荷を40-60%低下させると期待される。
【0204】
免疫組織化学:
また、組織切片を免疫染色して重要なAAアミロイドタンパク質マーカーおよび既知のAAアミロイド関連補助因子を検出する。AAアミロイドタンパク質に対するモノクローナル抗体(Serotek)を使用してAAアミロイド沈着の位置を確認し、SAAに対するポリクローナル抗体(Serotek)を使用して前駆タンパク質、SAAを検出する。perlecan(AAアミロイド症に関係する特定のヘパラン硫酸プロテオグリカン)の存在をperlecanコアタンパク質に対するモノクローナル抗体(HK-102;Koji Kimata博士(Japan)より供与)を使用して検出し(Snowら, 1994)、特定のヘパラン硫酸GAG鎖のエピトープに対するファージ表示生成ペリプラスム画分抗体(HS4C3として知られる;Van Kuppevelt博士より供与)(van Kuppeveltら, 1998)を使用してヘパラン硫酸GAGの共局在を測定する。ポリクローナル抗体(Research Diagnostics)を使用してアミロイドP成分を検出し、ポリクローナル抗体(Research Diagnostics)を使用してApoEを検出する。
【0205】
抗体の位置確認のために、出願人は標準的な蛍光法を使用する(Basgenら, 1989;Mosedaleら, 1996)。免疫組織化学染色のための1次抗体を一連の希釈液を通して使用し、バックグラウンド染色の最も少ない、最善の特異性を得る。ポジティブ免疫染色のコントロールは以下のいずれかで処理した切片からなる:1)過剰量の抗原での1次抗体の前吸収(可能な場合)、2)同じIgクラスおよび種の異なる1次抗体、および/または3)1次抗体の代わりにPBS+1%ウシ血清アルブミン(使用する2次抗体の非特異的結合がないことを確実にするため)。
【0206】
薬理学および有用性
開示する化合物はアミロイド線維生成を阻害もしくは予防し、アミロイド線維増殖を阻害もしくは予防し、そして/または既成のアミロイド線維およびアミロイドタンパク質沈着を分解、破壊、および/もしくは分散を誘引する。その活性は、実施例1から4に記載したような方法でによってIn vitroで測定することができ、またアミロイド症に対するin vivoでの活性はアルツハイマー病、パーキンソン病、全身性AAアミロイド症、2型糖尿病などのもののような動物モデルで測定することができる。
【0207】
また、化合物はアルファ・シヌクレイン/NAC線維生成を阻害もしくは予防し、アルファ・シヌクレイン/NAC線維増殖を阻害もしくは予防し、そして/または既成のアルファ・シヌクレイン/NAC線維およびアルファ・シヌクレイン/NAC関連タンパク質沈着の分解、破壊、および/もしくは分散を誘引する。その活性は上記実施例4に記載したような方法によってin vitroで測定できる。
【0208】
化合物の治療係数の測定は、例えば試験動物種において有効な抗線維(マウスのような好適な動物種の好適なin vivoモデルにおける抗アミロイドまたは抗アルファ・シヌクレイン/NAC活性)を与える用量を有意な体重減少(または他の観察可能な副作用)を与える用量と比較することによって行うことができる。
【0209】
薬剤組成物および投与
一般に、化合物の投与は純粋な単離された形態で、治療的有効量で、当該分野で知られる通常の様式によって、単独で、または少なくとも1つの他の化合物および/もしくは少なくとも1つの他の治療すべき疾病の慣例的な治療薬との組み合わせで行う。治療的有効量は疾病、その重篤度、治療すべき動物の年齢および相対的な健康、化合物の効力、および他の因子によって大いに異なりうる。抗線維物質として、治療的有効量の化合物は10-1000mg/kg体重;例えば10-100mg/kg体重の範囲であってもよい。通常の技術を有する当業者は過度の実験を行わずに、その技術と本開示を考慮して、アミロイド症の治療のための本発明の化合物の治療的有効量を決定することができる。
【0210】
一般に、化合物は以下の経路の1つによって薬剤組成物として投与される:経口、局所、全身(例えば経皮、経鼻、または坐薬によって)、または非経口(例えば筋肉内、皮下、または静脈内注射)。組成物は錠剤、ピル、カプセル、半固体、粉末、持続放出剤、溶液、懸濁液、エリキシル、エアロゾル、または他の好適な組成物の形態であってもよく;そして少なくとも1つの化合物を少なくとも1つの薬剤的に許容しうる賦形剤と組合わせて含有してもよい。好適な賦形剤は当業者に周知であり、それら、および組成物を調製する方法は標準的な文献、例えばAlfoso AR : レミントンの薬学, 17版, Mack Publishing社, Easton PA, 1985に見られうる。特に注射用溶液に好適な液体キャリアーには水、生理食塩水、デキストロース水溶液、およびグリコールがある。
【0211】
特に、化合物は経口で、例えば錠剤、トローチ、ロゼンジ剤、水性もしくは油性懸濁液、分散性粉末もしくは顆粒、エマルション、硬質もしくは軟質カプセル、またはシロップもしくはエリキシルとして投与できる。経口に使用することを意図する組成物は医薬組成物製造の分野で周知の方法に従って調製してもよく、それらの組成物は薬剤的に優れ、味の良い製剤とするために甘味料、着香料、着色料、および保存料からなる群から選択される1つ以上の物質を含有してもよい。
【0212】
錠剤は化合物を、錠剤の製造に好適な非毒性の薬剤的に許容しうる賦形剤と混合して含有する。これらの賦形剤は、例えば不活性希釈剤(例えば炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、ラクトース、リン酸カルシウム、またはリン酸ナトリウム);顆粒化剤または崩壊剤(例えばトウモロコシデンプンまたはアルギン酸);結合剤(例えばトウモロコシデンプン、ゼラチン、またはアカシア);および潤滑剤(例えばステアリン酸マグネシウムまたはステアリン酸)またはtaleであってもよい。錠剤は素錠でもよく、または既知の技術でコーティングして胃腸管での崩壊および吸収を遅延させ、それによって長時間にわたる持続作用を提供してもよい。例えばモノステアリン酸グリセロールまたはジステアリン酸グリセロールのような遅延物質を使用してもよい。経口で使用する製剤は、硬質ゼラチンカプセルとして化合物を不活性固体希釈剤(例えば炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、またはカオリン)と混合するか、あるいは軟質ゼラチンカプセルとして活性成分を水もしくは油性媒質(例えばピーナツ油、液体パラフィン、またはオリーブ油)と混合してもよい。
【0213】
水性懸濁液は化合物を、水性懸濁液の製造に好適な賦形剤と混合して含有する。それらの賦形剤は懸濁剤、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントガム、およびアカシアガムである;分散剤または湿潤剤は以下であってもよい:天然に存在するホスファチド(例えばレシチン)、または酸化アルキレンと脂肪酸との縮合産物(例えばステアリン酸ポリオキシエチレン)、または酸化エチレンと長鎖脂肪族アルコールとの縮合産物(例えばヘプタデカエチレンオキシセタノール)、または脂肪酸とヘキシトールから誘導された部分エステルと酸化エチレンとの縮合産物(例えばモノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビトール)、または脂肪酸とヘキシトールアルデヒドからの部分エステルと酸化エチレンとの縮合産物(例えばモノオレイン酸ポリエチレンソルビタン)。水性懸濁液は1つ以上の保存料(例えばp-ヒドロキシ安息香酸エチルもしくはn-プロピル)、1つ以上の着色料、1つ以上の着香料、または1つ以上の甘味料(例えばスクロールまたはサッカリン)も含有してもよい。
【0214】
油性懸濁液は化合物を植物油(例えば落花生油、オリーブ油、ゴマ油、またはヤシ油)または鉱油(例えば液体パラフィン)に懸濁させて調製してもよい。油性懸濁液は増粘剤(例えば蜜蝋、固形パラフィン、またはセチルアルコール)を含有してもよい。甘味料(例えば上記のような)および着香料を添加して味の良い経口製剤としてもよい。これらの組成物はアスコルビン酸のような酸化防止剤の添加によって保存性を高めてもよい。水の添加による水性懸濁液の調製に好適な分散性粉末および顆粒は、活性成分を分散または湿潤剤、懸濁剤、および1つ以上保存料と混合して提供する。好適な分散剤また湿潤剤、および懸濁剤は既に上記に例証している。更なる賦形剤、例えば甘味料、着色料が存在してもよい。
【0215】
化合物は水中油型エマルションの形態であってもよい。油相は植物油(例えばオリーブ油または落花生油)もしくは鉱油(例えば液体パラフィン)、またはそれらの混合物であってもよい。好適な乳化剤は以下であってもよい:天然に存在するガム(例えばアカシアガムまたはトラガカントガム)、天然に存在するホスファチド(例えば大豆、レシチン)、および脂肪酸とヘキシトールアルデヒドから誘導されるエステルまたは部分エステル(例えばモノオレイン酸ソルビタン)、および該部分エステルと酸化エチレンとの縮合産物(例えばモノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン)。エマルションは甘味料および着香料を含有してもよい。シロップおよびエリキシル剤を、甘味料(例えばグリセロール、ソルビトール、またはスクロース)と共に調製してもよい。それらの製剤は粘滑剤(demulcent)、保存料、着香料、および着色料を含有してもよい。
【0216】
化合物の投与は注射または輸液によって(皮下もしくは静脈内、または筋肉内、または胸骨内、または鼻腔内)または輸液技術によって、無菌の注射液または油性懸濁液の形態で行うこともできる。化合物は無菌の注射用水性または油性懸濁液の形態であってもよい。これらの懸濁液は、既に上に記載した湿潤剤および懸濁剤の好適な分散剤を使用する当該分野の既知の方法に従って調製してもよい。無菌の注射用製剤は非毒性の非経口的に許容しうる希釈剤または溶媒中の無菌注射用溶液または懸濁剤、例えば1,3-ブタンジオール中の溶液であってもよい。使用してもよい許容しうる媒質および溶媒には水、リンガー液、および等張食塩水がある。更に、無菌の固定油は溶媒または懸濁媒質として慣例的に使用される。この目的では、いずれの無菌固定油を慣例的に使用してもよく、これには合成のモノ-またはジ-グリセリドがある。更に、オレイン酸のような脂肪酸も注射液の調製に使用される。
【0217】
投与計画は最適な治療反応が得られるように調整できる。例えば、数回に分割した投与を毎日行ってもよく、または投与量を治療状況の重篤度(exigencies)による兆候に従って比例して低減してもよい。
【0218】
投与を簡易にし、均一な投与量とするために、投与単位の形態で化合物を調製するのが特に有益である。ここで使用する投与単位形態とは治療すべき被験体のための単位投与量として物理的に分離した単位をいう;それぞれは治療的有効量の化合物と、少なくとも1つの薬剤賦形剤を含有する。医薬品は意図する治療法(例えばアルツハイマー病のようなアミロイド疾患の治療、またはパーキンソン病のようなアルファ・シヌクレイン線維生成に関係する疾患の治療)を示すラベルが貼られた、またはラベルを伴う容器に単位投与形態を含む。“治療的有効量”は好ましくは患者においてアミロイド症またはアルファ・シヌクレイン線維生成に関係する疾患を未処理の被験体に比較して少なくとも20%、好ましくは少なくとも40%、より好ましくは少なくとも60%、更に好ましくは少なくとも80%阻害する。
【0219】
化合物の調製
開示する方法で使用される化合物の多くは当該分野で周知であり、市販されている。それらはメルク・インデックス, 第12版(Merck & Co.社, Whitehouse Station, New Jersey, 1996)のような文献に簡潔に記されており(これは一般的に合成または単離に関する参考文献を提供する)、また化学カタログ(例えばここに記載するような製造会社のもの)にも見られうる。
【産業上の利用可能性】
【0220】
本発明は、容易に存在して相対的に安価である植物成分、もしくは非毒性植物誘導体、または市販のカテキン類の使用によるアルツハイマー病、パーキンソン病、全身性AAアミロイド症、2型糖尿病、および他のアミロイド症の治療および予防における治療的緩解および診断の補助を提供するという点で世界的な利用が見出される。
【0221】
法令に従って、本発明を構造上の特徴について、より具体的な、またはより包括的な用語で記載した。しかしながら、記載した手段および構成は本発明の実施の好ましい型を含むものであり、本発明は記載した特定の特徴に限定されるものではないと理解されるべきである。従って、本発明は、同等物の理論に従って好適に解釈された添付の特許請求の合法かつ有効な範囲内の型または修飾のいずれでも請求する。
【図面の簡単な説明】
【0222】
【図1】図1は、一連のカテキン誘導体の構造である。
【図2】図2は、アルツハイマー病のAβ1-40アミロイド線維生成の阻害に関する標準緑茶葉抽出物の用量依存的効果を測定するために使用したチオフラビンT蛍光アッセイの白黒グラフである。
【図3】図3は、アルツハイマー病の既成のAβ1-42アミロイド線維の分解/破壊に関する標準緑茶葉抽出物の用量依存的効果を測定するために使用したチオフラビンT蛍光アッセイの白黒グラフである。
【図4】図4は、アルツハイマー病の既成のAβ1-42線維の分散に関する標準緑茶葉抽出物(2つの市販の供給源由来)の効果を測定するためのコンゴーレッド-Aβ分光光度アッセイの白黒グラフである。
【図5】図5は、アルツハイマー病のAβ1-40アミロイド線維生成の阻害に関する異なる市販のカテキン類の用量依存的効果を測定するためために使用したチオフラビンT蛍光アッセイの白黒グラフである。
【図6】図6は、エピカテキンによるアルツハイマー病のAβ1-40線維生成の阻害を示すカラー顕微鏡写真である。
【図7】図7は、アルツハイマー病の既成のAβ1-42アミロイド線維の分解/破壊に関する市販のカテキン類の用量依存的効果を測定するために使用したチオフラビンT蛍光アッセイの白黒グラフである。
【図8】図8は、パーキンソン病のNAC(“NAC-P”とも呼ばれる)線維生成の阻害に関する異なる市販のカテキン類の用量依存的効果を測定するために使用したチオフラビンT蛍光アッセイの白黒グラフである。
【図9】図9は、実験用AAアミロイド症のマウスモデルの膵臓におけるアミロイド沈着の白黒顕微鏡写真である。
【図10】図10は、実験用AAアミロイド症のマウスモデルの肝臓におけるアミロイド沈着の白黒顕微鏡写真である。
【図11】図11は、膵島アミロイドポリペプチド(IAPP)からなる既成のアミロイド線維の破壊/分解に対する特定のポリフェノール化合物の効果を示すグラフである。
【図12】図12は、エピカテキンによるAβ1-42アミロイド線維のβシート構造の破壊を示す円二色性分光法のグラフである。
【図13】図13は、全身性AAアミロイド症の実験マウスモデルにおいて、エピカテキンは脾臓アミロイドを阻害するが、カテキン水和物は阻害しないことを示すグラフである。
【図14】図14は、全身性AAアミロイド症のマウスモデルにおけるエピカテキンによる脾臓AAアミロイド沈着の阻害の白黒顕微鏡写真である。
【図15】図15は、抗アミロイド活性を有すると考えられるポリヒドロキシル化芳香環含有化合物の構造を示す。

Claims (16)

  1. 哺乳動物被験体においてアミロイド疾患、またはアルファ・シヌクレインもしくはNAC線維新生を特徴とする疾病を治療する方法であり、治療的有効量のカテキン、エピカテキン、没食子酸ガロカテキン、没食子酸エピガロカテキン、エピガロカテキン、および没食子酸エピカテキン、および前記のカテキン類の薬剤的に許容しうる塩、からなる群から選択されるカテキン、を哺乳動物に投与することを含む前記方法。
  2. 選択されるカテキンがエピカテキンである、請求項1記載の方法。
  3. アミロイド疾患がアルツハイマー病、ダウン症候群、オランダ型のアミロイド症を伴う遺伝性脳出血、封入体筋炎、慢性炎症のアミロイド症、悪性腫瘍および家族性地中海熱のアミロイド症、多発性骨髄腫およびB細胞悪液質のアミロイド症、2型糖尿病のアミロイド症、プリオン病、クロイツフェルト-ヤコブ病、ゲルストマン-ストラウスラー症候群、クールー病、動物スクラピー、および狂牛病のアミロイド症、長期の血液透析のアミロイド症、手根管症候群、老人性心房性アミロイド症、および家族性アミロイド性多発性神経炎のアミロイド症、内分泌腫瘍のアミロイド症、全身性AAアミロイド症、ALアミロイド症、Aβアミロイド症、IAPPアミロイド症、およびPrPアミロイド症からなる疾病の群から選択される、請求項1記載の方法。
  4. アミロイド疾患がアルツハイマー病である、請求項3記載の方法。
  5. アミロイド疾患が全身性AAアミロイド症である、請求項3記載の方法。
  6. アルファ・シヌクレインまたはNAC線維新生がレーヴィ体疾患、パーキンソン病、および多発性全身萎縮からなる疾病の群から選択される線維新生である、請求項1記載の方法。
  7. in vitroの環境におけるアミロイド、アルファ・シヌクレイン、またはNAC線維新生の治療方法であり、in vitroの環境に治療的有効量のカテキン、エピカテキン、没食子酸ガロカテキン、没食子酸エピガロカテキン、エピガロカテキン、および没食子酸エピカテキン、および前記のカテキン類の薬剤的に許容しうる塩からなる群から選択されるカテキン、を投与する工程を含む前記方法。
  8. 被験体に治療的有効量のカテキンを投与する投与工程を更に含み、該投与工程が経口投与、非経口注射、腹膜内注射、静脈内注射、皮下注射、筋肉内注射、局所投与、およびエアロゾルスプレー投与からなる投与工程の群から選択される、請求項1記載の方法。
  9. 治療的有効量のカテキンおよび薬剤的に許容されるキャリアー、希釈剤、または賦形剤を含有する薬剤組成物であり、治療的有効量のカテキンが哺乳動物被験体におけるアミロイド、アルファ・シヌクレイン、またはNAC線維新生の治療において有効性を示すように選択される前記組成物。
  10. 治療的有効量のカテキンが約10から1,000mg/kg被験体体重の範囲の投与量を含有する、請求項8記載の組成物。
  11. 治療的有効量のカテキンが約10から100mg/kg被験体体重の範囲の投与量を含有する、請求項10記載の組成物。
  12. カテキンがカテキン、エピカテキン、没食子酸ガロカテキン、没食子酸エピガロカテキン、エピガロカテキン、および没食子酸エピカテキン、そして前記のカテキンの薬剤的に許容しうる塩、そして薬剤的に許容されるその類似体および誘導体からなる群から選択される、請求項9記載の組成物。
  13. カテキン、エピカテキン、没食子酸ガロカテキン、没食子酸エピガロカテキン、エピガロカテキン、および没食子酸エピカテキン、そして前記のカテキンの薬剤的に許容しうる塩、そして薬剤的に許容されるその類似体および誘導体からなる群から選択される2つ以上のカテキン類の混合物を含有する、請求項12記載の組成物。
  14. 選択されるそれぞれのカテキンが植物または植物からの抽出物中に存在するカテキンの百分率より有意に高い純度百分率で存在する、請求項12記載の組成物。
  15. 選択されるカテキンが実質的に純粋な単離された形態または合成された形態である、請求項15記載の組成物。
  16. 哺乳動物被験体においてアミロイド疾患またはアルファ・シヌクレインもしくはNAC線維新生を特徴とする疾患を治療する方法であり、哺乳動物に治療的有効量のカメリア(Camellia)属シネンシス(sinensis)種の植物由来の植物物質を投与することを含む前記方法。
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