JP2004531469A - 皮膚疾病の治療に使用するガングリオシドを含む組成物 - Google Patents
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Abstract
本発明は、少なくとも1種のガングリオシド又はその一部を含む薬理組成物である。この組成物は、皮膚疾病の治療に使用され得る。
Description
【0001】
(政府の権利)
本発明は、国立衛生研究所によって与えられた認可番号AR−44619の政府支援で行われた。政府は、本発明について確かな権利を有する。
【0002】
(本発明の背景)
ガングリオシドは、真核生物細胞の膜に偏在性のシアル酸を有するスフィンゴ糖脂質(炭水化物と脂質を含有する分子)である。ガングリオシドは、細胞成長及び細胞の相互作用のレギュレーターとして関係し、及び、分化、個体発生及び発癌性の形質転換の間に含有量がかなり変化し得る。種々の細胞の機能の制御における役割は、文献において報告されており、これは、メラノーマの表面における増加したGD3の報告を含む。しかしながら、皮膚細胞におけるガングリオシドの効果は、よく知られていない。
皮膚の疾病、例えば癌、乾癬及び魚鱗癬は、治療するのが困難な疾病の範疇に含まれ、これは、これらの疾病が取り得る形成の多様性によるものである。加えて、皮膚疾病に対する多くの治療が、毒薬、ステロイド、又は重篤な副作用若しくは免疫学的不適合性を有するかもしれない他の物質を含む。各疾病はそれ自身すべての個体において独特の方法で存在するので、新しい治療学は継続的に必要とされ、体に内因性の物質を利用する治療学では特にそうである。
【0003】
ガングリオシド及びガングリオシド含有量又は活性をコントロールする物質(すなわち、ガングリオシド修飾因子)は、従来技術において報告されているが、皮膚のガングリオシド、又はガングリオシド及びガングリオシド修飾因子を治療薬として皮膚疾病の治療に使用することの報告はまれである。あるガングリオシドが皮膚細胞中に存在し、このガングリオシドのレベルが、ある疾病において、通常の皮膚細胞における同レベルとは異なっていることを発見した。
例えば、及び例示目的のみで、GM3が、すべての皮膚細胞における主なガングリオシドであり、少量のガングリオシドGD3及びGT1bを有することを以前に発見した。興味深いことに、我々は、基底細胞癌の上皮腫瘍における増加した9−0−アセチル−GD3を述べ、および増加した9−O−アセチル−GD3が扁平細胞癌及び乾癬の患者からの皮膚細胞に見られる。我々の研究室は、ガングリオシドが皮膚細胞機能において重要な役割を果たすことを以前に判定し、これは、上皮細胞増殖、分化、ケラチノサイト移動性及び基質への付着のコントロールに限らず、皮膚に局在するいくつかの他の重要なプロセスを含む。
【0004】
ここで、皮膚で見いだされる所定のガングリオシド及びその修飾因子が、皮膚疾病を、皮膚細胞中のガングリオシド含有量の調節を含むメカニズムを通じて治療する治療薬として使用し得ることを、発明の一部として開示する。ガングリオシドは、細胞の通常の成分であり、従って、これは、いかなる免疫性の反応を起こさないだろう。さらに、その非ステロイド性、非毒性が、多くの従来の治療に存在する前記影響を最小化し得ると考えられる。最後に、ガングリオシド含有量の調節は、ガングリオシドの行動のメカニズムを含む皮膚疾病に対するすべての他の利用可能な治療法とは異なり、この治療法は、他の現在利用できる治療法と共に使用されてもよいことを示唆する。
【0005】
(本発明の概要)
本発明は、薬理組成物及び皮膚疾病の治療において治療学的に効果的な投与方法である。この組成物は、少なくとも1種のガングリオシド又はその一部を含む。この組成物において使用されるガングリオシドは、合成又は半合成であり得、切断された脂質成分を含み得る。切断された脂質成分は、約1〜約17の炭素を含み得る。加えて、この組成物は、ガングリオシド含有量又は活性を調節する少なくとも1つの薬剤も含み得る。使用され得る薬剤は、1以上の遺伝子、アンチセンス核酸、抗ガングリオシド抗体又はガングリオシド結合部位に向けられた抗体を含むが、これらに限定されるものではない。
従って、本発明の目的は、皮膚疾病の治療のためのガングリオシド又はガングリオシド修飾因子を含む薬理組成物を提供することにある。本発明の他の目的は、薬理組成物の投与方法を提供することにある。
【0006】
(好ましい態様の詳細な説明)
本発明は、皮膚状態の治療のための薬理組成物であり、この状態は、限定されることなく、皮膚細胞過成長及び成長不足、創傷治癒、細胞侵入、乾癬及び他の炎症疾病、例えば、限定されることなく、アレルギー性の接触性皮膚炎及びアトピー性皮膚炎を含む。この組成物は、限定されることなく、少なくとも1種のガングリオシド又はその一部(その単一の画分、二成分の混合物又は三つの混合物)を含む。加えて、組成物は、遺伝子、又は、ガングリオシド含有量若しくは活性を調節する他の物質、例えば、限定されることなく、抗ガングリオシド抗体若しくはガングリオシド結合部位に対する抗体、ガングリオシド含有量若しくは活性を調節する遺伝子をコードするDNA又はmRNAに結合するアンチセンス核酸、又はガングリオシドの変化を誘導し若しくはそのターゲット分子の発現を上方制御する薬物を含み得る。加えて、この組成物において使用されるガングリオシドは、合成又は半合成であり得、及び約1〜約17の炭素を有する切断された脂質成分を含み得る。例えば、オリゴ糖は、合成され及びその後短縮したセラミド、例えば、C2又はC8セラミドと、ルーチンの技術を使用してリンクされ得る。ガングリオシドを合成する技術は、当該技術において既知である(Hideharu, I.ら、Trends in Glycoscience and Glycotechnology, 13(69):57−64(2001)、Ladisch, S.,ら、Biochemistry, 34:1197−1202(1995)、Ladisch, S.,ら、PNAS USA, 91:1974−1978(1994)、Ladisch, S.ら、Biochim. Phys. Acta, 1125: 180−188(1992)参照。それぞれここで参照として取り入れる)。
本発明の組成物は、限定されることなく、アンプル、クリーム、軟膏、ゲル、ペレット、パッチ又は溶液を含む現在既知の又は今後開発されるすべての好適な製剤形態であり、薬理的に許容される担体に入れて、任意に補助剤を含めて、調製され得る。本発明は、限定されることなく、局所的デリバリー、皮下又は病巣内、筋肉内、経皮的及び経皮性のデリバリー、又は遺伝子治療法を含む現在既知の又は今後開発される種々の好適な手段によって患者に投与される。
【0007】
【実施例】
実施例1:細胞成長のモジュレーターとしてのガングリオシド
皮膚の基底細胞及び扁平細胞癌、乾癬、及び皮膚過成長の一般的疾病のひとつの発現、例えば、ある種の魚鱗癬の形成は、皮膚の過増殖である。我々の実験において、ガングリオシド含有量の改変(alternation)は、薬理学的操作によっても、又は遺伝子治療を通した内因性の改変によっても、皮膚細胞の成長に影響することに着目した。例えば、例示としてであって本発明を限定する目的ではないが、ガングリオシド合成の“b”経路のガングリオシド、並びに前駆体ガングリオシド、つまりGM3の薬理学的添加は、皮膚細胞の増殖を阻害すると判断した(Pallerら、J. Invest. Dermatol., 100:841−845 (1993)参照、これはここで参照として取り入れる)。ここで、同じガングリオシドが低下すると、皮膚細胞の増殖が向上すると判定し;実際、シアル酸基をすべてのガングリオシドから切り刻むシアリダーゼ遺伝子を形質移入すると、全ガングリオシドが欠乏し、皮膚細胞の増殖につながると判定した。この向上した増殖は、培地において上皮性の成長因子を形質移入された細胞に添加することによってさらに強調される。多くの他のガングリオシドは、以下に示すように類似の効果を有し、治療的処置に使用され得ると考えられる。
【0008】
ガングリオシドが枯渇した皮膚細胞の過成長に対するメカニズム、及び、皮膚細胞の成長を増加したガングリオシドGM3で阻害することに対するメカニズムは、上皮成長因子レセプターのリガンド(上皮性成長因子及びトランスフォーミング成長因子−α) に結合するための該レセプターの有効性を低下させる。このメカニズムは、ケラチノサイトにおける上皮成長因子レセプターの炭水化物成分に対するGM3の直接結合を含む。さらに、影響されたものは、上皮成長因子情報伝達形質導入経路中の下流成分であり、例えば、GM3は、MAPキナーゼ及びPI3キナーゼのリン酸化を下方制御する。
培養された細胞におけるこれらの効果は、インビボにおけるガングリオシド含有量の調節が、皮膚細胞増殖における改変を導き得ることを示す。従って、ガングリオシドの増加した含有量は、例えば、皮膚中のGM3に限定されることなく、疾病、例えば、皮膚の共通の基底細胞及び扁平細胞癌、乾癬、及び魚鱗癬のような皮膚過成長の一般的疾病における皮膚の過増殖を減少することができる。加えて、いくつかの腫瘍性状態の細胞は、多数の上皮成長因子レセプターを有し、ガングリオシド含有量の増加は、上皮成長因子レセプターの活性を調節し、腫瘍性細胞の成長を抑制する手段であってもよい。対照的に、ガングリオシドの枯渇は、ケラチノサイトの増殖、例えば、上皮性アトロフィの状態を増加するか、又は創傷治癒を促進するための手段であってもよい。
本発明において、我々は、ガングリオシド及びガングリオシド修飾因子を、皮膚細胞中のガングリオシド含有量をガングリオシド又はその一部の直接添加によって、又はガングリオシド合成を薬理学的に若しくは遺伝子導入によって修飾する酵素の調節によって、増加又は減少するために使用される。例えば、ケラチノサイト由来細胞中へのガングリオシド合成及び代謝を調節する酵素をコードする異なる遺伝子を紹介した。その結果、ガングリオシド発現だけ異なる同一起源の形質転換された細胞の幅広いアレイを開発した。すなわち、ガングリオシドを発現しない細胞株(シアリダーゼ遺伝子)、GM3が少なく、GD3が多い細胞株(GD3合成遺伝子)、GD2及びGT1bを多く有する細胞株(GM2/GD2シンターゼ)、GD3が少ないが、9−O−アセチル−GD3が多い細胞株(9−O−アセチルトランスフェラーゼ)である。従って、これら種々の酵素の選択的過発現により、皮膚細胞機能における特定の効果を有するガングリオシドの改変の予想可能で特定のパターンとなる。これらの細胞株は、我々の研究室及び他の研究者の研究室における皮膚細胞の特定のガングリオシドの行動の研究に有用となるだろう。さらに、本発明の範囲内では、ガングリオシド結合部位又は活性部位と反応する抗体、及びガングリオシド又はガングリオシド制御経路内における他の遺伝子に対する遺伝子コードの発現に影響する核酸がある。
【0009】
実施例2:フィブロネクチンマトリックス相互作用のモデレーターとしてのガングリオシド
フィブロネクチン物質におけるケラチノサイト運動性は、創傷治癒の再上皮化、及び、皮膚の悪性腫瘍の広がりにおいて重要である。ガングリオシドGT1b及びGD3がフィブロネクチンにおけるケラチノサイト及びケラチノサイト由来細胞の付着及び移入を抑制することを発見した(Paller, A.S.ら、J. Invest. Dermatol.、105:237−242(1995);Sung, C−C.ら、Exp. Cell Res., 239:311−319(1998);Wang, X−Qら、J. Biol. Chem., 276(68):44504−44511(2001)参照、これらはここで参考として取り入れる)。逆に、シアリダーゼ遺伝子調節を通したガングリオシドの内因性枯渇は、フィブロネクチン及びビトロネクチンへの細胞の付着を増強する。ガングリオシドは、さらに、フィブロネクチンマトリックスにおける培養のときにケラチノサイトのアポトーシスを開始させる。
【0010】
ガングリオシドの効果のメカニズムは、ケラチノサイトa5b1とGT1b(及びGD3)との直接的相互作用を含み、結果としてFAKのリン酸化及びインテグリン連鎖キナーゼの阻害になる。ガングリオシドは、炭水化物成分を通して、a5b1のa5サブユニットと優先して相互作用する。インテグリンavb3は、a5b1と構造的に類似し、GD3及びGD2と結合し、これは、ビトロネクチンに対する付着を制限する。ガングリオシドとインテグリンb1とのすべての相互作用は、非常に弱くなり、GT1bは、b1と結合でき、そうすることによって、b1リン酸化及びセリン/スレオニンリン酸化を阻害する。
【0011】
a5b1とフィブロネクチンの相互作用は、皮膚の胚性発達、創傷治癒及び皮膚の悪性腫瘍の広がりにとって重要である。加えて、乾癬の患者からの細胞は、フィブロネクチンに対する付着の増加と、アポトーシスを起こす能力の減少を示すことは当業者に既知である。我々は、乾癬の患者からの移植片培養が、まさに通常細胞におけるように、付着物の明らかな阻害を有するGT1bでの薬理学的治療に応答し、乾癬における臨床効果を示唆することを確認した。インテグリンavb3は、皮膚の血管の発達及び増殖において重要な役割を演じ;増加した活性は、新しい血管新生を導く一方、阻害は、新しい血管の形成を阻害する。従って、より複雑な皮膚ガングリオシドにおける増加は、特にGT1bでは、乾癬を治療するための、又は、血管依存性プロセス、例えば、幼児における血管種の急速な成長を阻害する新規な薬剤であってもよい。対照的に、ガングリオシドの枯渇(例えば、増加した局所的シアリダーゼ活性)は、ケラチノサイトの移入の増加、ケラチノサイト増殖の増加、及び脈管形成の促進を通して、創傷治癒を促進するだろう。従って、本発明は、限定されることなくGT1b及びGD3、及びこれらガングリオシドの量及び行動に影響する他の薬剤を含むガングリオシドの投与を含み、フィブロネクチン相互作用をコントロールする。
【0012】
実施例3:マトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)活性を制御するためのガングリオシドの使用
興味深いことに、ガングリオシドが、さらに他の治療的効果、例えば、マトリックスメタロプロテイナーゼ活性における効果を有することを発見した(Wong, A−Q.ら、J. Invest. Dermatol., 114:8−12(2000)参照、ここで参考として取り入れる)。ガングリオシド枯渇を有するシアリダーゼ形質移入ケラチノサイトは、メタロプロテイナーゼ、すなわちTIMP−1の著しく増加したレベルを示し、結果としてMMP−9の活性はかなり減少する。対照的に、GM3又はGT1bの通常ケラチノサイト由来細胞に対する薬理学的添加により、MMP−9の活性に影響を与えることなく、TIMP−1及びMMP−9の双方の発現を顕著に抑制した。上皮成長因子(EGF)の添加が、MMP−9発現の発生及び活性を、MMP−9の活性に影響することなくさらに増加し、SCC12細胞中のその活性を増加するが、TIMP−1の発現には影響を与えないことを確認した。対照的に、タンパク質キナーゼC(PKC)阻害因子は、MMP−9発現を改変することなく、SCC12細胞中のTIMP−1の発現を減少する。これらのデータは、ガングリオシドが、MMP−9及びTIMP−1の発現を、上皮成長因子セレプター機能及びタンパク質キナーゼC機能のそれぞれへのその影響を通して調節することを示唆する。他の研究では、GT1b、GD3及びより小さな範囲でGM3は、MMP−2の発現及び活性を阻害する。対照的に、PKC活性の活性化因子(限定されることなく、コンカナバリンA及びPIP3を含む)は、MMP−2活性及びケラチノサイト由来SCC12細胞による発現を増加し、及びTIMP−2発現をほんのわずかだけ増加する。PKC及びガングリオシドGT1b又はGD3の双方の活性化因子がSCC12細胞とともにインキュベートされる場合、MMP−2の発現又は活性における変化は表れない。この研究は、より高いシアル酸付加ガングリオシドは、ケラチノサイトにおけるMMP−2発現及び活性を、PKC情報経路の抑制を含むメカニズムを通して調節するとの証拠を提供する。
【0013】
さらに、MMP−9及びMMP−2は、ともに、皮膚の悪性腫瘍の広がりに重要であり、MMP活性の調節の本発明の方法は、皮膚癌の拡散の能力に影響し得、従って、本発明は、さらに新規非外科的処置を示すと考えられる。脈管形成におけるマトリックスメタロプロテイナーゼ活性の重要性は、腫瘍成長(限定されることなく、乳児のメラノーマ及び血管種を含む)、創傷治癒、毛髪成長及び発生学的皮膚発達における異なるメカニズムを通したガングリオシドの役割を示唆する。従って、本発明は、ガングリオシドの使用を含み、これは、限定されることなく、GM3、GT1b、9−O−アセチル−GD3又はGD3を含み、これらガングリオシド及びその活性の修飾因子を含み、マトリックスメタロプロテイナーゼ活性を制御し、及び、関連する皮膚疾病の治療的処置を提供する。
【0014】
実施例4:インビボ研究
インビボ研究は、代謝における合成を修飾する酵素をコードする遺伝子で形質移入された細胞が、免疫不全マウスの皮膚及び得られた特徴付けされた腫瘍に注入されることによって行われる。これらの細胞は、インビトロにおいて、特定の酵素過発現として予想される、ガングリオシドにおける特定の改変を示した。細胞のインビボ特性は維持され、インビボで、これらマウスで成長した腫瘍において出現する。親の又はベクター形質移入されたコントロール細胞を有する腫瘍は、あるとすればまれに、生産され、及び外見上は、小さく、よく分化されている。同様に、GM2/GD2合成で形質移入された細胞は、その親の細胞と似ている小さな腫瘍を作る。対照的に、シアリダーゼ、GD3シンターゼ又は9−O−アセチルトランスフェラーゼを発現する遺伝子で形質移入された細胞からの腫瘍は、急速に大きなサイズに成長するが;過剰増殖腫瘍群の間の特徴は異なり、シアリダーゼ過発現腫瘍は、特に、悪性の“異数体”表現型及びかなり多数の有糸分裂細胞において、不十分な分化及び急速な成長を示す。
【0015】
前述は、例証及び例示目的で与えられる。成分、集合、物質、含有量、投与方法、及びここで記載された他の本発明のパラメーターにおける所定のバリエーションは、当業者に自明であり、及び、そのようなバリエーションは、本発明の範囲内にあることが意図されている。
(政府の権利)
本発明は、国立衛生研究所によって与えられた認可番号AR−44619の政府支援で行われた。政府は、本発明について確かな権利を有する。
【0002】
(本発明の背景)
ガングリオシドは、真核生物細胞の膜に偏在性のシアル酸を有するスフィンゴ糖脂質(炭水化物と脂質を含有する分子)である。ガングリオシドは、細胞成長及び細胞の相互作用のレギュレーターとして関係し、及び、分化、個体発生及び発癌性の形質転換の間に含有量がかなり変化し得る。種々の細胞の機能の制御における役割は、文献において報告されており、これは、メラノーマの表面における増加したGD3の報告を含む。しかしながら、皮膚細胞におけるガングリオシドの効果は、よく知られていない。
皮膚の疾病、例えば癌、乾癬及び魚鱗癬は、治療するのが困難な疾病の範疇に含まれ、これは、これらの疾病が取り得る形成の多様性によるものである。加えて、皮膚疾病に対する多くの治療が、毒薬、ステロイド、又は重篤な副作用若しくは免疫学的不適合性を有するかもしれない他の物質を含む。各疾病はそれ自身すべての個体において独特の方法で存在するので、新しい治療学は継続的に必要とされ、体に内因性の物質を利用する治療学では特にそうである。
【0003】
ガングリオシド及びガングリオシド含有量又は活性をコントロールする物質(すなわち、ガングリオシド修飾因子)は、従来技術において報告されているが、皮膚のガングリオシド、又はガングリオシド及びガングリオシド修飾因子を治療薬として皮膚疾病の治療に使用することの報告はまれである。あるガングリオシドが皮膚細胞中に存在し、このガングリオシドのレベルが、ある疾病において、通常の皮膚細胞における同レベルとは異なっていることを発見した。
例えば、及び例示目的のみで、GM3が、すべての皮膚細胞における主なガングリオシドであり、少量のガングリオシドGD3及びGT1bを有することを以前に発見した。興味深いことに、我々は、基底細胞癌の上皮腫瘍における増加した9−0−アセチル−GD3を述べ、および増加した9−O−アセチル−GD3が扁平細胞癌及び乾癬の患者からの皮膚細胞に見られる。我々の研究室は、ガングリオシドが皮膚細胞機能において重要な役割を果たすことを以前に判定し、これは、上皮細胞増殖、分化、ケラチノサイト移動性及び基質への付着のコントロールに限らず、皮膚に局在するいくつかの他の重要なプロセスを含む。
【0004】
ここで、皮膚で見いだされる所定のガングリオシド及びその修飾因子が、皮膚疾病を、皮膚細胞中のガングリオシド含有量の調節を含むメカニズムを通じて治療する治療薬として使用し得ることを、発明の一部として開示する。ガングリオシドは、細胞の通常の成分であり、従って、これは、いかなる免疫性の反応を起こさないだろう。さらに、その非ステロイド性、非毒性が、多くの従来の治療に存在する前記影響を最小化し得ると考えられる。最後に、ガングリオシド含有量の調節は、ガングリオシドの行動のメカニズムを含む皮膚疾病に対するすべての他の利用可能な治療法とは異なり、この治療法は、他の現在利用できる治療法と共に使用されてもよいことを示唆する。
【0005】
(本発明の概要)
本発明は、薬理組成物及び皮膚疾病の治療において治療学的に効果的な投与方法である。この組成物は、少なくとも1種のガングリオシド又はその一部を含む。この組成物において使用されるガングリオシドは、合成又は半合成であり得、切断された脂質成分を含み得る。切断された脂質成分は、約1〜約17の炭素を含み得る。加えて、この組成物は、ガングリオシド含有量又は活性を調節する少なくとも1つの薬剤も含み得る。使用され得る薬剤は、1以上の遺伝子、アンチセンス核酸、抗ガングリオシド抗体又はガングリオシド結合部位に向けられた抗体を含むが、これらに限定されるものではない。
従って、本発明の目的は、皮膚疾病の治療のためのガングリオシド又はガングリオシド修飾因子を含む薬理組成物を提供することにある。本発明の他の目的は、薬理組成物の投与方法を提供することにある。
【0006】
(好ましい態様の詳細な説明)
本発明は、皮膚状態の治療のための薬理組成物であり、この状態は、限定されることなく、皮膚細胞過成長及び成長不足、創傷治癒、細胞侵入、乾癬及び他の炎症疾病、例えば、限定されることなく、アレルギー性の接触性皮膚炎及びアトピー性皮膚炎を含む。この組成物は、限定されることなく、少なくとも1種のガングリオシド又はその一部(その単一の画分、二成分の混合物又は三つの混合物)を含む。加えて、組成物は、遺伝子、又は、ガングリオシド含有量若しくは活性を調節する他の物質、例えば、限定されることなく、抗ガングリオシド抗体若しくはガングリオシド結合部位に対する抗体、ガングリオシド含有量若しくは活性を調節する遺伝子をコードするDNA又はmRNAに結合するアンチセンス核酸、又はガングリオシドの変化を誘導し若しくはそのターゲット分子の発現を上方制御する薬物を含み得る。加えて、この組成物において使用されるガングリオシドは、合成又は半合成であり得、及び約1〜約17の炭素を有する切断された脂質成分を含み得る。例えば、オリゴ糖は、合成され及びその後短縮したセラミド、例えば、C2又はC8セラミドと、ルーチンの技術を使用してリンクされ得る。ガングリオシドを合成する技術は、当該技術において既知である(Hideharu, I.ら、Trends in Glycoscience and Glycotechnology, 13(69):57−64(2001)、Ladisch, S.,ら、Biochemistry, 34:1197−1202(1995)、Ladisch, S.,ら、PNAS USA, 91:1974−1978(1994)、Ladisch, S.ら、Biochim. Phys. Acta, 1125: 180−188(1992)参照。それぞれここで参照として取り入れる)。
本発明の組成物は、限定されることなく、アンプル、クリーム、軟膏、ゲル、ペレット、パッチ又は溶液を含む現在既知の又は今後開発されるすべての好適な製剤形態であり、薬理的に許容される担体に入れて、任意に補助剤を含めて、調製され得る。本発明は、限定されることなく、局所的デリバリー、皮下又は病巣内、筋肉内、経皮的及び経皮性のデリバリー、又は遺伝子治療法を含む現在既知の又は今後開発される種々の好適な手段によって患者に投与される。
【0007】
【実施例】
実施例1:細胞成長のモジュレーターとしてのガングリオシド
皮膚の基底細胞及び扁平細胞癌、乾癬、及び皮膚過成長の一般的疾病のひとつの発現、例えば、ある種の魚鱗癬の形成は、皮膚の過増殖である。我々の実験において、ガングリオシド含有量の改変(alternation)は、薬理学的操作によっても、又は遺伝子治療を通した内因性の改変によっても、皮膚細胞の成長に影響することに着目した。例えば、例示としてであって本発明を限定する目的ではないが、ガングリオシド合成の“b”経路のガングリオシド、並びに前駆体ガングリオシド、つまりGM3の薬理学的添加は、皮膚細胞の増殖を阻害すると判断した(Pallerら、J. Invest. Dermatol., 100:841−845 (1993)参照、これはここで参照として取り入れる)。ここで、同じガングリオシドが低下すると、皮膚細胞の増殖が向上すると判定し;実際、シアル酸基をすべてのガングリオシドから切り刻むシアリダーゼ遺伝子を形質移入すると、全ガングリオシドが欠乏し、皮膚細胞の増殖につながると判定した。この向上した増殖は、培地において上皮性の成長因子を形質移入された細胞に添加することによってさらに強調される。多くの他のガングリオシドは、以下に示すように類似の効果を有し、治療的処置に使用され得ると考えられる。
【0008】
ガングリオシドが枯渇した皮膚細胞の過成長に対するメカニズム、及び、皮膚細胞の成長を増加したガングリオシドGM3で阻害することに対するメカニズムは、上皮成長因子レセプターのリガンド(上皮性成長因子及びトランスフォーミング成長因子−α) に結合するための該レセプターの有効性を低下させる。このメカニズムは、ケラチノサイトにおける上皮成長因子レセプターの炭水化物成分に対するGM3の直接結合を含む。さらに、影響されたものは、上皮成長因子情報伝達形質導入経路中の下流成分であり、例えば、GM3は、MAPキナーゼ及びPI3キナーゼのリン酸化を下方制御する。
培養された細胞におけるこれらの効果は、インビボにおけるガングリオシド含有量の調節が、皮膚細胞増殖における改変を導き得ることを示す。従って、ガングリオシドの増加した含有量は、例えば、皮膚中のGM3に限定されることなく、疾病、例えば、皮膚の共通の基底細胞及び扁平細胞癌、乾癬、及び魚鱗癬のような皮膚過成長の一般的疾病における皮膚の過増殖を減少することができる。加えて、いくつかの腫瘍性状態の細胞は、多数の上皮成長因子レセプターを有し、ガングリオシド含有量の増加は、上皮成長因子レセプターの活性を調節し、腫瘍性細胞の成長を抑制する手段であってもよい。対照的に、ガングリオシドの枯渇は、ケラチノサイトの増殖、例えば、上皮性アトロフィの状態を増加するか、又は創傷治癒を促進するための手段であってもよい。
本発明において、我々は、ガングリオシド及びガングリオシド修飾因子を、皮膚細胞中のガングリオシド含有量をガングリオシド又はその一部の直接添加によって、又はガングリオシド合成を薬理学的に若しくは遺伝子導入によって修飾する酵素の調節によって、増加又は減少するために使用される。例えば、ケラチノサイト由来細胞中へのガングリオシド合成及び代謝を調節する酵素をコードする異なる遺伝子を紹介した。その結果、ガングリオシド発現だけ異なる同一起源の形質転換された細胞の幅広いアレイを開発した。すなわち、ガングリオシドを発現しない細胞株(シアリダーゼ遺伝子)、GM3が少なく、GD3が多い細胞株(GD3合成遺伝子)、GD2及びGT1bを多く有する細胞株(GM2/GD2シンターゼ)、GD3が少ないが、9−O−アセチル−GD3が多い細胞株(9−O−アセチルトランスフェラーゼ)である。従って、これら種々の酵素の選択的過発現により、皮膚細胞機能における特定の効果を有するガングリオシドの改変の予想可能で特定のパターンとなる。これらの細胞株は、我々の研究室及び他の研究者の研究室における皮膚細胞の特定のガングリオシドの行動の研究に有用となるだろう。さらに、本発明の範囲内では、ガングリオシド結合部位又は活性部位と反応する抗体、及びガングリオシド又はガングリオシド制御経路内における他の遺伝子に対する遺伝子コードの発現に影響する核酸がある。
【0009】
実施例2:フィブロネクチンマトリックス相互作用のモデレーターとしてのガングリオシド
フィブロネクチン物質におけるケラチノサイト運動性は、創傷治癒の再上皮化、及び、皮膚の悪性腫瘍の広がりにおいて重要である。ガングリオシドGT1b及びGD3がフィブロネクチンにおけるケラチノサイト及びケラチノサイト由来細胞の付着及び移入を抑制することを発見した(Paller, A.S.ら、J. Invest. Dermatol.、105:237−242(1995);Sung, C−C.ら、Exp. Cell Res., 239:311−319(1998);Wang, X−Qら、J. Biol. Chem., 276(68):44504−44511(2001)参照、これらはここで参考として取り入れる)。逆に、シアリダーゼ遺伝子調節を通したガングリオシドの内因性枯渇は、フィブロネクチン及びビトロネクチンへの細胞の付着を増強する。ガングリオシドは、さらに、フィブロネクチンマトリックスにおける培養のときにケラチノサイトのアポトーシスを開始させる。
【0010】
ガングリオシドの効果のメカニズムは、ケラチノサイトa5b1とGT1b(及びGD3)との直接的相互作用を含み、結果としてFAKのリン酸化及びインテグリン連鎖キナーゼの阻害になる。ガングリオシドは、炭水化物成分を通して、a5b1のa5サブユニットと優先して相互作用する。インテグリンavb3は、a5b1と構造的に類似し、GD3及びGD2と結合し、これは、ビトロネクチンに対する付着を制限する。ガングリオシドとインテグリンb1とのすべての相互作用は、非常に弱くなり、GT1bは、b1と結合でき、そうすることによって、b1リン酸化及びセリン/スレオニンリン酸化を阻害する。
【0011】
a5b1とフィブロネクチンの相互作用は、皮膚の胚性発達、創傷治癒及び皮膚の悪性腫瘍の広がりにとって重要である。加えて、乾癬の患者からの細胞は、フィブロネクチンに対する付着の増加と、アポトーシスを起こす能力の減少を示すことは当業者に既知である。我々は、乾癬の患者からの移植片培養が、まさに通常細胞におけるように、付着物の明らかな阻害を有するGT1bでの薬理学的治療に応答し、乾癬における臨床効果を示唆することを確認した。インテグリンavb3は、皮膚の血管の発達及び増殖において重要な役割を演じ;増加した活性は、新しい血管新生を導く一方、阻害は、新しい血管の形成を阻害する。従って、より複雑な皮膚ガングリオシドにおける増加は、特にGT1bでは、乾癬を治療するための、又は、血管依存性プロセス、例えば、幼児における血管種の急速な成長を阻害する新規な薬剤であってもよい。対照的に、ガングリオシドの枯渇(例えば、増加した局所的シアリダーゼ活性)は、ケラチノサイトの移入の増加、ケラチノサイト増殖の増加、及び脈管形成の促進を通して、創傷治癒を促進するだろう。従って、本発明は、限定されることなくGT1b及びGD3、及びこれらガングリオシドの量及び行動に影響する他の薬剤を含むガングリオシドの投与を含み、フィブロネクチン相互作用をコントロールする。
【0012】
実施例3:マトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)活性を制御するためのガングリオシドの使用
興味深いことに、ガングリオシドが、さらに他の治療的効果、例えば、マトリックスメタロプロテイナーゼ活性における効果を有することを発見した(Wong, A−Q.ら、J. Invest. Dermatol., 114:8−12(2000)参照、ここで参考として取り入れる)。ガングリオシド枯渇を有するシアリダーゼ形質移入ケラチノサイトは、メタロプロテイナーゼ、すなわちTIMP−1の著しく増加したレベルを示し、結果としてMMP−9の活性はかなり減少する。対照的に、GM3又はGT1bの通常ケラチノサイト由来細胞に対する薬理学的添加により、MMP−9の活性に影響を与えることなく、TIMP−1及びMMP−9の双方の発現を顕著に抑制した。上皮成長因子(EGF)の添加が、MMP−9発現の発生及び活性を、MMP−9の活性に影響することなくさらに増加し、SCC12細胞中のその活性を増加するが、TIMP−1の発現には影響を与えないことを確認した。対照的に、タンパク質キナーゼC(PKC)阻害因子は、MMP−9発現を改変することなく、SCC12細胞中のTIMP−1の発現を減少する。これらのデータは、ガングリオシドが、MMP−9及びTIMP−1の発現を、上皮成長因子セレプター機能及びタンパク質キナーゼC機能のそれぞれへのその影響を通して調節することを示唆する。他の研究では、GT1b、GD3及びより小さな範囲でGM3は、MMP−2の発現及び活性を阻害する。対照的に、PKC活性の活性化因子(限定されることなく、コンカナバリンA及びPIP3を含む)は、MMP−2活性及びケラチノサイト由来SCC12細胞による発現を増加し、及びTIMP−2発現をほんのわずかだけ増加する。PKC及びガングリオシドGT1b又はGD3の双方の活性化因子がSCC12細胞とともにインキュベートされる場合、MMP−2の発現又は活性における変化は表れない。この研究は、より高いシアル酸付加ガングリオシドは、ケラチノサイトにおけるMMP−2発現及び活性を、PKC情報経路の抑制を含むメカニズムを通して調節するとの証拠を提供する。
【0013】
さらに、MMP−9及びMMP−2は、ともに、皮膚の悪性腫瘍の広がりに重要であり、MMP活性の調節の本発明の方法は、皮膚癌の拡散の能力に影響し得、従って、本発明は、さらに新規非外科的処置を示すと考えられる。脈管形成におけるマトリックスメタロプロテイナーゼ活性の重要性は、腫瘍成長(限定されることなく、乳児のメラノーマ及び血管種を含む)、創傷治癒、毛髪成長及び発生学的皮膚発達における異なるメカニズムを通したガングリオシドの役割を示唆する。従って、本発明は、ガングリオシドの使用を含み、これは、限定されることなく、GM3、GT1b、9−O−アセチル−GD3又はGD3を含み、これらガングリオシド及びその活性の修飾因子を含み、マトリックスメタロプロテイナーゼ活性を制御し、及び、関連する皮膚疾病の治療的処置を提供する。
【0014】
実施例4:インビボ研究
インビボ研究は、代謝における合成を修飾する酵素をコードする遺伝子で形質移入された細胞が、免疫不全マウスの皮膚及び得られた特徴付けされた腫瘍に注入されることによって行われる。これらの細胞は、インビトロにおいて、特定の酵素過発現として予想される、ガングリオシドにおける特定の改変を示した。細胞のインビボ特性は維持され、インビボで、これらマウスで成長した腫瘍において出現する。親の又はベクター形質移入されたコントロール細胞を有する腫瘍は、あるとすればまれに、生産され、及び外見上は、小さく、よく分化されている。同様に、GM2/GD2合成で形質移入された細胞は、その親の細胞と似ている小さな腫瘍を作る。対照的に、シアリダーゼ、GD3シンターゼ又は9−O−アセチルトランスフェラーゼを発現する遺伝子で形質移入された細胞からの腫瘍は、急速に大きなサイズに成長するが;過剰増殖腫瘍群の間の特徴は異なり、シアリダーゼ過発現腫瘍は、特に、悪性の“異数体”表現型及びかなり多数の有糸分裂細胞において、不十分な分化及び急速な成長を示す。
【0015】
前述は、例証及び例示目的で与えられる。成分、集合、物質、含有量、投与方法、及びここで記載された他の本発明のパラメーターにおける所定のバリエーションは、当業者に自明であり、及び、そのようなバリエーションは、本発明の範囲内にあることが意図されている。
Claims (7)
- 少なくとも1種のガングリオシド又はその一部を含有し、皮膚中のガングリオシドの含有量を調節することを特徴とする薬理組成物。
- ガングリオシドがGM3、GT1b、9−O−アセチル−GD3又はGD3である、請求項1に記載の薬理組成物。
- ガングリオシドが、切断された脂質成分を有する合成又は半合成ガングリオシドである、請求項1に記載の薬理組成物。
- 切断された脂質成分が、約1〜約17の炭素を含む、請求項3に記載の薬理組成物。
- さらに、ガングリオシド含有量又は活性を調節する少なくとも1種の薬剤を含む、請求項1に記載の薬理組成物。
- 前記薬剤が、遺伝子、アンチセンス核酸、抗ガングリオシド抗体又はガングリオシド結合部位に向けられた抗体である、請求項5に記載の薬理組成物。
- さらに、薬理学的に許容される担体を含む、請求項1に記載の薬理組成物。
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