JP2018536400A - ドリメノールシンターゼiii - Google Patents

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Abstract

本発明は、ポリペプチドとファルネシルピロリン酸とを接触させることにより、ドリメノール及び/又はドリメノール誘導体を製造する方法を開示している。また、本発明の方法において有用なポリペプチドのアミノ酸配列、及び本発明のポリペプチドをコードする核酸も提供する。前記方法は、さらに、本発明のポリペプチドを発現するために遺伝的に改変され、ドリメノール及び/又はドリメノール誘導体を製造するために有用な宿主細胞又は宿主生物を提供する。

Description

本発明は、ドリメノールの製造方法に関し、該方法は、ポリペプチドとファルネシルピロリン酸(FPP)との接触を含む。特に、前記方法は、香料の分野において非常に有用な化合物であるドリメノールを製造するためにin vitro又はin vivoで実施されうる。本明細書において提供される方法において有用なポリペプチドのアミノ酸配列も本明細書において提供される。本明細書における一実施形態のポリペプチドをコードする核酸及び該核酸を含有する発現ベクターが本明細書において提供される。ドリメノールの製造方法において使用されるべき形質転換させたヒトでない宿主生物又は細胞も、本明細書において提供される。
背景技術
テルペンは、ほとんどの生物(微生物、動物及び植物)において見出される。これらの化合物は、5個の炭素単位、いわゆるイソプレン単位からなり、それらの構造において存在するこれらの単位の数により分類される。したがって、モノテルペン、セスキテルペン及びジテルペンは、それぞれ炭素原子10個、15個及び20個を含むテルペンである。例えば、セスキテルペンは、植物界において広く見いだせる。多くのセスキテルペン分子は、それらのフレーバー及びフレグランス特性、並びにそれらの化粧品効果、医薬品効果及び抗菌効果について公知である。多数のセスキテルペン炭化水素及びセスキテルペノイドが、同定されている。
テルペンの生合成生成物は、酵素、いわゆるテルペンシンターゼを含む。事実上、植物界に存在する無限のセスキテルペンシンターゼがあり、全て同一の基質(ファルネシルピロリン酸、FPP)を使用するが、異なる生成物プロフィールを有する。セスキテルペンシンターゼをコードする遺伝子及びcDNAは、クローンを生じ、かつ相応する組換え酵素を特徴付ける。
一般に、ドリメノールについての主な源は、自然にドリメノールを含む植物であり、これらの自然源におけるドリメノールの含有量は低い。化学合成のアプローチが開発されているが、未だ複雑であり、かつ費用対効果がない。
要約
本明細書において、以下、
i)非環式ファルネシル二リン酸(FPP)前駆体と、ドリメノールシンターゼ活性を有し、かつ配列番号2に対して少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性を有するか又は配列番号2を含むポリペプチドとを接触させて、ドリメノールを製造すること;及び
ii)任意にドリメノールを単離すること
を含むドリメノールの製造方法が提供される。
本明細書において、配列番号2を含む、ドリメノールシンターゼ活性を有する単離されたポリペプチドも提供される。
さらに、本明細書において、ドリメノールシンターゼ活性を有し、かつ配列番号2に対して少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性を有するか又は配列番号2を含むポリペプチドをコードする単離された核酸分子が提供される。
さらに、本明細書において提供されるポリペプチドをコードする単離された核酸分子であって、配列番号1及び配列番号5からなる群から選択されるヌクレオチド配列に対して50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性を有するか、又は配列番号1及び配列番号5からなる群から選択されるヌクレオチド配列を含むヌクレオチド配列を有する核酸分子が提供される。
(−)−ドリメノールの構造を示す図。 標準の(−)−ドリメノールの質量スペクトルを示す図。 標準の(−)−ドリメノールの13C NMRスペクトルを示す図。 標準の(−)−ドリメノールのX線(Cu Kα放射線)構造を示す図。 塊根芍薬(Paeonia anomala)の根の抽出物(ジクロロメタン)のGC/MS抽出イオンクロマトグラム(m/z 109)を示す図。矢印はドリメノールのピークを示す。 タバコの葉に対する単離されたドリメノールシンターゼの一過性発現実験のGC/MS分析(m/z 109での抽出イオンクロマトグラム)を示す図。B. 32.442分でのピークの質量スペクトルはドリメノールである。C. ドリメノールの標準試料の質量スペクトル。
詳細な説明
明細書及び付属の特許請求の範囲について、“又は”の使用は、特に明記されない限り“及び/又は”を意味する。同様に、“含む(comprise)”、“含む(comprises)”、“含んでいる(comprising)”、“含む(include)”、“含む(includes)”及び“含んでいる(including)”は、置き換えることができ、かつ制限することを意図しない。
さらに、種々の実施形態の記載が“含んでいる(comprising)”の用語を使用する場合に、当業者は、ある特定の例において、一実施形態が“実質的にからなる(consisting essentially of)”又は“からなる(consisting of)”の言語を使用して代わりに記載されてよいことを理解していることを、さらに理解すべきである。一態様において、本明細書では、以下、
i)非環式テルペンピロリン酸、特にファルネシル二リン酸(FPP)と、ドリメノールシンターゼ活性を有し、かつ配列番号2を含むポリペプチドとを接触させて、ドリメノールを製造すること;及び
ii)任意にドリメノールを単離すること
を含むドリメノールの製造方法が提供される。
一態様において、ドリメノールが単離される。
本明細書で提供される他の態様において、ドリメノールは、60%以上、80%以上、又は90%以上、又はさらに95%以上の選択性で製造される。
一実施形態において、本明細書において、ドリメノールシンターゼ活性を有し、かつ配列番号2に対して少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性を有するポリペプチドである単離されたポリペプチドが提供される。
一実施形態において、本明細書において、ドリメノールシンターゼ活性を有し、かつ配列番号2に対して少なくとも55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性を有するポリペプチドである単離されたポリペプチドが提供される。
一実施形態において、本明細書において、ドリメノールシンターゼ活性を有し、かつ配列番号2に対して少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性を有するポリペプチドである単離されたポリペプチドが提供される。
一実施形態において、本明細書において、ドリメノールシンターゼ活性を有し、かつ配列番号2に対して少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性を有するポリペプチドである単離されたポリペプチドが提供される。
一実施形態において、本明細書において、ドリメノールシンターゼ活性を有し、かつ配列番号2に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性を有するポリペプチドである単離されたポリペプチドが提供される。
一実施形態において、本明細書において、ドリメノールシンターゼ活性を有し、かつ配列番号2に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性を有するポリペプチドである単離されたポリペプチドが提供される。
一実施形態において、本明細書において、ドリメノールシンターゼ活性を有し、かつ配列番号2に対して少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性を有するポリペプチドである単離されたポリペプチドが提供される。
一実施形態において、本明細書において、ドリメノールシンターゼ活性を有し、かつ配列番号2に対して少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性を有するポリペプチドである単離されたポリペプチドが提供される。
一実施形態において、本明細書において、ドリメノールシンターゼ活性を有し、かつ配列番号2に対して少なくとも90%、95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性を有するポリペプチドである単離されたポリペプチドが提供される。
一実施形態において、本明細書において、ドリメノールシンターゼ活性を有し、かつ配列番号2に対して少なくとも95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性を有するポリペプチドである単離されたポリペプチドが提供される。
一実施形態において、本明細書において、ドリメノールシンターゼ活性を有し、かつ配列番号2に対して少なくとも96%、97%、98%又は99%の配列同一性を有するポリペプチドである単離されたポリペプチドが提供される。
一実施形態において、本明細書において、ドリメノールシンターゼ活性を有し、かつ配列番号2に対して少なくとも97%、98%又は99%の配列同一性を有するポリペプチドである単離されたポリペプチドが提供される。
一実施形態において、本明細書において、ドリメノールシンターゼ活性を有し、かつ配列番号2に対して少なくとも98%又は99%の配列同一性を有するポリペプチドである単離されたポリペプチドが提供される。
一実施形態において、本明細書において、ドリメノールシンターゼ活性を有し、かつ配列番号2に対して少なくとも99%の配列同一性を有するポリペプチドである単離されたポリペプチドが提供される。
さらに、本明細書で、配列番号2のアミノ酸を含むドリメノール活性を有する単離されたポリペプチドが提供される。
さらに、本明細書において、配列番号2のアミノ酸を含むポリペプチドをコードする単離された核酸分子が提供される。
さらに、本明細書において、配列番号1又は配列番号5の配列を含む核酸分子が提供される。
さらに、本明細書では、ドリメノールシンターゼ活性を有し、かつ配列番号2に対して少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性を有するか又は配列番号2を含むポリペプチドをコードする核酸で宿主細胞又はヒトでない生物を形質転換し、ポリペプチドの製造が可能な条件下で宿主細胞又は生物を培養する工程を含む、請求項1において挙げられた方法が提供される。
さらに、本明細書において記載された核酸分子を含む少なくとも1つのベクターが提供される。
さらに、本明細書において、原核ベクター、ウィルスベクター及び真核ベクターの群から選択されるベクターが提供される。
さらに、本明細書で、発現ベクターであるベクターが提供される。
「ドリメノールシンターゼ」に関して又は「ドリメノールシンターゼ活性を有するポリペプチド」に関しては、本明細書では、非環式テルペンピロリン酸、特にFPPから出発して、その立体異性体の任意の形又はそれらの混合物の形で、ドリメノールの合成に触媒作用を及ぼしうるポリペプチドを意味する。ドリメノールは、単独の生成物であってよく、又はセスキテルペンの混合物の一部であってよい。
特定のセスキテルペン(例えばドリメノール)の合成に触媒作用を及ぼすポリペプチドの能力は、実施例1〜2において詳述されるような酵素アッセイを実行することによって単純に確認できる。
本発明に従って、ポリペプチドは、それらのドリメノールシンターゼ活性を維持することが提供された切断型ポリペプチドを含むことも意味する。
本明細書において以下で意図されるように、「配列番号1又は配列番号5を改変することによって得られるヌクレオチド配列又はそれらの補体」は、当業者に公知の任意の方法を使用して、例えば任意のタイプの変異を導入すること、例えば欠失、挿入又は置換の変異によって、配列番号1又は配列番号5の又はそれらの補体の配列を変更することによって得られる任意の配列を包含する。かかる方法の例は、多様体ポリペプチド及びそれらの製造方法に関する記載の一部に挙げられている。
使用した略語
bp 塩基対
kb キロベース
BSA ウシ血清アルブミン
DNA デオキシリボ核酸
cDNA 相補的DNA
DTT ジチオトレイトール
FID 水素炎イオン化検出器
FPP ファルネシルピロリン酸
GC ガスクロマトグラフ
IPTG イソプロピル−D−チオガラクト−ピラノシド
LB 溶原培地
MS 質量分析器/質量分析法
MVA メバロン酸
PCR ポリメラーゼ連鎖反応
RMCE レコンビナーゼ媒介カセット変換(recombinase-mediated cassette exchange)
3’-/5’-RACE 3’及び5’のcDNA末端の迅速増幅(rapid amplification of cDNA ends)
RNA リボ核酸
mRNA メッセンジャーリボ核酸
miRNA マイクロRNA
siRNA 低分子干渉RNA
rRNA リボソームRNA
tRNA 転移RNA。
「ポリペプチド」の用語は、連続して重合させたアミノ酸残基、例えば、少なくとも15残基、少なくとも30残基、少なくとも50残基のアミノ酸配列を意味する。本明細書における実施形態のいくつかの実施形態において、ポリペプチドは、酵素、又はそれらの断片、又はそれらの多様体であるアミノ酸配列を含む。
「単離された」ポリペプチドの用語は、その自然環境から、組換え法、生化学的方法及び合成法を含む当業者に公知の任意の方法又は方法の組み合わせによって取り出したアミノ酸配列を言う。
「タンパク質」の用語は、自然に生じようと合成であろうと、アミノ酸が、共有ペプチド結合によって連結されており、かつオリゴペプチド、ペプチド、ポリペプチド及び全長タンパク質を含む、任意の長さのアミノ酸配列を言う。
「ドリメノールシンターゼ」又は「ドリメノールシンターゼタンパク質」の用語は、ファルネシル二リン酸(FPP)をドリメノールに変換することができる酵素を言う。
「生物学的機能」、「機能」、「生物学的活性」又は「活性」の用語は、FPPからのドリメノールの形成に触媒作用を及ぼす本明細書において提供されるドリメノールシンターゼの能力を言う。
「核酸配列」、「核酸」及び「ポリヌクレオチド」の用語は、互換的にヌクレオチドの配列を意味するために使用される。核酸配列は、一本鎖又は二本鎖のデオキシリボヌクレオチド、又は任意の長さのリボヌクレオチドであってよく、遺伝子のコード配列及び非コード配列、エキソン、イントロン、センス及びアンチセンスの相補的配列、ゲノムDNA、cDNA、miRNA、siRNA、mRNA、rRNA、tRNA、組換え核酸配列、単離された及び精製された自然に生じるDNA及び/又はRNA配列、合成DNA及びRNA配列、フラグメント、プライマー及び核酸プローブを含む。RNAの核酸配列が、種々のチミン(T)をウラシル(U)によって置き換えたDNA配列と同一であることを当業者は認識している。
「単離された核酸」又は「単離された核酸配列」は、自然に生じる核酸又は核酸配列とは異なる環境にある核酸又は核酸配列として定義される。本明細書において使用される核酸に適用される「自然に生じる」の用語は、自然に細胞中で見られる核酸を言う。例えば、生物において、例えば生物の細胞において存在し、自然源から単離されてよく、研究室においてヒトによって意図的に改変されていない核酸配列が、自然に生じるものである。
「組換え核酸配列」は、自然に生じない、そうでなければ生物学的生物において見られない核酸配列を生じる、1種以上の源からの遺伝物質を一緒にもたらすための実験的方法(分子クローニング)の使用から生じる核酸配列である。
「組換えDNA技術」は、例えば、Weigel及びGlazebrookによって編集されたLaboratory Manuals(2002 Cold Spring Harbor Lab Press)、並びにSambrookら(1989 Cold Spring Harbor, NY: Cold Spring Harbor Laboratory Press)において記載されているような組換え核酸配列を製造するための分子生物学的方法を言う。
「遺伝子」の用語は、適した調節領域、例えばプロモーターに操作可能に連結された、RNA分子、例えば細胞中のmRNA中に転写された領域を含むDNA配列を意味する。遺伝子は、したがって、いくつかの操作可能に連結された配列、例えばプロモーター、例えば翻訳開始において含まれる配列を含む5’リーダー配列、cDNA又はゲノムDNAのコード領域、イントロン、エキソン、及び/又は例えば転写終結点を含む3’非翻訳配列を含む。
「キメラ遺伝子」は、通常、種において自然に見られないあらゆる遺伝子、特に、互いに自然に関連しない核酸配列の1以上の部位が存在する遺伝子を言う。例えば、プロモーターは、転写領域の一部もしくは全てと又は他の調節領域と自然に関連しない。「キメラ遺伝子」の用語は、プロモーター又は転写制御配列が、1つ以上のコード配列に、もしくは1つのアンチセンス、すなわちセンス鎖の逆相補鎖に操作可能に連結され、又は繰り返し配列を逆転させる(センス及びアンチセンス、それによりRNA転写物が転写して二本鎖RNAを形成する)、発現構築物を含むと解される。
「3’UTR」又は「3’非翻訳配列」(「3’非翻訳領域」又は「3’末端」とも言われる)は、例えば転写終結点及び(大部分であるが、しかし全てではない真核mRNAの)ポリアデニル化シグナル、例えばAAUAAA又はそれらの多様体を含む、遺伝子のコード配列の下流に見られる核酸配列を言う。転写の終結後に、mRNA転写物は、ポリアデニル化シグナルの下流で開裂してよく、かつ翻訳の場所、例えば細胞質へのmRNAの輸送中に含まれるポリ(A)末端が付加されてよい。
「遺伝子の発現」は、タンパク質における遺伝子の転写及びmRNAの翻訳を含む。過剰発現は、同一の遺伝的背景の非形質転換細胞又は非形質転換生物における生成物のレベルを超える、トランスジェニック細胞又はトランスジェニック生物におけるmRNA、ポリペプチド及び/又は酵素活性のレベルによって測定される遺伝子生成物の製造を言う。
本明細書において使用される「発現ベクター」は、宿主細胞中へ異物又は外因性のDNAを導入するための分子生物学的方法及び組換えDNA技術を使用して設計された核酸分子を意味する。発現ベクターは、典型的に、ヌクレオチド配列の適正な転写のために要求される配列を含む。コード領域は、通常、関心のあるタンパク質についてコードするが、RNA、例えばアンチセンスRNA、siRNA等についてもコードしうる。
本明細書において使用される「発現ベクター」は、ウィルスベクター、バクテリオファージ及びプラスミドを含む、あらゆる線状又は環状の組み換えベクターを含むが、これらに制限されない。当業者は、発現系により適したベクターを選択することができる。一実施形態において、発現ベクターは、転写、翻訳、開始及び終結を調節する少なくとも1つの制御配列、例えば転写プロモーター、オペレーターもしくはエンハンサー、又はmRNAリボソーム結合部位に操作可能に連結され、及び任意に少なくとも1つの選択マーカーを含む、本明細書における一実施形態の核酸を含む。ヌクレオチド配列は、制御配列が、本明細書における一実施形態の核酸に機能的に関連する場合に、「操作可能に連結」される。
「制御配列」は、本明細書の一実施形態の核酸配列の発現レベルを決定し、かつ制御配列に操作可能に連結される核酸配列の転写の割合を制御することができる核酸配列をいう。制御配列は、プロモーター、エンハンサー、転写因子、プロモーターエレメント等を含む。
「プロモーター」は、RNAポリメラーゼ、及び制限なく転写因子結合部位、リプレッサー及び活性化タンパク質結合部位を含む適正な転写のために要求される他の因子を提供することにより、コード配列の発現を制御する核酸配列をいう。プロモーターの用語の意味は、「プロモーター制御配列」の用語も含む。プロモーター制御配列は、転写、RNAプロセシング又は関連してコードする核酸配列の安定性に影響してよい、上流及び下流のエレメントを含んでよい。プロモーターは、自然由来の配列及び合成の配列を含む。コード核酸配列は、通常、転写開始点で出発する転写の方向に関連してプロモーターの下流に配置される。
「構成的プロモーター」は、操作可能に連結される核酸配列の連続的な転写を可能にする非制御プロモーターをいう。
本明細書において使用されるように、「操作可能に連結」の用語は、機能的関連にあるポリヌクレオチドエレメントの連結をいう。核酸は、それが他の核酸配列と機能的関係に置かれる場合に「操作可能に連結」される。例えば、プロモーター、むしろ転写制御配列は、コード配列の転写に影響する場合に、コード配列に操作可能に連結される。操作可能に連結とは、連結されているDNA配列が典型的に隣接することを意味する。プロモーター配列に関連付けられたヌクレオチド配列は、形質転換されるべき植物に関して相同性又は異種性の起源のものであってよい。前記配列は、全体的に又は部分的に合成されているものでもよい。起源に関わらず、プロモーター配列に関連付けられた核酸配列は、本明細書における一実施形態のポリペプチドへの結合後に連結されるプロモーター特性に従って発現されるか又は発現抑制される。関連付けられた核酸は、生物を通じて全ての時間で又は代わりに特定の時間で、又は特異的な組織、細胞もしくは細胞コンパートメント中で、発現又は抑制されるべきであることが所望されるタンパク質についてコードしてよい。かかるヌクレオチド配列は、特に、それらで改変された又は形質転換された宿主細胞又は生物に対して所望の表現型の特徴を付与するタンパク質をコードする。より詳述すれば、関連付けられるヌクレオチド配列は、生物中でドリメノールの製造を導く。特に、ヌクレオチド配列は、ドリメノールシンターゼをコードする。
「標的ペプチド」は、タンパク質、又は細胞内オルガネラ、すなわちミトコンドリア、もしくは色素体に対するポリペプチド、又は細胞外空間に対するポリペプチド(分泌シグナルペプチド)を標的とするアミノ酸配列をいう。標的ペプチドをコードする核酸配列は、タンパク質又はポリペプチドのアミノ末端、例えばN−末端をコードする核酸配列に融合してよく、又は天然の標的ポリペプチドを置き換えるために使用してよい。
「プライマー」の用語は、鋳型の核酸配列にハイブリダイズされ、かつ鋳型に対して相補的な核酸配列の重合のために使用される、短い核酸配列をいう。
本明細書において使用されるように、「宿主細胞」又は「形質転換細胞」の用語は、転写してドリメノールを製造するために有用なドリメノールシンターゼタンパク質をもたらす、少なくとも1つの核酸分子、例えば所望のタンパク質又は核酸配列をコードする組換え遺伝子を宿すために改変された細胞(又は生物)をいう。宿主細胞は、特に細菌細胞、真菌細胞又は植物細胞である。宿主細胞は、宿主細胞の核ゲノム又はオルガネラゲノムに組込まれる本発明による組換え遺伝子を含んでよい。代わりに、宿主は、組換え遺伝子を染色体外で含んでよい。相同配列は、オルソガス配列又はパラロガス配列を含む。系統学的方法、配列類似性、及びハイブリダイゼーション法を含む、オルソガス又はパラロガスを同定する方法は、当業者に公知であり、本明細書において記載されている。
パラログは、類似した配列及び類似した機能を有する2以上の遺伝子を生じる遺伝子重複から生じる。パラログは、典型的に、一緒にクラスター形成し、関連する植物種内で遺伝子の重複によって形成される。パラログは、ペアワイズのBlast解析を使用して類似の遺伝子の群で見出されるか、又はCLUSTALのようなプログラムを使用した遺伝子ファミリーの系統発生解析中に見出される。パラログにおいて、コンセンサス配列は、関連する遺伝子内の配列及び遺伝子の類似の機能を有する配列に対して特徴的に同定されうる。
オルソログ、又はオルソガス配列は、それらが共通祖先の子孫である種において見られるため、互いに類似する配列である。例えば、共通祖先を有する植物種は、類似した配列及び機能を有する多くの酵素を含むことが公知である。当業者は、オルソガス配列を同定することができ、かつオルソログの機能を、例えばCLUSTAL又はBLASTプログラムを使用して1つの種の遺伝子ファミリーについてのポリジーン系図(polygenic tree)を構築することによって予測することができる。相同配列中の類似した機能を同定又は確認するための方法は、関連するポリペプチドを過剰発現又は欠失する(ノックアウト/ノックダウンで)植物中で転写プロフィールを比較することによる。当業者は、通常50%より多くの制御された転写で、又は通常70%より多くの制御された転写で、又は通常90%より多くの制御された転写で類似した転写プロフィールを有する遺伝子が類似した機能を有することを理解している。ホモログ、パラログ、オルソログ及び本発明における配列のあらゆる他の多様体は、ドリメノールシンターゼタンパク質を製造する植物を作成することによって類似する方法における機能することが予期される。
本明細書において提供される一実施形態は、オルソログ及びパラログを含むドリメノールシンターゼタンパク質のアミノ酸配列、並びに他の生物におけるドリメノールシンターゼのオルソログ及びパラログを同定及び単離するための方法を提供する。特に、そのように同定されたドリメノールシンターゼのオルソログ及びパラログは、ドリメノールシンターゼ活性を保持し、かつFPP前駆体から出発してドリメノールを製造することが可能である。
「選択可能なマーカー」の用語は、発現に対して、選択可能なマーカーを含む1つの細胞又は複数の細胞を選択するために使用されてよい任意の遺伝子をいう。選択可能なマーカーの例を以下に記載する。当業者は、種々の抗生物質、殺菌剤、栄養要求性又は除草剤の選択可能なマーカーが種々の標的種に適用可能であることを周知している。
本明細書の目的の「ドリメノール」は、(−)−ドリメノール(CAS:468−68−8)をいう。
「生物」の用語は、任意のヒトでない多細胞生物又は単細胞生物、例えば植物、又は微生物をいう。特に、微生物は、細菌、酵母、藻類又は真菌である。
「植物」の用語は、植物プロトプラスト、植物組織、再生植物を生じる植物細胞組織培養物、又は植物の一部、又は植物器官、例えば根、茎、葉、花、花粉、胚珠、胚、果実等を含む植物細胞を含むために区別なく使用される。任意の植物は、本明細書における一実施形態の方法を実施するために使用されてよい。
in vitroで、非環式ピロリン酸塩、例えばFPPと接触されるべきポリペプチドは、標準のタンパク質又は酵素抽出技術を使用して、それを発現する任意の生物から抽出することにより得られてよい。宿主生物が単細胞生物又は培地中に本明細書における一実施形態のポリペプチドを放出する細胞である場合に、ポリペプチドは、例えば遠心分離、続いて任意に洗浄工程及び適した緩衝溶液中での再懸濁により、培地から採取されてよい。前記生物又は細胞が、その細胞内でポリペプチドを蓄積する場合に、ポリペプチドは、細胞の破壊又は溶解、及び細胞溶解物からポリペプチドのさらなる抽出によって得られてよい。
ドリメノールシンターゼ活性を有するポリペプチドは、単離された形で又は他のタンパク質と一緒に、例えば培養細胞又は微生物から得られた粗タンパク質抽出物中で、至適pHで緩衝溶液中で懸濁されてよい。適宜、塩、DTT、無機カチオン及び他の種類の酵素補因子を、酵素活性を最適化するために添加してよい。前駆体FPPを、ポリペプチド懸濁液に添加し、そして至適温度、例えば15〜40℃、特に25〜35℃、より特に30℃でインキュベートする。インキュベート後に、製造したドリメノールを、場合により溶液からポリペプチドを取り出した後に、標準単離方法、例えば溶媒抽出及び蒸留によってインキュベートした溶液から単離してよい。
他の特定の実施形態に従って、任意の前記実施形態の方法を、in vivoで実施する。この場合、工程a)は、ドリメノールの製造を導く条件下で、FPPを製造することができ、かつ配列番号2を有するアミノ酸を含有し、ドリメノールシンターゼ活性を有する少なくとも1つのポリペプチドを発現するために形質転換されるヒトでない宿主生物又は細胞を培養することを含む。
さらに特定の一実施形態に従って、前記方法は、さらに、工程a)の前に、FPPを製造できるヒトでない生物又は細胞を、配列番号2を有するアミノ酸を含有し、かつドリメノールシンターゼ活性を有するポリペプチドをコードする少なくとも1つの核酸で形質転換し、その結果前記生物が前記ポリペプチドを発現することを含む。
本明細書における一実施形態のこれらの実施形態は、予めポリペプチドを単離することなくin vivoで前記方法を実施することができるため、特に有利である。前記反応は、形質転換した生物又は細胞内で直接生じて、前記ポリペプチドを発現する。
より特定の実施形態に従って、前記実施形態のいずれかにおいて使用される少なくとも1つの核酸は、配列番号1又は配列番号5又はそれらの補体を改変することによって得られるヌクレオチド配列を含む。他の実施形態に従って、少なくとも1つの核酸は、ボタン科の植物から、特に塊根芍薬(Paeonia anomala)から単離される。前記生物又は細胞は、ポリペプチドを「発現」することを意味するが、但し該生物又は細胞は、該ポリペプチドをコードする核酸を宿すために形質転換され、この核酸は、mRNAに転写され、そしてポリペプチドが、宿主生物又は宿主細胞中で見出される。「発現」の用語は、「異種発現」及び「過剰発現」を含み、後者は、形質転換していない生物又は細胞中で測定されるものを超える、及びそれより多いmRNA、ポリペプチド及び/又は酵素の活性のレベルをいう。ヒトでない宿主生物又は細胞を形質転換するための適した方法のより詳細な記載は、本発明で提供される特定の目的として、かかる形質転換したヒトでない宿主生物又は細胞について記載された明細書の一部において、及び実施例において以下に記載されている。
特定の生物又は細胞は、自然にFPPを製造する場合に、又は自然にFPPを製造しないがFPPを製造するために形質転換される場合に、本明細書において記載された核酸で形質転換する前に、又は前記核酸と一緒に、「FPPを製造できる」ことを意味する。生物又は細胞を自然に生じるよりも高い量のFPPを製造するために形質転換させた生物又は細胞は、「FPPを製造することができる生物又は細胞」にも包含される。生物、例えば微生物を形質転換して、それらがFPPを製造するための方法は、当業者に既に公知である。
本明細書における一実施形態をin vivoで実施するために、宿主生物又は細胞を、ドリメノールの製造を導く条件下で培養させる。したがって、宿主がトランスジェニック植物である場合に、最適な成長条件、例えば最適な光条件、水条件及び栄養条件を提供する。宿主が単細胞生物である場合に、ドリメノールの製造の助けとなる条件は、宿主の培地に適した補因子の添加を含みうる。さらに、培地は、ドリメノール合成を最大化するように選択されうる。最適な培養条件は、次の実施例におけるより詳細な方法において記載されている。
in vivoで本明細書における一実施形態の方法を実施するために適したヒトでない宿主生物は、任意のヒトでない多細胞又は単細胞生物であってよい。特定の一実施形態において、in vivoで本明細書における一実施形態を実施するために使用されるヒトでない宿主生物は、植物、原核生物又は真菌である。あらゆる植物、原核生物又は真菌を使用してよい。特に有用な植物は、多量のテルペンを自然に製造するものである。より特定の一実施形態において、in vivoで本明細書における一実施形態の方法を実施するために使用されるヒトでない宿主生物は、微生物である。あらゆる微生物を使用できるが、さらにより特定の実施形態に従って、該微生物は細菌又は酵母菌である。最も特に、前記細菌は大腸菌(Escherichia coli)であり、かつ前記酵母は、サッカロミセス・セレビジエ(Saccharomyces cerevisiae)である。
これらの生物のいくつかは、自然にFPPを製造しない。本明細書における一実施形態の方法を実施するために適切であるために、これらの生物は、前記前駆体を製造するために形質転換される。それらは、前記で説明されているように、前記実施形態のいずれかに従って記載された核酸での改変前、又は同時に、形質転換されてよい。
単離された高次真核細胞を、完全な生物の代わりに、in vivoで本明細書における一実施形態の方法を実施するための宿主としても使用できる。適した真核細胞は、あらゆるヒトでない細胞であってよいが、しかし特に植物細胞又は真菌細胞である。
他の特定の実施形態において、ポリペプチドは、配列番号2を含む。
他の特定の一実施形態に従って、前記実施形態のいずれかにおいて使用されるドリメノールシンターゼ活性を有するか又は前記実施形態のいずれかにおいて使用される核酸によりコードされる少なくとも1つのポリペプチドは、遺伝子工学によって得られる、配列番号2の多様体であるアミノ酸配列を含むが、但し、該多様体は、前記されたようなそのドリメノールシンターゼ活性を維持しており、かつ必要なパーセンテージの配列番号2に対する同一性を有する。他の場合、前記ポリペプチドは、特に、配列番号1又は配列番号5又はそれらの補体を改変することによって得られるヌクレオチド配列によってコードされたアミノ酸配列を含む。より特定の一実施形態に従って、前記実施形態のいずれかにおいて使用されるドリメノールシンターゼ活性を有するか又は前記実施形態のいずれかにおいて使用される核酸のよりコードされた少なくとも1つのポリペプチドは、遺伝子工学によって得られる、配列番号2の多様体であるアミノ酸配列、すなわち、配列番号1又は配列番号5又はそれらの補体を改変することによって得られるヌクレオチド配列によってコードされたアミノ酸配列からなる。
他の特定の一実施形態に従って、前記実施形態のいずれかにおいて使用されるドリメノールシンターゼ活性を有するか又は前記実施形態のいずれかにおいて使用される核酸によりコードされる少なくとも1つのポリペプチドは、他の生物、例えば他の植物種において自然に見出される配列番号2の多様体あり、但し、それは、そのドリメノールシンターゼ活性維持する。本明細書において使用されるように、ポリペプチドは、本明細書において同定されるアミノ酸配列を含むポリペプチド又はペプチドフラグメント、並びに切断されたポリペプチド又は多様体ポリペプチドとして意図され、但し、それらは、前記で定義したようなそれらのドリメノールシンターゼ活性を維持し、かつ少なくとも配列番号2の対応するフラグメントと定義したパーセンテージの同一性を共有する。
多様体ポリペプチドの例は、選択的mRNAスプライシングから又は本明細書において記載されたポリペプチドのタンパク質切断からもたらされる自然に生じるタンパク質である。タンパク質分解による多様性は、例えば、本明細書における一実施形態のポリペプチドからの1つ以上の末端アミノ酸のタンパク質分解性除去による、種々のタイプの宿主細胞における発現に対するN末端又はC末端での差異を含む。以下に記載されているように、本明細書における一実施形態の核酸の自然変異又は人工変異によって得られた核酸によってコードされたポリペプチドも、本明細書における一実施形態によって含まれる。
アミノ末端及びカルボキシル末端で追加のペプチド配列の融合から得られるポリペプチド多様体も、本明細書における一実施形態の方法で使用されうる。特に、かかる融合は、ポリペプチドの発現を高めることができ、タンパク質の精製において有用であり、又は所望の環境又は発現システムでポリペプチドの酵素活性を改善する。かかる追加のペプチド配列は、例えばシグナルペプチドであってよい。したがって、本発明は、多様体ポリペプチド、例えば他のオリゴペプチド又はポリペプチドとの融合によって得られたもの、及び/又はシグナルペプチドに連結させたものを使用する方法を含む。他の機能性タンパク質、例えばテルペン生合成経路からの他のタンパク質との融合から得られるポリペプチドは、有利には、本明細書における一実施形態の方法においても使用されうる。
他の一実施形態に従って、前記実施形態のいずれかにおいて使用されるドリメノールシンターゼ活性を有するか又は前記実施形態のいずれかにおいて使用される核酸によりコードされる少なくとも1つのポリペプチドは、ボタン科の植物から、特に塊根芍薬から単離される。本明細書における一実施形態の方法を実施するために重要な手段は、ポリペプチド自体である。したがって、ドリメノールシンターゼ活性を有し、かつ配列番号2のアミノ酸配列を含有するポリペプチドが、本明細書において提供される。
特定の一実施形態に従って、ポリペプチドは、セスキテルペンの混合物を製造することができ、その際、ドリメノールは、少なくとも20%、特に少なくとも30%、特に少なくとも35%、特に少なくとも90%、特に少なくとも95%、より特に少なくとも98%の製造されたセスキテルペンを示す。本明細書で提供される他の態様において、ドリメノールは、95%以上、より特に98%以上の選択性で製造される。
特定の実施形態に従って、ポリペプチドは、配列番号2のアミノ酸配列を含む。
他の特定の実施形態に従って、ポリペプチドは、配列番号2からなる。
少なくとも1つのポリペプチドは、遺伝子工学によって得られるか、又はボタン属植物においてもしくは他の植物種において自然に見出される配列番号2の多様体であるアミノ酸配列を含む。他の場合、多様体ポリペプチドが遺伝子工学により得られる場合に、前記ポリペプチドは、配列番号5又はそれらの補体を改変することによって得られるヌクレオチド配列によってコードされたアミノ酸配列を含む。より特定の一実施形態に従って、ドリメノールシンターゼ活性を有する少なくとも1つのポリペプチドは、遺伝子工学によって得られた配列番号2の多様体であるアミノ酸配列、すなわち配列番号5を改変することによって得られるヌクレオチド配列によってコードされたアミノ酸配列からなる。
他の実施形態に従って、ポリペプチドは、ボタン科の植物から、特に塊根芍薬から単離される。本明細書において使用されるように、ポリペプチドは、本明細書において同定されるアミノ酸配列を含むポリペプチド又はペプチド断片、並びに短縮されたポリペプチド又は多様体ポリペプチドとして意図され、但し、それらは、前記で定義したようなそれらの活性を維持し、かつ少なくとも配列番号2の対応する断片と定義したパーセンテージの同一性を共有する。
前記のように、本明細書における一実施形態のポリペプチドをコードする核酸配列は、前記方法がin vivoで実施される場合に使用されるべきであると意図されるヒトでない宿主生物又は細胞を改変するために有用な手段である。
したがって、前記実施形態のいずれかに従ってポリペプチドをコードする核酸が、本明細書においても提供される。
より特定の一実施形態に従って、核酸は、配列番号1又は配列番号5又はそれらの補体を含む。
他の特定の一実施形態に従って、核酸は、配列番号5又はそれらの補体のヌクレオチド配列からなる。
本明細書における一実施形態の核酸は、一本鎖形又は二本鎖形(DNA及び/又はRNA)でのデオキシリボヌクレオチド又はリボヌクレオチドを含むと定義されうる。“ヌクレオチド配列”の用語は、別々のフラグメントの形で、又はより大きい核酸の成分としてポリヌクレオチド分子又はオリゴヌクレオチド分子を含むとも解されるべきである。本明細書における一実施形態の核酸は、実質的に内因性材料を汚染することを有さないものを含むある単離されたヌクレオチド配列も含む。本明細書における一実施形態の核酸は短縮されてよいが、但し、前記のように本発明に含まれるポリペプチドをコードする。
一実施形態において、本明細書における一実施形態の核酸は、ボタン種もしくは他の種の植物中で自然に存在するか、又は配列番号1もしくは配列番号5もしくはそれらの補体を改変することによって得られてよい。
配列番号1又は配列番号5又はそれらの補体の変異によって得られた配列を含む核酸は、本明細書における一実施形態に含まれるが、但し、それらを含む配列は、配列番号1又は配列番号5又はそれらの補体の定義された配列を共有し、かつそれらは、前記実施形態のいずれかにおいて定義されたように、ドリメノールシンターゼ活性を有するポリペプチドをコードする。変異は、これらの核酸のあらゆる種類の変異、例えば点変異、挿入変異及び/又はフレームシフト変異であってよい。多様体核酸は、そのヌクレオチド配列を特定の発現系に適応するために製造されてよい。例えば、細菌発現系は、アミノ酸が特定のコドンによってコードされる場合に、ポリペプチドをより効率的に発現することが公知である。
遺伝子コードの縮重によって、1つ以上のコドンが、同一のアミノ酸配列をコードしてよく、多重核酸配列は、同一のタンパク質又はポリペプチドについてコードでき、その際、全てのこれらのDNA配列は、本明細書における一実施形態に含まれる。適宜、ドリメノールシンターゼをコードする核酸配列は、宿主細胞中で増加させた発現について最適化されてよい。例えば、本明細書における一実施形態のヌクレオチドを、改良された発現のために特に宿主によってコドンを使用して合成してよい。
本明細書における一実施形態の方法をin vivoで実施するために適した宿主生物又は細胞を形質転換するための他の重要な手段は、本明細書における一実施形態のあらゆる実施形態に従った核酸を含む発現ベクターである。したがって、かかるベクターも、本明細書において提供される。
本明細書において提供される発現ベクターは、さらに以下で開示されるように、本明細書における一実施形態の核酸を宿す宿主生物及び細胞中で遺伝子的に形質転換された宿主生物及び/又は細胞を製造するための方法において、並びにドリメノールシンターゼ活性を有するポリペプチドを製作するための方法において使用されてよい。
本明細書における一実施形態の少なくとも1つの核酸を宿すために形質転換させて、本明細書における一実施形態の少なくとも1つのポリペプチドを非相同的に発現又は過剰発現する組換えたヒトでない宿主生物及び細胞は、本明細書における一実施形態の方法を実施するための非常に有用な手段でもある。したがって、かかるヒトでない宿主生物及び細胞が、本明細書において提供される。
前記実施形態のいずれかに従った核酸は、ヒトでない宿主生物及び細胞を形質転換するために使用されてよく、かつ発現させたポリペプチドは、前記ポリペプチドのいずれかであってよい。
本明細書における一実施形態のヒトでない宿主生物は、任意のヒトでない多細胞又は単細胞生物であってよい。特定の一実施形態において、ヒトでない宿主生物は、植物、原核生物又は真菌である。あらゆる植物、原核生物又は真菌が、本明細書において記載された方法に従って形質転換するために適している。特に有用な植物は、多量のテルペンを自然に製造するものである。
より特定の一実施形態において、ヒトでない宿主生物は、微生物である。あらゆる微生物がヒトでない宿主生物として適しているが、さらにより特定の一実施形態に従って、該微生物は細菌又は酵母菌である。最も特に、細菌は大腸菌であり、かつ前記酵母は、サッカロミセス・セレビジエである。
単離された高次真核細胞を、完全な生物の代わりに、形質転換させることもできる。高次真核細胞とは、ここで酵母菌細胞を除いたあらゆるヒトでない真核細胞を意味する。特定の高次真核細胞は、植物細胞又は真菌細胞である。
多様体は、ポリペプチド骨格に共有結合又は非共有結合する改変基の付着により、本明細書における一実施形態のポリペプチドとも異なる。多様体は、導入されたN結合した又はO結合したグリコシル化部位、及び/又はシステイン残基の付加によって本明細書における一実施形態のポリペプチドとは異なるポリペプチドも含む。当業者は、どのようにアミノ酸配列を改変するか、及び生物学的活性を保持するかを認識している。
あらゆるドリメノールシンターゼタンパク質、多様体又は断片の機能性又は活性を、種々の方法を使用して測定してよい。例えば、植物、細菌又は酵母菌の細胞における一過性の又は安定した過剰発現が、タンパク質が活性化されているかどうか、すなわちFPP前駆体からドリメノールが製造されているかどうかを試験するために使用されてよい。ドリメノールシンターゼ活性は、機能性を示すドリメノールの製造に対して、微生物発現系で、例えば本明細書における実施例2において記載されるアッセイで評価される。本明細書における一実施形態のドリメノールシンターゼポリペプチドの多様体又は誘導体は、FPP前駆体からドリメノールを製造するための能力を保持している。本明細書において提供されるドリメノールシンターゼの多様体のアミノ酸配列は、例えば変性された基質利用、反応速度、生成物分布又は他の変性を含む、追加の所望の生物学的機能を有してよい。
本明細書における一実施形態は、in vitro又はin vivoでFPP前駆体と本明細書における一実施形態のポリペプチドとを接触してドリメノールを製造するための方法において使用されるべき本明細書における一実施形態のポリペプチドを提供する。
本明細書において提供されるポリペプチド又は多様体ポリペプチドをコードする単離された組換え又は合成ポリヌクレオチドも本明細書において提供される。本明細書における一実施形態は、FPP前駆体から細胞中でドリメノールの製造を触媒作用する配列番号2のアミノ酸又はそれらの断片を有するドリメノールシンターゼについてコードする配列番号1又は配列番号5の単離された組換え又は合成核酸配列を提供する。cDNA、ゲノムDNA及びRNA配列も本明細書において提供される。ドリメノールシンターゼをコードするあらゆる核酸配列又はそれらの多様体は、ドリメノールシンターゼをコードする配列として本明細書に挙げられる。
特定の一実施形態に従って、配列番号1又は配列番号5の核酸配列は、実施例において記載されているように得られるドリメノールシンターゼをコードするドリメノールシンターゼ遺伝子のコード配列である。
配列番号1又は配列番号5のポリヌクレオチドの断片は、本明細書における一実施形態のポリヌクレオチドの長さで特に少なくとも15bp、少なくとも30bp、少なくとも40bp、少なくとも50bp及び/又は少なくとも60bpである連続ヌクレオチドをいう。特にポリヌクレオチドの断片は、本明細書における一実施形態のポリヌクレオチドの連続ヌクレオチドを少なくとも25、より特に少なくとも50、より特に少なくとも75、より特に少なくとも100、より特に少なくとも150、より特に少なくとも200、より特に少なくとも300、より特に少なくとも400、より特に少なくとも500、より特に少なくとも600、より特に少なくとも700、より特に少なくとも800、より特に少なくとも900、より特に少なくとも1000含む。本明細書におけるポリヌクレオチドの断片は、PCRプライマーとして、及び/又はプローブとして、又はアンチセンス遺伝子のサイレンシング又はRNAiのために使用されてよい。
本明細書における一実施形態のポリヌクレオチドを含む遺伝子が、当業者に公知の方法により、利用できるヌクレオチド配列情報、例えば付属の配列表において見出される情報に基づいてクローン作製されうることは、当業者に明確である。これらは、例えば、センス方向で生じ、かつセンス鎖の合成を開始し、かつ他は逆相補的な方法で作製され、かつアンチセンス差を生じる、かかる遺伝子のフランキング配列を示すDNAプライマーの設計を含む。熱安定性のDNAポリメラーゼ、例えばポリメラーゼ連鎖反応において使用されるものは、かかる実験を実施するために一般に使用される。代わりに、遺伝子を表すDNA配列は、化学的に合成され、続いて、例えば適合性の細菌、例えば大腸菌によって増殖されてよいDNAベクター分子中で導入されてよい。
本明細書において提供される関連する一実施形態において、ドリメノールシンターゼをコードする核酸配列を検出するためのPCRプライマー及び/又はプローブが提供される。当業者は、配列番号1又は配列番号5に基づいて、ドリメノールシンターゼをコードする核酸配列又はそれらの断片を増幅するための縮重した又は特異的なPCRプライマー対を合成するための方法を認識している。ドリメノールシンターゼをコードする核酸配列のための検出キットは、ドリメノールシンターゼをコードする核酸配列について特異的なプライマー及び/又はプローブ、並びに試料中でドリメノールシンターゼをコードする核酸配列を検出するためにプライマー及び/又はプローブを使用するための関連するプロトコルを含んでよい。かかる検出キットは、植物が改変されているかどうか、すなわちドリメノールシンターゼをコードする配列で形質転換されているかどうかを測定するために使用されてよい。
配列番号1又は配列番号5の変異により得られる核酸配列は、常に製造されることができ、かつ本明細書において提供される実施形態の範囲内でもある。1つ以上のヌクレオチドの変異、欠失、挿入、及び/又は置換を、配列番号5のDNA配列に導入することができることは、当業者に明らかである。一般に、変異は、製造されたポリペプチドのアミノ酸配列を変更できる遺伝子のDNA配列における変化である。
本明細書における一実施形態に従った多様体DNA配列の機能を試験するために、関心のある配列は、選択可能な又はスクリーニング可能なマーカー遺伝子に操作可能に連結され、かつレポーター遺伝子の発現が、プロトプラストでの一過性の発現発生で、又は安定して形質転換された植物で試験される。当業者は、発現を操作できるDNA配列が、モジュールとして構築されることを認識している。したがって、より短いDNA断片からの発現レベルは、最も長い断片からの発現レベルとは異なってよく、かつ互いに異なってよい。本明細書において提供されるドリメノールシンターゼタンパク質をコードする核酸配列、すなわち、配列番号1又は配列番号5の核酸配列にストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸配列の機能的当量も本明細書において提供される。
当業者は、他の生物における相同配列を同定するための方法、及び相同配列間の配列同一性のパーセンテージを決定するための方法(本明細書における定義の段落において関連づけられる)を認識している。そして、かかる新たに同定されたDNA分子を、配列決定してよく、そしてその配列を、配列番号1又は配列番号5の核酸配列と比較してよい。
本明細書において提供される関連する一実施形態は、配列番号1又は配列番号5に従った核酸配列、例えば抑制性RNAsに相補的である核酸配列、又はストリンジェントな条件下で配列番号1又は配列番号5に従ったヌクレオチド配列の少なくとも一部にハイブリダイズする核酸配列を提供する。本明細書における一実施形態の代わりの一実施形態は、宿主細胞中で遺伝子発現を変化するための方法を提供する。例えば、本明細書における一実施形態のポリヌクレオチドは、宿主細胞又は宿主生物中で、ある状況で(例えば、昆虫が噛むか刺し、又は特定の温度に曝すことで)高められるか又は過剰発現されるか又は誘発されてよい。
本明細書において提供されるポリヌクレオチドの発現の変化は、変化させた生物における、及び対照又は野生型の生物における種々の発現パターンである「異所性発現」ももたらす。発現の変化は、本明細書における一実施形態のポリペプチドと外因性又は内因性修飾因子との相互作用から生じるか、又はポリペプチドの化学的改変の結果として生じる。その用語は、検出レベル以下又は完全に抑制された活性である本明細書における一実施形態のポリヌクレオチドの変化された発現パターンもいう。
一実施形態において、いくつかのドリメノールシンターゼをコードする核酸配列は、単独の宿主で、特に種々のプロモーターの制御下で、同時発現される。代わりに、いくつかのドリメノールシンターゼをコードする核酸配列は、単独の形質転換ベクターが存在してよく、又は別々のベクターを使用して、及び双方のキメラ遺伝子を含む形質転換体を選択して、同時に同時形質転換されてよい。同様に、1つ以上のドリメノールシンターゼをコードする遺伝子は、例えば害虫耐性又はその他を高める他のタンパク質をコードする、他のキメラ遺伝子と一緒に単独の植物で発現されてよい。
ドリメノールシンターゼタンパク質をコードする本明細書における一実施形態の核酸配列は、宿主細胞又は宿主生物中でドリメノールシンターゼタンパク質を製造するために、張る弦ベクター中に挿入されてよく、及び/又は発現ベクター中で挿入されたキメラ遺伝子において含まれてよい。宿主細胞のゲノム中へ導入遺伝子を挿入するためのベクターは、当業者に周知であり、かつプラスミド、ウィルス、コスミド及び人工染色体を含む。キメラ遺伝子が挿入される二元の又は同時組み込み型のベクターも、宿主細胞を形質転換するために使用される。
本明細書において提供される一実施形態は、ドリメノールシンターゼ遺伝子の核酸配列を含む組換え発現ベクター、又は関連する核酸配列、例えばプロモーター配列に操作可能に連結したドリメノールシンターゼ遺伝子の核酸配列を含むキメラ遺伝子を提供する。例えば、キメラ遺伝子は、配列番号1又は配列番号5の核酸配列を含むか、又は場合により3’非翻訳核酸配列に連結した植物細胞、細菌細胞もしくは真菌細胞中での発現に適したプロモーター配列に操作可能に連結してよい。
代わりに、プロモーター配列は、ベクター中で既に存在していてよく、その結果、転写されるべき核酸配列は、プロモーター配列の下流のベクター中に挿入される。ベクターは、典型的に、複製、マルチクローニング部位、及び選択可能なマーカーの起点を有する。
次の実施例は、特許請求の範囲及び本明細書において記載された一実施形態を制限することを意図しない。
実施例
実施例1
塊根芍薬の植物材料源及び根のトランスクリプトームの配列決定
塊根芍薬の植物材料を、Datong社(中国、チンハイ)から得た。塊根芍薬がドリメノールを含んでいたどうかを証明するために、根を採取し、日陰で乾燥させ、そしてジクロロメタンで抽出した。その抽出物を、GC−MSにより分析し、GC−MS分析のパラメータを以下のように記載した:DB1−msカラム30m×0.25mm×0.25μm(フィルムの厚さ)、P/N 122−0132(J&W scientific Inc、Folsom、CA)を備え、5975シリーズの質量分析器を連結したAgilent 6890シリーズGCシステムを使用した。キャリヤーガスは、0.7mL/分の一定流でのヘリウムであった。注入は、250℃に設定したインジェクタ温度でスプリット(1:5)モードであった。炉温度を、50℃(5分保持)〜300℃(5℃/分で)、〜340℃(50℃/分)にプログラム設定し、そして3分間保持した。生成物の同定を、標準から記録されたデータとの比較に基づいて実施した。塊根芍薬の根は、少量のドリメノールを含んでいた(図5)。
塊根芍薬の新鮮な根を、トランスクリプトーム分析のために使用した。全RNAを、Column Plant RNA out(TIANDZ、中国)を使用して抽出した。この全RNAを、Illumina Total RNA−Seq技術を使用して加工し、Illumina MiSeqシーケンサーで配列決定した。合計900万個の2×251bpのペアエンドリード(paired−end read)が生じた。そのリードを、Trinity(http://trinityrnaseq.sf.net/)ソフトウェアを使用して構築した。平均サイズ1109bpを有する26457個のunigeneを得た。unigeneを、NCBI Blast(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/)及びInterProScanソフトウェア(http://www.ebi.ac.uk/Tools/pfa/iprscan/)により注釈を付けた。このアプローチは、PaTPS1を含む7個の新たな推定セスキテルペンシンターゼについての配列を提供した。PaTPS1の酵素活性を、次の実施例において記載したように評価した。
実施例2
塊根芍薬からのPaTPS1の機能発現及び特徴付け
Column Plant RNA outキットによって抽出した全RNAを、SuperScriptIII First−Strand Synthesisキット(Invitrogen、上海、中国)を使用してcDNA中に最初に逆転写した。そして、その生成物を鋳型として使用し、順方向プライマー(5’−GGGGTACCATGTCTCTTCCCGTCTCAGTAG−3’)及び逆方向プライマー(5’−GCTCTAGATCATATTGGGATGGGATCAATT−3’)を使用して塊根芍薬のcDNAライブラリから遺伝子を増幅させ、そして制限酵素部位KpnIを、PaTPS1の5’末端に付加し、XbaIを3’末端に付加した。そして、PaTPS1を、変性させたバイナリーベクターpCAMBIA2300−35S−OCS−35S−GgFPSopt中にサブクローニングして、pCAMBIA2300−35S−OCS−35S−GgFPSopt−PaTPS1(略してpGgFPS−PaTPS1)を形成した。
pCAMBIA2300−35S−OCS−35S−GgFPSoptは、市販のプラスミドpCAMBIA2300(Cambia社製)に基づく操作したベクターである。カリフラワーモザイクウィルスプロモーター(CaMV35S)を、制限酵素部位EcoRIとKpnIと間に挿入し、オクトピンシンターゼ(OCS)ターミネーターを、PstIとHindIIIとの間に挿入し、そしてpCAMBIA2300プラスミドのトランスファーDNAの右境界配列と左境界境界(T−境界)の内側のカナマイシン耐性遺伝子を、XhoI制限酵素を使用して、方向を確認して、コドン最適化した赤色野鶏(Gallus gallus)ファルネシル二リン酸シンターゼ(GgFPS)で置換した。そして、バイナリーベクターpCAMBIA2300−35S−OCS−35S−GgFPSoptを形成して、セスキテルペンシンターゼの前駆体、ファルネシルピロリン酸(FPP)を生成した。
pGgFPS−PaTPS1プラスミド1マイクログラムを、アグロバクテリアEHA105中に形質転換した。形質転換した細胞を、2日間28℃でカナマイシン(50μg/mL)及びリファンピシン(25μg/mL)LBAGAラースプレート上で選択した。LB25mL中に同様の抗生物質と一緒に単コロニーを接種し、28℃で200rpmの速度での撹拌機中で一晩インキュベートした。OD600で1.0に達したら、培養液を5000rpmで10分間室温で遠心分離した。沈殿物を、MgSO420mL(10mM)で再懸濁した。そして、その懸濁液を再度遠心分離し、そしてその沈殿物を、アセトシリンゴン(AS)溶液5mL(765μM)で再懸濁し、そしてOD600を、AS溶液で1.0に調整した。
遺伝子サイレンシングを抑制できるトマトブッシースタントウイルスp19で形質転換したアグロバクテリア株を、pGgFPS−PaTPS1で形質転換した株と1:1の体積比で混合した。その混合物を、28℃で12時間明所/12時間暗所の光周期で4週齢のタバコの葉の背軸側から細胞間隙中に浸潤させた。3日後に、感染させた葉にメバロン酸塩(25mM)を供給した。8時間後に、葉試料を回収し、そして葉約100〜300mgを、2個のビーズと一緒に10mLエッペンドルフチューブ中に秤量し、そして液体窒素中で直ちに凍結させた。その試料を、粉砕して、振ることによって粉末にし、そして内部標準としてドデカン20μg/mLと一緒に酢酸エチル2mLにより一晩抽出した。その試料をろ過し、そして濾過物を、無水Na2SO4上で乾燥させ、そしてGC/MSにより分析した。GC/MSのパラメータは、実施例1において記載したパラメータと同様であった。
このタバコの一過性形質転換実験において、PaTPS1は、標準から記録したデータとの比較に基づいて唯一の検出可能な生成物としてドリメノールを生成した(図6)。この実験におけるドリメノールの収率を、内部標準に対して、新鮮なタバコの葉1グラム当たり3.9μgのドリメノールとして算出した。
Figure 2018536400
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Claims (16)

  1. ドリメノールの製造方法であって、
    i)非環式ファルネシル二リン酸(FPP)前駆体と、ドリメノールシンターゼ活性を有し、かつ配列番号2に対して少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性を有するか又は配列番号2を含むポリペプチドとを接触させて、ドリメノールを製造すること;及び
    ii)任意にドリメノールを単離すること
    を含む、前記方法。
  2. ドリメノールを単離する、請求項1に記載の方法。
  3. ドリメノールと少なくとも1つの酵素とを接触して、ドリメノール誘導体を製造することを含む、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 化学合成を使用してドリメノールをドリメノール誘導体に変換することを含む、請求項1から3までのいずれか1項に記載の方法。
  5. 配列番号2を含む、ドリメノール活性を有する単離されたポリペプチド。
  6. ドリメノールシンターゼ活性を有し、かつ配列番号2に対して少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性を有する、単離されたポリペプチド。
  7. 配列番号1及び配列番号5からなる群から選択される、請求項5及び6に記載のポリペプチドをコードする単離された核酸分子。
  8. 配列番号1及び配列番号5からなる群から選択されるヌクレオチド配列に対して50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性を有する、請求項5及び6に記載のポリペプチドをコードする単離された核酸分子。
  9. ドリメノールシンターゼ活性を有し、かつ配列番号2に対して少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性を有するか又は配列番号2を含むポリペプチドをコードする核酸で宿主細胞又は非ヒト生物を形質転換し、ポリペプチドの製造が可能な条件下で宿主細胞又は生物を培養する工程を含む、請求項1に記載の方法。
  10. 請求項7及び8に記載の核酸分子を含むベクター。
  11. ベクターが、原核ベクター、ウィルスベクター又は真核ベクターである、請求項10に記載のベクター。
  12. 発現ベクターである、請求項10又は11に記載のベクター。
  13. 細胞が原核細胞である、請求項9に記載の方法。
  14. 細胞が細菌細胞である、請求項9に記載の方法。
  15. 細胞が真核細胞である、請求項9に記載の方法。
  16. 真核細胞が酵母菌細胞又は植物細胞である、請求項9に記載の方法。
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