JP2004537011A - トーラスクランク機構 - Google Patents
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Abstract
【課題】入力パートと出力パートの中心軸が同一線上に位置し、入力パートの往復揺動運動を出力パートの一方向回転運動に変換し、或いは入力パートの一方向回転運動を出力パートの往復揺動運動に変換することにより、体積効率を向上させることが可能なトーラスクランク機構を提供すること。
【解決手段】密閉チャンバを提供するハウジング組立体と、ハウジング組立体の中央部に配置され、上部及び/又は下部に突出する垂直軸及び横方向に突出する水平軸を有するコアと、チャンバ内に位置する回転ブレードが備えられてコアの外側で往復回転揺動運動を行うようにハウジング組立体に設置され、内周面にはガイドスロットが設けられたロータと、ガイドスロットに回転スライド可能に収容される偏心スライダーが備えられ、水平軸に回転可能に支持される少なくとも一つのベベルギヤと、コアの垂直軸に回転可能に支持される出力ギヤとを含んでなるトーラスクランク装置である。上述した構成を有するトーラスクランク装置を同軸に連結して多重トーラスクランク装置を構成する。
【選択図】図1
【解決手段】密閉チャンバを提供するハウジング組立体と、ハウジング組立体の中央部に配置され、上部及び/又は下部に突出する垂直軸及び横方向に突出する水平軸を有するコアと、チャンバ内に位置する回転ブレードが備えられてコアの外側で往復回転揺動運動を行うようにハウジング組立体に設置され、内周面にはガイドスロットが設けられたロータと、ガイドスロットに回転スライド可能に収容される偏心スライダーが備えられ、水平軸に回転可能に支持される少なくとも一つのベベルギヤと、コアの垂直軸に回転可能に支持される出力ギヤとを含んでなるトーラスクランク装置である。上述した構成を有するトーラスクランク装置を同軸に連結して多重トーラスクランク装置を構成する。
【選択図】図1
Description
【技術分野】
【0001】
【背景技術】
【0002】
クランク機構は、入力される往復直線運動を一方向回転運動に変換して出力する装置として知られている。例えば、入力パートのピストンに連接棒(コネクティングロッド)が連結され、この連接棒に出力パートのクランクシャフトが連結された構造を有するクランク機構を挙げることができる。このようなクランク機構は殆どのエンジンに採用されている。この場合、ピストンの往復直線運動は、クランクシャフトの一方向回転運動に変換される。一方、クランクシャフトを入力パートとすると、クランクシャフトの一方向回転運動をピストンの往復直線運動に誘導することもできる。このような構造のクランク機構が採用されたものとしては、例えば圧縮機やポンプなどを挙げることができる。
【0003】
ところが、上述した一般的なクランク機構は、ピストンの行程距離、連接棒の長さ、クランクシャフトの偏心部の回転による空間などを必要とするため、その体積が大きくなって体積効率が非常に低いうえ、エンジンやアクチュエータ、圧縮機、ポンプなどの全重量が重くなるという欠点がある。かかる欠点は、高馬力のエンジン又はアクチュエータ、高容量の圧縮機又はポンプなどを構成するに際して著しく目立つ。特に、このようなクランク装置が船舶用エンジンに適用される場合、その大きさが極めて肥大になり且つ重量が増加する。したがって、エンジンを製作し難いうえ、製作コストが高くかかる。
【0004】
また、一般的なクランク機構は、入力パートの入力軸と出力パートの出力軸が、相異した方向及び場所に二元化されており、多数の運動要素で発生する摩擦抵抗などの要因により振動及び騒音が激しい。また、このようなクランク機構は製作及び効率の面で経済的ではないという問題点がある。
【0005】
また、一般的なクランク機構を用いたエンジンは、転覆の際、クランク室内の潤滑油がシリンダヘッド側に逆流することにより停止してしまう。これにより、燃焼室、シリンダ及びピストンの機械的な損失をもたらすという問題もある。
【0006】
このような一般的なクランク機構の欠点を補完するための方案として、様々な形のロータリエンジンが紹介された。ロータリエンジンの殆どは、従来のクランク機構に関連した根本的な欠点を減らすと共に、燃料効率の面で経済的で軽量であるエンジンを提供する目的で提案されたが、商業的な面であまり効用性がなくて商品化に適していない。商品化に最も近接したものとしては、いわゆるバンケル(Wankel)エンジンがある。このようなバンケルエンジンは、駆動軸組立体の周りのシリンダハウジングに設けられたトロイダル(toroidal)シリンダと、駆動軸組立体の周りに回転可能に支持されると同時にトロイダルシリンダに結合し、回転ブレードが互いに近く或いは遠くなるように動いてトロイダルシリンダとの間に膨張及び収縮作業チャンバを形成するロータ手段と、ハウジング組立体を介して延長されており、流体を作業チャンバに対して流入又は排出させる吸気ポート及び排気ポートとを含んでなることが一般的である。また、ロータリエンジンのうち、一部はシリンダの内部を移動するロータ手段を選択的に運動させるために、外部機構を利用し、他の一部は必要とする駆動要素を機構的に結合するために回転傾斜板とカムなどを利用することもある。
【0007】
従来のバンケルエンジンは、前述した一般的なクランク機構の問題点をある程度解消することはできるが、作動上、非効率的な構造を持っており、最適の出力分配が持続的に行われないという問題点を有する。このため、バンケルエンジンは、車両用エンジン又は量産される産業用軽量エンジンのような通常の往復ピストンエンジンを代替することが可能なものとして広く用いられていない。しかも、バンケルエンジンは、高速では出力性能がある程度良いという利点はあるが、低速では出力性能が一般的なクランク機構を用いたエンジンに比べて著しく劣るという欠点がある。
【0008】
従来のバンケルエンジンは、通常、一般的なクランク機構のクランクシャフトとはやや異なるが、クランクシャフトの作動原理を用いた伝動構造を取っている。このような理由で、エンジンの体積が大きくなることは回避することができず、これにより一般的なクランク機構の体積効率低下問題を完全に解消することはできなかった。この他にも、従来のバンケルエンジンは、複雑で精巧な製造及び組立工程を必要とするため、量産が難しく、製作コストが高くかかるという問題点がある。
【0009】
かかる問題点を改善するために、本発明者によって同軸型往復エンジンが提案されたことがある(韓国登録特許第292988号(対応特許:米国特許第6,186,095号)参照)(特許文献1)。
【0010】
この同軸型往復エンジンは、第1及び第2円形板からなり、第2円形板には多数の固定ブロックが取り付けられた第1ステータ、第3及び第4円形板からなり、所定の間隔で第1ステータと対向して配置された第2ステータ、これらの第1及び第2ステータを取り囲む円形ハウジング、前記第1ステータの外側に配置されるプレート及び多数の支持片を介して前記プレートと対向して配置され、ハウジングの遊動を防止するカバーとからなるハウジング組立体と、前記ハウジング組立体の内部に取り付けられ、膨張及び収縮作業チャンバを形成する多数の回転ブレードを有するロータと、前記ロータの内部に固定されたギヤボックスと、前記ギヤボックスに回転可能に取り付けられている出力軸と、前記ロータの回転力を駆動軸を介して前記出力軸へ伝達する伝動ユニットとを含んでなる。前記伝動ユニットは、前記ロータの内側面に対向して固定され、ガイドチャネルを有するガイドレールと、前記ガイドレールに沿って上下に移動するガイドスロット付スライダーと、一端には前記スライダーのボールが挿入されるボールシートが設けられ、他端には平坦部の締結孔に回動可能に結合する締結孔を有する延長部が設けられたボールハウジングとから構成される。このような同軸型往復エンジンによれば、ハウジング組立体に取り付けられたロータの往復回転揺動運動が伝動ユニットを介して出力軸の一方向回転運動に変換されて伝達される。
【0011】
ところが、前記のような同軸型往復エンジンは、理論的には、必要とする動力を得るに十分な構造をもっているが、伝動ユニットを構成する構成部品数が多く、特に多数のリンクが設置されることにより構造的に弱いため、高速及び高トルクのエンジンを構成することが難しい。また、ロータと出力軸間の距離が長くて大きいモーメントが発生し、伝動ユニットとリンクの回転中心軸が相異するため、構造的に非常に不安で振動が激しい。また、多数のリンク及びギヤボックスを備えなければならないため、全体的な体積が大きくなり、ギヤボックスの固定が不安定であるという構造的な弱点も持つ。その上、燃焼時に発生する内方(ハウジングの中心軸方向)への圧力を支持することが可能な構造が備えられていないため、ロータの変形及び慣性損失が大きい。
【特許文献1】
韓国登録特許第292988号(対応特許:米国特許第6,186,095号)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
従って、本発明は、かかる問題点に鑑みて創案されたもので、その目的は、入力パートと出力パートの中心軸が同一線上に位置し、入力パートの往復揺動運動を出力パートの一方向回転運動に変換し、或いは入力パートの一方向回転運動を出力パートの往復揺動運動に変換することにより、体積効率を向上させることが可能なトーラスクランク機構を提供することにある。
【0013】
本発明の他の目的は、機械要素間の滑り摩擦部分が少なくて機構学的慣性損失、振動及び騒音を減らすことができ、簡単な構造を有し且つ機械的な強度及び耐久性に優れるから効率的な伝動構造を図ることができるうえ、組立及び製作が容易であって低コストの量産が可能なエンジンやアクチュエータ、圧縮機、ポンプなどを構成することが可能なトーラスクランク機構を提供することにある。
【0014】
本発明のさらに他の目的は、振動を極小化することが可能なトーラスクランク機構を提供することにある。
【0015】
本発明のさらに他の目的は、両方で動力を出力或いは入力するための両方動力軸が、別途の方向転換手段又はクランキング作用のための複雑なリンク機構を介在することなく、同一の方向に回転させることが可能なトーラスクランク機構を提供することにある。
【0016】
本発明のさらに他の目的は、両方動力軸を同一の方向に回転させることにより、動力出力効率及び動力入力効率を高めると共に、多数のハウジング組立体を同軸的に連結して多重トーラスクランク機構を容易に構成することを可能とすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記目的を達成するために、本発明に係るトーラスクランク機構は、少なくとも一つの密閉チャンバを提供するハウジング組立体と、前記ハウジング組立体の中央部に配置され、上部及び/又は下部に突出する垂直軸及び横方向に突出する少なくとも1本の水平軸を有するコアと、前記チャンバ内に位置する回転ブレードが備えられてコアの外側で往復回転揺動運動を行うようにハウジング組立体に設置され、内周面には少なくとも1つのガイドスロットを有するロータと、前記ガイドスロットに回転スライド可能に収容される偏心スライダーが備えられ、コアの水平軸に回転可能に支持される少なくとも一つのベベルギヤと、前記コアの垂直軸のいずれか1本又は全てに回転可能に支持される出力ギヤとを含んでなることを特徴とする。
【0018】
本発明によれば、前記ハウジング組立体は、円形空間部を備えた上面、貫通孔を備えた下面及び側面の外郭プロファイルを有するハウジングボディと、前記ハウジングボディの上/下面にそれぞれ結合する第1及び第2カバーと、前記チャンバを形成するために前記円形空間部を区画するように円形空間部内に設置される少なくとも2つの固定ブロックとを備え、前記コアはハウジングボディの下面から上面へ延長される多数の支持片によってハウジングボディと一体になることが好ましい。
【0019】
また、前記ロータのガイドスロットの両側壁に回転スライド可能に収容された偏心スライダーによるガイドスロットの両側壁の磨耗を防止するために、前記ガイドスロットの両側壁には、ロータの材質より高い硬度及び強度を有する材質からなるガイド部材がさらに設置できる。
【0020】
また、前記ベベルギヤの偏心スライダーは、ガイドスロットのいずれの位置でも前記偏心スライダーが常にハウジング組立体の中心を向かうように、一定の角度で傾くように設けられることが好ましい。また、前記ベベルギヤの偏心スライダー形成面には、ロータの曲率半径と同一の曲率半径を有するガイド部が一体に設けられ、前記ガイド部の形成面とは反対側の面には、ベベルギヤ回転時のバランス維持のためのバランスウェイト部が設けられることができる。ベベルギヤに前記ガイド部が設けられた場合、ガイドスロットに設置されるガイド部材の前面には、ベベルギヤのガイド部と同一の曲率半径をもって湾曲される弧形支持部が設けられることが好ましい。また、前記偏心スライダーがガイドスロット内で円滑に移動できるように、偏心スライダーにはガイドローラがさらに設置できる。
【0021】
本発明の好適な実施例によれば、前記ハウジング組立体は、少なくとも2つのチャンバを有する。前記コアには前記チャンバ内に位置する少なくとも2つの回転ブレードが備えられる。ロータはコアの外側で往復回転揺動運動を行うようにハウジング組立体に設置される。前記コアの内周面には少なくとも2つのガイドスロットが対向して配設され、コアの水平軸には少なくとも2つのベベルギヤが回転可能に支持される。
【0022】
また、本発明の好適な他の実施例によれば、前記ハウジング組立体は少なくとも4つのチャンバを有し、前記コアには前記チャンバ内に位置する少なくとも4つの回転ブレードが備えられる。ロータはコアの外側で往復回転揺動運動を行うようにハウジング組立体に設置される。前記コアの内周面には少なくとも4つのガイドスロットが対向して配設され、コアの水平軸には少なくとも4つのベベルギヤが回転可能に支持される。
【0023】
また、本発明に係るトーラスクランク機構は、ロータを入力パートとする場合、各種産業用エンジンやアクチュエータを構成することができる。また、出力ギヤを入力パートとする場合、圧縮機やポンプなどを構成することができる。いずれの場合も、本発明のトーラスクランク機構では、入力パートと出力パートの中心軸が同一線上に位置し、また従来の一般的なクランク機構のように大きい作動空間を必要とするクランクシャフトなどの機械要素を必要としないため、構造的な単純化は勿論、重量及び体積効率を向上させることができ、これにより同一馬力のエンジンやアクチュエータ、圧縮機、ポンプなどの大きさ及び重量を大幅減らすことができる。
【0024】
また、本発明に係るトーラスクランク機構は、簡単な構造を有し且つ効率の良い作動構造を有するため、低コストの量産が可能なエンジンやアクチュエータ、圧縮機、ポンプなどを実現することができる。
【0025】
前記のように構成される本発明のトーラスクランク機構において、多数のベベルギヤが採用される場合、前記ベベルギヤの各偏心スライダーの偏心位相はいずれか一つのベベルギヤの回転方向に対して順次180°ずつずれるようになっていることが好ましい。この場合、各ベベルギヤに備えられた偏心スライダーの偏心位相による重心偏差が、隣り合うベベルギヤの対向するベベルギヤ対によって相殺されるので、ロータのガイドスロット内で偏心スライダーが運動するときに発生する振動を減らすことができる。
【0026】
また、前記ベベルギヤは、上/下部出力ギヤと交互に噛み合うことが好ましい。この場合、上部出力ギヤに噛み合ったベベルギヤの回転方向と下部出力ギヤに噛み合ったベベルギヤの回転方向とが互いに反対となるので、上/下部出力ギヤの回転方向は互いに同一になる。これにより、上/下部出力ギヤに連結される2本の動力軸も同一の方向に回転することができる。
【0027】
また、本発明によれば、上/下部出力ギヤが同一の方向に回転するという点を考慮し、前記上/下部出力ギヤ及びコアに同軸的に中空が設けられることもある。この場合、コアの中空を1本の動力軸が回転可能に貫通し、前記動力軸の両側は上/下部出力ギヤを貫通して結合できる。したがって、この場合、前記1本の動力軸によって両側で動力を出力或いは入力することができる。
【0028】
また、本発明によれば、このように構成されたトーラスクランク機構を少なくて2つ以上同軸的に連結することにより、多重トーラスクランク機構を簡単に構成することができる。すなわち、高馬力のエンジンやアクチュエータ、或いは高容量の圧縮機やポンプを構成する際にその拡張性が優れる。この場合、前記出力ギヤのうち、ハウジング組立体の内部で隣り合う出力ギヤは一体になることが好ましい。
【0029】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではなく、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【発明の効果】
【0030】
以上の説明から明らかなように、本発明に係るトーラスクランク機構によれば、例えば各種エンジンやアクチュエータ、圧縮機、ポンプなどを構成するにおいて、従来の一般的なクランク機構でのように大きい作動空間を必要とする機械要素、すなわちクランクシャフトなどの部品が不要であり、且つ入力パートと出力パートの中心軸が同一線上に位置するため、体積効率を向上させることができ、同一馬力のエンジンやアクチュエータ、圧縮機、ポンプなどの装置よりその大きさ及び重量を大幅減らすことができる。
【0031】
また、本発明のトーラスクランク機構は、簡単な構造を有し且つ効率の良い作動構造を有するため、低コストの量産が可能なエンジンやアクチュエータ、圧縮機、ポンプなどを製造することができる。
【0032】
また、本発明に係るトーラスクランク機構は、数個のトーラスクランク機構を同軸的に連結する簡単な方法で高馬力のエンジンやアクチュエータ、高容量の圧縮機やポンプを構成することができるなどその拡張性が優れる。
【0033】
また、本発明では、別途の方向転換手段の介在なしで一対の動力軸を互いに同一の方向に回転させることができるうえ、1本の動力軸によっても両側で動力を出力/入力できるように構成することができるため、この場合、複数のトーラスクランク機構を簡単に同軸的に連結して多重トーラスクランク機構を構成することができるので、その拡張性にさらに優れ、同一馬力のものと対比してより効果的な小型化及び構造の単純化を図ることができる。
【0034】
また、出力ギヤが全て同一の方向に回転し、この全ての出力ギヤに動力軸が連結されるように構成される場合、最外側出力ギヤだけでなく、内部の出力ギヤも動力軸に/から回転力を伝達し或いは受けることができるため、さらに高い馬力のエンジンやアクチュエータ、高容量の圧縮機やポンプなどを一層効果的に構成することができる。
【0035】
また、本発明では、ベベルギヤに設置された偏心スライダーが全体的に重心を取るように設けられているため、振動発生を最小化することができ、これにより伝動損失の最小化、耐久性の向上、騒音低減などの効果を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではなく、また実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【実施例】
【0037】
図1ないし図5では、本発明に係るトーラスクランク機構において、参照符号100はハウジング組立体、200はコア、300はロータ、410、420、430及び440はベベルギヤ、500及び600は出力ギヤをそれぞれ示し、ここでは、便宜上、4つのベベルギヤ410〜440が本発明に係るトーラスクランク機構に適用されたものを例示する。
【0038】
前記ハウジング組立体100の中央部にはコア200が配置され、このコア200の外側にロータ300が往復回転揺動運動可能に配置される。ベベルギヤ410〜440は前記コア200の側面に回転可能に設置され、出力ギヤ500、600は前記コア200の上下部に回転可能に設置される。
【0039】
前記ハウジング組立体100は、ハウジングボディ110と第1及び第2カバー120、130と多数(ここでは4つが例示される)の固定ブロック141〜144とを備える。前記ハウジングボディ110は、上面111、下面112及び側面113を備える略筒状のプロファイルを有する。ハウジングボディ110の形状は、四角筒状に限定されず、円筒状にすることもできるなど、必要に応じて形態変更が可能である。前記ハウジングボディ110の上面111には一定の深さの円形空間部111aが設けられ、前記下面112には貫通孔112aが設けられる。前記第1及び第2カバー120、130はハウジングボディ110の上/下面111、112にそれぞれ結合する。前記多数の固定ブロック141〜144は前記円形空間部111aを多数の空間に区画するように円形空間部111aに等間隔で設置される。例えば、固定ブロック141〜144はハウジングボディ110に一体に取り付けられることもでき、別途に製作されてハウジングボディ110に結合することもできる。前記固定ブロック141〜144が円形空間部111aを区画することにより、ハウジングボディ110には少なくとも一つ(ここでは4つが例示される)のチャンバ145〜148が設けられる。ここで、前記チャンバ145〜148は、図示例のような縦断面四角形にすることも、縦断面円形にすることもできる。すなわち、前記チャンバ145〜148は固定ブロック141、144の形状に応じて様々な変形が可能である。
【0040】
前記コア200には、少なくとも一つ(ここでは4つが例示される)のベベルギヤ410〜440及び少なくとも一つ(ここでは2つが例示される)の出力ギヤ500、600を回転可能に支持するため、4つの水平軸211〜214及び2つの垂直軸215、216が順次一体に設けられる。ここで、前記水平軸211〜214には多数のベベルギヤ410〜440がそれぞれ回転可能に支持され、前記垂直軸215、216には出力ギヤ500、600が回転可能に支持される。このようなコア200は、ハウジングボディ110の下面112から上面111へ延長される多数の支持片221〜224によってハウジングボディ110と一体に設けられることが好ましいが、これに必ずしも限定されるものではない。例えば、前記コア200は、ハウジングボディ110とは別途に製作され、第1及び第2カバー120、130によってハウジングボディ110に組み立てられるように構成することもできる。ここで、前記支持片221〜224はコア200を中心として上下対称に設けられることが好ましい。
【0041】
前記ロータ300は、ハウジング組立体100のハウジングボディ110に設けられた円形空間部111a内に両方向に回転可能に設置される。このロータ300は、図6ないし図8に示すように、リング状のロータ体310と、前記ロータ体310の外側に設けられ、ハウジングボディ110の円形空間部111aの多数のチャンバ145〜148内に位置すると共に前記各チャンバの幅より小さい幅を持つ多数の回転ブレード311〜314とを含んでなる。また、ロータ体310の内周面(好ましくは回転ブレード311〜314)には多数のガイドスロット315〜318が設けられる。前記ガイドスロット315〜318は対向して配設されることが好ましい。前記ハウジング組立体100のチャンバ145〜148を例えば一般的なエンジンや圧縮機などのシリンダボアと比較する場合、このようなロータ300の回転ブレード311〜314はピストンに相当する。したがって、ロータ300は、軽量であるほど有利であるという点を考慮し、その材質をアルミニウム合金類などにすることが好ましい。また、各回転ブレード311〜314の内部を中空にすることが好ましい。回転ブレード311〜314にガイドスロット315〜318が設けられた場合、回転ブレード311〜314の中空はガイドスロット315〜318と連通してはならない。
【0042】
図9、図10及び図13に示すように、コア200の水平軸211〜214に回転可能にそれぞれ支持されるベベルギヤ410〜440の一側面には、前記ロータ300のガイドスロット315〜318に回転スライド可能に収容される偏心スライダー411、421、431、441がベベルギヤ410〜440の中心軸から一定量偏心して設けられる。したがって、前記ロータ300が往復回転揺動運動を行うと、ガイドスロット315〜318と偏心スライダー411、421、431、441のスコッチヨーク(Scotch yoke)のような作用により、ベベルギヤ410〜440はいずれか一方向のみに回転する。また、多数のベベルギヤ310〜440はガイド部412、バランスウェイト部413及び多数の中空部414を備えることができる。前記ガイド部412は、各ベベルギヤの偏心スライダー形成面に、前記ロータ300の内周面の曲率半径rと同一の曲率半径r1を有する円弧面の形で設けられることが好ましい。したがって、各ベベルギヤの回転時、ガイド部412がロータ300の内周面と摺接するので、ベベルギヤの位置が安定的に保たれることができる。また、各ベベルギヤに設けられたガイド部412は、本発明のトーラスクランク機構がエンジンに適用される場合、チャンバ145〜148内における燃焼過程で内方に、すなわちロータ300の壁にガス圧力が加わるとき、ハウジング組立体100の中心軸方向の圧力を支持する役割も兼ねる。したがって、ロータ300の変形及び慣性損失を防止することができる。前記バランスウェイト部413は例えば、ベベルギヤ410の内側面(偏心スライダー411形成面の反対面をいう)のうち偏心スライダー411形成部位の反対側に位置することが好ましい。そして、前記中空部414はベベルギヤの減量及び前記バランスウェイト部と同一の目的で備えられるもので、前記バランスウェイト部413の反対側に位置するようにベベルギヤを貫通して設けられることもできる。
【0043】
このように構成された多数のベベルギヤ410〜440は、図11に示すように、ベベルギヤ410〜440の偏心スライダー411、421、431、441がロータ300のガイドスロット315〜318に挿入されるように、コア200の水平軸211〜214(図3及び図4参照)に回転可能にそれぞれ支持される。この際、ベベルギヤ410〜440の各ガイド部412は、ロータ300の内周面の曲率半径rと同一の曲率半径r1を有する円弧状に設けられているため、ロータ300の内周面に接触することになる。このような状態で前記ロータ300が往復回転揺動運動を行うと、図12に示すように、例えばロータ300のガイドスロット315内でベベルギヤ410の偏心スライダー411が円弧を描きながら空転する。このようなガイドスロット315と偏心スライダー411の作用によってベベルギヤ410が一方向に回転する。残りの偏心スライダー421、431、441も同様に運動するので、その詳細な説明は省く。
【0044】
次に、ガイドスロット315と偏心スライダー411の作用を具体的に説明する。すなわち、図12に示すように、ガイドスロット315の第1位置Aに位置した偏心スライダー411は、ロータ300が図上で左の方に動くと、第1矢印方向aに沿って移動し、ガイドスロット315の第2位置Bに移動する。そして、ロータ300が方向を変えて図上で右の方に動き始めると、偏心スライダー411は第2及び第3矢印方向b、cに沿って移動しながら、第3位置Cを過ぎて第4位置Dまで移動する。その後、ロータ300がさらに図上で左の方に移動するとき、偏心スライダー411は第4矢印方向dに沿って移動して初期位置に移動する。このような偏心スライダー411のガイドスロット315内における空転によって、ベベルギヤ410はコア200の水平軸211を中心として回転する。
【0045】
一方、ベベルギヤ410は、偏心スライダーとガイドスロットとの間で初期作動状態に応じて時計方向に回転することもできる。
【0046】
前記ベベルギヤ410の偏心スライダー411は、図10及び図13に示すように、その中心軸から延長される線Lがハウジング組立体100の中心軸Pと交叉するように所定の角度で傾くように設けられる。これにより、偏心スライダー411がガイドスロット315内のいずれの位置でも常にハウジング組立体100の中心軸を向かうので、ヒンジ又はボールジョイントなどの機械要素を使用しなくても、機構学的適合条件を満足させることができる。その結果、トーラスクランク機構の構造的な単純化及び作動の円滑性を図ることができる。
【0047】
図14は、本発明に使用されるベベルギヤの他の例を示す図である。図14に示すように、例えばベベルギヤ410の偏心スライダー411には、ガイドスロット315内で回転スライドするとき、より円滑に作動させるためのガイドローラ411aがベアリングを介して設置されている。また、例えばベベルギヤ410にバランスウェイト部413を形成することにより、バランスウェイト部形成面に段差が発生する。このような段差は、ベベルギヤ410がその結合相手(すなわち、コア200の側面)に均等に接触することを妨げるので、例えばベベルギヤの回転の障害要因になる。このようなベベルギヤの段差による影響を減らすため、図14に点線で表示したように、ベベルギヤ410のバランスウェイト部形成面にこのバランスウェイト部413と同一の高さを有する軽量材の肉盛部413aを設けている。この肉盛部413aは中空部414を用いて結合できるように構成される。
【0048】
一方、本発明に係るトーラスクランク機構において、前記ロータ300は、その特性上、アルミニウム合金類などで製作することが好ましいが、このため、硬度及び強度が弱くて、ガイドスロット315〜318で回転スライドするベベルギヤ410〜440の偏心スライダー411、421、431、441によるガイドスロット315〜318の両側壁の磨耗が発生する虞がある。本発明に係るトーラスクランク機構は、図15に示すように、ロータ300のガイドスロット315〜318の両側壁にロータ300の材質より高い強度及び軽度を有する材質からなるガイド部材321〜324を取り付けてガイドスロット315〜318の両側壁の磨耗を防止することができるように構成されている。
【0049】
前記ガイド部材321〜324は全て同一の構造で出来ているので、一つのガイド部材321についてのみ説明する。図16に示すように、前面部321aと後面部321bが連結部321cによって一体に連結された構造を有する。このようなガイド部材321は、連結部321cがガイドスロット315の壁にスクリューなどのような固定要素に締結されることにより設置されることもできる。そして、前記前面部321aにはベベルギヤ410のガイド部412と同一の曲率半径をもって湾曲される弧形支持部321dが設けられる。この弧形支持部321dはベベルギヤ410のガイド部412と面接触する。これにより、ベベルギヤ410は、そのガイド部412がロータ300の内周面と線接触すると共に前記ガイド部材321の弧形支持部321dと面接触する状態でコア200の軸211に支持されるので、ベベルギヤの位置が安定的に支持されることができる。例えば、エンジンを構成する場合、ロータ300の壁によって加わる燃焼ガス圧力をより効果的に保持することができる。ここで、前記ガイド部材321は2つ一組の一体型に構成されても構わない。
【0050】
図1ないし図3に示すように、出力ギヤ500、600は、前記コア200の垂直軸215、216に前記ベベルギヤ410〜440と噛み合うように設けられ、ベベルギヤの回転によって回転する。この際、4つのベベルギヤ410〜440が2つの出力ギヤ500、600に全て噛み合っている場合、出力ギヤ500、600は互いに反対方向に回転するので、出力ギヤ500、600に連結される2つの動力軸700、700も互いに反対方向に回転する。この場合、いずれか一つのみ500を出力ギヤとし且つもう一つ600を空回転させるか、或いは別途のギヤトレインなどを用いて2つの出力ギヤ500、600を同方向に回転させることができるなど、必要に応じて様々な適用が可能である。
【0051】
また、2つの動力軸700、700を同一の方向に回転させるために、いずれか1本の動力軸にギヤトレインのような方向転換手段をさらに介在して回転方向を逆に変える代りに、より単純で効果的に、別途の方向転換手段を介在することなく、2本の動力軸700、700を同一の方向に回転させることができる。すなわち、図17に示すように、4つのベベルギヤ410〜440のうち、向かい合うベベルギヤ410、420が例えば上部出力ギヤ500に噛み合い、前記ベベルギヤ410、420と隣接して向かい合うベベルギヤ430、440が下部出力ギヤ600に噛み合うと、2つのベベルギヤ410、420は例えば反時計方向に回転し、2つのベベルギヤ430、440は時計方向に回転する。したがって、上/下部出力ギヤ500、600が、上方からみて、時計方向に回転することにより、2本の動力軸700、700が同一の方向に回転することができる。ここでは、4つのベベルギヤ410〜440に対して2本の動力軸700、700が同一の方向に回転するように出力ギヤ500、600と噛み合う構造について説明したが、これに限定されず、4倍数のベベルギヤが採用される構造であれば、同一に適用することができる。例えば、8つのベベルギヤが採用された場合にも、隣接して向かい合うベベルギヤ対が上/下部出力ギヤ500、600と交互に噛み合うと、上/下部出力ギヤ500、600の回転方向は互いに同一であり、これにより出力ギヤ500、600に連結される2本の動力軸700、700も同一の方向に回転することができる。
【0052】
このように出力ギヤ500、600の回転方向が同一の場合、図18に示すように、出力ギヤ500、600及びコア200に同軸的に中空が設けられると、前述したように2本の動力軸700、700を採用する必要がなく、1本の動力軸700aを採用することができる。すなわち、動力軸700aがコア200の中空を回転可能に貫通し、前記動力軸700aの両側に出力ギヤ500、600がその中空を介して結合すると、1本の動力軸700aのみでも両側の動力を出力又は入力することができる。また、図20に示すように、1本の動力軸700aによって一方に動力を出力或いは入力する場合にも、動力軸700aが2つの出力ギヤ500、600に結合しているので、小型の高性能トーラスクランク機構を得ることができる。
【0053】
一方、本発明において、図19及び図20に示すように、前記ベベルギヤ410〜440の偏心スライダー411、421、431、441の偏心位相は、いずれか一つのベベルギヤの回転方向に対して順次180°ずつずれるのが好ましい。いずれの場合も、偶数個のベベルギヤが採用された構造であれば、前述と同様に適用できる。したがって、各ベベルギヤ410〜440に備えられた偏心スライダー411、421、431、441の偏心位相による重心偏差が、隣接するベベルギヤのうち向かい合うベベルギヤ対によって全体的に相殺される。すなわち、ロータ300のガイドスロット315〜318内で偏心スライダー411、421、431、441が運動するとき、偏心スライダー411、421、431、441が全体的にいずれか一方に偏ることなく、均衡を保って運動するが、例えば図19のように一対の偏心スライダー411、421が、往復回転揺動運動するロータ300のガイドスロット315、316内で例えば反時計方向に回転して下方に位置(図20参照)するとき、これとは逆に、他の一対の偏心スライダー431、441は時計方向に回転して上方に位置(図20参照)する。このような方式で偏心スライダー411、421、431、441が回転する間、上下左右方向の振動が相殺されるので、振動を極小化することができる。また、偏心スライダー411、421、431、441に結合して往復回転揺動するロータ300のガイドスロット315〜318部分の上下振動も相殺されて極小化されることにより、出力減少誘発要因を最小化することができる。
【0054】
一方、図1ないし図3において、符号150は、例えば本発明のトーラスクランク機構を用いてエンジンを構成する場合、点火プラグなどの部品を設置するためにハウジング組立体100のハウジングボディ110に設けられる部品設置空間である。
【0055】
このように構成される本発明に係るトーラスクランク機構は、車両用エンジンを含む各種産業用エンジンやアクチュエータ、流体を圧縮する圧縮機、流体をポンピングするポンプなどに広範囲に適用することができる。このような適用例を考察すると、次の通りである。
【0056】
まず、本発明に係るトーラスクランク機構が動力発生装置としてのエンジン及びアクチュエータに適用される場合について説明する。
【0057】
この場合、ハウジング組立体100の各チャンバ145〜148はエンジンのシリンダボアに相当する。また、前記チャンバ145〜148内に位置するロータ300の回転ブレード311〜314はエンジンのピストンに相当する。したがって、前記チャンバ145〜148を区画する固定ブロック141〜144の両側に給排気機構及び点火機構(図示せず)などを構成すると、チャンバ145〜148内における燃焼サイクルが連続的に行われると共に、燃焼ガス圧力によってロータ300がハウジング組立体100内で往復回転揺動運動を行う。この際、4つのチャンバ145〜148において、前記のような作用が同時に同一に行われる。すなわち、各チャンバにおいて対応する各回転ブレードを中心としてその両側で前記のような動作が行われるので、4つのチャンバ145〜148を有するトーラスクランク機構の場合、1つのチャンバ内で回転ブレードがダブルアクティング(double acting)を行うため、内燃機関の8気筒に相当する。すなわち、同一馬力の一般的な内燃機関に比べてエンジンの大きさと重量を大幅減少させることができる。
【0058】
前記のようにハウジング組立体100の内部で往復回転揺動運動を行うロータ300のガイドスロット315〜318には、コア200の水平軸211〜214に設置されたベベルギヤ410〜440の偏心スライダー411、421、431、44が収容されているので、ロータ300の往復回転揺動運動に従って前記偏心スライダー411、421、431、441がガイドスロット315〜318で回転スライドしながら空転する。これにより、ベベルギヤ410〜440が一方向に回転し、このベベルギヤ410〜440の回転力は、コア200の垂直軸215〜216に回転可能に設置されてベベルギヤ410〜440と噛み合う出力ギヤ500、600に伝達される。
【0059】
このような伝動過程において、上/下部出力ギヤ500、600がベベルギヤ410〜440に噛み合っている場合には、2つの動力軸700、700は互いに反対方向に回転する。ところが、上部出力ギヤ500にはベベルギヤ410、420が噛み合い、下部出力ギヤ600にはベベルギヤ430、440が噛み合っている場合にはベベルギヤ410、420の回転方向とベベルギヤ430、440の回転方向とが互いに反対になり、出力ギヤ500、600が同一の方向に回転する。従って、後者の場合には、出力ギヤ500、600に2本の動力軸700、700が連結される場合、又は出力ギヤ500、600に1本の動力軸700aが連結される場合など、いずれの場合も問わず、動力軸700、700又は動力軸700aは出力ギヤ500、600の回転方向と同一の方向に回転することができる。すなわち、別途の方向転換手段を介在しなくても、両側で同一方向の回転力を出力/入力することができる。
【0060】
次に、本発明に係るトーラスクランク機構が動力発生装置とは逆に駆動手段を介して動力の入力を受けて所定の機能を行う装置、例えば圧縮機又はポンプに適用する場合について説明する。
【0061】
この場合、前記出力ギヤ500及び/又は600が入力パートになり、ロータ300が出力パートになる。
【0062】
2つの出力ギヤ500、600が全てベベルギヤ410〜440に噛み合っている場合を考察すると、いずれか一つの出力ギヤの動力軸700のみをモータのような駆動手段によって回転させる。従って、動力軸700によっていずれか一つの出力ギヤが回転するにつれて、ベベルギヤ410〜440を介してロータ300が往復回転揺動運動を行うことができる。また、2つの出力ギヤを全て回転させようとする場合には、残り一つの出力ギヤの動力軸は方向転換手段を介して反対方向に回転させる。したがって、2つの出力ギヤ500、600は互いに反対の方向に回転するにつれて、ベベルギヤ410〜440はいずれか一つの方向に回転する。前述したように、このベベルギヤ410〜440の運動によるロータ300のガイドスロット315〜318に配置された偏心スライダー411の運動によってロータ300が往復回転揺動運動を行うことができる。
【0063】
一方、上部出力ギヤ500にはベベルギヤ410、420が噛み合い、下部出力ギヤ600にはベベルギヤ430、440が噛み合っている場合には、駆動手段によっていずれか一つの出力ギヤの動力軸700のみを回転させるか、別途の方向手段の介在なしで2本の動力軸700、700を全て同一の方向に回転させ、動力軸700aが適用された場合には、別途の方向手段の介在なしで前記動力軸700aを回転させる。例えば、いずれか1本の動力軸700のみを回転させる場合には、いずれか一つの出力ギヤに噛み合っている2つのベベルギヤによってロータ300が往復揺動回転運動を行うことができ、2本の動力軸700、700を回転させるか或いは動力軸700aを回転させる場合には、出力ギヤ500に噛み合っているベベルギヤ410、420及び出力ギヤ600に噛み合っているベベルギヤ430、440が一方向に回転することにより、ロータ300が往復回転揺動運動を行うことができる。
【0064】
このように運動するトーラスクランク機構を圧縮機又はポンプなどに適用する際、ハウジング組立体100のチャンバ145〜148の両側に位置する固定ブロック141、144に流体吸入/排出機構(図示せず)がそれぞれ構成されると、ロータ300が例えば時計方向に回転するときには、回転ブレードを中心としてチャンバのうちいずれか一側は流体を吸入し、他側は流体を圧縮して排出する。また、ロータ300が反時計方向に回転するときには、前記の反対動作が行われる。このような各回転ブレードのダブルアクティング動作が繰り返し行われることにより、各チャンバは各回転ブレードによって区画されたままで流体を吸入して圧縮又はポンピングする2つの気筒として機能するので、小型である反面、高性能を発揮することが可能な圧縮機又はポンプなどを提供することができる。
【0065】
一方、以上では、前記ハウジング組立体100に4つのチャンバ145〜148が設けられ、ロータ300も4つの回転ブレード311〜314を有すると共に4つのベベルギヤ410〜440が適用された8気筒トーラスクランク機構について示されているが、これは本発明の好適な実施例を説明するためのものに過ぎず、チャンバは一つのみが形成されることもできる。一つのチャンバを有する本発明のトーラスクランク機構の場合、例えば水族館用圧縮機又は人工心臓などの小型圧縮機に有利に適用できる。特に、偶力を誘発するために対向方向に対を成すようにチャンバが設けられることが、本発明の一目的、すなわち振動の最小化及び両側に同一方向の回転力を出力又は入力する目的を達成するために好ましい。ハウジング組立体のチャンバを2つ、4つ、6つ、8つなどのように偶数個に増加させると、エンジンの動力、アクチュエータ、圧縮機及びポンプの容量が倍加できる。このような場合にも、ハウジング組立体100又はロータ300の大きさにはあまり変化がないので、例えば船舶用エンジンなどの場合に同一馬力の一般エンジンに比べてその大きさ及び重量を著しく小さくすることができる。
【0066】
ここでは図示又は説明していないが、両側で同一方向の回転力を出力/入力するためのものであれば、例えば2つのベベルギヤが適用できる。すなわち、上部出力ギヤ500には一つのベベルギヤが、下部出力ギヤ600には他のベベルがそれぞれ噛み合っている形のトーラスクランク機構を提供することができ、これも本発明の範囲に含められるべきである。
【0067】
一方、図21には、本発明に係る多重トーラスクランク機構を多数個同軸的に連結してなる多重トーラスクランク機構のうち2つのトーラスクランク機構を同軸的に連結してなるダブルトーラスクランク機構が示されている。以下、図21ないし図24を参照して、本発明に係るトーラスクランク機構の別の利点である容易な拡張性について説明する。
【0068】
図21に示すように、本発明に係る多重トーラスクランク機構は、前述した少なくとも2つのトーラスクランク機構10、20が同軸的に連結されて構成される。各トーラスクランク機構10、20の基本的な構成及び作用は、前述と同様なので、同一の参照符号を付し、ここでの具体的な説明を省く。
【0069】
例えば、図21に示したダブルトーラスクランク機構の動力出力構造を説明する。ベベルギヤ410〜440に出力ギヤ500、600が全て噛み合っている場合には、図22に示すように、第1及び第2トーラスクランク機構10、20のうちその中央部で互いに隣接する2つの出力ギヤ500、600に亘って1本の動力軸700が連結され、他の出力ギヤ500、600が前記動力軸700に対して空回転する構造を採用することができる。この場合、動力軸700に連結される2つの出力ギヤ500、600は、一体に設けられて出力ギヤ90を成すことが好ましい。他の形態として、図23に示すように動力軸700がいずれか一つの出力ギヤに連結され、この動力軸700に対して他の出力ギヤが空回転する構造を採用することができる。これは当該技術分野で通常の知識を有する者であれば、誰でも容易に理解できる。
【0070】
上述したように、例えば8気筒内燃機関に相当する2つのトーラスクランク機構を同軸的に連結して、16気筒内燃機関に相当するダブルトーラスクランク機構を構成することができるうえ、同原理で3つ、4つのトーラスクランク機構を同軸的に連結することにより、より高い馬力のエンジンなどに適用することが可能な多重トーラスクランク機構を容易に構成することができる。また、このような多重トーラスクランク機構において、1本の動力軸700を採用する場合、前記動力軸700に対して同方向に回転する出力ギヤはいずれも動力軸700に連結させ、残りの出力ギヤは空回転させることが好ましい。また、図示してはいないが、例えば4つのトーラスクランク機構を同軸的に連結して多重トーラスクランク機構を構成する場合、マイティーギヤを介してその両側に前記ダブルトーラスクランク機構を配置し、これらのダブルトーラスクランク機構の動力軸をそれぞれマイティーギヤに連結して高馬力のエンジンやアクチュエータ、圧縮機、ポンプなどを構成することができる。
【0071】
一方、ベベルギヤ410〜440に対して出力ギヤ500、600が対別に分けられて噛み合っている場合、第1トーラスクランク機構10の下部出力ギヤ600及び第2トーラスクランク機構20の上部出力ギヤ600が一体に設けられて出力ギヤ90を構成し、第1及び第2トーラスクランク機構10、20のハウジングボディ110、110が気密状態で結合すると、2つのトーラスクランク機構を備えたダブルトーラスクランク機構を構成することができる。この場合、図示してはいないが、第1トーラスクランク機構10の上部出力ギヤ500及び第2トーラスクランク機構20の下部出力ギヤ600に動力軸700をそれぞれ連結すると、16気筒のエンジンやアクチュエータ、圧縮機、ポンプなどに適用でき、動力軸700、700を介して同一方向の回転力を出力/入力することができる。上述したように、動力軸700、700をそれぞれ適用せず、図24に示すように、第1トーラスクランク機構10の上部出力ギヤ500から第2トーラスクランク機構20の下部出力ギヤ600まで貫通して結合する動力軸700aが適用されると、出力ギヤ500、600だけでなく、同方向に回転する出力ギヤ90の回転力も動力軸700aに伝達され、逆に動力軸700aの回転力が出力ギヤ500、600だけでなく出力ギヤ90にも伝達されるので、高馬力の装置をより効果的に構成することができる。同原理で多数のトーラスクランク機構を別途の方向転換手段を全く介在しなくても同軸的に連結することができるので、高馬力の多重トーラスクランク機構を容易に構成することができてその拡張性に優れるうえ、方向転換手段が追加されないので多重トーラスクランク機構をさらに小型化することができ、全ての出力ギヤを介して回転力が伝達されるので伝動効率もさらに向上する。このような多重トーラスクランク機構において、いずれの場合も、ハウジング組立体100の内部で互いに隣接する出力ギヤ500、600は一体になって出力ギヤ90を構成することが好ましい。
【0072】
また、前記したような多重トーラスクランク機構において、その振動を極小化するために、隣接するコア200の水平軸は全体的に隣接するコアの中心を連結する中心線に対して順次90°ずつ位相差を持つように配置されることが好ましい。
【0073】
また、本発明のクランク機構は、エンジンやアクチュエータ、圧縮機、ポンプなどの他にも各種産業用機械、例えば工作機械などの伝動系統にも効果的に利用でき、これらも本発明の範囲に含まれるべきである。
【0074】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【産業上の利用可能性】
【0075】
以上述べたように、本発明に係るトーラスクランク機構によれば、例えば各種エンジンやアクチュエータ、圧縮機、ポンプなどを構成するにおいて、従来の一般的なクランク機構でのように大きい作動空間を必要とする機械要素、すなわちクランクシャフトなどの部品が不要であり、且つ入力パートと出力パートの中心軸が同一線上に位置するため、体積効率を向上させることができ、同一馬力のエンジンやアクチュエータ、圧縮機、ポンプなどの装置よりその大きさ及び重量を大幅減らすことができる。
【0076】
また、本発明のトーラスクランク機構は、簡単な構造を有し且つ効率の良い作動構造を有するため、低コストの量産が可能なエンジンやアクチュエータ、圧縮機、ポンプなどを製造することができる。
【0077】
また、本発明に係るトーラスクランク機構は、数個のトーラスクランク機構を同軸的に連結する簡単な方法で高馬力のエンジンやアクチュエータ、高容量の圧縮機やポンプを構成することができるなどその拡張性が優れる。
【0078】
また、本発明では、別途の方向転換手段の介在なしで一対の動力軸を互いに同一の方向に回転させることができるうえ、1本の動力軸によっても両側で動力を出力/入力できるように構成することができるため、この場合、複数のトーラスクランク機構を簡単に同軸的に連結して多重トーラスクランク機構を構成することができるので、その拡張性にさらに優れ、同一馬力のものと対比してより効果的な小型化及び構造の単純化を図ることができる。
【0079】
また、出力ギヤが全て同一の方向に回転し、この全ての出力ギヤに動力軸が連結されるように構成される場合、最外側出力ギヤだけでなく、内部の出力ギヤも動力軸に/から回転力を伝達し或いは受けることができるため、さらに高い馬力のエンジンやアクチュエータ、高容量の圧縮機やポンプなどを一層効果的に構成することができる。
【0080】
また、本発明では、ベベルギヤに設置された偏心スライダーが全体的に重心を取るように設けられているため、振動発生を最小化することができ、これにより伝動損失の最小化、耐久性の向上、騒音低減などの効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0081】
この発明の前記及び他の目的、特徴及びその他の利点は、添付図面を参照する次の説明によって明確に理解されるであろう。
【図1】本発明の一実施例に係るトーラスクランク機構を示す分解斜視図である。
【図2】図1に示したトーラスクランク機構の内部の組立状態を示す斜視図である。
【図3】図2の一部を切開して示す斜視図である。
【図4】本発明の一実施例に係るトーラスクランク機構を構成するハウジング組立体とコアとの結合関係を示す平面図である。
【図5】図4のV−V線に沿った断面図である。
【図6】本発明の一実施例に係るトーラスクランク機構を構成するロータの例を示す斜視図である。
【図7】は図6の平面図である。
【図8】図7のVIII−VIII線に沿った断面図である。
【図9】本発明の一実施例に係るトーラスクランク機構を構成するベベルギヤを示す斜視図である。
【図10】本発明の一実施例に係るトーラスクランク機構を構成するベベルギヤを示す平面図である。
【図11】本発明の一実施例に係るトーラスクランク機構を構成するロータとベベルギヤの配置関係を示す平面図である。
【図12】本発明の一実施例に係るトーラスクランク機構の要部であるロータのガイドスロットとベベルギヤの偏心スライダー間の作用を説明するための図である。
【図13】本発明の一実施例に係るトーラスクランク機構のベベルギヤに形成される偏心スライダーの傾斜による作用を説明するための図である。
【図14】本発明の一実施例に係るトーラスクランク機構を構成するベベルギヤの他の例を示す平面図である。
【図15】本発明の一実施例に係るトーラスクランク機構を構成するロータの他の例を示す斜視図である。
【図16】図15に示したロータに適用されるガイド部材の例を示す斜視図である。
【図17】本発明の一実施例に係るトーラスクランク機構におけるベベルギヤと出力ギヤとの噛合い関係を示すための要部切開斜視図である。
【図18】図17の他の例を示す要部切開斜視図である。
【図19】本発明の一実施例に係るトーラスクランク機構における、ベベルギヤに設置される偏心スライダーの偏心位相関係を説明するための斜視図である。
【図20】本発明の一実施例に係るトーラスクランク機構における、ベベルギヤに設置される偏心スライダーの偏心位相関係を説明するための斜視図である。
【図21】本発明の他の実施例に係る多重トーラスクランク機構としてダブルトーラスクランク機構の例を示す分解斜視図である。
【図22】同ダブルトーラスクランク機構における動力出力/入力関係の例を説明するための概略図である。
【図23】同ダブルトーラスクランク機構における動力出力/入力関係の例を説明するための概略図である。
【図24】同ダブルトーラスクランク機構における動力出力/入力関係の例を説明するための概略図である。
【符号の説明】
【0082】
100...ハウジング組立体、
200...コア、
300... ロータ、
315...ガイドスロット、
411...偏心スライダー、
410、420、430、440...ベベルギヤ、
500、600...出力ギヤ
【0001】
【背景技術】
【0002】
クランク機構は、入力される往復直線運動を一方向回転運動に変換して出力する装置として知られている。例えば、入力パートのピストンに連接棒(コネクティングロッド)が連結され、この連接棒に出力パートのクランクシャフトが連結された構造を有するクランク機構を挙げることができる。このようなクランク機構は殆どのエンジンに採用されている。この場合、ピストンの往復直線運動は、クランクシャフトの一方向回転運動に変換される。一方、クランクシャフトを入力パートとすると、クランクシャフトの一方向回転運動をピストンの往復直線運動に誘導することもできる。このような構造のクランク機構が採用されたものとしては、例えば圧縮機やポンプなどを挙げることができる。
【0003】
ところが、上述した一般的なクランク機構は、ピストンの行程距離、連接棒の長さ、クランクシャフトの偏心部の回転による空間などを必要とするため、その体積が大きくなって体積効率が非常に低いうえ、エンジンやアクチュエータ、圧縮機、ポンプなどの全重量が重くなるという欠点がある。かかる欠点は、高馬力のエンジン又はアクチュエータ、高容量の圧縮機又はポンプなどを構成するに際して著しく目立つ。特に、このようなクランク装置が船舶用エンジンに適用される場合、その大きさが極めて肥大になり且つ重量が増加する。したがって、エンジンを製作し難いうえ、製作コストが高くかかる。
【0004】
また、一般的なクランク機構は、入力パートの入力軸と出力パートの出力軸が、相異した方向及び場所に二元化されており、多数の運動要素で発生する摩擦抵抗などの要因により振動及び騒音が激しい。また、このようなクランク機構は製作及び効率の面で経済的ではないという問題点がある。
【0005】
また、一般的なクランク機構を用いたエンジンは、転覆の際、クランク室内の潤滑油がシリンダヘッド側に逆流することにより停止してしまう。これにより、燃焼室、シリンダ及びピストンの機械的な損失をもたらすという問題もある。
【0006】
このような一般的なクランク機構の欠点を補完するための方案として、様々な形のロータリエンジンが紹介された。ロータリエンジンの殆どは、従来のクランク機構に関連した根本的な欠点を減らすと共に、燃料効率の面で経済的で軽量であるエンジンを提供する目的で提案されたが、商業的な面であまり効用性がなくて商品化に適していない。商品化に最も近接したものとしては、いわゆるバンケル(Wankel)エンジンがある。このようなバンケルエンジンは、駆動軸組立体の周りのシリンダハウジングに設けられたトロイダル(toroidal)シリンダと、駆動軸組立体の周りに回転可能に支持されると同時にトロイダルシリンダに結合し、回転ブレードが互いに近く或いは遠くなるように動いてトロイダルシリンダとの間に膨張及び収縮作業チャンバを形成するロータ手段と、ハウジング組立体を介して延長されており、流体を作業チャンバに対して流入又は排出させる吸気ポート及び排気ポートとを含んでなることが一般的である。また、ロータリエンジンのうち、一部はシリンダの内部を移動するロータ手段を選択的に運動させるために、外部機構を利用し、他の一部は必要とする駆動要素を機構的に結合するために回転傾斜板とカムなどを利用することもある。
【0007】
従来のバンケルエンジンは、前述した一般的なクランク機構の問題点をある程度解消することはできるが、作動上、非効率的な構造を持っており、最適の出力分配が持続的に行われないという問題点を有する。このため、バンケルエンジンは、車両用エンジン又は量産される産業用軽量エンジンのような通常の往復ピストンエンジンを代替することが可能なものとして広く用いられていない。しかも、バンケルエンジンは、高速では出力性能がある程度良いという利点はあるが、低速では出力性能が一般的なクランク機構を用いたエンジンに比べて著しく劣るという欠点がある。
【0008】
従来のバンケルエンジンは、通常、一般的なクランク機構のクランクシャフトとはやや異なるが、クランクシャフトの作動原理を用いた伝動構造を取っている。このような理由で、エンジンの体積が大きくなることは回避することができず、これにより一般的なクランク機構の体積効率低下問題を完全に解消することはできなかった。この他にも、従来のバンケルエンジンは、複雑で精巧な製造及び組立工程を必要とするため、量産が難しく、製作コストが高くかかるという問題点がある。
【0009】
かかる問題点を改善するために、本発明者によって同軸型往復エンジンが提案されたことがある(韓国登録特許第292988号(対応特許:米国特許第6,186,095号)参照)(特許文献1)。
【0010】
この同軸型往復エンジンは、第1及び第2円形板からなり、第2円形板には多数の固定ブロックが取り付けられた第1ステータ、第3及び第4円形板からなり、所定の間隔で第1ステータと対向して配置された第2ステータ、これらの第1及び第2ステータを取り囲む円形ハウジング、前記第1ステータの外側に配置されるプレート及び多数の支持片を介して前記プレートと対向して配置され、ハウジングの遊動を防止するカバーとからなるハウジング組立体と、前記ハウジング組立体の内部に取り付けられ、膨張及び収縮作業チャンバを形成する多数の回転ブレードを有するロータと、前記ロータの内部に固定されたギヤボックスと、前記ギヤボックスに回転可能に取り付けられている出力軸と、前記ロータの回転力を駆動軸を介して前記出力軸へ伝達する伝動ユニットとを含んでなる。前記伝動ユニットは、前記ロータの内側面に対向して固定され、ガイドチャネルを有するガイドレールと、前記ガイドレールに沿って上下に移動するガイドスロット付スライダーと、一端には前記スライダーのボールが挿入されるボールシートが設けられ、他端には平坦部の締結孔に回動可能に結合する締結孔を有する延長部が設けられたボールハウジングとから構成される。このような同軸型往復エンジンによれば、ハウジング組立体に取り付けられたロータの往復回転揺動運動が伝動ユニットを介して出力軸の一方向回転運動に変換されて伝達される。
【0011】
ところが、前記のような同軸型往復エンジンは、理論的には、必要とする動力を得るに十分な構造をもっているが、伝動ユニットを構成する構成部品数が多く、特に多数のリンクが設置されることにより構造的に弱いため、高速及び高トルクのエンジンを構成することが難しい。また、ロータと出力軸間の距離が長くて大きいモーメントが発生し、伝動ユニットとリンクの回転中心軸が相異するため、構造的に非常に不安で振動が激しい。また、多数のリンク及びギヤボックスを備えなければならないため、全体的な体積が大きくなり、ギヤボックスの固定が不安定であるという構造的な弱点も持つ。その上、燃焼時に発生する内方(ハウジングの中心軸方向)への圧力を支持することが可能な構造が備えられていないため、ロータの変形及び慣性損失が大きい。
【特許文献1】
韓国登録特許第292988号(対応特許:米国特許第6,186,095号)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
従って、本発明は、かかる問題点に鑑みて創案されたもので、その目的は、入力パートと出力パートの中心軸が同一線上に位置し、入力パートの往復揺動運動を出力パートの一方向回転運動に変換し、或いは入力パートの一方向回転運動を出力パートの往復揺動運動に変換することにより、体積効率を向上させることが可能なトーラスクランク機構を提供することにある。
【0013】
本発明の他の目的は、機械要素間の滑り摩擦部分が少なくて機構学的慣性損失、振動及び騒音を減らすことができ、簡単な構造を有し且つ機械的な強度及び耐久性に優れるから効率的な伝動構造を図ることができるうえ、組立及び製作が容易であって低コストの量産が可能なエンジンやアクチュエータ、圧縮機、ポンプなどを構成することが可能なトーラスクランク機構を提供することにある。
【0014】
本発明のさらに他の目的は、振動を極小化することが可能なトーラスクランク機構を提供することにある。
【0015】
本発明のさらに他の目的は、両方で動力を出力或いは入力するための両方動力軸が、別途の方向転換手段又はクランキング作用のための複雑なリンク機構を介在することなく、同一の方向に回転させることが可能なトーラスクランク機構を提供することにある。
【0016】
本発明のさらに他の目的は、両方動力軸を同一の方向に回転させることにより、動力出力効率及び動力入力効率を高めると共に、多数のハウジング組立体を同軸的に連結して多重トーラスクランク機構を容易に構成することを可能とすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記目的を達成するために、本発明に係るトーラスクランク機構は、少なくとも一つの密閉チャンバを提供するハウジング組立体と、前記ハウジング組立体の中央部に配置され、上部及び/又は下部に突出する垂直軸及び横方向に突出する少なくとも1本の水平軸を有するコアと、前記チャンバ内に位置する回転ブレードが備えられてコアの外側で往復回転揺動運動を行うようにハウジング組立体に設置され、内周面には少なくとも1つのガイドスロットを有するロータと、前記ガイドスロットに回転スライド可能に収容される偏心スライダーが備えられ、コアの水平軸に回転可能に支持される少なくとも一つのベベルギヤと、前記コアの垂直軸のいずれか1本又は全てに回転可能に支持される出力ギヤとを含んでなることを特徴とする。
【0018】
本発明によれば、前記ハウジング組立体は、円形空間部を備えた上面、貫通孔を備えた下面及び側面の外郭プロファイルを有するハウジングボディと、前記ハウジングボディの上/下面にそれぞれ結合する第1及び第2カバーと、前記チャンバを形成するために前記円形空間部を区画するように円形空間部内に設置される少なくとも2つの固定ブロックとを備え、前記コアはハウジングボディの下面から上面へ延長される多数の支持片によってハウジングボディと一体になることが好ましい。
【0019】
また、前記ロータのガイドスロットの両側壁に回転スライド可能に収容された偏心スライダーによるガイドスロットの両側壁の磨耗を防止するために、前記ガイドスロットの両側壁には、ロータの材質より高い硬度及び強度を有する材質からなるガイド部材がさらに設置できる。
【0020】
また、前記ベベルギヤの偏心スライダーは、ガイドスロットのいずれの位置でも前記偏心スライダーが常にハウジング組立体の中心を向かうように、一定の角度で傾くように設けられることが好ましい。また、前記ベベルギヤの偏心スライダー形成面には、ロータの曲率半径と同一の曲率半径を有するガイド部が一体に設けられ、前記ガイド部の形成面とは反対側の面には、ベベルギヤ回転時のバランス維持のためのバランスウェイト部が設けられることができる。ベベルギヤに前記ガイド部が設けられた場合、ガイドスロットに設置されるガイド部材の前面には、ベベルギヤのガイド部と同一の曲率半径をもって湾曲される弧形支持部が設けられることが好ましい。また、前記偏心スライダーがガイドスロット内で円滑に移動できるように、偏心スライダーにはガイドローラがさらに設置できる。
【0021】
本発明の好適な実施例によれば、前記ハウジング組立体は、少なくとも2つのチャンバを有する。前記コアには前記チャンバ内に位置する少なくとも2つの回転ブレードが備えられる。ロータはコアの外側で往復回転揺動運動を行うようにハウジング組立体に設置される。前記コアの内周面には少なくとも2つのガイドスロットが対向して配設され、コアの水平軸には少なくとも2つのベベルギヤが回転可能に支持される。
【0022】
また、本発明の好適な他の実施例によれば、前記ハウジング組立体は少なくとも4つのチャンバを有し、前記コアには前記チャンバ内に位置する少なくとも4つの回転ブレードが備えられる。ロータはコアの外側で往復回転揺動運動を行うようにハウジング組立体に設置される。前記コアの内周面には少なくとも4つのガイドスロットが対向して配設され、コアの水平軸には少なくとも4つのベベルギヤが回転可能に支持される。
【0023】
また、本発明に係るトーラスクランク機構は、ロータを入力パートとする場合、各種産業用エンジンやアクチュエータを構成することができる。また、出力ギヤを入力パートとする場合、圧縮機やポンプなどを構成することができる。いずれの場合も、本発明のトーラスクランク機構では、入力パートと出力パートの中心軸が同一線上に位置し、また従来の一般的なクランク機構のように大きい作動空間を必要とするクランクシャフトなどの機械要素を必要としないため、構造的な単純化は勿論、重量及び体積効率を向上させることができ、これにより同一馬力のエンジンやアクチュエータ、圧縮機、ポンプなどの大きさ及び重量を大幅減らすことができる。
【0024】
また、本発明に係るトーラスクランク機構は、簡単な構造を有し且つ効率の良い作動構造を有するため、低コストの量産が可能なエンジンやアクチュエータ、圧縮機、ポンプなどを実現することができる。
【0025】
前記のように構成される本発明のトーラスクランク機構において、多数のベベルギヤが採用される場合、前記ベベルギヤの各偏心スライダーの偏心位相はいずれか一つのベベルギヤの回転方向に対して順次180°ずつずれるようになっていることが好ましい。この場合、各ベベルギヤに備えられた偏心スライダーの偏心位相による重心偏差が、隣り合うベベルギヤの対向するベベルギヤ対によって相殺されるので、ロータのガイドスロット内で偏心スライダーが運動するときに発生する振動を減らすことができる。
【0026】
また、前記ベベルギヤは、上/下部出力ギヤと交互に噛み合うことが好ましい。この場合、上部出力ギヤに噛み合ったベベルギヤの回転方向と下部出力ギヤに噛み合ったベベルギヤの回転方向とが互いに反対となるので、上/下部出力ギヤの回転方向は互いに同一になる。これにより、上/下部出力ギヤに連結される2本の動力軸も同一の方向に回転することができる。
【0027】
また、本発明によれば、上/下部出力ギヤが同一の方向に回転するという点を考慮し、前記上/下部出力ギヤ及びコアに同軸的に中空が設けられることもある。この場合、コアの中空を1本の動力軸が回転可能に貫通し、前記動力軸の両側は上/下部出力ギヤを貫通して結合できる。したがって、この場合、前記1本の動力軸によって両側で動力を出力或いは入力することができる。
【0028】
また、本発明によれば、このように構成されたトーラスクランク機構を少なくて2つ以上同軸的に連結することにより、多重トーラスクランク機構を簡単に構成することができる。すなわち、高馬力のエンジンやアクチュエータ、或いは高容量の圧縮機やポンプを構成する際にその拡張性が優れる。この場合、前記出力ギヤのうち、ハウジング組立体の内部で隣り合う出力ギヤは一体になることが好ましい。
【0029】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではなく、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【発明の効果】
【0030】
以上の説明から明らかなように、本発明に係るトーラスクランク機構によれば、例えば各種エンジンやアクチュエータ、圧縮機、ポンプなどを構成するにおいて、従来の一般的なクランク機構でのように大きい作動空間を必要とする機械要素、すなわちクランクシャフトなどの部品が不要であり、且つ入力パートと出力パートの中心軸が同一線上に位置するため、体積効率を向上させることができ、同一馬力のエンジンやアクチュエータ、圧縮機、ポンプなどの装置よりその大きさ及び重量を大幅減らすことができる。
【0031】
また、本発明のトーラスクランク機構は、簡単な構造を有し且つ効率の良い作動構造を有するため、低コストの量産が可能なエンジンやアクチュエータ、圧縮機、ポンプなどを製造することができる。
【0032】
また、本発明に係るトーラスクランク機構は、数個のトーラスクランク機構を同軸的に連結する簡単な方法で高馬力のエンジンやアクチュエータ、高容量の圧縮機やポンプを構成することができるなどその拡張性が優れる。
【0033】
また、本発明では、別途の方向転換手段の介在なしで一対の動力軸を互いに同一の方向に回転させることができるうえ、1本の動力軸によっても両側で動力を出力/入力できるように構成することができるため、この場合、複数のトーラスクランク機構を簡単に同軸的に連結して多重トーラスクランク機構を構成することができるので、その拡張性にさらに優れ、同一馬力のものと対比してより効果的な小型化及び構造の単純化を図ることができる。
【0034】
また、出力ギヤが全て同一の方向に回転し、この全ての出力ギヤに動力軸が連結されるように構成される場合、最外側出力ギヤだけでなく、内部の出力ギヤも動力軸に/から回転力を伝達し或いは受けることができるため、さらに高い馬力のエンジンやアクチュエータ、高容量の圧縮機やポンプなどを一層効果的に構成することができる。
【0035】
また、本発明では、ベベルギヤに設置された偏心スライダーが全体的に重心を取るように設けられているため、振動発生を最小化することができ、これにより伝動損失の最小化、耐久性の向上、騒音低減などの効果を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではなく、また実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【実施例】
【0037】
図1ないし図5では、本発明に係るトーラスクランク機構において、参照符号100はハウジング組立体、200はコア、300はロータ、410、420、430及び440はベベルギヤ、500及び600は出力ギヤをそれぞれ示し、ここでは、便宜上、4つのベベルギヤ410〜440が本発明に係るトーラスクランク機構に適用されたものを例示する。
【0038】
前記ハウジング組立体100の中央部にはコア200が配置され、このコア200の外側にロータ300が往復回転揺動運動可能に配置される。ベベルギヤ410〜440は前記コア200の側面に回転可能に設置され、出力ギヤ500、600は前記コア200の上下部に回転可能に設置される。
【0039】
前記ハウジング組立体100は、ハウジングボディ110と第1及び第2カバー120、130と多数(ここでは4つが例示される)の固定ブロック141〜144とを備える。前記ハウジングボディ110は、上面111、下面112及び側面113を備える略筒状のプロファイルを有する。ハウジングボディ110の形状は、四角筒状に限定されず、円筒状にすることもできるなど、必要に応じて形態変更が可能である。前記ハウジングボディ110の上面111には一定の深さの円形空間部111aが設けられ、前記下面112には貫通孔112aが設けられる。前記第1及び第2カバー120、130はハウジングボディ110の上/下面111、112にそれぞれ結合する。前記多数の固定ブロック141〜144は前記円形空間部111aを多数の空間に区画するように円形空間部111aに等間隔で設置される。例えば、固定ブロック141〜144はハウジングボディ110に一体に取り付けられることもでき、別途に製作されてハウジングボディ110に結合することもできる。前記固定ブロック141〜144が円形空間部111aを区画することにより、ハウジングボディ110には少なくとも一つ(ここでは4つが例示される)のチャンバ145〜148が設けられる。ここで、前記チャンバ145〜148は、図示例のような縦断面四角形にすることも、縦断面円形にすることもできる。すなわち、前記チャンバ145〜148は固定ブロック141、144の形状に応じて様々な変形が可能である。
【0040】
前記コア200には、少なくとも一つ(ここでは4つが例示される)のベベルギヤ410〜440及び少なくとも一つ(ここでは2つが例示される)の出力ギヤ500、600を回転可能に支持するため、4つの水平軸211〜214及び2つの垂直軸215、216が順次一体に設けられる。ここで、前記水平軸211〜214には多数のベベルギヤ410〜440がそれぞれ回転可能に支持され、前記垂直軸215、216には出力ギヤ500、600が回転可能に支持される。このようなコア200は、ハウジングボディ110の下面112から上面111へ延長される多数の支持片221〜224によってハウジングボディ110と一体に設けられることが好ましいが、これに必ずしも限定されるものではない。例えば、前記コア200は、ハウジングボディ110とは別途に製作され、第1及び第2カバー120、130によってハウジングボディ110に組み立てられるように構成することもできる。ここで、前記支持片221〜224はコア200を中心として上下対称に設けられることが好ましい。
【0041】
前記ロータ300は、ハウジング組立体100のハウジングボディ110に設けられた円形空間部111a内に両方向に回転可能に設置される。このロータ300は、図6ないし図8に示すように、リング状のロータ体310と、前記ロータ体310の外側に設けられ、ハウジングボディ110の円形空間部111aの多数のチャンバ145〜148内に位置すると共に前記各チャンバの幅より小さい幅を持つ多数の回転ブレード311〜314とを含んでなる。また、ロータ体310の内周面(好ましくは回転ブレード311〜314)には多数のガイドスロット315〜318が設けられる。前記ガイドスロット315〜318は対向して配設されることが好ましい。前記ハウジング組立体100のチャンバ145〜148を例えば一般的なエンジンや圧縮機などのシリンダボアと比較する場合、このようなロータ300の回転ブレード311〜314はピストンに相当する。したがって、ロータ300は、軽量であるほど有利であるという点を考慮し、その材質をアルミニウム合金類などにすることが好ましい。また、各回転ブレード311〜314の内部を中空にすることが好ましい。回転ブレード311〜314にガイドスロット315〜318が設けられた場合、回転ブレード311〜314の中空はガイドスロット315〜318と連通してはならない。
【0042】
図9、図10及び図13に示すように、コア200の水平軸211〜214に回転可能にそれぞれ支持されるベベルギヤ410〜440の一側面には、前記ロータ300のガイドスロット315〜318に回転スライド可能に収容される偏心スライダー411、421、431、441がベベルギヤ410〜440の中心軸から一定量偏心して設けられる。したがって、前記ロータ300が往復回転揺動運動を行うと、ガイドスロット315〜318と偏心スライダー411、421、431、441のスコッチヨーク(Scotch yoke)のような作用により、ベベルギヤ410〜440はいずれか一方向のみに回転する。また、多数のベベルギヤ310〜440はガイド部412、バランスウェイト部413及び多数の中空部414を備えることができる。前記ガイド部412は、各ベベルギヤの偏心スライダー形成面に、前記ロータ300の内周面の曲率半径rと同一の曲率半径r1を有する円弧面の形で設けられることが好ましい。したがって、各ベベルギヤの回転時、ガイド部412がロータ300の内周面と摺接するので、ベベルギヤの位置が安定的に保たれることができる。また、各ベベルギヤに設けられたガイド部412は、本発明のトーラスクランク機構がエンジンに適用される場合、チャンバ145〜148内における燃焼過程で内方に、すなわちロータ300の壁にガス圧力が加わるとき、ハウジング組立体100の中心軸方向の圧力を支持する役割も兼ねる。したがって、ロータ300の変形及び慣性損失を防止することができる。前記バランスウェイト部413は例えば、ベベルギヤ410の内側面(偏心スライダー411形成面の反対面をいう)のうち偏心スライダー411形成部位の反対側に位置することが好ましい。そして、前記中空部414はベベルギヤの減量及び前記バランスウェイト部と同一の目的で備えられるもので、前記バランスウェイト部413の反対側に位置するようにベベルギヤを貫通して設けられることもできる。
【0043】
このように構成された多数のベベルギヤ410〜440は、図11に示すように、ベベルギヤ410〜440の偏心スライダー411、421、431、441がロータ300のガイドスロット315〜318に挿入されるように、コア200の水平軸211〜214(図3及び図4参照)に回転可能にそれぞれ支持される。この際、ベベルギヤ410〜440の各ガイド部412は、ロータ300の内周面の曲率半径rと同一の曲率半径r1を有する円弧状に設けられているため、ロータ300の内周面に接触することになる。このような状態で前記ロータ300が往復回転揺動運動を行うと、図12に示すように、例えばロータ300のガイドスロット315内でベベルギヤ410の偏心スライダー411が円弧を描きながら空転する。このようなガイドスロット315と偏心スライダー411の作用によってベベルギヤ410が一方向に回転する。残りの偏心スライダー421、431、441も同様に運動するので、その詳細な説明は省く。
【0044】
次に、ガイドスロット315と偏心スライダー411の作用を具体的に説明する。すなわち、図12に示すように、ガイドスロット315の第1位置Aに位置した偏心スライダー411は、ロータ300が図上で左の方に動くと、第1矢印方向aに沿って移動し、ガイドスロット315の第2位置Bに移動する。そして、ロータ300が方向を変えて図上で右の方に動き始めると、偏心スライダー411は第2及び第3矢印方向b、cに沿って移動しながら、第3位置Cを過ぎて第4位置Dまで移動する。その後、ロータ300がさらに図上で左の方に移動するとき、偏心スライダー411は第4矢印方向dに沿って移動して初期位置に移動する。このような偏心スライダー411のガイドスロット315内における空転によって、ベベルギヤ410はコア200の水平軸211を中心として回転する。
【0045】
一方、ベベルギヤ410は、偏心スライダーとガイドスロットとの間で初期作動状態に応じて時計方向に回転することもできる。
【0046】
前記ベベルギヤ410の偏心スライダー411は、図10及び図13に示すように、その中心軸から延長される線Lがハウジング組立体100の中心軸Pと交叉するように所定の角度で傾くように設けられる。これにより、偏心スライダー411がガイドスロット315内のいずれの位置でも常にハウジング組立体100の中心軸を向かうので、ヒンジ又はボールジョイントなどの機械要素を使用しなくても、機構学的適合条件を満足させることができる。その結果、トーラスクランク機構の構造的な単純化及び作動の円滑性を図ることができる。
【0047】
図14は、本発明に使用されるベベルギヤの他の例を示す図である。図14に示すように、例えばベベルギヤ410の偏心スライダー411には、ガイドスロット315内で回転スライドするとき、より円滑に作動させるためのガイドローラ411aがベアリングを介して設置されている。また、例えばベベルギヤ410にバランスウェイト部413を形成することにより、バランスウェイト部形成面に段差が発生する。このような段差は、ベベルギヤ410がその結合相手(すなわち、コア200の側面)に均等に接触することを妨げるので、例えばベベルギヤの回転の障害要因になる。このようなベベルギヤの段差による影響を減らすため、図14に点線で表示したように、ベベルギヤ410のバランスウェイト部形成面にこのバランスウェイト部413と同一の高さを有する軽量材の肉盛部413aを設けている。この肉盛部413aは中空部414を用いて結合できるように構成される。
【0048】
一方、本発明に係るトーラスクランク機構において、前記ロータ300は、その特性上、アルミニウム合金類などで製作することが好ましいが、このため、硬度及び強度が弱くて、ガイドスロット315〜318で回転スライドするベベルギヤ410〜440の偏心スライダー411、421、431、441によるガイドスロット315〜318の両側壁の磨耗が発生する虞がある。本発明に係るトーラスクランク機構は、図15に示すように、ロータ300のガイドスロット315〜318の両側壁にロータ300の材質より高い強度及び軽度を有する材質からなるガイド部材321〜324を取り付けてガイドスロット315〜318の両側壁の磨耗を防止することができるように構成されている。
【0049】
前記ガイド部材321〜324は全て同一の構造で出来ているので、一つのガイド部材321についてのみ説明する。図16に示すように、前面部321aと後面部321bが連結部321cによって一体に連結された構造を有する。このようなガイド部材321は、連結部321cがガイドスロット315の壁にスクリューなどのような固定要素に締結されることにより設置されることもできる。そして、前記前面部321aにはベベルギヤ410のガイド部412と同一の曲率半径をもって湾曲される弧形支持部321dが設けられる。この弧形支持部321dはベベルギヤ410のガイド部412と面接触する。これにより、ベベルギヤ410は、そのガイド部412がロータ300の内周面と線接触すると共に前記ガイド部材321の弧形支持部321dと面接触する状態でコア200の軸211に支持されるので、ベベルギヤの位置が安定的に支持されることができる。例えば、エンジンを構成する場合、ロータ300の壁によって加わる燃焼ガス圧力をより効果的に保持することができる。ここで、前記ガイド部材321は2つ一組の一体型に構成されても構わない。
【0050】
図1ないし図3に示すように、出力ギヤ500、600は、前記コア200の垂直軸215、216に前記ベベルギヤ410〜440と噛み合うように設けられ、ベベルギヤの回転によって回転する。この際、4つのベベルギヤ410〜440が2つの出力ギヤ500、600に全て噛み合っている場合、出力ギヤ500、600は互いに反対方向に回転するので、出力ギヤ500、600に連結される2つの動力軸700、700も互いに反対方向に回転する。この場合、いずれか一つのみ500を出力ギヤとし且つもう一つ600を空回転させるか、或いは別途のギヤトレインなどを用いて2つの出力ギヤ500、600を同方向に回転させることができるなど、必要に応じて様々な適用が可能である。
【0051】
また、2つの動力軸700、700を同一の方向に回転させるために、いずれか1本の動力軸にギヤトレインのような方向転換手段をさらに介在して回転方向を逆に変える代りに、より単純で効果的に、別途の方向転換手段を介在することなく、2本の動力軸700、700を同一の方向に回転させることができる。すなわち、図17に示すように、4つのベベルギヤ410〜440のうち、向かい合うベベルギヤ410、420が例えば上部出力ギヤ500に噛み合い、前記ベベルギヤ410、420と隣接して向かい合うベベルギヤ430、440が下部出力ギヤ600に噛み合うと、2つのベベルギヤ410、420は例えば反時計方向に回転し、2つのベベルギヤ430、440は時計方向に回転する。したがって、上/下部出力ギヤ500、600が、上方からみて、時計方向に回転することにより、2本の動力軸700、700が同一の方向に回転することができる。ここでは、4つのベベルギヤ410〜440に対して2本の動力軸700、700が同一の方向に回転するように出力ギヤ500、600と噛み合う構造について説明したが、これに限定されず、4倍数のベベルギヤが採用される構造であれば、同一に適用することができる。例えば、8つのベベルギヤが採用された場合にも、隣接して向かい合うベベルギヤ対が上/下部出力ギヤ500、600と交互に噛み合うと、上/下部出力ギヤ500、600の回転方向は互いに同一であり、これにより出力ギヤ500、600に連結される2本の動力軸700、700も同一の方向に回転することができる。
【0052】
このように出力ギヤ500、600の回転方向が同一の場合、図18に示すように、出力ギヤ500、600及びコア200に同軸的に中空が設けられると、前述したように2本の動力軸700、700を採用する必要がなく、1本の動力軸700aを採用することができる。すなわち、動力軸700aがコア200の中空を回転可能に貫通し、前記動力軸700aの両側に出力ギヤ500、600がその中空を介して結合すると、1本の動力軸700aのみでも両側の動力を出力又は入力することができる。また、図20に示すように、1本の動力軸700aによって一方に動力を出力或いは入力する場合にも、動力軸700aが2つの出力ギヤ500、600に結合しているので、小型の高性能トーラスクランク機構を得ることができる。
【0053】
一方、本発明において、図19及び図20に示すように、前記ベベルギヤ410〜440の偏心スライダー411、421、431、441の偏心位相は、いずれか一つのベベルギヤの回転方向に対して順次180°ずつずれるのが好ましい。いずれの場合も、偶数個のベベルギヤが採用された構造であれば、前述と同様に適用できる。したがって、各ベベルギヤ410〜440に備えられた偏心スライダー411、421、431、441の偏心位相による重心偏差が、隣接するベベルギヤのうち向かい合うベベルギヤ対によって全体的に相殺される。すなわち、ロータ300のガイドスロット315〜318内で偏心スライダー411、421、431、441が運動するとき、偏心スライダー411、421、431、441が全体的にいずれか一方に偏ることなく、均衡を保って運動するが、例えば図19のように一対の偏心スライダー411、421が、往復回転揺動運動するロータ300のガイドスロット315、316内で例えば反時計方向に回転して下方に位置(図20参照)するとき、これとは逆に、他の一対の偏心スライダー431、441は時計方向に回転して上方に位置(図20参照)する。このような方式で偏心スライダー411、421、431、441が回転する間、上下左右方向の振動が相殺されるので、振動を極小化することができる。また、偏心スライダー411、421、431、441に結合して往復回転揺動するロータ300のガイドスロット315〜318部分の上下振動も相殺されて極小化されることにより、出力減少誘発要因を最小化することができる。
【0054】
一方、図1ないし図3において、符号150は、例えば本発明のトーラスクランク機構を用いてエンジンを構成する場合、点火プラグなどの部品を設置するためにハウジング組立体100のハウジングボディ110に設けられる部品設置空間である。
【0055】
このように構成される本発明に係るトーラスクランク機構は、車両用エンジンを含む各種産業用エンジンやアクチュエータ、流体を圧縮する圧縮機、流体をポンピングするポンプなどに広範囲に適用することができる。このような適用例を考察すると、次の通りである。
【0056】
まず、本発明に係るトーラスクランク機構が動力発生装置としてのエンジン及びアクチュエータに適用される場合について説明する。
【0057】
この場合、ハウジング組立体100の各チャンバ145〜148はエンジンのシリンダボアに相当する。また、前記チャンバ145〜148内に位置するロータ300の回転ブレード311〜314はエンジンのピストンに相当する。したがって、前記チャンバ145〜148を区画する固定ブロック141〜144の両側に給排気機構及び点火機構(図示せず)などを構成すると、チャンバ145〜148内における燃焼サイクルが連続的に行われると共に、燃焼ガス圧力によってロータ300がハウジング組立体100内で往復回転揺動運動を行う。この際、4つのチャンバ145〜148において、前記のような作用が同時に同一に行われる。すなわち、各チャンバにおいて対応する各回転ブレードを中心としてその両側で前記のような動作が行われるので、4つのチャンバ145〜148を有するトーラスクランク機構の場合、1つのチャンバ内で回転ブレードがダブルアクティング(double acting)を行うため、内燃機関の8気筒に相当する。すなわち、同一馬力の一般的な内燃機関に比べてエンジンの大きさと重量を大幅減少させることができる。
【0058】
前記のようにハウジング組立体100の内部で往復回転揺動運動を行うロータ300のガイドスロット315〜318には、コア200の水平軸211〜214に設置されたベベルギヤ410〜440の偏心スライダー411、421、431、44が収容されているので、ロータ300の往復回転揺動運動に従って前記偏心スライダー411、421、431、441がガイドスロット315〜318で回転スライドしながら空転する。これにより、ベベルギヤ410〜440が一方向に回転し、このベベルギヤ410〜440の回転力は、コア200の垂直軸215〜216に回転可能に設置されてベベルギヤ410〜440と噛み合う出力ギヤ500、600に伝達される。
【0059】
このような伝動過程において、上/下部出力ギヤ500、600がベベルギヤ410〜440に噛み合っている場合には、2つの動力軸700、700は互いに反対方向に回転する。ところが、上部出力ギヤ500にはベベルギヤ410、420が噛み合い、下部出力ギヤ600にはベベルギヤ430、440が噛み合っている場合にはベベルギヤ410、420の回転方向とベベルギヤ430、440の回転方向とが互いに反対になり、出力ギヤ500、600が同一の方向に回転する。従って、後者の場合には、出力ギヤ500、600に2本の動力軸700、700が連結される場合、又は出力ギヤ500、600に1本の動力軸700aが連結される場合など、いずれの場合も問わず、動力軸700、700又は動力軸700aは出力ギヤ500、600の回転方向と同一の方向に回転することができる。すなわち、別途の方向転換手段を介在しなくても、両側で同一方向の回転力を出力/入力することができる。
【0060】
次に、本発明に係るトーラスクランク機構が動力発生装置とは逆に駆動手段を介して動力の入力を受けて所定の機能を行う装置、例えば圧縮機又はポンプに適用する場合について説明する。
【0061】
この場合、前記出力ギヤ500及び/又は600が入力パートになり、ロータ300が出力パートになる。
【0062】
2つの出力ギヤ500、600が全てベベルギヤ410〜440に噛み合っている場合を考察すると、いずれか一つの出力ギヤの動力軸700のみをモータのような駆動手段によって回転させる。従って、動力軸700によっていずれか一つの出力ギヤが回転するにつれて、ベベルギヤ410〜440を介してロータ300が往復回転揺動運動を行うことができる。また、2つの出力ギヤを全て回転させようとする場合には、残り一つの出力ギヤの動力軸は方向転換手段を介して反対方向に回転させる。したがって、2つの出力ギヤ500、600は互いに反対の方向に回転するにつれて、ベベルギヤ410〜440はいずれか一つの方向に回転する。前述したように、このベベルギヤ410〜440の運動によるロータ300のガイドスロット315〜318に配置された偏心スライダー411の運動によってロータ300が往復回転揺動運動を行うことができる。
【0063】
一方、上部出力ギヤ500にはベベルギヤ410、420が噛み合い、下部出力ギヤ600にはベベルギヤ430、440が噛み合っている場合には、駆動手段によっていずれか一つの出力ギヤの動力軸700のみを回転させるか、別途の方向手段の介在なしで2本の動力軸700、700を全て同一の方向に回転させ、動力軸700aが適用された場合には、別途の方向手段の介在なしで前記動力軸700aを回転させる。例えば、いずれか1本の動力軸700のみを回転させる場合には、いずれか一つの出力ギヤに噛み合っている2つのベベルギヤによってロータ300が往復揺動回転運動を行うことができ、2本の動力軸700、700を回転させるか或いは動力軸700aを回転させる場合には、出力ギヤ500に噛み合っているベベルギヤ410、420及び出力ギヤ600に噛み合っているベベルギヤ430、440が一方向に回転することにより、ロータ300が往復回転揺動運動を行うことができる。
【0064】
このように運動するトーラスクランク機構を圧縮機又はポンプなどに適用する際、ハウジング組立体100のチャンバ145〜148の両側に位置する固定ブロック141、144に流体吸入/排出機構(図示せず)がそれぞれ構成されると、ロータ300が例えば時計方向に回転するときには、回転ブレードを中心としてチャンバのうちいずれか一側は流体を吸入し、他側は流体を圧縮して排出する。また、ロータ300が反時計方向に回転するときには、前記の反対動作が行われる。このような各回転ブレードのダブルアクティング動作が繰り返し行われることにより、各チャンバは各回転ブレードによって区画されたままで流体を吸入して圧縮又はポンピングする2つの気筒として機能するので、小型である反面、高性能を発揮することが可能な圧縮機又はポンプなどを提供することができる。
【0065】
一方、以上では、前記ハウジング組立体100に4つのチャンバ145〜148が設けられ、ロータ300も4つの回転ブレード311〜314を有すると共に4つのベベルギヤ410〜440が適用された8気筒トーラスクランク機構について示されているが、これは本発明の好適な実施例を説明するためのものに過ぎず、チャンバは一つのみが形成されることもできる。一つのチャンバを有する本発明のトーラスクランク機構の場合、例えば水族館用圧縮機又は人工心臓などの小型圧縮機に有利に適用できる。特に、偶力を誘発するために対向方向に対を成すようにチャンバが設けられることが、本発明の一目的、すなわち振動の最小化及び両側に同一方向の回転力を出力又は入力する目的を達成するために好ましい。ハウジング組立体のチャンバを2つ、4つ、6つ、8つなどのように偶数個に増加させると、エンジンの動力、アクチュエータ、圧縮機及びポンプの容量が倍加できる。このような場合にも、ハウジング組立体100又はロータ300の大きさにはあまり変化がないので、例えば船舶用エンジンなどの場合に同一馬力の一般エンジンに比べてその大きさ及び重量を著しく小さくすることができる。
【0066】
ここでは図示又は説明していないが、両側で同一方向の回転力を出力/入力するためのものであれば、例えば2つのベベルギヤが適用できる。すなわち、上部出力ギヤ500には一つのベベルギヤが、下部出力ギヤ600には他のベベルがそれぞれ噛み合っている形のトーラスクランク機構を提供することができ、これも本発明の範囲に含められるべきである。
【0067】
一方、図21には、本発明に係る多重トーラスクランク機構を多数個同軸的に連結してなる多重トーラスクランク機構のうち2つのトーラスクランク機構を同軸的に連結してなるダブルトーラスクランク機構が示されている。以下、図21ないし図24を参照して、本発明に係るトーラスクランク機構の別の利点である容易な拡張性について説明する。
【0068】
図21に示すように、本発明に係る多重トーラスクランク機構は、前述した少なくとも2つのトーラスクランク機構10、20が同軸的に連結されて構成される。各トーラスクランク機構10、20の基本的な構成及び作用は、前述と同様なので、同一の参照符号を付し、ここでの具体的な説明を省く。
【0069】
例えば、図21に示したダブルトーラスクランク機構の動力出力構造を説明する。ベベルギヤ410〜440に出力ギヤ500、600が全て噛み合っている場合には、図22に示すように、第1及び第2トーラスクランク機構10、20のうちその中央部で互いに隣接する2つの出力ギヤ500、600に亘って1本の動力軸700が連結され、他の出力ギヤ500、600が前記動力軸700に対して空回転する構造を採用することができる。この場合、動力軸700に連結される2つの出力ギヤ500、600は、一体に設けられて出力ギヤ90を成すことが好ましい。他の形態として、図23に示すように動力軸700がいずれか一つの出力ギヤに連結され、この動力軸700に対して他の出力ギヤが空回転する構造を採用することができる。これは当該技術分野で通常の知識を有する者であれば、誰でも容易に理解できる。
【0070】
上述したように、例えば8気筒内燃機関に相当する2つのトーラスクランク機構を同軸的に連結して、16気筒内燃機関に相当するダブルトーラスクランク機構を構成することができるうえ、同原理で3つ、4つのトーラスクランク機構を同軸的に連結することにより、より高い馬力のエンジンなどに適用することが可能な多重トーラスクランク機構を容易に構成することができる。また、このような多重トーラスクランク機構において、1本の動力軸700を採用する場合、前記動力軸700に対して同方向に回転する出力ギヤはいずれも動力軸700に連結させ、残りの出力ギヤは空回転させることが好ましい。また、図示してはいないが、例えば4つのトーラスクランク機構を同軸的に連結して多重トーラスクランク機構を構成する場合、マイティーギヤを介してその両側に前記ダブルトーラスクランク機構を配置し、これらのダブルトーラスクランク機構の動力軸をそれぞれマイティーギヤに連結して高馬力のエンジンやアクチュエータ、圧縮機、ポンプなどを構成することができる。
【0071】
一方、ベベルギヤ410〜440に対して出力ギヤ500、600が対別に分けられて噛み合っている場合、第1トーラスクランク機構10の下部出力ギヤ600及び第2トーラスクランク機構20の上部出力ギヤ600が一体に設けられて出力ギヤ90を構成し、第1及び第2トーラスクランク機構10、20のハウジングボディ110、110が気密状態で結合すると、2つのトーラスクランク機構を備えたダブルトーラスクランク機構を構成することができる。この場合、図示してはいないが、第1トーラスクランク機構10の上部出力ギヤ500及び第2トーラスクランク機構20の下部出力ギヤ600に動力軸700をそれぞれ連結すると、16気筒のエンジンやアクチュエータ、圧縮機、ポンプなどに適用でき、動力軸700、700を介して同一方向の回転力を出力/入力することができる。上述したように、動力軸700、700をそれぞれ適用せず、図24に示すように、第1トーラスクランク機構10の上部出力ギヤ500から第2トーラスクランク機構20の下部出力ギヤ600まで貫通して結合する動力軸700aが適用されると、出力ギヤ500、600だけでなく、同方向に回転する出力ギヤ90の回転力も動力軸700aに伝達され、逆に動力軸700aの回転力が出力ギヤ500、600だけでなく出力ギヤ90にも伝達されるので、高馬力の装置をより効果的に構成することができる。同原理で多数のトーラスクランク機構を別途の方向転換手段を全く介在しなくても同軸的に連結することができるので、高馬力の多重トーラスクランク機構を容易に構成することができてその拡張性に優れるうえ、方向転換手段が追加されないので多重トーラスクランク機構をさらに小型化することができ、全ての出力ギヤを介して回転力が伝達されるので伝動効率もさらに向上する。このような多重トーラスクランク機構において、いずれの場合も、ハウジング組立体100の内部で互いに隣接する出力ギヤ500、600は一体になって出力ギヤ90を構成することが好ましい。
【0072】
また、前記したような多重トーラスクランク機構において、その振動を極小化するために、隣接するコア200の水平軸は全体的に隣接するコアの中心を連結する中心線に対して順次90°ずつ位相差を持つように配置されることが好ましい。
【0073】
また、本発明のクランク機構は、エンジンやアクチュエータ、圧縮機、ポンプなどの他にも各種産業用機械、例えば工作機械などの伝動系統にも効果的に利用でき、これらも本発明の範囲に含まれるべきである。
【0074】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【産業上の利用可能性】
【0075】
以上述べたように、本発明に係るトーラスクランク機構によれば、例えば各種エンジンやアクチュエータ、圧縮機、ポンプなどを構成するにおいて、従来の一般的なクランク機構でのように大きい作動空間を必要とする機械要素、すなわちクランクシャフトなどの部品が不要であり、且つ入力パートと出力パートの中心軸が同一線上に位置するため、体積効率を向上させることができ、同一馬力のエンジンやアクチュエータ、圧縮機、ポンプなどの装置よりその大きさ及び重量を大幅減らすことができる。
【0076】
また、本発明のトーラスクランク機構は、簡単な構造を有し且つ効率の良い作動構造を有するため、低コストの量産が可能なエンジンやアクチュエータ、圧縮機、ポンプなどを製造することができる。
【0077】
また、本発明に係るトーラスクランク機構は、数個のトーラスクランク機構を同軸的に連結する簡単な方法で高馬力のエンジンやアクチュエータ、高容量の圧縮機やポンプを構成することができるなどその拡張性が優れる。
【0078】
また、本発明では、別途の方向転換手段の介在なしで一対の動力軸を互いに同一の方向に回転させることができるうえ、1本の動力軸によっても両側で動力を出力/入力できるように構成することができるため、この場合、複数のトーラスクランク機構を簡単に同軸的に連結して多重トーラスクランク機構を構成することができるので、その拡張性にさらに優れ、同一馬力のものと対比してより効果的な小型化及び構造の単純化を図ることができる。
【0079】
また、出力ギヤが全て同一の方向に回転し、この全ての出力ギヤに動力軸が連結されるように構成される場合、最外側出力ギヤだけでなく、内部の出力ギヤも動力軸に/から回転力を伝達し或いは受けることができるため、さらに高い馬力のエンジンやアクチュエータ、高容量の圧縮機やポンプなどを一層効果的に構成することができる。
【0080】
また、本発明では、ベベルギヤに設置された偏心スライダーが全体的に重心を取るように設けられているため、振動発生を最小化することができ、これにより伝動損失の最小化、耐久性の向上、騒音低減などの効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0081】
この発明の前記及び他の目的、特徴及びその他の利点は、添付図面を参照する次の説明によって明確に理解されるであろう。
【図1】本発明の一実施例に係るトーラスクランク機構を示す分解斜視図である。
【図2】図1に示したトーラスクランク機構の内部の組立状態を示す斜視図である。
【図3】図2の一部を切開して示す斜視図である。
【図4】本発明の一実施例に係るトーラスクランク機構を構成するハウジング組立体とコアとの結合関係を示す平面図である。
【図5】図4のV−V線に沿った断面図である。
【図6】本発明の一実施例に係るトーラスクランク機構を構成するロータの例を示す斜視図である。
【図7】は図6の平面図である。
【図8】図7のVIII−VIII線に沿った断面図である。
【図9】本発明の一実施例に係るトーラスクランク機構を構成するベベルギヤを示す斜視図である。
【図10】本発明の一実施例に係るトーラスクランク機構を構成するベベルギヤを示す平面図である。
【図11】本発明の一実施例に係るトーラスクランク機構を構成するロータとベベルギヤの配置関係を示す平面図である。
【図12】本発明の一実施例に係るトーラスクランク機構の要部であるロータのガイドスロットとベベルギヤの偏心スライダー間の作用を説明するための図である。
【図13】本発明の一実施例に係るトーラスクランク機構のベベルギヤに形成される偏心スライダーの傾斜による作用を説明するための図である。
【図14】本発明の一実施例に係るトーラスクランク機構を構成するベベルギヤの他の例を示す平面図である。
【図15】本発明の一実施例に係るトーラスクランク機構を構成するロータの他の例を示す斜視図である。
【図16】図15に示したロータに適用されるガイド部材の例を示す斜視図である。
【図17】本発明の一実施例に係るトーラスクランク機構におけるベベルギヤと出力ギヤとの噛合い関係を示すための要部切開斜視図である。
【図18】図17の他の例を示す要部切開斜視図である。
【図19】本発明の一実施例に係るトーラスクランク機構における、ベベルギヤに設置される偏心スライダーの偏心位相関係を説明するための斜視図である。
【図20】本発明の一実施例に係るトーラスクランク機構における、ベベルギヤに設置される偏心スライダーの偏心位相関係を説明するための斜視図である。
【図21】本発明の他の実施例に係る多重トーラスクランク機構としてダブルトーラスクランク機構の例を示す分解斜視図である。
【図22】同ダブルトーラスクランク機構における動力出力/入力関係の例を説明するための概略図である。
【図23】同ダブルトーラスクランク機構における動力出力/入力関係の例を説明するための概略図である。
【図24】同ダブルトーラスクランク機構における動力出力/入力関係の例を説明するための概略図である。
【符号の説明】
【0082】
100...ハウジング組立体、
200...コア、
300... ロータ、
315...ガイドスロット、
411...偏心スライダー、
410、420、430、440...ベベルギヤ、
500、600...出力ギヤ
Claims (28)
- トーラスクランク機構であって、少なくとも一つの密閉チャンバを提供するハウジング組立体と、前記ハウジング組立体の中央部に配置され、上部及び/又は下部に突出する垂直軸及び横方向に突出する少なくとも1本の水平軸を有するコアと、前記チャンバ内に位置する回転ブレードが備えられて前記コアの外側で往復回転揺動運動を行うようにハウジング組立体に設置され、内周面には少なくとも1つのガイドスロットが設けられたロータと、前記ガイドスロットに回転スライド可能に収容される偏心スライダーが備えられ、前記コアの水平軸に回転可能に支持される少なくとも一つのベベルギヤと、前記コアの垂直軸のいずれか1本又は全てに回転可能に支持される出力ギヤとを含んでなることを特徴とするトーラスクランク機構。
- 請求項1記載のトーラスクランク機構であって、前記ハウジング組立体は、円形空間部を備えた上面、貫通孔を備えた下面及び側面の外郭プロファイルを有するハウジングボディと、前記ハウジングボディの上/下面にそれぞれ結合する第1及び第2カバーと、前記チャンバを形成するために前記円形空間部を区画するように円形空間部内に設置される少なくとも2つの固定ブロックとを備え、前記コアはハウジングボディの下面から上面へ延長される多数の支持片によってハウジングボディと一体に設けられていることを特徴とする。
- 請求項1記載のトーラスクランク機構であって、前記ロータのガイドスロットの両側壁には、前記ロータの材質より高い硬度及び強度を有する材質からなるガイド部材が設置されていることを特徴とする。
- 請求項1記載のトーラスクランク機構であって、前記ベベルギヤの偏心スライダーは、ガイドスロットのいずれの位置でも前記ハウジング組立体の中心を向かうように一定の角度で傾くように設けられていることを特徴とする。
- 請求項1記載のトーラスクランク機構であって、前記ベベルギヤの偏心スライダー形成面には、前記ロータの曲率半径と同一の曲率半径を有するガイド部が一体に設けられ、前記面とは反対側の面には、バランスウェイト部が設けられていることを特徴とする。
- 請求項5記載のトーラスクランク機構であって、前記ロータのガイドスロットの両側壁には前記ロータの材質より高い硬度及び強度を有する材質からなるガイド部材がそれぞれ設置され、前記ガイド部材の前面にはベベルギヤのガイド部と同一の曲率半径をもって湾曲される弧形支持部が設けられていることを特徴とする。
- 請求項1記載のトーラスクランク機構であって、前記ベベルギヤの前記偏心スライダーにはガイドローラが設置されていることを特徴とする。
- 請求項1記載のトーラスクランク機構であって、前記ロータの回転ブレードはその内部が中空になっていることを特徴とする。
- トーラスクランク機構であって、対向配置される多数の密閉チャンバを提供するハウジング組立体と、前記ハウジング組立体の中央部に配置され、上部及び/又は下部に突出する垂直軸及び横方向に突出する多数の水平軸を有するコアと、前記チャンバ内に位置する多数の回転ブレードが備えられて前記コアの外側で往復回転揺動運動を行うように前記ハウジング組立体に設置され、内周面には多数のガイドスロットが対向して配設されたロータと、前記ロータのガイドスロットに回転スライド可能に収容される偏心スライダーが備えられ、前記コアの水平軸にそれぞれ回転可能に支持される多数のベベルギヤと、前記コアの垂直軸のいずれか1本又は全てに支持される出力ギヤとを含んでなることを特徴とするトーラスクランク機構。
- 請求項9記載のトーラスクランク機構であって、前記ハウジング組立体は、円形空間部を備えた上面、貫通孔を備えた下面及び側面の外郭プロファイルを有するハウジングボディと、前記ボディの上/下面にそれぞれ結合する第1及び第2カバーと、前記チャンバを形成するために前記円形空間部を区画するように円形空間部内に設置される少なくとも2つ以上の固定ブロックとを備え、
前記コアは前記ハウジングボディの下面から上面へ延長される多数の支持片によってハウジングボディと一体に設けられていることを特徴とする。 - 請求項9記載のトーラスクランク機構であって、前記ガイドスロットの両側壁には、前記ロータの材質より高い硬度及び強度を有する材質からなるガイド部材が設置されていることを特徴とする。
- 請求項9記載のトーラスクランク機構であって、前記ベベルギヤの偏心スライダーは、前記ガイドスロットのいずれの位置でも常に前記ハウジング組立体の中心を向かうように、一定の角度で傾くように設けられていることを特徴とする。
- 請求項9記載のトーラスクランク機構であって、前記ベベルギヤの偏心スライダー形成面には前記ロータの曲率半径と同一の曲率半径を有するガイド部が一体に設けられ、前記面とは反対側の面にはバランスウェイト部が設けられていることを特徴とする。
- 請求項13記載のトーラスクランク機構であって、前記ロータのガイドスロットの両側壁には前記ロータの材質より高い硬度及び強度を有する材質からなるガイド部材がそれぞれ設置され、前記ガイド部材の前面にはベベルギヤのガイド部と同一の曲率半径をもって湾曲される弧形支持部が設置されていることを特徴とする。
- 請求項9記載のトーラスクランク機構であって、前記ベベルギヤの偏心スライダーにはガイドローラが設置されていることを特徴とする。
- 請求項9記載のトーラスクランク機構であって、前記ロータの回転ブレードはその内部が中空になっていることを特徴とする。
- 請求項9ないし16のいずれか1項に記載のトーラスクランク機構であって、前記ベベルギヤは偶数個が設置され、前記ベベルギヤの各偏心スライダーの偏心位相はいずれか一つのベベルギヤの回転方向に対して順次180°ずつずれるようになっていることを特徴とする。
- 請求項17記載のトーラスクランク機構であって、前記コアの各垂直軸に出力ギヤがそれぞれ設置され、前記ベベルギヤは上/下部出力ギヤと交互に噛み合うことにより、上部出力ギヤに噛み合ったベベルギヤの回転方向と下部出力ギヤに噛み合ったベベルギヤの回転方向とが互いに反対になって上/下部出力ギヤが同一の方向に回転するようになっていることを特徴とする。
- 請求項18記載のトーラスクランク機構であって、前記上/下部出力ギヤに動力軸がそれぞれ連結されることを特徴とする。
- 請求項18記載のトーラスクランク機構であって、前記上/下部出力ギヤ及びコアに同軸的に中空が設けられ、前記コアの中空を動力軸が回転可能に貫通し、前記動力軸の両側は上/下部出力ギヤを貫通して結合することにより、前記一つの動力軸によって両側で動力を出力又は入力できるようになっていることを特徴とする。
- 多重トーラスクランク機構であって、対向配置される多数の密閉チャンバを提供するハウジング組立体と、前記ハウジング組立体の中央部に配置され、上部及び/又は下部に突出する垂直軸及び横方向に突出する多数の水平軸を有するコアと、前記チャンバ内に位置する多数の回転ブレードが備えられてコアの外側で往復回転揺動運動を行うように前記ハウジング組立体に設置され、内周面には多数のガイドスロットが対向して配設されたロータと、前記ガイドスロットに回転スライド可能に収容される偏心スライダーが備えられ、前記コアの水平軸に回転可能に支持される少なくとも多数のベベルギヤと、前記コアの垂直軸のいずれか1本又は全てに回転可能に支持された出力ギヤとを含んでなるトーラスクランク機構が少なくとも2つ以上同軸的に連結されてなることを特徴とする多重トーラスクランク機構。
- 請求項21項に記載の多重トーラスクランク機構であって、前記各トーラスクランク機構には偶数個のベベルギヤが設置され、前記各トーラスクランク機構に設置されるベベルギヤの各偏心スライダーの偏心位相はいずれか一つのベベルギヤの回転方向に対して順次180°ずつずれるようになっていることを特徴とする。
- 請求項22記載の多重トーラスクランク機構であって、互いに隣接するコアの水平軸は、全体的に隣接するコアの中心を連結する中心線に対して順次90°ずつ位相差を持つように配置されていることを特徴とする。
- 請求項21記載の多重トーラスクランク機構であって、前記各コアの各垂直軸に出力ギヤがそれぞれ設置され、前記各トーラスクランク機構に設置されるベベルギヤが上/下部出力ギヤと交互に噛み合うことにより、上部出力ギヤに噛み合ったベベルギヤの回転方向と下部出力ギヤに噛み合ったベベルギヤの回転方向とが反対になって上/下部出力ギヤが同一の方向に回転するようになっていることを特徴とする。
- 請求項24記載の多重トーラスクランク機構であって、前記出力ギヤのうち最外側の2つの出力ギヤに動力軸がそれぞれ連結されることを特徴とする。
- 請求項24記載の多重トーラスクランク機構であって、前記各トーラスクランク機構の上/下部出力ギヤ及びコアに同軸的に中空が設けられ、前記各コアの中空を動力軸が回転可能に貫通し、前記動力軸の両側は各トーラスクランク機構の上/下部出力ギヤを貫通して結合することにより、前記1本の動力軸によって両側で動力を出力又は入力できるようになっていることを特徴とする。
- 請求項21ないし26のいずれか1項に記載の多重トーラスクランク機構であって、前記各トーラスクランク機構のハウジング組立体は、円形空間部を備えた上面と、貫通孔を備えた下面及び側面の外郭プロファイルを有するハウジングボディと、前記ハウジングボディの上/下面にそれぞれ結合する第1及び第2カバーと、前記チャンバを形成するために前記円形空間部を区画するように円形空間部内に設置される多数の固定ブロックとを備え、前記コアは前記ハウジングボディの下面から上面へ延長される多数の支持片によってハウジングボディと一体に設けられていることを特徴とする。
- 請求項21ないし26のいずれか1項に記載の多重トーラスクランク機構であって、前記出力ギヤのうちハウジング組立体の内部で互いに隣接する出力ギヤが一体に設けられていることを特徴とする。
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