JP2004536423A - 電気コネクタ用ラッチシステム - Google Patents

Abstract

【解決手段】電気コネクタは、前方結合面と、複数の端子を取り付けた絶縁性ハウジングとを有する。前方結合面に、相補形接続装置のラッチ部材を受け入れるためのラッチキャビティが形成される。該キャビティは向かい合った側壁を備える。ラッチ／はんだ部材が、ハウジングに取り付けられており、相補形接続装置のラッチ部材がラッチ係合するためのラッチキャビティ内のラッチ板と、ハウジングの基板取り付け面に配設されたはんだ板とを備える。ラッチキャビティの側壁の間にハウジングを補強するブロックリブが延在しており、該ブロックリブが、相補形接続装置のラッチ部材がキャビティ内のラッチ板の間違った側に挿入されるのを防ぐ。
【選択図】図１

Description

【技術分野】
【０００１】
本発明は、一般に電気コネクタの技術に関し、特に一対の結合コネクタを掛止するシステムに関する。
【背景技術】
【０００２】
代表的な電気コネクタアセンブリは一対の電気コネクタを含み、これらのコネクタは、コネクタ上の導電端子を互いに係合させてコネクタインターフェイスを介して電気回路を確立するために結合可能となっている。各コネクタは、一般に端子が内部に取り付けられた絶縁性ハウジングを含む。結合コネクタは、所定の向きに結合することができる。
【０００３】
コネクタアセンブリの結合コネクタは、コネクタを結合された状態に保持するために何らかの形のラッチシステムを有することが多い。該ラッチシステムは、コネクタを外すことができるように解放可能な場合もある。その一例としては、保持フレームと携帯型データ入力装置に用いられるものがある。コネクタアセンブリの一方のコネクタが保持フレームに取り付けられており、アセンブリの他方のコネクタが携帯型データ入力装置に取り付けられている。保持フレームは、携帯型データ入力装置を受け入れるための「ドッキングポート」と呼ばれるものを有する。携帯型データ入力装置を保持フレームのドッキングポート内に保持して電気コネクタを結合状態に維持するために、確実なラッチ機構を設けることが望ましい。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００４】
前述のような電気コネクタのラッチシステムに関する問題の一つは、ラッチ自体が破損する可能性があることである。換言すると、携帯型データ入力装置は、装置の各ラッチの位置がずれていたり不適切に挿入された状態で、ドッキングポートの保持フレーム上に急いで位置決めされることが頻繁に起こる。その結果、ラッチが不注意によって破損することがある。
【０００５】
そのようなシステムのもう一つの問題は、携帯型データ入力装置のコネクタが、絶縁性プラスチック材料などで成形されたハウジングを含む、小型で細長く幅の狭い構造であることである。極めて幅の狭いハウジングにラッチキャビティを形成する場合、それによってできた空所により、成形されたプラスチックハウジングが撓（たわ）む傾向がある。コネクタは、プリント回路基板に取り付けるように設計されており、ハウジングのごくわずかな撓みでも、コネクタを回路基板上に完全に平らに配置する妨げになる。
【０００６】
本発明は、従来技術のこれらの様々な問題を解決するものである。
【課題を解決するための手段】
【０００７】
したがって、本発明の目的は、電気コネクタアセンブリ用の新規で改良されたラッチシステムを提供することである。
【０００８】
本発明の別の目的は、プリント回路基板に取り付けられるように適合された電気コネクタの新規で改良されたラッチ手段を提供することであり、コネクタは、相補形接続装置と結合可能である。
【０００９】
本発明の例示的な実施形態においては、コネクタは、上側面、下側基板取り付け面、及び、これらの面の間をほぼ横断方向に延在する前方結合面を備えた絶縁性ハウジングを有する。ハウジングに複数の端子が取り付けられている。相補形結合装置のラッチ部材を受け入れるために、ハウジングの前方結合面に少なくとも一つのラッチキャビティが形成される。キャビティは、結合面から内向きに、かつ、ハウジングの上側と下側の面とほぼ垂直に延在する向かい合った側壁を備える。ラッチ部材とはんだ部材を組み合わせた複合部材がハウジングに取り付けられ、この複合部材は、ラッチキャビティの向かい合った側壁の間に延在するラッチキャビティ内に設けられたラッチ板と、ハウジングの基板取り付け面に配設されたはんだ板とを含む。相補形結合装置のラッチ部材は、ラッチ板と一側でラッチ係合可能である。ラッチキャビティ内のラッチ板の前記一側とは反対側にブロック部が設けられ、相補形接続装置のラッチ部材がラッチ板の反対側においてキャビティ内に挿入されるのを防ぐ。
【００１０】
本発明の一形態によれば、絶縁性ハウジングがプラスチック材料で成形され、ブロック部はそれと一体的に成形される。ブロック部は、ラッチキャビティの向かい合った側壁の間に延在するリブを含む。本発明の一実施形態においては、このリブがラッチ板及びハウジングの基板取り付け面から離間されている。
【００１１】
本発明の別の実施形態においては、一体的に成形されたリブは、ハウジングの基板取り付け面とほぼ一致している。リブの成形プラスチック材料は、はんだ板の開口を貫通して突出し、プリント回路基板の適切な位置決め孔に挿入するための位置決め突起を形成している。
【００１２】
本発明の他の目的、特徴及び利点は、添付図面と関連して行われる以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【００１３】
新規であると考えられる本発明の特徴は、添付の特許請求の範囲において詳細に説明される。本発明は、その目的及び利点とともに、添付図面と関連して行われる以下の説明を参照して最もよく理解することができ、図面において、同一の参照番号は、同一の要素を示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１４】
図面をより詳しく参照すると、図１と図２は、全体が１０で示された本発明の概念を実現する電気コネクタの第１の実施形態を示す。図３は、全体が１２で示され、矢印「Ａ」の方向にコネクタ１０と結合可能な相補形接続装置、すなわち、第２のコネクタを示す。コネクタ１０は、携帯型データ入力装置に使用されるタイプのものであり、相補形のコネクタ１２は、携帯型データ入力装置用の保持フレームのドッキングポートに使用されるタイプのものである。しかしながら、本発明は、図示した特定のコネクタや記載された特定の用途に限定されないことを理解されたい。
【００１５】
コネクタ１０は、全体が１４で示され、プラスチック材料などで成形される細長い絶縁性ハウジングを含む。ハウジングには、全体が１６で示された複数の導電性端子を直線状配列で取り付けられている。この端子は、ハウジングの前方結合面２０に開いている複数の端子収容通路１８内に接点部分（図示せず）を有する。ハウジングは、上面すなわち頂面２２と、下面すなわち底面２４とを有する。コネクタ１０は、プリント回路基板に取り付けられるように適合されており、また、底面２４はハウジングの基板取り付け面を構成する。端子１６は、基板取り付け面２４とほぼ同一平面上にあるテール部２６（図２）を備える。
【００１６】
コネクタ１０の成形プラスチックハウジング１４は、さらに、細長いハウジングの両端近傍に一対の位置決め孔２８を含み、該孔は、ハウジングの前方結合面２０に開いている。一対のラッチキャビティ３０が、位置決め孔２８のすぐ内側で、かつ、端子収容通路１８の直線状配列の外側に形成される。ラッチキャビティ３０はハウジングの前方結合面２０に開口しており、結合面から内側方向に延在しかつ上面２２と底面２４のそれぞれに対してほぼ垂直に延在する向かい合った側壁３２を含む。最後に、リブ３４が、ハウジングと一体的に成形され、各ラッチキャビティ３０の向かい合った側壁３２の間に延在する。リブは、ハウジングの基板取り付け面２４から離間されている。
【００１７】
図３を参照すると、相補形の結合コネクタ１２は、全体が３６で示された、結合面３８を含む絶縁性ハウジングを含む。ハウジングは、例えば、プラスチック材料で成形され、一体的に成形され結合面３８から前方に突出する一対の位置決め柱４０を含む。位置決め柱４０は、コネクタ１０の位置決め孔２８（図１及び図２）への挿入に適した寸法及び間隔とされている。結合コネクタ１２のハウジング３６は、コネクタ１０の前方結合面２０の端子収容通路１８（図１及び図２）内への挿入、及び、端子１６の接点部分との係合のために、結合面３８から前方に突出する接点部分４２を有する複数の端子を備える。最後に、結合コネクタ１２は、後述されるように、コネクタ１０と結合された際にそれを掛止するために、ラッチフック４４の形状を有する一対の離間されたラッチ部材を備える。
【００１８】
図４と図５は、全体が５０で示されたラッチ／はんだ複合部材を示す。該ラッチ／はんだ複合部材は、ハウジングのプラスチック材料でオーバーモールドすることによってコネクタ１０のハウジング１４に取り付けられている。具体的には、ラッチ／はんだ部材５０は、細長で、長手方向の中央部分５４によって接続された一対の端部５２を備える。この部材は、シートメタル材料から打ち抜き形成され、中央部分５４に、一対の開口５８から打ち抜き形成された一対の中央保持突起５６を備える。一対の保持突起６０が端部５２の最も外側の縁に形成されている。一対の保持孔６２が端部５２に形成されている。ラッチ／はんだ部材５０は、コネクタ１０のハウジング１４によってオーバーモールドされる。成形プラスチック材料は、保持突起５６及び６０がプラスチック材料に埋め込まれるように、実質的に端部５２と中央部分５４を取り囲み保持孔６２内に入る。したがって、ラッチ／はんだ部材は、図２において最もよく分かるように、中央部分５４と端部５２がコネクタハウジングの基板取り付け面２４とほぼ面一の状態でコネクタ１０のハウジングに完全に固定される。
【００１９】
ラッチ／はんだ部材５０の端部５２は、一般に、プリント回路基板上の適切なパッドに、はんだ付け等によって接続するためのはんだ板を有する。図４と図５をさらに参照すると、端部又ははんだ板５２の開口６６から、一対の位置決め突起６４が打ち抜き形成される。これらの位置決め突起は、プリント回路基板内の適切な位置決め孔に挿入するために設けられる。最後に、一対のラッチ板６８が、はんだ板５２から離間され、かつ、ほぼ平行になるように、ラッチ／はんだ部材５０から形成される。ラッチ板は、位置決め突起６４を形成するはんだ板５２の開口６６と位置合わせされたラッチ孔７０を含む。
【００２０】
図４と図５のラッチ／はんだ部材５０に関する以上の説明とともに、次に図１と図２、及び、特に、ラッチキャビティ３０の部分を再び参照する。ラッチ／はんだ部材５０の両端にあるはんだ板５２が、ラッチキャビティ３０の下端を閉止し、はんだ板内の位置決め突起６４と開口６６が、ラッチキャビティと位置が合うことが分かる。また、ラッチ板６８が、はんだ板５２とほぼ平行にラッチキャビティ３０内に前方に突出していることが分かる。一体的に成形されたリブ３４が、はんだ板５２とラッチ板６８の間に離間されて配置されていることが分かる。成形中、ラッチキャビティ３０を形成しかつ溶融したプラスチック材料がはんだ板の開口６６又はラッチ板のラッチ孔７０を通過するのを防ぐために、リブ３４とラッチ板６８の両側に、成形用金型アセンブリの適切な「コアピン」が配置される。
【００２１】
以上のことから、ラッチキャビティ３０の側壁３２の間に延在するブロック部、すなわち、リブ３４が二つの機能を果たすことが分かる。第１に、ラッチキャビティの側壁３２を一体的に接合することによって、リブ３４は、ラッチキャビティの弱くなってしまう領域においてコネクタハウジングが撓むのを防ぐ。第２に、リブ３４は、結合コネクタ１２のラッチフック４４（図３）が、ラッチ板６８の間違った側（下側）のキャビティに挿入されるのを防ぐブロック部となる。すなわち、結合コネクタ１２が、該結合コネクタの位置決め柱４０を位置決め孔２８に挿入することによってコネクタ１０と結合されるとき、ラッチフック４４は、図１と図４に示したように、ラッチ板６８のラッチ孔７０にその上側からスナップラッチ式に係合するように設計されている。コネクタを、意図された向きからずれた状態で結合しようとした場合、ブロックリブ３４がないと、互いに係合するラッチ部品が破損しやすい。したがって、一体的に成形されたリブ３４は、コネクタハウジング１４の補強と、コネクタ１２のラッチフック４４をコネクタ１０のラッチ板６８と適切に係合させるという二つの機能を果たす。
【００２２】
図６は、本発明の他の実施形態を示し、この場合も、コネクタ１０Ａは、ラッチ板６８を中に有する一対のラッチキャビティ３０を含む。図６において、図１〜図５と関連して以上で説明した同じ構成要素に対応する同じ参照番号が適用されている。
【００２３】
図６の実施形態において、リブ３４Ａが、コネクタハウジング１４と一体的に成形され、各ラッチキャビティ３０の側壁３２の間に延在している。しかしながら、図６において、一体的に成形されたリブ３４Ａが、図１と図２の第１の実施形態のようにラッチキャビティの内側に離間されているのではなく、ハウジングの基板取り付け面２４とほぼ一致していることが分かる。この実施形態の場合、はんだ板５２の開口６６（図４及び図５）は、成形金型アセンブリのどのコアピンによっても遮蔽（へい）されない。したがって、リブ３４Ａを形成する溶融したプラスチック材料は開口６６を通ることが許容され、ラッチ／はんだ部材の金属位置決め突起６４を取り囲む一対のプラスチック位置決め突起７２を形成する。このような大きなプラスチック位置決め突起は、プリント回路基板の適切なより大きな位置決め孔に挿入されるように設計されている。当然ながら、プラスチック位置決め突起７２を形成するために、成形用金型アセンブリの適切な形状にされた型部分が使用される。
【００２４】
最後に、さらに図６の実施形態を参照すると、各リブ３４Ａが、各ラッチキャビティ３０内に上方に突出する一体型ブロックフランジ部分７４とともに成形されていることが分かる。ブロックフランジ部分７４は、前述されたように、結合コネクタ１２のラッチフック４４が、ラッチキャビティ３０のラッチ板６８の間違った側に挿入されるのを防ぐ。したがって、この場合も、リブ３４Ａとブロックフランジ部分７４は、ラッチキャビティ３０の側壁３２間のコネクタハウジングの補強と、結合コネクタのラッチ部材がラッチキャビティに間違った向きで挿入されるのを防ぐという二つの機能を果たす。
【００２５】
本発明は、その精神又は中心的な特徴から逸脱することなく他の特定の形態で実施することができることが理解されよう。したがって、本明細書中の実施例及び実施形態は、すべての点において限定ではなく例示として解釈されるべきであり、本発明は、本明細書で示された細部に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【００２６】
【図１】本発明の概念を実現する電気コネクタの上方前面斜視図である。
【図２】図１のコネクタの下方前面斜視図である。
【図３】図１及び図２のコネクタと結合可能な相補形接続装置又はコネクタの斜視図である。
【図４】図１と図２のコネクタのラッチ／はんだ複合部材の上面斜視図である。
【図５】図４のラッチ／はんだ部材の下面斜視図である。
【図６】本発明の概念を実現する電気コネクタの他の結合面の前面立面図である。

Claims (9)

1. プリント回路基板に取り付けられ、かつ、相補形接続装置と結合される電気コネクタであって、
   上側面、下側基板取り付け面、及び、前記面の間をほぼ横断して延在する前方結合面を備える絶縁性ハウジングと、
   該ハウジング内に取り付けられた複数の端子と、
   前記相補形接続装置のラッチ部材を受け入れるためにハウジングの前方結合面に設けられた少なくとも一つのラッチキャビティであって、結合面から内向きに、かつ、ハウジングの上側面及び下側面とほぼ垂直に延在する向かい合った側壁を備えたラッチキャビティと、
   ハウジングに取り付けられ、ラッチキャビティ内にあり、その向かい合った側壁間に位置するラッチ板と、ハウジングの基板取り付け面に配設されたはんだ板とを含むラッチ／はんだ複合部材であって、相補形接続装置のラッチ部材がラッチ板と一側においてラッチ係合可能なラッチ／はんだ複合部材と、
   ラッチキャビティ内のラッチ板の前記一側と反対側に設けられ、相補形接続装置のラッチ部材がキャビティ内のラッチ板の前記反対側に挿入されることを防止するブロック部とを有する電気コネクタ。
2. 前記絶縁性ハウジングがプラスチック材料で成形され、前記ブロック部が絶縁性ハウジングと一体的に成形された、請求項１に記載の電気コネクタ。
3. 前記ブロック部は、ラッチキャビティの向かい合った側壁の間に延在するリブを備える、請求項２に記載の電気コネクタ。
4. 前記リブは、前記ラッチ板及びハウジングの基板取り付け面から離間されている、請求項３に記載の電気コネクタ。
5. 前記リブは、ハウジングの基板取り付け面とほぼ一致している、請求項３に記載の電気コネクタ。
6. 前記リブの成形プラスチック材料が前記はんだ板の開口に貫通して突出し、プリント回路基板における適切な位置決め孔に挿入するための位置決め突起を形成している、請求項５に記載の電気コネクタ。
7. 前記リブが、ラッチ／はんだ複合部材のラッチ板に向かって突出するブロックフランジ部分を有する、請求項６に記載の電気コネクタ。
8. ラッチキャビティの向かい合った側壁の間において、かつ、ハウジングの基板取り付け面にほぼ位置するようにハウジングと一体的に成形されたリブをさらに有し、リブのプラスチック材料がはんだ板の開口を貫通して突出し、プリント回路基板の適切な位置決め孔に挿入するためのロック突起を形成している、請求項１に記載の電気コネクタ。
9. 前記リブは、ラッチキャビティ内へ前記ラッチ板に向かって延在するブロック部を備え、これにより相補形接続装置のラッチ部材がキャビティ内のラッチ板の前記一側と反対側とに挿入されるのを防止する、請求項８に記載の電気コネクタ。