JP2004529341A - 検体のイオン化方法及び装置並びに供用イオン源プローブ - Google Patents

検体のイオン化方法及び装置並びに供用イオン源プローブ Download PDF

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Abstract

検体を含む液体試料を、開放端を有する毛管を通して液体溶媒内に導き、よって、液体試料の液滴のスプレーを含む第1の流れを形成して液体溶媒の蒸発を促進することにより、分析用のイオンが液体試料から形成される。オリフィス部材が毛管の開放端から距離をおいて配置され、オリフィス部材はオリフィスを有する。毛管の開放端とオリフィス部材の間に電場が生成され、よって液滴が帯電され、第1の流れが毛管の軸に沿う第1の方向に向けられる。2つのガス源または弧状ガスジェットが、ガスの第2及び第3の流れを提供し、第2及び第3の流れを加熱するためのヒーターが備えられる。第2及び第3の流れは選択された混合領域において第1の流れと交差して第1,第2及び第3の流れの撹乱混合を促進し、第1,第2及び第3の流れの方向は互いに異なり、第2及び第3の方向のそれぞれは第2及び第3の流れのそれぞれに第1の方向の速度成分及び毛管の軸に向かう速度成分を与え、よって、スプレーへの加熱されたガスのエントレインメントを促進するように選ばれ、加熱されたガスは液滴からイオンを解放するための液滴の蒸発を補助するようにはたらく。液滴からつくられたイオンの内の少なくともいくらかが、分析のためにオリフィスを通して引き出される。

Description

【技術分野】
【0001】
本発明は、検体からイオンを形成するための方法と装置に関し、さらに詳しくは、液体に溶解している検体からイオンを形成するための方法と装置に関する。通常、生成されたイオンは、質量分析器、一般には質量分析計に導かれる。本発明はそのような方法または装置に用いられるイオン源プローブにも関する。
【背景技術】
【0002】
今日、広汎で多様な質量分析計及び質量分析器システムが利用可能である。あらゆる質量分析計に共通で必須の要件は、注目する検体を、質量分析計への導入に先立ち、まずイオン化することである。この目的のため、数多くの様々なイオン化技法が開発されてきた。多くの検体、特に大分子化合物または有機化合物のイオン化は、検体がイオン化プロセスにより分解されないことを保証するため、慎重に行わなければならない。普通に用いられるイオン源は、一般には液体クロマトグラフ(“LC”)のような試料源から、溶解している検体を含有する液体試料を受け取るために用いられる、エレクトロスプレーインターフェースである。LCからの液体は高電圧源の一方の極に接続された毛管の開放端を通して導かれ、毛管は高電圧源の他方の極に接続されたオリフィスプレートに、間隔をおいて対向して配置される。オリフィスプレートのオリフィスは、直接または間接に質量分析器の真空チャンバに通じている。この結果、ポンプを用いずに液流を生じる帯電液滴のスプレーを生成する電場が毛管とオリフィスプレートの間につくられ、液滴は蒸発して検体イオンが残り、検体イオンはオリフィスを通過して質量分析器の真空チャンバに入る。
【0003】
エレクトロスプレーには、流量が大きくなるほど大きな液滴が生じてイオン信号を減衰させて不安定にするから、比較的小さい流量しか扱えないという限界がある。一般に、エレクトロスプレーが扱うことができる流量は約10マイクロリットル/分までである。このため、この技法は、例えばコーネル・リサーチ・ファウンデーション(Cornell Research Foundation)による特許文献1に開示されるような、ネビュライザーガススプレー法として知られる、より精緻な技法に改善された。ネビュライザー法では、併用高速ネビュライザーガス流が毛管と同心で別に供給される。ネビュライザーガスは液体を噴霧化して、印加電場により帯電する液滴の霧を生成する。ガスは、液滴の分割及び溶媒の蒸発の促進に役立ち、より大きな流量の使用を可能にする。ネビュライザーガススプレーはかなり良く機能し、100〜200マイクロリットル/分までの液体流量を扱える。しかし、ネビュライザーガススプレーをもってしても、約100マイクロリットル/分程度の液体流量ではより小流量の場合より計測器感度が低くなり、約100マイクロリットル/分を上まわる液体流量に対しては感度がかなり低下することが判明している。問題の少なくとも一部は、液体流量が大きくなると生成される液滴が大きくなり、液滴が蒸発する前にオリフィスプレートに到達することにあると考えられる。したがって、かなりの試料が失われる。
【0004】
ネビュライザー法改善の別の試みが、本発明の発明者の一人であるトーマス・アール・コベイ(Thomas R. Covey)と、ジョスフェ・エフ・アナクレト(Josphe F. Anacleto)による、特許文献2に開示されている(特許文献2に開示される発明は本発明と同じ譲受人に譲渡された)。特許文献2は、TURBOIONSPRAY(商標)の名称で現在市販され、まずまずの成功をおさめているイオンスプレー技法を開示している。初期のネビュライザー法の改善として開発されたこの技法を支える基本原理は、加熱されたガスを、加熱されたガスの流れが元来のネビュライザー管の先端から生成されるスプレーと交差するように、ネビュライザー管の方向に対してある角度をなす第2の方向に供給することである。この交差領域はオリフィスの上流に配置されて、ガス流の撹乱混合をおこさせ、よって第2のガス流が液滴の蒸発を促進する。第2のガス流は、液滴をオリフィスに向けて移動させて、集束効果を提供し、感度を高めるにも役立つと考えられる。特許文献2には、第2のガス流を、オリフィスを通る軸に対して垂直に、スプレーに対して供給し得ることも述べられている。趣旨は、大気圧にあるガス流イオン化領域から質量分析器の真空チャンバ内への通常ガスの流れが液滴をオリフィスに向けて引き、よって質量分析器内へのイオンの移動を促進することにある。
【0005】
上記の特許文献2は、第2の加熱されたガスの流れすなわちジェットの使用も提案している。唯一述べられている特定の構成は、第1のガス流及びネビュライザーのいずれもがオリフィスに対して垂直な配置で、第1のガス流をネビュライザーに向けて供給し、次いで第2のガス流を、ネビュライザー及び第1のガスチャンバに垂直になるように、オリフィスの軸に合せて供給することである。しかし、この構成が少しでも詳細に論じられることはなく、実際は、特許文献2は特に、3つのガス流(2つの別個のガス流及びネビュライザーに必要なガス流)のバランスをとるという複雑な問題を回避するために、ただ1つのガス流を用いることが好ましいことを教示している。特許文献2は、ただ1つのガスジェットに対するネビュライザー管の角度を適切に定めることにより、第2の、別個の加熱されたガスの流れを必要とせずに、オリフィスに向かう正味の速度成分を得ることができるということも教示している。
【0006】
本出願の発明者等がさらに研究したところ、上記構成にともなう多くの欠点が明らかになった。第1に、ガス流を加熱するためにこれまで用いられてきたヒーターは十分ではなく、良好な熱交換効率が得られないことがわかった。したがって、ガスは最適温度まで加熱されない。この効率の悪さはフィードバックセンサが実装されていない態様により倍加していた。設定温度は、ガス温度ではなく、ヒーター温度の測定値であるから、ガス温度よりはるかに高い。特許文献2に説明されるこれまでの構成では、ネビュライザーから放出されるスプレーコーンの片側だけにしかガス流が供給されず、この結果、非対称加熱及び熱欠乏が生じていた。一般に、ネビュライザーの軸はオリフィスの一方の側に向けられ、加熱されたガスはオリフィスから遠い側でネビュライザースプレーに向けられていた。このことは、スプレーのサンプリングオリフィスに近い領域には熱が十分に伝わらず、よってオリフィスを通過するイオンの生成に最適な位置にある液滴が十分には加熱されず、脱溶媒和が生じないことを意味していた。したがって、特に大流量において、最大限の脱溶媒和を達成することは困難であった。スプレーはガスジェットとは逆の側でサンプリングされるから、かなりの量の周囲空気がスプレーに引き込まれる。言い換えれば、オリフィスを通してサンプリングされるガスが既知の組成をもつクリーンなガスであることが保証されるのではなく、上記構成では周囲空気がスプレーに混じる傾向がある。上記の周囲空気またはガスの引込み及び混合はエントレインメントであり、高レベルのバックグラウンドに寄与し得る。良好な感度を得るため、スプレイは、オリフィスに直接ではないとしても、オリフィスに近接する場所に向けられていた。この結果、より大きな液滴がオリフィスの向こう側に供給されているカーテンガスに進入する確率が高くなり、そのような液滴は背景雑音レベルに寄与し得る。
【0007】
従来のイオン源、例えば特許文献2におけるようなイオン源では、エントレインメント効果により大量のガスがイオン化領域に引き込まれる。通常、外部ガスの組成は制御されず、よって、ガスは化学雑音をなす化学的実体により汚染される。フタレート(プラスチックの成分)のような、どこにでもある普通の材料は、本発明のエントレインメントガスのような高純度化材料を除く全てのガス源に高レベルで存在する。特許文献2のイオン源でクリーンガスが注入されるとしても、ガスは正しくない側に、すなわちオリフィスから遠い側に非対称に注入されるから、効率が悪い。
【0008】
従前の特許文献2では認識さえされていない重要な要因は、エントレインメント及び再循環に関する性能への影響要因である。拡大するスプレーコーンには常に、周囲空気を引き込み、よって、スプレーコーンの断面積を漸次増加させ、質量流量を次第に増大させる傾向がある。同時に、周囲空気が引き込まれるにつれて、スプレーコーンの平均速度が低下する傾向がある。このことは、イオン化チャンバにおいて、チャンバ内のガスがスプレーコーンに引き込まれることを意味する。チャンバ内にスプレーが放出されるにつれて、スプレーからの残存物がガス内に累積し、次いで、再循環してスプレーコーン内に戻る。このことには数多くの重大な欠点がある。一つには、スプレー内の検体が切り替えられる場合に、前の検体を含有するイオン化チャンバ内の残存スプレーが以前の検体をある程度の時間にわたって再循環させ続けるという、記憶効果が生じる。この結果、質量分析計に入るイオン流において、1つの検体から別の検体へのクリーンで急激な切替えが観察されず、前の検体のレベルが多少尾を引く傾向がある。また、スプレーチャンバ内に溶媒及びその他の不必要な材料の累積が生じ、化学背景雑音レベルが増大し得る。
【特許文献1】
米国特許第4861988号明細書
【特許文献2】
米国特許第5412208号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
液体溶媒に検体を含む液体試料からの分析用のイオンの形成において、試料流量の増大にともなう信号の減退を抑制するとともに化学背景雑音を低減し、よって信号対雑音比も向上させ、さらに記憶効果を低減する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の態様にしたがえば、液体溶媒に検体を含む液体試料から分析用のイオンを形成する方法が提供され、本方法は、
a) 開放端を有する毛管及び、毛管の開放端から離して配置され、自体にオリフィスを有するオリフィス部材を提供する工程、
b) 液体溶媒の蒸発を促進するために、液体試料の液滴のスプレーを含む第1の流れを形成するため、毛管を通して開放端の外に液体試料を導く工程、
c) 毛管の開放端とオリフィス部材の間に電場を発生させ、よって液滴を帯電させて、第1の流れを毛管の軸に沿う第1の方向に向ける工程、
d) ガスの、第2及び第3の流れを供給する工程、及び第2及び第3の流れを加熱する工程、
e) 第1,第2及び第3の流れの撹乱混合を促進するため、選択された混合領域において第1の流れと交差するように第2及び第3の流れを方向付ける工程であって、第1,第2及び第3の流れの方向は互いに異なり、第2及び第3の方向のそれぞれは、第2及び第3の流れのそれぞれに第1の方向の速度成分及び毛管の軸に向かう速度成分を与え、よってスプレー内での加熱されたガスのエントレインメントを促進するように選ばれ、加熱されたガスはイオンを液滴から解放するための液滴の蒸発を補助するようにはたらく工程、及び
f) 液滴からつくられたイオンの内の少なくともいくらかを分析のためにオリフィスを介して引き出す工程、
を含む。
【0011】
本発明の第2の態様にしたがえば、液体溶媒に検体を含む液体試料から分析用のイオンを形成する方法が提供され、本方法は、
a) 開放端を有する毛管及び、毛管の開放端から離して配置され、自体にオリフィスを有するオリフィス部材を提供する工程、
b) 液体溶媒の蒸発を促進するために、液体試料の液滴のスプレーを含む第1の流れを形成するため、毛管を通して開放端の外に液体試料を導く工程、
c) 毛管の開放端とオリフィス部材の間に電場を発生させ、よって液滴を帯電させて、第1の流れを毛管の軸に沿う第1の方向に向ける工程、
d) 毛管の軸の周りの少なくとも一部に弧をなして延びる、ガスの連続弧状ジェットを提供し、弧状ガスジェットを加熱する工程、
e) 第1の流れと弧状ガスジェットの撹乱混合を促進するため、選択された混合領域において第1の流れと交差するように弧状ガスジェットを方向付ける工程であって、弧状ガスジェットの全ては第1の方向に対してある角度をなす方向に向けられ、この角度は弧状ガスジェットの全てに第1の方向の速度成分及び毛管の軸に向かう速度成分を与え、よってスプレー内での加熱されたガスのエントレインメントを促進するように選ばれ、加熱されたガスはイオンを液滴から解放するための液滴の蒸発を補助するようにはたらく工程、及び
f) 液滴からつくられたイオンの内の少なくともいくらかを分析のためにオリフィスを介して引き出す工程、
を含む。
【0012】
弧状ガスジェットは円弧の一部、半円弧あるいは完全な円弧でもあり得ること及び弧状ガスジェットは数多くの不連続ジェットによるか、あるいは1つの連続ジェットにより提供され得ることに注意すべきである。ガスジェットを形成する流出口は、ネビュライザーまたは試料のための別の流出口から離して、動径方向に間隔をおいて外向きに配置されることが好ましい。
【0013】
本発明の第3の態様にしたがえば、検体を含む液体試料から分析用のイオンを生成するための装置が提供され、本装置は、
a) イオン源チャンバを画成するイオン源ハウジング、
b) 液体試料を液滴のスプレーを含む第1の流れとしてイオン源チャンバ内に放出する第1の開放端をチャンバ内に有する、液体試料を受け取るための毛管、
c) ハウジング内にあり、イオン源チャンバとイオン源チャンバの外部の間を連通させるオリフィスを自体に有するオリフィス部材であって、オリフィスは毛管の開放端から間隔をおいて配置されているオリフィス部材、
d) 毛管の開放端とオリフィス部材の間に電場を発生させるために電源に接続するための、毛管及びオリフィス部材の接続部、及び
e) それぞれがガス用ヒーターと流出口とを有する、ガスの第2及び第3の流れを生成するための2つのガス源であって、第2及び第3の流れは第1,第2及び第3の流れの撹乱混合のための選択された混合領域において第1の流れと交差するように向けられ、第1,第2及び第3の流れの方向は互いに異なり、第2及び第3の方向のそれぞれは第2及び第3の流れに第1の方向の速度成分及び毛管の軸に向かう速度成分を与え、よって、使用中に、液滴からイオンを解放するための第1の流れの中の液体試料の液滴の蒸発を促進するために、第1の流れから形成されたスプレーが選択された領域において加熱された第2及び第3の流れのガスと撹乱混合し、イオンが分析のためにオリフィスを通過するガス源、
を備える。
【0014】
本発明の第4の態様にしたがえば、検体を含有する液体試料から分析用のイオンを生成するための装置が提供され、本装置は、
a) イオン源チャンバを画成するイオン源ハウジング、
b) 液体試料を液滴のスプレーを含む第1の流れとしてチャンバ内に放出する第1の開放端をチャンバ内に有する、液体試料を受け取るための毛管、
c) ハウジング内にあり、イオン源チャンバとイオン源チャンバの外部の間を連通させるオリフィスを自体に有するオリフィス部材であって、オリフィスは毛管の開放端から間隔をおいて配置されているオリフィス部材、
d) 毛管の開放端とオリフィス部材の間に電場を発生させるために電源に接続するための、毛管及びオリフィス部材の接続部、及び、
e) ガス用ヒーター及び弧状ガス流出口を備える、ガスの弧状ジェットを生成するためのガス源であって、弧状ジェットは、第1の流れと弧状ガスジェットの撹乱混合のための選択された混合領域において第1の流れと交差するように、第1の流れの方向に対してある角度をなす方向に向けられ、この角度は弧状ジェットのガスの全てに第1の方向の速度成分及び毛管の軸に向かう速度成分を与えるような角度であり、よって、使用中に、第1の流れから形成されたスプレーが、液滴からイオンを解放するための第1の流れの中の液体試料の液滴の蒸発を促進するために、選択された領域における加熱された弧状ジェットのガスと撹乱混合し、イオンが分析のためにオリフィスを通過するガス源、
を備える。
【0015】
ここでも、ガス流出口は単一のジェットまたは複数の不連続ジェットを形成することができ、弧の形状は半円弧より小さい部分円弧から完全円弧までのいかなる角度も含むことができる。
【0016】
本発明の第5の態様にしたがえば、液体溶媒及び液体溶媒に溶解している検体を含む液体試料からイオンを生成するための装置が提供され、本装置は、
a) イオン源チャンバを画成するイオン源ハウジング、
b) 液体試料の液滴のスプレーを生成するための、イオン源ハウジング内の少なくとも1つのイオン源、
c) 自体にオリフィスを有し、イオン源から間隔をおいて配置されている、イオン源ハウジング内のオリフィス部材、
d) オリフィス部材とイオン源の間に電場を発生させるためにオリフィス部材及びイオン源を電源に接続するための接続部、
e) ヒーター及びガス流出口を有する少なくとも1つのガス源であって、それぞれがイオン源ハウジングに装着され、スプレーとガスの撹乱混合を促進するために、選択された混合領域に向く方向に向けられるガス源、及び
f) 選択された領域に近接してその下流に配置された、イオン源ハウジング内の使用済のガス及び液体試料の再循環を低減するイオン源ハウジングの一次排気流出口、
を備える。
【0017】
一次排気流出口は、ハウジング内に延びるチューブにより、及び/またはハウジングを(通常通りにイオン源が下向きに上部に装着されていれば)改修してハウジングの底をイオンのためのオリフィスに近づけることにより、設けることができる。
【0018】
本発明の第6の実施形態にしたがえば、大気圧化学イオン化源が提供され、本イオン源は、
a) 一端が開放され他端が閉止された、実質的に管状のフラッシュ脱離チャンバを画成する管状のセラミック体、
b) 液体溶媒に溶解している検体を含む液体試料の少なくともスプレーを供給するために、円筒セラミック体の閉止端を貫通している供給管、及び
c) 液体試料の液滴をフラッシュ蒸発させるに十分な温度まで円筒セラミック体を加熱するための、円筒セラミック体内部に形成された電気抵抗加熱素子、
を備える。
【0019】
このヒーター構成は本発明の別の態様の実施に十分よく適するが、そのような態様は一般にいかなる適切なヒーターを用いても実施できる。本態様は、ネビュライザープローブまたはACPI(大気圧化学イオン化源)プローブを受け入れるような形状につくられた、好ましくは円筒形の、ヒーターを、好ましくはイオン源ハウジングの一部として、提供する。コロナ放電用プローブは、ヒーターの流出口に近接して可動的に装着されることが好ましい。ネビュライザープローブに対しては、ヒーターは正にホルダーとしてはたらき、ネビュライザープローブの流出口はヒーターの流出口の近くに配置されることになろう。ACPIプローブに対しては、実プローブからのスプレーの加熱等が、そのように作動させられるヒーターによってなされるように、実プローブの流出口がヒーター内に配置されることになろう。ACPIプローブは、補助ガス流をもたず、よってネビュライザープローブの外径に概ね相当し得る外径を有することが好ましい。
【0020】
最後に、上述した第6の態様に対応して、本発明の第7の態様は大気圧化学イオン化によりイオンを形成する方法を提供し、本方法は、
a) 液体溶媒及び液体溶媒に溶解している検体を含む液体試料からスプレーを形成するための開放端をもつ毛管を提供する工程、
b) 液体溶媒の蒸発を促進するためのガスの流れを供給する工程、
c) スプレーの周りに加熱された表面を提供し、液滴のフラッシュ蒸発を促進し、加熱された表面の実質的な汚染をライデンフロスト効果により防止するに十分な温度まで表面を加熱する工程、及び
d) 自由検体分子をイオン化するためにコロナ放電を与える工程、
を含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明のより良い理解のため及び本発明がどのように実施され得るかをさらに明確に示すため、例として、本発明の好ましい実施形態を示す添付図面をここで参照する。
【0022】
初めに図1を参照すれば、本発明を組み込んでいる代表的な四重極子質量分析計の基本構成が簡略に示されている。しかし、以下で詳述されるように、本発明が図示されるような特定の分析計構成に限定されないことは当然である。また、当業者には理解されるであろうように、図1は質量分析計内の基本要素を示しているが、標準的な付帯要素の多くを示していない。すなわち、外部ハウジングが示されておらず、分析計の稼働に必要なポンプ及び電源等も示されていない。図1において、スプレーチャンバ20はネビュライザーイオンスプレー源22を備える。図示されるように、ネビュライザーは、その軸をカーテンプレート26のカーテンオリフィス24から距離をおいてオリフィス24の前を横切る方向に向けた状態で配置される。
【0023】
カーテンプレート26とオリフィスプレート28の間には既知の方法で作動可能なカーテンガスチャンバ30が設けられ、ガス流とカーテンガスチャンバに通してオリフィス24から外に出すことによって、カーテンガスチャンバに進入してくる溶媒蒸気及び中性種が除去されるようになっている。
【0024】
オリフィスプレート28の主オリフィス32は、中間圧チャンバ34に通じる導通路を提供する。全体として参照数字40で示される質量分析計主チャンバから中間圧チャンバ34を隔てるスキマープレート36は、スキマーオリフィス38を備える。
【0025】
質量分析計の入口チャンバ42は、イオンを集束し、残留ガス及び蒸気のさらなる除去を促進することを目的とするロッドセットQ0を備える。
【0026】
プレート44は四重極子間アパーチャを備え、入口チャンバ42と、第1及び第2の質量分析ロッドセットQ1及びQ3を収めているチャンバ46との間のインターフェースを形成している。参照数字48で示されるように、イオンの集束をさらに補助するためのブルベーカーレンズを設けることができる。チャンバ46内には衝突セル50も配置され、衝突セル50内には、Q1とQ3の間に配置されたロッドセットQ2が収容されている。最後に、Q3の流出口に、イオンを検出するための検出器52が設けられている。
【0027】
既知の態様において、イオン源22からのイオンはカーテンガスチャンバ30及び中間圧チャンバ34を通過して質量分析計入口チャンバ42に入る。チャンバ42から、イオンは、親イオンの選択のため、チャンバ46内のQ1に達し、親イオンはQ2でフラグメンテーション及び/または反応を受け、生じたフラグメントまたはその他のイオンがQ3で走査されて、検出器52により検出される。
【0028】
既述したように、本発明は図示される特定の3連四重極子構成(3つの四重極子、Q1,Q2,Q3はMS/MS分析の実施に必要な3連四重極子を通常通りに構成する)には限定されない。例えば、四重極子ロッドセットQ3及び検出器52により提供される最終段質量分析器を飛行時間型分析器で置き換えることは既知であり、これには、走査部分がなくなり、全イオンの同時分析が可能になるという既知の利点がある。質量分析計には、その他の既知のいかなる分析器、例えば、イオントラップ、フーリエ変換質量分析計、飛行時間型質量分析計も含めることができる。
【0029】
従来の3連四重極子計測器のネビュライザーイオン源22を置き換えるために構成された、ここでは参照数字60で識別される、本発明にしたがうイオン源を詳細に示す図2〜7を次に参照する。イオン源60は、略円筒形で、イオン源チャンバ100を画成する、イオン源ハウジング62を有する。図3に示されるように、イオン源にはクロージャー(図示せず)のための一対のリングシール64が設けられる。他端では、インターフェース66が、カーテンオリフィス24付きのカーテンプレート26及び主オリフィス32付きのオリフィスプレート28を含んでいる。
【0030】
本発明にしたがえば、イオン源プローブを装着するためのアパーチャ68が、ハウジング62の上部に設けられる。ここで、本発明は、中心毛管及び、毛管の周りにアニュラーガス流を供給するための、毛管を囲む環形チャンバを既知の態様で備える、ネビュライザーイオン源プローブ72を備えて示される。ネビュライザーイオン源プローブ72はスプレーコーン106の直上のノズルを指すべきである。スプレーコーン106は、ネビュライザーイオン源プローブ72から放出される、帯電液滴の霧化エアロゾル及びガスである。ネビュライザーイオン源プローブの中心毛管は示されていないが、アニュラーガス流を供給するための毛管を囲む環形チャンバは示されていない(図3及び6)。ガス及び液体試料の合同流のための、ネビュライザー流入口が参照数字73で示される。APCI源プローブ用のヒーターが参照数字71で示され、以下で詳述されるように、APCI源プローブまたはネビュライザープローブの挿入を可能にする内腔を備える。APCI源とともに使用するため、図2に参照数字74で示される所要の任意の放電プローブが備えられ、図3に示されるチューブ75に装着される。
【0031】
ヒーター71は、イオン源60が、ネビュライザーイオン源プローブにもAPCIイオン源プローブにも適合され得る両用イオン源であることを可能にする効果を有する、2つの相異なる個別の機能を果す。ネビュライザーイオン源プローブに対しては、ヒーター71は単にホルダーまたは挿入容器として機能し、ヒーターとしてはたらくことはない。放電プローブ74は軸回転で除けられる。APCIの使用に対しては、以下で詳述されるように、ネビュライザーイオン源が取り外されてAPCIイオン源で置き換えられる。放電プローブ74が軸回転で作動位置につけられ、ヒーター71が作動してAPCI源からのスプレーを加熱する。この構成には、使用者にとって多くの利点がある。2つのタイプのイオン源を迅速かつ簡単に交換することが可能になる。使用者が2つの異なる完成イオン源アセンブリーの購入−これには極めて費用がかかる−を行う必要がなくなる。
【0032】
図示されるように、ネビュライザーイオン源プローブ72は、その軸をインターフェース66の軸に垂直にし、第1の、カーテンオリフィス24から離して、配置され、ハウジング62の、真向かいにある排気流出口76に向けられる。
【0033】
排気流出口76はハウジング62のアパーチャを含む。この排気流出口は内部排気誘導管78に装着される。図示されるように、排気誘導管78は概ね円筒形であり、一方の側が、参照数字80で示されるように、カーテンプレート26のコーン角に、概ね、相当する角度で切り取られている。プローブ72に最も近い誘導管78の末端も、一次排気流出口81を提供する。ハウジングはカーテンプレート26と異なる電位にあるであろうから、必要な程度の電気絶縁を提供するため、これらの2つの要素の間に間隔を保つことが必要である。
【0034】
既知の態様において、ハウジング62には、様々な要素が装着及び固定され、シールが施されるであろう。別のシールが参照数字82で示される。
【0035】
次に図4を参照すれば、排気構造のさらなる詳細が簡略に示されている。図3には示されていないが、中間排気管84が内部排気誘導管86から延びている。この中間排気管84と同心で、外部排気管86が、中間排気管84と間隔をおいて配され、環状間隙88が残される。図示されるように、輪形曲面フランジ90が、環状間隙88に近接して、外部排気管86の末端から外側に概ね半径方向に広がり、中間排気管84の末端にある二次排気流出口に対向している。
【0036】
使用中、上記の排気構造は、イオン源チャンバ100内部の大気圧に近い、実質的に一定の圧力を維持するように機能する。大きな矢印92で示されるように、外部排気管86に接続されたポンプ(図示せず)が実質的に一定の速度で排気管86から空気を引き出す。空気は矢印94及び96で示される気流により供給され、矢印94はイオン源チャンバ100から内部排気管78及び中間排気管84を通る気流を示す。矢印96は環状間隙88を通して引き込まれる周囲の室内空気を示す。しかし、使用中、ガスがイオン源チャンバ100に供給されるときには、中間排気管84を通る大量のガス流があり、環状間隙88を通してガス流に引き込まれる周囲空気の量は小さいであろう。しかし、イオン源チャンバ100に入るガス流が少ないときには、平均排気管86を通る所要流量を周囲の室内空気で確保できるように、環状間隙88がはたらく。これにより、イオン源チャンバ100にガスが供給されていないときでも、チャンバ100内圧力が望ましくない低レベルまで降下しないことが保証される。すなわち、矢印94,96で示される2つの気流は互いにバランスをとる。
【0037】
イオン源ハウジング62は、ネビュライザースプレー及び大気圧化学イオン化プローブに共用されるように設計された、一体型コンポーネントを有する。以下で詳述されるように、これにより、イオン源の交換が簡単かつ迅速になる。ヒーター71はACPI源のために装備され、ネビュライザープローブが用いられるときには電源が切られる。ヒーター71には、ネビュライザーイオン源及びACPIイオン源のいずれも受け入れるように適合された、ただの円筒内腔が設けられる。ACPI源用ニードルすなわち放電プローブ74は、ACPI脱離ヒーターに対しては固定されるが、ネビュライザースプレープローブが装着されるときには振り動かして除けることができる。
【0038】
エントレインメント及び再循環の問題を示す、図5aを次に参照する。スプレーにおけるエントレインメントは、スプレーがノズルから下流に広がるにつれてスプレーに引き込まれる周囲ガスの量と定義される。スプレーが停滞雰囲気内で発達するときは、前進運動量がガスまたはスプレー内に射出される液体からスプレーに移転される。これにより、スプレーの総流量は増加するが平均速度は低下する。一般に、スプレーは、ノズルから下流に広がるにつれて、初期流量の4〜20倍に拡大する。本事例においては、スプレーがイオン源ハウジング62内に閉じ込められるから、エントレインメントのためのガス源は、図5aにループを描いている矢印で示されるように、スプレー自体から供給されるチャンバ内のガスだけに起因する。すなわち、実際上、再循環して元に戻るスプレーもある。上述したように、これは多くの望ましくない結果を生じる。1つの検体から別の検体に切り替えるときに、前の検体がイオン源チャンバ100から排出されるにはある程度の時間がかかるので、“遅延”または“記憶”効果が生じる。再循環はイオン源チャンバ100の壁面への検体の付着も促進し、よって、試料間の交差汚染を生じさせ、“遅延”効果を悪化させる。
【0039】
図5bを参照すれば、特許文献2にしたがう構成における再循環パターンが示される。ここでは、スプレー55を発生させている試料源、例えばネビュライザーが参照数字54で示される。スプレー55はカーテンオリフィス24の一方の側に向けられる。ガス源56がスプレー55との混合領域を形成するように向けられたガスジェット57を形成する。この構成は、本発明の譲受人により製造される質量分析計に与えられている。このガス源は十分な熱及び質量移転効率を提供しないことがわかった。スプレーの加熱は非対称であり、加熱及び混合のほとんどはオリフィス24から遠い側でおこる。参照数字58で示されるように、サンプリングは空気のエントレインメントが多い領域でおこり、望ましくない汚染物の質量分析計への引込みが促進される。
【0040】
したがって、本発明にしたがえば、再循環の影響を低減するための2つの特定の構造的特徴が提供される。
【0041】
これらの特徴の第1は、ネビュライザープローブ70またはACPIプローブ120であるイオン源の非常に近くでカーテンオリフィス24に近接する位置に径方向で内向きに延びる、内部排気誘導管78の装備である。図6に矢印102で示されるように、この延長排気管構成では、ネビュライザーイオン源プローブ72近くの、参照数字106で示されるスプレーコーンの短い部分でしか再循環が可能にならないようにされるから、再循環のおこる可能性が大きく低下する。非常に重要なパラメータは、一次排気流出口の、他の要素、特に、オリフィス,スプレーコーン106,イオン源プローブ及び、存在すれば、ガスジェットに対する位置であると考えられる。内部排気管を必要とせず、排気流出口を同じ位置にしておくことができるように、ハウジング62の底を上げれば十分であろうと考えられる。
【0042】
イオン源ハウジング62には、図7に詳細に示されるように、2つのガス源110も備えられる。ガス源110のそれぞれは概ね管状であり、図10aに示されるように、流入口111及び流出口112を有する。ガス源110は、図9a,9bに示されるACPI源について以下で詳述される態様で、セラミックで形成されたヒーター体114を備える。ヒーター体114は、セラミックヒーター管を形成するため、2つのセラミック層及びセラミック層の間に挟まれた薄膜抵抗ヒーターを有する。この場合には、ACPI源とは異なり、発熱量はガス源110の長さに沿って一様とすることができる。ヒーター体114内には、セラミック熱交換パッキング116があり、外側には断熱シェル118が設けられる。図7に示されるように、ガス源110またはヒーターは、参照数字104で示される、ガスジェットを提供する。
【0043】
図7は、再循環を低減するための第2の構造的特徴である双対ガスジェット源110の装備の効果を示す。ガス源110は、イオン源ハウジング62の軸及びインターフェース66に垂直なイオン源プローブ72を含む平面に備えられる。図7に示されるように、ガス源110はイオン源プローブ70を含む平面の両側に、イオン源プローブ70に対して45°の角度で対称に配置される。ガス源110についての好ましい角度範囲は15〜60°であり、より好ましくは30〜50°である。
【0044】
再び図7を参照すれば、ガス源110は、イオン源70からの拡大するスプレーコーン106に入射するガスジェット104をつくる。本態様で配置された、ガスジェット104は多くの機能を有する。第1に、スプレーコーン106の両側に、ガスエントレインメントのための、ガス源を提供する。すなわち、スプレーコーン106に引き込まれる傾向を本質的に有するガスはどれも、いかなる場合にもスプレーコーン106に向かう速度を有するガスジェット104から引き込まれる。ガスジェット104の運動量には、スプレーコーン106を圧縮し集束させる傾向がある。ガスジェット104のなす角度がスプレーコーン106との撹乱混合を促進し、続いて、撹乱混合が液滴の加熱及び脱溶媒和を強める。図7に矢印108で示されるように、スプレーコーン106の、排気誘導管78の導入で得られる、図6に示される再循環可能部分よりさらに小さい、内部排気誘導管78からすぐ上流の小部分だけしか再循環に利用できない。したがって、再循環が最小限に抑えられる。
【0045】
ガスジェット104の配置の別の特徴は、ガスジェット104がスプレーコーン106を完全には包囲していないことである。すなわち、スプレーコーン106のカーテンオリフィス24に近接する側は、オリフィスへのイオンの進入を促進するため、開けておかれる。しかし、本発明の別の実施形態では、ガスジェット104、または、おそらく単一の連続ジェットが、スプレーコーン106を、弧、半円弧、全円弧で完全にまたは部分的に包囲するように、配置される。
【0046】
上述した、ジェットエントレインメントガス104の軌跡及びガス104を600℃より高い初期ガス温度に加熱できる能力の組合せにより、高い感度及び低い化学背景雑音が得られる数多くの利点が生じる。第1に、以下で詳述されるように、高効率の熱交換を提供し、ガスジェットを850℃の温度まで加熱できるセラミックヒーターが用いられる。2つ、またはおそらくそれより多くのガス流の使用により、大液体流量においてさえ必要な熱流をスプレーコーン106に供給することが可能になる。すなわち、液滴の脱溶媒和を保証するに十分な熱を供給することができる。引き込まれるガスが清浄化された高温ガスであることを保証することにより、背景雑音が低減される。より高い熱効率及び発熱量は、より大きな流量に対して十分な脱溶媒和能力があることを意味する。
【0047】
本発明の上記の好ましい実施形態により、ネビュライザーイオン源プローブ70は0.1〜10リットル/分の範囲のガス流量で動作する。このタイプのネビュライザーに対する空気引込み量は、スプレーの軸長に沿って変化する。再循環量もスプレーの軸長に沿って変化する。エントレインメント及び再循環の程度は、イオン源プローブ70の先端からの距離が大きくなるにつれて増大する。ここでは、スプレーコーン106の先端からほぼ10mm下流のスプレーコーン領域をサンプリングした。理論計算に基づけば、エントレインメント量はネビュライザー流量の約10〜20倍であると決定される。これは、ガスジェット104に対する、総所要ガス流量に相当し、10〜60リットル/分の範囲にある。
【0048】
上記説明はネビュライザープローブからなるイオン源プローブに関するものであった。詳述したように、本発明の有意義な態様は、様々なイオン源プローブの挿入を容易に可能にする、イオン源装着アパーチャ68の装備である。ネビュライザーイオン源プローブ72の代わりに、大気圧化学イオン化(ACPI)源プローブを用いることができる。本発明にしたがう、全体として参照数字120で示されるACPI源プローブ及びヒーターの好ましい実施形態を示すため、図8,9a及び9bを次に参照する。
【0049】
図8,9a及び9bを参照すれば、ACPI源プローブ120が前の図のヒーター71に相当する管状体122に装着されている。管状体122はセラミック材料シートからつくられ、セラミック材料シートは、初期状態において、シートを極めて柔軟にする高分子材を多量に含有する。次いで、第2のセラミック層表面に薄膜熱線が塗布または印刷される。この未焼成セラミックの第2の層が、薄膜熱線が2つの層の間に挟まれるように、第1の層で形成された円筒の上に結合され融着される。次いで、完成管状体が焼成され、この焼成により、熱伝達の優れた埋込セラミックヒーター71または122が形成される。図示されるように、完成アセンブリーにおいて、参照数字124で示される熱線は、管状体の第1の端から第2の端に進み、次いで再帰する部分をもつ、概ね正弦波状のプロファイルを示す。図示されるように、熱線は、断面が比較的狭い第1の領域126及び比較的広い第2の領域128を含み、よって、相対的に高い電気抵抗が第1の領域に与えられる。領域126,128は直列接続されるから、このことは第2の領域より多くの熱が第1の領域で発生されるであろうことを意味する。総合効果は、プローブ120の流入口に近接するフラッシュゾーンを与える一次加熱ゾーン130及び、APCI源プローブ120に対する、参照数字134で示される、流出口に近接する二次フラッシュゾーン132が得られることである。
【0050】
図示されるように、APCI源プローブは、液体クロマトグラフィ源またはその他の適当な溶媒内検体源に接続される流入口を一端に有する、スプレー管136として提供される。スプレー管136の一端は管状体122内に配置され、管状体すなわちヒーター122の流出口から間隔をおいて配されたスプレーチップ138を有する。図示されていないが、既知の態様において、スプレー管136は液体試料用の流入口及び脱溶媒和促進ガス用の流入口を有する。
【0051】
APCI源プローブ120を形成するセラミックの熱伝導度は、本発明の譲受人により製造される同等のプローブにおけるヒータに現在用いられている材料である石英の熱伝導度の25倍である。より高い伝導度をもたせることで、より効率の高い熱伝導が得られ、フラッシュ脱離面が与えられる。これにより、致命的な冷却がおこるまでに、かなり大きな液体流量を使用できる能力が得られる。特に、本発明で達成できる温度により、液滴のライデンフロスト効果による加熱がおこると考えられる。ライデンフロスト効果は、表面があまりにも高温であるため、表面に近づく液体が直ちに沸騰して、液塊を表面から隔離する蒸気膜を形成するときにおこる。したがって、液体と表面の間に直接の接触がなく、液体への熱伝達は蒸気膜を介しておこらなければならない。本発明における、この効果の有意義な利点の1つは、検体または材料による表面の汚染を防止し、記憶効果を生じるいかなる傾向も、やはり、大きく弱めるかまたは消滅させるに役立つことである。
【0052】
上述したように、イオン源プローブ120の形成方法は、任意のプロファイルをもつ熱線を形成できるような方法である。ここでは、2つの異なるフラッシュゾーンを与える熱線の形成にこの方法が用いられる。一次フラッシュゾーン130には、このゾーンに存在する大量のスプレー及び大きな液滴を扱い、これらの液滴の蒸発を促進し、表面を液滴と表面の間の直接の接触を防止するに十分な高温に維持することを保証するため、比較的大きな発熱量が与えられる。二次フラッシュゾーンに必要な発熱量はかなり大きいとはいえ、スプレーが二次フラッシュゾーンに達するまでには、液滴の多くは既に蒸発しており、残っている液滴はどれも小さくなっているから、必要な発熱量は小さくなる。
【0053】
正確な機構は完全にはわかっておらず、以下は、発明者等が脱溶媒和プロセスの妥当な理論的説明であると考えているものである。ネビュライザーは、液滴が小さいほどスプレー周縁に集中している液滴寸法分布をもつスプレーを生じる。スプレーが管内に閉じ込められる場合には、これはもはや成立しない。エントレインメントを与えるガス源がないと、スプレーは、様々な大きさの乱雑に運動する液滴から成る、極めて撹乱した雲に発達する。大きな液滴がほとんどを占めるスプレーの大部分は、ノズルの下流5〜10mm以内で管壁に衝突する。この領域における管壁表面温度は、液体に対するライデンフロスト点より高い。この結果、液滴は表面から“跳ね返り”、砕けて、より小さい液滴になる。これらの液滴はさらに下流の管壁でさらに跳ね返り、砕けて、さらに小さな液滴になり得る。雲が管の行程半ばに達するまでには、より小さい直径が液滴の寸法分布を優占する。この領域における管壁表面温度はライデンフロスト点より低いが、液体の蒸発温度よりは高い。液滴は小さいから、管壁表面に接触すると、表面を実質的に濡らすかまたは汚染することなく、フラッシュ蒸発する。管全体がライデンフロスト点より高い温度に維持されていれば、液滴の内のいくつかは、既知の、液滴への熱伝導を抑制する断熱蒸気層のライデンフロスト効果により、完全に蒸気化されることはないであろう。
【0054】
図10aに示されるガスヒーターは、極めて高温のガスジェットを生成するためにこの原理にしたがって構成され、非常に高い発熱量密度性能を有する。したがって、ネビュライザーからのスプレーは短距離の内に所要温度まで加熱され、このことは、ガスの予備加熱が不必要であることを意味する。セラミック材料は非常に弱い吸着特性だけを有する。したがって、管壁表面は非常に高温であるので、即時脱溶媒和がおこり、管壁表面は常に清浄である。すなわち、管壁表面は事実上自己清浄性である。
【0055】
熱線124の作成に用いられる薄膜技術により、集積RTD(抵抗温度検出器)センサを加熱素子のすぐ近くに並べてつくることが可能になる。これにより極めて正確な温度フィードバック及びヒーター間の整合を得ることが可能になる。このことは、イオン源毎に温度変動がおこるような場合に非常に重要であり得る。使用において、使用者は、多数の質量分析計に、同じ動作パラメータ、すなわち同じガス温度で同じ分析を行わせることが多い。様々な分析器のイオン源のそれぞれにおいて、同じ温度設定値に対しては同じ温度が得られるであろうことが重要である。また、ヒーターが交換される場合に、新しいヒーターは交換されたヒーターと同じ動作特性を有していなければならない。様々なゾーンに加熱を合せ込むことの別の利点は、液体配管部品から熱を遠ざけておけることである。一次フラッシュゾーン130に余りにも過剰な熱が供給された場合には、熱が液体配管部品に伝えられ、スプレー形成前に、液体の不必要な沸騰をおこさせ得る。このため、沸騰をおこさせずに達成できる流量が小さくなる。
【0056】
ガスを供給するヒーターの別の実施形態を示す、図10b,10c及び10dを次に参照する。簡単のため、セラミックから形成されたヒーター体114及び熱交換パッキング116は同じ参照数字で示される。ヒーターのこれらの3つの別の実施形態の違いは、ヒーター体114と、ここでは参照数字140で示される、断熱シェルの間の環形間隙の装備にある。
【0057】
すなわち、図10bでは、断熱シェル140とヒーター体114の間に環形間隙142がある。図示されるように、ヒーターに流入するガスは、熱交換パッキング116を流過し(矢印144)、環形間隙142も流過する(矢印146)。出口の矢印148,150は、ガスが合流することを示す。
【0058】
図10cの実施形態では、環形間隙が、参照数字152で示されるように、熱伝達を高めるための追加されたセラミックビーズで満たされている。ガス流は、ここでも、同じ参照数字144〜150で示される。
【0059】
図10dは、可能な別の変形を示す。ここでは、断熱シェル140がヒーター体114をこえて延び、参照数字154で示されるように、閉止される。次いで末端空間が、参照数字156で示される追加のビーズで満たされる。ここでも、ヒーター体114と断熱シェル140の間の外周環形間隙がセラミックビーズ152で満たされる。この場合、ガスは矢印158で示されるように供給され、断熱シェル140の末端に向かう第1の方向に進む。次いでガスの向きは反転し、ガスは中心のセラミック熱交換パッキング116を流過して、矢印160で示されるように出て行く。
【0060】
ヒーターは、金属膜が付けられたセラミックシートを重ね合せ、次いで焼結して一体シートを作成し、管形に成形する。一般に、管の内径は2〜3mm,外径は4〜6mm,長さは5〜25cmである。金属膜付けは抵抗加熱の目的のためである。管を流過するガスは対流及び輻射のいずれによっても加熱される。熱伝達効率を向上させるため、小さな(直径0.5〜1.0mm)セラミックビーズが管の中心に詰められる。ビーズは、伝導によるビーズへの熱伝達を促進し、対流による熱伝達のために大表面積を提供する。すなわち、セラミックヒーター管はビーズを加熱し、続いて、大表面積を提供するビーズによりガスに熱が伝達される。
【0061】
図10b〜10dの実施形態では、ヒーター管の外周上を通過する第2のガス流が提供され、それがなければ外方に放射されるであろう、熱を捕獲する。図10b及び10cでは、2つのガス流がヒーター管の出口で合流し、混合する。総ガス流量は図10aの実施形態と同じであろう。
【0062】
セラミックビーズは、動作温度が高く、寸法が小さく、一様であり、熱伝導度が高いことから用いられる。他にも熱伝導度の高い材料はあるが、出願人の知る範囲では、代替材料の多くは高温での動作が十分ではない。また、セラミックは化学的に不活性であり、これは、本用途に望ましく、背景雑音の偶発的導入が最小限に抑えられる。
【0063】
上記の特徴の全てが相まって、図12に関して説明されるように、既知の設計で達成される増強の6から10倍の増強を可能にする。図示される構成の別の利点は、スプレーがスプレーチップ138から数mm以内で管壁まで広がる、すなわち管壁に到達すると考えられることである。例えば、自由空間で観測すれば、すなわちスプレーが全く閉じ込められていなければ、スプレーコーンの全散開角は25〜30°の範囲にある。すなわち、スプレーチップ138から7mm以内で、スプレーコーンの直径は4mmであるが、これは自由空間の場合である。ここで、管状体122の直径は4mmであり、長さは120mmである。したがって、管状体122では、液滴は、スプレーチップ138から下流に7mm進む前に、管状体122の高温の内表面に接触するはずである。
【0064】
スプレーは閉込めゾーン内にあり、エントレインメントまたは再循環のため、及び撹乱混合のための、ガス供給源がないことに注意されたい。したがって、スプレーは、スプレーが自由空間でとる角度より小さい散開角をとらざるを得ないと考えられる。自由空間では、スプレーコーンは容易にガスを引き込み、よって、コーンはより急速に、すなわちより大きな角度で、拡大する。
【0065】
上述したように、本発明により、ネビュライザーとAPCI源の、迅速で簡単な切替えを達成することが可能になる。2つのイオン源の詳細な実施形態は、特許文献2に説明され、本発明の譲受人によりAPI3000質量分析計器の部品として市販されている、イオン源の商用実施形態と比較して異なることにも注意されたい。
【0066】
従来の商用実施形態において、APCIプローブは、450m/秒程度の流速を与える、2〜3リットル/分の流量の定常ネビュライザーガスのための装備を有する。試料流量は1ミリリットル/分までの範囲である。さらに、補助ガスが2〜3リットル/分の流量及び3m/秒程度のガス速度で外周環形チャネルを通して供給される。補助ガスは、十分なガス体積を与えるために供給され、脱溶媒和に十分な体積及び/または試料流に十分な運動量を与えると考えられる。これらの試料流及びガス流は、最高500℃、一般には450℃近くの温度に維持される、加熱された脱溶媒和管内に放出される。
【0067】
この商用実施形態におけるネビュライザーイオン源は同様であるが、補助ガスが用いられず、加熱された管もない。それを除けば、流量は同様である。特に、ネビュライザーガス用チューブの内径は0.3mmであるが、いずれのイオン源についても、内径が100μmで外径が0.3mmの同寸の試料流用毛管が用いられる。
【0068】
供給される単一ガスジェットは、0.25〜10リットル/分の範囲の流量に対して、0.25〜10m/秒の流速を与えるような寸法を有する。
【0069】
本発明のイオン源では、数多くの変更がなされている。第1に、ネビュライザー及びAPCIに対して同寸の毛管が用いられる。APCIイオン源については上記説明から明らかなように、補助ガスは必要ではない。高温に加熱された2つのガスジェットの配置は、十分な熱及びガス体積を与えることがわかった。実際には、補助ガスを備えると性能が現に低下することがわかった。本発明の概念はオリフィスに近接する撹乱雲を生成することであり、試料流と同心の付加ガス流は過大な運動量を一方向に加え、よってこの雲を変位させ、存在するイオンを希釈するように思われる。本配置により、ヒーター71において容易に交換できるAPCIイオン源プローブ及びネビュライザーイオン源プローブの設計も容易になる。
【0070】
本発明の正規のネビュライザープローブは、1つの重要な態様が異なっている。ネビュライザーガス流用チューブはの内径は0.38mmであり、よって実効断面積は20%減少し、これは、続いて、ある与えられたガス流量に対し、流速が20%増大することを意味する。
【0071】
従前の商用実施形態では、1〜10リットル/分の範囲の流量を与える、単一ガスジェットがあった。本発明では、2つのガスジェットが設けられ、それぞれの流量は6リットル/分までであり、したがって2つのジェットからの総流量は12リットル/分である。ガスは窒素とすることができる。すなわち、ガスは空気でなくとも差し支えない。本発明では、空気が850℃までの温度に加熱されるから、ガスは相当に膨張し、よってガス流速が増大するであろうことにも注意されたい。
【0072】
図11及び13では、ネビュライザーを介して試料を供給した。図12では、例えば、図12aの結果についての9のような、APCI源を介して試料を供給した。
【0073】
次に図11a及び11bを参照すれば、これらのグラフは、特許文献2にしたがって構成された従来技術のイオン源及び本発明のイオン源で達成され得る背景雑音レベル及び絶対信号強度の比較を示す。いずれの場合にも、同量の同じ試料化合物を1000マイクロリットル/分の連続溶離剤流に注入した。信号強度はカウント毎秒(cps)で表わす。化学背景雑音レベルはグラフの連続ベースライントレースとして観測される。溶離剤流内の試料化合物がイオン源に入るとピークが観測される。その強度はcpsで測定され、この強度測定値は感度と同義である。いずれのトレースも、ベースラインを強調するためにピークをスケールアウトさせてあるが、図の右上隅に観測した最大ピーク高を記載してある。理想的にはベースラインはゼロであるが、ゼロベースラインは稀にしか達成できない。基本性能に関する最も有意義な測定値であり、検出限界(LOD)として適格である、信号対雑音比(S/N)は、信号ピーク高(試料)をベースラインすなわち雑音信号(背景)で除した比である。
【0074】
図11aは、550℃の最高温度で動作している、特許文献2に概ねしたがう前世代のイオン源の性能を示す。本図は150cpsの背景雑音を示す。800℃のガス温度で動作している、本発明のイオン源の性能は図11bに示され、この図は背景雑音が1/3(50cps)に低減されていることを示す。いずれのクロマトグラフにおいてもピークがスケールアウトしている(いずれの図もベースラインが明瞭になるように1000cpsに規格化されている)ことに注意すべきである。絶対ピーク値がそれぞれの図の右上隅に示され、図11aについては3424cpsであり、図11bについては130,000cpsである。すなわち、本発明のイオン源により(蒸発効率の向上だけでなく、エントレインメント混合の効果及び2つのガスジェットの圧縮効果によるスプレーの分散の減少も含まれた結果として)38倍の信号増強が見られ、同時に絶対背景雑音が1/3に減少した。このことは、本発明のエントレインメントガス構成により背景雑音が1/3×1/38=1/114に減少したことを基本的に意味する。この場合には約114倍の検出限界改善が見られる。背景雑音低減に改善が見られなければ、絶対信号量を増倍(38倍)させると、背景雑音信号の期待値も高くなり、150cps×38=5700cpsになるはずである。しかし、実際は、背景雑音は50cps、すなわち、期待値の1/114であった。よって、130,000cps/50cps=2600の信号対雑音比(S/N)が達成された。背景雑音低減に改善が見られなければ、図11aのS/Nの期待値は130,000cps/5700cps=23,すなわち、S/Nが3424/150=23の従前のイオン源による図11bと同等になる。
【0075】
上記の改善は、600℃をこえる初期ガス温度と、スプレーコーン106のエントレインメント領域に、高速混合の誘起、熱エネルギー伝達、及び最終の液滴蒸発をもたらすように最適化された、ガスジェットの上述した軌跡の複合効果に帰因させることができる。この効果は、本構成におけるジェットによるスプレー分散の抑制に加えて、従来方法にまさる感度増大を、とりわけ大液量時に、もたらす。上述したガスジェット軌跡により誘起される再循環効果抑制は、観察された信号対雑音比改善をもたらす化学雑音の低減に起因する。
【0076】
次に図12a及び12bを参照すれば、これらのグラフは特許文献2のイオン源と本発明のイオン源の間の背景雑音/記憶効果の比較を示す。いずれの試験に対しても、同体積の試料を、30秒毎に1,000マイクロリットル/分の連続溶離剤(または溶出剤)流に注入したが、図12aの試料濃度は、注入毎に25ピコグラムを与えた図12bの試料濃度より高く、注入毎に500ピコグラムを与えてあることに注意されたい。図12bでは、信号がベースラインに戻るまでのかかった時間がかなり長く、実に30秒よりも長くかかったことがわかる。数分間にわたり、試料が注入されている間は、ベースライン信号が事実上連続的に上昇し、試料注入終結後に信号が元のベースラインレベルに戻るのにはおよそ数分を要したことがわかる。
【0077】
対照的に、本発明のイオン源を用いた図12aでは、信号は、30秒よりかなり短い時間内に、毎回確実にベースラインまで戻った。
【0078】
図12bでは、ベースレベルに戻るまでにほぼ4分かかっていたが、本発明による図12aでは、およそ数秒以内で元のベースラインに復帰していることに注意されたい。この改善された復帰及びメモリ効果低減は多くの効果、すなわち、スプレーに戻る再循環の低減のため及び再循環によるハウジング62内表面への付着の低減のための内部排気誘導管78の装着、スプレーを集束させ、再循環を低減するための追加ガスジェットの装備、及び、ガスジェットをより高温に加熱できるヒーターの装備で得られる、より大きなライデンフロスト効果による。
【0079】
次に図13a及び13bを参照すれば、これらのグラフは特許文献2におけるようなイオン源と本発明にしたがうイオン源の間の絶対イオン強度を比較する。いずれの図についても、選んだ試料はレセルピンである。
【0080】
図13bでは、特許文献2の前世代イオン源及び本発明のイオン源のいずれに対しても、流量を毎分1ミリリットルとした。
【0081】
これらの図は、本発明のイオン源からのデータとの比較を容易にするには、従来技術のイオン源からのデータを、図13aでは10倍に、図13bでは20倍にも拡大しなければならなかったことを示す。このことは、本発明のイオン源で用い得る大流量において大きく増強された感度及び多大の改善が得られることを示す。
【0082】
本発明のイオン源は、基本的に1マイクロリットル/分から2000マイクロリットル/分をこえる、全流量域にわたり向上した感度を有する。前世代の従来のイオン源では、流量を大きくするにつれて信号が減退した。本発明のイオン源ではこの問題が処理され、よって、流量を大きくしていっても感度の減退は事実上おこらない。本発明の改善効果はどの流量でも示されるが、流量が大きくなるほど改善の度合いが大きい。例えば、本発明のイオン源を特許文献2にあるようなイオン源と比較すると、感度の向上は、1マイクロリットル/分では2倍であるが、1000マイクロリットル/分では20倍になることがわかった。
【0083】
本発明のイオン源により大きく高められた信号対雑音比が得られ、図11a及び11bの比較で示されるように、100倍より大きな向上が観測されることも注目されよう。
【0084】
本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明には、特許請求の範囲で定められるように、様々な変更及び改変が包含されることは当然である。例えば、上述の説明では個別のガスジェットが備えられるが、ガスジェットを合同させて、同じ機能を与える何らかの形態の連続ジェットを備えることも可能である。さらに詳しくは、ガスジェットに、断面において、オリフィスとは反対の側で、ネビィライザーからのスプレーコーンの周りに延びる、半円弧、部分円弧または全円弧の形状をもたせ得ると考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】本発明を組み込んでいる3連四重極子質量分析計の略図である
【図2】本発明にしたがうイオン源の斜視図である
【図3】図2のイオン源の縦断面図である
【図4】排気流出口の詳細を示す図2及び3のイオン源の一部の略図である
【図5a】エントレインメント及び再循環効果を示す略図である
【図5b】特許文献2のイオン源における循環パターンを示す略図である
【図6】延長排気管による再循環の低減を示す図3と同様の縦断面図である
【図7】さらに低減された再循環を示す図2及び3のイオン源の軸の周りの図である
【図8】本発明の第2の態様にしたがう大気圧化学イオン化フラッシュ脱離チャンバの簡略な断面図である
【図9a】図8の脱離チャンバの詳細を示す斜視図である
【図9b】図8の脱離チャンバの詳細を示す斜視図である
【図10a】イオン源のガスヒーターの一実施形態の断面図である
【図10b】イオン源のガスヒーターの別の実施形態の断面図である
【図10c】イオン源のガスヒーターの別の実施形態の断面図である
【図10d】イオン源のガスヒーターの別の実施形態の断面図である
【図11a】本発明と特許文献2にしたがう従来技術のイオン源の間の背景雑音の比較を示すグラフである
【図11b】本発明と特許文献2にしたがう従来技術のイオン源の間の背景雑音の比較を示すグラフである
【図12a】特許文献2のイオン源と本発明の間の背景雑音及び記憶効果の比較を示す
【図12b】特許文献2のイオン源と本発明の間の背景雑音及び記憶効果の比較を示す
【図13a】本発明のイオン源及び特許文献2のイオン源の小流量(0.2ml/分)時の振舞いを示す
【図13b】本発明のイオン源及び特許文献2のイオン源の大流量(1ml/分)時の振舞いを示す
【符号の説明】
【0086】
20 スプレーチャンバ
22,60 イオン源
28 オリフィスプレート
32 オリフィス
71,122 ヒーター
104 ガスジェット
106 スプレコーン
110 ガス源

Claims (39)

  1. 検体を液体溶媒内に含む液体試料から分析用のイオンを形成する方法において、
    a) 開放端を有する毛管及び、前記毛管の前記開放端から距離をおいて配置され、自体にオリフィスを有するオリフィス部材を提供する工程;
    b) 前記液体溶媒の蒸発を促進するために、前記液体試料の液滴のスプレーを含む第1の流れを形成するため、前記毛管を通して前記開放端の外に前記液体試料を導く工程;
    c) 前記毛管の前記開放端と前記オリフィス部材の間に電場を発生させ、よって前記液滴を帯電させ、前記第1の流れを前記毛管の軸に沿う第1の方向に向ける工程;
    d) ガスの、第2及び第3の流れを提供し、前記第2及び第3の流れを加熱する工程;
    e) 前記第1,第2及び第3の流れの撹乱混合を促進するため、前記第2及び第3の流れを選択された混合領域において前記第1の流れと交差するように方向付ける工程であって、前記第1,第2及び第3の流れの方向は互いに異なり、前記第2及び第3の方向のそれぞれは、前記第2及び第3の流れのそれぞれに前記第1の方向の速度成分及び前記毛管の軸に向かう速度成分を与え、よって前記スプレーへの加熱されたガスのエントレインメントを促進するように選ばれ、前記加熱されたガスは前記液滴からイオンを解放するための前記液滴の蒸発を補助するようにはたらく工程、及び
    f) 分析のために、前記液滴からつくられた前記イオンの内の少なくともいくらかを前記オリフィスを介して引き出す工程、
    を含むことを特徴とする方法。
  2. 前記選択された領域を前記開放端から距離をおいて提供する工程、及び前記オリフィスを避けて前記第1の方向を方向付ける工程を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 前記第1の方向を前記オリフィスの軸に垂直に提供する工程を含むことを特徴とする請求項2に記載の方法。
  4. 前記第1,第2または第3の方向が共通の平面に沿うことを特徴とする請求項1,2または3に記載の方法。
  5. 前記第1,第2または第3の方向を前記オリフィスの軸に垂直な共通の平面に提供する工程を含むことを特徴とする請求項3に記載の方法。
  6. 前記第2及び第3の方向を、前記毛管の軸及び前記オリフィスを含む平面の両側に対称に提供する工程を含むことを特徴とする請求項5に記載の方法。
  7. 前記第2及び第3の方向を、前記第1の方向に対してほぼ45°の角度で提供する工程を含むことを特徴とする請求項6に記載の方法。
  8. 少なくとも1つのガス付加流を提供する工程、前記付加ガス流のそれぞれを加熱する工程、前記付加ガス流のそれぞれを前記第1の方向に対してある角度で前記選択された領域に向ける工程、並びに前記付加ガス流のそれぞれに前記第1の方向の速度成分及び前記毛管の軸に向かう速度成分を与える工程を含むことを特徴とする請求項2に記載の方法。
  9. 検体を液体溶媒内に含む液体試料から分析用のイオンを形成する方法において、
    a) 開放端を有する毛管及び、前記毛管の前記開放端から距離をおいて配置され、自体にオリフィスを有するオリフィス部材を提供する工程;
    b) 前記液体溶媒の蒸発を促進するために、前記液体試料の液滴のスプレーを含む第1の流れを形成するため、前記毛管を通して前記開放端の外に前記液体試料を導く工程;
    c) 前記毛管の前記開放端と前記オリフィス部材の間に電場を発生させ、よって前記液滴を帯電させ、前記第1の流れを前記毛管の軸に沿う第1の方向に向ける工程;
    d) 前記毛管の軸の周りの少なくとも一部を弧をなして延びる、ガスの連続弧状ジェットを提供し、前記弧状ガスジェットを加熱する工程;
    e) 前記第1の流れと前記弧状ガスジェットの撹乱混合を促進するため、前記弧状ガスジェットを選択された混合領域において前記第1の流れと交差するように方向付ける工程であって、前記弧状ガスジェットの全ては前記第1の方向に対してある角度に向けられ、前記角度は前記弧状ガスジェットの全てに前記第1の方向の速度成分及び前記毛管の軸に向かう速度成分を与え、よって前記スプレーへの加熱されたガスのエントレインメントを促進するように選ばれ、前記加熱されたガスは前記液滴からイオンを解放するための前記液滴の蒸発を補助するようにはたらく工程、及び
    f) 分析のために、前記液滴からつくられた前記イオンの内の少なくともいくらかを前記オリフィスを介して引き出す工程、
    を含むことを特徴とする方法
  10. 前記選択された領域と前記オリフィスとに近接する排気流出口を設ける工程、及び、不必要な再循環を低減するため、前記オリフィスの下流にある使用済のガス、気化液体及びいかなる残余液滴も取り出す工程を含むことを特徴とする請求項1,2,5または9に記載の方法。
  11. 外部排気管を設ける工程、イオン源ハウジングから、ガス、気化液体及びいかなる残余液滴も引き出すために前記外部排気管を低圧源に接続する工程、及び前記外部排気管と前記排気流出口の間に、大気に対して開放され、よって前記イオン源ハウジング内を実質的に大気圧と同等の圧力に維持するための開口を設ける工程を含むことを特徴とする請求項10に記載の方法。
  12. 検体を含む液体試料から分析用のイオンを生成するための装置において、
    a) イオン源チャンバを画成するイオン源ハウジング、
    b) 前記液体試料を液滴のスプレーを含む第1の流れとして前記チャンバ内に放出する第1の開放端を前記チャンバ内に有する、前記液体試料を受け取るための毛管、
    c) 前記ハウジング内にあり、前記イオン源チャンバと前記イオン源チャンバの外部の間を連通させるオリフィスを自体に有するオリフィス部材であって、前記オリフィスは前記毛管の前記開放端から距離をおいて配置されているオリフィス部材、
    d) 前記毛管の前記開放端と前記オリフィス部材の間に電場を発生させるための、電源との接続のための、前記毛管及び前記オリフィス部材の接続部、及び
    e) それぞれがガス用ヒーターとガス流出口とを有する、ガスの第2及び第3の流れを生成するための2つのガス源であって、前記第2及び第3の流れは前記第1,第2及び第3の流れの撹乱混合のための選択された混合領域において前記第1の流れと交差するように向けられ、前記第1,第2及び第3の流れの方向は互いに異なり、前記第2及び第3の方向のそれぞれは前記第2及び第3の流れに前記第1の方向の速度成分及び前記毛管の軸に向かう速度成分を与え、それによって、使用中に、前記第1の流れから形成された前記スプレーが、前記液滴からイオンを解放するための前記第1の流れにある前記液体試料の前記液滴の蒸発を促進するために、前記選択された領域において前記第2及び第3の流れの加熱されたガスと撹乱混合し、前記イオンは分析のために前記オリフィスを通過するガス源、
    を備えることを特徴とする装置。
  13. 前記選択された領域が、前記毛管の前記開放端からも前記オリフィスからも距離をおいて配置されていることを特徴とする請求項12に記載の装置。
  14. 前記第1の方向が前記オリフィスの軸に垂直であることを特徴とする請求項13に記載の装置。
  15. 前記第1,第2及び第3の方向が共通の平面に沿うことを特徴とする請求項12または13に記載の装置。
  16. 前記第1,第2及び第3の方向が前記オリフィスの軸に垂直な共通の平面に沿うことを特徴とする請求項14に記載の装置。
  17. 前記第2及び第3の方向が前記毛管の軸及び前記オリフィスを含む平面の両側に対称に配置されていることを特徴とする請求項16に記載の装置。
  18. 前記第2及び第3の方向が前記第1の方向に対してほぼ45°の角度に傾けられていることを特徴とする請求項17に記載の装置。
  19. 少なくとも1つの付加ガス源を備えることを特徴とする請求項13に記載の装置。
  20. 前記ガス源のそれぞれの前記ヒーターがセラミックヒーター管を備え、前記セラミックヒーター管は前記セラミックヒーター管内に埋込ヒーター素子及び熱伝達パッキングを備えることを特徴とする請求項12に記載の装置。
  21. 前記熱伝達パッキングがセラミックビーズを含むことを特徴とする請求項20に記載の装置。
  22. 付加ガス流のための環形チャネルを形成するために、前記セラミックヒーター管の周囲に、前記セラミックヒーター管から距離をおいて配置された断熱シェルを前記各ヒーター毎に備えることを特徴とする請求項21に記載の装置。
  23. 前記各ヒーターの前記環形チャネルが、補助熱伝達を提供するためのセラミックビーズで満たされていることを特徴とする請求項22に記載の装置。
  24. 前記各ヒーターにおいて、前記断熱シェルの一端が閉じられ、ガス流入口及びガス流出口が前記ヒーターの一端に設けられ、前記ガス流入口は前記環形チャネルに通じ、前記ガス流出口は前記セラミックヒーター管の一端に設けられていることを特徴とする請求項23に記載の装置。
  25. 検体を含む液体試料から分析用のイオンを生成するための装置において、
    a) イオン源チャンバを画成するイオン源ハウジング、
    b) 前記液体試料を液滴のスプレーを含む第1の流れとして前記チャンバ内に放出する第1の開放端を前記チャンバ内に有する、前記液体試料を受け取るための毛管、
    c) 前記ハウジング内にあり、前記イオン源チャンバと前記イオン源チャンバの外部の間を連通させるオリフィスを自体に有するオリフィス部材であって、前記オリフィスは前記毛管の前記開放端から距離をおいて配置されているオリフィス部材、
    d) 前記毛管の前記開放端と前記オリフィス部材の間に電場を発生させるために電源と接続するための、前記毛管及び前記オリフィス部材の接続部、及び
    e) ガス用ヒーター及び弧形ガス流出口を備える、ガスの弧状ジェットを生成するためのガス源であって、前記弧状ジェットは前記第1の流れ及び前記弧状ガスジェットの撹乱混合のための選択された混合領域において前記第1の流れと交差するように、前記第1の方向に対してある角度に向けられ、前記角度は前記弧状ジェットのガスの全てに前記第1の方向の速度成分及び前記毛管の軸に向かう速度成分を与えるような角度であり、それによって、使用中、前記第1の流れから形成された前記スプレーが、前記液滴からイオンを解放するための前記第1の流れにある前記液体試料の前記液滴の蒸発を促進するために、前記選択された領域において前記弧状ジェットの加熱されたガスと撹乱混合し、前記イオンは分析のために前記オリフィスを通過するガス源、
    を備えることを特徴とする装置。
  26. 前記イオン源ハウジング内の再循環を低減するために、使用済のガス及び液体試料を取り出すための排気開口を前記イオン源ハウジングに含み、前記排気開口が前記選択された混合領域の下流に配置されていることを特徴とする請求項25に記載の装置。
  27. 外部排気管、減圧状態を維持するために前記外部排気管に接続されたポンプ、及び前記排気開口と前記外部排気管との間の開口を備え、前記イオン源ハウジング内を実質的に大気圧に維持するように、前記外部排気管を通って前記排気開口及び前記開口から前記ポンプに向かうガス流及び蒸気流が互いに均衡していることを特徴とする請求項26に記載の装置。
  28. 液体溶媒及び前記液体溶媒に溶解している検体を含む液体試料からイオンを生成するための装置において、
    a) イオン源チャンバを画成するイオン源ハウジング、
    b) 前記液体試料の液滴のスプレーを生成するための、前記イオン源ハウジング内の少なくとも1つのイオン源、
    c) 自体にオリフィスを有し、前記イオン源から間隔をおいて配置されている、前記イオン源ハウジング内のオリフィス部材、
    d) 前記オリフィス部材と前記イオン源の間に電場を発生させるために前記オリフィス部材及び前記イオン源を電源に接続するための接続部、
    e) ヒーター及びガス流出口を有する少なくとも1つのガス源であって、それぞれが前記イオン源ハウジングに装着され、前記スプレー及び前記ガスの撹乱混合を促進するために、選択された混合領域に向かう方向に向けられるガス源、及び
    f) 前記選択された領域に近接して、その下流に配置された、前記イオン源ハウジング内の使用済のガス及び液体試料の再循環を低減する前記イオン源ハウジング内の一次排気流出口、
    を備えることを特徴とする装置。
  29. 二次排気流出口を前記イオン源ハウジング内に備え、前記一次排気流出口と前記二次排気流出口の間に延びる内部排気誘導管を前記ハウジング内に備えることを特徴とする請求項28に記載の装置。
  30. 前記オリフィス部材が円錐形プロファイルを有し、前記内部排気誘導管は略円形であり、前記オリフィス部材の前記プロファイルに対応する切取り部分が前記内部排気誘導管に設けられていることを特徴とする請求項29に記載の装置。
  31. 前記ポンプに接続され、前記二次排気流出口に延びる外部排気流出管、及び、大気への流通を提供することによって実質的に一定の大気圧が前記イオン源ハウジング内に維持される、前記二次排気流出口と前記外部排気流出管の間の開口を備えたことを特徴とする請求項28,29または30に記載の装置。
  32. 前記二次排気流出口から延びる中間排気管を備え、前記開口が環形であり、前記中間排気管と前記外部排気管の間に設けられていることを特徴とする請求項31に記載の装置。
  33. 大気圧化学イオン化源において、
    a) 一端が開放され他端が閉止された、実質的に管状のフラッシュ脱離チャンバを定める管状のセラミック体、
    b) 液体溶媒に溶解している検体を含む液体試料の少なくともスプレーを提供するための、前記セラミック体の前記閉止端を貫通している供給管、及び
    c) 前記液体試料の液滴のフラッシュ蒸発をおこさせるに十分な温度まで前記セラミック体を加熱するための、前記セラミック体内に形成された電気抵抗加熱素子、
    を備えることを特徴とする大気圧化学イオン化源。
  34. 前記セラミック体が、第1の管状内層、前記第1の管状内層の外表面上に形成された薄膜ヒーター、及び円筒セラミック外層を備えることを特徴とする請求項33に記載の大気圧化学イオン化源。
  35. 前記供給管が前記液体溶媒の蒸発を促進するためのガスを供給するための通路も備えることを特徴とする請求項33に記載の大気圧化学イオン化源。
  36. 前記供給管が取り外し可能であり、前記管状セラミック体への挿入するためのネビュライザープローブを備えることを特徴とする請求項33,34または35に記載の大気圧化学イオン化源。
  37. 前記薄膜ヒーターが第1の部分及び第2の部分を含み、前記第1の部分は、一次フラッシュゾーンを提供するために、比較的高い単位面積当たり発熱量密度を有するように形成され、前記第2の部分は、前記開放端に近接し、比較的低い発熱量密度を有し、二次フラッシュゾーンを形成することを特徴とする請求項34に記載の大気圧化学イオン化源。
  38. 大気圧化学イオン化源によりイオンを形成する方法において、
    a) 液体溶媒及び前記液体溶媒に溶解している検体を含む液体試料からスプレーを形成するための開放端を有する毛管を提供する工程、
    b) 前記液体溶媒の蒸発を促進するためのガスの流れを供給する工程、
    c) 前記スプレーの周りに加熱された表面を提供し、前記液体試料の液滴のフラッシュ蒸発の促進及びライデンフロスト効果による前記加熱された表面の実質的な汚染の防止に十分な温度まで前記表面を加熱する工程、及び
    d) 自由な検体分子をイオン化するためにコロナ放電を与える工程、
    を含むことを特徴とする方法。
  39. 前記毛管の前記開放端に近接して一次フラッシュゾーンを設ける工程、前記一次フラッシュゾーンに第1の熱流束を与える工程、前記一次フラッシュゾーンの下流に二次フラッシュゾーンを設ける工程及び前記二次フラッシュゾーンに、第2の、前記第1の熱流速より小さい熱流速を与える工程を含むことを特徴とする請求項38に記載の方法。
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