JP2004535767A - ウリジン−5’−ジホスホスルホキノボース(udp−sq)の合成およびその後の改変のための組成物および方法 - Google Patents

ウリジン−5’−ジホスホスルホキノボース(udp−sq)の合成およびその後の改変のための組成物および方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、ウリジン−5’−ジホスホスルホキノボース(UDP−SQ)の合成および改変に関連する組成物および方法に向けられる。特に、本発明の方法は、UDP−SQを合成して、UDP−SQをその後改変して、6−スルホ−a−D−キノボシルジアシルグリセロール(SQDG)およびアルキルスルホキノボシドを含むがこれらに限定されない化合物を生成するために、シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)からの組み換え型酵素、UDP−グルコース、および硫黄供与体を利用することを含む。本発明の組成物および方法は、UDP−SQを合成して、その後SQDGを含むがこれらに限定されない化合物にUDP−SQを改変するより単純で迅速な手段を提供する。

Description

【0001】
発明の分野
本発明は、ウリジン−5’−ジホスホスルホキノボース(UDP−SQ)を合成してその後改変するための組成物および方法に関する。本発明の方法は、UDP−SQを合成するために、そしてUDP−SQをその後改変して、6−スルホ−α−D−キノボシルジアシルグリセロール(SQDG)およびアルキルスルホキノボシドを含むがこれらに限定されない化合物を生成するために、シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)の組み換え型酵素、UDP−グルコース、および硫黄供与体を利用することを含む。
【0002】
背景
ウリジン−5’−ジホスホスルホキノボース(UDP−SQ)は、そのスルホネート基で陰性荷電を有する特異な糖ヌクレオチドである。UDP−SQは、糖ヌクレオチド依存的グリコシルトランスフェラーゼと反応して、6−スルホ−α−D−キノボシルジアシルグリセロール(SQDG)を含むがこれらに限定されない貴重な化合物を形成するためにそのスルホネート基を他の基質に供与すると考えられている。UDP−SQは、それに対してそれが独自のスルホン酸ヘッドグループであるスルホキノボースを供与するSQDGの直接の前駆体であると考えられている。しかし、UDP−SQを合成する単純で迅速な方法、またはUDP−SQを、SQDGおよびアルキルスルホキノボシドを含むがこれらに限定されない化合物にその後改変するための効率的な方法はない。
【0003】
SQDGは、高等植物、コケ、シダ、藻類、およびほとんどの光合成細菌の光合成膜(チラコイド)膜に特異的に会合する豊富な硫黄含有非燐グリセロリピッドである。SQDGは、酸素光合成に普遍的に関連して、生物学的硫黄サイクルの重要な成分である。
【0004】
SQDGは、いくつかの哺乳類DNAポリメラーゼおよびヒト免疫不全ウイルス逆転写酵素1(HIV−RT1)の強力な阻害剤であることが示されており、そのため、抗ウイルス化合物として貴重である(オータ(Ohta)ら、「スルホキノボシルジアシルグリセロールKM043、真核生物DNAポリメラーゼおよび海洋赤色藻類であるジガルチナ・テネラの1型HIV逆転写酵素の新しい強力な阻害剤(Sulfoquinovosyldiacylglycerol, KM043, a new potent inhibitor of eukaryotic DNA polymerases and HIV−reverse transcriptase type 1 from a marine red alga, Gigartina tenella)」、Chem. Pharm. Bull. 46(4):684〜86(1998))。その上、SQDGはまた、その抗腫瘍促進特性および抗癌化学療法剤の殺細胞作用の増強能のために貴重であることが証明されている(シラハシ(Shirahashi)ら、「淡水シアノバクテリア、ホルミジウム・テヌエからの抗腫瘍促進成分の単離と同定(Isolation and Identification of Anti−tumor−Promoting Principles from the Fresh−Water Cyanobacterium Phormidium tenue)」、Chem. Pharm. Bull. 41(9):1664〜66(1993))。さらに、SQDGは、一般的に優れた洗浄剤特性を有すると考えられている(ベンソン(Benson、A.A.)「植物のスルホリピッド(The Plant Sulfolipid)」、Adv. Lipid Res. 1:387〜94(1963))。このように、UDP−SQを生成する方法、およびSQDGを含むがこれらに限定されない化合物にその後改変する方法が望ましい。
【0005】
従来、UDP−SQは一連の化学反応によって合成されていた(ハインツ(Heinz)ら、「異なるヌクレオシド5’−ジホスホスルホキノボースの合成および葉緑体におけるスルホリピッドの生合成に関する研究でのその利用(Synthesis of different nucleoside 5’−diphospho−sulfoquinovoses and their use for studies on sulfolipid biosynthesis in chloroplasts)」、Eur. J. Biochem. 184:445〜453(1989))。しかし、この化学的生成は、非常に複雑でそれによるUDP−SQの産生量は少なく、完了するまでに数日を要する(同上)。その上、SQDGに関するこれまでの研究は、光合成微生物からの陰イオンスルホリピッドの時間のかかる単離および精製を必要とした(オータ(Ohta)ら、「新規哺乳類DNAポリメラーゼ阻害剤であるスルホキノボシルジアシルグリセロールの作用(Action of a New Mammalian DNA Polymerase Inhibitor, Sulfoquinovosyl diacylglycerol)」、Biol. Pharm. Bull. 22(2):111〜16(1999);グスタフソン(Gustafson)ら、「シアノバクテリア(青緑藻類)からのAIDS−抗ウイルススルホリピッド(AIDS−Antiviral Sulfolipids From Cyanobacteria(Blue−Green Algae))」、J. Natl. Cancer Inst. 81:1254〜258(1989))。このように、UDP−SQを合成するための、そしてSQDGを含むがこれらに限定されない化合物にUDP−SQをその後改変するためのより単純で迅速な方法が必要である。
【0006】
発明の概要
本発明は、ウリジン−5’−ジホスホスルホキノボース(UDP−SQ)の合成およびその後の改変のための方法に関する。本発明の方法は、UDP−SQを合成するためにシロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)の組み換え型酵素、UDP−グルコース、および硫黄供与体を利用することを含む。UDP−SQの現行の合成法とは異なり、本発明の合成法は単純かつ迅速である。実際に、本発明の方法によるUDP−SQの産生は1時間未満で完了しうる。
【0007】
一つの態様において、本発明は以下を含む、UDP−SQを合成する方法を意図する:a)i)ウリジン−5’−ジホスホグルコース(UDP−Glc)、ii)硫黄供与体、およびiii)UDP−Glcのウリジン−5’−ジホスホスルホキノボース(UDP−SQ)への変換を触媒することができるペプチド、を提供する段階;ならびにb)UDP−SQが生成される条件で、上記のUDP−Glcを上記の第一のペプチドおよび上記の硫黄供与体と反応させる段階。
【0008】
本発明は、UDP−Glcおよび硫黄供与体のUDP−SQへの変換を触媒することができる如何なる特定の第一のペプチドに限定されないと解釈される。一つの態様において、上記の第一のペプチドは、配列番号:5に記載の核酸配列によってコードされる遺伝子産物であるSQD1である。もう一つの態様において、上記の第一のペプチドは、配列番号:7に記載の核酸配列によってコードされる。
【0009】
本発明は如何なる特定の硫黄供与体を用いることに限定されないと解釈される。一つの態様において、硫黄供与体は、硫酸塩、亜硫酸塩、硫化物、チオ硫酸塩、スルホグルタチオン、アデノシン5’−ホスホスルフェート(APS)、および3’−ホスホアデノシン−5’−ホスホスルフェート(PAPS)を含む群から選択される。好ましい態様において、硫黄供与体は亜硫酸塩である。
【0010】
本発明は、UDP−Glcおよび硫黄供与体のUDP−SQへの変換を触媒することができるペプチドを発現または生成するために如何なる特定の方法を用いることに限定されないと解釈される。一つの態様において、本発明は、pQE−9、pQE−16、pQE−31、pQE−32、pQE−40、pQE−60、pQE−70、pQE−80、pQE−81、pQE−82、またはpQE−100のような蛋白質発現ベクター群へのsqdl遺伝子cDNAのクローニングを意図する。もう一つの態様において、本発明は、蛋白質発現ベクターpQE−30へのsqdl遺伝子cDNAのクローニングを意図する(図3を参照のこと)。
【0011】
本発明の方法は、反応容器または容器において簡便に行われる。本発明は、特定の反応容器に制限されないと解釈される。試験管、フラスコ、および他のガラス製品を含むがこれらに限定されない多様な容器を用いることができる。
【0012】
もう一つの態様において、本発明は、sqd1遺伝子産物が発現されるように植物細胞または組織の形質転換を意図する。一つの態様において、本発明は、アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)に導入して、アグロバクテリア形質転換によってトランスジェニック植物細胞をその後作製するために、バイナリベクターへのsqdl遺伝子cDNA(配列番号:5)のクローニングを意図する。
【0013】
本発明は、UDP−GlcのUDP−SQへの変換を触媒することができる組み換え型ペプチドを精製するために如何なる特定の方法を用いることに限定されないと解釈される。一つの態様において、本発明は、蛋白質発現ベクターに組み入れた6−Hisタグを利用するペプチドの精製を意図し、それによって、ニッケルニトリロ酢酸(Ni−NTA)アガロース樹脂に基づくクロマトグラフィーカラム上で蛋白質アフィニティ精製を行うことができる。
【0014】
本発明は、UDP−SQ合成を検出するために如何なる特定の方法を用いることに限定されないと解釈される。本発明は、多様な方法またはアッセイフォーマットを意図する。一つの態様において、SQD1の活性の反映としてUDP−グルコースのUDP−SQへの変換を測定する酵素アッセイを提供する。もう一つの態様において、カップリングしたアデノシン−5’−ホスホスルフェート(APS)/SQD1アッセイが意図される。
【0015】
本発明は、6−スルホ−α−D−キノボシルジアシルグリセロール(SQDG)を含むがこれらに限定されない化合物を合成するために、ウリジン−5’−ジホスホスルホキノボース(UDP−SQ)をその後改変する方法に関する。UDP−SQの現行の合成法とは異なり、本発明の合成法は迅速かつ単純である。
【0016】
一つの態様において、本発明は、以下を含む、UDP−SQを合成する方法を意図する:a)i)ウリジン−5’−ジホスホグルコース(UDP−Glc)、ii)硫黄供与体、iii)UDP−Glcのウリジン−5’−ジホスホスルホキノボース(UDP−SQ)への変換を触媒することができる第一のペプチド、およびiv)スルホキノボースをUDP−SQからジアシルグリセロールに転移させることができる第二のペプチドを提供する段階;b)UDP−SQが生成される条件で、上記のUDP−Glcを上記の第一のペプチドおよび上記の硫黄供与体と反応させる段階;ならびにc)スルホキノボースジアシルグリセロールが生成される条件で、上記のUDP−SQを上記の第二のペプチドによって処置する段階。
【0017】
本発明は、スルホキノボースをUDP−SQからジアシルグリセロールに転移させることができる如何なる特定の第二のペプチドを用いることに限定されないと解釈される。一つの態様において、上記の第二のペプチドは、シアノバクテリア(Cyanobacteria)種に由来する配列番号:1に記載の核酸配列の遺伝子産物である。もう一つの態様において、上記の第二のペプチドは、シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)に由来し、配列番号:3および配列番号:4の群から選択される核酸配列によってコードされる遺伝子産物である。
【0018】
本発明は、スルホキノボースをUDP−SQからジアシルグリセロールに転移させることができるペプチドを発現または生成するために如何なる特定の方法を用いることに限定されないと解釈される。一つの態様において、本発明は、pQE−9、pQE−16、pQE−31、pQE−32、pQE−40、pQE−60、pQE−70、pQE−80、pQE−81、pQE−82、pQE−100を含む蛋白質発現ベクターの群へのsqdX遺伝子のクローニングを意図する。もう一つの態様において、本発明は、蛋白質発現ベクターpQE−30へのsqdX遺伝子のクローニングを意図する(図3を参照のこと)。さらなる態様において、sqdX遺伝子は蛋白質発現ベクターpACYC184にクローニングされる。
【0019】
もう一つの態様において、本発明は、sqdX遺伝子が発現されるように植物細胞または組織の形質転換を意図する。一つの態様において、本発明は、アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)に導入して、アグロバクテリア形質転換によってトランスジェニック植物細胞をその後作製するためにバイナリベクターへのsqdX遺伝子cDNA(配列番号:1)のクローニングを意図する。もう一つの態様において、上記の遺伝子産物は、配列番号:3および配列番号:4の群から選択される核酸配列によってコードされる。
【0020】
本発明は、スルホキノボースをUDP−SQからジアシルグリセロールに転移することができる組み換え型ペプチドを精製するために如何なる特定の方法を用いることに限定されないと解釈される。一つの態様において、本発明は、蛋白質発現ベクターに組み入れた6−Hisタグを利用するペプチドの精製を意図し、それによってニッケルニトリロ酢酸(Ni−NTA)アガロース樹脂に基づくクロマトグラフィーカラム上で蛋白質アフィニティ精製を行うことができる。
【0021】
本発明は、SQDG合成を検出するために如何なる特定の方法を用いることに限定されないと解釈される。本発明は、多様なアッセイフォーマットを意図する。一つの態様において、SQDGの合成は、SQDGを含むことがわかっているシロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)の葉の脂質抽出物との同時クロマトグラフィーによって、ヨウ素蒸気によって可視化して同定される。もう一つの態様において、SQDGの産生は、反応産物がTLCプレートから単離され、脂肪酸メチルエステルを調製するために用いられる定量的分析によって確認される。メチルエステルは、内部標準としてミリスチン酸を用いてガスクロマトグラフィーによって定量される。
【0022】
本発明は、単一の宿主生物または植物におけるUDP−Glcおよび硫黄供与体のUDP−SQへの変換を触媒することができるペプチドの独立した発現に限定されないと解釈される。その上、本発明は、単一の宿主生物または植物において、スルホキノボースをUDP−SQからジアシルグリセロールに転移させることができる第二のペプチドの独立した発現に限定されないと解釈される。一つの態様において、本発明は、単一の宿主生物において上記のペプチドの双方の同時発現を意図する。もう一つの態様において、本発明は、双方のペプチドが同時発現されるように植物細胞または組織の形質転換を意図する。
【0023】
本発明は、a)i)ウリジン−5’−ジホスホグルコース、ii)硫黄供与体、iii)ウリジン−5’−ジホスホグルコースのウリジン−5’−ジホスホスルホキノボースへの変換を触媒することができるペプチド、iv)酸触媒、v)短鎖アルコール、およびvi)長鎖アルコールを提供する段階;b)ウリジン−5’−ジホスホスルホキノボースが生成される条件で、上記のウリジン−5’−ジホスホグルコースを上記のペプチドおよび上記の硫黄供与体と反応させる段階;c)短鎖アルキルスルホキノボシドが生成される条件で上記のウリジン−5’−ジホスホスルホキノボースを上記の短鎖アルコールおよび上記の酸触媒と反応させる段階;ならびにd)長鎖アルキルスルホキノボシドが生成される条件で、上記の短鎖アルキルスルホキノボシドを上記の長鎖アルコールによって処理する段階、を含むUDP−SQを改変する方法を意図する。
【0024】
アルキルスルホキノボシド様化合物を生成する現行の方法とは対照的に、本発明の方法は、C−6位でスルホン化され、C−1位でアルコールによってアセタール化されたグリコシド単位からなる物質の群を生成する。その上、本発明によって生成されたアルキルスルホキノボシドは、他の陰イオン表面活性剤とは異なり、再生可能な天然資源から得ることができ、生体分解性である。
【0025】
本発明は、方法に関して選択された短鎖アルコールに限定されないと解釈される。一つの態様において、短鎖アルコールは、その異性体を含むメタノール、エタノール、プロパノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノナノールからなる群より選択される。もう一つの態様において、短鎖アルコールはブタノールである。
【0026】
本発明は、方法に関して選択される酸触媒に限定されないと解釈される。一つの態様において、酸触媒は、HSO、HCl、HPO、BF、オルト−トルエンスルホン酸、メタ−トルエンスルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸、二級アルキルスルホン酸、スルホン酸樹脂、アルキルスルフェート、アルキルベンゼンスルホネート、アルキル−スルホネート、およびスルホコハク酸を含む群から選択される。もう一つの態様において、酸触媒はパラ−トルエンスルホン酸である。
【0027】
本発明は、方法に関して選択される長鎖アルコールに限定されないと解釈される。一つの態様において、長鎖アルコールは、n−ドデシルアルコール、n−テトラデシルアルコール、n−オクタデシルアルコール、n−オクチルアルコール、n−デシルアルコール、ウンデシルアルコール、およびトリデシルアルコールの群から選択される脂肪アルコールである。もう一つの態様において、長鎖アルコールは、重量比でラウリルアルコール約3に対しミリスチルアルコール約1の技術的混合物である。もう一つの態様において、長鎖アルコールは、オキソアルコールを含むがこれに限定されない分岐鎖一級アルコールである。もう一つの態様において、長鎖アルコールはn−ヘキサデシルアルコールである。
【0028】
本発明は、方法によって生成されるアルキルスルホキノボシドに限定されないと解釈される。本発明は、多様なアルキルスルホキノボシドおよびその混合物の生成を意図する。一つの態様において、生成されるアルキルスルホキノボシドは、短鎖および長鎖アルキルスルホキノボシドの混合物を含む。もう一つの態様において、アルキルオリゴスルホキノボシドが生成される。もう一つの態様において、アルキルポリスルホキノボシドが生成される。さらなる態様において、アルキルモノスルホキノボシドが生成される。
【0029】
本発明はまた、UDP−SQの生合成、ならびにSQDGおよびアルキルスルホキノボシドを含むがこれらに限定されない化合物へのその後の改変において用いられる組成物にも関する。一つの態様において、組成物は、配列番号:1、配列番号:3、または配列番号:4の少なくとも一部を含む実質的に純粋なヌクレオチド配列である。もう一つの態様において、組成物は、配列番号:1、配列番号:3、または配列番号:4の少なくとも一部から転写されたRNAを含む。もう一つの態様において、組成物は、配列番号:1、配列番号:3、または配列番号:4の少なくとも一部から転写されたRNAから翻訳された蛋白質を含む。もう一つの態様において、組成物は、翻訳された蛋白質から生成された抗体を含む。さらなる態様において、組成物は、配列番号:1、配列番号:3、または配列番号:4の少なくとも一部を含む発現構築物を含む。もう一つの態様において、組成物は、配列番号:1、配列番号:3、または配列番号:4の少なくとも一部を含むトランスジェニック植物細胞または組織を含む。
【0030】
一つの態様において、本発明は、a)i)ウリジン−5’−ジホスホグルコース、ii)亜硫酸塩、iii)配列番号:5に記載の核酸配列、およびv)宿主細胞を提供する段階;b)ペプチドが発現される条件で上記の宿主細胞に上記の核酸をトランスフェクトさせる段階;ならびにc)ウリジン−5’−ジホスホスルホキノボースが生成される条件で、ウリジン−5’−ジホスホグルコースを上記のペプチドおよび上記の亜硫酸塩と反応させる段階、を含む方法を意図する。
【0031】
もう一つの態様において、本発明は、a)i)ウリジン−5’−ジホスホスルホキノボース、ii)ジアシルグリセロール、iii)配列番号:1、配列番号:3および配列番号:4からなる群より選択される核酸配列、およびv)宿主細胞を提供する段階;b)ペプチドが発現される条件で上記の宿主細胞に上記の核酸をトランスフェクトさせる段階;ならびにc)スルホキノボシルジアシルグリセロールが生成される条件で、ウリジン−5’−ジホスホスルホキノボースを上記のペプチドおよび上記のジアシルグリセロールと反応させる段階、を含む方法を意図する。
【0032】
定義
本発明を理解しやすくするため、用語を以下に定義する:
【0033】
本明細書において用いられる「会合したペプチド」とは、他のペプチドに直接または間接的に結合しているペプチドを意味する。間接的に結合した会合ペプチドは、二つの会合ペプチドのあいだに一つまたはそれ以上の他のペプチドを有してもよい。ペプチドは、ペプチド結合、共有結合、および非共有結合によって結合してもよい。
【0034】
本明細書において用いられる「機能的に組み合わせて」、「機能的な秩序で」、および「機能的に結合して」とは、所定の遺伝子の転写および/または所望の蛋白質分子の合成を指示することができる核酸分子が生成されるように、核酸配列が結合していることを意味する。この用語はまた、機能的な蛋白質が産生されるようにアミノ酸配列が結合していることも意味する。
【0035】
本明細書において用いられる「発現構築物」、「発現ベクター」、および「プラスミド」とは、細胞または宿主生物(例えば、哺乳類)においてコード配列の発現にとって必要な配列に機能的に結合した所望のコード配列を含む一つまたはそれ以上の組み換え型DNAまたはRNA配列を意味する。配列は一本鎖または二本鎖であってもよい。
【0036】
本明細書において用いられる「レポーター構築物」、「レポーター遺伝子」、および「レポーター蛋白質」とは、適当であれば、宿主細胞または生物において発現された場合に検出、測定、または定量される可能性があるDNA配列またはアミノ酸配列を意味する。
【0037】
本明細書において用いられるように、「精製された」、または「精製する」という用語は、試料から一つまたはそれ以上の(望ましくない)成分を除去することを意味する。例えば、組み換え型ポリペプチドを細菌宿主細胞において発現させる場合、ポリペプチドは、宿主細胞蛋白質を除去して、それによって試料中の組み換え型ポリペプチドの割合を増加させることによって精製される。
【0038】
本明細書において用いられるように、「部分的に精製された」という用語は、関係する物質が、混合物において測定可能な量(例えば、ピコグラム、ナノグラム、マイクログラム等)を占めるとして、当業者に既知の技術(例えば、染色、ブロッティング等)によって認識可能である程度に試料中の混入物を除去することを意味する。
【0039】
本明細書において用いられるように、「実質的に精製された」という用語は、天然の環境から除去され、単離または分離されて、それらが本来会合している他の成分を少なくとも60%含まない、好ましくは75%含まない、およびより好ましくは90%含まない分子(例えば、核酸またはアミノ酸配列)を意味する。
【0040】
本明細書において用いられるように、溶液が固相マトリクスを通過する場合、これは「フロースルー」を含む。結合しない材料は、もし存在すれば、マトリクスの中を溶液と共にフロースルーまで通過する。全ての非特異的結合を排除するために、マトリクスを一つまたはそれ以上の洗浄液によって「洗浄する」、この洗浄液はマトリクスの通過後、一つまたはそれ以上の「溶出液」を含む。「溶出液」は、マトリクスに結合した材料(もし存在すれば)を解離させることができる化学溶液である;この解離した材料はマトリクスを通過して「溶出物」を含む。
【0041】
本明細書において用いられる「抗体」とは、抗原(通常、しかし必ずしもそうではないがペプチド)、または抗体産生を生じる構造的に類似の抗原に対して高い特異性で結合するB細胞およびプラズマ細胞によって産生された糖蛋白質として定義されることを意味する。抗体は、既知の如何なる方法論によって産生してもよく、またはポリクローナル抗体もしくはモノクローナル抗体のいずれであってもよい。
【0042】
本明細書において用いられるように、「染色」とは、細胞または複数の細胞の特定の成分および/または特徴を可視化するために用いられる当業者(典型的に色素を利用する)に既知の如何なるプロセスも意味する。
【0043】
本明細書において用いられるように「アルコール」とは、飽和したsp−ハイブリダイズした炭素原子に結合したヒドロキシル官能基を有する成分を意味する。本明細書において用いられるように「短鎖アルコール」という用語は、炭素原子10個未満を含むアルコールを意味する。そのような短鎖アルコールの例は、その異性体を含むメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノナノールを含む。本明細書において用いられるように、「長鎖アルコール」という用語は、脂肪アルコール、特に炭素原子10〜18個を含む高級脂肪族一級アルコール、好ましくは飽和、および好ましくは天然の脂肪酸の工業的水素添加によって得ることができるタイプの直鎖アルコールを意味する。高級脂肪族アルコールの典型的な例は、例えば、n−ドデシルアルコール、n−テトラデシルアルコール、n−ヘキサデシルアルコール、n−オクタデシルアルコール、n−オクチルアルコール、n−デシルアルコール、ウンデシルアルコール、トリデシルアルコールのような化合物である。
【0044】
本明細書において用いられるように、「硫黄供与体」とは、ウリジン−5’−ジホスホスルホキノボース(UDP−SQ)の生成においてスルホン酸基を提供することができる如何なる硫黄に基づく化合物も意味する。そのような硫黄供与体の例は、硫酸塩、亜硫酸塩、硫化物、チオ硫酸塩、スルホグルタチオン、アデニン−5’−ホスホスルフェート(APS)、および3’−ホスホアデノシン−5’−ホスホスルフェート(PAPS)を含む。
【0045】
本明細書において用いられるように、「酸触媒」とは、脂肪アルコールと糖分子とのあいだのアセタール化反応を触媒するいわゆるルイス酸を含む如何なる化合物も意味する。工業プロセスにおいてこの目的のために用いられる酸の例は、HSO、HCl、HPO、またはBF、またはスルホン酸もしくはその塩を含む。スルホン酸の例は、オルト−、メタ−、およびパラ−トルエンスルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸、二級アルキルスルホン酸、スルホン酸樹脂、アルキルスルフェート、アルキルベンゼンスルホネート、アルキルスルホネート、およびスルホコハク酸を含む。
【0046】
本明細書において用いられるように、「アルキルスルホキノボシド」とは、C−6位でスルホン化され、C−1位でアルコールによってアセタール化されるグリコシド単位を含む基質の群を意味する。本発明の意味において、アルキルスルホキノボシドは、UDP−スルホキノボースと脂肪アルコールの反応産物であると理解される。その最も広い意味において、アルキルスルホキノボシドにおける「アルキル」は、天然の脂肪から得ることができる脂肪族C8〜C18アルコールの残基、すなわち飽和および不飽和残基ならびに鎖長が異なる残基を含むその混合物を含むと解釈される。アルキルオリゴスルホキノボシド、アルキルポリスルホキノボシドという用語は、アセタールの型での一つのアルキル残基が一つ以上のスルホキノボシド残基、すなわちポリスルホキノボシドまたはオリゴスルホキノボシド残基に結合しているタイプのアルキル化スルホキノボシドに当てはまる;これらの用語は、互いに同義であると見なされる。したがって、アルキルモノスルホキノボシドは、モノスルホキノボシドのアセタールである。糖と脂肪アルコールの反応産物は一般的に混合物であるため、アルキルスルホキノボシドという用語は、アルキルモノスルホキノボシドとアルキルポリ(オリゴ)スルホキノボシドの双方を含むと解釈される。
【0047】
本明細書において用いられるように、「核酸配列」、「ヌクレオチド配列」、および「ポリヌクレオチド配列」とは、オリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチド、およびその断片または一部、ならびにゲノムまたは合成起源のDNAまたはRNAを意味し、これらは一本鎖または二本鎖であってもよく、センスまたはアンチセンス鎖を表してもよい。
【0048】
本明細書において用いられるように、「オリゴヌクレオチド」および「オリゴマー」という用語は、プローブまたは増幅子として用いることができる少なくとも約10ヌクレオチド、多くとも約100ヌクレオチド、好ましくは約15〜30ヌクレオチド、より好ましくは約20〜25ヌクレオチドの核酸配列を意味する。
【0049】
「関係するヌクレオチド配列」という用語は、当業者によってそれを操作することが如何なる理由にとっても望ましいと思われる如何なるヌクレオチド配列も意味する。そのようなヌクレオチド配列には、構造遺伝子のコード配列(例えば、酵素コード遺伝子、レポーター遺伝子、選択マーカー遺伝子、腫瘍遺伝子、薬剤抵抗性遺伝子、増殖因子等)、およびmRNAまたは蛋白質産物をコードしない非コード調節配列(例えば、プロモーター配列、エンハンサー配列、ポリアデニル化配列、終了配列等)が含まれるがこれらに限定されない。
【0050】
「アミノ酸配列」、「ポリペプチド配列」、「ペプチド配列」、および「ペプチド」は、本明細書においてアミノ酸の配列を意味するために互換的に用いられる。
【0051】
ヌクレオチド配列に関して用いられる「一部」という用語は、そのヌクレオチド配列の断片を意味する。断片は、大きさが5ヌクレオチド残基〜完全なヌクレオチド配列マイナス1核酸残基の範囲であってもよい。アミノ酸配列に関して用いられる「一部」という用語は、そのアミノ酸配列の断片を意味する。断片は、大きさがアミノ酸3個〜完全なアミノ酸配列マイナス1アミノ酸残基の範囲であってもよい。
【0052】
第一のヌクレオチド配列の「相同体」であるオリゴヌクレオチド配列は、本明細書において、長さが10 bpまたはそれより大きい配列を比較した場合に、第一のヌクレオチド配列と50%以上またはそれに等しい同一性、およびより好ましくは70%以上またはそれに等しい同一性を示すオリゴヌクレオチド配列であると定義される。
【0053】
DNA分子は、モノヌクレオチドが、一つのモノヌクレオチド五炭糖環の5’燐酸塩がホスホジエステル結合によって一つの方向に隣接する3’酸素に結合するようにオリゴヌクレオチドを作製するように反応するために、「5’末端」と「3’末端」とを有すると言われる。したがって、オリゴヌクレオチドの末端は、その5’燐酸塩がモノヌクレオチド五炭糖環の3’酸素に結合していなければ、「5’末端」であると呼ばれる。オリゴヌクレオチドの末端は、その3’酸素がもう一つのモノヌクレオチド五炭糖環の5’燐酸塩に結合していなければ、「3’末端」と呼ばれる。本明細書において用いられるように、核酸配列は、より大きいオリゴヌクレオチドに対して内部であっても、5’と3’末端とを有すると言ってもよい。直線状または環状DNA分子において、個別の要素は、「上流」もしくは5’、または「下流」もしくは3’要素であると呼ばれる。この命名は、DNA鎖に沿って転写が5’から3’方向に進行することを反映している。結合した遺伝子の転写を指示するプロモーターおよびエンハンサー要素は、一般的にコード領域の5’または上流に存在する。しかし、エンハンサー要素は、プロモーター要素およびコード領域の3’に存在する場合であっても、その作用を発揮することができる。転写終了およびポリアデニル化シグナルは、コード領域の3’または下流に存在する。
【0054】
本明細書において用いられるように、「クローニング」という用語は、組み換え技術によって複製のために、ヌクレオチドライブラリ、細胞または生物からヌクレオチドを単離するプロセスを意味する。
【0055】
本明細書において用いられるように、「組み換え型DNA分子」という用語は、分子生物学的技術によって互いに結合したDNAセグメントを含むDNA分子を意味する。
【0056】
本明細書において用いられるように、「組み換え型蛋白質」または「組み換え型ポリペプチド」という用語は、組み換え型DNA分子を用いて発現された蛋白質分子を意味する。
【0057】
本明細書において用いられるように、「ベクター」および「媒体」という用語は、一つの細胞からもう一つの細胞にDNAセグメントを転移する核酸分子に関して互換的に用いられる。
【0058】
本明細書において用いられるように、「相補的」または「相補性」 という用語は塩基対形成規則によって関連した「ポリヌクレオチド」および「オリゴヌクレオチド」(ヌクレオチド配列を意味する互換的な用語である)に関連して用いられる。例えば、配列「5’−CAGT−3’」は、配列「5’−ACTG−3’」と相補的である。相補性は、「部分的」または「完全」となりうる。「部分的」相補性は、一つまたはそれ以上の核酸塩基が塩基対形成規則に従ってマッチしていない場合である。核酸間の「全体的」または「完全な」相補性は、個々のあらゆる核酸塩基が塩基対形成規則に従ってもう一つの塩基とマッチしている場合である。核酸の鎖の相補性の程度は、核酸の鎖のあいだのハイブリダイゼーションの効率および強度に対して有意な影響を及ぼす可能性がある。これは、核酸間の結合に依存する検出法と共に増幅反応において特に重要となる可能性がある。
【0059】
本明細書においてヌクレオチド配列に関して用いられる「相同性」および「相同な」という用語は、他のヌクレオチド配列との相補性の程度を意味する。部分的相同性または完全な相同性(すなわち、同一性)であってもよい。核酸配列に対して部分的に相補性であるヌクレオチド配列(すなわち、「実質的に相同な」)は、完全に相補的な配列が標的核酸配列とハイブリダイズすることを少なくとも部分的に阻害する配列である。標的配列に対する完全に相補的な配列のハイブリダイゼーションの阻害は、低ストリンジェンシー条件でハイブリダイゼーションアッセイ(サザンまたはノザンブロット、溶液ハイブリダイゼーション等)を用いて調べてもよい。実質的に相同な配列またはプローブは、低ストリンジェンシー条件で、標的配列に対する完全に相同な配列の結合(すなわち、ハイブリダイゼーション)と競合して阻害するであろう。これは、低ストリンジェンシー条件が非特異的結合が許容される条件であると言っているわけではない;低ストリンジェンシー条件は、二つの配列の互いの結合が特異的(すなわち、選択的)相互作用となる必要がある。非特異的結合がないことは、部分的な程度の相補性も欠損する(例えば、約30%未満の同一性)第二の標的配列を用いることによって調べてもよく;非特異的結合が存在しなければ、プローブは、第二の非相補的標的とハイブリダイズしないであろう。
【0060】
本明細書において用いられるように、「ストリンジェンシー」という用語は、核酸ハイブリダイゼーションが実施される、温度、イオン強度、および有機溶媒のような他の化合物の存在に関する条件に関して用いられる。「ストリンジェンシー」は、典型的に約T℃〜Tより約20℃〜25℃下の範囲で起こる。当業者によって理解されるように、ストリンジェントなハイブリダイゼーションは、同一のポリヌクレオチド配列を同定もしくは検出するために、または類似もしくは関連するポリヌクレオチド配列を同定もしくは検出するために用いることができる。「ストリンジェントな条件」では、配列番号:1、配列番号:3、配列番号:4、および配列番号:5のヌクレオチド配列またはその一部は、その正確に相補的な密接に関連した配列とハイブリダイズするであろう。
【0061】
低ストリンジェンシー条件は、長さが約100〜約1000ヌクレオチドのプローブを用いる場合、5×SSPE(43.8 g/l NaCl、6.9 g/l NaHPO・HO、および1.85 g/l EDTA、NaOHによってpHを7.4に調節)、0.1%SDS、5×デンハルト試薬(50×デンハルトは500 mlあたり、フィコール(タイプ400、ファルマシア社)5g、BSA(分画V、シグマ社)5gを含む)、および100 μg/ml変性サケ精子DNAからなる溶液中で68℃で結合またはハイブリダイゼーションの後に2.0×SSPE、0.1%SDSを含む溶液中で室温で洗浄することに等しい条件を含む。
【0062】
低ストリンジェンシー条件を含む多数の同等の条件を用いてもよいことは当技術分野において周知である;プローブの長さおよび性質(DNA、RNA、塩基組成)のような要因および標的の性質(DNA、RNA、塩基対組成、溶液で存在するか、固定されているか等)、ならびに塩および他の成分(例えばホルムアミド、硫酸デキストラン、ポリエチレングリコールの有無)の濃度と共に、ハイブリダイゼーション溶液の成分は、上記の条件とは異なるが同等の低ストリンジェンシーハイブリダイゼーションの条件を得るために変更してもよい。さらに、高ストリンジェンシー条件でハイブリダイゼーションを促進する条件(例えば、ハイブリダイゼーションおよび/または洗浄段階の温度を上昇させる、ハイブリダイゼーション溶液にホルムアミドを用いる等)は、当技術分野で周知である。核酸ハイブリダイゼーションに関して用いられる場合、高ストリンジェンシー条件は、長さが約100〜約1000ヌクレオチドのプローブを用いる場合、5×SSPE、1%SDS、5×デンハルト試薬および100 μg/ml変性サケ精子DNAからなる溶液中で68℃での結合またはハイブリダイゼーションの後、0.1×SSPE、および0.1%SDSを含む溶液中で68℃での洗浄を行うことに等しい条件を含む。
【0063】
cDNAまたはゲノムクローンのような二本鎖核酸配列に関して用いる場合、「実質的に相同な」という用語は、記述のように低ストリンジェンシー条件で二本鎖核酸配列のいずれかの鎖または双方の鎖と部分的または完全にハイブリダイズすることができる如何なるプローブも意味する。
【0064】
一本鎖核酸配列に関して用いる場合、「実質的に相同な」という用語は、記述のように低ストリンジェンシー条件で一本鎖核酸配列とハイブリダイズすることができる如何なるプローブも意味する。
【0065】
本明細書において用いられるように、「ハイブリダイゼーション」という用語は、それによって、塩基対形成を通して核酸の鎖が相補鎖と結合してハイブリダイゼーション複合体を形成する如何なるプロセスも用いる相補的核酸の対形成に関連して用いられる。ハイブリダイゼーションおよびハイブリダイゼーション強度(すなわち、核酸間の会合強度)は、核酸間の相補性の程度、関係する条件のストリンジェンシー、形成されたハイブリッドのT、および核酸内のG:C比のような要因によって影響を受ける。
【0066】
本明細書において用いられるように、「ハイブリダイゼーション複合体」という用語は、相補的なGおよびC塩基間、ならびに相補的なAおよびT塩基間の水素結合の形成によって二つの核酸配列のあいだに形成された複合体を意味する;これらの水素結合は塩基のスタッキング相互作用によってさらに安定化される可能性がある。二つの相補的核酸配列の水素結合は逆平行方向である。ハイブリダイゼーション複合体は、溶液中で形成されてもよく(例えば、CtまたはRt分析)、または溶液中に存在する一つの核酸配列と固相支持体(例えば、サザンおよびノザンブロッティング、ドットブロッティングにおいて用いられるナイロンメンブレンもしくはニトロセルロースフィルター、またはFISH(蛍光インサイチューハイブリダイゼーション)を含むインサイチューハイブリダイゼーションにおいて用いられるスライドガラス)に固定したもう一つの核酸配列とのあいだで形成してもよい。
【0067】
本明細書において用いられるように、「T」という用語は、「融解温度」に関連して用いられる。融解温度は、二本鎖核酸分子集団の半分が解離して一本鎖となる温度である。核酸のTを計算する等式は当技術分野で周知である。標準的な参考文献によって示されるように、T値の単純な推定値は、核酸が1M NaCl水溶液中に存在する場合、以下の等式によって計算してもよい:T=81.5+0.41(%G+C)(例えば、アンダーソン&ヤング(Anderson and Young)、「定量的フィルターハイブリダイゼーション(Quantitative Filter Hybridization)」、Nucleic Acid Hybridization[1985]を参照のこと)。他の引用文献には、Tを計算するために配列のみならず構造の特徴を考慮に入れる、より複雑な計算が含まれる。
【0068】
「増幅」は、本明細書において核酸配列のさらなるコピーの産生として定義され、一般的に当技術分野で周知のポリメラーゼ連鎖反応技術を用いて行われる(例えば、ディーフェンバック&ドベクスラー(Dieffenbach and Dveksler)、「PCRプライマー、実験マニュアル(PCR Primer, a Laboratory Manual)」、コールドスプリングハーバー出版、プレインビュー、ニューヨーク州[1995]を参照のこと)。本明細書において用いられるように、「ポリメラーゼ連鎖反応」(「PCR」)という用語は、その全文が参照として本明細書に組み入れられる、米国特許第4,683,195号、第4,683,202号、および第4,965,188号の方法を意味し、それらの特許はクローニングまたは精製を行わずにゲノムDNAの混合物における標的配列のセグメントの濃度を増加させる方法を記述する。所望の標的配列の増幅されたセグメントの長さは、互いに関連して二つのオリゴヌクレオチドプライマーの相対的な位置によって決定される。プロセスの反復局面のために、方法は、「ポリメラーゼ連鎖反応」(以降「PCR」と呼ぶ)と呼ばれる。標的配列の所望の増幅セグメントが混合物において優勢な配列(濃度に関して)となれば、それらは「PCR増幅された」と言われる。
【0069】
PCRに関して、ゲノムDNAにおける特異的標的配列の単一のコピーをいくつかの異なる方法論によって検出可能なレベルまで増幅することが可能である(例えば、標識したプローブとのハイブリダイゼーション;ビオチン結合プライマーの組み込み後アビジン−酵素結合体の検出;dCTPまたはdATPのような32P−標識デオキシヌクレオチド三燐酸の増幅セグメントへの組み込み)。ゲノムDNAの他に、如何なるオリゴヌクレオチド配列も適当な組のプライマー分子によって増幅することができる。特に、PCRプロセスそのものによって作製された増幅セグメントは、それ自身、その後のPCR増幅の効率的な鋳型である。
【0070】
「逆転写ポリメラーゼ連鎖反応」および「RT−PCR」という用語は、cDNA配列の混合物を生成するためにRNA配列を逆転写した後、クローニングまたは精製を行わずに混合物において転写されたcDNA配列の所望のセグメントの濃度を増加させる方法を意味する。単一のプライマー(例えば、オリゴ−dTプライマー)を用いてRNAを逆転写してから、二つのプライマーを用いて転写されたDNAの所望のセグメントのPCR増幅を行う。
【0071】
本明細書において用いられるように、「プライマー」という用語は、精製された制限消化物のように天然に存在するか、または合成によって産生されたかによらず、核酸の鎖に対して相補的なプライマー伸長産物の合成が誘導される条件(すなわち、ヌクレオチドおよびDNAポリメラーゼのような誘導物質の存在下で適した温度およびpHで)に置いた場合に、合成の開始点として作用することができるオリゴヌクレオチドを意味する。プライマーは、増幅効率が最高となるように好ましくは一本鎖であるが、または二本鎖であってもよい。二本鎖の場合、プライマーは、最初にその鎖を分離するための処理を行ってから、伸長産物を調製するために用いられる。好ましくは、プライマーは、オリゴデオキシリボヌクレオチドである。プライマーは、誘導物質の存在下で伸長産物の合成をプライミングするために十分に長くなければならない。プライマーの正確な長さは、温度、プライマーの起源、および用いる方法を含む多くの要因に依存するであろう。
【0072】
本明細書において用いられるように、「プローブ」という用語は、精製された制限消化物のように天然に存在するか、または合成によって、組み換えによって、もしくはPCR増幅によって産生されたかによらず、関係するもう一つのオリゴヌクレオチドとハイブリダイズすることができるオリゴヌクレオチド(すなわちヌクレオチドの配列)を意味する。プローブは、一本鎖または二本鎖であってもよい。プローブは、特定の遺伝子配列を検出、同定、および単離するために有用である。本発明において用いられる如何なるプローブも、酵素(例えば、ELISAと共に酵素に基づく組織化学アッセイ)、蛍光、放射活性および発光系を含むがこれらに限定されない如何なる検出系においても検出可能となるように、如何なる「レポーター分子」によっても標識されると意図される。本発明は如何なる特定の検出系または標識に制限されないと解釈される。
【0073】
本明細書において用いられるように、「制限エンドヌクレアーゼ」および「制限酵素」という用語は、そのそれぞれが特定のヌクレオチド配列で、またはその近傍で二本鎖または一本鎖DNAを切断する細菌の酵素を意味する。
【0074】
本明細書において用いられるように、「遺伝子をコードするヌクレオチド配列を有するオリゴヌクレオチド」という用語は、遺伝子のコード領域を含む核酸配列、すなわち遺伝子産物をコードする核酸配列を意味する。コード領域は、cDNA、ゲノムDNA、またはRNA型のいずれかで存在してもよい。DNA型で存在する場合、オリゴヌクレオチドは、一本鎖(すなわちセンス鎖)または二本鎖であってもよい。必要であれば、転写の適切な開始および/または一次RNA転写物の正しいプロセシングが行われるように、エンハンサー、プロモーター、スプライス結合部、ポリアデニル化シグナル等のような適した制御要素を、遺伝子のコード領域の近位に置いてもよい。または、本発明の発現ベクターにおいて用いられるコード領域は、内因性のエンハンサー、スプライス接合部、介在配列、ポリアデニル化シグナル等、または内因性と外因性の制御要素の双方の組み合わせを含んでもよい。
【0075】
本明細書において用いられるように、「プロモーター」、「プロモーター要素」、または「プロモーター配列」という用語は、オリゴヌクレオチド配列の5’末端(すなわちそれより前に)置いた場合に、オリゴヌクレオチド配列のmRNAへの転写を制御することができるDNA配列を意味する。プロモーターは、典型的に、それがそのmRNAへの転写を制御するオリゴヌクレオチド配列の5’に(すなわち上流に)存在して、RNAポリメラーゼによる特異的結合部位および転写開始部位を提供する。
【0076】
本明細書において用いられるように、「コードする核酸分子」、「コードするヌクレオチド」、「コードするDNA配列」、および「コードするDNA」という用語は、デオキシリボ核酸の鎖に沿ったデオキシリボヌクレオチドの順序または配列を意味する。これらのデオキシリボヌクレオチドの順序は、ポリペプチド(蛋白質)鎖に沿ったアミノ酸の順序を決定する。このようにDNA配列は、アミノ酸配列をコードする。
【0077】
核酸に関連して用いる場合に「単離オリゴヌクレオチド」のような「単離された」という用語は、それが通常、その天然資源において会合している少なくとも一つの混入核酸から分離されている核酸配列を意味する。単離核酸は、それが天然において認められる型または状況とは異なる型または状況で存在する核酸である。対照的に、単離されていない核酸は、それらが天然に存在する状況で認められるDNAおよびRNAのような核酸である。例えば、所定のDNA配列(例えば、遺伝子)は、隣接する遺伝子と近位の宿主細胞の染色体に認められる;特定の蛋白質をコードする特異的mRNA配列のようなRNA配列は、多数の蛋白質をコードする他のmRNAとの混合物として細胞に存在する。しかし、関係するポリペプチドをコードする単離核酸には、例として、関係するポリペプチドを通常発現する細胞において、天然の細胞とは異なる染色体もしくは染色体外の位置に存在する、またはそうでなければ本来認められる配列とは異なる核酸配列が隣接する、そのような核酸が含まれる。単離核酸またはオリゴヌクレオチドは、一本鎖または二本鎖型であってもよい。単離核酸は、多様な技術(例えば、ハイブリダイゼーション、ドットブロット等)によって容易に同定する(望ましければ)ことができる。蛋白質を発現するために単離核酸またはオリゴヌクレオチドを利用する場合、オリゴヌクレオチドは、少なくともセンスまたはコード鎖を含むであろう(すなわち、オリゴヌクレオチドは一本鎖であってもよい)。またはそれは、センス鎖とアンチセンス鎖の双方を含んでもよい(すなわち、オリゴヌクレオチドは二本鎖であってもよい)。
【0078】
本明細書において用いられるように、構造遺伝子に関連して用いる場合、「コード領域」という用語は、mRNA分子の翻訳の結果として新生ポリペプチドにおいて認められるアミノ酸をコードするヌクレオチド配列を意味する。コード領域は、真核細胞において、イニシエータであるメチオニンをコードするヌクレオチドトリプレット「ATG」によって5’側、停止コドンを明記する三つのトリプレット(すなわち、TAA、TAG、TGA)の一つによって3’側の境界が定められる。
【0079】
本明細書において用いられるように、「遺伝子」という用語は、構造遺伝子のコード領域を含むデオキシリボヌクレオチド配列を意味する。「遺伝子」はまた、遺伝子が完全長のmRNAの長さに対応するように、5’および3’末端の双方でコード領域に隣接して存在する非翻訳配列を含んでもよい。コード領域の5’に存在し、mRNA上に存在する配列は、5’非翻訳配列と呼ばれる。コード領域の3’または下流に存在して、mRNA上に存在する配列は、3’非翻訳配列と呼ばれる。「遺伝子」という用語は、遺伝子のcDNAとゲノム型の双方を含む。遺伝子のゲノム型またはクローンは、「イントロン」、または「介在領域」もしくは「介在配列」と呼ばれる非コード配列によって中断されたコード領域を含む。イントロンは、不均一な核RNA(hnRNA)に転写される遺伝子のセグメントである;イントロンは、エンハンサーのような調節要素を含んでもよい。イントロンは、核または一次転写物から除去される、または「スプライシングによって除去される」;したがって、イントロンは、メッセンジャーRNA(mRNA)転写物には存在しない。mRNAは、新生ポリペプチドにおけるアミノ酸の配列または順序を指定するために翻訳のあいだ機能する。
【0080】
イントロンを含むことの他に、遺伝子のゲノム型は、RNA転写物に存在する配列の5’および3’末端の双方に存在する配列を含んでもよい。これらの配列は、「隣接」配列または領域と呼ばれる(これらの隣接配列は、mRNA転写物上に存在する非翻訳配列に対して5’または3’に存在する)。5’隣接領域は、遺伝子の転写を制御または影響を及ぼすプロモーターおよびエンハンサーのような調節配列を含んでもよい。3’隣接領域は、転写終了、転写後切断、およびポリアデニル化を指示する配列を含んでもよい。
【0081】
細胞に関連して用いる場合に「トランスジェニック」という用語は、トランスジーンを含む細胞、またはトランスジーンの導入によってそのゲノムが変化している細胞を意味する。組織または植物に関して用いる場合、「トランスジェニック」という用語は、トランスジーンを含む一つもしくはそれ以上の細胞を含む、またはそのゲノムがトランスジーンの導入によって変化している組織もしくは植物を意味する。トランスジェニック細胞、組織、および植物は、核酸(通常、DNA)を含む「トランスジーン」を標的細胞に導入すること、または本明細書に記載の方法のような、ヒトの介入によって標的細胞の染色体にトランスジーンを組み入れることを含むいくつかの方法によって作製してもよい。
【0082】
本明細書において用いられるように、「トランスジーン」という用語は、実験操作によって細胞のゲノム導入された如何なる核酸配列も意味する。トランスジーンは、「内因性DNA配列」、または「異種DNA配列」(すなわち、「外来DNA」)であってもよい。「内因性DNA配列」という用語は、それが天然に存在する配列と比較して何らかの変異(例えば、点突然変異、選択マーカー遺伝子の存在等)を含まない限り、導入された細胞において本来認められるヌクレオチド配列を意味する。「異種DNA配列」という用語は、本来ライゲーションされない核酸配列、または本来異なる位置にライゲーションされる核酸配列に対して、ライゲーションされるまたはライゲーションされるように操作されたヌクレオチド配列を意味する。異種DNAは、それが導入される細胞に対して内因性ではないが、もう一つの細胞から得られている。異種DNAにはまた、何らかの改変を含む内因性DNA配列が含まれる。一般的に、必要ではないが、異種DNAは、発現される細胞によって通常産生されないRNAおよび蛋白質をコードする。異種DNAの例には、レポーター遺伝子、転写および翻訳調節配列、選択マーカー蛋白質(例えば、薬剤抵抗性遺伝子を付与する蛋白質)等が含まれる。
【0083】
「外来遺伝子」という用語は、実験操作によって細胞のゲノムに導入された如何なる核酸(例えば、遺伝子配列)も意味し、導入された遺伝子が天然に存在する遺伝子と比較して何らかの改変(例えば、点突然変異、選択マーカー遺伝子の存在等)を含む限り、細胞に認められる遺伝子配列を含んでもよい。
【0084】
本明細書において用いられるように、「形質転換」という用語は、細胞へのトランスジーンの導入を意味する。細胞の形質転換は安定または一過性であってもよい。「一過性の形質転換」、または「一過性に形質転換された」という用語は、宿主細胞ゲノムにトランスジーンが組み入れられていない細胞に、一つまたはそれ以上のトランスジーンを導入することを意味する。一過性の形質転換は、例えば、一つまたはそれ以上のトランスジーンによってコードされるポリペプチドの存在を検出する酵素結合イムノソルベントアッセイ(ELISA)によって検出してもよい。または、一過性の形質転換は、本明細書において証明されるように、トランスジーン(例えば、uid A遺伝子)によってコードされる蛋白質(例えば、β−グルクロニダーゼ)の活性を検出することによって検出してもよい[例えば、GUS酵素の存在下で青色の沈殿物を生じるX−gluc染色によるGUS酵素活性の組織化学アッセイ;およびGUS−光キット(トロピクス社)を用いるGUS酵素活性の化学発光アッセイ]。「一過性の形質転換体」という用語は、一つまたはそれ以上のトランスジーンを一過性に組み入れた細胞を意味する。対照的に、「安定な形質転換」、または「安定に形質転換された」という用語は、細胞のゲノムに一つまたはそれ以上のトランスジーンが導入され、組み入れられることを意味する。細胞の安定な形質転換は、一つまたはそれ以上のトランスジーンに結合することができる核酸配列と細胞のゲノムDNAとのサザンブロットハイブリダイゼーションによって検出してもよい。または、細胞の安定な形質転換はまた、トランスジーン配列を増幅するために細胞のゲノムDNAのポリメラーゼ連鎖反応によって検出してもよい。「安定な形質転換体」という用語は、ゲノムDNAに一つまたはそれ以上のトランスジーンを安定に組み入れた細胞を意味する。このように、安定な形質転換体は、安定な形質転換体からのゲノムDNAが一つまたはそれ以上のトランスジーンを含むが、一過性の形質転換体からのゲノムDNAはトランスジーンを含まないという点において、一過性の形質転換体とは区別される。
【0085】
「形質転換細胞」は、何代もの世代にわたって細胞培養における増殖能、軟寒天での増殖能、および細胞−細胞接触によって細胞の増殖が阻害されないことを獲得した細胞または細胞株である。この点において、形質転換は、細胞または生物に外来遺伝子材料を導入することを意味する。形質転換は、核酸の細胞への導入を成功させる、そしてその結果導入された核酸が発現される如何なる既知の方法によって行ってもよい。「形質転換」法には、マイクロインジェクション、電気穿孔、およびDNA粒子「衝突」のような方法が含まれるがこれらに限定されない。形質転換は、如何なる発現ベクターも用いて行ってもよい。例えば、植物細胞に外来核酸を導入するためにアグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)を用いることが意図される。さらに、形質転換は、通常遺伝子変異を通して、天然に形質転換された細胞を意味する。
【0086】
「アグロバクテリア(Agrobacterium)」という用語は、根頭癌腫病を引き起こす土壌系のグラム陰性の桿状の植物病原菌を意味する。「アグロバクテリア」という用語には、アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)(典型的に感染植物において根頭癌腫病を引き起こす)種とアグロバクテリウム・リゾゲンス(Agrobacterium rhizogens)(感染宿主植物において毛根病を引き起こす)種が含まれるがこれらに限定されない。植物細胞にアグロバクテリアが感染すると、感染細胞によるオピン(例えば、ノパリン、アグロピン、オクトピン等)の産生が起こる。このように、ノパリンの産生を引き起こすアグロバクテリア種(例えば、株LBA4301、C58、A208)は、「ノパリン型」アグロバクテリアと呼ばれ、オクトピンの産生を引き起こすアグロバクテリア種(例えば、株LBA4404、Ach5、B6)は、「オクトピン型」アグロバクテリアと呼ばれ;そしてアグロピンの産生を引き起こすアグロバクテリア種(例えば、株EHA105、EHA101、A281)は、「アグロピン型」アグロバクテリアと呼ばれる。
【0087】
「衝突する」、「衝突」、および「バイオリスティック(biolistic)衝突」という用語は、標的生体試料中の細胞の細胞膜の創傷を引き起こすために、および/または標的生体試料への粒子の流入を引き起こすために、標的生体試料(例えば、細胞、組織等)に対して粒子を加速するプロセスを意味する。バイオリスティック衝突法は、当技術分野で既知であり(例えば、その内容が参照として本明細書に組み入れられる、米国特許第5,584,807号)、市販されている(例えば、ヘリウムガス駆動微小発射物加速器(PDS−1000/He)(バイオラド社))。
【0088】
植物組織に関して行う場合の「微小創傷」という用語は、その組織における顕微鏡的創傷の導入を意味する。微小創傷は、本明細書に記載するように、例えば、粒子衝突によって得てもよい。
【0089】
本明細書において用いられるように、「植物」という用語は、植物発達の如何なる段階にも存在する、ある構造に十分に分化した複数の植物細胞を意味する。そのような構造には、果実、苗条、茎、葉、花弁等が含まれるがこれらに限定されない。「植物組織」という用語には、根、苗条、葉、花粉、種子、腫瘍組織、および様々なタイプの細胞培養物(例えば、単細胞、プロトプラスト、胚、カルス、プロトコルム様体等)を含むがこれらに限定されない植物の分化および未分化組織が含まれる。植物組織は、植物内、器官培養、組織培養、または細胞培養であってもよい。
【0090】
植物細胞に関して本明細書において用いられる「胚細胞」という用語は、植物組織または植物に分化することができる一つまたはそれ以上の植物細胞(分化または未分化によらず)を意味する。胚細胞には、イチゴ、蓮、ウマゴヤシ、オノブリキス(Onobrychis)、ジャジクソウ、トリゴネラ(Trigonella)、ササゲ、柑橘類、アマ、ゼラニウム、キャッサバ、ニンジン、シロイヌナズナ、アブラナ、ダイコン、カラシ、ロウトウ、トウガラシ、ヒヨス、トマト、タバコ、ナス、ペチュニア、ジギタリス、マジョラナ、シオホリウム(Ciohorium)、ヒマワリ、レタス、ブロムグラス、アスパラガス、キンギョソウ、ヘレロカリス(Hererocallis)、ネメシア、ペラルゴニウム、キビ、チカラシバ、キンポウゲ、サワギク、サルピグロッシス、キュウリ、ブロワリア、ダイズ、ライグラス、トウモロコシ、コムギ、モロコシ、およびチョウセンアサガオ属に由来するようなプロトプラストが含まれるがこれらに限定されない。同様に、胚(モロコシ、トウモロコシ、バナナの胚のような)、胚分裂組織(大豆の胚分裂組織のような)、胚発生カルス(サトウキビのカルスのような)、プロトコルム様体(パインアップルのような)、およびニンニクの胚発生細胞によって示される胚発生細胞が含まれる。胚細胞の植物への分化能は、当技術分野で既知の方法によって決定される。例えば、パインアップルのプロトコルム様体の苗条への分化は、寒天固化ホルモン不含改変ムラシゲ&スクーグ(MS)培地または寒天固化PM2培地(参照として本明細書に組み入れられる、米国特許第6,091,003号)上でプロトコルム様体を培養することによって得てもよい。パインアップルの根への分化は、1mg/L NAAを含む液体改変MS培地中でプロトコルム様体を培養することによって得てもよい。
【0091】
本明細書において用いられるように、「接合」という用語は、遺伝材料が、一つの微生物から二つの細胞のあいだの物理的結合または合体を含むもう一つの微生物に転移するプロセスを意味する。このプロセスは、細菌、原虫、ならびに特定の藻類および菌類において起こることが一般的に知られている。
【0092】
発明の詳細な説明
本発明は、ウリジン−5’−ジホスホスルホキノボース(UDP−SQ)の合成およびその後の改変法に関する。
【0093】
1.ウリジン−5’−ジホスホスルホキノボース生合成法
本発明の方法は、UDP−SQを合成するために、シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)の組み換え型酵素、UDP−グルコース、および硫黄供与体を利用することを含む。本発明は、如何なる特定の反応機構に限定されないが、一つの態様において、UDP−グルコース、シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)組み換え型SQD1酵素蛋白質、および亜硫酸塩を含む反応混合物からのUDP−SQの産生が意図される(図1を参照のこと)。
【0094】
ウリジン−5’−ジホスホスルホキノボース(UDP−SQ)の生合成
シロイヌナズナの組み換え型SQD1酵素蛋白質は、UDP−グルコースおよび硫黄供与体からのスルホン酸前駆体UDP−SQの形成を触媒する。一つの態様において、UDP−SQ産生反応は、精製SQD1蛋白質、NaSO、放射標識UDP−グルコース、およびトリスを含む緩衝液において37℃で40分行う。次に、反応混合物を熱変性させて、組み換え型酵素を不活化して、10,000×gで5分間遠心する。SQD1活性の反映としてのUDP−SQの産生を下記のように検出する。
【0095】
本発明によって意図されるUDP−SQの生合成は、如何なる特定のpH値に限定されない。一つの態様において、pHは7.0〜9.5のあいだである。好ましい態様において、反応のpHは7.5である。
【0096】
本発明は、如何なる特定の硫黄供与体を用いることに限定されないが、一つの態様において、硫黄供与体は、硫酸塩、硫化物、チオ硫酸塩、スルホグルタチオン、アデノシン−5’−ホスホスルフェート(APS)、および3’−ホスホアデノシン−5’−ホスホスルフェート(PAPS)を含む群から選択される。好ましい態様において、硫黄供与体は亜硫酸塩である(実施例1も参照のこと)。
【0097】
本発明の方法によって産生されたウリジン−5’−ジホスホスルホキノボース(UDP−SQ)の検出
本発明は、上記の生合成法の最終産物としてUDP−SQを検出する如何なる特定の手段にも限定されない。一つの態様において、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いることを含むUDP−SQの産生を検出する手段は、以下の通りである。例えば、熱変性反応混合物に、42℃に維持したベックマン(フュラートン、カリフォルニア州)ウルトラスフェアODSカラム(4.6 mm×25 cm、粒子径5μM)を用いるHPLCによる分析を行う(ウォータース社、ミルフォード、マサチューセッツ州)。KOHによってpH 6.0に調節した30 mM KHPO、2mM水酸化テトラブチルアンモニウム(フィッシャーサイエンティフィック、フェアローン、ニュージャージー州)の直線勾配をHPLC等級のアセトニトリル(EMサイエンス、ギブスタウン、ニュージャージー州)に流速1ml/分で45分間適用することによって、基質および産物を分離する。上記のHPLC系において、反応によって産生された主要化合物は、真正UDP−SQと同時クロマトグラフされ、この化合物がUDP−SQであること、そして精製SQD1が、アッセイにおいて産生されたUDP−SQの合成を触媒することを示している。
【0098】
シロイヌナズナ組み換え型SQD1酵素蛋白質の産生
エッシンマンら(Essingman、「ホスフェートの利用率はチラコイド脂質組成およびシロイヌナズナにおけるスルホリピッドの生合成にとって必要な遺伝子であるSQD1の発現に影響を及ぼす(Phosphate Availability Affects the Thylakoid Lipid Composition and Expression of SQD1, a Gene Required for Sulfolipid Biosynthesis in Arabidopsis thaliana)」、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 95:1950〜955(1998))は、PCRに基づく戦略を用いて大腸菌におけるシロイヌナズナの組み換え型SQD1蛋白質の産生を開示し、SQD1がUDP−グルコースからのUDP−SQの生合成に関係していると推測している。
【0099】
本発明は、UDP−SQの産生において用いられる組み換え型SQD1酵素を産生するための如何なる特定の方法に限定されない。一つの態様において、配列番号:6に記載のアミノ酸配列を有するシロイヌナズナの組み換え型SQD1酵素蛋白質を産生する手段は、以下の通りである。
【0100】
チラコイド膜のヘッドグループ生合成に関係する酵素をコードするシロイヌナズナの遺伝子を単離するために、発現された配列タグに関するdbESTデータベースを、TBLASTNを用いて細菌sqdB遺伝子の予想アミノ酸配列に関して検索した。この検索を通して、細菌sqdB遺伝子産物と高度の配列類似性を有する推定の蛋白質をコードする部分的なコメcDNA(EST D46477)が発見された。(図17;配列番号:8を参照のこと)。部分的なコメcDNAの断片をプローブとして用いて、異種DNAハイブリダイゼーションによってシロイヌナズナPRL2 cDNAライブラリをスクリーニングした。本発明は、如何なる特定のハイブリダイゼーション条件またはメンブレンに限定されないが、ハイボンドN+(アマシャム社)メンブレンを用い、ハイブリダイゼーションは、SDS、EDTA、およびBSAを含む燐酸ナトリウム緩衝液(pH 7.2)において53℃で行った。ハイブリダイゼーション後、メンブレンをSSPE、SDS溶液中で53℃で20分間2回洗浄した。1,799塩基対のインサートを有するクローンを含むいくつかのcDNAクローンを単離して、これをシークエンシングした(GenBankアクセッション番号AF022082)(図13;配列番号:5を参照のこと)。シロイヌナズナの対応する座をSQD1と命名し、1,799 bpのインサートを有するcDNAを含むプラスミドをpSQD1と命名した。(実施例2.aも参照のこと)。
【0101】
本発明は、組み換え型SQD1蛋白質を発現する如何なる特定の手段にも限定されない。一つの態様において、組み換え型SQD1蛋白質を大腸菌において発現させるために、pSQD1の断片を、PCRに基づく戦略を用いて、His−タグ発現ベクターpQE−30(キアゲンインク、バレンシア、カリフォルニア州;カタログ番号32149)(図3を参照)にクローニングした。本発明は、如何なる特定の蛋白質発現ベクターまたは系を用いることに限定されない。一つの態様において、蛋白質発現ベクターは、pQE−9、pQE−16、pQE−31、pQE−32、pQE−40、pQE−60、pQE−70、pQE−80、pQE−81、pQE−82、pQE−100(全てキアゲンインク、バレンシア、カリフォルニア州から入手可能)を含む群から選択される。もう一つの態様において、蛋白質発現ベクターは、pACYC184(ニューイングランドバイオラブス、ビバリー、マサチューセッツ州;カタログ番号E4152S)である。(図6を参照のこと)。好ましい態様において、蛋白質発現ベクターはpQE−30である(図3を参照のこと)。
【0102】
本発明は、組み換え型SQD1蛋白質を精製する如何なる特定の手段に限定されない。一つの態様において、得られたプラスミド構築物、pSQD1−TPによって、組み換え型SQD1蛋白質を大腸菌において発現させることができ、製造元(キアゲンインク、バレンシア、カリフォルニア州:カタログ番号30210)の説明書に従って、ニッケルニトリロ酢酸(Ni−NTA)アガロース樹脂に対する6個のN−末端ヒスチジン残基の選択的結合により蛋白質を精製すること可能となった。組み換え型蛋白質を溶出して、グリセロール、NaCl、およびNaHPO(pH 7.5)を含む緩衝液において−20℃で保存した。SQD1蛋白質は、SDS−PAGEゲル分析によって約95%純粋であると推定された(図4を参照のこと)。
【0103】
SQD1活性を測定するためのアッセイ
本発明は、本発明によって産生された組み換え型SQD1蛋白質の活性を測定する如何なる特定の手段に限定されない。一つの態様において、SQD1活性の反映として、UDP−グルコースのUDP−SQへの変換を測定する酵素アッセイを開発した。基礎活性アッセイは、精製SQD1蛋白質、NaSO、放射標識UDP−グルコース、およびトリス(pH 7.5)を含む反応混合物において全量100 μlで37℃で40分間行った。反応混合物を10分間インキュベートして、熱変性させ、遠心して、HPLCによって分析した。KOHによってpH 6.0に調節したKHPO、水酸化テトラブチルアンモニウム(フィッシャーサイエンティフィック社、フェアローン、ニュージャージー州)の直線勾配をHPLC等級のアセトニトリル(EMサイエンス社、ギブスタウン、ニュージャージー州)に適用することによって、基質および産物を分離した。
【0104】
上記のようにSQD1蛋白質を標識したUDP−グルコースと共にインキュベートした結果、HPLCによって分析すると、UDP−グルコースと比較して独自の保持時間を有する2つの化合物が形成された。上記のHPLC系において、一つの化合物が真正のUDP−SQと共にクロマトグラフされた、このことは、この化合物がUDP−SQであること、そして精製SQD1がこのアッセイにおいて生成されたUDP−SQの合成を触媒することを示した。(実施例1および2.bも参照のこと)。
【0105】
2.6−スルホ−α−D−キノボシルジアシルグリセロール(SQDG)の生合成
本発明の方法は、6−スルホ−α−D−キノボシルジアシルグリセロール(SQDG)を含むがこれに限定されない化合物を形成するためにUDP−SQをその後改変することをさらに含む。本発明は、如何なる特定の反応機構に限定されないが、一つの態様において、UDP−SQ、ジアシルグリセロール、およびUDP−SQからのスルホキノボースをジアシルグリセロールに転移させることができる組み換え型ペプチドを含む反応混合物からのSQDGの産生が、以下のように意図される。(図5を参照のこと)。
【0106】
一つの態様において、SQDGは、100 μM UDP−SQ、100 μMジアシルグリセロール、および配列番号:1に記載した核酸配列によってコードされる遺伝子産物である実質的に精製されたペプチド10 μgを反応容積100 μlで37℃で40分間反応させることによる手段を含む反応において生成される。もう一つの態様において、上記のペプチドは、配列番号:3に記載の核酸配列によってコードされる遺伝子産物である。もう一つの態様において、上記のペプチドは配列番号:4に記載の核酸配列によってコードされる遺伝子産物である。
【0107】
本発明は、上記の方法によってSQDGの生成を確認する特定の手段に限定されない。一つの態様において、SQDGの生成は以下の手段によって確認する。上記の反応物の少量を、活性化硫酸アンモニウム含浸シリカゲルTLCプレート上でアセトン−トルエン−水(91:30:8、容積/容積/容積)を含む溶媒系によって薄層クロマトグラフィー(TLC)によって分析する。次に、上記の反応産物をヨウ素蒸気によって可視化して、SQDを含むことがわかっているシロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)の葉の脂質抽出物と同時クロマトグラフすることによって同定する(図9を参照のこと)。もう一つの態様において、SQDGの生成は、反応産物がTLCプレートから単離されて、これを用いて脂肪酸メチルエステルを調製する定量的分析によって確認する。メチルエステルは、下記のように、内部標準としてミリスチン酸を用いるガスクロマトグラフィーによって定量する。
【0108】
薄層クロマトグラフィー(TLC)によるSQDG産生の検出
脂質SQDGを産生することがわかっているR.スファエロイデス(R. sphaeroides)細胞の変異誘発集団からの無作為に選択したコロニーを、新鮮なZ−ブロスプレート上で小片として(0.5 cm×0.5 cm)画線培養する。細胞を平坦な爪楊枝の広い末端部に採取して、材料を、ポリプロピレン遠心管においてクロロホルム−メタノール(1:1、容積/容積)75 μl中で材料を旋回させることによって、脂質をこれらの小片から単離する。1N KCl−0.2 M HPO 25 μlを添加した後、試験管をボルテックスによって攪拌して、有機相と水相とを遠心分離する。脂質を含む下層から10 μlの少量を採取して、これを活性化硫酸アンモニウム含浸シリカゲル薄層クロマトグラフィー(TLC)プレート上に直接スポットする。この目的に関して、前吸着層を有するベイカーSi250シリカプレートは、0.15 M硫酸アンモニウムに30秒間含浸した後、完全に乾燥するまで空気乾燥させることによって調製する。使用直前に、プレートを120℃で2.5時間活性化する。硫酸アンモニウム処置プレートを120℃で活性化させると、硫酸を発生させ、これはホスファチジルグリセロールをプロトン化してより極性を低くする。アセトン−ベンゼン−水混合物(91:30:8、容積/容積/容積)を溶媒系として用いる。プレートに50%硫酸を噴霧した後、160℃で10〜15分加熱して脂質を炭化させることによって、脂質を可視化した。
【0109】
SQDGの生成を確認するための定量的脂質分析
それぞれの株に関して、50 ml培養物3本をシストロム培地において振とうさせながら32℃の暗所で好気的に増殖させた。細胞を遠心して、水0.5 mlに浮遊させ、クロロホルム−メタノール(1:1、容積/容積)4mlによって攪拌して抽出した。1M KCl−0.2 M HPO 1.3 mlを加えて、攪拌し、遠心すると、下のクロロホルム層への脂質の相分配が得られる。クロロホルム層を採取して、N流の下で蒸発させて0.2 mlに濃縮する。試料を分割して、材料を活性化(110℃で30分)シリカTLCプレート(Si250;ベイカー)にスポットする。プレートを2方向に、最初はクロロホルム−メタノール−水(65:25:4、容積/容積/容積)によって、次にクロロホルム−アセトン−メタノール−酢酸−水(50:20:10:10:5、容積)によって展開する。
【0110】
脂質はヨウ素蒸気によって可視化して、ヨウ素を脱着後、スポットを8mlスクリューキャップ試験管に個々に掻き取った。細菌の脂質にはごく無視できる量の内因性ミリスチン酸が認められるため、試料にミリスチン酸メチルエステル5μgのヘキサン溶液0.1 mlを内部標準として加えた。脂肪酸メチルエステルは、1N無水メタノールHCl(スペルコ)1mlを加えた後80℃で1時間インキュベートすることによって調製する。0.95%(重量/容積)KCl1mlを加えた後、脂肪酸メチルエステルをヘキサン1mlによって抽出して、容積0.1 mlまで乾燥させた。
【0111】
試料(各2μl)を、100/120クロモソルブWAW(スペルコ)上で3%SP−2310および2%SP−2300を充填した2.4 mカラム(内径2mm)を備えたガスクロマトグラフ(バリアン2000)に注入した。担体ガス(N)の流速を20 ml/分に調節して、カラムの温度を180℃で2分、10分かけて200℃に、そして200℃で4分に設定した。脂肪酸メチルエステルを水素炎イオン化検出器によって検出して、データをスペクトラフィジックス積分器によって積分した。分析に含めた8個の極性脂質の相対量を計算するために、各脂質に含まれる脂肪酸の量を計算した。計算の正当性は、未同定脂質を含む脂質のそれぞれが1分子あたり脂肪酸2個を含み、異なる脂質が類似の脂肪酸組成を有するという仮定に基づいた。
【0112】
UDP−SQからのスルホキノボースをジアシルグリセロールに転移することができる組み換え型ペプチドの産生および精製
a.シアノバクテリアペプチド
本発明は、UDP−SQからのスルホキノボースをジアシルグリセロールに転移することができる組み換え型ペプチドを発現させる特定の手段に限定されない。一つの態様において、配列番号:1に記載の核酸配列によってコードされる実質的に精製されたペプチドの産生手段は以下の通りである。
【0113】
一つの態様において、組み換え型SQDX蛋白質を大腸菌において発現するために、配列番号:1(GenBankアクセッション番号AF155063)のヌクレオチド1800〜2933位を含むpSYB(実施例4を参照のこと)1,133塩基対断片を、PCRに基づく戦略を用いてHisタグ発現ベクターpQE−30(キアゲンインク、バレンシア、カリフォルニア州、カタログ番号32149)にクローニングした。この目的に関して、pQE−30へのクローニングのためにBamHIおよびHIndIII部位が提供されるように、ヌクレオチド配列
Figure 2004535767
を有するフォワードプライマーおよびヌクレオチド配列
Figure 2004535767
を有するリバースプライマーを用いた。フォワードプライマーは、Met開始部位(ATG)を省略して遺伝子の最初を増幅し、第二のアミノ酸から直ちに始まる(図16;配列番号:2を参照のこと)。リバースプライマーは、得られたPCR産物においてsqdX遺伝子の停止コドンを含む。
【0114】
本発明は、如何なる特定の蛋白質発現ベクターまたは系も用いることに限定されない。一つの態様において、蛋白質発現ベクターは、pQE−9、pQE−16、pQE−31、pQE−32、pQE−40、pQE−60、pQE−70、pQE−80、pQE−81、pQE−82、pQE−100(全てキアゲンインク、バレンシア、カリフォルニア州から入手可能)を含む群から選択される。もう一つの態様において、蛋白質発現ベクターは、pACYC184(ニューイングランドバイオラブズ社、ビバリー、マサチューセッツ州;カタログ番号E4152S)である。(図6を参照のこと)。好ましい態様において、蛋白質発現ベクターはpQE−30である。(図3を参照のこと)。
【0115】
本発明は、組み換え型SQDX蛋白質を精製する如何なる特定の手段に限定されない。一つの態様において、得られたプラスミド構築物によって、大腸菌においてSQDX蛋白質を発現することができ、製造元の説明書(キアゲンインク、バレンシア、カリフォルニア州;カタログ番号30210)に従ってNi−NTAアガロースに対するプラスミド構築物の6個のN−末端ヒスチジン残基の選択的結合によって蛋白質の精製を行うことが可能であった。組み換え型蛋白質を200 mMイミダゾールによって溶出し、その後イミダゾールはミリポアウルトラフリー4濃縮器(ミリポアインク、ベッドフォード、マサチューセッツ州)を用いることによって除去した。蛋白質は、20%グリセロール、300 mM NaCl、および25 mM NaHPO(pH 7.5)において−20℃で保存した。
【0116】
b. シロイヌナズナ(Arabidopsis)のペプチド−シアノバクテリアsqdX遺伝子相同体
もう一つの態様において、UDP−SQからのスルホキノボースをジアシルグリセロールに転移することができる実質的に精製された組み換え型シロイヌナズナのペプチドの生成が意図される。一つの態様において、配列番号:3に記載の核酸配列によってコードされるシロイヌナズナのsqdX遺伝子相同体を産生する手段を記述する。シアノバクテリアsqdX遺伝子をシロイヌナズナのゲノム配列とBLASTによって比較したところ、いくつかの可能性がある相同体が判明した。一つの態様において、シアノバクテリアsqdX遺伝子および配列番号:3に記載の核酸配列と37%のアミノ酸同一性を有する相同体であるAtSQDX−1が意図される。
【0117】
本発明は、如何なる特定のシロイヌナズナsqdX相同体の発現に限定されないが、一つの態様において、AtSQDX−1を以下のようにクローニングして発現させる。
【0118】
2週齢のシロイヌナズナ(Arabidopsis)野生型植物の葉からの総RNAを、下記のようにロゲマンら(Logemann、「植物組織からRNAを単離するための改善された方法(Improved Method for the Isolation of RNA from Plant Tissues)」、Anal. Biochem. 163:16〜20(1987))に従って単離する。一つの態様において、シロイヌナズナの葉から燐酸塩を枯渇して、SQDX配列を濃縮する。次に、単離された総RNAを、下記のように製造元の説明書に従ってオリゴテックスmRNAミニキット(キアゲン社カタログ番号70022)を用いてポリA+ mRNAに関して濃縮する。AtSQDX−1のオープンリーディングフレームを含むcDNAを作製するために、プロスターHFシングルチューブRT−PCRシステム(ストラタジーン社、ラホヤ、カリフォルニア州;カタログ番号600164)を用いてmRNAにcDNA生合成を行う。蛋白質発現ベクターpQE−30へのインフレームクローニングを行うために、AtSQDX−1(配列番号:3)(GenBankアクセッション番号AL137189)の利用可能なゲノム配列に基づくプライマーをデザインする。
【0119】
一つの態様において、組み換え型AtSQDX−1蛋白質を大腸菌において発現させるために、配列番号:3(GenBankアクセッション番号CAB69850)に記載の核酸配列の少なくとも一部を含むpSYBの1,410塩基対断片をPCRに基づく戦略を用いてHisタグ発現ベクターpQE−30(キアゲンインク、バレンシア、カリフォルニア州;カタログ番号32149)にクローニングした。この目的に関して、pQE−30にクローニングするためにBamHI部位が提供されるように、ヌクレオチド配列
Figure 2004535767
を有するフォワードプライマー、およびヌクレオチド配列
Figure 2004535767
を有するリバースプライマーを用いた。
【0120】
本発明は、シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)sqdX相同体を作製するために用いられる如何なる特定のプライマーに限定されない。もう一つの態様において、プライマー
Figure 2004535767
およびリバースプライマー
Figure 2004535767
は、SQD2遺伝子のcDNAを生成する(実施例5を参照のこと)。
【0121】
本発明は、UDP−SQからのスルホキノボースをジアシルグリセロールに転移することができる組み換え型シロイヌナズナ(Arabidopsis)ペプチドを作製するために、蛋白質発現ベクターに如何なる特定のヌクレオチド配列をクローニングすることに限定されない。一つの態様において、配列番号:4に記載の核酸配列の少なくとも一部を含むSQD2遺伝子の断片をpQE−30にクローニングする。
【0122】
本発明は、如何なる特定の蛋白質発現ベクターまたは系を用いることに限定されない。一つの態様において、蛋白質発現ベクターは、pQE−9、pQE−16、pQE−31、pQE−32、pQE−40、pQE−60、pQE−70、pQE−80、pQE−81、pQE−82、pQE−100の群から選択される(全てキアゲンインク、バレンシア、カリフォルニア州から入手可能)。もう一つの態様において、蛋白質発現ベクターは、pACYC184である(図6を参照のこと)。好ましい態様において、蛋白質発現ベクターはpQE−30である(図3を参照のこと)。
【0123】
本発明は、UDP−SQからのスルホキノボースをジアシルグリセロールに転移することができる組み換え型シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)ペプチドを精製する如何なる手段に限定されない。一つの態様において、得られたプラスミド構築物によって、組み換え型AtSQDX−1蛋白質を発現することができ、製造元の説明書(キアゲンインク、バレンシア、カリフォルニア州;カタログ番号30210)に従ってNi−NTAアガロース樹脂に対するプラスミド構築物の6個のN−末端ヒスチジン残基の選択的結合によって、蛋白質の精製を行うことが可能であった。組み換え型蛋白質を200 mMイミダゾールによって溶出し、その後イミダゾールはミリポアウルトラフリー4濃縮器(ミリポアインク、ベッドフォード、マサチューセッツ州)を用いて除去した。蛋白質は、20%グリセロール、300 mM NaCl、および25 mM NaHPO(pH 7.5)において−20℃で保存した。
【0124】
もう一つの態様において、UDP−SQからのスルホキノボースをジアシルグリセロールに転移することができるSQD2遺伝子産物の精製が意図される。
【0125】
シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)組織からの総RNAの単離
本発明は、シロイヌナズナ(A. thaliana)組織からの総RNAを単離するための如何なる特定の方法に限定されないと解釈される。一つの態様において、以下のように塩酸グアニジン抽出によって上記の組織から総RNAを単離する。上記の組織を液体窒素中で凍結して、ワーリングブレンダーを用いて細粉にホモジナイズする。組織が少量(0.5 g未満)である場合、1.5 mlエッペンドルフチューブ中で回転するピンを用いて組織をホモジナイズする。8M塩酸グアニジン、20 mM MES(4−モルフォリンエタンスルホン酸)、20 mM EDTA、および50 mM 2−メルカプトエタノールを含むグアニジン緩衝液、pH 7.0の2容量を加えて、抽出物を室温でさらにホモジナイズする。
【0126】
塩酸グアニジン抽出物を予め冷却した(4℃)遠心機において10,000 rpmで10分間遠心する。その後、浮遊する粒子を除去するために、RNA含有上清をチーズクロス1層で濾過する。少なくとも0.2〜1.0容量のフェノール/クロロホルム/IAAを加えて蛋白質を抽出する。抽出後、混合物を10,000 rpmで室温で45分間遠心して相を分離する。RNA含有水相を採取して、RNAを沈殿させ、上清中のDNAおよび残留蛋白質を除去するために、予め冷却したエタノール0.7容量および1M酢酸0.2容量と混合する。−20℃で一晩インキュベート、または−70℃で1時間インキュベートすることが推奨される。
【0127】
沈殿したRNAを10,000 rpmで10分間遠心して沈殿させ、滅菌3M酢酸ナトリウムによってpH 5.2で室温で2回洗浄する。低分子量RNAおよび混入多糖類は溶解するが、無傷のRNAは10,000 rpmで5分間の遠心後にペレットとして留まる。70%エタノールによる最終洗浄によって塩を除去し、RNAペレットを滅菌水にその後溶解して必要となるまで20℃で保存する。
【0128】
シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)総RNAからのポリA+ mRNA単離
本発明は、シロイヌナズナの葉の総RNAからのポリA+ mRNAを単離する如何なる特定の手段にも限定されない。一つの態様において、以下のように製造元の説明書に従ってオリゴテックスmRNAミニキット(キアゲン社、カタログ番号70022)を用いて、ポリA+ mRNAをシロイヌナズナの葉の総RNAから単離した。
【0129】
オリゴテックス浮遊液を加熱ブロックにおいて37℃に加熱して、ボルテックスミキサーによって混合して、室温で放置した。シロイヌナズナの葉の総RNA 0.25 mgを含む試料を、ピペットによりRNアーゼ不含1.5 ml微量遠心管に採取して、反応物の容量をRNアーゼ不含水によって0.25 mlに調節する。緩衝液OBB 0.25 mlの容量とオリゴテックス浮遊液0.015 mlとを反応に加える。内容物をピペッティングによって十分に混合する。RNAの二次構造を破壊するために試料を水浴中または加熱ブロックで70℃で3分間インキュベートした。試料を加熱ブロックから外して、室温(20〜30℃)で10分間放置することによって、オリゴテックス粒子のオリゴdT30と、mRNAのポリ−Aテールとをハイブリダイズさせる。オリゴテックスmRNA複合体を最高速度で2分間遠心することによって沈降させ(14,000〜18,000×g)、上清をピペッティングによって除去する。
【0130】
オリゴテックスmRNAペレットを緩衝液OW2 400 μlにおいてボルテックスミキサーによって再浮遊させ、キットに添付の小さいスピンカラムにピペッティングする。スピンカラムを最高速度(14,000〜18,000×g)で1分間遠心する。スピンカラムを新しいRNアーゼ不含1.5 ml微量遠心管に移して、緩衝液OW2 400 μlをカラムに加えた。スピンカラムを最高速度で1分間遠心して、フロースルー分画を捨てる。
【0131】
スピンカラムを別の1.5 ml微量遠心管に移す。熱い(70℃)緩衝液OEB 20〜100 μlをピペットによってカラムに移す。上下に3、4回ピペッティングさせて樹脂を再浮遊させ、mRNAを溶出させて、最高速度で1分間遠心して浮遊液を沈殿させる。ポリA+ mRNAを含むフロースルー分画を単離して、使用するまで−20℃で保存する。
【0132】
シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)cDNAの生合成
本発明は、シロイヌナズナcDNAの生合成に関する如何なる特定の方法に限定されないが、一つの態様において、上記のcDNAをプロスターHFシングルチューブRT−PCRシステム(ストラタジーン社、ラホヤ、カリフォルニア州:カタログ番号600164)を用いて以下のように生合成した。
【0133】
対照および実験反応は、以下の成分を以下の順に異なる滅菌0.5 ml微量遠心管に加えることによって調製する:
対照反応
RNアーゼ不含水(DEPC−処置水ではない) 40.5 μl
10×HF RT−PCR緩衝液 5.0 μl
対照プライマーセット(200 ng/μl) 1.0 μl
dNTPミクス(40 mM) 1.0 μl
対照mRNA 1.0 μl
実験反応
RNアーゼ不含水(DEPC−処置水ではない) 39.5 μl
10×HF RT−PCR緩衝液 5.0 μl
フォワードプライマー(100 ng) 1.0 μl
リバースプライマー(100 ng) 1.0 μl
dNTPミクス(40 mM) 1.0 μl
単離ポリA+ mRNA(0.1〜10 ng) 1.0 μl
【0134】
使用直前に、ストラタスクリプトRT(20 U/μl)0.5 μlをRNアーゼ不含水6.7 μlおよび10×HF RT−PCR緩衝液0.8 μlによって最終容積8.0 μlに希釈する。希釈したストラタスクリプトRT 1.0 μlを各反応物に加える。タックプラスプレシジョンDNAポリメラーゼ混合物0.5 μlを各反応物に加える。気泡を生じないように反応物をボルテックスミキサーによって軽く攪拌する。対照および実験反応をいずれもジーンアンプPCRシステム9600サーマルサイクラー(アプライドバイオシステムズ、フォスターシティ、カリフォルニア州:カタログ番号N801−0001)に入れる。次に、反応に以下のサーマルサイクリングプログラムを行って、mRNA鋳型から一本鎖cDNAを合成して、cDNAをPCRによって増幅する:42℃で30分を1サイクル;95℃で1分を1サイクル;95℃で30秒、60℃で30秒、および68℃で2分を含む40サイクル;ならびに68℃で10分を1サイクル。
【0135】
サーマルサイクリングプログラムが終了した後、RT−PCR産物を1.0%(w/v)アガロースゲル電気泳動によって分析する。対照mRNAと対照プライマーセットとを含む対照反応のRT−PCR増幅は、500塩基対の産物を生成する。反応産物は、エチジウムブロマイド染色アガロースゲルのUV透視によって容易に目に見えるであろう。上記の反応によって産生されるcDNAを含む産物は、必要となるまで−20℃で保存する。
【0136】
シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)組み換え型ペプチドの同時発現
本発明は、単一の宿主生物または植物において、UDP−Glcおよび硫黄供与体のUDP−SQへの変換を触媒することができるペプチドの独立した発現に限定されないと解釈される。その上、単一の宿主生物または植物においてUDP−SQからのスルホキノボースをジアシルグリセロールに転移することができる第二のペプチドの独立した発現に限定されないと解釈される。一つの態様において、本発明は、単一の宿主生物または植物において上記のペプチドをいずれも同時発現することを意図する。一つの態様において、スルホリピッド生合成経路が再構築されるように、大腸菌においてペプチドSQD1とSQDX(例えば、異なる蛋白質発現ベクターにおいて)とを同時発現することが以下のように意図される。
【0137】
大腸菌において2つの蛋白質を発現させるために、蛋白質発現能を有する2つの適合性のプラスミド、すなわち一つはSQD1のため、もう一つはSQDXのためのプラスミドを利用する。それぞれのプラスミドは、プラスミドの正確な組み合わせを有する形質転換体を選択するために、異なる抗生物質抵抗性を有しなければならない。プラスミドpQE−30は、アンピシリン抵抗性を提供し、一方プラスミドpACYC184はクロラムフェニコール抵抗性を提供する。SQD1コード領域は、pQE−30の蛋白質発現カセットと共に、制限酵素Xho IおよびPvu IIを用いてこのプラスミドから採取して、Sal IおよびEcoR Vによって切断したpACYC184プラスミド(ニューイングランドバイオラブズ社、ビバリー、マサチューセッツ州:カタログ番号E4152S)(図6を参照のこと)にライゲーションする。M15細胞株(キアゲンインク、バレンシア、カリフォルニア州)をpQE−30/SQDX蛋白質発現構築物(上記のように)によって形質転換する。SQD1/pACYC184発現構築物を、pQE−30/SQDX発現ベクターを含むM15細胞株に形質転換する。1〜5mMイソプロピル−β−D−チオガラクトシド(IPTG)(アマシャムファルマシアバイオテック社、ピスキャタウェイ、ニュージャージー州:カタログ番号27−3054−03)によって発現を誘導すると、双方の蛋白質が発現される。
【0138】
本発明は、2つの組み換え型蛋白質の同時発現を生じる如何なる特定の蛋白質発現ベクターを用いることに限定されない。一つの態様において、蛋白質発現ベクターは、pBK−CMV(ストラタジーン社、ラホヤ、カリフォルニア州:カタログ番号212209)、pGEX−6P−1(アマシャムファルマシアバイオテック社、ピスキャタウェイ、ニュージャージー州:カタログ番号27−4597−01)、またはpUC19(ニューイングランドバイオラブズ社、ビバリー、マサチューセッツ州:カタログ番号N3041S)を含む群から選択される。
【0139】
もう一つの態様において、スルホリピッド生合成経路が再構築されるように、実施例5cに記載のように、大腸菌においてペプチドSQD1とSQD2(例えば、異なる蛋白質発現ベクターにおいて)とを同時発現することが意図される。
【0140】
トランスジェニック植物におけるシロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)組み換え型ペプチドの発現
植物細胞におけるトランスジーンの転移および発現は今では、当業者にとって日常的な業務である。これは、遺伝子発現研究を行うため、そして農業または商業的に重要な改善された植物品種を得ようとするための主要なツールとなった。本発明は、単一の宿主生物においてUDP−Glcおよび硫黄供与体のUDP−SQへの変換を触媒することができる第一のペプチド、または細菌細胞においてUDP−SQからのスルホキノボースをジアシルグリセロールに転移することができる第二のペプチドの発現に限定されない。本発明は、クロー&ベント(S. Clough and A. Bent、「花弁の液浸:シロイヌナズナのアグロバクテリウム媒介形質転換の単純な方法(Floral dip:a simplified method for Agrobacterium−mediated transformation of Arabidopsis thaliana)」、Plant J. 16:735〜43(1998))によって記載されるように、トランスジェニック植物におけるシロイヌナズナ組み換え型ペプチドの発現を意図する。(実施例3を参照のこと)。
【0141】
一つの態様において、植物細胞のゲノムに転移され、それによって組み換え型ペプチドの発現が起こるように遺伝子を操作する一般的な方法は2段階で行われる。第一に、全てのクローニングおよびDNA改変段階は大腸菌において行われ、関係する遺伝子構築物を含むプラスミドは接合によってアグロバクテリウムに転移される。第二に、得られたアグロバクテリア株を用いて植物細胞を形質転換する。このように、全般的な植物発現ベクターに関して、プラスミドは、アグロバクテリアにおいてそれを複製させる複製開始点および大腸菌において機能的な高コピー数の複製開始点を含む。これによって、植物にその後導入するためにアグロバクテリアに転移する前に、大腸菌においてトランスジーンを容易に産生して、試験することができる。抵抗性遺伝子はベクター上で運ぶことができ、一つは細菌において選択するためであり(例えば、ストレプトマイシン)、もう一つは、植物において発現される(例えば、カナマイシン抵抗性遺伝子をコードする遺伝子、またはヒグロマイシンのような除草剤に対する抵抗性をコードする遺伝子)。同様に、適当な調節配列に機能的に結合した一つまたはそれ以上のトランスジーンを付加するための制限エンドヌクレアーゼ部位、およびアグロバクテリアの転移機能によって認識された場合に、植物に転移される領域の範囲を定める指向性のT−DNA境界配列も同様に存在する。
【0142】
もう一つの態様において、植物細胞は、その上にクローニングしたDNAが沈殿するタングステン微小発射物を細胞に発射することによって形質転換してもよい。(例えば、ゴードン−カム(Gordon−Kamm)ら、Plant Cell 2:603(1990)を参照のこと)。一つの態様において、バイオリスティック装置(バイオラド社、ハーキュルズ、カリフォルニア州)は、火薬充填して発射するため(22口径のパワーピストンツールチャージ)、または銃身を通してプラスチック製のマクロ発射物を駆動する空気爆風によって発射するために用いる。その上にDNAが沈殿するタングステン粒子懸濁液の少量をプラスチック製のマクロ発射物の前に配置する。マクロ発射物を、マクロ発射物が通過するには小さすぎる穴を有するアクリル製の停止板で発火する。その結果、プラスチック製のマクロ発射物が停止板を強打して、タングステンの微小発射物は板の穴を通してその標的に向かう。本発明に関して、標的は如何なる植物細胞、組織、種子、または胚となりうる。微小発射物上で細胞に導入されたDNAは、核または葉緑体のいずれかに組み込まれる。
【0143】
本発明は、それによって植物において如何なる特定の組み換え型シロイヌナズナ(A. thaliana)ペプチドの発現が得られる特定の様式に限定されないと解釈される。一つの態様において、配列番号:5に記載の核酸配列によってコードされるペプチドが植物において発現される。もう一つの態様において、配列番号:1、配列番号:3、または配列番号:4に記載される核酸配列によってコードされるペプチドが植物において発現される。さらなる態様において、配列番号:1、配列番号:3、配列番号:4、および配列番号:5を含む核酸配列の群によってコードされる2つの組み換え型シロイヌナズナ(A. thaliana)ペプチドが植物において同時発現される。
【0144】
本発明は、シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)の組み換え型ペプチドの発現を生じる如何なる特定の植物、細胞タイプに限定されないと解釈される。一つの態様において、植物細胞は単子葉植物に由来する。もう一つの態様において、植物細胞は双子葉植物に由来する。もう一つの態様において、植物細胞は、カシューナッツ、ナンキンマメ、アスパラガス、ロウトウ、カラスムギ、アブラナ、柑橘類、スイカ、トウガラシ、ベニバナ、ヤシ、クフェア、キュウリ、カボチャ、ニンジン、アブラヤシ、イチゴ、ダイズ、ワタ、ヒマワリ、ヘテロカリス、オオムギ、ヒヨス、レタス、アマ、ライグラス、ルピナス、トマト、リンゴ、キャッサバ、マジョラナ、ウマゴヤシ、タバコ、オリーブ、イネ、パニエウム(Panieum)、パネセツム(Pannesetum)、アボガド、インゲンマメ、ピスタチア、エンドウ、ナシ、サクラ、ダイコン、トウゴマ、ライムギ、サワギク、セネシオ、カラシ、ナス、モロコシ、テオブロムス(Theobromus)、コロハ、コムギ、ソラマメ、ブドウ、ササゲ、およびエンドウ属を含む群に由来する。好ましい態様において、植物細胞はシロイヌナズナに由来する。
【0145】
3.アルキルスルホキノボシドを生成するためのUDP−SQのその後の改変
本発明の方法は、アルキルスルホキノボシドを含むがこれに限定されない化合物を生成するためにUDP−SQを後に改変することをさらに含む。(図7を参照のこと)。本発明の方法は、アルキルスルホキノボシドの生成に限定されない。さらに、本発明は、如何なる特定の反応機構に限定されない。一つの態様において、本発明は、水を消失させる適した酸触媒の存在下でUDP−スルホキノボースの加水分解切断によって生じるスルホキノボースと短鎖アルコールとを反応させることによって、アルキルスルホキノボシドを生成するためのプロセスに関する。次に、短鎖アルキルスルホキノボシドを長鎖アルコールによってトランスアセタール化して、長鎖スルホキノボシドを形成する。
【0146】
本発明の方法は、生成されるアルキルスルホキノボシドの構造に関して限定されないが、一つの態様において、アルキルスルホキノボシドは、C−6位でスルホン化され、C−1位でアルコールによってアセタール化されたグリコシド単位からなる物質の群である。もう一つの態様において、アルキルスルホキノボシドは、UDP−スルホキノボースと脂肪アルコールの反応産物であると理解される。好ましい態様において、アルキルスルホキノボシドにおける「アルキル」という用語は、脂肪族C8〜C18アルコール、好ましくは天然脂肪(すなわち、飽和および不飽和残基、同様に長さの異なる鎖を有する残基を含むその混合物)から得ることができる脂肪アルコールの残基を含むと解釈される。
【0147】
アルキルオリゴスルホキノボシドおよびアルキルポリスルホキノボシドという用語は、アセタールの形での一つのアルキル残基が一つ以上のスルホキノボシド残基に結合しているアルキル化スルホキノボシド(すなわち、ポリスルホキノボシドまたはオリゴスルホキノボシド残基)に適用される。したがって、アルキルモノスルホキノボシドはモノスルホキノボシドのアセタールである。糖と脂肪アルコールとの反応産物は一般的に混合物であるため、アルキルスルホキノボシドという用語は、アルキルモノスルホキノボシドと同様にアルキルポリ(オリゴ)スルホキノボシドの双方を含むと解釈される。
【0148】
一つの態様において、アルキルスルホキノボースの合成は、短鎖アルコールによるトランスアセタール化法によって行われる。本発明において引用した方法は、如何なる特定の短鎖アルコールに限定されないと解釈されるが、一つの態様において、短鎖アルコールは、その異性体を含むメタノール、エタノール、プロパノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノナノールを含む群から選択される。好ましい態様において、短鎖アルコールはブタノールである。
【0149】
一つの態様において、アルキルスルホキノボシドの合成は、UDP−スルホキノボースの加水分解切断から始まる。次に、スルホキノボースをブタノール中で酸触媒によって還流して、反応の水を真空下での蒸留によって除去する。酸触媒の目的は、グルコシド結合を含む反応に都合がよいことである。
【0150】
本発明の方法は、如何なる特定の酸触媒に限定されないが、一つの態様において、如何なる酸化合物(脂肪アルコールと糖分子とのアセタール化反応を触媒するいわゆるルイス酸を含む)も触媒として用いてもよい。一つの態様において、酸触媒は、HSO、HCl、HPO、またはBFを含む無機酸である。もう一つの態様において、酸触媒は、オルト−トルエンスルホン酸、メタ−トルエンスルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸、二級アルキルスルホン酸、スルホン酸樹脂、アルキルスルフェート、アルキルベンゼンスルホネート、アルキルスルホネート、およびスルホコハク酸を含むスルホン酸またはその塩である。より好ましい態様において、酸触媒はパラ−トルエンスルホン酸である。
【0151】
本発明の方法は、特定の組の反応条件に限定されないと解釈されるが、より低い沸点のブタノール/水混合物の形成に関して、一つの態様において、還流温度は118℃;蒸気温度95〜110℃が確立される;ブタノールによるアセタール化は、軽い真空(すなわち、800〜950 mbarの気圧下)で行い;およびブタノールの共沸量は、水によって除去する。
【0152】
一つの態様において、ブチルスルホキノボシドは、長鎖アルコールによって真空下で酸触媒の存在下で処理する。一つの態様において、10 mbarの減圧下で蒸留によってブタノールを除去することによってブチルスルホキノボシドの含有量を減少させることが望ましい。一つの態様において、ブタノールを除去後の触媒の中和物は、好ましくは、反応混合物を100〜115℃の温度で通常の圧力下で攪拌する約1時間までの時間によって分離される。このようにして、ブチルスルホキノボシドと脂肪アルコールとの反応は、制御下で継続することができる。
【0153】
本発明の方法は、特定の長鎖アルコールに限定されないと解釈されるが、一つの態様において、長鎖アルコールは脂肪アルコールである;より好ましくは、炭素原子8〜18個を含む高級脂肪族一級アルコール;およびさらにより好ましくは、本来の脂肪酸の工業的水素添加によって得ることができるタイプの飽和で、好ましくは直鎖アルコールである。一つの態様において、高級脂肪族アルコールは、n−ドデシルアルコール、n−テトラデシルアルコール、n−オクタデシルアルコール、n−オクチルアルコール、n−デシルアルコール、ウンデシルアルコール、トリデシルアルコールを含む群から選択される。もう一つの態様において、長鎖アルコールは、ラウリルアルコールが重量で約3とミリスチルアルコールが重量で1の技術的混合物である。もう一つの態様において、長鎖アルコールは、オキサアルコールを含むがこれらに限定されない分岐鎖一級アルコールである。好ましい態様において、長鎖アルコールはn−ヘキサデシルアルコールである。
【0154】
本発明の方法は、特定の組の反応条件に限定されないと解釈されるが、一つの態様において、短鎖および長鎖アルキルスルホキノボシド、長鎖アルコール、および酸触媒を含む反応混合物は、その後温度を95℃未満まで冷却する。一つの態様において、酸触媒は、後に塩基の付加によって中和して、中和した反応混合物のpHを少なくとも8に調節する。好ましい態様において、中和した反応混合物のpHは8.5である。
【0155】
本発明の方法は、特定の塩基に限定されないと解釈されるが、一つの態様において、塩基は、水酸化アルカリ金属、炭酸塩、および重炭酸塩のようなアルカリ金属塩基を含む有機または無機塩基材料から選択される。もう一つの態様において、塩基は、酸化カルシウムおよび酸化マグネシウムのようなアルカリ土類塩基を含む群から選択される。もう一つの態様において、水酸化アルミニウムまたはその塩基性アルカリアルミニウム成分のようなアルミニウム塩基が意図される。さらなる態様において、塩基は、水酸化アンモニウム、ならびに一級、二級、三級、および複素環アミンを含むがこれらに限定されないアミンのようなアンモニアに基づく化合物を含む群から選択される。
【0156】
本発明の方法は、反応混合物を濾過するための特定の温度範囲に限定されないと解釈されるが、一つの態様において、反応混合物は80〜90℃の温度で濾過され、過剰量の脂肪アルコールは重量で5%未満まで蒸留によって除去される。一つの態様において、排水だめの温度はアルカリスルホキノボシドが熱安定であるレベルで維持しなければならない。好ましい態様において、排水だめの温度は160℃の値を超えてはならない。
【0157】
本発明の方法は、如何なる特定の含有量の短鎖および長鎖アルキルスルホキノボシドの産物を生成することに限定されないが、一つの態様において、得られた産物は、高い含有量の長鎖アルキルスルホキノボシド、および低い含有量のブチルスルホキノボシド、アルキルモノスルホキノボシド、および同様にポリ(オリゴ)スルホキノボシドを有する。
【0158】
アルキルスルホキノボシドは、洗浄剤およびクリーニング調製物の製造のための工業的界面活性剤として用いるために適した陰イオン性界面活性剤である。ビアマン(Biermann)らの米国特許第5,374,716号は、界面活性アルキルグリコシドを生成するためのプロセスを教示する。ミヤノ&ベンソン(Miyano, M and Benson, A.A.、「植物スルホリピッドVII、6−スルホ−α−D−キノボピラノシル−(1→1’)−グリセロールの合成とスルホリピッドの放射化学合成(The Plant Sulfolipid VII. Synthesis of 6−sulfo−α−D−quinovopyranosyl−(1→1’)−glycerol and Radiochemical Synthesis of Sulfolipids)」、J. Am. Chem. Soc. 84:59〜62(1962))は、硫酸塩の置換による1,2−イソプロピリデン−6−O−オシル−D−グルコフラノースから6−スルホ−D−キノボースの調製、その後のアリルα−グリコシドへの変換、および過マンガン酸塩によるその酸化によってスルホキノボシルグリセロールの形成を教示する。ロイ&ヒューリンズ(Roy, A.B. and Hewlins, J.E.、「スルホキノボースとそのアルドン酸:その調製と過ヨウ素酸による2−スルホアセトアルデヒドへの酸化(Sulfoquinovose and its aldonic acid:their preparation and oxidation to 2−sulfoacetaldehyde by periodate)」、Carbohydrate Res. 302:113〜17(1997))は、スルホキノボースまたはそのアルドン酸の過ヨウ素酸塩による酸化による2−スルホアセトアルデヒドの調製を教示する。
【0159】
実験
実施例1
本実施例において、UDP−グルコース、シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)の組み換え型SQD1酵素蛋白質、および亜硫酸塩を含む反応混合物からUDP−SQを生成する手段を記述する。一つの態様において、UDP−SQ産生反応は、精製SQD1蛋白質10 μg、100 μM NaSO、2.2 mM UDP−グルコース[14C(U)−グルコース](69 Bq/nmol)、および50 mMトリス(pH 7.5)を含む緩衝液において全量100 μlで37℃で40分間行う。次に、反応混合物を95℃で5分間変性させて、組み換え型酵素を不活化して、10,000×gで5分間遠心して、42℃で一定に維持したベックマン(フュラートン、カリフォルニア州)ウルトラスフェアODSカラム(4.6 mm×25 cm、粒子径5μM)を用いる高速液体クロマトグラフィー(HPLC)(ウォータース社、ミルフォード、マサチューセッツ州)によって分析する。KOHによってpH 6.0に調節した30 mM KHPO、2mM水酸化テトラブチルアンモニウム(フィッシャーサイエンティフィック社、フェアローン、ニュージャージー州)の直線勾配をHPLC等級のアセトニトリル(EMサイエンス、ギブスタウン、ニュージャージー州)に流速1ml/分で45分間適用することによって、基質と産物とを分離した。
【0160】
上記のようにSQD1蛋白質を標識UDP−グルコースと共にインキュベートすると、2つの化合物(UおよびU)が形成され、これをHPLCによって分析するとUDP−グルコース(図2Aおよび2Bを参照のこと)と比較して独自の保持時間を示した。反応混合物を変性させずにアミコンフィルター(分子量カットオフ、10,000;ミリポア社、ベッドフォード、マサチューセッツ州)を用いて濾過すると、化合物Uの77%(図2Bを参照のこと)が、溶液中で遊離で存在したのに対し、化合物Uは35%であったことが判明した。反応混合物に亜硫酸塩を加えると、化合物Uが完全に消失して、化合物Uの形成をさらに刺激した(図2Cを参照のこと)。化合物Uは上記のHPLC系において[35S]UDP−SQと同時クロマトグラフされ、このことは、反応混合物において生成された化合物がUDP−SQであることを示している(図2Dを参照のこと)。標識化合物はβ−Ramモデル2フロースルーモニターを用いて検出した(INUSシステムズ社、タンパ、フロリダ州)。
【0161】
実施例2
本実施例において、実施例1に記載した方法において用いられ、配列番号:5に記載の核酸配列によってコードされるシロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)組み換え型SQD1酵素蛋白質の生成手段を記述する。
【0162】
a.チラコイド膜のヘッドグループ生合成に関係する酵素をコードするシロイヌナズナ遺伝子を単離するために、発現された配列タグのdbESTデータベースを、TBLASTNを用いて細菌sqdB遺伝子の予想アミノ酸配列によって検索した。この検索を通して、細菌sqdB遺伝子産物と高い配列類似性を有する推定の蛋白質をコードする部分的なコメcDNA(EST D46477)が発見された。部分的コメcDNAの400塩基対のXho I−EcoRV断片をプローブとして用いて、異種DNAハイブリダイゼーションによってシロイヌナズナのPRL2 cDNAライブラリ(オハイオ州コロンブスのオハイオ州立大学シロイヌナズナ生物資源センターから入手できるラムダZipLox−に基づくライブラリ)のプラーク形成単位(pfu)240万個をスクリーニングした。ハイボンドN+(アマシャム社)メンブレンを用いて、7%(wt/vol)SDS、1mM EDTA、および1%(wt/vol)BSAを含む0.25 M燐酸ナトリウム緩衝液(pH 7.2)において53℃でハイブリダイゼーションを行った。ハイブリダイゼーション後、メンブレンを2×SSPE、0.1%(wt/vol)SDS溶液中で53℃で2回20分間洗浄した。
【0163】
1,799塩基対のインサートを有するクローンを含むいくつかのcDNAクローンを単離し、これをシークエンシングした(GenBankアクセッション番号AF022082)。ヌクレオチド170位で始まるオープンリーディングフレーム(ORF)は、計算分子量53.1 kDaの推定の蛋白質をコードする。シネココッカス(Synechococcus)種PCC7942のsqdB遺伝子およびシロイヌナズナcDNAの推定アミノ酸配列のアミノ酸比較分析によって、42%の配列同一性が判明した。シロイヌナズナの対応する座をSQD1と命名して、1,799 bpのインサートを有するcDNAを含むプラスミドをpSQD1と命名した。アミノ酸レベルで、部分的なコメcDNA配列は、シロイヌナズナのSQD1配列と86%同一であった。
【0164】
大腸菌において組み換え型SQD1蛋白質を生成するために、PCRに基づく戦略を用いて、pSQD1の1,199塩基対断片(GenBankアクセッション番号AF022082のヌクレオチド番号425〜1603)をヒスチジンタグ発現ベクターpQE−30(キアゲンインク、バレンシア、カリフォルニア州)にクローニングした。この目的のために、pQE−30にクローニングするためにBamHI部位が提供されるように、そして推定のシグナルペプチドを含むN−末端アミノ酸85個が除去されるように、ヌクレオチド配列
Figure 2004535767
を有するフォワードプライマーおよびヌクレオチド配列
Figure 2004535767
を有するリバースプライマーを用いた。得られたプラスミド構築物pSQD1−TPによって、大腸菌において組み換え型SQD1蛋白質を発現させることができ、製造元の説明書(キアゲンインク、バレンシア、カリフォルニア州)に従ってNi−NTAアガロースに対するプラスミド構築物の6個のN−末端ヒスチジン残基の選択的結合により蛋白質の精製を行うことが可能となった。
【0165】
組み換え型蛋白質を200 mMイミダゾールによって溶出して、イミダゾールはその後ミリポアウルトラフリー4濃縮器(ミリポアインク、ベッドフォード、マサチューセッツ州)を用いて除去した。蛋白質を20%グリセロール、300 mM NaCl、および25 mM NaHPO(pH 7.5)において−20℃で保存した。SQD1蛋白質は、SDS−PAGEゲル分析によって約95%純粋であると推定された(図4を参照のこと)。
【0166】
b.SQD1活性に関して予想されるよにUDP−グルコースのUDP−SQへの変換を測定するために酵素アッセイを開発した。基礎活性のアッセイは、精製SQD1蛋白質10 μg、100 μM NaSO、500 μM UDP−グルコース[14C(U)−グルコース](89 Bq/nmol)および50 mMトリス(pH 7.5)を含む緩衝液において37℃で全量100 μlで40分間行った。さらにもう一つのアッセイであるカップリングしたアデノシン5’−ホスホスルフェート(APS)(シグマ社、セントルイス、ミズーリ州)/SQD1アッセイは、50 mMトリス(pH 8.5)、10 mMジチオスレイトール(DTT)、25 μM[35S]APS(500 Bq/nmol)、250 mM NaSO、1mM EDTA、500 μM UDP−グルコース、精製SQD1蛋白質66 μg、およびシロイヌナズナ(A. thaliana)のAPR1 12 μgを含んだ(図8を参照のこと)。いずれのアッセイにおいても、反応物は30℃で10分間インキュベートした。試料を95℃で5分間熱変性させて、10,000×gで5分間遠心し、42℃の一定に維持したベックマン(フュラートン、カリフォルニア州)ウルトラスフェアODSカラム(4.6 mm×25 cm、粒子径5μM)を用いるHPLC(ウォータース社、ミルフォード、マサチューセッツ州)によって分析した。基質および産物は、実施例1において先に記述したようにHPLCによって分離および分析した。
【0167】
実施例3
本実施例において、シロイヌナズナ(Arabidopsis)の単純な形質転換手段を本明細書において記述し、それはクロー&ベント(S. Clough and A. Bent、「花弁の液浸:シロイヌナズナのアグロバクテリウム媒介形質転換の単純な方法(Floral dip:a simplified method for Agrobacterium−mediated transformation of Arabidopsis thaliana)」、Plant J. 16:735〜43(1998))の方法に従う。
【0168】
a.バイナリベクター上に関係する遺伝子SQD1を有するアグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)を以下のように調製する。遷移ペプチドを含むが遺伝子のDNA5プライムを除外する完全なSQD1コード配列(配列番号:6を参照のこと)を、PCRに基づく戦略を用いて、pBluescript II(ストラタジーン社、ラホヤ、カリフォルニア州)にクローニングする。この目的のために、上記のSQD1配列を、ヌクレオチド配列
Figure 2004535767
を有するフォワードプライマー、および
Figure 2004535767
を有するリバースプライマーを用いてPCRによって増幅した。プライマーは、SQD1 cDNA断片のpBluescript IIへのクローニングのためにKpn IおよびBamHI部位が提供されるように構築した。
【0169】
次に、SQD1 cDNA断片を上記の制限エンドヌクレアーゼを用いてpBluescript IIから切除して、バイナリベクターpBINAR−Hygの対応する制限部位にサブクローニングする。このベクターは、pA7(ベルリン自由大学、フォンシャーベン(von Schaeven, A.)博士の学位論文(1989))の中心部からのHind III−EcoRI断片の挿入によって、pBIB−Hyg(ベッカー(Becker, D.)、Nucleic Acids Res. 18:203(1990))から導出する。この構築物を、アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)C58C1に導入して、これを用いて下記のようにシロイヌナズナのCol−2植物を形質転換する。
【0170】
b.シロイヌナズナ植物を、開花するまで、ブライダルベール、カーテン、またはチーズクロスによって覆った土壌でポットにおいて長日下で生育させる。最初に出た茎を摘み取って、多くの二次的な茎の増殖を促進して、摘み取った後植物を約4〜6日間生育させた。最適な植物は多くの未成熟な花の集団を有し、あまり多くない受精長角果を有するが、広範囲の段階の植物を首尾よく形質転換することができる。
【0171】
バイナリベクター上に関係する遺伝子を有するアグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)を、バイナリプラスミドを選択するために25 μg/mlヒグロマイシンB(カルビオケム社)を含むLB(水1L中にトリプトン10 g、酵母抽出物5g、NaCl5g)において28℃で大きい液体培養において生育させる。アグロバクテリア培養物を5500×gで20分間の遠心によって沈殿させ、滅菌5%蔗糖溶液においてOD600=0.8となるように再浮遊させる。
【0172】
シロイヌナズナ植物の上記のすりつぶした部分を、再浮遊させたアグロバクテリア/蔗糖溶液に液浸する前に、シルウェットL−77(OSiスペシャルティズインク、ダンバリー、コネチカット州)を濃度0.05%(500 μl/L)となるように加えて十分に混合する。シロイヌナズナ植物の上記のすりつぶした部分をアグロバクテリア溶液に、軽く攪拌しながら2〜3秒液浸する。液浸した植物は、高い湿度を維持するためにドームの下に置くか、または16〜24時間覆った。液浸した植物は、ドーム下の空気が暑くなりうるために過剰な太陽光に曝露しない。
【0173】
植物を、さらに3〜5週間生育させて、通常のように水をやり、パラフィン紙、テープ、支柱、ねじれた結び目、または他の手段によって束ねていない茎を結ぶ。植物の種子が成熟するまで水やりを停止する。成熟すると、きれいな紙片の上で指で集まった花序(すなわち、花の集団)を軽く押して乾燥した種子を採取する。茎および莢の材料の大部分を紙から除去して、種子を4℃の乾燥下で保存する。
【0174】
組み換え型シロイヌナズナペプチドを発現することができる成功した形質転換体を、抗生物質または除草剤選択マーカーを用いて選択する。本実施例において、採取した種子2000個(0.1%アガロース4mlに再浮遊させる)を、気相滅菌して、50 μg/mlヒグロマイシンBによる選択プレート上で播種し、2日間低温処理した後、連続光(50〜100 μアインシュタイン)の下で7〜10日間生育させる。実施例の選択プレートは、さらに0.5×ムラシゲ−スクーグ培地(シグマケミカル社、カタログ番号M−5519)および0.8%組織培養寒天(シグマケミカル社、カタログ番号A−1296)。成功した形質転換体は、緑色の葉と選択培地内で十分に確立された根を生じるヒグロマイシン抵抗性の実生として同定される。
【0175】
成功した形質転換体の試料を、十分に湿らせたポット用土壌に移植することによって成熟するまで生育させる。形質転換体からの葉を採取して、DNA抽出を行い、植物のゲノムDNAを単離する。その後抽出したゲノムDNAに制限エンドヌクレアーゼ消化およびサザンブロッティングを行い、関係する遺伝子が植物ゲノムに組み入れられていることを確認する。
【0176】
実施例4
本実施例において、上記の実施例において意図されるペプチド、SQDX(配列番号:1)を発現させるための手段を記述する。シネココッカス(Synechococcus)のsqdB遺伝子を有するプラスミドpSYBの完全なインサートをシークエンシングしたところ(GenBankアクセッション番号AF155063)、sqdBの3’に直ちに隣接して新しいORF(オープンリーディングフレーム)が同定された。プラスミドpSYBは、プラスミドpBluescript II SK+(ストラタジーン社、ラホヤ、カリフォルニア州、カタログ番号212205)に由来し、プラスミドKpnIおよびBamHI部位にクローニングされたsqdB遺伝子cDNA(配列番号:7)の完全な配列を含む。このORFは、アミノ酸377個の推定の蛋白質をコードし、これはR.スファエロイデス(R. sphaeroides)について記述されたsqd遺伝子産物の如何なるものとも配列類似性を有しない。GTGから始まる先に存在するsqdB ORFとは異なり、第二のORFは、sqdB遺伝子の3’末端から15 bpのATGで始まる。このORFをsqdXと命名した。Pfam(蛋白質ファミリーアラインメントデータベース)を用いるsqdXの推定アミノ酸配列(図16:配列番号:2)の分析から、残基228〜347個のあいだのグリコシルトランスフェラーゼグループIドメインが判明した。
【0177】
シアノバクテリアであるシネココッカス(Synechococcus)におけるsqdX遺伝子が機能的に相同な蛋白質をコードすることを確認するために、シネココッカスのsqdXオープンリーディングフレームを、移動可能な広い宿主範囲のプラスミドpRL59EH(ブラック(Black)ら、「アナベナ種PCC7120におけるHet−変異の分析は、異型細胞のスペーシング調節における二次代謝物の関与を示す(Analysis of a Het−mutation in Anabaena sp. PCC7120 implicates a secondary metabolite in the regulation of heterocyst spacing)」、J. Bacteriol. 174:2282〜2292(1994))においてtacプロモーターの後ろに挿入して、ウォルクら(Wolk、「大腸菌から窒素固定線維様シアノバクテリアに接合的転移することができるシャトルベクターの構築(Construction of shuttle vectors capable of conjugative transfer from Escherichia coli to nitrogen−fixing filamentous cyanobacteria)」、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 81:1561〜1565(1984))に記載のようにシネココッカス変異体7942△sqdXへの接合によって構築物に転移した。最初のインフレーム停止コドン(ゲノム配列の2385912〜2387168位)までの推定されるATGの5’の配列が含まれた。シネココッカスのsqdX遺伝子は、プライマー
Figure 2004535767
および
Figure 2004535767
を用いてプラスミドpSYBからpRL59EHのHind III/BamHI部位にPCR−クローニングした。スペクチノマイシンおよびストレプトマイシン抵抗性を付与するプラスミドpHP45ΩからのΩカセット(プレンツキ&クリシュ(Prentki, P. and Krisch, H.M.)、「選択的DNA断片によるインビトロ挿入変異誘発(In vitro insertional mutagenesis with a selectable DNA fragment)」、Gene 29:303〜313(1984))を、適した選択マーカーを提供するために、これらのプラスミドのHind III部位に挿入した。シネココッカスのsqdXを含む得られたプラスミドをpSQDX−7942と命名した。接合完了体を25 μg/mlカナマイシン、10 μg/mlスペクチノマイシン、および1μg/mlストレプトマイシンを含むBG11培地上で選択して、DNA/DNAハイブリダイゼーションによって分析して、適切なプラスミド構築物が存在することを確認した。sqdX構築物を挿入すると、TLC脂質分析によって示されるように、シネココッカス変異体7942△sqdXにおけるスルホリピッド生合成活性が回復した。認められた遺伝子相補性に基づいて、シアノバクテリアsqdX遺伝子は、スルホリピッド生合成に関係する蛋白質をコードするという結論が得られる。
【0178】
実施例5
本実施例において、配列番号:4に記載の核酸配列によってコードされるシロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)のsqdX遺伝子相同体SQD2を生成するための一つの手段を記述する。
【0179】
a.SQD2 cDNAのクローニング。
BAC座F7J8_200(GenBankアクセッション番号AL137189)から予想される蛋白質(GenBankアクセッション番号CAB69850)に対応するSQD2オープンリーディングフレームを、プライマー
Figure 2004535767
および
Figure 2004535767
を用いてRT−PCRによってクローニングした。上記のロゲマン(Logemann)らの方法に従って、約20日齢の植物(Col−2)から総葉RNAを単離した。ポリA+ mRNAを、上記のようにキアゲンインク(バレンシア、カリフォルニア州)のオリゴテックスキットを用いて精製した。RT−PCR反応は、先に記述したようにストラタジーン社(ラホヤ、カリフォルニア州)のプロスターHFシングルチューブRT−PCRシステムを用いて行った。PCR産物を、ライゲーションレディストラタジーンベクターpPCR−Script Amp SK+にクローニングして、ベクターpPCR−SQD2を得た。インサートをシークエンシングしたところ、配列は、F7J8_200(アクセッション番号AL137189)に関して予想される集合コード配列と同一であることが判明した。
【0180】
b.ノザンブロット分析
上記のように単離した総RNAをアガロースゲル電気泳動によって分離して、標準的な技法(サムブルック(Sambrook)ら、1989)を用いてハイボンドN+(アマシャムファルマシアバイオテックインク、ピスキャタウェイ、ニュージャージー州)メンブレンにブロッティングした。250 mM燐酸ナトリウム緩衝液pH 7.4、7%SDS、1mM EDTA、1%BSAおよび0.1 mg/ml変性ニシン精子DNAを含む緩衝液15 mlにおいてプレハイブリダイゼーションを65℃で5時間行った。プローブを同じ緩衝液において同じ温度で16時間ハイブリダイズさせた。ハイブリダイゼーション温度でフィルターを2×SSC(サムブルック(Sambrook)ら、1989)において5分を1回、20分を2回の計3回洗浄した後、1×SSC、0.1%SDS中で1回10分間洗浄した。
【0181】
c.大腸菌におけるSQD1およびSQD2の発現
SQD2がスルホリピッドシンターゼをコードすることを直接証明するため、そしてシロイヌナズナ(Arabidopsis)の2つの蛋白質SQD1およびSQD2が植物におけるスルホリピッド生合成に対して特異的な生合成機構を表すか否かを調べるために、これらの2つの遺伝子を大腸菌に同時発現させた。この細菌は、通常スルホリピッドを含まない。葉緑体遷移ペプチドを欠損するSQD1蛋白質の切断型を大腸菌に予め発現させると、精製組み換え型蛋白質は、インビトロでUDP−グルコース、亜硫酸塩、およびジアシルグリセロールからのUDP−スルホキノボースの形成を触媒することが示された(サンダ(Sanda)ら、「組み換え型シロイヌナズナSQD1は、UDP−グルコースおよび亜硫酸塩をインビトロでスルホリピッドヘッド前駆体UDP−スルホキノボースに変換する(Recombinant Arabidopsis SQD1 converts UDP−glucose and sulfite to the sulfolipid head precursor UDP−sulfoquinovose in vitro)」、J. Biol. Chem. 270:25792〜25797(2001))。双方の蛋白質を発現させるために、われわれは、大腸菌における植物ガラクトリピッドの生合成の再構築に用いた戦略と類似の戦略を用いた(デルマン(Dormann)ら、「DGD1によって媒介されるシロイヌナズナガラクトリピッド生合成と脂質の移動(Arabidopsis galactolipid biosynthesis and lipid trafficking mediated by DGD1)」、Science 284:2181〜2184(1999))。したがって、SQD2蛋白質は、SQD1遺伝子を発現するプラスミド(pSQD1)と適合性である第二のプラスミド(pSQD2)から発現された。
【0182】
SQD2を発現するために、遷移蛋白質コード配列を含むpPCR−SQD2のBamHI/Kpn I断片を、キアゲンインク(バレンシア、カリフォルニア州)の発現ベクターpQE−32にインフレームでクローニングすると、pSQD2が得られた。N−末端アミノ酸84個の遷移ペプチドを欠損するSQD1蛋白質をコードする発現カセットをXho I/Pvu IIによってpSQD1−TP(エッシマン(Essigmann)ら、1998)から切除して、Sal I/EcoRVによって切断したpACYC−184(チャン&コーエン(Chang and Cohen)、「P15A潜在ミニプラスミドに由来する増幅可能な多コピーDNAクローニング媒体の構築と特徴付け(Construction and characterization of amplifiable multicopy DNA cloning vehicles derived from the P15A cryptic miniplasmid)」、J. Bacteriol. 134:1141〜1156(1978))にライゲーションすると、大腸菌においてpSQD2と適合性であるpSQD1が得られた。双方のプラスミドを大腸菌宿主XL1−Blue(ストラタジーン社、ラホヤ、カリフォルニア州)に転移して、100 μg/mlアンピシリンおよび34 μg/mlクロラムフェニコールの存在下で選択した。一晩培養物3ml(抗生物質を含むLB培地)を遠心して、細胞を洗浄して、同じ培地であるが150 μg/mlアンピシリンおよび50 μg/mlクロラムフェニコールを含む培地10 mlに再浮遊させた。培養物を37℃で2時間インキュベートした。イソプロピルチオ−β−D−ガラクトシドを加えた後、28℃で3時間インキュベートすることによって、プラスミドからの発現を誘導してから分析を行った。
【0183】
d.相補性分析
遷移ペプチドを含む完全長のコード配列を含むpPCR−SQD2のインサートを、プライマー
Figure 2004535767
および
Figure 2004535767
を用いてPCRによって増幅した。この断片を、Kpn IおよびXba I部位を用いてバイナリベクターpBINAR−Hyg(ベッカー(Becker)、1990;エッシマン(Essigmann)ら、1998)にクローニングした。得られたプラスミドpBINAR−Hyg/SQD2を用いて、ベクトルド&ペレティエ(Bechtold and Pelletier、「真空浸潤における成体シロイヌナズナ植物の植物内アグロバクテリア媒介形質転換(In plant Agrobacterium−mediated transformation of adult Arabidopsis thaliana plants by vacuum infiltration)」、「シロイヌナズナのプロトコール(Arabidopsis Protocols)」、マルチネス−ザパター&サリナス(J. Martinez−Zapater and J. Salinas)編(ヒュマナ出版:トトワ、ニュージャージー州)、259〜266頁(1998))に記載の真空浸潤によってsqd2変異体を形質転換した。トランスジェニック植物は、カナマイシン(60 μg/ml)およびヒグロマイシンB(25 μg/ml)の存在下で蔗糖を欠如するMS培地において選択した。
【0184】
e.脂質および脂肪酸分析
回収した葉を液体窒素において直ちに凍結して、脂質を上記のように抽出した。(同様に、デルマン(Dormann)ら、「チラコイド脂質ジガラクトシルジアシルグリセロールを欠損するシロイヌナズナ変異体の単離および特徴付け(Isolation and characterization of an Arabidopsis mutant deficient in thylakoid lipid digalactosyldiacylglycerol)」、Plant Cell 7:1801〜10(1995)を参照のこと)。沈殿させた大腸菌細胞を同じように抽出した。脂質抽出物を活性化硫酸アンモニウム含浸シリカゲルTLCプレート上でアセトン/トルエン/水(91:30:6、v/v/v)の溶媒系を用いて分析した。脂質は、ヨウ素蒸気または糖感受性α−ナフトール試薬(ゲージ(Gage)ら、「タンデム質量分析によるほうれん草と紫色の細菌ロードバクター・スファエロイデスからのスルホキノボシルジアシルグリセロールの比較(Comparison of sulfoquinovosyl diacylglycerol from spinach and the purple bacterium Rhodobacter sphaeroides by fast atom bombardment tandem mass spectrometry)」、Lipids 27:632〜36(1992))によって可視化して、既知の組成の脂質抽出物との同時クロマトグラフィーによって同定した。定量的分析のために、個々の脂質をTLCプレートから単離して、これを用いて脂肪酸メチルエステルを調製した。メチルエステルは内部標準としてミリスチン酸を用いてGLCによって定量した(ロサク(Rossak)ら、「sqdCにおいて不活化したロードバクター・スファエロイデスのスルホリピッド欠損変異体におけるスルホキノボシル−1−O−ジヒドロキシアセトンの蓄積(Accumulation of sulfoquinovosyl−1−O−dihydroxyacetone in a sulfolipid−deficient mutant of Rhodobacter sphaeroides inactivated in sqdC)」、Arch. Biochem. Biophys. 340:219〜30(1997))。35S−標識脂質を分析する場合、3週齢の植物の葉4枚を葉柄を通して中心で切断して、担体不含35S−硫黄(3.7 MBq/ml;NENライフサイエンスプロダクツ、ボストン、マサチューセッツ州)水溶液100 μlを含むポリプロピレン遠心管に葉柄を直ちに入れた。
【0185】
脂質は、上記のように1時間インキュベート後に抽出した。脂質を上記のように二次元TLCによって分離して(同様に、ベニング(Benning)ら、1995も参照のこと)、標識化合物をオートラジオグラフィーによって可視化した。同様に、放射活性硫酸塩のみを含むM9培地において増殖させた大腸菌(サムブルック(Sambrook)ら、1989)を標識して脂質を分析した。スルホリピッドの質量分析(FAB−MS)測定は、ゲージ(Gage、1992)らが記述した通りに実施した。
【0186】
実施例6
本実施例において、UDP−SQを後に改変してアルキルスルホキノボシドを生成する手段を記述する。アルキルスルホキノボシドの合成は、UDP−SQの加水分解切断から始まる。次に、スルホキノボースを短鎖アルコールであるブタノールの存在下で、酸触媒であるパラトルエンスルホン酸と共に還流すると、短鎖ブチルスルホキノボシドが形成される。還流温度は118℃である。低沸点ブタノール/水混合物の形成により、95℃〜110℃の蒸気温度が得られる。ブタノールのアセタール化は、軽い真空下、すなわち800〜950 mbarの気圧下で行う。ブタノールの共沸量を蒸留プロセスによって水と共に除去する。
【0187】
次に、ブチルスルホキノボシドを、長鎖アルコール、n−ヘキサデシルアルコールと共に、酸触媒の存在下で真空で処置して、長鎖スルホキノボシドを形成する。低含有量のブチルスルホキノボシドを得るために、10 mbarまで低下した減圧下での蒸留によってブタノールを除去して、触媒の中和物は、好ましくは100℃〜115℃の温度での通常気圧下で反応混合物を攪拌する約1時間までの期間で分離される。
【0188】
次の段階において、反応混合物を95℃未満の温度に冷却する。塩基、NaOH、を加えて、中和した反応混合物のpHをpH 8.5に調節することによって酸触媒を中和する。反応混合物を80〜90℃の温度で濾過した後、過剰量の脂肪アルコールを蒸留によって重量の5%未満のレベルまで除去する。そのような技法を用いる場合、いわゆる排液だめの温度は、アルキルスルホキノボシドが熱安定であるレベルに維持しなければならない(すなわち、排液だめの温度は、160℃の値を超えてはならない)。得られた産物は、高い含有量の長鎖アルキルスルホキノボシドと、低い含有量のブチルスルホキノボシド、アルキルモノスルホキノボシドおよび同様にアルキルポリ(オリゴ)スルホキノボシドを有する。
【0189】
実施例7
AtSQDX相同体のクローニングおよびシークエンシング
メカニズムの理解は、本発明を用いるために必要ではないが、本実施例は、AtSQDX相同体を単離して、アミノ酸およびヌクレオチド配列を決定するためにデザインした実験について記述する。AtSQDX遺伝子を含む既知のゲノム配列を用いてAtSQDXをコードする遺伝子をクローニングするためのオリゴヌクレオチドプローブを作製する(サムブルック(Sambrook)ら、「分子のクローニング:実験マニュアル(Molecular Cloning:A Laboratory Manual)」第二版、コールドスプリングハーバー研究所出版、ニューヨーク州、16.7〜16.8頁(1989))。配列を単離してPCRによって増幅する(例えば、ディーフェンバック&ドベクスラー(Dieffenbach and Dveksler)、「PCRプライマー、実験マニュアル(PCR Primer, a Laboratory Manual)」、コールドスプリングハーバー研究所出版、プレインビュー、ニューヨーク州(1995)、ならびに参照として本明細書に組み入れられる、米国特許第4,683,195号、第4,683,202号、および第4,965,188号を参照のこと)。精製後、単離された配列を、細胞不含の原核細胞または真核細胞発現系にトランスフェクションするために、発現ベクターにクローニングする(アウスユベール(Ausubel)ら、「分子生物学の短いプロトコール(Short Protocols in Molecular Biology)」、ジョンウィリー&サンズ、ニューヨーク州(1992)を参照のこと)。発現後、蛋白質を単離して精製する。次に、蛋白質は抗体を産生するために用いてもよい(一般的に、ハワード&ベテル(Howard and Bethell)、例えば、「抗体産生と特徴付けのための基本的方法(Basic Methods in Antibody Production and Characterization)」、CRC出版、(2000)を参照のこと)。
【0190】
または、調製試薬を作製して、所望の配列を含むことがわかっているゲノム配列の断片の発現によって生じた抗体を結合させることによって、特異的標的を単離する。抗体は抗AtSQDX抗体を産生するために、当技術分野で既知の方法によって産生する(一般的に、ハワード&ベテル(Howard and Bethell)、例えば、「抗体産生と特徴付けのための基本的方法(Basic Methods in Antibody Production and Characterization)」、CRC出版、(2000)を参照のこと)。抗体はアガロースビーズに結合させる。さらに、アガロースビーズを対照免疫グロブリンに同時に結合させる。所望の細胞株からの超遠心した細胞溶解物を対照非免疫I結合ビーズに曝露して、非特異的結合蛋白質を除去する。未結合の溶解物を回収して、直接的なアフィニティ精製のために抗AtSQDX抗体結合アガロースビーズに曝露する。抗AtSQDX抗体/AtSQDX複合体を2.5 M KClによって洗浄して、非特異的結合材料を除去して、AtSQDXを0.5 M NaClの存在下で0.1 Mグリシン塩酸によってアガロースビーズから溶出させる。カラムから溶出した材料を1MトリスpH 8.0によって中和して、十分に透析して塩濃度を150 mMに減少させた後、再度濃縮する。再度濃縮した材料を、分子の大きさに基づいて最終的に精製するために、非還元条件でSDS−PAGEに載せる。この材料を、アミノ酸配列のエレクトロスプレータンデム質量分析のためのメンブレンに移す。この後者の配列を用いてAtSQDXをコードする遺伝子をクローニングするためのオリゴヌクレオチドプローブを作製する。
【0191】
上記の明細書において言及した全ての出版物および特許は、参照として本明細書に組み入れられる。本発明の記述の方法および系に関して様々な改変および変更が当業者に明らかであるが、それらも本発明の範囲および精神に含まれる。本発明は、特定の好ましい態様に関連して説明してきたが、請求の本発明は、そのような特定の態様に不当に限定されないと理解すべきである。実際に、本発明を実施するために記載の様式の様々な改変が当業者に明らかであるが、それらも以下の請求の範囲に含まれると解釈される。
【図面の簡単な説明】
【図1】UDP−SQ生合成の生化学経路の略図を示す。
【図2】SQD1によるUDP−Glcの変換を検出するためのアッセイの結果を示すクロマトグラフである。14C−標識基質および反応産物のHPLCによるクロマトグラフィー分析を示す(A−C)。(A)SQD1蛋白質を含まないUDP−Glc、(B)UDP−GlcおよびSQD1蛋白質、(C)UDP−Glc、SQD1蛋白質、および亜硫酸塩、(D)シアノバクテリアR. スファエロイデス(R. Sphaeroides)のsqdD変異体から単離した真正の35S−標識UDP−SQ。U1およびU2、本文に記載した産物。
【図3】蛋白質発現ベクターpQE−30、pQE−31、およびpQE−32の制限エンドヌクレアーゼ認識部位を含むベクターマップを示す。pQE−30のポリリンカー領域のヌクレオチド配列を配列番号:22に提供する。pQE−31のポリリンカー領域のヌクレオチド配列を配列番号:23に提供する。pQE−32のポリリンカー領域のヌクレオチド配列を配列番号:24に提供する。
【図4】組み換え型SQD1の精製結果を示すドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)ゲルの写真を示す。SQD1蛋白質を発現する粗大腸菌細胞培養抽出物(A)ならびに(B)SQD1および(C)Thr145Ala変異体(各4μg)のNi−NTAカラム精製物のSDS−PAGE分析。
【図5】スルホキノボースのジアシルグリセロール(DAG)への転移を含むSQDG生合成の生化学経路の略図を示す。
【図6】蛋白質発現ベクターpACYC184の制限塩素ヌクレアーゼ認識部位を含むベクターマップの略図を示す。このプラスミドは、長さが4,244塩基対でテトラサイクリン(塩基番号1580〜2770)およびクロラムフェニコール(塩基番号219〜3804)抵抗性遺伝子を有する小さい低コピー数の大腸菌クローニングベクターである。マップは、分子を1回または2回切断する制限酵素部位の位置を示す;独自の部位を太字で示す。座標は、各認識配列における5’塩基の位置を意味する。ベクターのヌクレオチド1位は、独自のEcoRI部位「GAATTC」の最初の「G」である。マップはまた、抗生物質抵抗性遺伝子の相対的な位置および塩基番号845〜847位でのDNA複製開始点(ORI)を示す。
【図7】アルキルスルホキノボシドを生成するために短鎖および長鎖アルコールならびに酸触媒によるUDP−SQの化学的改変に関する一つの態様を略図で示す。
【図8】カップリングしたAPSレダクターゼ/SQD1アッセイの結果を示すクロマトグラフである。反応産物および標準物質のHPLCクロマトグラフを示す。(A)酵素を含まない35S−標識基質APS;(B)APSレダクターゼ単独とインキュベートした後の35S−標識反応産物、または(C)APSレダクターゼおよびSQD1の存在下;(D)標準的なSDQ1アッセイからの14C−標識UDP−SQ(U2)。
【図9】UDP−SQおよびジアシルグリセロールをSQDGに特異的に変換するチラコイド膜に会合したスルホリピッドシンターゼアッセイのTLC結果を示す。(A)ほうれん草のチラコイド膜を、標識反応産物U2、または対照目的としてのガラクトリピッド生合成の基質である14C−標識UDP−Galと共にインキュベートした後の脂質の薄層クロマトグラフィー。脂質はオートラジオグラフィーによって可視化した。(B)U2レーンのヨウ素染色。DGDG(ジガラクトシル−ジアシルグリセロール);MGDG(モノガラクトシルジアシルグリセロール);PC(ホスファチジルコリン);PG(ホスファチジルグリセロール);SQDG(スルホキノボシルジアシルグリセロール)。
【図10】シアノバクテリアsqdX遺伝子(配列番号:1)の核酸配列を示す(GenBankデータベースに提出され、アクセッション番号U45308を割り当てられた、ヌクレオチド番号1800−2933)。開始および停止コドンを強調する。
【図11】AtSQDX−1遺伝子(配列番号:3)を含むシロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)のゲノム核酸配列を示す(GenBankデータベースに提出され、アクセッション番号AL137189を割り当てられた、ヌクレオチド番号82324−85302)。
【図12】シロイヌナズナSQD2遺伝子cDNA(配列番号:4)の核酸配列を示す。
【図13】シロイヌナズナSQD1遺伝子cDNA(配列番号:5)の核酸配列を示す(GenBankデータベースに提出され、アクセッション番号AF022082を割り当てられた)。開始および停止コドンは強調のため明るく示した。
【図14】シアノバクテリアsqdB遺伝子(配列番号:7)の核酸配列を示す(GenBankデータベースに提出され、アクセッション番号U45308を割り当てられた、ヌクレオチド番号576−1784)。開始および停止コドンを強調する。
【図15】シロイヌナズナSQD1遺伝子cDNA産物(配列番号:6)のアミノ酸配列を示す(GenBankデータベースに提出され、アクセッション番号AF022082を割り当てられた)。
【図16】シアノバクテリアsqdX遺伝子産物(配列番号:2)のアミノ酸配列を示す(GenBankデータベースに提出され、アクセッション番号U45308を割り当てられた)。
【図17】シアノバクテリアsqdB遺伝子産物(配列番号:8)のアミノ酸配列を示す(GenBankデータベースに提出され、アクセッション番号U45308を割り当てられた)。

Claims (16)

  1. 以下を含む方法:
    a)以下を提供する段階:
    i)ウリジン−5’−ジホスホグルコース;
    ii)硫黄供与体;
    iii)ウリジン−5’−ジホスホグルコースのウリジン−5’−ジホスホスルホキノボースへの変換を触媒することができる第一のペプチド;および
    iv)ウリジン−5’−ジホスホスルホキノボースからのスルホキノボースをジアシルグリセロール上に転移することができる第二のペプチド;
    b)ウリジン−5’−ジホスホスルホキノボースが生成される条件で、上記のウリジン−5’−ジホスホグルコースを、上記の第一のペプチドおよび上記の硫黄供与体と反応させる段階;ならびに
    c)スルホキノボースジアシルグリセロールが生成される条件で、上記のウリジン−5’−ジホスホスルホキノボースを上記の第二のペプチドによって処置する段階。
  2. 上記の第一のペプチドが、配列番号:5および配列番号:7からなる群より選択される核酸配列によってコードされる、請求項1記載の方法。
  3. 上記の第二のペプチドが、配列番号:1、配列番号:3、および配列番号:4、ならびにその一部からなる群より選択される核酸配列によってコードされる、請求項1記載の方法。
  4. 上記の硫黄供与体が、硫酸塩、硫化物、チオ硫酸塩、スルホグルタチオン、アデノシン−5’−ホスホスルフェート、および3’−ホスホアデノシン−5’−ホスホスルフェートからなる群より選択される、請求項1記載の方法。
  5. 上記の硫黄供与体が亜硫酸塩である、請求項1記載の方法。
  6. 以下を含む方法:
    a)以下を提供する段階:
    i)ウリジン−5’−ジホスホグルコース;
    ii)硫黄供与体;
    iii)ウリジン−5’−ジホスホグルコースのウリジン−5’−ジホスホスルホキノボースへの変換を触媒することができるペプチド;
    iv)酸触媒;
    v)短鎖アルコール;および
    vi)長鎖アルコール;
    b)ウリジン−5’−ジホスホスルホキノボースが生成される条件で、上記のウリジン−5’−ジホスホグルコースを上記のペプチドおよび上記の硫黄供与体と反応させる段階;
    c)短鎖アルキルスルホキノボシドが生成される条件で、上記のウリジン−5’−ジホスホスルホキノボースを上記の短鎖アルコールおよび上記の酸触媒に反応させる段階;ならびに
    d)長鎖アルキルスルホキノボシドが生成される条件で、上記の短鎖アルキルスルホキノボシドを上記の長鎖アルコールによって処置する段階。
  7. 上記の短鎖アルコールがメタノール、エタノール、プロパノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノナノール、およびその異性体からなる群より選択される、請求項6記載の方法。
  8. 上記の短鎖アルコールがブタノールである、請求項6記載の方法。
  9. 上記の酸触媒が、HSO、HCl、HPO、BF、オルト−トルエンスルホン酸、メタ−トルエンスルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸、二級アルキルスルホン酸、スルホン酸樹脂、アルキルスルフェート、アルキルベンゼンスルホネート、アルキルスルホネート、およびスルホコハク酸からなる群より選択される、請求項6記載の方法。
  10. 上記の酸触媒が、パラ−トルエンスルホン酸である、請求項6記載の方法。
  11. 上記の長鎖アルコールが、n−ドデシルアルコール、n−テトラデシルアルコール、n−ヘキサデシルアルコール、n−オクタデシルアルコール、n−オクチルアルコール、n−デシルアルコール、ウンデシルアルコール、およびトリデシルアルコールからなる群より選択される、請求項6記載の方法。
  12. 請求項6に従って調製された長鎖アルキルスルホキノボシド。
  13. 以下を含む方法:
    a)以下を提供する段階;
    i)ウリジン−5’−ジホスホグルコース;
    ii)硫黄供与体;および
    iii)配列番号:5に記載の核酸配列によってコードされるペプチド;ならびに
    b)ウリジン−5’−ジホスホスルホキノボースが生成される条件で、上記のウリジン−5’−ジホスホグルコースを上記のペプチドおよび上記の硫黄供与体と反応させる段階。
  14. 上記の硫黄供与体が亜硫酸塩である、請求項13記載の方法。
  15. 以下を含む方法:
    a)以下を提供する段階;
    i)ウリジン−5’−ジホスホグルコース;
    ii)亜硫酸塩;
    iii)配列番号:5に記載の核酸配列;および
    iv)宿主細胞;
    b)ペプチドが発現される条件で上記の宿主細胞に上記の核酸をトランスフェクトする段階;ならびに
    c)ウリジン−5’−ジホスホスルホキノボースが生成される条件で、ウリジン−5’−ジホスホグルコースを上記のペプチドおよび上記の亜硫酸塩と反応させる段階。
  16. 以下を含む方法:
    a)以下を提供する段階;
    i)ウリジン−5’−ジホスホスルホキノボース;
    ii)ジアシルグリセロール;
    iii)配列番号:1、配列番号:3、および配列番号:4からなる群より選択される核酸配列;ならびに
    iv)宿主細胞;
    b)ペプチドが発現される条件で、上記の宿主細胞に上記の核酸をトランスフェクトする段階;ならびに
    c)スルホキノボシルジアシルグリセロールが生成される条件で、ウリジン−5’−ジホスホスルホキノボースを上記のペプチドおよび上記のジアシルグリセロールと反応させる段階。
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