JP4237938B2 - 遺伝的に改変された植物による分枝脂肪酸の生産方法 - Google Patents

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Description

【0001】
はじめに
本発明は、脂肪酸の生産方法に関する。それは、さらに特定すると、非直鎖脂肪鎖を有する脂肪酸の生産方法に関する。本発明の方法は、さらに特定すると、遺伝的に改変された植物の使用からなる。こうして生産された脂肪酸は、遊離した、または結合した形で、場合により化学的または酵素的に修飾されて、種々の産業製品、特にモーターオイルの潤滑油や油圧機械オイル系の製造に用いられる。
【0002】
脂肪酸は、通常6〜25の炭素原子を包含する長さの脂肪鎖を有する酸である。脂肪鎖は直鎖状か、非直鎖状(分枝鎖状も意味する)であってよい。自然に生産される脂肪酸は遊離した形かまたはエステル化した状態で、特にジグリセリドまたはトリグリセリドの形で存在する。脂肪酸は普通、種々の分野の産業で用いられ、特に潤滑油基材の調製や、清浄剤に用いられる。これらのすべての適用例にとって、天然起源の、特に植物材料由来の脂肪酸を用いることができるのは、特に有利である。こうして、異なった植物(特に植物種子)からの脂肪酸の生産及び抽出方法が、先行技術に記載されている(特にHarrington et al.,Ind. Eng. Chem. Prod. Res.)。
【0003】
さらに、出願WO94/13814は、酵素によって遺伝的に改変された植物細胞が遊離脂肪酸をコレステロールに運搬することに関与していることということに関するものである。それにもかかわらず、この出願はトリグリセリドの組成の改変を許しているが、脂肪酸の脂肪鎖の構造を変えることは決して許されない。Schmid K.(Plant Lipid Metabolism (1995, 108))は、遺伝的に改変されたタバコ細胞中における環状脂肪酸(dihydrosterculate)の合成について言及している。しかし、この文献には、分枝脂肪酸の製造方法や該当する方法または産業的な適用については記述されていない。
【0004】
植物を用いた以前の方法の1つの主要な欠点は、まさに得られる脂肪酸の多様性が低かったということにある。すなわち、基本的に植物は自然状態でC6〜C24の型の直鎖状脂肪鎖を有する脂肪酸を産する。ここで、出願人の会社が指揮した研究により、良好な潤滑油基材を得るには、非直鎖(分枝)脂肪鎖の脂肪酸を用いるのが特に有利であることがわかった。すなわち、出願人は(遊離のまたは結合した)脂肪酸を分枝脂肪鎖と共に用いることで、温度安定性が良好であり、抗酸化性が良好であり、適度な粘性、良好な生分解性ならびに低い融点(または流動点)を示す、潤滑油型の生産物を得ることができることを示している。
【0005】
このように、分枝脂肪酸の効率的な生産を可能にする利用可能な方法を得るという真の要求があるのである。本発明は、まさにこれらの要望に対する有利な解決策を、植物の遺伝的改変を基礎とした方法を記述することによって提供する。
【0006】
すなわち、本発明の第一の特徴は遺伝的に改変された植物による分枝脂肪酸の生産方法に関する。
【0007】
本発明の他の特徴は、分枝脂肪酸を生産する能力があり、遺伝子的に改変された植物、およびそのような植物を作り出す方法にある。本発明の他の特徴もまた、植物細胞において分枝脂肪酸の合成を誘導または刺激する産物をコードする組換え核酸を含む該細胞からなる。
【0008】
本発明はまた、上で定義したような組換え核酸、およびそれを含んでいるベクターにも関する。
【0009】
発明の詳細な説明
本発明は、このように、分枝脂肪酸を遺伝的に改変した植物から生産する方法ならびにこの目的に用いることができる組換え核酸及びそれを含むベクターに関する。
【0010】
本発明の意味において、分枝脂肪酸は真の分枝脂肪鎖を有するいかなる脂肪酸をも意味する。本発明のテキストから浮かび上がったのだが、「分枝」という用語は本発明の意味において脂肪鎖の1つ以上の異なる位置において1つ以上の置換を有する脂肪酸を意味する。すなわち、本発明によれば、脂肪鎖中の唯一の環の存在は、その脂肪酸を分枝に分類するには十分ではない。C6〜C24の脂肪鎖、さらにはC12〜C24の脂肪鎖を有する脂肪酸が好ましい。
【0011】
主として飽和型であり分枝していない、そのような酸の例としては、特にカプリン酸(C10)、ラウリン酸(C12)、ミリスチン酸(C14)、パルミチン酸(C16)、ステアリン酸(C18)、エイコサン酸(C20)、ドコサン酸(C22)、テトラコサン酸(C24)およびこれら後者の混合物である。
【0012】
本発明の分枝脂肪酸の脂肪鎖は、1つ以上の位置で異なる基によって分枝している。有利には、脂肪鎖は脂肪鎖の中央部および/またはその酸性基と反対の末端に位置する1から4の分枝を有する。さらに好ましくは、分枝(単数または複数の)は脂肪鎖の8〜15の間の位置に含まれる1つ以上の炭素に位置する。さらには、分枝した基は、いかなるアルキル基でもよく、好ましくはC1〜C5アルキルであり、さらに好ましくはメチル、エチル、イソプロピル、ブチル、tert.ブチルである。特に好ましい分枝基はメチル基である。
【0013】
本発明の意味において、分枝脂肪酸は特に、例えば、9−メチルオクタデカン酸、10−メチルオクタデカン酸、9,12−ジメチルオクタデカン酸;10,12−ジメチルオクタデカン酸;9,13−ジメチルオクタデカン酸、10,13−ジメチルオクタデカン酸;9,12−ジメチルオレイン酸;10,12−ジメチルオレイン酸;9,13−ジメチルオレイン酸;10,13−ジメチルオレイン酸または2,4,6,8−テトラメチルデカン酸でもある。
【0014】
さらに、本発明の分枝脂肪酸は遊離の形か、または誘導体の形の分枝脂肪酸であってもよい。それらは特に、モノエステル類、ジエステル類またはグリセロールのトリエステル(トリグリセリド)のような分枝脂肪酸エステルでもよい。ジ−またはトリグリセリドの場合には、分子中に存在する全ての脂肪酸が分枝である必要はない。すなわち、トリグリセリドは1、2または3つの分枝脂肪酸を含むのである。しかしながら、エステルまたは他の誘導体中の分枝脂肪酸の比率は高い。
【0015】
本発明の最初のものは、より特定すれば、該分枝脂肪酸が少なくとも1つの植物細胞または1つの植物材料または少なくとも1つの細胞を含む植物から生産される分枝脂肪酸の生産方法に関するものであり、該植物細胞が、そのゲノムにおいて分枝脂肪酸の合成を誘導または刺激する産物をコードする組換え核酸を含むものである。
【0016】
本発明の意味において、「組換え核酸」は、遺伝子操作技術によって構築されたリボヌクレオチドまたはデオキシリボヌクレオチドを意味する。特定すると、それは相補的DNA、ゲノミックDNAまたはメッセンジャーRNAであってもよい。そのような核酸は種々の起源でもよく、特に菌、ウイルス、植物、哺乳類、合成、半合成のものでもよい。組換え核酸は当業者に知られた手法を用いて、特に好ましいプローブでの核酸ライブラリのスクリーニング、化学的合成(核酸合成機を用いて)、酵素切断/ライゲーションなど、またはこれらの方法の組み合わせによって調製されてよい。
【0017】
本発明は異なった型の植物、好ましくは農地で栽培されている植物と共に用いてもよい。好適には、産油性の植物、例えばセイヨウアブラナ、ヒマワリ、ラッカセイ、ダイズ、アマまたはトウモロコシでもよい。それはタバコでもよい。
【0018】
本発明による植物細胞は、上に定義したようないかなる植物のものでもよい。さらに好ましくは栽培植物細胞であって植物体を再生する能力があるものである。
【0019】
「植物材料」の用語は、上に定義したような、少なくとも1つの細胞を有するいかなる植物をも意味する。それは、特に種子のような、該植物のいかなる組織であってもよい。
【0020】
本発明による細胞または植物は、次に述べるように、遊離したまたは組み込まれた形で、分枝脂肪酸の合成を誘導または刺激する産物をコードする組換え核酸をそのゲノム中に含むように、遺伝的に改変されている。しかるに、本発明の植物または植物細胞は、その部分が分枝脂肪酸で構成される脂肪酸を含む。考察された本出願によって、この部分が全脂肪酸のかなりの比率を占めるために有利であってもよい。分離のときにより安定であるように、組換え核酸は該細胞のゲノムに組み込まれた形で細胞中に存在するのが好ましい。
【0021】
産物は、それが不存在の場合は行うことができない合成を達成するために植物細胞がそれを含むことを許したときに、分枝脂肪酸の合成を誘導するように仕向けられている。あるものは該植物細胞中に以前から存在する合成経路を促進するために、植物細胞がそれを含むことを許す産物であるときは分枝脂肪酸の合成を刺激する産物を示すが、あるものは後者によって、例えば、基質化学量または特異性の理由で、ほとんど利用されないか、まったく利用されない。
【0022】
本発明で用いられている組換え核酸は、より特定すると、細胞によって産生される脂肪酸の分岐を合成後に誘導することができる産物か、または該合成に付随する分枝を達成可能とする産物をコードしてよい。さらには、これら二つのアプローチは組み合わされてよい。
【0023】
脂肪酸は、植物細胞のクロロプラスト中で合成される。この合成は、いくつかの繰り返しサイクルを含んでおり、その間に炭素ユニットはお互いに連続的に付加され脂肪鎖を産生する。これらの直鎖状の脂肪酸は合成された後細胞質へ輸送され、そこで様々な合成後(または伸長後)修飾を受け、そして特に、不飽和化酵素によって不飽和化される。
【0024】
本発明の第一の実施態様においては、組換え核酸は、該植物細胞によって産生される脂肪酸の合成後分枝を誘導または刺激することができる産物をコードしている。さらに特定するなら、本発明のこの第一の実施態様によれば、組換え核酸は、一つ以上のアルキル基を不飽和脂肪酸の二重結合に転移することを許す酵素をコードしている。
【0025】
転移されたアルキル基は上に示したとおり、いかなるアルキル基であってもよく、好ましくは1〜5個の炭素原子を含むアルキル基である。好適には、それらは1〜3個の炭素原子を含むアルキル基であり、特にメチル、エチル、プロピルまたはイソプロピルである。
【0026】
好適には、組換え核酸は、非相同の酵素、すなわち、一つの植物細胞ではなく、一つの組織に由来する酵素をコードする。より特定するなら、用いられる酵素は、好適に例えば細菌や酵母のような、原核または真核の微生物である。
【0027】
本発明による組換え核酸の説明として、CFASとも表示される、シクロプロパン脂肪酸シンターゼをコードする組換え核酸に言及してもよい。核酸は、例えばSAM−メチルトランスフェラーゼ、すなわちメチル基をSAM(S−アデノシル−メチオニン)から不飽和脂肪酸に、またはより一般的には、脂肪鎖の二重結合に転移するのを触媒することができる酵素のような、メチルトランスフェラーゼをコードしてもよい。本発明の意味における特定の組換え核酸は、例えば、Wang et al.(Biochemistry 31(1992) 11020)によって記述されたようなシクロプロパン脂肪酸シンターゼまたはこの後者の酵素類似体をコードしている。
【0028】
本発明の意味における「類似体」の用語は、上記の酵素に比べて1つ以上の構造的改変を有し、脂肪鎖の二重結合へのアルキル基の転移活性を保持しているいかなる酵素も意味する。これらの構造的改変は、1つ以上のアミノ酸の突然変異、欠失、置換、付加であってよい。「類似体」の用語は、他の組織体から得られた相同性配列をも含む。他の「類似体」は、トランスフェラーゼまたはシンターゼの塩基配列の全体または一部とハイブリダイズする拡散によって産生される酵素であって、同種の活性を保持しているものである。
【0029】
ハイブリダイゼーションは、好適には、通常または、好ましくは非常にストリンジェントな条件下で行われる。ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件は、例えば、:42℃でハイブリダイズさせ、ホルムアミド50%、5×SSC、1×Denhardt;65℃、0.1×SSC、0.1%SDSでウォッシングである。非ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件は、例えば、:37℃でハイブリダイズさせ、ホルムアミド40%、5×SSC、1×Denhardt;50℃、1×SSC、0.1%SDSでウォッシングである。ストリンジェントな条件は、特に試験核酸が少量しかない場合および/または簡単に精製しただけの場合に特に適している。非ストリンジェントな条件は、試験核酸が比較的大量にあり、およびサンプル中に有意に現れているときにはより適している。他のハイブリダイゼーション条件は当業者によく知られているものである(特にManiatis et al.参照)。
【0030】
本発明による組換え核酸の特定の例は、コリネバクテリウム属(Niepel et al., J. Bact. 180(1998)4650)、または藻類の一種(Carballeira et al., Lipids 32(1997)1271)の9−メチル−10−ヘキサデセン酸の合成に反応し得るメチルトランスフェラーゼをコードする組換え核酸である。
【0031】
さらに、アルキル基を脂肪鎖に転移することを含むこの実施態様は、アルキル基またはアルキルドナーが該細胞中に存在することが必要である。この点に関して、メチル基の転移を保持している細胞は原理的にSAM基によって構成されている。したがって、この反応の有効性をさらに改善する目的のため、つまり分枝脂肪酸の収率の目的のため、特別な実施態様は、アルキルドナーの合成において関与する酵素をコードする第2の核酸を植物細胞に導入することからなる。好ましくは、それはSAMの合成に含まれる酵素をコードする核酸である。さらに好ましくは、それはSAMシンテターゼまたは後者の類似体をコードする核酸である。この核酸は第1のものに関して同時に、または引き続く第2の組換え核酸の媒介によって行われた。他の実施態様によれば、2つの酵素をコードする核酸は同じ組換え核酸によって生み出されたものである。
【0032】
本発明の第2の実施態様によれば、植物細胞中の組換え核酸は、1つ以上の枝を生み出す基の伸長の間に脂肪酸の脂肪鎖への組み込みを誘導または刺激を可能とする産物をコードする。したがって、この第2のアプローチは産生された脂肪酸の合成後修飾を含むのではなく、該合成に付随する分枝を達成するのである。
【0033】
この実施態様は、好ましくは、植物細胞に脂肪鎖の合成の基質として3個以上、好ましくは4個から8個の炭素原子を有するアシルCoA基をマロニルCoAの代わりに使わせるようにすることで得られた。好適には、用いられた基質は非−直鎖状アシルCoA基である。より好ましくは、伸長の間に、脂肪鎖への偶数の炭素原子の組込みを許す非直鎖状アシルCoAである。
【0034】
この手法により、分枝脂肪酸から、例えば2,4,6,8−テトラメチルデカン酸のような、多岐脂肪酸と呼ばれるものが得られる。アシルCoA型の基質の特別な例は、例えばメチルマロニルCoAである。メチルマロニルCoAは非直鎖状基であり、炭素原子4つを有し、そのうちの3つが伸長に用いられる。この場合に、植物に、脂肪鎖の合成のためにこの基質を使わせるという目的で、マロニルCoAデカルボキラーゼをコードする組換え核酸を植物細胞中に導入するのが特に好適である(E.C.No.4.1.1.9)。
【0035】
この酵素の活性の様式ならびにより一般的な方法における、この手法により改変された細胞による分枝脂肪酸の合成経路を図1に表す。上記のものに対する類似体、および植物細胞に脂肪鎖の合成の基質として3個以上、好ましくは4個から8個の炭素原子を有するアシルCoAを植物に使わせることができるいかなる酵素も、本発明において用いてよい。そのような酵素の特定の例としては、特に、そのヌクレオチド配列が文献に記載されている(実施例参照)、マロニルCoAデカルボキシラーゼならびにその類似体を挙げることができる。
【0036】
この第2の実施態様は、脂肪鎖の合成に関わる酵素の特異性を改変することによっても得られるであろう。この点に関して、脂肪酸シンターゼは、酵素複合体および1つまたはいくつか、あるいはすべてのサブユニットの改変によって得られうる、その特異性の改変からなる。
【0037】
さらに、上述したように、これら2つの実施態様は、伸長の間およびその後に分枝脂肪鎖を有する脂肪酸を合成することができる植物細胞を産生するために組み合わせてもよい。
【0038】
本発明の実施のため、組換え核酸は有利には植物細胞中で機能して、上で定義した制御される核酸の発現を可能とする、プロモーター型の制御領域を含む。本発明の植物および本発明の実施で用いられ得る転写の制御部位のなかでは、カリフラワーモザイクウイルス(35S、19S)、またはノパリンシンターゼ(nos)またはオクトピンシンターゼ(ocp)またはマンノピン、アグロパインまたはアシルキャリアータンパク質(ACP)のような構造遺伝子のプロモーター部位を挙げてもよい。
【0039】
これらの異なった部位の構造およびクローニングは文献に記載されている。より一般的には、植物細胞における核酸の構造的、空間的または時間的な発現を許すいかなるプロモーターも、この発明の実施に用いてよい。この点において、特にある組織または植物の一部分(種子、花粉等)に位置付けられた発現を許すプロモーター、またはその活性が植物の発育の段階(伸長、開花等)に依存するプロモーターの使用は、可能である。種子中において優勢に発現されるプロモーターとしては、例えばACPのACTプロモーターおよびnapineまたはKrebbers et al. (Plant Physiol. 87(1988) 859)によって記載されたプロモーターである。このようなプロモーターの使用によって、植物における分枝脂肪酸の全個体的な、大量の産生によって誘導される潜在的な副作用を防いでいるであろう。
【0040】
さらに、本発明による組換え核酸に、特にノパリンシンターゼ(nos)またはオクトパインシンターゼ(ocp)、マンノピン、アグロパインまたはACPのような他の遺伝子領域から用いるかまたは由来する、3′末端に位置する終結配列を導入することもまた好適である。
【0041】
このように、好適にも転写の制御領域、すなわち上述したような産物および3′終結領域をコードする遺伝子または領域を含む組換え核酸は、有利にプラスミドクローニング又は発現ベクターに導入される。
【0042】
この点に関して、本発明の他の対象はより特定すると以下のものを含む組換え核酸に関するものである、すなわち:
−上で定義したような産物をコードする核酸
−該核酸の発現を制御し、所定の植物組織又は所定の植物の部分においてこの核酸の局在化された発現をさせることができるプロモーター、および
−3′転写終結領域
【0043】
さらに特定すると、本発明の遺伝子構築物に含まれるプロモーターは植物の種子中において局部的に核酸の発現をさせることができるプロモーターである。「局在化された発現」の語は発現が関係する組織において、他の植物組織中におけるよりも著しく多いことを意味する。それにもかかわらず、もし選択された組織中において有意な発現が観察されるならば、発現の絶対的な特異性は必要ではないと理解される。本発明による発現の局所性の性質は二重の意味で有利である、なぜなら、一方において、それは分枝脂肪酸の回収を容易にするからであり、なぜなら、改変された植物中で発現する産物の毒性(特に生育および再生が良好である場合に)の危険性を抑えるからである。
【0044】
本発明の組換え核酸は、さらに合成されたタンパク質を、それらが活性を発揮する細胞分室への位置指定の改善につながる位置シグナルを含む。合成された産物が、伸長後の脂肪鎖へのアルキル基の転移に関与する産物である場合は、その産物は細胞質で活性を発揮するので特別なシグナルは必要としない。産物が脂肪鎖そのものの合成に関与する場合は、それはクロロプラスト中で活性を発揮し、この産物をクロロプラストに位置付けるシグナルの利用は有利である。そのようなシグナルは先行技術において知られている。
【0045】
本発明の他の対象は以下のものを含む組換え核酸に関する、すなわち:
−メチル基の不飽和脂肪酸の脂肪鎖への転移を触媒することができるメチルトランスフェラーゼをコードする核酸、
−該核酸の発現を制御する、植物細胞内での機能性プロモーター、および
−3′転写終結領域。
【0046】
他の特別な実施態様においては、本発明の対象は以下のものを含む組換え核酸である、すなわち:
−マロニルCoAデカルボキシラーゼをコードする核酸
−該核酸の発現を制御する、植物細胞内での機能性プロモーター、および、
−3′転写終結領域。
【0047】
本発明の他の対象は上述したような組換え核酸を含むベクターにも関する。そのようなベクターはTiベクターの誘導体であってもよい。本発明のベクターは、細胞において大量の組換え核酸を産生するのに用いてもよく、対応する酵素の産生または植物細胞の形質転換に用いてもよい。
【0048】
本発明は、上述したような組換え核酸またはベクターを含むいかなる植物細胞にも関する。
【0049】
本発明の組換え核酸またはベクターは、当業者に公知であるいかなる技術、および特に化学的、物理的または生物学的手法によって植物に導入されてもよい。化学的な技術は、例えば細胞貫通を容易にするトランスフェクション媒介物の使用に関与する。物理的な技術は、例えば、エレクトロポレーション、衝撃、「遺伝子銃」等である。よく知られ、特に効果的である生物学的技術は、真空またはコカルチャー、ウイルスベクターおよび好ましくは、遺伝的材料をTiプラスミドによって植物細胞に導入することができるAgrobacterium tumefaciensである。
【0050】
これらの技術は当業者によく知られている。形質転換の後、実際に本発明による核酸を有する植物細胞が選択される。次に、その細胞は培養で維持され、場合により増殖し分枝脂肪酸の生産に直接用いられる(バッチ培養、栄養バッチ等)。これらの細胞はその後の利用のために保管してもよい。これらの細胞は、植物生物学で用いられる標準的な手法により、トランスジェニック植物に用いられてもよい。
【0051】
かくして、本発明の他の対象は上記のような組換え核酸の、植物細胞または植物の部分への導入およびそれらの植物細胞または植物の部分からのトランスジェニック植物の再生を含む、分枝脂肪酸を生産することができるトランスジェニック植物の調製の方法に関する。有利には、遺伝子導入はアグロバクテリウムを用いて行われる。特別な実施態様においては、遺伝子導入は植物細胞または葉盤(foliar disks)の中へ実施される。遺伝子導入は当業者に知られたいかなる技術によってもなされる。
【0052】
本発明の他の対象は、その細胞が上述したような組換え核酸であって、しかも誘発または刺激される該植物細胞によって産生される脂肪酸の合成後分枝を許す酵素、または伸長の間における分枝基の、脂肪酸の脂肪鎖への組み込みを誘導または刺激する配列をコードするものを含む、トランスジェニック植物に関する。
【0053】
本発明のトランスジェニック植物は、生殖細胞および体細胞のどちらのゲノムにも安定して組み込まれる組換え核酸を構成要件とする。
【0054】
本発明は、そのような植物、および特に種子に由来するいかなる植物にも関する。
【0055】
本発明は、上述したような細胞の培養による分枝脂肪酸の生産方法および生産された脂肪酸の回収にも関する。
【0056】
本発明は、以下のものを含む植物細胞の細胞培養による分枝脂肪酸の生産方法に関する、すなわち:
−それらの成長に適した培地での、それらの細胞の培養、
−細胞バイオマス(cell biomass)および特にそれらの細胞または該培養物の上清からの分枝脂肪酸の抽出および精製。
【0057】
本発明は、該脂肪酸が該植物のいかなる部分、とくに該植物の種子からでも回収されることによって、その細胞が上述のような組換え核酸を含むトランスジェニック植物からの抽出による、分枝脂肪酸の調製方法にも関する。
【0058】
本発明は、その細胞が組換え核酸を含むトランスジェニック植物からの分枝脂肪酸の調製方法であって以下のものを含む方法に関する、すなわち:
−該トランスジェニック植物の野外栽培
−該植物の種子の回収
−それらの種子からの脂肪酸の抽出。
【0059】
本発明の方法は、非−環状メチル化脂肪酸、特に1つ以上のメチル基を有するC16またはC18脂肪酸の産出に特に適している。好ましい例としては、9−メチルオクタデカン酸、10−メチルオクタデカン酸、9−メチルヘキサデカン酸および10−メチルヘキサデカン酸をあげてもよい。
【0060】
上述した分枝脂肪酸のための生産方法において、それらの化合物の物理化学的性質をなおもさらに改善するために、脂肪酸の任意の処理工程が施されてもよい。すなわち、本発明の方法は特に次のものを含む:
−細胞、種子または植物からの分枝脂肪酸の抽出、および、
−それらの物理化学的性質を改善するための処理工程。
【0061】
抽出は、上述の当業者に知られた標準的な方法によって行われてよい。
【0062】
さらに好ましくは、処理工程は水素化工程であり、飽和分枝脂肪酸の形成に先立って、標準的または強制的条件で行われる。さらに特定すると、水素化はChristie W.W. (Topics in Lipid Chemistry, 1970, vol. 1, F.D. Gunstone, ed. London: Logus Press)が記載した条件下で、−参考文献によってその記載に組み込まれているのだが−任意にパラジウム触媒の存在下で行われてよい。
【0063】
より一般的には、本発明は分枝脂肪酸の産生のための、上述したような細胞から再生されたトランスジェニック植物の使用に関する。
【0064】
本発明はまた、少なくともその細胞のいくらかは、分枝脂肪酸の産生のために上述のような組換え核酸を含むトランスジェニック植物の植物体、またはその一部の使用にも関する。
【0065】
最後に、本発明は上述したような方法によって得ることができる分枝脂肪酸に関する。特に発明者らは、本発明に記載した分枝脂肪酸エステルが良好な抗酸化性と低い流動点を有し、そのため、潤滑油としての使用に有利な特性を有することを示した。
【0066】
したがって、本発明は潤滑油として上述した分枝脂肪酸の使用、特にオイル組成物の調製、特定するならモーターオイルおよび油圧オイル、特に慣例にとらわれない(unconventional)または合成の(synthetic)塩基(エステル、ポリアルファオレフィン等のような)を置換することによる使用に関する。
【0067】
本発明は、上述したような分枝脂肪酸および1種以上の添加物、特に抗消耗剤(anti-wear agents)、圧力調節剤、界面活性剤等を含む潤滑油組成物にも関する。
【0068】
本発明は、説明的であり非限定的なものとして考えられなければならないが、以下の実施例の補足により、より詳細に記述されよう。
【0069】
【実施例】
実施例A:伸長後アルキル化によって分枝脂肪酸を製造することができる、遺伝的に改変された植物細胞の構築
本実施例は、伸長後メチル化によって分枝脂肪酸を製造することができる、遺伝的に改変された植物細胞の構築を例示する。特に、本実施例は、
− 一方では、不飽和脂肪酸の二重結合へのメチル基(または他のアルキル基:エチル、プロピル、イソプロピル等)の付加を触媒することができる、1種類またはそれ以上のトランスフェラーゼ、例えば、メチラーゼまたはメチルトランスフェラーゼ(例えばシクロプロパン脂肪酸シンターゼ型のそれ、すなわちCFAシンターゼ)を;
− 他方では、メチル供与基のプール(S−アデノシルメチオニン、すなわちSAM)の増加へと導く1種類以上の遺伝子、特に、S−アデノシルメチオニンシンテターゼ(SAMシンテターゼ)を
コードする一遺伝子もしくは遺伝子セットの、遺伝子工学による植物のゲノムへの挿入を記載する。
【0070】
本発明によるこれらのトランスジェニック植物の構築は、下記の工程に従って達成される。
【0071】
工程1:用いた植物材料
初期の実験には、SR1型〔Horsch et al., 1985 Science, 22, 1229-1231〕またはBY2型〔Nagata et al., 1992 Int. Rev. of Cytol., 132, 1-30〕のタバコモデル植物を用いる。実際、これら二つのモデル種は、アグロバクテリウム・ツメファシエンスによって容易に形質転換することができ〔Van Lisjsebettenns et al., 1986, J. Mol. Biol., 188, 129-145;Shaul et al., 1986; Shaul et al., 1996 Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 93, 4868-4872〕、新規な植物体の再生を許す。セイヨウアブラナ、ヒマワリ、ラッカセイ、ダイズ、トウモロコシ等々のような、すべての産油性植物は、当然、同様に用いてよい。
【0072】
工程2:遺伝子の構築
遺伝的形質転換は、転移しようとする遺伝子と、構造的、空間的または時間的発現を許すことができる、この遺伝子の発現プロモーターと、3′転写末端領域とを包含する、発現カセットを含む組換え核酸を導入することからなる。下記に、用いた様々な遺伝学的要素、および対応する組換え核酸の構築を説明する(図2および3)。
【0073】
2.1.酵素をコードする核酸の選択および単離
本実施例では、原核または真核生物に由来するメチラーゼもしくはメチルトランスフェラーゼをコードする核酸と、Wangら〔1992, Biochemistry, 31, 11020-11028〕が記載した、シクロプロパン脂肪酸シンターゼのコーディング配列の類似体である、コーディング配列とを利用する。より詳しくは、シクロプロパン脂肪酸シンターゼをコードする核酸を単離し、その配列を確かめる。
【0074】
そのうえ、方法の効力を改善するため、特定の実施態様では、そのヌクレオチド配列がPelemanら〔1989, Plant Cell, 1, 81-93〕によって記載されている、SAMシンテターゼをコードする第二の核酸を用いてもよい。
【0075】
2.2.プロモーター領域の選択
組換え核酸の構築のためには、異なる形式のプロモーターを用いてよく、特に、植物で機能し、遺伝子発現の調節を許すいかなるプロモーターも用いてよい。
【0076】
ちなみに、植物の種子(またはある種の種子組織)での局所的な発現を許すプロモーター、例えば、特に、プロラミンをコードする遺伝子のプロモーター〔Zhou et al., Transgenic Res., 2 (1993) 141〕、エンドウマメレクチンをコードする遺伝子のプロモーター〔Pater et al., Plant J., 6 (1994) 133〕、LEA(「後期胚形成冗多タンパク質」)をコードする遺伝子のプロモーター〔Goupil et al., Plant Mol. Biol., 18 (1992) 1049〕、ナピンタンパク質(NAP)という一群をコードする遺伝子のプロモーター〔Boutilier et al., Plant Mol. Biol., 26 (1994) 1711〕、イネグルテリンをコードする遺伝子のプロモーター〔Zhao et al., Plant Mol. Biol., 25 (1994) 429〕、オレオシンをコードする遺伝子のプロモーター〔Keddie et al., Plant Mol. Biol., 19 (1992) 443〕、貯蔵タンパク質のS群をコードする遺伝子のプロモーター(napA遺伝子の2Sプロモーター、グロブリン遺伝子の11Sまたは12Sプロモーター)、β−ファゼオリン、レグルニン、γコングルチン、コンカナバリンA、デサチュラーゼBn10〔Plant Physiol., 104, 1167〕、コムギα/βグリアジン、イネカタラーゼCatA、サトウモロコシα−カフィリンもしくはトウモロコシAdh1〔Kyozuka et al., Plant Mol. Biol., 65 (1994) 799〕、またはエンドウマメSBP65タンパク質〔Dehaye et al., Plant Mol. Biol., 65 (1997) 605〕をコードする遺伝子のプロモーターを列挙し得る。
【0077】
本実施例では、用いたプロモーターは、カリフラワーモザイクウイルスの35Sプロモーター、およびノパリンシンターゼ遺伝子(nos)のプロモーターである。これらのプロモーターの構造は、例えば、BenfeyおよびChua〔1990, Science, 250, 959-966〕によって記載されている。
【0078】
2.3.転写終止領域の選択
本実施例では、用いた転写終結領域は、用いた遺伝子に直接にか(図3)、またはノパリンシンターゼ(nos)およびオクトピンシンターゼ(ocs)の遺伝子にかのいずれかに由来する。
【0079】
2.4.組換え核酸(ベクター)の構築
上記の要素を植物細胞に導入するのを可能にする、組換え核酸を構築するため、初めに、これらの遺伝学的要素を単離し、pBR322およびpUC型のクローニングベクターにサブクローニングするが、これらは、抗生物質、毒素等々のような細胞毒性剤に耐性になる形質転換体の選別を許すマーカーを有する。次いで、発現カセットを、植物の形質転換に必要な配列を含むバイナリーベクター、特にT−DNAベクターに導入する。このベクターは、植物の形質転換に用いられ、特異的な認識配列(RBおよびLB)を有するベクターの構造は、文献中に広く記載されている〔Hoekemaによる書籍、The Binary Plant Vector Systems. Offsetdrukkerij Kanters B.V., Alblasserdam, 1985; Molecular Genetics of the Bacteria-Plant Interaction. Puhler, A., Ed., Springer-Verlag, NY, 1983; Plant Genetic Transformation and Gene Expression: A Laboratory Manual. Draper, J., Scott, R., Armitage, P. & Walden, R. Eds., Blackwell Scientific Publications, Oxford, 1988; Kahl, G. & Weising, K. (1993) Genetic Engineering of Plant Cells, in Biotechnology: Genetics Fundamentals and Genetic Engineering. Rehm, H.J., Reed, G., Puehler, A and Stadler, P. Eds., VCH Publishers Inc., New York (USA) vol. 2, pp. 547-659〕。
【0080】
こうして調製した組換え核酸の構造を、図2および3に示す。
【0081】
もう一つの特定の実施例では、バイナリーベクターpTDEcfaを下記のとおりに構築した。
【0082】
(a)シクロプロパン脂肪酸シンターゼをコードするcfa遺伝子のクローン性および特徴付け
Wang〔Wang et al., 1992〕による論文を読むと、プラスミドpAYW19に存在するClaIフラグメントの大きさに関して、あいまいさが注目された。更に、配列決定手法で、Wangら(1992)は、酵素HindIIに対する独自の制限部位をClaI部位の上流に有する、ClaIフラグメントを提示している。現在では、刊行された配列によれば、この部位は、ClaI部位の下流に出現する。したがって、第一段階として、cfa遺伝子の構造全体の完全性の確認および特徴付けを実施した。このために、プラスミドpAYW19に存在するcfa遺伝子の制限地図を、異なる制限酵素を用いて作成した。制限酵素処理、アガロースゲル電気泳動、および臭化エチジウムによるフラグメントの染色後に得られた、フラグメントの大きさの分析によって、この遺伝子の物理地図を描くことが可能になり、これを図4に示す。これらの結果は、HindII部位の下流のフラグメントの配列決定によって確認された。cfa遺伝子の完全で、修正された配列をコンピュータで算出し、制限部位の研究用のソフトウエアプログラム(DNAストライダー)に導入した。
【0083】
(b)バイナリーベクターpTDEcfaの構築
本実施例は、TiプラスミドのLBおよびRB領域に挟まれた、修正されたcfa遺伝子の発現カセットを有するバイナリーベクターpTDEcfaの構築を説明する。このバイナリーベクターは、アグロバクテリウム・ツメファシエンスによる、植物細胞のゲノムへの該カセットの転移を可能にする。
【0084】
(i)プラスミドpBSgusの構築
バイナリーベクターpTDE4に由来するEcoRI−HindIIIフラグメントを、非常に少数の制限部位を有するにすぎないベクターpBS(pBluescript、BRL)にクローニングすることによって、プラスミドpBSgusを構築した。EcoRI−HindIIフラグメントは、p35Sプロモーターおよび3′nosターミネーターを含む。そのため、形成されたベクターpBSgusは、酵素NcoIおよびNruIに対する独自の制限部位を有する。これら2種類の酵素は、gus遺伝子が、制御配列(p35Sおよび3′nos)の完全性を保ちつつ、単離されるのを許す。
【0085】
(ii)修正されたcfa遺伝子の発現カセットの形成
この段階の原理は、独自部位を含むクローニング部位によるプラスミドpBSgusのgus遺伝子の置換に基づく。このカセットは、pBSgusから出発するPCRによって形成され、p35Sプロモーターおよび3′nosターミネーターを含む。PCRに必要なプライマーは、図5に示した構造を形成するように選んだ。二つの独自の制限部位の選択は、それらがp35S、3′nos、構造を組み込もうとするクローニングベクター、および二つの調節配列間に組み込まれることになるcfa遺伝子に不在である必要性によって決定される。異なる配列を解析した後、存在し得る二つの部位:NheIおよびNruIを特定した。カセットの構築は、下記のとおり達成した(図6):
【0086】
− pGEM−Tに制御カセットをクローニングして、ベクターpGEM(35S−3′nos)を得る。
【0087】
− PCRによって、cfa遺伝子の上流にNheI部位を、そして下流にNruI部位を作成する。
【0088】
− PCR産物をベクターpGEM−Tにクローニングして、ベクターpGEMcfaを得る。
【0089】
− ベクターpGEM(35S−3′nos)およびpGEMcfaの配列を決定する。
【0090】
− ベクターpGEMcfaに由来するNheI−NruIフラグメントを、NheI−NruIフラグメントが除去されているベクターpGEM(35S−3′nos)にクローニングする。このクローニングによって得られたベクターを、pEM(35S−cfa−3′nos)と名付ける。
【0091】
− ベクターpGEM(35S−cfa−3′nos)から出発して、配列(35S−cfa−3′nos)を含む独自のEcoRI−HindIIフラグメントを単離することができる。
【0092】
制御カセット形成のためのPCR条件を最適化した後(図6)、これをベクターpGEM−Tにクローニングした。こうして、異なる酵素を用いた制限による解析の後、ベクターpGEM(35S−3′nos)を二つのクローン中に得ることができる。
【0093】
同様に、ベクターpGEMcfaを得、2クロ−ンを選別した。
【0094】
ベクターpGEM(35S−3′nos)およびpGEMcfaの望みの配列をコンピュータで算出し、次いで、ソフトウエアプログラムのDNAストライダーに導入した。各ベクターについて2ベクターをGenome社に速達で送って、配列決定させた。
【0095】
配列決定の結果は、ベクターpGEMcfaを理論的に含む2クローン(2および3)について得られた。理論的配列と整合させた後、クローン2に含まれるベクターの配列は、いくつかの突然変異を示し、そのため、以後の研究にこの配列を用いることはできないと思われる。クローン3に含まれるベクターの配列は、突然変異を含むが、この突然変異は、CFAタンパク質の配列に対して何ら影響がないと思われるため、いわゆる「サイレント」突然変異である。
【0096】
ベクターpGEM(35S−3′nos)を含むクローン3に関する結果は、このクローンに含まれるベクターがいくつかの突然変異を示すため、非常に有望というわけではない。しかし、これらの突然変異は、p35Sプロモーターおよび3′nosターミネーターの適正な機能に必須の配列から比較的遠隔である。そのうえ、クローン4は、配列決定することができなかった。そのため、ベクターpGEM(35S−3′nos)を含むクローンから新たな選択を実施し、クローン10を配列解析のために選択した。
【0097】
そのため、クローン10に含まれるベクターpGEM(35S−3′nos)の配列を決定した。PCRによる配列決定の方法を、3プライマー(T7、SP6、およびポリCCC配列に近似的なプライマー)により用いた。得られた配列を理論的配列と比較した。HindIII部位の直前に検出された二つのエラーは、先に配列決定されたクローン3および4に含まれるベクターpGEM(35S−3′nos)の配列には見出されないことから、理論的配列におけるエラーであって、配列決定におけるエラーではないと思われる。
【0098】
配列の結果に基づき、クローン3に含まれるベクターpGEMcfaに由来するNheI−NruIフラグメントを、クローン10に含まれるベクターpGEM(35S−3′nos)にNheIおよびNruI部位でクローニングした。得られたベクターをpGEM(35S−cfa−3′nos)と名付けた。得られたクローンのうちで、いくつかの制限酵素を用いて選別を実施した。クローン13を、以後のクローニングのために選んだ。
【0099】
(iii)バイナリーベクターの構築
バイナリーベクターは、アグロバクテリウム・ツメファシエンスによる植物細胞への遺伝子移転に必要な、プラスミドTiのLBおよびRB配列を含むベクターである。バイナリーベクターpTDEcfaを、下記のとおり構築した(図7):
【0100】
− ベクターpGEM(35S−cfa−3′nos)13に由来するHindIII−EcoRIフラグメントを、HindIII−EcoRIフラグメントが除去されているバイナリーベクターptde4にクローニングする。得られたベクターをpTDEcfaとよぶ。いくつかの制限酵素を用いることによって、得られたクローン間で選別を実施した。三親組換え(triparental recombination)を実施するために、クローン8を選んだ。
− ベクターpTDEcfaを含むクローン(クローン8)を用いて、多量のDNAを調製し、サザンブロット実験で試験した。この実験では、DNA−DNAハイブリダイゼーションによってcfa遺伝子の存在を明らかにするプローブを、当初のpAYW19ベクターから生成した。この実験の結果として、異なる制限酵素を用いることによって、cfa遺伝子が、二つの調節配列、すなわちプロモーターおよびターミネーターの間でバイナリーベクターに実際に組み込まれていることを確認することができた。
【0101】
次いで、このバイナリーベクターを、標準的な条件下で、細菌のアグロバクテリウム・ツメファシエンスに転移した。
【0102】
工程3:植物体の形質転換
第1期では、アグロバクテリア(例えば、アグロバクテリウム・ツメファシエンス:C58C1Rif: pGV2260; Deblaere et al., 1985)のようなベクターを援用する間接移転法を用いるか、または直接形質転換法(エレクトロポレーション、粒子衝撃、加圧下浸透等々〔Kahl & Weising, 1993〕)を用いることによって、プロトプラスト、植物細胞、組織またはタバコ植物体を、上記の組換え核酸によって遺伝的に形質転換する。
【0103】
間接遺伝子転移を用いる場合、アグロバクテリアは、植物細胞へのT−DNAの移転に必要なvir領域を有するプラスミド(無防備Tiプラスミド)を含む。
【0104】
第1の任意の段階では、SAMシンテターゼをコードする組換え核酸(図3)によって、細胞を形質転換する。次いで、高いメチル化能を有する形質転換体を選択する。
【0105】
次いで、これらの系統、またはまだ形質転換されていない細胞を、遺伝的に形質転換して、それらのゲノムに、前記のCFAシンターゼをコードする遺伝子を含む組換え核酸を挿入する。
【0106】
これらの形質転換を実施するのに用いたプロトコルは、Van Lijsebettensら〔1986, J. Mol. Biol., 188, 129-145〕に記載されているか、文献中に列挙されている〔Plant Genetic Transformation and Gene Expression: A Laboratory Manual. Draper, J., Scott, R., Armitage, P. & Walden, R. Eds., Blackwell Scientific Publicaitons, Oxford, 1988; Kahl, G. & Weising, K. (1993) Genetics Fundamentals and Genetic Engineering, Rehm, H.J., Reed, G., Puehler, A. & Stadler, P., Eds., VCH Publishers Inc., New York (USA) vol. 2, pp.547-659〕。
【0107】
特定の実施例では、タバコの変種BY2の未分化細胞を遺伝的形質転換に用いた。これらの細胞は、液体栄養培地中にin vitroで維持した。10日ごとに、細胞のサンプル10mlを採取して、500ml入りエーレンマイヤーフラスコ内の培地100mlに接種する。フラスコを、140rpmの速度のオービタルシェーカーに収めて、24℃の暗所に置く。形質転換は、3日齢の細胞で実施した。細胞2mlを採取し、24時齢の形質転換用アグロバクテリアの培養体100μlを接種する。用いたアグロバクテリア培養体のλ=600nmでの光学密度(O.D)を、1.5単位に調整する。アグロバクテリア/植物細胞の同時培養体を、小型のペトリ皿内で、24℃、暗所で2日間増殖させる。同時培養の後、植物細胞を、栄養培地で充分に洗浄して、可能な限り多くのアグロバクテリアを除去する。次いで、植物細胞を、固体(ゲル化した)培地での培養に移す。この培地は、セフォタキシムを含有していて、残余の細菌を除去する。カナマイシンも含有していて、そのゲノムにバイナリーベクターのLB−RBフラグメントが挿入された、カナマイシンへの耐性を与える遺伝子を発現する植物細胞の選別を許す。
【0108】
培養の2〜3週後、カナマイシンに耐性である植物細胞が発生した。この段階で、充分な量のバイオマスを採取できる可能性があり、液体培地での培養に移して、淘汰圧(カナマイシン−セフォタキシム)を維持しつつ、バイオマスの生産を加速する。数サイクルの培養の後、培地でのバイオマスの部分に対する淘汰圧を除去して、この懸濁液の脂質プロフィールと、同じ条件下で淘汰圧なしに培養した、対照細胞から得られたそれとを比較できるようにする。
【0109】
こうして、この方法によって、カナマイシンに耐性である細胞懸濁液を得ることができた。この懸濁液の遺伝的材料における、CFAをコードする遺伝子の存在も確認した。これを行うために、DNAの抽出〔Dellaporta et al., Plant Mol. Biol. Rep. 1 (1983) 19〕の後、cfa遺伝子に特異的なプライマーを用いたPCR試験を実施した。PCRの明確な結果は、cfa遺伝子に相当する期待された大きさのバンドの存在を示す。
【0110】
もう一つの特定の実施例では、0.5cmの直径の葉盤を、in vitroで培養し、形質転換したタバコの変種SR1から調製した。略述すると、葉盤を、固体の(ゲル化した)細胞脱分化培地で24時間培養した。次いで、24時齢の形質転換用アグロバクテリアの、そのλ=600nmでの光学密度を1単位に調整した培養体への浸漬によって、それらに接種した。
【0111】
工程4:形質転換した植物の培養および選択
次いで、前記の構築物を含むベクターによって形質転換した植物細胞を、植物培養に常用される手順〔Plant Cell Culture: A Practical Approach, Dixon, R.A. ed., IRL Press, Oxford, Washington DC., 1985〕を用いることによって、単離された細胞、カルスまたは葉盤から再生させる。形質転換した細胞および植物体を、文献中に記載された通常の手順に従って、培養に写す。形質転換した細胞および植物体を、導入したカセットに特異的な抗生物質または毒素を含有する、選択培地で増殖させつつ、選択する。
【0112】
特定の実施例では、上記の葉盤を、滅菌したろ紙で拭い、次いで、同じ固体の細胞脱分化培地での、24℃で暗所での2日間の同時培養に移した。同時培養の後、葉盤を、セフォタキシムおよびカナマイシンを含有する芽誘導培地中で、0.5時間洗浄した。最後に、この同じ固体培地上で、芽の誘導を達成した。毎週、葉盤のサンプルを採取し、洗浄し、即座に調製した同じ培地での培養に置き換えた。
【0113】
4〜5週後、発生する芽を捕集し、セフォタキシムおよびカナマイシンを含有する根形成培地での培養に移す。
【0114】
この形質転換の異なる段階を、図8に示す。
【0115】
この方法によって、約50の芽が得られたが、うち約20は、選択培地上に根付いていた。これらの苗木を挿し木によって繁殖させて、cfa遺伝子の存在を立証するPCR確認を実施し、全脂質を抽出するのに充分なバイオマスを生産する。
【0116】
工程5:形質転換体の解析
次いで、こうして生産された形質転換体を、いくつかのレベルで解析する:
(a)−ゲノムDNAの抽出を要するサザンブロットもしくはPCRのいずれかの解析によって実施する、植物細胞または植物体での遺伝子の存在を確認する直接解析(Sambrookおよび/またはCurrent Protocolに記載のプロトコル)、
【0117】
Sambrook, J., Fritsch, E.F. & Maniatis, T. in Molecular Cloning: A Laboratory Manual. Irwin, N., Ford, N., Nolan, C. & Ferguson, M. eds., Cold Spring Harbor Laboratory Press 1989

【0118】
Current Protocols in Molecular Biology. Ausubel, F.M., Brent, R., Kingston, R.E., Moore, D.D., Seidman, J.G., Smith, J.A. & Struhl, K. eds., Current Protocols Inc., Willey, Massachusetts, vol. 1: Molecular Biology - Techniques. 1994 and vol. 2: Molecular Biology - Laboratory. 1994.

【0119】
(b)−遺伝子産物、すなわちmRNAの、遺伝子の転写を確認するノーザンブロットによる解析(上に引用したSambrookおよび/またはCurrent Protocolに記載のプロトコル)、
【0120】
(c)−合成されたタンパク質、すなわち酵素の(遺伝子からタンパク質への翻訳を確認する)解析、および後者の機能性の検査を与えること(免疫ブロット酵素アッセイ、ウェスタンブロット)、
【0121】
SAMシンテターゼと、細胞におけるSAMプールとのアッセイは、より詳しくは、Mathur & Sachar〔1981 FEBS Lett., 287, 113-117〕が記載したプロトコルを追うことによって実施する。
【0122】
タバコ細胞および植物におけるCFAシンターゼのアッセイはTaylor and Cronan (1979 Biochemistry, 18, 3292-3300)が記載したプロトコルによって実施される。
【0123】
(d)−合成されたトリグリセリドの分析および特定は、文献中に記載されたプロトコルを追うことにより、HPLCおよびGC−MS形式のクロマトグラフィーの手順を用いることによってか、または抽出後のNMRによって実施する。
【0124】
これらの実験は、組換え核酸が機能的であり、それらを植物細胞に導入することができ、該細胞を再生させることができ、これらの細胞が分枝脂肪酸を実際に生産することの確認を許す。次いで、これらの酸は、公知の抽出手法によって、対応する植物の種子中で直接回収し得る。
【0125】
特定の実施例では、Browseら〔Anal. Biochem., 152 (1986) 141〕が記載した手順を用いることによって、上記で得られた植物(種子、葉または細胞懸濁液)から、脂質を抽出する。得られた脂質を、FisherおよびCherry〔Lipids 18 (1983) 589〕の方法によってエステル交換反応に付した。この方法は、メタノール中の20%の水酸化テトラメチルアンモニウムを用いる。これは、非破壊的であり、能率的であり、そして異例の油のメタノリシスに完全に有用である。こうして得られた脂肪酸メチルエステルを、ガスクロマトグラフィーによって分析した。
【0126】
脂質分析は、初めに、形質転換されたか、またはされなかった、ともに同じ条件下(淘汰圧なし、140rpmで振盪、暗所で24℃)で7日間培養した、BV2細胞懸濁液の抽出物について実施した。これらの分析は、細胞懸濁液中の全脂質の抽出の方法を有効にするように用いた。
【0127】
その後、異なる条件下(淘汰圧ありまたはなし、光の存在または不在下、7または14日齢)で形質転換されたか、またはされなかった、BY2細胞懸濁液およびSR1タバコ葉から得られた資質抽出物の比較は、形質転換された植物材料中の、本発明による分枝脂肪酸の構造を有する化合物の存在を立証している。
【0128】
得られたサンプルの質量分析による分析は、得られた脂肪酸が、本発明の意味での分枝脂肪酸、すなわち少なくとも一つの非環式置換を有するそれを実際に含有することを確認する。これらの結果は、特に、9(および/または10)−メチルオクタデカン酸、および/または9(および/または10)−メチルヘキサデカン酸の存在を示す。
【0129】
工程6:分枝脂肪酸の処理
任意の工程では、本発明の植物材料が産生した分枝脂肪酸を、それらの物理化学的特性、特にそれらの潤滑特性を改良するように処理する。
【0130】
特定の実施例では、この処理は、脂肪酸を水素化して、分枝脂肪酸の比率を高め、こうして、酸化に対する強化された耐性、および低い流動点を有する組成物を得ることを含む。この水素化は、当技術の技量を有する専門家には公知である条件下で実施する。
【0131】
実施例B:伸長の際に分枝(多枝)脂肪酸を生産することができる、遺伝的に改変された植物細胞の構築
本実施例は、多分枝脂肪酸を生産することができる、遺伝的に改変された植物細胞の構築を例示する。特に、本実施例は、マロニルCoAに代えて、3個より多くの炭素原子を有する非直鎖状アシルCoA(例えばメチルマロニルCoA)の利用へと植物を導く一遺伝子または一遺伝子セットを、遺伝子工学によって植物のゲノムに挿入して、2,4,6,8−テトラメチルデカン酸のような、多枝脂肪酸とよばれる分枝脂肪酸を得ることを記載する。脂肪酸の合成はクロロプラストで生じることから、挿入される組換え核酸は、マロニルCoAデカルボキシラーゼ(E.C.第4.1.1.9号)をコードする遺伝子を含み、その結果、この酵素が細胞のクロロプラストその他のレベルで活性となるのが好都合である。これは、クロロプラストへの組換え核酸の導入、またはこの分室のタンパク質への位置づけを許す輸送ペプチドの挿入のいずれかによって達成される。
【0132】
本発明によるこれらのトランスジェニック植物の構築は、下記の工程に従って達成される(図9)。
【0133】
工程1:用いた植物材料
用いた植物材料は、実施例Aに記載されたのと同一である。
【0134】
工程2:遺伝子の構築
遺伝的形質転換は、転移しようとする遺伝子と、構造的、空間的または時間的であり得るこの遺伝子の発現を許すプロモーターと、タンパク質をそれが活性となる細胞分室へと位置づける、輸送ペプチドをコードする追加のヌクレオチド配列とを含む発現カセットを導入することからなる。
【0135】
2.1.酵素をコードする核酸の選別および単離
Kolattukudyら(1987)がそのヌクレオチド配列を記載したマロニルCoAデカルボキシラーゼをコードする遺伝子、あるいは他の原核または真核の生物もしくは微生物に由来する、その他すべての類似のヌクレオチド配列を用いる。
【0136】
Kolattukudy, P.E., Rogers, L.M., Poulose, A.J., Jang, S.H., Kim, Y.S., Cheesbrough, T.M. & Liggitt, D.H. (1987) Developmental pattern of the expression of malonyl-CoA decarboxylase gene and the production of unique lipids in the goose uropygial glands. Arch. Biochem. Biophys., 256, 446-454.

【0137】
Fernandese, N.D. & Kolattukudy, P.E. (1996) Cloning, sequencing and characterization of a fatty acid synthase-encoding gene from Mycobacterium tuberculosis var. bovis BCG. Gene, 170, 95-99.

【0138】
ある場合には、脂肪酸合成の構成要素は、クロロプラストその他の細胞器官に局在する。本発明者らの場合は、合成される酵素、すなわちマロニルCoAは、葉緑体に輸送されて、活性とならなければならない。本発明者らの遺伝子構築には、受容植物が認識する作動可能な輸送ペプチドをコードするDNA配列を付加することが必要であると思われる。これらの輸送ペプチドは、通常は、リーダー配列であって、特異的なプロモーターに関連する遺伝子のヌクレオチド配列と結合する必要があると思われる。これらの「シグナル」配列は、それの適切な反応分室に達する前に、細胞質で発現される遺伝子のそれに由来する、その他のいかなるヌクレオチド配列によって表されてもよい。これらの輸送ペプチドに対するDNAは、他の植物に由来してもよい。それは、例えば、ダイズのRUBISCOの小サブユニットの輸送ペプチド、またはエンドウマメのRUBISCOの成熟小サブユニットの6〜12末端アミノ酸をコードする配列であってよく、Calgeneの国際公開特許第94/29467号公報によって特許中に引用されている(形式4の図式)。
【0139】
2.2.プロモーター領域の選択
本実施例では、用いたプロモーターは、カリフラワーモザイクウイルスの35Sプロモーター、およびノパリンシンターゼ遺伝子(nos)のプロモーターである。これらのプロモーターの構造は、例えば、BenfeyおよびChua〔1990, Science, 250, 959-966〕によって記載されている。
【0140】
2.3.転写終結領域の選択
本実施例では、用いた転写終結領域は、ノパリンシンターゼ(nos)およびオクトピンシンターゼ(ocs)の遺伝子に由来する(図9)。
【0141】
2.4.組換え核酸(ベクター)の構築
上記の要素を植物細胞に導入するのを可能にする、組換え核酸を構築するため、初めに、これらの遺伝学的要素を単離し、pBR322およびpUC型のクローニングベクターにサブクローニングするが、これらは、抗生物質、毒素等々のような細胞毒性剤への耐性を獲得する形質転換体の選別を許すマーカーを有する。次いで、発現カセットを、植物の形質転換に必要な配列を含むバイナリーベクター、特にT−DNAベクターに導入する。このベクターは、植物の形質転換に用いられ、特異的な認識配列(RBおよびLB)を有するベクターの構造は、文献中に広く記載されている。〔Hoekemaによる書籍、The Binary Plant Vector Systems. Offsetdrukkerij Kanters B.V., Alblasserdam, 1985; Molecular Genetics of the Bacteria-Plant Interaction. Puhler, A., Ed., Springer-Verlag, NY, 1983; Plant Genetic Transformation and Gene Expression: A Laboratory Manual. Draper, J., Scott, R., Armitage, P. & Walden, R. Eds., Blackwell Scientific Publications, Oxford, 1988; Kahl, G. & Weising, K. (1993) Genetic Engineering of Plant Cells, in Biotechnology: Genetics Fundamentals and Genetic Engineering. Rehm, H.J., Reed, G., Puehler, A and Stadler, P. Eds., VCH Publishers Inc., New York (USA) vol. 2, pp. 547-659〕。
【0142】
こうして調製した組換え核酸の構造を、図9に示す。
【0143】
工程3:植物体の形質転換
第1期では、アグロバクテリア(例えば、アグロバクテリウム・ツメファシエンス:C58C1Rif: pGV2260; Deblaere et al., 1985)のようなベクターを用いた間接移転法を用いるか、または直接形質転換法(エレクトロポレーション、粒子衝撃、加圧下浸透等々〔Kahl & Weising, 1993〕)を用いることによって、プロトプラスト、植物細胞、タバコ植物体、またはその組織を、上記の組換え核酸によって遺伝的に形質転換する。
【0144】
間接遺伝子移転の場合、アグロバクテリアは、植物細胞へのT−DNAの移転に必要なvir領域を有するプラスミド(無防備Tiプラスミド)を含む。
【0145】
細胞を、前記のマロニルCoAデカルボキシラーゼをコードする遺伝子を含む組換え核酸をそれらのゲノムに挿入するよう、遺伝的に形質転換する。
【0146】
これらの形質転換を実施するのに用いたプロトコルは、Van Lijsebettensら〔1986, J. Mol. Biol., 188, 129-145〕に記載され、かつ文献中に列挙されている〔Plant Genetic Transformation and Gene Expression: A Laboratory Manual. Draper, J., Scott, R., Armitage, P. & Walden, R. Eds., Blackwell Scientific Publicaitons, Oxford, 1988; Kahl, G. & Weising, K. (1993) Genetics Fundamentals and Genetic Engineering, Rehm, H.J., Reed, G., Puehler, A. & Stadler, P., Eds., VCH Publishers Inc., New York (USA) vol. 2, pp.547-659〕。
【0147】
工程4:形質転換した植物の培養および選別
次いで、前記の構築物を含むベクターによって形質転換した植物細胞を、植物培養に常用される手順〔Plant Cell Culture: A Practical Approach, Dixon, R.A. ed., IRL Press, Oxford, Washington DC., 1985〕を用いることによって、単離された細胞、カルスまたは葉盤から再生させる。形質転換した細胞および植物体を、文献中に記載された通常の手順に従って、培養に写す。形質転換した細胞および植物体を、導入したカセットに特異的な抗生物質または毒素を含有する、選択培地での培養の際に、選択する。
【0148】
工程5:形質転換体の解析
次いで、こうして生産された形質転換体を、いくつかのレベルで解析する:
(a)−下記のプロトコルによる、ゲノムDNAの抽出を要するサザンブロットもしくはPCRのいずれかの解析によって実施する、植物細胞または植物体での遺伝子の存在を確認する直接解析:
− Sambrook, J., Fritsch, E.F. & Maniatis, T. in Molecular Cloning: A Laboratory Manual. Irwin, N., Ford, N., Nolan, C. & Ferguson, M. eds., Cold Spring Harbor Laboratory Press 1989
− Current Protocols in Molecular Biology. Ausubel, F.M., Brent, R., Kingston, R.E., Moore, D.D., Seidman, J.G., Smith, J.A. & Struhl, K. eds., Current Protocols Inc., Willey, Massachusetts, vol. 1: Molecular Biology - Techniques. 1994 and vol. 2: Molecular Biology - Laboratory. 1994.

【0149】
(b)−遺伝子産物、すなわちmRNAの、遺伝子の転写を確認するノーザンブロットによる解析(上に引用したSambrookおよび/またはCurrent Protocolに記載のプロトコル)、
【0150】
(c)−合成されたタンパク質、すなわち酵素の(遺伝子からタンパク質への翻訳を確認する)解析、および後者の機能性の検査を与えること(免疫ブロット酵素アッセイ、ウェスタンブロット)、
【0151】
(d)−Kolattukudyら(1987)が記載したプロトコル〔Developmental pattern of the expression of malonyl-CoA decarboxylase gene and the production of unique lipids in the goose uropygial glands. Arch. Biochem. Biophys., 256, 446-454〕による、マロニルCoAデカルボキシラーゼのアッセイ、
【0152】
(e)−合成されたトリグリセリドの分析および解析は、文献中に記載されたプロトコルを追うことにより、HPLCおよびGC−MS形式のクロマトグラフィーの手順を用いることによってか、または抽出後のNMRによって実施する。
【0153】
これらの実験は、組換え核酸が機能的であり、それらを植物細胞に導入することができ、該細胞を再生させることができ、これらの細胞が分枝脂肪酸を実際に産生することの確認を許す。次いで、これらの酸は、公知の抽出手法によって、対応する植物の種子中で直接回収し得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 植物細胞のクロロプラストにおける脂肪酸合成のスキームである。
【図2】 プロモーターCaMV35S(図2A)またはnos(図2B)の制御下のトランスフェラーゼをコードする遺伝子を含む組換え核酸を表したものである。
【図3】 SAMシンターゼをコードする遺伝子を含む組換え核酸を表したものである。
【図4】 cfa遺伝子の制限酵素地図。
【図5】 分枝脂肪酸の産生を刺激することができる遺伝子の制御カセットを表したものである。
【図6】 cfa遺伝子の制御カセットの構築スキームである。
【図7】 ベクターpTDEcfaの構築。
【図8】 葉盤の形質転換および植物の再生。A:アグロバクテリア−葉盤コカルチャー;B:培養2週間目;C:培養5週間目;D:芽(bud)の根系;E:in vitroで切断した幼植物。
【図9】 マロニルCoAデカルボキシラーゼをコードする遺伝子を含む組換え核酸を表したものである。

Claims (8)

  1. a. シクロプロパン脂肪酸シンターゼをコードする組換え核酸を、植物細胞、植物組織または植物の種子に導入すること;
    b. 植物細胞、植物組織または植物の種子からトランスジェニック植物を再生すること、ここで該植物は分枝脂肪酸を生産する;および
    c. 該トランスジェニック植物から該分枝脂肪酸を回収すること
    を含む、分枝鎖脂肪酸の製造方法。
  2. 分枝脂肪酸を抽出する工程をさらに含む、請求項1記載の方法。
  3. 組換え核酸が、ノパリンシンターゼのプロモーター(nos)、オクトピンシンターゼのプロモーター(ocp)、マンノピンのプロモーター、アグロパインのプロモーター、ナピンのプロモーターおよびアシルキャリアーのプロモーター(ACP)からなる群から選択される植物で発現可能なプロモーターを更に含む、請求項1記載の方法。
  4. プロモーターが植物の種子において核酸を発現する、請求項3記載の方法。
  5. トランスジェニック植物から分枝脂肪酸を調製する方法であって、
    トランスジェニック植物の細胞は、
    a. ノパリンシンターゼのプロモーター(nos)、オクトピンシンターゼのプロモーター(ocp)、マンノピンのプロモーター、アグロパインのプロモーター、ナピンのプロモーターおよびアシルキャリアーのプロモーター(ACP)からなる群から選択される植物で発現可能なプロモーター;
    b. シクロプロパン脂肪酸シンターゼをコードする核酸;および
    c. 3′転写終結配列;
    の順番で含む組換え核酸を含み:
    該トランスジェニック植物を野外栽培すること;
    該トランスジェニック植物から種子を回収すること;および
    これらの種子から分枝脂肪酸を抽出すること;
    を含む、方法。
  6. トランスジェニック植物が、セイヨウアブラナ、ヒマワリ、ラッカセイ、ダイズ、アマおよびトウモロコシである、請求項1または5記載の方法。
  7. a. シクロプロパン脂肪酸シンターゼをコードする組換え核酸を、植物細胞に導入すること;
    b. 該植物細胞を成長に適した培地で培養すること;および
    c. 該植物細胞からまたは該培地の上清から分枝脂肪酸を抽出および精製すること;
    を含む、分枝脂肪酸を製造する方法。
  8. a. シクロプロパン脂肪酸シンターゼをコードする組換え核酸を、タバコ細胞、タバコ組織またはタバコの種子に導入すること;
    b. タバコ細胞、タバコ組織またはタバコの種子からトランスジェニック植物を再生すること、ここで該トランスジェニック植物は分枝脂肪酸を生産する;および
    c. トランスジェニック植物から分枝脂肪酸を回収すること
    を含む、分枝脂肪酸を製造する方法。
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