JP3307384B2 - 液体クロマトグラフ結合型質量分析装置 - Google Patents
液体クロマトグラフ結合型質量分析装置Info
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Description
らの流出液を質量分析する液体クロマトグラフ結合型質
量分析装置に関する。
MSと略す。)は、有機化合物の分子量や構造に関する
情報を与えてくれる高感度分析装置である。そのため、
有機化学,薬学及び生化学等の分野では欠くことができ
ない分析装置となっている。しかしながら、MSは混合
物の構成成分を分離識別することができず、混合物が分
析対象となっている場合は分析が困難であった。そこ
で、混合物の分離識別に優れている液体クロマトグラフ
(Liquid Chromatograph、以下LCと略す。)を用い、
溶媒に可溶であれば不揮発性物質,熱不安定物質,無機
化合物,有機化合物,低分子物質及び高分子物質等が容
易に分析可能である点を利用し、これらを結合分析する
液体クロマトグラフ直結質量分析装置(以下、LC/M
Sと略す。)が考案された。
し、大気圧下でこの溶液の成分を分離する装置である。
一方、MSは高真空下でイオン化された試料を分析する
装置である。したがって、これらを結合するためには、
LCの流出液から溶媒を除き(脱溶媒) 、さらに、脱溶
媒されて残った試料をイオン化し、高真空下の質量分析
計に供給しなければならない。LCとMSを結合するた
めの技術は、例えば、特公昭58−43692 号公報に記載さ
れている。この技術によれば、LCからの流出液を霧化
し、この霧を脱溶媒及びイオン化し、このイオン化され
た試料(脱溶媒した流出液)を質量分析している。
らの流出液が霧化されると、噴射流はスプレー状に広が
っていくが、この中心部付近は比較的に大きな液滴の霧
が集まり、また、周辺部付近は比較的に小さな液滴の霧
が集まる。これらの霧が移動するにつれて、中心部付近
の大きな液滴は質量が大きく運動エネルギーが大きいの
で、空気等の影響をあまり受けない。そのため、あまり
気化せず、液滴径はあまり小さくならない。一方、周辺
部付近の小さな液滴の霧は質量が小さく運動エネルギー
が小さいので、空気等の影響をまともに受ける。そのた
め、流体抵抗及び他の液滴等との衝突の繰り返しによ
り、徐々に液滴径を小さくしていく。このように液滴径
が小さくなると、空気等の影響を大きく受けると共に、
移動速度が遅くなるので、影響を受ける時間が長くな
る。結果として、周辺部付近の小さな液滴はますます気
化が促進され液滴径を小さくする。
出液が霧化されるときに、移動に伴い、中心付近の大き
な液滴の霧はあまり液滴径を変えることなく、一方、周
辺付近の小さな液滴の霧はますます液滴径を小さくす
る。したがって、全体として、液滴径のばらつきは大き
くなっていく。
出液(試料と溶媒,混合液)をさらに微細化し、これを
脱溶媒する技術も知られている。液滴の微細化には構造
が簡単である加熱方式が良く使われている。すなわち、
気化器により液滴を加熱するものである。気化器はヒー
タを内蔵した金属ブロックなどで作られ、ほぼ均一に加
熱できるようにしてある。例えば、気化器は石英管にヒ
ータ線を巻きつけたような物である。噴出した噴霧流
(クロマトグラフからの流出液)は気化器に囲まれた気
化空間を通過中に気化器からの放射熱により加熱を受け
る。噴霧流の周辺流は中心流に比して壁面との摩擦によ
り移動速度が遅く、また気化器の壁面から近いためより
多くの熱の供給を受けることができる。すなわち、周辺
部の液滴は周囲の壁面から放出される赤外線を吸収し、
液滴の表面からの液体の気化が大いに促進され液滴の微
細化が促進される。赤外線の大半は周辺流の霧の微細化
に消費され霧の中心部に到達せず、中心部の液滴は十分
に加熱できない。そのため、噴霧,拡散により周辺部の
霧は液滴の径がもともと小さい上に、より多くの放射熱
の吸収により、周辺部の液滴の径は急速に減少する。逆
に、中心部により径の大きい液滴が集中する。そのた
め、噴霧流内の液滴径の分布幅は、霧の生成時点より気
化空間を移動する間に大きくなる。すなわち、加熱方式
により微細化するものにおいても周辺部は微細な霧が集
まり、中心部は大きな径の霧がより多く存在することと
なり、むしろ、液滴径の分布のばらつきは大きくなって
いる。
で大気圧イオン化(AtmosphericPressure Ionization
以下APIと略する。)が広く用いられるようになって
きた。このAPIについて説明する。APIでは、液体
クロマトグラフからの流出液を、エレクトロスプレイ
(Electrospray以下ESIと略す。)等の手法により、
大気圧下でイオン化する。生成したイオンは中間圧力室
と呼ばれる室に導かれる。中間圧力室は真空ポンプで排
気されている大気圧から真空に圧力変化があると、中間
圧力室に導入されたイオンは圧力の急激な低下により断
熱膨張され急激に冷却される。これによりイオンは水等
の極性分子が付加したクラスターイオンを作る。このク
ラスターイオンは質量分析をおこなうため脱溶媒され
る。例えば、クラスターイオンにイオンドリフト電圧を
かけ、これにより、加速し中性分子と衝突を繰り返すよ
うにして、この衝突のエネルギーを内部に取り込み、付
加した極性分子を取り除くのである(衝突解離による脱
溶媒)。
化学ノイズが発生する。この化学ノイズについて説明す
る。
マススペクトルの横軸は質量対電価比(m/z)であり、
縦軸はイオン電流値になる。マススペクトル上にP1か
らP6まで等間隔にピークが出現することがある。この
ピークがクラスターイオンによる化学ノイズである。組
成Mに水が付加したもの、すなわち、クラスターイオン
は(M+nH2O)で示される。水を移動相に用いた場合
MはH3Om/z19である。そのためマススペクトル
上19,37,55,73、のようにm/z18ごとに
水のクラスターイオンによるノイズが強度高く多数出現
する。試料の分子イオンにも水分子が付加しノイズが出
現することがある。この場合一つのイオン種がいくつか
のイオン種に分散されるため、本来の検出対象であるは
ずの分子イオンのイオン電流値は低くなる。これらイオ
ンの他、広い質量範囲に渡り連続的にイオンが検出され
る。これは、クラスターイオンが中間圧力室や質量分析
部などを飛行している間に付加分子の蒸発等が行われ正
確な質量分析が行われずに検出器に到達したクラスター
イオンと考えられる。試料の分子イオンを除きこれらイ
オンは分析に悪影響を及ぼし、分子イオンの識別を妨げ
るのである。これらを総称して化学ノイズと呼ぶ。これ
らクラスターイオンの出現を押さえるためには、イオン
化に霧の加熱を徹底的に行い試料や溶媒の気化を完全に
したり、インターフェイス全体を加熱すれば良い。現在
大気圧化学イオン化等のシステムで用いられているガス
噴霧,加熱噴霧,超音波噴霧などの噴霧手段では霧の液
滴の径は、例えば、100μmから1μm程度のように
広く分布する。そのため、このような条件のもとでは、
大きな径の液滴まで全て加熱により気化させようとする
と、小さな径の液滴は気化後長時間熱を受け続けること
になる。この過剰な加熱は試料分子の熱分解を招き、試
料の分子量,構造情報がすべて欠落してしまい、検出対
象である試料を質量分析できなくなり、LC/MSとし
て分析ができなくなってしまう事になる。
の把握を妨げたり、化学ノイズを増加させるなど分析の
妨げとなる。しかし反面、分子又はイオンに付加した多
数の水等の分子は周囲からの熱の影響を分子、またはイ
オンに直接伝わるのを防ぎ、熱分解を防ぐ効果がある。
加えられた熱はクラスターイオンや液滴からの付加分子
の気化に消費され、分子またはイオンの温度上昇を妨げ
熱分解を防ぐことになる。霧は液滴と気体の混合物であ
る。そのため、霧を加熱しても熱は液滴表面からの溶媒
の気化に消費され霧の温度は上昇しない。これにより、
LCから送られてきた熱不安定物質も霧の状態で安定に
大気圧イオン源に送りこめる。この理由からも、霧の過
剰な加熱はできない。
し、かつ試料分子の熱分解を防ぐために、加熱部の精密
な温度制御が試みられたが、測定対象ごとに最良点探す
操作が必要になり、測定の煩わしさを著しく増大させる
ことになる。液体クロマトグラフィーにおいては種々の
方式が用いられ、使用する溶媒も水100%から有機溶
媒100%までと幅が広い。また、溶媒に塩や酸を入れ
たり、バッファ溶液を移動相に用いることは頻繁に行わ
れている。このような場合、気化器の温度制御も移動相
ごと、移動相の組成毎に制御することは困難で、LC/
MSの応用を大幅に制限することになる。
の大きさがまちまちとなり、時に巨大液滴が入り込んだ
りすると、加熱やイオンの加熱衝突などによる中間圧力
室における脱溶媒も不十分になる。ここで過酷な条件
(過熱,高エネルギーによるイオンの加速衝突)で脱溶
媒を行えば、大きなクラスターは脱溶媒が十分となる
が、小さいクラスターは熱分解や、フラグメントイオン
(断片イオン)となってしまう。緩和な条件で脱溶媒を
行えば、大きなクラスターや液滴は脱溶媒不十分とな
る。結局、全体として測定は不安定になる。また、電荷
を持った大きな液滴や中性の液滴はMSに導入される
と、中間圧力室や質量分析部を飛行する間に気化が絶え
ず行われ検出器に前述の化学ノイズとして検出される。
また、大量のクラスターイオンが広範な質量領域に出現
し本来の試料成分のイオンをマスクしてしまう。この結
果ノイズレベルが大幅に持ち上がり、もはや高感度分析
は不可能になる。
け熱分解を防ぎ良質なマススペクトルを与えるととも
に、クラスターイオンの出現を押さえ安定かつ高感度L
C/MS測定を可能にすることにある。
に、本発明では、液体クロマトグラフからの流出液を噴
霧し、この噴霧流を加熱した後イオン化し、イオンを導
いて質量分析するものにおいて、噴霧流を複数の通路に
導き加熱するようにした。
する面積を大幅にふやすことにより、加熱壁面からの放
出される赤外線が噴霧流内部まで効率良く吸収されるよ
うにすることができる。この結果、霧の液滴の微細化,
均一化、また温度の均一化が達成できる。
速衝突解離が効率良く行われ、クラスターイオンに由来
する化学ノイズを大幅に低減できる。その結果、安定で
高感度分析を可能にすると共に、溶媒組成が常に変化す
るグラジェント分析の際も安定な測定を提供できるよう
になる。
る。 〔実施例1〕図1は本発明の一実施例に係わるLC/M
S(含インターフェイス)を示す説明図である。図2は
噴霧器,気化器部分の拡大図を示している。図1及び図
2において、1は試料成分を分離するための移動相、2
はポンプ、3は試料溶液を注入する試料注入口、4は分
析カラム、6は噴霧器、7は大気圧の噴霧空間、8は気
化器、81はヒータ、82は螺旋状挿入棒、9は気化空
間、10は高電圧が印加されたコロナ放電用針電極、1
1は大気圧化学イオン源部、14はイオンサンプリング
のための第一細孔、15は中間圧力部、16は第二細
孔、17は中間圧力部を排気する真空ポンプ、18は質
量分析部、19は検出器、20は直流増幅器、21はデ
ータ処理部、22は質量分析部を排気する真空ポンプ、
30は噴霧流の中心軸、31は噴霧流の周辺流を各々示
している。
相1(溶媒)はポンプ2で送り出される。試料溶液はマ
イクロシリンジなどにより試料注入口3から注入され、
連続的に流れる移動相1により分析カラム4に送られ
る。送りこまれた試料は、分析カラム4で成分毎に分離
され溶出してくる。溶出した成分は配管を経由し噴霧器
6に送られる。
2(a)に熱噴霧例を示す。噴霧器6は内径0.1mm 程
度の金属キャピラリー61とこれを取り囲むヒートブロ
ック62とヒータ63及び温度センサー64などで構成
される。噴霧器6の金属キャピラリー61は、ヒータ6
3と温度センサー64によって加熱制御されたヒートブ
ロック62を通して、加熱される。溶出液は金属キャピ
ラリー61に送られ一気に200℃程度に加熱され、金
属キャピラリー61の先端から大気圧の噴霧空間7に霧
として噴出される。この噴霧流は噴霧空間7を経て次第
に拡散しながら加熱された気化器8の気化空間9に侵入
する。この拡散のときに周囲からの加熱により周辺部3
1には微細な液滴が集まり、中心部30には大きな径の
液滴がより多く存在することとなる。なお、この現象の
詳細は後述する。再び、図1に戻り、気化器8を通過し
た霧は大気圧イオン源部11に入る。ここで3から5k
V程度の高電圧が印加されたコロナ放電用針電極の先端
部から発生するコロナ放電により溶媒分子が先ずイオン
化される。生成したイオンはその後試料とイオン分子反
応を繰返し、最終的に試料分子をイオン化する。イオン
は第一細孔14から中間圧力部15に導入される。この
ときに、大気圧から中真空に圧力が変化し、イオンは冷
却され、クラスターイオンが生じる。ここで第一隔壁1
41と第二隔壁161に印加されたドリフト電圧Vによ
りクラスターイオンは加速され、中性分子に衝突する。
この衝突を多数回繰返し、この衝突のエネルギーの一部
を取り込みイオンは加熱され付加した分子を脱離させる
(衝突解離による脱溶媒)。均一かつ微細な液滴(クラ
スターイオン)はここで効率良く脱溶媒される。脱溶媒
された裸のイオンは第二細孔16から質量分析部18に
入る。ここで、質量分散を受け検出器19により検出さ
れ、直流増幅器20を経てデータ処理器21によりマス
スペクトルを与える。
イス部の基本的な構成について説明する。
は主に(1)噴霧手段,(2)霧の微細化手段,(3)
イオン化手段,(4)クラスターイオンの脱溶媒手段,
(5)イオンのMS部への取り込み手段などで構成され
る。 (1)噴霧 溶液(クロマトグラフからの流出液/試料
及び溶媒の混合液)は噴霧器6においてガス流,加熱や
超音波振動などの助けにより大気圧の噴霧空間7に噴霧
される。噴霧は液体中に存在する多くの熱不安定物質を
安定に気相に移す良い手段である。霧は気体と液体が混
在したものである。霧を加熱しても霧が完全に気化し気
体になるまで熱は溶媒の気化熱に消費されるため、霧の
温度は上がらない。そのため、熱不安定物質を安定に気
相に移すことができるという利点がある。分析カラム4
からの溶出液は金属キャピラリー61に送られ一気に2
00℃程度に加熱され、金属キャピラリー61の先端か
ら大気圧の噴霧空間7に霧として噴出される。この霧は
噴霧空間7を経て次第に拡散しながら加熱された気化器
8の気化空間9に侵入する。一般に、金属キャピラリー
61から噴出する霧の液滴径は100μmから1μmま
で広く分布している。気化した分子や微小液滴の拡散速
度は比較的大きな液滴のそれに比して大きいため、結果
として、それら微小液滴は噴霧流の周辺部31に多く存
在する。逆に噴霧流の中心部30付近は大きな液滴が存
在することとなる。この様子は図2(a)に示される。 (2)霧の微細化 100μm程度の巨大な液滴はイオ
ン化を妨げ、その後の過程で化学ノイズの原因となる。
そのため、大きな液滴はイオン化の前までに十分微細化
されている必要がある。液滴の微細化には例えば構造が
簡単である加熱方式が良く使われている。また、この加
熱は中間圧力室15における断熱膨張による冷却度合い
を未然に減らす効果がある。図2に示すように、気化器
8はヒータ81を内蔵した金属ブロックなどで作られ、
例えば直径5mm,長さ50mm程に穿った気化空間9をほ
ぼ均一に加熱できるようにしてある。また、気化器8は
図3に示すように、長さ50mm,内径5mm程度の石英管
50にヒータ線49を巻きつけたような物でも良い。気
化空間9は霧がスムーズに大気圧イオン源11に到着す
るよう直線的に作られる。金属キャピラリー61から噴
出した噴霧流は気化空間9の通過中に気化器8からの放
射熱により加熱を受ける。ここで、噴霧流の周辺流31
は中心流30に比して壁面との摩擦により移動速度が遅
く、また気化器9の壁面から近いためより多くの熱の供
給を受ける。すなわち、周辺部31の液滴は周囲の壁面
から放出される赤外線を吸収し、液滴の表面からの液体
の気化が多いに促進され液滴の微細化が促進される。一
方、中心部30については、赤外線の大半は周辺流の霧
の微細化に消費され霧の中心部に到達せず、中心部30
の液滴は十分に加熱されない。
は液滴の径がもともと小さい上に、より多くの放射熱の
吸収により、周辺部31の液滴の径は急速に減少する。
逆に、中心部30にはより径の大きい液滴が集中する。
そのため、噴霧流内の液滴径の分布幅(ばらつき)は、
霧の生成時点から気化空間9を移動するにつれて大きく
なる。すなわち、周辺部31は温度が高くかつ微細な霧
が集まり、中心部30は温度が低く、大きな径の霧がよ
り多く存在するようになる。この様子は図2(a)及び
図2(b)に示されている。 (3)イオン化 気化器8を通過した微細な霧と気化し
た溶媒分子は混合状態で大気圧イオン源部11に入る。
ここで3から5kVの高電圧が印加されたコロナ放電用
針電極10の先端部から発生するコロナ放電により溶媒
分子が先ずイオン化される。生成したイオンはその後試
料分子とイオン分子反応を繰返し、最終的に試料分子を
イオン化する。 (4)クラスターイオンの脱溶媒 生成したイオンは、
大気圧イオン源11の一壁面を構成し気化器8の反対面
に設けられた隔壁141の中央付近に開けられた第一細
孔14から、真空ポンプ17で排気された中間圧力部1
5に導入される。導入されたイオンは圧力の急激な低下
による断熱膨張によって急激に冷却され、水などの極性
分子が付加したクラスターイオンを作る。このクラスタ
ーイオンは隔壁141と161の間に印加されたイオン
ドリフト電圧Vにより加速され中性分子と衝突を繰り返
す。この衝突のエネルギーの一部が内部に取り込まれク
ラスターイオンは加熱され、付加した分子を取り除かれ
る。これを衝突解離による脱溶媒と呼ぶ。なお、中間圧
力室15に侵入した分子量の小さな分子は拡散し真空ポ
ンプ17で排気される。 (5)イオンのMS部への取り込み 脱溶媒されたイオ
ンは次に隔壁161の中央付近にあけられた第二細孔1
6から質量分析部18に入る。ここで、質量分散を受け
検出器19により検出され、直流増幅器20を経てデー
タ処理器21によりマススペクトルを与える。
ついて説明する。
以外に化学ノイズが現れることがある。図4にマススペ
クトル上に出現する化学ノイズの例を示す。一般に、マ
ススペクトルの横軸は質量対電価比(m/z)であり、
縦軸はイオン電流値である。マススペクトル上にP1か
らP6まで等間隔に出現しているピークはクラスターイ
オンである。P1のイオンの組成がMとしまた水が付加
したものとすると、P2からP6のクラスターイオンは
(M+nH2O)で示される。水を移動相に用いた場合M
はH3O m/z19である。そのためマススペクトル上
19,37,55,73、のようにm/z18ごとに水
のクラスターイオンが強度高く多数出現することがあ
る。試料の分子イオンPm1にも水分子が付加しPm
2,Pm3が出現することがある。
のイオン種に分散されるため、本来の分子イオンPm1
のイオン電流値は低くなる。これらイオンの他、広い質
量範囲に渡り連続的にイオンが検出される。これは、ク
ラスターイオンが中間圧力室15や質量分析部18など
を飛行している間に付加分子の蒸発等が行われ正確な質
量分析が行われずに検出器に到達したクラスターイオン
と考えられる。試料の分子イオンPm1を除きこれらイ
オンは分析に悪影響を及ぼし、分子イオンPm1の識別
を妨げる。これらを総称して化学ノイズと呼ぶ。
ためには、イオン化前に霧の加熱を徹底的に行い試料や
溶媒の気化を完全にしたり、インターフェイス全体を加
熱すれば良い。しかしながら現在大気圧化学イオン化等
に用いられているガス噴霧,加熱噴霧,超音波噴霧など
の噴霧手段では、霧の液滴の径は例えば100μmから
1μm程度に広く分布する。そのため、大きな径の液滴
まで全く加熱により気化させようとすると、小さな径の
液滴は気化後長時間熱を受け続けることになる。この過
剰な加熱は試料分子の熱分解を招き、試料の分子量,構
造情報がすべて欠落してしまい、事実上、LC/MSと
して分析ができなくなってしまう。
把握を妨げたり、化学ノイズを増加させるなど分析の妨
げとなる。しかし反面、分子又はイオンに付加した多数
の水等の分子は周囲からの熱の影響を分子、またはイオ
ンに直接伝わるのを防ぎ、熱分解を防ぐ効果がある。ま
た、加えられた熱はクラスターイオンや液滴からの付加
分子の気化に消費され、分子またはイオンの温度上昇を
妨げ熱分解を防ぐ。霧は液滴と気体の混合物である。そ
のため、霧を加熱しても熱は液滴表面からの溶媒の気化
に消費され霧の温度は上昇しない。これにより、LCか
ら送られてきた熱不安定物質も霧の状態で安定に大気圧
イオン源に送りこめる。この理由からも、霧の過剰な加
熱はできない。
を減らし、かつ試料分子の熱分解を防ぐために、加熱部
の精密な温度制御が試みられたが、測定対象ごとに最良
点探す操作が必要となり、測定の煩わしさを著しく増大
させることになる。液体クロマトグラフィーにおいては
種々の方式が用いられ、使用する溶媒も例えば水100%
から有機溶媒100%までと幅が広い。また、溶媒に塩
や酸を入れたり、バッファ溶液を移動相に用いることは
頻繁に行われている。このような場合、気化器の温度制
御も移動相ごと、移動相の組成毎に制御することは困難
で、LC/MSの応用を大幅に制限することになる。
の方向を機械的に変え、高温の周囲流と比較的低温な中
心流を混合し液滴の気化の促進を図れば良い。また噴霧
流の方向を機械的に変えることにより、中心流と周辺流
が入れ替わり、気化空間壁面から放出される赤外線を噴
霧流内部まで届くようにできる。この点については、後
に詳細に説明する。
円筒上の気化空間9に流体のガイドとなる螺旋状の挿入
棒82に挿入する。これにより、気化空間9は螺旋状に
形作られる。まず、噴霧器6から噴霧された霧(クロマ
トグラフから流出液)はこの加熱された螺旋状の気化空
間9に侵入する。霧は螺旋上の挿入棒に沿って絶えずそ
の流れの方向を変える。霧の流れはもはや層流とならず
霧を構成する流れが絶えず加熱された壁面に接近し加熱
される。また、絶えず霧が撹拌,混合されるため、霧の
液滴の微細化が行われる。このように、加熱は十分に行
われるため気化器8の設定温度は低くできる。これによ
り、熱不安定物質の熱分解を防ぐことができる。
でより微細な霧を作ることができる。このように微細な
イオン化の霧を第一細孔14,第二細孔16からイオン
を質量分析部に導入することにより、中間圧力室内でイ
オンの加速衝突により効率良く付加分子の脱溶媒が効率
よく行われる。また、径の大きな液滴が質量分析部に導
入されることを防ぐことができるため、化学ノイズを大
幅に低減できる。その結果図5に示すようにマススペク
トルを得ることができる。この図が容易に理解できるよ
うに水など移動相に由来するクラスターイオン(図4の
P1からP6)及び化学ノイズは消滅する。一方分子イ
オンはクラスターイオンの脱溶媒が進むので、付加分子
を剥ぎ取ることによりそのイオン電流値を増やすことが
できる。すなわち、図4のピークPm1からPm3まで
のイオン電流値をピークPm1に集約することができ
る。結果として分子イオンを高感度に識別できるように
なる。
トブロック8にドリルなどで加工して作ることができ
る。これに、ステンレススチール製の螺旋状挿入棒を挿
入すれば良い。螺旋は、一重でも二重でもそれ以上のも
のでも良い。螺旋棒の代わりに気化空間9の内周より僅
かに小さな丸棒にネジを切ったものを挿入棒として使う
こともできる。挿入棒は霧が凝縮することを防ぐために
熱伝導性の材料を作られることが好ましい。さらに、こ
の挿入棒に小形のヒータを内蔵すれば霧を内部から加熱
でき、霧の微細化が加速される。また、自由に取り出し
掃除ができるようにすれば汚染などを未然に防ぐことが
できる。 〔実施例2〕次に、本発明の他の実施例に係るLC/M
Sを説明する。
LC/MSの気化器8部分の説明図である。なお、他の
部分は実施例2と同様であるので、説明を省略する。ま
た、以下、他の実施例についても同様の部分は説明を省
略する。本実施例において試料溶液の噴霧及び気化器8
への導入、また大気圧化学イオン源11におけるイオン
化の後MS部18への導入は前記実施例と同じである。
図6(a)は気化器8の断面図である。実施例1では噴
霧流のガイドのため、螺旋状の挿入棒を気化空間9全体
に挿入した。本実施例では、図6(b)に示すように気
化空間9の一部に置く流体ガイドを示す。この図におい
て、気化器8の中心部に作られた気化空間9のなかに流
体ガイド83を置く。この流体ガイド83は互いに捻じ
れたプロペラ状の複数のフィン85とそれらを固定する
筒84等で作られる。噴霧6から噴霧された霧はフィン
85により気化空間9内に螺旋状の流れを作る。これに
より、加熱の均一化,霧の微細化が行われる。流体ガイ
ド83を二個以上気化空間9内に置くこともできる。 〔実施例3〕次に、本発明の他の実施例に係るLC/M
Sを説明する。
LC/MSの気化器8部分の説明図である。図7(a)
は気化器8の断面図である。本実施例において試料溶液
の噴霧及び気化器8導入、また大気圧化学イオン源11
におけるイオン化の後MS部18への導入は前記実施例
と同じである。図7(b)に示されるように、気化空間
9に混合器86を置く。混合器86はその中心に混合部
88の穴があけられている。複数の導入穴87が混合器
の外周から混合部88の穴に向け通じている。噴霧6か
ら噴霧された霧は気化空間9に入り加熱される。良く加
熱された霧の外周部はすぐに混合器86の外周に開けら
れた導入穴87を通り混合部88に達する。霧の中心流
は混合器86の壁面に沿って移動し導入穴87を通り混
合部88に達する。このように、中心流は気化器8の内
周部近傍を通りゆっくりと移動して加熱を受けることが
できる。さらに、混合器88に置ける混合により加熱の
均一化,霧の微細化進行する。混合器86の構造はこの
図以外に自由に作ることができる。周辺流と中心流を別
々に取り込み一ケ所で混合すれば他の形状でも良い。
入,排除ができるようにすれば、クリーニングが簡単に
できる。 〔実施例4〕次に、本発明の他の実施例に係るLC/M
Sを説明する。
器8部分の説明図である。本実施例において試料溶液の
噴霧及び気化器8導入、また大気圧化学イオン源11に
おけるイオン化の後MS部18への導入は前記実施例と
同じである。図8は気化器8の断面図である。この実施
例では、気化器8の内部に流路が曲がった気化空間9を
形成する。噴霧器6から噴霧された霧はこの加熱された
気化空間9に侵入する。霧は曲がった気化空間9に沿っ
てその流れの方向を変える。霧は進行方向とは異なる方
向に力を受け、霧を構成する周辺流と中心流が入れ替わ
り加熱された壁面に接近し加熱される。これにより、霧
の均一な加熱ができ、霧の微細化が達成できる。
るが、その他の角度でも構わない。図9のように気化器
8に直交した気化空間9を形成して用いても良い。ま
た、曲がった気化空間を複数組み合わせても良い。ま
た、湾曲した気化空間9は、図10に示すように金属性
の管を湾曲させ、気化器8のブロックに穿たれた穴に挿
入した後銀臘92などで溶接して作ることもできる。
た二つの穴を穿ち気化器ブロック内で連結させても良
い。また穴の穿たれた二つ以上の気化器ブロックを穴の
軸がずれるようにして組み上げて作ることもできる。 〔実施例5〕図12は本発明の一実施例に係るLC/M
S(含インターフェイス)を示す説明図である。図13
は乱流発生板を示している。本実施例において試料溶液
の噴霧,気化器8導入、また大気圧化学イオン源11に
おけるイオン化の後MS部18への導入は前記実施例と
同じである。
る。図14に示すように、流体の中に物体46を置く
と、物体46の後に負圧が生じる。これを補うため流体
は廻り込み渦33を作る。物体46の後方の両側に次々
に渦33は作られる。これは“カルマン渦”として知ら
れている。この渦を利用して霧の混合,微細化を行うこ
とができる。
間9内に乱流発生板40を置く。この乱流発生板40は
図13に示すような構造をしている。加熱空間9の中心
点42からある円周上に複数の小さい貫通孔が設けられ
ている。乱流発生板40は厚み1から5mm程度のステン
レススチールなどの円盤などでつくれば良い。乱流発生
板40を設置すると、例えば、図15のように霧は加熱
空間9内に設置された乱流発生板40に妨げられた後、
複数の貫通孔を通過し下流方向に乱流33を形作る。噴
霧器6に供給される溶液の流量は、例えば1ml/min 程
度であり、気化した場合、例えば、1000ml/min と
なる。これだけ大流量のガス(霧)を例えば、内径数m
m、長さ50mm程度の気化空間9を通過するため、微細
な液滴は気化した溶媒の流れに乗り乱流発生板40に衝
突せず貫通孔41を通過する。貫通孔41を通過した流
れは乱流発生板40の下流に乱流(渦)33を作る。こ
の乱流33により、温度が高く微細な液滴の集まった周
辺流31と、より温度の低く大きな液滴が集まった中心
流30が、機械的に撹拌される。これにより噴霧流の温
度の均一化が図れ、大きな液滴の気化が促進される。ま
た、複雑な気体の流れにより大きな液滴が機械的に引き
裂かれ、また、微細化が促進される。このように、乱流
発生板40の通過により、霧は一気に微細化,均一化さ
れる。さらに、気化器8を通過し微細化された霧は大気
圧イオン源部11に入りイオン化される。
トブロック8に直径5mm,長さ50mm程度の丸孔を穿っ
て簡単に作ることができる。乱流発生板40は加熱空間
9の入り口から40mm程度のところに設ければ良い。汚
れを防ぐため、この乱流発生板40は熱伝導度の良い材
料で作成され気化器8とほぼ同じ温度に保てるようにす
る。また乱流発生板40は、図15に示したように固定
ネジ43で気化器8に固定し、測定を繰返し汚れた場合
取外し洗浄できるようにすれば良い。 〔実施例6〕次に、本発明の他の実施例に係るLC/M
Sを説明する。
MSの気化器8部分の説明図である。本実施例において
試料溶液の噴霧,気化器8導入、また大気圧化学イオン
源11におけるイオン化MS部への導入は前記実施例と
同じである。
器8に孔を穿ちネジ48を挿入する。ネジ48は充分な
長さを持ち気化空間9の下の壁面に達することができる
ようにしてある。またネジ43の径は気化空間9の径よ
り小さくネジ43を完全に締め付けても、気化空間9に
十分隙間ができるようにする。霧は気化空間9に侵入し
気化器8の壁面からの赤外線により加熱される。霧はネ
ジ48を迂回しネジ48の下流に乱流(渦)を作る。乱
流の形成の原理については図14に示されている。これ
により実施例5と同様に霧の微細化,均一化を図れる。
ネジ48は熱伝導性の良い物で作成し、溶媒や試料の凝
縮を防ぐようにする。また、外部からドライバー等によ
りネジ48は簡単に位置決めができ、霧の流れを自由に
制御できる。これにより、最も霧の微細化がすすむ点を
簡単に見つけだすことができる。ネジ48は汚れた場
合、簡単に取り外しクリーニングを行うことができる。 〔実施例7〕次に、本発明の他の実施例に係るLC/M
Sを説明する。
MSの気化器8部分の説明図である。本実施例において
試料溶液の噴霧,気化器8導入、また大気圧化学イオン
源11におけるイオン化MS部への導入は実施例1と同
じである。
た筒状の気化空間9の壁面に複数の突起部45を設け
る。この突起部45を迂回した霧は突起部45の後に乱
流(渦)を多数発生させる。この乱流により霧の微細
化,均一化が図れる。筒状の気化空間9の壁面に直接突
起部45を作るのではなく気化空間9に挿入できる別の
円筒管44を用意しこの円筒管44内に突起部45を作
ることもできる。円筒管44が汚れた場合取外し洗浄で
きる。以上のように、実施例1から実施例7によれば、
気化空間で霧の微細化,均一化が行われ、大気圧イオン
源部へ液滴の径が不揃いな霧を乱雑に導入されるのを防
ぐとともに、微細な液滴の径をそろえたものをイオン化
しMS部に送りこめ効率良く脱溶媒を行うことができ
る。これにより、化学ノイズを最小限にし、高感度分析
を達成できる。広範な組成の溶媒の導入をも可能にす
る。 〔実施例8〕次に他の実施例に係るLC/MSを説明す
る。
分け噴霧流を細くし、気化空間壁面から放出される赤外
線を噴霧流内部まで届くようにしてやれば良いが、実施
例8では、図18に示されるように、気化器8の中心部
から霧の広がりの範囲内に複数の細管182などによる
複数の気化空間9を設ける。霧は分けられてこの加熱さ
れた複数の細管182の中を別々に通ることとなる。当
然霧の径は細管182の直径以下に制限される。細管の
表面積が増加したので、細管182の壁面から放出され
る赤外線にはそれだけ増加し容易に、各々の霧の中心部
まで加熱される。これにより霧の微細化がすすむ。ま
た、霧の流速の径が大きい場合は、なかなか中心部まで
熱がとどかず、霧の中心部まで加熱するために、気化器
8の温度を高く設定されねばならないが、本実施例の場
合、加熱は十分に行われるため気化器8の設定温度は低
くできる。これにより、熱不安定物質の熱分解を防ぐこ
とができる。複数の細管182を通過した霧は大気圧イ
オン源部11に入り、ここで3から5kVの高電圧が印
加されたコロナ放電用針電極の先端部から発生するコロ
ナ放電により溶媒分子が先ずイオン化される。生成した
イオンはその後イオン分子反応を繰返し、最終的に試料
分子をイオン化する。イオンは第一細孔14から中間圧
力部15に導入される。これについては前実施例と同様
である。
り微細な霧を作ることができ、これをイオン化し第一細
孔14,第二細孔16経てイオンを質量分析部18に導
入することができる。これによりこの微細な液滴は中間
圧力室内でイオンの加速衝突を受け、付加分子の脱溶媒
が効率よく行われる。また、径の大きな液滴やクラスタ
ーイオンが質量分析部に導入されることを防ぐことがで
きるため、化学ノイズを大幅に低減できる。また、水な
ど移動相に由来するクラスターイオン及び化学ノイズは
低く抑えられる。一方分子イオンは付加分子を剥ぎ取る
ことによりそのイオン電流値を増やすことができる。結
果として分子イオンを高感度に識別できるようになる。
また、加熱空間9はステンレススチール製のヒートブロ
ック8にドリルなどで加工して作ることができる。 〔実施例9〕次に、本発明の他の実施例に係るLC/M
Sを説明する。
MSの気化器8部分の説明図である。本実施例において
試料溶液の噴霧,気化器8の導入、また大気圧化学イオ
ン源11におけるイオン化の後MS部18への導入は前
記実施例と同じである。図20は気化器8の断面図であ
る。気化器8の中心に直径5mm,長さ50mm程度の孔を
穿ち、この中に棒状の仕切り板183を挿入する。図2
0の場合十字形の仕切り板を示したが、仕切り板83の
形は自由に選ぶことができる。仕切り板の挿入により気
化空間9が複数の気化空間に分離され、各々の気化空間
を霧が移動できるようにすれば良い。本実施例により、
実施例8と同様に、霧の流束の細分化と加熱壁面の増加
が図られる。その結果、霧の液滴の気化が促進され、霧
は微細化される。仕切り板183は熱伝導性の良い材料
で作られることにより霧の加熱が良く行われ、試料の凝
縮などを防ぐことができる。さらに、仕切り板183内
に小形のヒータを内蔵すれば霧を内部から加熱でき、霧
の微細化が加速される。またこの仕切り板183は外部
に取り出せるようにしておけば、掃除が簡単に行える。 〔実施例10〕次に、本発明の他の実施例に係るLC/
MSを説明する。
MSの気化器8部分の説明図である。本実施例において
試料溶液の噴霧,気化器8の導入、また大気圧化学イオ
ン源11におけるイオン化の後MS部18への導入は前
記実施例と同じである。図21は気化器8の断面図であ
る。気化器8の中心に例えば直径5mm,長さ50mm程度
の孔を穿ち、この中に複数の突起部184を外周に付け
た挿入棒185を挿入する。これにより気化空間9は挿
入棒185の外周と気化器8の穴の内周の隙間に形作ら
れる。気化空間9の厚みは挿入棒の径により自由に選ぶ
ことができる。気化空間9を1mm程度の薄さにすれば霧
を充分に加熱することができる。挿入棒185は外部に
取り出せるようにしておけば、掃除が簡単に行える。ま
た、挿入棒185の中に小形ヒータ186を封入し霧を
内部から加熱すれば霧の微細化が一段と促進される。 〔実施例11〕次に、本発明の他の実施例に係るLC/
MSを説明する。
MSの気化器8部分の説明図である。本実施例において
試料溶液の噴霧,気化器8の導入、また大気圧化学イオ
ン源11におけるイオン化の後MS部18への導入は前
記実施例と同じである。図22は気化器8の噴霧方向に
沿った断面図である。気化器8の中心に例えば直径5m
m,長さ50mm程度の孔を穿ち、これを気化空間9とす
る。この気化空間9の中に石英ウールやステンレススチ
ールウールなどの詰物187を置く。気化空間9に流入
した霧は石英ウールやステンレススチールウールなどの
詰物187のところに来て複数の流れとなり、気化器9
の壁面からの加熱を受ける。これにより、霧の微細化が
一段と促進される。
よれば、大気圧イオン源部11へ液滴の径が不揃いな霧
を乱雑に導入されるのを防ぎ、温度の均一化で微細で液
滴の径が揃ったものをイオン化し、MS部に送りこめ
る。このため、イオンドリフト電圧Vにより効率良く脱
溶媒を行うことができる。これにより、化学ノイズを最
小にし、高感度分析を達成できる。更に、気化器の温度
設定を低く押さえることができ熱不安定物質の熱分解を
防ぐことができる。 〔実施例12〕図23は、本発明の他の実施例に係るL
C/MS(含インターフェイス)を示す説明図である。
13を噴霧周辺流31付近になるようにしている。これ
により、微細な霧を主としてイオン化し第一細孔14,
第二細孔16から質量分析部18に導入することができ
る。すなわち、噴出された霧の周辺部に微細な霧が多く
集まっているので、これを特性的に選択して、中間圧力
室15に導くのである。さらに微細な液滴は中間圧力室
内で隔壁141と161との間に印加されたイオンドリフ
ト電圧Vによるイオンの加速衝突を繰り返し、効率良く
付加分子の脱溶媒が行われる。また、噴霧流の中心部の
径の大きな液滴が質量分析部に導入されることを防ぐこ
とができるため、化学ノイズを大幅に低減できる。この
ため、水など移動相に由来するクラスターイオンや化学
ノイズは抑えられる。一方分子イオンは付加分子を剥ぎ
取ることによりそのイオン電流値を増やすことができ
る。結果として分子イオンを高感度に識別できるように
なる。 〔実施例13〕次に、本発明の他の実施例に係るLC/
MSを説明する。
MSの説明図である。図中、図23と同一符号は、同等
部分であるので説明を省略する。新しい符号のみ説明す
る。
噴霧流サンプリング孔、25は第一排気口、26は第二
排気口である。本実施例において試料溶液の噴霧,気化
器8の導入までは前記実施例と同じである。気化空間9
の下流でかつ大気圧イオン源11の前に孔124付の隔
壁123を置く。隔壁123により気化空間9と大気圧
イオン源部11は隔離される。この細孔124は噴霧流
の中心軸30からずれた周辺流31付近に設置されてい
る。中心部と比べる周辺部に微細な霧が集中している
が、これにより、噴霧流の周辺部の霧を選択的に大気圧
イオン源部11に導入しイオン化ができる。なお、噴霧
流の内大気圧イオン源部11に導入されないものは第一
排気口25から外部に排出される。また、大気圧イオン
源部11に導入され、イオン化に関与しなかった気体は
大気圧イオン源部11の第二排出口26から外部に排出
される。前記実施例1の場合大気圧イオン源部11内の
乱流により、径の大きさの異なる液滴が混ざり、質量分
析部に導入される危険がある。しかし、本実施例2によ
れば噴霧流の周辺部の霧のみを積極的にサンプリングす
るため、粒径の整った微細な霧を選択的にイオン化する
ことができる。粒径が揃った微細なイオンは中間圧力室
内においてイオンドリフト電圧Vにより加速衝突を受
け、その結果脱溶媒が効率良く行われる。
壁123を装置内に固定して説明したが、噴霧流に直角
方向から外部より調整可能にすることもできる。これに
より噴霧流を自由にサンプリングできるようになり、希
望の径の液滴をサンプリングし、イオン化できるように
なる。外部からの調整により、感度最大,ノイズ最少な
どの最良点を探すことができるようになる。
で生成したイオンをサンプリングする方式を細孔で説明
した。これは、生成したイオンをMS部に圧力差を保っ
たまま導入できるものであれば良く、スリット,キャピ
ラリーなどで細孔に換えることもできる。また、質量分
析計はQMSに限らない。磁場形MS,イオントラップ
MSや他の原理を異にするMSでも良い。
によれば、大気圧イオン源部へ液滴の径が不揃いな霧を
乱雑に導入されるのを防ぎ、液滴の径そろえたものをイ
オン化し、MS部に送りこめ効率良く脱溶媒を行うこと
ができる。これにより、化学ノイズを最小限にし、高感
度分析を達成できる。 〔実験〕本発明の効果を実証するため以下の実験を行っ
た。 (1)装置 図12に示す構成のLC/MSを用いた。ただし、分析
カラム4は取外し試料注入口3と噴霧器6は直結した。
乱流発生板40を装着した場合と取り外した場合の比較
を行った。
が困難で大きなクラスターイオンを作る。気化器温度は
400℃に固定し、噴霧器6の温度,水の流量を変化さ
せクラスターイオンの出現の具合を観察した。コロナ放
電電圧HVは3kV、衝突解離用のドリフト電圧Vは5
0V、そのほかパラメータは実験の間、固定した。噴霧
器6の温度,水の流量を変化させながら質量分析計18
を掃引しマススペクトルを繰返し収集した。一マススペ
クトル上のクラスターイオンは積算され全イオン電流値
(Total Ion Current,TIC)として出力される。TI
Cが大きいことはクラスターイオンが多数出現している
ことを示す。ここではTICと化学ノイズは同義語とい
える。 (2)結果,考察 図25,図26に実験結果を示す。図25に、噴霧器6
の温度,水の流量を変化させクラスターイオンの出現の
具合を観察した結果を示す。横軸が噴霧器の温度、縦軸
がTICである。×,○は乱流発生板40を取り外した
場合、□は乱流発生板40を装着した場合のTICを示
す。移動相の流量は、×は1ml/min、○は0.5ml/mi
n、□は流量1ml/min である。乱流発生板40を装着
しない場合、×,○は200℃の測定結果が無い。これ
は、噴霧器6の温度を250℃以下にすると、水のクラ
スターイオンが急激に増大しTICは極めて不安定とな
り測定不可能になったためである。噴霧器6の温度を2
50℃に設定した場合1ml/minの流量ではTICは2
×107となる。流量を半分の0.5ml/minにするとT
ICも半分の1×107 となる。噴霧器6の温度を高く
設定すればTIC(化学ノイズ)は減少する。しかし、
流量0.5ml/min、噴霧器6の温度350℃でも8×1
06 以下にはならない。これ以上の加熱は試料の熱分解
を避けるためできない。
ノイズ)は1×106 以下となり、乱流発生板40を装
着しない場合に比較して噴霧器6の温度を300℃以上
の時、一桁以上、噴霧器6の温度を250℃以下の場合
2桁と劇的に減少する。しかも、200℃から350℃
までTICに大きな変化は無い。乱流発生板40が無い
場合、200℃はノイズが多く使用不可能であった。乱
流発生板40を装着すると測定可能となる。このように
250℃以下の条件が使用可能となることは、試料の熱
分解を避けられるため極めて有効なことである。この乱
流発生板40により、霧の微細化,均一化が達成された
結果である。
ペクトルを示す。図26の上段が乱流発生板40が無い
場合、下段が乱流発生板40が有る場合のマススペクト
ルである。両マススペクトル取得の条件は同じである。
移動相流量は1ml/min 、噴霧器6の温度は250℃、
気化器温度は400℃である。乱流発生板40が無い場
合、m/z100から1000まで前領域に渡り帰属不
明のイオンが強度100,000から50,000 で出現している。
乱流発生板40が有る場合、m/z200から強度10,0
00以上のピークは出現していない。多くのクラスターイ
オンが乱流発生板40により消滅したことになる。
いことは以下の利点が生じる。異なった組成の移動相に
も噴霧器の温度を変える必要がない。これはグラジェン
ト測定にとり極めて有効なことである。噴霧器の温度は
ほぼ250℃に設定しておけば良く、操作性を著しく高
めることができる。また噴霧器の温度がほぼ250℃で
あれば熱不安定物質も熱分解等防げ安定に測定できる。
質量分析の精度を向上することが可能となる。
ある。
図である。
る。
る。
る。
る。
る。
る。
である。
ある。
る。
る。
る。
る。
る。
る。
ある。
ある。
る。
る。
器、10…コロナ放電用針電極、11…大気圧化学イオ
ン源部、14…第一細孔、16…第二細孔、17…真空
ポンプ、18…質量分析部、82…螺旋状の挿入棒。
Claims (6)
- 【請求項1】液体クロマトグラフからの流出液を噴霧す
る第1の手段と、当該第1の手段からの噴霧流を通過さ
せる複数の通路を有し且つ加熱される第2の手段と、前
記噴霧流を脱溶媒及びイオン化する第3の手段と、イオ
ンを導いて質量分析する質量分析計を有したことを特徴
とする液体クロマトグラフ結合型質量分析装置。 - 【請求項2】液体クロマトグラフからの流出液を噴霧す
る噴霧手段と、当該噴霧手段からの噴霧流をイオン化す
るイオン化手段と、当該イオン化手段によって生成され
たイオンを導いて質量分析する質量分析計を有した液体
クロマトグラフ結合型質量分析装置において、 前記噴霧手段とイオン化手段の間に、前記噴霧流を通過
させる複数の連通路を形成し且つ加熱される加熱部材を
備えたことを特徴とする液体クロマトグラフ結合型質量
分析装置。 - 【請求項3】液体クロマトグラフからの流出液を噴霧す
る噴霧手段と、当該噴霧手段からの噴霧流をイオン化す
るイオン化手段と、当該イオン化手段によって生成され
たイオンを導いて質量分析する質量分析計を有した液体
クロマトグラフ結合型質量分析装置において、 前記噴霧手段とイオン化手段の間に、前記噴霧流を通過
させる連通路を有した加熱部材を備え、 前記連通路内に、前記加熱部材からの熱を伝達する部材
から成り、且つ前記噴霧流が通過する流路を複数に分割
する仕切り板を配置したことを特徴とする液体クロマト
グラフ結合型質量分析装置。 - 【請求項4】請求項3において、 前記仕切り板の内部に発熱部材を備えたことを特徴とす
る液体クロマトグラフ結合型質量分析装置。 - 【請求項5】液体クロマトグラフからの流出液を噴霧す
る噴霧手段と、当該噴霧手段からの噴霧流をイオン化す
るイオン化手段と、当該イオン化手段によって生成され
たイオンを導いて質量分析する質量分析計を有した液体
クロマトグラフ結合型質量分析装置において、 前記噴霧手段とイオン化手段の間に、前記噴霧流を通過
させる連通路を有した加熱部材を備え、 前記連通路の中心部に棒状部材を挿入したことを特徴と
する液体クロマトグラフ結合型質量分析装置。 - 【請求項6】請求項5において、 前記棒状部材の内部に発熱部材を備えたことを特徴とす
る液体クロマトグラフ結合型質量分析装置。
Priority Applications (1)
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JP2000113214A JP3307384B2 (ja) | 1993-12-09 | 2000-04-10 | 液体クロマトグラフ結合型質量分析装置 |
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