JP2004537308A - 免疫学的に重要な単純ヘルペスウイルス抗原およびそれを用いる方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、HSV感染症の予防および治療にとって有用なHSV抗原を提供する。本明細書において、ヘルペス病変に由来するT細胞によって認識されることが確認されたエピトープを開示する。本発明の抗原に対して特異性を有するT細胞は、ウイルスがコードするペプチドエピトープをローディングした細胞に対して、および多くの場合、HSVに感染した細胞に対して細胞障害活性を示した。T細胞特異性の原因となる免疫原性抗原の同定は、抗ウイルス治療的および予防的戦略を提供する。抗原または本発明の抗原をコードするポリヌクレオチドを含む組成物は、HSV感染症の予防および治療にとって有効な標的化ワクチンを提供する。

Description

【技術分野】
【0001】
本出願は、それぞれの全文が参照として本明細書に組み入れられる、2001年7月31日に提出された米国特許出願第60/308,923号および2001年8月1日に提出された第60/309,428号の利益を主張する。
【0002】
本出願は、そのそれぞれの全文が参照として本明細書に組み入れられる、2000年9月28日に出願された米国特許出願第09/672,595号、および1999年8月5日に出願された第09/368,770号、ならびに1998年8月7日に出願された米国特許仮出願第60/095,724号、1999年9月30日に出願された第60/157,181号、2000年5月12日に出願された第60/203,660号、2000年7月13日に出願された第60/218,104号に関連する。本出願全体を通して、様々な出版物を引用する。これらの出版物の全文の開示は、本発明が属する当技術分野の技術の現状をより詳しく説明するために、参照として本明細書に組み入れられる。
【0003】
本発明の技術分野
本発明は、HSV感染症の治療および予防のために用いることができる分子、組成物、および方法に関する。より詳しく述べると、本発明は、HSV特異的T細胞、特にCD4+ T細胞と同様にCD8+ T細胞の抗原特異性を有する方法、分子、および組成物を開発するために用いることができるHSVタンパク質のエピトープを同定する。
【背景技術】
【0004】
発明の背景
細胞性免疫応答は、ヒトにおける重度の再発性HSV感染症を制限するために必要である。初回の性器HSV-2感染症は持続して重度であるが、再発は重症度が低く、よりしばしば無症候性である。原発性HSV-2感染症の緩解は、CD8+ 細胞障害性Tリンパ球(CTLs)を含む抗原特異的T細胞の浸潤に関連している。ヒトにおける再発性HSV-2感染症の連続的な病変部の生検研究から、病変が成熟するにつれてCD8+優勢へとシフトすること、および局所的CTL活性がウイルス排泄と相関することが示されている(Koelle, DMら、J. Clin. Invest. 1998、101:1500〜1508;Cunningham, ALら、J. Clin. Invest. 1985、75:226〜233)。このように、CD8+ CTLによって認識されるHSV抗原は、新規治療およびワクチンのために用いることができる。
【0005】
単純ヘルペスウイルス(HSV)の完全なDNA配列は約150 kbで、既知の遺伝子約85個をコードし、そのそれぞれが長さがアミノ酸50〜1000個の範囲のタンパク質をコードする。これらのタンパク質における免疫原性エピトープは不明であるが、それぞれのエピトープは、長さがアミノ酸約9〜12個であり、ウイルス感染症に反応して有効なT細胞免疫応答を誘発することができる。
【0006】
HSV感染症に対して有効な免疫応答を誘発することができる特異的エピトープを同定する必要がある。そのような情報があれば、HSV感染症の予防および治療にとって有用なより有効な免疫原性抗原を同定することができる。
【発明の開示】
【0007】
発明の概要
本発明は、HSV抗原、HSV抗原を含むポリペプチド、該ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、ベクター、および該ポリヌクレオチドを含む組換え型ウイルス、該ポリペプチドを提示する抗原提示細胞(APC)、HSVに対して産生された免疫細胞、ならびに薬学的組成物を提供する。薬学的組成物は、予防的および治療的のいずれにも用いることができる。本発明の抗原はヘルペス病変から採取したT細胞によって認識される。本発明はさらに、HSV感染症を予防および治療する方法、抗ウイルスおよび/または免疫調節リンフォカインの分泌を増強する方法、ならびにHSV特異的抗体産生を増強する方法を含む方法を提供する。HSV感染症を予防および治療するため、抗ウイルスおよび/または免疫調節リンフォカインの分泌を増強するため、HSV特異的抗体産生を増強するため、および一般的にHSV-特異的免疫を刺激および/または増強するために、本方法は、本発明のポリペプチド、ポリヌクレオチド、組換え型ウイルス、APC、免疫細胞または組成物を被験者に投与することを含む。HSV感染細胞を死滅させる方法、およびウイルス複製を阻害する方法は、HSV感染細胞を本発明の免疫細胞に接触させる段階を含む。本発明の免疫細胞は、本発明の抗原、または本発明の抗原を提示するAPCによって刺激される細胞である。そのような免疫細胞を産生する方法も、本発明によって提供される。本方法は、本発明の抗原を提示するように改変されたAPC、特に樹状細胞に免疫細胞を接触させる段階を含む。好ましい態様において、免疫細胞はCD4+またはCD8+ T細胞のようなT細胞である。
【0008】
一つの態様において、本発明はHSVポリペプチドを含む組成物を提供する。一つの態様において、ポリペプチドはUL49タンパク質またはその断片を含む。好ましい態様において、UL49タンパク質の断片はUL49のアミノ酸14位〜22位、21位〜35位、45位〜59位、49位〜57位、49位〜63位、105位〜190位、177位〜220位、もしくは193位〜208位、またはその置換変異体を含む。もう一つの態様において、ポリペプチドはICP0タンパク質またはその断片を含む。一つの態様において、ICP0タンパク質の断片はICP0のアミノ酸92位〜101位、92位〜105位、288位〜307位、もしくは743位〜751位、またはその置換変異体を含む。もう一つの態様において、ポリペプチドはUL48タンパク質またはその断片を含む。一つの態様において、UL48タンパク質の断片はVP16(UL48)のアミノ酸185位〜197位、209位〜221位、288位〜307位、もしくは430位〜449位、またはその置換変異体を含む。
【0009】
同様に、本発明のポリペプチドをコードする単離ポリヌクレオチドおよびポリヌクレオチドを含む組成物も提供する。本発明はさらに、本発明のポリヌクレオチドを発現するように遺伝子改変された組換え型ウイルス、および組換え型ウイルスを含む組成物を提供する。好ましい態様において、ウイルスは、ワクシニアウイルス、カナリアポックスウイルス、HSV、レンチウイルス、レトロウイルスまたはアデノウイルスである。本発明の組成物は薬学的組成物となりうる。組成物は選択的に、薬学的に許容される担体および/またはアジュバントを含みうる。
【0010】
発明の詳細な説明
本発明は、HSV感染症の予防および治療のために有用であるHSV抗原を提供する。ヘルペス領域に由来するT細胞によって認識されることが確認された抗原および/またはその構成エピトープを本明細書において開示する。幾つかの態様において、本発明の抗原に対する特異性を有するT細胞は、ウイルス感染細胞に対して細胞障害活性を示した。T細胞の特異性に関与する免疫原性抗原の同定によって、改善された抗ウイルス療法および予防方法の開発が容易となる。抗原または本発明の抗原をコードするポリヌクレオチドを含む組成物により、HSV感染症を予防および治療するために有効にターゲティングされるワクチンが提供される。
【0011】
定義
本出願において用いられた全ての科学技術用語は、特に明記していなければ当技術分野で一般的に用いられている意味を有する。本出願において用いられるように、以下の用語または句は、明記された意味を有する。
【0012】
本明細書において用いられるように、「ポリペプチド」には、天然起源から単離された、組換え技術によって産生された、または化学合成されたか否かによらず、タンパク質、タンパク質の断片、およびペプチドが含まれる。本発明のポリペプチドは、典型的にアミノ酸を少なくとも約6個含み、好ましくはアミノ酸を少なくとも約15個含む。
【0013】
本明細書において用いられるように、「HSVポリペプチド」には、特に明記していなければHSV-1およびHSV-2が含まれる。HSVタンパク質またはポリペプチドのアミノ酸について言及する場合、A. Dolanら、1998、J. Virol. 72(3):2010〜2021に記述のようなHSV-2に関するゲノム配列情報に基づいている。下記に示すように、ICP0の断片をトランスフェクトした細胞からのRNAの配列決定に基づくHSV-2のICP0の予想されるポリペプチド配列は、アミノ酸Q26の削除により公表された配列とは異なる。
【0014】
本明細書において用いられるように、「置換変異体」という用語は、表示のアミノ酸配列において一つまたはそれ以上のアミノ酸置換または欠失を有するが、なおも免疫細胞によって特異的に認識されうる能力を保持している分子を意味する。置換変異体のアミノ酸配列は、好ましくは本来のアミノ酸配列と少なくとも80%同一であり、またはより好ましくは本来のアミノ酸配列と少なくとも90%同一である。典型的には、置換は保存的置換である。ある分子が免疫細胞によって特異的に認識されうるか否かを決定する一つの方法は、D.M. Koelleら、1997、Human Immunol. 53:195〜205に記載される細胞障害アッセイ法である。ある分子が免疫細胞によって特異的に認識されうるか否かを決定する他の方法は、インターフェロン-γの分泌刺激能または分子を提示する細胞の溶解能を含む、本明細書において下記に提供される実施例に記載される。例えば、分子による刺激によって対照分子による刺激より大きいインターフェロン-γ分泌が起こる場合、免疫細胞は特異的にその分子を認識するであろう。例えば、分子は、5pg/mlを越える、または好ましくは10 pg/mlを越えるインターフェロン-γ分泌を刺激してもよいが、対照分子によるインターフェロン-γの刺激は5pg/ml未満であろう。
【0015】
本明細書において用いられるように、「ベクター」とは、宿主細胞において関係する1つまたは複数の遺伝子または配列を輸送、および好ましくは発現することができる構築物を意味する。ベクターの例には、ウイルスベクター、裸のDNAもしくはRNA発現ベクター、プラスミド、コスミド、もしくはファージベクター、陽イオン濃縮剤に結合したDNAもしくはRNA発現ベクター、リポソームに封入されたDNAもしくはRNA発現ベクター、およびプロデューサー細胞のような特定の真核細胞が含まれるがこれらに限定しない。
【0016】
本明細書において用いられるように、「発現調節配列」とは、核酸の転写を指示する核酸配列を意味する。発現調節配列は、構成的もしくは誘導型プロモーターのようなプロモーター、またはエンハンサーとなりうる。発現調節配列は転写される核酸配列に機能的に結合している。
【0017】
「核酸」または「ポリヌクレオチド」という用語は、一本鎖もしくは二本鎖のいずれかの形でのデオキシリボヌクレオチド、またはリボヌクレオチドを意味し、特に限定されなければ、天然に存在するヌクレオチドと同様に核酸にハイブリダイズする天然のヌクレオチドの既知の類似体を含む。
【0018】
本明細書において用いられるように、「抗原提示細胞」または「APC」とは、抗原を処理することができ、抗原をリンパ球に提示することができる細胞を意味する。APCの例には、マクロファージ、ランゲルハンス樹状細胞、濾胞樹状細胞、B細胞、単球、繊維芽細胞および繊維嚢胞が含まれるがこれらに限定されない。樹状細胞は好ましいタイプの抗原提示細胞である。樹状細胞は多くの非リンパ様組織において認められるが、求心性リンパまたは血流を通じてリンパ様臓器のT依存的領域に移動することができる。非リンパ様臓器では、樹状細胞にはランゲルハンス島および間質樹状細胞が含まれる。リンパおよび血液において、それらはそれぞれ、求心性のリンパに隠された細胞および血液樹状細胞を含む。リンパ様臓器において、それらはリンパ様樹状細胞および互いに入り組んだ細胞を含む。
【0019】
本明細書において用いられるように、エピトープを提示する場合に「改変された」とは、天然または組換え的方法によってエピトープを提示するように操作された抗原提示細胞(APC)を意味する。例えば、APCは単離された抗原の単独もしくは混合物の一部としての暴露、ペプチド負荷によって、または1つもしくはそれ以上のエピトープを含むポリペプチドを発現するようにAPCを遺伝子改変することによって、改変することができる。
【0020】
本明細書において用いられるように、「薬学的に許容される塩」とは、親化合物の所望の生物活性を保持し、如何なる望ましくない毒性作用も付与しない塩を意味する。そのような塩の例には、(a)無機酸から形成された酸付加塩、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、燐酸、硝酸等;および例えば、酢酸、シュウ酸、酒石酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、グルコン酸、クエン酸、リンゴ酸、アスコルビン酸、安息香酸、タンニン酸、パモン酸(pamoic acid)、アルギン酸、ポリグルタミン酸、ナフタレンスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸、ポリガラクツロン酸のような、有機酸から形成された酸;(b)亜鉛、カルシウム、ビスマス、バリウム、マグネシウム、アルミニウム、銅、コバルト、ニッケル、カドミウム等のような多価金属陽イオンの塩;または(c)N,N'-ジベンジルエチレンジアミンまたはエチレンジアミンから形成された有機陽イオンと共に形成された塩;または(d)(a)および(b)または(c)の組合せ、例えばタンニン酸の亜鉛塩等が含まれるがこれらに限定されない。好ましい酸付加塩は、トリフルオロ酢酸塩および酢酸塩である。
【0021】
本明細書において用いられる「薬学的に許容される担体」とは、活性成分と組みあわせた場合に、該成分の生物活性を保持させ、且つ被験者の免疫系と反応しない任意の物質を意味する。例には、燐酸緩衝生理食塩水、水、油/水乳剤のような乳剤、および様々なタイプの湿潤剤が含まれるがこれらに限定されない。エアロゾルまたは非経口投与用の好ましい希釈剤は、燐酸緩衝生理食塩水または通常(0.9%)生理食塩水である。
【0022】
そのような担体を含む組成物は、周知の従来の方法によって調製される(例えば、レミントンの製薬科学、第18版、A. Gennaro編、マック出版社、イーストン、ペンシルバニア州、1990を参照のこと)。
【0023】
本明細書において用いられるように、「アジュバント」とは、免疫応答の刺激を促進するために、当技術分野で一般的に用いられるアジュバントを含む。アジュバントの例には、ヘルパーペプチド;水酸化アルミニウムゲル(ミョウバン)、または燐酸アルミニウムのようなアルミニウム塩;フロイントの不完全アジュバントおよび完全アジュバント(ディフコラボラトリーズ、デトロイト、ミシガン州);メルクアジュバント65(メルクアンドカンパニーインク、ラーウェイ、ニュージャージー州);AS-2(スミスクライン・ビーチャム);QS-21(アキラ);MPLまたは3d-MPL(コリザコーポレーション、ハミルトン、モンタナ州);LEIF;カルシウム、鉄または亜鉛の塩;アシル化チロシンの不溶性懸濁液;アシル化糖;陽イオンまたは陰イオン誘導体多糖類;ポリフォスファゼン;生体分解性ミクロスフェア;モノホスホリルリピッドAおよびクイルA(quil A);ムラミルトリペプチドホスファチジルエタノールアミン、またはサイトカイン(例えば、GM-CSFまたはインターロイキン-2、-7、もしくは-12)および免疫刺激DNA配列を含む、免疫刺激複合体が含まれるが、これらに限定されない。ポリヌクレオチドワクチンを使用する場合のような幾つかの態様において、ヘルパーペプチドまたはサイトカインのようなアジュバントは、アジュバントをコードするポリヌクレオチドを介して提供することができる。
【0024】
本明細書において用いられるように、「1つの(aまたはan)」とは、明らかにそうでないことを明記している場合を除き、少なくとも1つの意味である。
【0025】
本明細書において用いられるように、疾患または病態を「予防する」、または疾患または病態から「保護する」とは、疾患または病態の発病または進行を妨害、減少、または遅らせることを意味する。
【0026】
HSV ポリペプチド
一つの態様において、本発明は、単離された単純ヘルペスウイルス(HSV)ポリペプチドを提供する。ポリペプチドは、ICP0、VP16(UL48)、もしくはUL49タンパク質またはその断片である。一つの態様において、断片は、ICP0のアミノ酸92位〜101位、92位〜105位、288位〜307位、もしくは743位〜751位、またはその置換変異体を含む。他の態様において、断片は、VP16(UL48)のアミノ酸185位〜197位、209位〜221位、288位〜307位、430位〜449位、もしくは437位〜449位、またはその置換変異体を含む。もう一つの態様において、断片は、UL49のアミノ酸14位〜22位、21位〜35位、45位〜59位、47位〜55位、49位〜57位、49位〜63位、105位〜190位、177位〜220位、もしくは193位〜208位またはその置換変異体を含む。アミノ酸残基は、A. Dolanら、1998、J. Virol. 72(3):2010〜2021に記述されるようにHSV-2ゲノムのタンパク質に関して参照される。ICP0、VP16(UL48)、およびUL49のアミノ酸配列は以下の通りである。
【0027】
ICP0アミノ酸配列(配列番号:1)
Figure 2004537308
【0028】
VP16(UL48)アミノ酸配列(配列番号:2)
Figure 2004537308
【0029】
UL49アミノ酸配列(配列番号:3)
Figure 2004537308
【0030】
ポリペプチドは融合タンパク質となりうる。一つの態様において、融合タンパク質は可溶性である。本発明の可溶性の融合タンパク質は、被験者に注射するためおよび免疫応答を誘発するために適当となりうる。特定の態様において、ポリペプチドは、本明細書に記述の多数のポリペプチドを含む融合タンパク質、または本明細書に記述の少なくとも1つのポリペプチドと無関係な配列とを含む融合タンパク質となりうる。融合の相手は、例えば、Tヘルパーエピトープ(免疫学的融合パートナー)、好ましくはヒトによって認識されるTヘルパーエピトープの提供を補助するものでもよく、または本来の組換え型タンパク質より高い収量でタンパク質(発現エンハンサー)が発現されるように補助するものでもよい。特定の好ましい融合パートナーは、免疫および発現をいずれも増強する融合パートナーである。タンパク質の溶解性を増加させるため、または所望の細胞内分画へのタンパク質の標的輸送を可能にするために、他の融合パートナーを選択してもよい。なおさらに別の融合パートナーは、タンパク質の精製を容易にするアフィニティタグを含んでもよい。
【0031】
融合タンパク質は一般的に、化学結合を含む標準的な技術を用いて調製してもよい。好ましくは、融合タンパク質は組換え型タンパク質として発現され、非融合タンパク質と比較して発現系において増加したレベルで存在する。簡単に説明すると、ポリペプチド成分をコードするDNA配列を個々に集めて、適当な発現ベクターにライゲーションしてもよい。1つのポリペプチド成分をコードするDNA配列の3'末端を、配列の読みとり枠の相が一致するように、ペプチドリンカーと共に、またはペプチドリンカーを用いないで、第二のポリペプチド成分をコードするDNA配列の5'末端にライゲーションする。これによって、双方の構成ポリペプチドの生物活性を保持する単一の融合タンパク質へと翻訳される。
【0032】
ペプチドリンカー配列を用いて、第一および第二のポリペプチド成分を、それぞれのポリペプチドがその二次および三次構造へと確実に折り畳まれるために十分な距離離してもよい。そのようなペプチドリンカー配列は、当技術分野で周知の標準的な技術を用いて融合タンパク質に組み入れられる。適したペプチドリンカー配列は以下の要因に基づいて選択してもよい:(1)柔軟な伸長した構造をとることができること;(2)第一および第二のポリペプチド上の機能的エピトープと相互作用しうる二次構造をとることができないこと;ならびに(3)ポリペプチドの機能的エピトープと反応する疎水性または荷電残基がないこと。好ましいペプチドリンカー配列は、グリシン、アスパラギン、およびセリン残基を含む。トレオニンおよびアラニンのような他のほぼ中性のアミノ酸もリンカー配列に用いてもよい。リンカーとして有用に用いられるアミノ酸配列には、Marateaら、1985、Gene 40:39〜46;Murphyら、1986、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 83:8258〜8262;米国特許第4,935,233号および米国特許第4,751,180号に開示される配列が含まれる。リンカー配列は一般的に長さがアミノ酸約1〜50個であってもよい。リンカー配列は、第一および第二のポリペプチドが、機能的ドメインを分離させて、立体妨害を防止するために用いることができる非必須N-末端アミノ酸領域を有する場合には必要ではない。
【0033】
ライゲーションしたDNA配列は適した転写または翻訳調節エレメントに機能的に結合する。DNAの発現に関与する調節エレメントは、第一のポリペプチドをコードするDNA配列の5'に存在する。同様に、翻訳を終了させるために必要な停止コドンおよび転写終了シグナルは、第二のポリペプチドをコードするDNA配列の3'に存在する。
【0034】
無関係な免疫原性タンパク質と共に本発明のポリペプチドを含む融合タンパク質も提供する。好ましくは、免疫原性タンパク質はリコール反応(recall response)を誘発することができる。そのようなタンパク質の例には、破傷風、結核および肝炎タンパク質が含まれる(例えば、Stouteら、1997、New Engl. J. Med. 336:86-9を参照のこと)。
【0035】
好ましい態様において、免疫学的融合パートナーは、グラム陰性細菌であるB型インフルエンザ菌の表面タンパク質であるプロテインD(国際公開公報第91/18926号)に由来する。好ましくは、プロテインD誘導体はタンパク質のおおよそ最初の3分の1(例えば、最初のN末端アミノ酸100〜110個)を含み、プロテインD誘導体に脂質を付加してもよい。特定の好ましい態様において、ポリペプチドにさらなる外因性T-細胞エピトープを提供するため、および大腸菌における発現レベルを増加させるために、リポタンパク質D融合パートナーの最初の109残基をN-末端上に含む(したがって、発現エンハンサーとして機能する)。脂質テール部分によって、抗原提示細胞に対する抗原の最適な提示が確実になる。他の融合パートナーは、インフルエンザウイルスからの非構造タンパク質、NS1(血液凝集素)を含む。典型的には、N末端のアミノ酸81個が用いられるが、Tヘルパーエピトープを含む異なる断片を用いてもよい。
【0036】
もう一つの態様において、免疫学的融合パートナーはLYTAとして知られるタンパク質またはその一部である(好ましくはC-末端部分)。LYTAは、肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)に由来し、これはアミダーゼLYTA(LytA遺伝子によってコードされる;Gene 43:265〜292、1986)として知られるN-アセチルL-アラニンアミダーゼを合成する。LYTAは、ペプチドグリカン骨格において特定の結合を特異的に分解する自己溶解素である。LYTAタンパク質のC-末端ドメインはコリンまたはDEAEのような幾つかのコリン類似体に対する親和性に寄与している。この特性は、融合タンパク質の発現に有用な大腸菌のC-LYTA発現プラスミドの作製に利用されている。アミノ末端でC-LYTA断片を含むハイブリッドタンパク質の精製が記述されている(Biotechnology 10:795〜798、1992を参照のこと)。好ましい態様において、LYTAの反復部分を融合タンパク質に組み入れてもよい。反復部分は残基178位から始まるC末端領域に認められる。特に好ましい反復部分は、残基188〜305位を含む。
【0037】
幾つかの態様において、治療物質と本発明のポリペプチドとをカップリングさせること、または本発明の1つ以上のポリペプチドとカップリングさせることが望ましいと考えられる。例えば、1つ以上の物質またはポリペプチドが、本発明の第一のポリペプチドに直接カップリングしてもよく、または多数の結合部位を提供するリンカーを用いることができる。または、担体を用いることができる。VP22(ElliottおよびO'Hare、1997、Cell 88:223〜233;同様にKimら、1997、J. Immunol. 159:1666〜1668を参照;Rojasら、1998、Nature Biotechnology 16:370;Katoら、1998、FEBS Lett. 427(2):203〜208;Vivesら、1997、J. Biol. Chem. 272(25):16010〜7;Nagaharaら、1998、Nature Med. 4(12):1449〜1452)を含むがこれに限定されない幾つかの分子は、細胞内移動およびタンパク質輸送にとって特に適している。
【0038】
担体は、直接またはリンカー基のいずれかによる共有結合を含む、多様な方法によって物質またはポリペプチドを有してもよい。適した担体には、アルブミン(例えば、Katoらに対する米国特許第4,507,234号)のようなタンパク質、ペプチド、およびアミノデキストランのような多糖類(例えば、シー(Shih)らに対する米国特許第4,699,784号)が含まれる。担体はまた、非共有結合によって、またはリポソーム小胞内部など封入によって物質を有してもよい(例えば、米国特許第4,429,008号および第4,873,088号)。
【0039】
一般的に、本明細書に記載のポリペプチド(融合タンパク質を含む)およびポリヌクレオチドは、単離されている。「単離された」ポリペプチドまたはポリヌクレオチドとは、その当初の環境から切り離されたものである。例えば、天然に存在するタンパク質が、天然の系において共存する物質の幾つかまたは全てから分離されている場合に、単離されている。好ましくは、そのようなポリペプチドは少なくとも約90%純粋であり、より好ましくは少なくとも約95%純粋で、最も好ましくは少なくとも約99%純粋である。ポリヌクレオチドは、例えば天然の環境の一部ではないベクターにクローニングされている場合、単離されたと見なされる。
【0040】
ポリペプチドは、その天然に存在する型から単離する、組換え手段によって産生する、または化学合成することができる。本明細書に記述のDNA配列によってコードされる組換え型ポリペプチドは、当技術分野で既知の多様な如何なる発現ベクターを用いてもDNA配列から容易に調製することができる。発現は、組換え型ポリペプチドをコードするDNA分子を含む発現ベクターによって形質転換された、またはトランスフェクトさせた適当な宿主細胞において行ってもよい。適した宿主細胞には、原核細胞、酵母および高等真核細胞が含まれる。好ましくは用いられる宿主細胞には、大腸菌、酵母、またはCOSもしくはCHOのような哺乳類の細胞株が含まれる。組換え型タンパク質またはポリペプチドを培養培地中に分泌する可溶性の宿主/ベクター系からの上清はまず、市販の濾紙を用いて濃縮してもよい。濃縮後、濃縮物をアフィニティマトリクスまたはイオン交換樹脂のような適した精製マトリクスに適用してもよい。最後に、1つまたはそれ以上の逆相HPLC段階を用いて、組換え型ポリペプチドをさらに精製することができる。
【0041】
アミノ酸約100個未満、一般的にアミノ酸約50個未満を有する断片およびその他の変異体も同様に、当業者に周知の技術を用いて合成手段によって作製してもよい。例えば、そのようなポリペプチドは、伸長しつつあるアミノ酸鎖にアミノ酸を連続的に加えるメリフィールド固相合成法のような市販の固相技術を用いて合成してもよい(Merrifield、1963、J. Am. Chem. Soc. 85:2146〜2149)。ポリペプチドの自動合成装置はパーキンエルマー/アプライドバイオシステムズ部門(フォスターシティ、カリフォルニア州)のような供給元から販売されており、製造元の指示に従って操作してもよい。
【0042】
本発明に従って用いられるポリペプチドの変異体は、HSVまたはHSV感染細胞に対する免疫応答の誘発能を保持するポリペプチドが得られることを示す、アミノ酸配列における1つまたはそれ以上のアミノ酸置換、欠失、付加および/または挿入を有しうる。そのような変異体は、本明細書に記述のポリペプチド配列の1つを改変すること、および本明細書に記述のT細胞アッセイ法のような既知のアッセイ法を用いて改変されたポリペプチドの反応性を評価することによって同定してもよい。ポリペプチド変異体は好ましくは、同定されたポリペプチドに対して少なくとも約70%、より好ましくは少なくとも約90%、および最も好ましくは少なくとも約95%の同一性を示す。これらのアミノ酸置換には、「保存的」として当技術分野において既知のアミノ酸置換が含まれるが必ずしもこれらに限定されない。
【0043】
「保存的」置換とは、ペプチド化学の当業者によってポリペプチドの二次構造およびハイドロパシー特性が実質的に不変であると予想されるように、アミノ酸が類似の特性を有するもう一つのアミノ酸に置換されている置換である。アミノ酸置換は、残基の極性、荷電、溶解性、疎水性、親水性、および/または両親媒性特徴における類似性に基づいて一般的に行ってもよい。例えば、陰性荷電アミノ酸には、アスパラギン酸とグルタミン酸が含まれ;陽性荷電アミノ酸にはリジンとアルギニンが含まれる;および類似の親水性値を有する非荷電極性ヘッド基を有するアミノ酸には、ロイシン、イソロイシン、およびバリン;グリシンおよびアラニン;アスパラギンおよびグルタミン;ならびにセリン、トレオニン、フェニルアラニン、およびチロシンが含まれる。保存的置換を示しうるその他のアミノ酸グループには:(1)アラニン、プロリン、グリシン、グルタミン酸、アスパラギン酸、グルタミン、アスパラギン、セリン、トレオニン;(2)システイン、セリン、チロシン、トレオニン;(3)バリン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、アラニン、フェニルアラニン;(4)リジン、アルギニン、ヒスチジン;および(5)フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、ヒスチジンが含まれる。変異体も同様にまたは別法として非保存的置換を含んでもよい。好ましい態様において、変異体ポリペプチドはアミノ酸5個またはそれより少ない置換、欠失、または付加によって本来の配列とは異なる。変異体は同様に、(または)例えばポリペプチドの免疫原性、二次構造およびハイドロパシー特性に及ぼす影響がほとんどないアミノ酸の欠失または付加によって改変してもよい。
【0044】
変異体ポリペプチドが免疫応答を誘発できるか否かをアッセイすることによって、特定の変異体が適格であるか否かを容易に確認することができる。変異体の免疫応答の誘発能を、同一の状況でアッセイした親ポリペプチドによって誘発された反応と比較することができる。免疫応答の一例は、細胞性免疫応答である。アッセイ法は、T-細胞刺激または活性化を測定するアッセイを行うことを含みうる。T細胞の例にはCD4およびCD8 T細胞が含まれる。
【0045】
T細胞刺激アッセイ法の一例は、Koelle, DMら、Human Immunol. 1997、53:195〜205に記述されるような細胞障害アッセイ法である。一つの例において、細胞障害アッセイ法は、適当なHLA分子との関連において抗原性であるウイルスペプチドを提示する細胞をT細胞と接触させること、およびT細胞が抗原提示細胞を殺すことができるか否かを決定することを含む。殺細胞は、抗原提示細胞からの放射活性51Crの放出を測定することによって検出することができる。抗原提示細胞から培地中に51Crが放出されれば殺細胞を示している。殺細胞の増加の一例としての基準は、培地と混合した抗原提示細胞から回収した対照培地と比較して、T細胞と混合した抗原提示細胞から回収した培地中の51Cr放射線の計数に基づく1分間あたりのカウント数(cpm)の統計学的に有意な増加である。
【0046】
ポリヌクレオチド、ベクター、宿主細胞および組換え型ウイルス
本発明は、本発明の1つまたは複数のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを提供する。HSV-2株HG52の完全なゲノム配列は、NCBIのウェブサイト(www.ncbi.nih.gov)、アクセッション番号Z86099において見出すことができる。ポリヌクレオチドはベクターに含めることができる。ベクターはさらに、本発明のポリヌクレオチドに機能的に結合した発現調節配列を含む。幾つかの態様において、ベクターは、関係する他の分子をコードする1つまたは複数のポリヌクレオチドを含む。一つの態様において、本発明のポリヌクレオチドとさらなるポリヌクレオチドとを、融合タンパク質をコードするように結合することができる。
【0047】
特定の態様において、ポリヌクレオチドを、哺乳類の細胞への侵入およびその中での発現が可能であるように調製してもよい。そのような製剤は、下記のように治療目的のために特に有用である。当業者は、標的細胞においてポリヌクレオチドを発現させるための多くの方法が存在すること、そして如何なる適した方法を用いてもよいことを認識していると思われる。例えば、ポリヌクレオチドはアデノウイルス、アデノ関連ウイルス、レトロウイルス、またはワクシニアもしくはその他のポックスウイルス(例えば、トリポックスウイルス)のような、しかしこれらに限定されないウイルスベクターに組み入れてもよい。DNAをそのようなベクターに組み入れる技術は当業者に周知である。レトロウイルスベクターはさらに、ベクターを標的特異的にするために、選択マーカー(形質導入した細胞の同定または選択を補助するため)および/または特定の標的細胞上の受容体に対するリガンドをコードする遺伝子のようなターゲティング部分に対する遺伝子を移入または組み入れてもよい。ターゲティングは同様に、当業者に公知の方法によって、抗体を用いて行ってもよい。
【0048】
本発明はまた、本発明のベクターによって形質転換された宿主細胞を提供する。形質転換された宿主細胞は、本発明のポリペプチドを生産する方法において用いることができる。本方法は、宿主細胞を培養し、それにより産生されたポリペプチドを回収する段階を含む。回収されたポリペプチドは、培養上清から精製することができる。
【0049】
本発明のベクターは、インビボ、エクスビボまたはインビトロのいずれかで細胞を遺伝子改変するために用いることができる。直接的またはレトロウイルス・プロデューサー細胞を介するウイルスベクターを用いた形質導入または感染、レシピエント細胞とDNAを含む細菌プロトプラストとの融合、DNAを含むリポソームまたはミクロスフェアによるレシピエント細胞の処理、DEAEデキストラン、受容体媒介エンドサイトーシス、電気穿孔、マイクロインジェクション、および当業者に公知のその他の多くの技術を含む、細胞を遺伝子改変する幾つかの方法が既知である。例えば、Sambrookらの「分子クローニング、実験マニュアル(Molecular Cloning, A Laboratory Manual)」、第二版1〜3、1989;「分子生物学の現行プロトコール(Current Protocols in Molecular Biology)」、F.M. Ausubelら編、グリーンパブリッシングアソシエーツインク、およびジョン・ウィリー&サンズインク(1994増刊)を参照のこと。
【0050】
ウイルスベクターの例には、例えばHIV、SIV、マウスレトロウイルス、テナガザル白血病ウイルス、ならびにアデノ関連ウイルス(AAV)およびアデノウイルスのような他のウイルスに基づくレトロウイルスベクターが含まれるがこれらに限定されない。(Millerら、1990、Mol. Cell Biol. 10:4239;J. Kolberg、1992、NIH Res. 4:43;およびCornettaら、1991、Hum. Gene Ther. 2:215)。広く用いられているレトロウイルスベクターには、マウス白血病ウイルス(MuLV)、テナガザル白血病ウイルス(GaLV)、環境栄養性レトロウイルス、サル免疫不全ウイルス(SIV)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)に基づくベクター、およびその組合せが含まれる。例えば、Buchscherら、1992、J. Virol. 66(5):2731〜2739;Johannら、1992、J. Virol. 66(5):1635〜1640;Sommerfeltら、1990、Virol. 176:58〜59;Wilsonら、1989、J. Virol. 63:2374〜2378;Millerら、1991、J. Virol. 65:2220〜2224、ならびにRosenbergおよびFauci、1993、「基礎免疫学(Fundamental Immunology)」、第三版、W.E. Paul編、レーブンプレス、ニューヨークおよびそれらに含まれる参考文献;Millerら、1990、Mol. Cell Biol. 10:4239;R. Kolberg、1992、J. NIH Res. 4:43;ならびにCornettaら、1991、Hum. Gene Ther. 2:215を参照のこと。
【0051】
発現ベクターにサブクローニングする配列を増幅するために適したインビトロ増幅技術は公知である。ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、リガーゼ連鎖反応(LCR)、Qβ-レプリカーゼ増幅およびその他のRNAポリメラーゼ媒介技術(例えば、NASBA)を含む、そのようなインビトロ増幅方法の例は、サムブルック(Sambrook)ら、1989、「分子クローニング、実験マニュアル(Molecular Cloning, A Laboratory Manual)」、第二版、1〜3;および米国特許第4,683,202号;PCRプロトコール:方法と応用の手引き(PCR Protocols:A Guide to Methods and Applications)」、イニス(Innis)ら編、アカデミックプレスインク、サンジエゴ、カリフォルニア州、1990に見られる。インビトロで増幅した核酸をクローニングする改善された方法は米国特許第5,426,039号に記載されている。
【0052】
本発明はさらに、本発明のポリヌクレオチドを発現するように遺伝子改変された組換え型微生物を提供する。組換え型微生物はワクチンとして有用となりえて、弱毒化生ワクチンを調製するために当技術分野で公知の技術を用いて調製することができる。生ワクチンとして用いられる微生物の例にはウイルスおよび細菌が含まれるがこれらに限定されない。好ましい態様において、組換え型微生物はウイルスである。適したウイルスの例には、ワクシニアウイルス、カナリアポックスウイルス、レトロウイルス、レンチウイルス、HSVおよびアデノウイルスが含まれるがこれらに限定されない。
【0053】
組成物
本発明は、HSV感染症を治療および予防するために有用である組成物を提供する。組成物はウイルス複製を阻害するために、そしてウイルス感染細胞を死滅させるために用いることができる。一つの態様において、組成物は薬学的組成物である。組成物は、本発明のポリペプチド、ポリヌクレオチド、組換え型ウイルス、APC、または免疫細胞の治療的または予防的有効量を含みうる。有効量は、例えばT細胞を活性化することによって、免疫応答を誘起または増強するために十分な量である。T細胞の活性化の一つの測定法は、D.M. Koelleら、1997、Human Immunol. 53:195-205)の記述のような細胞障害アッセイ法である。幾つかの態様において、組成物はワクチンである。
【0054】
本組成物は、薬学的に許容される担体のような担体を選択的に含みうる。薬学的に許容される担体は、投与される特定の組成物と共に、組成物の投与に用いられる特定の方法によって部分的に決定される。したがって、本発明の薬学的組成物の多様な適した製剤が存在する。例えば関節内(関節内)、静脈内、筋肉内、皮内、腹腔内、および皮下経路による非経口投与に適した組成物には、抗酸化剤、緩衝剤、静菌薬、および目的とするレシピエントの血液と製剤を等張にする溶質を含みうる等張滅菌注射水溶液、ならびに懸濁剤、溶解補助剤、濃縮剤、安定化剤、保存剤、リポソーム、ミクロスフェア、および乳剤を含みうる水性および非水性滅菌懸濁剤が含まれる。
【0055】
本発明の組成物はさらに、1つまたは複数のアジュバントを含みうる。アジュバントの例には、ヘルパーペプチド、ミョウバン、フロイントアジュバント、ムラミルトリペプチドホスファチジルエタノールアミン、またはサイトカインを含む免疫刺激複合体が含まれるが、これらに限定されない。ポリヌクレオチドワクチンを使用する場合のような幾つかの態様において、ヘルパーペプチドまたはサイトカインのようなアジュバントは、アジュバントをコードするポリヌクレオチドによって提供することができる。ワクチン製剤は一般的に、例えば、M.F. PowellおよびM.J. Newman編、「ワクチンのデザイン(サブユニットとアジュバントアプローチ)(Vaccine Design(the subunit and adjuvant approach))」、プレナムプレス(ニューヨーク、1995)に記載されている。本発明の範囲内である薬学的組成物およびワクチンはまた、生物学的に活性であっても不活性であってもよい他の化合物を含みうる。例えば、その他のウイルス抗原の1つまたは複数の免疫原性部分が、融合ポリペプチドとして、または個別の化合物として組成物またはワクチン内に存在してもよい。
【0056】
薬学的組成物またはワクチンは、ポリペプチドがインサイチューで形成されるように、本発明の1つまたは複数のポリペプチドをコードするDNAを含んでもよい。上記のように、DNAは核酸発現系、細菌およびウイルス発現系を含む、当業者に既知の多様な送達系のいずれの中に存在してもよい。多数の遺伝子送達技術が当技術分野で周知であり、例えば、Rolland、1998、Crit. Rev. Therap. Drug Carrier Systems 15:143〜198、およびその中で引用されている参考文献に記載されている。適当な核酸発現系は、患者において発現するために必要な(適したプロモーターおよび終結シグナルのような)DNA配列を含む。細菌送達系は、その細胞表面上にポリペプチドの免疫原性部分を発現する、またはそのようなエピトープを分泌する細菌(カルメットゲラン杆菌(Bacillus-Calmette-Gerrin)のような)の投与を含む。好ましい態様において、DNAは、非病原性(欠損)、複製コンピテントウイルスの使用を含んでもよいウイルス発現系(例えば、ワクシニアもしくはその他のポックスウイルス、レトロウイルス、またはアデノウイルス)を用いて導入してもよい。適した系は、例えば、Fisher-Hochら、1989、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86:317〜321;Flexnerら、1989、Ann. My Acad. Sci、569:86〜103;Flexnerら、1990、Vaccine 8:17〜21;米国特許第4,603,112号、第4,769,330号、及び第5,017,487号;国際公開公報第89/01973号;米国特許第4,777,127号;英国特許第2,200,651号;欧州特許第0,345,242号;国際公開公報第91102805号;Berkner、1998、Biotechniques 6:616〜627;Rosenfield、1991、Science 252:431〜434;Kollsら、1994、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91:215〜219;Kass-Eislerら、1993、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:11498〜11502;Guzmanら、1993、Circulation 88:2838〜2848;およびGuzmanら、1993、Cir. Res. 73:1202〜1207に開示されている。そのような発現系にDNAを組み入れる技術は、当業者に周知である。DNAはまた、例えば、Ulmerら、1993、Science 259:1745〜1749によって記述され、Cohen、1993、Science 259:1691〜1692が論評しているように、「裸(naked)」であってもよい。裸のDNAの取り込みは、細胞内に効率よく取り込まれる生体分解性のビーズ上にDNAをコーティングすることによって増加させてもよい。
【0057】
当業者に既知の如何なる適した担体も本発明の薬学的組成物において用いることができるが、担体のタイプは投与様式によって異なると考えられる。本発明の組成物は例えば局所、経口、鼻腔内、静脈内、頭蓋内、腹腔内、皮下、または筋肉内投与を含む適当な投与用式のために製剤化してもよい。皮下注射のような非経口投与に関しては、担体は好ましくは水、生理食塩水、アルコール、脂肪、ロウ、または緩衝液を含む。経口投与に関しては、上記の担体、またはマンニトール、乳糖、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、タルク、セルロース、グルコース、蔗糖、および炭酸マグネシウムを含む固相担体のいずれを用いてもよい。生体分解性のミクロスフェア(例えば、ポリ乳酸ポリグリコール酸)も同様に本発明の薬学的組成物の担体として用いてもよい。適した生体分解性のミクロスフェアは、例えば米国特許第4,897,268号および第5,075,109号に開示されている。
【0058】
そのような組成物はまた、緩衝液(例えば、中性緩衝生理食塩水または燐酸緩衝生理食塩水)、炭水化物(例えば、グルコース、マンノース、蔗糖またはデキストラン)、マンニトール、タンパク質、ポリペプチド、もしくはグリシンのようなアミノ酸、抗酸化剤、EDTAのようなキレート剤もしくはグルタチオン、アジュバント(例えば、水酸化アルミニウム)および/または保存剤を含んでもよい。または、本発明の組成物は凍結乾燥物として製剤化してもよい。化合物はまた、周知の技術を用いてリポソーム内に封入してもよい。
【0059】
如何なる多様なアジュバントも本発明のワクチンに用いることができる。ほとんどのアジュバントは、水酸化アルミニウムまたは鉱油のような、急速な異化から抗原を保護するようにデザインされた物質、およびリピッドA、百日咳(Bortadella pertussis)または結核菌(Mycobacterium tuberculosis)に由来するタンパク質のような免疫応答の刺激物質を含む。適したアジュバントは、例えばフロイントの不完全アジュバントおよび完全アジュバント(ディフコラボラトリーズ、デトロイト、ミシガン州);メルクアジュバント65(メルク&カンパニーインク、ラーウェイ、ニュージャージー州);水酸化アルミニウムゲル(ミョウバン)または燐酸アルミニウムのようなアルミニウム塩;カルシウム、鉄、または亜鉛の塩;アシル化チロシンアシル化糖の不溶性懸濁液;陽イオンまたは陰イオン誘導体化多糖類;ポリホスファゼン生体分解性ミクロスフェア;モノホスホリルリピッドAおよびクイルAとして販売されている。GM CSFまたはインターロイキン-2、-7、もしくは-12のようなサイトカインも同様にアジュバントとして用いてもよい。
【0060】
本明細書に提供したワクチンにおいて、アジュバント組成物は好ましくはTh1型の免疫応答を主に誘導するようデザインされる。高レベルのTh1型サイトカイン(例えば、IFN-γ、IL-2およびIL-12)は、投与した抗原に対する細胞性免疫応答の誘導に都合がよい傾向がある。対照的に、高レベルのTh2型サイトカイン(例えば、IL-4、IL-5、IL-6、IL-10およびTNF-β)は、液性免疫応答の誘導に都合がよい傾向がある。本明細書に提供するワクチンを適用した後、患者はTh1型およびTh2型反応を含む免疫応答を支持されると思われる。反応が主にTh1型である好ましい態様において、Th1型サイトカインのレベルはTh2型サイトカインのレベルより大きい程度に増加するであろう。これらのサイトカインのレベルは標準的なアッセイ法を用いて容易に評価することができる。サイトカインファミリーの論評に関しては、MosmannおよびCoffman、1989、Ann. Rev. Immunol. 7:145〜173を参照のこと。
【0061】
主にTh1型反応を誘起するよう用いられる好ましいアジュバントには、例えば、モノホスホリルリピッドA、好ましくは3-デ-O-アシル化モノホスホリルリピッドA(3D-MPL)をアルミニウム塩と共に併用することが含まれる。MPL(商標)アジュバントは、コリザコーポレーションから入手できる(米国特許第4,436,727号;第4,877,611号;第4,866,034号および第4,912,094号を参照のこと)。CpG含有オリゴヌクレオチド(この中でCpGジヌクレオチドが非メチル化されている)も同様に、主にTh1反応を誘導する。そのようなオリゴヌクレオチドは周知であり、例えば、国際公開公報第96/02555号に記載されている。もう一つの好ましいアジュバントはサポニン、好ましくはQS21であり、これは単独または他のアジュバントと組みあわせて用いてもよい。例えば、増強された系は、国際公開公報第94/00153号に記載のQS21と3D-MPLの併用のような、3D-MPLモノホスホリルリピッドAとサポニン誘導体との併用を含み、または国際公開公報第96/33739号に記載のように、QS21をコレステロールに変更した場合にはより反応性が低い組成物が得られる。その他の好ましい製剤は、水中油型乳剤およびトコフェロールを含む。QS21、3D-MPL、およびトコフェロールを水中油型乳剤として含む特に強力なアジュバント製剤は、国際公開公報第95/17210号に記載されている。用いてもよいもう一つのアジュバントは、AS-2である(スミスクラインビーチャム社)。抗原、免疫応答増強剤および適した担体または賦形剤の組合せとなる本明細書に提供した如何なるワクチンも、周知の方法を用いて調製してもよい。
【0062】
本明細書に記述した組成物は、徐放製剤(すなわち、投与後に化合物を徐々に放出するカプセルまたはスポンジのような製剤)の一部として投与してもよい。そのような製剤は、周知の技術を用いて一般的に調製し、例えば、経口、直腸、もしくは皮下植え込み、または所望の標的部位での埋め込みによって投与してもよい。徐放性製剤は、ポリペプチド、ポリヌクレオチドまたは抗体を担体マトリクスに分散させて含んでもよく、および/または速度制御膜によって取り囲まれたリザーバー内に含んでもよい。そのような製剤に用いられる担体は生体適合性であり、そして同様に生体分解性であってもよい;好ましくは製剤は、活性成分を比較的一定レベルで放出する。徐放製剤内に含まれる活性化合物の量は、埋め込み部位、放出の速度および予想される期間、ならびに治療または予防すべき疾患の特性に依存する。
【0063】
HSV感染細胞を標的とする抗原特異的免疫応答の産生を促進する多様な輸送媒体のいずれも、薬学的組成物およびワクチン内で用いてもよい。輸送媒体には、樹状細胞、マクロファージ、B細胞、単球、および効率的なAPCとなるように操作されるその他の細胞のような抗原提示細胞(APC)が含まれる。そのような細胞は抗原提示能を増加するように、T細胞反応の活性化および/または維持を改善するために、それ自身抗ウイルス作用を有するように、および/または受ける側と免疫学的に適合するように(すなわち、一致したHLAハプロタイプ)遺伝子改変してもよいが、必ずしもその必要はない。APCは一般的に、腫瘍および腫瘍周辺組織を含む多様な生体液および臓器のいずれかから単離してもよく、自己由来、同種異系、同系、または異種細胞であってもよい。
【0064】
本発明の特定の好ましい態様は、抗原提示細胞として樹状細胞またはその前駆細胞を使用する。樹状細胞は非常に強力なAPC(BanchereauおよびSteinman、Nature 392:245〜251)であり、予防または治療免疫を誘起するための生理学的アジュバントとして有効であることが示されている(TimmermanおよびLevy、Ann. Rev. Med. 50:507〜529、1999を参照のこと)。一般的に、樹状細胞は他の典型的な形状(インサイチューで星状、インビトロで著しい細胞質突起(樹状突起))に基づいて、そして標準的なアッセイ法を用いて決定されるように、B細胞(CD19およびCD20)、T細胞(CD3)、単球(CD14)、およびナチュラルキラー細胞(CD56)の分化マーカーがないことに基づいて同定してもよい。樹状細胞は当然、インビボまたはエクスビボにおいて樹状細胞上に一般的に認められない特異的細胞表面受容体、またはリガンドを発現するように操作してもよく、そのように改変された樹状細胞も本発明に含まれる。樹状細胞の代用として、分泌された小胞抗原負荷樹状細胞(エキソソームと呼ぶ)をワクチンにおいて用いてもよい(Zitvogelら、1998、Nature Med. 4:594〜600)。
【0065】
樹状細胞および前駆細胞は、末梢血、骨髄、腫瘍浸潤細胞、腫瘍周囲組織浸潤細胞、リンパ節、脾臓、皮膚、臍帯血、またはその他の如何なる適した組織もしくは体液から得てもよい。例えば、樹状細胞はGM-CSF、IL-4、IL-13および/またはTNFαのようなサイトカインの組合せを末梢血から回収された単球の培養に加えることによってエクスビボで分化させてもよい。または、末梢血、臍帯血もしくは骨髄から回収されたCD34陽性細胞は、培養培地にGM-CSF、IL-3、TNFα、CD40リガンド、LPS、flt3リガンドおよび/または樹状細胞の成熟および増殖を誘導する他の化合物を加えることによって、樹状細胞に分化させてもよい。
【0066】
樹状細胞は都合のよいことに、「未成熟」および「成熟」細胞として分類され、これによって、2つの十分に特徴付けされた表現型を単純な方法で識別することが可能である。しかし、この命名法は、分化の可能な中間段階を全て排除するように構築してはならない。未成熟な樹状細胞は、抗原の取り込み能とプロセシング能が高いことからAPCとして特徴付けされるが、これはFcγ受容体、マンノース受容体、およびDEC-205マーカーの高い発現と相関する。成熟表現型は典型的に、これらのマーカーの発現がより低いが、クラスIおよびクラスII MHC、接着分子(例えば、CD54およびCD11)、ならびに共刺激分子(例えば、CD40、CD80、およびCD86)のようなT細胞活性化に関与する細胞表面分子の発現が高いという特徴を有する。APCは、一般的に、ポリペプチド、またはその免疫原性部分が細胞表面に発現されるように、ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドにトランスフェクトさせてもよい。そのようなトランスフェクションはエクスビボで起こってもよく、そのようなトランスフェクトした細胞を含む組成物またはワクチンを、本明細書に記述のように治療目的で用いてもよい。または、樹状細胞もしくはその他の抗原提示細胞を標的とする遺伝子送達媒体を患者に投与して、その結果インビボでトランスフェクションが起こるようにしてもよい。樹状細胞のインビボおよびエクスビボトランスフェクションは、例えば、一般的に国際公開公報第94/24447号に記載の方法、またはマービ(Mahvi)ら(1997、Immunology and Cell Biology 75:456〜460)に記述の遺伝子銃アプローチのような当技術分野で既知の如何なる方法を用いて実施してもよい。樹状細胞の抗原負荷は、樹状細胞もしくは前駆細胞を、腫瘍ポリペプチド、DNA(裸、もしくはプラスミドベクター内で)、またはRNAと共に;または抗原発現組換え型細菌もしくはウイルス(例えば、ワクシニア、鶏痘、アデノウイルス、もしくはレンチウイルスベクター)と共にインキュベートすることによって行ってもよい。負荷の前に、ポリペプチドはT細胞の助けを提供する免疫学的パートナー(例えば、担体分子)に共有結合させてもよい。または、樹状細胞は、個別に、またはポリペプチドの存在下で非結合免疫学的パートナーによってパルスしてもよい。
【0067】
組成物の投与
治療には予防と治療法が含まれる。予防または治療は単回直接注射を1回または多数回行うことによって達成される。投与はまた、複数の部位にほぼ同時に行うことができる。患者または被験者には、ヒト、ウシ、ウマ、イヌ、ネコ、ブタ、およびヒツジ動物のような哺乳類が含まれる。好ましくは、患者または被験者はヒトである。
【0068】
組成物は典型的にインビボで非経口投与(例えば、静脈内、皮下、および筋肉内)、または経頬/舌下、直腸、経口、点鼻、局所(経皮および点眼のような)、膣内、肺内、動脈内、腹腔内、眼内、もしくは鼻腔内経路のような他の従来の直接経路によって、または特定の組織に直接投与してもよい。
【0069】
組成物は如何なる適した方法、しばしば薬学的に許容される担体と共に投与する。本発明の文脈において患者に細胞を投与する適した方法が利用可能であり、特定の細胞組成物を投与するために1つ以上の経路を用いることができるが、特定の経路はしばしば、もう一つの経路より即時的でより有効な反応を提供しうる。
【0070】
本発明の文脈において、患者に投与される用量は、患者において経時的に有益な治療反応を示すために、または感染症もしくは感染症による疾患を阻止するために十分でなければならない。このように、組成物は特定の抗原に対する有効な免疫応答を誘起するために、および/または疾患もしくは感染症による症状および/または合併症を緩和、減少、治癒、もしくは少なくとも部分的に阻止するために十分な量で患者に投与される。これを行うために適当な量は「治療的有効量」として定義される。
【0071】
用量は、生産された組成物の活性および患者の状態と共に、治療すべき患者の体重または体表面積によって決定される。用量の大きさは、特定の患者において特定の組成物の投与に伴う有害な副作用の存在、性質、および程度によって決定される。HSV感染症のような疾患の治療または予防において投与される組成物の有効量を決定する場合、医師はウイルスに対する免疫応答の産生、疾患の進行および治療に関連した如何なる毒性も評価する必要がある。
【0072】
例えば、サブユニットHSVタンパク質を含むワクチンまたはその他の組成物は、1用量あたりHSVタンパク質を1μg〜10,000 μgを含みうる。好ましい態様において、HSVタンパク質の10μg〜1000 μgがそれぞれの用量に含まれ、より好ましい態様において、1用量あたりHSVタンパク質10μg〜100 μgが含まれる。好ましくは用量は、1回の投与で十分である、または複数回を数ヶ月間にわたって投与するように選択する。HSVポリヌクレオチドまたはペプチドを含む組成物では、1用量あたり類似の量を投与する。
【0073】
一つの態様において、1用量〜10用量を52週間にわたって投与してもよい。好ましくは6用量を1ヶ月間隔で投与し、追加ワクチン接種をその後定期的に行ってもよい。別のプロトコールが個々の患者に適当であるかも知れない。適した用量は上記のように投与した場合、抗ウイルス免疫応答を促進することができ、しかも基礎(すなわち無処置)レベルから少なくとも10%〜50%上である化合物の量である。そのようなワクチンは同様に、非ワクチン接種患者と比較してワクチン接種した患者では臨床転帰の改善に至る免疫応答を引き起こすことができるはずである。一般的に、1つまたは複数のポリペプチドを含む薬学的組成物およびワクチンに関して、それぞれのポリペプチドの量は約0.1 μg/kg〜約5 mg/kg宿主の用量範囲で存在する。好ましくは、量は約10μg/用量〜約1000 μg/用量である。適した投与容量は患者の体格、年齢、および免疫状態に応じて変化するが、典型的に、約0.1 ml〜約5 mlであり、約1 ml未満の容量が最も一般的である。
【0074】
免疫細胞を含む組成物は好ましくは、組成物を投与する被験者から得られた免疫細胞から調製する。または免疫細胞はHLA適合供与体から調製することができる。免疫細胞は、当技術分野で既知の従来の技術を用いて被験者または供与体から得て、本発明のエピトープを提示するように改変されたAPCに暴露して、エクスビボで増殖させ、被験者に投与する。エクスビボ療法のプロトコールは、Rosenbergら、1990、New England J. Med. 9:570〜578)に記載されている。さらに、組成物は本発明のエピトープを提示するように改変されたAPCを含みうる。
【0075】
免疫細胞は一般的に、本明細書に記述のようにインビトロでの増殖によって、養子免疫療法にとって十分な量で得てもよい。単一の抗原特異的エフェクター細胞を、抗原認識を保持しながら数十億個までインビボで増殖させるための増殖条件は当技術分野で周知である。そのようなインビトロ培養条件は典型的に、しばしばサイトカイン(IL-2のような)および非分裂フィーダー細胞の存在下で、抗原による間欠的刺激を利用する。上記のように、本明細書に提供した免疫反応性ポリペプチドを用いて、免疫療法にとって十分な細胞数が得られるように抗原特異的なT細胞培養を濃縮および迅速に増殖させてもよい。特に、樹状細胞、マクロファージ、単球、繊維芽細胞および/またはB細胞のような抗原提示細胞を、当技術分野で周知の標準的な技術を用いて、免疫反応性ポリペプチドによってパルスしてもよく、または1つもしくは複数のポリヌクレオチドにトランスフェクトさせてもよい。例えば、抗原提示細胞は、組換え型ウイルスまたはその他の発現系において発現を増加させるために適当なプロモーターを有するポリヌクレオチドにトランスフェクトさせることができる。治療において用いられる培養エフェクター細胞は、増殖して広く分布し、インビボで長期間生存することができなければならない。培養エフェクター細胞がインビボで増殖してIL-2を加えた抗原による繰り返し刺激によって実質的な数で長期間生存するように誘導することができることは、研究によって示されている(例えば、チーバー(Cheever)ら、1997、Immunological Reviews 157:177)。
【0076】
本明細書に記載、または当技術分野で既知の多くの投与経路は、針、カテーテル、または関連する装置を用いて、1回または複数回の直接投与によって単に行ってもよい。
【0077】
同定された抗原のインビボ試験
従来の技術を用いて、同定されたHSV抗原のインビボ有効性を確認することができる。例えば、一つの技術はマウスチャレンジモデルを利用する。しかし、当業者はこれらの方法が定常的なものであり、他のモデルを用いることができることを認識すると思われる。
【0078】
試験すべき化合物または組成物が調製されたら、マウスまたは他の被験者を一連の注射によって免疫する。例えば、10回までの注射を数ヶ月間にわたって投与することができ、典型的には投与の間隔を1〜4週間あける。一連の最後の注射の後、等しく致命的容量であることが確立されたウイルスの用量を被験者にチャレンジする。対照群にはプラセボを投与するが、実験群は能動的にワクチン接種する。または、試験は致命的用量以下の用量を用いてデザインすることができる。選択的に、用量反応試験を含むことができる。本試験において測定すべき終点には、死亡および例えば脊髄歩行によって示されるような重度の神経障害が含まれる。生存動物を屠殺して、脊髄、脳、および注射部位を含む重要な臓器の定量的なウイルス培養を行うことができる。組織試料中に基底として存在するウイルス量を測定することができる。組成物はまた、治療ワクチンとしての有効性を確認するために、既に感染させた動物において再発が減少するか否かを調べることができる。
【0079】
有効性はIC50を計算することによって決定することができ、これは被験者の50%を死亡から保護するために必要な体重1キログラムあたりのワクチンのマイクログラムを示す。IC50は、用いるチャレンジ用量に左右される。さらに、ワクチンの特定の用量を投与される被験者の半数を死亡させるために必要な感染単位数を示す、IL50を計算することができる。死後のウイルス力価を定量すれば、ウイルス複製が免疫系によって制限されることが確認される。
【0080】
次の試験段階は、膣内接種チャレンジであると考えられる。急性の保護試験では、マウスを用いることができる。モルモットは急性の防護および再発の予防の双方について調べることができるため、モルモットは、ヒトでの作用を推定する場合により生理学的に適切な被験体となる。このタイプのチャレンジでは、非致死量を投与すると、モルモット被験体は病変を発症するが、これは治癒して再発する。測定手段には急激な疾患の改善および病変の再発の双方が含まれうる。ワクチンまたは他の組成物による介入は、接種の前後に、予防と治療のいずれを調べたいかに応じて行うことができる。
【0081】
方法
本発明は、被験体におけるHSV感染症を治療および/または予防する方法を提供する。本方法は、本発明の組成物を被験体に投与することを含む。組成物は治療的または予防的ワクチンとして用いることができる。一つの態様において、HSVはHSV-2である。または、HSVはHSV-1である。本発明はさらに、HSV複製を阻害する、HSV感染細胞を死滅させる、抗ウイルスおよび/または免疫調節活性を有するリンフォカインの分泌を増加させる、ならびにヘルペス特異的抗体の産生を増強する方法を提供する。本方法は、例えば、本明細書に提示した実施例に記述のように、HSV感染細胞を、本発明の抗原に対して産生された免疫細胞に接触させる段階を含む。接触させる段階は、インビトロで行うこともインビボで行うこともできる。好ましい態様において、免疫細胞はT細胞である。T細胞には、CD4およびCD8 T細胞が含まれる。本発明の組成物は、免疫病理疾患に対して認容される物質として用いることができる。
【0082】
さらに、本発明は、HSVに対して指向された免疫細胞を産生する方法を提供する。本方法は、免疫細胞を本発明のHSVポリペプチドに接触させる段階を含む。免疫細胞は、抗原提示細胞を介してポリペプチドに接触させることができ、ここで抗原提示細胞は本発明のポリペプチドに含まれる抗原を提示するように改変される。好ましくは、抗原提示細胞は樹状細胞である。細胞は例えば、ペプチドの負荷、またはポリペプチドをコードする核酸配列による遺伝子改変によって改変することができる。一つの態様において、免疫細胞はT細胞である。T細胞にはCD4およびCD8 T細胞が含まれる。同様に、この方法によって産生される免疫細胞が提供される。免疫細胞はHSV複製を阻害する、HSV感染細胞をインビトロもしくはインビボで死滅させる、抗ウイルスおよび/または免疫調節活性を有するリンフォカインの分泌を増加させる、ヘルペス特異的抗体産生を増強する、または被験体におけるHSV感染症を治療または予防するために用いることができる。
【0083】
本発明はまた、診断アッセイ法を提供する。診断アッセイ法は、ヘルペス感染症を有することが疑われる患者の免疫応答性を同定し、特定の治療経過に対する被験者の反応性を予想するために用いることができる。アッセイ法は、適当なAPCに関連して、本発明の抗原に被験者のT細胞を暴露する段階、および例えば、IFNγ、増殖または細胞障害性を測定することによって免疫反応性を試験する段階を含む。適したアッセイ法は、実施例においてより詳細に説明する。
【0084】
実施例
以下の実施例は、本発明を説明するため、そして本発明を作製および用いる当業者を補助するために示す。実施例は、本発明の範囲を如何なるようにも制限すると解釈してはならない。
【0085】
実施例 1 HSV-2 外皮タンパク質におけるウイルスエピトープの同定
本実施例は、T-細胞抗原を同定するために完全長のウイルスDNAによる発現クローニングを用いることを示す。発現クローニングによって発見された病変浸潤T-細胞によって認識されるHSVエピトープを本明細書において記述する。方法の詳細は、2002年4月23日に提出された米国特許第6,375,952号に記載される。
【0086】
リンパ球機能アッセイ法
3つ組の増殖アッセイウェルは、96ウェルU底プレートにおいて、クローニングしたT細胞104個、抗原提示細胞(APC)として放射線照射(3300 rad)PBMC 105個または放射線照射(8000 rad)EBV-LCL 2.5×104個、および抗原をT-細胞培地200 μl中に含んだ(D.M. Koelleら、1997、Human Immunol. 53:195〜205)。熱殺菌細菌を抗原として用いる場合、105 cfu/ウェル(不活化前)に相当する量を加えて、ゲンタマイシン(20 μg/ml)を加えた。72時間後、[3H]チミジン1 μCi/ウェルを18時間加えて、細胞を回収し、液体シンチレーション計数によってチミジンの取り込みを評価した。標準偏差は平均値の10%未満であった。結果はcpmの平均値またはΔcpm=実験抗原のcpm平均値−対照抗原のcpm平均値として報告する。対照抗原は、全ウイルス抗原の場合は偽感染細胞溶解物および組み換え型蛋白質調製物の場合はpUEX2-由来β-ガラクトシダーゼであった。塊状培養病変由来T-細胞の反応性を決定するために、融合タンパク質または対照β-ガラクトシダーゼは10 μg/mlで用いた。HLA拘束座を決定するために、HLA DR特異的mAb L243(V.G. Prestonら、1978、J. Virol. 28:499〜517)、HLA DP特異的mAb B7.21(A.J. Watsonら、1983、Nature 304:358〜360)またはHLA DQ特異的mAb SpV-L3(H. Spitsら、1984、Eur. J. Immunol. 14:299〜304)を記述通りに用いた(D.M. Koelleら、1994、J. Virol. 68:2803〜2810)。
【0087】
細胞溶解アッセイ法は、記述通りに4時間の[51]Cr放出を用いて、3つ組で行った(D.M. Koelleら、1993、J. Clin. Invest. 91:961〜968)。標的EBV-LCLに、HSV-3を、感染多重度30で18時間感染させるか、または記述のように洗浄前に1.0 μMペプチドを90分間パルスした(W.W. Kwokら、1996、J. Exp. Med. 183:1253〜1258)。エフェクター対標的比は20:1であった。自然発生放出は28%未満であった。
【0088】
結果
T-細胞エピトープの微細局在
発現クローニングのためのライブラリの複雑度を減少するために、HSV-1×HSV-2タイプ間組み換え型ウイルス(IRV)を用いて部分的にマッピングしたTCC認識抗原(複数)を選択した。0.7マップ単位近傍のHSV DNAは、VP16の他にT細胞抗原をコードする。TCC 4.2EIおよび2.3に関するエピトープマッピング(D.M. Koelleら、1994、J. Virol. 68:2803〜2810)は、IRV DX32によって改善した(図1A)。このHSV-2に基づくウイルスは、0.7マップ単位近傍にHSV-1 DNAのブロックを含む(V.G. Prestonら、1978、J. Virol. 28:499〜517)。UL48遺伝子産物は、HSV-2タイプ特異的VP16特異的(D.M. Koelleら、1994、J. Virol. 68:2803〜2810)T細胞クローン1A.B.25との反応性によって示されるように、HSV-2表現型を有する。UL49(図2)およびUL50遺伝子産物(M.V. Williams、1987、Virology 156:282〜292;F. Wohlrab、1982、J. Virol. 43:935〜942)も同様に、HSV-2表現型を有する。したがって、IRV DX32に存在するHSV-2 DNAには、UL48、UL49、UL50が含まれ、介在するUL49.5が含まれる可能性が最も高い。TCC 4.2E1および2.3は、RS1 G31およびDX32と反応するが、RP2とは反応しないため(図1B)、UL49、UL49.5またはUL50の認識が最も可能性が高い。
【0089】
T細胞抗原を決定するための発現クローニング
HSV-2のBam HI w断片は、UL49、UL49.5およびUL50コード配列のほとんどを含むことから、これを発現クローニングのために選択した(A. CressおよびS.J. Triezenberg、1991、Gene 103:235〜238;G.D. ElliottおよびD.M. Meredith、1992、J. Gen. Virol. 73:723〜736;N. J. Maitlandら、1982、Infect. Immun. 38:834〜842)。ランダムコロニーの70〜90%がインサートを含み、全てがウイルス起源であった。それぞれのTCC(TCC 4.2E1に関してpUEX1、TCC 2.3に関してpUEX3)に関して最も活性なライブラリ(表1)を選択し、個々の反応性細菌クローンをプールおよび個々のコロニーの連続試験によって検出した(表2)。クローン1.1.3は、TCC 4.2E1による増殖を誘発する融合タンパク質をコードする。このクローンは、UL49の逆方向80 bp Sma I断片、β-ガラクトシダーゼに関して順方向およびインフレームでアミノ酸105位〜190位をコードすると予想されるHSV-2 UL49 DNAの262 bp Sma I断片、および262 bp SmaI断片-242 bp Sma I断片接合部でC残基1個の欠失のために順方向であるがフレームが一致しないUL49の246 bp Sma I断片を含む。クローン3.19は、UL50のアミノ酸118位〜312位の後に、逆方向にUL49の80および96 bp Sma I断片をコードする583 bp SmaI断片を含んだ。
【0090】
(表1)HSV-特異的TCCの増殖([3H]チミジン取り込みのcpm平均値)を誘発するタンパク質ライブラリの同定。自己EBV-LCL(クローン4.2E1および2.3)またはPBMCをAPCとして用いて、ライブラリに基づく融合タンパク質抗原を300倍希釈した。データは[3H]チミジン取り込みのcpmの平均値である。
Figure 2004537308
1 ライブラリ名は、発現ベクター、HSV-2制限断片または完全長のウイルスDNAの名称、およびウイルスDNAを消化するために用いた制限酵素(複数)を列挙する。
2 自己放射線照射(3300 rad)PBMC 105個および偽感染細胞溶解物またはUV処置HSV-2抗原のいずれか。
【0091】
T-細胞抗原の同定は、標的化サブクローニングおよび重なり合うペプチドによって確認した。アミノ酸105位〜190位をコードするHSV-2のUL49の262 bp Sma I断片をpUEX3にサブクローニングすると、プラスミド49.262.12を生じた。このタンパク質はTCC 4.2E1を刺激した(表2)。HSV-2のVP22のペプチド105位〜126位
Figure 2004537308
のみが刺激性であった(図3)。UL50 118-312および118-250をコードするDNA断片をpUEX3にサブクローニングした。これらの断片を発現する融合タンパク質は活性であった(表2)。
【0092】
(表2)HSV-2反応性TCCの抗原特異性。細菌由来組み換え型融合タンパク質抗原は900倍希釈で用いた。自己EBV-LCL(クローン4.2E1)またはPBMCをAPCとして用いた。データは、それぞれの場合について500 cpm未満であった培地と比較した[3H]チミジン取り込みのΔcpmである。
Figure 2004537308
1 配列データから順方向であって、β-ガラクトシダーゼとフレームが一致すると予想されるアミノ酸。
2 順方向であって、pUEX3とフレームが一致するUL49 DNAの262 bp Sma I断片のみを含む1.1.3の確認サブクローン。
3 順方向であって、pUEX3とフレームが一致するUL50の583 bp Sma I断片またはUL50 DNAの397 bp Sma I-Stu I断片を含む3.19の確認サブクローン。
【0093】
完全長のHSV-2 DNAライブラリからのランダムコロニーの評価は、80〜100%がインサートを有するプラスミドを含むこと、インサートの80〜100%がウイルス起源であることを示した。TCC ESL 4.9およびESL 2.20の双方に関してpUEXタンパク質ライブラリのみがリンパ球増殖を誘発した(表1)。ライブラリは、Bam HI w断片から生成されたライブラリより複雑であったため、細菌形質転換体2,000〜3,000個を組み合わせ法によってスクリーニングした。予備実験において、熱殺菌して洗浄した細菌は、プール(細菌クローン5〜12個)時のリンパ増殖アッセイ法および最終的なアッセイ段階におけるタンパク質の封入体調製物の代用となることが判明した。
【0094】
陽性細菌におけるプラスミドのシークエンシングから、TCC ESL 4.9がUL49遺伝子産物VP22のアミノ酸44個の断片(アミノ酸177位〜220位)を認識するが、TCC ESL 2.20はUL21のアミノ酸34個の断片(アミノ酸148位〜181位)を認識することが示された(表2)。いずれの場合も、HSV-2 DNAの単一のAlu I断片をインフレームで順方向に挿入した。ペプチドマッピングにより、アミノ酸187位〜206位(図3C)がTCC ESL4.9を刺激することが判明した。
【0095】
塊状病変浸潤T細胞のプローブとしての融合タンパク質
新たに発見されたT-細胞抗原を、病変浸潤T-細胞の塊状培養を調べるために用いるHSV抗原のパネルに加えた。最初に入手できた標本は、患者1のHSV-2の臀部再発部の5日目(ウイルス培養陽性)から得た生検(それぞれ2 mm)4個の組であった(D.M. Koelleら、1998、J. Clin. Invest. 101:1500〜09;D.M. Koelleら、1994、J. Virol. 68:2803〜2810)。生検は4個全てがVP22 105-190との反応性を示したが、β-ガラクトシダーゼ、糖タンパク質BもしくはD、またはVP16とは反応しなかった。TCCは、最初の塊状培養物をVP22 105-190融合タンパク質によって1サイクル再刺激した後に誘導された。VP22(105位〜190位)および構成ペプチドに対するTCC 1.L3D5.10.8の増殖反応(図3B)は、アミノ酸125位〜146位内に含まれるVP22における第三のT-細胞エピトープを報告する。
【0096】
HLA拘束
0.7マップ単位付近をコードする抗原を認識するTCCのHLA拘束を、詳しく決定した。VP22 105-126に対して特異的なTCC 4.2E1の増殖は、抗DPによって84%阻害されたが、抗DRまたは抗DQ mAbによる阻害は20%未満であった。TCC 4.2E1は、DPB1*2001/DPB1*0402ヘテロ接合ドナーに由来する。DPB1*2001を有する同種異系EBV-LCLは抗原を提示するが、DPB1*0402を有するEBV-LCLは提示せず(表3)、DPB1*2001による拘束が確立された。UL50に対して特異的なTCC 2.3の増殖は、抗DRによって阻害されたが抗DPまたは抗DQ mAbによって阻害されなかった。このクローンは、DRB1*0301/BRB1*0701ヘテロ接合ドナーに由来する。DRB1*0301ドナーからの同種異系PBMCは抗原を提示し、この対立遺伝子に対する抗原性ペプチドの結合と一致した。しかし、連鎖したDR遺伝子産物DRw52またはDRw53による提示を除外することができない。さらなるHLA拘束研究を表4に要約する。
【0097】
(表3)病変由来CD4 TCC 4.2E1および2.3の拘束HLA対立遺伝子の決定。抗原は、900倍希釈のβ-gal融合タンパク質であった(表2)。データは、それぞれの場合について500 cpm未満であった培地と比較した[3H]チミジン取り込みのΔcpmである。
Figure 2004537308
1 mAbによる阻害によって決定したHLAクラスII座でのHLAタイプ。
2 それぞれの場合について[3H]チミジン取り込みが500 cpm未満であった同じAPCによるpUEX2対照タンパク質(1000倍希釈)との比較。
【0098】
(表4)病変由来外皮特異的CD4 TCCの細胞障害活性と詳しい特異性とHLA拘束の概要。結果は、ESL4.34(10:1)を除き、エフェクター対標的比20:1での%特異的放出である。Auto=標的細胞としての自己EBV-LCL;allo=関連HLA座(既知であれば)がミスマッチである、またはHLA DRおよびDQがミスマッチである同種異系EBV-LCL。
Figure 2004537308
na=エピトープマッピングを行っていないためそして合成抗原ペプチドを合成していないために利用できない。
nd=行っていない。
1 選択したTCCに関するCTLアッセイ法において標的を負荷するために用いたペプチド(1 μM)を示す。
2 HLA拘束座および/または対立遺伝子の最大限の定義。被験者RHおよびKMは血清学的にタイピングした;他はDNAレベルでタイピングした。
3 被験者はHLA DRB1*0402およびDRB1*1301に関してヘテロ接合であり、拘束対立遺伝子は決定されていない。
4 被験者はHLA DRB1*0301およびDRB1*1102に関してヘテロ接合であり、拘束対立遺伝子は決定されていない。
【0099】
TCC BM.17のHLA拘束を詳細に調べた。TCC BM.17および類似のクローンSB.17の増殖は、抗DQによって90%阻害されたが、抗DRまたは抗DP mAbによる阻害は25%未満であった。ドナーBMおよびSBは、HLA DQB1*0201/0501に関してヘテロ接合である。ペプチドの高濃度では、DQB1*0201およびDQB1*0501ホモ接合EBV-LCLはいずれも、TCC BM.17に対して抗原を提示するように思われた。
【0100】
外皮特異的CD4 T細胞クローンのCTL活性
新たにそしてこれまで同定された特異性を有するCD4 TCCの細胞障害活性を、EBV-LCL標的細胞を用いて調べた(表4)。調べたクローンは全て、ペプチドを負荷した標的細胞に対して細胞溶解活性を示した。HSV-2に感染した標的細胞に対する細胞溶解活性は、より大きい変動を示した。VP22-特異的TCC 4.2E1は活性であったが、他のドナーからのVP22-特異的TCCは活性ではなかった。
【0101】
考察
HSV-特異的T-細胞は、再発性の性器HSV-2病変に選択的に浸潤する(D.M. Koelleら、1994、J. Infect. Dis. 169:956〜961)。CD4およびCD8媒介成分を有する局所CTL活性は、ウイルスの排泄に相関する(D.M. Koelleら、1998、J. Clin. Invest. 101:1500〜09)。局所HSV-特異的T細胞によって認識された抗原は多様であり、多くの場合不明である(D.M. Koelleら、1994、J. Virol. 68:2803〜2810)。本実施例は、外皮タンパク質VP22の認識を報告する。
【0102】
本明細書に記載の発現クローニング系は、HSVに関して良好に作用する。HSVゲノムではイントロンがまれであるため、ゲノム二本鎖DNAを直接用いることができる。同じHSV-2株であるHG52(A. Dolanら、1998、J. Virol. 72:2010〜2021)を用いて病変由来TCC候補をスクリーニングして、タンパク質ライブラリを作製した。ドナーのHSV-2株とHG52とのあいだの株の多様性が比較的低い程度(M.J. Novotnyら、1996、Virology、221:1〜13)であるために、インビボで認識されるエピトープ(複数)が脱落することはほとんどない;株の変動がより大きいウイルスに適用する場合、自己単離体を用いることによって利益が得られるであろう。
【0103】
特に、VP22との反応性は、ドナー2人からの病変浸潤TCCによる二つの独立した発現クローニング実験において検出された。VP22の反応性はまた、塊状病変浸潤リンパ球培養物の最初の利用可能な組のスクリーニングの際に検出された。患者3人からのさらなるクローン10個は、UL49、UL21、およびUL50の開示の断片に対して陰性であった。
【0104】
外皮抗原は、その量のために病変浸潤CD4 T-細胞の適した標的となる可能性がある。VP16およびVP22は大量に存在する:VP分子(Y. Zhang and J.L.C. McKnight、1993、J. Virol. 67:1482〜1492)はおよそ1.6×103分子、およびVP22(J. Leslieら、1996、Virology 220:60〜68)は2.5〜2.8×103個が、HSV-1におけるそれぞれのビリオンに組み入れられる。
【0105】
VP22とのC-末端融合体として発現されたポリペプチドは、細胞に同時輸送することができるため、VP22融合体としてのタンパク質の発現は、あるタイプのアジュバント調製物として重要となる可能性がある。これは、VP22におけるヘテロ接合エピトープの発現によって調べることができる。HSV-1のVP16およびVP22は、同時免疫沈殿によって示されるように、感染細胞において強く非共有結合的に会合する。これらのタンパク質は、細胞の核周囲領域に同時に存在する(G. Elliottら、1995、J. Virol. 69:7932〜7941;G.D. Elliottら、1992、J. Gen. Virol. 73:723〜736)。
【0106】
要約すると、発現クローニングによって、新規HSV T細胞抗原を発見することができた。病変において抗原特異的CD4 T-細胞がインサイチューで濃縮されると、抗原による二次的なインビトロ刺激によって抗原の能力範囲を公平に調べることができる。HSVゲノムの都合のよい特徴によって、ウイルスDNA全体のライブラリを直接用いることができる。外皮タンパク質は、ヒトにおいてHSVワクチンとして用いるために膜糖タンパク質と共に候補物質である。
【0107】
実施例 2 :完全長の U L 49 の有効性
本実施例は、完全長のUL49タンパク質がT細胞増殖を刺激するために有効であることを示す。データは、大腸菌およびCos-7細胞において発現された完全長のUL49の抗原性を証明している。これらの結果は、本明細書において先に記述した抗原が正確に同定されたことを確認する。
【0108】
原核細胞系においてHSV-2の完全長のUL49タンパク質を発現させるために、遺伝子の5'末端でプライマー
Figure 2004537308
および遺伝子の3'末端で
Figure 2004537308
を用いて、遺伝子をHSV 2型株HG52から調製したDNAからPCRによって遺伝子をクローニングした。PCR産物をBglIIおよびEcoRIによって消化して、TAクローニングベクターpcR2.1-Topo(インビトロジェン(Invitrogen))のBglIIおよびEcoRI部位にクローニングした。次に遺伝子をベクターpTrcHisB(インビトロジェン)にサブクローニングしてから、pGEX-2T(ファルマシア(Pharmacia))にサブクローニングした。HSV-2 UL49クローンの配列は、公表された配列(Dolan、1998)と比較して1コード変異を有し;アミノ酸244位がセリンからプロリンに変異していた。発現されたタンパク質の予想アミノ酸配列も同様に、最初のメチオニンを欠失している。UL49は、ベクターpGEX2Tに由来するN-末端融合ドメインを含む。このプラスミドをpGEX2T-UL49HSV2と呼ぶ。
【0109】
原核細胞によって発現されるHSV-2の完全長のUL49を作製するために、pGEX2TU-L49HSV2または対照の空のベクターを大腸菌株BL21に形質転換した。対数増殖期の細菌を、LB-アンピシリン培地においてOD600が0.4となるように調節した。いくつかの試験管にイソプロピルβ-D-チオガラクトピラノシド(IPTG)を0.3 mMに加えた。細菌を回転させながら37℃で1.5時間培養した。細菌を遠心によって回収して、1 mM EDTAを含むPBSにおいて3回洗浄し、65℃で10分間加熱してPBSによってさらに2回洗浄して、T-細胞培地において約1×109個/mlで再浮遊させた。熱殺菌細菌浮遊液を試験抗原として用いた。
【0110】
HSV-2の完全長のUL49タンパク質を真核細胞系において発現させるために、遺伝子を、校正機能を有する高忠実度DNAポリメラーゼを用いてポリメラーゼ連鎖反応によって個々に再増幅した。同じプライマーおよび鋳型を用いた。遺伝子を、pEGFP-C1(クロンテック(Clontech))のBgl IIおよびEcoRI部位に直接クローニングした。全UL49遺伝子をシークエンシングして、公表されたデータと合致させた。発現されたタンパク質の予想アミノ酸配列は、アミノ酸1位の最初のメチオニンが欠失していることを除いて、ウイルスUL49に関して予想された配列と同一である。ベクターpEGFP-C1に由来するN-末端融合ドメインも同様に発現されると予想される。このプラスミドをpEGFP-C1-UL49HSV2と呼ぶ。
【0111】
真核細胞によって発現されるHSV-2の完全長のUL49を作製するために、pEGFP-C1-UL49HSV2プラスミドDNAまたはpEGFP-C1ベクター対照DNAを、リポフェクションによってCos-7細胞にトランスフェクトした。48時間後、細胞を掻き取って超音波処理し、上清と沈降相とを調製した。9.4 cm2皿からの細胞を用いて上清300 μlを調製した。9.4 cm2皿からの沈降物を培地300 μlに再浮遊させた。上清と沈降物調製物を試験抗原として用いた。
【0112】
これらの試験抗原を、1ウェルあたり放射線照射自己末梢血単核球(PBMC)細胞を1×105個、およびUL49の病変由来CD4-保有T-細胞クローンESL 4.9を1×104個含むT-細胞培地200 μl中でアッセイウェル(96ウェル、U-底)に加えた(Koelleら、1994および1998)。アッセイは2つ組または3つ組で行った。3日後、3Hチミジン取り込みを実施例1に記述のように測定した。
【0113】
結果は刺激指数(試験抗原の3H取り込みcpmの平均値/培地対照の3Hチミジン取り込みcpmの平均値)およびΔcpm(試験抗原の3Hチミジン取り込みcpmの平均値−培地対照の3Hチミジン取り込みcpmの平均値)として表す。陽性および陰性抗原は、表記および実施例1に記述のように実施した。
【0114】
(表5)大腸菌BL21において原核細胞によって発現された完全長のHSV UL49の抗原性
Figure 2004537308
【0115】
(表6)Cos-7細胞において真核細胞によって発現された完全長のHSV-2 UL49の抗原性
Figure 2004537308
【0116】
これらの結果は、HSV-2タンパク質UL49が、完全長のタンパク質として発現された場合にその免疫原性を保持することを示している。UL49は、原核細胞系と真核細胞系の双方において調べた。
【0117】
実施例 3 :集団における抗原の発生率
本実施例は、集団におけるこれらの抗原に対する反応の発生率を証明することによって、本発明の抗原を予防的および治療的に用いる有用性を支持する。これを行うために、タイプ特異的血清学検査によってHSV-2感染であると報告された被験者7人を調査した。これらの個体は、指標となるT-細胞クローンがHSV-2病変から回収された個体とは異なった。
【0118】
それぞれの被験者に関して、PBMCを単離して、24ウェルプレートにおいてT-細胞培地2 ml中に2×106細胞/ウェルで播種して、UV不活化HSV-2株333の500倍希釈液によってインビトロで5日間刺激した。その時、40単位/ml組み換え型ヒトIL-2をさらに5〜6日間加えて、B1細胞株と呼ばれる短期間のHSV-特異的細胞株を生じた。
【0119】
個々のHSV-2タンパク質に対する反応性は以下のように評価した。増殖アッセイは96ウェル丸底マイクロタイタープレートにおいて設定して、それぞれの条件を3つ組で行った。それぞれのウェルに対して、放射線照射(3300 radγ線)自己PBMC 1×105個を抗原提示細胞として加えた。それぞれのウェルにB1細胞1×104個を加えた。以下の対照物質を加えた:培地、500倍希釈したUV処置偽ウイルス調製物、500倍希釈したUV処置HSV-2株333、糖タンパク質BもしくはD、またはHSV-2(精製)のVP16タンパク質を最終濃度1 mlあたり4 μg。UV処置HSV-2に対する反応は陽性であると予想され、細胞の生存率および全体的な特異性の陽性対照として作用した。糖タンパク質BおよびDならびにVp16は、HSV-特異的T-細胞の標的であることが既に示されている(D.M. Koelleら、1994、J. Virol. 68(5):2803〜2810)。
【0120】
新たに発見した抗原UL49に関して、真核細胞Cos-7系における完全長の遺伝子のクローニングおよびその発現は、空のベクターに基づく対照抗原の調製物と同様に上記の通りであった。トランスフェクトしたCos-7細胞の超音波処理後の上清および沈降物は、3つ組の増殖アッセイにおいて最終希釈倍数20倍で用いた。
【0121】
刺激指数(試験抗原の3Hチミジン取り込み平均cpm/関連対照抗原に関する3Hチミジン取り込み平均cpm)が、4.0より大きいかまたは4.0に等しい場合、陽性反応であるとした。UV HSV-2抗原に関して、関連する対照抗原はUV偽ウイルスであった。gB2、gD2、およびVP16に関して、対照は培地であった。Cos-7細胞において発現された新しい抗原に関して、対照抗原は、対照の空のベクターをトランスフェクトしたCos-7細胞の沈降物または上清のいずれかであった。結果を表7に示す。新しく発見された抗原のそれぞれに対する反応性を、試験被験者少なくとも1人において報告した。全体的に、UL49との反応性は、既知の抗原gB2およびgD2の場合より頻繁にそして同様に認めた。これらのデータは、T-細胞反応性が当初記述された指標となる被験者の他に、ヒト被験者がこれらの抗原性HSV-由来タンパク質と反応することができることの支持を提供する。
【0122】
(表7)無作為に選択したHSV-2感染免疫コンピテント成人7人の群における既知および新たに発見されたHSV-2抗原の抗原性
Figure 2004537308
【0123】
実施例 4 :再発性の性器 HSV-2 病変における HSV- 特異的 CD8 CTL の検出
本実施例は、特異的CD8 CTLが性器HSV-2病変に局在することを証明する。これは、インサイチューで抗原/APCに遭遇したが、読み取りアッセイを行う前にインビトロで抗原によって再刺激していない細胞を用いて、再発性の性器HSV-2病変に関する連続病変生検試験によって示される。
【0124】
ICP0の一部を含む陽性ゲノムクローンに由来するcDNA種を調べるために(結果)、COS-7細胞(100 mm2)にICP0ゲノムクローンをトランスフェクトして、総RNAを48時間後に調製した。cDNA種合成のために用いたプライマー
Figure 2004537308
は、ICP0ゲノムクローンにおいてHSV-2 DNAの3'末端に由来した。モロニーマウス白血病ウイルス逆転写酵素(ライフテクノロジーズ(Life Technologies))を製造元に従って用いた。スプライシングを調べるために、PCRはpfu cDNAポリメラーゼ、上記の3'-プライマー、および5'-プライマー
Figure 2004537308
(KpnI部位)を用いた。ICP0のエキソン1(Dolan, A.ら、1998、J. Virol. 72:2010)を単離するために、PCRは同じ5'-プライマーおよび3'-プライマー
Figure 2004537308
(XbaI部位)を用いた。反応条件は個々に最適にした。産物をAcc65IおよびXbaIによって消化して、ゲル精製し、類似のように処置したpCDNA 3.1-His-Bにライゲーションして、インフレームで挿入されていることをシークエンシングによって確認した。
【0125】
HSV-2の完全長のUL47は、5'プライマー
Figure 2004537308
および3'-プライマー
Figure 2004537308
(BamHIおよびXbaI部位を下線で示す)を用いてPCRによってpCDNA3.1/His-Cにクローニングした。HSV-2の完全長のUL46を、5'-プライマー
Figure 2004537308
および3'-プライマー
Figure 2004537308
(BamHIおよびXbaI部位を下線で示す)を用いてPCRによってpcDNA3.1/His-Cにクローニングした。同様に、UL47のアミノ酸1位〜590位を発現する構築物を、上記の5'-プライマー、適当な3'-プライマー、およびpCDNA3.1/His-Cを用いてPCRによって作製した。UL47のアミノ酸1位〜535位および536位〜696位の発現は、アミノ酸535位での天然に存在するNotI部位を用いて、完全長のUL47に由来する構築物によって促進した。HSV-2 DNAの5'-末端でインフレームのベクターHSV-2融合体を、それぞれの場合についてシークエンシングによって確認した。
【0126】
結果
【0127】
(表8)CD8クローンのCTL活性とHLA拘束、および発現クローニングの最初の結果
Figure 2004537308
1 データは、E:Tが20:1での51Cr放出アッセイにおける%特異的放出である。アクチノマイシンD実験に関して、野生型HSV-2を感染させた標的細胞を感染の0.5時間前からアッセイ期間中、5 μg/mlアクチノマイシンDの存在下でアッセイした。HLA拘束を評価するために、同種異系EBV-LCLは、HLA-AおよびBでミスマッチであったか、または表記のHLAクラスI対立遺伝子に限って指標となる被験者とマッチした。陽性HSV-2ゲノムクローンは、陽性pCDNA3.1/His A、B、またはCライブラリ;陽性ライブラリプレート;陽性ライブラリウェル;陽性最終ウェルを示すことによって記載する。5491.2000.48に関して、pEGFP-C1(クロンテック(Clontech))におけるHSV-2の完全長のUL49は陽性であった。抗原性HSV-2 DNA断片内のヌクレオチド番号および予想アミノ酸番号は、HSV-2株HG52ゲノム配列に関して報告されたとおりに示す(28)。
【0128】
CD8 T細胞による外皮HSV-2 Agsの認識
CD8クローン5101.1999.23は、HLA A*0201および102,943bp〜102,876bpからのHSV-2 Sau3aI断片を同時トランスフェクトしたCOS-7細胞を認識した(Dolan, Aら、1998、J. Virol. 72:2010)(表8)。予想融合タンパク質は、HSV-2 UL47のアミノ酸278位〜298位を含む。UL47との反応性は、A*0201および完全長のHSV-2 UL47の同時トランスフェクションによって確認した(表9)。
【0129】
(表9)CD8+クローンによって認識されたエピトープの確認および局在
Figure 2004537308
1 表記のCD8 CTLクローンは、表8に記載のHSV-2ゲノムクローンと反応性であった。COS-7細胞に、示すようにHLA cDNAおよびHSV-2 DNAまたはcDNAをトランスフェクトした。T細胞活性化は、2つ組のウェルの平均値として報告されるIFN-γ分泌によって検出した。二つのCTLクローンは、UL47と反応することが示される。クローン1874.1991.22によって認識されるエピトープは、UL47のアミノ酸535位〜590位に局在し、クローン1874.1997.51によって認識されるエピトープは、ICP0のアミノ酸26位〜105位に局在する。値は、ELISAによって測定した培地へのIFN-γ分泌の2つ組の平均値である。ORF、オープンリーディングフレーム。
【0130】
CD8 T細胞クローン1874.1991.22は、HLA A*0201および102,875bp〜101,383bpからのHSV-2 Sau3aI断片を同時トランスフェクトしたCOS-7細胞を認識した(表8)。この断片は、UL47アミノ酸300位〜696位をコードするDNA、介在DNA、およびUL46のアミノ酸1位〜71位を含むと予想された。C:2:C10:B9における5'ベクター-インサート接合部の分析から、最初のUL47 DNAの翻訳のフレームがずれていることが判明した。インサートは、UL46プロモーターを含むと予想される。したがって、エピトープは、UL46によってコードされうるであろう。C:2:C10:B9はまた、UL47内の翻訳の可能性がある内部開始部位を含む。UL46およびUL47は、COS-7同時トランスフェクションアッセイ法において個々にアッセイした(表9)。UL47は活性であったが、UL46は活性ではなかった。切断分析から、エピトープはアミノ酸535位〜590位に局在した(表9)。
【0131】
CD8クローン5491.2000.48の特異性は、部分的および完全長のHSV-2遺伝子のパネルについて決定した。調べたHSV-2遺伝子は、CD4 T細胞クローンによって認識されることが既に示された(2002年4月23日に公布された米国特許第6,375,952号を参照されたい)。HLA B*0702を同時トランスフェクトした場合、HSV-2 UL49のみがクローン5491.2000.48によるIFN-γ放出を刺激した(図5)。
【0132】
HSV-2遺伝子UL47は、タンパク質VP13/14をコードするが、UL49は、VP22をコードする;いずれの外皮タンパク質も、ビリオンが結合して流入すると細胞質に負荷される。クローン5101.1999.23によって認識される小さいゲノムHSV-2断片を、A*0201結合モチーフに適合するペプチドに関してスキャンした(http://134.2.96.221/およびhttp://bimas.dcrt.nih.gov/molbio/hla_bind/)。ペプチドUL47(HSV-2)289-298は、細胞溶解アッセイ法において50%有効濃度(EC50)が1〜10 nMの範囲であった(図6)。UL47 535-590(表9)も同様に分析した。ペプチド551-559は、1 nMで活性であった(図6)。HSV-2のUL49における可能性があるHLA B*0702結合ペプチドを合成したところ、二つ(アミノ酸47位〜55位および14位〜22位)が1 μMで活性であった。力価を測定したところ(図6)、UL49 49-55が非常に活性であり、EC50が<10 nMであるのに対し、UL49 14-22は、1 μMに限って活性を有した。UL47およびUL49における抗原性ペプチドは、対応する予想されるHSV-1ペプチドとは有意なアミノ酸配列の差を含み(Dolan, Aら、1998、J. Virol. 72:2010;McGeoch, D.J.ら、1998、J. Gen. Virol. 69:1531)、HSV-2のタイプ特異的認識を説明する(表8)。
【0133】
CD8 T細胞による前初期HSV-2タンパク質ICP0の認識
クローン1874.1997.51に関して、プラスミドプールに対する陽性反応がそれぞれのライブラリに存在した。それぞれのライブラリにおける活性プラスミドは、ヌクレオチド1858位〜3022位からのゲノムsau3AI断片を含んだ(Dolan, Aら、1998、J. Virol. 72:2010)。公表された配列においてTとして記載されているヌクレオチド2007位は、Cであると読み取られた。5'-非翻訳配列の445 bpの他に、ICP0の予想されるエキソン1、イントロン1、および予想されるエキソン2の最初の234 bpは全て存在し、予備的に抗原がICP0であると同定された。HSV-1 ICP0の選択的スプライシングがRNAおよびタンパク質レベルの双方で報告されていることから(Weber, P.C.ら、1999、Virology 253:288;Carter, K.L., B.Roizman、1996、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 93:12535)、ICP-ゲノムクローンがこの系においてどのようにスプライシングされるかを決定するために、AgをコードするmRNA種をCOS-7細胞において最初に同定した。COS-7細胞に、C:1:H3:B8ゲノムクローンをトランスフェクトして(表8)、cDNAを総細胞RNAから合成した後、スプライシングされた転写物を増幅するように設計されたPCRを行った。PCR産物の大きさ(〜300 bp)は、イントロン1からのスプライシングと一貫した。シークエンシングによって、成熟HSV-2 ICP0 mRNAに関して報告されたスプライス点とはわずかな差があることが示された。アミノ酸Q26をコードする三つの塩基対は欠失していた。Q26は、ペプチドの番号付けに関して保持された(下記)。抗原性ペプチドがエキソン1またはエキソン2内に存在するか否かを決定するために、特定のプライマーによってPCRを繰り返した。エキソン1-部分的エキソン2 cDNAはT細胞クローン1874.1997.51に対して刺激性であったが、エキソン1 cDNAは刺激性ではなく(表9)、エピトープはエキソン2のアミノ酸26位〜105位に局在した。反応性は、ICP0を発現する組み換え型ワクシニアウイルスを用いてCTLアッセイ法において確認した。E:Tが20:1で、ワクシニアICP0-感染標的細胞の溶解は、ワクシニア野生型に関する2.3%と比較して52.1%であった。
【0134】
報告された二つのHLA B45-拘束エピトープ、
Figure 2004537308
および
Figure 2004537308
は、P2とP9アンカー位置で陰性荷電および疎水性アミノ酸側鎖に対する選択性をB44スーパータイプと共有する。このモチーフを含むICP0(HSV-2)92-105は1 μMで活性であった。切断によってICP0(HSC-2)92-101を生じ、EC50は1 nM範囲であった(図6)。
【0135】
CD8 CTLクローンによる皮膚由来線維芽細胞とケラチン生成細胞の認識
病変内で、HSV-2は主にケラチン生成細胞に存在する。MOI(ウイルス量)、感染時期、およびIFN-γによる前処置が、皮膚線維芽細胞およびケラチン生成細胞の溶解にどのような影響を及ぼしたかを調べた。線維芽細胞(図7)に関して、IFN-γ前処置を行わない場合、2時間の感染によって検出可能な溶解を認め、これは、MOIの増加に伴って増加した。溶解はMOI 1、5、または25で一晩の感染後検出不能となった(E:Tが20:1で<5%特異的放出)。IFN-γの前処置によって、溶解は一般的に増加したが、2時間感染はなおも優勢であった。HLA-ミスマッチ標的細胞は、ペプチドを負荷しても溶解されなかった。
【0136】
ケラチン生成細胞は、標的細胞としての線維芽細胞と類似点もあれば相違点も示した(図7)。IFN-γ前処置は一般的に、対照細胞の溶解を引き起こすことなく認識を増加させた。線維芽細胞とは対照的に、18時間の感染が一般的に必要であった。2時間感染させた細胞の弱い細胞溶解は、IFN-γ前処置標的に限って認めた。MOI 1または5では特異的溶解を認めなかったため、この場合もクロムの放出は、加えた感染性ウイルスの量と直接相関した。
【0137】
CD8 CTLによるHSV-2外皮タンパク質エピトープによる認識のためのAgプロセシングのTAP依存性
調べた三つのCD8クローンのそれぞれに関して、HSV-2感染後のTAP-欠損細胞の溶解は、野生型EBV-LCLと比較して大きく減少した(表10)。エンベロープ糖タンパク質gDに対して特異的なmAbを用いるフローサイトメトリーによって評価したところ、対照野生型LCLのみならず、TAP-欠損細胞株のそれぞれの90%より多い株が、ウイルス感染およびタンパク質合成に関して許容された。ペプチドを負荷すると、TAP欠損細胞を感作することができ、HLAクラスI発現を確認した。
【0138】
(表10)CD8 T細胞への提示に関するHSV-2外皮のプロセシングのTAP依存性
Figure 2004537308
1 データは、E:Tが20:1での51Cr放出アッセイ法における%特異的放出である。最初の二つのクローンはHLA A*0201-拘束である。A*0201保有野生型EBV-LCL 1874の溶解は、ペプチド(クローン1874.1991.22に関してUL47 551-559;クローン5101.1999.23に関してUL47 551-559;1 μM、90分)の負荷後、またはHSV-2感染(MOI 10、18時間)後に検出された。対照的にペプチドの負荷は、TAP欠損細胞株を感作することができたがHSV-2感染は感作することができなかった。同様のデータは、B*0702自己EBV-LCL、5491、非B*0702 EBV-LCL、1874、およびTAP欠損HLA B*0702含有トランスフェクタントT2/B7.63を用いて、第三のクローン、HLA B*0702-拘束、UL49特異的CTLクローンおよびペプチドUL49 49-57に関して示された。さらなる対照として、B*0702を発現しないT2細胞は、ペプチドの負荷後溶解されなかった。
【0139】
考察
HSV-2は、特に新生児において相当な罹患状態および死亡率を引き起こす。感染の慢性的特徴、抗ウイルス治療の限界、および無症候性のウイルス散布によって伝幡が引き起こされる頻度のために、新しいHSV-2感染を減少させるにはワクチン接種が必要である可能性がある。特定のアジュバントとエンベロープ糖タンパク質によるワクチン接種がHSV-1/HSV-2血清陰性の女性において部分的保護を誘導したという最近の報告は、ワクチン接種が有効である可能性と、改善された調製物および有効な免疫マーカーがいずれも必要であることを強調する。
【0140】
ヒトHSV-2特異的CD8 CTLの特異性に関してはほとんどわかっていない。公表された二つのエピトープは、糖タンパク質BおよびD内のタイプ共通のペプチドである。非クローンレベルで、PBMCの再刺激、薬物ブロック、およびワクシニア組み換え体を用いる実験から、HSV-1、ICP4、ICP27、ICP0、全ての前初期タンパク質、HSV-1初期タンパク質ICP6、およびおそらく他の真の初期タンパク質が、ヒトCTLの標的となる可能性があることが示されている。HSV-1初期タンパク質チミジンキナーゼ(tk)は、tk-トランスフェクト自己細胞を処置した被験者のPBMCからのCD8クローンによって認識されるが、これは一次免疫応答である可能性がある。黒色腫関連タンパク質(Melan A/MART-1)に対して特異的なPBMC由来CD8 T細胞クローンも同様にHSV-1糖タンパク質Cからのペプチドと反応した。
【0141】
UL49は、ウイルス複製にとって必要な外皮であるVP22をコードする。UL49タンパク質はまた、ビリオンにおいて豊富であり、ウイルスの流入によって細胞質に輸送される。外皮特異的CD8 CTLによるEBV-LCLの溶解は、遺伝子転写の遮断または複製インコンピテントウイルスの感染によって阻害されず、予め形成されたビリオン投入タンパク質のプロセシングおよび提示と一致した。
【0142】
TAP非依存的プロセシングは他のウイルス系において報告されている。外皮タンパク質における三つの異なるエピトープを調べたが、HSVエピトープのTAP-非依存的Agプロセシングに関する証拠は認められなかった。CD8反応は、少なくとも今日まで調べた症例において「回避することを避ける」ように思われるが、Agプロセシングに関してはTAPに依存し続ける。
【0143】
クローンCD8反応に関するほとんどの研究が、標的細胞としてEBV-LCLを用いている。これらの細胞はHSV-媒介クラスIダウンレギュレーションに対して比較的抵抗性である。皮膚線維芽細胞の場合、外皮タンパク質特異的CTLによる溶解に関する標的細胞感作にとって、短時間(2時間)の感染が適当であることが判明した。UL47およびUL49外皮タンパク質は、「遅い」速度論によって感作され、典型的にウイルス感染の6時間またはそれ以上後に始まるため、これらのデータも同様に、線維芽細胞において予め形成されたAgの認識と一致する。溶解はMOI依存的であった。HSV調製物は典型的に多数の欠損粒子を含むことから、外皮タンパク質も非感染性粒子によって線維芽細胞に輸送された可能性がある。感染18時間後、線維芽細胞はMOIにかかわらず溶解されず、微細な特異性が未知のCD8 CTLクローンによるこれまでの結果と類似であった。IFN-γ前処置は18時間感染細胞の溶解を部分的に回復することができた。線維芽細胞とは対照的に、感染18時間後のケラチン形成細胞の認識は、感染2時間後の認識より優れていた。線維芽細胞とケラチン形成細胞とに差がある理由は不明である。IFN-γ前処置は2時間感染細胞の何らかの溶解を回復することができ、18時間感染細胞の認識をさらに改善した。
【0144】
外皮タンパク質は、これまでHSV-特異的CD8 T細胞反応の標的として記述されていない。HSV-1 UL47に対するCD4の反応は、HSV-媒介急性網膜壊死において検出されている。UL49に対するCD4反応は、病変浸潤HSV-2特異的クローンにおいて一般的に検出されている。UL49に対する反応はまた、病原性Th1-様T細胞によって促進される可能性がある疾患である、ヒトのヘルペス間質角膜炎の角膜にも認められるため、このタンパク質をワクチンとして用いる場合には、注意しなければならない。全体的に、UL49は、ヘルペス病変から回収されたCD4とCD8 T細胞クローンの双方によって認識される唯一の既知のHSV-2タンパク質である。独自の細胞内輸送経路によって、可溶性のUL49タンパク質を、同様に抗原プロセシング経路と関係しうる多様な上皮細胞タイプに非常に効率的に取り込ませることができる。
【0145】
要約すると、遺伝子UL47およびUL49によってコードされる外皮タンパク質(それぞれ、VP13/14およびVP22)ならびにICP0に対する病変浸潤HSV-2タイプ特異的CD8 T細胞クローンの反応性を初めて記述する。データは、HSVに対するCD8反応に及ぼすICP47および/またはvhsの調節作用と一貫する。UL47およびUL49特異的CD8クローンによる認識にはTAP機能が必要であるが、ウイルス遺伝子転写は必要ではなく、予め形成されたビリオン投入タンパク質のプロセシングと一致する。外皮特異的CD8クローンは、皮膚由来線維芽細胞およびケラチン形成細胞を認識することができた。反応はまた、さらなる被験者のPBMCにおいて検出可能であった。
【0146】
実施例 5 CD8+ T 細胞による HSV-2 15 量体ペプチドのスクリーニング
HSV-2血清陽性ドナーを得た(AD104、AD116、AD120、D477、HV5101、JH6376、EB5491、TM10062)。ドナーHV5101およびEB5491は、頻繁な肛門性器病変の再発を経験している。ドナーJH6376およびTM10062は、肛門性器病変の再発はほとんどまたは全くない。説明に基づく同意を得た後に、それぞれのドナーから白血球除去PBMCを得た。ドナーのPBMCを、低解像DNAタイピング法によってHLA-タイピングした。以下のHSV-2ポリペプチドに及ぶ合成ペプチド(長さがアミノ酸15個で配列がアミノ酸11個重なり合う)を合成した:UL47(アミノ酸1位〜696位)、UL49(アミノ酸1位〜300位)、ICP27(アミノ酸1位〜512位)。ペプチド(それぞれ5 mg)を凍結乾燥物としてガラスバイアルに入れて、DMSOにおいて10 mg/mlの濃度で溶解して、滅菌凍結用バイアルに移し、-20℃で保存した。ペプチドは、接着マクロファージ枯渇PBMCから精製したCD8+ T細胞によってスクリーニングした。CD8+ T細胞は、市販のMACSビードキット(ミルテニ(Miltenyi))を用いて、非CD8+細胞の枯渇によって精製した。このようにして精製されたCD8+ T細胞は、フローサイトメトリー(FACS)によって測定すると一般的に>95%CD8+CD3+CD4-であった。ペプチドは、抗ヒトIFN-γ抗体1D1K(mAb Tech)を予めコーティングした96ウェルELISPOTプレートにおいて、CD8+ T細胞(2×105個/ウェル)、自己樹状細胞(1×104個/ウェル)、およびペプチド(それぞれ10 μg/ml)との24時間同時培養によってスクリーニングした。ペプチドは、>/=10ペプチドのプールとしてまずスクリーニングした。ELISPOTプレートは、標準的なプロトコールに従ってその後展開した。ウェルあたりのスポット数を、自動ビデオ顕微鏡ELISPOTリーダーを用いて計数した。陽性であると採点されたプールのペプチドを、次に第二のELISPOTアッセイ法において個々に調べた。AD116に関して、新規ペプチドUL49/21-35(#6)およびUL49/193-208(#49)は、プールしても個別でも陽性であると採点された。AD116はまた、15量体ペプチドUL49/45-59(#12)およびUL49/49-63(#13)に含まれるこれまでに記述されたB*0702拘束エピトープUL49/49-57を認識した。D477、HV5101、およびKH6376 T細胞は、15量体#73/#74および#137/#138に含まれる既に記述されたHLA-A*0201-拘束エピトープUL47/289-297およびUL47/550-559をそれぞれ認識した。EB5491 T細胞は、15量体ペプチドUL49/45-59(#12)およびUL49/49-63(#13)に含まれる既に記述されたB*0702-拘束エピトープUL49/49-57エピトープを認識した。D477は、ペプチドプールUL49(#11〜20)に関して陽性であると採点された。TM10062は、UL47またはUL49の如何なる抗原プールに対しても陽性ではなかった。
【0147】
ドナーの HLA
Figure 2004537308
【0148】
CD8+ T 細胞ペプチドスクリーニングのヒット
Figure 2004537308
【0149】
図8は、AD116の結果を示す。図9は、EB5491、TM10062およびHV5101の結果を示す。「1」で示されるペプチドのヒットは、B*0702拘束のUL49アミノ酸49位〜57位を表す。図10は、AD104、AD116、AD120およびD477の結果を示す。「1」で示されるペプチドヒットは、ペプチド#54を表す。「2」で示されるペプチドヒットはペプチド#49を表す。「3」で示されるペプチドヒットは、B*0702拘束のUL49アミノ酸49-57を表す。「4」で示されるペプチドヒットは、ペプチド#6を表す。
【0150】
実施例 6 :子宮頚部リンパ球における HSV-2 特異的 T 細胞反応の検出
粘膜免疫応答をPBMCから分離して、HSV特異的CTLがマウス粘膜に局在することは、膣接種に対する保護に関連する。本実施例は、CD8+細胞を含むHSV特異的T細胞が子宮頚部リンパ球において検出されうることを証明する。
【0151】
代表的な子宮頚部細胞診標本からの細胞を、活動期性器HSV-2発症の際に回収して、PHA/IL-2によってバルクで増殖させ、その後HSV特異的増殖反応および細胞障害反応に関して分析した。増殖および細胞障害アッセイ法は、皮膚由来リンパ球について先に記述したように、自己由来PBMCまたはLCLをAPCとして用いた。抗HLAクラスI mAb W6/32または抗HLA DR mAb L243を記述のように用いた(Koelle, DMら、J. Virol. 1994、68:2803〜10;Koelle, DMら、J. Infect. Dis. 1994、169:956〜61)。抗原特異的増殖反応および細胞障害性反応が存在した。分画およびmAb阻害試験から、CD8 CTLが細胞障害反応に関与することが示される。
【0152】
実施例 7 :原発性性器 HSV-2 病変における HSV 特異的 T 細胞反応の検出
本実施例において、原発性性器HSV-2感染症に一致した症状を呈する患者から生検標本を採取した。採取した細胞の表現型を決定し、標本からのLILおよびPBMCに増殖および細胞障害アッセイを行った。結果は、原発性性器HSV-2病変に存在するCTLのHSV特異的増殖および細胞障害反応が、再発性疾患の際に検出される反応に典型的であることを示している。
【0153】
CW7477は、最後の性的接触の3日後に排尿障害、発熱、臀部および下腹部病変を発症した。病変は13日間持続し、HSV-2が増殖した。アシクロビル治療を症状発症の4日目に開始した。生検を4日目および7日目に行った。血清状態は、タイプ特異的HSV-2イムノブロットの増強化学発光変法(ECL;Dalessio, J.およびAshley, R.、J. Clin. Microbiol. 1992、30(4):1005〜7)によれば、4日目では異型的陽性(イムノブロット上に数本のバンドが存在するのみ)であり、26日目ではこれより多いバンドを認めたが、ほとんどの回復期血清より少なかった。臨床および検査データは原発性性器HSV-2感染症と一致した。生検標本を症状発症の4日目と7日目に得て、バルクLILを上記のようにPHA/IL-2によって増殖させた。
【0154】
増殖した細胞の表現型はCD4とCD8細胞に分かれ、LILではCD3+/CD16,56+細胞が15〜25%、およびTCR γδ+細胞が5〜10%であった。比較すると、正常な皮膚からの細胞は、ほぼ全くCD16,56(+)事象を含まず、TCRγδ細胞を含まなかった。CD3+/CD16,56+細胞の特性は不明であるが、これらは増殖LILにおいてしばしば認められる。抗体カクテルは、αCD16-PEおよびαCD56-PEの組み合わせを有する。
【0155】
HSV特異的増殖および細胞障害反応は再発性疾患時に検出されたかなり典型的な反応であった(Koelle, DMら、J. Clin. Invest. 1998、101:1500〜1508)。HSV糖タンパク質に対する抗原特異的反応と同様に、HSV-1とHSV-2に対する交差反応が存在した。正常な皮膚の反応は低く、PBMC反応は15日までに発達した。
【0156】
実施例 8 HSV- 特異的 CD8 CTL によって認識される ICP0 抗原の同定
本実施例は、発現クローニングによるICP0の抗原性を証明する。特に、ICP0のアミノ酸92位〜101位内のエピトープを同定する。さらに、ICP0の抗原性をワクシニアを用いて確認する。アミノ酸の番号は、Dolanら、J. Virol. 1998、72:2010〜21の命名および番号を用いる。本明細書に記載の方法は、2002年7月2日に公表された米国特許第6,413,518号に記載されている。
【0157】
結果
HSV-特異的CD8クローンは全て、IFN-γを特異的に放出した。さらに、HLA拘束の確認試験としてインターフェロンγアッセイ法の有用性を調べた。クローンRW51は、HLA B*4501をトランスフェクトしたCos-7細胞に曝露するとインターフェロンγを特異的に放出したが、A*0201をトランスフェクトしても、HSV-2を感染させたCos-7細胞に曝露してもインターフェロンγを放出しなかった。
【0158】
(表12)ELISAによってpg/mlで測定した様々なDNA(または1 μMをローディングしたペプチド)をトランスフェクトしたCos-7細胞に反応したCD8 TCC RW51のインターフェロン-γの分泌。Cos-7細胞7×103個に対するTCC 5×104個の反応を24時間でチェックした。
Figure 2004537308
【0159】
ペプチドを効率よく選択するために、HLA B45結合モチーフをB45拘束ペプチドおよびB*4501から溶出したペプチドのプール配列から誘導した。モチーフは、2位でグルタミン酸、10位で疎水性(「結合」命名法におけるP1およびP9(Rammansee H-G、Current Opinion in Immunology 1995、7:85〜96))である。ペプチドICP0 92-105
Figure 2004537308
は、CTL(図14)およびインターフェロン-γ(表12)アッセイ法において活性であった。他の候補エキソン2ペプチドは活性ではなかった。EC50値が高い(〜1 μM)のは、ペプチド結合溝の外側に存在すると予想されるカルボキシ末端による可能性があり、HLA B*4501に対する結合を減少させる。B. Rouse(Manickan E.ら、J. Virol. 1995、69:4711〜16)からのワクシニア-ICP0を増殖させて、力価を測定した(Koelle DMら、J. Virol. 1994、68:2803〜10)。クローンRW51は、vac-ICP0標的を特異的に溶解した(図12)。ワクシニアの利用率は不規則であるが、発現クローニングの結果を確認するために必要ではなかった。
【0160】
エピトープの範囲を狭めるために、ICP0のアミノ酸92位〜101位を含むペプチド
Figure 2004537308
を合成した。このペプチドのIC50は1〜10 nMの範囲である(図13)。
【0161】
HSV-2感染患者が、自身の末梢血中を循環する新しく発見されたT-細胞抗原と反応するT細胞を有することを確認するために、病変由来クローンRW51を回収した患者から末梢血単核球(PBMC)を採取してペプチド刺激した。PBMCを、1.0 μg/mlペプチドHSV-2 ICP0 92-101を含むT細胞培地2 ml中に1.88 cm2のウェルあたり2×106細胞で3日間培養した。4日目に、IL-2(32単位/ml)を加えた。8日目に、細胞を洗浄して、さらに放射線照射(3300 radγ線照射)自己PBMC 2×106個、1.0 μg/mlの同じペプチド、およびIL-2(32 U/ml)と共に、同じ大きさのウェルにおいて再刺激した。
【0162】
反応体をIL-2の存在下でさらに9日間培養して、必要に応じて数を増やした。無処置、ペプチドHSV-2 ICP0 92-101を1 μg/mlで18時間処置を行った、またはHSV-2株333をMOI 10で18時間感染させた、自己またはHLAクラスIミスマッチLCLを用いて細胞障害アッセイを行った。細胞障害アッセイ法は標準的な4時間の51Cr放出アッセイ法であった。
【0163】
結果(図14)は、PBMCをペプチドHSV-2 ICP0 92-101によって刺激すると、HSV-2感染細胞に対して細胞障害性を有する細胞を刺激することができること、そしてこの活性がHLAクラスIミスマッチ細胞に対しては存在しなかったことを示している。比較のため、指標となるT-細胞クローンRW51も同様に、このアッセイ法においてエフェクター細胞として用いたところ、図14に示すようにエフェクター対標的比10:1で、わずかに高いものの同等の細胞障害性を示した。
【0164】
実施例 9 HSV- 特異的 CTL によって認識されるさらなる ICP0 抗原の同定
本実施例は、異なるヒト被験者からCD8+ T細胞の異なる集団を用いることによって、病変由来T細胞によるアミノ酸743位〜751位の特異的認識を証明する。認識事象は、ヒト集団において比較的一般的(約10%)であるHLA対立遺伝子B*0702を必要とする。さらに、ICP0のアミノ酸288位〜307位は、病変由来T細胞によって特異的に認識されることが判明している。
【0165】
実施例 10 :さらなる HLA-B45 被験者における CTL 反応の ICP0 刺激
本実施例は、他のHLA-B45陽性ドナーが、既に定義されたICP0 92-101ペプチドに対して検出可能なCD8+ T細胞反応を有することを証明する。
【0166】
バルクの形態でのペプチドの再刺激は、CTLの感度のよい検出にとって適当であるが、病変由来抗原(LDA)の形態ではCTLレベルを生じるものの、検出のためにより長い細胞複製を必要とする。本実施例において、T細胞培地2 ml中でPBMC 4×106個を1 μg/ml HSV-2ペプチドによって再刺激して、IL-2(10〜30 U/ml)を3日目に加えた。8日目に反応体を洗浄して、放射線照射自己PBMC 2×106個、新鮮なペプチド、およびIL-2と共に2 ml中で再刺激して、14〜16日のアッセイまで必要に応じて分割した。指標となる被験者を含むHLA B*4501保有者2人について、ペプチド負荷標的を溶解したのみならず、HSV-2感染標的も殺し、抗クラスI mAbによって阻害された、納得できるHLAクラス拘束CD8 CTLを検出した(表13)。
【0167】
(表13)ペプチドHSV-2 ICP0 92-101または(+)対照クローンRW.1997.51によって刺激したPBMCによるHLA B*4501 LCLの溶解。結果は、エフェクター対標的比が10:1〜20:1での4時間のCTLアッセイ法における%特異的放出である。
Figure 2004537308
1 1 μg/mlICP0 92-101を90分間負荷した、またはMOI 5で18時間HSV-2に感染させた標的LCL(RW=B*4501、HV=非B*4501)。
2 抗HLAクラスI mAb W6/32を10 μg/mlで含んだ。
【0168】
実施例 11 :外皮タンパク質 U L 48 VP16 )におけるさらなる T 細胞エピトープの定義
全てHSV-2型特異的であるVP16内の三つのエピトープが既に同定されており(K.R. Jeromeら、1998、J. Virol. 72:436〜441)、患者7人中4人(57%)からの性器HSV-2病変浸潤リンパ球の塊状培養において完全長のVP16に対する増殖反応を検出した(D.M. Koelleら、1998、J. Clin. Invest. 101:1500〜09)。二つの戦略によって、VP16内にさらなるペプチドエピトープを求めた。第一の戦略は、HSV-2の組み換え型VP16との反応性に関して病変小胞液から回収したクローンのパネルをスクリーニングした後、ペプチドによるエピトープマッピングを行うことを含んだ。アミノ酸185位〜197位、および重なり合う対209位〜221位および213位〜225位を含むペプチドはそれぞれ、TCC RH.13およびKM.7に対して刺激性であった。調べた他のVP16ペプチドは全て陰性であった(<500 cpm)。第二の戦略は、開始材料としてPBMCを用いること、および組み換え型バキュロウイルス由来VP16による第二のインビトロ刺激を含んだ。2人からのクローン(BM.17およびSB.17)は、同じペプチド(アミノ酸437位〜449位)を認識するのみならず、β-gal-VP16融合タンパク質および全ウイルスを認識する。新たに定義されたVP16ペプチドは三つ全て、タイプが共通であり、配列データから予想されるように、HSV-1およびHSV-2全ウイルス調製物によって共有された(A. Cress and S.J. Triezenberg、1991、Gene 103:235〜238)。
【0169】
(表14)病変およびPBMC由来CD4 TCCによって認識されるHSV-2のUL48(VP16)内のエピトープ。データは、それぞれの場合について500 cpm未満であった培地と比較したΔcpm[3H]チミジン取り込みである。
Figure 2004537308
1 VP16-492(バキュロウイルス由来)は、1 μg/mlで用いた。β-gal-VP16 180-492は、1000倍希釈で用いた。
2 ペプチドは1 μMで用いた。
na=入手できない
nd=行っていない。
【0170】
(表15)微細な特異性およびHLA拘束の概要と共に病変由来外皮特異的CD4 TCCの細胞溶解活性。結果は、ESL4.34(10:1)を除き、エフェクター対標的比20:1での%特異的放出である。Auto=標的細胞としての自己EBV-LCL;allo=関連するHLA座(既知であれば)でミスマッチである、またはHLA DRおよびDQでミスマッチである同種異系EBV-LCL。
Figure 2004537308
na=エピトープマッピングを行っていないため、および合成抗原性ペプチドを作製していなかったため利用できない。
nd=行っていない。
1 選択されたTCCに関するCTLアッセイ法において標的を負荷するために用いられるペプチド(1 μM)を意味する.
2 HLA拘束座および/または対立遺伝子の定義の最大程度。被験者RHおよびKMは血清学的にタイピングし、他はDNAレベルでタイピングした。
【0171】
TCC BM.17のHLA拘束を詳細に調べた。TCC BM.17および類似のクローンSB.17の増殖は抗DQによって90%阻害されたが、抗DRまたは抗DP mAbによる阻害は25%未満であった。ドナーBMおよびSBは、HLA DQ*0201/0501に関してヘテロ接合である。高濃度のペプチドにおいて、DQB1*0201およびDQB1*0501ホモ接合EBV-LCLはいずれもTCC BM.17に対して抗原を提示するように思われた。しかし、DQB1*0501ホモ接合細胞は、DQB1*0201ホモ接合細胞よりかなり効率よくペプチドを提示した(図19)。このように、VP16 431-449における異なるが重なり合う三つのエピトープは、HLA DQB1*0302、DQB1*0201、およびDQB1*0501によって提示される。
【0172】
外皮特異的CD4 T細胞クローンのCTL活性
新たにおよびこれまでに同定された特異性を有するCD4 TCCの細胞障害活性を、EBV-LCL標的細胞を用いて調べた。クローンは全て、ペプチドを負荷した標的細胞に対して細胞溶解活性を示した。HSV-2を感染させた標的細胞に対する細胞溶解活性は何らかの変動を示した。調べたVP16-特異的T-細胞クローン7個中、6個がHSV-2感染標的細胞に対して10%より大きい細胞障害性を示した。
【0173】
UL48(VP16)のアミノ酸288位〜307位に含まれるさらなるエピトープ
Figure 2004537308
は、CD4+ T細胞クローンと反応性を有することが証明された。このエピトープは、ほとんどのヒト集団においてかなり頻繁に認められるHLAクラスII分子DRBI*1501に関連して認識する。
【0174】
当業者は、先述の説明に開示した概念および特定の態様を、本発明の同じ目的を行うために他の態様を改変または設計するための基礎として容易に利用してもよいと認識するであろう。当業者はまた、そのような同等の態様も、添付の請求の範囲に記載するように本発明の趣旨および範囲に含まれることを認識するであろう。
【図面の簡単な説明】
【0175】
【図1A】0.67〜0.73マップ単位の領域におけるHSVゲノムの構築を示す略図である。境界はおおよそである。HSV-1×HSV-2タイプ間組み換え型ウイルス(IRV)も示す。HSV-2 DNAは実線で示す;HSV-1 DNAは破線で示し、未決定領域は多重線で示す。発現クローニングのために用いたHSV-2 Bam H1w断片も同様に示す。
【図1B】表記のIRVに対するT-細胞クローン(TCC)の増殖反応を示す棒グラフである。データは、それぞれの場合において500 cpm未満であった培地単独と比較したΔCPM[3H]チミジン取り込みである。
【図2】IRV DX32のUL49遺伝子産物(VP22)のHSVウイルス表現型の決定を示すイムノブロットである。偽感染細胞、およびウイルス株DX32、HSV-1、またはHSV-2に感染させた細胞の溶解物をSDS-PAGEによって分離してブロッティングし、VP22-特異的mAbによってプロービングした。マーカータンパク質の分子量(kD)を右に示す。
【図3A】TCC 4.2E1を用いて、HSV-2のVP22において様々なペプチドエピトープによって誘発されたT-細胞増殖を示す棒グラフである。抗原提示細胞(APC)は、自己EBV-LCLであった。抗原にはβ-ガラクトシダーゼが含まれ、融合タンパク質は10 μg/mlで用い、ペプチドは3 μMで用いた。データは、それぞれの場合において500 cpm未満であった培地単独と比較したΔcpm[3H]チミジン取り込みである。
【図3B】TCC 1.L3D5.10.8を用いて、HSV-2のVP22において様々なペプチドエピトープによって誘発されたT-細胞増殖を示す棒グラフである。APCは自己PBMCであった。抗原にはβ-ガラクトシダーゼが含まれ、融合タンパク質は10 μg/mlで用い、ペプチドは1μMで用いた。データは、それぞれの場合において500 cpm未満であった培地単独と比較したΔcpm[3H]チミジン取り込みである。
【図3C】TCC ESL4.9を用いて、HSV-2のVP22において様々なペプチドエピトープによって誘発されたT-細胞増殖を示す棒グラフである。APCは自己PBMCであった。抗原にはβ-ガラクトシダーゼが含まれ、融合タンパク質は10 μg/mlで用い、ペプチドは1μMで用いた。データは、それぞれの場合において500 cpm未満であった培地単独と比較したΔcpm[3H]チミジン取り込みである。
【図4】HLAクラスI重鎖cDNAをトランスフェクトしたおよびHSV-2株333を感染させたCOS-7細胞に反応した病変誘導CD8+ T細胞クローンによるIFN-γの分泌を示す。値は、ELISAによって測定した培地中へのIFN-γ分泌の2つ組の平均値である。
【図5】HLA B*0702 cDNAと表記のHSV-2 DNA断片とを同時トランスフェクトしたCOS-7細胞に反応した病変由来CD8+ T細胞クローン5491.2000.48によるIFN-γの分泌を示す。HSV-2は、表記のアミノ酸をコードする二つの断片において調べたUL47を除き全て完全長である。値は、ELISAによって測定した培地中へのIFN-γ分泌の1試料あたり2本ずつの平均値である。
【図6】表記の濃度のHSV-2ペプチドをローディングした自己LCLの病変由来CD8クローンによる溶解を示す。データは、E:Tが20:1での%特異的51Cr放出である。黒丸:UL47 551-559をローディングした標的のクローン5101.1999.23による溶解;白丸、クローン1874.1991.22およびUL47 289-298;黒三角、クローン1874.1997.51およびICP0 92-101;白三角、クローン5491.2000.48およびUL49 49-57。偽ローディング標的の溶解は、それぞれのクローンに関して特異的放出の<5%であった。
【図7】皮膚細胞に対するCD8 CTLクローンの細胞溶解活性を示す。上段、UL49-特異的クローン5491.2000.48、被験者SJからのHLA B*0702発現線維芽細胞、およびペプチドUL49アミノ酸49位〜47位。中央、UL 47特異的クローン1874.1991.22、被験者1874からのHLA A*0201保有線維芽細胞、およびペプチドUL47アミノ酸551位〜559位。左、アッセイ前に表記のMOIで2時間感染させた非IFN-γ-処置線維芽細胞の溶解;右、500 U/ml IFN-γによって3日間前処置してから感染させたかまたはペプチドを処置した線維芽細胞。それぞれの場合において、HLAミスマッチ標的線維芽細胞はE:Tが2:1、6:1、および20:1で特異的放出が<5%であった。下段、HLA A*0201保有ケラチン生成細胞を標的細胞として用いる。左、UL 47-特異的クローン5101.1999.23およびペプチドUL47アミノ酸289位〜298位;右、UL 47特異的クローン1874.1991.22およびペプチドUL47アミノ酸551位〜559位。HLA A*0201保有ケラチン生成細胞を偽処置または500 U/ml IFN-γによって処置してから、HSV-2をMOI 25で2時間もしくは18時間感染させるか、またはペプチドを90分間ローディングした。
【図8】実施例5において用いたドナーのHLA型を示す。
【図9】CD8+ T細胞ペプチドスクリーニングのヒットを示す。
【図10】ドナーAD116のペプチドスクリーニングの結果を示す。
【図11】ドナーEB5491、TM10062、およびHV5101のペプチドスクリーニングの結果を示す。
【図12】ドナーAD104、AD116、AD120、およびD477のペプチドスクリーニングの結果を示す。
【図13】ICP0遺伝子の一部を含む、HSV-2 DNAのSau3A Iライブラリーから単離した陽性ゲノムクローンの概略図である(第二の線)。ゲノムクローンを細胞にトランスフェクトして、プライマーAをcDNA合成に用いた。エキソン-1/エキソン2 C-A(第五の線)、およびHLA B45 cDNAsは、Cos-7細胞にトランスフェクトした後、T細胞クローン(TCC)RW51からのインターフェロンγ分泌を刺激した。エキソン-1 B-C cDNA(第4の線)は陰性であった。
【図14】ワクシニアICP0および合成ICP0 92〜105の表示の濃度に対するRW51のCTL活性を示す棒グラフである。エフェクター:標的比10:1の4時間の51Cr放出アッセイ法。自然放出は全て<20%であった。
【図15】表示の濃度の合成ICP0 92〜101に対するRW51のCTL活性を示すグラフである。エフェクター:標的比10:1の4時間の51Cr放出アッセイ法。自然放出は全て<20%であった。
【図16】末梢血に由来し、HSV-2 ICP0アミノ酸92〜101位のペプチドで刺激した被験者RWのリンパ球のCTL活性を示すグラフである。エフェクター:標的比10:1の4時間の51Cr放出アッセイ法。自然放出は全て<20%であった。棒グラフのそれぞれの対に関して、上の棒グラフは、病変由来CD8クローンからのデータを表し、下の棒グラフはペプチドで刺激したPBMCからのデータを表す。
【図17】HLA制限対立遺伝子、HSV-2反応性、および病変部CD8クローンによるIFN-γ分泌の確認を示す。
【図18】発現クローニングによって得られた病変部CD8クローンRW.1997.51に関するペプチド用量反応性を示す。
【図19】HSV-2のVP16(UL48)のペプチド437位〜449位に対するT細胞クローンBM.17反応に関するHLA拘束要素を示す折れ線グラフ。増殖反応をウイルスペプチドの濃度に対してプロットする。抗原提示細胞は、自己(黒丸)、HLA DQB1*0501に関してホモ接合(白三角)、またはHLA DQB1*0201に関してホモ接合(四角)のいずれかであるEBL-LCLである。

Claims (33)

  1. UL48、UL49、またはICP0タンパク質を含む単純ヘルペスウイルス(HSV)ポリペプチド、および薬学的に許容される担体を含む、薬学的組成物。
  2. タンパク質が、UL48(配列番号:2)のアミノ酸185位〜197位、209位〜221位、288位〜307位、もしくは430位〜449位、UL49(配列番号:3)のアミノ酸14位〜22位、21位〜35位、45位〜59位、49位〜57位、49位〜63位、105位〜190位、177位〜220位、もしくは193位〜208位、またはICP0(配列番号:1)のアミノ酸92位〜101位、92位〜105位、288位〜307位、もしくは743位〜751位を含む、請求項1記載の薬学的組成物。
  3. ポリペプチドが融合タンパク質である、請求項1記載の薬学的組成物。
  4. 融合タンパク質が可溶性である、請求項3記載の薬学的組成物。
  5. アジュバントをさらに含む、請求項1記載の薬学的組成物。
  6. 本質的に、UL48(配列番号:2)のアミノ酸185位〜197位、209位〜221位、288位〜307位、もしくは430位〜449位、UL49(配列番号:3)のアミノ酸14位〜22位、21位〜35位、45位〜59位、49位〜57位、49位〜63位、105位〜190位、177位〜220位、もしくは193位〜208位、またはICP0(配列番号:1)のアミノ酸92位〜101位、92位〜105位、288位〜307位、もしくは743位〜751位からなるアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチド。
  7. 請求項6記載のポリヌクレオチドを含むベクター。
  8. 請求項7記載のベクターによって形質転換した宿主細胞。
  9. 請求項8記載の宿主細胞を培養する段階、およびそのようにして産生されたポリペプチドを回収する段階を含む、HSVポリペプチドを産生する方法。
  10. 請求項9記載の方法によって産生されたHSVポリペプチド。
  11. 請求項6記載のポリヌクレオチドおよび薬学的に許容される担体を含む薬学的組成物。
  12. アジュバントをさらに含む、請求項11記載の薬学的組成物。
  13. UL48、UL49、またはICP0タンパク質をコードするポリヌクレオチド、および薬学的に許容される担体を含む、薬学的組成物。
  14. アジュバントをさらに含む、請求項13記載の薬学的組成物。
  15. 本質的に、UL48(配列番号:2)のアミノ酸185位〜197位、209位〜221位、288位〜307位、もしくは430位〜449位、UL49(配列番号:3)のアミノ酸14位〜22位、21位〜35位、45位〜59位、49位〜57位、49位〜63位、105位〜190位、177位〜220位、もしくは193位〜208位、またはICP0(配列番号:1)のアミノ酸92位〜101位、92位〜105位、288位〜307位、もしくは743〜751位からなるアミノ酸配列を発現するように遺伝子改変された組み換え型ウイルス。
  16. ワクシニアウイルス、カナリア痘ウイルス、またはアデノウイルスである、請求項15記載の組み換え型ウイルス。
  17. 請求項15記載のウイルスおよび薬学的に許容される担体を含む薬学的組成物。
  18. アジュバントをさらに含む、請求項17記載の薬学的組成物。
  19. UL48、UL49、またはICP0タンパク質に含まれるエピトープを提示するように改変されている抗原提示細胞に、免疫細胞を接触させる段階を含む、HSVに対して指向される免疫細胞を作製する方法。
  20. エピトープが、UL48(配列番号:2)のアミノ酸185位〜197位、209位〜221位、288位〜307位、もしくは430位〜449位、UL49(配列番号:3)のアミノ酸14位〜22位、21位〜35位、45位〜59位、49位〜57位、49位〜63位、105位〜190位、177位〜220位、もしくは193位〜208位、またはICP0(配列番号:1)のアミノ酸92位〜101位、92位〜105位、288位〜307位、もしくは743位〜751位を含む、請求項19記載の方法。
  21. 免疫細胞がT細胞である、請求項19記載の方法。
  22. T細胞がCD4+またはCD8+ T細胞である、請求項21記載の方法。
  23. 請求項19記載の方法によって産生された免疫細胞。
  24. HSV感染細胞を、請求項23記載の免疫細胞に接触させる段階を含む、HSV感染細胞を殺す方法。
  25. 単純ヘルペスウイルスを請求項23記載の免疫細胞に接触させる段階を含む、HSV複製を阻害する方法。
  26. HSV感染細胞を請求項23記載の免疫細胞に接触させる段階を含む、抗ウイルスまたは免疫調節リンフォカインの分泌を増強する方法。
  27. 被験者におけるHSV感染細胞を請求項23記載の免疫細胞に接触させる段階を含む、HSV特異的抗体の産生を増強する方法。
  28. UL48、UL49、またはICP0タンパク質に含まれるエピトープを含む単離されたポリペプチドにHSV特異的T細胞を接触させる段階を含む、HSV特異的T細胞の増殖を増強する方法。
  29. 請求項1記載の組成物を被験者に投与する段階を含む、被験者におけるHSV感染症に対する免疫応答を誘導する方法。
  30. 請求項11記載の組成物を被験者に投与する段階を含む、被験者におけるHSV感染症に対する免疫応答を誘導する方法。
  31. 請求項1記載の組成物を被験者に投与する段階を含む、被験者におけるHSV感染症を治療または予防する方法。
  32. 請求項11記載の組成物を被験者に投与する段階を含む、被験者におけるHSV感染症を治療または予防する方法。
  33. UL48、UL49、またはICP0タンパク質に含まれるエピトープを提示するように改変された抗原提示細胞を、被験者に投与する段階を含む、被験者におけるHSV感染症を治療または予防する方法。
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