JP2004530162A - 投影表示装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】容易に製造可能な投影表示装置と色フィルタ・ホイールとを提供すること。
【解決手段】本発明は、照射ビームを供給するための光源と光学的な誘導手段とを有する照射システムと、画像情報により照射ビームを変調させ、かつスクリーン上に画像を投影するための表示パネルを有する画像表示システムと、表示パネルを照射するために照射ビームの有色部分を伝送するための、そのハブに回転可能に取り付けられたホイールに設けられた色フィルタ手段とを有する、投影表示装置に関する。この投影表示装置の製造を単純化するために、色フィルタ・ホイールには、既定の色を有さずかつ円偏光を有する、第一方向に対応する照射ビームの部分を反射させるための1つ以上のコレステリック層が設けられている。
【解決手段】本発明は、照射ビームを供給するための光源と光学的な誘導手段とを有する照射システムと、画像情報により照射ビームを変調させ、かつスクリーン上に画像を投影するための表示パネルを有する画像表示システムと、表示パネルを照射するために照射ビームの有色部分を伝送するための、そのハブに回転可能に取り付けられたホイールに設けられた色フィルタ手段とを有する、投影表示装置に関する。この投影表示装置の製造を単純化するために、色フィルタ・ホイールには、既定の色を有さずかつ円偏光を有する、第一方向に対応する照射ビームの部分を反射させるための1つ以上のコレステリック層が設けられている。
Description
【技術分野】
【０００１】
本発明は、
照射ビームを提供するための光源と光学的な誘導手段とを有する照射システムと、
照射ビームの異なる有色部分によって表示パネルをスキャンするための色フィルタ・ホイールを有する色フィルタ手段と、
照射ビームの有色部分を画像情報により変調させ、かつ画像をスクリーン上に投影するための画像表示パネルを有する画像表示システムと、
を有する、投影表示装置に関する。
【０００２】
本発明は、このような投影表示装置内で使用するための色フィルタ・ホイールにも関する
【背景技術】
【０００３】
投影表示装置は、リア式画像投影システムとフロント式画像投影システムの両方で使用可能である。リア式投影システムの場合、投影表示装置は、テレビジョンまたはデータグラフィックス情報を表す画像を、そのフロント側が視聴者の方向に向けられている拡散透明スクリーンのリア側に投影する。フロント式投影システムの場合、投影表示装置は、テレビジョンまたはデータグラフィックス情報を表す画像を、そのフロント側が視聴者の方向に向けられている拡散透明スクリーンのリア側に投影する。
【０００４】
このような投影表示装置は、米国特許第6,005,722号により知られている。この公知の投影システムは、照射システムと、この照射システムが供給する照射ビームを画像情報により変調させるための画像表示パネルを有する画像表示システムとを有する。この照射システムは、照射ビームを形成するための光源と積分器システムとを有する。色ホイールは、光源と積分器システムとの間に存在する。色ホイールは、赤色フィルタ、緑色フィルタ、および青色フィルタを含んでいる。これらの色フィルタは、色ホイールの角のセグメントを占有している。色ホイールは、照射システムからの白色光をフィルタリングして、ホイールの角速度に比例した割合で、赤色から緑色へ、緑色から青色へ、および青色から赤色へ、等々と色を変化させる有色の照射ビームを生成する。この表示パネルは、この表示パネル上に入射する照射ビームの色に関する画像情報に従って、有色の照射ビームを変調させる。光効率を向上させるために、反射型の偏光子を、色フィルタ・ホイールとこの表示システムとの間に存在させることが出来る。反射型の偏光子は、第一方向への偏光を有する照射ビームの一部分を伝送し、かつ第一方向に対して垂直な第二方向への第二偏光を有する照射ビームの一部分を反射させる。更に、光再生手段は、反射型の偏光子から反射した光を再利用するために、投影表示装置内に存在させることも出来る。不要な色を有する照射ビームの部分を反射させるための二色性のフィルタを、色フィルタ・ホイール内で使用することも出来る。
【０００５】
この公知の投影装置の欠点は、二色性のフィルタを有するこの公知のホイールの製造が困難なことである。
【特許文献１】
米国特許第6,005,722号
【特許文献２】
国際特許公開公報第00/34808号
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【０００６】
本発明の目的は、容易に製造可能な投影表示装置と色フィルタ・ホイールとを提供することである。この目的は、既定の色を有さず、かつ第一方向に対応する円偏光を有する照射ビームの一部を反射させるためのコレステリック層を、色フィルタ・ホイールが、有することを特徴とする、本発明による投影表示装置により達成することが出来る。コレステリック層を有する二色性タイプの色フィルタを適用することにより、例えば、螺旋形状の色フィルタ部分を有する色ホイールの製造が単純化される。本発明は、コレステリック・フィルタのスペクトル特性が、重合の間における基板上の異なる場所の照射状態に依存するという認識に基づいている。既定のフィルタ部分内において異なる光条件によって透明基板上の液晶を照射し、かつ、これらの異なるフィルタ部分を既定の順序と既定の光条件で光重合させることにより、二色性のフィルタパターンを作成することが出来る。コレステリック層を形成するコレステリック分子の螺旋の回転方向と、このコレステリック物質の分子の螺旋のピッチとにより、照射ビームの伝送される部分の色または通過帯域、および円偏光の方向が決定される。コレステリック色フィルタ自体は、すでに公開されている国際特許公開公報第00/34808号により公知である。この特許出願には、直視型の液晶表示装置用のコレステリック・モザイク色フィルタの製造方法が説明されている。しかしながら、このモザイク色フィルタのフィルタ部分は、数100マイクロメートルのオーダの寸法を有する。
【０００７】
本発明による投影装置の特に有利な実施例は、投影表示装置が、更に、第二方向に対応する円偏光を有する入射する照射ビームの部分を第一方向と反対側に反射させるための、コレステリック層と表示パネルとの間に位置する広帯域のコレステリック層を有することを特徴とする。色フィルタと偏光子をこのように構成することにより、既定の色と既定の円偏光とを有する照射ビームの部分しか表示パネルに伝送されなくなる。
【０００８】
本発明による投影表示装置の更なる実施例は、広帯域のコレステリック層が、色フィルタ・ホイール上に設けられていることを特徴とする。この構成により、全てのコレステリック層を単一の基板上に単純に製造することが可能となる。
【０００９】
本発明による投影表示装置の更なる実施例は、投影表示装置が、円偏光されて伝送された照射ビームを直線偏光された照射ビームに変換するための、色フィルタ手段と表示パネルとの間に位置する四分の一波長板を有することを特徴とする。
【００１０】
コレステリック色フィルタは、照射ビームの円偏光を有する部分しか伝送しない。液晶表示装置によって照射ビームを変調させるには、直線偏光を有する照射ビームが必要である。なお、投影表示装置の場合、透過型の液晶表示パネルまたは反射型の液晶表示パネルを設けることが出来る。
【００１１】
本発明による投影表示装置の他の実施例は、色フィルタ・ホイール上のコレステリック層と表示パネルとの間に位置する更なるコレステリック層が色フィルタ・ホイールに設けられ、この更なるコレステリック層を形成するコレステリック分子の螺旋の回転が、既定の色を有さずかつ第二方向に対応する第二円偏光を有する入射する照射ビームの部分を反射させるための、第一方向と反対の第二方向に対応することを特徴とする。コレステリック層をこのように構成することにより、照射ビームの既定の色を有する部分しか伝送されなくなる。
【００１２】
本発明による表示装置の更なる実施例は、画像表示パネルが、デジタル・マイクロミラーが設けられた表示パネルを有することを特徴とする。
【００１３】
本発明のこれらの態様と他の態様は、以下に説明する実施例から明らかであり、かつ、これらを参照することにより解明されるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１４】
図1は、照射ビームを供給するための照射システム3と、照射ビームを変調させるための画像表示システム5とを有する、第一画像投影システム1の例を示す。照射システム3は、光源7と、反射器9と、コンデンサレンズ11と、光誘導手段13（例えば、光学的に透明な物質の棒）と、を有する。光源は、制御装置8に電気的に結合されている。この反射器は、光源7によって照射システムとは逆方向に発せられた光の大部分を、画像表示システム5に確実に到達させる。照射システム3によって生成された照射ビームは、画像表示システム5に入射する。画像表示システム5は、反射型の表示パネル27と、偏光を引き起こすビーム分割 (PBS (polarising beam-splitting)) プリズム23と、リレーレンズ15, 17, 19と、ミラー21と、投影レンズ33と、を有する。第一投影装置1は、制御手段35と、電気モータードライブ31に結合された色フィルタ・ホイール29をも有する。色フィルタ・ホイール29は、光学的な棒13の出口窓と画像表示システム5との間に位置する。長方形の窓30は、色ホイール29上の螺旋形状の色フィルタパターンとの組み合わせによって長方形の有色のスキャン用照射ビームを反射型の表示パネル27上に供給するために、色フィルタ・ホイール29と画像表示システム5との間に位置している。更に、投影装置1は、反射型の偏光子、例えば、Moxtek社から注文可能な有線の格子偏光子28を有する。反射型の表示パネル27は、例えば、シリコン(LCOS)表示パネル上の反射型の液晶である。
【００１５】
動作時には、光源7と反射器9からの光は、レンズ11と入口表面を介して、光学的な棒13に結合し、かつ出口表面を介して、光学的な棒の外で結合される。光学的な棒の入口表面の前面図は、図2に示されている。
【００１６】
図2は、光学的な棒13の入口表面である。入口表面は、光学的な棒13の長軸の周囲の環状の開口部41を除き、反射性の層39で覆われている。反射性の層内の開口部の面積と、反射性の層の面積との間の比率は、5:1より大きいことが好ましい。この比率は、例えば、白熱光源のアーク長に依存し、かつこの比率は、当業者が、投影装置1の光出力を最適化することにより、実験的に見出すことが出来る。光学的な棒13は、出口表面で照射ビームを形成する。照射ビームは、色ホイール29の二色性のフィルタ部分に入射する。回転する螺旋形状の二色性の色フィルタ29と長方形の照射窓30との構成によって、表示パネル27の1本以上の線を同時にスキャンする、照射ビームの伝達方向に長方形の断面を有する赤色、緑色、および青色を有する照射ビームが供給され、この結果、全ての線が、照射ビームの赤色部分、緑色部分、および青色部分により連続的に照射される。色ホイール29は、赤色光、緑色光、および青色光を同時に伝送するための3つのフィルタ部分を有する。色ホイール29の二色性のフィルタ部分は、適切な色を有していない照射ビームの不要な部分を、光学的な棒13の出口表面に反射し返す。光学的な棒13の内部では、この反射された光の大部分は、反射性の層39により入口表面に反射し、かつ再使用が可能となる。第一投影装置1では、必要な特徴を有していない照射ビーム部分をこのように再生し、かつLCOSパネル27を照射するために、再使用することが出来る。
【００１７】
色フィルタ・ホイール29の二色性のフィルタ部分は、既定の色を有する照射ビーム部分を、反射型の偏光子28に伝送する。反射型の偏光子28は、第一方向に向けられた偏光を有するビーム部分しかPBSプリズム23に伝送せず、かつ、第一方向に対して垂直な第二方向に向けられた偏光を有する照射ビーム部分を、色フィルタ・ホイール29を介して、光学的な棒13に反射し返す。この構成の場合、必要な特徴を有さない照射ビームの部分は、再生され、かつ次いで、LCOS表示27を照射するために、再使用することが出来る。再生効率を向上させるために、四分の一波長板32を色ホイール29と反射型の偏光子28との間に配置することにより、第一偏光方向に反射された照射ビームの部分の偏光を回転させることが出来る。リレーレンズ15, 17, 19は、照射ビームの既定の部分を、PBSプリズム23の入口側へ誘導する。PBSプリズム23のビーム分割層25は、第一方向の偏光を有する照射ビーム部分を、LCOSパネル27の方向へ反射させる。LCOSパネル27は、この照射をPBSプリズム23へ反射し返し、かつ、照射ビームの偏光方向を、照射ビームの瞬間の色に関連する画像情報と一致するように、回転させる。偏光を引き起こすビーム分割層25は、反射され変調された照射ビームの第一部分を、投影レンズ33の方向へ伝送し、かつ、反射された照射ビームの第二部分を、光学的な棒13に反射し返す。画像パネル27によって変調された光は、簡単にするために単一の投影レンズ33によって表示されている投影レンズシステムにより、スクリーン（図示せず）上に投影される。
【００１８】
反射型の液晶表示パネルの代替に、公知の透過型の液晶表示パネル127と折り曲げミラー125とが、投影表示装置に適用可能である。図5は、リレー119と投影レンズ33との間に位置する透過型の液晶表示パネル127と折り曲げミラー125との構成を有する投影表示装置の関連部分を示す。透過型の液晶表示パネル127と折り曲げミラー125は、図1に示す投影表示装置の反射型LCOSパネル27とビーム分割プリズム25の代替である。動作時は、回転する螺旋形状の二色性の色フィルタ29と長方形の照射窓30との構成により、表示パネル27の線を1本以上同時にスキャンする、照射ビームの伝達方向に長方形の断面を有する赤色部分、緑色部分、および青色部分を有する照射ビームが供給され、この結果、全ての線が、照射ビームの赤色部分、緑色部分、および青色部分により連続的に照射される。透過型の液晶表示パネル上に同時に入射する照射ビームの部分は、画像情報に従って変調される。照射ビームのこの変調された部分は、投影レンズ33により画面（図示せず）上に投影される。
【００１９】
これに代えて、反射型の表示パネルとプリズム25の代替に、公知のデジタル・マイクロミラー表示(DMD)パネルと全反射(TIR)プリズムとを使用することが出来る。図6は、リレー119と投影レンズとの間に位置するDMD表示パネル227とTIRプリズム225とを有する、投影表示装置の関連部分を示す。DMD表示パネル227とTIRプリズム225は、図1に示されている投影表示装置内の反射型液晶表示装置27とプリズム25の代替である。動作時、DMDパネル上に同時に入射する照射ビームの部分は、画像情報に従って偏向される。照射ビームのこの偏向された部分は、投影レンズ33により画面（図示せず）上に投影される。
【００２０】
図3と図4は、色フィルタ・ホイールに使用するための可能なフィルタパターンを示す。この色フィルタ・ホイールの場合、各々の色フィルタが、円形のフィルタ・ホイールの螺旋形状の部分を占有している。異なる色フィルタ間の交線は、公式、
【数１】
により説明可能である。
式中、
Rxは、2つの色フィルタの間の交線と、色フィルタ・ホイールのハブとの間の距離を表し、
D0は、ハブに最も近い照射窓の側面と、色フィルタ・ホイールのハブとの間の距離を表し、
αは、既定の一定角度を表し、
φは、色フィルタ・ホイールの回転角度を表し、
かつ、
φXは、交線の位相を表す。
【００２１】
図3は、赤色光、緑色光、および青色光を伝送するための二色性の色フィルタ50, 51, 52を有する、色フィルタ・ホイール29の第一例である。この色フィルタ・ホイールの3つの螺旋形状の部分は、各色に対して同一である。公式(1)を適用し、かつ各々の交線の位相を0°と、120°と、240°とに設定することにより、フィルタ部分50, 51, 52の交線55, 56, 57を見つけ出すことが出来る。図4は、長方形の照射窓53と組み合わされた、色フィルタ・ホイール29を示す。動作時、回転する螺旋形状の二色性の色フィルタ部分50, 51, 52と、長方形の照射窓30との構成により、表示パネル27の一本以上の線を同時にスキャンする、照射ビームの伝達方向に長方形の断面を有する赤色、緑色、および青色を有する照射ビームが供給され、この結果、全ての線が、照射ビームの赤色部分、緑色部分、および青色部分により連続的に照射される。
【００２２】
容易に製造可能な色フィルタ・ホイールを提供するために、この二色性のフィルタは、コレステリック層により構成されている。コレステリック色フィルタを使用することにより色フィルタ・ホイールの相対的に安価な製造方法が可能となるので、これは有利である。コレステリック・フィルタ自体は、引用した国際特許公開公報第00/34808号により公知である。この特許出願は、パターン化された色フィルタの製造方法を開示している。この方法は、
a) コレステリック状に配列された物質のピッチを、その転化されていない状態とその転化されている状態に異なる程度で決定する多量の転化可能な化合物を有する、コレステリック状に配列された物質の層を提供し、当該化合物の転化を、輻射により誘発することが出来るステップと、
b) この層の照射された部分内の転化可能な化合物の少なくとも一部分が転化されるように、既定の螺旋パターンに従って層を照射するステップと、
c) 三次元重合体(three-dimensional polymer)を形成するために、コレステリック状に配列された物質を重合させ、および／または、架橋させるステップと、
を有する。この転化可能な化合物は、異性化が可能で、かつ対掌性を有する化合物を有することが好ましい。重合および／または架橋を、電子ビームの輻射または光化学の輻射を用いた放射により誘発させることが好ましい。
【００２３】
図7は、液晶表示装置を用いた投影表示装置内で使用するための螺旋形状のフィルタ・ホイールの第一例の断面図である。断面70は、赤色光、緑色光、および青色光を伝送するための同等の赤色フィルタ部分71、緑色フィルタ部分72、および青色フィルタ部分73を示している。各フィルタ部分は、1つ以上のコレステリック層を有する。これらのコレステリック層は、基板75上に設けられている。赤色フィルタ部分71と青色フィルタ部分73のコレステリック層を形成する分子の螺旋方向は、右回転方向に対応し、かつ、コレステリック物質の分子の螺旋のピッチは、照射ビームの偏光されていない赤色部分と青色部分とを各々、照射ビームの左回転に偏光された青色部分と赤色部分と共に伝送するように調整されている。緑色のフィルタ部分は、第一コレステリック層と第二コレステリック層とを有する。この第二コレステリック層は、第一コレステリック層と基板75との間に設けられる。緑色フィルタ部分72の第一コレステリック層を形成する分子の螺旋方向は右回転方向に対応し、かつ、このコレステリック物質の分子の螺旋のピッチは、照射ビームの赤色部分を反射させるように調整されている。緑色フィルタ部分72の第二コレステリック層を形成する分子の螺旋の方向は右回転方向に対応し、かつこの分子の螺旋のピッチは、照射ビームの青色部分を反射させるように調整されている。両方のコレステリック層は、こうして照射ビームの緑色部分を伝送する。この色フィルタ・ホイール29は、色ホイール29と液晶表示パネル27との間に構成された第二基板上に設けられた反射性の広帯域コレステリック層と組み合わせることが出来る。この広帯域コレステリック層74の分子の螺旋方向は、左回転の偏光を有する入射する照射ビームの部分を反射させるために、左回転方向に対応している。広帯域コレステリック層74は、同じ基板75上に設けることも出来る。これは、図8に示されている。
【００２４】
図8は、液晶表示パネルを用いた投影表示装置内で使用するための色フィルタ・ホイールの第二例の断面図である。製造時には、最初に、広帯域コレステリック層74が基板75上に設けられ、次いで、コレステリック層を有する赤色フィルタ部分71、緑色フィルタ部分72、および赤色フィルタ部分73が、広帯域コレステリック層74上に設けられる。広帯域コレステリック層74は、入射する照射ビームの右回転に偏光されている赤色部分、緑色部分、または青色部分を各々伝送し、かつ入射する照射ビームの左回転に偏光されている部分を反射させる。コレステリック層と広帯域コレステリック層との製造方法自体は、引用した国際特許公開公報第00/34808号により知られている。
【００２５】
有色の照射ビームの直線偏光を得るために、四分の一波長板が、色フィルタ・ホイール29と液晶表示パネル27, 127との間に構成されている。
【００２６】
図9は、反射型DMD表示パネルを用いた投影表示装置内で使用するための螺旋形状のフィルタ・ホイールの第三例の断面図である。断面90は、赤色、緑色、および青色を伝送するための第一赤色フィルタ部分71、第一緑色フィルタ部分72、および第一青色フィルタ部分73を示す。第一赤色フィルタ部分71、第一緑色フィルタ部分72、および第一青色フィルタ部分73は、図7と図8を参照して説明したフィルタ部分と同一である。この断面は、第一フィルタ部分71, 72, 73と基板75との間に構成されている第二赤色フィルタ部分81、第二緑色フィルタ部分92、および第二青色フィルタ部分93も示している。第二赤色フィルタ部分81と第二青色フィルタ部分93の各々のコレステリック層は、分子の螺旋方向が左回転であり、かつ、第二赤フィルタ部分81と第二青色フィルタ部分93のコレステリック層の分子の螺旋のピッチは、入射する照射ビームの偏光されていない赤色または青色の部分を各々伝送し、かつ照射ビームの左回転に偏光されている緑色と青色の部分、および赤色と緑色の部分を各々反射させるように調整されている。第二緑色フィルタ部分92は、第一コレステリック層と第二コレステリック層とを有する。この第二コレステリック層は、第一コレステリック層と基板75との間に設けられる。緑色フィルタ部分92の第一コレステリック層を形成する分子の螺旋方向は、左回転方向に対応し、かつ、このコレステリック物質の分子の螺旋のピッチは、照射ビームの赤色部分を反射させるように調整されている。緑色フィルタ部分92の第二コレステリック層を形成する分子の螺旋方向は、左回転方向に対応し、かつ、この分子の螺旋のピッチは、左回転の偏光を有する照射ビームの青色部分を反射させるように調整されている。第二緑色フィルタ部分92の両方のコレステリック層は、こうして照射ビームの緑色部分を伝送する。第一コレステリック層と第二コレステリック層の製造方法自体は、引用した国際特許公開公報第00/34808号により知られている。
【図面の簡単な説明】
【００２７】
【図１】反射型の液晶表示パネルと色フィルタ手段とを有する投影表示装置の一例を示す。
【図２】光学的に透明な棒の入口表面を示す。
【図３】赤色光、緑色光、および青色光を各々伝送するための3つの幾何学的に同一のフィルタ部分を有する、第一構成内で使用するための色フィルタ・ホイールを示す。
【図４】表示パネルを同時にスキャンする3つの有色部分を有する照射ビームを供給するための、窓と組み合わされた螺旋形状の部分を有する色フィルタを示す。
【図５】透過型の液晶表示パネルを有する、投影表示装置の関連部分を示す。
【図６】デジタル・マイクロミラーが設けられた表示パネルを有する、投影表示装置の関連部分を示す。
【図７】透過型または反射型の液晶表示装置を有する投影表示装置内で使用するための、単一のコレステリック層を有する色フィルタ・ホイールの第一例を示す。
【図８】透過型または反射型の液晶表示装置を有する投影表示装置内で使用するための、コレステリック層と広帯域のコレステリック層とを有する色フィルタの第二例を示す。
【図９】デジタルミラーが設けられた装置を有する投影装置内で使用するための、2つのコレステリック層を有する色フィルタ・ホイールの第三例を示す。
【符号の説明】
【００２８】
1…画像投影装置
3…照射システム
5…画像表示システム
7…光源
8…制御装置
9…反射器
11…コンデンサレンズ
13…光誘導手段
15…リレーレンズ
17…リレーレンズ
19…リレーレンズ
21…ミラー
23…PBSプリズム
25…ビーム分割層
27…反射型の表示パネル
28…反射型の偏光子
29…色フィルタ・ホイール
30…長方形の窓
31…電気モータードライブ
32…四分の一波長板
33…投影レンズ
35…制御手段
39…反射性の層
41…中心開口部
50…色フィルタ
51…色フィルタ
52…色フィルタ
53…長方形の照射窓
55…交線
56…交線
57…交線
70…断面
71…赤色フィルタ部分
72…緑色フィルタ部分
73…青色フィルタ部分
74…広帯域コレステリック層
75…基板
90…断面
92…第二緑色フィルタ部分
93…第二青色フィルタ部分
119…リレー
125…折り曲げミラー
127…透過型の液晶表示パネル
225…TIRプリズム
227…DMD表示パネル
【０００１】
本発明は、
照射ビームを提供するための光源と光学的な誘導手段とを有する照射システムと、
照射ビームの異なる有色部分によって表示パネルをスキャンするための色フィルタ・ホイールを有する色フィルタ手段と、
照射ビームの有色部分を画像情報により変調させ、かつ画像をスクリーン上に投影するための画像表示パネルを有する画像表示システムと、
を有する、投影表示装置に関する。
【０００２】
本発明は、このような投影表示装置内で使用するための色フィルタ・ホイールにも関する
【背景技術】
【０００３】
投影表示装置は、リア式画像投影システムとフロント式画像投影システムの両方で使用可能である。リア式投影システムの場合、投影表示装置は、テレビジョンまたはデータグラフィックス情報を表す画像を、そのフロント側が視聴者の方向に向けられている拡散透明スクリーンのリア側に投影する。フロント式投影システムの場合、投影表示装置は、テレビジョンまたはデータグラフィックス情報を表す画像を、そのフロント側が視聴者の方向に向けられている拡散透明スクリーンのリア側に投影する。
【０００４】
このような投影表示装置は、米国特許第6,005,722号により知られている。この公知の投影システムは、照射システムと、この照射システムが供給する照射ビームを画像情報により変調させるための画像表示パネルを有する画像表示システムとを有する。この照射システムは、照射ビームを形成するための光源と積分器システムとを有する。色ホイールは、光源と積分器システムとの間に存在する。色ホイールは、赤色フィルタ、緑色フィルタ、および青色フィルタを含んでいる。これらの色フィルタは、色ホイールの角のセグメントを占有している。色ホイールは、照射システムからの白色光をフィルタリングして、ホイールの角速度に比例した割合で、赤色から緑色へ、緑色から青色へ、および青色から赤色へ、等々と色を変化させる有色の照射ビームを生成する。この表示パネルは、この表示パネル上に入射する照射ビームの色に関する画像情報に従って、有色の照射ビームを変調させる。光効率を向上させるために、反射型の偏光子を、色フィルタ・ホイールとこの表示システムとの間に存在させることが出来る。反射型の偏光子は、第一方向への偏光を有する照射ビームの一部分を伝送し、かつ第一方向に対して垂直な第二方向への第二偏光を有する照射ビームの一部分を反射させる。更に、光再生手段は、反射型の偏光子から反射した光を再利用するために、投影表示装置内に存在させることも出来る。不要な色を有する照射ビームの部分を反射させるための二色性のフィルタを、色フィルタ・ホイール内で使用することも出来る。
【０００５】
この公知の投影装置の欠点は、二色性のフィルタを有するこの公知のホイールの製造が困難なことである。
【特許文献１】
米国特許第6,005,722号
【特許文献２】
国際特許公開公報第00/34808号
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【０００６】
本発明の目的は、容易に製造可能な投影表示装置と色フィルタ・ホイールとを提供することである。この目的は、既定の色を有さず、かつ第一方向に対応する円偏光を有する照射ビームの一部を反射させるためのコレステリック層を、色フィルタ・ホイールが、有することを特徴とする、本発明による投影表示装置により達成することが出来る。コレステリック層を有する二色性タイプの色フィルタを適用することにより、例えば、螺旋形状の色フィルタ部分を有する色ホイールの製造が単純化される。本発明は、コレステリック・フィルタのスペクトル特性が、重合の間における基板上の異なる場所の照射状態に依存するという認識に基づいている。既定のフィルタ部分内において異なる光条件によって透明基板上の液晶を照射し、かつ、これらの異なるフィルタ部分を既定の順序と既定の光条件で光重合させることにより、二色性のフィルタパターンを作成することが出来る。コレステリック層を形成するコレステリック分子の螺旋の回転方向と、このコレステリック物質の分子の螺旋のピッチとにより、照射ビームの伝送される部分の色または通過帯域、および円偏光の方向が決定される。コレステリック色フィルタ自体は、すでに公開されている国際特許公開公報第00/34808号により公知である。この特許出願には、直視型の液晶表示装置用のコレステリック・モザイク色フィルタの製造方法が説明されている。しかしながら、このモザイク色フィルタのフィルタ部分は、数100マイクロメートルのオーダの寸法を有する。
【０００７】
本発明による投影装置の特に有利な実施例は、投影表示装置が、更に、第二方向に対応する円偏光を有する入射する照射ビームの部分を第一方向と反対側に反射させるための、コレステリック層と表示パネルとの間に位置する広帯域のコレステリック層を有することを特徴とする。色フィルタと偏光子をこのように構成することにより、既定の色と既定の円偏光とを有する照射ビームの部分しか表示パネルに伝送されなくなる。
【０００８】
本発明による投影表示装置の更なる実施例は、広帯域のコレステリック層が、色フィルタ・ホイール上に設けられていることを特徴とする。この構成により、全てのコレステリック層を単一の基板上に単純に製造することが可能となる。
【０００９】
本発明による投影表示装置の更なる実施例は、投影表示装置が、円偏光されて伝送された照射ビームを直線偏光された照射ビームに変換するための、色フィルタ手段と表示パネルとの間に位置する四分の一波長板を有することを特徴とする。
【００１０】
コレステリック色フィルタは、照射ビームの円偏光を有する部分しか伝送しない。液晶表示装置によって照射ビームを変調させるには、直線偏光を有する照射ビームが必要である。なお、投影表示装置の場合、透過型の液晶表示パネルまたは反射型の液晶表示パネルを設けることが出来る。
【００１１】
本発明による投影表示装置の他の実施例は、色フィルタ・ホイール上のコレステリック層と表示パネルとの間に位置する更なるコレステリック層が色フィルタ・ホイールに設けられ、この更なるコレステリック層を形成するコレステリック分子の螺旋の回転が、既定の色を有さずかつ第二方向に対応する第二円偏光を有する入射する照射ビームの部分を反射させるための、第一方向と反対の第二方向に対応することを特徴とする。コレステリック層をこのように構成することにより、照射ビームの既定の色を有する部分しか伝送されなくなる。
【００１２】
本発明による表示装置の更なる実施例は、画像表示パネルが、デジタル・マイクロミラーが設けられた表示パネルを有することを特徴とする。
【００１３】
本発明のこれらの態様と他の態様は、以下に説明する実施例から明らかであり、かつ、これらを参照することにより解明されるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１４】
図1は、照射ビームを供給するための照射システム3と、照射ビームを変調させるための画像表示システム5とを有する、第一画像投影システム1の例を示す。照射システム3は、光源7と、反射器9と、コンデンサレンズ11と、光誘導手段13（例えば、光学的に透明な物質の棒）と、を有する。光源は、制御装置8に電気的に結合されている。この反射器は、光源7によって照射システムとは逆方向に発せられた光の大部分を、画像表示システム5に確実に到達させる。照射システム3によって生成された照射ビームは、画像表示システム5に入射する。画像表示システム5は、反射型の表示パネル27と、偏光を引き起こすビーム分割 (PBS (polarising beam-splitting)) プリズム23と、リレーレンズ15, 17, 19と、ミラー21と、投影レンズ33と、を有する。第一投影装置1は、制御手段35と、電気モータードライブ31に結合された色フィルタ・ホイール29をも有する。色フィルタ・ホイール29は、光学的な棒13の出口窓と画像表示システム5との間に位置する。長方形の窓30は、色ホイール29上の螺旋形状の色フィルタパターンとの組み合わせによって長方形の有色のスキャン用照射ビームを反射型の表示パネル27上に供給するために、色フィルタ・ホイール29と画像表示システム5との間に位置している。更に、投影装置1は、反射型の偏光子、例えば、Moxtek社から注文可能な有線の格子偏光子28を有する。反射型の表示パネル27は、例えば、シリコン(LCOS)表示パネル上の反射型の液晶である。
【００１５】
動作時には、光源7と反射器9からの光は、レンズ11と入口表面を介して、光学的な棒13に結合し、かつ出口表面を介して、光学的な棒の外で結合される。光学的な棒の入口表面の前面図は、図2に示されている。
【００１６】
図2は、光学的な棒13の入口表面である。入口表面は、光学的な棒13の長軸の周囲の環状の開口部41を除き、反射性の層39で覆われている。反射性の層内の開口部の面積と、反射性の層の面積との間の比率は、5:1より大きいことが好ましい。この比率は、例えば、白熱光源のアーク長に依存し、かつこの比率は、当業者が、投影装置1の光出力を最適化することにより、実験的に見出すことが出来る。光学的な棒13は、出口表面で照射ビームを形成する。照射ビームは、色ホイール29の二色性のフィルタ部分に入射する。回転する螺旋形状の二色性の色フィルタ29と長方形の照射窓30との構成によって、表示パネル27の1本以上の線を同時にスキャンする、照射ビームの伝達方向に長方形の断面を有する赤色、緑色、および青色を有する照射ビームが供給され、この結果、全ての線が、照射ビームの赤色部分、緑色部分、および青色部分により連続的に照射される。色ホイール29は、赤色光、緑色光、および青色光を同時に伝送するための3つのフィルタ部分を有する。色ホイール29の二色性のフィルタ部分は、適切な色を有していない照射ビームの不要な部分を、光学的な棒13の出口表面に反射し返す。光学的な棒13の内部では、この反射された光の大部分は、反射性の層39により入口表面に反射し、かつ再使用が可能となる。第一投影装置1では、必要な特徴を有していない照射ビーム部分をこのように再生し、かつLCOSパネル27を照射するために、再使用することが出来る。
【００１７】
色フィルタ・ホイール29の二色性のフィルタ部分は、既定の色を有する照射ビーム部分を、反射型の偏光子28に伝送する。反射型の偏光子28は、第一方向に向けられた偏光を有するビーム部分しかPBSプリズム23に伝送せず、かつ、第一方向に対して垂直な第二方向に向けられた偏光を有する照射ビーム部分を、色フィルタ・ホイール29を介して、光学的な棒13に反射し返す。この構成の場合、必要な特徴を有さない照射ビームの部分は、再生され、かつ次いで、LCOS表示27を照射するために、再使用することが出来る。再生効率を向上させるために、四分の一波長板32を色ホイール29と反射型の偏光子28との間に配置することにより、第一偏光方向に反射された照射ビームの部分の偏光を回転させることが出来る。リレーレンズ15, 17, 19は、照射ビームの既定の部分を、PBSプリズム23の入口側へ誘導する。PBSプリズム23のビーム分割層25は、第一方向の偏光を有する照射ビーム部分を、LCOSパネル27の方向へ反射させる。LCOSパネル27は、この照射をPBSプリズム23へ反射し返し、かつ、照射ビームの偏光方向を、照射ビームの瞬間の色に関連する画像情報と一致するように、回転させる。偏光を引き起こすビーム分割層25は、反射され変調された照射ビームの第一部分を、投影レンズ33の方向へ伝送し、かつ、反射された照射ビームの第二部分を、光学的な棒13に反射し返す。画像パネル27によって変調された光は、簡単にするために単一の投影レンズ33によって表示されている投影レンズシステムにより、スクリーン（図示せず）上に投影される。
【００１８】
反射型の液晶表示パネルの代替に、公知の透過型の液晶表示パネル127と折り曲げミラー125とが、投影表示装置に適用可能である。図5は、リレー119と投影レンズ33との間に位置する透過型の液晶表示パネル127と折り曲げミラー125との構成を有する投影表示装置の関連部分を示す。透過型の液晶表示パネル127と折り曲げミラー125は、図1に示す投影表示装置の反射型LCOSパネル27とビーム分割プリズム25の代替である。動作時は、回転する螺旋形状の二色性の色フィルタ29と長方形の照射窓30との構成により、表示パネル27の線を1本以上同時にスキャンする、照射ビームの伝達方向に長方形の断面を有する赤色部分、緑色部分、および青色部分を有する照射ビームが供給され、この結果、全ての線が、照射ビームの赤色部分、緑色部分、および青色部分により連続的に照射される。透過型の液晶表示パネル上に同時に入射する照射ビームの部分は、画像情報に従って変調される。照射ビームのこの変調された部分は、投影レンズ33により画面（図示せず）上に投影される。
【００１９】
これに代えて、反射型の表示パネルとプリズム25の代替に、公知のデジタル・マイクロミラー表示(DMD)パネルと全反射(TIR)プリズムとを使用することが出来る。図6は、リレー119と投影レンズとの間に位置するDMD表示パネル227とTIRプリズム225とを有する、投影表示装置の関連部分を示す。DMD表示パネル227とTIRプリズム225は、図1に示されている投影表示装置内の反射型液晶表示装置27とプリズム25の代替である。動作時、DMDパネル上に同時に入射する照射ビームの部分は、画像情報に従って偏向される。照射ビームのこの偏向された部分は、投影レンズ33により画面（図示せず）上に投影される。
【００２０】
図3と図4は、色フィルタ・ホイールに使用するための可能なフィルタパターンを示す。この色フィルタ・ホイールの場合、各々の色フィルタが、円形のフィルタ・ホイールの螺旋形状の部分を占有している。異なる色フィルタ間の交線は、公式、
【数１】
により説明可能である。
式中、
Rxは、2つの色フィルタの間の交線と、色フィルタ・ホイールのハブとの間の距離を表し、
D0は、ハブに最も近い照射窓の側面と、色フィルタ・ホイールのハブとの間の距離を表し、
αは、既定の一定角度を表し、
φは、色フィルタ・ホイールの回転角度を表し、
かつ、
φXは、交線の位相を表す。
【００２１】
図3は、赤色光、緑色光、および青色光を伝送するための二色性の色フィルタ50, 51, 52を有する、色フィルタ・ホイール29の第一例である。この色フィルタ・ホイールの3つの螺旋形状の部分は、各色に対して同一である。公式(1)を適用し、かつ各々の交線の位相を0°と、120°と、240°とに設定することにより、フィルタ部分50, 51, 52の交線55, 56, 57を見つけ出すことが出来る。図4は、長方形の照射窓53と組み合わされた、色フィルタ・ホイール29を示す。動作時、回転する螺旋形状の二色性の色フィルタ部分50, 51, 52と、長方形の照射窓30との構成により、表示パネル27の一本以上の線を同時にスキャンする、照射ビームの伝達方向に長方形の断面を有する赤色、緑色、および青色を有する照射ビームが供給され、この結果、全ての線が、照射ビームの赤色部分、緑色部分、および青色部分により連続的に照射される。
【００２２】
容易に製造可能な色フィルタ・ホイールを提供するために、この二色性のフィルタは、コレステリック層により構成されている。コレステリック色フィルタを使用することにより色フィルタ・ホイールの相対的に安価な製造方法が可能となるので、これは有利である。コレステリック・フィルタ自体は、引用した国際特許公開公報第00/34808号により公知である。この特許出願は、パターン化された色フィルタの製造方法を開示している。この方法は、
a) コレステリック状に配列された物質のピッチを、その転化されていない状態とその転化されている状態に異なる程度で決定する多量の転化可能な化合物を有する、コレステリック状に配列された物質の層を提供し、当該化合物の転化を、輻射により誘発することが出来るステップと、
b) この層の照射された部分内の転化可能な化合物の少なくとも一部分が転化されるように、既定の螺旋パターンに従って層を照射するステップと、
c) 三次元重合体(three-dimensional polymer)を形成するために、コレステリック状に配列された物質を重合させ、および／または、架橋させるステップと、
を有する。この転化可能な化合物は、異性化が可能で、かつ対掌性を有する化合物を有することが好ましい。重合および／または架橋を、電子ビームの輻射または光化学の輻射を用いた放射により誘発させることが好ましい。
【００２３】
図7は、液晶表示装置を用いた投影表示装置内で使用するための螺旋形状のフィルタ・ホイールの第一例の断面図である。断面70は、赤色光、緑色光、および青色光を伝送するための同等の赤色フィルタ部分71、緑色フィルタ部分72、および青色フィルタ部分73を示している。各フィルタ部分は、1つ以上のコレステリック層を有する。これらのコレステリック層は、基板75上に設けられている。赤色フィルタ部分71と青色フィルタ部分73のコレステリック層を形成する分子の螺旋方向は、右回転方向に対応し、かつ、コレステリック物質の分子の螺旋のピッチは、照射ビームの偏光されていない赤色部分と青色部分とを各々、照射ビームの左回転に偏光された青色部分と赤色部分と共に伝送するように調整されている。緑色のフィルタ部分は、第一コレステリック層と第二コレステリック層とを有する。この第二コレステリック層は、第一コレステリック層と基板75との間に設けられる。緑色フィルタ部分72の第一コレステリック層を形成する分子の螺旋方向は右回転方向に対応し、かつ、このコレステリック物質の分子の螺旋のピッチは、照射ビームの赤色部分を反射させるように調整されている。緑色フィルタ部分72の第二コレステリック層を形成する分子の螺旋の方向は右回転方向に対応し、かつこの分子の螺旋のピッチは、照射ビームの青色部分を反射させるように調整されている。両方のコレステリック層は、こうして照射ビームの緑色部分を伝送する。この色フィルタ・ホイール29は、色ホイール29と液晶表示パネル27との間に構成された第二基板上に設けられた反射性の広帯域コレステリック層と組み合わせることが出来る。この広帯域コレステリック層74の分子の螺旋方向は、左回転の偏光を有する入射する照射ビームの部分を反射させるために、左回転方向に対応している。広帯域コレステリック層74は、同じ基板75上に設けることも出来る。これは、図8に示されている。
【００２４】
図8は、液晶表示パネルを用いた投影表示装置内で使用するための色フィルタ・ホイールの第二例の断面図である。製造時には、最初に、広帯域コレステリック層74が基板75上に設けられ、次いで、コレステリック層を有する赤色フィルタ部分71、緑色フィルタ部分72、および赤色フィルタ部分73が、広帯域コレステリック層74上に設けられる。広帯域コレステリック層74は、入射する照射ビームの右回転に偏光されている赤色部分、緑色部分、または青色部分を各々伝送し、かつ入射する照射ビームの左回転に偏光されている部分を反射させる。コレステリック層と広帯域コレステリック層との製造方法自体は、引用した国際特許公開公報第00/34808号により知られている。
【００２５】
有色の照射ビームの直線偏光を得るために、四分の一波長板が、色フィルタ・ホイール29と液晶表示パネル27, 127との間に構成されている。
【００２６】
図9は、反射型DMD表示パネルを用いた投影表示装置内で使用するための螺旋形状のフィルタ・ホイールの第三例の断面図である。断面90は、赤色、緑色、および青色を伝送するための第一赤色フィルタ部分71、第一緑色フィルタ部分72、および第一青色フィルタ部分73を示す。第一赤色フィルタ部分71、第一緑色フィルタ部分72、および第一青色フィルタ部分73は、図7と図8を参照して説明したフィルタ部分と同一である。この断面は、第一フィルタ部分71, 72, 73と基板75との間に構成されている第二赤色フィルタ部分81、第二緑色フィルタ部分92、および第二青色フィルタ部分93も示している。第二赤色フィルタ部分81と第二青色フィルタ部分93の各々のコレステリック層は、分子の螺旋方向が左回転であり、かつ、第二赤フィルタ部分81と第二青色フィルタ部分93のコレステリック層の分子の螺旋のピッチは、入射する照射ビームの偏光されていない赤色または青色の部分を各々伝送し、かつ照射ビームの左回転に偏光されている緑色と青色の部分、および赤色と緑色の部分を各々反射させるように調整されている。第二緑色フィルタ部分92は、第一コレステリック層と第二コレステリック層とを有する。この第二コレステリック層は、第一コレステリック層と基板75との間に設けられる。緑色フィルタ部分92の第一コレステリック層を形成する分子の螺旋方向は、左回転方向に対応し、かつ、このコレステリック物質の分子の螺旋のピッチは、照射ビームの赤色部分を反射させるように調整されている。緑色フィルタ部分92の第二コレステリック層を形成する分子の螺旋方向は、左回転方向に対応し、かつ、この分子の螺旋のピッチは、左回転の偏光を有する照射ビームの青色部分を反射させるように調整されている。第二緑色フィルタ部分92の両方のコレステリック層は、こうして照射ビームの緑色部分を伝送する。第一コレステリック層と第二コレステリック層の製造方法自体は、引用した国際特許公開公報第00/34808号により知られている。
【図面の簡単な説明】
【００２７】
【図１】反射型の液晶表示パネルと色フィルタ手段とを有する投影表示装置の一例を示す。
【図２】光学的に透明な棒の入口表面を示す。
【図３】赤色光、緑色光、および青色光を各々伝送するための3つの幾何学的に同一のフィルタ部分を有する、第一構成内で使用するための色フィルタ・ホイールを示す。
【図４】表示パネルを同時にスキャンする3つの有色部分を有する照射ビームを供給するための、窓と組み合わされた螺旋形状の部分を有する色フィルタを示す。
【図５】透過型の液晶表示パネルを有する、投影表示装置の関連部分を示す。
【図６】デジタル・マイクロミラーが設けられた表示パネルを有する、投影表示装置の関連部分を示す。
【図７】透過型または反射型の液晶表示装置を有する投影表示装置内で使用するための、単一のコレステリック層を有する色フィルタ・ホイールの第一例を示す。
【図８】透過型または反射型の液晶表示装置を有する投影表示装置内で使用するための、コレステリック層と広帯域のコレステリック層とを有する色フィルタの第二例を示す。
【図９】デジタルミラーが設けられた装置を有する投影装置内で使用するための、2つのコレステリック層を有する色フィルタ・ホイールの第三例を示す。
【符号の説明】
【００２８】
1…画像投影装置
3…照射システム
5…画像表示システム
7…光源
8…制御装置
9…反射器
11…コンデンサレンズ
13…光誘導手段
15…リレーレンズ
17…リレーレンズ
19…リレーレンズ
21…ミラー
23…PBSプリズム
25…ビーム分割層
27…反射型の表示パネル
28…反射型の偏光子
29…色フィルタ・ホイール
30…長方形の窓
31…電気モータードライブ
32…四分の一波長板
33…投影レンズ
35…制御手段
39…反射性の層
41…中心開口部
50…色フィルタ
51…色フィルタ
52…色フィルタ
53…長方形の照射窓
55…交線
56…交線
57…交線
70…断面
71…赤色フィルタ部分
72…緑色フィルタ部分
73…青色フィルタ部分
74…広帯域コレステリック層
75…基板
90…断面
92…第二緑色フィルタ部分
93…第二青色フィルタ部分
119…リレー
125…折り曲げミラー
127…透過型の液晶表示パネル
225…TIRプリズム
227…DMD表示パネル
Claims (10)
- 照射ビームを供給するための光源と光学的な誘導手段とを有する照射システムと、
前記照射ビームの異なる有色部分により表示パネルを同時にスキャンするための色フィルタ・ホイールを有する色フィルタ手段と、
前記照射ビームの前記有色部分を画像情報により変調させ、かつ画像をスクリーン上に投影するための画像表示パネルを有する画像表示システムと、
を有する投影表示装置において、
既定の色を有さず、かつ第一方向に対応する円偏光を有する前記照射ビームの一部を反射させるためのコレステリック層を、前記色フィルタ・ホイールが、有することを特徴とする、投影表示装置。 - 前記投影表示装置が、更に、前記第一方向と反対の第二方向に対応する円偏光を有する前記入射する照射ビームの部分を反射させるための前記コレステリック層と前記表示パネルとの間に位置する広帯域コレステリック層を有することを特徴とする、請求項１に記載の投影表示装置。
- 前記広帯域コレステリック層が、前記色フィルタ・ホイール上に設けられていることを特徴とする、請求項2に記載の投影表示装置。
- 前記投影装置が、前記円偏光されて伝送された照射ビームを直線偏光された照射ビームに変換するための、前記広帯域コレステリック層と前記表示パネルとの間に位置する四分の一波長板を有することを特徴とする、請求項2または請求項3に記載の投影表示装置。
- 前記画像表示パネルが、透過型の液晶表示パネルを有することを特徴とする、請求項4に記載の投影表示装置。
- 前記画像表示パネルが、反射型の液晶表示パネルを有することを特徴とする、請求項4に記載の投影表示装置。
- 既定の色を有さず、かつ前記第二方向に対応する第二円偏光を有する前記入射する照射ビームの一部を反射させるための前記第一コレステリック層と、前記表示パネルとの間に位置する第二コレステリック層とが、前記色フィルタ・ホイールに設けられていることを特徴とする、請求項1に記載の投影表示装置。
- 前記画像表示パネルが、デジタル・マイクロミラーが設けられた表示パネルを有することを特徴とする、請求項8に記載の投影表示装置。
- 前記色フィルタ・ホイールが、前記照射ビームの赤色部分と、緑色部分と、青色部分とを同時に伝送するための3つの個別の色フィルタ部分を有する、前記請求項の何れかに記載の投影表示装置。
- 請求項１に記載の投影表示装置内で使用するための色フィルタ・ホイール。
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