JP2004529907A - 再狭窄の治療方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、接着分子または内皮細胞を1つまたはそれ以上のイソフラボン化合物またはその誘導体と接触させることによって、内皮細胞と会合される接着分子の発現または活性を阻害する方法に関する。本発明は、血管形成術後の再狭窄のリスクを防止または低減する方法、および接着分子により媒介されるアテローム性動脈硬化症、冠動脈疾患、その他の心臓血管性疾患および炎症性疾患を治療または予防する方法に関する。本発明はさらに、これらの方法に有用な薬学的組成物、およびこのような薬剤の製造方法に関する。

Description

【技術分野】
【0001】
本発明は包括的には、接着分子または内皮細胞を1つまたはそれ以上のイソフラボン化合物またはその誘導体と接触させることによって、内皮細胞と会合される接着分子の発現または活性を阻害する方法に関する。本発明は包括的には、血管形成術後の再狭窄を防止するまたは再狭窄のリスクを低減する方法、および接着分子により媒介されるアテローム性動脈硬化症、冠動脈疾患、その他の心臓血管性疾患および炎症性疾患の治療または予防の方法にも関する。さらに本発明は包括的には、これらの方法に有用な薬学的組成物、およびこのような薬剤の製造方法に関する。本発明のさらなる態様は、以下の説明から明らかになる。
【背景技術】
【0002】
注:本明細書中で著者が言及する出版物の文献目録の詳細は、明細書の最後にまとめた。
【0003】
アテローム性動脈硬化症(atherosclerosis)は、白血球、平滑筋細胞、脂質および細胞外マトリクスの病巣性蓄積を特徴とする動脈内膜の慢性炎症性疾患である。特に大型動脈の血管壁中の脂質およびその他の血液派生物の沈着により、プラーク(斑)形成を生じる。血管壁への脂質および白血球の付着が継続すると、血管壁の付随的肥厚化が認められる。プラークのサイズ増大は狭窄特性をもたらし、これがアテローム、血栓症または塞栓症による血管閉塞の原因となるようになる。重篤な血管問題、例えば梗塞、心不全、卒中および突然死が生じ得る。
【0004】
アテローム性動脈硬化症の発症に重要な素因は、血中のコレステロールレベルである。アテローム性プラークは、主としてコレステロールを含有する細胞からなる。その結果として、血中のコレステロールレベルが高いことは、アテローム性動脈硬化症のリスク増大に関連する。コレステロールの絶対レベルが高いことは重要なリスク因子であるが、一方、そのリスクは血中に存在するリポタンパク質の種類にさらに特異的に関連する。広範に及ぶ医学的見地によると、アテローム性動脈硬化症の発症のリスクに関しては、低密度リポタンパク質(LDL)および極低密度リポタンパク質(VLDL)が有害であるが、高密度リポタンパク質(HDL)は有益な因子であることが示されている。要するに、血流中のHDLのLDLに対する比は重要な因子である、ということになる。HDLのLDLに対する比が高いほど、より多くの患者が、その総コレステロールレベルがわずかに上昇した場合でさえ、アテローム性動脈硬化症の発症に対して保護されると思われる。この見解は、多数のセンターおよび国で実行された臨床試験で支持されている。
【0005】
多数の臨床的および疫学的試験により、血中の総コレステロールが高レベルであること、特に血中の低密度コレステロールが高レベルであること、特にLDL:HDLコレステロール比が高いことが、アテローム性動脈硬化症の発症の主要なリスク因子として割り出された。これは、このリスクを低減するために意図された種々の治療上の戦略をもたらした。種々の程度の成功を示す2つの大まかな戦略がある。第一は、コレステロール合成を妨害する薬剤の使用である。第二の戦略は、樹脂の使用により腸からのコレステロール吸収を低減することであり、それにより身体内のコレステロールのプールを低減することである。しかしながら、一般に、これら2つの戦略はいずれも、その結果生じる副作用および限定的な効能のために、最適でない。
【0006】
アテローム性動脈硬化症の発症は、動脈壁中のLDLコレステロールの酸化により進行されて、炎症性病変(inflammatory lesion)をもたらす。検査されずに放置されると、病変が血管の構築、閉塞および梗塞を引き起こすまで、炎症過程が進行する。
【0007】
酸化防止剤は、正常生理学的機能中に産生されるフリーラジカルを化学的に不活性化することにより、酸化(すなわち損傷)を阻害し得る分子または化合物である。身体が酸化防止剤の供給を欠いている場合、いくつかのフリーラジカルは依然活性のままで、健常細胞を攻撃し、または安全な化合物を損傷性化合物に変換する。酸化防止剤は、心臓血管性疾患において多数の重要な役割を果たす。それらは、低密度リポタンパク質(LDL)の酸化修飾の阻害によるアテローム性動脈硬化症の潜在的阻害剤として特に関心を引きつけている。リポタンパク質は、身体中でコレステロールの主要担体である。大多数のコレステロールは、LDLと会合し、肝臓から身体全体に分配されるLDLと会合する。高密度リポタンパク質(HDL)は、血中に存在する余分のコレステロールを「拭い取り」、それを肝臓に戻す。リポタンパク質は、非常に酸化され易く、一旦酸化されると、代謝されることなく健常な動脈および血管壁中に蓄積され得る。このようなリポタンパク質の集積は、アテローム性動脈硬化症のリスクを大いに増大する。特に、内皮下腔(sub-endothelial space)中のLDLの酸化は、アテローム発生における早期の原因となる過程を表す(非特許文献1)。したがって、酸化防止剤による酸化LDL形成の阻害は、一般に、疾患の進行を遅らせると考えられる。これは、心臓保護剤(cardioprotective agents)が有効である心臓血管性疾患における別の領域の保護であり、この場合、さらに多くのより良好な作用物質が求められている。
【0008】
血管性疾患の発症およびプラークの形成における別の領域は、非特許文献2に概説されているように、細胞接着分子により果たされる役割である。細胞接着分子は、血管内皮を含む組織への白血球および単球の接着に関与する。既知の細胞接着分子としては、細胞間接着分子(ICAM1、2および3)、血管細胞接着分子−1(VCAM-1)および血小板内皮細胞接着分子−1(PECAM-1)が挙げられる。心臓血管性疾患の病因における接着分子の役割は、細胞接着分子がアテローム性動脈硬化症の病変において発現される、という観察により支持される。さらに、細胞接着分子は、いくつかの冠動脈性心疾患リスク因子によりアップレギュレートされ、細胞接着分子に対する抗体は、動物モデルにおける再灌流障害を防止すると考えられる。したがって、内皮細胞と会合される接着分子の発現または活性の調整は、アテローム性動脈硬化性プラークの発達を制限することによる心臓血管性病理の治療または予防に有用であり得る。
【0009】
Eセレクチン、PセレクチンおよびLセレクチンなどのその他の分子は、接着機能を示す。特に、Eセレクチンは、組織損傷により生じるような炎症性因子に応答してサイトカイン活性化内皮細胞中で誘導可能に発現される細胞表面タンパク質である。内皮細胞によるEセレクチンの発現は、インターロイキン-1(IL-1)、腫瘍壊死因子−α(TNF-α)および種々の内毒素を含む炎症性因子によっても誘導され得る。Eセレクチンの発現は、内皮細胞および血小板の白血球および脂質との結合に関連する。内皮細胞との白血球の結合は、組織損傷後の初期段階で観察され、種々の急性および慢性炎症と関連する。内皮細胞と会合される接着分子の発現または活性の抑制または阻害は、特に損傷、損害または感染の領域での、血管壁への白血球の病巣性蓄積および接着を制限する。
【0010】
アテローム性動脈硬化症の治療において、アテローム性動脈硬化性プラークの非外科的治療(non-surgical intervention)を可能にするために、血管形成術が開発されてきた。血管形成術治療中、バルーンカテーテルを用いて完全に反跳する(recoil)その能力を超えて血管を拡張することにより血管内腔を広げ、それにより血流量を増大させる。しかしながら、この手法は動脈壁の機械的損傷を引き起こし、その後、再狭窄(restenosis)が通常起こる。実際、再狭窄は、血管の手術および治療中に血管に対してもたらされる外傷性損傷後の大きな問題である。
【0011】
再狭窄の発症に対応するために、外科的治療ならびに薬剤および遺伝子療法を含む種々のその他の治療が提案されてきた。このような療法は、細胞分裂および過増殖性障害(hyperproliferative disorders)を抑止し、血管平滑筋細胞を壊死させ、かつ内皮細胞接着分子の発現を遮断する化合物の投与を包含する。再狭窄に対処するのに有用なさらなる化合物としては、高脂血症治療薬、抗血小板薬、抗血栓剤、カルシウムチャンネル遮断薬、アンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤およびβ−遮断薬が挙げられる。しかし一般的には、治療薬は選択的でないので、モニタリングまたは反撃する必要がある副作用がしばしば認められる。この点では、一般に使用中の薬剤、例えば、チクリド(Ticlid)(チクロピジン)、プラビックス(クロピドロゲル)およびカルジプリン(Cardiprin)(アスピリン)が参照される。典型的には、胃腸障害および皮膚発疹がそれらの使用に伴って一般に報告される副作用である。その他の作用物質、例えばヘパリンは、報告によれば、in vitroでの平滑筋細胞増殖を阻害するが、in vivoで用いられる場合には、凝固を阻害するという悪い副作用を有する。
【0012】
血管性疾患が一般に今日の社会における主要死因であると考えると、およびその治療および予防のための新規の、改善された、より良好な代替的方法および製薬を特定することが強く必要とされる。
【0013】
したがって、
血管性および炎症性疾患、特に血管治療に関連した再狭窄の治療、改善または予防のための方法を提供することが、本発明の好ましい目的である。血管性および炎症性疾患、特に心臓血管性疾患の治療、改善または予防のための薬学的組成物を提供することが、本発明のさらに好ましい目的である。内皮細胞中の接着分子の発現または活性を阻害する方法および組成物を提供することが、本発明のさらに別の好ましい目的である。
【非特許文献1】
Steinberg D, Parthasarathy S, Carew TE, Khoo JC, Witztum JL "Beyond cholesterol. Modifications of low-density lipoprotein that increase its atherogenicity". N Engl J Med 1989 Apr 6; 320 (14): 915-24
【非特許文献2】
Hillis GS and Flapan AD "Cell adhesion molecules in cardiovascular disease: a clinical perspective". Heart 1998 May; 79 (5): 429-31
【発明の開示】
【0014】
意外にも、本発明者等は、イソフラボン化合物、その代謝産物および誘導体は、内皮細胞中での接着分子の発現または活性を阻害するかまたはダウンレギュレートするために特に有用であることを見出した。イソフラボンおよびその誘導体は、内皮細胞表面接着分子、特にEセレクチンおよびVCAM-1を阻害するために特に有用であることも見出された。
【0015】
本発明者等は、イソフラボンおよびその誘導体は、血管治療、例えばアテローム性動脈硬化症、およびアテローム性動脈硬化症病変の治療中の血管形成術部位でのその結果生じる機械的損傷の血管形成術治療に関連した再狭窄のリスクを防止または低減ことに用途を見出す、ということも、意外にも見出した。
【0016】
本発明の方法に有用なイソフラボン化合物、その代謝産物、誘導体および類似体は、下記に提示するように一般式Iで示される。
【0017】
したがって、本発明の第1の態様によれば、内皮細胞と会合される接着分子の発現または活性を阻害する方法が提供され、該方法は、接着分子または内皮細胞を、上記発現または活性を阻害するのに十分な量で1つまたはそれ以上の式Iの化合物と接触させる工程を包含する。
【0018】
好ましくは、接着分子は、Eセレクチンまたは血管細胞表面接着分子(VCAM-1)である。
【0019】
本発明の第2の態様によれば、被験者の内皮細胞と会合される接着分子の発現または活性を阻害する方法が提供され、該方法は、治療上有効な量の1つまたはそれ以上の式Iの化合物を被験者に投与する工程を含む。
【0020】
本発明の第3の態様によれば、被験者の内皮細胞と会合される接着分子の発現または活性により媒介される疾患を治療する方法が提供され、該方法は、内皮細胞と会合される接着分子の前記発現または活性を阻害するのに十分な量で1つまたはそれ以上の式Iの化合物を被験者に投与する工程を含む。
【0021】
好ましくは、前記疾患は、再狭窄、炎症性疾患、冠動脈疾患、アンギナまたは小血管性疾患(small vessel disease)などの血管性疾患であり、さらに好ましくは血管形成術後の再狭窄である。
【0022】
本発明の第4の態様によれば、被験者における再狭窄の治療、改善、予防またはリスクを低減する方法が提供され、該方法は、治療上有効な量の1つまたはそれ以上の式Iの化合物を被験者に投与する工程を含む。
【0023】
典型的に、再狭窄は、冠動脈治療(coronary intervention)などの血管治療に関連する。好ましくは、血管性冠動脈治療は、経皮経管冠動脈血管形成術(percutaneous transluminal coronary angioplasty)、方向性冠動脈アテレクトミー(direction coronary atherectomy)またはステントであり、さらに好ましくは血管形成術である。
【0024】
本発明の第5の態様によれば、被験者における手法的血管外傷(procedural vascular trauma)の治療方法が提供され、該方法は、治療上有効な量の1つまたはそれ以上の式Iの化合物を被験者に投与する工程を含む。
【0025】
好ましくは、手法的血管外傷は、血管形成術、血管手術、移植(graft)または移植手法(transplant procedure)である。
【0026】
本発明の第6の態様によれば、被験者における血管性疾患を治療または予防する方法が提供され、該方法は、治療上有効な量の1つまたはそれ以上の式Iの化合物を被験者に投与する工程を含む。
【0027】
好ましくは、血管性疾患は、再狭窄、炎症性疾患、冠動脈疾患、アンギナまたは小血管性疾患であり、より好ましくは血管形成術後の再狭窄である。
【0028】
本発明の第7の態様によれば、被験者における内皮細胞と会合される接着分子の発現または活性により媒介される疾患の治療で用いるのに適した投薬形態の薬学的組成物が提供され、該組成物は、薬学的に許容可能な担体とともに1つまたはそれ以上の式Iの化合物を含む。
【0029】
本発明の第8の態様によれば、被験者における血管性疾患の予防またはリスクの低減に用いるのに適した投薬形態の薬学的組成物が提供され、該組成物は、薬学的に許容可能な担体とともに1つまたはそれ以上の式Iの化合物を含む。
【0030】
本発明の第9の態様によれば、内皮細胞と会合される接着分子の発現または活性により媒介される疾患の治療に用いる薬剤の製造における、1つまたはそれ以上の式Iの化合物の使用が提供される。
【0031】
本発明の第10の態様によれば、血管性疾患および/または手法的血管外傷の治療のための薬剤の製造における、1つまたはそれ以上の式Iの化合物の使用が提供される。
【0032】
本発明のこれらおよびその他の態様は、添付の図面とともに、以下の説明および特許請求の範囲から明らかになる。
【0033】
本明細書および添付の特許請求の範囲を通して、別記しない限り、「〜を含む(comprise)」という単語およびその変形である「〜を含む(comprises)」または「〜を含む(comprising)」は、記述された完全体または工程(integer or step)あるいは複数の完全体または工程の群を含むことを意味するが、如何なるその他の完全体または工程、あるいは複数の完全体または工程の群を除外することを意味するものではないと理解される。
【0034】
添付の図1〜21は本発明の態様を例示するが、これらに限定されるものではない。図の各々の説明は、以下の実施例を通して提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
「狭窄」という用語は、その最も広い意味で解釈されて、特に血管または動脈などの身体の通路または開口部(orifice)の直径を狭めることまたは該直径の締め付けを意味し、一般に血流量の低減ならびに血管閉塞という付随的問題をもたらす。典型的には、狭窄は、脂質およびその他の血液派生物の病巣性蓄積および沈着の結果として起こる。
【0036】
「再狭窄」あるいは再−狭窄または二次狭窄という用語は、その最も広い意味で解釈されて、典型的には血管治療、損傷または外科手術後、例えばバルーンカテーテル治療後の狭窄の再発を意味する。狭窄および再狭窄は、身体中の血管中で起こり得るが、特に医学的に重要なのは、冠動脈中での狭窄の、命を脅かし、しばしば死をもたらす作用である。
【0037】
イソフラボンおよびその誘導体は、細胞接着分子の発現により媒介されるアテローム性動脈硬化症、再狭窄、炎症性応答およびその他の疾患において活性であることが既知の多数のシグナルに応答して、内皮細胞表面接着分子、特にEセレクチンおよびVCAM-1の誘導発現を遮断する、ということが意外にも発見された。この結果は、イソフラボン化合物およびその誘導体が、接着分子EセレクチンおよびVCAM-1により媒介される再狭窄、冠動脈疾患、アンギナならびにその他の血管性および心臓血管性疾患、炎症性疾患の治療および予防に有用である、ということを示す。イソフラボンおよび誘導体が細胞接着分子発現の阻害において機能する具体的な分子メカニズムは、十分には理解されていない。
【0038】
イソフラボンおよびその誘導体は、ヒト血管平滑筋細胞の細胞増殖を阻害し、かつヒト血管平滑筋細胞中でのPDGF誘導性Erk活性化をも阻害する、ということがさらに示された。この活性は、イソフラボンおよびその誘導体がアテローム性動脈硬化病変の発症および進行を防止し、血管保護において潜在的な利益を提供する可能性を示す。
【0039】
イソフラボンおよびその誘導体は、内皮細胞の増殖を阻害し、かつ内皮細胞の移動を阻害することが示され、したがって血管治療後の再狭窄の治療、改善または予防などの心臓保護療法としての使用の可能性を有する。
【0040】
イソフラボンおよびその誘導体は、強力な血管調節能力を有する、ということも示された。したがって、イソフラボンおよびその誘導体は、収縮活性を相殺し、直接血管拡張を相殺し、かつ酸化低密度リポタンパク質による内皮の損害に対して保護し得る。それらの活性は、卵巣ステロイド17β-エストラジオールに匹敵するが、それらの作用メカニズムに独特であるとも思われる。したがって、イソフラボンおよび誘導体はまた、血管治療後の再狭窄の治療、改善または予防などの心臓保護療法としての使用の可能性を有することも示す。
【0041】
イソフラボン化合物および誘導体は、外科手術または血管形成術により治療可能でない小血管性疾患を、あるいは外科手術が選択の対象でないその他の血管性疾患を治療するために、および血管再生療法の前後に患者を安定化するために投与され得る。活性化合物は、一般に臨床的に有意の再狭窄をもたらす異常増殖性および炎症性応答を低減または排除するための一手段として冠動脈形成術または血管性血管形成術などの血管治療の直前および後の期間にも投与され得る。さらに、イソフラボンは、心臓移植の拒絶反応および血管移植および移植手法の処置にも用いられ得る。
【0042】
本発明の方法は、それらが単に疾患の進行を阻害するよう意図された既知の療法を越えるという点で、血管の症状および疾患の治療において著しい進歩を示す。本明細書中で提供される実験データは、血管治療または血管形成術後の再狭窄が、種々の哺乳類動物モデルにおいて阻害されるかまたは少なくとも顕著に低減される、ということを予想外に示した。したがって、適切に用いられる場合、本発明の方法は、再狭窄を医学的に取り扱う、そしておそらくは、新規の病変の発症を防止し、かつ確定した病変を安定化または退行させることにより、アテローム性動脈硬化症を治癒する、イソフラボン化合物およびその誘導体の可能性を実証する。
【0043】
イソフラボンは、ステロイド系エストロゲンとのそれらの構造的類似性に関連したエストロゲン活性を有するマメ科植物中に主に見出される植物性エストロゲンの一クラスを包含する。哺乳類における骨粗鬆症を発症するリスクの低減、いくつかの形態の癌およびコレステロールレベルおよび血圧を下げるその能力とのその明白な関連により、イソフラボンの重要性が認識されたのはつい最近に過ぎない。イソフラボンの生物学的作用の多くが、種々のその他の活性代謝産物へのin vivoでのそれらの変換により説明され得る、ということも示唆されていた。イソフラボン代謝産物の重要性を考えれば、イソフラボンおよび代謝産物の合成誘導体も、重要な治療剤とみなされる。さらに、イソフラボンは、血管性疾患および関連手術の多数の既知の症候性治療薬と違って、ほとんどまたはまったく知られていない副作用に非常に高い耐性を有する主食の構成成分として長年にわたって摂取されてきた。
【0044】
本発明の方法に有用なイソフラボン化合物、その代謝産物、誘導体および類似体は、次の一般式で表され、その薬学的に許容可能な塩も含む:
【0045】
【化14】
Figure 2004529907
【0046】
式中、
、RおよびZは、独立して、水素、ヒドロキシ、OR、OC(O)R10、OS(O)R10、CHO、C(O)R10、COOH、CO10、CONR、アルキル、ハロアルキル、アリールアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アルキルアリール、アルコキシアリール、チオ、アルキルチオ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ニトロまたはハロであり、あるいは
は先に定義したとおりであり、かつ、RおよびZはそれらが結合される炭素原子と一緒になって、次の化学式から選択される5員環を形成し、
【0047】
【化15】
Figure 2004529907
【0048】
あるいは、Rは先に定義したとおりであり、かつRおよびZはそれらが結合される炭素原子と一緒になって、次の化学式から選択される5員環を形成し、
【0049】
【化16】
Figure 2004529907
【0050】
かつ、WはRであり、Aは水素、ヒドロキシ、NRまたはチオであり、そしてBは次の化学式から選択され、
【0051】
【化17】
Figure 2004529907
【0052】
あるいは、WはRであり、かつAおよびBはそれらが結合される炭素原子と一緒になって次の化学式からから選択される6員環を形成し、
【0053】
【化18】
Figure 2004529907
【0054】
あるいは、W、AおよびBは、それらが会合される基と一緒になって、次の化学式から選択され、
【0055】
【化19】
Figure 2004529907
【0056】
あるいは、WおよびAはそれらが会合される基と一緒になって、次の化学式から選択され、
【0057】
【化20】
Figure 2004529907
【0058】
かつ、Bは次の化学式から選択され、
【0059】
【化21】
Figure 2004529907
【0060】
この場合、
は、水素、アルキル、アリールアルキル、アルケニル、アリール、アミノ酸、C(O)R11(ここで、R11は水素、アルキル、アリール、アリールアルキルまたはアミノ酸である)、またはCO12(ここで、R12は水素、アルキル、ハロアルキル、アリールまたはアリールアルキルである)であり、
は、水素、アルキルまたはアリールであるか、あるいは
およびRはそれらが結合される窒素と一緒になって、ピロリジニルまたはピペリジニルを構成し、
は、水素、C(O)R11(ここで、R11は先に定義したとおりである)またはCO12(ここで、R12は先に定義したとおりである)であり、
は、水素、ヒドロキシ、アルキル、アリール、アミノ、チオ、NR、C(O)R11(ここで、R11は先に定義したとおりである)、CO12(ここで、R12は先に定義したとおりである)またはCONRであり、
は、水素、C(O)R11(ここで、R11は先に定義したとおりである)、アルキル、ハロアルキル、アルケニル、アリール、アリールアルキルまたはSi(R13(ここで、R13は各々独立して、水素、アルキルまたはアリールである)であり、
は、水素、ヒドロキシ、アルコキシまたはアルキルであり、
は、アルキル、ハロアルキル、アリール、アリールアルキル、C(O)R11(ここで、R11は先に定義したとおりである)またはSi(R13(ここで、R13は先に定義したとおりである)であり、
10は、水素、アルキル、ハロアルキル、アミノ、アリール、アリールアルキル、アミノ酸、アルキルアミノまたはジアルキルアミノであり、
描画「---(破線と実線の二重線)」は、単結合または二重結合を表し、
Tは、独立して水素、アルキルまたはアリールであり、
Xは、O、NRまたはSであり、かつ
Yは、次式である
【0061】
【化22】
Figure 2004529907
【0062】
式中、R14、R15およびR16は、独立して、水素、ヒドロキシ、OR、OC(O)R10、OS(O)R10、CHO、C(O)R10、COOH、CO10、CONR、アルキル、ハロアルキル、アリールアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、チオ、アルキルチオ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ニトロまたはハロである。
【0063】
本発明は、特に次の一般式II〜VIIIの化合物の使用に関する:
【0064】
【化23】
Figure 2004529907
【0065】
式中、
、R、R、R、R14、R15、WおよびZは上記に定義したとおりであり、
さらに好ましくは
、R、R14、R15、WおよびZは、独立して、水素、ヒドロキシ、OR、OC(O)R10、C(O)R10、COOH、CO10、アルキル、ハロアルキル、アリールアルキル、アリール、チオ、アルキルチオ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ニトロまたはハロであり、
は、水素、C(O)R11(ここで、R11は水素、アルキル、アリールまたはアミノ酸である)、またはCO12(ここで、R12は水素、アルキルまたはアリールである)であり、
は、水素、ヒドロキシ、アルキル、アリール、C(O)R11(ここで、R11は先に定義したとおりである)、またはCO12(ここで、R12は先に定義したとおりである)であり、
は、アルキル、ハロアルキル、アリールアルキルまたはC(O)R11(ここで、R11は先に定義したとおりである)であり、かつ
10は、水素、アルキル、アミノ、アリール、アミノ酸、アルキルアミノまたはジアルキルアミノであり、
【0066】
さらに好ましくは、
およびR14は独立して、ヒドロキシ、OR、OC(O)R10またはハロであり、
、R15、WおよびZは独立して、水素、ヒドロキシ、OR、OC(O)R10、C(O)R10、COOH、CO10、アルキル、ハロアルキルまたはハロであり、
は、水素、C(O)R11(ここで、R11は水素またはアルキルである)またはCO12(R12は水素またはアルキルである)であり、
は、水素またはヒドロキシであり、
は、アルキル、アリールアルキルまたはC(O)R11(ここで、R11は先に定義したとおりである)であり、かつ
10は、水素またはアルキルであり、
【0067】
さらに好ましくは、
およびR14は、独立して、ヒドロキシ、メトキシ、ベンジルオキシ、アセチルオキシまたはクロロであり、
、R15、WおよびZは、独立して、水素、ヒドロキシ、メトキシ、ベンジルオキシ、アセチルオキシ、メチル、トリフルオロメチルまたはクロロであり、
は、水素またはCO12(ここで、R12は水素またはメチルである)であり、かつ
は、水素である。
【0068】
本発明の特に好ましい化合物は次の化学式から選択される:
【0069】
【化24】
Figure 2004529907
【0070】
【化25】
Figure 2004529907
【0071】
【化26】
Figure 2004529907
【0072】
本発明の好ましい化合物は、それが結合されるイソフラボンまたは誘導体分子からin vivoで切断され得る生理学的に切断可能な離脱基を有するすべての誘導体も包含する。離脱基としては、アシル、ホスフェート、スルフェート、スルホネートが挙げられ、好ましくはモノ-、ジ-およびペル-アシルオキシ置換化合物であり、この場合、1つまたはそれ以上のペンダントヒドロキシ基がアシル基、好ましくはアセチル基により保護される。
典型的には、アシルオキシ置換イソフラボンおよびその誘導体は、対応するヒドロキシ置換化合物に容易に切断可能である。さらに、本発明のイソフラボン化合物および誘導体上の官能基の保護は、例えばT.W. Greene (1981)に記載されているような当該技術分野において十分に確立された方法により実行され得る。
【0073】
本発明に従って用いるために意図された最も好ましいイソフラボン化合物としては、ホルムオノネチン(formononetin)、ビオカニン(biochanin)、ゲニステイン(genistein)、ダイゼイン(daidzein)およびイーコル(equol)、ならびにその機能的誘導体、等価物または類似体が挙げられる。同様に重要な化合物は、ジヒドロダイゼイン、シスおよびトランステトラヒドロダイゼインおよびデヒドロイーコルならびにそれらの誘導体およびプロドラッグなどのイソフラボン代謝産物である。
【0074】
特定のイソフラボンの化学的および機能的等価物は、イソフラボンのいずれか1つまたはそれ以上の機能的活性を示す分子と理解されるべきであり、化学的に合成されるかまたは天然生成物スクリーニングのようなスクリーニング方法により同定されるようなあらゆる供給源から得られる。
【0075】
「アルキル」という用語は、炭素原子1〜10個、好ましくは炭素原子1〜6個の直鎖、分枝鎖および環状(炭素数5またはそれ以上の場合)の飽和アルキル基、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、シクロペンチル等を含むと解釈される。アルキル基は、さらに好ましくはメチル、エチル、プロピルまたはイソプロピルである。アルキル基は、所望により、1つまたはそれ以上のフッ素、塩素、臭素、ヨウ素、カルボキシル、C〜C−アルコキシカルボニル、C〜C−アルキルアミノカルボニル、ジ−(C〜C−アルキル)−アミノ−カルボニル、ヒドロキシル、C〜C−アルコキシ、ホルミルオキシ、C〜C−アルキル−カルボニルオキシ、C〜C−アルキルチオ、C〜C−シクロアルキルまたはフェニルにより置換され得る。
【0076】
「アルケニル」という用語は、炭素原子2〜10個、好ましくは炭素原子2〜6個で、少なくとも1つの二重結合を有する直鎖、分枝鎖および環状(炭素数5またはそれ以上の場合)の炭化水素、例えばエテニル、1-プロペニル、2-プロペニル、1-ブテニル、2-ブテニル、2-メチル-1-プロペニル、2-メチル-2-プロペニル等を含むと解釈される。アルケニル基は、さらに好ましくはエテニル、1-プロペニルまたは2-プロペニルである。アルケニル基は、所望により、1つまたはそれ以上のフッ素、塩素、臭素、ヨウ素、カルボキシル、C〜C−アルコキシカルボニル、C〜C−アルキルアミノ−カルボニル、ジ−(C〜C−アルキル)−アミノ−カルボニル、ヒドロキシル、C〜C−アルコキシ、ホルミルオキシ、C〜Cのアルキル−カルボニルオキシ、C〜C−アルキルチオ、C〜C−シクロアルキルまたはフェニルにより置換され得る。
【0077】
「アルキニル」という用語は、炭素原子2〜10個、好ましくは炭素原子2〜6個で、少なくとも1つの三重結合を有する直鎖および分枝鎖の炭化水素、例えばエチニル、1-プロピニル、2-プロピニル、1-ブチニル、2-ブチニル等を含むと解釈される。アルキニル基は、さらに好ましくはエチニル、1-プロピニルまたは2-プロピニルである。アルキニル基は、所望により、1つまたはそれ以上のフッ素、塩素、臭素、ヨウ素、カルボキシル、C−アルコキシカルボニル、C〜C−アルキルアミノ−カルボニル、ジ-(C〜C−アルキル)−アミノ−カルボニル、ヒドロキシル、C〜C−アルコキシ、ホルミルオキシ、C〜C−アルキル−カルボニルオキシ、C〜C−アルキルチオ、C〜C−シクロアルキルまたはフェニルにより置換され得る。
【0078】
「アリール」という用語は、フェニル、ビフェニルおよびナフチルを含むと解釈され、1つまたはそれ以上のC〜C−アルキル、ヒドロキシ、C〜C−アルコキシ、カルボニル、C〜C−アルコキシカルボニル、C〜C−アルキルカルボニルオキシまたはハロにより任意に置換され得る。
【0079】
「ヘテロアリール」という用語は、環中に少なくとも1つの酸素、硫黄または窒素を含む5員および6員環を含むと解釈され、この環は、所望により、フリル、ピリジル、ピリミジル、チエニル、イミダゾリル、テトラゾリル、ピラジニル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、キノリル、イソキノリル、プリニル、モルホリニル、オキサゾリル、チアゾリル、ピロリル、キサンチニル、プリン、チミン、シトシン、ウラシルおよびイソキサゾリルなどのその他のアリールまたはヘテロアリール環に融合され得るが、これらに限定されない。ヘテロ芳香族基は、所望により、1つまたはそれ以上のフッ素、塩素、臭素、ヨウ素、カルボキシル、C〜C−アルコキシカルボニル、C〜C−アルキルアミノ−カルボニル、ジ−(C〜C−アルキル)−アミノ−カルボニル、ヒドロキシル、C〜C−アルコキシ、ホルミルオキシ、C〜C−アルキル−カルボニルオキシ、C〜C−アルキルチオ、C〜C−シクロアルキルまたはフェニルにより置換され得る。ヘテロ芳香族は、所望により、部分的にまたは完全に水素化することができる。
【0080】
「ハロ」という用語は、フルオロ、クロロ、ブロモおよびヨード、好ましくはフルオロおよびクロロ、さらに好ましくはフルオロを含むと解釈される。例えば「ハロアルキル」への言及は、モノハロゲン化アルキル基、ジハロゲン化アルキル基および過ハロゲン化アルキル基までを含む。好ましいハロアルキル基は、トリフルオロメチルおよびペンタフルオロエチルである。
【0081】
「薬学的に許容可能な塩」という用語は、電荷を運搬し、かつ、例えば塩中のカウンターカチオンまたはカウンターアニオンとして薬学的作用物質とともに投与され得る有機または無機部分を指す。薬学的に許容可能なカチオンは当業者に既知であり、ナトリウム、カリウム、カルシウム、亜鉛および第四級アミンが挙げられるが、これらに限定されない。薬学的に許容可能なアニオンは当業者に既知であり、塩化物、酢酸塩、クエン酸塩、重炭酸塩および炭酸塩が挙げられるが、これらに限定されない。
【0082】
「薬学的に許容可能な誘導体」または「プロドラッグ」という用語は、受容者への投与時に、親化合物または代謝産物を直接または間接的に提供することができるか、あるいはそれ自体活性を示す活性化合物の誘導体を指す。
【0083】
本明細書中で用いる場合、「治療(treatment)」、「予防(prophylaxis)」または「防止(prevention)」、「改善(amelioration)」等という用語は、それらの最も広い文脈で考えられるべきものである。特に「治療」という用語は、動物が完全な回復まで治療される、ということを必ずしも意味しない。したがって「治療」は、特定の疾患の症状または重症度の改善、あるいは特定疾患を発症するリスクの防止またはそうでなければ低減を包含する。
【0084】
本発明の治療的処置に必要とされる1つまたはそれ以上の式Iの化合物の量は、多くの因子、例えば特定の用途、用いられる個々の化合物の性質、治療される病状、投与方式および患者の状態に依存している。式Iの化合物は、従来実行されるような方法および量で投与することができる。例えば、Goodman and Gilman, et al. (1995)を参照されたい。利用される具体的な投薬量は、治療される病状、被験者の状態、投与経路および上記のようなその他の既知の因子に依存する。一般的に、患者一人あたり1日の用量は、0.1mg〜5g、典型的には0.5mg〜1g、好ましくは50mg〜200mgの範囲であり得る。投与の長さは、治療または軽減されるべき病状の重症度に依存して、1日または2日に1回投与される1回投与から、1週間から、必要な場合には、数ヶ月〜数年までにわたって投与される1日2回または3回投与の範囲であり得る。任意の個々の患者に関して、特定投薬レジメンは、個体の必要性に、および組成物の投与を行なうかまたは管理する人の専門的判断に従って、時間をかけて調整されるべきである、とさらに理解される。活性化合物による比較的短期間の治療は、血管形成術または外科手術のいずれによっても治療することができない冠動脈疾患病変の安定化または縮小させるために用いることができる。より長期間の治療は、リスクの高い患者における進行病変の発症を防止するために採用され得る。
【0085】
本明細書中に記載された治療適応症(therapeutic indications)の治療のための薬学的組成物の製造は、典型的には、本発明の化合物(便宜上、以後「活性化合物」と呼ぶ)と当該技術分野で既知の1つまたはそれ以上の薬学的にまたは獣医学的に許容可能な担体および/または賦形剤とを混和することにより調製される。
【0086】
担体は、もちろん、配合物中の任意のその他の成分と相溶性であるという意味で許容可能でなければならず、かつ被験者に有害であってはならない。担体または賦形剤は、固体または液体あるいはその両方であってもよく、好ましくは100重量%までの活性化合物を、好ましくは0.5重量%〜59重量%の活性化合物を含有し得る単位用量、例えば錠剤、として化合物とともに配合される。1つまたはそれ以上の活性化合物は、本発明の配合物中に配合され得るが、これは、本質的には、所望により1つまたはそれ以上の補助成分を含む構成成分を混ぜ合わせることからなる製剤の既知のなんらかの技法により調製され得る。薬剤組成物中の活性化合物の好ましい濃度は、薬剤の吸収、分布、不活性化および排出速度、ならびに当業者に既知のその他の因子によって決まる。
【0087】
本発明の配合物は、経口、直腸、眼、バッカル(例えば、舌下)、非経口(例えば、皮下、筋肉内、皮内または静脈内)ならびに経皮投与に適したものを含むが、任意の所与の場合における最も適切な経路は、治療される病状の性質および重症度、ならびに用いられている特定の活性化合物の性質によって決まる。
【0088】
経口投与に適した配合物は、粉末または顆粒として、水性または非水性液体中の溶液または懸濁液として、あるいは水中油または油中水乳濁液として、それぞれ所定量の活性化合物を含有する、カプセル、小袋(sachets)、ロゼンジまたは錠剤などの不連続単位で提供され得る。このような配合物は、活性化合物および適切な担体(上記のような1つまたはそれ以上の補助成分を含有し得る)を結合させる工程を包含する調剤の任意の適切な方法によって調製され得る。一般的に、本発明の配合物は、活性化合物を液体または微粉砕固体担体またはその両方と均一によく混ぜ合わせ、次に、必要ならば、その結果生じた混合物を単位投薬量を形成するよう成形することにより調製される。例えば、錠剤は、活性化合物を、所望により、1つまたはそれ以上の補助成分とともに含有する粉末または顆粒を圧縮または成形することにより調製され得る。圧縮錠剤は、適切な機械で、所望により結合剤、滑剤、不活性希釈剤、および/または界面活性剤/分散剤(単数または複数)と混合された粉末または顆粒などの易流動性(free-flowing)の化合物を圧縮することにより調製され得る。成形錠剤は、適切な機械で、不活性液体結合剤で湿らせた粉末化合物を成形することにより製造され得る。
【0089】
バッカル(舌下)投与に適した配合物としては、風味処理基剤、通常はスクロースおよびアカシアまたはトラガカント中に活性化合物を含むロゼンジ、ならびに不活性基剤、例えばゼラチンおよびグリセリンまたはすクロスおよびアラビアゴム中に化合物を含む香錠(pastilles)が挙げられる。
【0090】
非経口投与に適した本発明の組成物は、便宜上、活性化合物の滅菌水性製剤を含むが、この製剤は、好ましくは対象とする受容者の血液と等張である。これらの製剤は、好ましくは静脈内に投与されるが、投与は、皮下、筋肉内または皮内注射によっても達成され得る。このような製剤は、便宜上、該化合物を水またはグリセリン緩衝液と混ぜ合わせ、その結果生じる溶液を滅菌して、血液と等張にすることにより調製され得る。本発明の注射用配合物は、一般に、0.1〜60%(w/v)の活性化合物を含有し、0.1ml/分/kgの割合で投与される。
【0091】
直腸投与に適した配合物は、好ましくは単位用量座薬として提供される。これらは、活性化合物を1つまたはそれ以上の従来型の固体担体、例えばカカオバターと混ぜ合わせ、次にその結果生じた混合物を成形することにより調製され得る。
【0092】
皮膚への局所投与に適した配合物または組成物は、好ましくは軟膏、クリーム、ローション、ペースト、ゲル、スプレー、エアロゾルまたはオイルの形態をとる。用いることができる担体としては、ワセリン、ラノリン、ポリエチレングリコール類、アルコール類およびそれらの2つまたはそれ以上の組合せが挙げられる。活性化合物は、一般に、0.1〜5%(w/w)、特に0.5〜2%(w/w)の濃度で提供される。このような組成物の例としては、美容用スキンクリームが挙げられる。
【0093】
経皮投与に適した配合物は、長期間受容者の表皮と緊密に接触したままであるようになっている個々のパッチとして提供され得る。このようなパッチは、活性化合物を、例えば該活性化合物に関して0.1〜0.2M濃度の所望により緩衝された水溶液として適切に含有する。例えば、Brown, L., et al. (1998)を参照されたい。
【0094】
経皮投与に適した配合物は、
イオン導入療法(例えば、Panchagnula R, et al., 2000を参照)によっても送達することができ、典型的には所望により緩衝された活性化合物の水溶液の形態をとる。適切な配合物は、クエン酸塩またはビス/トリス緩衝液(pH6)またはエタノール/水を含み、0.1〜0.2Mの活性成分を含有する。
【0095】
吸入に適した配合物は、溶液、懸濁液または乳濁液の形態でスプレー組成物として送達され得る。吸入スプレー組成物は、さらに、二酸化炭素または亜酸化窒素などの薬学的に許容可能な噴射剤を含むことができる。
【0096】
活性化合物は、食料品の形態で、例えば添加され、混合され、コーティングされ、一体化されている形態で、またはさもなければ食料品に付加された形態で提供され得る。食料品という用語はその考え得る最も広義で用いられ、乳製品を含む飲料などの液体配合物、および健康食品バー、デザート等のその他の食品が挙げられる。本発明の化合物を含有する食品配合物は、標準的な技法に従って容易に調製され得る。
【0097】
治療方法、用途および組成物は、例えば、コンパニオン・アニマルおよび家庭動物(例えばイヌおよびネコ)ならびに家畜動物(例えばウシ、ヒツジ、ブタおよびヤギ)、鳥類(例えば、鶏、七面鳥、アヒル)等の哺乳類を含むヒトまたは動物への投与のためであり得る。
【0098】
活性化合物あるいはその薬学的に許容可能な誘導体プロドラッグまたはそれらの塩はまた、初期の作用を減損しないその他の活性物質、あるいは初期の作用を補足する物質と、例えば抗生物質、抗真菌剤、抗炎症剤または抗ウイルス化合物と共投与され得る。活性作用物質は、2つまたはそれ以上のイソフラボンまたはその誘導体を、組合せまたは相乗(synergistic)混合物中に含み得る。活性化合物はまた、例えばプロブコールおよびニコチン酸などの脂質低下剤、アスピリンなどの血小板凝集阻害剤、クマジン(coumadin)などの抗血栓剤、ベラパミル、ジルチアゼムおよびジフェジピンなどのカルシウムチャンネル遮断剤、カプトプリルおよびエナラプリルなどのアンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤、ならびに、プロパノロール、テルブタロール(terbutalol)およびラベタロールなどの−遮断剤とともに投与され得る。化合物は、非ステロイド系抗炎症剤、例えばイブプロフェン、インドメタシン、アスピリン、フェノプロフェン、メフェナム酸、フルフェナム酸およびスリンダクと組合せても投与され得る。化合物はまた、コルチコステロイドとともに投与され得る。
【0099】
共投与は、同時であっても、逐次であってもよい。同時投与は、同一または類似時点で投与される同一単位用量中に、または個別および個々の単位用量中に存在する化合物により達成され得る。逐次投与は、必要に応じた如何なる順序であってもよく、典型的には、二番目の、すなわち後の活性作用物質が投与される時に、特に蓄積または相乗的効果が望まれる場合、一番目の、すなわち最初の活性作用物質の進行中の生理学的作用が存続している必要がある。
【0100】
本発明に用いるためのイソフラボンは、当業者に容易に同定可能な任意数の供給源から誘導される。好ましくは、それらは、植物供給源からの濃縮物または抽出物の形態で得られる。また、当業者は、適切な植物種を容易に同定し得るが、例えば本発明における特定用途の植物としては、マメ科植物が挙げられる。さらに好ましくは、イソフラボン抽出物は、ヒヨコマメ、レンズマメ、エンドウ、ムラサキツメクサまたはサブタレニアンクローバー種等から得られる。
【0101】
イソフラボン抽出物は、当該技術分野で既知の任意数の技法により調製され得る。
例えば、適切なイソフラボン抽出物は、植物供給源からの水/有機溶媒抽出により調製され得る。イソフラボン抽出物は、単一種の植物の任意の単一組織、あるいはそれらの2つまたはそれ以上の異なる組織の組合せから調製され得る、と理解される。同様に、抽出物は、植物の2つまたはそれ以上の異なる種からの組織の異種混合物を含有する出発物質から調製され得る。
【0102】
一般に、イソフラボン抽出物が、植物物質から調製される場合、該物質はより小さい片に粉砕されるかまたは切り刻まれ、あるいは部分的により小さい片に細砕されるかまたは切り刻まれて、水および有機溶媒、例えば水混和性有機溶媒と接触され得る。あるいは、植物物質は、如何なる前処置もなしに水および有機溶媒と接触される。水対有機溶媒の比は一般に、1:10〜10:1の範囲であり、例えば、同等の比率の水および溶媒または1〜30%(v/v)の有機溶媒からなってもよい。如何なる有機溶媒またはこのような溶媒の混合物も用いることができる。有機溶媒は、好ましくはC〜C10の、さらに好ましくはC〜Cの有機溶媒(例えば、メタノール、クロロホルム、エタノール、プロパノール、プロピレングリコール、エリトリット、ブタノール、ブタンジオール、アセトニトリル、エチレングリコール、エチルアセテート、グリシドール、グリセロールジヒドロキシアセトンまたはアセトン)であり得る。所望により、水/有機溶媒混合物は、イソフラボングリコシドをアグリコン型(aglycone form)に切断する酵素を含み得る。該混合物は、乳濁液を形成するよう、激しく撹拌され得る。混合温度は、例えば周囲温度から沸騰温度の範囲であり得る。曝露時間は、1時間〜数週間の間であり得る。便宜的な一抽出時間は、90℃で24時間である。抽出物は、非溶解植物物質から分離することができ、例えば、蒸留、ロータリーエバポレーション、または溶媒除去のためのその他の標準手法により、有機溶媒が除去される。水溶性および非水溶性構成成分を含有するその結果生じた抽出物を乾燥するとイソフラボン含有抽出物を得ることができ、これは、本発明に従って1つまたはそれ以上の薬学的に許容可能な担体、賦形剤および/または補助剤とともに配合され得る。
【0103】
先の段落に示した説明に従って作られる抽出物は、イソフラボンをそれらのアグリコン型(本明細書中ではイソフラボンと呼ぶ)で含む少量の油を含有し得る。このイソフラボン濃縮油は、HPLC処理してイソフラボン比を調整することができ、あるいはそれが所望のイソフラボン比である場合には、例えばシリカの存在下で乾燥され、1つまたはそれ以上の担体、賦形剤および/または補助剤とともに配合されて、イソフラボン含有抽出物を得ることができる。あるいは、上記の少量の油中に含有されるイソフラボンは、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、アセトンまたはこのような溶媒の1つまたはそれ以上の混合物などの非水溶性有機溶媒の油に添加することによりさらに濃縮され得る。一例は、油に関して高溶解性を有するが、イソフラボンに関しては低溶解性を有する80%ヘキサン、20%(w/w)アセトンである。油は有機溶媒中に容易に分配され、濃縮イソフラボン含有抽出物は溶液外に分離する。回収された抽出物は、例えばオーブン中で50℃〜約120℃で乾燥され、そして、1つまたはそれ以上の薬学的に許容可能な担体、賦形剤および/または補助剤とともに配合される。
【0104】
本発明は、当該技術分野で既知の確立された合成技法により、適切なイソフラボン、その機能性誘導体、等価体または類似体の生成も意図する、と理解される。例えば、種々のイソフラボンの合成に適した方法を開示するChang et al. (1994)を参照されたい。
【0105】
その他の適切な方法は、例えば、国際特許出願公開WO98/08503およびWO00/49009ならびにそこに引用された参考文献に見出すことができる。これらの記載内容は、そのままそっくり参照によりここに援用される。
【0106】
以下の非限定的実施例および添付の図面により、本発明をさらに説明する。
【実施例1】
【0107】
抗血管収縮作用および酸化 LDL 損傷からの保護
血管の弾性および血管性応答は、心臓血管性リスクを助長する重要な因子である。正常な生理学的状態は、健常な循環系を示すのに対して、動脈は、ストレスの示差的刺激(differential stimuli)に敏感(responsive)である。コレステロールの蓄積および年齢は、応答が不十分な血管に関与する。したがって血管拡張を生じ、かつ酸化LDL損傷から血管を保護するイソフラボンの能力を検査する実験を実施した。さらにこれらの作用における内皮の重要性を調べた。
【0108】
方法
ラット胸大動脈の単離
雄Sprague-Dawleyラット(250±50g)を80%COおよび20%Oを用いて死ぬまでガス処理した。胸大動脈を摘出して、199mMのNaCl、4.7mMのHCl、1.17mMのMgSO・7HO、25mMのNaHCO、1.18mMのKHPO、2.5mMのCaCl、11mMのグルコースおよび0.03mMのEDTAからなる氷冷クレブス変法溶液(Krebs modified solution)中に迅速に入れた。次に、脂肪および結合組織を取り除いて、2〜3mm幅の環に切断した。37℃に保持し、95%O+5%COを通気した変法クレブス溶液を含むシングルウォータージャケット付き3mLオーガンバス中の2つの平行なステンレススチールフックに、各環を載せた。下方フックを移動可能な支持足に取り付け、上方フックを等張記録(isometric recordings)のためにFT03フォーストランスデューサー(Grass Scientific Instruments, Mitutoyo, Japan)に取り付けた。力の変化を増幅させ(Quadbridge増幅器、Scientific Concepts Inc., Victoria, Australia)、アップルコンピューター(Apple Computer Inc., Cupertina, CA)に連結したMacLab8Eデータ収集システム(Adinstuments Pty Ltd., NSW, Australia)で記録した。環を2gの初期張力に設定し、30分間平衡させて、その後、各実験プロトコールの開始前に、それらを2g張力に再設定した。
【0109】
プロトコール1:ノルアドレナリンに対する収縮曲線に及ぼすイソフラボン代謝産物の作用
β-エストラジオール(1μg/ml)、Cpd.5(0.1および1μg/ml)、Cpd.7(0.1および1μg/ml)、Cpd.8(0.1および1μg/ml)およびCpd.12(1μg/ml)、ならびにビヒクル等容量DMSOの存在下および非存在下においてノルアドレナリン(0.1nM〜10mM)に対して、全濃度−収縮曲線(full concentration-contractile curves)を得た。いずれか一つの濃度の一化合物のみを、いずれか一つの動物からのいずれか一つの環に関して試験した。
【0110】
プロトコール2a イソフラボン代謝産物誘導体の血管拡張能力
ノルアドレナリンに対する全濃度応答を得た。これから、約80%の亜最高(submaximal)収縮を生じる濃度を選択した(0.03〜0.3μM)。次に環をこの亜最高値濃度で絞窄して、安定状態にした後、β-エストラジオールおよびCpd.5、7、8および12、ならびにビヒクルDMSO(等容量で)に対して、全濃度−弛緩曲線を得た。任意の一動物からの任意の一つの環を用いて、一化合物のみを試験した。
【0111】
プロトコール2b. イソフラボン代謝産物誘導体の血管拡張能力:作用メカニズム
内皮(粗面に対して管腔を静かに回転させることにより、環から内皮を剥がした)、一酸化窒素シンターゼ阻害剤ニトロ-L-アルギニン(NOLA 10μM;化合物の限定供給のためにCpd.8を除く)、40mMのKCl(内皮由来過分極化因子を阻害するため)、シクロ−オキシゲナーゼ阻害剤インドメタシン(10μM)および可溶性グアニル酸シクラーゼ阻害剤1H-[1,2,4]オキサジアゾロ[4,3-a]キノキサリン-1-オン(ODQ;10μM)の非存在下および存在下においてCpd.5、7、8および12ならびにβ-エストラジオールに対して、全弛緩曲線を得た。任意の一動物からの任意の一つの環に関して、唯一の治療を有する唯一の化合物を試験した。
【0112】
プロトコール3 酸化低密度リポタンパク質により誘導される内皮損傷に対するイソフラボン代謝産物誘導体の保護作用
フェニレフリンに対する全濃度応答曲線を構築し、これから、約80%の亜最大収縮を示す濃度を選択した(通常0.3μM)。次に組織を選定濃度でフェニレフリンで締め付けて、安定状態にさせた。次にアセチルコリンに対して、全濃度拡張曲線を構築した。この後、予備実験でアセチルコリンに対する応答に影響を及ぼさないことが実証された
0.1%消泡剤B(SIGMA)を、バスに添加した。次に、β-エストラジオール(10pg/ml)、Cpd.5(300ng/ml)、Cpd.7(1μg/ml)、Cpd.8(3μg/ml)またはCpd.12(3μg/ml)の非存在下および付加的存在下で、酸化低密度リポタンパク質(雄ウシLDL:0.3mgタンパク質/ml)を用いて1時間インキュベートした後、アセチルコリンに対する全濃度応答曲線を反復した。プロトコール2aで実施した実験からのneg log EC45〜EC50に基づいて、濃度を選定した。
【0113】
低密度リポタンパク質の調製
血液バンクからヒト血漿を得た。Beckman遠心分離機を用いたBeckman垂直ローター(70 Ti)での不連続密度勾配超遠心分離を用いて、個々のリポタンパク質分画を得た。すなわち、0.018gのKBrを1mlの血漿に添加し、これを迅速密封管に移して、65,000rpmで4℃で一晩回転させた。次に上部(VLDL)分画を取り除き、0.064gのKBrを1mlの底部分に添加した。これを迅速密封管(quick-seal tubes)に移して、65,000rpmで4℃で一晩回転させた。上部(LDL)分画を迅速密封管に移して、dl.063溶液でいっぱいにして、回転させた。各回転後に上部LDL分画を回収し、0.05MのNHHCOpH8.0に対して4日間にわたって、毎日溶液を交換して、透析した。得られた最終LDL分画のタンパク質含量を、Lowryの簡易タンパク質アッセイ法により確定した。5μMのCuSOを用いた2時間のインキュベーションにより、LDLを酸化した。
【0114】
データ提示および統計分析
収縮応答は、g張力(平均+平均の標準誤差)で表される。拡張応答は、用いた前絞窄剤(pre-constricting agent)により生じる収縮力のパーセンテージとして表される。ノルアドレナリンおよびアセチルコリン±用いた治療に関する個々の濃度−応答曲線を、次式の論理方程式(logistic equation)に当てはめた:
E=MA/(AXK
式中、Eは応答であり、Mは最大応答であり、そしてKは最大応答の50%を引き出す濃度である(すなわち、neg log EC50)。
【0115】
分散の2方向反復測定解析により結果を分析し、適切な場合には、その後、パラメーター分析を実施する前に正規性に関してデータを本質的に試験するSigmastat統計ソフトウエア(Jandel Scientific, San Rafael, CA)を用い、適切な補正を有するpost-hoc t検定を行った。
【0116】
薬剤および溶液
1,3,5[10]-エストラトリエン-3,17β-ジオール(17β-エストラジオール、SIGMA)、Cpd.5、Cpd.7、Cpd.8およびCpd.12(Novogen Ltd製)をDMSO中に溶解し、クレブス中で所望の濃度に希釈した。Nω-ニトロ-L-アルギニン(SIGMA)、インドメタシン(SIGMA)、ノルエピネフリン重酒石酸塩(SIGMA)、アセチルコリンクロリド(SIGMA)および1H-(1,2,4)オキサジアゾロ(4,3-a)キノキサリン-1-オン(SIGMA)を、メーカーの使用説明書に従って溶解した。
【0117】
結果
プロトコール1:ノルアドレナリンに対する収縮曲線に及ぼすイソフラボン代謝産物の作用
表1は、β-エストラジオール、合成イソフラボン誘導体(Cpd.5、7、8および12)および慣例的使用物(the used)の存在下および非存在下でのノルアドレナリンに対して得られる最大力を表示する。
【0118】
図1は、1マイクロg/mlで用いた場合の種々の化合物に関するノルアドレナリンに対する応答に及ぼす作用をグラフで示す。図2は、30分インキュベーション後の非存在下(前化合物:pre-compound)および存在下(後化合物:post-compound)でのノルアドレナリンに対する全濃度−収縮応答を示す。
【0119】
試験した活性化合物はすべて、ノルアドレナリン誘導性収縮に及ぼす有意の拮抗作用を有した。試験した化合物の効力の順序の指標を得るために、ノルアドレナリンに対する最大応答の差(化合物の非存在下での最大応答−化合物の存在下での最大応答)を、1μg/mlで各化合物に関して算定した(表1)。これから、Cpd.12が、ノルアドレナリンに対する収縮応答を相殺する場合にβ-エストラジオールに匹敵することは明らかであったが、Cpd.5、Cpd.7およびCpd.8は活性であるが、β-エストラジオールより低効力であった。
【0120】
【表1】
Figure 2004529907
【0121】
プロトコール2a:イソフラボン代謝産物の血管拡張能力:作用メカニズム
図3は、試験した化合物の濃度−拡張作用を示す。亜最大濃度のノルアドレナリンで前絞窄された(pre-constricted)ラット単離大動脈環を用いた17β-エストラジオールおよびCpd.5、7、8および12に関して得られた濃度−拡張曲線。値はすべて、平均±平均の標準誤差である。4つの化合物はすべて、それらの血管拡張能力においてβ-エストラジオールと少なくとも同等に強力であった。これらの化合物が拡張作用を発揮するメカニズムをさらに、特定のアンタゴニストを用いて調べた。
【0122】
β-エストラジオール:図4は、亜最大濃度のノルアドレナリンで前絞窄した(pre-constricted)ラット単離大動脈環を用いた17β-エストラジオールに関して得られた濃度−拡張曲線を示す。
これらを、
(a)無傷内皮、
(b)一酸化窒素シンターゼ阻害剤N“-ニトロ-L-アルギニン(NOLA 10μM)、
(c)40mMのKCl、
(d)可溶性グアニル酸シクラーゼ阻害剤1H-[1,2,4]オキサジアゾロ[4,3-a]キノキサリン−1−オン(ODQ 10μM)、
(e)シクロ−オキシゲナーゼ阻害剤インドメタシン(10μM)の非存在下および存在下で実施し、
(f)は時間(30分)コントロールを示す。
n=実験数。
【0123】
β-エストラジオールに対する血管拡張性応答は、内皮の除去(図3a)、ニトロ-L-アルギニンを用いたインキュベーション(図4b)、高レベルのKCl(図4c)およびODQ(図4d)により、阻害された。インドメタシンはこのステロイドの拡張作用に影響を及ぼさず(図4e)、時間依存性変化は観察されなかった(図4f)。
【0124】
Cpd.5:図5は、亜最大濃度のノルアドレナリンで前絞窄したラット単離大動脈環を用いたCpd.5に関して得られた濃度−拡張曲線を示す。
これらを、
(a)無傷内皮、
(b)一酸化窒素シンターゼ阻害剤N”-ニトロ-L-アルギニン(NOLA 10μM)、
(c)40mMのKCl、
(d)可溶性グアニル酸シクラーゼ阻害剤1H-[1,2,4]オキサジアゾロ[4,3-a]キノキサリン−1−オン(ODQ 10μM)、
(e)シクロ−オキシゲナーゼ阻害剤インドメタシン(10μM)の非存在下および存在下で実施し、
(f)は時間(30分)コントロールを示す。
n=実験数。
【0125】
Cpd.5に対する血管拡張性応答は、内皮の除去(図5a)、ニトロ-L-アルギニンを用いたインキュベーション(図5b)、高レベルのKCl(図5c)およびODQ(図5d)により、阻害された。インドメタシンはこのステロイドの拡張作用に影響を及ぼさず(図5e)、時間依存性変化は観察されなかった(図5f)。
【0126】
Cpd.7:図6は、亜最大濃度のノルアドレナリンで前絞窄したラット単離大動脈環を用いたCpd.7に関して得られた濃度−拡張曲線を示す。
これらを、
(a)無傷内皮、
(b)一酸化窒素シンターゼ阻害剤N”-ニトロ-L-アルギニン(NOLA 10μM)、
(c)40mMのKCl、
(d)可溶性グアニル酸シクラーゼ阻害剤1H-[1,2,4]オキサジアゾロ[4,3-a]キノキサリン−1−オン(ODQ 10μM)、
(e)シクロ−オキシゲナーゼ阻害剤インドメタシン(10μM)の非存在下および存在下で実施し、
(f)は時間(30分)コントロールを示す。
n=実験数。
【0127】
Cpd.7に対する血管拡張性応答は、内皮の除去(図6a)、高レベルのKCl(図6c)およびODQ(図6c)により、阻害された。NOLAによるこれらの応答の阻害傾向が認められたが、これは統計学的に有意でなかった。インドメタシンはこのステロイドの拡張作用に影響を及ぼさず(図6d)、時間依存性変化は観察されなかった(図6e)。
【0128】
Cpd.8:図7は、亜最大濃度のノルアドレナリンで前絞窄したラットから単離した大動脈環を用いたCpd.8に関して得られた濃度−拡張曲線を示す。
これらを、
(a)無傷内皮、
(b)40mMのKCl、
(c)可溶性グアニル酸シクラーゼ阻害剤1H-[1,2,4]オキサジアゾロ[4,3-a]キノキサリン−1−オン(ODQ 10μM)、
(d)シクロ−オキシゲナーゼ阻害剤インドメタシン(10μM)の非存在下および存在下で実施し、
(e)は時間(30分)コントロールを示す。
n=実験数。
【0129】
Cpd.8に対する血管拡張性応答は、内皮の除去(図7a)、高KClレベル(図7b)によって阻害されたが、ODQ(図7c)によっては阻害されなかった。インドメタシンはCpd.8の阻害作用を強化した(図7d)。時間依存性変化は観察されなかった(図7e)。
【0130】
Cpd.12:図8は、亜最大濃度のノルアドレナリンで前絞窄したラットから単離した大動脈環を用いたCpd.12に関して得られた濃度−拡張曲線を示す。これらを、
(a)無傷内皮、
(b)一酸化窒素シンターゼ阻害剤N“-ニトロ−L−アルギニン(NOLA 10μM)、
(c)40mMのKCl、
(d)可溶性グアニル酸シクラーゼ阻害剤1H-[1,2,4]オキサジアゾロ[4,3-a]キノキサリン−1−オン(ODQ 10μM)、
(e)シクロ−オキシゲナーゼ阻害剤インドメタシン(10μM)の非存在下および存在下で実施し、
(f)は時間(30分)コントロールを示す。n=実験数。
【0131】
Cpd.12に対する血管拡張性作用は、内皮の除去(図8a)および高レベルのKCl(図8c)によって阻害されたが、NOLA(図8b)にもODQ(図8d)にもまたはインドメタシン(図8e)にも阻害されなかった。時間依存性変化は観察されなかった(図8e)。
【0132】
プロトコール3:酸化低密度リポタンパク質により誘導される内皮損傷に対するイソフラボン代謝産物の保護作用
図9は、
(a)酸化低密度リポタンパク質(雄ウシLDL、0.3mgタンパク質/ml)、
(b)雄ウシLDL+Cpd.8(3μg/ml)
を用いた30分インキュベーションを行なった場合と行なわなかった場合での亜最大濃度のフェニレフリンで前絞窄したラットから単離した大動脈環を用いて得られたアセチルコリンに対する全濃度応答曲線を示す。図10は、雄ウシLDLを用いた単独インキュベーションならびに雄ウシLDL+17β-エストラジオールまたはCpd.5、7、8または12の共インキュベーション(co-incubation)を行なった場合と行なわなかった場合での亜最大濃度のフェニレフリンで前絞窄したラット単離大動脈環を用いたアセチルコリンに対して得られた最大拡張を示すヒストグラムを表す。n=実験数。
【0133】
雄ウシLDLを用いたインキュベーションにより、アセチルコリンに対する応答は有意に減じた(図9a)。雄ウシLDLのCpd.8との共インキュベーションは、雄ウシLDLの阻害作用を減少した(図9b)。
【0134】
さらに、この化合物との共インキュベーションを行なった場合でのアセチルコリンに対して得られる最大応答は、雄ウシLDLを用いた単独インキュベーションの場合より有意に低かった(図10)。β-エストラジオールおよびその他の化合物との雄ウシLDLの共インキュベーションは、雄ウシLDLインキュベーションの前および後に得られた最大拡張間の有意差がもはや明らかでないよう、雄ウシLDLの作用を減少させた。しかしながら共インキュベーションを行なった場合で得られたアセチルコリンに対する最大拡張は、雄ウシLDLのみの存在下で得られたものと異ならなかった(図10)。
【0135】
考察
これらの試験は、
イソフラボン化合物および誘導体が、
(a)ノルアドレナリンに対する血管収縮性応答を阻害し、
(b)血管拡張性であることを、そして
(c)Cpd.8が酸化LDLによる内皮損傷に対して有意に保護するということを実証する。いくつかのこれらの化合物のin vitro血管プロフィールは、卵巣ステロイド17β-エストラジオールに匹敵し、そしてある場合には、それより有効である。これは、これらの化合物が、高イソフラボン食(high isoflavone diets)に帰する心臓保護作用を担うことができるということを示唆するが、さらに重要なことには、特に通常の食事で摂取するイソフラボンから得られるものより多い用量で投与される場合、これらの化合物は、潜在的な心臓保護的治療剤として有用であり得る、ということを示唆する。
【0136】
Cpd.5、7、8および12はすべて、ノルアドレナリンの収縮作用と拮抗し得たが、異なる程度にであった。Cpd.12は最も効果的で、17β-エストラジオールに匹敵する。Cpd.5およびCpd.7は同等の効力であるが、Cpd.12より低効力であるように思われた。Cpd.8は、最小の効力であった。Cpd.5、7および8の拮抗作用は、用量依存性であったが、Cpd.12およびβ-エストラジオールの用量依存性は検査しなかった。等容量では、ビヒクル(DMSO)は、ノルアドレナリンに対する応答の阻害には有効でなかった。
【0137】
イソフラボン代謝産物合成誘導体の血管拡張作用は、17β-エストラジオールより強力ではないとしても、少なくとも同等に強力であったが、作用メカニズムは、4つの化合物すべての拡張作用が内皮の除去時に減少したという点で、17β-エストラジオールの作用メカニズムとは異なった。
【0138】
インドメタシンによる影響を受けない化合物はなかったが、これは、プロスタサイクリンがそれらの血管拡張能力において実質的役割を果たしそうにない、ということを示唆する。しかしながら、インドメタシンが、血管拡張能力の増大が観察されるようなCpd.8の作用を強化したことは、Cpd.8が、トロンボキサンなどの血管収縮性プロスタノイド(vasoconstrictory prostanoid)の放出を増大し、その除去により拡張増大が観察されたことを示唆する。Cpd.5およびCpd.7の両方の拡張応答は、高レベルのKCl、ODQおよびNOLAにより阻害された。したがって、これらの化合物両方の拡張作用は、内皮由来弛緩因子、おそらくは可溶性グアニル酸シクラーゼ活性を活性化する一酸化窒素の放出と関連し得る。
【0139】
KClによる阻害は、内皮由来過分極因子(EDHF)も放出されることを示唆する。EDHF応答を単離するに際してのKClの使用への制限が認められ、アパミンおよびカリブドトキシン(charybdotoxin)などの特異的Kチャンネル阻害剤の使用によるさらなる調査が保証される、と認識される。制限を仮定すると、一般的試験においては、Cpd.5およびCpd.7により放出される過分極因子が一酸化窒素でないことを示唆する証拠はない。
【0140】
一方、Cpd.8およびCpd.12の拡張作用は、EDHFに全体的に寄与し得るが、この場合、これは明らかに一酸化窒素でなく、可溶性グアニル酸シクラーゼにより活性化されない。したがって、これら4つの化合物が血管拡張を引き起こす作用メカニズムが、卵巣ステロイドβ-エストラジオールおよびその親化合物と異なるだけでなく、互いに異なる、ということは明らかである。
【0141】
最終シリーズの実験において、酸化LDLにより誘導される内皮損傷に対するこれらの化合物の保護作用を調べた。酸化LDLは、内皮依存性血管拡張剤アセチルコリンの血管拡張能力を阻害した。試験したすべての化合物は、雄ウシLDLに起因するアセチルコリンに対する応答を減少したが、Cpd.8は、雄ウシLDLを用いた単独インキュベーションとの直接比較において、アセチルコリンに対する応答に有意な作用を及ぼすことを実証することができた唯一の化合物であった。その17β-エストラジオールが雄ウシLDLによる内皮損傷に対して保護し得るということは、既に実証されている。現在のデータから、これに関連してCpd.8の保護作用が17β-エストラジオールより少なくとも10倍強力である、ということは明らかである。Cpd.8は、他のプロトコールにおいては、すなわちノルアドレナリンの拮抗において、あるいはその直接血管拡張能力において、最も強力な化合物というわけではないため、この化合物の心臓保護作用のメカニズムは、試験した他のものとは異なるようであり、その酸化防止能力に存在し得る。
【0142】
これらの結果は、Cpd.5、7、8、12が強力な血管調節能力を有する、ということを示す。したがって、イソフラボンおよびその誘導体は、収縮活性を相殺でき(Cpd.12>Cpd.5=Cpd.7>Cpd.8)、直接血管拡張を相殺し、かつ酸化低密度リポタンパク質による内皮損傷に対して保護する(Cpd.8は、この情況においては、17β-エストラジオールより少なくとも10倍強力である)ことができる。卵巣ステロイド17β-エストラジオールに匹敵する一方、それらの活性はまた、それらの作用メカニズムにおいて独特であると思われる。したがって、イソフラボンおよび誘導体は、心臓保護的療法としての使用、特に再狭窄の治療およびその他の種類の内皮肥厚加速(accelerated intimal thickening)の治療における使用の可能性を示す。
【実施例2】
【0143】
血管平滑筋細胞作用
血管平滑筋細胞増殖は、アテローム性動脈硬化症プロセスにおける重要な工程であり、エストロゲンにより阻害される。イソフラボン化合物および誘導体のアテローム保護(ateroprotective)特性を調べるために、実験を実施して、DNA合成および細胞増殖の簡単なマーカー、すなわち[3H]-チミジン取込みおよび細胞数に及ぼすイソフラボン代謝産物の選定合成誘導体、Cpd.5、7、8および12の作用を調べた。Cpd.7に関して得られた有望な結果に鑑みて、マイトジェン活性化タンパク質(MAP)キナーゼ(Erk, JUNK, p38)に及ぼすCpd.7の作用を確定することにより、これらの活性を媒介するシグナル経路を調べた。
【0144】
方法
細胞調製
雌内胸動脈(IMA)由来の血管平滑筋細胞(VSMC)を10%FBS−DMEM中で培養した。細胞をLG(グルコース5mM)培地中で集密に増殖させ、次にトリプシン処理して、10%FBS−LG培地で約10,000細胞/mlに希釈し、1mlの懸濁液を4つの24ウエルプレート中にアリコート化した。次に細胞を2日間増殖させて、視覚的に集密にした。LG無血清培地を48時間取り換えて、ほとんどの細胞をG/Gに同調させた。
【0145】
細胞処理:
無血清培地での24時間後、細胞を化合物(Cpd.5、Cpd.7、Cpd.8またはCpd.12)で4時間処理し、FBSを一晩(18〜20時間)添加した(最終濃度2.5%)。各処理に4つのウエルを割り当てた:
(1)コントロール:2.5%FBS
(2)FBS+イソフラボン処理(0.01 mM)
(3)FBS+イソフラボン処理(0.1 mM)
(4)FBS+イソフラボン処理(1 mM)
(5)FBS+イソフラボン処理(10 mM)
(6)FBS+イソフラボン処理(100 mM)
【0146】
種々の増殖因子、例えば血清および血小板由来増殖因子(PDGF)により、細胞増殖を誘導した。
【0147】
チミジン取込みアッセイ:
培地をLG無血清DMEMに変えて、細胞を、[H]-チミジンで1μCi/ウエルで3時間処理した。細胞を氷冷したダルベッコのPBS(Dulbecco's PBS)で2回洗浄した。次に氷冷した0.2M HClO(1ml/ウエル)を添加し、細胞を氷上で30分間インキュベートした。次に細胞を氷冷した0.2M HClO(0.5ml/ウエル)で3回洗浄した。培地(0.5ml/ウエルの0.2M NaOH)を交換して、細胞を37℃でインキュベートした。1時間後、細胞を酢酸(6%、0.2ml/ウエル)で処理し、3mlのシンチレーション液(Instagel)を有するシンチレーションバイアルに移して、バイアル当たり2分間計数した。
【0148】
結果
予備実験において、0.1mMという低い濃度でのCpd.7が、コントロール(0)(#細胞損傷)と比較して、IMA由来VSMC細胞の増殖を有意に阻害する(n=3)(P<0.05)、ということが判明した(図11参照)。面白いことに、その作用は低濃度(1mMまで)で観察されただけで、増殖の相対的増大は、10mMおよび100mMで測定された(図11)。Cpd.12は、細胞増殖を阻害するように見えなかったが、高濃度(10mMおよび100mM)で有意の細胞損傷を引き起こした(図11)。この作用をより詳細に検査し、それがアポトーシスによるものか否かを確定する試験が目下行なわれている。興味深いことに、Cpd.8が、高濃度(10mMおよび100mM)で、増殖において有意の増大を引き起こした、ということを見出した(図11)。Cpd.5は、比較的不活性であることが判明した。
【0149】
Cpd.5およびCpd.7の作用を、血清の代わりにPDGF BBで感作したIMA由来ヒトVSMC中でさらに試験した。また、Cpd.7が、0.1nMという低い濃度で、IMA細胞の増殖を阻害した((n=1)(P<0.005)対コントロール(0);#P<0.01対コントロール(0))ということが判明した(図12)。この作用は、エストラジオールを用いて観察されたのと等価であった。Cpd.5は、細胞増殖に及ぼす作用は全く観察されなかった。
【0150】
さらなる実験において、Cpd.7は、血小板由来増殖因子(PDGF)BB誘導性DNA合成を阻害し、用量依存的に[3H]-チミジン取込みにより評価され、1nmol/Lで10%阻害、10および100nmol/Lで17%阻害であった。その阻害は、統計学的に有意であったが、17β-エストラジオールの作用と比較して低かった(1または10nmol/Lで27%、100nmol/Lで33%)。非選択的エストロゲン受容体(ER)アンタゴニスト(100nmol/L)であるICI 182780は、1〜10nmol/LでのCpd.7の阻害作用を完全になくし、100nmol/LでのCpd.7の阻害作用を部分的になくし、ER媒介を示す。チミジン取込みを用いた我々の結果と一致して、細胞数のPDGF BB誘導性増大は、Cpd.7(1〜100nmol/L)により部分的ではあるが有意に低減された。
【0151】
VSMCにおけるこのフィトエストロゲンの作用を媒介するシグナル経路をさらに調べるために、マイトジェン活性化タンパク質(MAP)キナーゼ(Erk、JUNK、p38)に及ぼすCpd.7の作用を免疫沈降分析により、そして初期増殖応答遺伝子(Egr-1,Sp-1)に及ぼす作用をウエスタンブロッティングにより測定した。PDGF BBはErkを活性化し、この活性化は、用量依存的にCpd.7により有意に阻害され、JUNKおよびp38の活性は、PDGF BBまたはCpd.7のいずれによっても影響されなかったが、細胞は両タンパク質ならびにErkを強力に発現した。Egr-1又はSp-1タンパク質は、PDGF BBまたはCpd.7のいずれによっても変更されなかった。
【0152】
これらの結果は、イソフラボンおよびその誘導体、ならびに特にCpd.7が、ヒト血管平滑筋細胞の細胞増殖を阻害し、かつヒト血管平滑筋細胞におけるPDGF誘導性Erk活性化も阻害することを示す。この活性は、アテローム性動脈硬化性病変の発症および進行を、特に狭窄加速(accelerated stenosis]を防止するイソフラボンおよびその誘導体の可能性を示し、血管保護において潜在的な利点を提供する。
【実施例3】
【0153】
酸化防止剤活性
酸化は、多数の主要な疾患過程において一役割を果たすプロセスである。心臓血管性疾患との関連で、アテローム性動脈硬化症の発症に寄与する主なものの1つは、動脈壁中のLDLコレステロールの酸化であり、これが炎症性病変を導く。検査されずに放置されると、炎症プロセスは、その病変が血管閉塞および梗塞を引き起こすまで進行し、そして再狭窄の内膜肥厚加速(accelerated intimal thickening)において特に重要な問題を提示する。酸化防止剤活性の潜在的な心臓血管の利点を考慮すると、本発明の選択されたイソフラボン化合物にアッセイを施して、それらの酸化防止剤活性を確定した。
【0154】
LDL 酸化防止試験
LDL酸化防止試験は、フリーラジカルを直接掃去する(scavenge)か、または遷移金属をキレート化する化合物の能力を測定する。したがって、この一連の実験では、イソフラボンおよびそれらの誘導体を、フリーラジカル掃去剤として作用するそれらの能力に関して試験した。
【0155】
方法
25歳以下の健常ヒトボランティアからの静脈穿刺により新鮮な全血を採取し、EDTA(91mg/ml)およびBHT(4.4mg/ml)を直ちに添加した。1.02〜1.05g/cmの密度勾配内で、段階方式超遠心分離(step-wise ultracentrifugation)により、LDLを調製した。EDTA及びBHTは、単離の全段階を通して存在した。EDTA/BHT含有ストック溶液(15〜30 mgLDL/ml)を、使用するまで、しかし2週間以下の期間、窒素雰囲気中の暗所に保存した。
【0156】
酸化実験前に、真空脱気により、その後窒素でパージして無酸素にした100倍容積の0.01Mリン酸塩緩衝液pH7.4、0.16MのNaCl、0.1mg/mlのクロロアンフェニコール中でLDLストック溶液を透析した。緩衝液を4回取り換えた。このEDTAおよびBHT無含有LDLストック溶液を、すべての酸化試験に用いた。ストック溶液を24時間以下の時間、4℃で保存した。酸化実験を実施するために、EDTA及びBHT無含有LDLストック溶液を酸素飽和0.01Mリン酸塩緩衝液pH7.4、0.16MのNaClで希釈して、新たに調製したCuCl水溶液の添加により、酸化を開始した。最終条件は、すべての実験において:室温、0.25mgLDL/mlおよび1.66mMのCuCl(Esterbauer et al., 1989参照)であった。
【0157】
次の化合物の酸化防止剤活性を試験した:ダイゼイン(10mM)、ゲニステイン(10mM)、グリシテイン(10mM)、ビオカニン(10mM)、ホルムオノネチン(10mM)、プロメンシル(Promensil、登録商標)(Novogen)(2.5mg/ml、5mg/ml)、Cpd.5(10mM)、Cpd.7(10mM)、Cpd.8(10mM)、Cpd.12(10mM)、Cpd.4(10mM)およびCpd.6(10mM)。各実験において、コントロールを用いてNovogenイソフラボン誘導体の相対効力を、一般的かつ既知の酸化防止剤、例えばアスコルビン酸塩(2.5mM;ビタミンC)と比較した。
【0158】
結果
試験した濃度(10mM)で、親イソフラボンはフリーラジカルを掃去する能力を全く示さなかった、ということが判明した。他方、プロメンシルは、中等度の掃去剤であり、陽性コントロールと比較した場合、遅れ時間を100%まで(5mg/mlで)増大することを示した(表2参照)。
【0159】
【表2】
Figure 2004529907
【0160】
イソフラボン誘導体を試験したとき、Cpd.12(10mM)およびCpd.8(10mM)は、非常に活性な掃去剤であって、陽性コントロールと比較した場合、遅れ時間を600%以上増大することが判明した(表3参照)。Cpd.7は、Cpd.8およびCpd.12より有意に低活性であるが、依然としてアスコルビン酸塩とほぼ同じ活性であることが判明した。
【0161】
【表3】
Figure 2004529907
【0162】
トコフェロール媒介性過酸化の防止(抗 TMP 試験)
イソフラボン誘導体が、ビタミンEの存在下でLDL酸化を防止し得るか否かを確定するために、試験を実行した。この試験は、ビタミンE(a-トコフェロール)が血流中にLDLとともに存在するため、およびLDL酸化がアテローム性動脈硬化症の発症の主要因子の1つであると考えられるために、生理学的に重要である。
【0163】
方法
抗TMP試験は、Bowry et al. (1995)により詳細に説明されている。当該試験は、軽度の化学的に制御された酸化を受けているヒトLDL中のa-トコフェロールとシナジー作用をする化合物の能力を間接的に評価する。内因性のa-トコフェロールの20%消費に対応する時点におけるコレステロールエステルヒドロペルオキシドの蓄積により、酸化を測定する。
【0164】
要するに、アスコルビン酸塩およびユビキノール-10無含有LDL(アポB中に1mM)に、試験される化合物のストック溶液のアリコートを添加した。混合物を37℃で10分間インキュベートし、その後、AAPH(4mM)から生成される低フラックスの水溶性ROO-を用いて37℃で酸化させた。LDL a-トコフェロールの時間依存性消費ならびにコレステリルリノレートヒドロペルオキシド(cholesteryllinolate hydroperoxide)(Ch18:2-OOH)の蓄積を、それぞれ電気化学的およびポストカラム化学発光検出を用いたHPLCによりモニタリングした。抗TMP指数(レドックス指数)として特定される酸化防止剤の効力を、コントロール試料(すなわち、酸化防止剤の非存在下)における内因性a-トコフェロールの20%消費後に測定される、酸化防止剤を添加した場合と添加しない場合とで生成されるCh18:2-OOHの相対量として規定した。活性化合物は、低レドックス指数を生じる。高レドックス活性は、化合物が、おそらくはa-トコフェロキシルラジカルを還元することにより、LDL中のa-トコフェロールと相互作用できる、ということを示唆する。ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT、10mM)を、陽性コントロールとして用いた。
【0165】
結果
Cpd.12(10mM)は、強力なLDL保護作用(低レドックス指数)を有し、ビタミンEの存在下でLDL酸化を防止する、ということが判明した。さらに、Cpd.7およびCpd.8は、低レベルの活性を示した。結果を表4に要約する。
【0166】
【表4】
Figure 2004529907
【0167】
さらに、多数の親イソフラボンを試験し、それらが酸化防止作用を有さないことが判明した。プロメンシルは低レベルの活性を示した(表5参照)。
【0168】
【表5】
Figure 2004529907
【0169】
a- トコフェロールとの相乗作用( TRAA 試験)
この試験の目的は、セチルトリメチルアンモニウムクロリドcetyltrimethyl ammonium chlorideおよびドデシル硫酸ナトリウムミセル中のa-トコフェロキシルラジカルを減じるイソフラボン誘導体の能力を評価することであった。
【0170】
方法
a−トコフェロキシルラジカル減衰能力(TRAA)アッセイは、Witting et al. (1997)に詳細に説明されている。すなわち、セチルトリメチルアンモニウムクロリド(HTAC)およびドデシル硫酸ナトリウム(SDS)のストック溶液100mMを、リン酸塩緩衝液中に調製した。500mMの最終ビタミン濃度でミセル中にa-トコフェロール(0.2M)のエタノール溶液を希釈することにより、a-トコフェロールのミセル分散液を調製した。結果として得たこの溶液を15秒間音波処理すると、その時点で完全に均質になった。
【0171】
LDLを、非絶食健常男性ドナー(27歳)から新たに採取したヘパリン処理血漿の超遠心分離により、単離した。LDLを直接吸引によって得て、使用前に4℃で16時間保存した。使用直前に、過剰なKBrおよび残留低分子量水溶性酸化防止剤をLDLからPD-10カラム(Pharmacia, Uppsala, Sweden)を用いるゲル濾過クロマトグラフィーにより除去し、LDLの濃度をLowry et al. (1951)により記載されるように測定した。
【0172】
a-トコフェロール含有ミセルのアリコートを、ESRフラットセル(100mL)の頚部に入れて、UV光源として用いた125WのOsram HQL-Mercury蛍光球(fluorescent bulb)から0.5mに配置した。光強度を増大するために、電球のつや消しケーシングを除去した。試料を3分間照射し、その後十分混合した後、ESRキャビティ中の対応する恒温デュワーインサート(temperature-controlled Dewar insert)にフラットセルを移し、ここで試料を37℃に平衡させた。この手法は、10mMのTPDIニトロオキシド標準に対して概算したように、1〜2mMの間のa-トコフェロキシルラジカル(a-TO)をもたらした。Xバンドキャビティを装備したBruker ESP 300 ESR分光計を用いて、変調振幅1.0G、マイクロ波電力20nWおよび変調周波数12.5kHzで、9.41GHzでESRスペクトルを得た。
【0173】
T=0分スペクトルの蓄積後、a-TOを含有するフラットセル配列をESRキャビティから除去し、溶液を正圧下でフラットセルの頚部に静かに導入した。次に選定化合物を添加して、最終濃度を10mMとし、処理試料をキャビティ中に再び入れて、標準条件と平衡させて、サンプリングを再開した。a-TOに関するESRシグナル強度の時間依存性減衰を、20.5秒の清掃時間(sweep time)を用いて、共酸化防止剤(co-antioxidant)(10mM)を添加した場合および添加しない場合の両方で測定し、各時点での3連続清掃からの出力を平均し、3つの別個の実験の結果を平均化した。
【0174】
結果
結果は、試験試料の存在下でのa-トコフェロキシルラジカルの減衰の相対速度定数を試験試料の非存在下でのa-トコフェロキシルラジカルの減衰の相対速度定数で割った値として表す。TRAA近似単一体(TRAA approaching unity)は、弱い相乗活性を有するとみなされるが、活性化合物は、それらが混合時に直ちにa-トコフェロキシルラジカルを排除するため、大きい値を示す。アスコルビン酸塩を陽性コントロールとして用いた。
【0175】
Cpd.12は高率の減衰を誘導し、a-トコフェロキシルラジカル排除時に活性である、ということが判明した。結果を表6に要約する。
【0176】
【表6】
Figure 2004529907
【0177】
しかしながら、トコフェロキシルラジカルにより触媒されるもの以外の酸化反応も、重要であると思われる。したがって、誘導体が付加的酸化防止剤活性を保有するか否かを調べた。
【0178】
4.5 ペルオキシルラジカル掃去( scavenging
ペルオキシルラジカル(ビタミンEの非存在下で)により誘導されるリノリエート酸化を阻害するイソフラボン誘導体の効力を試験した。この試験は、誘導体が、ビタミンEと無関係のラジカル掃去活性を有するか否かに関する情報を提供した。
【0179】
方法
ペルオキシルラジカルは、多数の酵素、例えばリポキシゲナーゼおよびシクロ−オキシゲナーゼの天然副産物である。ペルオキシルラジカルは、熱不安定性アゾ開始剤(thermo-labile azo-initiator)AAPHにより、生成した。リノリエートのAAPH誘導酸化を、より低いリノリエート濃度を用い、かつSDSを省いた以外は、上記(Pryor et al., 1993)と同様に実施した。リノリエートストック溶液のアリコートを37℃でPBSに添加して、最終濃度を500mMとした。10mMのCpd.7、Cpd.8またはCpd.12、あるいは500mMのアスコルビン酸塩(陽性コントロール)のいずれかの非存在下および存在下で、AAPH(最終濃度87.5mM)の添加により、酸化を開始した。リノリエートヒドロペルオキシドの生成を、Perkin Elmerの紫外/可視ラムダ40分光光度計(UV/Vis Lambda 40 spectrophotometer)を用いてUV234nmによりモニタリングした。試験を単一分析として2回実施した。適切な濃度のアルコール(エタノールおよびイソプロパノール;0.13〜0.2%(v/v))をそれぞれのコントロール試料中に含入した。
【0180】
ダルベッコのPBSは、Sigma, St Louis, MOから購入した。水溶性アゾペルオキシルラジカル発生剤2,2’-アゾビス(2-アミジノプロパン)ジヒドロクロリド(AAPH)は、Polysciences, Warrington, PAから購入した。アスコルビン酸塩(ナトリウム塩)は、Merckから購入した。AAPH(350mM)のストック溶液は、ダルベッコのPBSを用いた連続希釈により調製した。試験化合物(10mM)のストック溶液は、エタノール溶液として調製したが、リノリエート(300mM)のストック溶液は、イソプロパノール中に溶解することにより作った。
【0181】
結果
10mMのCpd.12の含入により、リノール酸のAAPHへの曝露により誘導される234nm吸光度の時間依存性増大を有意に阻害する、ということが判明したが、これは、Cpd.12がアルキルペルオキシルラジカルの効率的な剤であることを示す。類似の結果を、2つの別個の実験で得た。アスコルビン酸塩(陽性コントロールとして使用)は、リノール酸のAAPH誘導酸化を防止し、これは既存の文献と一致する。
【0182】
4.6 リノリエートのペルオキシダーゼ誘導酸化の防止
この試験の目的は、イソフラボン誘導体がヘム触媒酸化反応に影響を及ぼし得るか否かを試験することであった。このような酸化反応は、in vivoに関連すると考えられ、基質(単数または複数)として脂質、タンパク質および/またはDNAを用いて起こり得る。
【0183】
方法
当該試験は、ペルオキシルラジカル発生剤の代わりに、ホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)+過酸化水素(HO)を用いた以外は、上記の4.5節に記載されたペルオキシル掃去と類似する。
【0184】
ヘムレベルの増大は、アテローム性動脈硬化症に関して潜在的リスク因子と考えられ、ヘム含有タンパク質はLDLの酸化的修飾に関与し得る。HOの存在下では、ヘムタンパク質は、脂質、例えばLDL中の脂質を酸化的に修飾し得る強力な酸化剤(化合物Iと呼ぶ)を生じる。したがって、モデルヘムタンパク質としてホースラディッシュペルオキシダーゼを用いて、このような脂質酸化を阻害するイソフラボンの能力を試験した。リノリエートのHRP/HO誘導酸化は、LDLをリノリエートに置き換えることにより、主としてWitting et al (1997)により記載されたのと同様であった。リノリエートストックを37℃でPBSに添加して、最終濃度を300mMとし、10mMのCpd.7、Cpd.8またはCpd.12あるいは25mMのBHT(陽性コントロール)のいずれかの非存在下および存在下で、HRP(40U/mL)/HO(2mM)により酸化した。リノリエートヒドロペルオキシドの生成を、Perkin Elmerの紫外/可視ラムダ40分光光度計を用いてUV234nmによりモニタリングした。上記の試験を1回の分析として2回実施した。適切な濃度のアルコール(エタノールおよびイソプロパノール;0.13〜0.2%(v/v))をそれぞれのコントロール試料中に含入した。
【0185】
ダルベッコのPBS、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)および酸無含有リノリエートは、Sigma、St. Louis、MOから購入した。ホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP;Grad II;100,000U/502.5mg lyop.粉末)は、Boehringer Mannheim(Germany)から購入した。過酸化水素(HO;30%(w/v))はMerckから購入した。HRP(6000U/mL)のストック溶液およびHO(1M)のストック溶液は、ダルベッコのPBSを用いた連続希釈により調製した。BHT(25mM)および試験化合物(10mM)はエタノール溶液として調製したが、リノリエート(300mM)のストック溶液はイソプロパノール中に溶解することにより作った。
【0186】
結果
イソフラボンが強力な酸化化合物Iと反応し得るか否かを調べるために試験を実施した。
したがって、ホースラディッシュペルオキシダーゼ+HOをイソフラボン誘導体(Cpd.7、Cpd.8またはCpd.12)に曝露した。Cpd.7とCpd.8の両方は、リノール酸酸化を25mMのBHT(陽性コントロールとして使用)と同様に効果的に化合物Iによって阻害し得る、ということが判明した。意外にも、Cpd.7およびCpd.8の阻害活性は、等モル量のCpd.12よりも大きかったが、これは、それらの作用メカニズムが複雑であり得ることを示唆する。
【0187】
4.7 リポキシゲナーゼの阻害
リポキシゲナーゼは、酸化活性化を要する、潜在的に前炎症性の酵素であり、触媒作用時にペルオキシルラジカルを放出する。イソフラボン誘導体を、ダイズおよびウサギ網状赤血球15-リポキシゲナーゼおよび基質としてリノール酸を用いて、in vitroでのリポキシゲナーゼ活性に及ぼすそれらの能力に関して試験した。
【0188】
方法
15−リポキシゲナーゼは、in vivoのLDL酸化の初期段階に関与することが示唆されており、かつアテローム発生の一因となることが示唆されている(Kuhn et al., 1994; Folcik et al., 1995)。ダイズ15-リポキシゲナーゼ(SLO)は、15-リポキシゲナーゼの適切なモデルであり、したがって、この酵素を阻害するCpd.7、Cpd.8およびCpd.12の能力を評価するために用いた。上記と同様に、リノリエートのSLO誘導性酸化を実施した(Upston et al., 1996)。要するに、PBS中のリノリエート(100mM)を、10mMのCpd.7、Cpd.8またはCpd.12あるいは100mMのエイコサテトラエン酸(ETYA、陽性コントロール)の非存在下および存在下で、SLO(60U/mL)により酸化した。リノリエートヒドロペルオキシドの生成を、Perkin Elmerの紫外/可視ラムダ40分光光度計を用いてUV234nmによりモニタリングした。上記の試験を1回の分析として2回実施した。適切な濃度のアルコール(エタノールおよびイソプロパノール;0.13〜0.2%(v/v))をそれぞれのコントロール試料中に含入した。
【0189】
ダルベッコのPBS、酸無含有リノリエート、ダイズ15-リポキシゲナーゼ(SLO;630,000U/mgタンパク質)は、Sigma(St. Louis, MO)から購入した。アスコルビン酸塩(ナトリウム塩)およびエイコサテトラエン酸(ETYA)はそれぞれ、AldrichおよびCayman Chemicalsから購入した。SLO(12,000U/mL)のストック溶液およびアスコルビン酸塩(100mM)のストック溶液は、ダルベッコのPBSを用いた連続希釈により調製した。ETYA(33.3mM)のストック溶液および試験化合物(10mM)のストック溶液はエタノール溶液として調製したが、リノリエート(300mM)のストック溶液はイソプロパノール中に溶解することにより作った。
【0190】
結果
Cpd.12は、234nm吸光度における増大の強力減衰により示されるように、タイプ1リポキシゲナーゼの有効な阻害剤である。実際、10mMでも、Cpd.12は、リポキシゲナーゼの十分に確立された阻害剤である100mMのETYAに匹敵する阻害作用を示した。ペルオキシルラジカルの場合と同様に、Cpd.7もCpd.8もSLOを阻害できなかった。
【0191】
5.0 脂質試験
5.1 リポタンパク質亜分画( lipoprotein subfractions )中のイソフラボンの分布
ウサギにおける血中コレステロール濃度に及ぼす食用ダイズタンパク質の作用は、MeekerとKestenにより1940年代に最初に報告された(Kristchevskyによる概説、1995を参照)。その後、血中コレステロール濃度に及ぼすイソフラボンの独立した作用に関する証拠は、ラット、ハムスター、非ヒト霊長類およびヒトなどの種々のモデルにおいて実証されている(Carroll, 1991; Anderson et al., 1995; Potter, 1996; Balmir et al., 1996; Clarkson et al., 1998)。Cassidy et al. (1995)の報告によると、ヒトにおいては、45mgのイソフラボンは、若年女性における総コレステロール濃度およびLDLコレステロール濃度の有意の低減を生じるが、23mgのイソフラボンは生じない。同様の知見が、Potter et al (1993)およびBakhit et al. (1994)により報告された。対照的に、Nestel et al. (1997)は、5〜10週間の期間にわたって投与された45mgのゲニステイン(Cpd.3)が血中脂質濃度に及ぼす有意の作用を報告していない。
【0192】
血中コレステロールの調節におけるイソフラボンの関連性relevance isoflavonesを確証するために、実験を実施して、血清中のLDLおよびHDLに対するイソフラボン誘導体の親和性を調べた。予備試験では、その結果を以下に示すが、一つの化合物、すなわちCpd.1(ダイゼイン)のみを用いた。
【0193】
方法
Cpd.1(10mMおよび50mM)を、全血漿とともに0時間、4時間および8時間インキュベートした。次に、異なる亜分画LDL/VLDL、HDLおよびタンパク質(リポタンパク質非含有)を、それらのCpd.1濃度に関して分析した。イソフラボン合成誘導体に最もよく似た極性を有するという理由から、Cpd.1を用いた。
【0194】
結果
少量ではあるが有意量のCpd.1(ダイゼイン)がリポタンパク質と会合する、ということが判明した。Cpd.1の2%はLDLと会合し、6%はHDLと会合することが判明し、92%はタンパク質分画と会合した。リポタンパク質と会合される量は時間に伴って増大したが、濃度には伴わなかった。結果を図13(Cpd.1、10mM)および図14(Cpd.1、50mM)に示す。
【0195】
5.2 LDL 受容体の調節
心臓血管性疾患に関する高リスク因子は、LDLコレステロールレベルの上昇である。過剰量のコレステロールは、酸化損傷の、したがってアテローム性動脈硬化症の機会をより大きくする。エストロゲンは、アテローム性動脈硬化症の発症および心臓血管性事象の結果に多数の潜在的に有益な作用を及ぼす。17β-エストラジオールは、LDL受容体活性を増大することが示されている。植物由来エストロゲン(すなわちイソフラボンなどのフィトエストロゲン)が心臓血管性疾患の発生に対する保護活性を有し得るという証拠もあるが、これに関する根元的メカニズムは依然として不明である。イソフラボンおよびそれらの誘導体とエストロゲンのある特定の部分との構造的類似性を仮定すると、イソフラボンと関連化合物が類似の分子作用を有し得るか否かを試験することは興味深い。いくつかの試験は、イソフラボン(およびエストロゲン)が血中脂質プロフィールを改善するメカニズムは、LDL受容体の量または活性における変化によるものであり得る、ということを示唆した(Baum et al., 1998; Kirk et al., 1998)。LDL受容体活性に影響を及ぼすことにより、イソフラボン誘導体がコレステロールの代謝回転を増大し、かつ血流からのその除去を増大するか否かは、依然として確定されていない。したがって、コントロール細胞対試験化合物で前処理した細胞における標識化LDLの特異的結合を調べることにより、in vitroでのヒト肝細胞においてLDL受容体結合を刺激するCpd.7、Cpd.8およびCpd.12の能力を検査するために試験を実施した。
【0196】
方法
10%ウシ胎仔血清(FBS)を含有する完全DMEM培地中で、試験化合物(最終濃度50nM、500nMおよび10mMのCpd.7、Cpd.8およびCpd.12)の非存在下または存在下で48時間、集密ヒト肝癌(confluent human hepatoma)(HepG2)細胞をプレインキュベートした。血清奪取(serum deprivation)(すなわち0.5%FBS)を陽性コントロールとして用いて、LDL受容体発現を誘導した。プレインキュベーション後、細胞を洗浄した後、50mgの[125I]-LDL(比活性6.5〜29.5cpm/fmol)を添加し、細胞を4℃でさらに4時間、500mgの非標識化LDLの非存在下(総結合のため)および存在下(非特異的結合を評価するため)でインキュベートした。次に細胞を洗浄し、溶解(0.1MのNaOH)して、溶解物の放射能およびタンパク質含量(BCAアッセイ)を確定した。LDL受容体の数は、特異的結合(総結合−非特異的結合)から確定したが、LDL受容体当たり1分子のLDLが結合すると仮定した。3つの独立した実験(各々3回試験)を、異なるバッチの細胞および[125I]-LDLを用いて実施した。
【0197】
結果
結合飽和に達するのに必要なLDLの濃度を確定するために、集密なHepG2細胞を、過剰(すなわち500mg)の非標識化LDLの存在下で[125I]-LDL濃度を漸増させた12ウエルプレート中でインキュベートした。飽和は、約50mgの[125I]-LDLで到達した。この濃度を用いて、4℃で飽和結合に達するのに要する時間は、約4時間であると確定された。これらの確立された最適条件を、その後のすべての結合アッセイに用いた。
【0198】
全体的に、
異なる一連の実験で測定された多数のLDL受容体は互いに異なっていた(表7)。
【0199】
【表7】
Figure 2004529907
【0200】
コントロールを上回るLDL受容体発現の増分的増大(incremental increase)として表した結果からわかるように、Cpd.12は一貫した作用を示さなかったが、Cpd.7およびCpd.8はLDL結合を増大した。Cpd.7(Cpd.8ではなく)の場合、LDL受容体の発現は、濃度依存的に増大したが、この増大の程度は、血清奪取により得られたものと比較した場合、小さかった。Cpd.8は、明白な濃度依存性作用を有さなかった。
【0201】
観察された作用は小さかったが、少なくとも血清奪取の場合と比較して、LDL結合の増大は、細胞およびLDLの両方の異なるバッチを用いた別個の組の実験において一貫して観察され、このことは、なされた観察がCpd.7およびCpd.8の真の活性を反映することを示唆している。これらの結果は、アテローム性動脈硬化性悪疫の再狭窄を伴う発症および進行の加速を防止するかまたは遅らせるイソフラボンおよびその誘導体の潜在能力を示す。
【実施例4】
【0202】
血管新性活性
血管新性は、内皮細胞の活性化、移動、増殖および再組織化として定義され得る多数の別個の工程を通って起こり、管腔を特徴とする成熟血管を形成する。血管新性、特に内皮細胞増殖および内皮細胞移動に及ぼすイソフラボン誘導体の作用は、in vitroアッセイにより評価される。
【0203】
4.1 内皮細胞増殖に及ぼすイソフラボン誘導体の作用
方法:
細胞調製
通路1と3の間のヒト臍帯静脈内皮細胞を用いた。20%ウシ胎児血清、25mg/ml内皮細胞増殖サプリメントおよび25mg/mlヘパリンを添加したEarle塩を含有する、培地199中でゼラチン被覆フラスコ中で細胞を増殖させた。2名の異なるドナーからの細胞を用いた。
【0204】
増殖アッセイ
100ml増殖培地中の5×103細胞を、ゼラチン被覆マイクロタイターウエル中にプレーティングした。試験化合物をプレーティング時に添加した。次に細胞を3日間インキュベートし、比色定量アッセイ(CellTiter96 Aqueous assay、Promega)により細胞数を測定した。結果を標準曲線と比較し、各実験で実施した。2つの異なる内皮細胞単離物を用いて、アッセイを2つの異なる日に実施した。ヒト臍帯静脈内皮細胞の増殖に及ぼすイソフラボン誘導体の作用を、ドナーNo.1(図15)およびドナーNo.2(図16)に関して示す。
【0205】
結果:
図15および16は、内皮細胞増殖に及ぼすCpd.5、Cpd.7、Cpd.8およびCpd.12の作用を示す。Cpd.8(1〜10mg/ml)およびCpd.12(0.01〜10mg/ml)の両方が細胞増殖を阻害し、毒性を生じなかった。興味深いことに、これらの化合物に対する細胞の応答性においてかなりの系統変動が認められた(図15aおよび図16a)。Cpd.5(0.01〜10mg/ml)は、試験した2つの細胞単離物のいずれにおいても、内皮細胞増殖に明白な作用を及ぼさない、ということが判明した(図15bおよび図16b)。同様に、Cpd.7(0.01〜10mg/ml)は、試験した2つの細胞単離物に及ぼす感知可能な抗増殖作用を全く示さなかった(図15cおよび図16c)。
【0206】
4.2 内皮細胞の移動に及ぼすイソフラボン誘導体の作用
方法:
細胞調製
通路1と3の間のヒト臍帯静脈内皮細胞を用いた。20%ウシ胎児血清、25mg/ml内皮細胞増殖サプリメントおよび25mg/mlヘパリンを補足したEarle塩を有する、培地199中でゼラチン被覆フラスコ中で細胞を増殖させた。
【0207】
移動アッセイ( Migration Assay
増殖培地中の5×105細胞/ウエルを、フィブロネクチン被覆6ウエルトレイ上でプレーティングして、集密に増殖させた。細胞スクレーパー(Costar)の使用により、単層に沿って創傷を生じた。次に細胞を1回洗浄し、試験化合物を含有する新鮮な培地を添加した。創傷に沿った限定点(defined points)に、インクコンデンサー(Olympus microscopes)を用いて印をつけて、次の48時間の間、定点で、細胞の移動を可視化させた。適当な時間に写真を撮って、創傷最前部からの細胞移動の程度を評価した。
【0208】
結果:
図17は、内皮細胞移動に及ぼすCpd.12の作用を示す。写真は、ベースライン(0時間)(図17a)での創傷および創傷後30時間の細胞移動の量を示す。Cpd.12(最終濃度1mg/ml)による処置は、30時間後の創傷に向かう内皮細胞移動を顕著に阻害した(図c)。DMSO(溶媒コントロール)は、増殖に作用を及ぼさず、処置の30時間後に、細胞は創傷に向かって移動して、単層を形成した(図17b)。創傷に沿った種々の点で写真を撮影したが、その点は実験の経過中一定であった。初期創傷最前部に印をつけた。
【0209】
この実施例の結果は、Cpd.8およびCpd.12は内皮細胞増殖を阻害し、Cpd.12は内皮細胞移動を阻害した、ということを示す。したがって、イソフラボンおよびその誘導体は、心臓保護療法としての、特に血管治療および外科手術後の使用の可能性を示す。
【実施例5】
【0210】
細胞接着分子発現の阻害
Eセレクチンの発現を阻害するイソフラボン化合物および誘導体の能力を、Litwin et al. (1997)に記載されたプロトコールにより測定し、これは、参照により本明細書に援用される。
【0211】
図18は、Litwin等の方法に従って実行したEセレクチンの発現を阻害する多数のイソフラボン化合物の能力に関する比較データを提示する。TNF-により活性化されたヒト臍帯静脈内皮細胞におけるイソフラボン代謝産物Cpd.8および12の相互作用を、化合物の濃度に対して測定した。細胞を、TNF刺激の前に、2時間または18時間、プレインキュベートした。DMSOコントロールとの比較に際して、イソフラボンCpd.8は、Eセレクチン発現の非常に良好な、特に10g/mlでの、阻害を示した。イソフラボンCpd.12は、特に1g/mlおよび10g/mlの濃度で、Eセレクチン発現の優れた阻害を示した。
【0212】
本実施例は、特許請求されたイソフラボンおよび誘導体が、再狭窄、炎症性応答および細胞接着分子発現により媒介されるその他の疾患において活性であることが既知の多数のシグナルに応答する血管内皮細胞により発現されるEセレクチンの能力を特異的に遮断する、ということを立証する。
【実施例6】
【0213】
再狭窄モデル−細胞移動および増殖
ヒトにおけるアテローム性動脈硬化症の重要な特徴は、動脈中膜(arterial media)から内膜(intima)への血管平滑筋細胞(VSMC)移動と、その後の内膜内での増殖である。この実験に用いたアテローム性動脈硬化症の動物モデルは、内皮への機械的損傷によりVSMC移動および新生内膜増殖(neointimal proliferation)を誘導することを目的とした。プローブをマウスの大腿動脈に導入し、腸骨動脈を通して大動脈分岐に導入した。次にプローブを引き抜いて、大腿動脈を結繋し(ligated)て出血を防止した。側副循環(colateral circulation)は、いかなる四肢関連虚血をも防止する。新生内膜増殖は、その後の4週間にわたって、腸骨動脈で起きた。
【0214】
この時間中にマウスにコレステロールを給餌することにより、増殖は強化された(外科手術前1週間に開始)。4週間目に、マウスを屠殺し、両側の腸骨血管を採取した(コントロールとして非手術血管を用いた)。新生内膜増殖を、内膜面積対内膜+中膜面積の比として表す。
【0215】
この技法(主として遺伝子ノックアウトマウスを用いる)は、5〜10匹のマウスというサンプルサイズを用いて、非常に再現性がよいことが判明した。図19は、正常マウスにおける典型的な増殖のプロファイルを示す。最小増殖は3週目に観察され、増殖の実質的増大は4週目に認められ、その後5週目にさらなる増大が観察された。最小新生内膜増殖は、反対側からのコントロール非手術血管(「非血管」)で生じた。
【0216】
新生内膜過形成のマウスモデルにおける「アテローム性動脈硬化性」応答を低減および/または防止するイソフラボン誘導体の能力を調べた。試験した化合物は、Cpd.5およびCpd.12であった。
【0217】
方法
プローブを用いて内皮を機械的に除去することにより、各マウスの大腿動脈にアテローム性動脈硬化症を誘導した。アテローム性動脈硬化性応答を阻害するイソフラボン化合物の能力を、処置群およびプラセボ群を比較することにより評価した。C57/B16マウス(8〜10週齢雄)に麻酔をかけて、解剖顕微鏡を用いて右大腿動脈を脱内皮処理した(de-endothilialized)。これらのマウスには、2%コレステロール餌も給餌して、疾患の進行を強化した。4週目にマウスを屠殺した。それらの処置動脈(右)およびコントロール動脈(左)をともに収集し、組織学的評価のためにホルマリン中に固定した。
【0218】
手術前の1週間、正常マウス餌と混合した2%コレステロール餌をマウスに給餌した。処置群に、Cpd.5またはCpd.12あるいはCpd.5+12を含有する餌を与えた。マウスをアベルチンで麻酔し、大腿動脈の血管形成術を実施した。術後、静かな暗所の暖かいマットの上にマウスを移して、回復をしっかり監視した。マウスを、滅菌ベッドを有する滅菌ケージに収容して、感染を防いだ。マウスは、正常マウス餌と混合したコレステロール餌を次の4週間継続した。術後4週間目にマウスを安楽死させた。病理学的検査のために、それらの大腿動脈を収集した。切片を、画像解析により評価して、動脈壁の種々の切片の領域、および各領域中の細胞の数を確認した。評価される主なパラメーターは、内膜面積対内膜+中膜の面積の比として表される内膜面積の増大であった。区間切片(50m毎または10切片毎)を標本にして、H&Eで染色した。内皮、内膜および中膜の横断面領域を、画像解析を用いて評価した。
【0219】
結果
図20は、術後4週目の腸骨動脈を通る横断切片を示す。図20aは、非手術側からの腸骨動脈中の新生内膜増殖の非存在を示し、この場合、内膜は約1細胞の厚みである。図20bは、手術に応答した腸骨動脈中の実質的な新生内膜増殖を示し、血管壁の約50%の厚みを示している。図20cおよび20dは、それぞれCpd.12およびCpd.5で処置したマウスからの術後腸骨動脈である。新生内膜増殖が各々の場合に観察され得るが、増殖はCpd.5においては有意に低減された。
【0220】
図21は、新生内膜増殖に及ぼす試験化合物の作用を、個別および一緒の両方で、定量する。非処置血管(手術せず)は5±1%内膜厚を示し、一方、外科的処置のみの血管は50±5%内膜厚を示す。Cpd.5、は、単独で、およびCpd.12との組合せの両方で、新生内膜増殖をそれぞれ30±6%および32±10%に低減したが、Cpd.12は新生内膜増殖の程度の検出可能な作用を有さなかった(50±29%)。注目すべきことに、これらのデータは、新生内膜増殖を有意に低減するCpd.5と一致するが、感知可能な作用を有さないCpd.12とは一致しない。
【0221】
新生内膜増殖の面積は、画像解析を用いて測定される内膜内の細胞の数とよく対応する、ということは注目される。
【0222】
これらの結果は、イソフラボンおよびその誘導体、特にCpd.5が、アテローム性動脈硬化症のマウスモデルの新生内膜におけるVSMCの増殖を有意に阻害する、ということを示す。新生内膜面積は、試験した時点(4週目)で約50%低減された。Cpd.12は、この時点でのマウスモデルにおける新生内膜増殖に感知可能な作用を及ぼさなかった。Cpd.5とCpd.12の組合せは、Cpd.5単独で観察された阻害作用を変えるとは思われなかった。これらの結果は、VSMCの移動および進行を調整し、かつアテローム性動脈硬化性プラークの、それゆえ機械的損傷後の再狭窄の発症および進行を防止するかまたは遅らせ、それにより血管保護における利点を提供するイソフラボンおよびその誘導体の潜在能力を示す。
【0223】
読者が不当な実験をせずに本発明を実行できるように、ある特定の好ましい実施形態を参照しながら、本明細書中で本発明を説明してきた。しかしながら、多数の構成成分およびパラメーターが、本発明の範囲を逸脱しない程度まで、変更または修正され得る、と
当業者は容易に認識するであろう。さらに、表題、見出し等は、読者の本明細書への理解を強化するために提示されたものであり、本発明の範囲を限定するものであると理解されるべきでない。
【0224】
本明細書中に引用したすべての出願、特許および出版物の全開示内容は、もしあれば、参照により本明細書中に含まれる。
【0225】
本明細書中に記載した本発明は、具体的に記載されたもの以外の変更および修正がなされてもよい、と当業者は理解するであろう。本発明はこのような変更および修正をすべて包含する、と理解されるべきである。本発明は、個別にまたは集合的に本明細書中で言及されるかまたは示された工程、特徴、組成物および化合物のすべてを、そして、当該工程または特徴の任意の2つまたはそれ以上のいかなるおよびすべての組合せも包含する。
【0226】
本明細書中のどのような従来技術に対する言及も、その従来技術が当該研究分野(the field of endeavour)での共通の一般的知識の一部を形成するという認識またはいかなる形態の示唆でもなく、そのように解釈されるべきでない。
【0227】
参考文献一覧
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【図面の簡単な説明】
【0228】
【図1】説明なし
【図2】説明なし
【図3】説明なし
【図4】説明なし
【図5】説明なし
【図6】説明なし
【図7】説明なし
【図8】説明なし
【図9】説明なし
【図10】説明なし
【図11】説明なし
【図12】説明なし
【図13】説明なし
【図14】説明なし
【図15】説明なし
【図16】説明なし
【図17】説明なし
【図18】説明なし
【図19】説明なし
【図20】説明なし
【図21】説明なし

Claims (27)

  1. 内皮細胞と会合される接着分子の発現または活性の阻害方法であって、前記接着分子または前記内皮細胞を、1つまたはそれ以上の、式Iの化合物(薬学的に許容可能なその塩を含む)と前記発現または活性を阻害するのに十分な量で接触する工程を含む方法、ただし、式Iは以下で表される:
    Figure 2004529907
    式中、R、RおよびZは独立して、水素、ヒドロキシ、OR、OC(O)R10、OS(O)R10、CHO、C(O)R10、COOH、CO10、CONR、アルキル、ハロアルキル、アリールアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アルキルアリール、アルコキシアリール、チオ、アルキルチオ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ニトロまたはハロであり、あるいは
    は先に定義したとおりであり、かつRおよびZは、それらが結合される炭素原子と一緒になって、以下の:
    Figure 2004529907
    から選択される5員環を形成し、あるいは
    は先に定義したとおりであり、かつRおよびZは、それらが結合される炭素原子と一緒になって、以下の:
    Figure 2004529907
    から選択される5員環を形成し、かつ
    WはRであり、Aは水素、ヒドロキシ、NRまたはチオであり、かつBは以下の:
    Figure 2004529907
    から選択され、あるいは
    WはRであり、かつAおよびBはそれらが結合される炭素原子と一緒になって以下の:
    Figure 2004529907
    から選択される6員環を形成し、あるいは
    W、AおよびBは、それらが会合される基と一緒になって、以下の:
    Figure 2004529907
    から選択され、あるいは
    WおよびAはそれらが会合される基と一緒になって、以下の:
    Figure 2004529907
    から選択され、かつBは以下の:
    Figure 2004529907
    から選択され、
    この場合、
    は、水素、アルキル、アリールアルキル、アルケニル、アリール、アミノ酸、C(O)R11(ここで、R11は水素、アルキル、アリール、アリールアルキルまたはアミノ酸ある)、またはCO12(ここで、R12は水素、アルキル、ハロアルキル、アリールまたはアリールアルキルである)であり、
    は、水素、アルキルまたはアリールであり、あるいは
    およびRは、それらが結合される窒素と一緒になって、ピロリジニルまたはピペリジニルを含み、
    は、水素、C(O)R11(ここで、R11は先に定義したとおりである)またはCO12(ここで、R12は先に定義したとおりである)であり、
    は、水素、ヒドロキシ、アルキル、アリール、アミノ、チオ、NR、C(O)R11(ここで、R11は先に定義したとおりである)、CO12(ここで、R12は先に定義したとおりである)またはCONRであり、
    は、水素、C(O)R11(ここで、R11は先に定義したとおりである)、アルキル、ハロアルキル、アルケニル、アリール、アリールアルキルまたはSi(R13(ここで、R13は各々独立して、水素、アルキルまたはアリールである)であり、
    は、水素、ヒドロキシ、アルコキシまたはアルキルであり、
    は、アルキル、ハロアルキル、アリール、アリールアルキル、C(O)R11(ここで、R11は先に定義したとおりである)またはSi(R13(ここで、R13は先に定義したとおりである)であり、
    10は、水素、アルキル、ハロアルキル、アミノ、アリール、アリールアルキル、アミノ酸、アルキルアミノまたはジアルキルアミノであり、
    描画「---」は単結合または二重結合のいずれかを表し、
    Tは独立して水素、アルキルまたはアリールであり、
    XはO、NRまたはSであり、かつ
    Yは次式で表される:
    Figure 2004529907
    式中、R14、R15およびR16は独立して、水素、ヒドロキシ、OR、OC(O)R10、OS(O)R10、CHO、C(O)R10、COOH、CO10、CONR、アルキル、ハロアルキル、アリールアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、チオ、アルキルチオ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ニトロまたはハロである。
  2. 式Iの化合物が、次の式II〜VIIIにより表され、その薬学的に許容可能な塩を含む請求項1記載の方法:
    Figure 2004529907
    (式中、R、R、R、R、R14、R15、WおよびZは上記請求項1に規定されたとおりである)。
  3. 、R、R14、R15、WおよびZは、独立して、水素、ヒドロキシ、OR、OC(O)R10、C(O)R10、COOH、CO10、アルキル、ハロアルキル、アリールアルキル、アリール、チオ、アルキルチオ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ニトロまたはハロであり、
    は、水素、C(O)R11(ここで、R11は水素、アルキル、アリールまたはアミノ酸である)またはCO12(ここで、R12は水素、アルキルまたはアリールである)であり、
    は、水素、ヒドロキシ、アルキル、アリール、C(O)R11(ここで、R11は先に定義したとおりである)、CO12(ここで、R12は先に定義したとおりである)であり、
    は、アルキル、ハロアルキル、アリールアルキルまたはC(O)R11(ここで、R11は先に定義したとおりである)であり、かつ
    10は、水素、アルキル、アミノ、アリール、アミノ酸、アルキルアミノまたはジアルキルアミノであり、
    その薬学的に許容可能な塩を含む請求項2記載の方法。
  4. およびR14は、独立して、ヒドロキシ、OR、OC(O)R10またはハロであり、
    、R15、WおよびZは、独立して、水素、ヒドロキシ、OR、OC(O)R10、C(O)R10、COOH、CO10、アルキル、ハロアルキルまたはハロであり、
    は、水素、C(O)R11(ここで、R11は水素またはアルキルである)またはCO12(ここで、R12は水素またはアルキルである)であり、
    は、水素またはヒドロキシであり、
    は、アルキル、アリールアルキルまたはC(O)R11(ここで、R11は先に定義したとおりである)であり、かつ
    10は、水素またはアルキルであり、
    その薬学的に許容可能な塩を含む請求項2記載の方法。
  5. およびR14は、独立して、ヒドロキシ、メトキシ、ベンジルオキシ、アセチルオキシまたはクロロであり、
    、R15、WおよびZは、独立して、水素、ヒドロキシ、メトキシ、ベンジルオキシ、アセチルオキシ、メチル、トリフルオロメチルまたはクロロであり、
    は、水素またはCO12(ここで、R12は水素またはメチルである)であり、かつ
    は、水素であり、
    その薬学的に許容可能な塩を含む請求項2記載の方法。
  6. 式Iの化合物が、以下の一般式1〜30:
    Figure 2004529907
    Figure 2004529907
    Figure 2004529907
    から選択され、その薬学的に許容可能な塩を含む請求項1記載の方法。
  7. 接着分子は、Eセレクチンまたは血管細胞表面接着分子(VCAM-1)である請求項1ないし6のいずれか1項に記載の方法。
  8. 被験者の内皮細胞と会合される接着分子の発現または活性を阻害する方法であって、治療上有効な量の請求項1ないし6のいずれかに規定される1つまたはそれ以上の式Iの化合物を前記被験者に投与する工程を含む方法。
  9. 接着分子は、Eセレクチンまたは血管細胞表面接着分子(VCAM-1)である請求項8記載の方法。
  10. 被験者が、ヒトである請求項8または9に記載の方法。
  11. 被験者の内皮細胞と会合される接着分子の発現または活性により媒介される疾患を治療する方法において、前記内皮細胞と会合される前記接着分子の前記発現または活性を阻害するのに十分な量で請求項1ないし6のいずれかに規定される1つまたはそれ以上の式Iの化合物を前記被験者に投与する工程を含む方法。
  12. 疾患が、血管性疾患である請求項11記載の方法。
  13. 血管性疾患が、再狭窄、炎症性疾患、冠動脈疾患、アンギナおよび小血管性疾患から選択される請求項12記載の方法。
  14. 血管性疾患が、血管形成術後の再狭窄である請求項13記載の方法。
  15. 被験者における再狭窄を治療、改善、予防する、または再狭窄のリスクを低減する方法であって、治療上有効な量の請求項1ないし6のいずれかに規定される1つまたはそれ以上の式Iの化合物を前記被験者に投与する工程を含む方法。
  16. 再狭窄は、経皮経管冠動脈形成術、方向性冠動脈アテレクトミーおよびステントから選択される血管治療に関連する請求項15記載の方法。
  17. 被験者における手法的血管外傷の治療方法であって、治療上有効な量の請求項1ないし6のいずれかに規定される1つまたはそれ以上の式Iの化合物を前記被験者に投与する工程を含む方法。
  18. 手法的血管外傷が、血管形成術、血管手術、移植および移植手法から選択される請求項17記載の方法。
  19. 被験者における血管性疾患を治療または予防する方法であって、
    治療上有効な量の請求項1ないし6のいずれかに規定される1つまたはそれ以上の式Iの化合物を被験者に投与する工程を含む方法。
  20. 前記血管性疾患は、アテローム性動脈硬化症、再狭窄、高血圧、炎症性疾患、冠動脈疾患、アンギナおよび小血管性疾患から選択される請求項19記載の方法。
  21. 血管性疾患は、血管形成術後の再狭窄である請求項20記載の方法。
  22. 被験者における内皮細胞と会合される接着分子の発現または活性により媒介される疾患の治療に用いるのに適した投薬形態の薬学的組成物であって、薬学的に許容可能な担体とともに請求項1ないし6のいずれかに規定される1つまたはそれ以上の式Iの化合物を含む組成物。
  23. 被験者における血管性疾患の予防または血管性疾患のリスクの低減に用いるのに適した投薬形態の薬学的組成物であって、薬学的に許容可能な担体とともに請求項1ないし6のいずれかに規定される1つまたはそれ以上の式Iの化合物を含む組成物。
  24. 被験者の内皮細胞と会合される接着分子の発現または活性を阻害するための薬剤の製造における、請求項1ないし6のいずれかに規定される1つまたはそれ以上の式Iの化合物の使用。
  25. 内皮細胞と会合される接着分子の発現または活性により媒介される疾患の治療のための薬剤の製造における、請求項1ないし6のいずれかに規定される1つまたはそれ以上の式Iの化合物の使用。
  26. 再狭窄の治療、改善、予防またはリスクの低減のための薬剤の製造における、請求項1ないし6のいずれかに規定される1つまたはそれ以上の式Iの化合物の使用。
  27. 血管性疾患および/または手法的血管外傷の治療のための薬剤の製造における、請求項1ないし6のいずれかに規定される1つまたはそれ以上の式Iの化合物の使用。
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