JP2004537363A - 外科用ステープル留め器及び方法 - Google Patents

Abstract

本発明は、外科用ステープル留め器及び方法に関する。本発明によるステープル留め器は、細長いハウジング(26)と、このハウジング(26)内でその前方自由端部(28)に向かって長手方向に摺動可能なステープルを有する。ステープルは、後部と、前方に向いた２つの脚部を有する。ハウジング(26)は、ステープル発射機構を収容し、この発射機構は、ステープルをハウジング(26)の自由端部に向かって駆動し、ステープルを曲げ、ステープルの２つの脚部の自由端部を互いに近づけ、ステープルを閉じ、閉じたステープルを放出する。ステープル発射機構の作動の際、ディスク(12)が、閉じたステープルの後部とステープル留めされる人又は動物の組織との間に捕捉される位置に且つハウジング(26)の自由端部のところに設けられる。それにより、組織に加わる圧力の面積が、ディスク(12)が設けられていない場合よりも大きくなる。

Description

【技術分野】
【０００１】
本発明は、外科用ステープル留め器及び方法に関する。
【背景技術】
【０００２】
カテーテル法を用いる手術、例えば、血管造影法又は血管形成術を実施する場合、一般的には、最初、皮膚、その下に位置する組織及び血管を先の尖った中空針で穿通させることにより、カテーテルを血管系内に導入する。次に、通常はガイドワイヤを中空針の管腔に挿入し、ガイドワイヤが選択された血管に入る。次いで、典型的には、中空針をガイドワイヤから抜き取り、拡張器及び／又は導入器の組合せをガイドワイヤに伝わらせて送り、皮膚の中を押し込み、血管に入れる。次に、ガイドワイヤを抜き取り、手術を行う所望のカテーテルを導入器の管腔の中に送り、カテーテルの作業端部が正しく位置決めされるまで血管系の中を前進させる。カテーテル式手術の終了に続き、作業状態のカテーテルを抜き取り、次いで、拡張器及び／又は導入器も創傷部から抜き取る。この手術の後、血液が傷孔から流失しないように血管の傷孔を閉じる必要がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００３】
典型的には、傷孔が自然に塞がるまで外圧を血管に加えた状態に保つことにより、創傷部を閉じる。この手術は、約３０分かかる場合があり、もし患者が高血圧患者又は抗凝固性患者であれば、それよりも長くかかるのが通例である。この手術はまた、患者にとって苦痛な場合があり、しかも病院スタッフ側に費用のかかる職業上の時間を必要とする。他の圧力法、例えば、圧迫包帯、砂袋又はクランプが用いられているが、これらも又、患者が長時間にわたって動かないままでいて、そして手術の有効性を確保するためにその患者を監視することを必要とする。
【０００４】
従って、動脈の傷孔を迅速且つ容易に閉じて密封し、患者が短期間で動くことができるようにし、それにより、カテーテル法ラボでの患者の処置数を増やし、病院スタッフが別の職務を果たしやすくするステープル留め器が要望されている。
【課題を解決するための手段】
【０００５】
本発明による外科用ステープル留め器は、細長いハウジングと、後部及び前方に向いた２つの脚部を備え且つハウジング内をその前方自由端部に向かって長手方向に摺動可能な外科用ステープルと、外科用ステープルをハウジングの自由端部に向かって駆動し、外科用ステープルを曲げ、ステープルの脚部の自由端部を互いに近づけて外科用ステープルを閉じ、閉じた状態の外科用ステープルを放出するステープル発射機構と、ステープル発射機構の作動の際、閉じた状態の外科用ステープルの後部とステープル留めされる人又は動物の組織との間に捕捉される位置及びハウジングの自由端部に設けられたキャップと、を有し、組織に加わる圧力の面積は、キャップが設けられていない場合よりも大きいことを特徴とする。
【０００６】
好ましくは、このステープル留め器は、更に、細長い探知機部材を有し、探知機部材は、この探知機部材が人又は動物の液体搬送管の傷孔部位に入るためにハウジングの自由端部を越えて突出し、それにより、ハウジングの自由端部を傷孔部位のところに位置決めする初期前方位置と、探知機部材が外科用ステープルの閉じ動作に合わせてハウジング内に引っ込められた後方位置との間をハウジング内で長手方向に摺動可能であり、キャップは、初期前方位置にある突出した探知機部材に嵌合する中央開口を有し、探知機部材をハウジング内に引っ込めるとき、探知機部材を中央開口を通して引っ込める。
更に、好ましくは、外科用ステープルを閉じることにより、キャップが側方に圧縮され、中央開口を少なくとも部分的に閉じる。
【０００７】
本発明によるステープル留め方法は、人又は動物の組織をステープル留めする方法であって、細長いハウジングと、後部及び前方に向いた２つの脚部を備え且つハウジング内でその前方自由端部に向かって長手方向に摺動可能な外科用ステープルと、この外科用ステープルをハウジングの自由端部に向かって駆動し、外科用ステープルを曲げ、ステープルの脚部の自由端部を互いに近づけて外科用ステープルを閉じ、閉じた状態の外科用ステープルを放出するステープル発射機構と、を有する外科用ステープル留め器を準備する段階と、キャップをハウジングの自由端部のところに配置する段階と、ステープル発射機構を作動させる段階と、を有し、ステープル発射機構の作動の際、キャップは、閉じた状態のステープルの後部とステープル留めされる人又は動物の組織との間で捕捉される位置に設けられ、組織に加わる圧力の面積は、キャップが設けられていないときよりも大きいことを特徴とする。
【０００８】
後で図面を参照して説明する本発明の好ましい実施形態は、ディスク状キャップと組み合わせた状態でアイルランド国特許出願第Ｓ２０００／０７２２号明細書に記載されている外科用ステープル留め器を有する。このステープル留め器は、取っ手を有し、細長いハウジング、即ち、シャフトが、この取っ手から延びている。シャフトは、取っ手から見て遠くに位置するその端部が弾丸状ヘッドで終端し、ステープル留め器の初期の「発射前」位置において、探知機管がこの弾丸状ヘッドから所定距離だけ延びている。発射前位置では、前方に向いた脚部を備えた外科用ステープル全体がシャフトのヘッド内に配置される。中央開口を備えたほぼ円形のディスクがシャフトのヘッドと同心状に且つこれに当てて平らな状態で探知機管上に配置される。ディスクの直径は、シャフトのヘッドの直径以下である。ディスクの両側に、ほぼＵ字形のスロットが設けられており、ステープルの展開中、ステープルの脚部を前方に前進させるとき、これらスロットによりステープル脚部がディスクを通過することを可能にする。
探知機管は、傷孔の中心にシャフトのヘッドを位置決めする。ステープル発射機構を作動させることにより、ステープルを前方に送り進め、脚部が血管壁を穿通する。発射作動サイクルを続けると、探知機管をステープル留め器のヘッド内に後方に引っ込め、ステープル脚部を、ほぼ矩形の形状を形成するように９０°にわたって変形させる。ステープルを形成する工程により、ディスクをステープル後部と血管壁との間に捕捉させ、２つの側部スロットの追加の横方向圧縮により、ディスクを探知機管上に位置決めしている中央開口を閉じる。
ステープルとキャップの組合せは、中央開口の両側を互いに近づける効果を奏すると共に、広い表面積にわたりタンポン式止血効果を生じさせて短時間で止血が行われるようにする効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【０００９】
次に、本発明の実施形態を添付の図面を参照して例示として説明する。
図１は、本発明の実施形態に用いられる好ましい外科用ステープル１０及びカバー、即ち、キャップ１２を示している。ステープル１０は、ほぼＵ字形のステープルであり、アイルランド国特許出願第Ｓ２０００／０７２２号明細書に記載されているステープルと同一である。キャップ１２は、ほぼ円形で平らな変形可能なディスクであり、このディスク１２は、ほぼ楕円形の中央開口１４と、直径方向両側に配置され且つディスク１２の周囲から半径方向内方に延びるほぼＵ字形のスロット１６とを備えている。楕円形開口１４の寸法は、楕円形断面を有する血液探知機管３０（図２）の外寸法と実質的に同じであり、楕円形開口１４の長軸は、ステープルの脚部２２の閉じ方向に対して実質的に垂直である。
ディスク１２は、チタン等の軟質で可鍛性及び生体適合性のある金属、ダクロン（登録商標）、ヒドロゲル、コラーゲン又はセルロース等の半可撓性材料、又は、ＰＬＡ、ＰＧＡ又はＰＬＧＡ等のその他の生体適合性材料で作られている。使用の際、ステープル１０をディスク１２に当てて位置決めするとき、ステープルの後部２０のハンプ部、即ち、こぶ状湾曲部１８を楕円形開口１４の半部と整列させると、ステープルの脚部２２がスロット１６から突出する。
【００１０】
図２は、「発射前」位置にある本発明の実施形態の外科用ステープル留め器を示している。ステープル留め器は、ディスク１２が設けられていること以外、アイルランド国特許出願第Ｓ２０００／０７２２号明細書に記載されたものと同一であるのがよく、この明細書からステープル留め器の詳細を得ることができる。しかしながら、大まかに説明すると、このステープル留め器は、拳銃の握りの形態をした取っ手（図示せず）から延び、弾丸状ヘッド２６で終端している細長いハウジング即ちシャフト２４を有している。ステープル１０は、弾丸状ヘッド２６内で血液探知機管３０の上をシャフト２４の前方自由端部２８に向かって長手方向に摺動自在である。血液探知機管３０は、最初、シャフト２４を越えて前方に突出しており、シャフト２４内を長手方向に摺動自在である。ステープルの脚部２２は、前方を向いている。操作に当たり、取っ手のトリガにより、シャフト２４内に収納されたステープル発射機構（図示せず）を作動させ、このステープル発射機構は、ステープル１０を自由端部２８に向かって駆動し、ステープルの脚部２２の自由端部を互いに近づけるようにステープルを曲げて、ステープルを閉じ、閉じたステープルを最終的に放出する。この工程中、ステープルの閉じ動作に合わせて、血液探知機管３０をハウジング即ちシャフト２４内へ引っ込める。
【００１１】
本発明の実施形態によれば、ステープル留め器は、更に、ディスク１２を有し、このディスク１２は、ステープル発射機構の作動の際、閉じたステープルのこぶ状湾曲部付き後部２０とステープル留めされる人又は動物の組織との間に捕捉されるべき位置で、シャフト２４の自由端部２８に当てて配置され、従って、組織に加わる圧力の面積を、ステープルの後部２０だけが設けられている場合よりも大きくする。
具体的に説明すると、このステープル留め器の「発射前」位置では、血液探知機管３０は、ディスク１２の楕円形開口１４を貫き、シャフトの自由端部２８を越えて所定距離だけ延びている。ステープル１０がヘッド２６内の更に後方に位置決めされている間、ステープル１０は、図１に示す状態と同じく、ディスクと実質的に整列した状態にある。しかしながら、ステープルの脚部２２がディスク１２の後側のヘッド内後方に位置決めされ、且つ、ヘッドの自由端部２８を越えて突出していないことが重要である。図３は、図２に示したステープル留め器のヘッドの側面図である。ステープル１０がステープル脚部２２の長さと少なくとも等しい距離のところで血液探知機管３０を横切り且つディスク１２の後側に位置決めされていることが分かる。
【００１２】
ステープル１０及びディスク１２を発射する工程を図４〜図６に示す。
最初、図４（ａ）を参照すると、血液探知機管３０の前端部が血管３４に入るまで、ステープル留め器のヘッド２６をガイドワイヤ３２に伝わらせて経皮路の中に通し、ステープル１０及びディスク１２が傷孔３６を横切ってその中央に位置決めされた状態で、シャフト２４の自由端部２８が傷孔３６に隣接して血管の外面の上に確実に着座させる（図４（ｂ）も参照）。
次に、ステープル発射機構を作動させ、ステープルを前方に駆動し、ステープルの脚部２２が血管３４の壁を穿刺するようにする（図５（ａ）参照）。この時点で、血液探知機管３０も、ステープル留め器のヘッド２６内へ後方に引っ込められる。
ステープル発射機構を続けて作動させると、ステープル後部２０の外側部分（即ち、こぶ状湾曲部１８の両側の部分）及び脚部２２が互いに向かって約９０°曲がり、ステープル１０を全体として矩形の形態となるように閉じる（図６（ａ）参照）。この時点で、ステープル１０はキャップ即ちディスク１２を血管壁の外面に押し付け、それにより、傷孔３６を閉じる。展開工程の最終段階の間、いったんステープル及びキャップが展開されたら、血液が漏れないようにキャップ即ちディスク１２の楕円形開口１４を実質的に閉じることが重要である。かくして、図６（ｂ）で分かるように、ステープル後部２０を変形させるとき、ステープル脚部２２を９０°にわたり弧を描くように移動させると、ディスク１２の両側の縁部が内方に圧縮され、それにより、中央の楕円形開口１４を閉じる。
【００１３】
ディスク１２の変形実施形態（図示せず）は、スロット１６に代えて、直径方向両側に配置され且つディスク１２の縁部まで延びていない２つの孔を有する。使用に当たり、これらの孔をステープルの脚部２２と整列させ、ステープルの脚部を孔から突出させる。
さらに、ディスク１２が弾性材料で作られている場合、楕円形開口１４に代えて、ステープル脚部の閉じ方向に対して実質的に垂直に延びる単純なスリットを用いてもよく、このスリットは、血液探知機管３０の挿入により弾性的に開かれ、血液探知機管３０を引っ込めると、ディスクの弾性により自動的に閉じる。かかる構成は、ステープルを変形させたときにステープルによる圧縮に起因してスリットが閉じる方式を利用していない。
本発明は、本明細書に記載した実施形態には限定されず、これら実施形態は、本発明の範囲から逸脱しないで改造又は変形できる。
【図面の簡単な説明】
【００１４】
【図１】本発明で用いられるステープルとキャップの組合せの斜視図である。
【図２】発射前位置にある本発明による外科用ステープル留め器のヘッド側端部の斜視図である。
【図３】発射前位置にある図２のステープル留め器の側面図である。
【図４ａ】ステープルを血管の壁中へ発射する一連の工程の１つにおける、ステープル留め器の側面図である。
【図４ｂ】ステープルを血管の壁中へ発射する一連の工程の１つにおける、ステープル及びキャップの平面図である。
【図５ａ】ステープルを血管の壁中へ発射する一連の工程の１つにおける、ステープル留め器の側面図である。
【図５ｂ】ステープルを血管の壁中へ発射する一連の工程の１つにおける、ステープル及びキャップの平面図である。
【図６ａ】ステープルを血管の壁中へ発射する一連の工程の１つにおける、ステープル留め器の側面図である。
【図６ｂ】ステープルを血管の壁中へ発射する一連の工程の１つにおける、ステープル及びキャップの平面図である。

Claims (9)

1. 細長いハウジングと、
   後部及び前方に向いた２つの脚部を備え且つ前記ハウジング内でその前方自由端部に向かって長手方向に摺動可能な外科用ステープルと、
   前記外科用ステープルを前記ハウジングの自由端部に向かって駆動し、前記外科用ステープルを曲げ、その脚部の自由端部を互いに近づけて前記外科用ステープルを閉じ、閉じた状態の前記外科用ステープルを放出するステープル発射機構と、
   前記ステープル発射機構の作動の際、閉じた状態の前記外科用ステープルの後部とステープル留めされる人又は動物の組織との間に捕捉される位置に且つ前記ハウジングの自由端部に設けられたキャップと、を有し、
   組織に加わる圧力の面積は、前記キャップが設けられていない場合よりも大きいことを特徴とする外科用ステープル留め器。
2. 前記ハウジングの自由端部は、断面が円形であり、前記キャップは、前記自由端部に対し実質的に同心状に位置決めされたディスクの形態をしていることを特徴とする請求項１に記載の外科用ステープル留め器。
3. 前記ディスクは、前記外科用ステープルの脚部を受け入れる、直径方向両側に配置された２つの孔を有していることを特徴とする請求項２に記載の外科用ステープル留め器。
4. 前記孔は、前記ディスクの周囲から半径方向内方に延びるスロットを含むことを特徴とする請求項３に記載の外科用ステープル留め器。
5. 更に、細長い探知機部材を有し、この探知機部材は、それが人又は動物の液体搬送管の傷孔部位に入るために前記ハウジングの自由端部を越えて突出し、それにより、前記ハウジングの自由端部を傷孔部位のところに位置決めする初期前方位置と、前記探知機部材が前記外科用ステープルの閉じ動作に合わせて前記ハウジング内に引っ込められた後方位置との間を前記ハウジング内で長手方向に摺動可能であり、前記キャップは、初期前方位置にある突出した探知機部材に嵌合する中央開口を有し、前記探知機部材を前記ハウジング内に引っ込めると、前記探知機部材を前記中央開口を通して引っ込めることを特徴とする請求項１〜４のいずれか１項に記載の外科用ステープル留め器。
6. 前記ディスクは、弾性材料で作られ、前記中央開口は、前記外科用ステープル脚部の閉じ方向に対して実質的に垂直に延びるスリットであり、このスリットは、前記血液探知機管を挿入することにより弾性的に開かれ、前記血液探知機管を引っ込めると、前記ディスクの弾性により自動的に閉じることを特徴とする請求項５に記載の外科用ステープル留め器。
7. 前記中央開口は、ほぼ楕円形であり、その長軸は、前記外科用ステープルの脚部の閉じ方向に対して実質的に垂直であることを特徴とする請求項５に記載の外科用ステープル留め器。
8. 前記外科用ステープルを閉じることにより、前記キャップが側方に圧縮され、前記中央開口が少なくとも部分的に閉じることを特徴とする請求項７に記載の外科用ステープル留め器。
9. 人又は動物の組織をステープル留めする方法であって、
   細長いハウジングと、後部及び前方に向いた２つの脚部を備え且つ前記ハウジング内でその前方自由端部に向かって長手方向に摺動可能な外科用ステープルと、この外科用ステープルを前記ハウジングの自由端部に向かって駆動し、前記外科用ステープルを曲げ、その脚部の自由端部を互いに近づけて前記外科用ステープルを閉じ、閉じた状態の前記外科用ステープルを放出するステープル発射機構と、を有する外科用ステープル留め器を準備する段階と、
   キャップを前記ハウジングの自由端部のところに配置する段階と、
   前記ステープル発射機構を作動させる段階と、を有し、
   前記ステープル発射機構の作動の際、前記キャップは、閉じられたステープルの後部とステープル留めされる人又は動物の組織との間に捕捉される位置に設けられ、組織に加わる圧力の面積は、前記キャップが設けられていないときよりも大きいことを特徴とする方法。