JP2004535855A - 液状多機能性遠赤外線放射体、及びその用途 - Google Patents
液状多機能性遠赤外線放射体、及びその用途 Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】これらの本発明のよる遠赤外線放射体は、貝殻類及び鉱物をアルカリ水で処理した後、そのように生成された溶液を様々の無機物で処理し、得られた混合物を磁性体に通過させることにより製造される。この液状遠赤外線放射体は環境親和的であって、無臭、無色、無毒性であり、多様な機能を発揮するので、様々な産業的用途として有用である。これから製造された脱臭剤は酸性臭気物及び塩基性臭気物の両方に対して優れた脱臭能を発揮する。
Description
【0001】
本発明は液状の多機能性遠赤外線放射体及びその用途に関する。より詳しくは、本発明は様々な産業的用途として用いられる、貝殻類及び/又は鉱物の抽出液を含む遠赤外線放射液及びこれから製造された脱臭剤に関する。
【背景技術】
【0002】
遠赤外線は電磁波の一種であって、赤外線(波長0.76〜1000μm)の中で波長が長いものをいい、正確な波長領域の境界は明確ではないものの、一般的には4〜1000μm範囲のものを意味する。この遠赤外線は可視光より強い熱作用を示し、放射エネルギーが直接的、瞬間的熱伝達により速く黒体を加熱させて省エネルギー効果が大きいので、幅広く利用されている有用なマイクロン波である。この波長領域は生体内への吸収がよく生体内の分子を刺激して活性化させる作用がある。
【0003】
このような特性を有する遠赤外線放射体は、一般的に衣類及び寝具類、食器及び調理器具、各種の建築資材、塗料の乾燥剤、分散補助剤、多孔性吸着剤などの化学工業分野、食品加工及び保存分野のみではなく、農業及び園芸、畜産分野にも利用されており、特にサウナ、熱マッサージ器、マット及び腰帯等のような温熱治療剤などの様々な健康補助器具に活用されている。
【0004】
従来の遠赤外線放射物質を用いた製品は、アルミナ、珪藻土等、放射体が多量含有された粉末状バイオセラミックスをアンモニア水に分散させるか、または陽イオンラジカルを樹脂に分散させて、これらを接着剤で各種製品の表面に付着させることにより製造してきた。
【0005】
しかしながら、これらの粉末を用いた製品は、原料である遠赤外線放射組成物が個体状態で存在するために、遠赤外線の放射が不十分であり、また繊維製品の場合、表面に均一に塗布されないので遠赤外線の放射が不十分であるために、高温、例えば200〜500℃で加熱しないと遠赤外線の放射効果が得られないので、室温または常温で優れた効果を期待し難い。
【0006】
最近開発された遠赤外線放射物質としては、繊維用液状(イオン化)バイオセラミックスが大韓民国特許公報第1996−15657号(1996.11.20)に開示されたことを例として挙げられる。これはケイ酸ナトリウム、アルミン酸ナトリウム、酸化ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、2酸化ゲルマニウム、精製糖、上白糖を溶解混合し、これをイオン化させることによって製造されると記載されている。
【0007】
しかしながら、このようなセラミックス製品は材料の処理工程が複雑であるだけではなく、処理工程においても強酸を用いる等、環境に悪影響を及ぼす恐れがある。更にこの様に製造された製品の遠赤外線放射効能が落ちる。したがって高温処理をしないと遠赤外線の放射率を高めないという問題が生じるので所期目的の機能が不十分であるのがほとんどである。
【0008】
一方、悪臭とは硫化水素、メルカプタン類、アミン類、その他刺激性ガス状物質が人の嗅覚を刺激して不快感と嫌悪感を与えるものをいう。悪臭の物理的特性は蒸気圧が高いほど臭いが強く、溶解度が大きいほど臭いが強いということである。また、悪臭は吸着性があり、酸化性を有する。
【0009】
悪臭を減少させる方法としては、フードやダックトまたは高い煙突により統制拡散させる方法である通風及び希釈法と、悪臭物質を洗浄器に通過させて洗浄液に吸収させることにより除去する吸収法、冷却器を用いて悪臭物質を凝縮除去する凝結法、悪臭物質を600〜800℃の火炎で直接燃焼させる燃焼酸化法、白金などの触媒を用いて悪臭物質を酸化処理する触媒酸化法、O3,KMnO4及び次亜塩素酸ナトリウム(NaClO)等の塩素系化合物で悪臭物質を化学的に酸化させる化学的酸化法等がある。さらには、強い芳香臭を有する成分を撒布して悪臭を偽装する方法として、バニリン、ロジン、酢酸ベンジルなどの香料を用いた偽装法とその種の各々異なる臭気を有する物質を混合することによって無臭化または悪臭を減少させる中和法が利用されている。
【0010】
近来、様々の鉱物を原材料にして製造された脱臭剤が多数公知されており、例えば、大韓民国公開特許公報第2000−74767号(2000.12.15)には蛇紋岩、角閃石及びケイ酸ジルコニウムなどの様々な天然鉱物を1200〜1300℃の高温で焼成して、これを微粉した後、成形、乾燥、焼成して製造されるセラミックス脱臭剤が報告されている。大韓民国公開特許公報第2000−74767号には脈閃石を主材料とした脱臭剤が知られている。しかしながら、従来の鉱物由来脱臭剤は鉱物を溶解させるために高温で焼成をしなければならなく、この場合、鉱物本来の吸収能が低下する。したがって、脱臭性能の改善のためには鉱物本来の性質を持たせる処理が要望されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従って、本発明の目的は多様な生化学的機能を有する環境親和的、無色、無臭、無毒性の液状遠赤外線放射体を提供するにある。
【0012】
さらに、本発明の他の目的は上記放射体の製造法を提供するにある。
【0013】
本発明の追加の目的は上記遠赤外線放射体の脱臭剤としての用途を提供するにある。
【発明の効果】
【0014】
本発明による脱臭剤は重金属や環境有害物質を含有していないし、毒性や刺激性がないので環境調和的である。また酸性臭気物及び塩基性臭気物の両方に対して優れた脱臭能を発揮するので、周囲環境だけではなく、動物用脱臭剤として使用可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
従って、本発明者は上記のような従来の遠赤外線放射体の欠点を改善すると共に、優れた遠赤外線放射率や放射強度を有し、様々な用途で活用できる放射物質を開発するために鋭意検討した。その結果、様々な鉱物や貝殻類などを後述する方法により処理し、これらに活性化触媒などを添加して液状遠赤外線放射体を製造した結果、これが強力な遠赤外線放射機能以外に、多様な生化学的機能を有することを見出し、これから製造した脱臭剤もまた塩基性臭化物及び酸性臭化物の両方に対して優れた脱臭能を持っていることを知見し、本発明を完成するに至った。
【0016】
本発明の一面において、多様な生化学的機能を有する環境調和的で、無色、無臭、無毒性の液状遠赤外線放射体及びその放射体の用途並びにその製造法を提供する。
【0017】
本発明の液状遠赤外線放射体は天然鉱物と貝殻類の抽出液に金属イオンを添加して合成した無毒性の強アルカリ性物質として様々な機能性を有しており、常温で遠赤外線を放射するので、最小限の活性化エネルギーにより多様な化学的変化を起こすことができる超機能性物質である。
【0018】
農産物または生体(ヒト、動物)は室温や常温で活動が旺盛になる反面、従来遠赤外線放射を応用したバイオセラミックス(パウダ)製品はほぼ高温(50〜300℃)で遠赤外線が放射されるので、これらの農産物や生体に対する遠赤外線効果は期待できなかった。しかしながら本発明により、天然鉱物や貝殻類を液状化することによって、室温及び常温(20〜30℃)でも遠赤外線の放射効果を奏することができ、また遠赤外線放射体を液状化することによって水との混合が容易となり、水分子を活性化することにより水の腐敗防止など保存安定性を図った。
【0019】
このような本発明の液状遠赤外線放射体は、
(a)カキ殻、2価鉄塩および/または3価鉄塩とアルカリ水溶液を混合して撹拌しながら加熱してカキ殻溶液を製造する段階、
(b)ゼオライトをアルカリ水溶液に溶解させてゼオライト溶液を製造する段階、
(c)脈班石をアルカリ水溶液に、加熱及び撹拌の下で溶解させて脈班石溶液を製造する段階、
(d)上記溶液、ケイ酸ナトリウム溶液、ほう砂、及びクエン酸カリウムを混合して加熱及び撹拌の下で熟成させて遠赤外線放射体を得る段階、並びに
(e)上記段階(d)の溶液を磁石に通過させて磁化された液状の遠赤外線放射体を得る段階を含んだ工程により製造される。
【0020】
以下、本発明の多機能性液状遠赤外線放射体及びその製造法についてより詳細に説明する。
【0021】
まず、本発明の全般に渡って使われた用語“多機能性遠赤外線放射体”は、常温液体状態で遠赤外線を放出することによって産業的用途として活用できる様々の生化学的機能を有する溶液を意味すると定義する。
【0022】
本発明の明細書及び特許請求範囲の記載において、原料等を混合する様々の割合は便宜上、液体の場合はmlで、個体の場合はgを基準とした値として定義する。
【0023】
既存の遠赤外線放射物質としては、ケイ酸ナトリウム、アルミン酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、2酸化ゲルマニウム、酸化亜鉛、酸化カリウム、酸化ホウ素、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム(Al2O3)、シリカ(SiO2)、酸化ナトリウム、酸化マンガン(MnO2)、酸化銅(CuO)、酸化鉄、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化コバルト、酸化ニッケル、酸化クロム、酸化チタン(TiO2)、酸化モリブデン、炭素系物質、酸化バリウム、酸化リチウム、酸化鉄(II)(Fe2O3)、粘土、滑石、黄土などが知られており、これらの成分は様々の粘土や鉱物等でよく見出される。
【0024】
本発明の遠赤外線放射体は上記成分を豊富に含有する様々の鉱物、好ましくはゼオライト(沸石)、脈班石、粘土などのケイ酸塩に富んだ鉱物や貝殻、特にカキ殻等の原材料をアルカリ水溶液を含んだ溶媒で溶解させた後、これを物理、化学的処理をして得られる。
【0025】
貝類の殻には酸化カルシウム(CaO)や酸化マグネシウム(MgO)等の遠赤外線放射物質が豊富に含まれており、強アルカリ性を現す。そのうち、カキの殻は入手が容易であるので、原材料に対する費用負担がないため、本発明に好ましく使用することができる。収集したカキの殻を自動洗浄器できれいに水洗して砂、汚物などの異物質を除去した後乾燥させ、続いて粉砕機で粉砕して遠赤外線放射体の原料として用いる。この粉末処理したカキの殻に鉄塩、特に2価鉄塩及び(又は)3価鉄塩を添加した後、一定温度、例えば100〜150℃、好ましくは約100℃以下、より好ましくは75〜85℃の温度で溶解溶媒としてアルカリ水溶液を用いて適切な期間、例えば1時間乃至24時間、好ましくは1時間乃至7時間、より好ましくは3時間程度撹拌の下で熟成させることによりカキ殻溶液を得る。この際、使われるアルカリ溶液はpH濃度が高い強アルカリ水溶液が特に望ましく、その例としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどの強アルカリ水溶液又はこれらの混合液を用いる。特に、炭酸カリウム水溶液と水酸化カリウム水溶液の混合溶液を用いるのが望ましい。
【0026】
本発明でカキ殻又は鉱物溶解液として使われるアルカリ水溶液は例えば、蒸留水と水酸化カリウムを1:0.5の容量比、好ましくは1:0.42の容量比で混合したもの又は蒸留水と炭酸カリウムを1:0.5の容量比、好ましくは1:0.42の容量比で混合したものを単独又は混合使用し、カキ殻溶解液の製造の際、各々のアルカリ水原液を2:1の割合で使用するのがよい。
【0027】
鉄塩はカキ殻溶解液を安定化させる役割を果たしており、2価鉄塩および/または3価鉄塩をカキ殻溶液に少量添加するのが良い。本発明において使用可能である2価鉄塩は、例えば酸化第一鉄、硫酸第一鉄、塩化第一鉄、窒酸第一鉄、臭化第一鉄、 ヨウ化第一鉄などの無機鉄塩や、没食子酸第一鉄、リンゴ酸第一鉄、フマル酸第一鉄等の有機鉄塩を用いることができ、3価鉄塩としては酸化第二鉄、塩化第二鉄、水酸化第二鉄、窒酸第二鉄などを用いることができる。
【0028】
カキ殻溶液の製造の際、KOH溶液:K2CO2溶液:カキ殻:2価鉄塩:3価鉄塩の混合比は容量及び重量に基づいて、略5〜20:2.5〜10:1〜5:0.1〜2:0.1〜2の割合が適当であり、8〜15:3〜8:2〜3:0.1〜2:0.1〜2の割合が好ましく、10:5:2.52:0.15:0.15の割合がもっとも好ましい。上記カキ殻溶液中の鉄塩の量がもっとも重要である。鉄塩の量が、0.1重量部以下である場合、液状放射体の機能、つまり触媒及び安定化剤としての機能が弱まり、2重量部以上含有した場合、作用効果上の利点がない。本発明者の実験結果によれば、上記で提示した範囲から多少外れてカキ殻溶液を製造しても遠赤外線の放射能が少し低下されること以外は問題はない。従って、上記設定した範囲は本発明をより解りやすくするために提示した範囲であり、本発明をこの範囲にのみ限定しようとすることではない。上記範囲から多少外れても、これはカキ殻溶液を製造して本発明の目的効果を奏するのであれば、本発明の範囲内に含まれると理解しなればならない。
【0029】
カキ殻溶液の製造の際、高温で処理すると、石灰質を含んだ構成成分が気化され商品の効用価値がなくなるので、できるだけ150℃以下の低温で混合物を撹拌させて原料物質の固有性状を変形させないようにするのが望ましい。
【0030】
本発明の遠赤外線放射液の追加成分として、ゼオライトや脈班石、粘土などの鉱物を上述と類似な方式で処理することにより鉱物溶解液を製造することができる。
【0031】
ゼオライト(沸石)は多孔性物質であって、化学実験及び化学工業分野において吸着剤として用いられるか、硬水を軟化するとき、イオン交換等による硬水軟化剤として用いられてきて、糞尿や他のゴミの悪臭の除去において微生物とともに用いられたことがある。ゼオライトはアルミノ珪酸塩鉱物の一種であり、四面体のTO4(Tはテトラヒドラル原子としてSiまたはAlである)からなっている分子次元の空洞で3次元に繋がって分子次元の通路を成している。空洞内で起きる水分子の可逆的な吸着脱着現象を起こし、天然ゼオライトは約40種、合成ゼオライトは約130種が存在する。本発明で用いられたゼオライトには特別な制限はなく、公知のものを使用することが可能である。
【0032】
本発明に従うゼオライト溶液を得るためには、ゼオライトを上記水酸化カリウム原液に加えるだけで、特別な条件を付けず一定時間の間、例えば3時間程度溶解させて製造する。特に、そのとき加熱すると、ゼオライトのスラリー化が起こる恐れがあるので、ゼオライト溶液の製造の際は熱処理をしない方が望ましい。ゼオライト溶液は上記水酸化カリウム原液:ゼオライトの割合を、好ましくは略2.5〜10:0.5〜2、より好ましくは5:1、最も好ましくは5:0.84の割合で混合するのがよい。したがって、上記設定した範囲は本発明の理解をより容易にするために提示した範囲であり、本発明の範囲を制限しようとすることではない。上記範囲から多少外れても、これはゼオライト溶解液を製造して本発明の目的効果を奏することであれば、これは本発明の範囲内に含まれていることと理解するものである。
【0033】
脈班石は多孔質構造の黄白色鉱物として、その主成分がシリカ、酸化アルミニウム、酸化鉄、酸化マグネシウム、酸化カルシウムを含んでいるので、遠赤外線放射体の材料として使用するのに適切である。
【0034】
脈班石溶液を得ようとする際は、脈班石を上記水酸化カリウム原液に添加した後、上記カキ殻溶液の製造条件と同じく処理することにより得られる。すなわち、脈班石含有アルカリ水溶液を一定温度、例えば100〜150℃、好ましくは約100℃以下、より好ましくは75〜85℃の温度で溶媒としてアルカリ水溶液を用いて適切な期間、例えば1時間乃至24時間、好ましくは1時間乃至7時間、より好ましくは3時間程度撹拌下、熟成させることによって、本発明の脈班石溶液を得る。
【0035】
脈班石溶液は上記水酸化カリウム溶液:脈班石の割合を重量を基準として2.5〜10:0.5〜2、より好ましくは5:1、最も好ましくは5:0.84の割合で混合するのが良い。従って、上記設定した範囲は本発明の理解をより容易にするために提示した範囲であり、本発明の範囲を制限しようとすることではない。上記範囲から多少外れても、これは脈班石溶液を製造して本発明の目的効果を奏することであれば、これは本発明の範疇に属することと理解するものである。
【0036】
上記成分の以外にも、粘土にはケイ素、アルミニウム、鉄、マグネシウム、アルカリ金属、アルカリ土金属などが含まれており、これを鉱物溶液にも使用可能であり、さらには脈閃石(bio-stone)、蛇紋岩、角閃石、ベントナイト、珪藻土などを本発明のアルカリ水で処理して鉱物溶液として用いることにより、様々のアルカリ溶液を製造するのが可能である。
【0037】
このように個別的に製造した上記鉱物溶液は各々、遠赤外線を放射できるので、単独で使用可能であるが、これを一定割合で混合して多様な生化学的機能を有する遠赤外線放射体を製造するのがより望ましい。
【0038】
本発明の液状遠赤外線放射体は、上記カキ殻溶液、ゼオライト溶液、脈班石溶液、ケイ酸ナトリウム溶液(Na2O・nSi2−xH2O、水ガラス)、ほう砂(Na2B4O7)及びクエン酸カリウム(K2C6H5O7)を適当な割合で混合した後、室温〜100℃以下の温度で適当な期間、例えば10分〜5時間、好ましくは10分ない3時間、より好ましくは1時間程度撹拌下、熟成させることにより、遠赤外線放射体の混合物を得る。本発明による液状放射体の製造時、原料の熱処理はできるだけ100℃以上の高温を使用しない方がよい。
【0039】
上記鉱物溶液に追加の微量成分として銀水溶液、二酸化ゲルマニウム等を添加しても良い。
【0040】
液状の遠赤外線放射体の製造の際、カキ殻溶液:ゼオライト溶液:脈班石溶液:ケイ酸ナトリウム溶液:ほう砂:クエン酸カリウムの混合比は容量及び重量を基準として、10〜40:2〜10:5〜20:5〜20:1〜5:1〜5の割合、好ましくは10〜40:3〜8:8〜15:8〜15:1〜5:1〜5の割合、より好ましくは20:5:10:10:3:3の割合で混合する。上記組成範囲外であっても遠赤外線放射能が多少低くなること以外には別の問題がないので、本発明の液状遠赤外線放射体の組成は上記範囲にのみ限定されることなく、上記組成範囲から多少外れても一定水準の品質を持つ液状の遠赤外線放射体を製造するのに問題がなければ、本発明の範疇内に属するものである。
【0041】
上記鉱物を含有する混合物は、15,000〜30,000ガウス容量を持つ永久磁石、例えばND磁石により磁場を発生する装置に通過させると、磁石と直交して、溶液は磁化水の性質を帯びるようになって、磁化された液状の遠赤外線放射体が得られる。
【0042】
このような方式で製造された、本発明による遠赤外線放射体は、その主な元素構成成分がカリウム(0.17%)、ナトリウム(0.05%)、カルシウム(0.001%)、ケイ素(0.0001%)からなっており、アルカリ土類金属類を主に含有しているので、その他に微量成分として各種ミネラルを含有して遠赤外線を放射するセラミックや鉱石が持っている固有の機能を常温液体状態でも非常に小エネルギーを用いて行うことができる。このように、蒸留水で100倍希釈した、鉄塩を含有する液状の遠赤外線放射体は、磁化水の性質を持ち、沸点が95℃で普通の水より低く、水分子の結合集団が小さい液体として強アルカリ水(pH11〜13、20℃)に該当し、比重(20/4℃)は1.010であり、乾燥減量は98.0を示した。
【0043】
さらに、本発明の液状遠赤外線放射体に対する重金属及び環境有害物質の含量は次の表1に示す。
【0044】
【表1】
【0045】
上記表1の結果から解るように、本願発明の液状遠赤外線放射体は重金属や環境有害物質をほぼ含有していないので、人体や動物及び周囲環境に悪影響を及ぼす恐れが全然ない。
【0046】
この原液は所期目的の用途によって最大200倍まで希釈して多様な用途として使用可能である。
【0047】
本発明は追加の一面において、上記液状遠赤外線放射体の脱臭剤としての用途を提供する。
【0048】
本発明の脱臭剤は遠赤外線放射体溶液に水、過硫酸カリウム、次亜塩素酸ナトリウム等を混合した後、これを大略二時間ほど撹拌することによって製造される。この際、追加の成分として、アスコルビン酸、砂糖(精白糖又は上白糖)、過マンガン酸カリウム、過マンガン酸ナトリウム、二酸化ゲルマニウム、硫酸マグネシウム等を添加しても良い。
【0049】
遠赤外線放射体原液:水:過硫酸カリウム:次亜塩素酸ナトリウムの混合比は容量及び重量を基準として、3〜40:20〜100:0.5〜5:0.5〜5の割合が好ましく、10:100:1.5:1が最も好ましい。この中、過硫酸カリウムの含量が重要である。過硫酸カリウムの含量が0.5以下であると、脱臭効果が低下する短所があり、5を越えると、脱臭効果を増加させないので非経済的である。この脱臭剤溶液は目的とする用途によって最高200倍まで希釈して使用可能である。上記追加成分の量は過硫酸カリウムの量のと類似な量を使っても良い。
【0050】
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0051】
鉱物溶液の製造
収集したカキ殻を自動洗浄機できれいに水洗して砂、汚物などの異物質を除去して乾燥させた後、粉砕機で粉砕した。この前処理したカキ殻に硫酸第一鉄、酸化第二鉄(Fe2O3)と溶媒を次の表2に示した割合で混合した後、80℃の温度で3時間撹拌下、熟成させることにより、カキ殻溶液を得た。同様に、ゼオライト(Clinoptilolite−(Na2,Ca)Al2Si7O18・6H2O;代替物としてMordenite−Na2(AlSi5)12)2・7H2Oを使用可能)溶液及び脈班石溶液を製造した。
【0052】
【表2】
【実施例2】
【0053】
液状遠赤外線放射体の製造
上記実施例1より製造された各々の溶液と、ケイ酸ナトリウム(Na2O・nSiO2−xH2O)、ほう砂(Na2B4O7)及びクエン酸カリウム(K2C6H5O7)を下記表3に記載した割合で混合した後、80℃で約30分撹拌下、熟成させることにより、本発明の液状遠赤外線放射体を得た。上記鉱物を含有する遠赤外線放射液を15,000〜30,000ガウス容量のND磁石により磁場を発生する装置(機器名:NO-FF-B、製造元:ソウル磁石 韓国)に通過させて、磁化された液状の遠赤外線放射体を製造した。
【0054】
【表3】
【実施例3】
【0055】
脱臭剤の製造
実施例2cより製造された液状の遠赤外線放射体に下記表4に示した組成の成分を混合した後、常温(28〜30℃)で2時間撹拌することにより脱臭剤を製造した。この原液は所期目的の用途によって最高20倍まで希釈して使用するのが可能である。
【0056】
【表4】
【0057】
試験例1:遠赤外線放射能測定試験
遠赤外線放射体が液状である場合、放射率及び放射強度の測定が技術的に困難であるため、本発明の液状遠赤外線放射体(実施例3c)は合板にコーティングして間接的方式で、韓国健資材試験研究院(KICM)遠赤外線応用評価センターに依頼してIR−分光器により試験した。その結果、対照群合板に対する40℃及び5〜20μmの波長範囲で放射率は0.904であり、放射エネルギーは3.65×102(w/m2)であった。これに対して、本願発明の液状遠赤外線放射体は同一条件の下で、0.909の放射率を示し、放射エネルギーは3.66×102(w/m2)であった。
【0058】
添付した図1には液状遠赤外線コーティング物の放射強度を測定したグラフを示しており、5.0μm以上の波長で最大の遠赤外線放射率を有する黒体とほぼ類似した放射強度を有する優れた放射体であることがわかった。
【0059】
40℃における液状での直接的な試験ではなく、間接的な方法で行なわれたものであるが、試験結果によれば、本発明の液状遠赤外線放射体は、常温でも遠赤外線を放射可能であることが確認された。また温度を上昇させる場合、金属は酸化金属に変わるようになるので遠赤外線放射率が高くなるのは自明である。
【0060】
試験例2:脱臭能力試験
本発明による液状遠赤外線放射体から製造した脱臭剤(実施例3c、10倍希釈)について、トリメチルアミンと酸性臭気物である硫化水素及びメチルメルカプタンに対する脱臭能力の試験を韓国化学試験研究院に依頼して行った。試験機器はモデル801(GASTEC Co., Japan)を用いた。脱臭試験用装置(40cm×40cm×60cm)の中で悪臭発生原因であるアンモニアを装置内部に注入して50ppmになるようにガステクで測定して調節した。トリメチルアミン、硫化水素及びメチルメルカプタンに対しても同様に各々の脱臭試験容器に注入して50ppmになるように調節した後、初期濃度に合わせて調整された装置の中に試験用脱臭剤原液20mlを噴射器を通して噴射させ、各々30分、1時間、3時間、及び6時間後に濃度を測定した。実験室内条件は次のようである:室内温度=22±5℃、相対湿度=43±5%。その結果は図2に示す。
【0061】
図2の結果によれば、アンモニア及びトリメチルアミンの場合、6時間以後、初期濃度に比べて各々81.0%及び71.0%の除去率を示し、酸性臭気物である硫化水素及びメチルメルカプタンに対する脱臭力は6時間以後初期濃度に比べて各々53.0%、及び51%の除去率を示した。従って、本発明の脱臭剤は塩基性臭気物及び酸性臭気物の両方に対しても優れた脱臭機能を有するものであることがわかった。
【0062】
試験例3:急性毒性試験
実施例3cによる脱臭剤の実験動物に対する急性毒性実験を行い、その毒性有無を観察した。実験用動物は4、5週令の体重105±4gのオスと95±3gのメスのSPF SD系ラット(購入元:Somang畜産 韓国)60匹を使用した。本発明の脱臭剤溶液と陰性対照群として蒸留水を用いて試験した。まず、上記ラットを温度22±2℃、相対湿度53±2%及び蛍光灯照明(09:00点灯〜18:00消灯)の明暗サイクル、150〜300Luxの照度条件を備えた実験室飼育箱で約1週間程度の期間に渡って馴化させた後、健康な動物のみを選別して平均体重が一致するように各群で分けて、一日一回20ml/kgの量で14日間強制に経口投与した後、一般状態の変化、中毒症状、運動性、外観、自律神経、体重変化、及び死亡動物の有無について点検した。
【0063】
実験結果によれば、実験期間の間、5%以内の体重の変化が見られたが、有意性はなく、試料の量を液状にして試験動物に投与可能である限り最大量のkg当り20mlの最高濃度を選定したにも関わらず、死亡動物は観察されなかった。したがって、概略の致死量算出は不可能であったため、LD50は20mlkgB.W.以上であると示され、特異な一般症状や剖検の際、特異な病変が観察されなかったので、これを総合的に判断してみると、上記脱臭剤は毒性がないことと判明された。
【0064】
試験例4:眼粘膜刺激試験
実施例3cによる脱臭剤の実験動物に対する刺激度を調査するために眼粘膜刺激実験を行った。実験動物としては体重2.5〜2.8kgの4ヶ月令のニュージランド白ウサギ(購入元:Somang畜産 韓国)9羽を使った。まず、実験動物を入手した後、2週間動物室で馴化させ、馴化期間中、一般状態を観察して健康な動物だけを試験に用いた。試験開始約24時間前にウサギの左右眼球の角膜、結膜、虹彩などの病変状態を検査して健康な左右両眼を持っているウサギを実験動物として選別した。ウサギ一羽当り試験物質0.1mlずつ点眼投与し、その中3羽は20〜30秒後両眼に無菌生理食塩水20mlで1分間洗眼し、残りの6羽は洗眼しなかった。観察は試験物質を投与してない他の眼を対照群として使って、試験物質を投与した後1、2、3、4、7日にその状態を観察し、その後3日おきに13日以上一般症状、飼料及び水の摂取状態などを中心にして行った。
【0065】
眼球病変の等級評価及び刺激性の判定基準は各々、韓国食品医薬品安全庁告示1999−61号“医薬品等の毒性試験基準”と韓国食品医薬品安全庁により発刊された“標準作業指針書”に準して評価した。刺激性は眼球病変の等級表及び眼粘膜刺激判定表を用いて程度を判定した。つまり、眼粘膜刺激を評点化したものを利用して各観察時間毎に角膜(最大値80点)、虹彩(最大値10点)、結膜(最大値20点)を算出して各動物の総計を求め、各羽ごとの総計の合を羽数で割った値をM.O.I.(Mean Ocular Irritation Index)として、この値を求めた。観察期間中、M.O.I.の最大値であるA.O.I.(急性眼刺激指数、Acute Ocular Irritation Index)等の値で眼粘膜の刺激度を評価した。
【0066】
実験結果によれば、試験物質の点眼投与後刺激によるどんな現状も確認されなく、死亡動物も発見されなかった。点眼投与後、1、2、3、4、及び7日に各々角膜、虹彩及び結膜に対してなんの異常症状も確認されなく、A.O.I.値は“0”であって、本試験物質は無刺激物であることが明らかとなった。
【0067】
試験例5:皮膚刺激試験
実施例3cによる脱臭剤の実験動物に対する刺激度を調査するために皮膚刺激実験を行った。実験動物としては体重2.5〜2.8kgの3〜4ヶ月令のニュージランド白ウサギ(購入元:Somang畜産 韓国)6羽を使った。まず、実験動物を入手した後、1週間動物室で馴化させ、馴化期間中、一般状態を観察して健康な動物だけを試験に用いた。ウサギは試験物質を適用する24時間前に除毛して処理区画と対照区画に分けた後、実験動物1羽当り試験物質を0.5mlずつ投与部位に一回塗布し、非処理対照区画には滅菌生理食塩水を同量塗布した。付着後固型材質の薄紙で覆ってテープを用いて固定した後、一定時間適用した。適用時間の終了後には生理食塩水を用いて塗布部を軽く洗浄した。試験物質の投与後1週間毎日外観、飼料及び飲水消費状態と臨床症状などについて観察し、適用後7日目に局所麻酔剤(リドカイン、光明薬品)を耳静脈を通して注入して安楽死した後、剖検して異常の有無を肉眼で観察した。
【0068】
皮膚反応の評価は韓国食品安全庁告示No.999−61 “医薬品等の毒性試験基準”を利用して24時間と48時間に対して判定した。また、皮膚に対する刺激性の程度判定は一般的に多く利用されるドレイズ(Draize)のPrimary Irritation Index(P.I.I.)の算出方法に従った。試験結果、試験物質の塗布部位の紅班と痂皮形成及び浮腫などの刺激は認められなく、ドレイズのP.I.I.による皮膚1次刺激率は“0”であると評価された。
【0069】
以上の試験結果から解るように、本願発明による脱臭剤は試験動物に対して全然毒性や刺激性がないと判明されており、従ってその出発物質である液状遠赤外線放射体もまた周囲環境や動物体に対してなんの副作用を持ってないことが明らかである。
【産業上の利用可能性】
【0070】
上記試験例の記載から解るように、本発明の液状遠赤外線放射体は環境親和的のみではなく、無臭、無色、無毒性である。更にこの液状物は、常温で遠赤外線を放射するので最小限の活性化エネルギーにより様々の化学的変化を起こすことができるため、省エネルギーの効果があるだけではなく、水分子の活性化などの作用を通じた動植物の新陳代謝または生体機能の促進効果を発揮できる。特に、本発明の遠赤外線放射液は微量の2価3価鉄塩を含有し、酸素に富んだ非イオン水に近いので生体水に近接な幾何学的構造を持っているために、液状で酸化還元反応をしない非常に安定した構造を取っており、高い細胞内浸透性を持っているので細胞内新陳代謝を少ないエネルギーで極大化することができる。更に微生物の繁殖防止効果があり、保存安定性が優れているために殺菌剤又は保存剤としても活用できる。本発明の遠赤外線放射物質は液状の状態で様々の機能性物質と混合する場合、目的とする用途について上昇作用を現す。これは単独で特定の用途に用いられ、これから製造された脱臭剤は酸性及び塩基性臭気物の両方に対しても優れた脱臭効果を有しながら、周囲環境や動物体に対して毒性などの副作用が全然ない。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明の液状遠赤外線放射体を被覆した合板試料の遠赤外線放射強度を測定したグラフ図。
【図2】本発明の液状遠赤外線放射体から製造された脱臭剤の各種臭化物に対する脱臭力を現すグラフ図。
Claims (6)
- 貝殻類及び鉱物をアルカリ水で処理した後、これに活性化触媒として2価鉄塩、3価鉄塩、ケイ酸ナトリウム溶液及びクエン酸カリウムを添加した後、得られた混合物を磁性体に通して製造した液状の遠赤外線放射体に水、過硫酸カリウム及び次亜塩素酸ナトリウムと共に撹拌させることを特徴とする液状脱臭剤の製造法。
- 液状の遠赤外線放射体、水、過硫酸カリウム及び次亜塩素酸ナトリウムの混合割合が3〜40:20〜100:0.5〜5:0.5〜5の範囲内であることを特徴とする請求項1記載の製造法。
- 液状の遠赤外線放射体、水、過硫酸カリウム及び次亜塩素酸ナトリウムの混合割合が10:100:1.5:1であることを特徴とする請求項1記載の製造法。
- 前記脱臭剤がアスコルビン酸、精白糖、2酸化ゲルマニウム、過マンガン酸カリウム、過マンガン酸ナトリウム及び硫酸マグネシウムよりなる群から選ばれる1以上の成分を追加含むことを特徴とする請求項1記載の製造法。
- 上記各々の成分を0.5〜5の割合で混合することを特徴とする請求項4記載の製造法。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の方法により製造された液状の脱臭剤。
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